説明

眼科用レンズの作製方法

【課題】眼の不快感を引き起こさないシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを作製するための水性処理を提供する。
【解決手段】この方法は、(a)レンズを形成するために、少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応混合物を金型中で硬化させることであって、当該反応混合物は、TRISに対して約0.9未満の保持時間を有する水難溶性成分または不純物を実質的に含まない、反応混合物を金型中で硬化させることと、(b)金型から当該レンズを離型させるために、当該レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させることと、(c)選択的に、レンズの後処理をすることであって、当該後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、レンズの後処理をすることと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の属する技術分野〕
本発明は、眼の不快感を引き起こさないシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを作製するための水性処理(aqueous processes)に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
コンタクトレンズが視力を改善するために使用され得ることはよく知られている。長年にわたって様々なコンタクトレンズが商業的に製造されてきた。今日では、ハイドロゲルコンタクトレンズが非常に支持されている。これらのレンズは多くの場合硬質材料製のコンタクトレンズよりも装着感に優れている。適応性があるソフトコンタクトレンズは、多数部品に分かれた金型(multi-part mold)中でレンズを形成することによって製造することができ、この金型中では、組み合わせられた部品によって所望の最終レンズと一致したトポグラフィーが形成される。シリコーンハイドロゲルから作製されたコンタクトレンズについては開示されている。しかしながら、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを作製するのに使用される原料の多くは不純物を有し、これらの不純物は従来の水と生理食塩水に基づく浸出工程(leaching step)を用いて効果的に除去することができない。
【0003】
早くに開示された幾つかの方法では水だけを用いた。しかしながら、これらの初期方法では、望ましくない成分を抽出するために極めて長い水浸出および/または高温を用いた。得られたレンズについての臨床データは、望ましくない不純物の除去を確認するのに利用可能なデータではない。
【0004】
アルコールを用いた浸出方法によってシリコーンハイドロゲルレンズから望まれない不純物を除去するための方法については、開示されている。アルコールは、眼をヒリヒリさせる場合があり、コンタクトレンズから完全に除去されなければならない。アルコールを処分するためには、特別な処置工程をとらねばならず、製造方法がより高価になる。さらに、有機溶液の使用は、例えば:安全上の問題、製造ラインのダウンタイムの危険性の増加、離型溶液(release solution)の高コスト、および有機溶媒に関連する健康上の問題などの不利益をもたらす場合がある。
【0005】
浸出方法を改変することは可能であるが、例えば刺痛など、眼に関する望ましくない反応引き起こす不純物のないシリコーンハイドロゲル材料を見つけることが望ましいであろう。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、
(a)レンズを形成するために、少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応混合物を金型中で硬化させることであって、前記反応混合物は、TRISに対して約0.9未満の保持時間(retention time)を有する水難溶性成分または不純物を実質的に含まない、反応混合物を金型中で硬化させることと、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させることと、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をすることであって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をすることと、
を含む方法に関する。
【0007】
〔発明の詳細な説明〕
ある特定の不純物が眼の不快感を引き起こす量より少なく保たれる限り、水性水和法(aqueous hydration process)によってシリコーンハイドロゲルを作製することができることが見出されている。具体的には、眼の不快感を引き起こし得るシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ中の化合物は水中において難溶性であるが、レンズから眼組織内へと移動する涙液または涙液成分中で十分な移動性を有することが見出されている。水中において難溶性であり、眼組織と直接接触したときに眼組織に直接移動することができる化合物および不純物も、眼の不快感の一因となることがある。本明細書において「水難溶性」とは、25℃で水に溶ける化合物が約2000ppm未満であることを意味する。これらの成分および不純物は、以下、「水難溶性」または「SWS」成分および不純物という。浸出可能な化合物として存在する場合、これらのSWS化合物は、コンタクトレンズ製造方法の抽出および水和工程において水溶液を用いて完全には除去されない。しかしながら、SWS化合物は装着中にコンタクトレンズから浸出する可能性があり、装着者に眼の不快感を引き起こす。そのため、コンタクトレンズ中にSWS化合物および不純物が残留していないことを確実にすることが必須である。
【0008】
残念ながら、眼の不快感を引き起こす化学的部分(chemical moieties)の全てを同定する試みはうまくいかなかった。しかしながら、本出願者らは、SWS化合物および不純物は、本明細書に記載するとおり、液体クロマトグラフィーを用いて特性評価し得、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)に対して、溶媒としてアセトニトリル、水、イソプロパノールおよびギ酸緩衝液の混合物を用いてHPLCにより測定された、約0.9未満の保持時間を有するということを見出した。こうして、本出願者らは、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、約0.9未満の相対保持時間を有する水難溶性化合物または不純物が、反応混合物から実質的に排除されるかあるいは硬化中にレンズポリマーに結合される限り、水性処理を用いて作製され得るということを見出した。
【0009】
本明細書において用いられる保持時間とは、サンプルのHPLCへの注入から溶出(elution)ピークの時間までの時間を意味する。本発明において用いられる保持時間は、測定するTRISおよびサンプルの両方について同じ条件、カラム、および装置を用いて、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(3-methacryloxypropyltris(trimethylsilxoy)silane)(「TRIS」)に対して測定される相対保持時間である。絶対保持時間の代わりに相対保持時間を使用することで、選択する特定のHPLCシステムに関係なく、より一貫した保持時間の値が見込まれる。
【0010】
実施例では、本出願者らは、エレクトロスプレーイオン化をUVおよびELSD(Sedex)と連携させたFinnigan LCQ Classic質量分析計を取り付けた、寸法150x4.6mmx5μのThermo ODS Hypersilカラムを装備したAgilent 1100 HPLCを使用した。本出願者らは具体的に開示した装置を使用したが、任意のC18カラムおよび等価な装置でも本明細書において主張するものと一致した結果がもたらされるであろう。本明細書に明記した相対保持時間を測定するには、表6に明記した溶媒勾配プロフィールを用いるべきである。このクロマトグラフィー分析は約25℃で実施される。
【0011】
他のクロマトグラフィー条件は当技術分野で周知であり、例えば、限定されるものではないが、チューブ容量などの条件が当技術分野で一般に用いられる条件の範囲内である限り、それら条件はこの試験の結果に影響を及ぼさないであろう。
【0012】
サンプルは、各試験材料のイソプロピルアルコール中2%(wt/wt)溶液を作製することによって調製される。3μLのサンプル溶液が1mL/分の流速を用いてHPLCに注入される。各サンプルの溶出溶媒は、実施例の表6に示す勾配プログラムを用いて変更された。
【0013】
本発明のコンタクトレンズは、所望のレンズ形成成分を反応混合物に組み合わせることによって形成される。この反応混合物は、以下に記載する反応性成分、開始剤、および他の所望の成分を含む。コンタクトレンズを形成するのに使用される反応混合物は、TRISに対して約0.9未満、別の実施形態では約0.8未満の保持時間を有するSWS成分および不純物を実質的に含まない。
【0014】
本明細書において用いられる「SWS化合物および不純物を実質的に含まない」とは、レンズには眼の不快感を引き起こせるだけのSWS化合物および不純物の濃度がないことを意味する。眼の不快感は、コンタクトレンズを少なくとも10名の患者の眼に入れ、最初の挿入時および装着から30分後に主観的情報を集めることによって測定され得る。本明細書において用いられる眼の不快感は、装着から30分時点で不快感を示している、被験体の約20%未満、好ましくは約10%未満、好ましくは約5%未満のスコアである。
【0015】
本明細書において用いられる「眼の不快感」とは、コンタクトレンズの眼への挿入から30分以内での少なくとも中程度の刺痛または灼熱感の主観的評定を意味する。
【0016】
一実施形態では、反応混合物は、TRISに対して、本明細書に明記した保持時間を有するSWS化合物および不純物を、約3000未満、別の実施形態では、約1000ppm未満、別の実施形態では、約200ppm未満、別の実施形態では、約100ppm未満の量で含む。
【0017】
別の実施形態では、TRISに対して、本明細書に明記した保持時間を有するSWS化合物および不純物の反応混合物中の量は制御されないが、硬化条件は、当該成分または不純物が眼の不快感を引き起こす量より少ない硬化コンタクトレンズを製造するように選択される。一実施形態では、眼の不快感を引き起こす量より少ない当該成分または不純物は、レンズの重量に基づいて約2000ppm未満の量、完全に水和した状態で含まれる。
【0018】
反応混合物は、少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む。
【0019】
成分という用語には、モノマー、マクロマー、およびプレポリマーが含まれる。「モノマー」とは、より高い分子量の化合物、ポリマー、マクロマー、またはプレポリマーへと重合され得るより低い分子量の化合物を指す。本明細書で用いられる用語「マクロマー」とは、高分子量の重合性化合物を指す。プレポリマーは、部分重合モノマー、または、さらなる重合が可能なモノマーである。
【0020】
「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマー、またはプレポリマー中に少なくとも1つの[−Si−O−]単位を含有するものである。好ましくは、Siおよび結合しているOの全体は、シリコ−ン含有成分中に、シリコ−ン含有成分の総分子量の約20重量%より多い量で、より好ましくは30重量%より多い量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、重合性官能基(polymerizable functional groups)、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、およびスチリル官能基を好ましくは含む。本発明に有用なシリコ−ン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号および同第5,070,215号、ならびに欧州特許(EP)第080539号において見つけられ得る。これらの参照文献は、オレフィン系シリコーン含有成分の多くの例を開示している。
【0021】
所望の弾性率(modulus)を有する本発明のレンズを提供するために、ほとんどのシリコーン含有成分を含めてよいが、レンズ処方に用いられる、大部分の質量分率のシリコーン成分は、ただ1つの重合性官能基(「単官能性(monofunctional)シリコーン含有成分」)を含有すべきである。シリコーン含有レンズでは、酸素透過性と弾性率との所望のバランスを保証するために、2以上の重合性官能基(「多官能性成分」)を有する全ての成分が、反応性成分の10mmol/100g以下、好ましくは反応性成分の7mmol/100g以下を構成することが好ましい。好適な単官能性シリコーン含有成分には、式I:
【化1】

