説明

相溶性ポリマーブレンドの単層を含む活性薬剤送達システム、医療用デバイス、及び方法

少なくとも2種の相溶性ポリマーを有する相溶性ポリマーブレンド層の中に2種以上の活性薬剤を含む活性薬剤送達システムであって;該活性薬剤のうちの少なくとも1種の送達が、主として透過制御下で起こり;そして更に、より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性が、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きい前記活性薬剤送達システム。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年8月13日に出願された米国仮出願第60/495,022号の利益を請求するものであり、また前記仮出願の内容は本明細書に完全に引用したものとする。
【0002】
発明の背景
医療用デバイス上のポリマーコーティングは、活性薬剤(例えば、治療薬)を対象に対して送達するための貯蔵容器として役立ち得る。多くの前記用途のために、ポリマーコーティングは、できる限り薄くなければならない。活性薬剤を送達するときに用いられるポリマー材料は、様々な三次元形状であることもできる。
【0003】
従来の活性薬剤送達システムは、クラッキング及びデバイス表面からの層間剥離による構造破損を含む限界に悩まされている。更に、前記システムは、使用できる活性薬剤、送達システム内に含ませることができる活性薬剤量、含まれた活性薬剤が送達システムから送達される速度範囲が制限される傾向がある。この制限は、しばしば、多くの従来のシステムが単一ポリマーを含むことに起因している。
【0004】
而して、特に複数種の活性薬剤が使用される場合、より大きな融通性と可変同調性を有する活性薬剤送達システムに対するニーズが絶えずある。
発明の概要
本発明は、活性薬剤の送達を制御する場合に一般的に良好な融通性と可変同調性を有する活性薬剤送達システムを提供する。典型的には、前記の利点は、2種以上の相溶性ポリマーの配合物を使用することによって得られる。これらの送達システムは、所望ならば、医療用デバイス中に、例えばステント、ステント移植皮弁、吻合コネクター中に組み込むことができる。
【0005】
本発明の活性薬剤送達システムは、典型的には、少なくとも2種の相溶性ポリマーと2種以上の活性薬剤との配合物を含み、そしてその場合、少なくとも1種のポリマー(好ましくは相溶性ポリマーのうちの1種)は、少なくとも1種の活性薬剤の送達が主として透過制御下で起こるように、少なくとも1種の活性薬剤の溶解度に一致させる。この文脈において、透過制御に関して「主として」とは、全ての活性薬剤の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、更に好ましくは少なくとも90%が透過制御によって送達されることを意味している。
【0006】
透過制御は、システムから活性薬剤を送達する場合に典型的に重要であって、該システムでは、ミクロンレベルで「限界」寸法を有する相溶性ポリマーブレンド中を活性薬剤が通過する(すなわち、拡散の正味の経路は、典型的には約1000マイクロメートル以下であるが、造形物に関しては約10,000ミクロン以下であることができる)。更に、活性薬剤の不均一な混和によって悪影響を受けない望ましい機械的性質を提供する、特定の活性薬剤のためのポリマーを選択することは、一般的に望ましい。
【0007】
第一の好ましい態様では、本発明は、少なくとも2種の相溶性ポリマーを含む相溶性ポリマーブレンドを含む層中に2種以上の活性薬剤を含む(目標拡散係数を有する)活性薬剤送達システムを提供する;その場合、活性薬剤のうちの少なくとも1種(好ましくは、全ての活性薬剤)の送達は、主として透過制御下で起こる;そして更に、その場合、より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性は、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きい。
【0008】
好ましい態様では、より速く放出されることになっていて且つより多くの量(すなわち、より多くの充填量)で存在することになっている活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、他の1種以上の活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて、小さい。
【0009】
一つの好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、親水性であって、親水性ポリマーと、37℃の水中で異なる膨潤性を有する第二のポリマーとを含み、そしてその場合、相溶性ポリマーブレンドの膨潤性によって、活性薬剤の送達が制御される。
【0010】
別の好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、ポリウレタンと第二ポリマーとを含む。好ましくは、第二ポリマーは、疎水性セルロースエステルではない。
更に別の好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、疎水性セルロース誘導体と、そしてポリビニルアルキレートのホモポリマー又はコポリマー、ポリビニルアルキルエーテルのホモポリマー又はコポリマー、ポリビニルアセタールのホモポリマー又はコポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリビニルのホモポリマー又はコポリマーとを含む。
【0011】
本発明の別の好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドンのコポリマーを含む。
更に別の好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)と第二ポリマーとを含む。好ましくは、第二ポリマーは、ポリ(エチレンビニルアセテート)ではない。
【0012】
本発明は、前記活性薬剤送達システムを含む医療用デバイス(例えばステント、ステント移植皮弁、吻合コネクター)も提供する。
また、本発明は、対象に対して2種以上の活性薬剤を送達する方法も提供する。一つの態様では、送達法は:上記のような活性薬剤送達システムを提供する工程、及び活性薬剤送達システムを対象の体液、器官又は組織と接触させる工程を含む。
【0013】
また、本発明は、相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法(x)を通過させて予め選択された溶解時間(t)にわたって2種以上の活性薬剤を送達するための活性薬剤送達システムを設計(及び作製)する方法も提供する。
【0014】
一つの態様では、本発明の方法は:約1200g/モル以下の分子量を有する2種以上の活性薬剤を提供する工程;少なくとも2種の相溶性ポリマーを選択して相溶性ポリマーブレンドを形成する工程、そして、その場合:より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性は、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きく;各活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下であり;少なくとも2種のポリマーのそれぞれの少なくとも1つの溶解度パラメータ間の差は、約5J1/2/cm3/2であり;より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、他の1種以上の活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて、小さく;少なくとも2種の相溶性ポリマーのそれぞれの少なくとも1つのTg間の差は、目標拡散係数を含むのに充分である;
少なくとも2種の相溶性ポリマーを組み合わせて相溶性ポリマーブレンドを形成する工程;及び相溶性ポリマーブレンドを活性薬剤と組み合わせて、相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法を通過して予め選択された溶解時間を有する活性薬剤送達システムを形成する工程を含み、その場合、活性薬剤の少なくとも1種の送達は主として透過制御下で起こる、を含む。
【0015】
別の態様では、本発明の方法は、次の工程:すなわち、約1200g/モルを超える分子量を有する2種以上の活性薬剤を提供する工程;少なくとも2種の相溶性ポリマーを選択して相溶性ポリマーブレンドを形成する工程:その場合:より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性は、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きく;各活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下であり;少なくとも2種の相溶性ポリマーのそれぞれの少なくとも1つの溶解度パラメータ間の差は、約5J1/2/cm3/2であり;より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、他の1種以上の活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて、小さく;そして、少なくとも2種の相溶性ポリマーの膨潤性の差は、目標拡散係数を含むのに充分である;
少なくとも2種の相溶性ポリマーを組み合わせて相溶性ポリマーブレンドを形成する工程;及び相溶性ポリマーブレンドを活性薬剤と組み合わせて、相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法によって予め選択された溶解時間を有する活性薬剤送達システムを形成する工程、その場合、活性薬剤のうちの少なくとも1種の送達は主として透過制御下で起こる、を含む。
【0016】
本明細書において、透過制御の文脈における「主として」とは、少なくとも1種の活性薬剤の総充填量の少なくとも50%(好ましくは少なくとも75%、更に好ましくは少なくとも90%)が、透過制御によって送達されることを意味している。好ましくは、全ての活性薬剤は、透過制御下で送達される。
【0017】
「透過性」とは、拡散係数x溶解度である。
「モル平均溶解度パラメータ」という用語は、互いに相溶性であって且つ相溶性ポリマーブレンドの連続部分を形成するブレンド成分の溶解度パラメータの平均を意味している。モル平均溶解度パラメータは、ポリマーブレンド中に混和される活性薬剤を有していないブレンドにおけるそれらのモル百分率によって計量される。
【0018】
上記本発明の概要は、本発明のそれぞれの開示される態様又は本発明のあらゆる実施態様を説明することを意図していない。以下、例示的態様を更に詳細に例証する。本出願の数箇所で、実施例のリストによってガイダンスを提供する。それらの実施例は、様々な組み合わせで用いることができる。各場合において、列挙されたリストは、代表的な群としてのみ役立つのであって、排他的なリストであると解釈すべきではない。
【0019】
図面を参照することによって本発明を更に説明する。図1は、実物大ではなく、単なる例示であって、本発明を限定することを意図していない。
例示的な態様の詳細な説明
本発明は、対象に対して送出するための2種以上の活性薬剤と、相溶性ポリマーブレンドとを単層で含む活性薬剤送達システムを提供する。送達システムは、ポリマーのうちの少なくとも2種が本明細書で規定されるように相溶性である限りにおいて、種々のポリマーを含むことができる。
【0020】
活性薬剤の少なくとも1種が主として透過制御下でポリマーブレンドから送達されるように、活性薬剤は、相溶性ポリマーブレンド内に混和される。好ましくは、全ての活性薬剤は、主として透過制御下で送達される。この文脈において、「主として」とは、少なくとも1種の活性薬剤(好ましくは、全ての活性薬剤)の総充填量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、更に好ましくは少なくとも90%が、透過制御によって送達されることを意味している。
【0021】
本発明の活性薬剤送達システムでは、活性薬剤は、相溶性ポリマーブレンド中へ溶解可能である。溶解は、相溶性ポリマーブレンド中を通過する活性薬剤の透過によって制御される。すなわち、活性薬剤は、透過制御下で、はじめに相溶性ポリマーブレンド中に溶解し、次いで相溶性ポリマーブレンド中に拡散する。
【0022】
活性薬剤が透過制御下で溶解されるとき、活性薬剤は、ポリマーブレンド中において少なくともいくらか溶解性であることを要する。分散は、活性薬剤の溶解中に多孔性チャネリングが殆ど又は全く起こらない限りにおいては許容可能であり、そして、分散領域の大きさは、ブレンドの限界寸法に比べてはるかに小さく、また、物理的性質は、所望の機械的性能のために組成物全体にわたって一般的に均一である。
【0023】
