説明

真空処理装置

【課題】 シール性能が安定して信頼性の高いプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】 その内側が減圧される真空容器509と、この真空容器の壁に配置されその内外を連通し処理対象の試料がやりとりされる開口1201と、前記壁の外側に配置され前記開口1201を気密に閉塞および開放する弁体1001と、この弁体上の前記開口の周囲の前記壁と接する側に配置されこの弁体が開口1201を閉塞した状態で前記壁及び弁体1001と接触して前記開口の内側を封止するシール部材1002と、このシール部材を構成する前記壁と接触する凸状の曲面を有した第1の凸部及びこの凸部から延在し弁体1001と係合してその内側に取り付けられる張り出し部と、弁体1001の前記壁と接する側に取り付けられ前記張り出し部の少なくとも一部をこの弁体に押し付けて位置決めするカバー1003とを備えた真空処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理装置に係り、特に、試料を処理する真空容器の内外を連通するゲートを気密に閉塞あるいは開放するゲートバルブを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような装置、特に、減圧された装置内において処理対象を処理する装置においては、処理の微細化、精密化とともに、処理対象である基板の処理の効率の向上が求められてきた。このために、近年では、一つの装置に複数の処理室が接続されて備えられたマルチチャンバ装置が開発され、処理対象の基板に対して一つの装置で複数行程の処理を施すことにより、処理の効率を向上させることが行われてきた。
【0003】
このような複数の処理室あるいはチャンバを備えて処理を行う装置では、それぞれの処理室あるいはチャンバが、内部のガスやその圧力が減圧可能に調節され基板を搬送するためのロボットアーム等が備えられた搬送室(搬送チャンバ)に接続されている。
【0004】
このような構成により、処理前または処理後の基板は1つの処理室から他の処理室へ減圧されたり不活性ガスが導入された搬送室内を搬送され、外気と接触することなく処理が連続的に施される。このため基板の汚染が抑制され処理の歩留まりや効率が向上する。
【0005】
また、処理室や搬送室の内側を昇圧あるいは減圧する時間を省いたり削減したりすることができ、処理の工程が短縮され基板の処理全体に係る手間や時間を抑えて処理の効率が向上する。
【0006】
また、このような装置では各処理室が装置から着脱可能に備えられており、装置本体を交換しなくとも処理室やその組合せを換えることで新しい処理のプロセスに対応することができ、ひいては基板処理を行って製品を製造するコストを低く抑えることができる。
【0007】
また、試料を処理室や搬送室から搬入搬出するために設けられチャンバに設けられた開口(ゲート)を気密に閉塞、あるいは開閉するゲートバルブと呼ばれる開閉弁装置は、アクチュエータ等の駆動装置に連結された1本のシャフト等のビーム状の部材の先端に弁体が取り付けられたものが知られている。このようなゲートバルブの動作は、ゲートを閉塞する際には、アクチュエータの駆動により弁体が、ゲートが設けられたチャンバ壁表面と所定の距離を保ちつつ開口に向かって移動し、ゲート開口と弁体とがほぼ対向する位置まで到達したところで、開口方向へ移動させ、弁体の一方の面がチャンバ壁或いはゲート開口部と接続される。
【0008】
この際、弁体の一方の面にはチャンバ壁或いはゲート開口部と接続されてこれらと弁体との間を気密に封止できるようにシール部材が配置されている。このようなシール部材は、弁体の接続される面(シール面)の封止する部分の長さにわたり凹み或いは溝を形成し、この溝内に弾性を有するシール部材を嵌め入れてシール部材が弁体の接続時に位置がズレないように位置決めすると共に、弁体上のシール部材が壁或いは開口部に押し付けられて両者の間が封止され、且つ溝表面にシール部材に押し付けられ両者の間が封止されるように構成されている。
【0009】
また、ゲートの開放時には、先ず弁体が壁或いは開口部に接続された状態からゲートより離反する方向にアクチュエータにより移動させられる。弁体がチャンバ壁或いは開口部から引き離されたら、閉塞時と同様、弁体はチャンバ壁と所定の距離を維持しつつ開口部から離れるように移動する。
【0010】
このようなゲートバルブについての従来の技術としては、下記の特許文献1や特許文献2に開示された技術が知られている。また、シール手段についての従来技術としては、特許文献3に開示された技術が知られている。
【特許文献1】特開2002−276825号公報
【特許文献2】特開平8−060374号公報
【特許文献3】特開2002−81555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来技術では、次のような点について考慮が足らず、問題が有った。すなわち、従来技術のゲートバルブでは、ゲートバルブの弁体をゲート開口部から離す際に、これまで高い押圧力で接続されていたために弁体がシール部分全体で均等に剥がれなかったり、大きな力で引き剥がすことになったりして、離れた際に弁体が振動を生じてしまい弁体の処理室側の面に試料処理の際に付着した反応生成物等の付着物が振動によって剥がれ落ちて、試料に異物による汚染や腐食等の障害を生起したり処理室内の部材にコンタミを生じたりするという、問題が生じていた。
【0012】
このため、弁体を動作させる際に振動を低減することが必要となっていたが、このための構成について上記従来技術では十分に考慮されていなかった。
【0013】
さらに、上記従来技術のゲートバルブでは、弁体が開口部あるいはこの周囲の壁面と接触する際に開口部の方向に接近する、あるいは反対に放離する方向に移動するが、この移動の方向に設けたレール等のガイドに沿って移動する場合には、ガイドとガイドされる部分との間に隙間が有ることやこれらの間の摩擦等の影響で振動が生じてしまうという問題が有った。
【0014】
また、上記の通り、ゲートバルブの弁体の前記チャンバ壁や開口部と接触して接続する面には弾性を有するシール部材が封止を要する箇所の周囲の長さにわたって配置されているが、従来の技術は溝や凹み内にシール部材を嵌め込んでその位置を決めていたため、嵌め込みの作業に時間が掛かりメンテナンスや点検の時間が長くなり装置の全体的な稼働率が低下してしまうという問題が有った。
【0015】
また、シール部材は通常断面が略円形のリング状の形状をしているが、これを上記溝や凹みに嵌め込む際にシール部材が捻じれて回転してしまい、この状態で壁面や開口部と接続されると、捻じれ部分の変形により十分なシールができないか、シール部材の接続面でのシール性能に分布ができ、シール性が低い部分で封止が破れてしまうという問題が有った。特に、シール部材を成形する場合に分割された合わせ型を用いると合わせ目にも僅かながらシール部材用の材料がはみ出たことによるヒレ状の部分ができてしまい、この部分が上記捻じれによってチャンバ壁や開口部と接続すると、その接続面では壁や開口部へ均一な圧力でシール部材が押し付けられず、シール性能の低い部分が生じてしまうと言う問題が有った。
【0016】
また、従来の弁体は平面あるいは平板状の壁に設けられたゲートの開口と接合してこれを閉塞するものであったため、シール面もまた平面状となっていた。しかし、真空容器内の処理室は略円筒形状を有しており、この処理室と連通するゲートを閉塞するゲートバルブの弁体が平板状であると、処理室内壁面に凹凸が生じることになり、処理室内での処理が影響を受けて不均一となるという問題が生じていた。一方、処理室内壁面の形状に合わせた弁体の形状にすると、開口部内に貫入する凸部を弁体の中央部側に形成して弁体はこの凸部の高さだけ開口部内を移動することが必要となる。特に円筒形状に合わせた凸部形状にすると長い距離を移動させるため、この距離を移動させるための機構が新たに必要となって装置が大型化する、あるいはガイドとの間の相互作用による振動が大きくなる等の問題が生じる。さらに、従来のように溝や凹みをシールされる面に形成しようとすると、曲面を有する面にこれらを形成する必要があり、工作に大きな手間と時間を要して製造のコストや効率が低下する。また、曲面に形成された溝や凹みに上記シール部材を嵌め込む場合にも上記シール性能の局所的な低下が大きくなり、嵌め込みの作業時間が掛かることになる。
【0017】
本発明の目的は、シール性能が安定して信頼性の高いプラズマ処理装置を提供することにある。
【0018】
