説明

真空適用のための空気静力学的にガイドされたテーブル装置

【課題】平行運動学などの駆動装置の運動学が従来技術と異なり、正確な位置決めが可能になる真空適用のためのテーブル装置を提供する。
【解決手段】真空適用のためのテーブル装置は空気静力学的軸受ユニットによりガイドされた移動テーブルとベースプレートを有する。軸受ユニット(10)が、軸受ユニットの作動に必要なガスを供給及び排出する供給ライン及び吸い込みラインに連結し、各場合に少なくとも1つの段を有する、吸い込みチャネルと真空に対してシールするシーリングギャップとを有するシーリング装置を具備する。テーブル装置の特徴として、軸受ユニットが少なくとも部分的に回り継手として構成され、移動テーブルを横にガイドするドライブ(5)によって作動されるプッシュロッド(4)が、それぞれの回り継手の回転部品(21)に連結し、プッシュロッドが中空であり、作動ガスを排出するための吸い込みラインの構成部品を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブル部分に従う真空適用のためのテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のテーブル装置は、例えば特許文献1及び2から一般的に知られている。真空環境での使用に適したこれらの文献から知られているガスガイド又はエアガイドされたテーブルは、通常、例えばx方向及びy方向に指向した2つの軸であって、高真空条件下で移動できる軸を有する。気体軸受要素又は空気軸受要素が、例えば、実質的に摩擦のない移動のために固定ベースプレート上で使用される。通常、複数のスライドが、1つの軸(例えば、x軸)に沿って例えばバーの形式のガイドレール上を移動することができ、例えばクロスバーの形式の連結レールが、他の軸の方向にこれらのスライドの間に配置され、他の軸に沿って別なスライドが延びる。このスライドはステージプレート装置を担持している。
【0003】
特許文献3は、3つの回転駆動部を備えたテーブル装置を開示しており、移動テーブルが3つのドライブロッドに回転・旋回可能に連結している。それぞれのドライブロッドは、モーターに連結したドライブローラとピンチローラによって動かされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP1235115A2
【特許文献2】US6499880B2
【特許文献3】US5140242
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、平行運動学などの駆動装置の運動学が従来技術と異なり、正確な位置決めが可能になる、真空適用のためのテーブル装置を提供することである。特に、高い剛性と連結した小さめの移動質量は装置の力学に関して利点をもたらし、平行運動学アプローチを従来の連続アプローチから卓越させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上述の目的は、請求項1の特徴を有する真空適用のためのテーブル装置によって達成される。
【0007】
さらなる有利な発展及び改良は、従属請求項に示されたステップによって可能になる。
【0008】
平行運動学リンク機構は、テーブル装置の空気静力学的軸受ユニットが少なくとも部分的に回り継手(スイベルジョント)として構成され、x方向及びy方向に横に移動テーブルをガイドするドライブによって作動されるプッシュロッドが、z軸の回りを回転するそれぞれの回り継手の部分に連結し、プッシュロッドが中空であり、かつ空気静力学的軸受ユニットのための作動ガスを排出する吸い込みラインの構成部品を構成することで形成される。このようにして、空気静力学的軸受ユニットに一体化された空気静力学的軸受要素によってベース構造に対して支持された移動テーブルは、どの位置にも正確に位置決めされる。短い吸い込みライン長さが実現され、吸い出されたガスがプッシュロッドを介して除去されることで、パイプラインを介する強制的な力のテーブル装置への伝達が回避される。プッシュロッドの自由端は、有利には、移動テーブルを有する第一真空室から圧力の点で分離された第二真空室又は第二室で又はメインチャンバーでシールにより終端し、それを介してプッシュロッドから流出したガスは関連する真空ポンプによって排出される。
【0009】
