説明

直流を交流に変換する方法および装置

【課題】直流(DC)を交流(AC)に変換する方法および装置。
【解決手段】この方法は、DC電流、DC電圧、または、AC電圧の少なくとも1つに関するシステム解析を実行するステップ604と、少なくとも1つの変換パラメータを選択するためにそのシステム解析を使用するステップ610と、その少なくとも1つの変換パラメータを用いてDCをACに変換するステップ618とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本発明は、2006年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/743,713号に基づく利益を主張するものであり、この明細書は、参照として本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、一般的には、直流(DC)を交流(AC)に変換するインバータに関する。より詳細には、本発明は、DCをACに変換するための変換パラメータを動的に選択するマイクロインバータに関する。
【関連技術の説明】
【0003】
[0003]歴史的には、商用電源を利用できない遠く離れたアプリケーションにおいては、主として、太陽電池パネルが使用されてきた。これは、他に何も利用できない場合にのみ経済的な選択となるコストの高い設備のためである。しかしながら、現在、電気を生成するのにこれまで使用されてきた化石エネルギー埋蔵量が急速に枯渇していることはよく知られている。電力需要の世界的な伸びは、エネルギーコストを永続的に高騰させている。クリーンな核融合プロセスの開発は別として、そのような傾向は終わりそうもない。
【0004】
[0004]太陽光発電システムは、例えば、家庭電化製品で使用するために、太陽電池からの直流(DC)を交流(AC)に変換するインバータを必要とする。どのような発電システムにとっても、電気を生成し、そして、最も効率的な方法で、それを電気器具へ配電することは重要なことである。典型的な太陽電池アレイは、複数のサブアレイを備え、それぞれのサブアレイは、結合された個々の太陽電池パネルを備える。ジャンクションボックスが、いくつかのサブアレイの出力を組み合わせ、インバータへ供給されるDC信号を形成する。インバータは、DCをACに変換し、そのACを電力網へ供給する。ユーザは、典型的な形で、電力網からの電力を使用するが、電力網からの電気の価格は、太陽光発電システムが電力網へ供給する電気の量によって異なる。
【0005】
[0005]そのようなシステムにおいては、電力網に効率的に結合された電力の量は、システムの原価を回収するのに重要なものである。そのようなものとして、インバータは、できる限り効率的なものでなければならない。
【0006】
[0006]全体的な効率を向上させるために、現在の技術は、「マイクロインバータ」を使用し、そのために、それぞれの太陽電池パネルは、個々のインバータに結合される。複数のマイクロインバータのAC出力は、組み合わせられ、そして、電力網に結合される。マイクロインバータの使用は、単一インバータよりも効率的なものであるが、個々のマイクロインバータの効率は、典型的には、90%以下である。
【0007】
[0007]したがって、DCをACに効率的に変換する方法および装置が、必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
[0008]一実施形態において、本発明は、DCをACに変換する方法および装置を開示する。この方法は、DC電流、DC電圧、およびAC電圧の少なくとも1つに関するシステム解析を実行するステップと、少なくとも1つの変換フライバックモードを選択するために解析の結果を使用するステップと、少なくとも1つの変換フライバックモードを用いてDCをACに変換するステップとを備える。
【0009】
[0009]本発明の上述した特徴を詳細に理解できるように、上で簡単に説明された本発明のより具体的な説明が、それらのいくつかが添付の図面に示される実施形態を参照してなされる。しかしながら、添付の図面は、単に本発明の典型的な実施形態を示すものであり、したがって、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではないことに注意されたい。なぜなら、本発明は、その他の同等の有効な実施形態が可能だからである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を使用する例示的な発電システムのブロック図である。
【図2】図1に示される例示的なマイクロインバータの詳細ブロック図である。
