説明

省エネ評価装置、省エネ評価方法

【課題】運転者の所望のタイミングで省エネ運転に対する評価を出力させることができる省エネ評価装置及び省エネ評価方法を提供すること。
【解決手段】車両の走行状況を検出して、省エネルギーに有効な運転操作に誘導するアドバイスを出力する省エネ評価装置100において、運転者が操作する操作スイッチ15と、前記操作スイッチの操作が検出されたことを契機に、前記走行状況に基づき省エネ運転の評価値を算出する評価値算出手段33と、算出された前記評価値に対応したアドバイスを表示装置16に表示するか又はスピーカ17から出力するアドバイス出力手段と、を有し、所定の周期毎に検出された前記走行状況のうち、前記評価値算出手段は、前記操作スイッチの操作が検出された時から所定時間前までの、複数の前記走行状況に基づき省エネ運転の前記評価値を算出する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の省エネ運転を評価する省エネ評価装置に関し、特に、省エネ運転に誘導するアドバイスを出力する省エネ評価装置及び省エネ評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が消費するエネルギーを低減すべきであるとする社会的要請はますます高まっており、車両の運転者も省エネ運転を心がけるようになっている。一般的な省エネ運転として、例えば急加速を控える、車速を低めに抑える、アイドリング中にはエンジン停止する等が知られている。しかし、運転者が省エネ運転をした場合、実際に省エネに効果があったか否か、効果があった場合どの程度の効果があったかを運転者が知ることができることが好ましい。そこで、アイドリングストップなどの回数に基づき、運転者の運転が省エネにどの程度効果があったかを評価する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、所定距離を走行する毎に、評価に対応したメッセージを表示する省エネ評価装置が開示されている。このように、省エネ運転が省エネにどの程度の効果があったかを運転者に通知することで、運転者がさらに省エネ運転を心がけたり、今後は省エネを心がけるようなインセンティブとすることができる。
【0003】
また、従来から車両には、瞬間燃費を表示したり、エンジン始動から停止までの燃費を算出して表示するなど、予め決められた期間の燃費を表示する車載装置が搭載されていることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−16443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の省エネ運転評価装置は、所定距離を走行する毎に省エネ運転の評価を運転者に通知するため、運転者の所望するタイミングで評価を通知できないという問題がある。また、エンジンの停止後など、予め定められたタイミングでのみ省エネ運転の評価を運転者に通知する態様であったとしても、そのタイミングが運転者の所望するタイミングとは言えないという問題がある。
【0006】
これに対し、瞬間燃費であれば定常的に表示されうるが、瞬間燃費は変動が大きいし、また、運転者は数値としての燃費をみただけでは、基準となる燃費が分からないので、省エネ運転が省エネに与えた効果を把握することが困難である。
【0007】
また、車載装置を操作して、所望のタイミングでメッセージを表示することも考えられるが、走行中の運転者は時間のかかる操作はできず、また、信号待ちなどで操作方法を思い出しながらメッセージを表示させることも困難であった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、運転者の所望のタイミングで省エネ運転に対する評価を出力させることができる省エネ評価装置及び省エネ評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、車両の走行状況を検出して、省エネルギーに有効な運転操作に誘導するアドバイスを出力する省エネ評価装置において、運転者が操作する操作スイッチと、前記操作スイッチの操作が検出されたことを契機に、前記走行状況に基づき省エネ運転の評価値を算出する評価値算出手段と、算出された前記評価値に対応したアドバイスを表示装置に表示するか又はスピーカから出力するアドバイス出力手段と、を有し、所定の周期毎に検出された前記走行状況のうち、前記評価値算出手段は、前記操作スイッチの操作が検出された時から所定時間前までの、複数の前記走行状況に基づき省エネ運転の前記評価値を算出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
運転者の所望のタイミングで省エネ運転に対する評価を出力させることができる省エネ評価装置及び省エネ評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】省エネ評価装置の概略を説明する図の一例である。
【図2】省エネ評価装置のハードウェア構成図の一例である。
【図3】エコ評価SWの実装例を示す図である。
【図4】省エネ評価装置が有する機能ブロック図の一例である。
【図5】走行状況の監視結果の一例を示す図である。
【図6】アドバイスデータの一例を示す図である。
【図7】省エネ評価装置がエコ運転度に応じたアドバイスを出力する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図8】表示装置の画面上を移動するアドバイスの一例を示す図である。
