眼鏡形状測定装置
【課題】 装置自体を大型化させず、測定誤差を発生しにくくしたり、眼鏡枠の変形防止などの複合機能を備える眼鏡形状測定装置を提供する。
【解決手段】 眼鏡枠の玉型形状を測定する眼鏡形状測定装置において、眼鏡枠に直交する第1軸線を中心に回転するとともに眼鏡枠に対峙したテーブル6に設けられ、接触子9aを径方向に移動自在に支持する接触子移動機構10とを備え、接触子移動機構は、第1軸線と直交する第2軸線を軸心とするテーブルに設置された支持軸12と、支持軸に軸着され、第1軸線、第2軸線と直交する第3軸線の方向に揺動自在となした主動アーム13と、主動アームに連結軸16を介して連結され、連結軸を軸心として第3軸線の方向に揺動自在となした従動アーム15と、従動アームに軸着され、接触子9aをテーブル6の表面から眼鏡枠に向けて突出させる接触アーム9とを有し、接触アームを眼鏡枠に接触させることを特徴とする。
【解決手段】 眼鏡枠の玉型形状を測定する眼鏡形状測定装置において、眼鏡枠に直交する第1軸線を中心に回転するとともに眼鏡枠に対峙したテーブル6に設けられ、接触子9aを径方向に移動自在に支持する接触子移動機構10とを備え、接触子移動機構は、第1軸線と直交する第2軸線を軸心とするテーブルに設置された支持軸12と、支持軸に軸着され、第1軸線、第2軸線と直交する第3軸線の方向に揺動自在となした主動アーム13と、主動アームに連結軸16を介して連結され、連結軸を軸心として第3軸線の方向に揺動自在となした従動アーム15と、従動アームに軸着され、接触子9aをテーブル6の表面から眼鏡枠に向けて突出させる接触アーム9とを有し、接触アームを眼鏡枠に接触させることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡の形状を測定する眼鏡形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、眼鏡フレームのレンズ溝に測定子を当接させて眼鏡フレームの玉型の三次元形状を測定する玉型形状測定装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−174252号公報
【0004】
この特許文献1の装置では、回転台の上に移動台が配設されているため、この回転台の上方に配設される眼鏡フレームとの間に、移動台を配設するスペースが必要で測定装置自体が大型化したり、また、移動台は回転台の上を車輪で移動させている場合、車輪と回転台との間で発生するスベリが測定誤差の原因となったり、この回転台の平面形態に変形があると、当該回転台は形状測定時に回転させているため、回転台における径方向の移動台の移動位置によって、当該移動台が上下に変位してしまい、この変位が測定誤差となるおそれがある。また、支柱で支持フレームを支持し、該支持フレームで移動台を支持させている場合、部品点数が増え、測定誤差に影響を与え易くなる。さらに、移動台の付勢用のバネの付勢力でレンズ溝に測定子を当接させているため、その付勢力でレンズ枠が変形するおそれがある問題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、装置自体を大型化させず、測定誤差を発生しにくくしたり、眼鏡枠の変形を防止したりする複合機能を備えさせるようにした眼鏡形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置は、眼鏡枠のレンズ溝に接触する接触子の移動によって前記眼鏡枠の玉型形状を測定する眼鏡形状測定装置において、前記眼鏡枠を測定基準位置に保持する眼鏡枠保持部と、前記眼鏡枠保持部で保持された前記眼鏡枠のレンズ配置面に直交する第1軸線を中心に回転するとともに表面側が前記眼鏡枠に対峙したテーブルと、前記テーブルに設けられ、前記接触子を前記眼鏡枠の径方向に移動自在に支持する接触子移動機構と、を備え、前記接触子移動機構は、前記第1軸線と直交する前記テーブルに平行な第2軸線を軸心とする前記テーブルの裏面側に設置された支持軸と、該支持軸に上部側が軸着されて、前記第1軸線及び第2軸線と直交する前記径方向でもある第3軸線の方向に揺動自在となした主動アームと、該主動アームの下部側に連結軸を介して下部側が連結されるとともに、該連結軸を軸心として前記第3軸線の方向に揺動自在となした従動アームと、該従動アームの上部側に軸着されるとともに、端部に配置した前記接触子を前記テーブルの表面から前記眼鏡枠に向けて突出させる接触アームと、を有し、前記主動アームと前記従動アームと前記接触アームとの軸着状態を変更して、前記接触アームの前記接触子を前記眼鏡枠に接触させることを特徴とする。
【0007】