また、本発明の別の目的は、作業が簡単で製造コストが低いプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的は、その内側が減圧される真空容器と、この真空容器の壁に配置されその内外を連通し処理対象の試料がやりとりされる開口と、前記壁の外側に配置され前記開口を気密に閉塞および開放する弁体と、この弁体上の前記開口の周囲の前記壁と接する側に配置されこの弁体が前記開口を閉塞した状態で前記壁及び弁体と接触して前記開口の内側を封止するシール部材と、このシール部材を構成する前記壁と接触する凸状の曲面を有した第1の凸部及びこの凸部から延在し前記弁体と係合してその内側に取り付けられる張り出し部と、前記弁体の前記壁と接する側に取り付けられ前記張り出し部の少なくとも一部をこの弁体に押し付けて位置決めするカバーとを備えた真空処理装置により達成される。
【0020】
さらに、前記張り出し部の前記カバーに押し付けられる部分に配置されこのカバー及び前記弁体と接触してシールする第2の凸部を備えた真空処理装置。
【0021】
さらには、前記弁体が前記第1の凸部の配置された表面に略平面或いは平坦な曲面を有し、前記第1の凸部が前記弁体の側に平面或いは平坦な曲面を有して前記弁体の表面と接触する真空処理装置。
【0022】
さらには、前記カバーは前記弁体上で凸上に配置されて前記壁に接した状態で前記開口部内に進入している真空処理装置。
【0023】
さらにまた、前記開口が前記試料が処理される処理室の壁に配置され、この開口が前記弁体により閉塞された状態で前記カバーの表面が前記処理室の壁の表面と略同一の面を構成する真空処理装置。
【0024】
また、上記目的は、その内側が減圧される真空容器と、この真空容器の壁に配置されその内外を連通し処理対象の試料がやりとりされる開口と、前記壁の外側に配置され前記開口を気密に閉塞および開放する弁体と、この弁体上の前記開口の周囲の前記壁と接する側に配置されこの弁体が前記開口を閉塞した状態で前記壁及び弁体と接触して前記開口の内側を封止するシール部材と、前記弁体の前記壁と接する側に取り外し可能に取り付けられ前記シール部材の少なくとも一部をこの弁体に押し付けて位置決めするカバーと、を備えた真空処理装置により達成される。
【0025】
さらに、前記カバーは前記弁体の略平面または平坦な曲面上にこれと接して配置された前記シール部材を前記弁体の側へ押し付けるよう取り付けられた真空処理装置により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、図面を引用して以下に説明する。
【0027】
本発明の実施例について、図1乃至図4を用いて。図1は、本発明の実施例に係る真空処理装置の全体構成を示す斜視図である。図1(a)は前方斜め上方から見た図であり、(b)は後方斜め上方から見た斜視図である。
【0028】
この図において、本実施例の真空処理装置100は大きく前後2つのブロックに分けられる。装置本体100の前方側は装置に供給されたウエハが大気圧下で減圧されるチャンバへ搬送されて処理室へ供給される大気側ブロック101である。装置本体100の後方側は、処理ブロック102である。この処理ブロック102には、減圧してウエハを処理する処理室を有する処理ユニット103,103’及び104,104’とこれらの処理室にウエハを減圧下で搬送する搬送ユニット105及びこの搬送ユニット105と大気側ブロック101とを接続する複数のロック室とを備えており、これらは減圧されて高い真空度の圧力に維持可能なユニットであり、処理ブロックは真空ブロックである。
【0029】
大気側ブロック101は、内部に搬送ロボット(図示せず)を備えた筐体108を有し、この筐体108に取り付けられ処理用またはクリーニング用のウエハが収納されているウエハカセット109及びダミーウエハ用のダミーカセット110を備えている。さらに、搬送ロボットはこれらのカセット109,110とロック室ユニット106との間でウエハを搬入あるいは搬出する作業を行う。また、大気側ブロック101はその筐体108上に位置合せ部111を備えて、この位置合せ部111内において搬送されるウエハをカセット109,110或いはロック室ユニット106内のウエハ配置の姿勢に合わせてその位置合わせを行う。
【0030】
また、本実施例における処理ブロック102の処理ユニット103,103’,104,104’は、処理ユニット103,103’が、カセット109から処理ブロック102に搬送されるウエハのエッチング処理を行うエッチング室を備えたエッチング処理ユニットであり、処理ユニット104,104’がウエハをアッシング処理するアッシング処理ユニットであり、搬送ユニット105はこれらの処理ユニットが着脱可能に取り付けられ内部が高い真空度に減圧されて維持される搬送室112を備えている。
【0031】
さらに、この処理ブロック102には、上記処理ユニット103,103’,104,104’との間に配置され、これらのユニットあるいは処理室に必要なガスや液体等の流体の供給を調節する流量調節装置(Mass Flow Controller)を含む制御ユニット107a,107bが処理ユニット103,103’,104,104’に隣接して配置されている。また、処理ブロック102の下部には、上記した各々の処理ユニットに対応して各々必要なガス、冷媒の貯留部、排気部やこれらに電力供給する電源等のユーティリティを収納する矩形状のベッドとこれらを収納するフレーム106が配置されている。処理ユニット103,104の処理室部分や制御ユニット107、ベッドはこのフレーム106から取外し及び取り付け可能に構成され配置されている。
【0032】
図2は、図1に示す実施例に係る真空処理装置100の構成の概略を示す平面図であり、図2(a)は上方から見た図、図2(b)は側方から見た図である。本実施例において、装置本体100の前方側に配置された大気側ブロック101は、大気圧下でウエハを搬送、収納、位置決め等の取り扱いをする部分であり、後方側の処理ブロック102は、大気圧から減圧された圧力下でウエハを搬送、処理等を行いウエハを載置した状態で圧力を上下させる部分である。
【0033】
また、上記の通り、搬送ユニット105を構成する搬送室112と大気ブロック101との間には、これらを接続しこれらの間でウエハをやりとりするロック室113,113’が配置されている。これらロック室113或いは113’は、その内側が減圧され搬送室112内部に配置されたロボットアーム(図示せず)に載せられて搬送されてきたウエハが設置された後内側が大気圧まで昇圧されて大気側ブロック101内に配置された別のロボットアーム(図示せず)に載せられて大気側ブロック101側に取り出される。この取り出されたウエハは、前記カセット109内の元の位置に戻されるか、これらのいずれかのカセットに戻される。あるいは、これらカセット109のいずれかから前記ロボットアームにより取り出されたウエハが外気圧に設定されたロック室113aまたは113b内に設置された後、内部が減圧されて同じく減圧された搬送室112内のロボットアームに載せられて搬送室112内を通って前記処理ユニット103,103’または104,104’のいずれかに搬送される。
【0034】
上記作動を行うために、ロック室113または113’には、大気側ブロック101と搬送ユニットの搬送室との間を接続して、この内側に搬送されるウエハが載置された状態で内部の圧力を上昇あるいは減少させ、これを維持するガス排気装置とガス供給装置とが接続されている。このため、このロック室113は、その前後に開放あるいは閉塞して内部を密封するゲートバルブ(図示せず)が配置されている。さらに、これらの内側にはウエハが載置される台を配置しておりウエハが内部の圧力の上昇、下降の際に移動しないよう固定する手段を備えている。つまり、これらロック室113,113’は、内側にウエハを載置した状態で、形成される内外の圧力の差に耐えてシールする手段を備えた構成となっている。
【0035】
上記のように、搬送ユニット105は、内側が減圧され各処理室103,104とロック室113との間でウエハを搬送するロボットアーム(図示せず)が内部に配置された搬送室112と、上記複数のロック室113,113’とで構成されている。なお、本実施例では、試料搬送装置5061台を搬送室112内部に配置して、搬送室112の周囲に配置した4台の処理ユニットと大気側ブロック101との間で試料をやりとりする。
【0036】
また、上記のように、本実施例では、処理ユニット103,103’及び104,104’は、エッチング処理ユニット2つとアッシング処理ユニット2つとからなり、これらユニットは、搬送ユニット105の多角形の搬送室112の各辺に接続されて備えられており、エッチング処理ユニット103,103’の2つは搬送室112の奥側の2つの辺に接続され、アッシング処理ユニット104,104’の2つはそれぞれがエッチング処理ユニット103,103’の隣接する辺に接続され、さらに搬送室112の残る辺にロック室113,113’が接続されている。つまり、本実施例では、搬送室112の周囲に2つのエッチング処理室と2つのアッシング処理室とを備えている。