回り継手及びガイド要素として機能する正確には3つの空気静力学的軸受ユニットが、捩じり剛性を有するフレーム構造に配置される。回り継手のそれぞれは、例えば軸断面に注目してダブルのT(二重のT)として成形された部品であって、フレーム構造に対して固定された部品を有する。回転可能な部品は、軸部品として中央領域の回りに配置されたリングであって、関連するシーリング装置を備えた空気静力学的軸受により固定された部品に対して、少なくとも半径方向に、好ましくは半径方向と軸方向の両方に支持された回転リングである。空気静力学的軸方向軸受を回転リングの両方のフロントサイドに配置することで、軸方向軸受は相互に予圧されるので、この回転リングは非常に高い軸剛性を有する軸受ユニット内に受容される。従って、空気静力学的軸受ユニットは好ましくは複数の機能を実行する。それぞれの空気静力学的軸受要素のシーリング装置の吸い込みチャネルは、ラインによって軸受ユニット内で連結されており、それでコンパクトな構造が達成される。
【0010】
異なる圧力に対してシールするための二段シーリング装置では、好ましくは、2つのプッシュロッドが低めの圧力でガスを導き、1つのプッシュロッドが高めの圧力でガスを導く。このようにして、低めの圧力で吸い込み段(吸い込みステージ)の吸い込み能力を二倍にすることができ、これは空気静力学的軸受ユニットの漏れ速度にポジティブな影響を及ぼす。このステップはパイプラインの費用を最適化する。しかしながら、作動ガスを排出すること以外の目的のために第三のプッシュロッドを使用し、例えば移動テーブルに他の媒体を供給することもできる。また、他の媒体を移動テーブルに供給するために、個々のプッシュロッドを多数のラインに分割することもできる。
【0011】
特に好ましい態様では、結合要素が、プッシュロッド及びドライブの製造公差と、移動テーブルに対するドライブのアライメント(心合わせ)の公差とによって生じる望まれない運動が移動テーブルに伝わるのを防ぐので、それぞれのプッシュロッドは、回転及び捩じれを可能にする結合要素によって、回転可能な部品、すなわち軸受ユニットの中央リングに連結される。この目的のために、連結要素は回り継手と捩じれ継手を有する。
【0012】
特に有利な実施形態では、好ましくは静電予圧装置が、該予圧装置とベースプレートの間に作用する力を働かせるために、ベースプレートに向きあうフレーム構造のサイドに配置される。移動テーブルの改善された静的及び動的特性が、この予圧装置により実現される。
【0013】
それぞれのプッシュロッドを駆動するために、モーターにより駆動される回転可能に支持された摩擦ホイールギヤユニットが設けられ、有利には同時にプッシュロッドを支持又はガイドする働きを有する。
【0014】
本発明では、空気静力学的軸受ユニットを備えた移動テーブル、ベースプレート及びプッシュロッドの一部が第一真空室内又はメインチャンバーに受容され、ドライブ、例えば摩擦ホイールドライブが、第一のメインチャンバーと高めの圧力を有する第二真空室(すなわち、第二室)の間に少なくとも部分的に配置される。
【0015】
既に述べたように、プッシュロッドの自由端は、移動テーブルの空気静力学的軸受ユニットの吸い込み装置の構成部品である第二室に突出し、そこには、プッシュロッドから第二室に流出したガスを排出するための真空ポンプが連結している。摩擦ロッドの自由端と作動ガスを吸い出すのに必要な真空ポンプとの間に撓み継手ライン(flexible connection line)は必要ない。従って、強制的な力が吸い込みラインを介して移動テーブルに伝達することが防がれる。
【0016】
第二室に対してメインチャンバーをシールするために、その間に配置された吸い込み段を有するダイナミックギャップシール(動的ギャップシール)が有利には設けられる。これらのダイナミックギャップシールは、互いに対して回転可能に支持された摩擦ホイールギヤユニットの内側円筒ハウジング部品と外側円筒ハウジング部品の間の一段(シングルステージ)又は二段(ツーステージ)のシーリング装置として配置される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従うテーブル装置の斜視図である。
【図2】本発明に従うテーブル装置の移動テーブルの斜視底面図である。
【図3】本発明に従うテーブル装置において使用される一体化型の回り継手を備えた空気静力学的軸受ユニットを通る斜視断面図である。
【図4】プッシュロッドとの結合のための結合要素を備えた図3に従う軸受ユニットの斜視図である。
【図5】摩擦ホイール・軸受を備えた摩擦ホイールギヤユニットの部分の概略図である。
【図6】プッシュロッドの部分を備えた摩擦ホイールギヤユニットの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例を図面に示し、以下により完全に説明する。
図1に示されたテーブル装置1は、ベースプレート2、ベースプレート2にガスガイドされた移動テーブル3及び3つのプッシュロッド4を有するガイド・駆動装置を有し、プッシュロッド4は移動テーブル3に作用し、関連したドライブ5を有する。ドライブのモーターは詳細には図示されていない。ベースプレート2、移動テーブル3及び部分的にプッシュロッド4は、メインチャンバーとして指定される第一真空室6内に受容されるのに対し、ドライブ5は、第二室7として指定された第二真空室内に少なくとも部分的に配置される。3つの第二室はドライブ5の量に応じて設けられる。第二室7内の圧力は、メインチャンバー6の圧力より大気圧に近い。プッシュロッド4の端部は第二室7内に突出している。第二室7は、ガスを吸い出すための真空ポンプ(図示せず)に連結している。