【図9】省エネ評価装置がエコ運転度に応じたアドバイスを出力する手順を示すフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例の省エネ評価装置100の概略を説明する図の一例である。予め乗員が設定した、エコ運転度を計算するため走行状況の監視を開始する条件(以下、開始条件という)が成立すると、車両に搭載された省エネ評価装置100はエコ運転度の計算に必要な、車両の走行状況の監視を開始する。エコ運転度の算出については後述するが、エコ運転度は省エネ運転の程度を評価する指標である。
【0014】
図1では、開始条件をイグニッション・オンとした。そして、省エネ評価装置100は、運転者又は乗員(以下、単に運転者という)の所望のタイミングで、省エネ運転の評価を出力する。所望のタイミングは、例えばエコ評価SW(スイッチ)15を乗員が押下したタイミングである。エコ評価SW15は、後述するように、エコ運転度が評価可能な状況ではいつでも運転者が押下可能となっている。
【0015】
省エネ評価装置100は、エコ評価SW15の押下の検出をトリガーに、それまで監視していた走行状況に基づきエコ運転度を計算する。そして、省エネ評価装置100はエコ運転度に対応したアドバイスを表示又は音声出力の少なくとも一方で運転者に提供する。このアドバイスが省エネ運転の評価である。運転者は、何度でもエコ評価SW15を押下できるので、所望のタイミングで省エネ運転の評価を知ることができる。こうすることで、例えば運転者が省エネ運転を心がけて運転して、その省エネ運転がどのような評価を受けたかをすぐに知りたい場合に、知りたいタイミングで省エネ運転の評価を知ることができる。
【0016】
〔ハードウェア構成の一例〕
図2は、省エネ評価装置100のハードウェア構成図の一例を示す。省エネ評価装置100は、所定のECU(Electronic Control Unit)により制御される。車両には運転者に種々の情報を提供するナビゲーション装置が搭載されることが多いので、本実施例ではナビECU20により省エネ評価装置100が制御されるものとした。ナビECU20には、CAN(Controller Area Network)やFlexray等の車内LANや専用線を介して、車速センサ11、加速度センサ12、GPS受信機13、地図DB14、表示装置16、スピーカ17及びエコ評価SW15が接続されている。後述するようにエコ評価SW15は表示装置16と一体の場合がある。
【0017】
ナビECU20は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、不揮発メモリ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CAN通信部及び入出力インターフェイス等を有するコンピュータを実体とする。例えば不揮発メモリには、エコ運転度に対応づけて、アドバイスの内容である複数のテキストデータ及び音声データ(以下、単にアドバイスデータという)が登録された、アドバイスDB18が実装されている。
【0018】
車速センサ11は、例えば車輪の回転速度にタイヤの外径を乗じて車速を検出するセンサである。加速度センサ12は、例えばマイクロマシニングで形成された震動片が、加速度により移動することで変化する電極間の距離に基づき、車両に生じた加速度を検出するセンサである。加速度センサ12は、好ましくは車両の前後方向、上下方向及び左右方向の3軸の加速度を検出できるが、省エネ評価装置100は主に前後方向の加速度を利用する。GPS受信機13は、複数のGPS衛星を補足して各GPS衛星から到達する電波の到達時間に基づき車両の位置(緯度・経度・標高)を決定する。また、地図DB14は、例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)等の不揮発メモリで構成され、ノード(例えば、交差点や交差点から所定距離毎の位置)と、ノード間を連結するリンクとを互いに対応づけるテーブル型の道路地図情報を記憶している。また、地図DB14には、地名等の各種のポイント情報が位置情報に対応づけて記憶されている。
【0019】
表示装置16は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどであり、タッチパネルを一体に有する。さらにヘッドアップディスプレイを搭載していてもよい。表示装置16には、道路地図、操作メニュー、テレビ放送、DVDの再生映像、車載カメラで撮影した映像等、が表示される。操作メニューは階層型になっており、例えば、起動時にはナビゲーション装置、テレビ、ラジオ、DVD、車載カメラの表示、等から1つの機能を選択する選択画面が表示される。いずれか1つの機能を乗員が選択すると(タッチすると)、例えば道路地図等が表示されると共にその機能で提供される操作メニューが重畳して更に表示される。操作メニューを更に選択すると、下層の操作メニューが表示される。スピーカ17は、目的地までの案内ルートに応じて例えば交差点の手前で右左折等を指示する音声案内を出力するため、及び、アドバイスを音声で出力するために用いられる。
【0020】
〔エコ評価SW15〕
エコ評価SW15について説明する。エコ評価SW15は、運転席の周囲に設けられた機械スイッチ、又は、所望のタイミングで表示装置16のタッチパネルから選択可能な操作メニューとして実装される。
【0021】