活性薬剤が相溶性ポリマーブレンドの溶解度を上回っていて、且つ不溶性活性薬剤の量が浸透極限を上回っている場合、活性薬剤は、主として多孔性メカニズムによって溶解し得ると考えられる。更に、活性薬剤不溶性相(例えば、粒子又は粒子の凝集体)の最大寸法が、相溶性ポリマーブレンドの限界寸法とほぼ同じ大きさである場合、活性薬剤は、主として多孔性メカニズムによって溶解し得ると考えられる。多孔性制御による溶解は、効果的な予測性及び可制御性を提供しないので、典型的には望ましくない。
【0024】
本発明の活性薬剤送達システムは、好ましくはミクロンレベルの限界寸法を有するので、充分な量の活性薬剤を含むことは難しいことがあり、また、多孔性メカニズムによる送達を回避することが難しいことがある。
【0025】
而して、活性薬剤は、好ましくは、相溶性ポリマーブレンドの溶解限度と同じか又はそれを下回る。すなわち、各活性薬剤の溶解度パラメータと、相溶性ポリマーブレンドの少なくとも1種のポリマーの溶解度パラメータとを一致させて、多孔性メカニズムによって送達される傾向を低減しつつ、充填レベルを最大にする。理論に束縛されることは望まないが、このメカニズムの故に、本発明の活性薬剤送達システムは、有意なレベルの可変同調性を有すると考えられる。
【0026】
時間(t)に対する放出活性剤量の溶解プロフィールを検討することによって、透過制御された放出メカニズムが存在するか否かが決定できる。システムからの透過制御放出のために、溶解プロフィールはt1/2に正比例する。
【0027】
より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性が、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きくなるように、2種以上の活性薬剤を選択する。この文脈において、活性薬剤の「透過性」とは、その拡散係数とその溶解度の積である。
【0028】
好ましくは、より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている(すなわち、より多くの充填量)活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差が、他の1種以上の活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて小さくなるように、2種以上の活性薬剤を選択する。
【0029】
相溶性ポリマーブレンドは、例えば不相溶性混合物又は単一ポリマーを含む従来のシステムに比べてより広範な活性薬剤に関してより大きな融通性と可変同調性を提供できるので、有利である。すなわち、2種以上のポリマー(それらの少なくとも2種のポリマーは相溶性である)を使用すると、一般的に、前記ポリマーのうちの1つのみを有する送達システムに比べて、より融通性のある活性薬剤送達システムを提供できる。より広範なタイプの活性薬剤が典型的に使用できる。より広範な量の活性薬剤を、典型的に、本発明の送達システム中に混和でき、また、(好ましくは主として透過制御下で)前記システムから送達できる。本発明の送達システムによって、より広範な活性薬剤送達速度を典型的に提供できる。少なくとも部分的には、これは、少なくとも2種の相溶性ポリマーを含む相溶性ポリマーブレンドの使用によるものである。本明細書の説明は2種のポリマーに関するものであるが、少なくとも2種の相溶性ポリマーを含む相溶性ポリマーブレンドが形成される場合、本発明は、3種以上のポリマーを含むシステムを包含することを理解すべきである。
【0030】
本発明の相溶性ポリマーブレンドは、活性薬剤の放出速度を調整するのに役立つ連続部分を形成するのに充分な量の少なくとも2種の相溶性ポリマーを有する。前記の連続部分(すなわち、連続相)は、顕微鏡によって又は選択的なエッチングによって識別できる。
好ましくは、少なくとも2種の相溶性ポリマーは、相溶性ポリマーブレンドの少なくとも50容量パーセントを形成する。
【0031】
相溶性ポリマーブレンドは、分散された(すなわち、不連続な)不相溶性部分も任意に含むことができる。連続部分及び分散部分の両方が存在する場合、活性薬剤は、いずれの部分内にも混和し得る。好ましくは、活性薬剤は、連続部分に充填して、主として透過制御下で活性薬剤の送達を提供する。活性薬剤を充填するために、活性薬剤の溶解度パラメータと、活性薬剤の大部分が充填される相溶性ポリマーブレンド部分の溶解度パラメータとを一致させる(典型的には、約10J1/2/cm3/2以下、好ましくは約5Jl/2/cm3/2以下、更に好ましくは約3J1/2/cm3/2以下の範囲内に一致させる)。連続相は、活性薬剤がどの部分に充填されようとも、活性薬剤の放出を制御する。
【0032】
本明細書で使用される相溶性ポリマーブレンドは、2種以上のポリマーから成る多くの完全に相溶性のブレンド、ならびに2種以上のポリマーから成る部分的に相溶性のブレンドを包含する。完全に相溶性のポリマーブレンドは、全ての濃度範囲にわたって分子レベルで混合されているので、単一のガラス転移温度(Tg)を有し、好ましくはセグメント化ポリマーのための各相(典型的には硬質相及び軟質相)において単一のガラス転移温度を理想的に有する。部分的に相溶性のポリマーブレンドは、複数のTgを有している場合があり、そして、その複数のTgは、分子レベルでの混合が、全濃度範囲の一部分のみに限定されているので、セグメント化ポリマーのための硬質相及び軟質相の一方又は両方で認められる。これらの部分的に相溶性のブレンドは、ブレンド内の少なくとも2種のポリマーのそれぞれに関して、少なくとも1つのTgにおける差の絶対値(Tgポリマー1−Tgポリマー2)が配合の作用によって低下する限りは、用語「相溶性ポリマーブレンド」の範囲内に包含される。Tgは、温度の関数として、機械的性質、熱的特性、電気的特性などを測定することによって決定できる。
【0033】
相溶性ポリマーブレンドは、その光学的性質に基づいても決定できる。完全に相溶性のブレンドは、透明で、安定且つ均質な領域を形成するのに対して、不相溶性ブレンドは、成分が同じ屈折率を有していない場合、光を散乱し且つ視覚的に混濁したように見える不均一な領域を形成する。更に、不相溶性ブレンドの相分離構造は、顕微鏡検査によって直接観察できる。相溶性を検査するために本発明で使用される簡便な方法は、ポリマー(複数種)を混合し、そして、約10マイクロメートルから約50マイクロメートルの厚さの薄いフィルムを形成させることを含む。前記フィルムの明澄さと透明度が、配合前の単一のポリマーから成る同じ厚さの明澄さと透明度が最も低いフィルムと一般的に同程度である場合、ポリマーは完全に相溶性である。
【0034】
ポリマー間の相溶性は、それらの間の相互作用、それらの分子構造及び分子量に左右される。ポリマー間の相互作用は、いわゆるFlory−Hugginsパラメータ(χ)によって、その特徴を記述できる。χがゼロ(0)に近いか又は負であるとき、ポリマーは相溶性である可能性が非常に高い。理論的には、χはポリマーの溶解度パラメータから推定することができる。すなわち、χは溶解度パラメータの差の二乗に比例する。而して、ポリマーの混和性は、ほぼ予測できる。例えば、2種のポリマーの溶解度パラメータが近くなると、その2種のポリマーが相溶性である可能性がより高くなる。ポリマー間の相溶性は、それらの分子量が増加すると低減する傾向がある。
【0035】
而して、実験的な定量に加えて、ポリマー間の混和性は、単純にFlory−Huggins相互作用パラメータに基づいて又は更に単純に成分の溶解度パラメータに基づいて、予測できる。しかしながら、分子量効果を考えると、溶解度パラメータが近いことが、必ずしも混和性を保証するというわけではない。
【0036】
ポリマーの混合物は、相溶性であると本明細書で規定される定義のうちのただ1つを満たすことを要すると理解しなければならない。更に、ポリマーの混合物は、活性薬剤を混和することによって相溶性ブレンドになり得る。
【0037】
本発明の特定の態様は、セグメント化ポリマーを含む。本明細書で使用される「セグメント化ポリマー」は、多数のブロックから成っており、そしてそのそれぞれは、主にそれ自体から構成される相に分離できる。本明細書で使用されるポリマーの「硬質」セグメント又は「硬質」相とは、使用温度で結晶質であるか又は使用温度を超えるガラス転移温度を有する非晶質(すなわち、ガラス状)であり、また、ポリマーの「軟質」セグメント又は「軟質」相とは、使用温度を下回るガラス転移温度を有する非晶質(すなわち、ゴム状)である。本明細書において、「セグメント」とは薬剤製剤(chemical formulation)を指し、また「相」とは形態を指しており、そして相は、主として対応セグメントを含むが(例えば、硬質セグメントは硬質相を形成する)、他のセグメントのうちのいくつかを含むことができる(例えば、硬質相中の軟質セグメント)。
【0038】
本明細書で使用しているように、ブレンドの「硬質」相は、主としてセグメント化ポリマーの硬質セグメントを含み、また、任意に、その中にブレンドされた第二ポリマーの少なくとも一部を含む。同様に、ブレンドの「軟質」相は、主としてセグメント化ポリマーの軟質セグメントを含み、また、任意に、その中にブレンドされた第二ポリマーの少なくとも一部を含む。好ましくは、本発明のポリマーの相溶性ブレンドは、セグメント化ポリマーの軟質セグメントのブレンドを含む。
【0039】
セグメント化ポリマーの溶解度パラメータに言及する場合「セグメント」が用いられ、セグメント化ポリマーのTgに言及する場合には「相」が用いられる。而して、典型的にはセグメント化ポリマーについての計算値である溶解度パラメータは、各ポリマー分子の硬質セグメント及び/又は軟質セグメントに関するものであり、一方、典型的には測定される値であるTgは、バルクポリマーの硬質相及び/又は軟質相に関するものである。
【0040】
ポリマー及び活性薬剤のタイプ及び量は、典型的には、相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法によって予め選択された溶解時間を有するシステムを形成するように、選択される。活性薬剤が相溶性ポリマーブレンドに混和されるか否かに関係なく、当業者は、活性薬剤送達システムにおける成分の適当な組み合わせを選択する場合に、ポリマーのガラス転移温度、膨潤性及び溶解度パラメータを指針として用いることができる。
溶解度パラメータは、ポリマーの混和性を決定し、また、相溶性ポリマーブレンドの溶解度に活性薬剤のそれを一致させるのに一般的に有用である。ガラス転移温度及び/又は膨潤性は、活性薬剤の溶解時間(又は溶解速度)を調整するのに一般的に有用である。これらの概念を、以下で更に詳細に説明する。
【0041】
典型的には、本発明の活性薬剤送達システム内の活性薬剤の量は、送達しようとする量及びそれを送達しようとする時間で決められる。例えば、支持体上に均質なフィルムを形成する組成物の能力を含む他のファクターも、存在する活性薬剤のレベルに関与する。
【0042】
好ましくは、各活性薬剤は、相溶性ポリマーブレンド内に、相溶性ポリマーブレンドと活性薬剤との総重量を基準として、少なくとも約0.1重量%(wt%)、更に好ましくは少なくとも約1重量%、そしてより更に好ましくは少なくとも約5wt%の量で存在する(すなわち、相溶性ポリマーブレンド内に混和される)。好ましくは、各活性薬剤は、相溶性ポリマーブレンドと活性薬剤との総重量を基準として、約80wt%以下、更に好ましくは約50wt%以下、そして最も好ましくは約30wt%以下の量で相溶性ポリマーブレンド内に存在する。典型的には及び好ましくは、各活性薬剤の量は、相溶性ポリマーブレンドにおけるその溶解限界か又はそれを下回っている。
【0043】
本発明の活性薬剤送達システムは、支持体上コーティング(例えば、連続気泡フォーム又は独立気泡フォーム、織布材又は不織布材)、デバイス(例えば、ステント、ステント移植皮弁、カテーテル、シャント、バルーンなど)、フィルム(例えばパッチにおけるように独立していることができる)、造形物(例えば、マイクロスフェア、ビーズ、ロッド、ファイバー又は他の造形物)、創傷パッキング材などの形態であることができる。
【0044】
本明細書で使用される「活性薬剤」とは、対象(例えば、動物)において局所的又は全身性の作用を生起するものである。典型的には、活性薬剤は、薬理学的に活性な物質である。前記用語は、診断、治療、緩和、処置もしくは疾患の予防において、又は対象における望ましい身体的もしくは精神的な発達及び状態の改善において使用することが意図される任意の物質を包含するために用いられる。本明細書で使用される「対象」という用語は、人間、ヒツジ、ウマ、牛、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミ、マウス、鳥類、爬虫類、魚類、昆虫、クモ形類動物、原生生物(例えば原虫類)、及び原核生物のバクテリアを包含するために使用される。好ましくは、対象は、ヒト又は他の哺乳類である。
【0045】