【図3】図2に示されるコントローラの例示的な実施形態のブロック図である。
【図4】図3に示されるディジタル位相ロックループの例示的な実施形態のブロック図である。
【図5】制御信号発生器の例示的な実施形態の詳細ブロック図である。
【図6】本発明によるマイクロインバータの動作の方法600の例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【図7】電流制御回路の例示的な実施形態の詳細ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017]図1は、本発明の一実施形態を使用する例示的な発電システム100のブロック図である。このブロック図は、考えられる無数の多種多様なシステム構成の中の一形態を描写するにすぎない。本発明は、様々な環境およびシステムにおいて機能することができる。
【0012】
[0018]発電システム100は、複数のマイクロインバータ102、102、...、102、ジャンクションボックス104、配電盤106、複数の光起電性パネル108、108、...、108、および電気計器110を備える。システム100は、電力網112、電気器具116、または、それらの両方へ電力を供給する。複数の光起電性パネル108、108、...、108は、当分野においてよく知られているものであり、太陽エネルギーからDC電力を生成するのに使用される。複数の光起電性パネル108、108、...、108(ここでは、太陽電池パネルとも呼ばれる)は、どのような寸法または形状を有していてもよい。システム100は、8つの光起電性パネル108、108、・・・、108を備えて示されるが、システム100は、どのような数の光起電性パネル108を含んでもよい。
【0013】
[0019]それぞれの光起電性パネル108、108、・・・、108は、マイクロインバータ102、102、・・・、102に結合される。マイクロインバータ102、102、・・・、102は、複数の光起電性パネル108、108、・・・、108によって生成されたDC電力をAC電力に変換する。本発明のマイクロインバータは、AC電力網電流と同相の電流を測定し、かつ、このような電流を小さな歪みで生成する。
【0014】
[0020]マイクロインバータ102、102、・・・、102は、出力ACをACバス114に結合する。ACバス114は、ジャンクションボックス104の中で終端される。このようなACバス114および個々のインバータを用いて、システム100は、拡張性および柔軟性のあるものとなり、どのようなユーザのニーズにも適合する。マイクロインバータ102、102、・・・、102の構造および機能を、以下に説明する。
【0015】
[0021]ジャンクションボックス104は、一般的には、すべてのマイクロインバータ102、102、・・・、102からの出力を互いに接続し、配電盤106に供給される単一ACを形成する。
【0016】
[0022]配電盤106は、ジャンクションボックス104からの電力を電力網112に接続し、また、アプリケーションによっては、ユーザの家屋内に存在する電気器具116に接続する。例えば、家庭においては、配電盤106は、様々なブレーカーおよび/またはヒューズを備えるよく知られているAC配電ハブであり、家庭内の様々な回路へ電気を分配する。配電盤106は、電気計器110を介して電力網112に結合される。電気計器110は、電力網へ供給された電力の量を測定し、それによって、システム100の所有者は、電気を供給したことに対しての報酬を受けることができる。
【0017】
[0023]図2は、図1のマイクロインバータの例示的な実施形態の詳細ブロック図である。マイクロインバータ102は、電力変換回路200およびコントローラ202を備える。電力変換回路200は、入力回路204(DC回路とも呼ばれる)、少なくとも1つの電力段225、225、・・・、225、出力回路236(AC回路とも呼ばれる)、出力フィルター回路248、およびAC電圧サンプリング回路260を備える。電力段225は、入力回路204と出力回路236との間に結合される。
【0018】
[0024]電力変換回路200は、コントローラ202によって制御されDCをACに効率的に変換する。効率を最適化するために、コントローラ202は、DC入力電圧、DC入力電流、およびAC出力電圧の現在の状態に応じて、電力変換回路200で使用される様々なフライバックモードの動作を選択する。そのようなものとして、一実施形態においては、電力変換回路200は、通常フライバックモード、インターリーブモード、擬似共振モード、または、それらを組み合わせたモードのいずれかに切り替える。ここで、通常フライバックモードは、低出力電圧状態および低出力電流状態中に使用され、インターリーブフライバックモードは、高出力電流状態中に使用され、擬似共振インターリーブフライバックモードは、高出力電圧状態中に使用される。高電流状態かつ高電圧状態においては、インターリーブ擬似共振モードが使用されてもよい。これらのモード変更は、DC電力をAC電力に最適に変換するために、電力変換回路200のそれぞれのスイッチングサイクル中に頻繁に発生する。
