説明

真正性検証システム、情報生成装置、真正性検証装置、情報生成プログラム、および真正性検証プログラム

【課題】物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報に従って物品の真贋を判定する場合に、規定情報の真正性の確認を可能にする。
【解決手段】情報生成装置20は、物品から抽出される特徴量を取得する特徴量取得部21と、特徴量および特徴量に基づいて物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名を生成する署名生成部22と、特徴量と署名とを含み物品に付与される情報を生成する情報生成部23とを有する。真正性検証装置80は、上記情報が付与された物品から読み取られる特徴量と署名とを取得する署名取得部81と、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報を取得する規定情報取得部82と、特徴量および規定情報に基づき署名を検証する署名検証部83と、物品から読み取られる物品情報を取得する物品情報取得部84と、物品情報および特徴量に基づき、規定情報に従って物品の真贋を判定する真贋判定部85とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真正性検証システム、情報生成装置、真正性検証装置、情報生成プログラム、および真正性検証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
公開鍵暗号技術を利用して物理的個体を認証する技術がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1には、身分保証体を発行する発行側装置と、身分保証体に基づいて身分を認証する認証側装置とを備える認証システムが記載されている。当該認証システムでは、発行側装置は、被保証者の写真データと被保証者の氏名や住所等を含む文書データを取り込み、写真データを保証者の秘密鍵で暗号化した変換値を作成し、文書データに変換値を添付した変換値付文書データを作成し、当該変換値付文書データを身分保証体に書き込む。認証側装置は、被保証者を自称する者により提示された身分保証体から変換値付文書データを取り込み、当該変換値付文書データに含まれる変換値を保証者の公開鍵で復号することにより被保証者の写真データを復元し、被保証者を自称する者の顔の画像を顔画像データとして取り込み、顔画像データと復号した写真データとを比較し、予め定められた程度以上両者が類似しているかどうかを比較結果として表示する。
【0004】
なお、特許文献2には、モーバイルコードの実行に際して、モーバイルコード中の必要のない情報の読み出し及び書き換えを禁止する機構を持つ実行エンジンと、そのエンジンのコードを一方向関数に入力して得られる整数値を調べることで、エンジンコードが書き換えられていないことを検証する装置とを有するシステムが記載されている。
【特許文献1】特開2000−215171号公報
【特許文献2】特開平10−254840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、物品に対して当該物品から抽出された特徴量を付与しておき、当該特徴量に基づき、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報に従って当該物品の真贋を判定するシステムにおいて、上記規定情報の真正性を確認したいという要望がある。
【0006】
本発明は、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報に従って物品の真贋を判定する場合に、上記規定情報の真正性の確認を可能にする真正性検証システム、情報生成装置、真正性検証装置、情報生成プログラム、および真正性検証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る真正性検証システムは、物品から抽出される特徴量を取得する特徴量取得手段と、前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名を生成する署名生成手段と、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを含み、前記物品に付与される情報を生成する情報生成手段と、を有する情報生成装置と、前記情報が付与された物品から読み取られる、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを取得する署名取得手段と、前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報を取得する規定情報取得手段と、前記取得された特徴量および規定情報に基づき、前記特徴量および規定情報の署名を検証する署名検証手段と、前記物品から読み取られる物品情報を取得する物品情報取得手段と、前記取得された物品情報および特徴量に基づき、前記取得された規定情報に従って前記物品の真贋を判定する真贋判定手段と、を有する真正性検証装置と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様では、前記真正性検証装置は、前記規定情報として物品の種類に応じて異なる情報を取得し、前記物品の種類に応じて異なる規定情報に基づいて、複数種類の物品の真贋を判定可能である。