のポリシロキサニルアルキル(メト)アクリルモノマーが含まれる。
(式中:RはHまたは低級アルキルを示し、XはOまたはNRを示し、各Rは、独立して、水素またはメチルを示し、
各R〜Rは、独立して、低級アルキルラジカルまたはフェニルラジカルを示し、
nは1または3〜10である)
多官能性ポリジメチルシロキサン(mPDMS)もまた使用されてよい。好適なmPDMS化合物は、構造II:
【化2】

を含む。
(式中、b=0〜100(ここで、bは表示値に等しいモードを有する分布、好ましくは2〜16、より好ましくは3〜10であると理解される)、;R58は、少なくとも1つのエチレン系不飽和部分を含有する一価の基、好ましくはスチリル、ビニル、またはメタクリレート部分を含有する一価の基、より好ましくはメタクリレート部分であり、;各R59は、独立して、アルコール、アミン、ケトン、カルボン酸またはエーテル基でさらに置換されていてもよい、一価アルキル、またはアリール基、好ましくは非置換一価アルキルまたはアリール基、より好ましくはメチルであり、;R60は、アルコール、アミン、ケトン、カルボン酸またはエーテル基でさらに置換されていてもよい、一価アルキル、またはアリール基、好ましくは非置換一価アルキルまたはアリール基、好ましくはヘテロ原子を含んでいてもよいC1−10脂肪族または芳香族基、より好ましくはC3−8アルキル基、最も好ましくはブチルであり、;R61は、独立して、アルキルまたは芳香族、好ましくはエチル、メチル、ベンジル、フェニル、または1〜100の反復Si−O単位を含む一価シロキサン鎖である)好適なmPDMS化合物の例としては、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、モノメタクリルオキシプロピル末端(terminated)モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、メタクリルオキシプロピルペンタメチル ジシロキサン、およびそれらの組合せなどが含まれる。
【0022】
ポリシロキサニルアルキル(メト)アクリルモノマーの例としては、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、およびメチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシランが含まれる。メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランが最も好ましい。
【0023】
いくつかの実施形態では、単官能性ポリジメチルシロキサンは、弾性率だけでなく、誘電正接(tan δ)も低下させるため、それらが好ましいことがあるが、塊状シリコーン(bulky silicones)、例えば少なくとも1つの分岐トリメチルシロキシ基を含有するものなど、は誘電正接(tan δ)を増加させるであろう。よって、全シリコーン成分の少なくとも約30、好ましくは少なくとも約60重量%は、非塊状シリコーン含有化合物、例えばポリジメチルシロキサンであるべきである。
【0024】
一実施形態では、シリコーンハイドロゲルレンズが望まれる場合、本発明のレンズは、ポリマーを作るための反応性モノマー成分の総重量に基づいて、少なくとも約20重量%、好ましくは約20〜70重量%の間のシリコーン含有成分を含む反応混合物から作製される。
【0025】
単官能性シリコーン含有成分に加えて、多官能性シリコーン含有成分および/または塊状シリコーン含有化合物もまた、望ましくなく高い弾性率および/または誘電正接を与えない量で含まれてよい。
【0026】
1つの種類のシリコ−ン含有成分は、式IIIで表されるポリ(オルガノシロキサン)プレポリマーである。
【化3】

