説明

真菌からの脂肪酸不飽和化酵素

本発明は、一般的に、長鎖高度不飽和脂肪酸(LC−PUFA’s)の二重結合の数および位置を変調する真菌不飽和化酵素に関する方法および組成物に関する。特に、本発明は、不飽和化酵素およびそのような酵素につきコードする核酸を用いて、植物産物および部分のオメガ−3脂肪酸プロファイルを改良する方法および組成物に関する。特定の具体例において、不飽和化酵素は、真菌Δ15−不飽和化酵素である。また、SDAを有し、有益なオレイン酸含有量を維持する改良されたキャノーラ油組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本出願は、2002年5月22日に出願された米国特許仮出願シリアル番号60/382,391、および2003年3月7日に出願された米国特許仮出願シリアル番号60/453,125の優先権を主張する。各上記出願の全開示は、その全文において、引用によって本明細書中に具体的に組み込まれる。
【0002】
1.発明の分野
一般的に、本発明は、長鎖高度不飽和脂肪酸(LC−PUFA’s)内の二重結合の数および位置を変調する不飽和化酵素、その使用方法およびそれから由来する組成物に関する。特に、本発明は、不飽和化酵素および真菌中で同定されるそのような酵素をコードする核酸を使用する改良された脂肪酸プロファイルに関する。
【0003】
2.関連分野の記載
殆どの生物体の脂肪酸生合成の主要産物は、16−および18−炭素化合物である。これらの脂肪酸の鎖の長さおよび不飽和の度合いの相対的な割合は、種の間で広く変動する。例えば、哺乳類は、飽和および単飽和脂肪酸を主に生産するが、殆どの高等植物は、1、2、または3つの二重結合を持つ脂肪酸を生産し、後者2つは、高度不飽和脂肪酸(PUFA’s)を含む。
【0004】
PUFAsの2つの主なファミリーは、エイコサペンタエン酸(EPA, 20:4, n−3)で例示されるオメガ−3脂肪酸(”n−3”脂肪酸としても表される)、およびアラキドン酸(ARA, 20:4, n−6)によって例示されるオメガ−6脂肪酸(”n−6”脂肪酸とも表される)である。PUFAsは、細胞および脂肪組織の血漿膜の重要な構成成分であり、ここに、それらはそれぞれリン脂質およびトリグリセリドといった形態で見受けられる。PUFAsは、哺乳類の適切な発達に必要であり、特に乳児期の脳の発達、および組織形成および修復に必要である。
【0005】
いくつかの障害は、脂肪酸による治療に応答する。PUFAsによる補充は、血管形成後の再狭窄の割合を減少させることを示している。また、心血管疾患および関節リウマチに対する特定の食餌性オメガ−3脂肪酸の健康利益は、これまでに多く書かれている(Simopoulos, 1997; James ら., 2000)。さらに、喘息および乾癬の治療にPUFAsを使用することが示唆されている。証拠は、PUFAsがカルシウム代謝に関与しているかもしれないことを示し、これは、PUFAsは骨粗鬆症および腎臓または尿路結石の治療あるいは予防に有用であり得ることを示唆する。健康利益の証拠の大部分は、長鎖オメガ−3脂肪、EPAおよびDHAに適用され、これらは魚および魚の油に存在する。この証拠に基づき、カナダ(Scientific Review Committee, 1990, Nutrition Recommendations, Minister of National Health and Welfare, Canada, Ottowa)、ヨーロッパ(de Deckerer ら., 1998)、英国(The British Nutrition Foundation, 1992, Unsaturated fatty-acids - nutritional and physiological significance: The report of the British Nutrition Foundation's Task Force, Chapman and Hall, London)、および米国(Simopoulos ら., 1999)の健康当局および栄養士らは、これらのPUFAsの食餌性消費を増加させることを薦めている。
【0006】
また、PUFAsは糖尿病の治療にも使用される(米国特許第4,826,877号; Horrobin ら., 1993)。改変された脂肪酸代謝および組成物が、糖尿病の動物で明らかにされた。これらの改変は、網膜症、神経障害、腎障害および生殖系損傷を含む糖尿病から生じる長期合併症のいくつかに関与していると示唆されている。GLAを含有するプリムローズ油は、糖尿病の神経損傷を予防し逆転させることを示している。
【0007】
哺乳類はこれらの酸を合成する能力が欠落しているため、リノール酸(LA, 18:2, Δ9,12)およびα−リノール酸(ALA 18:3, Δ9,12,15)といったPUFAsは、食餌中の必須の脂肪酸として考えられている。しかしながら、摂取されると、哺乳類はLAおよびALAを代謝して、長鎖高度不飽和脂肪酸(LC−PUFA)のn−6およびn−3ファミリーを形成する能力を有する。これらのLC−PUFA’sは、膜に流動性を授与し、通常の生理学的機能を調節するプロスタグランジン、プロスタサイクリン、およびロイコトリエンといった生物学的に活性なエイコサノイドの前駆体として機能する重要な細胞構成成分である。
【0008】
哺乳類においては、LAをγ-リノール酸(GLA, 18:3, Δ6, 9, 12)に変換し、ALAをSDA(18:4, Δ6,9, 12, 15)に変換するΔ6不飽和化の工程によって、LC−PUFAの形成は速度が制限されている。多くの生理学的状態および病理学的状態は、この代謝段階を抑制し、結果的にLC−PUFAの生産を抑制することを示している。しかしながら、食餌性補充を介して、Δ6−不飽和化をEPAまたはDHAで迂回することで、低レベルのPUFAと関連する多くの病理学的疾患を効果的に緩和することが可能である。しかしながら、下記でより詳細に述べるように、現在入手可能なPUFAの源は、多数の理由によって望ましくない。信頼でき、かつ経済的なPUFA’sの源に対する必要性は、PUFA’sの代替源への関心に拍車をかけている。
【0009】
重要な主な長鎖PUFAsは、ドコサヘキサエン酸(DHA, 22:6,n−3)およびEPAを含み、これらは、主に異なる型の魚の油、および糸状真菌で見受けられるアラキドン酸(ARA, 20:4, n−6)で発見される。DHAに関しては、数多くの源が、様々な海洋生物体、冷水海洋魚から入手される油、および卵黄画分を含む商業的生産に対して存在する。SDAの商業的源は、一般的なTrichodesmaおよびEchiumを含む。しかしながら、天然源からのPUFAsの商業的生産に関連して、いくつかの不都合が存在する。動物および植物といったPUFAsの天然源は、非常に不均一な油組成物を有する傾向にある。例えば、SDAに加えて、Echumの種子からの油は、オメガ−6脂肪酸GLAのほぼ同等レベルを含有する。従って、これらの源から入手された油は、1またはそれ以上の所望のPUFAsを分離し、あるいは1またはそれ以上のPUFAで豊富化された油を生産するのに、大規模な精製を必要とする。
【0010】
また、PUFAsの天然源は、有用性において、制御不能な変動にさらされている。魚群は、自然の変動を経験するかもしれず、あるいは乱獲によって激減してしまうかもしれない。加えて、それらの治療的利益の圧倒的な証拠をもってしても、オメガ−3脂肪酸に関する食餌性推薦は、留意されていない。魚の油は、不快な味および臭いを持ち、これらは所望の生産物から経済的に分離することが不可能であり、そのような生産物を食物サプリメントとして受け入れられないとするかもしれない。動物の脂、特に魚の油は、環境汚染物質を蓄積することができる。食物は、魚の油で豊富化することができるが、ここでも、そのような豊富化は、コストおよび世界的な魚群の減少のため、問題をはらんでいる。この問題は、全魚の消費および摂取の妨げになっている。それにもかかわらず、もし魚の摂取を増加するようにとの健康メッセージが、社会に受け入れられれば、魚の需要に応じる際に問題が生じる可能性が高い。さらに、餌の養殖に関して、野生魚群に非常に依存しているこの産業の維持の問題がある(Naylor ら., 2000)。
【0011】
他の自然の制限によって、オメガ−3脂肪酸の生産用の新規のアプローチが好まれる。天候および病気は、魚および植物源双方からの収率に変動を引き起こし得る。代替の油生産農耕地の生産に対して入手可能な農耕地は、ヒト人口の絶え間ない増大および残りの耕作地での食物生産に対する関連した増加した必要性からの競争にさらされている。ルリチシャのようなPUFAsを生産する農耕地は、商業的成長に調整されておらず、単作で上手く機能しないかもしれない。すなわち、そのような農耕地の成長は、経済的に競合的であり、ここに、より利益になり、より確立された農耕地が作られる。また、Mortierellaのような生物体の大規模な発酵は高価なものである。天然の動物組織は、低量のARAを含有し、加工するのは困難である。PorphyridiumおよびMortierellaのような微生物は、商業規模では培養するのは困難である。
【0012】
多くの酵素は、PUFA生合成に関与している。LA(18:2, Δ9, 12)は、Δ12−不飽和化酵素によって、オレイン酸(OA, 18:1, Δ9)から生産されるが、ALA(18:3)は、Δ15−不飽和化酵素によって、LAから生産される。SDA(18:4, Δ6, 9, 12,15)およびGLA(18:3, Δ6, 9, 12)は、Δ6−不飽和化酵素によって、LAおよびALAから生産される。しかしながら、上記の通り、哺乳類は、Δ9位置以上は不飽和化できず、すなわち、オレイン酸をLAへ変換することはできない。同様に、ALAは、哺乳類によって合成されることはできない。真菌および植物を含む他の真核生物は、炭素12および炭素15位置にて不飽和化する酵素を有する。すなわち、動物の主要な高度不飽和化脂肪酸は、続く不飽和化および食餌性LAおよびALAの伸長を介して、食餌から由来する。
【0013】
米国特許第5,952,544号は、脂肪酸不飽和化酵素をコードするBrassica napusから単離されクローン化された核酸断片を記載する。’544特許の核酸断片の発現は、植物で発現され、ALAの蓄積を招く。しかしながら、植物Δ15−不飽和化酵素を発現するトランスジェニック植物において、実質的なLAは、不飽和化酵素によって変換されずに残る。より多くのLAをALAに変換するより活性な酵素は有益だろう。LAからALAへの増加する変換は、より多量のALAを形成するだろう。Δ15−不飽和化酵素をコードしている核酸と共発現する時、増加したALAレベルは、Δ6−不飽和化酵素を許容して、ALAに作用し、それにより、より高レベルのSDAを生産する。SDAに対する多数の有益な使用のため、SDAの収量の実質的な増加を作り出す必要性が存在する。多様な源からの核酸が、SDA収量を増加するために求められている。しかしながら、未だ、土地ベースの農耕地での改善された商業的生産を許容する革新が、非常に望まれている(例えばReed ら., 2000参照)。さらに、線虫(Caenorhabditis elegans)から由来する不飽和化酵素ポリヌクレオチドの使用(Meesapyodsuk ら., 2000)は、豊富化された植物種子油の商業的生産には理想的ではない。
【0014】
Δ15−不飽和化酵素をコードする核酸は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、大豆、およびパセリを含むラン藻類および植物のいくつかの種から単離されている。これらの不飽和化酵素の推定されるアミノ酸配列は、いずれかの1つの理論に限定されることなしに言えば、鉄結合に関与していると考えられる3つのヒスチジンに豊富なモチーフの領域で最も顕著に、非常に高い類似性を示す。しかしながら、いずれの真菌種からもΔ15−不飽和化酵素は単離されていない。さらに、配列化されたいくつかの真菌種のゲノムをもってしても、かつ洗練されたアルゴリズムを使用しても、既知のΔ15−不飽和化酵素cDNAおよびアミノ酸配列を、AspergillusおよびNeurospora cDNAデータベースに対して使用する探索は、Δ15−不飽和化酵素を得ていない。
【0015】
すなわち、PUFA生合成に関与する遺伝子材料を入手し、植物系、特に操作して、1またはそれ以上のPUFA’sの商業的量の生産を提供することができる土地ベースの陸生の作物植物系において単離された材料を発現させることは有益だろう。また、ヒトおよび動物におけるオメガ−3脂肪の摂取を増加させる必要性がある。すなわち、対象が通常の食餌習慣に合う餌、餌材料、食品および食品成分を選択できるように、広範囲のオメガ−3豊富化食品および食品サプリメントを提供する必要がある。現在、植物油で入手可能なオメガ−3脂肪酸、ALAただ1つのみが存在する。しかしながら、消化されたALAからEPAおよびDHAのような長鎖オメガ−3脂肪酸への乏しい変換が存在する。“Treatment And Prevention Of Inflammatory Disorders”に関して、亜麻種子油の使用による、1g/日ないし14g/日の増加するALA摂取平均は、血漿リン脂質EPAレベルをわずかに増加させるだけであったことが、同時係属中の米国出願シリアル番号10/384,369で示されている。ALA摂取の14倍の増加は、血漿リン脂質EPAの2倍増加を導いた(Manzioris ら, 1994)。
【0016】
すなわち、その目的に対して、脂肪酸不飽和化酵素、それらをコードする遺伝子、およびそれらを生産する組換え方法を使用するPUFAsの効率の良いかつ商業的に実行可能な生産への必要性が存在する。また、より高い相対的割合の特定のPUFAを含有するおよび/または特定のPUFAが豊富化された油、およびそれを含有する食品組成物およびサプリメントに対しても要望が存在する。また、特定のPUFA’sを生産する信頼できる経済的な方法への必要性も存在する。
【0017】
上記のような非能率および低収量にも拘わらず、陸生食物連鎖を介するオメガ−3脂肪酸の生産、特にSDAの生産は、公衆衛生に有益な事業である。特にSDAが重要なのは、上記の通り、ALAからEPAへの低い変換があるからである。これは、この(Δ6、Δ12、およびΔ15を必要とする)3酵素プロセスにおいて、最初の酵素、Δ6−不飽和化酵素は、ヒトにおいて低活性を有し、律速であるためである。Δ6−不飽和化酵素が律速である証拠は、その基質、ALAの変換は、マウスおよびラットにおけるその産物、SDAからEPAへの変換よりも非能率的であることを示す研究によって提供される(Yamazakiら, 1992; Huang, 1991)。
【0018】
そのような研究に基づき、キャノーラ、大豆、トウモロコシ、ヒマワリ、ベニバナ、または亜麻のような商業的な脂肪種子作物において、それらの種子油の典型となる一不飽和脂肪酸および高度不飽和脂肪酸のいくつかの画分のSDAへの変換は、Δ6−およびΔ12を含む複数の不飽和化酵素、およびΔ15−不飽和化活性を有する酵素の種子−特異的発現を必要とする。上昇したレベルのΔ6、Δ12、およびΔ15−不飽和化酵素を発現する植物から由来する油は、SDAおよび他のオメガ−3脂肪酸が豊富である。そのような油を利用して、オメガ−3脂肪酸に豊富な食物および食物サプリメントを生産することができ、そのような食物の消費は、効果的に、EPAおよびDHAの組織レベルを増加させる。オメガ−3豊富化油で全て作られたあるいは調製された牛乳、マーガリンおよびソーセージのような食品および食物は、治療的利益を導くだろう。オメガ−3脂肪酸で豊富化された油を含有する食物を利用することによって、食餌性習慣を変化させることなしに、少なくとも1.8g/日のEPAおよびDHAに匹敵するオメガ−3摂取を、対象は有することが可能であると示されている(Naylor, 前掲)。すなわち、トランスジェニック収穫植物で使用して、PUFAsに豊富な油を生産するために、Δ15−不飽和化酵素の新規の核酸への強い必要性が存在する。PUFAs、特にステアリドン酸のようなオメガ−3脂肪酸につき豊富化された新たな植物種子油は、同様に必要である。
【0019】
発明の概要
1つの態様において、本発明は、炭素15(Δ15−不飽和化酵素)にて、脂肪酸分子を不飽和化することができるポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。これらを使用して、細胞を形質変換あるいは植物の脂肪酸組成物または植物によって生産された油を変調することができる。本発明の1つの具体例は、ユニークな不飽和化活性を有する真菌種から単離された、単離されたポリヌクレオチド配列である。単離されたポリヌクレオチドは、好ましくは、zygomycota、basidiomycota、およびascomycotaよりなる群から選択される門に属する真菌種から単離することができる。特定の具体例において、単離されたポリヌクレオチドは、Neurospora crassa、Aspergillus nidulans、およびBotrytis cinereaよりなる群から選択される真菌種から単離される。
【0020】
もう1つの態様において、本発明は:(a)配列番号:3、配列番号:5または配列番号:34をコードするポリヌクレオチド;(b)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:4または配列番号:33の核酸配列を含むポリヌクレオチド;(c)5X SSC、50%ホルムアミドおよび42℃の状況下で、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:4または配列番号:33、またはその相補体の1またはそれ以上にハイブリダイズするポリヌクレオチド;(d)アミノ酸モチーフ:TrpIleLeuAlaHisGluCysGlyHisGlyAlaSerPhe (WILAHECGHGASF) (配列番号:6); LeuAlaHisGluCysGlyHis (LAHECGH) (配列番号:7); HisSerPheLeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (HSFLLVPYFSWK) (配列番号:8); LeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (LLVPYFSWK) (配列番号:9); His(His/Ala)ArgHisHisArg(Phe/Tyr)ThrThr (H(H/A)RHHR(F/Y)TT) (配列番号:10、配列番号:19、配列番号:20、または配列番号:21); TrpValHisHisTrpLeuValAlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThrHis (WVHHWLVAITYL(H/Q)HTH) (配列番号:11); AlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThr (AITYL(H/Q)HT) (配列番号:12); GlyAlaLeuAlaThrValAspArg (GALATVDR) (配列番号:13)またはHisValValHisHisLeuPheXaaArgIleProPheTyr (HVVHHLFXRIPFY) (配列番号:14または配列番号:22)の少なくとも1つを有するポリペプチドをコードする真菌ポリヌクレオチドよりなる群から選択される配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