【0009】
本発明の一態様では、前記情報生成手段は、前記特徴量と、前記特徴量および規定情報の署名と、前記規定情報の位置を示す位置情報とを含む情報を生成し、前記署名取得手段は、前記情報が付与された物品から読み取られる、前記特徴量と、前記特徴量および規定情報の署名と、前記位置情報とを取得し、前記規定情報取得手段は、前記取得された位置情報により示される位置から前記規定情報を取得する。
【0010】
本発明に係る情報生成装置は、物品から抽出される特徴量を取得する特徴量取得手段と、前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名を生成する署名生成手段と、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを含み、前記物品に付与される情報を生成する情報生成手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る真正性検証装置は、物品から抽出される特徴量と、前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名とを含む情報が付与された物品から読み取られる、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを取得する署名取得手段と、前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報を取得する規定情報取得手段と、前記取得された特徴量および規定情報に基づき、前記特徴量および規定情報の署名を検証する署名検証手段と、前記物品から読み取られる物品情報を取得する物品情報取得手段と、前記取得された物品情報および特徴量に基づき、前記取得された規定情報に従って前記物品の真贋を判定する真贋判定手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る情報生成プログラムは、コンピュータに、物品から抽出される特徴量を取得する手順と、前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名を生成する手順と、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを含み、前記物品に付与される情報を生成する手順と、を実行させることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る真正性検証プログラムは、コンピュータに、物品から抽出される特徴量と、前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名とを含む情報が付与された物品から読み取られる、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを取得する手順と、前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報を取得する手順と、前記取得された特徴量および規定情報に基づき、前記特徴量および規定情報の署名を検証する手順と、前記物品から読み取られる物品情報を取得する手順と、前記取得された物品情報および特徴量に基づき、前記取得された規定情報に従って前記物品の真贋を判定する手順と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報に従って物品の真贋を判定する場合に、規定情報の真正性の確認が可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、真贋判定処理が異なる複数種類の物品について、1つのシステムで真贋を判定することが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、規定情報を容易に取得することが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報に従って物品の真贋を判定する場合に、規定情報の真正性の確認が可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報に従って物品の真贋を判定する場合に、規定情報の真正性の確認が可能となる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報に従って物品の真贋を判定する場合に、規定情報の真正性の確認が可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報に従って物品の真贋を判定する場合に、規定情報の真正性の確認が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る真正性検証システム1の構成の一例を示すブロック図である。この真正性検証システム1は、物品の真正性を検証するシステムであり、情報生成システム100と真正性検証システム200とを含む。