(式中、各Aは、独立して、活性化不飽和基(activated unsaturated group)、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルもしくはアミド、またはアルキルもしくはアリール基を示し(ただし、少なくとも1つのAはラジカル重合を受け得る活性化不飽和基を含む)、;R、R、RおよびRの各々は、独立して、炭素原子間にエーテル結合を有していてもよい、1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルまたはハロゲン置換一価炭化水素ラジカルからなる群から選択され、;
は、1〜22個の炭素原子を有する二価炭化水素ラジカルを示し、
mは0または1以上の整数、好ましくは5〜400、より好ましくは10〜300である)
1つの具体例は、α、ω−ビスメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサンである。
【0027】
別の有用な種類のシリコーン含有成分には、次式のシリコ−ン含有ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマーが含まれる。
【化4】

(式中:YはO、S、またはNHを示し、;RSiはシリコ−ン含有有機ラジカルを示し、;Rは、
水素またはメチルを示し、;dは1、2、3または4であり、;qは0または1である)好適なシリコ−ン含有有機ラジカルRSiには以下が含まれる。:
−(CH・Si[(CHCH
−(CH・Si[OSi((CHCH
【化5】

(式中:Qは
【化6】

を示す)
(ここで、pは1〜6であり、R10は、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカルまたはフルオロアルキルラジカルを示し、eは、0〜200であり、q’は1、2、3または4であり、sは0、1、2、3、4または5である)
【0028】
シリコ−ン含有ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマーには、具体的には:1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブタ−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、および
【化7】

が含まれる。
【0029】
別の種類のシリコーン含有成分には、次式のポリウレタンマクロマーが含まれる。:
式IV〜VI
G)
E(A)または、
E(G)
(式中:
Dは、6〜30個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカルまたはアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、主鎖中にエーテル、チオまたはアミン結合を含有してもよい、1〜40個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカルまたはアルキルアリールジラジカルを示し、
はウレタンまたはウレイド結合を示し、
は少なくとも1であり、
Aは、式:
【化8】

の二価ポリマーラジカルを示し、
11は、独立して、炭素原子間にエーテル結合を含有してもよい、1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはフルオロ置換アルキル基を示し、;yは少なくとも1であり、;pは部分重量400〜10,000を提供し、;EおよびEの各々は、独立して、式:
【化9】

で表される重合性不飽和有機ラジカルを示す。
(式中:R12は水素またはメチルであり、;R13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル、または−CO−Y−R15ラジカル(式中、Yは−O−、Y−S−または−NH−である)であり、;R14は1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは、−CO−または−OCO−を示し、;Zは、−O−または−NH−を示し、;Arは、6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを示し、;wは0〜6であり、;xは0または1であり、;yは0または1であり、;zは0または1である))
【0030】
好ましいシリコーン含有成分は、次式で表されるポリウレタンマクロマーである。
【化10】

(式中、R16は、イソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカル、例えばイソホロンジイソシアネートのジラジカルである)別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネートおよびイソシアナトエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲内の数である)の化合物である。
【化11】