【0019】
ベースプレート2は、円筒形の第一真空室又はメインチャンバー6の底部に嵌合したセラミックプレートとして構成され、セラミックプレートは、z方向の移動テーブル3の基準としての平坦な加工表面を有する。移動テーブル3は、捩じり剛性を有する三角柱のフレーム構造8を有し、フレーム構造8に、ステージプレート9、3つの空気静力学的軸受ユニット10及び予圧ユニット11(例えば、静電予圧ユニット、図2参照)が締結されている。空気静力学的軸受ユニット10は、以下により詳細に説明する2つの吸い込み段のための吸い込みライン12によって互いに連結されている。
【0020】
フレーム構造8の3つの角に設置された空気静力学的軸受ユニット10は、軸受ユニット10の最大直径におけるz方向の断面を示す図3に描かれている。この実施例における円柱型の空気静力学的軸受ユニット10は、ベースプレート2に面する下面において、軸受ユニット10の支持部材としての平坦な空気静力学的軸受要素13を有し、その下に支持のためのエアフィルム又はガスフィルムが形成される。空気静力学的軸受要素13は、軸受ユニット10のベースボディ14を介してガイドされたガス供給ライン(図示せず)と連結している。可撓ホースラインを介して軸受ユニットに導かれた作動ガスのための連結ポート15が、ベースボディ14の側面に見られる(図4)。圧力をかけられた作動ガスは、例えばガス軸受要素13の構成部品である多孔材料又は個々のノズルを介して、空気静力学的軸受要素13とベースプレート2の間の隙間に分配される。空気静力学的軸受要素13は、第一吸い込みチャネル16と第二吸い込みチャネル17によって囲まれている。ベースプレート2と関連して、2つの吸い込みチャネルと2つのシーリングギャップを有する二段シーリング装置を共に形成する第一シーリング面18と第二シーリング面19が、吸い込みチャネル16,17の間に設けられ、吸い込みチャネル17に隣接している。第一吸い込みチャネル16とシーリング面18を備えた第一シーリングギャップとは、10トール〜10−2トールの圧力範囲の第一真空のための第一吸い込み段として機能し、第二吸い込みチャネル17とシーリング面19を備えた第二シーリングギャップとは、10−1トール〜10−6トールの圧力範囲の第二真空のための第二吸い込み段として機能する。
【0021】
同時に、空気静力学的軸受ユニット10内に空気静力学的回り継手が形成される。この目的のために、ベースボディ14はダブルのTとして成形され、中央部20は、回転リング21のための軸部品として機能する。回転リング21は、半径方向に空気静力学的軸受ブシュ23により、軸方向に環状の空気静力学的軸受要素22により支持されている。空気静力学的軸受要素13に関連して述べたシーリング装置に対応する、吸い込みチャネル16’,17’及びシーリングギャップ18’,19’を備えた二段シーリング装置も同様に軸方向軸受(axial bearing)のために設けられる。空気静力学的軸受要素22と軸受ブシュ23は、軸受ユニット10のベースボディ14を介してガイドされたガス供給ライン(図示せず)に順に連結している。軸受ユニット10内では、吸い込みチャネル16’,17’が、連結ボアホール35,36を介して吸い込みチャネル16,17とパイプライン12に連結している。有利な態様では、別な吸い込みチャネル37が軸受ブシュ23と軸受22の間に形成され、第一吸い込み段の吸い込みライン又はチャネルに連結し又は可撓ラインを介して通常気圧に連結してもよい。
【0022】
図1,2から分かるように、3つの空気静力学的軸受ユニット10の空気静力学的軸受要素13は、ベースプレート2に支持され、z方向の移動テーブルの負荷を受容する。移動テーブルのより良好な静的及び動的特性を実現するために、静電予圧ユニット11はフレーム8の下面に締結されている。この静電予圧ユニット11は、予圧ユニット11とベースプレートの間に作用する静電気力に基づき移動テーブルの空気静力学的軸受要素13を予圧する。他の物理的原理に基づく予圧ユニットも考えられる。予圧ユニット11は軸受ユニット10の間に中間に配置されているが、多数の予圧ユニットであって、そのそれぞれが軸受要素と関連しているものを設けることも考えられる。静電気力を実現するために、電極装置が設置される。異なるポテンシャルの2つの電極が、プレート型の予圧ユニット自体の中又は上に配置されてもよく、又は電極のうちの1つが、当該ユニットが平板コンデンサーとして機能するように対電極としてベースプレート2によって形成されてもよい。