【0037】
さらに、本実施例は、これら搬送ユニット105に接続された処理ユニット103,103’及び104,104’はこの搬送ユニット105に対して着脱可能に構成されていると共に、搬送ユニット105において、ロック室113,113’と搬送室112とは、着脱可能に構成されて接続されている。
【0038】
本実施例において、これら処理ユニット103,103’及び104,104’と、搬送ユニット105とを含んで構成される処理ブロック102は、大きく上下に分けられ、それぞれ、その内側が減圧されて被処理対象の半導体ウエハ等の試料が取り扱われるチャンバ部とこのチャンバ部の下方に配置されてこれを支持しており、これらチャンバに必要な機器が内側に配置されるフレーム106である。さらには、前記処理ユニットは、処理室を内側に含むチャンバ部及びこの処理室に対応したユーティリティを収納するベッド部と、に分けられる。
【0039】
本実施例において、フレーム106は、搬送チャンバ112の下方に配置されたセンターフレーム204と、この周囲に配置された4つのベッドフレーム205とを有して構成される。センターフレーム204は搬送ユニット105或いは搬送チャンバ112の下方に配置されてこれらとこれらに接続された処理ユニットや機器を支持する支持台であり、このために必要な強度を備えるように梁により略直方体形状に構成されている。このセンターフレーム204の内側には空間があり、上記したユーティリティや各処理ユニットに必要な配管、配線が配置されて収納される空間として用いられる。
【0040】
また、センターフレーム204は、搬送チャンバ112の中央側に配置され、特に本実施例では、搬送チャンバ112の床への投影の内側に位置するように配置されており、このセンターフレーム204の周囲に各処理ユニット用のベッドフレーム205が配置される。すなわち、略直方体形状のセンターフレーム204の4つの辺、または面に対向してこれらと適宜空間を空けて略直方体形状のベッドフレーム205が4つ配置されている。このとき、各ベッドフレーム205は搬送チャンバ112の下方に入り込むように配置されており、上記搬送チャンバ112の床への投影面に重なるように位置して、処理ブロック102の設置面積をより小さくするようにしている。
【0041】
本実施例では、ベッド部はベッドフレームとこの内側に収納されて配置されるベッドとを有して構成されている。ベッド部は、略直方体形状を有し、上部のチャンバ部に必要なユーティリティ、制御器、熱交換器等を内部に収納する。ベッドフレームは、その上方に配置されたチャンバ部を支持する強度を有し、梁が構成する略直方体形状を有しており、その内側にベッドが、その外側にこれを覆うプレートが配置されている。
【0042】
ユーティリティは、例えば、処理室内を減圧するための排気ポンプや温度調節器、各センサ等に電力を供給するための電源、各処理ユニットに入出力される信号を授受してこれを調節するための信号インタフェース処理室内で試料であるウエハがその上に載置され固定される試料台に供給するためのガスの貯留部、試料台を冷却するための冷媒の貯留部や冷媒を熱交換して循環させるための冷凍サイクルの熱交換器が挙げられる。
【0043】
ベッドは、これらのユーティリティを収納し、略直方体形状のベッドフレームに接続されてこれに収納されている。また、このフレーム106を構成するベッドフレーム205内には、収納するベッド内の各ユーティリティが駆動されるに必要なインタフェース部を備えている。処理室(チャンバ)部は、搬送室112とその各辺において所定の接続用のゲートで接続される。また、この処理室部に対応するベッド部は搬送室112の下方のフレーム106に収納され装置本体100と接続される。
【0044】
本実施例では、各処理室部とこれに対応するベッド部との組合せが1つの処理ユニットを構成している。この1つの処理ユニットがまとまりとして、装置本体100或いは搬送ユニット105(搬送室112)に取付、取外し可能に接続されている。また、1つの処理ユニットにおいて、処理部は搬送ユニット105に接続された状態で、下方の対応するベッド部を取付け/取外ししてもよく、逆にベッド部をフレーム106に接続した状態で上方の処理室部を取付け、取外ししてもよい。
【0045】
さらに、大気側ブロック101の後方で、処理ブロック102との間には、ロック室113が配置されているが、フレーム106あるいは各ベッドとの間に間隙が形成されている。この大気側ブロック101の背面側は、処理ブロックに供給されるガス、冷媒、電源等の供給路となっている。すなわち、このような真空処理装置100が設置される場所は、典型的にはクリーンルームのような空気が浄化される室内であるが、複数の装置を設置する場合には、装置本体100に供給される各種のガス、冷媒、電源は、別の箇所に、例えば、装置本体を設置するフロアとは別フロアに纏めて配置して各装置本体に管路を付設して供給されるものが、一般的である。本実施例は、別箇所からのガスや冷媒の管路、あるいは電源からの電線といった供給ラインの接続インタフェース201が大気側ブロックの背面部に設けられている。
【0046】
さらに、接続インタフェース部201で処理ブロック102側へ供給される各ユーティリティの供給路に接続される。接続インタフェース部201からの管路や電線等の供給は、供給ブロック203として纏められ、ロック室113下方と搬送室112の中央部下方を通り、フレーム106を構成する各ベッドフレーム205に設けられたインタフェース部を介して各ベッドに接続されている。また、処理に必要なガス等一部は処理ユニット103,104の間であって制御ユニット107上でこれに隣接して配置された供給路204を通り、制御ユニット107に接続される。
【0047】
従来は、このような別フロアの供給源から各処理室に別々に導くよう管路や電線等を付設していたため、処理室を整備調整したり別の使用のものに交換したりする場合には取外しや取付け作業が繁雑となって作業効率を損なっていた。また、各管路や電線を調節したりこの流れの状態を表示するメータ等の表示手段は、各々の処理室毎に設けられているため使用者が装置の動作状態を判断することが容易ではなかった。また、各処理室周りにこれらの管路が付設されているため、装置全体での必要な設置面積が実質的に大きくなって、1つのフロアに設置できる装置の数が減少してしまったり、作業のためのスペースが低減して作業効率を低下してしまったりするという問題が生じていた。本実施例では、上記の通りの構成により、十分な作業スペースを確保すると共に動作確認を容易に行えるように構成され、また、設置面積が低減する。
【0048】
すなわち、上記接続インタフェース201で接続されて処理ブロック102側へ供給される各供給ラインの状態を検知する検知手段とこの検知された出力の結果を表示して使用者が容易に装置の動作状態を検知できるよう検知出力を表示する表示手段を備えた表示部202が筐体108の背面部に配置されている。また、これらの供給ラインによる供給を調節する或いは調節の指令を入力できる調節手段を設けても良い。
【0049】
また、この筐体108の背面と処理ブロック102のフレーム106との間に間隔が設けられており、この間隔は使用者が入って処理ユニット104や搬送室112、ロック室113について作業することができるスペースであると共に、接続インタフェース部201や筐体108背面の表示部202を確認したり、調節、整備したりすることができるスペースとなっている。さらに、これら供給ラインからの供給に係る装置の動作に関する情報の表示と調節する手段とを集中的に配置している。これにより、装置を稼働させるために必要な作業が容易になり、装置の稼働効率が向上する。
【0050】
また、本実施例では処理側ブロック102の各ユニットに必要なユーティリティの供給路は纏めて配置されている。装置100の設置フロア下のフロア等の他箇所からの供給管や電線等の供給路を纏めて大気ブロック101の筐体108背面に配置したことで、装置本体100をフロアに設置する場合や装置の整備や交換作業を行う場合で供給路の取付け、接続、取外しの作業が容易となり作業効率が向上する。
【0051】
また、本実施例では、接続インタフェース部201からの管路や電線等の供給ラインは、纏められて配置され、ロック室113下方と搬送室112の中央部下方を通り、本実施例では搬送チャンバ112下方のセンターフレーム204内側の空間に配置されて、フレーム106を構成するベッドフレーム205に配置されたインタフェース部を介して各ベッドに接続されるが、接続インタフェース部201からの供給ラインの各管路、電線が直接フレーム106内ベッドに収納された装置に接続されるようにしても良い。