【0031】
本発明での使用に適した他のシリコーン含有成分には、国際出願第96/31792号に記載されているもの、例えばポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ素化炭化水素、ポリフッ素化エーテルおよび多糖基を含有するマクロマーが含まれる。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号および同第5,539,016号では、末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する極性(polar)フッ素化グラフトまたは側基(side group)を有するポリシロキサンが記載されている。米国特許公開第2002/0016383号では、エーテルおよびシロキサニル結合を含有する親水性シロキサニルメタクリレート、ならびに、ポリエーテルおよびポリシロキサニル基を含有する架橋性モノマーが記載されている。上述のポリシロキサンのいずれかを本発明におけるシリコーン含有成分として使用することができる。
【0032】
反応混合物はまた、少なくとも1つの親水性成分も含んでよい。親水性モノマーは、ヒドロゲルを作るのに有用であることが知られている親水性モノマーのいずれかであり得る。
【0033】
1つの種類の好適な親水性モノマーには、アクリル−、または、ビニル−含有モノマーが含まれる。かかる親水性モノマーは、それ自体が架橋剤として使用されることがあるが、2以上の重合性官能基を有する親水性モノマーを使用する場合には、所望の弾性率を有するコンタクトレンズを提供するために、上述のとおりそれらの濃度を制限すべきである。用語「ビニル系」または「ビニル含有」モノマーとは、ビニル基(−CH=CH)を含有するモノマーを指し、一般に反応性が高い。かかる親水性ビニル含有モノマーは比較的容易に重合することが知られている。
【0034】
「アクリル系」または「アクリル含有」モノマーは、アクリル基:(CH=CRCOX)(式中、RはHまたはCHであり、XはOまたはNである)を含有するモノマーであり、これらも容易に重合することが知られており、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸およびアクリル酸などがある。
【0035】
本発明のシリコーンハイドロゲル中に組み込んでよい親水性ビニル含有モノマーには、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム(例えばNVP)、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドなどのモノマーが含まれ、NVPが好ましい。
【0036】
本発明において使用することができる他の親水性モノマーには、重合性二重結合(polymerizable double bond)を含有する官能基で置換された末端ヒドロキシル基を1以上有するポリオキシエチレンポリオールが含まれる。ポリエチレングリコールの例としては、エトキシル化アルキルグルコシド、およびエトキシル化ビスフェノールAが含まれ、これらは、イソシアナトエチルメタクリレート(「IEM」)、無水メタクリル酸、メタクリロイルクロリド、ビニルベンゾイルクロリドなどのようなエンドキャッピング基1モル当量以上と反応して、カルバメートまたはエステル基などの結合部分を介してポリエチレンポリオールに結合された1以上の末端重合性オレフィン基を有するポリエチレンポリオールを生成する。
【0037】
さらなる例として、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマー、および米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーがある。他の好適な親水性モノマーについては当業者ならば明らかであろう。
【0038】
一実施形態では、親水性は、少なくとも1つの親水性モノマー、例えばDMA、HEMA、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、NVP、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸およびアクリル酸を含み、DMAが最も好ましい。
【0039】
親水性モノマーは、所望の特性の特定のバランスに応じて、広範囲の量で存在してよい。反応性成分中の全成分に基づいて最大約50重量%、好ましくは約5〜約50重量%の間の親水性モノマーの量が許容範囲にある。例えば、一実施形態では、本発明のレンズは、少なくとも約25%、別の実施形態では、約30〜約70%の間の水分含量を含む。これらの実施形態では、親水性モノマーは、約20〜約50重量%の間の量で含まれてよい。
【0040】
本発明のコンタクトレンズを形成するのに使用される反応混合物中に存在することができる他の成分には、例えば米国特許第6,367,929号、国際出願第03/22321号、国際出願第03/22322号に開示されている湿潤剤、例えば米国特許公開第2003/162,862号および米国特許公開第2003/2003/125,498号に開示されている相溶化成分、紫外線吸収化合物、薬剤、抗菌性化合物、共重合性および非重合性染料、離型剤、反応性着色剤(reactive tints)、色素、およびそれらの組合せなどが含まれる。
【0041】
重合触媒は反応混合物中に含まれてよい。重合開始剤(initiators)には、適度に上昇した温度でフリーラジカルを発生する、ラウリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、イソプロピルペルカーボネート、アゾビスイソブチロニトリルなどのような化合物、ならびに芳香族α−ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、および第三級アミン+ジケトン、それらの混合物などのような光開始剤系(photoinitator systems)が含まれる。光開始剤の例示例は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド、および2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、ならびにカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートの組合せである。市販の可視光開始剤系には、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(全てCiba Specialty Chemicals社製)およびLucirin TPO開始剤(BASF社から入手可能)などが含まれる。市販のUV光開始剤には、Darocur 1173およびDarocur 2959(Ciba Specialty Chemicals社)などが含まれる。これらや使用してよい他の光開始剤は、John Wiley and Sons社G. Bradley編集のJ.V. Crivello & K. Dietlikerによる「 Volume III, Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization, 2nd Edition」(New York、1998)に開示されている。開始剤は、反応混合物中に、反応混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば、反応性モノマー100重量部に対して約0.1〜約2重量部で使用される。反応混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて、熱または可視光もしくは紫外光または他の手段から適切に選択することによって開始することができる。あるいは、光開始剤を使わずに、例えば電子ビームを利用して、開始することも可能である。しかしながら、光開始剤が使用される場合には、好ましい開始剤は、ビスアシルホスフィンオキシド、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))、または1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)の組合せであり、別の実施形態では、前記重合開始方法は可視光活性化による。好ましい開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))である。
【0042】
反応性成分(レンズを形成するために反応させるシリコーン含有成分、親水性モノマー、潤滑性ポリマー、および他の成分)を、希釈剤を用いてまたは用いないで一緒に混ぜて、反応混合物を作る。
【0043】
一実施形態では、希釈剤は、反応条件において無極性成分を反応混合物に溶解するのに十分に低い極性を有するものが使用される。本発明の希釈剤の極性を特性評価する1つの方法は、Hansen溶解度パラメーター(Hansen solubility parameter)、δpによる。ある特定の実施形態では、δpは約10未満、好ましくは約6未満である。好適な希釈剤は、米国特許出願第60/452898号および米国特許第6,020,445号においてさらに開示されている。
【0044】
好適な希釈剤の種類には、限定されるものではないが、2〜20個の炭素を有するアルコール、第一級アミンから誘導された10〜20個の炭素原子を有するアミド、エーテル、ポリエーテル、3〜10個の炭素原子を有するケトン、および8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸が含まれる。全ての溶媒において、炭素数が増加するにつれて、極性部分の数も増加されて、所望のレベルの水混和性を提供し得る。いくつかの実施形態では、第一級および第三級アルコールが好ましい。好ましい種類には、4〜20個の炭素を有するアルコール、および10〜20個の炭素原子を有するカルボン酸が含まれる。
【0045】
好ましい希釈剤には、水に対してある程度の溶解度を有する希釈剤が含まれる。いくつかの実施形態では、希釈剤の少なくとも5%は水と混和できる。水溶性希釈剤の例としては、1−デカノール、1−オクタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、エタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、1−エトキシ−2−プロパノール、1−tert−ブトキシ−2−プロパノール、EH−5(Ethox Chemicals社から市販されている)、2,3,6,7−テトラヒドロキシ−2,3,6,7−テトラメチルオクタン、9−(1−メチルエチル)−2,5,8,10,13,16−ヘキサオキサヘプタデカン、3,5,7,9,11,13−ヘキサメトキシ−1−テトラデカノール、およびそれらの混合物などが含まれる。
