眼のホワイトニングのための組成物および方法
本発明は、眼のホワイトニングのための組成物および方法を提供する。提供される組成物および方法は、低濃度の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストを利用する。本組成物は、好ましくはブリモニジンを含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アドレナリン受容体は、カテコールアミン、ノルエピネフリンおよびエピネフリンに対する生理学的応答を媒介し、7回膜貫通ドメインを有するGタンパク質共役受容体のスーパーファミリーのメンバーである。
【0002】
これらの受容体は、α−1、α−2およびβ−アドレナリン受容体タイプに薬理学的に類別され、心血管および中枢神経系の機能を含む多様な生理学的機能に関与する。α−アドレナリン受容体は、興奮性および阻害性機能を媒介し:α−1アドレナリン受容体は、典型的には、一般に効果器における応答を媒介する興奮性シナプス後受容体である一方、α−2アドレナリン受容体は、シナプス後的におよびシナプス前的に局在しており、これらは神経伝達物質の放出を阻害する。α−アドレナリン受容体は血管収縮も媒介する。
【0003】
α−2アドレナリン受容体は現在、これらの薬理学的および分子特性決定に基づいて、3種のサブタイプ:α−2A/D(ヒトにおけるα−2Aおよびラットにおけるα−2D);α−2B;およびα−2Cに分類されている(Bylund et al.,Pharmacol.Rev.46:121−136(1994);ならびにHein and Kobilka,Neuropharmacol.34:357−366(1995))。α−2A、α−2Bおよびα−2Cサブタイプは一部の血管床において動脈および/または細静脈収縮を調節すると考えられ、α−2Aおよびα−2Cサブタイプは交感神経終末からのノルエピネフリン放出のフィードバック阻害も媒介する。
【0004】
ヒトの眼は、多くのα−2アドレナリン受容体を有する。これらの受容体のアゴニストは、α−2受容体集中細動脈、特に終末細動脈の内腔サイズ低減を引き起こすことによる眼の外観の効果を有し得る。このことは、血管収縮、さらに特定すると、微小血管の内腔サイズ低減をもたらし得、次に表面積単位当たりの微小血管収縮の程度を増加させ得、従って、眼の審美的外観を改善し得る。より白色の眼は、慣習的に、自然で健常な眼ならびに優れた全般的な衛生および健常の社会的象徴である。
【0005】
一部の化合物がα−1およびα−2受容体の両方のアゴニストであり得る一方、α−2アドレナリン受容体に優先的に結合することを意味する選択的α−2アゴニスト活性を有する多くの化合物が存在する。これらの化合物としては、ブリモニジン(開放隅角緑内障または高眼圧症患者において眼圧低下に使用されている。)、グアンファシン(高血圧を制御するために使用されている。)、デクスメデトミジン(鎮静薬、鎮痛薬、交感神経遮断薬および抗不安薬として使用されている。)およびメチルドパ(中枢作用性アドレナリン抗高血圧症薬として使用されている。)が挙げられる。
【0006】
しかしながら、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、0.1%以上の従来の用量において使用される場合、多数の不所望な副作用、例えば反動的な充血を伴う。これらの副作用は、α−1アドレナリン受容体の「交差」刺激と関連し得る。これというのも、α−2選択性がα−2/α−1受容体活性の比であるからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bylund et al.,Pharmacol.Rev.46:121−136(1994)
【非特許文献2】Hein and Kobilka,Neuropharmacol.34:357−366(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、副作用を低減または排除して眼のホワイトニングを達成することにより眼の審美的外観を改善する新規組成物および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、低濃度の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストを利用する審美的な眼のホワイトニングを達成するための組成物および方法を提供する。
【0010】
本発明の一部の実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、α−2受容体についてα−1受容体と比べて100:1以上の結合親和性(Ki)を有する。本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、α−2受容体についてα−1受容体と比べて300:1以上、より好ましくは500:1以上、より好ましくは700:1以上、さらにより好ましくは1000:1以上、最も好ましくは1500:1以上のKiを有する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの濃度は、組成物の約0.0001重量/容量%から約0.05重量/容量%;より好ましくは約0.001重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.02重量/容量%である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、アルファメチルドパ、グアンファシン、デクスメデトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。
【0013】
本発明の組成物および方法は、健常な眼をホワイトニングするためおよび/または疾患もしくは病態に起因する眼内の充血を低減させるために使用することができる。
【0014】
赤みの低減および白みの追加的増加は、以下のスケール、例えばMcMonnies/Chapman−Daviesスケール(MC−D);Institute for Eye Researchスケール(IER、CCLRUスケールとして既に公知である。);Efronスケール;およびCentre for Contact Lens Researchにおいて開発された、有効な眼球赤みスケール(VBR)の1種により計測することができる。(The Use of Fractal Analysis and Photometry to Estimate the Accuracy of Bulbar Redness Grading Scales,Marc M.Schulze et al,Investigative Ophthalmology and Visual Science,2008;49:1398−1406)。代替として、本発明はまた、赤みの低減および白みの追加的増加をより正確に計測することができる改変されたスケールを記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】α−1アドレナリン受容体の活性化の効果のグラフィック表示である。
【図2】α−2アドレナリン受容体の優先的活性化の効果のグラフィック表示である。
【図3】3種の異なる白みのいろあいの可視的表示である。
【図4A】充血患者の眼の写真である。
【図4B】健常人の眼の写真である。
【図4C】健常人の眼の写真である。
【図4D】健常人の眼の写真である。
【図5】本発明の「赤み」スケールの可視的表示である。
【図6A】0.025%ブリモニジンの投与前の対象の眼の写真である。
【図6B】0.025%ブリモニジン投与後の図6Aと同一の眼の写真である。
【図7】0.025%ブリモニジン投与後の小児患者の眼の写真である。
【図8】0.025%ブリモニジンを左眼内に投与し;右眼は対照である対象の眼の写真である。
【図9】0.025%ブリモニジンを両眼内に投与した対象の眼の写真である。
【図10】0.025%ブリモニジンを右眼内に投与し;左眼は対照である対象の眼の写真である。
【図11A】右眼内への0.025%ブリモニジン投与前の対象の眼のベースライン写真である。
【図11B】0.025%ブリモニジンを右眼内に投与し;左眼は対照である図11Aと同一の対象の眼の写真である。
【図12】0.025%ブリモニジンを右眼内に投与し;左眼は対照である対象の眼の写真である。
【図13】右眼内への0.025%ブリモニジン投与前の対象の眼の写真である。
