説明

直線変位検出器

【課題】広い範囲のアブゾリュート位置検出を1本ロッド構造で実現する。
【解決手段】1本のロッド(11r)と、ロッド(11r)が挿入されうるスリーブ(21)と、ロッド(11r)との間にスリーブ(21)が入りうる空隙を空けてロッド(11r)を覆うように設置されたシース(11s)とを具備し、ロッド(11r)には多数の第1検出部材(1)が第1ピッチP1で配置され、シース(11s)には多数の第2検出部材(2)が第2ピッチP2で配置され、スリーブ(21)には第1検出部材(1)を検知するための第1コイル群(30)および第2検出部材(2)を検知するための第2コイル群(40)が設置されている。
【効果】アブゾリュート位置検出の範囲をピッチP1,P2よりも広くすることが出来る。1本のロッドなので製造・保守が容易な機械的構造になる。サイズの大型化を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線変位検出器に関し、さらに詳しくは、広い範囲のアブゾリュート位置検出を1本ロッド構造で実現した直線変位検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アブゾリュート位置検出を1本ロッド構造で実現した直線変位検出器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、192mmまでの範囲のアブソリュート位置検出を1本ロッド構造で実現した直線変位検出器が市販されている(例えば、非特許文献1参照。)。
他方、2048mmまでの広い範囲のアブソリュート位置検出を2本ロッド構造で実現した直線変位検出器も市販されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−264758号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】エヌエスディ株式会社,アブソコーダ検出器,直線型アブソコーダ,A.フルアブソリュート1ロッド(1ピッチ1ロッド)タイプ,インターネット<URL:http://www.nsdcorp.co.jp/contents/jp/products/3131.htm>
【非特許文献2】エヌエスディ株式会社,アブソコーダ検出器,直線型アブソコーダ,C.フルアブソリュート2ロッド(多ピッチ2ロッド)タイプ,インターネット<URL:http://www.nsdcorp.co.jp/contents/jp/products/3131.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
市販されている1本ロッド構造の直線変位検出器では、非磁性体製のロッドの長手方向に多数の磁性体片をピッチPで並べると共に、ロッドが挿入されるスリーブ側に、第1の一次コイル・二次コイル対を設置し、さらに第1の一次コイル・二次コイル対から、P/2の間隔で第2の一次コイル・二次コイル対を設置し、7P/4の間隔で第3の一次コイル・二次コイル対を設置し、9P/4の間隔で第4の一次コイル・二次コイル対を設置し、二次コイルの信号を加減算した出力信号の位相からアブゾリュート位置を検出している。このような1本ロッド構造では、ピッチPだけ変位した位置では同じ出力信号になる。従って、アブゾリュート位置の検出範囲は、ピッチPに等しくなる。
他方、市販されている2本ロッド構造の直線変位検出器では、ピッチPの1本ロッド構造の直線変位検出器とピッチn・P/(n−1)の1本ロッド構造の直線変位検出器とを並設し、一方の出力信号と他方の出力信号の位相差からアブゾリュート位置を検出している。このような2本ロッド構造では、アブゾリュート位置検出の範囲はピッチPのn倍に広くなる。
しかし、2本のロッドを同時に誤差無く直線移動させる機械的構造は、製造・保守が難しい問題点がある。また、サイズが大型化する問題点がある。
そこで、本発明の目的は、広い範囲のアブゾリュート位置検出を1本ロッド構造で実現した直線変位検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点では、本発明は、1本のロッドと、前記ロッドが挿入されうる筒状のスリーブと、前記ロッドとの間に前記スリーブが入りうる空隙を空けて前記ロッドを覆うように設置された筒状のシースとを具備し、前記ロッドには多数の第1検出部材を長手方向にピッチP1で配置し、前記シースには多数の第2検出部材を長手方向に前記ピッチP1とは異なるピッチP2で配置し、前記スリーブには前記第1検出部材を検知するための第1コイル群および前記第2検出部材を検知するための第2コイル群を設置したことを特徴とする直線変位検出器(101,102)を提供する。