【0046】
本発明の反応混合物は、コンタクトレンズの製造において反応混合物を成型するための任意の公知の方法によって硬化されてよく、回転成型および静的成型などが含まれる。回転成型法は米国特許第3,408,429号および同第3,660,545号に開示されており、静的成型法は米国特許第4,113,224号および同第4,197,266号に開示されている。一実施形態では、本発明のコンタクトレンズは、シリコーンハイドロゲルの直接成型によって形成され、これは、経済的であり、含水レンズの最終形状の正確な制御を可能にする。この方法では、最終的な所望のシリコーンハイドロゲル、すなわち、水膨潤ポリマーの形状を有する金型に反応混合物を入れ、反応混合物を、モノマーが重合する条件下におき、それによって、所望の最終製品の近似形状でポリマーを作り出す。
【0047】
レンズを硬化させた後、レンズを処理して、未反応成分を除去し、レンズ金型からそのレンズを離型させる。
【0048】
本明細書において用いられる用語「処理する」とは、硬化レンズを水溶液に曝すことを意味するが、レンズの平衡化(equilibration)、滅菌、および保存を除く。水溶液は、主として水を含む溶液である。一実施形態では、本発明の水溶液は、少なくとも約70%の水、他の場合では、少なくとも約90重量%の水を含む。水溶液はまた、追加的な水溶性成分、例えば離型剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬成分および栄養補給成分、ならびにそれらの組合せなども含んでよい。離型剤は、水と組み合わせた場合に、金型からコンタクトレンズを離型させるのに要する時間を、離型剤を含まない水溶液を用いてかかるレンズを離型させるのに要する時間と比べて、短縮させる化合物または化合物の混合物である。一実施形態では、水溶液は、約10重量%未満、他の場合では、約5重量%未満の有機溶媒、例えばイソプロピルアルコールを含み、別の実施形態では、有機溶媒を含まない。これらの実施形態では、前記水溶液は、精製、再生利用、または特別な廃棄手順などの特別な処置を必要としない。
【0049】
様々な実施形態では、処理は、例えば、前記レンズを水溶液に浸漬することによるか、またはレンズを水溶液の流れに曝すことによって、行うことができる。様々な実施形態では、処理は、例えば、水溶液を加熱すること、前記水溶液を攪拌すること、前記水溶液中の離型助剤(release aid)のレベルを、前記レンズを離型させるのに十分なレベルに高めること、レンズを機械的に振動させること、および水溶液中に少なくとも1つの浸出助剤(leach aid)を、レンズからの未反応成分の十分な除去を容易にするのに十分なレベルで、組み込むこと:の1つ以上も含み得る。
【0050】
処理は、限定されるものではないが、レンズが固定タンクに入った溶液に特定期間浸されるバッチ法、またはレンズが水溶液の連続流に曝される垂直法などの様々な実施によって行ってよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、レンズの浸出およびレンズの金型部品からの離型をさらに容易にするために、水溶液を熱交換器または他の加熱装置を用いて加熱することができる。例えば、加熱は、ヒドロゲルレンズおよびそのレンズが付着する金型部品を、加熱される水溶液に浸しながら、その水溶液の温度をその沸点まで上昇させることを含み得る。他の実施形態は、水溶液の温度を制御して循環させることを含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態はまた、浸出および離型を容易にするために物理的振動を適用することも含み得る。例えば、レンズが付着するレンズ金型部品を、水溶液中で揺り動かすかまたは前後に動かすことができる。他の実施形態は水溶液への超音波を含んでよい。
【0053】
これらや他の同様の方法は、前記レンズの離型についての許容される手段を提供することができる。
【0054】
本明細書において用いられる「金型から離型させる」とは、レンズが金型から完全に分離されるか、または、レンズが、軽く振動されることにより取り外され得るか、もしくは綿棒で押して取り外され得るように、軽く付着されているだけであるということを意味する。本発明の方法では、使用される条件は、約1時間未満の間の99℃未満の温度を含む。
【0055】
本発明のレンズは最低限の処理を必要とする。処理は水溶液を用いて約6時間未満、いくつかの実施形態では、約4時間未満、約2時間未満、場合によっては約1時間未満の時間、行われる。
【0056】
本発明のレンズは最低限の後処理を必要とする。後処理は処理の自由選択部分であり、溶液交換および抽出(extraction)を含むが、滅菌、保存、および平衡化を含まない。後処理が含まれる実施形態では、後処理は水溶液を用いて約6時間未満、いくつかの実施形態では、約4時間未満、約2時間未満、場合によって約1時間未満の時間、行われる。
【0057】
処理されたレンズは、公知の手段、例えば、限定されるものではないが、オートクレーブ処理によって滅菌されてよい。
【0058】
本明細書に明記した試験の全てには、ある特定量の固有の試験誤差があることが理解されるであろう。よって、本明細書において報告した結果は、絶対数ではなく、特定の試験の精度に基づいた数値域と考えられるべきである。
【0059】
本発明を例示するために、次の実施例が含まれる。これらの実施例は本発明を制限せず、単に本発明を実施する方法を示すように意図されている。コンタクトレンズだけでなく他の専門分野に精通している人ならば、本発明を実施する他の方法を見つけるかもしれないが、それらの方法は本発明の範囲内に入るものと見なされる。
【0060】
〔実施例〕
以下の実施例では次の略語を使用する:
SiGMA 2−プロペン酸,2−メチル−,2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル
SiNAA N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド
DMA N,N−ジメチルアクリルアミド
HEMA 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
mPDMS 800〜1000MW(M)モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン
Norbloc 2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
CGI 1850 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドの1:1(重量)ブレンド
PVP ポリ(N−ビニルピロリドン)(K値が示される)
Blue HEMA 米国特許第5,944,853号の実施例4に記載されている、Reactive Blue 4とHEMAの反応生成物
IPA イソプロピルアルコール
D3O 3,7−ジメチル−3−オクタノール
mPDMS−OH モノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン
TEGDMA テトラエチレングリコールジメタクリレート
TrEGDMA トリエチレングリコールジメタクリレート
TRIS 3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
acPDMS Gelest社およびDegussa社それぞれのビス−3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(MW 1000および2000、アクリル化されたポリジメチルシロキサン)
maPDMS Gelest社のメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(MW 550〜700)
CGI 819 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド
M2D10 1000〜1100 MW (M)モノメタクリルオキシブチル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン
OH−TRIS 3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
SiNAAダイマー N、N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド
【0061】
実施例を通じて、IL XRL 140Aセンサーを使用し、1400Aラジオメーターを使用して強度を測定する。
【0062】
<実施例1〜5>
表2に列挙した反応成分および希釈剤(t−アミルアルコール)を、攪拌または回転させながら全ての成分が溶けるまで約23℃で少なくとも約3時間一緒に混ぜた。これらの反応性成分は全反応性成分に対する重量%として報告され、希釈剤は最終反応混合物に対する重量%で報告される。反応混合物を熱可塑性コンタクトレンズ金型(Zeon, Corp.社から入手されるZeonor(登録商標)で作られているフロントカーブ、および、ポリプロピレンで作られているバックカーブ)に入れ、Philips TL 20W/03T蛍光灯を用いて45℃で約15分間、N中で照射した。これらの金型を開き、95℃で20分間、HO中でレンズを離型させた後、70℃で約3.5時間、水中で水和させ、その後、周囲温度で約30分間、包装溶液(packing solution)に入れた。これらのレンズをガラスバイアル中のホウ酸緩衝生理食塩溶液に包装し、121℃で20分間、滅菌した。
【0063】
浸出可能物質を次のとおり測定した
<サンプル調製−レンズ抽出>
レンズ用綿棒を用いて、含水レンズを吸い取り紙上に置き、その後、2枚目の吸い取り紙で吸い取って、レンズ表面から余分な水を除去した。試験されたそれぞれの浸出可能成分について、風袋を計量したシンチレーションバイアル中に10枚のレンズを秤量し、その重量を記録した。そのレンズバイアルに、表1に列挙した溶媒5mLを加え、混合物を1時間の間、超音波処理した。
【0064】
【表1】