【図14A】0.025%ブリモニジンを右眼内に投与した後の図13と同一の対象の右眼の写真である。
【図14B】ブリモニジンを左眼内に投与しなかった図13と同一の対象の左眼の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本発明の目的のため、以下の用語を以下のとおり定義する。
【0017】
用語「選択的α−2アドレナリン受容体アゴニスト」は、α−2アドレナリン受容体についてα−1アドレナリン受容体と比べて100倍以上の結合親和性を有する全てのα−2アドレナリン受容体アゴニストを包含する。
【0018】
用語「低濃度」は、組成物の約0.0001重量/容量%から約0.05重量/容量%;より好ましくは約0.001重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.02重量/容量%の濃度を指す。
【0019】
用語「ブリモニジン」は、限定されることなく、ブリモニジン塩および他の誘導体を包含し、具体的には、限定されるものではないが、ブリモニジン酒石酸塩、5−ブロモ−6−(2−イミダゾリン−2−イルアミノ)キノキサリンD−タートラート、Alphagan(商標)およびUK14304が挙げられる。
【0020】
本明細書において使用される用語「組成物」は、規定の成分を規定の量で含む生成物および規定の成分の規定の量での組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。
【0021】
本発明の実施形態
驚くべきことに、意想外に、十分に低濃度の選択的アルファ−2(α−2)アドレナリン受容体アゴニスト(本願を通して「α−2アゴニスト」と交換可能に称される。)は、組織血行動態の顕著な改善を可能とし、副作用を低減または排除して眼の審美的ホワイトニングに使用することができることが見出された。
【0022】
従って、一態様において、本発明は、眼の白みを増加させるための組成物および方法を提供する。一実施形態において、本発明は、疾患または病態に起因する充血の低減に加え、健常な眼において眼のホワイトニングを達成するための方法および組成物を提供する。
【0023】
本発明の特許請求される方法および組成物は、種々のいろあいの眼の白みを特定の眼のベースラインよりも増加させることができる。この白みの増加は、審美的または他の理由のために重要であり得る。正常で健常な眼は、白みの一定のベースラインレベルを有し、このレベルは個人ごとにわずかに変動する。強膜の白みの低減は、審美上あまり望ましいものでないとして見なされることが多く、疲労、睡眠不足、冷静さの欠如、薬物使用、情緒不安定および全般的な病弱の指標であり得る。より白色の強膜は、改善された衛生および/または健常ならびにより清潔で健常なライフスタイルと関連して、より審美上望ましいものと見なされることが多い。
【0024】
規定の理論に拘束されることが望まれるものではないが、本発明は、血管、特に眼の白層(即ち、強膜)の微小血管の微小血管収縮を介してこの追加的なホワイトニングを達成することができる。さらに、本発明の組成物および方法は、同様に眼のホワイトニングに関与し得る重層する上強膜および/または結膜組織微小血管の血管収縮に影響を及ぼすことができる。この効果は歯のホワイトニングと同様と考えられ、評価スケール定量としては推定ベースラインに対する改善が挙げられ、ベースラインを越えるホワイトニングは「ブリーチング」と称される。
【0025】
本発明の目的に好適な選択的α−2アドレナリン受容体アゴニスト
本発明の一部の実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、α−2受容体についてα−1受容体と比べて100:1以上の結合親和性(Ki)を有する。本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、α−2受容体についてα−1受容体と比べて300:1以上、より好ましくは500:1以上、より好ましくは700:1以上、さらにより好ましくは1000:1以上、最も好ましくは1500:1以上のKiを有する。一般に、α−2受容体についてα−1受容体と比べてオキシメタゾリンよりも大きいKiを有する選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、本発明の目的に好適であるはずである。
【0026】
α−2/α−1機能選択性を測定するアッセイを考案することは、十分に当分野の技術の範囲内である。非限定的な例として、α−2A受容体における効力、活性またはEC50を、アデニラートシクラーゼ活性の阻害についてアッセイすることにより測定することができる。さらに、アデニラートシクラーゼ活性の阻害は、限定されることなく、α−2A受容体、例えばヒトα−2A受容体を安定的に発現するPC12細胞内でアッセイすることができる。さらなる非限定的な例として、α−1A受容体における効力、活性またはEC50を、細胞内カルシウムについてアッセイすることにより測定することができる。細胞内カルシウムは、限定されることなく、α−1A受容体、例えばウシα−1A受容体を安定的に発現するHEK293細胞内でアッセイすることができる。
【0027】
任意の規定の理論または機序により拘束されることが望ましいわけではないが、本発明の目的に特に好ましいアドレナリン受容体アゴニストは、α−2Bおよび/またはα−2C受容体についてα−2A受容体と比較して高い選択性を有することが考えられる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの濃度は、組成物の約0.0001重量/容量%から約0.05重量/容量%;より好ましくは約0.001重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.02重量/容量%である。
【0029】
任意の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストが本発明の目的に好適であり得る。一実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体は、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、アルファメチルドパ、グアンファシン、デクスメデトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。
【0030】
本発明の組成物および方法は、記載されたα−2アドレナリン受容体アゴニストの全ての異性体形、これらのラセミ混合物、エノール形、溶媒和または非溶媒和形、アナログ、プロドラッグ、限定されるものではないが、エステルおよびエーテルを含む誘導体ならびに酸付加塩を含む医薬的に許容される塩を包含する。塩形成のための好適な酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、酒石酸および当業者に周知の他の無機カルボン酸である。塩は、遊離塩基形態を十分量の所望の酸と接触させて慣用の様式において塩を生成させることにより調製することができる。遊離塩基形態は、塩を好適な希薄水性塩基溶液、例えば希薄水性水酸化炭酸カリウム(hydroxide potassium carbonate)、アンモニアおよび重炭酸ナトリウムにより処理することにより再生することができる。遊離塩基形態は、ある物理特性、例えば極性溶媒中での溶解度においてこれらのそれぞれの塩形態といくぶん異なるが、酸塩は本発明の目的のためにこれらのそれぞれの遊離塩基形態と等価である。(例えば、参照により本明細書に組み込まれるS.M.Berge,et al.,「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.,66:1−19(1977)を参照。)。
【0031】
選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの特定の異性体、塩、アナログ、プロドラッグまたは他の誘導体が高度に選択性のα−2アゴニストとして機能する限り、これらを本発明の目的のために使用することができる。
【0032】
特定のα−2アドレナリン受容体アゴニストを選択する場合、血液脳浸透性ならびに任意の考えられる副作用および他の全身反応を含む種々の検討事項を考慮することができる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体は、ブリモニジンまたはこの塩である。より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、ブリモニジンの酒石酸塩である。