さらにもう1つの態様において、本発明は、本発明に従い、単離されたポリヌクレオチドを含む組換えベクターを提供する。用語「組換えベクター」は、本明細書中で使用されるように、宿主細胞、組織および/または生物体に導入することを望むDNAのいずれかの組換えセグメントを含み、特に、出発ポリヌクレオチドから単離された発現カセットを含む。組換えベクターは、直線状または環状であってもよい。様々な態様において、組換えベクターは:ポリヌクレオチドに操作可能に連結する制御配列;ポリヌクレオチドに操作可能に連結する選択マーカー;ポリヌクレオチドに操作可能に連結するマーカー配列;ポリヌクレオチドに操作可能に連結する精製部位;およびポリヌクレオチドに操作可能に連結する標的配列よりなる群から選択された少なくとも1つのさらなる配列を含んでいてもよい。
【0022】
さらにさらなるもう1つの態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドで形質転換された哺乳類細胞、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞および細菌細胞といった細胞を提供する。さらなる具体例において、細胞は、本発明のポリヌクレオチドに加えて、構成的および組織特異的プロモーターを含有する組換えベクターで形質転換される。本発明の特定の具体例において、そのような細胞は、さらに、炭素6にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列で形質転換される。
【0023】
さらにさらなるもう1つの態様において、本発明は、炭素15にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化活性を有する断片および蛋白質を含むポリペプチドを提供する。本発明の1つの具体例において、ポリペプチドは:TrpIleLeuAlaHisGluCysGlyHisGlyAlaSerPhe (WILAHECGHGASF) (配列番号:6); LeuAlaHisGluCysGlyHis (LAHECGH) (配列番号:7); HisSerPheLeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (HSFLLVPYFSWK) (配列番号:8); LeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (LLVPYFSWK) (配列番号:9); His(His/Ala)ArgHisHisArg(Phe/Tyr)ThrThr (H(H/A)RHHR(F/Y)TT) (配列番号:10, 配列番号:19、配列番号:20、または配列番号:21); TrpValHisHisTrpLeuValAlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThrHis (WVHHWLVAITYL(H/Q)HTH) (配列番号:11); AlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThr (AITYL(H/Q)HT) (配列番号:12); GlyAlaLeuAlaThrValAspArg (GALATVDR) (配列番号:13)またはHisValValHisHisLeuPheXaaArgIleProPheTyr (HVVHHLFXRIPFY) (配列番号:14または配列番号:22)の少なくとも1つのアミノ酸モチーフを含む。さらなる具体例において、ポリペプチドは、さらに、該アミノ酸モチーフの全てを含む。また、本発明は、配列番号:3、配列番号:5または配列番号:34のアミノ酸配列を含み;または炭素15にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化活性を有するその断片を含む真菌ポリペプチドを提供する。
【0024】
本発明のさらにさらなるもう1つの態様は、植物種子からオメガ−3脂肪酸を含有する種子油を生産する方法を提供し、該方法は、(a)本発明に従い、植物の種子を得;次いで(b)該種子から油を抽出する工程を含む。そのような植物種子の例は、キャノーラ、醤油豆、大豆、アブラナ、ヒマワリ、綿、ココア、落花生、ベニバナ、ココヤシ、亜麻、ギネアアブラヤシ、脂肪種子Brassica napus、およびトウモロコシを含む。そのような植物細胞を形質転換する好ましい方法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、電気穿孔法、および高速弾道衝撃のTiおよびRiプラスミドの使用を含む。
【0025】
さらにさらなるもう1つの態様において、油生産植物に本発明の組換えベクターを導入することを含むオメガ−3脂肪酸の改変されたレベルを含有する種子油を含む植物を生産する方法が提供される。方法において、組換えベクターを導入することは、植物を育種することを含みおよび:(a)植物細胞を、組換えベクターで形質転換し;次いで(b)植物細胞から該植物を再生させる工程を含み、ここに植物が改変されたレベルのオメガ−3脂肪酸を有する。方法において、例えば、植物は、シロイヌナズナ、アブラナ脂肪種子、アブラナ、ヒマワリ、ベニバナ、キャノーラ、トウモロコシ、大豆、綿、亜麻、ホホバ、南京黄櫨、タバコ、ココア、落花生、果物植物、柑橘植物、およびナッツおよびベリーを生産する植物よりなる群から選択される。さらに、該植物は、炭素6にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列で形質転換され、該植物はSDAを増加させ得る。また、方法は、さらに、複数の油生産植物に組換えベクターを導入し、オメガ−3脂肪酸の所望のプロファイルを有する植物用の組換えベクターを受け継いだその植物または子孫をスクリーニングすることを特徴とする。
【0026】
さらにさらなるもう1つの態様において、本発明は、約8%ないし約27%のSDA含有量および約40%ないし約70%のオレイン酸含有量を有する内因性キャノーラ種子油を提供する。特定の具体例において、キャノーラ種子油は、さらに、ALA酸、LAおよびGLAを合わせて10%未満含む。また、油は、さらに、約12%ないし約20%、約15%ないし約20%、約10%ないし約17%および約12%ないし約17%を含む約10%ないし約20%のSDA含有量を含む。本発明のさらなる具体例において、キャノーラ種子油は、さらに、約50%ないし約65%、約50%ないし約60%および約55%ないし約65%を含む約45%ないし約65%のオレイン酸含有量を有する。本発明のさらにさらなる具体例に置いて、SDA含有量は、さらに、約12%ないし約17%であり、オレイン酸含有量は、さらに、約55%ないし約65%である。本発明の1つの具体例において、キャノーラ種子油は、Brassica napusまたはBrassica rapa種子からのものである。特定の具体例において、提供される油は、約1:2ないし約1:4を含む約1:1ないし約1:4のオメガ−6対オメガ−3脂肪酸の割合を有する。
【0027】
さらにさらなるもう1つの態様において、本発明は、ヒトまたは動物消費用の食用産物の栄養価を増加させる方法を提供し、該方法は本発明によって提供されるキャノーラ種子油を、食用産物に添加することを特徴とする。特定の具体例において、産物は、ヒトおよび/または動物食物である。また、食用産物は、動物の餌および/または食物サプリメントであってもよい。該方法において、キャノーラ種子油は、食用産物のSDA含有量を増加させてもよく、および/または食用産物のオメガ−6対オメガ−3脂肪酸の割合を減少させてもよい。食用産物は、キャノーラ種子油の添加前に、SDAを欠乏していてもよい。
【0028】
さらにさらなるもう1つの態様において、本発明は、食品または餌の製法を提供し、該製法は、本発明によって提供されるキャノーラ種子油を、出発食物または餌成分に添加して、食品または餌を生産することを特徴とする。特定の具体例において、方法は、さらに、食品および/餌の製法である。また、本発明は、該方法によって作られる食品および餌を提供する。
【0029】
さらにさらなるもう1つの態様において、本発明は、SDAをヒトまたは動物に提供する方法を含み、該方法は、請求項1記載のキャノーラ種子油を該ヒトまたは動物に投与することを特徴とする。該方法において、キャノーラ種子油は、食品または餌を含む食用産物で投与されてもよい。食品の例は、飲料、注入食物、ソース、調味料、サラダドレッシング、フルーツジュース、シロップ、デザート、糖衣および詰め物、ソフトフローズン生成物、菓子または中間食品を含む。食用組成物は、実質的に、液体または固体であってもよい。また、食用組成物は、食品サプリメントおよび/または栄養補助食品であってもよい。方法において、キャノーラ種子油は、ヒトおよび/または動物に投与され得る。該油を投与することができる動物の例は、家畜または家禽を含む。
【0030】
発明の詳細な記載
改良されたPUFA含有量を持つ食物を生産するための方法および組成物を提供することによって、本発明は従来技術の制限を克服する。植物のような生物体の脂肪酸含有量の修飾は、改良された栄養および健康利益を含む多くの利益を示す。脂肪酸含有量の修飾を使用して、植物種子油を含む植物、植物部分、および植物産物において、所望のPUFA’sの有益なレベルまたはプロファイルを達成することが可能である。例えば、所望のPUFA’sが、植物の種子組織で生産される時、油は種子から単離されると、典型的に、所望のPUFAsを多く含む油または所望の脂肪酸含有量またはプロファイルを有する油になり、代わりにこれを使用して食物および他の産物に有益な特徴を提供する。特に、本発明は、有益なオレイン酸含有量も含有しつつ、SDAを有する内因性キャノーラ油を提供する。
【0031】
本発明の様々な態様は、例えば(複数の)植物細胞のPUFA含有量の修飾といった細胞のPUFA含有量の修飾のための方法および組成物を含む。本発明に関する組成物は、新規な単離されたポリヌクレオチド配列、ポリヌクレオチド構築体および植物および/または本発明のポリヌクレオチドによって形質転換された植物部分を含む。単離されたポリヌクレオチドは、真菌脂肪酸不飽和化酵素をコードし、特に、真菌Δ15−不飽和化酵素をコードすることができる。宿主細胞を操作して、(複数の)脂肪酸の不飽和化酵素を触媒する(複数の)不飽和化酵素ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させることができる。
【0032】
本発明のいくつかの態様は、様々な不飽和化酵素ポリペプチドおよびそれをコードするポリヌクレオチドを含む。本発明の様々な具体例は、不飽和化酵素ポリヌクレオチド、および、典型的には、宿主細胞、(複数の)基質の有効性、および所望の(複数の)最終産物に依存するコードされたポリペプチドの組合せを使用する。「不飽和化酵素」は、1またはそれ以上の脂肪酸の連続した炭素間の二重結合の形成を不飽和化または触媒して、一不飽和化脂肪酸または高度不飽和化脂肪酸またはその前駆体を生産することができるポリペプチドを指す。特に関心を集めるのは、ステアリン酸からオレイン酸への変換、オレイン酸からLAへの変換、LAからALAへの変換、あるいはALAからSDAへの変換を触媒するポリペプチドであり、これは、12、15、または6位置にて不飽和化する酵素を含む。長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に拘わらず、用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のいずれかの鎖を指す。不飽和化活性を有する特異的なポリペプチドを選択する際に考慮すべき事柄は、ポリペプチドの最適pH、ポリペプチドが律速酵素またはその構成成分であるかどうか、使用される不飽和化酵素が所望のPUFAの合成に必須であるかどうか、および/または補助因子がポリペプチドによって必要であるかどうかを含むが、これらに限定されるものではない。発現されたポリペプチドは、好ましくは、宿主細胞内のその位置の生化学的環境と適合性のある特徴を有する。例えば、ポリペプチドは、(複数の)基質のために競合しなければならない。
【0033】
Kmおよび当該のポリペプチドの特異的な活性の分析は、所与の宿主細胞中のPUFA(s)生産、レベル、またはプロファイルを修飾するための所与のポリペプチドの適合性を決定する際に考慮される。特定の状況で使用されるポリペプチドは、典型的には、意図された宿主細胞内に存在する条件下で機能することができるものであるが、さもなければ、所望の特徴または所望のPUFA(s)の相対的生産、レベルまたはプロファイルあるいは本明細書中で論議されるようないずれかの他の所望の特徴を有するいずれの不飽和化酵素ポリペプチドであってもよい。発現された酵素のための(複数の)基質は、宿主細胞によって生産されてもよく、あるいは外因的に供給されてもよい。発現を達成するために、本発明の(複数の)ポリペプチドは、下記するように、ポリヌクレオチドによってコードされる。
【0034】
発明者らは、Δ15−不飽和化活性を呈する真菌起源の酵素を単離し、生産した。真菌源は、例えばAspergillus nidulansのようなAspergillus属;例えばBotrytis cinereaといったBotrytis属;例えばNeurospora crassaのようなNeurospora属;およびΔ15−不飽和化活性を呈する他の真菌を含むが、これらに限定されるものではない。
【0035】
特に関心を集めるのは、(複数の)Neurospora crassaおよび/またはAspergillus nidulansΔ15−不飽和化酵素である。配列番号:3で述べられ、配列番号:1および配列番号:2のヌクレオチド配列によってコードされるN. crassaΔ15−不飽和化酵素のアミノ酸配列は、約49,123.37ダルトンの分子量を有すると決定された。該配列は、429アミノ酸よりなり;そのうちの32は強い塩基性であり(リシン、アルギニン);そのうちの35は、強い酸性であり(アスパラギン酸、グルタミン酸);170は疎水性アミノ酸(アラニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン);および100は極性アミノ酸(アスパラギン、システイン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン)である。配列番号:3は、7.187の等電点を有し;pH7.0にて1.634の電荷を有し;89.65℃のDavis,Botsein,Roth融解温度および5,098.00のWallace温度を有する。
【0036】
配列番号:5で説明され、配列番号:4で述べられる核酸配列によってコードされるA. nidulansΔ15−不飽和化酵素のアミノ酸配列は、約46,300ダルトンの分子量を有すると決定された。配列は、401のアミノ酸よりなり;そのうちの31は、強い塩基性であり(リシン、アルギニン);34は強い塩基性であり(アスパラギン酸、グルタミン酸);161は疎水性アミノ酸(アラニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン);および100は極性アミノ酸(アスパラギン、システイン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン)である。配列番号:5は、6.83の等電点を有する。
【0037】
Neurospora crassaおよび/またはAspergillus nidulansΔ15−不飽和化酵素をコードする配列は、トランスジェニック植物、微生物または動物において発現されて、LA、ならびにSDAからのALAのより大きい合成に影響を及ぼすことがある。N. crassaおよび/またはA. nidulansΔ15−不飽和化酵素ポリヌクレオチドと実質的に同一である他のポリヌクレオチド、あるいはN. crassaおよび/またはA. nidulansΔ15−不飽和化酵素ポリペプチドと実質的に同一であるポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチドを使用することもできる。「実質的に同一」は、N. crassaおよび/またはA. nidulansΔ15−不飽和化酵素アミノ酸配列またはアミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも80%、90%または95%同一性のおよそ増加するプレファレンスを呈するアミノ酸配列または核酸配列を指す。ポリペプチド比較またはポリヌクレオチド比較は、例えばGCGウィスコンシンパッケージ(Wisconsin Package)の配列分析ソフトウェア(Sequence Analysis software)(Accelrys, San Diego, CA)、MEGAlign(cDNAStar, Inc., 1228 S. Park St., Madison, Wis. 53715)、およびMacVector(Oxford Molecular Group, 2105 S. Bascom Avenue, Suite 200, Campbell, Calif. 95008)といった配列分析ソフトウェアを用いて実施することができる。そのようなソフトウェアは、類似性または同一性の度合いを指定することによって、同様の配列をマッチする。
【0038】
本発明は、同一または他の関連生物体からの関連する不飽和化酵素を網羅する。そのような関連した不飽和化酵素は、真菌の同一または異なる種内で天然に生じる開示されたΔ15−不飽和化酵素の変異体を含む。関連した不飽和化酵素は、開示された不飽和化酵素と実質的に同一に機能する能力;つまり、それらがLAをALAに、およびGLAをSDAに、効果的に変換することができるかどうかによって同定される。また、開示された不飽和化酵素への配列相同性に対する配列データベースのスクリーニング、開示された不飽和化酵素に基づくプローブの源生物体から構築されたライブラリーへのハイブリダイゼーション、または、源生物体からのmRNAおよび開示された不飽和化酵素に基づくプライマーを用いるRT−PCRによって、関連する不飽和化酵素を同定することができる。
【0039】
本発明の特定の態様は、真菌Δ15−不飽和化酵素ポリペプチドの変異体および断片ならびに不飽和化活性を維持するようにコードする核酸を含む。本発明のもう1つの態様において、核酸またはその断片を含有するベクター、プロモーター、Δ15−不飽和化酵素コード配列および終了領域を含有するベクターは、生物体に移され、ここに、プロモーターおよび終了領域は機能的である。従って、組換えΔ15−不飽和化酵素を生産する生物体は、本発明によって提供される。本発明のさらにもう1つの態様は、単離されたΔ15−不飽和化酵素を提供し、これは、蛋白質精製の通常の方法によって、組換え生物体から精製することができる(例えば、Ausubelら, 1987参照)。
【0040】
本発明の様々な態様は、本明細書中に記載される不飽和化酵素をコードする核酸配列を含む。Neurospora crassa、Aspergillus nidulans、Botrytis cinerea等を含むがこれらに限定されるものではない真菌から、核酸は単離することができる。これらの真菌のゲノムは、全て、配列決定され、各々がALAに豊富であると決定されている。N. crassaゲノムcDNAデータベースのBLASTサーチに基づき、潜在的脂肪酸不飽和化酵素として同定された配列を増幅するように構築されたオリゴヌクレオチドプライマーに基づくクローニング戦略を使用して、個々のクローンを配列決定することが可能である。次いで、これらのクローンは、機能的に特徴付けられる。
【0041】