【0023】
移動テーブル3は、図4に従い空気静力学的軸受ユニット10の中央リング21に連結した3つのプッシュロッド4を介して側方にガイドされる。プッシュロッド4は、矩形又は正方形の断面を備えた中空セラミックパイプ24と、ソリッドステートジョイントの形式の捩じりジョイント及び回り継手によってリング21に締結された結合要素25を有する。結合要素25の回り継手は、x−y平面に平行でプッシュロッド4の縦軸と垂直な軸の回りの回転を可能にする。捩じりジョイントは、プッシュロッド4の縦軸と平行な軸の回りの回転を可能にする。軸受ユニット10から吸い出された作動ガスは、中空プッシュロッド4を介して第二室7に達する。プッシュロッドの1つは第一吸い込み段のガスを案内し、プッシュロッドの2つは第二吸い込み段のガスを案内する。ガスは、プッシュロッド4の開放端を介して第二室7に自由に流れ、真空ポンプによって第二室7から排気される。
【0024】
別な実施形態(図示せず)では、作動ガスを供給するために、好ましくは硬質パイプとして形成された付加的なパイプが中空プッシュロッド4内に配置される。
【0025】
3つのプッシュロッド4のそれぞれはドライブ5により別個に駆動され、それぞれのプッシュロッドはドライブ5の位置で支持又はガイドされる。移動テーブル3と組み合って、それらはリンケージ(平行運動学)を形成する。移動テーブル3が移動領域の中央に位置している時(図1)、プッシュロッド4は、移動テーブル3の軸受ユニットの基準円に対して接線方向に配置され、互いに120°の角度を形成する。しかしながら、プッシュロッドの他の配置も可能である。ドライブ5は真空室7に固定して設置される。関連するモーターは真空室6,7の外側に位置してもよく、この例では摩擦ホイールギヤユニットとして構成されるドライブ5の実際のギヤユニットは真空室6,7内に位置する。モーターのドライブシャフトは、通常大気と真空の間にまたがって強磁性流体シールを用いたフィードスルーによってシールされる。
【0026】
図5,6は、ドライブ5のために使用される、2つの入れ子のハウジング部品26,27を有する摩擦ホイールギヤユニットを示す。内側ハウジング部品26は円筒形であり、外側ハウジング部品27内に回転可能に支持されている。実際の摩擦ホイールギヤ装置28は、プッシュロッド4が貫通する内側ハウジング部品26内に固着されている。有利な態様では、モーターが連結しているドライブシャフト29と摩擦ホイール30は一部品として構成される。移動テーブル3の移動の間、内側ハウジング部品26は外側ハウジング部品27内で回転する。切欠50が、摩擦ホイール30の回りに内側ハウジング部品26とともに回転するプッシュロッド4のためにプッシュロッド4の回転経路に対応する外側ハウジング部品に設けられる。プッシュロッド4を有する摩擦ホイールギヤユニットの内側ハウジング部品の回転を保証する玉軸受(ボールベアリング)52が、摩擦ホイールギヤユニットの内側ハウジング部品26に配置される。摩擦ホイール30に抗するプッシュロッド4の必要な押圧力は、プッシュロッド4にばね設置されたラジアル玉軸受51(図5参照)を備えた圧力要素31によって実現される。圧力要素31は、ソリッドステートジョイント53を介して内側ハウジング部品26に設置され、接触する押圧力の方向に自由度を有する。他の自由度は実質的に遮断される。このようにして、プッシュロッド4はz方向に支持されている。この軸受支持原理によって、プッシュロッド4の質量の力が移動テーブル3に交互の負荷として作用する。それは、それぞれの軸受ポイント(摩擦ホイールギヤユニット及び空気静力学的軸受ユニット)とプッシュロッドの位置の間隔に依存する。前述の結合要素25は、望んでいない動きが移動テーブル3に伝わるのを防ぐために設けられる。
【0027】
別な実施形態の例では、プッシュロッド4はドライブユニット内でガイドされる。この目的のために、z方向のプッシュロッド4の巻き付け支持部(wraparound support)が、2つの玉軸受によりドライブシャフト29からある距離を置いて摩擦装置28の両側に具備される。この原理によって、プッシュロッド4の質量の力のかなり小さい部分しか移動テーブル3に交互の負荷として作用しない。このソリューションでは、プッシュロッドの軸と、軸受ユニット10への結合要素25の連結ポイントとのずれを補償するために、プッシュロッド4と空気静力学的軸受ユニット10の間の結合要素25は、第一の回り継手と平行かつ距離を置いた付加的な回り継手によって拡張されなければならない。
【0028】