【0023】
情報生成システム100は、物品の真正性の検証に利用される情報であって、当該物品に付与される情報を生成するシステムである。この情報生成システム100は、例えば、物品の提供者(例えば製造者)により使用される。
【0024】
図1において、情報生成システム100は、読み取り装置10、情報生成装置20、および記録装置30を有する。
【0025】
読み取り装置10は、物品から当該物品の情報である物品情報を読み取る装置である。一つの態様では、読み取り装置10は、物品情報として物品の画像情報を読み取るものであり、例えば、画像センサ、デジタルカメラ、スキャナなどである。ただし、読み取り装置10は、画像情報以外の情報(例えば磁気的な情報や表面形状の情報など)を読み取るものであってもよい。
【0026】
情報生成装置20は、物品の真正性の検証に利用される情報であって、当該物品に付与される情報を生成する装置である。
【0027】
一つの態様では、情報生成装置20は、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現され、例えばコンピュータである。具体的には、後述する情報生成装置20の各種機能は、記録媒体に記録された情報生成プログラムが主記憶装置(メインメモリ)に読み出されて中央処理装置(CPU: Central Processing Unit)により実行されることによって実現される。上記情報生成プログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されることも可能であるし、データ信号として通信により提供されることも可能である。ただし、情報生成装置20は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。また、情報生成装置20は、物理的に1つの装置により実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。
【0028】
情報生成装置20は、特徴量取得部21、署名生成部22、および情報生成部23を有する。
【0029】
特徴量取得部21は、物品から抽出される特徴量を取得する。図1の例では、特徴量取得部21は、読み取り装置10によって物品から読み取られた物品情報を取得し、当該物品情報から物品の特徴量を抽出する。ただし、特徴量取得部21は、読み取り装置10により読み取られた物品情報を、そのまま特徴量として取得してもよい。
【0030】
一つの態様では、物品は偽造困難な物理的な特徴を有し、特徴量取得部21は当該物理的な特徴を示す特徴量を取得する。上記物理的な特徴としては、例えば、プラスティック成形商品に形成されたマーブル模様や、牛肉の表面上の模様などが挙げられる。
【0031】
署名生成部22は、特徴量取得部21により取得された特徴量および当該特徴量に基づいて物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名を生成する。例えば、署名生成部22は、利用者や装置から規定情報の位置情報を取得し、当該位置情報により示される位置から規定情報を取得し、当該規定情報および特徴量の署名を生成する。
【0032】
一つの態様では、上記規定情報は、上記特徴量に基づいて物品の真贋を判定するためのコンピュータプログラムである。
【0033】
図1の例では、情報生成システム100は、規定情報を記憶する規定情報記憶装置40を有し、署名生成部22は、規定情報記憶装置40から規定情報を取得して署名を行う。規定情報記憶装置40は、例えばインターネット等のネットワークNに接続された記憶装置である。
【0034】
一つの態様では、署名生成部22は、特徴量と規定情報とを合わせた情報の署名を生成する。具体的には、署名生成部22は、特徴量と規定情報とを合わせた情報のハッシュ値を算出し、当該ハッシュ値を署名者(例えば物品の提供者)の秘密鍵で暗号化して、署名値を得る。
【0035】
別の態様では、署名生成部22は、特徴量の署名と規定情報の署名とを別々に生成する。具体的には、署名生成部22は、特徴量のハッシュ値を算出し、当該ハッシュ値を秘密鍵で暗号化して特徴量の署名値を得るとともに、規定情報のハッシュ値を算出し、当該ハッシュ値を秘密鍵で暗号化して規定情報の署名値を得る。
【0036】
情報生成部23は、特徴量取得部21により取得された特徴量と、署名生成部22により生成された特徴量および規定情報の署名とを含む情報であって、物品に付与される情報を生成する。
【0037】
一つの態様では、情報生成部23は、特徴量と署名とを含み、物品に関連付けられる記録媒体に印刷される画像情報を生成する。ここで、物品に関連付けられる記録媒体としては、物品に付与される記録媒体(例えば物品に取り付けられるラベル)や、物品の一部(例えば物品の表面)などが挙げられる。画像情報としては、例えば、特徴量と署名とを合わせた情報を符号化して得られる符号化画像情報などが挙げられる。符号化画像情報としては、例えば、QRコード(Quick Response code)などの二次元コードの画像情報や、一次元バーコードの画像情報などが挙げられる。