核酸構築体は、宿主細胞のゲノムに組み込まれるか、あるいは宿主細胞内で自己複製(例えば、エピソーム的に複製)するように提供される。ALAおよび/またはSDAの生産につき、一般的に使用される発現カセット(つまり、ポリヌクレオチドの発現を方向付ける(複数の)核酸配列に操作可能に連結されている蛋白質をコードするポリヌクレオチド)は、Δ15−不飽和化酵素をコードするポリヌクレオチドの発現に提供する発現カセットを含む。特定の具体例において、宿主細胞は、野生型オレイン酸含有量を有する。
【0042】
本明細書中で提供される教示を考慮すると、真菌不飽和化酵素の発現のための発現ベクターの構築の方法および組成物は、当業者には明白であろう。本明細書中に記載するように、発現ベクターは、例えばポリヌクレオチドをコードするΔ15−不飽和化酵素といった所望のポリヌクレオチドの制御された発現のために設計されたDNAまたはRNA分子である。ベクターの例は、プラスミド、バクテリオファージ、コスミドまたはウィルスを含む。また、例えばシャトルベクター(Wolkら 1984; Bustosら, 1991)は、本発明に従い、熟慮される。ベクターおよびそれらを調製し使用する方法の概説は、Sambrookら (1989); Goeddel (1990);およびPerbal (1988)でわかる。ポリヌクレオチドの発現に影響を与えることが可能な配列エレメントは、プロモーター、エンハンサーエレメント、上流活性化配列、転写終止シグナルおよびポリアデニル化部位を含む。
【0043】
不飽和化酵素をコードするポリヌクレオチドは、強いプロモーターの転写性制御下に置かれる。いくつかの場合、これは、発現された不飽和化酵素の量の増加を招き、同時に、酵素による触媒された反応の結果として、生産された脂肪酸の増加を招く。トランスジェニック植物内の不飽和化酵素をコードするポリヌクレオチドの組織特異的な発現を起こさせるのに使用される植物プロモーター配列は、広範囲な多様性で存在する。例えば、ナピン(napin)プロモーターおよびアシル担体蛋白質プロモーターは、不飽和化酵素のアンチセンス形態の発現によって、種子油組成物の修飾に、先に使用されている(Knutzonら 1999)。同様に、大豆β−コングリシニンのβ−サブユニットのプロモーターは、高度に活性であり、大豆以外の種のトランスジェニック植物の組織特異的な発現を招くことを示している(Brayら, 1987)。強い構成性カリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーターの転写性制御下に、小胞体局在化fad3遺伝子を置くことによって、Arondelら(1992)は、トランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis)植物の組織中のリノレン酸(18:3)の量を増加させた。
【0044】
当業者は、特定の宿主細胞内での発現に適したベクターおよび(操作可能に連結されたプロモーターおよびコード領域を含む)制御エレメントを決定することが可能である。この文脈での「操作可能に連結された」は、プロモーターおよびターミネーター配列は、効果的に機能して、転写を制御することを意味する。さらなる例として、トランスジェニック植物中のΔ15−不飽和化酵素の発現に適したベクターは、Δ15−不飽和化酵素コード領域に操作可能に連結し、さらに種子貯蔵蛋白質終了シグナルまたはノパリン合成酵素終了シグナルに操作可能に連結したヘリアンチニン(helianthinin)、ナピン(napin)、またはグリシニンから由来する種子特異的プロモーター配列を含む。さらにさらなる例として、植物中のΔ15−不飽和化酵素の発現に使用するベクターは、Δ15−不飽和化酵素コード領域に操作可能に連結し、さらに、構成または組織特異的ターミネーターまたはノパリン合成酵素終了シグナルに操作可能に連結した構成プロモーターまたは組織特異的プロモーターを含んでもよい。
【0045】
本明細書中で熟考される機能を維持する本明細書中で開示されるヌクレオチド配列または制御エレメントの修飾は、本明細書の範囲内である。そのような修飾は、挿入、置換および欠失、特に遺伝子コードの縮重を反映する置換を含む。
【0046】
そのような組換えベクターの構築用の通常の技術は、当業者によく知られており、Sambrookら(1989)、または広く入手可能な組換えDNA技術に関する無数の実験マニュアルのような参考文献で見つけることができる。様々な戦略が、DNAの断片を連結するのに入手可能であり、その選択は、DNA断片の末端の性質によって決まる。本発明に従い、Δ15−不飽和化酵素を葉緑体に方向付ける小胞体または輸送ペプチドをコードする配列内の蛋白質の保持に必要な、例えばシグナルペプチドをコードする配列、KDELをコードする配列といった、クローニング、発現または加工を促進する他のヌクレオチド配列エレメントが、核酸ベクターに含まれることがさらに考慮される。そのような配列は、当業者に知られている。最適化された輸送ペプチドは、例えばVan den Broeckら(1985)によって、記載されている。原核および真核シグナル配列は、例えばMichaelisら(1982)によって開示される。
【0047】
特定の具体例において、発現カセットは、特にLAまたはALAをそれぞれ生産するまたは取り込む宿主細胞中のΔ6−および/またはΔ15−不飽和化活性に提供するカセットを含む。LAのようなオメガ−6型不飽和脂肪酸の生産は、ALAを生産することが不可能な宿主生物体に好まれる。宿主ALA生産は、Δ15−不飽和化酵素の活性を阻害することによって除去、減少および/または阻害することができる。これは、アンチセンスΔ15−不飽和化酵素に発現カセットを提供する通常の選択によって、標的遺伝子の一部または全ての挿入、欠失、置換を介して標的Δ15−不飽和化酵素遺伝子を破壊することによって、あるいはΔ15−不飽和化酵素の阻害剤を添加することによって、達成できる。同様に、アンチセンスΔ6転写用の発現カセットを提供することにより、Δ6−不飽和化酵素遺伝子を分裂させることにより、あるいはΔ6−不飽和化酵素阻害剤の使用によって、Δ6−不飽和化活性を有する微生物または動物において、LAまたはALAの生産が好まれる。
【0048】
所望の不飽和化酵素をコードするポリヌクレオチドは、様々な方法で同定できる。一例として、例えばNeurosporaからのゲノムまたはcDNAライブラリーといった所望の不飽和化酵素の源を、DNA、RNA、または非天然に生じるヌクレオチド、またはその混合物から作成された検出可能な酵素的または化学的に合成されたプローブでスクリーニングする。通常のまたは減少されたストリンジェントハイブリダイゼーション方法のために、プローブは、既知の不飽和化酵素のポリヌクレオチドから、酵素的に合成されても良い。また、オリゴヌクレオチドプローブを使用して、源をスクリーンしてもよく、既知の不飽和化酵素の間で保存された配列を含む既知の不飽和化酵素の配列、または所望の精製された蛋白質から入手されたペプチド配列に基づいていてもよい。アミノ酸配列に基づくオリゴヌクレオチドプローブは縮重されて、遺伝子コードの縮重を網羅するか、あるいは源生物体の好ましいコドンに有利にバイアスされてもよい。また、オリゴヌクレオチドは、既知の源または疑わしい源からの逆転写mRNAからのPCR用のプライマーとして使用することができ;PCR産物は、完全長cDNAであってもよく、あるいはPCR産物を使用して、プローブを発生させて、所望の完全長cDNAを得ることもできる。別法として、所望の蛋白質は、全体的に配列化されて、該ポリペプチドをコードするDNAの全合成を実施してもよい。
【0049】
一旦、所望のゲノムまたはcDNAが単離されると、それは、既知の方法によって配列決定できる。当該分野では、そのような方法は、誤差に曝され、つまり同一の領域の複数の配列決定はルーチンであり、特に、ドメインを反復させた領域、広範な二次構造、または高GC塩基含有量を有する領域のような異常な塩基組成物といった得られた推定された配列に測定可能な率の間違いを招くことが予測されることが認識されている。矛盾が生じた場合、再配列決定を行うことができ、特別な方法を用いることができる。特別な方法は:異なる温度;異なる酵素;オリゴヌクレオチドの高次構造を形成する能力を改変する蛋白質;ITPまたはメチル化dGTPのような改変されたヌクレオチド;例えばホルムアミドを添加する異なるゲル組成物;異なるプライマーまたは問題領域から異なる距離に位置するプライマー;または一本鎖DNAのような異なる鋳型を使用することによって、配列決定状態を改変することを含む。また、mRNAの配列決定を使用することもできる。
【0050】
不飽和化活性を有するポリペプチドのためのいくつかまたは全てのコード配列は、天然源からのものである。しかしながら、いくつかの状況において、例えば、発現を強めるために、宿主が好むコドンを使用することによって、コドンの全てまたは部分を修飾することが望ましい。宿主が好むコドンは、関心のある特定の宿主種中で、最大量で発現された蛋白質の最高頻度のコドンから決定できる。すなわち、不飽和化活性を有するポリペプチドのコード配列は、全体的に、または部分的に合成することができる。また、DNAの全てまたは部分を合成して、いずれかの非安定化配列または、転写されたmRNAに存在するであろう二次構造の領域を除去することができる。また、DNAの全てまたは部分を合成して、塩基組成物を所望の宿主細胞でより好ましいものに改変することができる。配列を合成し、配列を一緒にする方法は文献でよく確立されている。インビトロ突然変異誘発および選択、部位定方向突然変異誘発、または他の手段を使用して、天然に生じる不飽和化酵素遺伝子の突然変異を得て、より長い半減期または所望の高度不飽和脂肪酸の生産の高率といった宿主細胞の機能により望ましい物理的および力学的パラメーターで、不飽和化活性をインビボで有するポリペプチドを生産する。
【0051】
一旦、不飽和化酵素ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが得られると、それは、宿主細胞内の複製可能なベクターに置かれるか、あるいはPCRまたはロング(long)PCRといった技術の手段によって、インビトロで増殖される。ベクターの複製は、プラスミド、ファージ、ウィルス、コスミド等を含む。所望のベクターは、宿主細胞中の関心のある遺伝子の突然変異誘発または関心のある遺伝子の発現に有用なものを含む。ロングPCRの技術は、大きな構築体のインビトロで増殖を可能にし、それにより、関心のある遺伝子への修飾、例えば突然変異誘発または発現シグナルの付加、および得られた構築体の増殖は、ベクターまたは宿主細胞の複製を使用することなしに、完全にインビトロで起こる。
【0052】
不飽和化酵素ポリペプチドの発現につき、機能的転写および翻訳開始および終止領域は、不飽和化酵素ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに操作可能に連結される。ポリペプチドコード領域の発現は、インビトロまたは宿主細胞で起こり得る。転写および翻訳開始ならびに終止領域は、発現されるポリヌクレオチド、所望のシステムでの発現が可能であると知られているか疑われている遺伝子、発現ベクター、化学合成、または宿主細胞の内因性遺伝子座を含む様々な非独占的な源から由来する。
【0053】
宿主細胞内での発現は、一過性または安定した様式で達成することができる。一過性発現は、宿主細胞に機能的な発現シグナルを含有する導入された構築体から起こり得るが、この構築体は、宿主細胞内では複製することはなく、滅多に組み込むこともないか、あるいは宿主細胞は増幅しない。また、一過性発現は、関心のある遺伝子に操作可能に連結された制御可能なプロモーターの活性を誘発することによって達成できるが、そのような誘発システムは、しばしば、発現の低基底レベルを呈する。安定発現は、宿主ゲノムに組み込むことができる構築体または宿主細胞内で自主的に複製する構築体の導入によって達成できる。関心のある遺伝子の安定発現は、発現構築体に配置されたあるいはトランスフェクトされた選択可能なマーカーの使用、引き続いて、マーカーを発現する細胞のための選択を通して、選択されることができる。安定発現が、組み込みからのものである時、構築体の組み込みは、宿主ゲノム内で無作為に起こるか、あるいは宿主遺伝子座との組換えを標的するのに十分な宿主ゲノムを持つ相同性のある領域を含有する構築体の使用を介して、標的され得る。構築体が、内因性遺伝子座に標的されると、全てまたはいくつかの転写性および翻訳性制御領域は、内因性遺伝子座によって提供される。
【0054】
源生物体内の不飽和化酵素ポリペプチドの増加した発現が望ましい場合、いくつかの方法を使用することができる。不飽和化酵素ポリペプチドをコードするさらなる遺伝子を、宿主生物体に導入することができる。また、例えば、宿主ゲノムにより強いプロモーターを挿入して、発現の増加を引き起こすことによって、宿主ゲノムから該情報を消去することによってmRNAまたはコードされた蛋白質のいずれかからの不安定化配列を除去することによって、あるいは安定化配列をmRNAに付加することによって、相同組換えを介して、未変性の不飽和化酵素遺伝子座からの発現は、増加させることができる(米国特許第4,910,141号)。
【0055】
エピソームのまたは組み込まれた発現ベクターの使用を介して、不飽和化酵素をコードする1つ以上のポリヌクレオチドまたは1つ以上の不飽和化酵素をコードするポリヌクレオチドが、宿主細胞中に導入され、増殖され得ると考えられる。2つまたはそれ以上の遺伝子が、別々の複製ベクターから発現される場合、各ベクターは、複製の異なる手段を有することが望ましい。組み込まれているか否かに拘わらず、導入された各構築体は、異なる選択の手段を有しているべきであり、他の構築体に対する相同性を欠いて、安定発現を維持し、構築体間の他のエレメントの再組合せを避けるべきである。制御領域、選択手段および導入された構築体の増殖方法の賢明な選択は、実験的に決定され、それにより、全ての導入されたポリヌクレオチドは、必要なレベルで発現して、所望の産物の合成を提供する。
【0056】
形質転換に必要である時、本発明のΔ15−不飽和化酵素コード配列は、例えばBevan(1984)によって記載される二元ベクターといった植物形質転換ベクターに挿入することができる。植物形質転換ベクターは、Agrobacterium tumefaciensの天然遺伝子導入システムを修飾することによって派生する。天然システムは、形質転換された植物に導入されるT−DNAとして知られる大きなセグメントを含有する大きなTi(腫瘍誘発)プラスミドを含む。Tiプラスミド、vir領域のもう1つのセグメントは、T−DNA導入を担う。T−DNA領域は、末端反復によって隣り合う。修飾された二元ベクターにおいて、遺伝子を誘発する腫瘍は欠失され、vir領域の機能を使用して、T−DNA境界配列によって隣り合う外来DNAを導入させる。また、T領域は、抗菌耐性に対する選択可能なマーカー、および導入のために配列を挿入するための複数のクローニング部位を含有する。そのような設計された菌株は、「disarmed」A. tumefaciens株として知られ、植物の核ゲノムへのT領域によって隣り合う配列の能率的な形質転換を許容する。
【0057】
本発明は、多くの適用が可能である。本発明のポリヌクレオチドに基づくプローブは、関連する分子を単離する方法または不飽和化酵素を発現する生物体を検出する方法において使用できる。プローブとして使用される時、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは検出可能でなければならない。大抵、これは、例えば修飾された残留物の取り込みを介して、内部部位、あるいは5’または3’末端のいずれかにて、標識を付けることによって達成される。そのような標識は、直接的に検出可能であるか、検出可能に標識されている二次分子に結合するか、あるいは未標識二次分子および検出可能に標識された三次分子に結合することができる;許容不可能なレベルのバックグラウンドシグナルなしに十分に検出可能なシグナルを達成するのに実用的な限り、この工程は延長させることが可能である。二次、三次、または架橋システムは、標識または他の抗体、を含むいずれかの他の分子に対して方向付けられた抗体の使用を含み、または例えばビオチンストレプタビジン/アビジンシステムといったお互いに結合するいずれかの分子を含んでいてもよい。典型的には、検出可能な標識は、放射性同位元素、化学的または酵素的に光を生産または改変する分子、検出可能な反応産物を生成する酵素、磁性分子、蛍光分子または結合の際に蛍光または光放射特徴が変化する分子を含む。標識方法の例は、米国特許第5,011,770号で見つけることができる。別法として、等温性滴定熱量測定を介して、プローブを標的に結合する際に溶液の熱の変化を測定することによって、あるいは、プローブまたは表面上の標的を覆って、BIAcoreシステムで実行できるような標的またはプローブそれぞれの結合によって生産される表面からの光の散乱の変化を検出することによって、標的分子の結合を直接的に検出することも可能である。
【0058】
関心のある遺伝子を含む構築体は、通常の技術によって、宿主細胞に導入することができる。便宜により、DNA配列または構築体を取り込むようにいずれかの方法によって操作されている宿主細胞は、本明細書において、「形質転換された」あるいは「組換え」として言及されるだろう。対象宿主は、少なくとも1つの発現構築体のコピーを有し、例えば遺伝子がゲノムに組み込まれたか、増幅されたか、あるいは複数のコピー数を有する染色体外のエレメント上に存在しているかどうかによって、2つまたはそれ以上の発現構築体を有するだろう。
【0059】
形質転換された宿主細胞は、導入された構築体上に含有されたマーカーの選択によって同定可能である。代わりに、多くの形質転換技術が、多くのDNA分子を宿主細胞に導入するように、別々のマーカー構築体を、所望の構築体と導入してもよい。典型的には、形質転換された宿主は、それらの能力につき選択されて、選択性媒体上で増殖する。選択性媒体は、抗生物質を取り込んでもよく、あるいは栄養剤または成長因子のような未形質転換宿主の成長に必要な因子を欠落していてもよい。すなわち、導入されたマーカー遺伝子は、抗菌耐性を授与するか、あるいは必要な成長因子または酵素をコードし、形質転換された宿主中で発現される時、選択性媒体での成長を許容する。また発現されたマーカー蛋白質が、直接的または間接的に検出される時、形質転換された宿主の選択が起こる。マーカー蛋白質は、単独で発現されてもよく、またはもう1つの蛋白質への融合として発現されてもよい。マーカー蛋白質は、その酵素活性によって検出できる;例えば、ベータ−ガラクトシダーゼは、基質Xgalを色のついた産物に変換し、ルシフェラーゼは、ルシフェリンを光放射産物に変換することができる。マーカー蛋白質は、その光生産または修飾特徴によって検出可能である;例えば、Aequorea victoriaの緑蛍光蛋白質は、青い光で照射された時、蛍光を発する。抗体を使用して、例えば関心のある蛋白質のマーカー蛋白質または分子タグを検出することができる。マーカー蛋白質またはタグを発現している細胞は、例えば、視覚的に、あるいはFACSのような技術によって、または抗体を用いるパニングによって選択することが可能である。望ましくは、カナマイシンおよびアミノグリコシドG418に対する耐性、ならびに媒体欠失ウラシル、ロイシン、リシンまたはトリプトファンで成長する能力は興味を引く。
【0060】
特に関心があるのは、真核宿主細胞中のPUFA’sのΔ15−不飽和化酵素媒介生産である。真核細胞は、油生産作物植物のような植物細胞、および真菌細胞を含む遺伝子操作に受け入れられる他の細胞を含む。細胞は、植物を含む宿主生物体の一部または全てとして培養あるいは形成されてもよい。好ましい具体例において、宿主は、Δ15−不飽和化酵素につき、外因的に供給された(複数の)基質を生産および/または吸収することができる植物細胞であり、好ましくは大量の1またはそれ以上の基質を生産する植物細胞である。