【0034】
本発明の組成物および方法
一実施形態において、本発明は、眼の白みの増加において使用される、低用量の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストまたは医薬的に許容されるこの塩を含む組成物を提供する。
【0035】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、約0.05重量/容量%未満、より好ましくは約0.001重量/容量%から約0.05重量/容量%の濃度において存在する。
【0036】
選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの濃度は、好ましくはα−1アドレナリン受容体が、不都合な虚血性血管収縮の結果を引き起こすほど十分に活性化される濃度未満である。
【0037】
一実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、ロフェキシジン、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、アルファメチルドパ、グアンファシン、デクスメデトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。
【0038】
好ましい実施形態において、組成物は、約0.001重量/容量%から約0.025重量/容量%の濃度のブリモニジンを含む。
【0039】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストを含む組成物のpHは、約5.5から約6.5である。
【0040】
一実施形態において、本発明は、本質的にはブリモニジンからなる、眼の白みの増加において使用される水性組成物であって、ブリモニジン濃度が約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%であり、前記組成物のpHが約5.5から約6.5である組成物を提供する。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明は、約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%のブリモニジンおよび約0.1から約0.5重量/容量%の塩化カリウムを含む、眼の白みの増加において使用される水性組成物であって、前記組成物のpHが約7.0から約8.0であり、前記組成物が局所投与のために配合されている組成物を提供する。
【0042】
本発明の組成物は、好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒトのために配合される。
【0043】
一実施形態において、本発明の組成物のpHは、約8.0未満、好ましくは約5.5から約8.0、より好ましくは約6.0から約8.0である。
【0044】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、カリウム(即ち、K+)をさらに含む。用語「カリウム」は、限定されるものではないが、カリウム塩を含む。好ましい実施形態において、カリウムは、塩化カリウム(KCl)の形態であり、この濃度は約0.2重量/容量%から約0.9重量/容量%である。
【0045】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、カルシウム(即ち、Ca2+)をさらに含む。用語「カルシウム」は、限定されるものではないが、カルシウム塩を含む。好ましくは、カルシウムは塩化カルシウム(CaCl2)である。
【0046】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体は、KClを0.1重量/容量%から0.8重量/容量%の濃度範囲で、好ましくは0.25重量/容量%で有する。より高濃度のKClは、本発明の組成物の作用のより長期の持続時間に寄与し得る。
【0047】
さらにより好ましい実施形態において、本発明の組成物は、7.0超のpHおよび0.1重量/容量%から0.8重量/容量%のKClを有し得る。
【0048】
さらにより好ましい実施形態において、本発明の組成物は、7.0超のpHおよび0.1重量/容量%から0.8重量/容量%のKClおよび0.01重量/容量%超のCaCl2を有し得る。
【0049】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、好ましくはアニオン成分、例えばペルオキシドクラスの保存剤を含有する溶解安定剤も含む。溶解安定剤により脂溶性膜のより大きい浸透を達成することができる。好ましい実施形態において、溶解安定剤は、安定化オキシクロロ錯体、クロライトおよび過ホウ酸ナトリウムを含む。
【0050】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、亜酸化窒素阻害剤を含む。好ましい実施形態において、亜酸化窒素阻害剤は、L−NAME(L−NG−ニトロアルギニンメチルエステル)、L−NIL(N6−(1−イミノエチル)−L−リジン二塩酸塩)、L−NIO(N5−(1−イミノエチル)−L−オルニチン二塩酸塩)およびL−カナバイン(canavine)またはこれらの組合せからなる群から選択される。好ましくは、亜酸化窒素阻害剤の濃度は約0.005重量/容量%から約0.5重量/容量%である。
【0051】
本発明の一実施形態において、組成物は、点眼液として眼内に送達される。本発明は、限定されるものではないが、ゲル剤およびクリーム剤を含む局所組成物も企図する。これらの組成物は、限定されるものではないが、保存剤、送達ビヒクル、等張性調節剤、緩衝剤、pH調節剤、酸化防止剤および水を含む追加の非治療成分も含むことができる。
【0052】
保存剤としては、限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀または硝酸フェニル水銀が挙げられる。
【0053】
送達ビヒクルとしては、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が挙げられる。生理食塩溶液を主なビヒクルとして使用することも可能である。
【0054】
等張性調節剤としては、限定されるものではないが、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールもしくはグリセリンまたは別の医薬的もしくは眼科的に許容される等張性調節剤が挙げられる。
【0055】
緩衝剤およびpH調節剤としては、限定されるものではないが、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液およびホウ酸塩緩衝液が挙げられる。酸または塩基を必要に応じて組成物のpHを調節するために使用することができることが理解される。
【0056】
酸化防止剤としては、限定されるものではないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられる。
【0057】
本発明の局所組成物を作製するため、当分野において公知の方法を使用して、より濃縮された選択的α−2アゴニストの溶液を容易に希釈することができる。希釈を実施する正確な方法は重要ではない。局所液剤に好適な本願における上記の保存剤を含む任意の一般的に使用される希釈剤を使用することができる。
【0058】
他の実施形態において、本発明の組成物は、静脈内、経口、エアロゾル化および霧状化組成物として配合および送達することができる。
【0059】
投与量
本発明の組成物の適正な投与量は、濃度依存的である。具体的なヒトの眼のホワイトニングのための具体的な用量を決定するため、当業者は、特定の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの動態および吸収特性を考慮しなければならない。さらに、投与量は投与経路に依存し得る。投与量は、患者により所望されるホワイトニングの程度にも依存し得る。
【0060】
本発明を付属の図面を参照することによってより詳細に実証する。
【0061】
図1は、α−1アドレナリン受容体の活性化の効果のグラフィック表示である。図1が実証するとおり、α−1アドレナリン受容体アゴニストの投与は、近位細動脈の収縮を導き(図1左側)、次に毛細血管を通る血流を減少させ、収縮した細動脈の下流の組織について虚血を引き起こす。