【0038】
ただし、情報生成部23により生成される情報は、画像情報に限られない。例えば、情報生成部23は、特徴量と署名とを含み、物品に関連付けられる電磁的な記録媒体に書き込まれる情報を生成してもよい。ここで、物品に関連付けられる電磁的な記録媒体としては、物品に付与されるメモリ(例えば物品に取り付けられる無線タグ)や、物品に内蔵されたメモリなどが挙げられる。
【0039】
一つの態様では、情報生成部23は、特徴量と、署名と、規定情報の位置を示す位置情報とを含む情報を生成する。ここで、位置情報としては、例えば規定情報の位置を示すURL(Uniform Resource Locator)など、規定情報が格納されたネットワーク上の位置を示す情報が挙げられる。
【0040】
また、一つの態様では、情報生成部23は、記録装置30を制御して、上記の情報を物品に関連付けられる記録媒体に記録する。すなわち、情報生成部23は、特徴量と署名とを含む情報を、物品に関連付けられる記録媒体に記録する制御を行ってもよい。
【0041】
記録装置30は、情報生成装置20により生成された情報を、物品に関連付けられる記録媒体に記録する装置である。
【0042】
一つの態様では、記録装置30は、情報生成装置20により生成された二次元コードなどの画像情報を、物品に取り付けられる印刷媒体または物品自体に印刷する印刷装置であり、例えばラベルプリンタである。ただし、記録装置30は、情報生成装置20により生成された情報を物品に関連付けられる電磁的な記録媒体に書き込む装置など、印刷装置以外のものであってもよい。
【0043】
真正性検証システム200は、情報生成システム100により生成されて物品に付与された情報に基づき、当該物品の真正性を検証するシステムである。この真正性検証システム200は、例えば、物品の購入者や物品を購入しようとする者など、物品の被提供者に使用される。
【0044】
図1において、真正性検証システム200は、読み取り装置60,70および真正性検証装置80を有する。
【0045】
読み取り装置60は、物品から当該物品の情報である物品情報を読み取る装置である。一つの態様では、読み取り装置60は、物品情報として物品の画像情報を読み取るものであり、例えば、画像センサ、デジタルカメラ、スキャナなどである。ただし、読み取り装置60は、画像情報以外の情報(例えば磁気的な情報や表面形状の情報など)を読み取るものであってもよい。
【0046】
読み取り装置70は、情報生成装置20により生成された情報が付与された物品から、上記情報を読み取る装置である。具体的には、読み取り装置70は、物品に関連付けられた記録媒体から情報を読み取るものである。一つの態様では、読み取り装置70は、物品に関連付けられた記録媒体に表示された二次元コード等の画像情報を読み取るものであり、例えば、画像センサ、デジタルカメラ、スキャナなどである。ただし、読み取り装置70は、上記に限られず、物品に関連付けられた電磁的な記録媒体から情報を読み出すリーダ装置などであってもよい。
【0047】
一つの態様では、読み取り装置60および70は、1つの読み取り装置により実現される。すなわち、例えば1つの画像センサが、読み取り装置60および70として機能する。具体的な一態様では、真正性検証システム200はカメラ付き携帯電話であり、読み取り装置60および70は携帯電話のカメラにより実現され、真正性検証装置80は携帯電話内のコンピュータにより実現される。
【0048】
真正性検証装置80は、情報生成装置20により生成されて物品に付与された情報に基づき、当該物品の真正性を検証する装置である。
【0049】
一つの態様では、真正性検証装置80は、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現され、例えばコンピュータである。具体的には、後述する真正性検証装置80の各種機能は、記録媒体に記録された真正性検証プログラムが主記憶装置に読み出されて中央処理装置により実行されることによって実現される。上記真正性検証プログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されることも可能であるし、データ信号として通信により提供されることも可能である。ただし、真正性検証装置80は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。また、真正性検証装置80は、物理的に1つの装置により実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。
【0050】
真正性検証装置80は、署名取得部81、規定情報取得部82、署名検証部83、物品情報取得部84、真贋判定部85、および結果出力部86を有する。
【0051】
署名取得部81は、情報生成装置20により生成された情報が付与された物品から読み取られる、特徴量と特徴量および規定情報の署名とを取得する。図1の例では、署名取得部81は、読み取り装置70によって読み取られた情報を取得し、当該情報から特徴量と署名とを抽出する。例えば、署名取得部81は、読み取り装置70により読み取られた二次元コードの画像情報を復号化して、特徴量と署名とを復元する。