【0052】
つまり、各ユニットが搬送室112を囲むように配置され、上記の供給路203が配置される空間は、装置の内方側あるいは中央部側に配置されている。このような配置空間は、搬送室112、ロック室113の下方であって、各処理ユニットのベッドの間の空間に配置される。このため、供給路203の取付、接続、取外しといった作業のための空間が確保でき、作業が容易となり作業効率が向上し、ひいては装置の稼働効率が向上する。また、ユーティリティの接続部が装置の内方側、つまり搬送室113の下方であり、各ベッドの間の空間に面するように配置されているので上記作業のための空間が少なく、装置の周囲に配管や線路とその接続部等を設ける場合よりも設置面積が低減され同じフロア面積に対して設置可能な台数が増大する。
【0053】
図3は、図1に示す本実施例における各ユニットの構成の概略を示す斜視図である。図3(a)は、各処理ユニットのまとまりを示している。一方、図3(b),図3(c),図3(d)は、各々のユニットを分けて示す図である。図3(b)はエッチング処理ユニット103、図3(c)は、アッシング処理ユニット104、図3(d)は、MFC(Mass Flow Controller)を含む制ユニットを示している。
【0054】
この図のように、各処理ユニット103,104はそれぞれ上下に処理部103a,104aとフレーム106に収納され接続されるベッド部103b,104bとを備えている。これらのうちエッチング処理ユニット103の処理部103a,103bの間にはガスや循環する冷媒、電力の供給のための管路
、線路が配置されて両者を接続している一方で、図示していないフレーム106上に配置された複数の支持梁により処理部103aがベッド上に支持されている。制御ユニット107は、上記のようにエッチング処理ユニット103とアッシング処理ユニット104との間に配置されており、これらの処理ユニットのベッド部103b,104bのフレーム106上に取り付けられて配置されている。この制御ユニット107は、これを挟んで配置された処理ユニットが必要なガス等のこれら処理ユニットへの供給を調節する装置である。例えば、内部に配置された流量調節器がエッチング処理ユニット103の処理部103a内に配置された処理室(チャンバ)へのガスや電力の供給を調節する調節器が内部に配置されている。
【0055】
図4は、図1に示す実施例の制御ユニットと各処理ユニットとの位置関係を説明する側面図である。制御ユニット107がエッチングを行う処理ユニット103とアッシングを行う104の間に位置して配置されている。この制御ユニット107内には上記の通り各処理ユニットへの供給を調節する制御器401,402を備えている。
【0056】
本実施例では、エッチング処理ユニット103やアッシング処理ユニット104へ供給される処理ガス、処理室内の試料の温度調節に用いられるガス、冷媒の流量とその速度とを調節する流量調節器の複数が制御ユニット107内部に配置される。特に、制御ユニット107の内側において、エッチング処理ユニット用流量調節器が上方に、アッシング処理ユニット用流量調節器が下方に配置される。これらの流量調節器を含む制御ユニット内に配置された装置の整備、交換のために必要な開閉するアクセスドア403,404が上下に配置されている。
【0057】
例えば、処理室へ供給される冷媒や水といった液体、ガスの貯留部やこれらの流れを調節するバルブやこのバルブを駆動するモータ等の駆動手段が収納され配置される。こうした調節器は各処理室毎に用意される。何故なら、本実施例の処理ユニットは搬送室112或いは装置本体100から着脱可能な構成となっており、1つの装置本体100において異なる処理を行える処理ユニットを複数備えて試料であるウエハを処理するものであり、その処理も異なる処理に対して異なる仕様の処理ユニットを用意して処理ユニットを交換することで、1つの装置で多様な処理を行えることを特徴としている。異なるガス種類や温度等の処理の仕様の異なる処理ユニットに対応して、最適な処理の条件と装置の動作を実現するために、各々の処理ユニットについて独立した調節を実現することが望ましいからである。
【0058】
このような真空処理装置において、本実施例の制御ユニット107,107’は、2つの処理ユニットの間に配置されており、各ユニットに対して接続が容易に構成されている。このため、処理ユニットや制御ユニットの取付、取外しの作業が容易となり、作業時間が短縮される。
【0059】
また、制御ユニット107,107’内の各処理ユニットに対応する機器は、上下に配置されており、配置に必要なスペースを低減できる。処理ユニット同士の間の空間を有効に利用することで、処理ユニット同士の距離を小さくして装置全体の設置面積が低減される。また、各処理室へ供給される流体の流路長さの差異を低減することが容易となる。このため、処理ユニットあるいは処理室部の交換、変更の前後で、処理室への流路長の差異が抑制される。このようにして、整備、交換あるいは別ユニットの取付といった取付、取外しを行った場合に前後で性能の差が生じてしまうことを抑制し、使用者にとって、制御ユニット107での調節を容易にするとともに、装置全体の歩留まりを向上することができる。
【0060】
次に、本実施例の処理ユニットの構成の詳細について図5乃至図10を用いて説明する。まず、図5および図6を用いて処理ユニットの特徴的な構成について説明する。図5は、図1に示す処理ユニットのうち処理ユニットにおける処理チャンバ部の構成の概略を示す縦断面図である。図6は、図5に示す処理ユニットの処理チャンバ部の構成の概略を示す横断面図である。特に、エッチング処理ユニット103の処理室部の構成を示している。
【0061】
この図において、処理チャンバ部103aの上部を構成する処理室部500は、搬送室112に接続されておりこれらの間に配置された開閉する大気ゲートバルブ514によりその間が連通あるいは遮断される。この大気ゲートバルブ514が開放された状態で搬送室112内部の空間と処理室部500の内側の空間とが連通し両者の圧力は略等しくなる。大気ゲートバルブ514の開放時に試料であるウエハが搬送室112内部から処理室部内に配置された試料台504上に搬送されて載置される。
【0062】
本実施例では、試料が試料台504上に試料が載置されたことを検知して確認後大気ゲートバルブ514を閉塞し処理室部500内部と搬送室112内部とを遮断し、処理室部内を密封して処理を開始する。処理室部500を搬送室112から取外し、或いは整備する作業を行う場合、大気ゲートバルブ514は閉塞状態とし、処理室部500内を大気圧まで昇圧後この処理室部500の真空容器を形成する外側チャンバ511,512内を開放して大気に暴露する。
【0063】
この図に示すように、処理チャンバ500の上部は放電室部1001が配置されており、この放電室部1001は、真空容器の蓋を構成する蓋部材542と、この蓋部材542の内側に配置されたアンテナ部材と、このアンテナ部材の側方と上方とに配置され放電室部を囲んで配置された磁場発生部と、このアンテナ部材の下方に配置された天井部材とを含んで構成されている。また、磁場発生部上方にはアンテナ部材が放出するUHF帯やVHF帯の電波を供給する電波源部525が配置されている。アンテナ部材はSUS等の導電性部材で構成された蓋部材542の内側に配置された平板形状のアンテナ526と、このアンテナ526と蓋部材542との間に配置されてこれらの間を絶縁するとともにアンテナ526から放出される電波を下方の天井部材側に伝導するために配置されたリング形状を備えた少なくとも1つの誘電体528を有している。
【0064】
さらに、天井部材は、伝達されてきた電波を下方の処理室内側に伝導するため石英等の誘電体で構成された(石英)プレート503と、この石英プレートの下方に配置されて供給された処理用のプロセスガスを処理室の内側に分散して導入するための複数の孔が形成されたシャワープレート534を有している。
【0065】
シャワープレート534の下方であって試料台504の上方に形成された空間は、供給されたプロセスガスに石英プレート503を通って導入された電波と磁場発生部から供給された磁場との相互作用によりプラズマが形成される放電室532となっている。さらに、石英プレート503とシャワープレート534との間は微小な隙間を空けて空間が形成されており、この空間に放電室532に供給されるべきプロセスガスが先ず供給され、シャワープレート534を貫通してこの空間と放電室532とを連通してプロセスガスが通流する上記孔を通って放電室532に流入する。上記空間はプロセスガスが複数の孔から分散して放電室532に流入するよう設けられたバッファ室529となっている。このプロセスガスは、プロセスガスライン501及びプロセスガス遮断バルブ502を介してガス等流体の処理ユニット103への供給を調節する制御器402から供給される。