【0061】
形質転換された宿主細胞は、所望の最終結果に適合された適した条件下で成長する。培地で成長した宿主細胞につき、条件は典型的には選択された不飽和化活性に関連する最大または最も経済的な収量のPUFA’sを生産するように最適化される。最適化され得る媒体条件は:炭素源、窒素源、基質の添加、添加された基質の最終濃度、添加された基質の形態、好気性または嫌気性成長、成長温度、導入温度、導入での成長相、収穫での成長相、pH、密度、および選択の維持を含む。
【0062】
本発明のもう1つの態様は、本発明の単離されたDNAを含有するトランスジェニック植物または植物の子孫を提供する。単子葉植物および双子葉類植物の両方が考慮される。上記の植物形質転換方法のいずれかによって、植物細胞は、Δ15−不飽和化酵素をコードする単離されたDNAで形質転換される。大抵カルス培養液またはリーフディスク(leaf disk)中にある形質転換された植物細胞は、当業者によく知られる方法によって、完全なトランスジェニック植物へと再生される(例えばHorschら, 1985)。1つの具体例において、トランスジェニック植物は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、キャノーラ、醤油豆、大豆、アブラナ、ベニバナ、綿、ココア、落花生、ベニバナ、ココヤシ、亜麻、油ヤシ、脂肪種子Brassica napus、トウモロコシ、ホホバ、南京黄櫨、タバコ、果物植物、柑橘植物またはおよびナッツおよびベリーを生産する植物よりなる群から選択される。形質転換された植物の子孫は、Δ15−不飽和化酵素をコードするポリヌクレオチドを受け継ぐため、形質転換された植物からの種子または切片を使用して、トランスジェニック植物系統を維持することができる。
【0063】
さらに、本発明は、トランスジェニック植物にALAおよび/またはSDAの増加された含有量を提供する方法を提供する。この方法は、例えば、ALAまたはSDAを欠乏またはそれらを低レベル有しているが、LAを含有する植物細胞に、Δ15−不飽和化酵素をコードするDNAを導入し、トランスジェニック細胞からの増加されたALAおよび/またはSDA含有量で、植物を再生させることを含む。本発明の特定の具体例において、また、Δ6−および/またはΔ12−不飽和化酵素をコードするDNAは、植物細胞に導入される。また、そのような植物は、内因性Δ6−および/またはΔ12−不飽和化活性を含んでいても、含んでいなくてもよい。特定の具体例において、修飾された商業的に栽培された作物植物は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、キャノーラ、醤油豆、大豆、アブラナ、ベニバナ、綿、ココア、落花生、ベニバナ、ココヤシ、亜麻、油ヤシ、脂肪種子Brassica napus、トウモロコシ、ホホバ、南京黄櫨、タバコ、果物植物、柑橘植物またはおよびナッツおよびベリーを生産する植物を含むが、これらに限定されるものではないトランスジェニック生物体として考えられる。
【0064】
さらに、本発明は、ALAおよび/またはSDAを上昇したレベル含有していてもよいトランスジェニック植物を提供する方法を提供し、ここに該上昇したレベルは、未形質転換植物で見受けられるレベルより大きい。この方法は、ALAを欠乏しているか、低レベル有しているが、LAを含有する植物に、Δ15−不飽和化酵素をコードする1またはそれ以上のポリヌクレオチドを導入することを特徴とする。Δ15−不飽和化酵素、またはΔ15−不飽和化酵素およびΔ6−不飽和化酵素をコードするDNAを含む発現ベクターは、当業者に知られる組換え技術の方法によって構築できる(Sambrookら, 1989)。特に、商業的に栽培される作物植物は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、キャノーラ、醤油豆、大豆、アブラナ、ベニバナ、綿、ココア、落花生、ベニバナ、ココヤシ、亜麻、油ヤシ、脂肪種子Brassica napusおよびトウモロコシを含むがこれらに限定されるものではないトランスジェニック生物体として考慮される。
【0065】
食事補充のため、通常の使用で受取人が所望の量を受け取るように、精製されたPUFAs、形質転換された植物または植物部分、またはその誘導体は、調理油、脂肪またはマーガリンに組み込まれても良い。また、PUFAsが、乳児用の処方、栄養サプリメントまたは他の食品産物に組み込まれてもよく、抗炎症剤またはコレステロール低下剤としての使用も可能かもしれない。
【0066】
本明細書中で使用されるように、「食用組成物」は、食物、栄養物質および医薬組成物のように、哺乳類によって摂取される組成物として定義される。本明細書中で使用されるように、「食物」は哺乳類用の食品としての使用のために使用または調製される物質を指し、(フライ油のような)食品の調製に使用される物質または食品添加剤を含む。例えば、食物は、ヒトの消費に使用される動物または例えば卵といったそれからのいずれかの産物を含む。典型的な食物は、飲料(例えば、ソフトドリンク、炭酸飲料、混ぜて使用する飲料)、注入食物(例えば、果物および野菜)、ソース、調味料、サラダドレッシング、フルーツジュース、シロップ、デザート(例えば、プディング、ゼラチン、糖衣および詰め物、焼いたものおよびアイスクリームおよびシャーベットのような冷凍デザート)、ソフトフローズン製品(例えば、ソフトフローズンクリーム、ソフトフローズンアイスクリームおよびヨーグルト、乳性ホイップトッピングまたは非乳性ホイップトッピングのようなソフトフローズントッピング)、油および乳化製品(例えば、ショートニング、マーガリン、マヨネーズ、バター、調理油、およびサラダドレッシング)および中間湿気食品(例えば、米およびドッグフード)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0067】
さらに、本明細書中で記載される食用組成物は、また、添加物または食品および飲料に含有されるサプリメントとして消化される。これらは、様々なビタミンおよびミネラルのような栄養物質と一緒に処方され、栄養ドリンク、豆乳およびスープのような実質的な液体組成物;実質的な固体組成物;およびゼラチンに配合されるか、粉末の形態で使用して、様々な食品に配合されてもよい。そのような機能的または健康食品中の効果的な成分の含有量は、典型的な医薬剤中に含有される用量に似たものであってよい。
【0068】
また、精製されたPUFAs、形質転換された植物または植物部分を動物の餌、特に家畜の餌に配合することもできる。こうすると、動物自体が、PUFAに豊富な食餌から利益を得、そのような家畜から生産された食品のヒト消費者も利益を得ることができる。特定の具体例において、SDAは動物中のEPAに変換され、すなわち、そのような動物は、SDAの消費によって、EPAの増加から利益を得ることができることが予測される。
【0069】
医薬上の使用(ヒトまたは獣医学)につき、組成物は、一般に、経口投与されるが、それらが十分に吸収されるいずれの経路によって投与されてもよく、例えば、非経口投与(つまり、皮下、筋肉内または静脈内)、直腸投与、膣投与または例えば皮膚軟膏またはローションとして局所投与されてもよい。本発明のPUFAs形質転換された植物または植物部分は、単独で投与されてもよく、あるいは医薬上許容される担体または賦形剤と合わせて投与されてもよい。入手可能である場合、ゼラチンカプセルは、経口投与の好ましい形態である。上記記載のように、食餌補充もまた投与の経口経路を提供する。本発明の不飽和酸は、複合形態、または脂肪酸の塩、エステル、アミドまたはプロドラッグとして投与されてもよい。いずれかの医薬上許容される塩は、本発明によって網羅される;特に好ましいのは、ナトリウム、カリウムまたはリチウム塩である。また、PCT公開公報WO96/33155にあるN−メチルグルカミンのようなN−アルキルポリヒドロキシアミン塩を網羅する。好ましいエステルは、エチルエステルである。固体塩として、PUFAsは、錠剤形態で投与されてもよい。静脈内投与につき、PUFAsまたはその誘導体は、脂質内のような商業的処方に組み込まれる。
【0070】
所望により、不飽和化活性に重要な不飽和化酵素ポリペプチドの領域は、ルーチン変異誘発、引き続いての得られた突然変異ポリペプチドの発現およびその活性の決定を介して、決定することができる。突然変異体は、置換、消去、挿入および点突然変異、またはその組合せを含む。置換は、保存された疎水性または親水性に基づいて実施されてもよく(Kyte and Doolittle, 1982)、あるいは似たポリペプチド二次構造を採る能力に基づいて実施されてもよい(Chou and Fasman, 1978)。典型的な機能分析は、欠失突然変異誘発で始まって、機能に必要な蛋白質のN−およびC−末端制限を決定し、次いで、内部欠失、挿入または点突然変異体を作成して、さらに機能に必要な領域を決定する。カセット変異誘発または全合成のような他の技術を用いてもよい。消失変異誘発は、例えば、エキソヌクレアーゼを使用して、5’または3’コード領域を順次に除去することによって、達成される。キットは、そのような技術用に入手可能である。欠失後、コード領域は、開始または停止コドンを含有するオリゴヌクレオチドを、それぞれ5’または3’ 欠失後に欠失されたコード領域に連結することによって、完了する。代わりに、開始または停止コドンをコードするオリゴヌクレオチドは、部位定方向突然変異誘発、突然変異誘発性PCRを含む様々な方法によって、または存在する制限部位にて消化されたDNAへの連結によって、コード領域に挿入される。
【0071】
DNA中の存在する制限部位の使用を含む様々な方法を介して、部位定方向突然変異誘発または突然変異誘発PCRを介する突然変異誘発プライマーの使用によって、内部欠失は同様に作成できる。挿入は、リンカー走査突然変異誘発、部位定方向突然変異誘発または突然変異誘発PCRのような方法を介して作成される。点突然変異は、部位定方向突然変異誘発または突然変異誘発PCRのような技術を介して作成される。また、化学突然変異誘発は、活性に重要な不飽和化酵素ポリペプチドの領域を同定するのに使用される。そのような構造−機能分析は、どの領域が欠失され得、どの領域が挿入に耐え、どの点突然変異が突然変異蛋白質が、天然の不飽和化酵素と実質的に同じように機能させるかを決定することができる。全てのそのような突然変異蛋白質およびそれらをコードするヌクレオチド配列は、本発明の範囲内にある。
【0072】
本明細書中で上記したように、本発明の特定の具体例は、植物形質転換構築体に関する。例えば、本発明の1つの態様は、1またはそれ以上の(複数の)不飽和化酵素遺伝子または(複数の)cDNAを含む植物形質転換ベクターである。本発明で使用する例示的なコード配列は、Neurospora crassa遺伝子Δ15−不飽和化酵素NcD15D(配列番号:1および配列番号:2)およびAspergillus nidulansΔ15−不飽和化酵素AnD15D(配列番号:4)を含む。特定の具体例において、アンチセンス不飽和化酵素配列は、また、本発明で使用できる。核酸をコードする例示的な不飽和化酵素は、少なくとも20、40、80、120、300を含み、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:4または配列番号:33の核酸配列の完全長までが使用できる。特定の態様において、核酸は1、2、3、4またはそれ以上の不飽和化酵素をコードする。特定の具体例において、核酸はΔ6−およびΔ15−不飽和化酵素をコードする。
【0073】
本発明の特定の具体例において、コード配列は、センスまたはアンチセンス配向のいずれかにおいて、異種プロモーターに操作可能に連結されて提供される。また、植物および植物細胞が配列で形質転換されるように、発現構築体は、これらの配列を含んで提供される。本発明に従い、これらまたは他の配列を用いる植物形質転換技術と組み合わせて使用される構築体の構築は、本開示に鑑みて、当業者に知られているだろう(例えば、Sambrookら, 1989; Gelvinら, 1990参照)。すなわち、本発明の技術は、いずれかの特定の核酸配列に限定されるものではない。
【0074】
本発明によって提供される配列の用途は、不飽和化酵素遺伝子、特定の具体例においては真菌Δ15−不飽和化酵素との遺伝子形質転換による植物表現型、例えば油組成物の改変においてである。不飽和化酵素遺伝子は、他の配列と提供され得る。必ずしもマーカーコード領域ではない発現可能なコード領域は、マーカーコード領域と合わせて使用され、形質転換につき、同一または異なるDNAセグメントのいずれかにおいて、別々のコード領域を使用してもよい。後者の場合、異なるベクターは、受入細胞に同時に送達されて、共形質転換を最大化する。
【0075】
不飽和化酵素コード配列と合わせて使用されるいずれかのさらなるエレメントの選択は、しばしば、形質転換の目的によって決定されるだろう。作物植物の形質転換の主な目的の1つは、商業的に望ましく、農学的に重要な特徴を植物に付加することである。PUFAsは、健康に関して多くの有益な効果を与えるように、SDA生産の随伴的な増加もまた有益であり得、真菌Δ15−不飽和化酵素の発現によって達成できる。そのようなSDAの増加は、本発明の特定の具体例において、真菌または植物Δ6および/またはΔ12不飽和化酵素を含むΔ6および/またはΔ12不飽和化酵素の発現を含む。
【0076】
植物形質転換に使用されるベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、YACs(酵母人工染色体)、BACs(細菌人工染色体)またはいずれかの他の適したクローニングシステム、ならびにそれからのDNAの断片を含む。すなわち、用語「ベクター」または「発現ベクター」が使用される時、全ての先の型のベクター、ならびにそれから単離された核酸配列が含まれる。大きな挿入能力を持つクローニングシステムの利用は1つ以上の選択された遺伝子を含む大きなDNA配列の導入を許容することが考慮される。本発明に従い、これを使用して、核酸をコードする様々な不飽和化酵素を導入することができる。そのような配列の導入は、細菌または酵母人工染色体(それぞれBACsまたはYACs)、あるいは植物人工染色体の使用によって、促進させることができる。例えば、Agrobacterium媒介形質転換のためのBACsの使用は、Hamiltonら(1996)によって、開示された。
【0077】
そのようなベクターから単離された発現カセットは、形質転換に特に有用である。もちろん、植物細胞を形質転換するのに使用されるDNAセグメントは、一般に、cDNA、遺伝子または宿主細胞に導入され、宿主細胞で発現するのが望まれる遺伝子を含む。さらに、これらのDNAセグメントは、プロモーター、エンハンサー、ポリリンカー、または所望により制御遺伝子のような構造を含む。細胞導入に選択されるDNAセグメントまたは遺伝子は、しばしば、蛋白質をコードし、これは得られた組換え細胞で発現され、結果的にスクリーン可能なまたは選択可能な特徴を招き、および/または、得られたトランスジェニック植物に改良された表現型を与えるだろう。しかしながら、これはいつもそうであるわけではなく、本発明は、また、非発現されたトランスジーンを組み込むトランスジェニック植物も網羅する。好ましい構成成分は、本発明で使用されるベクターと共に、次のように含まれるだろう。
【0078】
1つの具体例において、本発明は特定のプロモーターを使用する。そのような本発明で使用されるプロモーターの例は、35S CaMV(カリフラワーモザイクウィルス)、34S FMV(ゴマノハグサ(figwort)モザイクウィルス)(例えば、米国特許第5,378,619号参照、その内容は、その全文において、本明細書中に組み込まれる)、Napin(Brassicaから)、7S(大豆から)、GlobおよびLec(トウモロコシから)を含むが、これらに限定されるものではない。植物種子成熟の間制御される35S CaMVプロモーターおよび複数のプロモーターは、本発明との使用につき、特に関心を集める。単独でまたは組み合わせでの全てのそのようなプロモーターおよび転写制御エレメントは、本発明の複製可能な発現ベクターでの使用で考慮され、当業者に知られている。
【0079】
CaMV 35Sプロモーターは、例えばRestrepoら(1990)によって記載される。また、種子特異的発現に繋がる遺伝子形質転換され突然変異された制御配列は、修飾された種子油組成物の生産に使用することができる。本明細書中に記載される本発明のそのような修飾は、当業者には明らかだろう。
【0080】
また、転写開始部位およびコード配列、つまり非翻訳リーダー配列の開始の間のDNA配列は、遺伝子発現を影響し得る。従って、本発明の形質転換構築体と共に、特定のリーダー配列を使用することが望まれるかもしれない。好ましいリーダー配列は、結合された遺伝子の最適発現を方向付けると予測される配列を含むものを含む、つまり、mRNA安定性を増加させるか、それを維持し、翻訳の不適切な開始を防止する好ましいコンセンサスリーダー配列を含むと考えられる。そのような配列の選択は、本開示に鑑みて、当業者に知られているだろう。典型的には、植物で高度に発現された遺伝子から由来する配列が、好まれる。
【0081】
典型的には、本発明に従って調製された形質転換構築体は、3’末端DNA配列を含み、これはシグナルとして作用して、転写を終了させ、不飽和化酵素遺伝子(例えば、cDNA)に操作可能に連結されたコード配列によって生産されたmRNAをポリアデニル化する。本発明の1つの具体例において、不飽和化酵素遺伝子の天然ターミネーターが使用される。代わりに、異種3’末端は、不飽和化酵素コード領域の発現を促進させることができる。有用であるとみなされるターミネーターの例は、Agrobacterium tumefaciens(nos 3’末端)のナパリン合成酵素遺伝子(Bevanら, 1983)からのもの、Agrobacterium tumefaciensのオクトピン合成酵素からのT7転写物のターミネーター、ジャガイモまたはトマトからのプロテアーゼ阻害剤IまたはII遺伝子の3’末端およびCaMV 35Sターミネーター(tml3’)を含む。さらに、Adhイントロン(Callisら, 1987)、スクロース合成酵素イントロン(Vasilら, 1989)またはTMVオメガエレメント(Gallieら, 1989)といった制御エレメントが、所望により含まれる。
【0082】
選択可能またはスクリーン可能なマーカー蛋白質を使用することにより、形質転換体を同定する能力を提供または促進することが可能である。「マーカー遺伝子」は、マーカー蛋白質を発現している細胞に異なる表現型を与え、従って、そのような形質転換された細胞を、マーカーを持たない細胞から識別可能にする遺伝子である。そのような遺伝子は、選択可能またはスクリーン可能なマーカーのいずれかをコードし、これは、マーカーが化学的手段によって、つまり選択剤(例えば、除草剤、抗生物質等)の使用を介して、「選択」できる特徴を与えるかどうか、あるいは単に観察またはテストを介して、つまり「スクリーニング」によって(例えば、緑蛍光蛋白質)同定できる特徴であるかによって決まる。もちろん、適したマーカー蛋白質の多くの例は、当該分野に知られており、本発明の実行に使用することができる。
【0083】