図3(a)は機械スイッチとして実装されたエコ評価SW15の一例を、図3(b)は操作メニューとして実装されたエコ評価SW15の一例をそれぞれ示す。図3(a)はステアリング21の概略正面図の一例であり、エコ評価SW15はステアリングスイッチ22の一形態として配置されている。ステアリングスイッチ22は、スポークの根元付近に左右に分かれて配置されている。運転者から見て左上のスイッチ群22aは、例えばAV機能を操作するために用いられる。運転者から見て左下のスイッチ群22dは、例えばエアコンを操作するために用いられる。運転者から見て右上のスイッチ群22bは、例えば携帯電話を用いた通話等の操作のために用いられる。運転者から見て右下のスイッチ群22cは、例えば特殊な車載装置(例えば、車載カメラ、クリアランスソナー等)を操作するために用いられる。エコ評価SW15は例えば左下のスイッチ群22dに配置される。なお、エコ評価SW15は、例えばインスツルメントパネルやセンタークラスタ、表示装置16の周囲等に配置されていてもよい。
【0022】
このようにエコ評価SW15を機械スイッチとして設けることで、運転者の所望のタイミングで運転者が省エネ運転の評価を知ることができる。なお、エコ評価SW15は、モーメンタリスイッチ(運転者が押下することで電気的な接触が得られた後、運転者がエコ評価SW15を離すと初期状態に戻る)であることが好ましい。例えば、バネで初期状態に付勢するスイッチ、メンブレンスイッチ等が知られている。エコ評価SW15の押下によりナビECU20には割り込みが発生し、省エネ評価装置100はエコ運転度を計算する。
【0023】
また、図3(b)は表示装置16に表示された道路地図、テレビ映像若しくはDVD映像、又は、車外の撮影映像と共に表示されたエコ評価SW15の一例である。上記のように、ナビゲーション装置が複数の機能を搭載していると、表示装置16には機能毎に種々の画面が表示されるが、エコ評価SW15は、走行中や停止中に定常的に表示される画面に、操作メニューの1つとして表示される。したがって、運転者は操作メニューの階層を辿ることなく、エコ評価SW15を押下することができる。すなわち、運転者は各種の画面からワンタッチで省エネ運転の評価を知ることができる。
【0024】
なお、運転者が、テレビ映像やDVD映像、又は、車外の撮影映像でエコ評価SW15が表示されると煩わしいと感じる場合、運転者はエコ評価SW15を表示しないように省エネ評価装置100の設定を変更することができる。
【0025】
また、機械スイッチや操作メニューでなく、音声認識装置をエコ評価SW15の実体としてもよい。この場合、例えば運転者がマイクを操作しながら「エコ評価」と発声すると、音声認識装置が音声の内容を認識して省エネ運転の評価を省エネ評価装置100に要求する。エコ評価SW15が機械スイッチや操作メニューである場合と同様に、省エネ評価装置100はエコ運転度を計算することができる。
【0026】
〔省エネ評価装置100の機能について〕
図4は、省エネ評価装置100が有する機能ブロック図の一例である。図4の各機能は、CPUがEEPROMに記憶されたプログラムを実行するかASIC等の演算回路により実現される。
【0027】
〔開始条件〕
開始条件検出部31は、走行状況の監視を開始する開始条件が成立したことを検出する。上記のとおり、開始条件は、運転者が省エネ評価装置100に設定することができる。開始条件としては、例えば次のものがある。
(a)イグニッション・オン(電気自動車やハイブリッド車の場合はメインシステムがオンになること)
(b)停止状態の車両が走行を開始したこと
(c)エコ評価SW15が押下されたこと
(d)エコ評価SW15が押下された時より所定時間(例えば、30秒〜1時間程度)T前
例えば、(a)を開始条件とする場合、開始条件検出部31は、イグニッション・オンで信号が入力するナビECUの端子によりイグニッション・オンを検出し、監視開始要求を監視部32に出力する。こうすることで、運転者が車両に乗車した後、常に、エコ運転度の計算が可能となる。
【0028】
また、(b)を開始条件とする場合、開始条件検出部31は、車速センサ11が検出した車速が所定値(例えば、10〜20km/h)になると、監視開始要求を監視部32に出力する。こうすることで、省エネ評価装置100は、例えば信号停止の度にそれまで監視していた走行状況の情報を破棄して、エコ運転度を新しく計算することができる。この場合、省エネ評価装置100は、信号停止から次の信号停止毎に、エコ評価SW15が押下されなくてもエコ運転度を計算し、計算したエコ運転度を記憶しておいてもよい。すなわち、省エネ評価装置100は自動的にエコ運転度を記録することができる。
【0029】
また(c)を条件とする場合、開始条件検出部31は、エコ評価SW15が押下されたことを検出し、監視開始要求を監視部32に出力する。こうすることで、運転者は、例えば省エネ運転を集中して心がける場合や、渋滞中など燃費を気に掛ける状況等、省エネ運転の評価を知りたい場合だけ、省エネ評価装置100に走行状況を監視させることができる。
【0030】
(d)の開始条件は、開始条件の指定とエコ運転度の計算を、1回のエコ評価SW15の押下で兼用することを意味する。すなわち、省エネ評価装置100は、走行状況を常に監視しておき(所定時間Tよりも過去の走行状況の情報は破棄してよい)、エコ評価SW15の押下が検出されると、直前の所定時間Tの走行状況からエコ運転度を算出する。こうすることで、運転者は、省エネ運転の評価を知りたいタイミングで、常に所定時間Tにおける省エネ運転の評価を知ることができる。例えば、(c)の開始条件と比較すると、(c)の開始条件ではエコ運転度の計算のため、運転者が再度、エコ評価SW15を押下することが必要となるのに対し、(d)の開始条件ではエコ評価SW15を再度押下する必要がない。
【0031】