【0062】
図2は、α−2アドレナリン受容体の優先的活性化の効果のグラフィック表示である。図2が実証するとおり、α−2アドレナリン受容体アゴニストの投与は、前毛細血管/終末細動脈(即ち、より小さい血管)の収縮(図1左側)および細静脈の収縮(図2右側)を導く。虚血は、α−1アドレナリン受容体の刺激と比較して減少する。これというのも、細動脈が開放し、一部の酸素が細動脈および細静脈を連結する通過血管により周囲組織に利用可能となるからである。
【0063】
図3は、3種の異なるいろあいの白みの可視的表示である。ヒトの眼は、白みのいろあいの変化を区別するこの能力に限界がある。中央の正方形をRGB(255 255 255)に設定する。RGBカラーモデルは、赤色、緑色および青色の光を種々の方式で一緒に加えて幅広い色の配列を再現する加法カラーモデルである。RGBカラーモデルの色は、赤色、緑色および青色のそれぞれがいかに多く含まれるかを示すことにより記載される。色は、各成分が0から定義された最大値まで変動し得るRGBトリプレット(rgb)として表現される。全ての成分が0である場合、結果は黒色であり;全ての成分が最大である場合、結果は完全飽和の白色である。RGB(255 255 255)は、完全飽和の白色を表す。
【0064】
右側の正方形において、白みは、バックグラウンドが100である1から100の黒さスケールに基づき5だけ低減している。左側の正方形については、白みは15だけ低減している。5の低減から得られるいろあいの差は、正常で健常な眼を有するほとんどのヒトにより検知可能なホワイトニングの差の増加閾よりわずかに高い。
【0065】
図4aは、充血患者の眼の写真である。充血(結膜ならびに頻繁ではないが重層する上強膜および/または強膜の血管の拡張)は、強膜の白みをマスクし、眼の赤み増加および眼の白み低減の一般的な原因である。充血は、典型的な「レッドアイ」をもたらす。しかしながら、より根本的な生理学的レベルについては、強膜の白みは、病変の不存在下においてさえ個人により変動する。このことは、健常人の眼の写真である図4b−4dにより実証される。
【0066】
図5は、充血の除去を超える強膜の色の定量を可能とする本発明による新規スケールを説明する。
【0067】
図6−14Bは実施例において説明する。
【0068】
以下の実施例は、説明の目的のために提供するにすぎず、本発明を全く限定するものではない。
【実施例】
【0069】
[実施例1]
眼の白み増加に対するブリモニジンの効果
Lumigan(登録商標)(ビマトプロスト点眼液0.03%;Allergan,Inc.の商標)治療を受けている緑内障患者に、0.025%ブリモニジンを投与して赤みを低減させ、眼の白みを増加させた。図9Aは、0.025%ブリモニジン投与前の眼の写真である。図9Bは、0.025%ブリモニジン投与後の同一の眼の写真である。
【0070】
本実施例は、0.025%ブリモニジンが顕著な眼の赤みの低減および眼の白みの増加をもたらしたことを実証する。
【0071】
[実施例2]
眼の白みの増加に対するブリモニジンの効果
小児患者に、0.025%ブリモニジンを投与して眼の赤みを低減させ、眼の白みを増加させた。図10は、0.025%ブリモニジン投与後の眼の写真である。
【0072】
本実施例は、0.025%ブリモニジンが顕著な眼の赤みの低減および眼の白みの増加をもたらしたことを実証する。
【0073】
[実施例3]
眼の白みの増加および鼻充血緩和に対するブリモニジンの効果
8人のヒト対象に、0.025%ブリモニジンを投与した。対象に片眼内に薬物を投与し、次いで鏡で自己評価して両眼間の結膜充血の差を知覚するかどうかを確認するよう求めた。評価は投与5分後および投与4時間後に行った。4時間の評価後、薬物を再投与した。
【0074】
実験の結果は以下のとおりである。最初の5分間の評価において、8人の対象のうち8人が、ブリモニジンを投与した眼において充血の低減および白みの増加を報告した。4時間の評価において、8人の対象のうち8人が、ブリモニジンを投与した眼において充血の低減および白みの増加を報告した。さらに、4時間の評価において、8人の対象のうち6人が、薬物を投与した眼と同一の側の鼻孔における鼻閉の低減を報告した。
【0075】
対象の眼の写真を、最初の投与の4時間後のブリモニジンの再投与の5分後に撮影した。
【0076】
図8は、薬物を左眼内に投与し;右眼は対照である対象番号1の写真である。
【0077】
図9は、薬物を両眼内に投与した対象番号2の写真である。
【0078】
図10は、薬物を右眼内に投与し;左眼は対照である対象番号3の写真である。
【0079】
図11Aは、対象番号4の写真であり、写真はベースラインであり、薬物の投与前に撮影した。
【0080】
図11Bは、薬物を右眼内に投与し;左眼は対照である対象番号4の写真である。
【0081】
図12は、薬物を右眼内に投与し;左眼は対照である対象番号5の写真である。
【0082】
本実施例が実証するとおり、低用量のブリモニジンの投与は、顕著な眼の赤みの低減および眼の白みの増加をもたらした。さらに、数人の対象において、ブリモニジンの眼内投与は、薬物を投与した眼と同一の側の鼻孔における鼻閉の低減をもたらした。
【0083】
[実施例4]
眼の審美的白みの増加に対するブリモニジンの効果
健常な眼の40歳女性に、1gtt(ドロップパーミニット)の0.025%ブリモニジンを右眼内に3分間投与した。図13は、薬物を投与する前の女性の両眼の写真である。図14Aは右眼の拡大写真であり、図14Bは左眼の拡大写真である。
【0084】
本実施例は、0.025%ブリモニジン投与後に右眼が著しく審美的にホワイトニングされたことを実証する。
【背景技術】
【0001】
アドレナリン受容体は、カテコールアミン、ノルエピネフリンおよびエピネフリンに対する生理学的応答を媒介し、7回膜貫通ドメインを有するGタンパク質共役受容体のスーパーファミリーのメンバーである。
【0002】
これらの受容体は、α−1、α−2およびβ−アドレナリン受容体タイプに薬理学的に類別され、心血管および中枢神経系の機能を含む多様な生理学的機能に関与する。α−アドレナリン受容体は、興奮性および阻害性機能を媒介し:α−1アドレナリン受容体は、典型的には、一般に効果器における応答を媒介する興奮性シナプス後受容体である一方、α−2アドレナリン受容体は、シナプス後的におよびシナプス前的に局在しており、これらは神経伝達物質の放出を阻害する。α−アドレナリン受容体は血管収縮も媒介する。
【0003】
α−2アドレナリン受容体は現在、これらの薬理学的および分子特性決定に基づいて、3種のサブタイプ:α−2A/D(ヒトにおけるα−2Aおよびラットにおけるα−2D);α−2B;およびα−2Cに分類されている(Bylund et al.,Pharmacol.Rev.46:121−136(1994);ならびにHein and Kobilka,Neuropharmacol.34:357−366(1995))。α−2A、α−2Bおよびα−2Cサブタイプは一部の血管床において動脈および/または細静脈収縮を調節すると考えられ、α−2Aおよびα−2Cサブタイプは交感神経終末からのノルエピネフリン放出のフィードバック阻害も媒介する。
【0004】
ヒトの眼は、多くのα−2アドレナリン受容体を有する。これらの受容体のアゴニストは、α−2受容体集中細動脈、特に終末細動脈の内腔サイズ低減を引き起こすことによる眼の外観の効果を有し得る。このことは、血管収縮、さらに特定すると、微小血管の内腔サイズ低減をもたらし得、次に表面積単位当たりの微小血管収縮の程度を増加させ得、従って、眼の審美的外観を改善し得る。より白色の眼は、慣習的に、自然で健常な眼ならびに優れた全般的な衛生および健常の社会的象徴である。
【0005】
一部の化合物がα−1およびα−2受容体の両方のアゴニストであり得る一方、α−2アドレナリン受容体に優先的に結合することを意味する選択的α−2アゴニスト活性を有する多くの化合物が存在する。これらの化合物としては、ブリモニジン(開放隅角緑内障または高眼圧症患者において眼圧低下に使用されている。)、グアンファシン(高血圧を制御するために使用されている。)、デクスメデトミジン(鎮静薬、鎮痛薬、交感神経遮断薬および抗不安薬として使用されている。)およびメチルドパ(中枢作用性アドレナリン抗高血圧症薬として使用されている。)が挙げられる。
【0006】