本発明との使用に適した植物細胞または他の細胞の形質転換の方法は、実質的に、例えば、DNAの直接的送達によって、プロトプラストのPEG−媒介形質転換によって(Omirullehら, 1993)、乾燥/阻害媒介DNA取り込みによって(Potrykusら, 1985)、電気穿孔法によって(米国特許第5,384,253号,その全文において、引用によって、本明細書中に具体的に組み込まれる)、炭化ケイ素ファイバーによる撹拌によって(Kaepplerら, 1990; 米国特許第5,302,523号,その全文において、引用によって、本明細書中に具体的に組み込まれる;および米国特許第5,464,765号, その全文において、引用によって、本明細書中に具体的に組み込まれる)、Agrobacterium−媒介形質転換によって(米国特許第5,591,616号および米国特許第5,563,055号; 両方とも、引用によって、本明細書中に具体的に組み込まれる)ならびにDNAで覆われた粒子の加速によって(米国特許第5,550,318号; 米国特許第5,538,877号;および米国特許第5,538,880号;各々、その全文において、引用によって、本明細書中に具体的に組み込まれる)等のような、DNAが細胞に導入されるいずれの方法も含むと考えられている。これらのような技術の適用を介して、実質的にいずれの植物種の細胞も安定に形質転換され、これらの細胞はトランスジェニック植物へと発達した。
【0084】
受入細胞への外因性DNAの送達を達成した後、次の段階は、一般的に、さらなる培養および植物再生のために、形質転換された細胞を同定することに関する。形質転換体を同定する能力を改善するため、選択可能またはスクリーン可能なマーカー遺伝子を、本発明に従い調製された形質転換ベクターと使用することが望まれる。この場合、一般的に、細胞を選択剤または複数の剤に暴露することによって、潜在的に形質転換された細胞群をアッセイするか、あるいは所望のマーカー遺伝子特徴につき、細胞をスクリーンする。
【0085】
選択剤への暴露後も生存する細胞、またはスクリーニングアッセイにおいて、陽性を示している細胞は、植物の再生を支持する培地で培養してもよい。例示的な具体例において、MSおよびN6培地は、成長制御因子のようなさらなる物質を含むことによって修飾できる。1つのそのような成長制御因子は、ジカンバ(dicamba)または2,4−Dである。しかしながら、NAA、NAA+2,4−Dまたはピクロラム(picloram)を含む他の成長制御因子が使用できる。これらの培地改善および似た方法は、特定の発達段階にて、細胞の成長を促進することがわかっている。植物再生努力を開始するのに十分な組織が入手できるまで、または反復ラウンドの手動選択に従い、組織の形態が再生に適するまで、典型的には少なくとも2週間において、組織を成長制御因子を含む基礎培地で維持し、次いで、胚様体の成熟を導く培地に導入することができる。培養液は、この培地で、2週間ごとに導入される。短い発達が、成長制御因子を欠落している培地への導入の時を伝える。
【0086】
再生植物における外因性DNAまたは「(複数の)トランスジーン」の存在を確認するため、様々なアッセイを実施する。そのようなアッセイは、例えば、サザーンブロッティングおよびノーザンブロッティングおよびPCRTMのような「分子生物学的」アッセイ;例えば、免疫学的手段(ELISAsおよびWestern blots)または酵素機能によって蛋白質生成物の存在を検出する「生化学的」アッセイ;および全再生された植物の表現型を分析することによる葉または根アッセイのような植物部分アッセイを含む。
【0087】
本発明に従い調製された構築体で特定の植物遺伝子型を直接形質転換することに加えて、本発明の選択されたDNAを有する植物を、DNAを欠乏している第2植物に交雑させることによって、トランスジェニック植物を作成することができる。また、植物育種技術を使用して、例えば(複数の)Δ6、Δ12、および/またはΔ15−不飽和化酵素といった複数の不飽和化酵素を、単一の植物に導入することができる。このように、Δ15−不飽和化酵素は、効果的に上方制御することができる。Δ15−不飽和化活性および/または他の不飽和化活性(例えば、Δ6−および/またはΔ12−不飽和化活性)に同種接合の植物を作ることによって、有益な代謝産物を植物中に増加させることができる。
【0088】
上記したように、選択された不飽和化酵素遺伝子は、該所与の種の植物を直接的に形質転換する必要性なしに、交雑することによって、特定の植物種に導入することができる。すなわち、本発明は、直接的に形質転換された植物または本発明に従い形質転換された細胞から再生された植物だけでなく、そのような植物の子孫もまた網羅する。本明細書中で使用するように、用語「子孫」は、本発明に従い調製された親植物のいずれかの世代の子孫を意味し、ここに子孫は、本発明に従い調製された選択されたDNA構築体を含む。植物を「交雑」させて、1つまたはそれ以上の付加されたトランスジーンを有する植物系統または出発植物系統に相対的な対立遺伝子を提供することは、本明細書中で開示するように、出発系統を本発明のトランスジーンまたは対立遺伝子を含むドナー植物系統と交雑させることによって、結果的に特定の配列を植物系統に導入することになる技術として定義される。これを達成するために、例えば、次の工程を実施することができる:(a)第1(出発系統)および第2(所望のトランスジーンまたは対立遺伝子を含むドナー植物系統)親植物の種子を植え;(b)第1および第2の親植物の種子を、開花植物へと成長させ;(c)第1の親植物からの花を、第2の親食物からの花粉で受粉させ;次いで(d)受精させた花を開花させる親植物で生産された種子を収穫する。
【0089】
戻し交雑は、本明細書中では、次の工程を含むプロセスとして定義される:(a)所望の遺伝子、DNA配列またはエレメントを含有する第1の遺伝子型の植物を、該所望の遺伝子、DNA配列またはエレメントを欠く第2の遺伝子型の植物に交雑させ;(b)所望の遺伝子、DNA配列またはエレメントを含有する1つまたはそれ以上の子孫植物を選択し;(c)子孫植物を第2の表現型の植物に交雑させ;次いで(d)第1の遺伝子型の植物からの所望のDNA配列を、第2の遺伝子型の植物に導入するために、工程(b)および(c)を繰り返す。
【0090】
植物遺伝子型へのDNAエレメントの遺伝子移入は、戻し交雑変換のプロセスの結果として定義づけられる。DNA配列が遺伝子移入されている植物遺伝子型は、戻し交雑変換された遺伝子型、系統、近交、またはハイブリッドと呼ばれる。同様に、所望のDNA配列を欠く植物遺伝子型は、非変換遺伝子型、系統、近交、またはハイブリッドと呼ばれる。
【実施例】
【0091】
次の実施例は、本発明の具体例を説明するために含める。次の実施例で開示される技術は、発明者によって発見されたものであり、本発明の実施において十分に機能するものであることが、当業者によって理解されるはずである。しかしながら、本開示に鑑みて、開示される特定の具体例において多くの変更が可能であり、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなしに、同様または似た結果を入手することができることを、当業者は理解するはずである。より具体的には、化学的かつ生理学的に関連する特定の剤を、本明細書中に記載する剤と置換しても、同一または同様の結果が得られるであろうことも明白であろう。当業者には明白な全てのそういった同様の置換および修飾は、添付された請求項によって定義されるように、本発明の精神、範囲および概念内にあるものとみなす。
【0092】
実施例1
株および増殖条件
Neurospora crassa交配型AおよびAspergillus nidulans Glasgow野生型を、真菌遺伝学貯蔵センター(Fungal Genetics Stock Center)から入手した。培養液をフォーゲル(Vogel)媒体N.中で増殖させた(Caseら, Neurospora Newsletter, 8:25-26, 1965)。液体培養液を、子嚢胞子で摂取し、100RPMにて撹拌しつつ、15℃にて、3日間増殖させる。菌糸を、ワットマン数1紙を介して、ブフナー漏斗のろ過によって、収穫し、RNA単離につき、80℃にて貯蔵し、あるいはガスクロマトグラフィーによる脂肪酸組成物決定につき、直接的に凍結乾燥させた。使用されたSaccharomyces cerevisiae株は、ヒスチジン、ロイシン、トリプトファン、およびウラシル(Invitrogen)につき栄養要求性であるINVSc1、二倍体株であった。細胞を、YPD培地において、30℃にて維持した。
【0093】
実施例2
真菌RNAの単離
ChomczynskiおよびSacchiの酸グアニジニウム−フェノール−クロロホルム法(1987, Tri-Reagent, SIGMA)を用いて、実施例1記載の3株の真菌菌糸体から、総RNAを単離した。この方法によって、液体窒素に置かれている菌糸体を500mg得、次いで、7mlのトリ試薬に添加した。クロロホルムを添加して、有機相から水性相を分離した。RNAをイソプロパノールで沈殿させ、次いで、70%エタノールで洗浄し、その後、脱イオン水中で再懸濁した。
【0094】
実施例3
N. crassaΔ12およびΔ15−不飽和化酵素配列のクローニング
N. crassaゲノム配列に対する配列比較に基づき、遺伝子特異的プライマーを設計して、推定上のΔ12−不飽和化酵素(Nc111F2およびNc111R3)および推定上のΔ15−不飽和化酵素(Nc94F6およびNc94R8)の完全長コード領域を増幅させた。順方向プライマーを、出発Met部位の5’にて、3つのヌクレオチドを含むように設計した。
Nc111F2: 5’-AAGATGGCGTCCGTCTCCTCTGCCCTTCCC-3’ (配列番号:15)
Nc111R3: 5’-TTAGTTGGTTTTGGGGAGCTTGGCAGGCTTG-3’ (配列番号:16)
Nc94F6: 5’-GCGGCCGCAACATGACGGTCACCACCCGCAGCCA-3’ (配列番号:17).オリゴヌクレオチドの5’末端に付加されたNotI部位を、イタリック体で表記する。
Nc94R8: 5’-CCTGCAGGTTACTGGGTGCTCTGAACGGTGTGCG-3’ (配列番号:18).オリゴヌクレオチドの5’末端に付加されたSse83871部位を、イタリック体で表記する。
N. crassaに対するcDNAを、Marathon cDNA増幅キット(Clontech Laboratories)を用いて調製した。これらのプライマーを、3’−RACE使用準備済みcDNAと使用して、推奨されるサイクル条件で、遺伝子増幅PCRシステム9700(PE Applied Biosystems)を用いて、推定上の不飽和化酵素を増幅させた。オリゴヌクレオチドNc94F6およびNc94R8で発生させたPCR産物を、pMON67004(図1)と名付けられたpCR2.1-TOPO(Invitrogen)に連結させた。cDNAを配列決定し、3つの「His−ボックス」、膜結合不飽和化酵素の間で保存された特徴が、アミノ酸位置124-128、160-164、および359-363に存在しているのを発見した。
【0095】
他の膜結合Δ12およびΔ15−不飽和化酵素に比較すると、最終的な"HXXHH"ヒスチジンボックスモチーフもまた無傷であることが分かった。Δ15−不飽和化酵素(NcD15D)につき、対応するヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、それぞれ配列番号:2および配列番号:3で与えられ、ゲノム型クローンは配列番号:1で与えられる。pMON67004は、EcoR1で消化され、酵母発現ベクターpYES2/CTのEcoR1部位に連結されて、pMON77208(図2)を発生する。植物形質転換ベクターにつき、pMON67004はEcoRIで消化され、引き続いて、充填反応で消化され、次いで、Sse8387Iによって切断された。遺伝子断片を二元ベクター、pMON73270に連結し、これはNotIによって消化され、引き続いて充填反応によって消化され、次いで、Sse8387Iによって消化された。これにより、Δ15−不飽和化酵素遺伝子、NcD15Dが、種子特異的ナピンプロモーターの制御下にあるベクターpMON77214(図4)が上昇した。EcoRI/Sse8387I-消化DNA断片もまた二元ベクター、pMON73273に連結させ、NcD15Dが構成35Sプロモーターの制御下にあるpMON77217(図4)を上昇させた。
【0096】
オリゴヌクレオチドNc111F2およびNc111R3で発生させたPCR産物を、pYES2.1/V5-His-TOPO(Invitrogen)に直接的に連結させて、pMON67005(図7A)を発生させた。cDNAを配列決定し、3つの「His−ボックス」が、アミノ酸位置158-162、194-198、および394-398に存在しているのを発見した。他の膜結合Δ12およびΔ15−不飽和化酵素と比較すると、最終的な"HXXHH"ヒスチジンボックスモチーフもまた無傷であることが分かった。推定上のΔ12−不飽和化酵素(NcD12D)につき、対応するヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号:39および配列番号:40で与えられる。
【0097】
実施例4
酵母形質転換および発現
構築体pMON67005およびpMON77208を、pYES2.1/V5-His-TOPOのInvitrogenマニュアル記載通り、PEG/Li Acプロトコルを用いて、宿主株S. cerevisiae INVSc1(ウラシルにつき栄養要求性)に導入した。2%グルコースを持つSC最小媒体マイナスウラシルでできたプレート上で、形質転換体を選択した。形質転換体のコロニーを使用して、30℃にて、一晩成長させた5mlのSC最小媒体マイナスウラシルおよび2%グルコースを接種した。誘導につき、固定相酵母細胞をペレットし、2%ガラクトースで補充したSC最小媒体マイナスウラシル中で再懸濁し、15℃にて、3日間成長させた。外因性脂肪酸を培養液に提供する際、0.01% LA(Δ9,12−18:2)を、乳化剤0.1% Tergitolと添加した。培養液を、3日間、15℃にて成長させ、引き続いて、遠心分離によって収穫した。細胞ペレットを、無菌TE緩衝液pH 7.5で一度洗浄して、培地を除去し、24時間凍結乾燥させた。LacZ遺伝子を含有するベクターで形質転換された宿主株を、全実験において、陰性対照として使用した。
【0098】
脂肪酸分析につき、先に記載した手順に引き続いて、酵母脂質を抽出した。簡単に述べれば、凍結乾燥させた酵母ペレットを、15mLのメタノールおよび100μgのトリデカノイン(tridecanoin)を含有する30mLのクロロホルムで抽出した。抽出後、酵母脂質をまずけん化し、遊離脂肪酸をメチル化した。次いで、炎イオン化検出器および融合シリカキャピラリカラム(Supelcomega; 50 mx0.25 mm, i.d., Supelco, Bellefonte, PA)を持つHewlett-Packard 5890 II Plusガスクロマトグラフ(Hewlett-Packard, Palo Alto, CA)を用いて、脂肪酸メチルエステルの分布を、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。
【0099】
対照としてLacZを含有する発現ベクターで形質転換された酵母において、添加されたLAの不在下で成長した系統では、LAまたはALA(18:3)は全く測定されなかった。NcD15DまたはBnD15Dを含有する発現ベクターで形質転換された酵母において、添加されたLAの不在下で、ALAは全く蓄積しなかった。NcD12Dを含有する発現ベクターで形質転換された酵母において、添加されたLAなしでは、LAは、脂肪酸の22%まで蓄積し、D12D活性を示した。NcD15Dを発現している酵母系に、LAを添加すると、ALAは脂肪酸の1%を損なった。Brassica napusΔ15−不飽和化酵素(BnD15D)を発現している酵母系において、LAの添加後、ALAは脂肪酸の0.2%を損なった。LacZ対照において、LAの添加後、ALAは全く検出されなかった。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例5
NcD15DによるArabidopsis形質転換
この実施例は、異種Δ15−不飽和化酵素コード配列を発現するトランスジェニックArabidopsis thaliana植物の形質転換および再生を記載する。逆浸透水(ROW)および飽和MetroMix 200(The SCOTTS Co., Columbus, OH)を含有する4インチポットに、種子を播種することによって、Arabidopsis植物を成長させた。ポットを平地に置き、湿気ドームで覆い、4ないし7日間、8時間照明/日、4ないし7℃にて成長チャンバーに置くことによって、植物を春化処置した。160ないし200〜Mol/秒*mの平均強度にて、平地を、22℃、55%相対的湿度、および16時間光/日の成長チャンバーに移した。発芽後、ドームを持ち上げ、1”ずらして、乾燥させずに、緩慢に空気を循環させた。本葉が形成されると、湿気ドームを除去した。発芽後、2ないし3週間まで、必要に応じて、植物にROWで水をやった。次いで、50ppm Nにて、PLANTEX 18−18−15溶液(Plantex Corporation Ottawa, Canada)で、必要に応じて、植物に水をやった。発芽後2ないし3週間で、ポットにつき、1植物が残るように、ポットを薄くした。植物が抽だいし始めると、主要な花序を切って、腋抽だいの成長を促した。
【0102】
当該分野でよく知られる方法論を用いて、形質転換ベクターpMON77214およびpMON77217を、Agrobacterium tumefaciens株ABIに導入した。トランスジェニックA. thaliana植物を、Bentら(1994)またはBechtoldら(1993)による記載通りに入手した。簡潔に述べれば、二元ベクターpMPON77214またはpMON77217を含有するAgrobacteriumの培養液を、LB(10%バクト−トリプトン、5%酵母抽出物、およびカナマイシン(75mg/L)を含む10% NaCl、クロラムフェニコール(25mg/L)、およびスペクチノマイシン(100mg/L))中で、一晩増殖させた。細菌培養液を遠心分離し、5%スクロース+.05%Silwet−77中で再懸濁した。全A. thaliana植物(年齢〜5ないし7週間)の気生部分を、2ないし3秒間、得られた溶液中に浸漬した。余った溶液を、植物をペーパータオルで吸収させることによって除去した。浸漬した植物を、覆われた平地のそれらの側に置き、19℃の成長チャンバーに移した。16ないし24時間後、ドームを除去し、植物を真直ぐにした。植物が熟した時、種子収穫前2ないし7日間、水をやらなかった。収穫した種子を、ステンレス鋼メッシュスクリーンを通した。
【0103】
形質転換体を選択するため、50mg/Lグリフォセートを含有する寒天培地にプレートした。緑の実生を取って、4”ポットに移植し、上記条件下で成長させた。ロゼットが4−葉段階にある時、脂肪酸分析用に葉を収穫した。凍結乾燥後、葉脂肪酸を上記の通り分析した。
【0104】
実施例6
N. crassaクローンの機能的発現
N. crassa D15Dクローンの機能的特異性を評価するために、pMON67004からのコード領域を、構成35Sプロモーターがトランスジーンの発現を主導する植物発現ベクターにクローンした。得られた構築体、pMON77217を、A. thalianaに形質転換し、形質転換されたT2植物の葉を、脂肪酸組成物につき分析した。非形質転換された系統において、脂肪酸の約20%はLAであり、約48%がALAであった。2つの独立したA. thaliana形質転換事象において、LAレベルは約3%および5%まで減少し、ALAレベルは65%および63%まで増加し、それぞれ、in plantaでΔ15−不飽和化活性を示した。これらのデータを表2にまとめる。対照はCONTとして示す。
【0105】
【表2】