活性薬剤は、合成又は天然であることができ、例えば、有機及び無機の化学薬剤、ポリペプチド(前記用語は、本明細書では、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、酵素、ホルモンなどを含む任意の長さのL−又はD−アミノ酸のポリマーを含むように使用される)、ポリヌクレオチド(前記用語は、本明細書では、オリゴヌクレオチド、一本鎖及び二本鎖のDNA、一本鎖及び二本鎖のRNA、DNA/RNAキメラなどを含む任意の長さの核酸のポリマーを含むように使用される)、糖類(例えば単糖類、二糖類、多糖類及びムコ多糖類)、ビタミン、ウィルス剤、及び他の生体構成物質、放射性核種などが挙げられるが、それらに限定されない。実例としては、抗血栓剤及び抗血液凝固剤例えばヘパリン、クマジン、プロタミン、及びヒルジン;抗菌剤、例えば抗生物質;抗腫瘍剤及び増殖抑制剤、例えばエトポシド、ポドフィロトキシン;アスピリン及びジピリダモールを含む抗血小板剤;抗有糸分裂剤(細胞傷害剤)及び代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート、コルヒチン、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン及びムタマイシン核酸);抗糖尿病剤、例えばロシグリタゾンマレエート;及び抗炎症剤が挙げられる。本発明で使用される抗炎症剤としては、糖質コルチコイド、それらの塩、及びそれらの誘導体、例えばコルチゾル、コルチゾン、フルドロコルチゾン、Prednisone、Prednisolone、6a−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタソン、アクロメタゾン(aclomethasone)、アムシノニド、クレベタゾール(clebethasol)及びクロコルトロン(clocortolone)が挙げられる。好ましくは、活性薬剤はヘパリンでない。
【0046】
特定の好ましいシステムは、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナル(diclofenal)、エトドラク、メクロフェネート(meclofenate)、メフェナム酸、ナブネトン(nambunetone)、ピロキシカム、フェニルグタゾン(phenylgutazone)、メロキシカム(meloxicam)、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ジプロピオネート、ジフロルサゾンジアセタート(diflorsasone diacetate)、クロベタゾールプロピオネート(clobetasol propionate)、ガロベタゾールプロピオネート(galobetasol propionate)、アムシノミド(amcinomide)、ベクロメタソンジプロピオネート、フルオシノミド(fluocinomide)、ベタメタゾンバレレート、トリアムシノロンアセトニド、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、アザチオプリン、ミノサイクリン、シクロホスファミド、メトトレキセート、サイクロスポリン、レフルノミド、エタナーセプト、インフリキシマブ、アスコマイシン、β−エストラジオール、ロシグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、S−ニトロソグルタチオン、グリオトキシンG、パンオキシドン(panepoxydone)、シクロエポキシドンテポキサリン(cycloepoxydon tepoxalin)、クルクミン、プロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ、ジペプチドボロン酸、ラクタシスチン、ビスホスホネート、ゾレンドロネート(zolendronate)、及びエポキソミシン(epoxomicin))、アンチセンスc−myc、セロコキシブ(celocoxib)、バルデコキシブ、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される活性薬剤を含む。これらの活性薬剤は、放出速度が速い活性薬剤であるように典型的に選択される。典型的には、その活性薬剤は、まず最初に放出される第一活性薬剤でもあるが、これは必須要件ではない。本明細書では、この活性薬剤は、第一活性薬剤と呼ぶ。
【0047】
特定の好ましいシステムは、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、トランス−レチノイン酸、9−シスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、ラパマイシン、ラパログ(rapalog)(例えばEverolimus, ABT−578)、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、タクロミラス(tacromilus)、ミトラマイシン、ミトブロニトール、チオテパ、トレオスルファン(treosulfan)、エストラムスチング、クロルメチン、カルムスチン、ロムスチン、ブスルタン(busultan)、メファラン(mephalan)、クロラムブシル、イフォスファミド、環状リン酸アミド、ドキソルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、ダウノルビシン、ミトサンスロン(mitosanthrone)、ブレオマイシン、セペシタビン(epecitabine)、シタラビン、フルダラビン、クラドリビン、ゲムタビン(gemtabine)、5−フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン(tioguanine)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、アムサクリン、ベキサロテン、クリサンパスターゼ(crisantaspase)、デカルバシン(decarbasine)、ヒドロシカルバミド(hydrosycarbamide)、ペントスタチン、カルボプラチン、シスプラチン、オキシプラチン(oxiplatin)、プロカルバジン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンD、バキシリキシマブ(baxiliximab)、ダクリズマブ、インターフェロンα、インターフェロンβ、メイタンシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される活性薬剤を含む。これらの活性薬剤は、第一活性薬剤の速度に比べてより遅い速度で、且つ/又は、例えば、第一活性薬剤の放出開始後に、放出されるように典型的に選択される。一般的に、そのコンセプトは、少なくとも2種の活性薬剤を時間的な間隔をあけて放出するためである。
【0048】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はスルファサルジン(sulfasalzine)であり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0049】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はインドメタシンであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0050】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はアスコマイシンであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0051】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はレフルノミドであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0052】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はデキサメタゾンであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0053】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はピロキシカムであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0054】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はベクロメタゾンジプロピオネートであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0055】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はS−ニトロソグルタチオンであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0056】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はロシグリタゾンであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、トランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、エトポシド、ミコフェノール酸、ポドフィロトキシン、テニポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラニシン(mithranycin)、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0057】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はトログリタゾンであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、トランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、エトポシド、ミコフェノール酸、ポドフィロトキシン、テニポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラニシン(mithranycin)、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0058】
特定の好ましいシステムでは、1種の活性薬剤はピオグリタゾンであり、そして少なくとももう1種の活性薬剤は、トランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、エトポシド、ミコフェノール酸、ポドフィロトキシン、テニポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラニシン(mithranycin)、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0059】
本発明の好ましい活性薬剤送達システムのために、活性薬剤は、典型的には、ポリマーブレンドの相溶性部分の溶解度に一致させる。例えば、活性薬剤が親水性である本発明の態様のために、好ましくは、相溶性ポリマーブレンドの少なくとも1種の相溶性ポリマーは親水性である。活性薬剤が疎水性である本発明の態様のために、好ましくは、相溶性ポリマーブレンドの少なくとも1種の相溶性ポリマーは疎水性である。しかしながら、それは必ずしも必須ということではなく、低分子量の親水性活性薬剤のために送達システム中に親水性ポリマーを有することは望ましくない場合もある。なぜならば、水によってポリマーが膨潤し、また活性薬剤の制御送達が損失する可能性があるからである。
【0060】
本明細書で使用される場合、この文脈では(ブレンドのポリマーの文脈では)、「親水性」という用語は、体温(すなわち、約37℃)において水で膨潤すると、体積が10%超だけ又は体重が少なくとも10%だけ増加する材料を指している。本明細書で使用される場合、この文脈では(ブレンドのポリマーの文脈では)、「疎水性」という用語は、体温(すなわち、約37℃)において水で膨潤すると、体積が10%を超えて又は体重が10%を超えて増加しない材料を指している。
【0061】
本明細書で使用される場合、この文脈では(活性薬剤の文脈では)、「親水性」という用語は、1ミリリットルあたり200マイクログラムを超える水中溶解度を有する活性薬剤を指している。本明細書で使用される場合、この文脈では(活性薬剤の文脈では)、「疎水性」という用語は、1ミリリットルあたり200マイクログラム以下の水中溶解度を有する活性薬剤を指している。
【0062】
活性薬剤のサイズが充分に大きくなると、ポリマーによる拡散に影響が出る。而して、活性薬剤は分子量に基づいて分類することができ、また、ポリマーは、活性薬剤の分子量範囲にしたがって選択できる。
【0063】