【0052】
情報生成装置20により生成された情報が規定情報の位置情報を含む態様では、署名取得部81は、特徴量および署名に加えて、さらに規定情報の位置情報も取得する。
【0053】
規定情報取得部82は、物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報(例えば判定プログラム)を取得する。
【0054】
一つの態様では、規定情報取得部82は、署名取得部81により取得された位置情報により示される位置から、規定情報を取得する。例えば、位置情報が規定情報記憶装置40を示す場合、規定情報取得部82は、当該規定情報記憶装置40からネットワークNを介して規定情報を取得する。ただし、規定情報取得部82は、上記以外の方法で規定情報を取得してもよい。例えば、規定情報取得部82は、利用者からURL等の位置情報を受け付け、当該位置情報に基づいて規定情報を取得してもよいし、利用者から提供された可搬記録媒体から規定情報を取得してもよい。
【0055】
署名検証部83は、署名取得部81により取得された特徴量と、規定情報取得部82により取得された規定情報とに基づき、署名取得部81により取得された特徴量および規定情報の署名を検証する。
【0056】
一つの態様では、署名検証部83は、特徴量と規定情報とを合わせた情報に対する署名の検証を行う。具体的には、署名検証部83は、署名取得部81により取得された特徴量と規定情報取得部82により取得された規定情報とを合わせた情報のハッシュ値を算出する。また、署名検証部83は、署名取得部81により取得された署名を署名者の公開鍵で復号化し、特徴量と規定情報とを合わせた情報のハッシュ値を復元する。そして、署名検証部83は、算出されたハッシュ値と復元されたハッシュ値とが一致する場合には検証成功と判定し、両ハッシュ値が一致しない場合には検証失敗と判定する。
【0057】
別の態様では、署名検証部83は、特徴量の署名の検証と、規定情報の署名の検証とを別々に行う。具体的には、署名検証部83は、署名取得部81により取得された特徴量のハッシュ値を算出し、署名取得部81により取得された特徴量の署名を署名者の公開鍵で復号化し、特徴量のハッシュ値を復元し、両ハッシュ値が一致した場合には特徴量の署名の検証が成功したと判定し、一致しない場合には特徴量の署名の検証が失敗したと判定する。また、署名検証部83は、規定情報取得部82により取得された規定情報のハッシュ値を算出し、署名取得部81により取得された規定情報の署名を署名者の公開鍵で復号化し、規定情報のハッシュ値を復元し、両ハッシュ値が一致した場合には規定情報の署名の検証が成功したと判定し、一致しない場合には規定情報の署名の検証が失敗したと判定する。
【0058】
署名検証部83は、例えば、署名者や認証局(CA: Certificate Authority)から署名者の公開鍵証明書を取得し、当該公開鍵証明書に含まれる署名者の公開鍵を用いて上記署名の検証を行う。
【0059】
署名検証部83は、署名を検証する際、署名者の公開鍵証明書の有効性を検証してもよい。例えば、署名検証部83は、認証局から取得される公開鍵証明書の失効情報に基づき、署名者の公開鍵証明書の有効性を検証してもよい。また、例えば、署名検証部83は、署名者から信頼点(トラストアンカー)までの認証パス上の全ての公開鍵証明書の検証を行うことにより、署名者の公開鍵証明書の有効性を検証してもよい。
【0060】
物品情報取得部84は、物品から読み取られる物品情報を取得する。図1の例では、物品情報取得部84は、読み取り装置60によって物品から読み取られた物品情報を取得する。
【0061】
真贋判定部85は、物品情報取得部84により取得された物品情報と、署名取得部81により取得された特徴量とに基づき、規定情報取得部82により取得された規定情報に従って物品の真贋を判定する。
【0062】
例えば、真贋判定部85は、規定情報に従って、物品情報から特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量と上記取得された特徴量とを照合し、両者が一致または予め定められた程度以上類似する場合には真と判定し、それ以外の場合には贋と判定する。ただし、真贋判定部85による判定処理は規定情報で規定されるものであり、判定処理の内容は特に限定されない。
【0063】
結果出力部86は、真正性検証装置80による物品の真正性の検証の結果を出力する。具体的には、結果出力部86は、署名検証部83による署名検証の結果および真贋判定部85による真贋判定の結果を出力する。結果出力部86は、署名検証部83の検証結果および真贋判定部85の判定結果に基づき、物品が真正か否かを判定し、当該判定の結果を出力してもよい。例えば、結果出力部86は、署名検証部83により検証成功と判定され、かつ真贋判定部85により真と判定された場合に、当該物品は真性である旨または当該物品は確かに署名者により提供されたものである旨を出力し、それ以外の場合には、当該物品は真正でない旨または物品の提供者を認証できない旨を出力する。
【0064】