【0106】
N. crassa D15Dクローンの種子中のALAの生産を方向付ける機能的特異性を評価するため、pMON67004のコード領域を、ナピンプロモーターがトランスジーンの発現を主導する種子特異的発現ベクターにクローンした。得られた構築体、pMON77214を、A. thalianaに形質転換し、形質転換されたT2植物の種子を、脂肪酸組成につき分析した。非形質転換系統において、種子脂質の約26%が、LAとして存在し、約18%がALAとして存在していた。2つの独立したA. thaliana形質転換事象において、LA酸レベルは約14%および13%まで減少し、ALA酸レベルは、26%および30%まで増加し、それぞれ、種子中のΔ15−不飽和化活性を示した。これらのデータは表3に示す。
【0107】
【表3】

【0108】
これらの結果は、Neurospora NcD15D cDNAによってコードされた蛋白質が、植物中の機能的Δ15−不飽和化酵素であり、葉および種子中のALAの合成を主導することができることを示す。
【0109】
実施例7
キャノーラ中のNeurospora crassaΔ15−不飽和化酵素の活性
系統を、ナピンプロモータ主導のNeurosporaΔ15−不飽和化酵素を含有する構築体pMON77214で形質転換した。Quantumおよびコクタンキャノーラ種の両方を、形質転換し、両種の対照は含んだ。表4で示されるデータは、R植物からの20種子のプール中、パーセント18:2(LA)および18:3(ALA)である。
【0110】
【表4−1】