上記第1による直線変位検出器(101,102)では、第1コイル群からの出力信号と第2コイル群からの出力信号の位相差からアブゾリュート位置を検出することにより、アブゾリュート位置検出の範囲をピッチP1,P2よりも広くすることが出来る。また、1本のロッドなので、製造・保守が容易な機械的構造になる。また、サイズの大型化を抑制することが出来る。さらに、第1検出部材と第2検出部材とがロッドとシースとに空間的に離れて存在するため、第1コイル群と第2コイル群の干渉を容易に抑制できる。
【0007】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による直線変位検出器(101,102)において、前記第1コイル群の外側を通る磁束の通路になると共に前記第1コイル群と前記第2検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材と、前記第2コイル群の内側を通る磁束の通路になると共に前記第2コイル群と前記第1検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材とを具備したことを特徴とする直線変位検出器(101,102)を提供する。
上記第2による直線変位検出器(101,102)では、第1コイル群の磁束が第2検出部材に作用したり、第2コイル群の磁束が第1検出部材に作用することを磁気遮蔽材により抑制することが出来る。
【0008】
第3の観点では、本発明は、1本のロッドと、前記ロッドが挿入されうる筒状のスリーブとを具備し、前記ロッドの表面または浅部には多数の第1検出部材を長手方向にピッチP1で配置し且つ前記ロッドの深部には多数の第2検出部材を長手方向に前記ピッチP1とは異なるピッチP2で配置し、前記スリーブには前記第1検出部材を検知するための第1コイル群および前記第2検出部材を検知するための第2コイル群を設置したことを特徴とする直線変位検出器(103,104)を提供する。
上記第3による直線変位検出器(103,104)では、第1コイル群からの出力信号と第1コイル群からの出力信号の位相差からアブゾリュート位置を検出することにより、アブゾリュート位置検出の範囲をピッチP1,P2よりも広くすることが出来る。また、1本のロッドなので、製造・保守が容易な機械的構造になる。また、サイズの大型化を抑制することが出来る。さらに、第1検出部材と第2検出部材の両方がロッドに存在するため、構造を簡単化できる。
【0009】
第4の観点では、本発明は、1本のロッドと、前記ロッドが挿入されうる筒状のスリーブと、前記ロッドとの間に前記スリーブが入りうる空隙を空けて前記ロッドを覆うように設置された筒状のシースとを具備し、前記ロッドの表面または浅部には多数の第1検出部材を長手方向にピッチP1で配置し且つ前記ロッドの深部には多数の第3検出部材を長手方向に前記ピッチP1とは異なるピッチP3で配置し、前記シースには多数の第2検出部材を長手方向に前記ピッチP1およびP3とは異なるピッチP2で配置し、前記スリーブには前記第1検出部材を検知するための第1コイル群および前記第2検出部材および前記第3検出部材を検知するための第3コイル群を設置したことを特徴とする直線変位検出器(105)を提供する。
上記第4による直線変位検出器(105)では、第1コイル群からの出力信号と第2コイル群からの出力信号と第3コイル群からの出力信号の位相差からアブゾリュート位置を検出することにより、アブゾリュート位置検出の範囲をピッチP1,P2,P3よりも広くすることが出来る。また、1本のロッドなので、製造・保守が容易な機械的構造になる。また、サイズの大型化を抑制することが出来る。
【0010】
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点による直線変位検出器(105)において、前記第1コイル群の外側を通る磁束の通路になると共に前記第1コイル群と前記第2検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材と、前記第2コイル群の内側を通る磁束の通路になると共に前記第2コイル群と前記第1検出部材および前記第3検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材と、前記第3コイル群の外側を通る磁束の通路になると共に前記第3コイル群と前記第2検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材とを具備したことを特徴とする直線変位検出器(105)を提供する。
上記第5による直線変位検出器(105)では、第1コイル群の磁束が第2検出部材に作用したり、第2コイル群の磁束が第1検出部材や第3検出部材に作用したり、第3コイル群の磁束が第2検出部材に作用することを磁気遮蔽材により抑制することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の直線変位検出器によれば、広い範囲のアブゾリュート位置検出を1本ロッド構造で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係る直線変位検出器を示す断面図である。