本発明の特定の好ましい活性薬剤送達システムのために、活性薬剤は約1200g/モルを超える分子量を有する。本発明の特定の他の好ましい活性薬剤送達システムのために、活性薬剤は、1200g/モル以下(すなわち、未満又はそれに等しい)の分子量を有する。より更に好ましい態様のために、分子量約800g/モル以下の活性薬剤が望ましい。
【0064】
活性薬剤及び送達形式(例えば、時間/速度及び限界寸法)を選択したら、当業者は、本発明の教示を利用して、少なくとも2種のポリマーの適当な組み合わせを選択して活性薬剤送達システムを提供することができる。
【0065】
上記したように、ポリマー及び活性薬剤のタイプ及び量は、典型的には、相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法(x)によって予め選択された溶解時間(t)を有するシステムを形成するように、選択される。この選択は、所定の活性薬剤に関して限界寸法の二乗を時間で割った値(x/t)に正比例する目標拡散係数を提供する少なくとも2種のポリマーを選択することを含む。
【0066】
所望の活性薬剤、所望の溶解時間(又は溶解速度)及び所望の限界寸法を得るためにポリマーをより精密に選択する場合、所望の活性薬剤のためのポリマーを選択するときに考慮できるパラメータとしては、ポリマーのガラス転移温度、ポリマーの膨潤性、ポリマーの溶解度パラメータ及び活性薬剤の溶解度パラメータが挙げられる。活性薬剤が相溶性ポリマーブレンドに混和されるか否かに関係なく、当業者は、活性薬剤送達システムにおける成分の適当な組み合わせを選択する場合に、前記パラメータを指針として用いることができる。
【0067】
透過制御送達システムの融通性を向上させるために、例えば、好ましくは、以下の関係の少なくとも1つが当てはまるようにポリマーを選択する:(1)活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも1種のポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下(好ましくは、約5J1/2/cm3/2以下、及び更に好ましくは約3J1/2/cm3/2以下)である;(2)少なくとも2種のポリマーのそれぞれの少なくとも1つの溶解度パラメーター間の差は、約5J1/2/cm3/2以下(好ましくは、約3J1/2/cm3/2以下)である。より好ましくは、両方の関係が当てはまる場合である。最も好ましくは、両方の関係が、ブレンドの全てのポリマーに当てはまる場合である。
【0068】
典型的には、化合物は、ただ1つの溶解度を有するが、特定のポリマー、例えばセグメント化コポリマー及びブロックコポリマーは、2つ以上の溶解度パラメータを有することができる。溶解度パラメータは、測定することができるか又はD.W.van Krevelen,Properties of Polymers,3rd Edition,Elsevier,Amsterdamで開示されているHoy Method及びHoftyzer−van Krevelen Methodによって算出された値の平均を用いて計算できる。これらの値を計算するために、各化学薬品の体積が必要であり、そしてそれは前記の同じ文献で開示されているFedors Methodを用いて算出できる。
【0069】
溶解度パラメータは、コンピュータシミュレーションで、例えば分子動力学シミュレーション及びモンテカルロシミュレーションで算出することもできる。詳しくは、分子動力学シミュレーションは、カリフォルニア州サンディエゴにあるAccelrys Inc.のAccelrys Materials Studioで実施できる。コンピュータシュミレーションを使用してFlory−Hugginsパラメータを直接算出できる。
【0070】
様々なポリマー及び活性薬剤に関する溶解度パラメータの例を表1に示す。
【0071】
【表1−1】

【0072】
【表1−2】

【0073】
【表1−3】

【0074】
【表1−4】

【0075】
溶解度パラメータの引用元:
1.D.W.van Krevelen,Properties of Polymers,3rd ed.,Elsevier,1990.表7.5。引用元に2つの値が記載されている場合には、データは平均であった。
【0076】
2.Hoftyzer−Keveten(H−vK)法(化学製品の体積はFedors法に基づいて算出された)及びHoy法に基づいて算出された値の平均。全ての計算の詳細に関してはChapter 7,D.W.van Krevelen,Properties of Polymers,3rd ed.,Elsevier,1990を参照されたい。前記文献の表7.8はHoftyzer and van Kevelen法に関するものであり、表7.9と表7.10はHoy法に関するものであった。
【0077】
Tgの引用元(引用元に2つの値が記載されている場合、報告されている値は平均である):
1.表6.6,J.M.He,W.X.Chen,and X.X,Dong,Polymer Physics,revised version,FuDan University Press,ShangHai,China,2000。引用元に2つの値が記載されている場合には、データは平均であった。
【0078】
2.表6.4,D.W.van Krevelen,Properties of Polymers,3rd ed.,Elsevier,1990。引用元に2つの値が記載されている場合には、データは平均であった。
【0079】
活性薬剤が疎水性である送達システムのために、分子量のいかんにかかわらず、相溶性ポリマーブレンドのモル平均溶解度パラメータが28J1/2/cm3/2以下(好ましくは、25J1/2/cm3/2以下)であるように、ポリマーを典型的に選択する。本明細書では「モル平均溶解度パラメータ」とは、互いに相溶性であって且つ相溶性ポリマーブレンドの連続部分を形成するブレンド成分の溶解度パラメータの平均を意味している。それらは、ポリマーブレンド中に混和される活性薬剤を有していないブレンドにおけるそれらのモル百分率によって計量される。
【0080】
例えば、約1200g/モル以下の疎水性活性薬剤、例えばデキサメタゾン(原子団寄与法によると27J1/2/cm3/2の溶解度パラメータ又は分子動力学シミュレーションによると21J1/2/cm3/2の溶解度パラメータを有する)に関して、例示的なポリマーブレンドは、セルロースアセテートブチレート(CAB)及びポリビニルアセテート(PVAC)を含む。それらは、それぞれ22J1/2/cm3/2及び21J1/2/cm3/2の溶解度パラメータを有する。これらのポリマーの適当なブレンド(CAB 対PVACのモル比は1:1である)は、21.5J1/2/cm3/2のモル平均溶解度パラメータを有する。この値は、22*0.5+21*0.5 = 21.5(J1/2/cm3/2)と、本明細書に記載されているように算出された。CABの繰り返し単位の分子量は、アセチル基、ブチリル基及びOH基の総数が、繰り返し単位1つあたり3つでなければならないという事実に基づいて303g/モルであると推定される。PVACの繰り返し単位の分子量は86g/モルである。その場合、モル比1:1のブレンドのCBA対PVACの重量比は0.78/0.22である。
【0081】
活性薬剤が親水性である送達システムのために、分子量のいかんにかかわらず、相溶性ポリマーブレンドのモル平均溶解度パラメータが21J1/2/cm3/2超(好ましくは、25J1/2/cm3/2超)であるように、ポリマーを典型的に選択する。
【0082】
低分子量活性薬剤の透過制御溶解時間(速度)の可変同調性を向上させるために、好ましくは、複数種のポリマーのうちの少なくとも2種の少なくとも1つのTg間の差が、目標拡散係数を含む拡散係数の範囲に対応するように、ポリマーを選択できる。
【0083】
又は、高分子量活性薬剤の透過制御溶解時間(速度)の可変同調性を向上させるために、好ましくは、ブレンドの複数種のポリマーのうちの少なくとも2種の膨潤性の間の差が、目標拡散係数を含む拡散係数の範囲に対応するように、ポリマーを選択できる。目標拡散係数は、送達のために予め選択された時間(t)及びポリマー組成物の予め選択された限界寸法(x)によって決定され、そしてx/tに正比例する。
【0084】
目標拡散係数は、以下の方程式(例えば、Kinam Park edited, Controlled Drug Delivery:Challenges and Strategies,American Chemical Society,Washington,DC,1997を参照されたい):
【式1】
【0085】


【0086】
(式中、D=拡散係数;Mt=累積放出量; M∞=活性薬剤の総充填量;x=限界寸法(例えば、フィルムの厚さ);及びt=溶解時間)を使用する溶解分析によって容易に測定できる。この方程式は、活性薬剤の初期充填量の最大60重量%までの溶解で有効である。また、ブレンドサンプルはフィルムの形態であるべきである。
【0087】
一般的に、少なくとも1種のポリマーは、目標拡散係数に比べて高い活性薬剤拡散係数を有し、また、少なくとも1種のポリマーは、目標拡散係数に比べて低い活性薬剤拡散係数を有する。ポリマー系の拡散係数は、当業者に公知の溶解分析によって容易に測定できる。各ポリマーそれぞれからの活性薬剤の拡散係数は、溶解分析で測定できるが、ポリマーそれぞれの主相の相対的なTg又は膨潤性によって推定できる。
【0088】
拡散係数は、疎水性又は親水性のポリマーのガラス転移温度と関連付けることができ、ガラス転移温度を使用して、低分子量の活性薬剤(例えば、約1200g/モル以下の分子量を有する活性薬剤)のために送達システムを設計することができる。
【0089】
又は、拡散係数は、疎水性又は親水性のポリマーの膨潤性と関連付けることができ、膨潤性を使用して、高分子量のポリマー(例えば、約1200g/モル超の分子量を有するポリマー)のために送達システムを設計することができる。このことは、相溶性ブレンドの範囲を使用して、同様な溶解度を有する活性薬剤のために極めて異なる溶解速度を含むことができるので、有利である。
【0090】
ポリマーのガラス転移温度は、公知のパラメータであり、そしてそれは典型的には測定値である。表1に例示的な値が掲げてある。セグメント化ポリマー(例えば、セグメント化ポリウレタン)では、Tgは、バルクポリマーの特定相に関するものである。典型的には、低分子量の活性薬剤に関して、相溶性である比較的低い及び高いTgポリマーを選択することによって、システムの溶解動態を調整できる。それは、Tgと直接相関関係にある経路を通って低分子量薬剤(例えば、約1200g/モル以下)が拡散するからである(すなわち、ポリマーブレンドの自由体積は、温度がTgを超えると傾きが大きくなる温度の一次関数である)。
【0091】
好ましくは、少なくとも1つの比較的高いTgを有するポリマーを、少なくとも1つの比較的低いTgを有するポリマーと組み合わせる。
例えば、1200g/モル以下の分子量を有する活性薬剤のための相溶性ポリマーブレンドは、100〜120℃のTgを有するセルロースアセテートブチレート及び20〜30℃のTgを有するポリビニルアセテートを含む。1200g/モル以下の分子量を有する活性薬剤のための相溶性ポリマーブレンドの別の例は、Tg約10〜80℃の硬質相を有するポリウレタン及びTg約140℃のポリカーボネートを含む。前記の高い及び低いTgを有するポリマーを組み合わせることによって、活性薬剤送達システムにおける活性薬剤の溶解時間を望み通りに調整できる。
【0092】
水中におけるポリマーの膨潤性は、容易に決定できる。しかしながら、膨潤性は、水の混和から生じるのであって、温度の上昇から生じるのではないことを理解すべきである。典型的には、高分子量活性薬剤のために、相溶性である比較的低い及び高い膨潤性のポリマーを選択することによって、システムの溶解動態を調整できる。ポリマーブレンドから外へと拡散する比較的高分子量(例えば、約1200g/モル超)の活性薬剤のための自由体積を増加させるために水をポリマーブレンド中に拡散させる必要があるので、ポリマーの膨潤性を利用してこれらのシステムを設計する。
【0093】
好ましくは、比較的高い膨潤性を有するポリマーを、比較的低い膨潤性を有するポリマーと組み合わせる。例えば、1200g/モルを超える分子量を有する活性薬剤のための相溶性ポリマーブレンドは、100%超の膨潤性を有する(すなわち、水溶性である)ポリビニルピロリドン・ビニルアセテートコポリマー及び60%の膨潤性を有するポリ(エーテルウレタン)を含む。前記の高い及び低い膨潤性のポリマーを組み合わせることによって、活性薬剤の所望の溶解時間が得られるように、活性薬剤送達システムを調整できる。
【0094】
特定の活性薬剤のためにポリマーを組み合わせる場合に、相溶性ポリマーブレンドの膨潤性もファクターとして使用される。活性薬剤が1200g/モル超の分子量を有する送達システムのために、親水性か又は疎水性であるかどうかに関係なく、ブレンドの膨潤性が10体積%超であるように、ポリマーを選択する。ブレンドの膨潤性は、その中に混和された活性薬剤が存在していない状態で評価する。