上記構成とすることにより、主動アーム、従動アーム、接触アームなどで構成する接触子移動機構の機構基点側のみがテーブルの裏面側に固定(軸着)されているため、形状測定時にテーブルが回転しても、その固定位置の回転軸心に対する上下位置は変位しないことにより、測定誤差に与える影響はなく、良好な測定データを得ることができる。また、接触子移動機構をユニット化して一個所に取り付けることができ、これによって眼鏡形状測定装置としての組立の簡易化を図ることができる。しかも、テーブルの裏面側にユニット化した接触子移動機構を取り付けているため、背景技術のように回転台とレンズ枠との間に、スペースが必要となることもなく、測定装置自体が大型化することがない。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記接触子移動機構は自由状態で、その自重によって前記接触アームの軸着個所を前記径方向の中央側に復帰させる復帰力を有し、前記主動アームには、自身を揺動させつつ前記従動アームも同方向に揺動させる駆動手段が設けられ、該駆動手段により前記復帰力に応じて、前記眼鏡枠が変形しない程度の力で前記レンズ溝に前記接触子を軽圧接触させることを特徴とする。
【0009】
上記構成とすることにより、上記効果に加え、接触子移動機構は、その機構基点側から吊り下げた形態であるため、その復帰力も常に径方向の中央側に復帰させる方向であり、かつその復帰力は接触子移動機構を構成する従動アームの上部側から鉛直軸線までの距離や接触アームの傾斜形態などによって異なる力で戻ることとなるので、例えば駆動手段としてモータを使用すれば連続可変制御しやすい駆動トルクの調整で済むため、軽圧接触のための押圧力の調整も容易に行え、眼鏡枠の変形防止に加え、接触子や接触アームの曲がりに影響を与えないため、測定精度、耐久性の向上に有益となる眼鏡形状測定装置を提供できる。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記第2軸線を軸心として前記テーブルに固定される固定ギヤと、前記連結軸を軸心として当該従動アームに固定される可動ギヤと、前記主動アームに固定される前記駆動手段で回転作動される中間ギヤと、を含み、該中間ギヤは、前記可動ギヤと前記固定ギヤとの間で、両者と噛合するように設けられることを特徴とすることにより、軽圧接触させる駆動は歯車機構であるため、押圧力を確実に伝達することができる。また、歯車機構であるため、その駆動手段としてエンコーダ付きモータを使用できることとなり、部品構成を簡素化できる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記固定ギヤの歯数を、前記可動ギヤの歯数の2倍となしたことを特徴とすることにより、接触子移動機構による接触子の移動を、径方向で直線移動させることができ、これによって形状測定時の接触子の移動による測定誤差を無くすことができる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置の前記接触子移動機構において、前記第2軸線と同軸位置で前記テーブルに固定される第1支持ピンに、一端側のフック片を掛止するとともに、前記従動アームの他端側における前記連結軸の軸着位置よりもさらに他端寄りの端位置に固定される第2支持ピンに、他端側のフック片を掛止した状態で所定の引張り力を有する引張りバネを設け、該引張りバネの引張り力により前記従動アームのあらゆる揺動位置における復帰力を略打ち消すような保持力を与えることを特徴とする。
【0013】
上記構成とすることにより、接触子を軽い力で移動させることができ、この結果、接触子移動機構に設けられる駆動手段としてモータの駆動トルクによる軽接触ための押圧力の調整もさらに容易に行えることとなり、眼鏡枠の変形防止に加え、接触子や接触アームの曲がりに影響を与えないため、測定精度、耐久性の向上にさらに有益となる眼鏡形状測定装置を提供できる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、型板を前記測定基準位置に保持する型板保持部と、前記接触アームの他端側の前記軸着個所を軸心として、当該接触アームを揺動させる揺動駆動手段と、前記接触アームに設けられる下動規制部材と、該下動規制部材の真下に、進退自在となすように、前記第3軸線の方向に横架される案内軸と、を含み、前記揺動駆動手段により前記接触アームの前記突出形態を、前記テーブルの表面から起立する姿勢となす揺動移動が行われた当該接触アームの前記下動規制部材の真下に、前記案内軸を位置させた状態で、前記接触アームを前記揺動駆動手段により揺動させ、前記案内軸に前記下動規制部材を当接させ、前記接触アームの下動を規制した態様で、前記接触アームの端部の接触子とは、前記径方向で反対側となる当該接触アームの背縁側を、前記型板保持部で保持された前記型板の外周縁に接触する型板接触部となしたことを特徴とすることにより、上記効果に加え、単一の接触アームを、眼鏡枠の玉型形状の測定と型板の測定の両者に使用することができる。