結果出力部86は、上記物品の真正性の検証の結果等を、例えば、表示装置に表示させてもよいし、記憶装置に記憶させてもよいし、これら以外の装置に出力してもよい。
【0065】
上記真正性検証システム1において、一つの態様では、規定情報として、物品の種類に応じて異なる情報を設定する。この態様では、例えば、第1の種類の物品に対して第1の規定情報が設定され、第2の種類の物品に対して第2の規定情報が設定される。
【0066】
そして、一つの態様では、真正性検証システム200または真正性検証装置80は、複数種類の物品の真正性を検証可能に構成される。具体的には、真正性検証システム200または真正性検証装置80は、規定情報として物品の種類に応じて異なる情報を取得可能であり、当該物品の種類に応じて異なる規定情報を用いて、複数種類の物品の真贋を判定する。
【0067】
また、一つの態様では、情報生成システム100または情報生成装置20は、複数種類の物品について情報を生成可能に構成される。具体的には、情報生成システム100または情報生成装置20は、規定情報として物品の種類に応じて異なる情報を取得可能であり、当該物品の種類に応じて異なる規定情報を用いて、複数種類の物品についての情報を生成する。この場合、例えば、規定情報記憶装置40には、物品毎の規定情報が格納される。
【0068】
なお、図1の例では1つの情報生成システム100が示されているが、複数の情報生成システム100が存在してもよい。例えば、複数の情報生成システム100が複数の提供者に所有されてもよい。この場合、特徴量の抽出の仕方や規定情報は、提供者によって異なっていてもよい。
【0069】
また、図1の例では1つの真正性検証システム200が示されているが、複数の真正性検証システムが存在してもよい。例えば、複数の真正性検証システム200が複数の被提供者に所有されてもよい。
【0070】
図2は、情報生成装置20の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図2を参照して、情報生成装置20の動作の一例を説明する。
【0071】
情報生成装置20は、読み取り装置10を制御して、物品から物品情報(例えば画像情報)を読み取り(S11)、当該物品情報から特徴量を抽出する(S12)。
【0072】
ついで、情報生成装置20は、上記特徴量に署名を行い、特徴量の署名を得る(S13)。
【0073】
ついで、情報生成装置20は、ユーザインタフェースを介して利用者から、または予め定められた記憶装置等から、判定プログラム(規定情報)の位置情報を取得する(S14)。
【0074】
ついで、情報生成装置20は、上記位置情報で示される位置から判定プログラムを取得する(S15)。
【0075】
ついで、情報生成装置20は、上記判定プログラムに署名を行い、判定プログラムの署名を得る(S16)。
【0076】
ついで、情報生成装置20は、上記の特徴量、特徴量の署名、判定プログラムの位置情報、判定プログラムの署名を合わせて符号化し、二次元コードの画像情報を生成する(S17)。
【0077】
ついで、情報生成装置20は、上記二次元コードの画像情報に基づき、記録装置30に二次元コードの画像を印刷させる(S18)。二次元コードの画像が印刷された記録媒体は、物品に取り付けられる。
【0078】
図3は、真正性検証装置80の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図3を参照して、真正性検証装置80の動作の一例を説明する。
【0079】
真正性検証装置80は、読み取り装置70を制御して、物品に取り付けられた記録媒体から二次元コードの画像情報を読み取り(S21)、当該二次元コードの画像情報から、特徴量、特徴量の署名、判定プログラムの位置情報、判定プログラムの署名を得る(S22)。
【0080】
ついで、真正性検証装置80は、上記特徴量に基づき、上記特徴量の署名を検証し(S23)、検証に失敗した場合には、検証に失敗した旨を利用者に通知する(S29)。一方、検証に成功した場合には、真正性検証装置80は、上記判定プログラムの位置情報により示される位置から判定プログラムを取得する(S24)。
【0081】
ついで、真正性検証装置80は、上記判定プログラムに基づき、上記判定プログラムの署名を検証し(S25)、検証に失敗した場合には、検証に失敗した旨を利用者に通知する(S29)。一方、検証に成功した場合には、真正性検証装置80は、読み取り装置60を制御して、物品から物品情報(例えば画像情報)を読み取る(S26)。
【0082】
ついで、真正性検証装置80は、上記物品情報と上記特徴量とに基づき、上記判定プログラムに従って物品の真贋を判定し(S27)、贋と判定された場合には、検証に失敗した旨を利用者に通知し(S29)、真と判定された場合には、検証に成功した旨を利用者に通知する(S28)。
【0083】
図4は、情報生成時のユーザインタフェース(UI)画面の一例を示す図である。以下、図4を参照して、利用者の操作とともに情報生成装置20の動作を説明する。
【0084】
利用者からの指示により情報生成プログラムが起動されると、情報生成装置20は、図4に示されるUI画面を表示させる。
【0085】