【0095】
疎水性であり且つ約1200g/モル以下の分子量を有する活性薬剤の第一群の場合には、相溶性ポリマーブレンド用のポリマーは:ブレンドの相溶性ポリマーの平均モル溶解度パラメータが28J1/2/cm3/2以下(好ましくは、25J1/2/cm3/2以下)であるように;また、ブレンドの膨潤性が10体積%以下であるように選択される。
【0096】
約1200g/モル超の分子量を有する活性薬剤の第一群の場合には、相溶性ポリマーブレンド用のポリマーは:より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性が、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きいように;各活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種のポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下であるように;少なくとも2種のポリマーのそれぞれの少なくとも1つの溶解度パラメーター間の差が、約5J1/2/cm3/2であるように;より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種のポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差が、他の1種以上の活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、少なくとも2種のポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて、小さいように;そしてまた、少なくとも2種のポリマーの膨潤性の差が目標拡散係数を含むのに充分であるように選択される。
【0097】
約1200g/モル以下の分子量を有する活性薬剤の第ニ群の場合には、相溶性ポリマーブレンド用の少なくとも2種のポリマーは:より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性が、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きいように;各活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種のポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下であるように;少なくとも2種のポリマーのそれぞれの少なくとも1つの溶解度パラメーター間の差が、約5J1/2/cm3/2であるように;より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差が、他の1種以上の活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて、小さいように;そしてまた、少なくとも2種のポリマーのそれぞれの少なくとも1つのTg間の差が、目標拡散係数を含むのに充分であるように選択される。
【0098】
本発明の一つの好ましいシステムでは、相溶性ポリマーブレンドは、親水性であって、且つ、親水性ポリマーと、37℃の水中で異なる膨潤性を有する第二ポリマーとを含み、そしてその場合、相溶性ポリマーブレンドの膨潤性によって、活性薬剤の送達が制御される。親水性ポリマーは、好ましくは親水性ポリウレタンである。又は、親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホネート、多糖類、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される。第二ポリマーは、親水性(例えば、ポリエチレンオキシド単位の軟質セグメントを含む親水性ポリウレタン)又は疎水性であることができる。特に好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、ポリビニルピロリドン−コ−ビニルアセテートコポリマー及びポリ(エーテルウレタン)を含む。
【0099】
本発明の別の好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、ポリウレタン及び第二ポリマーを含み、そして、その第二ポリマーは、ポリウレタンの全てのTgに比べて等しいか又は高い少なくとも1つのTgを有する。適当な第二ポリマーとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリエポキシド、スチレン・アクリロニトリルコポリマー又はそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、第二ポリマーは、疎水性セルロースエステルでない。好ましくは、第二ポリマーは、ポリカーボネートである。好ましくは、活性薬剤はヘパリンでない。特定の態様のために、ポリウレタンは、一つの態様のため及び特定の他の態様のために約70D〜約80Dのショア押込硬度を有し、また、ポリウレタンは、別の態様のために約80D〜約90Dのショア押込硬度を有する。ポリウレタンは、ポリ(カーボネートウレタン)又はポリ(エーテルウレタン)であることができる。
【0100】
相溶性ポリマーブレンドがポリウレタンと第二ポリマー(第二ポリマーは、好ましくは、ポリウレタンの全てのTgに比べて等しいか又は高い少なくとも1つのTgを有する)とを含むシステムの特定の態様のために、各活性薬剤は溶解度パラメータを有し、ポリウレタンは軟質セグメント溶解度パラメータと硬質セグメント溶解度パラメータとを有し、そして第二ポリマーは少なくとも1つの溶解度パラメータを有する。更に、以下の関係の少なくとも1つが、当てはまる:すなわち、各活性薬剤の溶解度パラメータと、ポリウレタン硬質セグメントの溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である;各活性薬剤の溶解度パラメータと、ポリウレタン軟質セグメントの溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である;また、各活性薬剤の溶解度パラメータと、第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である。
【0101】
相溶性ポリマーブレンドがポリウレタンと第二ポリマー(第二ポリマーは、好ましくは、ポリウレタンの全てのTgに比べて等しいか又は高い少なくとも1つのTgを有する)とを含むシステムの特定の態様のために、ポリウレタンは軟質セグメント溶解度パラメータと硬質セグメント溶解度パラメータとを有し、そして第二ポリマーは少なくとも1つの溶解度パラメータを有する。更に、次の関係のうちの少なくとも1つが当てはまる:すなわち、ポリウレタン硬質セグメントの溶解度パラメータと、第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約5J1/2/cm3/2以下である;また、ポリウレタン軟質セグメントの溶解度パラメータと、第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約5J1/2/cm3/2以下である。
【0102】
本発明の別の好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、疎水性セルロース誘導体と、そしてポリビニルアルキレートのホモポリマー又はコポリマー、ポリビニルアルキルエーテルのホモポリマー又はコポリマー、ポリビニルアセタールのホモポリマー又はコポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリビニルのホモポリマー又はコポリマーとを含む。好ましくは、ポリビニルのホモポリマー又はコポリマーは、ポリビニルアルキレートのホモポリマー又はコポリマー(例えばポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネートもしくはポリビニルブチレートのホモポリマー又はコポリマー)、及び更に好ましくは、ポリビニルアセテートのホモポリマー又はコポリマーである。適当な疎水性セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチラート、セルロースニトレート、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
相溶性ポリマーブレンドが疎水性セルロース誘導体と、ポリビニルのホモポリマー及びコポリマーとを含む特定の態様のために、活性薬剤、疎水性セルロース誘導体、及びポリビニルのホモポリマー又はコポリマーのそれぞれは、溶解度パラメータを有しており;そして、以下の関係の少なくとも1つが当てはまる:すなわち、各活性薬剤の溶解度パラメータと、疎水性セルロース誘導体の溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下である;また、各活性薬剤の溶解度パラメータと、ポリビニルのホモポリマー又はコポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下である。好ましくは、各活性薬剤は、セルロースアセテートブチレート及びポリビニルアセテートのそれぞれの溶解度パラメータである少なくとも約10J1/2/cm3/2以内の溶解度パラメータを有する。
【0104】
相溶性ポリマーブレンドが疎水性セルロース誘導体と、ポリビニルのホモポリマー及びコポリマーとを含む特定の態様のために、疎水性セルロース誘導体及びポリビニルのホモポリマー又はコポリマーのそれぞれは、溶解度パラメータを有しており;そして、
疎水性セルロース誘導体の溶解度パラメータと、ポリビニルのホモポリマー又はコポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差は、約5J1/2/cm3/2以下である。
【0105】
本発明の別の好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)と、好ましくはポリ(エチレンビニルアセテート)でない第二ポリマーとを含む。好ましくは、活性薬剤、ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)及び第二ポリマーのそれぞれは、溶解度パラメータを有していて;そして、次の関係の少なくとも1つが当てはまる:すなわち、各活性薬剤の溶解度パラメータと、ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)の溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下である;また、各活性薬剤の溶解度パラメータと、第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下である。好ましくは、ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)及び第二ポリマーのそれぞれは、溶解度パラメータを有していて;そして、ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)の溶解度パラメータと、第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差は、約5J1/2/cm3/2以下である。第二ポリマーは、ポリビニルアルキレートのホモポリマーもしくはコポリマー、ポリアルキル及び/もしくはアリールメタクリレートもしくはアクリレートもしくはコポリマー、又はポリビニルアセタールもしくはコポリマーであることができる。
【0106】
本発明の別の好ましい態様では、相溶性ポリマーブレンドは、(メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドン)のコポリマーと、第二ポリマーとを含み、該第二ポリマーは、好ましくは、第一コポリマーとは異なるメタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドンの組成を有する(メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドン)の別のコポリマーである。好ましくは、活性薬剤のそれぞれ、メタクリレートとビニルアセテートとビニルピロリドンとから成る第一コポリマー及び第二コポリマーのそれぞれは、溶解度パラメータを有していて;そして、次の関係のうちの少なくとも1つが当てはまる:すなわち、各活性薬剤の溶解度パラメータと、(メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドン)の第一コポリマーの溶解度パラメータとの差は約10J1/2/cm3/2以下である;また、各活性薬剤の溶解度パラメータと、(メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドン)の第二コポリマーの溶解度パラメータとの差は約10J1/2/cm3/2以下である。好ましくは、(メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドン)の第一コポリマー及び(メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドン)の第二コポリマーのそれぞれは、溶解度パラメータを有していて;そして、(メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドン)の第一コポリマーの溶解度パラメータと、(メタクリレート、ビニルアセテート及びビニルピロリドン)の第二コポリマーの溶解度パラメータとの差は、約5J1/2/cm3/2以下である。