【図2】実施例1に係る直線変位検出器の使用態様を示す模式図である。
【図3】実施例1に係る直線変位検出器の外観を模式的に示す斜視図である。
【図4】実施例2に係る直線変位検出器を示す断面図である。
【図5】実施例3に係る直線変位検出器を示す断面図である。
【図6】実施例4に係る直線変位検出器を示す断面図である。
【図7】実施例5に係る直線変位検出器を示す断面図である。
【図8】実施例5に係る直線変位検出器の使用態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0014】
−実施例1−
図1は、実施例1に係る直線変位検出器101を示す断面図である。
この直線変位検出器101は、円柱状の1本のロッド11rと、ロッド11rが挿入されうる円筒状のスリーブ21と、ロッド11rとの間にスリーブ21が入りうる空隙を空けてロッド11rを覆うように設置された円筒状のシース11sとを具備している。
ロッド11rとシース11sとは、一端部で一体化されている。
【0015】
ロッド11rには、リング状の多数の第1検出部材1が長手方向に第1ピッチP1で配置されている。
【0016】
シース11sには、リング状の多数の第2検出部材2が長手方向に第1ピッチP1とは異なる第2ピッチP2で配置されている。
【0017】
スリーブ21には、第1検出部材1を検知するための第1コイル群30および第2検出部材2を検知するための第2コイル群40が設置されている。
【0018】
磁気遮蔽材61は、第1コイル群30の外側を通る磁束の通路になると共に第1コイル群30と第2検出部材2の間を磁気的に遮蔽している。
磁気遮蔽材71は、第2コイル群40の内側を通る磁束の通路になると共に第2コイル群40と第1検出部材1の間を磁気的に遮蔽している。
連結部材81は、磁気遮蔽材61と磁気遮蔽材71とを連結している。
【0019】
第1コイル群30は、第1の一次コイルS1・二次コイル31対と、第1の一次コイルS1・二次コイル31対からP1/2の間隔に設置された第2の一次コイル−S1・二次コイル32対と、第2の一次コイル−S1・二次コイル32対から3・P1/4の間隔に設置された第3の一次コイルC1・二次コイル33対と、第3の一次コイルC1・二次コイル33対からP1/2の間隔で設置された第4の一次コイル−C1・二次コイル34対とからなっている。
【0020】
第2コイル群40は、第1の一次コイルS2・二次コイル41対と、第1の一次コイルS2・二次コイル41対からP2/2の間隔に設置された第2の一次コイル−S2・二次コイル42対と、第2の一次コイル−S2・二次コイル42対から3・P2/4の間隔に設置された第3の一次コイルC2・二次コイル43対と、第3の一次コイルC2・二次コイル43対からP2/2の間隔で設置された第4の一次コイル−C2・二次コイル44対とからなっている。
【0021】
ロッド11rおよびシース11sは、例えばステンレスのような非磁性体製である。
ロッド11rおよびシース11sの長さは、例えば2mである。
シース11sの外径は、例えば30mmである。
【0022】
スリーブ21は、例えばPPSのような耐熱樹脂製である。
【0023】
第1検出部材1および第2検出部材2は、例えば炭素鋼と銅の合金のような磁性材製である。
第1ピッチP1は、例えば15mmである。
第2ピッチP2は、例えば16mmである。
2/P1=n/(n−1)とするとき、n=16である。
【0024】
磁気遮蔽材61,71は、例えば炭素鋼と銅の合金のような磁性材製である。
連結部材81は、例えばPPSのような耐熱樹脂製である。
【0025】
図2は、直線変位検出器101の使用態様を示す模式図である。
第1コイル群30の一次コイルS1,−S1は周波数w1の正弦波で駆動され、一次コイルC1,−C1は周波数w1の余弦波で駆動される。また、第1コイル群30から、二次コイル31,32,33,34の各信号を加減算した出力信号E1が出力される。
第2コイル群40の一次コイルS2,−S2は周波数w2の正弦波で駆動され、一次コイルC2,−C2は周波数w2の余弦波で駆動される。また、第2コイル群40から、二次コイル41,42,43,44の各信号を加減算した出力信号E2が出力される。
演算処理部Qは、第1コイル群30からの出力信号E1と第2コイル群40からの出力信号E2の位相差を基にアブゾリュート位置検出を行い、変位xを出力する。
【0026】
周波数w1とw2は、同一周波数でもよいし、異なる周波数でもよい。例えばw1=5kHz;w2=5kHzとしてもよいし、w1=5kHz;w2=50kHzとしてもよい。
【0027】