なお、監視部は終了条件が成立すると走行状況の監視を終了する。終了条件は、開始条件が成立可能な状態、すなわち開始条件の成立まで省エネ評価装置100が待機している状態になることなので、開始条件とは反対の条件である。例えば、開始条件が(a)の場合の終了条件は、イグニッション・オフが検出されることであり、開始条件が(b)の場合の終了条件は、車両の停止が検出されることであり、開始条件が(c)の場合の終了条件は、エコ評価SW15の再押下が検出されること、である。なお、開始条件が(d)の場合は1回のエコ評価SW15の押下に終了条件も含まれることになる。
【0032】
〔開始される走行状況〕
監視部32は、走行状況を監視する。監視とは、走行状況に関する情報を検出すること及び適当な期間の情報を記憶することをいう。監視される走行状況は、エネルギー消費への影響が大きい走行状況である。図5(a)は、走行状況の監視結果の一例を示す図である。図5(a)では車速と加速度の散布図が表示されている。この散布図は、監視部が例えば数秒ごとに車速と加速度をサンプリングしてその組を1つのデータとしてプロットしたものである。よく知られているように、急な加速や過度に大きい車速はエネルギー消費量が大きくなり、省エネ上好ましくない。したがって、図5のように車速と加速度の組を記憶しておき、解析することで運転者の省エネ運転がどの程度の省エネに効果があったかを評価することができる。
【0033】
なお、本実施例では車速と加速度から走行状況を監視するが、監視する走行状況はエネルギー消費への影響が大きい走行状況であればよい。例えば、アイドリングストップした回数、空ぶかしした回数、急激なアクセル踏み込みの回数等を監視してもよい。
【0034】
〔エコ運転度〕
図4に戻り、エコ運転度計算部33はエコ運転度を算出する。これまで説明したように、エコ運転度を計算するタイミングは、運転者によりエコ評価SW15が押下されたタイミングである。エコ運転度計算部33は、エコ評価SW15の押下が検出されたことをトリガーにエコ運転度を計算する。図5(a)のような散布図が得られた場合、車速が大きい領域のプロット点、加速度が大きい領域のプロット点は、省エネ上、好ましくない走行状況であったことを意味する。このような考え方に従い、エコ運転度計算部33は、散布図をエコ領域と非エコ領域に区分する。図5(b)はエコ領域と非エコ領域に区分された散布図の一例である。
【0035】
エコ運転度計算部33は、開始条件が検出されてからエコ評価SW15の押下が検出されるまでのn〔秒〕のうち、車両がエコ領域で走行した時間〔秒〕の割合から、エコ運転度を計算する。
エコ運転度=車両がエコ領域で走行した時間〔秒〕/n〔秒〕 …(1)
なお、このエコ運転度は、散布図の全プロット数に対する、エコ領域に含まれるプロット数の比と等しい。
【0036】
エコ運転度計算部33は、計算したエコ運転度を記憶すると共に、アドバイス出力部に送出する。エコ運転度計算部33が、例えばGPS受信機13が検出した位置情報と日時情報に対応づけて記憶することで、エコ評価SW15の押下が検出された直後だけでなく、例えば、運転者が車両を駐車した際、信号待ちの際等、いつでも運転者が過去のエコ運転度を把握することができる。
【0037】
また、計算されたエコ運転度を車両に記憶するのでなく、省エネ評価装置100がサーバにエコ運転度を送信してもよい。サーバに記憶しておけば、運転者が例えば自宅のPC(パーソナルコンピュータ)にエコ運転度をダウンロードとすることができる。運転者はPCに過去のエコ運転度を位置情報や日時情報に対応づけて記録することができる。
【0038】
なお、エコ運転度の計算には、走行状況を検出する時間が必要なので、短時間(例えば、2秒以内)に再度、エコ評価SW15の押下が検出された場合、エコ運転度計算部33はエコ運転度を計算しない。この場合、エコ運転度計算部33は、直前に計算したエコ運転度をアドバイス出力部35に出力する。
【0039】
〔アドバイス〕
そして、アドバイス出力部35は計算されたエコ運転度に基づき、アドバイスを表示装置16に表示するか又はスピーカ17から音声で出力する。図6(a)は、アドバイスDB18が記憶するアドバイスデータの一例を示す。アドバイスデータは、テキストデータの場合は例えば文字コードであり、音声データの場合は例えばWaveである。
【0040】
図6(a)では、5段階のエコ運転度に対しそれぞれアドバイスデータが対応づけられている。例えば、エコ運転度が最もよい第1段階のアドバイスデータは「エコ運転度は最高です。この調子でがんばりましょう。」であり、次の第2段階のアドバイスデータは「最高よりややエコ運転度が低いです。さらに省エネ運転を心がけましょう」であり、次の第3段階のアドバイスデータは「エコ運転度は中程度です。省エネ運転するよう注意しましょう。」であり、次の第4段階のアドバイスデータは「エコ運転度は低めです。省エネ運転して下さい。」であり、最も低い第5段階のアドバイスデータは「エコ運転度はかなり低いです。改善されない場合、講習会等を受講しましょう。」である。運転者はこのようなアドバイスを読んだり、聴くことで、自分の省エネ運転がどのくらいのエコ運転度が把握することができる。
【0041】
また、アドバイス出力部35は、非エコ領域に着目して、運転者にアドバイスを提供してもよい。図6(b)はI〜IIIの3つの領域に区分された非エコ領域、A,Bの2つの領域に区分されたエコ領域をそれぞれ示す。I〜IIIの3つの非エコ領域は、いずれも省エネに好ましくない走行状況が検出されたことを示すが、走行状況としては異なるものである。例えば、領域Iの走行状況は発進時の加速度が大きすぎることを、領域IIの走行状況は車速も加速度も大きすぎることを、領域IIIの走行状況は高速時の加速度が大きすぎることを、それぞれ意味する。
【0042】