【0066】
このようにして、複数の孔からプロセスガスを分散して放電室532に導入するとともに、これらの孔は試料台504上に試料が載置される位置に対向した位置を主にして配置されており、ガスをより均一となるように分散できるバッファ室529の働きとともに、プラズマの密度を均一にすることを図っている。また、蓋部材542の下方で石英プレート503及びシャワープレート534の外周側には下部リング537が配置されており、この下部リング537の内部にはバッファ室529にプロセスガスが通流するガスライン501と連通したガス通路が設けられている。
【0067】
さらに、シャワープレート534の下方には、下部リング537とシャワープレート534とにこれらの下面で接して配置され真空容器の内側でプラズマに面して放電室532の空間を区画する放電室内側壁部材533が備えられている。この内側壁部材533の外周側にはこれを取り囲んで配置された放電室外側壁部材536が備えられており、この放電室の内側壁部材533の外側の壁面と外側壁部材536の内側の壁面とが対向して接触している。なお、本実施例では、内側壁部材533、外側壁部材536は各々略円筒形状を有しほぼ同心となるように構成されている。外側壁部材536の外周面には、ヒータが巻き付けられて配置され、外側壁部材536の温度を調節することでこれに接触した内側壁部材533の表面の温度を調節している。
【0068】
この外側壁部材536の外周側には、その下面に接触する放電室ベースプレート535が配置されている。この放電室ベースプレート535の下面でその下方に配置される真空室部と接続する。なお、内側壁部材533は放電室532内部のプラズマ、電極の役目を果たす試料台504に対する接地電極の作用をする部材でもあり、プラズマの電位を安定させるために必要な面積を有している。この接地電極としての作用のために、接触されて接続される外側壁部材536或いは蓋部材537との間での熱伝導とともに導電性を十分確保する必要が有る。
【0069】
内側壁部材533と外側壁部材536及び蓋部材537とはともに、導電性を有する部材で構成され、処理室部500外側の大気側へ露出されており、接地のための配線の接続が容易となるように構成されている。
【0070】
本実施の例では、真空室を構成する壁の表面の温度を調節して、その表面とプラズマやこれに含まれる粒子、ガス、反応性生物との相互作用を調節している。このようにプラズマとこれに面する真空室の壁面との相互作用を適切に調節することで、プラズマの密度や組成等プラズマの特性を所望の状態にすることができる。
【0071】
本実施例では、放電室ベースプレート535の内側に熱交換媒体が通流する媒体通路541を配置し、この媒体通路541内を水等の熱交換媒体が循環して通流することで放電室ベースプレート535の温度を調節し、この放電室ベースプレート535と内側チャンバ509の部材との間に配置されてこれらを接続する部材を介して内側チャンバ509の温度を調節している。つまり、放電室ベースプレート535と内側チャンバ509の側壁部材とが熱的に接続されており、両者間で熱が伝導されて熱交換される。熱伝導して熱交換が可能であれば、これらの間に別部材を配置してもよい。
【0072】
処理対象である試料が内側チャンバ509,510内の試料台504上に載置されるには、内側チャンバ509あるいは510にウエハが搬送されることのできるゲートが必要となる。さらに、このゲートを開閉して密封してこのチャンバの内側と外側の空間を遮断し連通するバルブが必要となる。
【0073】
本実施例は、処理室部500の内側と搬送室112の内側との間に設けられたゲートを開放しあるいは閉塞して密封することで両者を連通、遮断する大気ゲートバルブ504と内側チャンバ509の内側と外側とを開放し或いは閉塞して密封することで両者を連通、遮断するプロセスゲートバルブ513とを備えている。大気ゲートバルブ514は、搬送室112の内側の側壁上に配置されて駆動手段522によって上下及び水平方向に移動可能に構成されており、内側側壁上でゲートを密封するよう閉塞し、あるいは開放する。また、真空容器を構成する外チャンバ509に、搬送室112と処理室部500が接続されたときに前記搬送室112側のゲートと連通する位置にゲートが設けられる。
【0074】
この位置は、図6に示すように搬送室112内のウエハ搬送用のロボットアームである試料搬送装置506がウエハを搬送する際にウエハ及びロボットアームの接触する等の処理の支障が生じない位置であることが必要である。また、内側チャンバ509が外側チャンバ511内に設置された状態で外側チャンバのゲート或いは搬送室112のゲートに対向する位置にプロセスゲートが配置されており、このプロセスゲートを通ってウエハが搬送される。
【0075】
さらに、このプロセスゲートを開放、閉塞して密封するためのプロセスゲートバルブ513が、外チャンバ511と内チャンバ509との間の空間に配置され、プロセスゲートバルブ514は、その下方の駆動手段521によって上下及び水平方向に移動可能に構成されており、閉塞時に内チャンバ509の側壁上に配置されて内側側壁上でゲートを密封するよう閉塞し、あるいは開放する。プロセスゲートは、ウエハを搬送する搬送室内のロボットアームがウエハを搬送した状態でウエハ及びロボットアームと接触しない位置と形状で配置されている。
【0076】
上記の構成において、各ゲートバルブはウエハの搬送の際に支障がし生じないよう開放される。また、ウエハを処理する際には、最も内側のチャンバ、本実施例では内側チャンバ509に設けられたゲートを閉じるゲートバルブ、プロセスゲートバルブ513と大気ゲートバルブ514とは閉塞されて密封され、これらの内外の空間の間を遮断する。また、処理室を取外し、或いは整備作業等で真空容器を開放する場合には、大気ゲートバルブ514は閉塞された状態で、プロセスゲートバルブ513は開放され外側チャンバ511の内側における内側チャンバ509の内外の空間を連通する。この際、プロセスガスを処理室部500内には供給しないようプロセスガス遮断バルブ502を駆動してプロセスガスライン501を遮断して閉塞する。
【0077】
上記のように、本実施例では、プロセスゲートバルブ513を開放して外側チャンバ511内の内チャンバ509の内側、外側を連通し略同じ圧力に設定、あるいは調節可能に構成している。このようにすることで、この内側チャンバ509あるいは510は、内外の大きな圧力差による荷重が小さくなり部材の厚さや大きさを低減することができる。
【0078】
処理室部500の真空容器である外側チャンバ511の内側を整備作業をする場合には大気ゲートバルブ514を閉塞して外側チャンバ511内を密封してこれを確認後、プロセスゲートバルブ513を開放する。プロセスゲートが連通され内側チャンバ513内外の空間が連通された状態で、大気開放バルブ515を開放して処理室部500外部と内部とを連通させ、処理室部500内の外側チャンバ511,512内の圧力を昇圧して略大気圧まで上昇させる、すなわち、大気開放する。
【0079】
この大気開放後、処理室部500内を開放する。まず、処理室部500の外側チャンバ511の上部に配置されてこの内側を密封している蓋503を上方に持ち上げて開放する。この際、クレーン等で上方に持ち上げても良いが、予めヒンジ部を設けておき、ヒンジを軸にして上方に跳ね上げて180度以上開くようにしても良い。次に、内側チャンバ509を整備する作業を行う。この整備作業、例えば清掃や交換、修理等を容易に行えるようにするため、内側チャンバ509を外側チャンバ511から取出して、処理室部500から取外しても良い。
【0080】
上記のように、内側チャンバ509の内外が略同圧となるまで調整、あるいは維持可能な構成を備えるので、チャンバ部材の厚さが抑制される。このため、内側チャンバ509の重量が軽減され取外し等取り扱い作業が容易となり、作業時間が低減され装置の稼働効率が向上する。
【0081】
図7は、図5に示すゲートバルブの全体構成を示す縦断面図である。この図において、ゲートバルブ513は弁体701とその下方の駆動手段521に大きく分けられ、さらに、この弁体701の両端側に配置された1対の連結手段がこれらを連結している。
【0082】