しかも、この型板の測定時には、接触アームの下動を規制しているため、接触アームの姿勢(揺動しない)を固定できるため、型板の外周測定の精度の向上を図ることができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記型板接触部は前記型板の外周縁に、点接触若しくは線接触させることを特徴とすることにより、形状測定時の接触がスムーズに移動するため、測定精度を高く維持することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記下動規制部材は、回転自在なコロであることを特徴とすることにより、接触アームの径方向に対する移動がスムーズになり、測定精度を高く維持することができる。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記テーブルの回転角度を検出する角度検出手段と、前記レンズ溝に接触して移動する前記接触子の第1軸線方向の移動量を検出する接触子移動量検出手段と、前記接触子の前記径方向の移動量を検出する径移動量検出手段と、前記角度検出手段、前記接触子移動量検出手段、前記径移動量検出手段によって検出される検出結果に基づいて3次元データを生成する制御手段と、を含むことを特徴とすることにより、眼鏡枠のレンズ溝であれば、その三次元データを取得でき、型板であれば、径方向の移動量とテーブルの回転角度によって二次元データを取得でき、この結果、レンズ加工に供することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る眼鏡形状測定装置を示す概略斜視図。
【図2】眼鏡形状測定装置を示す平面図。
【図3】眼鏡形状測定装置の他の例を示す平面図。
【図4】型板保持部の他の例を示す斜視図。
【図5】眼鏡形状測定装置のテーブルの配置を示す概略斜視図。
【図6】テーブルの移動機構を示す概略平面図。
【図7】眼鏡枠のレンズ溝と接触子との形状関係を示す図。
【図8】接触子移動機構を示す概略斜視図。
【図9】接触子移動機構を示す概略側面図。
【図10】バランススプリングを装着した接触子移動機構を示す概略斜視図。
【図11】バランススプリングを装着した接触子移動機構を示す概略側面図。
【図12】接触アーム下動規制部を装着した接触子移動機構を示す概略側面図。
【図13】接触アーム下動規制部の構成を示す概略斜視図。
【図14】接触アームの下動を案内軸で規制する状態を示す概要図。
【図15】接触アームにより型板測定状態を示す側面図。
【図16】接触アームの型板接触部の形状例を示す部分断面図。
【図17】制御装置の電気的ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る眼鏡形状測定装置の一例を示す概略斜視図、図2は眼鏡形状測定装置を示す平面図である。図1、図2において、眼鏡形状測定装置1は、箱型に形成される本体2の中央側の上方開放状に形成される開口部3内に、形状測定すべき眼鏡枠W1又は型板W2を上方から配置するようになっている。
【0020】
この本体2の開口部3内の上部側において、眼鏡枠W1を測定基準位置に保持するための眼鏡枠保持部4と、本体2の上部側において、型板W2を測定基準位置に保持するための型板保持部5とが設けられる。この測定基準位置としては、眼鏡枠W1又は型板W2を開口部3内で略水平状態となし、眼鏡枠W1又は型板W2の幾何学的中心を、矢印A1で示す左右方向に沿った基準線L上に位置させるものである。
【0021】
眼鏡枠保持部4は、開口部3内の矢印A2で示す前後方向で、対向して配置され、同期して互いに接近離間する一対の挟持部4aを備え、眼鏡枠W1の左右のリムW1a、W1bを上下のクランプピン4bによって外側から挟み、眼鏡枠W1を測定基準位置で保持するようにしている。
【0022】
型板保持部5は、眼鏡枠W1の一例としての縁なしフレームに使用するためのレンズ(図示せず)を加工する前に、予めレンズの型をとった型板W2を測定基準位置で保持する。この型板保持部5は、図4に示すように、全体が略L字状に形成され、その長片側5aの先端部5a1に型板W2を、その型板W2の面側W2aで固定する型板装着部5bを有する。また、短片側5dの基部5d1を、開口部3の外側の本体2の上面2aに、マグネット(図示せず)を用いて取付・取外し自在に装着される。
【0023】
この型板保持部5は、図1に示す本体2の一個所の上面2aに配置する形態と、図3に示すように、本体2の二個所の上面2aに配置する形態とすることもできる。この場合の眼鏡枠W1の左右のリムW1a、W1bに対応する左用、右用の型板W2は1種類であり、その表裏を反転させて使用する。また、型板保持部5の長片側5aと短片側5dとは一体で構成する場合と、図4に示すように、回動機能を備えるヒンジ機構5eによって長片側5aと短片側5dとを相対回動自在とすることも可能である。この例によると、1種類の型板保持部5の長片側5aの先端部5a1の表裏側に、型板W2を固定する型板装着部5bと図示しないレンズを固定するレンズ保持部を設けることが可能となる。