この点を考慮して、アドバイス出力部35は、領域I〜IIIのうち車速と加速度のプロット点が最も多い領域を検出し、領域I〜IIIそれぞれに適切なアドバイスを提供することができる。例えば、領域Iのプロット点が最も多い場合、アドバイス出力部35は例えば「発進時の加速を丁寧にすることでエコ運転度が向上します」というアドバイスを出力する。また、領域IIのプロット点が最も多い場合、アドバイス出力部35は例えば「車速も加速も大きいので、走行中の車速と加速を控えることでエコ運転度が向上します」というアドバイスを出力する。また、領域IIIのプロット点が最も多い場合、アドバイス出力部35は例えば「追い越し時の加速を丁寧にすることでエコ運転度が向上します」というアドバイスを出力する。
【0043】
また、アドバイス出力部35は、エコ領域に着目して、運転者にアドバイスを提供してもよい。図6(b)のA,Bのエコ領域は、いずれも省エネに好ましい走行状況が検出されたことを示すが、走行状況としては異なるものである。例えば、領域Aの走行状況は、発進時の加速度が丁寧であることを、領域Bの走行状況は高速走行時の加速が丁寧であることを、それぞれ意味する。
【0044】
この点を考慮して、アドバイス出力部35は、領域A、Bのうち車速と加速度のプロット点が最も多い方の領域を検出し、領域A,Bそれぞれに適切なアドバイスを提供することができる。例えば、領域Aのプロット点の方が多い場合、アドバイス出力部35は例えば「発進時の加速が丁寧です」というアドバイスを出力する。また、領域Bのプロット点の方が多い場合、アドバイス出力部35は例えば「高速走行時の追い越しが丁寧です」というアドバイスを出力する。
【0045】
図6(a)のアドバイスに加え、非エコ領域に着目したアドバイスとエコ領域に着目したアドバイスをそれぞれ出力することで、運転者は全体的なエコ運転度、省エネ運転に好ましい運転操作及び好ましくない運転操作をそれぞれ把握することができる。したがって、運転者は省エネ運転の評価と、省エネ運転において改善すべき点及び優れた点を知ることができる。
【0046】
〔アドバイスの出力態様〕
アドバイスを出力する出力態様は、表示のみ、音声のみ、表示と音声の両方、の3つがある。この3つの出力態様は、例えば運転者が省エネ評価装置100に設定できるようになっている。
【0047】
・表示のみ
例えば、音楽、ラジオの音声、テレビの音声等をアドバイスで邪魔されたくない運転者は、アドバイスを表示装置に表示するだけの出力態様を好むと考えられる。走行中を含め、単にアドバイスを表示装置16に表示してもよいが、表示装置16に表示する場合、運転者が表示装置16に視線を移動するため、走行中に表示することは好ましくない。このため、アドバイス出力部35は、車両が停止した時に、エコ運転度に対応したアドバイスを表示装置16に表示する。アドバイス出力部35は、車速センサ11が検出する車速から車両が停止したことを検出すると、記憶しているエコ運転度に対応したアドバイスデータをアドバイスDB18から読み出す。そして、アドバイス出力部35は表示装置16にアドバイスを表示する。
【0048】
また、停止後すぐに車両が発進する場合もあるが、この場合、運転者はアドバイスを把握したり吟味する時間が足りないと考えられる。そこで、アドバイス出力部35は、アドバイスを出力後、短時間(例えば1〜3秒)で車両が走行を開始した場合、例外的に、スピーカ17からもアドバイスを出力する。アドバイス出力部35は、車両が走行を開始したことを車速センサ11が検出する車速から検出する。こうすることで、運転者がアドバイスを把握する時間が十分あれば、アドバイス出力部35はアドバイスを表示装置16に表示するだけなので、運転者は音楽等を楽しんだままアドバイスを把握できる。一方、停止時間が短い場合は、アドバイス出力部35はスピーカ17からもアドバイスを出力するので、運転者はアドバイスを把握することができる。
【0049】
また、運転者が表示装置16のアドバイスを読んでいる間に、前方の車両が発進する場合がある。運転者が前方の車両の発進に気付かずにアドバイスを読んでいると、自車両の発進が遅れるおそれが生じる。そこで、図4の前方状況検出部34は、自車両の前方の状況、特に自車両が発進する必要がある状況を検出し、発進検出情報をアドバイス出力部に送出する。前方状況検出部は、例えば、ミリ波レーダが検出する車間距離が増大したこと、又は、前方を撮影するカメラの画像における前方車両が小さくなったこと、等から、前方の車両が発進したことを検出する。また、前方状況検出部34は、例えば信号機等との路車間通信により前方の信号が赤から青に変わったことを検出し、また、前方車両との車車間通信等により前方の車両が発進したことを検出し、前方の車両が発進することを予測する。
【0050】
アドバイス出力部35は、発進検出情報を取得すると、アドバイスの表示を終了して、前方の注視を促すメッセージを表示する。このメッセージは、例えば「前方の車両が発進しました。前方を確認後、発進して下さい」。「前方の車両が発進します。前方を注視して下さい。」等である。こうすることで、運転者がアドバイスに注視していても、発進が遅れることを防止できる。
【0051】
さらに、運転者の顔向きを検出し、運転者の顔向きが表示装置16に向いている場合にのみ、このようなメッセージを表示してもよい。運転者の顔向きは、例えば運転者の顔を撮影するカメラが撮影した画像を解析することで検出できる。
【0052】
・音声のみ
アドバイスを音楽等よりも優先的に知ることを好み、また、視線を移動して表示装置16のアドバイスを読むことを好まない運転者は、アドバイスをスピーカ17から出力するだけの出力態様を好むと考えられる。この場合、アドバイス出力部35は、車両が走行中であっても、エコ評価SW15が押下されエコ運転度の計算が終了すれば、アドバイスをスピーカ17から出力する。