【表4−2】

【0111】
これらの系統における種子脂肪酸の〜12%より大きいレベルでのALAの生産は異種Δ15−不飽和化活性を示す。この形質転換から観察されたALAの最高レベルは、30.17% ALAを含有する系統BN_G1395にあった。
【0112】
pMON77214を発現する系統のいくつかにつき、単一種子中の脂肪酸を決定し、系統を次の世代に進めた。予測通り、ALAレベルは、プールと相対的に個々の種子で2倍近く増加し、各長角果内の個々の分離体中のトランスジーンに対してホモ接合性を示す。系統BN_1296において、プールR1種子は、25.04% ALAを含有した。この系統(BN_G1296-14)からの最高単一種子では、48.2% ALAが観察された。最低から最高ALAへ並べた200の半−種子中のALAレベルを、図3に示す。
【0113】
実施例8
A. nidulansからのΔ15−不飽和化酵素配列およびB. cinereaからのΔ12−およびΔ15−不飽和化酵素のクローニング
A. nidulansゲノム配列との配列比較に基づき、遺伝子特異的プライマーを設計して、推定上のΔ15−不飽和化酵素(AnD15−F1およびAnD15−R1)の完全長コード領域を増幅させた。順方向プライマーを、出発Met部位
AnD15-F1: 5’-AATATGGCTGCAACTGCAACAACCC-3’ (配列番号:23)
AnD15-R1: 5’-TTCCGCTTTGGCACCCTTCTTC-3’ (配列番号:24)
の5’にて、3つのヌクレオチドを含むように設計した。
オリゴヌクレオチドプライマーBcD12F1およびBcD12R1を、部分的ゲノム配列(BLASTALLで発見されたMonsanto専売の部分的gDNAクローン)から設計して、B. cinereaΔ12−不飽和化酵素の完全長コード領域を増幅させた。縮重プライマーD15D−R9を設計して、5’−RACE反応において、いずれかの推定上のB. cinereaΔ15−不飽和化酵素を増幅させた。オリゴヌクレオチドBCD15−F1オリゴヌクレオチドD15D−R9から発生させたPCR産物の3’RACE反応用に設計した。オリゴヌクレオチドBcD15F3およびBcD15R1 Fを設計して、推定上のB. cinereaΔ15−不飽和化酵素の完全長コード領域を増幅させた。
BcD12F1: 5’-GTCGACACCATGGCCTCTACCACTGCTCTC-3’, 5' end contains SalI -3’ (配列番号:25).
BcD12R1: 5’-CTGCAGTGCCTTGAGCTTCATTGGTGGTGTA-3’, 5' end contains PstI (配列番号:26)
D15D-R9: 5’-GCCRTGNCCRCAYTCRTGNGCNAGDAT-3’ (配列番号:27)
BcD15-F1: 5’-ACGATGACTCTCGATTACACAAGTCACCCG-3’ (配列番号:28)
BcD15F3: 5’-GTCGACACGATGACTCTCGATTACACAAGTCACC-3’, 5'末端はSalI (配列番号:29)を含有する。
BcD15R1: 5’-CTGCAGAATGCTTGAGCTATCAGCAGATCCCAA-3’, 5'末端はPstI(配列番号:30)を含有する。
【0114】
A. nidulansおよびB. cinereaのcDNAを、GeneRacerキット(Invitrogen)を用いて調製した。これらのプライマーを3’−RACE使用準備済cDNAと使用して、推奨されたサイクル条件の遺伝子増幅PCRシステム(Gene Amp PCR system)9700(PE APPLIED BIOSYSTEMS)を用いて、推定上の不飽和化酵素を増幅させた。A. nidulansΔ15−不飽和化酵素をコードするPCR産物を、オリゴヌクレオチドAnD15−F1およびAnD15−R1で発生させ、pYES2.1-TOPO(Invitrogen)に連結させ、pMON67010(図7B)と名付けた。cDNAを配列決定し、3つの「His−ボックス」、膜結合不飽和化酵素の間の保存された特徴が、アミノ酸位置93-97、129-133、および327-331に存在しているのを発見した。Δ15−不飽和化酵素(AnD15D)に対応するヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号:4および配列番号:5で与えられる。
【0115】
B. cinereaΔ12−不飽和化酵素−コードcDNAを、オリゴヌクレオチドBcD12F1およびBcD12R1を持つPCRによって増幅させ、引き続いて、pYES2.1/V5-His-TOPO(Invitrogen)に、直接的に連結させて、pMON67022(図7D)を発生させた。cDNAを配列決定し、3つの「His−ボックス」、膜結合不飽和化酵素の間の保存された特徴が、アミノ酸位置155-159、191-195、および390-394に存在しているのを発見した。推定上のΔ12−不飽和化酵素(BcD12D)に対応するヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号:31および配列番号:32で与えられる。
【0116】
B. cinereaからΔ15−不飽和化酵素をクローンするため、変性オリゴヌクレオチドを、N. crassa、およびAspergillus sp.Δ12およびΔ15−不飽和化酵素のアミノ酸配列比較に基づき、発生させた。5’−RACE反応を、製造者に推奨される条件に従い、GeneRacerキット(Invitrogen, Carlsbad CA)を用いて実施した。cDNA合成に引き続き、推定上のΔ15−不飽和化酵素cDNAの5’末端を、変性オリゴヌクレオチドD15D−R9を用いて、PCRによって増幅させ、pCR2.1-TOPOに連結させた。得られた742bp断片を配列決定し、推定されるアミノ酸配列比較によって、他の真菌Δ15−不飽和化酵素に似ていると決定した。3’−RACE反応を使用して、オリゴヌクレオチドBcD15−F1を用いて、推定上のB. cinereaΔ15−不飽和化酵素の3’末端からの664bpを増幅させ、pCR2.1-TOPOに連結させた。オリゴヌクレオチドBcD15F3およびBcD15R1を、5’−および3’−RACE産物の複合体配列から設計し、それらを使用して、3’−RACE反応によって、完全長B. cinerea推定上のΔ15−不飽和化酵素cDNAを増幅させ、pYES2.1-TOPOに連結させた。得られたプラスミドを、pMON67021(図7C)と名付けた。推定上のΔ15−不飽和化酵素(BcD15D)に対応するヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号:33および配列番号:34で与えられる。
【0117】
酵母発現アッセイにおいて、推定上のAnD15DのΔ15−不飽和化活性を評価するため、推定上のΔ15−不飽和化酵素を発現する酵母を、この酵素に対する基質に与えた、つまりLA、およびALAの生産を定量化した。N. crassaΔ15−不飽和化酵素、pMON67023によるALAの生産を、A. nidulansΔ15−不飽和化酵素のそれと比較したこれらのデータを、表5に示す。pMON67023(図7E)を、次の通り、構築した:
Nc94F2: 5’-AACATGACGGTCACCACCCGCAGCCACAAG-3’ (配列番号:35)
Nc94R2: 5’-CTGGGTGCTCTGAACGGTGTGCGCCCAAAT-3’ (配列番号:36)
【0118】
プライマーNc94F2およびNc94R2を使用して、停止コドンなしで、NcD15Dのコード領域を増幅させた。得られた断片をpYES2.1-TOPOに連結させて、NcD15Dコード領域およびV5エピトープおよびpYES2.1発現ベクターで含有された6−His領域の間に、インフレーム縮合を発生させた。
【0119】
【表5】

【0120】
これらの結果は、この発現システムにおいて、A. nidulans不飽和化酵素は、NcD15Dより約2倍活性であることを示す。
【0121】
【表6】

【0122】
これらの結果は、この発現システムにおいて、A. nidulans D15Dは、LAおよびGLAの両方を不飽和化することが可能であることを示す。
【0123】
実施例9
大豆に対するA. nidulansおよびN. crassaからのΔ15−不飽和化酵素のコドン最適化
コドン用法の表を、大豆(コングリシニン、グリシニン、グロブリン)からの8の高度に発現された種子特異的蛋白質およびキャノーラ(cuciferin, ナピン、オレオシン)からの17の高度に発現された種子特異的蛋白質から構築した。上記コドン用法の表と一緒にNcD15DおよびAnD15D核酸配列を、Blue Heron Biotechnology Inc.,(Bothell, Wa)に送ると、彼らは専売のアルゴリズムを使用して、RNA二次構造形成の最低遊離エネルギーを持つ最終コドン-最適化配列を発生させた。NcD15Dのコドン−最適化配列は、Blue Heron Biotechnology Inc.によって合成され、NcD15Dnno(配列番号:37)と名付けられた。AnD15Dのコドン-最適化配列は、Midland(Midland, TX)によって合成され、AnD15Dnno(配列番号:38)と名付けられた。
【0124】
実施例10
Mortierella alpinaからのΔ6−およびΔ12-不飽和化酵素と合わせたNeurosporaΔ15−不飽和化酵素の活性
Mortierella alpinaからのΔ6−およびΔ12-不飽和化酵素と合わせたNeurosporaΔ15−不飽和化酵素の活性を、ナピンプロモーターの制御下で、3つの不飽和化酵素を含有する構築体pMON77216(図7G)でキャノーラを導入することによって評価した。しかしながら、入手した多くの系統において、Δ12-不飽和化酵素は部分的に欠失していることが分かった。個々のR0植物からの10−種子プールの脂肪酸含有量を決定した。ステアリン酸(18:0)(SA)、オレイン酸(18:1)(OA)、LA、ALA、SDAおよびGLAのレベルを、下の表6に示す。対照系統はコクタンであった。生産されたトランスジェニック事象の大部分からのプール種子は、測定可能なSDAを含有し、8つの事象において、SDAは、脂肪酸の10%を超えるほど蓄積した。
【0125】
【表7−1】

【表7−2】

【表7−3】

【0126】
ホモ接合体およびヘテロ接合体の両方を含む事象BN_G1824の単一種子からの脂肪酸データを、下の表7に示す。1つのケースにおいて、18.6%SDA、17.8%ALA、11.2%LA、24%オレイン酸および18.8%GLAが観察された。この事象は、高SDA/高GLA事象と呼ばれる。この事象からのもう1つの種子において、16.8%SDA、7%ALA、2%LA、62.1%オレイン酸および3.1%GLAが観察された。この事象は、高SDA/低GLA系統として呼ばれる。分子データは、高SDA/低GLA系統において、Δ12コード配列は機能的ではなかったことを示した。特に、高SDA/低GLA系統は、Mortierella alpinaΔ12−不飽和化酵素(例えば、配列番号:41の最後の51bp)のコード領域の左辺および末端51塩基対の間の全ての挿入DNAを失っている単一の部分的T−DNA挿入の単一コピーよりなることが示された。高SDA/低GLA系統において顕著なのは、オレイン酸がほぼ野生型レベルであるが、高SDA/低GLA系統においては、オレイン酸は、野生型に対して約2.5倍減少することである。高SDA/高オレイン表現型を表す系統は、灰色で強調される。
【0127】
【表8−1】

【表8−2】

【0128】
種子油中に最大35%GLAを含有する構築体pCGN5544(M.alpinaΔ6−およびΔ12−不飽和化酵素を含有する)に対してホモ接合性である系統のM. alpinaΔ6−およびΔ12−不飽和化酵素と合わせたNeurospora crassaΔ15−不飽和化酵素の活性を評価するため、NcD15Dを含有する構築体pMON77214で再度導入した。11のR植物からの20種子プールを分析した。これらの系統のLA、ALA、SDAおよびGLAは、表8に示される。
【0129】
【表9】

【0130】
実施例11
Mortierella alpinaからのΔ6−不飽和化酵素と合わせたNeurospora crassaΔ15−不飽和化酵素の活性
Mortierella alpinaからのΔ6−不飽和化酵素と合わせたNeurospora crassaΔ15−不飽和化酵素の活性を、ナピンプロモーターの制御下で2つの不飽和化酵素を含有する構築体pMON77215(図7F)で、キャノーラを導入することによって評価した。このベクターを、M. alpinaΔ6−不飽和化酵素(MaD6D)の発現を主導するナピンプロモーターを含有するpCGN5536(米国特許第6,459,018号 B1)を、NotIで消化し、次いで、発現カセット断片を、二元ベクター、pMON70660のNotI部位に連結して、pMON77212を形成することによって構築した。pMON77215プラスミドは、pMON77214をPmeIおよびAscIで消化し、次いで、得られたナピン−NcD15D発現カセット断片を、pMON77212のSwaIおよびAscI部位に連結して、MaD6DおよびNcD15Dの両方を含有する構築体を得ることによって構築した。
【0131】
個々のR0キャノーラ形質転換体からの10−種子プールの脂肪酸含有量を決定した。SA、OA、LA、ALA、SDAおよびGLAのレベルは、下の表9に示される。対照系統は、コクタン(SP30052)であった。生産されたトランスジェニック事象の大部分からプールされた種子は、測定可能なSDAを含有し、事象の25%(40のなかから10)中、SDAは脂肪酸の10%を超えるほど蓄積した。
【0132】
【表10−1】

【表10−2】

【0133】
ホモ接合性およびヘテロ接合性の両方を含む事象BN_G1860からの単一種子からの脂肪酸データを、下の表10に示す。1つのケースにおいて、最大19%SDA、10%ALA、7%LA、48%オレイン酸および5%GLAが観察された。
【0134】
【表11−1】

【表11−2】

【0135】
実施例12 トウモロコシのN. crassaからのΔ15−不飽和化酵素配列のコドン最適化
コドン用法の表を、トウモロコシ(6のゼインおよび3のオレオシン)からの9の高度に発現された種子特異的遺伝子から構築した。この表を用いて、NcD15Dの2つのコドンを、高速変化部位定方向変異誘発キット(QuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit)(Stratagene, La Jolla, CA)を使用して突然変異させ、得られた配列をNcFAD3m(配列番号:42)と名付けた。変化したコドンは次の通りであった:1)より好ましい翻訳出発部位を作るため、配列番号:2のアラニンを、ACGないしGCGの第2コドン(配列番号:42の位置4)の最初の塩基を変化させることによって、スレオニンと置換し;次いで2)稀なコドンを除去し、バリンコドンを、位置882(配列番号:42)にて、GTAないしGTGから変化させた。
【0136】
実施例13
EPA当量
健康価値に対する種子油性質の1つの目安は、EPA当量である。価値は、EPAに対する代謝変換を反映する。これは、14で割られた%ALAと4で割られた%SDAを足すことによって計算される。発明者らによって入手されたキャノーラ油組成は、高EPA当量を有し、これは、ヒトおよび動物における増加したEPAレベルと関連した健康利益を達成する優秀な特徴を示す。分析の例は、10%ALAおよび15%SDAの典型的な高SDA油組成の例に対する従来のキャノーラ油の比較によって、下記に示す。従来の種のキャノーラ油は、約12%ALAおよび0%SDAを有し、すなわち12/14+0/4=0.8のEPA当量を有する。対照的に、高SDA油組成例は、10/14+15/4=4.4のEPA当量を有する。相対的値は下記に示す。値は重量%によるものであり、一人分に基づくものではない。大きな差異は、キャノーラ油のSDAを生産する重要性を示す。
【0137】
【表12】