【0065】
<サンプル調製−SiGMAグリコールについてのレンズ抽出>
上記のようにレンズを調製し、ただし、レンズは脱イオン水で簡単にすすぎ、両方を室温にて一晩乾燥させた。レンズバイアルに5mLのアセトニトリル(CHCN、ACN)を加え、混合物を1時間の間、超音波処理した。そのGCバイアルに500μLの上清、50μLのドデカン/ACN(0.05gドデカン/100mL ACN)溶液、および100μLのRegisil RC−2試薬(1%のトリクロロシランを含有するN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド)を加えた。
【0066】
<浸出可能なSiGMAの分析>
浸出可能なSiGMAの分析を、UV検出を用いたC18 RP−HPLCによって実施した。寸法150mmx4.5mmのPhenomenex ODS−3カラムを使用した。使用した移動相は、20/80の水(99.95%、0.05%HPO含有)/ACN(99.95%、0.05%HPO含有)であり、流量1mL/分を用いて17分間とした。注入量は50μLであった。SiMAA2を、UV吸光度検出器を用いて210nmで検出した。結果を以下の表3に示す。
【0067】
<浸出可能なSiGMAグリコールの分析>
浸出可能なSiGMAグリコールの分析をGC/FIDによって実施した。膜厚0.5μmを有する寸法30mx0.25mmのRestek RTX−5カラム。キャリアガスはヘリウムを100℃で使用し、2分保持した。オーブンランプ条件には、325℃まで8℃/分、その後、5分の保持を含めた。注入および検出温度はそれぞれ250℃および280℃であった。酸化剤および燃料の流量はそれぞれ440mL/分および40m/分であった。メイクアップは20mL/分であった。注入量は1μLであった。結果を以下の表3に示す。
【0068】
<浸出可能なSiGMAエポキシドの分析>
浸出可能なSiGMAエポキシドの分析をGC/FIDによって実施した。膜厚0.5μmを有する寸法30mx0.25mmのDB−5カラム。キャリアガスはヘリウムを50℃で使用し、5分保持した。オーブンランプ条件には、175℃まで25℃/分、その後、6分間の保持、続いて、325℃まで25℃/分、その後、5分の保持を含めた。注入および検出温度はそれぞれ220℃および280℃であった。注入量は1μLであった。結果を以下の表3に示す。
【0069】
<浸出可能なBHTの分析>
浸出可能なBHTの分析を、UV検出を用いたHPLCによって実施した。寸法75mmx4.6mm、平均粒径3.5μmのZorbax Eclipseカラムを使用した。使用した移動相は、30/70の水(99.95%、0.05%HPO含有)/ACN(99.95%、0.05%HPO含有)から100%IPAへの直線勾配とし、流量1mL/分を用いて20.10分の間とした。注入量は50μLであった。BHTを、UV吸光度検出器を用いて210nmで検出した。結果を以下の表3に示す。
【0070】
実施例1〜5で作製したレンズをヒト眼において臨床的に評価した。最初に、各実施例のレンズを無作為両側調査において5名の被験体に付けた。それらのレンズを30分(最大限)の目の開いた期間(open eye period)、装着した。最初の5名の被験体が、対照レンズと比べ同程度の、試験レンズの生理学的性能を報告した場合には、さらに10名の被験体を評価した(30分間の接触(exposure)で最大15名の患者)。最初の調査対象が試験レンズに関して眼の不快感を報告した場合には、それ以上の被験体を登録しなかった。眼の不快感を報告している患者の割合を以下に表3に列挙する。
【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
<実施例6〜8>
HYDRACLEAR(商標)を用いたACUVUE ADVANCE(登録商標)ブランドコンタクトレンズをそれらのパッケージから取り出し、70/30のIPA/水混合物(1レンズ/4mL)のジャー中で30(±5)分間回転させることによって、70/30のIPA/水混合物中で平衡化した。液体全てを排出し、表4に示されるように、SiGMAスパイク溶液(1レンズ/4mL)と交換し、レンズを回転させた。60(±10)分後、そのスパイク溶液を排出し、レンズに脱イオン水を加えた。これらのレンズを脱イオン水中で30(±5)分間回転させた。その後、レンズを脱イオン水中で検査し、ホウ酸緩衝生理食塩水のバイアルに包装し、120℃で約20分間滅菌した。これらのレンズを浸出可能なSiGMAおよびSiGMAグリコールについて分析し、眼の不快感(OD)について臨床的に評価した。結果を以下の表4に示す。標準偏差を括弧内に示す。
【0074】
【表4】