【0107】
相溶性ポリマーブレンド中のポリマーは、架橋又は非架橋であることができる。同様に、ブレンドされたポリマーは、架橋又は非架橋であることができる。前記の架橋は、標準的な技術を使用するブレンド後に当業者によって実行できる。
【0108】
本発明の活性薬剤システムでは、活性薬剤は、「限界」寸法を有する相溶性ポリマーブレンド中を通過する。この限界寸法は、活性薬剤の正味の拡散経路に沿って存在し、また、好ましくは約1000マイクロメートル(すなわち、ミクロン)以下であるが、造形物のためには、最大で約10,000ミクロンまでであることができる。
【0109】
相溶性ポリマーブレンドが、コーティング又は独立したフィルム(本明細書では双方とも一般的に「フィルム」と呼ぶ)を形成する態様のためには、限界寸法は、フィルムの厚さであって、好ましくは約1000ミクロン以下であり、更に好ましくは約500ミクロン以下であり、最も好ましくは約100ミクロン以下である。フィルムは、ほぼ所望の厚さ(例えば、1ナノメートル)であることができるが、好ましくは約10ナノメートル以下であり、更に好ましくは約100ナノメートル以下である。一般的に、最も薄いフィルムの厚さは、活性薬剤の所要の投与量を保持するのに必要とされる体積によって決定され、また、典型的には、材料を形成するために使用される方法によってのみ制限される。本明細書の全ての態様において、フィルムの厚さは、一定又は均一である必要はない。更に、フィルムの厚さによって活性剤が放出される時間を調整できる。
【0110】
相溶性ポリマーブレンドが造形物(例えばマイクロスフェア、ビーズ、ロッド、ファイバー又は他の造形物)を形成する態様のために、、造形物の限界寸法(例えばマイクロスフェア又はロッドの直径)は、好ましくは約10,000ミクロン以下、更に好ましくは約1000ミクロン以下、より更に好ましくは約500ミクロン以下、最も好ましくは約100ミクロン以下である。造形物は、ほぼ望み通りの小ささ(例えば、限界寸法に関しては10ナノメートル)であることができる。好ましくは、限界寸法は、約100ミクロン以上、更に好ましくは約500ナノメートル以上である。
【0111】
一つの態様では、本発明は、相溶性ポリマーブレンドを含むポリマートップコート層で、好ましくはポリマーアンダーコート(プライマー)層でオーバーレイされた支持体表面を特徴とする医療用デバイスを提供する。デバイスが使用中のとき、相溶性ポリマーブレンドは、対象の体液、器官又は組織と接触している。
【0112】
本発明は医療用デバイスの性質によって限定されない;むしろ、いかなる医療用デバイスも、相溶性ポリマーブレンドを含むポリマーコーティングを含むことができる。このように、本明細書で使用される「医療用デバイス」という用語は、それらの使用及び操作の通常の過程で、身体組織、器官又は体液、例えば血液と接触できる表面を有する任意のデバイスを一般的に指している。医療用デバイスの例としては、ステント、ステント移植皮弁、吻合コネクター、リード、針、ガイドワイヤ、カテーテル、センサー、手術器具、血管形成バルーン、創傷ドレーン、シャント、管類、尿道挿入物(urethra insert)、ペレット、インプラント、ポンプ、血管グラフト、弁、ペースメーカーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。医療用デバイスは、体外デバイス、例えば、手術中に使用されるデバイスであることができ、そのデバイスとしては、例えば、血液酸素付加装置、血液ポンプ、血液センサー又は血液を移動させるために使用される管類などが挙げられ、またそのデバイスは血液と接触し、次いで対象へと血液を戻す。医療用デバイスは、移植可能なデバイス、例えば、血管グラフト、ステント、ステント移植皮弁、吻合コネクター、刺激用リード、心臓弁、整形外科用デバイス、カテーテル、シャント、センサー、髄核用置換デバイス、渦巻管インプラント又は中耳インプラント、眼内レンズなどであることもできる。移植可能なデバイスは、薬剤注入ポートなどのような経皮性デバイスを含む。
【0113】
一般的に、本発明の医療用デバイスを作製するために使用される好ましい材料は、生体材料である。「生体材料」とは、体内への移植が意図され且つ/又は体液、組織、器官などと接触する材料、及び意図される目的に適う機能に対して要求される物理的性質、例えば強度、弾力、透過性及び柔軟性を有する材料である。特に移植可能なデバイスに関して、使用される材料は、好ましくは、生体適合性材料、すなわち細胞又は組織に対してあまり有毒ではなく且つ身体に過度の損傷を与えない材料である。
【0114】
本発明は、相溶性ポリマーブレンドがポリマーコーティングを形成する態様のための支持体表面の性質によって限定されない。例えば、支持体表面は、セラミック、ガラス、金属、ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせから作製できる。金属支持体表面を有する態様では、金属は、典型的には、鉄、ニッケル、金、コバルト、銅、クロム、モリブデン、チタン、タンタル、アルミニウム、銀、白金、炭素、及びそれらの合金である。好ましい金属は、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金、例えばNITINOL、又はコバルトクロム合金、例えばNP35Nである。
【0115】
相溶性ポリマーブレンドを含むポリマーコーティングは、共有結合的な又は非共有結合的な相互作用によって、支持体表面に接着できる。非共有結合的な相互作用としては、例えば、イオン相互作用、水素結合、双極子相互作用、疎水性相互作用及びファンデルワールス相互作用が挙げられる。
【0116】
好ましくは、支持体表面は、相溶性ポリマーブレンドコーティングを施用する前に、活性化又は官能化されないが、いくつかの態様では、接着を促進するために支持体表面を前処理することが望ましい場合がある。例えば、ポリマーアンダーコート層(すなわちプライマー)を用いて、支持体表面に対するポリマーコーティングの接着を向上させることができる。適当なポリマーアンダーコート層は、2002年8月13日に出願された出願人が譲受人である同時係属中の米国仮出願第60/403,479号;2003年8月13日に出願された米国特許出願第10/640,701号;及び2003年8月13日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US03/25463号(2004年2月19日にWO第2004/014453A1号として公開された)で開示されており、それらの全てが、MEDICAL DEVICE EXHIBITING IMPROVED ADHESION BETWEEN POLYMERIC COATING AND SUBSTRATEという名称である。その中で開示された特に好ましいアンダーコート層は、基本的にはポリウレタン材料から成る。前記の好ましいアンダーコート層は、ポリウレタン以外の他のポリマーを含むポリマーブレンドを含むが、他のポリマーの量は、全くポリウレタンのみであるアンダーコート層と比較して、アンダーコート層のデュロメーター、耐久性、接着性、構造的完全性及び弾性に対して評価可能な影響を及ぼさないほど少量である。
【0117】
ステント又は他の人工血管を対象に移植する場合、再狭窄は、手術直後から約4〜6ヵ月後までの期間にしばしば観察される。而して、ステントを含む本発明の態様のために、企図される汎用溶解速度は、理想的には、プロテーゼがルーメン壁に固定された直後に薬剤を放出させ始めて、細胞増殖を少なくするような速度であるべきである。
そして、活性薬剤は、全体で約1〜6ヵ月までの間、異なる速度及び異なる相で溶解し続けるべきである。
【0118】
本発明は、支持体表面に対してポリマーブレンドを施用してコーティングを形成するために使用される方法によって限定されない。適当なコーティング法としては、例えば溶液法、粉末コーティング、溶融押出、又は蒸着が挙げられる。
【0119】
好ましい方法は、溶液コーティングである。溶液コーティング法のために、溶液法としては、例えばスプレーコーティング、ディップコーティング及びスピンコーティングが挙げられる。溶液法で用いられる典型的な溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、エチルアセテート、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、N−メチルピロリドン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、蟻酸、酢酸及び/又はジクロロメタンが挙げられる。シングルコート又は複数の薄いコートを施用できる。
【0120】
同様に、本発明は、相溶性ポリマーブレンドを造形物へと成形するために使用される方法によって限定されない。前記方法は、造形物のタイプに依存すると考えられる。適当な方法としては、例えば、押出、成形、ミクロ機械加工、乳化重合法、エレクトロスプレー法、2002年8月13日に出願された出願人が譲受人である同時係属中の米国仮出願第60/403,479号;2003年8月13日に出願された米国特許出願第10/640,701号;及び2003年8月13日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US03/25463号(2004年2月19日にWO第2004/014453A1号として公開された)で説明されているリフロー法が挙げられる。前記の全ての公報は、MEDICAL DEVICE EXHIBITING IMPROVED ADHESION BETWEEN POLYMERIC COATING AND SUBSTRATEなどという名称である。
【0121】
(実施例)
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、実施例に記載されている特定の材料及び量、ならびに他の条件及び詳細によって、本発明は不当に限定されないと解釈すべきである。
【0122】
一つの実施例では、ステンレス鋼製冠状ステント(Medtronic AVEによって製造された)を、約30分間、イソプロパノール中で超音波で清浄にし、次いで完全に乾燥させ、そして初期プライマーとしてTHF中TECOPLASTポリウレタン(Thermedics Polymer)0.25%溶液を吹き付けた。次いで、ステントを、5〜15分間、215〜220℃で熱処理して、金属とポリマーの界面間により良好な接着を創出させた。更に次に、溶媒としてTHFを使用して、TECOPLASTポリウレタン(30%充填)中ミコフェノール酸(Sigma−Aldrich)及びスルファサラジン(Sigma−Aldrich)1%溶液を各ステントに吹き付けた。ミコフェノール酸対スルファサラジンの割合は1:1であった。活性薬剤及びポリマーのコーティング質量は、約1ミリグラム(mg)であり、それは約10マイクロメートル(μm)のコーティング厚に相当する。次いで、そのステントを、45℃で一晩オーブン中で真空乾燥させてから計量して、活性薬剤の理論的含有量を決定した。このシステム10の設計は、図1に示してある。図1では、ステント導線11はプライマー層12で被覆されており、そして、そのプライマー層12はミコフェノール酸及びスルファサラジンを1:1の割合で有するTECOPLASTポリウレタンの単層13で被覆されている。ミコフェノール酸は、例えば約5重量%〜約20重量%の量で存在できた。スルファサラジンは、例えば約5重量%〜約30重量%の量で存在できた。ミコフェノール酸対スルファサラジンの割合は、例えば約1:1〜約1:5であることができた。
【0123】
二重の活性薬剤の放出に関するin vitroでの溶出動態を、37℃においてPBS中で解析した。ステントは、ステント送達システム上に圧着し、次いで展開させた。展開後、ステントの物理的外観を、PBSを3ミリリットル(ml)含むバイアル内にステントを配置する前に、書き留めた。そのバイアルを、37℃で一定の時間間隔で、振盪機中に配置した;次いで、全溶液(3ml)を除去し、新鮮なPBSと交換した。二重放出システムそれぞれにおける各活性薬剤の量を、純粋な活性薬剤の波長を使用して、すなわちミコフェノール酸に関しては250ナノメート(nm)及びスルファサラジンに関しては359nmを使用して、紫外可視分光光度計によって測定した。