【0019】
[0025]入力回路204は、1つまたはそれ以上の電力段225および225に結合され、変換回路200がインターリーブフライバックモードで動作しているかどうかに応じて、1つまたはそれ以上の段を使用する。本発明の実施形態によっては、1つの電力段しか使用されず、インターリーブフライバックモードは利用できない。入力回路204は、DC入力、例えば、少なくとも1つの光起電性パネルによって生成されたDC入力を受け取る。入力回路204は、DC電流サンプリング回路206、入力コンデンサー212、およびDC電圧サンプリング回路214を備える。
【0020】
[0026]入力コンデンサー212の両端のリップル電圧は、線路周波数の2倍の正弦波形を有し、太陽電池パネルの出力電圧に等しい電圧変位を有する。電力(V×I)を1サイクルの2つの半サイクルにわたって積分することによって、コントローラ202は、パネルに対する最適な動作電圧を決定することができ、すなわち、パネルに対する最適な負荷を維持するようにインバータの出力電流を制御することができる。
【0021】
[0027]パネル電力を制御量として使用するのを助けるために、コントローラ202は、DC電圧サンプリング回路214およびDC電流サンプリング回路206を備える。DC電流サンプリング回路206は、サンプリング抵抗208およびA/D変換器(ADC)210を備え、そのA/D変換器(ADC)210は、抵抗208に並列に結合されてもよい。ADC210は、DC電流を示すディジタルサンプルを生成する。サンプルは、コントローラ202に結合される。サンプリング抵抗208の一方の端子は、DC入力に結合され、他方の端子は、入力コンデンサー212およびDC電圧サンプリング回路214に結合される。入力コンデンサー212の端子は、DC入力に結合される。
【0022】
[0028]DC電圧サンプリング回路214は、2つの直列に接続された抵抗216および218(分圧回路を形成する)を備える分圧回路222およびADC220を備える。抵抗216の一方の端子は、フィルターコンデンサー212および抵抗206に結合される。抵抗216の第2の端子は、抵抗218に結合される。抵抗218は、ADC220に並列に結合される。抵抗218の第2の端子は、フィルターコンデンサー212に結合される。ADC220は、DC電圧サンプリング回路214からコントローラ202へDC電圧サンプルを出力する。
【0023】
[0029]電力段225、225、・・・、225は、互いに並列に接続される。それぞれの段225は、トランス224、ダイオード232、および電流制御回路228を備える。それぞれの電力段225は、DCからDCへの変換を実行し、正の整流正弦波を生成する。この整流正弦波は、出力回路236によって展開され、真のAC波形を形成する。トランス224の一次巻線(コイル)は、入力回路204に結合され、トランス224の二次巻線(コイル)は、ダイオード232を介して出力回路236に結合される。電流制御回路228は、コントローラ202によって生成される信号に基づいて、一次コイルに印加されるDC電圧を制御する。それぞれの段225は、独立して使用されるので、それらの段は、インターリーブされてもよく、また、マイクロインバータ102に対する電流負荷を共有してもよい。段の選択は、選択された段の制御回路228を起動することによって実行される。トランス224は、巻線比N/Nに比例する「昇圧された」電圧を生成し、ここで、Nは、一次コイルの巻数であり、Nは、二次コイルの巻数である。一実施形態においては、電圧は、トランス224を介して4倍に増加する。二次電圧は、ダイオード232に印加され、それぞれの電力段225の出力において、整流された正弦波を生成する。すべてのステージ225の変換プロセスは、それぞれの段の電流制御回路228によって制御され、その電流制御回路228は、以下で図7を参照して詳細に説明される。
【0024】