【0075】
<実施例9〜11>
実施例6〜8を繰り返し、ただし、HYDRACLEAR(商標)を用いたACUVUE ADVANCE(登録商標)ブランドコンタクトレンズを、以下の表5に示す濃度のSiGMAグリコール溶液で処理した。これらのレンズを浸出可能なSiGMAおよびSiGMAグリコールについて分析し、眼の不快感(OD)について臨床的に評価した。結果を以下の表5に示す。
【0076】
【表5】

【0077】
<実施例12〜14>
実施例6〜8を繰り返し、ただし、HYDRACLEAR(商標)を用いたACUVUE ADVANCE(登録商標)ブランドコンタクトレンズを、以下の表6に示す濃度のBHT溶液で処理した。これらのレンズを浸出可能なBHT、SiGMAおよびSiGMAグリコールについて分析し、眼の不快感(OD)について臨床的に評価した。結果を以下の表6に示す。
【0078】
【表6】

【0079】
<実施例13〜35>
HPLC保持時間を、以下の表8に示す化合物について測定した。エレクトロスプレーイオン化をUVおよびELSD(Sedex)と連携させたFinnigan LCQ Classic質量分析計を取り付けた、寸法150x4.6mmx5μのThermo ODS Hypersilカラムを装備したAgilent 1100 HPLCを使用した。サンプルは、各試験材料の、IPA中2%(wt/wt)溶液を作製することによって調製した。3μLのサンプル溶液を、流速1mL/分を用いて注入した。各サンプルの溶出溶媒は、表7に示す勾配プログラムを用いて変更した。保持時間は、UV吸収または電子分光法によって測定される、注入から各サンプルの溶出ピークの時間までの時間である。
【0080】
【表7】