摩擦ホイールギヤユニットの内側ハウジング部品26は、好ましくは真空の外側に配置された軸受要素(より詳細には図示せず)によっても外側ハウジング部品27内に回転可能に支持される。シーリング装置も同様にハウジング部品の間に設けられる。シーリングギャップ55が、外側ハウジング部品27の内壁と内側ハウジング部品26の外壁の間に形成される。これらのギャップシール55は一段シーリング装置を形成し、メインチャンバー6に対してそれぞれの第二室7をシールする機能を有する。さらに、プッシュロッド4の縦移動のためにギャップシール33が設けられ、シーリング要素57がそれぞれの場合にメインチャンバー6のサイドに内側ハウジング部品26に締結される。シーリングギャップ33の寸法に加えて、プッシュロッド4の断面の外側輪郭に対応する内側輪郭がシーリング要素57に組み込まれる。
【0029】
メインチャンバー6と第二室7の圧力差が第二室7からメインチャンバー6への過度のフロー(流れ)を生じないように、一段シーリング装置に代えて、二段シーリング装置がチャンバー間をシーリングするために使用される。付加的なシーリング要素58が、第二室7のサイドで内側ハウジング部品26に締結され、プッシュロッド4の縦方向移動のための別なシーリングギャップ34が、この付加的なシーリング要素58によって形成されている。別なギャップシール56が、内側ハウジング部品26と外側ハウジング部品27の間に挿入されている。開口60によって内側ハウジング部品26の内部に連結された吸い込みチャネル59が、ギャップシール55,56の間に配置される。このようにして、内側ハウジング部品26の内部は、メインチャンバー6及び第二室7に対してギャップシール33,57;34,58によってシールされ、それでメインチャンバー6と第二室7の間の中間チャンバーとして第三真空室が創出される。この第三真空室は内側ハウジング部品26の内部領域を有し、別個のポンプによって排気される。
【0030】
外側ハウジング部品27は、第二室7内でメインチャンバー6に対して静的に、すなわち壁61(図1)によってシールされる。
【符号の説明】
【0031】
1 テーブル装置
2 ベースプレート
3 移動テーブル
4 プッシュロッド
5 ドライブ
6 第一真空室、メインチャンバー
7 第二真空室、第二室
8 フレーム構造
9 ステージプレート
10 空気静力学的軸受ユニット
11 予圧ユニット
12 吸い込みライン
13 平坦な空気静力学的軸受要素
14 ベースボディ
15 連結ポート
16,16’ 第一吸い込みチャネル
17,17’ 第二吸い込みチャネル
18,18’ 第一シーリング面、シーリングギャップ
19,19’ 第二シーリング面、シーリングギャップ
20 中央部
21 回転リング
22 環状の空気静力学的軸受要素
23 軸受ブシュ
24 中空セラミックパイプ
25 結合要素
26 内側ハウジング部品
27 外側ハウジング部品
28 摩擦ホイール装置
29 ドライブシャフト
30 摩擦ホイール
31 圧力要素
33 ギャップシール
34 ギャップシール
35 連結ボアホール
36 連結ボアホール
37 吸い込みチャネル
50 切欠
51 ラジアル玉軸受
52 玉軸受
53 ソリッドステートジョイント
55 シーリングギャップ
56 ギャップシール
57 シーリング要素
58 シーリング要素
59 吸い込みチャネル
60 開口
61 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気静力学的軸受ユニットによりガイドされた移動テーブルとベースプレートを有する真空適用のためのテーブル装置であって、
軸受ユニット(10)が、軸受ユニットの作動のために必要なガスを供給及び排出する供給ライン及び吸い込みラインに連結し、それぞれの場合に少なくとも1つの段を有するシーリング装置であって、吸い込みチャネルと真空に対してシールするシーリングギャップとを有するシーリング装置を具備したテーブル装置において、
空気静力学的軸受ユニット(10)は少なくとも部分的に回り継手として構成され、移動テーブルを横にガイドするためのドライブ(5)によって作動されるプッシュロッド(4)が、それぞれの回り継手の回転部品(21)に連結し、
プッシュロッド(4)は中空であり、作動ガスを排出するための吸い込みラインの構成部品を構成することを特徴とするテーブル装置。
【請求項2】
空気静力学的軸受ユニット(10)を備えた移動テーブル(3)、ベースプレート(2)及びプッシュロッド(4)の一部が、第一真空室(6)内に受容され、それぞれのドライブ(5)は、第一真空室(6)と高めの圧力を有する第二真空室(7)の間に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする請求項1に記載のテーブル装置。
【請求項3】
プッシュロッド(4)の自由端はそれぞれ、圧力に関して第一真空室(6)から分離された第二真空室(7)において終端することを特徴とする請求項2に記載のテーブル装置。
【請求項4】