【0053】
また、音楽等をスピーカ17から出力している場合、運転者がアドバイスを聞き取れないおそれがあるので、アドバイス出力部35は、音楽等の音量を低減又は消音し、アドバイスをスピーカ17から出力する。こうすることで、運転者は確実にアドバイスを聴くことができる。なお、この音量の自動的な調整は、アドバイスを表示装置16に表示のみする場合に、例外的にスピーカ17からもアドバイスを出力する際にも適用される。
【0054】
・表示と音声の両方
より確実にアドバイスを知ることを好む運転者は、アドバイスをスピーカ17から出力すると共に表示装置16に表示する出力態様を好むと考えられる。この場合、アドバイス出力部35は、運転者がエコ評価SW15を押下してエコ運転度の計算が終了すれば、アドバイスをスピーカ17から出力する。アドバイス出力部35は、音楽等の音量を低減又は消音し、アドバイスをスピーカ17から出力する。そして、音声の出力と同時期に、アドバイス出力部35は表示装置16にアドバイスを表示する。
【0055】
なお、スピーカ17からの出力と表示装置16への表示を同時期に出力するのでなく、アドバイス出力部35は車両の停止時に、アドバイスを表示装置16に表示してもよい。この場合、停止時間が短くても、すでにスピーカ17からアドバイスが出力されているので、アドバイス出力部35はアドバイスをスピーカ17から出力しない。
【0056】
一方、停止中に、アドバイスを表示装置16に表示した場合、前方状況検出部34が発進検出情報をアドバイス出力部35に送出すると、アドバイス出力部35はアドバイスの表示を終了して、前方の注視を促すメッセージを表示する。
【0057】
〔動作手順〕
図7(a)は、省エネ評価装置100がエコ運転度に応じたアドバイスを出力する手順を示すフローチャート図の一例である。図7(a)のフローチャート図は、上記の開始条件のうち(a)〜(c)に対応したものである。図7(a)のフローチャート図は、例えばイグニッションがオンになるとスタートする。
【0058】
まず、開始条件検出部31は、エコ運転度を計算するため走行状況の監視を開始する開始条件が成立したか否かを判定する(S10)。すなわち、開始条件検出部31は、イグニッション・オン、車両の走行開始、又は、エコ評価SW15の押下のいずれかを検出する。開始条件が成立しない場合(S10のNo)、走行状況を監視する必要はないので、開始条件検出部31はステップS10の判定を繰り返す。
【0059】
開始条件が成立した場合(S10のYes)、エコ運転度を計算するため開始条件検出部31は監視部32に監視開始要求を送出する。これにより監視部32は走行状況の監視を開始し、終了条件が成立するまで走行状況の監視を継続する(S20)。
【0060】
監視部32が走行状況を監視している状態で、エコ運転度計算部33は、エコ評価SW15の押下が検出されたか否かを判定する(S30)。エコ評価SW15が押下されない場合(S30のNo)、運転者がエコ運転度を知りたいタイミングではないので、処理はステップS60に進む。
【0061】
エコ評価SW15の押下が検出された場合(S30のYes)、運転者がエコ運転度を知りたいタイミングということになるので、エコ運転度計算部33はエコ運転度を計算する(S40)。そして、アドバイス出力部35はエコ運転度に対応づけられたアドバイスデータをアドバイスDB18から読み出して出力する(S50)。出力態様は、運転者の設定に従えばよい。
【0062】
ついで、開始条件検出部31は、終了条件が成立したか否かを判定する(S60)。イグニッション・オンが開始条件の場合、イグニッション・オフが終了条件であり、車両の走行開始が開始条件であれば車両の停止が終了条件であり、エコ評価SW15の押下が開始条件であればエコ評価SW15の再押下が終了条件である。
【0063】
終了条件が成立しない場合(S60のNo)、処理はステップS20に戻り、監視部32は走行状況の監視を継続する(S20)。この場合、運転者は何度でもエコ評価SW15が押下でき、所望のタイミングで省エネ運転の評価を知ることができる。
【0064】
終了条件が成立した場合(S60のYes)、走行状況を監視する必要がなくなったので、処理はステップS10に戻り開始条件検出部31は、開始条件が成立したか否かを判定する(S10)。この場合、新たに走行状況の監視を開始させ、省エネ運転がどのような評価を受けたかを知ることができる。
【0065】
図7(b)のフローチャート図は、上記の開始条件のうち(d)に対応したものである。開始条件の(d)は、上記のとおり、エコ評価SW15の押下により抽出する走行状況の情報を自動的に特定される。このため、図7(a)のステップS10の判定は不要になる。図7(b)の処理は例えばイグニッションがオンになるとスタートする。
【0066】
イグニッションがオンになると、監視部32は定常的に走行状況を監視する(S20)。そして、監視した走行状況の情報を古いものから上書きして少なくとも最新の所定時間T分だけ残るようにして記録する。
【0067】
監視部32が走行状況を監視している状態で、エコ運転度計算部33は、エコ評価SW15の押下が検出されたか否かを判定する(S30)。エコ評価SW15の押下が検出されない場合(S30のNo)、運転者がエコ運転度を知りたいタイミングではないので、ステップS20に戻る。
【0068】