図3の(a)は、ロッド11rとシース11sの間の空隙にスリーブ21を挿入した状態の外観である。
図3の(b)は、ロッド11rおよびシース11sの外観である。
図3の(c)は、スリーブ21の外観である。
【0028】
実施例1の直線変位検出器101によれば、アブゾリュート位置検出の範囲をピッチP1,P2よりも広くすることが出来る。また、1本のロッドなので、製造・保守が容易な機械的構造になる。また、サイズの大型化を抑制することが出来る。さらに、第1検出部材1と第2検出部材2とがロッド11rとシース11sとに空間的に離れて存在するため、2つのコイル群30,40の干渉を容易に抑制できる。また、第1コイル群30の磁束が第2検出部材2に作用したり、第2コイル群40の磁束が第1検出部材1に作用することを磁気遮蔽材61,71により抑制することが出来る。
【0029】
−実施例2−
図4は、実施例2に係る直線変位検出器102を示す断面図である。
この直線変位検出器102は、実施例1に係る直線変位検出器101と基本的に同じであるが、第1コイル群30と第2コイル群40の配置が異なっている。
すなわち、実施例1に係る直線変位検出器101では第1コイル群30と第2コイル群40を長手方向に並べていたが、実施例2に係る直線変位検出器102では第1コイル群30の外周に第2コイル群40を設置している。
【0030】
実施例2の直線変位検出器102によれば、実施例1と同様の効果が得られる。
【0031】
−実施例3−
図5は、実施例3に係る直線変位検出器103を示す断面図である。
この直線変位検出器103は、円柱状の1本のロッド11rと、ロッド11rが挿入されうる円筒状のスリーブ21とを具備している。
【0032】
ロッド11rの浅部には、リング状の多数の第1検出部材1が長手方向に第1ピッチP1で配置されている。
ロッド11rの深部には、リング状の多数の第2検出部材2が長手方向に第1ピッチP1とは異なる第2ピッチP2で配置されている。
【0033】
スリーブ21には、第1検出部材1を検知するための第1コイル群30および第2検出部材2を検知するための第2コイル群40が設置されている。
【0034】
磁気遮蔽材61は、第1コイル群30の外側を通る磁束の通路になると共に第2コイル群40の磁束を遮蔽している。
磁気遮蔽材71は、第2コイル群40の外側を通る磁束の通路になると共に第1コイル群30の磁束を遮蔽している。
連結部材81は、磁気遮蔽材61と磁気遮蔽材71とを連結している。
【0035】
第1コイル群30の周波数w1は、浅部にある第1検出部材1を検知しやすいように例えば50kHzの比較的高い周波数とする。
第2コイル群40の周波数w2は、深部にある第2検出部材2を検知しやすいように例えば5kHzの比較的低い周波数とする。
【0036】
実施例3の直線変位検出器103によれば、アブゾリュート位置検出の範囲をピッチP1,P2よりも広くすることが出来る。また、1本のロッドなので、製造・保守が容易な機械的構造になる。また、サイズの大型化を抑制することが出来る。さらに、実施例1,2のようなシース11sが無いため、外径を細く出来ると共に構造を簡単化できる。
【0037】
−実施例4−
図6は、実施例4に係る直線変位検出器104を示す断面図である。
この直線変位検出器104は、実施例3に係る直線変位検出器103と基本的に同じであるが、第2検出部材2が異なっている。
すなわち、実施例3に係る直線変位検出器103ではリング状の第2検出部材2を配置していたが、実施例24係る直線変位検出器104ではロッド11rの中心軸上に円柱状の多数の第2検出部材2を第2ピッチP2で配置している。
【0038】
実施例4の直線変位検出器104によれば、実施例3と同様の効果が得られる。
【0039】
−実施例5−
図7は、実施例5に係る直線変位検出器105を示す断面図である。
この直線変位検出器105は、円柱状の1本のロッド11rと、ロッド11rが挿入されうる円筒状のスリーブ21と、ロッド11rとの間にスリーブ21が入りうる空隙を空けてロッド11rを覆うように設置された円筒状のシース11sとを具備している。
ロッド11rとシース11sとは、一端部で一体化されている。
【0040】
ロッド11rの浅部には、リング状の多数の第1検出部材1が長手方向に第1ピッチP1で配置されている。
ロッド11rの深部には、リング状の多数の第3検出部材3が長手方向に第1ピッチP1とは異なる第3ピッチP3で配置されている。
【0041】
シース11sには、リング状の多数の第2検出部材2が長手方向に第1ピッチP1や第3ピッチP3とは異なる第2ピッチP2で配置されている。
【0042】
スリーブ21には、第1検出部材1を検知するための第1コイル群30と、第2検出部材2を検知するための第2コイル群40と、第3検出部材3を検知するための第3コイル群50とが設置されている。
【0043】