駆動手段521は主に、最終的に弁体701と連結されこれを略上下、水平に移動させるためのアクチュエータ702と、これに連結されたプレートと、駆動手段521の上端の部分を構成する上部ガイド703とを有している。また、弁体701は駆動手段521とその両端側に配置された1対の支持柱704により連結され、駆動手段521により支持されている。
【0083】
本実施例では、上記プレートはアクチュエータ702の弁体701の両端側のそれぞれに複数枚配置されており、これらのプレートがアクチュエータ702と支持柱704とを連結し、ひいては弁体701とを連結している。図7では、それぞれの側に2枚のプレートが配置されており、一方側はアクチュエータ701に近い側のアクチュエータ側プレート705、この支持柱側に配置された支持柱側プレート706が備えられている。
【0084】
アクチュエータ側プレート705の下端とアクチュエータ702のピストン707とはアクチュエータ側ベース部材708により連結されアクチュエータ側プレート705はアクチュエータ702の動作に伴い上下する。さらに、支持柱側プレート706の下部には支持柱704の下端部と連結された柱支持部709が取り付けられて支持柱側プレート706と支持柱704とが連結され、支持柱側プレート706の所定の方向の移動に伴って支持柱704および弁体が略同じ方向に移動される。これらのプレート同士およびアクチュエータ702との間には、これらの間に配置されたリニアガイド710と呼ばれる、ガイドレールとこれに係合されてこれに沿って移動するスライダとを有するガイド部が配置されている。さらには、アクチュエータ側プレート705の下部と支持柱側プレート706の上部とを連結するダンパ712が各プレートの支持柱側に配置されている。
【0085】
上記のように、弁体701の両端側に配置された1対の支持柱704は、弁体701と支持柱側プレート706とを連結することで、駆動手段521と連結されている。両端側の支持柱704によって弁体701の動作に伴い生じる振動が抑制され、特に、弁体701の中心部分を軸としてその周りを回転する振動が低減される。
【0086】
本実施例では、上部ガイド703に形成された支持柱704が内側に配置された貫通孔の開口から各支持柱704の周囲およびこの柱支持部709に至るまでの空間がベローズ711で気密に封止され弁体701が配置される空間とベローズ711及び上部ガイド703で仕切られた駆動手段521内部の空間とが真空側と大気側とに分けられている。
【0087】
このような構成により、弁体701はプロセスゲート513の開口部に対して、下方の位置から上方へ移動し略水平に移動して開口部を覆って閉塞して開口部の内外を気密に封止する。また、逆に開口部を閉塞した状態から略水平に移動して開口部を開放し、下方へ移動する。
【0088】
図8は、図7に示す駆動手段の一端側の主要部の構成を拡大して示す模式図である。この図において、アクチュエータ702の一端側に配置された2つのプレートおよびこれらの間に配置されたリニアガイド等のガイド部材、支持柱704との接続関係が示されている。
【0089】
アクチュエータ702およびこれの一部をなすピストン707とが、アクチュエータ側ベース部材708と接続され、このアクチュエータ側ベース部材708を介してアクチュエータ側プレート705がアクチュエータ702と連結されている。さらに、アクチュエータ702の側壁部分にはリニアガイド710aが配置されて、アクチュエータ側プレート705と接続、連結されている。このリニアガイド710aは、アクチュエータ702の駆動方向に沿ってガイドレールがアクチュエータ702の側壁に連結されて配置されており、これに沿って移動可能なスライダがアクチュエータ側プレート705に連結されているので、このプレート705はアクチュエータ702の動作に伴ってリニアガイド710aに沿って、上下に移動する。
【0090】
さらに、アクチュエータ側プレート705の支持柱側プレート706と対向する面上には、複数の略並行に配置されたリニアガイド710bが配置されている。このリニアガイド710bのスライダ部は支持柱側プレート706と連結されている。リニアガイド710bによってスライダが移動する方向、すなわち、アクチュエータ側プレート705に対して相対的に支持柱側プレート706が移動する方向は、支持柱704側(弁体701の端部側)から駆動手段521の中央部側方向を見て、交差するように配置されており、アクチュエータ702の駆動に伴って、アクチュエータ側プレート705と支持柱側プレート706とは連結されたリニアガイド710a,により定められた2つの所定の方向に沿って移動する。
【0091】
支持柱側プレート706の下部では、上記のように柱支持部材709により支持柱704と連結されアクチュエータ702下端のアクチュエータ側ベース部材708が、それらの間に配置された部材を介して支持柱704とこれに連結された弁体701を支持する構成となっている。また、アクチュエータ側プレート705下部と支持柱側プレート上部との間に配置されてこれらを接続するダンパ712は、両者の間の相対運動を緩衝するとともにその内側に弾性を有する部材を備えて両者の接続部分に対して付勢する作用を及ぼす。すなわち、アクチュエータ側プレート705から見て、支持柱側プレート706をダンパ712の軸方向に沿った斜め上方に押し付ける荷重を与えている。このため、本実施例ではアクチュエータ702が下方に位置する場合で、支持柱側プレート706はその上端部が上部ガイド703に接触しない範囲ではダンパ712或いはリニアガイド710bがその稼働範囲の端となる位置にされている。例えば、ダンパ712の最大延長まで伸ばされた状態となっている。
【0092】
図9は、図8に示した駆動装置の動作を説明する模式図である。特に、アクチュエータ側プレート705、支持柱側プレート706、及びダンパ712の動作について、駆動装置の側方(一方の支持柱側から中央のアクチュエータ側を見る方向)から見た場合を示している。この図において、図8(a)は、駆動手段521の正面方向からアクチュエータ702の一端側の部材の構成を見た図である。図8(b)乃至(d)は、駆動手段521の側方より前記一端側の構成を見た模式図であり、アクチュエータ702のその下端部から上端部までの動作により、アクチュエータ側プレート705、支持柱側プレート706が上方及び図面上右方に移動する状態を示している。
【0093】
図8(b)は、アクチュエータ702が下端位置にある状態を示しており、この状態でアクチュエータ側ベース部材708を介して連結されているアクチュエータ側プレート705もその下端位置にある。この状態で、上記のように、ダンパ712が有する反発力の付勢により支持柱側プレート706は、アクチュエータ側プレート705の左斜め上方に位置するように押し上げられ、ダンパ712またはリニアガイド710bの可動端の位置となって、その位置が決められている。また、この状態で、支持柱側プレート706は、その上端部は上部ガイド703の下面には接触しておらず、その間に隙間を有して保持されている。
【0094】
図8(c)は、アクチュエータ702が作動して上方に任意の距離移動し、これに伴ってアクチュエータ側プレート705も上方に移動した状態を示している。そして、この図では、支持柱側プレート706の上端部が上部ガイド703の下面と接触する位置まで、アクチュエータ702が動作した状態を示している。アクチュエータ702の下端からこの位置までの駆動により、支持柱側プレート706はアクチュエータ側プレート705とほぼ一体に同じ方向に、つまり上方に移動する。さらに、支持柱704の上端側に保持されている弁体701は、プロセスゲートバルブ514の下方から開口部の高さ位置まで移動する。この上部ガイド703と接触した状態で弁体701は、内側チャンバ509の開口と水平方向に対向する状態となっている。図8(d)では、アクチュエータ702の更なる動作により、アクチュエータ側プレート705がさらに上方に移動する。
【0095】
一方、支持柱側プレート706はその上端部がアクチュエータ側プレート705の移動と同じ方向側に配置された上部ガイド703と接触してこの方向への動作が妨げられる。この際、アクチュエータ側プレート705と支持柱側プレート706との間で上記アクチュエータ702の移動方向と傾けてその移動方向が配置されたリニアガイド710bに連結された両プレート705,706が作用して、支持柱側プレート706はアクチュエータ側プレート705と相対的に交差する方向に移動する。
【0096】