しかしながら、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、0.1%以上の従来の用量において使用される場合、多数の不所望な副作用、例えば反動的な充血を伴う。これらの副作用は、α−1アドレナリン受容体の「交差」刺激と関連し得る。これというのも、α−2選択性がα−2/α−1受容体活性の比であるからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bylund et al.,Pharmacol.Rev.46:121−136(1994)
【非特許文献2】Hein and Kobilka,Neuropharmacol.34:357−366(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、副作用を低減または排除して眼のホワイトニングを達成することにより眼の審美的外観を改善する新規組成物および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、低濃度の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストを利用する審美的な眼のホワイトニングを達成するための組成物および方法を提供する。
【0010】
本発明の一部の実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、α−2受容体についてα−1受容体と比べて100:1以上の結合親和性(Ki)を有する。本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、α−2受容体についてα−1受容体と比べて300:1以上、より好ましくは500:1以上、より好ましくは700:1以上、さらにより好ましくは1000:1以上、最も好ましくは1500:1以上のKiを有する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの濃度は、組成物の約0.0001重量/容量%から約0.05重量/容量%;より好ましくは約0.001重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.02重量/容量%である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、アルファメチルドパ、グアンファシン、デクスメデトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。
【0013】
本発明の組成物および方法は、健常な眼をホワイトニングするためおよび/または疾患もしくは病態に起因する眼内の充血を低減させるために使用することができる。
【0014】
赤みの低減および白みの追加的増加は、以下のスケール、例えばMcMonnies/Chapman−Daviesスケール(MC−D);Institute for Eye Researchスケール(IER、CCLRUスケールとして既に公知である。);Efronスケール;およびCentre for Contact Lens Researchにおいて開発された、有効な眼球赤みスケール(VBR)の1種により計測することができる。(The Use of Fractal Analysis and Photometry to Estimate the Accuracy of Bulbar Redness Grading Scales,Marc M.Schulze et al,Investigative Ophthalmology and Visual Science,2008;49:1398−1406)。代替として、本発明はまた、赤みの低減および白みの追加的増加をより正確に計測することができる改変されたスケールを記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】α−1アドレナリン受容体の活性化の効果のグラフィック表示である。
【図2】α−2アドレナリン受容体の優先的活性化の効果のグラフィック表示である。
【図3】3種の異なる白みのいろあいの可視的表示である。
【図4A】充血患者の眼の写真である。
【図4B】健常人の眼の写真である。
【図4C】健常人の眼の写真である。
【図4D】健常人の眼の写真である。
【図5】本発明の「赤み」スケールの可視的表示である。
【図6A】0.025%ブリモニジンの投与前の対象の眼の写真である。
【図6B】0.025%ブリモニジン投与後の図6Aと同一の眼の写真である。
【図7】0.025%ブリモニジン投与後の小児患者の眼の写真である。
【図8】0.025%ブリモニジンを左眼内に投与し;右眼は対照である対象の眼の写真である。
【図9】0.025%ブリモニジンを両眼内に投与した対象の眼の写真である。
【図10】0.025%ブリモニジンを右眼内に投与し;左眼は対照である対象の眼の写真である。
【図11A】右眼内への0.025%ブリモニジン投与前の対象の眼のベースライン写真である。
【図11B】0.025%ブリモニジンを右眼内に投与し;左眼は対照である図11Aと同一の対象の眼の写真である。
【図12】0.025%ブリモニジンを右眼内に投与し;左眼は対照である対象の眼の写真である。
【図13】右眼内への0.025%ブリモニジン投与前の対象の眼の写真である。
【図14A】0.025%ブリモニジンを右眼内に投与した後の図13と同一の対象の右眼の写真である。
【図14B】ブリモニジンを左眼内に投与しなかった図13と同一の対象の左眼の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本発明の目的のため、以下の用語を以下のとおり定義する。
【0017】
用語「選択的α−2アドレナリン受容体アゴニスト」は、α−2アドレナリン受容体についてα−1アドレナリン受容体と比べて100倍以上の結合親和性を有する全てのα−2アドレナリン受容体アゴニストを包含する。
【0018】
用語「低濃度」は、組成物の約0.0001重量/容量%から約0.05重量/容量%;より好ましくは約0.001重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.02重量/容量%の濃度を指す。
【0019】
用語「ブリモニジン」は、限定されることなく、ブリモニジン塩および他の誘導体を包含し、具体的には、限定されるものではないが、ブリモニジン酒石酸塩、5−ブロモ−6−(2−イミダゾリン−2−イルアミノ)キノキサリンD−タートラート、Alphagan(商標)およびUK14304が挙げられる。
【0020】
本明細書において使用される用語「組成物」は、規定の成分を規定の量で含む生成物および規定の成分の規定の量での組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。
【0021】
本発明の実施形態
驚くべきことに、意想外に、十分に低濃度の選択的アルファ−2(α−2)アドレナリン受容体アゴニスト(本願を通して「α−2アゴニスト」と交換可能に称される。)は、組織血行動態の顕著な改善を可能とし、副作用を低減または排除して眼の審美的ホワイトニングに使用することができることが見出された。
【0022】
従って、一態様において、本発明は、眼の白みを増加させるための組成物および方法を提供する。一実施形態において、本発明は、疾患または病態に起因する充血の低減に加え、健常な眼において眼のホワイトニングを達成するための方法および組成物を提供する。
【0023】
本発明の特許請求される方法および組成物は、種々のいろあいの眼の白みを特定の眼のベースラインよりも増加させることができる。この白みの増加は、審美的または他の理由のために重要であり得る。正常で健常な眼は、白みの一定のベースラインレベルを有し、このレベルは個人ごとにわずかに変動する。強膜の白みの低減は、審美上あまり望ましいものでないとして見なされることが多く、疲労、睡眠不足、冷静さの欠如、薬物使用、情緒不安定および全般的な病弱の指標であり得る。より白色の強膜は、改善された衛生および/または健常ならびにより清潔で健常なライフスタイルと関連して、より審美上望ましいものと見なされることが多い。
【0024】
規定の理論に拘束されることが望まれるものではないが、本発明は、血管、特に眼の白層(即ち、強膜)の微小血管の微小血管収縮を介してこの追加的なホワイトニングを達成することができる。さらに、本発明の組成物および方法は、同様に眼のホワイトニングに関与し得る重層する上強膜および/または結膜組織微小血管の血管収縮に影響を及ぼすことができる。この効果は歯のホワイトニングと同様と考えられ、評価スケール定量としては推定ベースラインに対する改善が挙げられ、ベースラインを越えるホワイトニングは「ブリーチング」と称される。