[0030]トランス224の二次コイルは、出力回路236に並列に結合する。出力回路236は、フィルターコンデンサー234およびスイッチ回路237を備える。コンデンサー234は、ある種のスプリアスAC信号を出力信号から除去する。二次巻線の出力におけるエネルギーは、実質的にパルス状のものであってもよい。コンデンサー234は、それぞれのサイクルを平均化し、滑らかなAC波形を形成する。スイッチ回路237は、整流された正弦波を「線路」かまたは「中性点」すなわちAC出力端子のいずれかに選択的に印加する。スイッチ回路237のスイッチングは、コントローラ202によって制御され、線路電圧との位相同期性を維持する。
【0025】
[0031]スイッチ回路237は、複数の電子的なスイッチを備える。一実施形態においては、回路237は、4つのシリコン制御整流器(SCR)238、240、242、および244(例えば、サイリスタまたはトライアック)を備える。別の実施形態においては、SCRは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、MOSFET、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、などのようなその他の電子的なスイッチに置き換えられてもよい。SCR238、240、242、および244の出力は、スイッチ駆動回路246によって制御される。SCR238のカソード端子は、ダイオード232のアノードおよびフィルターコンデンサー234に結合される。SCR238のアノード端子は、SCR240に結合される。SCR238の制御端子は、スイッチ駆動回路246に結合される。SCR240のカソード端子は、SCR238に結合され、SCR240のアノード端子は、フィルターコンデンサー234およびトランス224に結合される。SCR240の制御端子は、コントローラ駆動回路246に結合され、その駆動回路246は、出力回路236をコントローラ202から絶縁するために、フォトカップラー、パルストランスなどを用いて、電気的な絶縁を達成してもよい。SCR242のカソード端子は、SCR238に結合され、アノード端子は、SCR244に結合される。SCR244のカソード端子は、SCR242に結合され、アノード端子は、SCR240に結合される。SCR242および244の制御端子は、スイッチ駆動回路246に結合される。AC電圧が出力端子に同期して印加され、電力網電圧の位相に一致することを保証するために、SCRのスイッチングはタイミングを合わせられる。
【0026】
[0032]出力フィルター回路248は、2つのインダクター250および252、およびコンデンサー254を備える。インダクター250の第1の端子は、SCR242とSCR244との間に結合される。インダクター250の第2の端子は、コンデンサー254に結合される。インダクター252の第1の端子は、SCR238とSCR240との間に結合される。インダクター252の第2の端子は、コンデンサー254に結合される。出力回路236は、コントローラ202によって定められた位相を備えるACを提供する。SCR238、240、242、および244は、コントローラ202によって生成されるスイッチング信号に基づいてスイッチングされる。AC出力が、コンデンサー254の両端に形成される。フィルター248は、高調波信号および様々な高周波電圧スパイクを出力電圧から除去する。
【0027】
[0033]AC電圧サンプリング回路260は、ACサンプルをコントローラ202に提供する。AC電圧サンプリング回路260は、絶縁トランス256およびADC258(または、リミッター)を備える。絶縁トランス256の一次コイルの第1の端子は、インダクター250の第1の端子に結合される。絶縁トランス256の一次コイルの第2の端子は、インダクター252の第1の端子に結合される。絶縁トランス256の二次コイルの両方の端子は、ADC258に結合される。ADC258は、AC電圧サンプルをコントローラ202へ出力する。
【0028】
[0034]電力変換回路200は、コントローラ202によって生成される制御信号およびスイッチング信号に基づいて、DCをACに変換する。以下で説明されるように、コントローラ202は、DC信号およびAC信号のサンプルに応じて、制御信号およびスイッチング信号を生成する。その結果として、電力変換回路200は、特定の動作モードを使用するように最適に制御され、DC信号およびAC信号の現在の状態に適合させ、すなわち、AC出力を電力網の位相に最適に一致させ、それによって、DC電力は、電力網に効率的に結合される。
【0029】