利用者により物品が読み取り装置10(例えばスキャナ)にセットされ、UI画面上の物品情報取得ボタン401が押されると、情報生成装置20は、読み取り装置10を用いて物品から物品情報を取得し、当該物品情報から特徴量を抽出するとともに、当該物品情報の画像402をUI画面上に表示させる。利用者は、表示された物品情報の画像が正常なものかを確認する。
【0086】
利用者によりUI画面上のURL入力欄403に判定プログラムのURLが入力され、ダウンロードボタン404が押されると、情報生成装置20は、上記入力されたURLから判定プログラムを取得し、当該判定プログラムの情報(具体的には、クラス名、大きさ、更新日時)405をUI画面上に表示させる。利用者は、表示された判定プログラムの情報を確認する。
【0087】
利用者によりUI画面上のテスト検証ボタン406が押されると、情報生成装置20は、上記取得された物品情報と上記抽出された特徴量とに基づき、判定プログラムに従って真贋判定処理を実施し、その結果をUI画面上に表示させる(図4では不図示)。これにより、利用者は、正しく真と判定できることを確認する。
【0088】
利用者によりUI画面上の署名ボタン407が押されると、情報生成装置20は、特徴量および判定プログラムの署名を生成する。
【0089】
利用者によりUI画面上の印刷ボタン408が押されると、情報生成装置20は、特徴量、判定プログラムのURL、および署名を示すQRコードを生成し、記録装置30を用いて当該QRコードをラベルに印刷する。当該QRコードが印刷されたラベルは、利用者または装置により、物品の表面または物品の包装に貼り付けられる。例えば、図5に示されるように、物品の表面501に、QRコードが印刷されたラベル502が貼り付けられる。なお、図5の例では、物品の表面501には、偽造防止のためのマーブル模様が形成されている。
【0090】
図6は、真正性検証時のユーザインタフェース(UI)画面の一例を示す図である。以下、図6を参照して、利用者の操作とともに真正性検証装置80の動作を説明する。
【0091】
利用者からの指示により真正性検証プログラムが起動されると、真正性検証装置80は、図6に示されるUI画面を表示させる。
【0092】
利用者は、デジタルカメラやスキャナを用いて物品の表面およびQRコードが印刷されたラベルを撮影して、物品の表面およびQRコードが写された画像ファイルを取得する。そして、利用者は、当該画像ファイルを真正性検証装置80に記憶させる。
【0093】
ついで、利用者によりUI画面上のファイル名入力欄601に上記画像ファイルのファイル名が入力され、検証ボタン602が押されると、真正性検証装置80は、上記画像ファイルを取得し、当該画像ファイルに含まれる物品の表面の画像から物品情報を取得し、QRコードの画像から、特徴量、判定プログラムのURL、および署名を取得する。そして、真正性検証装置80は、判定プログラムのURLから判定プログラムを取得し、当該判定プログラムと上記特徴量とに基づき上記署名の検証を行い、上記特徴量と物品情報とに基づき上記判定プログラムに従って物品の真正性の検証を行い、検証結果を検証結果UI画面上に表示させる。例えば、真正性検証装置80は、全ての検証に成功した場合には、図7に示されるように、検証結果UI画面上に、「この製品はXX社で製造されたものであることが確認されました。」とのメッセージを表示させる。一方、何れかの検証で失敗した場合には、検証結果UI画面上に、例えば「製造者を確認できませんでした。」などのメッセージを表示させる。これにより、利用者は、物品の真正性の検証の結果を確認する。
【0094】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】実施の形態に係る真正性検証システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】情報生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】真正性検証装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】情報生成時のユーザインタフェース(UI)画面の一例を示す図である。
【図5】物品に情報が付与された様子の一例を示す図である。
【図6】真正性検証時のUI画面の一例を示す図である。
【図7】真正性検証時の検証結果UI画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 真正性検証システム、10読み取り装置、20 情報生成装置、21 特徴量取得部、22 署名生成部、23 情報生成部、30 記録装置、40 規定情報記憶装置、60,70 読み取り装置、80 真正性検証装置、81 署名取得部、82 規定情報取得部、83 署名検証部、84 物品情報取得部、85 真贋判定部、86 結果出力部、100 情報生成システム、200 真正性検証システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品から抽出される特徴量を取得する特徴量取得手段と、
前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名を生成する署名生成手段と、