【0081】
【表8】

【0082】
〔実施の態様〕
(1)方法において、
(a)レンズを形成するために、少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応混合物を金型中で硬化させることであって、前記反応混合物は、TRISに対して約0.9未満の保持時間を有する水難溶性成分または不純物を実質的に含まない、反応混合物を金型中で硬化させることと、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させることと、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をすることであって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をすることと、
を含む、方法。
(2)実施態様1に記載の方法において、
前記反応混合物は、少なくとも1つの親水性成分をさらに含む、方法。
(3)実施態様2に記載の方法において、
前記親水性成分は、少なくとも1つの、アクリル−含有モノマーまたはビニル−含有モノマーを含む、方法。
(4)実施態様2に記載の方法において、
前記親水性成分は、DMA、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1つのモノマーを含む、方法。
(5)実施態様1に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約4時間未満である、方法。
【0083】
(6)実施態様1に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約2時間未満である、方法。
(7)実施態様1に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約1時間未満である、方法。
(8)実施態様1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、前記反応混合物中、約3000ppm未満の量で存在する、方法。
(9)実施態様1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、前記反応混合物中、約1000ppm未満の量で存在する、方法。
(10)実施態様1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、前記反応混合物中、全ての成分に基づいて、約200ppm未満の量で存在する、方法。
【0084】
(11)実施態様1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、前記反応混合物中、全ての成分に基づいて、約100ppm未満の量で存在する、方法。
(12)実施態様1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、TRISに対して約0.8未満の保持時間を有する、方法。
(13)実施態様1に記載の方法において、
前記少なくとも1つのシリコーン成分は、シリコーン含有モノマー、プレポリマー含有モノマー、マクロマー含有モノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
(14)実施態様1に記載の方法において、
前記少なくとも1つのシリコーン成分は、少なくとも1つのシリコーンモノマーを含む、方法。
(15)実施態様1に記載の方法において、
前記反応混合物は、実質的に均質な混合物である、方法。
【0085】
(16)実施態様1に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、前記反応混合物中、約20〜70重量%の間の量で存在する、方法。
(17)実施態様2に記載の方法において、
前記親水性成分は、前記反応混合物中、約50重量%までの量で存在する、方法。
(18)実施態様2に記載の方法において、
前記親水性成分は、前記反応混合物中、約5〜約50重量%の間の量で存在する、方法。
(19)実施態様1に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、およびスチリル官能基からなる群から選択される、少なくとも1つの重合性官能基を含む、方法。
(20)実施態様1に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、少なくとも1つの単官能性シリコーン含有成分を含む、方法。
【0086】
(21)実施態様1に記載の方法において、
前記反応混合物は、TRISに対して約0.9未満の保持時間を有する、測定可能な量の水難溶性成分または不純物を含まない、方法。
(22)実施態様1に記載の方法において、
前記水溶液は、少なくとも1つの離型助剤をさらに含む、方法。
(23)コンタクトレンズにおいて、
実施態様1に記載の方法によって作製される、コンタクトレンズ。
(24)ヒトが装着したときに眼の不快感を引き起こさない眼科用レンズを製造するための方法において、
(a)前記眼科用レンズを形成するために、TRISに対して約0.9分未満の保持時間を有する任意の水難溶性成分または不純物を約3000ppm未満含むシリコーン含有反応混合物を金型中で硬化させる工程と、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させる工程と、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をする工程であって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をする工程と、
を含む、方法。
(25)方法において、
(a)少なくとも1つのシリコーン含有成分、および、TRISに対して約0.9未満の保持時間を有する少なくとも1つの水難溶性成分または不純物を含む反応混合物を、金型中で硬化させて、前記成分または不純物を眼の不快感を引き起こす量より少ない量だけ有する硬化コンタクトレンズを製造することと、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させることと、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をすることであって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をすることと、
を含む、方法。
【0087】
(26)実施態様25に記載の方法において、
前記反応混合物は、少なくとも1つの親水性成分をさらに含む、方法。
(27)実施態様26に記載の方法において、
前記親水性成分は、少なくとも1つの、アクリル−含有モノマーまたはビニル−含有モノマーを含む、方法。
(28)実施態様26に記載の方法において、
前記親水性成分は、DMA、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1つのモノマーを含む、方法。
(29)実施態様25に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約4時間未満である、方法。
(30)実施態様25に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約2時間未満である、方法。
【0088】
(31)実施態様25に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約1時間未満である、方法。
(32)実施態様25に記載の方法において、
前記少なくとも1つの水難溶性成分または不純物は、工程b後、前記レンズ中に、前記レンズの重量に基づいて約2000ppm未満の量で完全に水和した状態で存在する、方法。
(33)実施態様25に記載の方法において、
前記水溶液は、少なくとも1つの離型助剤をさらに含む、方法。
(34)実施態様25に記載の方法において、
前記水難溶性成分または不純物は、工程b後、前記レンズ中に、前記レンズの重量に基づいて約1000ppm未満の量で、完全に水和した状態で存在する、方法。
(35)実施態様25に記載の方法において、
前記水難溶性成分または不純物は、工程b後、前記レンズ中に、前記レンズの重量に基づいて約200ppm未満の量で、完全に水和した状態で存在する、方法。
【0089】
(36)実施態様25に記載の方法において、
前記水難溶性成分または不純物は、工程b後、前記レンズ中に、前記レンズの重量に基づいて約100ppm未満の量で、完全に水和した状態で存在する、方法。
(37)実施態様25に記載の方法において、
前記成分または不純物は、TRISに対して約0.8未満の保持時間を有する、方法。
(38)実施態様25に記載の方法において、
前記少なくとも1つのシリコーン成分は、シリコーン含有モノマー、シリコーン含有プレポリマー、シリコーン含有マクロマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
(39)実施態様25に記載の方法において、
前記少なくとも1つのシリコーン成分は、少なくとも1つのシリコーンモノマーを含む、方法。
(40)実施態様25に記載の方法において、
前記反応混合物は、実質的に均質な混合物である、方法。
【0090】
(41)実施態様25に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、前記反応混合物中、約20〜70重量%の間の量で存在する、方法。
(42)実施態様26に記載の方法において、
前記親水性成分は、前記反応混合物中、約50重量%までの量で存在する、方法。
(43)実施態様26に記載の方法において、
前記親水性成分は、前記反応混合物中、約5〜約50重量%の間の量で存在する、方法。
(44)実施態様25に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、およびスチリル官能基からなる群から選択される、少なくとも1つの重合性官能基を含む、方法。
(45)実施態様25に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、少なくとも1つの単官能性シリコーン含有成分を含む、方法。
【0091】
(46)コンタクトレンズにおいて、
実施態様25に記載の方法によって作製される、コンタクトレンズ。
(47)方法において、
(a)レンズを形成するために、シリコーン含有反応混合物を金型中で硬化させることであって、水難溶性である全ての反応混合物成分および不純物が、TRISに対して少なくとも約1の保持時間を有する、シリコーン含有反応混合物を金型中で硬化させることと、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させることと、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をすることであって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をすることと、
を含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
(a)レンズを形成するために、少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応混合物を金型中で硬化させることであって、前記反応混合物は、TRISに対して約0.9未満の保持時間を有する水難溶性成分または不純物を実質的に含まない、反応混合物を金型中で硬化させることと、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させることと、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をすることであって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記反応混合物は、少なくとも1つの親水性成分をさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記親水性成分は、少なくとも1つの、アクリル−含有モノマーまたはビニル−含有モノマーを含む、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記親水性成分は、DMA、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1つのモノマーを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約4時間未満である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約2時間未満である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約1時間未満である、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、前記反応混合物中、約3000ppm未満の量で存在する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、前記反応混合物中、約1000ppm未満の量で存在する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、前記反応混合物中、全ての成分に基づいて、約200ppm未満の量で存在する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、前記反応混合物中、全ての成分に基づいて、約100ppm未満の量で存在する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記成分または不純物は、TRISに対して約0.8未満の保持時間を有する、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、
前記少なくとも1つのシリコーン成分は、シリコーン含有モノマー、シリコーン含有プレポリマー、シリコーン含有マクロマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
前記少なくとも1つのシリコーン成分は、少なくとも1つのシリコーンモノマーを含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、
前記反応混合物は、実質的に均質な混合物である、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、前記反応混合物中、約20〜70重量%の間の量で存在する、方法。
【請求項17】
請求項2に記載の方法において、
前記親水性成分は、前記反応混合物中、約50重量%までの量で存在する、方法。
【請求項18】
請求項2に記載の方法において、
前記親水性成分は、前記反応混合物中、約5〜約50重量%の間の量で存在する、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、およびスチリル官能基からなる群から選択される、少なくとも1つの重合性官能基を含む、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、少なくとも1つの単官能性シリコーン含有成分を含む、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法において、
前記反応混合物は、TRISに対して約0.9未満の保持時間を有する、測定可能な量の水難溶性成分または不純物を含まない、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法において、
前記水溶液は、少なくとも1つの離型助剤をさらに含む、方法。
【請求項23】
コンタクトレンズにおいて、
請求項1に記載の方法によって作製される、コンタクトレンズ。
【請求項24】
ヒトが装着したときに眼の不快感を引き起こさない眼科用レンズを製造するための方法において、
(a)前記眼科用レンズを形成するために、TRISに対して約0.9分未満の保持時間を有する任意の水難溶性成分または不純物を約3000ppm未満含むシリコーン含有反応混合物を金型中で硬化させる工程と、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させる工程と、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をする工程であって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をする工程と、
を含む、方法。
【請求項25】
方法において、
(a)少なくとも1つのシリコーン含有成分、および、TRISに対して約0.9未満の保持時間を有する少なくとも1つの水難溶性成分または不純物を含む反応混合物を、金型中で硬化させて、前記成分または不純物を眼の不快感を引き起こす量より少ない量だけ有する硬化コンタクトレンズを製造することと、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させることと、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をすることであって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をすることと、
を含む、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
前記反応混合物は、少なくとも1つの親水性成分をさらに含む、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
前記親水性成分は、少なくとも1つの、アクリル−含有モノマーまたはビニル−含有モノマーを含む、方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法において、
前記親水性成分は、DMA、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1つのモノマーを含む、方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約4時間未満である、方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約2時間未満である、方法。
【請求項31】
請求項25に記載の方法において、
前記水性処理時間は、約1時間未満である、方法。
【請求項32】
請求項25に記載の方法において、
前記少なくとも1つの水難溶性成分または不純物は、工程b後、前記レンズ中に、前記レンズの重量に基づいて約2000ppm未満の量で、完全に水和した状態で存在する、方法。
【請求項33】
請求項25に記載の方法において、
前記水溶液は、少なくとも1つの離型助剤をさらに含む、方法。
【請求項34】
請求項25に記載の方法において、
前記水難溶性成分または不純物は、工程b後、前記レンズ中に、前記レンズの重量に基づいて約1000ppm未満の量で、完全に水和した状態で存在する、方法。
【請求項35】
請求項25に記載の方法において、
前記水難溶性成分または不純物は、工程b後、前記レンズ中に、前記レンズの重量に基づいて約200ppm未満の量で、完全に水和した状態で存在する、方法。
【請求項36】
請求項25に記載の方法において、
前記水難溶性成分または不純物は、工程b後、前記レンズ中に、前記レンズの重量に基づいて約100ppm未満の量で、完全に水和した状態で存在する、方法。
【請求項37】
請求項25に記載の方法において、
前記成分または不純物は、TRISに対して約0.8未満の保持時間を有する、方法。
【請求項38】
請求項25に記載の方法において、
前記少なくとも1つのシリコーン成分は、シリコーン含有モノマー、シリコーン含有プレポリマー、シリコーン含有マクロマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項39】
請求項25に記載の方法において、
前記少なくとも1つのシリコーン成分は、少なくとも1つのシリコーンモノマーを含む、方法。
【請求項40】
請求項25に記載の方法において、
前記反応混合物は、実質的に均質な混合物である、方法。
【請求項41】
請求項25に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、前記反応混合物中、約20〜70重量%の間の量で存在する、方法。
【請求項42】
請求項26に記載の方法において、
前記親水性成分は、前記反応混合物中、約50重量%までの量で存在する、方法。
【請求項43】
請求項26に記載の方法において、
前記親水性成分は、前記反応混合物中、約5〜約50重量%の間の量で存在する、方法。
【請求項44】
請求項25に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、およびスチリル官能基からなる群から選択される、少なくとも1つの重合性官能基を含む、方法。
【請求項45】
請求項25に記載の方法において、
前記シリコーン成分は、少なくとも1つの単官能性シリコーン含有成分を含む、方法。
【請求項46】
コンタクトレンズにおいて、
請求項25に記載の方法によって作製される、コンタクトレンズ。
【請求項47】
方法において、
(a)レンズを形成するために、シリコーン含有反応混合物を金型中で硬化させることであって、水難溶性である全ての反応混合物成分および不純物が、TRISに対して少なくとも約1の保持時間を有する、シリコーン含有反応混合物を金型中で硬化させることと、
(b)前記金型から前記レンズを離型させるために、前記レンズおよび金型を水溶液に、99℃未満の温度で約1時間未満、接触させることと、
(c)選択的に、前記レンズの後処理をすることであって、前記後処理は、行われる場合には、6時間未満の時間、水溶液を用いて行われる、前記レンズの後処理をすることと、
を含む、方法。

【公表番号】特表2009−530690(P2009−530690A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501572(P2009−501572)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/007196
【国際公開番号】WO2007/111973
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【Fターム(参考)】