[0035]コントローラ202によって、電力変換回路200は、様々なモード、すなわち、単純なフライバックモード、擬似共振フライバックモード、インターリーブフライバックモード、およびそれらを組み合わせたモードのいずれかに切り替える。コントローラ202の任務は、(1)さもなければ別の回路によって達成されてもよい効率的な最大電力点追従制御機能(MPPT)を有するように電力変換回路を制御すること、(2)AC電圧の位相、電圧、および周波数を推定すること、(3)電力段における過電流のような予期しない動作に対処すること、および(4)マイクロインバータによって生成されたAC電力に関する統計のようなデータをエンドユーザに報告することである。
【0030】
[0036]図3は、ディジタル位相ロックループ(DPLL)300および制御信号発生器302を備えるコントローラ202のハイレベルブロック図である。DPLL300は、発振器をAC電圧サンプルに位相ロックし、入力信号の位相を示すディジタル信号(例えば、8ビット信号)を生成する。位相信号は、制御信号発生器302に結合される。発生器302は、DC電流、DC電圧、および位相情報を使用して、図2の電流制御回路228およびスイッチ237に対する制御信号を生成する。
【0031】
[0037]図4は、図3に示されるDPLL300の例示的な実施形態の詳細ブロック図である。DPLL300は、ディジタル位相検出器402、ディジタルPID(比例、積分、微分)コントローラ404、数値制御発振器(NCO)416、位相カウンタ408、およびシステムクロック400を備える。
【0032】
[0038]DPLL300は、一般的な形で動作し、NCO406の出力は、AC電圧サンプリング回路260からのAC電圧サンプルに位相ロックされる。この実施形態においては、DPLL300のためのループフィルターは、PIDコントローラ404である。その他の形態のループフィルターインプリメンテーションが利用可能であり、DPLL300において使用されてもよい。動作中、位相カウンタ408からの符号ビットが、位相検出器402を用いてサンプリングされたAC電圧と比較され、位相誤差、例えば、24ビット信号を生成する。位相誤差は、PIDコントローラ404によってフィルタリングされ、NCO406に提供される。NCO406は、クロック(例えば、25MHz)および位相差に基づいて信号を生成する。NCO出力は、位相カウンタに結合され、システムクロック信号に位相ロックされたAC電圧を示す位相信号(例えば、8ビット信号)を生成する。
【0033】
[0039]図5は、制御信号発生器302(図3参照)の例示的な実施形態の詳細ブロック図である。制御信号発生器302は、正弦ルックアップテーブル502、乗算器504、およびメモリ506を備える。正弦ルックアップテーブル502は、DPLL300によって生成された位相信号を受け取り、その位相信号に基づいて、正弦波信号を生成する。基本的には、このテーブル502は、電力網電圧に位相ロックされた波形を生成する。したがって、正弦ルックアップテーブルは、実際の電圧波形に関係なく、電力網上における小さな歪みの電流を生成するのを助ける。乗算器504は、波形を、必要とされる出力電流と乗算する。その結果は、必要とされる出力電流を示すスケーリングされたディジタル信号となる。この信号は、アドレスとしてメモリ506に結合される。
【0034】
[0040]メモリ506は、どのような種類のコンピュータ可読メモリであってもよい。メモリ506は、ランダムアクセスメモリまたはリードオンリーメモリから構成されてもよい。メモリ506は、8ビット正弦波信号に加えて、ADC210およびADC220によって生成された信号(例えば、6ビット信号)を受け取る。そのようなものとして、20ビットのワードが、メモリをアドレス指定するのに使用される。メモリ506は、アドレス入力を受け取り、インターリーブ(IL)ビット、擬似共振(QR)ビット、およびピーク電流制御ビットのようなインバータモードおよび位相信号設定を出力する。これらの信号は、電力変換回路200を制御するのに使用される。
【0035】
[0041]制御信号発生器の図示される実施形態においては、メモリ506は、20ビットアドレスによって配列されたルックアップテーブルとして使用される。そのようなものとして、DC電流、DC電圧、およびAC位相の現在の値が、特定のモードにおけるインバータの動作を助けるための制御信号を選択するのに使用される。メモリ506には、DC電流、DC電圧、およびAC位相の様々な組み合わせに対して生成されるべき制御信号を示すテーブルがプレインストールされている。この実施形態においては、メモリが使用されるが、当業者であれば、マイクロプロセッサーまたはマイクロコントローラが、DC電流、DC電圧、およびAC位相を考慮して制御信号を生成するのに使用されてもよいことがわかるはずである。
【0036】