【0025】
本発明の目的に好適な選択的α−2アドレナリン受容体アゴニスト
本発明の一部の実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、α−2受容体についてα−1受容体と比べて100:1以上の結合親和性(Ki)を有する。本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、α−2受容体についてα−1受容体と比べて300:1以上、より好ましくは500:1以上、より好ましくは700:1以上、さらにより好ましくは1000:1以上、最も好ましくは1500:1以上のKiを有する。一般に、α−2受容体についてα−1受容体と比べてオキシメタゾリンよりも大きいKiを有する選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、本発明の目的に好適であるはずである。
【0026】
α−2/α−1機能選択性を測定するアッセイを考案することは、十分に当分野の技術の範囲内である。非限定的な例として、α−2A受容体における効力、活性またはEC50を、アデニラートシクラーゼ活性の阻害についてアッセイすることにより測定することができる。さらに、アデニラートシクラーゼ活性の阻害は、限定されることなく、α−2A受容体、例えばヒトα−2A受容体を安定的に発現するPC12細胞内でアッセイすることができる。さらなる非限定的な例として、α−1A受容体における効力、活性またはEC50を、細胞内カルシウムについてアッセイすることにより測定することができる。細胞内カルシウムは、限定されることなく、α−1A受容体、例えばウシα−1A受容体を安定的に発現するHEK293細胞内でアッセイすることができる。
【0027】
任意の規定の理論または機序により拘束されることが望ましいわけではないが、本発明の目的に特に好ましいアドレナリン受容体アゴニストは、α−2Bおよび/またはα−2C受容体についてα−2A受容体と比較して高い選択性を有することが考えられる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの濃度は、組成物の約0.0001重量/容量%から約0.05重量/容量%;より好ましくは約0.001重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%;さらにより好ましくは約0.01重量/容量%から約0.02重量/容量%である。
【0029】
任意の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストが本発明の目的に好適であり得る。一実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体は、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、アルファメチルドパ、グアンファシン、デクスメデトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。
【0030】
本発明の組成物および方法は、記載されたα−2アドレナリン受容体アゴニストの全ての異性体形、これらのラセミ混合物、エノール形、溶媒和または非溶媒和形、アナログ、プロドラッグ、限定されるものではないが、エステルおよびエーテルを含む誘導体ならびに酸付加塩を含む医薬的に許容される塩を包含する。塩形成のための好適な酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、酒石酸および当業者に周知の他の無機カルボン酸である。塩は、遊離塩基形態を十分量の所望の酸と接触させて慣用の様式において塩を生成させることにより調製することができる。遊離塩基形態は、塩を好適な希薄水性塩基溶液、例えば希薄水性水酸化炭酸カリウム(hydroxide potassium carbonate)、アンモニアおよび重炭酸ナトリウムにより処理することにより再生することができる。遊離塩基形態は、ある物理特性、例えば極性溶媒中での溶解度においてこれらのそれぞれの塩形態といくぶん異なるが、酸塩は本発明の目的のためにこれらのそれぞれの遊離塩基形態と等価である。(例えば、参照により本明細書に組み込まれるS.M.Berge,et al.,「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.,66:1−19(1977)を参照。)。
【0031】
選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの特定の異性体、塩、アナログ、プロドラッグまたは他の誘導体が高度に選択性のα−2アゴニストとして機能する限り、これらを本発明の目的のために使用することができる。
【0032】
特定のα−2アドレナリン受容体アゴニストを選択する場合、血液脳浸透性ならびに任意の考えられる副作用および他の全身反応を含む種々の検討事項を考慮することができる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体は、ブリモニジンまたはこの塩である。より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、ブリモニジンの酒石酸塩である。
【0034】
本発明の組成物および方法
一実施形態において、本発明は、眼の白みの増加において使用される、低用量の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストまたは医薬的に許容されるこの塩を含む組成物を提供する。
【0035】
好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、約0.05重量/容量%未満、より好ましくは約0.001重量/容量%から約0.05重量/容量%の濃度において存在する。
【0036】
選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの濃度は、好ましくはα−1アドレナリン受容体が、不都合な虚血性血管収縮の結果を引き起こすほど十分に活性化される濃度未満である。
【0037】
一実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストは、ロフェキシジン、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、アルファメチルドパ、グアンファシン、デクスメデトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される。
【0038】
好ましい実施形態において、組成物は、約0.001重量/容量%から約0.025重量/容量%の濃度のブリモニジンを含む。
【0039】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストを含む組成物のpHは、約5.5から約6.5である。
【0040】
一実施形態において、本発明は、本質的にはブリモニジンからなる、眼の白みの増加において使用される水性組成物であって、ブリモニジン濃度が約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%であり、前記組成物のpHが約5.5から約6.5である組成物を提供する。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明は、約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%のブリモニジンおよび約0.1から約0.5重量/容量%の塩化カリウムを含む、眼の白みの増加において使用される水性組成物であって、前記組成物のpHが約7.0から約8.0であり、前記組成物が局所投与のために配合されている組成物を提供する。
【0042】
本発明の組成物は、好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒトのために配合される。
【0043】
一実施形態において、本発明の組成物のpHは、約8.0未満、好ましくは約5.5から約8.0、より好ましくは約6.0から約8.0である。