【0124】
本実施例はポリマーブレンドを有する活性薬剤送達システムを実証してはいないが、異なる分子量及び溶解度パラメータを有する活性薬剤を選択することによって、2種の活性薬剤の差動放出(differential release)が達成できることを示している。これは、より速く放出される活性剤の溶解度に適合するポリマーブレンドを使用することによっても達成できる。
【0125】
両方の活性薬剤の放出特性は、図2に示してある。単一ポリマー中において2種の活性薬剤が同様な溶解度パラメータ((23〜24J/cm0.5)及び同様な充填量を有する場合、より低い分子量を有する活性薬剤(この場合320の分子量を有するミコフェノール酸)は、スルファサラジン(398の分子量を有する)に比べてより速く溶出する傾向がある。
【0126】
本明細書において記載されている特許、特許文献及び刊行物の完全な開示は、あたかも個別に引用されているかのように、それらの全内容を本明細書に引用したものとする。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明に対する様々な改良及び変更が可能なことは当業者には自明であろう。本発明は、本明細書に記載されている例示的態様及び実施例によって不当に制限されることを意図していないこと、また、前記の実施例及び態様は、ただ実施例として提示されていること、更にまた、本明細書に記載されている請求の範囲によってのみ本発明が限定されることが意図されることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明による、ポリマーブレンド及び治療剤の単層で被覆されたステントの横断面図である。
【図2】充填率30%における、ポリウレタンからの、ミコフェノール酸とスルファサラジン(1:1)の放出動態に関するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の相溶性ポリマーを含む相溶性ポリマーブレンドを含む層中に2種以上の活性薬剤を含む活性薬剤送達システムであって;該活性薬剤のうちの少なくとも1種の送達が、主として透過制御下で起こり;そして更に、より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性が、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きい、前記活性薬剤送達システム。
【請求項2】
より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差が、他の1種以上の活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて小さい、請求項1記載の活性薬剤送達システム。
【請求項3】
該相溶性ポリマーブレンドが、親水性であって、且つ親水性ポリマーと、37℃の水中で異なる膨潤性を有する第二ポリマーとを含み、そしてその場合、該相溶性ポリマーブレンドの膨潤性が該活性薬剤の送達を制御する、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
該親水性ポリマーが、親水性ポリウレタンである請求項3記載のシステム。
【請求項5】
該親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホネート、多糖類、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項3記載のシステム。
【請求項6】
該相溶性ポリマーブレンドが、ポリビニルピロリドン−コ−ビニルアセテートコポリマー及びポリ(エーテルウレタン)を含む請求項3記載のシステム。
【請求項7】
該第二ポリマーが、親水性ポリマー又は疎水性ポリマーである請求項3記載のシステム。
【請求項8】
該第二ポリマーが、親水性ポリウレタンである請求項7記載のシステム。
【請求項9】
該親水性ポリウレタンが、ポリエチレンオキシド単位を含む軟質セグメントを含む請求項8記載のシステム。
【請求項10】
該相溶性ポリマーが、ポリウレタンと第二ポリマーと含む請求項1記載のシステム。
【請求項11】
該第二ポリマーが、該ポリウレタンの全てのTgに比べて等しいか又は高い少なくとも1つのTgを有する請求項10記載のシステム。
【請求項12】
該活性薬剤が、ヘパリンではない請求項10記載のシステム。
【請求項13】
該第二ポリマーが、例えば、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリエポキシド、スチレン・アクリロニトリルコポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項10記載のシステム。
【請求項14】
該ポリウレタンが、約70D〜約80Dのショア押込硬度を有する請求項10記載のシステム。
【請求項15】
該第二ポリマーが、約80D〜約90Dのショア押込硬度を有するポリウレタンである請求項10記載のシステム。
【請求項16】
該第二ポリマーが、ポリカーボネートである請求項10記載のシステム。
【請求項17】
該ポリウレタンが、ポリ(カーボネートウレタン)又はポリ(エーテルウレタン)である請求項10記載のシステム。
【請求項18】
各活性薬剤が溶解度パラメータを有し、該ポリウレタンが軟質セグメント溶解度パラメータと硬質セグメント溶解度パラメータとを有し、そして該第二ポリマーが少なくとも1つの溶解度パラメータを有していて;且つ、
以下の関係:すなわち、
該各活性薬剤の溶解度パラメータと、該ポリウレタン硬質セグメントの溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である;
該各活性薬剤の溶解度パラメータと、該ポリウレタン軟質セグメントの溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である;及び
該各活性薬剤の溶解度パラメータと、該第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である、のうちの少なくとも1つが当てはまる請求項10記載のシステム。
【請求項19】
各ポリウレタンが軟質セグメント溶解度パラメータと硬質セグメント溶解度パラメータとを有し、そして該第二ポリマーが少なくとも1つの溶解度パラメータを有していて;且つ、
以下の関係:すなわち、
該ポリウレタン硬質セグメントの溶解度パラメータと、該第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約5J1/2/cm3/2以下である;及び
該ポリウレタン軟質セグメントの溶解度パラメータと、該第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約5J1/2/cm3/2以下である、のうちの少なくとも1つが当てはまる請求項10記載のシステム。
【請求項20】
該相溶性ポリマーブレンドが、疎水性セルロース誘導体と、そしてポリビニルアルキレートのホモポリマー又はコポリマー、ポリビニルアルキルエーテルのホモポリマー又はコポリマー、ポリビニルアセタールのホモポリマー又はコポリマー、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリビニルのホモポリマー又はコポリマーとを含む請求項1記載のシステム。
【請求項21】
該活性薬剤、該疎水性セルロース誘導体、及び該ポリビニルのホモポリマー又はコポリマーのそれぞれが、溶解度パラメータを有していて;且つ、
以下の関係:すなわち、
該各活性薬剤の溶解度パラメータと、該疎水性セルロース誘導体の溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である;及び
該各活性薬剤の溶解度パラメータと、該ポリビニルのホモポリマー又はコポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である、の少なくとも1つが当てはまる請求項20記載のシステム。
【請求項22】
該各活性薬剤が、セルロースアセテートブチレート及びポリビニルアセテートのそれぞれの溶解度パラメータである少なくとも約10J1/2/cm3/2以内の溶解度パラメータを有する請求項20記載のシステム。
【請求項23】
該疎水性セルロース誘導体及び該ポリビニルのホモポリマー又はコポリマーのそれぞれが、溶解度パラメータを有していて;且つ、
該疎水性セルロース誘導体の溶解度パラメータと、該ポリビニルのホモポリマー又はコポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約5J1/2/cm3/2以下である請求項20記載のシステム。
【請求項24】
該疎水性セルロース誘導体が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースニトレート、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項20記載のシステム。
【請求項25】
該ポリビニルのホモポリマー又はコポリマーが、ポリビニルアルキレートのホモポリマー又はコポリマーである請求項20記載のシステム。
【請求項26】
該ポリビニルアルキレートのホモポリマー又はコポリマーが、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネート、又はポリビニルブチレートのホモポリマー又はコポリマーである請求項25記載のシステム。
【請求項27】
該ポリビニルアルキレートのホモポリマー又はコポリマーが、ポリビニルアセテートのホモポリマー又はコポリマーである請求項25記載のシステム。
【請求項28】
該相溶性ポリマーブレンドが、ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)と、ポリ(エチレンビニルアセテート)を含まない第二ポリマーとを含む請求項1記載のシステム。
【請求項29】
該活性薬剤、該ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)及び該第二ポリマーのそれぞれが、溶解度パラメータを有していて;且つ、
以下の関係:すなわち、
該各活性薬剤の溶解度パラメータと、該ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)の溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である;及び
該各活性薬剤の溶解度パラメータと、該第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約10J1/2/cm3/2以下である、のうちの少なくとも1つが当てはまる請求項28記載のシステム。
【請求項30】
該ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)及び該第二ポリマーのそれぞれが、溶解度パラメータを有していて;そして、該ポリ(エチレン−コ−(メタ)アクリレート)の溶解度パラメータと、該第二ポリマーの少なくとも1つの溶解度パラメータとの差が、約5J1/2/cm3/2以下である請求項28記載のシステム。
【請求項31】
該第二ポリマーが、ポリビニルアルキレートのホモポリマー又はコポリマーである請求項28記載のシステム。
【請求項32】
該第二ポリマーが、ポリアルキル及び/又はアリールメタクリレート又はアクリレート又はコポリマーである請求項28記載のシステム。
【請求項33】
該第二ポリマーが、ポリビニルアセタール又はコポリマーである請求項28記載のシステム。
【請求項34】
該相溶性ポリマーブレンドが、メタクリレート、ビニルアセテート、及びビニルピロリドンのコポリマーを含む請求項1記載のシステム。
【請求項35】
第一活性薬剤が、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナル(diclofenal)、エトドラク、メクロフェネート(meclofenate)、メフェナム酸、ナブネトン(nambunetone)、ピロキシカム、フェニルグタゾン(phenylgutazone)、メロキシカム(meloxicam)、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ジプロピオネート、ジフロルサゾンジアセタート(diflorsasone diacetate)、クロベタゾールプロピオネート(clobetasol propionate)、ガロベタゾールプロピオネート(galobetasol propionate)、アムシノミド(amcinomide)、ベクロメタソンジプロピオネート、フルオシノミド(fluocinomide)、ベタメタゾンバレレート、トリアムシノロンアセトニド、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、アザチオプリン、ミノサイクリン、シクロホスファミド、メトトレキセート、サイクロスポリン、レフルノミド、エタナーセプト、インフリキシマブ、アスコマイシン、β−エストラジオール、ロシグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、S−ニトロソグルタチオン、グリオトキシンG、パンオキシドン(panepoxydone)、シクロエポキシドンテポキサリン(cycloepoxydon tepoxalin)、クルクミン、プロテアソーム阻害剤、アンチセンスc−myc、セロコキシブ(celocoxib)、バルデコキシブ、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載のシステム。