[0042]図6は、本発明のマイクロインバータの動作の方法600の例示的な実施形態を示すフローチャートである。この方法600は、それぞれのシーケンスステップにおいて、例えば、クロック遷移ごとに実行される。そのようなものとして、与えられたACサイクル中、インバータは、そのサイクル中の動作の様々なモードを使用することができる。
【0037】
[0043]方法600は、ステップ602において開始し、ステップ604に進む。ステップ604において、方法600は、入力電力が電力しきい値よりも大きいかどうかの計算および検査を実行する。入力電力を計算するために、DC電圧サンプルは、DC電流サンプルを乗算される。動作電力が、電力しきい値よりも大きければ、方法600はステップ606に進み、そのステップ606において、モードはインターリーブフライバックモードとなる。インターリーブフライバックモードは、システムの電力変換要件を共有するのに使用されるさらなる電力段を選択する。しきい値は、入力電力レベルが単一電力段の安全レベルを越えた場合にさらなる電力段が使用されることを保証するように設定される。さらなる電力段は、電力の量に比例して使用されてもよい。さらなる電力段が必要な場合、ステップ608において、インターリーブモードビットが設定される(IL=1)。別の実施形態においては、マイクロインバータは、インターリーブフライバックモードを使用しなくてもよい。すなわち、ただ1つの電力段しか存在しない。このような実施形態においては、ステップ604、606、および608は使用されない。
【0038】
[0044]メモリをルックアップテーブルとして使用する実施形態においては、「高い」電力レベルを示す電流および電圧の値が、IL=1を出力するテーブルエントリーをアドレス指定するのに使用され、もしそうでなければ、「低い」電力レベルに対して、IL=0となる。マイクロプロセッサーを使用する実施形態は、機能的なIF文、THEN文、ELSE文としてフローチャートを実施する。
【0039】
[0045]ステップ610において、方法600は、DC出力電圧が電力変換回路200に対して擬似共振フライバックモードを使用するほどに十分なものであるかどうかを問い合わせる。否定的な回答であれば、方法600は、通常フライバックモードに切り替えるかまたは通常フライバックモードのままでいる。しかしながら、DC入力電圧が、ステップ610の問い合わせに対して肯定的な回答を得るのに十分なものであれば、方法600は、ステップ614に進み、そのステップ614において、擬似共振フライバックモードが選択される。インターリーブモード、擬似共振フライバックモード、または、インターリーブ通常フライバックモードを組み合わせたモードを選択することも可能である。ステップ616において、擬似共振ビット(QR=1)が設定される。ステップ618において、電流信号およびモード選択ビットが生成される。方法は、ステップ620において終了する。
【0040】
[0046]図7は、電流制御回路228(図2)の例示的な実施形態の詳細ブロック図である。回路228は、ディジタル−アナログ変換器(DAC)704、比較器706、フリップフロップ708、スイッチ710、抵抗712、および補助擬似共振(QR)モード回路714を備える。メモリ506によって生成されたピーク電流制御信号が、DAC704に結合される。DAC704は、ディジタル信号をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号は、比較器706の−入力に結合される。バイアス抵抗712の一方の端子は、比較器706の+入力およびスイッチ710のドレインに結合する。スイッチ710は、MOSFET、BJT、IGBT、または、当分野において知られているその他のどのような形態のスイッチであってもよい。抵抗712の他方の端子は接地される。そのようなものとして、比較器706は、バイアス抵抗712における信号と比較した電流制御信号のレベルに依存するスイッチとして動作する。2つの信号の相対的な状態は、SRフリップフロップ708をリセットする。
【0041】
[0047]フリップフロップ708は、2つの入力「R」および「S」および1つの出力「Q」を有する。オペアンプ706の出力は、フリップフロップ708の「R」入力に結合する。電力伝送サイクル開始点であってもよいスタートTon信号が、フリップフロップ708の「S」入力に結合される。「Q」出力は、スイッチ710のゲートを駆動する。
【0042】