つまり、アクチュエータ側プレート705から見て、リニアガイド710bのガイドレールが配置された方向に沿って支持柱側プレート706は移動する。この両者の移動方向は、駆動手段521の側方から見て鈍角を成すように構成されている。すなわち、アクチュエータ側プレート705の上方への移動に伴って支持柱側プレート706は相対的に下方へ(アクチュエータ側プレート705移動方向とは反対の方向へ)移動するとともに、上部ガイド703下面に沿った方向である略水平方向に移動する。これを駆動装置521、あるいは真空処理装置本体の外部から見ると、弁体701は上部ガイド703の下面にそって略水平に移動し、アクチュエータ702がその可動範囲の上端部に到達するかそれまでに、内側チャンバ509の外側壁面と接触しこれに設けられたプロセスゲートバルブの開口部を閉塞する。
【0097】
なお、支持柱側プレート706の上端部あるいは上部ガイド703下面の少なくともいずれかにその接触面上にテフロン(登録商標)等の樹脂を被覆して接触して摺動する際の摩擦抵抗を低減するようにしても良い。また、支持柱側プレート706の水平方向の動作の際に、アクチュエータ側プレート705と支持柱側プレート706との間を接続するダンパ712に備えられた反発力により、アクチュエータ側プレート705に対して支持柱側プレート706は上方の上部ガイド703下面に押圧され続けている。このダンパ712の反発力による付勢と緩衝機能とにより、2つのプレート間の振動が低減、減衰され、ひいては弁体701の振動が低減あるいは減衰される。
【0098】
図10は、図7に示した弁体の全体構成の概略を示す斜視図である。この図において、弁体701は大きく3つの部分に分けられ、弁体の本体である基体1001、この基体1001の開口側に取り付けられる弾性を有したシール部材1002、これを基体1001上に取り付けて位置決めするカバー1003を有している。
【0099】
シール部材1002は、弁体701が内側チャンバ509あるいはこれに設けられた開口部と接触して閉塞する際に、基体1001と内側チャンバ509とに挟まれてこれらと接続され、開口部の内外、つまり内側チャンバ509の内外を気密に封止する機能を提供する。本実施例では、シール部材1002は腐食性ガスに対する耐性を備えた樹脂で形成されている。カバー1003は、シール部材1002を基体1001側に押し付けて位置決めするためのものであり、本実施例ではシール部材1002を基体1001との間で挟んで位置を固定している。カバー1003と基体との固定は、基体1001の背面、つまり開口部に面する側とは反対側から挿入された複数の連結ボルト1004により弁体701と連結される。
【0100】
シール部材1002は、基体1001の上記開口部と対向する側の面上に配置されており、弁体701が内側チャンバ509と接してゲートバルブ513が閉じられた状態で、この面は、内側チャンバ509の外側の壁面とシール部材1002を介して対向し、この面上で保持されたシール部材1002によって開口の内外が封止されるシール面1005となる。
【0101】
また、この開口と対向する側或いは内側チャンバ509の外側壁面と対向して弁体がこれと接続される側のシール面1005は、内側チャンバ509の外側壁面に合わせた平坦な曲面となっており、従来の技術で設けられていたシール部材を嵌め込んで位置決めするための溝や凹みは配置されていない。
【0102】
この平坦な曲面は、内側チャンバ509の外壁の形状に対応したもので、弁体が接続する壁の形状が平面上であれば平面であって良く、また、ゲートバルブの開閉対称が搬送室と処理室との間の開口や、ロードロック室の開口である場合等でもその開口が設けられる部材の壁面の形状に合わせて構成して良い。
【0103】
上記のように、シール面1005上には溝や凹みは構成されていないので、シール部材1002の固定は、シール面1005上に取り付けられて弁体701と締結されるカバー1003のシール面側に設けられた構造により行われる。
【0104】
図11は、図10に示すシール部材の構成の概略を示す正面図及び断面図である。この図11(a)において、シール部材1002は、開口側(正面側)から見て略矩形状で中央側が開口した構成となっている。本実施例では、この中央側にカバー1003が取り付けられ、その外周側に位置するシール部材1002と係合する構成となっている。
【0105】
図11(b)は、シール部材1002のシール面1005に垂直な面で切った場合の断面である。この図に示すように、シール部材1002は、一方の側に複数(本実施例では2つ)の凸部を他方の側に平坦な面を有している。この実施例では、図面上左側に位置しシール部材1002の外周側に位置する外側凸部1101は、その平坦な面からの高さが内周側に位置する内側凸部1102の平坦な面からの高さよりも高く構成されている。これら2つの凸部1101,1102の間にはその部材の厚さが凸部より小さくされたくびれ部1103が配置されている。
【0106】
他方の側に構成された平坦な面は、弁体701が開口を閉塞した状態でシール面1005と面同士で接触して接続する弁体接続面1106となっている。
【0107】
図12は、弁体701及び内側チャンバ509の接続しその開口1201を閉塞した状態時の構成の概略を示す断面図である。この図のように、シール部材1002は弁体701のシール面1005上において、カバー1003及びシール面の外周側に沿って配置されており、その外周側凸部1106がその上面の曲面において、開口部1201外周の内側チャンバ509外側壁面と接触している。
【0108】
さらに、連結ボルト1004は、弁体701、基体1001の開口部1201とは反対の側から挿入され連結される。この連結ボルト1004とこれが挿入されるねじ孔は、腐食性ガスの影響及びシールを高めるため、カバー1003の厚さの途中までに到達する長さとされている。
【0109】
上記のように、シール部材1002の中央側開口内にカバー1003が配置され、弁体基部1001と連結されるとともに、シール部材1002を位置決めする。このカバー1003のシール面1005に面する側には、その中央部にシール面1005と接続する面を有し、さらに、その外周にはシール部材1002と係合する構成として、外周側凹部1202とその外周側でカバー1003の外周端に配置された外周端凸部1203を備えている。カバー1003は、基体1001に取り付けられた状態で、その外周端凸部1203がシール1002のくびれ部1103をシール面側に向けて押圧してこれをシール面1005上で位置決めする。また、外周側凹部1202はカバー1003が取り付けられた状態で、シール部材1002の内側凸部1102と接触してこれをシール面1005側に押圧しシール面1005との間で挟んで保持している。この状態で、内側凸部1102の凸部の曲面は外周側凹部1202の表面と接触して、この接触部のカバー1003の外周側と内周側との間をシールする。
【0110】
本実施例では、シール部材1002のシール面1005に接触する側には凹凸を設けていないが、内側凸部をシール面1005に接する側に配置してもよく、この際シール面1005上に凹み部を設けて、この凹み内においてこの内側凸部の曲面と凹み部内の面とが接触してシールされるようにしても良い。カバー中央部で連結ボルトによりカバーを弁体基部と連結このように、カバー1003の内周側にシールされる領域を設けることで、外周凸部1101でシールされた腐食性ガスがカバー1003の中央部側に流れることを抑止している。このシールされたカバー中央側に連結ボルト1004を配置することでこの連結ボルト1004の腐食や悪影響を抑止している。
【0111】
また、図12に示すように、弁対701が開口1201を閉塞している状態で、シール面1005から凸状に飛び出しているカバー1003が開口部
1201の内側に進入しており、さらにカバー1003の表面が内側チャンバ509の内周壁面とおよそ同一の面を形成している。これにより、ガスが導入されプラズマにより処理が行われる内側チャンバ内の処理に対する処理室内の形状が周方向に不均一であることによる影響が低減され処理がより均一に行われる。また、カバー1003と開口部1201との隙間は、公差等から必要であるが、この隙間の弁体701側には、シール部材1002とカバー1003の側面との境界が位置している。この境界部はカバー1003側壁とシール部材1003の外周凸部1101との境界になっており、隙間からの腐食性ガスの進入によるシール部材1002の弱い箇所への影響を抑制している。
【0112】
以上の実施例の構成により、弁体の開口部を閉塞或いは開放する動作を行わせる駆動手段において、2つの方向に対応して配置された2つの部材を連結し、各々の部材の動作の連動により略水平方向、すなわち、弁体を開口部に対向させた状態から近接し閉塞、あるいは開放して離反するという動作を行わせて、この近接、離反の移動の距離を大きくすることが可能となる。従来の技術のように、一つのガイドに沿った動作では、交差する方向複数の動作を連続して行わせようとすると曲線状の経路をガイドすることが求められ、これらを単一の方向の駆動手段を用いて実現することが困難であり、また、複数の方向について移動の距離を長くすることが困難であった。