【0044】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、カリウム(即ち、K+)をさらに含む。用語「カリウム」は、限定されるものではないが、カリウム塩を含む。好ましい実施形態において、カリウムは、塩化カリウム(KCl)の形態であり、この濃度は約0.2重量/容量%から約0.9重量/容量%である。
【0045】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、カルシウム(即ち、Ca2+)をさらに含む。用語「カルシウム」は、限定されるものではないが、カルシウム塩を含む。好ましくは、カルシウムは塩化カルシウム(CaCl2)である。
【0046】
より好ましい実施形態において、選択的α−2アドレナリン受容体は、KClを0.1重量/容量%から0.8重量/容量%の濃度範囲で、好ましくは0.25重量/容量%で有する。より高濃度のKClは、本発明の組成物の作用のより長期の持続時間に寄与し得る。
【0047】
さらにより好ましい実施形態において、本発明の組成物は、7.0超のpHおよび0.1重量/容量%から0.8重量/容量%のKClを有し得る。
【0048】
さらにより好ましい実施形態において、本発明の組成物は、7.0超のpHおよび0.1重量/容量%から0.8重量/容量%のKClおよび0.01重量/容量%超のCaCl2を有し得る。
【0049】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、好ましくはアニオン成分、例えばペルオキシドクラスの保存剤を含有する溶解安定剤も含む。溶解安定剤により脂溶性膜のより大きい浸透を達成することができる。好ましい実施形態において、溶解安定剤は、安定化オキシクロロ錯体、クロライトおよび過ホウ酸ナトリウムを含む。
【0050】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、亜酸化窒素阻害剤を含む。好ましい実施形態において、亜酸化窒素阻害剤は、L−NAME(L−NG−ニトロアルギニンメチルエステル)、L−NIL(N6−(1−イミノエチル)−L−リジン二塩酸塩)、L−NIO(N5−(1−イミノエチル)−L−オルニチン二塩酸塩)およびL−カナバイン(canavine)またはこれらの組合せからなる群から選択される。好ましくは、亜酸化窒素阻害剤の濃度は約0.005重量/容量%から約0.5重量/容量%である。
【0051】
本発明の一実施形態において、組成物は、点眼液として眼内に送達される。本発明は、限定されるものではないが、ゲル剤およびクリーム剤を含む局所組成物も企図する。これらの組成物は、限定されるものではないが、保存剤、送達ビヒクル、等張性調節剤、緩衝剤、pH調節剤、酸化防止剤および水を含む追加の非治療成分も含むことができる。
【0052】
保存剤としては、限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀または硝酸フェニル水銀が挙げられる。
【0053】
送達ビヒクルとしては、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が挙げられる。生理食塩溶液を主なビヒクルとして使用することも可能である。
【0054】
等張性調節剤としては、限定されるものではないが、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールもしくはグリセリンまたは別の医薬的もしくは眼科的に許容される等張性調節剤が挙げられる。
【0055】
緩衝剤およびpH調節剤としては、限定されるものではないが、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液およびホウ酸塩緩衝液が挙げられる。酸または塩基を必要に応じて組成物のpHを調節するために使用することができることが理解される。
【0056】
酸化防止剤としては、限定されるものではないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられる。
【0057】
本発明の局所組成物を作製するため、当分野において公知の方法を使用して、より濃縮された選択的α−2アゴニストの溶液を容易に希釈することができる。希釈を実施する正確な方法は重要ではない。局所液剤に好適な本願における上記の保存剤を含む任意の一般的に使用される希釈剤を使用することができる。
【0058】
他の実施形態において、本発明の組成物は、静脈内、経口、エアロゾル化および霧状化組成物として配合および送達することができる。
【0059】
投与量
本発明の組成物の適正な投与量は、濃度依存的である。具体的なヒトの眼のホワイトニングのための具体的な用量を決定するため、当業者は、特定の選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストの動態および吸収特性を考慮しなければならない。さらに、投与量は投与経路に依存し得る。投与量は、患者により所望されるホワイトニングの程度にも依存し得る。
【0060】
本発明を付属の図面を参照することによってより詳細に実証する。
【0061】
図1は、α−1アドレナリン受容体の活性化の効果のグラフィック表示である。図1が実証するとおり、α−1アドレナリン受容体アゴニストの投与は、近位細動脈の収縮を導き(図1左側)、次に毛細血管を通る血流を減少させ、収縮した細動脈の下流の組織について虚血を引き起こす。
【0062】
図2は、α−2アドレナリン受容体の優先的活性化の効果のグラフィック表示である。図2が実証するとおり、α−2アドレナリン受容体アゴニストの投与は、前毛細血管/終末細動脈(即ち、より小さい血管)の収縮(図1左側)および細静脈の収縮(図2右側)を導く。虚血は、α−1アドレナリン受容体の刺激と比較して減少する。これというのも、細動脈が開放し、一部の酸素が細動脈および細静脈を連結する通過血管により周囲組織に利用可能となるからである。
【0063】
図3は、3種の異なるいろあいの白みの可視的表示である。ヒトの眼は、白みのいろあいの変化を区別するこの能力に限界がある。中央の正方形をRGB(255 255 255)に設定する。RGBカラーモデルは、赤色、緑色および青色の光を種々の方式で一緒に加えて幅広い色の配列を再現する加法カラーモデルである。RGBカラーモデルの色は、赤色、緑色および青色のそれぞれがいかに多く含まれるかを示すことにより記載される。色は、各成分が0から定義された最大値まで変動し得るRGBトリプレット(rgb)として表現される。全ての成分が0である場合、結果は黒色であり;全ての成分が最大である場合、結果は完全飽和の白色である。RGB(255 255 255)は、完全飽和の白色を表す。
【0064】
右側の正方形において、白みは、バックグラウンドが100である1から100の黒さスケールに基づき5だけ低減している。左側の正方形については、白みは15だけ低減している。5の低減から得られるいろあいの差は、正常で健常な眼を有するほとんどのヒトにより検知可能なホワイトニングの差の増加閾よりわずかに高い。
【0065】
図4aは、充血患者の眼の写真である。充血(結膜ならびに頻繁ではないが重層する上強膜および/または強膜の血管の拡張)は、強膜の白みをマスクし、眼の赤み増加および眼の白み低減の一般的な原因である。充血は、典型的な「レッドアイ」をもたらす。しかしながら、より根本的な生理学的レベルについては、強膜の白みは、病変の不存在下においてさえ個人により変動する。このことは、健常人の眼の写真である図4b−4dにより実証される。
【0066】
図5は、充血の除去を超える強膜の色の定量を可能とする本発明による新規スケールを説明する。
【0067】
図6−14Bは実施例において説明する。
【0068】
以下の実施例は、説明の目的のために提供するにすぎず、本発明を全く限定するものではない。
【実施例】
【0069】
[実施例1]
眼の白み増加に対するブリモニジンの効果
Lumigan(登録商標)(ビマトプロスト点眼液0.03%;Allergan,Inc.の商標)治療を受けている緑内障患者に、0.025%ブリモニジンを投与して赤みを低減させ、眼の白みを増加させた。図9Aは、0.025%ブリモニジン投与前の眼の写真である。図9Bは、0.025%ブリモニジン投与後の同一の眼の写真である。
【0070】
本実施例は、0.025%ブリモニジンが顕著な眼の赤みの低減および眼の白みの増加をもたらしたことを実証する。
【0071】
[実施例2]
眼の白みの増加に対するブリモニジンの効果