[0048]補助QR回路714は、モードが擬似共振モードであるときに、スイッチ718によってトリガーされる。補助QR回路714は、コンデンサー716、ダイオード720、および補助電力スイッチ718(MOSFET)を備える。回路714は、回路の擬似共振動作を助けるために、主スイッチ710の両端のコンデンサー716をスイッチする。コンデンサー716の第1の端子は、主スイッチ710のソース端子に結合する。コンデンサー716の第2の端子は、スイッチ718のソース端子に結合する。スイッチ718のドレイン端子は接地される。ダイオード720は、ドレイン端子とソース端子との間に接続される。スイッチ718のゲートは、メモリ506からのQRビットによって制御される。
【0043】
[0049]フライバックモードで動作しているとき、サイクルの開始点において、一次コイルに流れる電流はゼロであり、主スイッチ710がターンオンされる。一次コイルに流れる電流は、スイッチ710が開かれる所定の値Ippに到達するまで、線形に増加する。そして、一次コイルに蓄積されたエネルギーは、二次コイルに伝送され、その二次コイルにおいて、電流はIpp/nまで瞬時に立ち上がり、ここでnは、トランスの二次側と一次側の巻数比である。主スイッチ上の電圧は、Vin+Vout/nまで増加する。出力ダイオード(図2に示される232)がターンオフし、再びサイクルが開始されてもよいとき、二次側の電流は、傾きVout/Lsでゼロまで線形に降下する。サイクル期間は、ほとんどのアプリケーションにおいて、2〜50μsである。
【0044】
[0050]擬似共振フライバックモードで動作する場合、インバータは、漏れインダクタンスエネルギーを吸収するために、主スイッチ710の寄生キャパシタンスを使用し、あるいは、図示される実施形態においては、付加されたキャパシタンス(例えば、コンデンサー716)を使用する。したがって、QRビットは、スイッチ718をターンオンし、付加的コンデンサーを主スイッチ710の両端に接続するように設定される。また、スイッチ710のターンオン時間を適切に選択することによって、ゼロ電圧ターンオン特性およびゼロ電圧ターンオフ特性を有することが可能である。これは、全体的効率のために実施される。このアプローチに関する問題の1つは、すべての動作条件に対して真のゼロ電圧を達成できないことである。例えば、二次反射電圧(Vout/n)は、ゼロ電圧ターンオンを有するために、入力電圧よりも大きいものでなければならない。
【0045】
[0051]インターリーブモードにおいては、2つ以上の個々の電力段(フライバックモードまたは擬似共振フライバックモードのいずれかで動作する)が組み合わせられて、それぞれのサイクルにおいて同じ周波数で動作することができるが、位相はインターリーブされる。このようにして、きわめて大きな電流をインバータが扱うことができる。主電力段はほぼ常時使用されるが、補助電力段は、必要とされるときに、すなわち、ILビットが設定されているときに使用されてもよい。補助電力段は、遅延して動作させられる。2つの電力段が使用される場合、遅延はACサイクルの1/2であり、3つの電力段が使用される場合、遅延はACサイクルの1/3であり、以下、N段の場合にも同様である。このようなインバータは、電力経路で使用される部品の寸法を縮小すること、それぞれの電力段における定格電流が単一電力段アプローチと比較して1/2になること、EMI/RFIの発生を減少させることなどを含む多くの利点を有し得る。
【0046】
[0052]上述したアプローチは、必要とされる出力電圧および出力電流に基づいて、インバータのトポロジーを、通常フライバックモードからインターリーブ擬似共振のためのインターリーブフライバックモードに動的に変更するのに使用される。より低い電圧出力および電流出力においては、一次側に流れる電流は、きわめて小さいので、ターンオフ時の漏れインダクタンスおよびターンオン時の寄生キャパシタンスの放電において、わずかな量のエネルギーしか失われない。中程度の出力電流においては、入力フィルターおよび出力フィルターにおける「実効」電流、すなわち、出力ノイズを減少させるために、2つの電力段をインターリーブすることが可能である。出力電圧が十分に大きいとき、システムは、全体的効率を改善するために、擬似共振モードに切り替えられる。
【0047】
[0053]以上、様々な実施形態を説明したが、それらは限定するものではない単なる例として提示されたことを理解すべきである。したがって、好ましい実施形態の広さおよび範囲は、上述した例としての実施形態のいずれかに限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲に記載される、請求項およびそれと等価なものによってのみ定義される。
【符号の説明】
【0048】