磁気遮蔽材61は、第1コイル群30の外側を通る磁束の通路になると共に第1コイル群30と第2検出部材2の間を磁気的に遮蔽している。
磁気遮蔽材71は、第2コイル群40の内側を通る磁束の通路になると共に第2コイル群40と第1検出部材1および第3検出部材3の間を磁気的に遮蔽している。
連結部材81は、磁気遮蔽材61と磁気遮蔽材71とを連結している。
磁気遮蔽材91は、第3コイル群50の外側を通る磁束の通路になると共に第3コイル群50と第2検出部材2の間を磁気的に遮蔽している。
連結部材82は、磁気遮蔽材71と磁気遮蔽材91とを連結している。
【0044】
第1コイル群30は、第1の一次コイルS1・二次コイル31対と、第1の一次コイルS1・二次コイル31対からP1/2の間隔に設置された第2の一次コイル−S1・二次コイル32対と、第2の一次コイル−S1・二次コイル32対から3・P1/4の間隔に設置された第3の一次コイルC1・二次コイル33対と、第3の一次コイルC1・二次コイル33対からP1/2の間隔で設置された第4の一次コイル−C1・二次コイル34対とからなっている。
【0045】
第2コイル群40は、第1の一次コイルS2・二次コイル41対と、第1の一次コイルS2・二次コイル41対からP2/2の間隔に設置された第2の一次コイル−S2・二次コイル42対と、第2の一次コイル−S2・二次コイル42対から3・P2/4の間隔に設置された第3の一次コイルC2・二次コイル43対と、第3の一次コイルC2・二次コイル43対からP2/2の間隔で設置された第4の一次コイル−C2・二次コイル44対とからなっている。
【0046】
第3コイル群50は、第1の一次コイルS3・二次コイル51対と、第1の一次コイルS3・二次コイル51対からP3/2の間隔に設置された第2の一次コイル−S3・二次コイル52対と、第2の一次コイル−S3・二次コイル52対から3・P3/4の間隔に設置された第3の一次コイルC3・二次コイル53対と、第3の一次コイルC3・二次コイル53対からP3/2の間隔で設置された第4の一次コイル−C3・二次コイル54対とからなっている。
【0047】
ロッド11rおよびシース11sは、例えばステンレスのような非磁性体製である。
ロッド11rおよびシース11sの長さは、例えば10mである。
シース11sの外径は、例えば30mmである。
【0048】
スリーブ21は、例えばPPSのような耐熱樹脂製である。
【0049】
第1検出部材1,第2検出部材2および第3検出部材3は、例えば炭素鋼と銅の合金のような磁性材製である。
第1ピッチP1は、例えば15mmである。
第2ピッチP2は、例えば17mmである。
第3ピッチP3は、例えば16mmである。
【0050】
磁気遮蔽材61,71,91は、例えば炭素鋼と銅の合金のような磁性材製である。
連結部材81,82は、例えばPPSのような耐熱樹脂製である。
【0051】
図8は、直線変位検出器105の使用態様を示す模式図である。
第1コイル群30の一次コイルS1,−S1は周波数w1の正弦波で駆動され、一次コイルC1,−C1は周波数w1の余弦波で駆動される。また、第1コイル群30から、二次コイル31,32,33,34の各信号を加減算した出力信号E1が出力される。
第2コイル群40の一次コイルS2,−S2は周波数w2の正弦波で駆動され、一次コイルC2,−C2は周波数w2の余弦波で駆動される。また、第2コイル群40から、二次コイル41,42,43,44の各信号を加減算した出力信号E2が出力される。
第3コイル群50の一次コイルS3,−S3は周波数w3の正弦波で駆動され、一次コイルC3,−C3は周波数w3の余弦波で駆動される。また、第3コイル群50から、二次コイル51,52,53,54の各信号を加減算した出力信号E3が出力される。
演算処理部Qは、第1コイル群30からの出力信号E1と第2コイル群40からの出力信号E2と第3コイル群50からの出力信号E3の位相差を基にアブゾリュート位置検出を行い、変位xを出力する。
【0052】
第1コイル群30の周波数w1は、浅部にある第1検出部材1を検知しやすいように例えば50kHzの比較的高い周波数とする。
第3コイル群50の周波数w3は、深部にある第3検出部材3を検知しやすいように例えば5kHzの比較的低い周波数とする。
第2コイル群40の周波数w2は、周波数w1またはw3のいずれかと同一周波数でもよいし、両方と異なる周波数でもよい。例えばw1=50kHz;w2=50kHzとしてもよいし、w2=5kHz;w3=5kHzとしてもよいし、w1=50kHz;w2=10kHz;w3=50kHzとしてもよい。
【0053】
実施例5の直線変位検出器105によれば、アブゾリュート位置検出の範囲をピッチP1,P2,P3よりも広くすることが出来る。また、1本のロッドなので、製造・保守が容易な機械的構造になる。また、サイズの大型化を抑制することが出来る。さらに、第1コイル群30の磁束が第2検出部材2に作用したり、第2コイル群40の磁束が第1検出部材1や第3検出部材3に作用したり、第3コイル群50の磁束が第2検出部材2に作用することを磁気遮蔽材61,71,91により抑制することが出来る。