前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを含み、前記物品に付与される情報を生成する情報生成手段と、
を有する情報生成装置と、
前記情報が付与された物品から読み取られる、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを取得する署名取得手段と、
前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報を取得する規定情報取得手段と、
前記取得された特徴量および規定情報に基づき、前記特徴量および規定情報の署名を検証する署名検証手段と、
前記物品から読み取られる物品情報を取得する物品情報取得手段と、
前記取得された物品情報および特徴量に基づき、前記取得された規定情報に従って前記物品の真贋を判定する真贋判定手段と、
を有する真正性検証装置と、
を含むことを特徴とする真正性検証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の真正性検証システムであって、
前記真正性検証装置は、前記規定情報として物品の種類に応じて異なる情報を取得し、前記物品の種類に応じて異なる規定情報に基づいて、複数種類の物品の真贋を判定可能であることを特徴とする真正性検証システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の真正性検証システムであって、
前記情報生成手段は、前記特徴量と、前記特徴量および規定情報の署名と、前記規定情報の位置を示す位置情報とを含む情報を生成し、
前記署名取得手段は、前記情報が付与された物品から読み取られる、前記特徴量と、前記特徴量および規定情報の署名と、前記位置情報とを取得し、
前記規定情報取得手段は、前記取得された位置情報により示される位置から前記規定情報を取得する、
ことを特徴とする真正性検証システム。
【請求項4】
物品から抽出される特徴量を取得する特徴量取得手段と、
前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名を生成する署名生成手段と、
前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを含み、前記物品に付与される情報を生成する情報生成手段と、
を有することを特徴とする情報生成装置。
【請求項5】
物品から抽出される特徴量と、前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名とを含む情報が付与された物品から読み取られる、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを取得する署名取得手段と、
前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報を取得する規定情報取得手段と、
前記取得された特徴量および規定情報に基づき、前記特徴量および規定情報の署名を検証する署名検証手段と、
前記物品から読み取られる物品情報を取得する物品情報取得手段と、
前記取得された物品情報および特徴量に基づき、前記取得された規定情報に従って前記物品の真贋を判定する真贋判定手段と、
を有することを特徴とする真正性検証装置。
【請求項6】
コンピュータに、
物品から抽出される特徴量を取得する手順と、
前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名を生成する手順と、
前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを含み、前記物品に付与される情報を生成する手順と、
を実行させることを特徴とする情報生成プログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
物品から抽出される特徴量と、前記特徴量および前記特徴量に基づいて前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報の署名とを含む情報が付与された物品から読み取られる、前記特徴量と前記特徴量および規定情報の署名とを取得する手順と、
前記物品の真贋を判定する処理を規定する規定情報を取得する手順と、
前記取得された特徴量および規定情報に基づき、前記特徴量および規定情報の署名を検証する手順と、
前記物品から読み取られる物品情報を取得する手順と、
前記取得された物品情報および特徴量に基づき、前記取得された規定情報に従って前記物品の真贋を判定する手順と、
を実行させることを特徴とする真正性検証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−81039(P2010−81039A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244201(P2008−244201)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】