100…発電システム、102、102、・・・、102…マイクロインバータ、104…ジャンクションボックス、106…配電盤、108、108、・・・、108…光起電性パネル、110…電気計器、114…ACバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置であって、
少なくとも2つの電力段であって、前記少なくとも2つの電力段のそれぞれの電力段がDC入力電力をDC出力電力に変換することができる少なくとも2つの電力段と、
電力変換中に、第1のDC電力に基づいて、前記第1のDC電力を第2のDC電力に変換するための前記少なくとも2つの電力段のうち1つ以上の電力段を動的に選択するためのコントローラと、
を備える電力変換装置。
【請求項2】
前記コントローラが、さらに、前記1つ以上の電力段を動作させるための複数のフライバックモードから一のフライバックモードを動的に選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラが、前記少なくとも2つの電力段への入力電圧に基づいて前記一のフライバックモードを選択する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のフライバックモードが、通常フライバックモードおよび擬似共振フライバックモードを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の電力段のそれぞれが遅延して動作する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記遅延がAC電力サイクルの1/Nであり、Nが前記1つ以上の電力段における電力段の数である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの電力段に結合される、前記第2のDC電力をAC電力に変換するための出力回路をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの電力段に結合され、前記DC入力電力を供給するための光起電性(PV)モジュールをさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
第1のDC電力を受け取るステップと、
電力変換回路の少なくとも2つの電力段から1つ以上の電力段を電力変換中に前記第1のDC電力に基づいて動的に選択するステップであって、前記少なくとも2つの電力段のそれぞれはDC入力電力をDC出力電力に変換することができるステップと、
前記1つ以上の電力段を介して、前記第1のDC電力を第2のDC電力に変換するステップと、
を備える電力変換方法。
【請求項10】
前記1つ以上の電力段を動作させるための複数のフライバックモードから一のフライバックモードを動的に選択するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記一のフライバックモードの選択が、前記少なくとも2つの電力段への入力電圧に基づくものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のフライバックモードが、通常フライバックモード及び擬似共振フライバックモードを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のDC電力を変換するステップが、前記1つ以上の電力段を遅延して動作させるステップを備える、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記遅延がAC電力サイクルの1/Nであり、前記Nが前記1つ以上の電力段における電力段の数である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のDC電力をAC電力に変換するステップをさらに備える、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−235688(P2012−235688A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−151631(P2012−151631)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【分割の表示】特願2007−77602(P2007−77602)の分割
【原出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(507094706)エンフェイズ エナジー インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】