【0113】
上記の実施例の構成では、2つの略直線状の方向にそって移動する2つの部材を有し、各方向に移動させるガイド部材を配置している。各方向についてのガイド手段は、製造も容易となり、また、同じ難易の工作であれば精度を向上させることができる。また、ガイドレールとスライドとの備えるガイドのこれらの係合を、例えばボールベアリングや流体等により与圧することで、精度をさらに高くすることができる。これにより、ガイドの沿う移動に伴い発生する部材の振動を低減、抑制することができる。
【0114】
また、2つの略直線状の方向に対応する部材の連結によって、両者の連動が弁体の閉塞、あるいは開放の動作を実現している。このため、弁体を閉塞するために押圧する、あるいは閉塞状態から引き剥がす際にも、従来技術よりもより大きな力を加えることができる。このため、アクチュエータの出力を小さくでき、装置を小型にすることができる。
【0115】
また、複数の方向に対応したそれぞれの部材を連結することで弁体或いはアクチュエータ側プレートと支持柱側プレートとの間の振動を抑制するダンパの配置が容易となる。このダンパは、振動を緩衝すると共に、反力を与えて付勢することで、常時アクチュエータ側プレートと支持柱側プレートとの間で荷重を印加し、支持柱側プレートと上部ガイドとの間の摺動の摩擦力による上下方向の振動は励起されない。
【0116】
また、弁体の両端側で支持柱と接続されて支持されている。弁体の振動は複数の柱により振動の大きさが抑制されると共に、弁体の中心側を軸とした回転運動は支持柱の変位として変換される。回転運動ではなく、略直線的な変位運動をガイド、プレートの運動、ダンパの作動によって抑制や緩衝が容易となり、振動を容易に抑制、減衰させることができる。また、ダンパの配置方向は、ガイドによる相対的な支持柱側部材の動作方向と略同じ方向に設定される。このため、緩衝、減衰の作用が向上する。
【0117】
また、シール部分は弁体側の平坦な面と弁体のシール面とが面同士で接触する。また、カバーによりシール面状でシール部材が押圧されて位置決めされる。これにより、加工困難な溝、凹みを形成する必要が無く、作業効率が向上し製造コストが低減される。特に、シール面が曲面状に形成される場合には、溝、凹みの形成は著しく困難であり、シール部材を嵌め込む場合にも大きな手間が掛かり、さらにはシール部材の捻じれが生じてシール性能が低下してしまうことが抑制される。カバーを用いて位置決め→取付時の作業容易→装置駆動効率向上つまり、シール部材とシール面との平面や平坦な曲面同士の接続により、シール部材の回転が抑制され、シール部材の捻じれによるシール性能の低下、破れが発生することが抑制される。
【0118】
また、シール部材のくびれ部の両側に配置された凸部を有し、このくびれ部をカバーで押圧されて位置決めされる。くびれ部が押圧されて挟まれるため、シール面上での外側凸部の変形が容易となり、特にシール面に沿った方向への変形が容易となる。このような構成では、曲面を有するチャンバ外壁に接触して閉塞する際に凸部の接触位置がズレて、チャンバ外壁がこすれてしまうことが抑制され、異物やコンタミの発生が抑制される。さらには、弁体の片当りが発生した際にも、シール部材の回転(捻じれ)が容易に抑止されシール性能の低下や破れが抑止される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1(a)】本発明の実施例に係る真空処理装置の全体構成を示す前方から見た斜視図。
【図1(b)】図1(a)に示す真空処理装置の全体構成を示す後方から見た斜視図。
【図2(a)】図1に示す実施例に係る真空処理装置の構成の概略を示す上面図。
【図2(b)】図1に示す実施例に係る真空処理装置の構成の概略を示す側面図。
【図3】各ユニットの構成の概略を示す斜視図。
【図4】図1に示す実施例の制御ユニットと各処理ユニットとの位置関係を説明する側面図。
【図5】図1に示す処理ユニットのうち処理ユニットにおける処理チャンバ部の構成の概略を示す縦断面図。
【図6】図5に示す処理ユニットの処理チャンバ部の構成の概略を示す横断面図。
【図7】図5に示すゲートバルブの全体構成を示す縦断面図。
【図8】図7に示す駆動手段の一端側の主要部の構成を拡大して示す模式図。
【図9】図8に示した駆動装置の動作を説明する模式図。
【図10】図7に示した弁体の全体構成の概略を示す斜視図。
【図11】図10に示すシール部材の構成の概略を示す正面図及び断面図。
【図12】弁体及び内側チャンバの接続しその開口を閉塞した状態時の構成の概略を示す断面図。
【符号の説明】
【0120】
101…大気側ブロック
102…処理ブロック
103,104…処理ユニット
105…搬送ユニット
106…フレーム
107…制御ユニット
108…筐体
109…ウエハカセット
110…ダミーカセット
111…位置合せ部
113…ロック室
201…接続インタフェース
202…表示部
203…供給路
401,402…アクセスドア
500…処理室部
501…プロセスガスライン
502…プロセスガス遮断バルブ
504…試料台
506…試料搬送装置
507…排気バルブ
508…排気ポンプ
509,510…内側チャンバ
511,512…外側チャンバ
513…プロセスゲートバルブ
514…大気ゲートバルブ
515…大気開放バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内側が減圧される真空容器と、この真空容器の壁に配置されその内外を連通し処理対象の試料がやりとりされる開口と、前記壁の外側に配置され前記開口を気密に閉塞および開放する弁体と、この弁体上の前記開口の周囲の前記壁と接する側に配置されこの弁体が前記開口を閉塞した状態で前記壁及び弁体と接触して前記開口の内側を封止するシール部材と、このシール部材を構成する前記壁と接触する凸状の曲面を有した第1の凸部及びこの凸部から延在し前記弁体と係合してその内側に取り付けられる張り出し部と、前記弁体の前記壁と接する側に取り付けられ前記張り出し部の少なくとも一部をこの弁体に押し付けて位置決めするカバーとを備えた真空処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空処理装置であって、前記張り出し部の前記カバーに押し付けられる部分に配置されこのカバー及び前記弁体と接触してシールする第2の凸部を備えた真空処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の真空処理装置であって、前記弁体が前記第1の凸部の配置された表面に略平面或いは平坦な曲面を有し、前記第1の凸部が前記弁体の側に平面或いは平坦な曲面を有して前記弁体の表面と接触する真空処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の真空処理装置であって、前記カバーは前記弁体上で凸上に配置されて前記壁に接した状態で前記開口部内に進入している真空処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の真空処理装置であって、前記開口が前記試料が処理される処理室の壁に配置され、この開口が前記弁体により閉塞された状態で前記カバーの表面が前記処理室の壁の表面と略同一の面を構成する真空処理装置。
【請求項6】
その内側が減圧される真空容器と、この真空容器の壁に配置されその内外を連通し処理対象の試料がやりとりされる開口と、前記壁の外側に配置され前記開口を気密に閉塞および開放する弁体と、この弁体上の前記開口の周囲の前記壁と接する側に配置されこの弁体が前記開口を閉塞した状態で前記壁及び弁体と接触して前記開口の内側を封止するシール部材と、前記弁体の前記壁と接する側に取り外し可能に取り付けられ前記シール部材の少なくとも一部をこの弁体に押し付けて位置決めするカバーとを備えた真空処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の真空処理装置であって、前記カバーは前記弁体の略平面または平坦な曲面上にこれと接して配置された前記シール部材を前記弁体の側へ押し付けるよう取り付けられた真空処理装置。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−80364(P2006−80364A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263967(P2004−263967)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】