小児患者に、0.025%ブリモニジンを投与して眼の赤みを低減させ、眼の白みを増加させた。図10は、0.025%ブリモニジン投与後の眼の写真である。
【0072】
本実施例は、0.025%ブリモニジンが顕著な眼の赤みの低減および眼の白みの増加をもたらしたことを実証する。
【0073】
[実施例3]
眼の白みの増加および鼻充血緩和に対するブリモニジンの効果
8人のヒト対象に、0.025%ブリモニジンを投与した。対象に片眼内に薬物を投与し、次いで鏡で自己評価して両眼間の結膜充血の差を知覚するかどうかを確認するよう求めた。評価は投与5分後および投与4時間後に行った。4時間の評価後、薬物を再投与した。
【0074】
実験の結果は以下のとおりである。最初の5分間の評価において、8人の対象のうち8人が、ブリモニジンを投与した眼において充血の低減および白みの増加を報告した。4時間の評価において、8人の対象のうち8人が、ブリモニジンを投与した眼において充血の低減および白みの増加を報告した。さらに、4時間の評価において、8人の対象のうち6人が、薬物を投与した眼と同一の側の鼻孔における鼻閉の低減を報告した。
【0075】
対象の眼の写真を、最初の投与の4時間後のブリモニジンの再投与の5分後に撮影した。
【0076】
図8は、薬物を左眼内に投与し;右眼は対照である対象番号1の写真である。
【0077】
図9は、薬物を両眼内に投与した対象番号2の写真である。
【0078】
図10は、薬物を右眼内に投与し;左眼は対照である対象番号3の写真である。
【0079】
図11Aは、対象番号4の写真であり、写真はベースラインであり、薬物の投与前に撮影した。
【0080】
図11Bは、薬物を右眼内に投与し;左眼は対照である対象番号4の写真である。
【0081】
図12は、薬物を右眼内に投与し;左眼は対照である対象番号5の写真である。
【0082】
本実施例が実証するとおり、低用量のブリモニジンの投与は、顕著な眼の赤みの低減および眼の白みの増加をもたらした。さらに、数人の対象において、ブリモニジンの眼内投与は、薬物を投与した眼と同一の側の鼻孔における鼻閉の低減をもたらした。
【0083】
[実施例4]
眼の審美的白みの増加に対するブリモニジンの効果
健常な眼の40歳女性に、1gtt(ドロップパーミニット)の0.025%ブリモニジンを右眼内に3分間投与した。図13は、薬物を投与する前の女性の両眼の写真である。図14Aは右眼の拡大写真であり、図14Bは左眼の拡大写真である。
【0084】
本実施例は、0.025%ブリモニジン投与後に右眼が著しく審美的にホワイトニングされたことを実証する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の白みの増加において使用される、α−2アドレナリン受容体についてα−1アドレナリン受容体と比べて300倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストまたは医薬的に許容されるこの塩を含む組成物。
【請求項2】
前記選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストが、α−2アドレナリン受容体についてα−1アドレナリン受容体と比べて500倍以上の結合親和性を有する、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストが、ロフェキシジン、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、アルファメチルドパ、グアンファシン、デクスメデトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項4】
前記α−2アドレナリン受容体アゴニストが、約0.001重量/容量%から約0.05重量/容量%の濃度において存在する、請求項1の組成物。
【請求項5】
前記α−2アドレナリン受容体アゴニストが、約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%の濃度のブリモニジンである、請求項1の組成物。
【請求項6】
請求項1の組成物であって、約0.1から約0.5重量/容量%の塩化カリウムをさらに含み、および前記α−2アドレナリン受容体アゴニストがブリモニジンであり、前記ブリモニジン濃度が約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%であり、および前記組成物のpHが約7.0から約8である、組成物。
【請求項7】
約0.005重量/容量%から0.01重量/容量%の塩化カルシウムをさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項8】
有効量の請求項1の組成物を眼に投与することを含む、眼の白みを増加させる方法。
【請求項1】
眼の白みの増加において使用される、α−2アドレナリン受容体についてα−1アドレナリン受容体と比べて300倍以上の結合親和性を有する選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストまたは医薬的に許容されるこの塩を含む組成物。
【請求項2】
前記選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストが、α−2アドレナリン受容体についてα−1アドレナリン受容体と比べて500倍以上の結合親和性を有する、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記選択的α−2アドレナリン受容体アゴニストが、ロフェキシジン、アプラクロニジン、ミバゼロール、クロニジン、ブリモニジン、アルファメチルドパ、グアンファシン、デクスメデトミジン、(+)−(S)−4−[1−(2,3−ジメチル−フェニル)−エチル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−チオン、1−[(イミダゾリジン−2−イル)イミノ]インダゾールおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項4】
前記α−2アドレナリン受容体アゴニストが、約0.001重量/容量%から約0.05重量/容量%の濃度において存在する、請求項1の組成物。
【請求項5】
前記α−2アドレナリン受容体アゴニストが、約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%の濃度のブリモニジンである、請求項1の組成物。
【請求項6】
請求項1の組成物であって、約0.1から約0.5重量/容量%の塩化カリウムをさらに含み、および前記α−2アドレナリン受容体アゴニストがブリモニジンであり、前記ブリモニジン濃度が約0.01重量/容量%から約0.025重量/容量%であり、および前記組成物のpHが約7.0から約8である、組成物。
【請求項7】
約0.005重量/容量%から0.01重量/容量%の塩化カルシウムをさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項8】
有効量の請求項1の組成物を眼に投与することを含む、眼の白みを増加させる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【公表番号】特表2013−514985(P2013−514985A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544867(P2012−544867)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/060944
【国際公開番号】WO2011/075617
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511027426)アルフア・シナジー・デイベロプメント・インコーポレイテツド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/060944
【国際公開番号】WO2011/075617
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511027426)アルフア・シナジー・デイベロプメント・インコーポレイテツド (2)
【Fターム(参考)】
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