エコ評価SW15の押下が検出された場合(S30のYes)、運転者がエコ運転度を知りたいタイミングということになるので、エコ運転度計算部33はエコ評価SW15の押下が検出される前の所定時間Tの走行状況に基づきエコ運転度を計算する(S41)。そして、アドバイス出力部35はエコ運転度に対応づけられたアドバイスデータをアドバイスDB18から読み出して出力する(S50)。出力態様は、運転者の設定に従えばよい。以降の処理はステップS20からの繰り返しである。
【0069】
図7(b)のような処理により、(a)〜(c)を開始条件とする場合と異なり、運転者は一定の所定時間T毎の省エネ運転の評価を知ることができるので、エコ運転度がよくなったか悪くなったかの比較がしやすくなる。なお、エコ運転度はナビECU20やサーバに記憶されているので、運転者は過去のエコ運転度を確認することもできる。
【0070】
以上説明したように、本実施例の省エネ評価装置100は、運転者の所望のタイミングで省エネ運転の評価を知ることができる。なお、アドバイスだけでなく、エコ運転度の数値も運転者に提供してもよい。
【0071】
また、本実施例では、開始条件(a)〜(d)に応じていずれか1つのエコ運転度を出力するものとして説明したが、これらを全て提供してもよい。この場合、例えば、エコ評価SW15を押下する度に、省エネ評価装置100は開始条件(a)〜(d)のそれぞれに応じて計算されたエコ運転度に対応するアドバイスを順番に出力する。こうすることで、運転者は開始条件が異なる省エネ運転のそれぞれの評価、すなわち詳細な評価を知ることができる。
【実施例2】
【0072】
実施例1では、省エネ評価装置100が表示装置16にアドバイスを表示する際、車両が停止していることが好ましいことを説明した。本実施例では、車両が停止している際にアドバイスを表示装置16に表示する省エネ評価装置100に詳細について説明する。
【0073】
本実施例の省エネ評価装置100は、アドバイスを表示装置16に表示する際、走行中に表示するよりもアドバイスの文字を大きくする。また、アドバイスの文字を、右から左、又は、左から右に徐々に移動させて表示する。すなわち、アドバイスを構成する文字列の先頭を、一定時間毎にずらしていくことで、右から左又は左から右に流れるようにアドバイスを表示する。
【0074】
図8は表示装置16の画面上を移動するアドバイスの一例を示す。図8では、「エコ運転度は最高です。この調子でがんばりましょう。」の文字列が右から左に移動している。こうすることで運転者は表示装置16にアドバイスが表示されていることに容易に気付くことができ、表示装置16のどこにアドバイスが表示されているかを一目で把握することができる。
【0075】
アドバイスの表示を開始するタイミングは、上記のように、車両が停止したタイミングである。アドバイス出力部35は、車速センサ11が検出する車速から車両が停止したことを検出すると、記憶しているエコ運転度に対応したアドバイスデータをアドバイスDB18から読み出す。そして、アドバイス出力部35は、走行中に表示する場合よりも大きな文字で表示装置16にアドバイスの表示を開始する。
【0076】
そして、前方状況検出部34が、前方の車両が発進したことを検出した場合、又は、発進することを予測した場合、アドバイス出力部35はアドバイスの表示を終了して、前方の注視を促すメッセージを表示する。こうすることで、移動するアドバイスの文字に注意を向けている運転者が、前方を注視することができる。
【0077】
図9は、省エネ評価装置100がエコ運転度に応じたアドバイスを出力する手順を示すフローチャート図の一例である。図9のフローチャート図は、上記の開始条件のうち(a)〜(c)に対応したものであるが、開始条件(d)の場合も表示装置16にアドバイスを表示する場合の手順は同様である。
【0078】
まず、開始条件検出部31は、エコ運転度を計算するため走行状況の監視を開始する開始条件が成立したか否かを判定する(S10)。すなわち、開始条件検出部31は、イグニッション・オン、車両の走行開始、又は、エコ評価SW15の押下のいずれかを検出する。開始条件が成立しない場合(S10のNo)、走行状況を監視する必要はないので、開始条件検出部31はステップS10の判定を繰り返す。
【0079】
開始条件が成立した場合(S10のYes)、エコ運転度を計算するため開始条件検出部31は監視部32に監視開始要求を送出する。これにより監視部32は走行状況の監視を開始し、終了条件が成立するまで走行状況の監視を継続する(S20)。
【0080】
監視部32が走行状況を監視している状態で、エコ運転度計算部33は、エコ評価SW15の押下が検出されたか否かを判定する(S30)。エコ評価SW15が押下されない場合(S30のNo)、運転者がエコ運転度を知りたいタイミングではないので、処理はステップS60に進む。
【0081】
エコ評価SW15の押下が検出された場合(S30のYes)、運転者がエコ運転度を知りたいタイミングということになるので、エコ運転度計算部33はエコ運転度を計算する(S40)。スピーカ17からアドバイスを出力する設定になっている場合は、アドバイス出力部35はエコ運転度に対応したアドバイスをスピーカ17から出力する。なお、計算されたエコ運転度はいったんナビECU20に記憶される。
【0082】
そして、アドバイス出力部35は車両が停止したか否かを判定する(S42)。車両が停止しない場合(S42のNo)、アドバイスを表示することができないので、アドバイス出力部35はステップS42の判定を繰り返す。
【0083】
車両が停止した場合(S42のYes)、アドバイスを表示する条件が成立したので、アドバイス出力部35は、エコ運転度に応じてアドバイスの表示を開始する(S43)。アドバイス出力部35がアドバイスを表示した状態で、前方状況検出部34は前方の車両が発進したか否か、又は、発進することが予測されたか否かを判定する(S44)。