移動テーブル(3)は、回り継手として機能する空気静力学的軸受ユニット(10)が配置された捩じり剛性を有するフレーム構造(8)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項5】
回り継手を有するそれぞれの空気静力学的軸受ユニット(10)の回転部品が、空気静力学的軸受要素(22,23)によって固定部品(14)に対して支持されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項6】
固定部品(14)は、軸断面がT型、好ましくはダブルのT型であり、回転部品は、軸部品として中央領域の回りに配置されたリングであって、空気静力学的軸受要素(22,23)によって固定部品(14)に対して少なくとも軸方向に、好ましくは軸方向と半径方向に支持された回転リング(21)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項7】
空気静力学的軸受ユニット(10)のシーリング装置の吸い込みチャネル(16,17)は、パイプライン(12)により連結されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項8】
異なる圧力に対してシールするための二段シーリング装置では、2つのプッシュロッド(4)は低めの圧力でガスを導き、1つのプッシュロッド(4)は高めの圧力でガスを導くことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項9】
それぞれのプッシュロッド(4)は、回転及び捩じれを可能にする結合要素(25)によって、回り継手として構成される空気静力学的軸受ユニット(10)の回転部品(21)に連結されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項10】
予圧装置、好ましくは静電予圧装置(11)が、該予圧装置(11)とベースプレート(2)の間に作用する力を働かせるために、ベースプレート(2)に向きあうフレーム構造(8)に配置されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項11】
それぞれのプッシュロッド(4)のドライブ(5)が、モーターにより駆動される回転可能に支持された摩擦ホイールギヤユニット(26,27,28)を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項12】
少なくとも1つの段と、シーリングギャップ(33)を有するシーリング装置が、第一真空室(6)と第二真空室(7)の間に形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項13】
中間吸い込み部を有する二段シーリング装置(33,57;34,58)が、第一真空室(6)と第二真空室(7)の間に形成されることを特徴とする請求項12に記載のテーブル装置。
【請求項14】
摩擦ホイールギヤユニット(26,27,28)は、内側ハウジング部品(26)と外側ハウジング部品(27)を有し、内側ハウジング部品(26)は外側ハウジング部品(27)内に回転可能に支持されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【請求項15】
一段シーリング装置(55)、好ましくは中間吸い込み部を有する二段シーリング装置(55,56,59)が、内側ハウジング部品(26)と外側ハウジング部品(27)の間に設けられることを特徴とする請求項14に記載のテーブル装置。
【請求項16】
プッシュロッド(4)は、摩擦ホイールギヤユニットの好ましくは円筒形の内側ハウジング部品(26)を介してガイドされ、そこに回転可能に支持されることを特徴とする請求項14又は15に記載のテーブル装置。
【請求項17】
少なくとも1つのプッシュロッド(4)が媒体を移動テーブル(3)に供給する機能を有し、媒体は、中空プッシュロッドを直接介して又はプッシュロッド内にガイドされた1若しくは複数のラインを介して供給されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のテーブル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−121777(P2010−121777A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−258908(P2009−258908)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(500077605)ヴィステック エレクトロン ビーム ゲーエムべーハー (12)
【Fターム(参考)】