【0138】
引用文献
下にリストする引用文献は、それらが本明細書中で使用した方法論、技術、および/または組成物の背景を補充、説明、提供、あるいは教示する限り、本明細書中に、引用によって組み込まれる。
U.S. Patent 4,535,060
U.S. Patent 4,666,701
U.S. Patent 4,758,592
U.S. Patent 4,826,877
U.S. Patent 4,910,141
U.S. Patent 5,011,770
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U.S. Patent 5,464,765
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U.S. Patent 5,508,468
U.S. Patent 5,538,877
U.S. Patent 5,538,880
U.S. Patent 5,545,818
U.S. Patent 5,550,318
U.S. Patent 5,563,055
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【0139】
次の図面は、本明細書の一部分を形成し、本発明の特定の態様をさらに明らかにするために含まれる。本明細書中に示された特定の具体例の詳細な記載と合わせて、これらの図面の1またはそれ以上への言及をもって、本発明はよりよく理解される。本発明は、図面の次の記載からより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、pCR2.1カセット(pMON67004)内の真菌Δ15−不飽和化酵素NcD15Dコード領域を示す。
【図2】図2は、酵母発現ベクターpYES 2.1(pMON77208)内の真菌Δ15−不飽和化酵素NcD15Dコード領域を示す。
【図3】図3は、最低ALAから最高ALAへと並べられた200の半−種子(半分に切断された種子)中のALAレベルを示す。
【図4】図4は、プラスミドpMON77214およびpMON77217になるフローチャートまたはプラスミドマップを示す。
【図5】図5は、N. crassaΔ15−不飽和化酵素を含む不飽和化酵素ポリペプチドの例示的デンドログラムを示す。
【図6】図6は、N. crassaΔ15−不飽和化酵素と相対的な例示的不飽和化酵素ポリペプチドの配列比較を示す。
【図7】図7A−7Hは、調製された構築体のプラスミドマップを示す。
【配列表】























【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素15にて、脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、ここに、該ポリヌクレオチドは:
(a)配列番号:3、配列番号:5または配列番号:34のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:4または配列番号: 33の核酸配列を含むヌクレオチド;
(c)5X SSC、50%ホルムアミドおよび42℃の条件下で、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:4または配列番号:33のうちの1またはそれ以上にハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはその相補体;および
(d)アミノ酸モチーフ: TrpIleLeuAlaHisGluCysGlyHisGlyAlaSerPhe (WILAHECGHGASF) (配列番号:6); LeuAlaHisGluCysGlyHis (LAHECGH) (配列番号:7); HisSerPheLeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (HSFLLVPYFSWK) (配列番号:8); LeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (LLVPYFSWK) (配列番号:9); His(His/Ala)ArgHisHisArg(Phe/Tyr)ThrThr (H(H/A)RHHR(F/Y)TT) (配列番号:10, 配列番号:19, 配列番号:20, または配列番号:21); TrpValHisHisTrpLeuValAlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThrHis (WVHHWLVAITYL(H/Q)HTH) (配列番号:11); AlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThr (AITYL(H/Q)HT) (配列番号:12); GlyAlaLeuAlaThrValAspArg (GALATVDR) (配列番号:13) またはHisValValHisHisLeuPheXaaArgIleProPheTyr (HVVHHLFXRIPFY) (配列番号:14または配列番号:22)のちの少なくとも1つを有するポリペプチドをコードする真菌ポリヌクレオチドよりなる群から選択される単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
該ポリヌクレオチドが、接合菌(zygomycota)、担子菌類(basidiomycota)、および子嚢菌(ascomycot)よりなる群から選択される門からのものである請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項3】
該ポリヌクレオチドが、Neurospora crassa、Aspergillus nidulansおよびBotrytis cinereaよりなる群から選択される種からのものである請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
該ポリヌクレオチドが、アミノ酸モチーフ: TrpIleLeuAlaHisGluCysGlyHisGlyAlaSerPhe (WILAHECGHGASF) (配列番号:6); LeuAlaHisGluCysGlyHis (LAHECGH) (配列番号:7); HisSerPheLeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (HSFLLVPYFSWK) (配列番号:8); LeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (LLVPYFSWK) (配列番号:9); His(His/Ala)ArgHisHisArg(Phe/Tyr)ThrThr (H(H/A)RHHR(F/Y)TT) (配列番号:10, 配列番号:19, 配列番号:20, または配列番号:21); TrpValHisHisTrpLeuValAlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThrHis (WVHHWLVAITYL(H/Q)HTH) (配列番号:11); AlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThr (AITYL(H/Q)HT) (配列番号:12); GlyAlaLeuAlaThrValAspArg (GALATVDR) (配列番号:13) またはHisValValHisHisLeuPheXaaArgIleProPheTyr (HVVHHLFXRIPFY) (配列番号:14または配列番号:22)のうちの少なくとも1つを有するポリペプチドをコードする請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項5】
該ポリヌクレオチドが、配列番号:3、配列番号:5または配列番号:34のポリペプチドをコードする請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項6】
該ポリヌクレオチドが、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:4または配列番号:33の核酸配列を含む請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項7】
該ポリヌクレオチドが、5X SSC、50%ホルムアミドおよび42℃の条件下で、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:4または配列番号:33のうち1またはそれ以上にハイブリダイズする請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項1記載の単離されたポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項9】
さらに:
(a)ポリヌクレオチドに操作可能に連結する制御配列;
(b)ポリヌクレオチドに操作可能に連結する選択マーカー;
(c)ポリヌクレオチドに操作可能に連結するマーカー配列;
(d)ポリヌクレオチドに操作可能に連結する精製部位;および
(e)ポリヌクレオチドに操作可能に連結する標的配列よりなる群から選択された少なくとも1つのさらなる配列を含む請求項8記載の組換えベクター。
【請求項10】
さらに、該単離されたポリヌクレオチドに操作可能に連結するプロモーターを含む請求項8記載の組換えベクター。
【請求項11】
該プロモーターが発生的に調節された、オルガネラ特異的、組織特異的、構成的または細胞特異的プロモーターである請求項10記載の組換えベクター。
【請求項12】
該プロモーターが、35S CaMV、34S FMV、Napin、 7S、Glob、およびLecよりなる群から選択される請求項10記載の組換えベクター。
【請求項13】
単離された発現カセットである請求項8記載の組換えベクター。
【請求項14】
さらに、炭素6にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列および/または炭素12にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む請求項8記載の組換えベクター。
【請求項15】
炭素12にて、脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは:
(a)配列番号:32または配列番号:40のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号:31または配列番号:39の核酸配列を含むポリヌクレオチド;および
(c)5X SSC、50% ホルムアミドおよび42℃の条件下で、配列番号:31または配列番号:39の一方または両方、あるいはその相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドよりなる群から選択される単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
該ポリヌクレオチドが、接合菌(zygomycota)、担子菌類(basidiomycota)、および子嚢菌(ascomycota)よりなる群から選択される門からのものである請求項15記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項17】
該ポリヌクレオチドが、Neurospora crassaおよびBotrytis cinereaよりなる群から選択される種からのものである請求項15記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項18】
請求項15記載の単離されたポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項19】
さらに、炭素6にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列および/または炭素15にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む請求項18記載の組換えベクター。
【請求項20】
炭素15にて脂肪酸分子を不飽和化し、アミノ酸モチーフ:TrpIleLeuAlaHisGluCysGlyHisGlyAlaSerPhe (WILAHECGHGASF)(配列番号:6); LeuAlaHisGluCysGlyHis (LAHECGH) (配列番号:7); HisSerPheLeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (HSFLLVPYFSWK) (配列番号:8); LeuLeuValProTyrPheSerTrpLys (LLVPYFSWK) (配列番号:9); His(His/Ala)ArgHisHisArg(Phe/Tyr)ThrThr (H(H/A)RHHR(F/Y)TT) (配列番号:10, 配列番号:19, 配列番号:20, または配列番号:21); TrpValHisHisTrpLeuValAlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThrHis (WVHHWLVAITYL(H/Q)HTH) (配列番号:11); AlaIleThrTyrLeu(His/Gln)HisThr (AITYL(H/Q)HT) (配列番号:12); GlyAlaLeuAlaThrValAspArg (GALATVDR) (配列番号:13)またはHisValValHisHisLeuPheXaaArgIleProPheTyr (HVVHHLFXRIPFY) (配列番号:14または配列番号:22)のうちの少なくとも1つを含む不飽和化酵素活性を有する真菌ポリペプチドまたはその断片。
【請求項21】
さらに、該アミノ酸モチーフの全てを含む請求項20記載の真菌ポリペプチド。
【請求項22】
配列番号:3、配列番号:5または配列番号:34のアミノ酸配列を含む真菌ポリペプチド;または炭素15にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するその断片。
【請求項23】
配列番号:32または配列番号:40のアミノ酸配列を含む真菌ポリペプチド;または炭素12にて、脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するその断片。
【請求項24】
請求項8記載の組換えベクターで形質転換されたトランスジェニック植物。
【請求項25】
さらに、炭素6にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列で形質転換された請求項24記載のトランスジェニック植物。
【請求項26】
請求項8記載の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項27】
該宿主細胞が、該ベクターでコードされた蛋白質を発現する請求項26記載の宿主細胞。
【請求項28】
該細胞が、該細胞の先祖から、該組換えベクターを受け継いだ請求項26記載の宿主細胞。
【請求項29】
該細胞が、該組換えベクターで形質転換された請求項26記載の宿主細胞。
【請求項30】
該宿主細胞が植物細胞である請求項26記載の宿主細胞。
【請求項31】
請求項15記載の組換えベクターで形質転換されたトランスジェニック植物。
【請求項32】
さらに、炭素6にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列および/または炭素15にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列で形質転換された請求項31記載のトランスジェニック植物。
【請求項33】
請求項15記載の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項34】
該宿主細胞が、該ベクターによってコードされた蛋白質を発現する請求項33記載の宿主細胞。
【請求項35】
該細胞が、該細胞の先祖から、該組換えベクターを受け継いだ請求項33記載の宿主細胞。
【請求項36】
該細胞が、該組換えベクターで形質転換された請求項33記載の宿主細胞。
【請求項37】
該宿主細胞が植物細胞である請求項33記載の宿主細胞。
【請求項38】
(a)請求項24記載の植物の種子を入手し;次いで
(b)該種子から油を抽出する工程を含む植物種子からオメガ−3脂肪酸を含有する種子油を生産する方法。
【請求項39】
請求項8記載の組換えベクターを、油生産植物に導入することを特徴とする、改変されたレベルのオメガ−3脂肪酸を含有する種子油を含む植物を生産する方法。
【請求項40】
組換えベクターの導入が植物を育種することを含む請求項39記載の方法。
【請求項41】
組換えベクターの導入が:
(a)植物細胞を、請求項8記載の組換えベクターで形質転換し;次いで
(b)植物細胞から該植物を再生させる工程を含み、ここに植物が改変されたレベルのオメガ−3脂肪酸を有する請求項39記載の方法。
【請求項42】
該植物が、シロイヌナズナ、アブラナ脂肪種子、アブラナ、ヒマワリ、ベニバナ、キャノーラ、トウモロコシ、大豆、綿、亜麻、ホホバ、南京黄櫨、タバコ、ココア、落花生、果物植物、柑橘植物、およびナッツおよびベリーを生産する植物よりなる群から選択される植物である請求項39記載の方法。
【請求項43】
さらに、該植物が、炭素6にて脂肪酸分子を不飽和化する不飽和化酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列で形質転換される請求項39記載の方法。
【請求項44】
ステアリドン酸が増加される請求項43記載の方法。
【請求項45】
さらに、請求項8記載の組換えベクターを複数の油生産植物に導入し、オメガ−3脂肪酸の所望のプロファイルを有する植物につき、組換えベクターを受け継いだ該植物またはその子孫をスクリーニングすることを含む請求項39記載の方法。
【請求項46】
請求項15記載の組換えベクターを油生産植物に導入することを特徴とする改変されたレベルのオメガ−3脂肪酸を含有する種子油を含む食物を生産する方法。
【請求項47】
組換えベクターの導入が植物を育種することを含む請求項46記載の方法。
【請求項48】
組換えベクターの導入が:
(a)植物細胞を、請求項15記載の組換えベクターで形質転換し;次いで
(b)植物細胞から該植物を再生させる工程を含み、ここに植物が改変されたレベルのオメガ−3脂肪酸を有する請求項46記載の方法。
【請求項49】
該植物が、シロイヌナズナ、アブラナ脂肪種子、アブラナ、ヒマワリ、ベニバナ、キャノーラ、トウモロコシ、大豆、綿、亜麻、ホホバ、南京黄櫨、タバコ、ココア、落花生、果物植物、柑橘植物、およびナッツおよびベリーを生産する植物よりなる群から選択される植物である請求項46記載の方法。
【請求項50】
約8%ないし約27%のステアリドン酸含有量および約40%ないし約70%のオレイン酸含有量を有する内因性キャノーラ種子油。
【請求項51】
さらに、アルファ−リノール酸、リノール酸およびガンマ−リノール酸を合わせて10%未満含む請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項52】
さらに、ステアリドン酸含有量が、約10%ないし約20%である請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項53】
さらに、ステアリドン酸含有量が、約12%ないし約17%である請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項54】
さらに、オレイン酸含有量が、約45%ないし約65%である請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項55】
さらに、オレイン酸含有量が、約55%ないし約65%である請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項56】
さらに、ステアリドン酸含有量が約12%ないし約17%であり、オレイン酸含有量が、さらに、約55%ないし約65%である請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項57】
さらに、Brassica napus種子からのものである請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項58】
さらに、カブ種子からのものである請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項59】
油中のオメガ−6対オメガ−3脂肪酸の割合が、約1:1ないし約1:4である請求項50記載のキャノーラ種子油。
【請求項60】
さらに、油中のオメガ−6対オメガ−3脂肪酸の割合が、約1:2ないし約1:4である請求項59記載のキャノーラ種子油。
【請求項61】
請求項50記載のキャノーラ種子油を食用産物に添加することを特徴とするヒトまたは動物消費用の食用産物の栄養価を増加させる方法。
【請求項62】
食用産物がヒト食物である請求項61記載の方法。
【請求項63】
食用産物が動物餌である請求項61記載の方法。
【請求項64】
食用産物が、食物サプリメントである請求項61記載の方法。
【請求項65】
キャノーラ種子油が、食用産物のステアリドン酸含有量を増加させる請求項61記載の方法。
【請求項66】
キャノーラ種子油が、食用産物のオメガ−6対オメガ−3脂肪酸の割合を減少させる請求項61記載の方法。
【請求項67】
キャノーラ種子油添加前に、食用産物がステアリドン酸を欠乏している請求項61記載の方法。
【請求項68】
出発食物または餌成分に、請求項50記載のキャノーラ種子油を添加して、食物または餌を生成することを特徴とする食物または餌の製法。
【請求項69】
さらに、食物の製法である請求項68記載の方法。
【請求項70】
さらに、餌の製法である請求項68記載の方法。
【請求項71】
請求項68記載の方法によって作られた食物または餌。
【請求項72】
請求項50記載のキャノーラ種子油を該ヒトまたは動物に投与することを特徴とするステアリドン酸をヒトまたは動物に提供する方法。
【請求項73】
キャノーラ種子油が食用組成物で投与される請求項72記載の方法。
【請求項74】
食用組成物が食物または餌である請求項73記載の方法。
【請求項75】
食物が、飲料、注入食物、ソース、調味料、サラダドレッシング、フルーツジュース、シロップ、デザート、糖衣および詰め物、ソフトフローズン生成物、菓子または中間食品を含む請求項74記載の方法。
【請求項76】
食用組成物が実質的に液体である請求項73記載の方法。
【請求項77】
食用組成物が実質的に固体である請求項73記載の方法。
【請求項78】
食用組成物が食物サプリメントである請求項73記載の方法。
【請求項79】
食用組成物が栄養補助食品である請求項73記載の方法。
【請求項80】
キャノーラ種子油がヒトに投与される請求項72記載の方法。
【請求項81】
キャノーラ種子油が動物に投与される請求項72記載の方法。
【請求項82】
キャノーラ種子油が家畜または家禽に投与される請求項81記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−509494(P2006−509494A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−506743(P2004−506743)
【出願日】平成15年5月21日(2003.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/016144
【国際公開番号】WO2003/099216
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】