【0084】
前方の車両が発進せず、かつ、発進することも予測されない場合(S44のNo)、そのままアドバイスの表示を継続してよいので、アドバイス出力部35はアドバイスの表示が終了したか否かを判定する(S46)。アドバイスの表示が終了していない場合(S46のNo)、処理はステップS44に戻り、アドバイス出力部35は、前方の車両が発進したか否か、又は、発進することが予測されたか否かを判定する(S44)。また、アドバイスの表示が終了した場合(S46のYes)、次に運転者がエコ評価SW15を押下してもよいように、処理はステップS60に進む。
【0085】
一方、前方の車両が発進したか、又は、発進することも予測された場合(S44のYes)、そのままアドバイスの表示を継続することは適切でないの、アドバイス出力部35はアドバイスの表示を中止し、前方を注視するよう促すメッセージを表示する(S45)。こうすることで、運転者がアドバイスに注視していても、発進が遅れることを防止できる。
【0086】
以上説明したように、本実施例の省エネ評価装置100は、車両が停止している際にアドバイスを大きな文字で移動させながら表示装置16に表示することで、エコ運転度に対するアドバイスを確実に運転者に知らせることができる。表示中に自車両が移動しなければならなくなったことを検出することで、自車両の発進が遅れることを防止できる。
【符号の説明】
【0087】
11 車速センサ
12 加速度センサ
15 エコ評価SW
16 表示装置
17 スピーカ
18 アドバイスDB
21 ステアリング
22 ステアリングスイッチ
100 省エネ評価装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状況を検出して、省エネルギーに有効な運転操作に誘導するアドバイスを出力する省エネ評価装置において、
運転者が操作する操作スイッチと、
前記操作スイッチの操作が検出されたことを契機に、前記走行状況に基づき省エネ運転の評価値を算出する評価値算出手段と、
算出された前記評価値に対応したアドバイスを表示装置に表示するか又はスピーカから出力するアドバイス出力手段と、を有し、
所定の周期毎に検出された前記走行状況のうち、前記評価値算出手段は、前記操作スイッチの操作が検出された時から所定時間前までの、複数の前記走行状況に基づき省エネ運転の前記評価値を算出する、
ことを特徴とする省エネ評価装置。
【請求項2】
前記評価値算出手段は、さらにイグニッションのオン又は自車両が走行を開始した時から、前記操作スイッチの操作が検出された時までの前記走行状況に基づき省エネ運転の前記評価値を算出可能であり、前記評価値は、
前記所定の周期毎に検出された前記走行状況のうち、前記評価値算出手段が前記操作スイッチの操作が検出された時から所定時間前までの、複数の前記走行状況に基づき算出した省エネ運転の前記評価値、及び、イグニッションのオン又は自車両が走行を開始した時から、前記操作スイッチの操作が検出された時までの複数の前記走行状況に基づき算出した省エネ運転の前記評価値のうちいずれを算出するかを、運転者によって選択可能である、ことを特徴とする請求項1記載の省エネ評価装置。
【請求項3】
前記評価値算出手段は、前記操作スイッチが操作された時から、再び、前記操作スイッチの操作が検出された時までの前記走行状況に基づき省エネ運転の前記評価値を算出可能であり、
前記評価値は、
前記所定の周期毎に検出された前記走行状況のうち、前記評価値算出手段が、前記操作スイッチの操作が検出された時から前記所定時間前までの、複数の前記走行状況に基づき算出した省エネ運転の前記評価値、及び、イグニッションのオン又は自車両が走行を開始した時から、前記操作スイッチの操作が検出された時までの前記走行状況に基づき算出した省エネ運転の前記評価値、及び、前記操作スイッチの操作が検出された時から、再び、前記操作スイッチの操作が検出された時までの複数の前記走行状況に基づき算出された省エネ運転の前記評価値のうちいずれを算出するかを、前記運転者によって選択可能である、ことを特徴とする請求項2記載の省エネ評価装置。
【請求項4】
抽出された複数の前記走行状況のうち、車両がエコ領域で走行したと判断される時間の割合からエコ運転度は計算される、
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の省エネ評価装置。
【請求項5】
所定の周期毎に車両の走行状況を検出して、省エネルギーに有効な運転操作に誘導するアドバイスを出力する省エネ評価方法において、
運転者が操作する操作スイッチの操作を検出するステップと、
前記操作スイッチの操作が検出されたことを契機に、評価値算出手段が、前記操作スイッチの操作が検出された時から所定時間前までの、複数の前記走行状況に基づき省エネ運転の前記評価値を算出するステップと、
アドバイス出力手段が、算出された前記評価値に対応したアドバイスを表示装置に表示するか又はスピーカから出力するステップと、
を有することを特徴とする省エネ評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57321(P2013−57321A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−269823(P2012−269823)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2009−21734(P2009−21734)の分割
【原出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】