【0054】
−実施例6−
実施例1〜5では、検出部材1,2,3のピッチP1,P2,P3の1/2のピッチで一次コイル・二次コイルの対を並べる基本構成としたが、検出部材1,2,3のピッチP1,P2,P3の1/3のピッチで一次コイル・二次コイルの対を3個並べる基本構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の直線変位検出器は、例えば製鉄所で使用される空圧シリンダや油圧シリンダ等の位置検出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 第1検出部材
2 第2検出部材
3 第3検出部材
11r ロッド
21 スリーブ
11s シース
30 第1コイル群
40 第2コイル群
50 第3コイル群
61,71,91 磁気遮蔽材
101〜105 直線変位検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本のロッドと、前記ロッドが挿入されうる筒状のスリーブと、前記ロッドとの間に前記スリーブが入りうる空隙を空けて前記ロッドを覆うように設置された筒状のシースとを具備し、前記ロッドには多数の第1検出部材を長手方向にピッチP1で配置し、前記シースには多数の第2検出部材を長手方向に前記ピッチP1とは異なるピッチP2で配置し、前記スリーブには前記第1検出部材を検知するための第1コイル群および前記第2検出部材を検知するための第2コイル群を設置したことを特徴とする直線変位検出器(101,102)。
【請求項2】
請求項1に記載の直線変位検出器(101,102)において、前記第1コイル群の外側を通る磁束の通路になると共に前記第1コイル群と前記第2検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材と、前記第2コイル群の内側を通る磁束の通路になると共に前記第2コイル群と前記第1検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材とを具備したことを特徴とする直線変位検出器(101,102)。
【請求項3】
1本のロッドと、前記ロッドが挿入されうる筒状のスリーブとを具備し、前記ロッドの表面または浅部には多数の第1検出部材を長手方向にピッチP1で配置し且つ前記ロッドの深部には多数の第2検出部材を長手方向に前記ピッチP1とは異なるピッチP2で配置し、前記スリーブには前記第1検出部材を検知するための第1コイル群および前記第2検出部材を検知するための第2コイル群を設置したことを特徴とする直線変位検出器(103,104)。
【請求項4】
1本のロッドと、前記ロッドが挿入されうる筒状のスリーブと、前記ロッドとの間に前記スリーブが入りうる空隙を空けて前記ロッドを覆うように設置された筒状のシースとを具備し、前記ロッドの表面または浅部には多数の第1検出部材を長手方向にピッチP1で配置し且つ前記ロッドの深部には多数の第3検出部材を長手方向に前記ピッチP1とは異なるピッチP3で配置し、前記シースには多数の第2検出部材を長手方向に前記ピッチP1およびP3とは異なるピッチP2で配置し、前記スリーブには前記第1検出部材を検知するための第1コイル群および前記第2検出部材および前記第3検出部材を検知するための第3コイル群を設置したことを特徴とする直線変位検出器(105)。
【請求項5】
請求項4に記載の直線変位検出器(105)において、前記第1コイル群の外側を通る磁束の通路になると共に前記第1コイル群と前記第2検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材と、前記第2コイル群の内側を通る磁束の通路になると共に前記第2コイル群と前記第1検出部材および前記第3検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材と、前記第3コイル群の外側を通る磁束の通路になると共に前記第3コイル群と前記第2検出部材の間を磁気的に遮蔽する磁気遮蔽材とを具備したことを特徴とする直線変位検出器(105)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−102701(P2011−102701A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256645(P2009−256645)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(595112258)株式会社リベックス (16)
【Fターム(参考)】