【請求項36】
第二活性薬剤が、該第一活性薬剤の放出開始後に又は両方の放出開始後に、該第一活性薬剤の放出速度に比べて、より遅い速度で放出される請求項35記載のシステム。
【請求項37】
該第二活性薬剤が、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、トランス−レチノイン酸、9−シスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、ラパマイシン、ラパログ(rapalog)、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、タクロミラス(tacromilus)、ミトラマイシン、ミトブロニトール、チオテパ、トレオスルファン(treosulfan)、エストラムスチング、クロルメチン、カルムスチン、ロムスチン、ブスルタン(busultan)、メファラン(mephalan)、クロラムブシル、イホスファミド、環状リン酸アミド、ドキソルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、ダウノルビシン、ミトサンスロン(mitosanthrone)、ブレオマイシン、セペシタビン(epecitabine)、シタラビン、フルダラビン、クラドリビン、ゲムタビン(gemtabine)、5−フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン(tioguanine)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、アムサクリン、ベキサロテン、クリサンパスターゼ(crisantaspase)、デカルバシン(decarbasine)、ヒドロシカルバミド(hydrosycarbamide)、ペントスタチン、カルボプラチン、シスプラチン、オキシプラチン(oxiplatin)、プロカルバジン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンD、バキシリキシマブ(baxiliximab)、ダクリズマブ、インターフェロンα、インターフェロンβ、メイタンシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項36記載のシステム。
【請求項38】
少なくとも1種の活性薬剤が、ポドフィロトキシン、ミコフェノール酸、テニポシド、エトポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラマイシン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載のシステム。
【請求項39】
更に1種の活性薬剤が、スルファサルジン(sulfasalzine)である請求項38記載のシステム。
【請求項40】
更に1種の活性薬剤が、インドメタシンである請求項38記載のシステム。
【請求項41】
更に1種の活性薬剤が、アスコマイシンである請求項38記載のシステム。
【請求項42】
更に1種の活性薬剤が、レフルノミドである請求項38記載のシステム。
【請求項43】
更に1種の活性薬剤が、デキサメタゾンである請求項38記載のシステム。
【請求項44】
更に1種の活性薬剤が、ピロキシカムである請求項38記載のシステム。
【請求項45】
更に1種の活性薬剤が、ベクロメタゾンジプロピオネートである請求項38記載のシステム。
【請求項46】
更に1種の活性薬剤が、S−ニトロソグルタチオンである請求項38記載のシステム。
【請求項47】
少なくとも1種の活性薬剤が、トランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、エトポシド、ミコフェノール酸、ポドフィロトキシン、テニポシド、カンプトセシン、イリノテカン、トポテカン、ミトラニシン(mithranycin)、及びそれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載のシステム。
【請求項48】
更に1種の活性薬剤が、ロシグリタゾンである請求項47記載のシステム。
【請求項49】
更に1種の活性薬剤が、トログリタゾンである請求項47記載のシステム。
【請求項50】
更に1種の活性薬剤が、ピオグリタゾンである請求項47記載のシステム。
【請求項51】
請求項1記載の活性薬剤送達システムを含む医療用デバイス。
【請求項52】
ステント、ステント移植皮弁、吻合コネクター、リード、針、ガイドワイヤ、カテーテル、センサー、手術器具、血管形成バルーン、創傷ドレーン、シャント、管類、尿道挿入物(urethra insert)、ペレット、インプラント、血液酸素付加装置、ポンプ、血管グラフト、弁、ペースメーカー、移植可能なデバイス、髄核用置換デバイス、及び眼内レンズから成る群より選択される請求項51記載の医療用デバイス。
【請求項53】
請求項1記載の活性薬剤送達システムを含むステント。
【請求項54】
支持体表面;
該支持体表面に接着されたアンダーコート層;及び
該ポリマーアンダーコート層に接着された活性薬剤送達システムを含む医療用デバイスであって;
該活性薬剤送達システムが、少なくとも2種の相溶性ポリマーを含む相溶性ポリマーブレンドを含む層中に2種以上の活性薬剤を含み;該活性薬剤のうちの少なくとも1種の送達が、主として透過制御下で起こり;また更に、より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性が、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きい、前記医療用デバイス。
【請求項55】
より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差が、他の1種以上の活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて小さい請求項54記載の医療用デバイス。
【請求項56】
支持体表面;
該支持体表面に接着されたアンダーコート層;及び
該ポリマーアンダーコート層に接着された活性薬剤送達システムを含むステントであって;
該活性薬剤送達システムが、少なくとも2種の相溶性ポリマーを含む相溶性ポリマーブレンドを含む層中に2種以上の活性薬剤を含み;また、該活性薬剤のうちの少なくとも1種の送達が、主として透過制御下で起こり;また更に、より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性が、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きい前記ステント。
【請求項57】
以下の工程:すなわち、
約1200g/モル以下の分子量を有する2種以上の活性薬剤を提供する工程;
少なくとも2種の相溶性ポリマーを選択して該相溶性ポリマーブレンドを形成する工程、その場合:
より速く放出されることになっている該活性薬剤の透過性は、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きく;
各活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下であり;
少なくとも2種の相溶性ポリマーのそれぞれの少なくとも一つの溶解度パラメーター間の差は、約5J1/2/cm3/2であり;
より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている該活性薬剤の溶解度パラメータと、該少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、他の1種以上の該活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、該少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて、小さく;そして
該少なくとも2種のポリマーのそれぞれの少なくとも1つのTg間の差は、目標拡散係数を含むのに充分である;
該少なくとも2種の相溶性ポリマーを組み合わせて相溶性ポリマーブレンドを形成する工程;及び
該相溶性ポリマーブレンドを該活性薬剤と組み合わせて、該相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法によって予め選択された溶解時間を有する活性薬剤送達システムを形成する工程、その場合、該活性薬剤のうちの少なくとも1種の送達は主として透過制御下で起こる、を含む、相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法(x)による予め選択された溶解時間(t)にわたって2種以上の活性薬剤を送達するための活性薬剤送達システムを設計する方法。
【請求項58】
以下の工程:すなわち、
約1200g/モルを超える分子量を有する2種以上の活性薬剤を提供する工程;
少なくとも2種の相溶性ポリマーを選択して該相溶性ポリマーブレンドを形成する工程、その場合;
より速く放出されることになっている活性薬剤の透過性は、他の1種以上の活性薬剤の透過性に比べて大きく;
各活性薬剤の溶解度パラメータと、少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、約10J1/2/cm3/2以下であり;
少なくとも2種の相溶性ポリマーのそれぞれの少なくとも1つの溶解度パラメーター間の差は、約5J1/2/cm3/2であり;
より速く放出されることになっていて且つより多くの量で存在することになっている該活性薬剤の溶解度パラメータと、該少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差は、他の1種以上の該活性薬剤のそれぞれの溶解度パラメータと、該少なくとも2種の相溶性ポリマーのモル平均溶解度パラメータとの差に比べて、小さく;そして、
少なくとも2種の相溶性ポリマーの膨潤性の差は、目標拡散率を含むのに充分である;
該少なくとも2種の相溶性ポリマーを組み合わせて相溶性ポリマーブレンドを形成する工程;及び
該相溶性ポリマーブレンドを該活性薬剤と組み合わせて、該相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法によって予め選択された溶解時間を有する活性薬剤送達システムを形成する工程、その場合、該活性薬剤のうちの少なくとも1種の送達は、主として透過制御下で起こる
を含む、相溶性ポリマーブレンドの予め選択された限界寸法(x)による予め選択された溶解時間(t)にわたって2種以上の活性薬剤を送達するための活性薬剤送達システムを設計する方法。
【請求項59】
以下の工程:すなわち、
請求項1記載の活性薬剤送達システムを提供する工程;及び
該活性薬剤送達システムを対象の体液、器官又は組織と接触させる工程
を含む、対象に対して2種以上の活性薬剤を送達する方法。
【請求項60】
以下の工程:すなわち、
請求項2記載の活性薬剤送達システムを提供する工程;及び
該活性薬剤送達システムを対象の体液、器官又は組織と接触させる工程
を含む、対象に対して2種以上の活性薬剤を送達する方法。
【請求項61】
以下の工程:すなわち、
請求項3記載の活性薬剤送達システムを提供する工程;及び
該活性薬剤送達システムを対象の体液、器官又は組織と接触させる工程
を含む、対象に対して2種以上の活性薬剤を送達する方法。
【請求項62】
以下の工程:すなわち、
請求項10記載の活性薬剤送達システムを提供する工程;及び
該活性薬剤送達システムを対象の体液、器官又は組織と接触させる工程
を含む、対象に対して2種以上の活性薬剤を送達する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−511339(P2008−511339A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523314(P2006−523314)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/025952
【国際公開番号】WO2005/018697
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】