【0024】
また、図5に示すように、本体2の開口部3の底部3a側には、その底部3a側の水平面内において、眼鏡枠W1のレンズ溝W1cに装着するレンズ配置面と直交する第1軸線の方向としての鉛直軸線Zを中心に回転自在な円板状のテーブル6が設けられている。このテーブル6は、開口部3内において、左右方向(矢印A1)に移動自在となしている。そして、眼鏡枠保持部4で保持される眼鏡枠W1若しくは型板保持部5で保持される型板W2と、その表面側を対峙させた形態で測定することとなる。
【0025】
このテーブル6は、図6に示すように、スライドガイド7によって移動自在となした移動ベース8に取り付けられる。このスライドガイド7は、ガイドロッド7aと、該ガイドロッド7aに移動自在に装着される移動体7bから構成されている。また、このスライドガイド7は、モータ7cの回転軸に連結される送りネジ7dと、該送りネジ7dと螺合する移動ベース8に固定されるナット部材7eから構成されるスライド駆動機構を有している。
【0026】
また、この移動ベース8には、テーブル6の外周側の三個所を保持する回転自在となしたローラ8aが設けられる。このローラ8aによってテーブル6は回転自在に保持されている。また、テーブル6の外周側には、外周ギヤ6aが設けられ、該外周ギヤ6aには、直流モータとしての第1駆動モータ6bの回転軸に固定される第1駆動ギヤ6cが噛合されている。また、テーブル6の回転方向の移動量を検出する角度検出手段としての第1エンコーダ6dが設けられている。この第1エンコーダ6dは第1駆動モータ6bと直結構造のものでもよく、いわゆるエンコーダ付きDCモータを用いている。また、このような第1駆動モータ6bに代えてステッピングモータを使用することもできる。このステッピングモータは、パルス信号により、そのモータで決まったパルス角の分だけ角度が動くモータであり、パルス数により角度検出できるものである。
【0027】
また、テーブル6には、該テーブル6の表面から上方へ突出し、眼鏡枠W1のリムW1a、W1bの内周面に形成された、図7に示すレンズ溝W1c内の一定位置(例えば一定の溝深さ)に接触しながら、その接触抵抗を小さくするように、端部が球面状に形成される細長状の接触子9aを、端部としての先端側に有する接触アーム9を、眼鏡枠W1の径方向Rに移動自在に支持する接触子移動機構10が設けられる。
【0028】
テーブル6の中央には、図6、図8に示すように、その厚み方向に貫通し、かつ、テーブル6の径方向Rに延びる長孔状のスロット6eが形成されており、該スロット6eを通して接触アーム9をテーブル6の表面から上方へ突出させ、該スロット6e内を接触アーム9が移動されるようにしている。
【0029】
接触子移動機構10は、図8に示すように、テーブル6の裏面側に取り付けられている。この接触子移動機構10の機構基点側には、半円板状の固定ギヤ11が固定される。この固定ギヤ11は、その歯車中心を第1軸線としての鉛直軸線Zと直交するテーブル6に平行な第2軸線としての左右水平軸線Xを軸心として配置され、同軸線方向におけるスロット6eの一方側のテーブル6の下面に、その円弧形態のギヤ部11aを下方に向けた態様で固定している。
【0030】
この固定ギヤ11の歯車中心(左右水平軸線X)には、支持軸12が固定され、該支持軸12によってスロット6eに沿うように、第1軸線及び第2軸線と直交するレンズ溝W1c(眼鏡枠W1)の径方向Rでもある第3軸線としての水平軸線Y方向に揺動自在となすように、一端側としての上部側が、このテーブル6の下部側に軸着される主動アーム13を有している。
【0031】
この主動アーム13におけるアーム長さの中間側には、駆動手段としての直流モータである第2駆動モータ14が固定されている。この第2駆動モータ14の回転軸に固定される第2駆動ギヤ14aを、固定ギヤ11のギヤ部11aに噛合させている。これによって第2駆動モータ14を作動制御させて第2駆動ギヤ14aを所定方向に回転させると、主動アーム13は支持軸12周りの第3軸線方向(水平軸線Y方向、径方向R)に揺動することとなる。この第2駆動モータ14は、後述する径移動量検出手段である第2エンコーダ14bと一体化された直結構造のものである。
【0032】
主動アーム13の他端側としての下部側には、左右水平軸線X方向におけるスロット6eの他方側のテーブル6の下方に配設される従動アーム15の他端側としての下部側が連結軸16によって連結されている。これによって、主動アーム13に連動して従動アーム15が第3軸線方向(水平軸線Y方向、径方向R)に移動されることとなる。
【0033】
また、連結軸16には、歯車中心に連結軸16を貫通させるようにした従動ギヤ17が設けられる。該従動ギヤ17は従動アーム15の他端側としての下部側に連結固定されるとともに、従動ギヤ17と第2駆動モータ14の第2駆動ギヤ14aを噛合させている。このことによって第2駆動モータ14を作動制御させて第2駆動ギヤ14aを所定方向に回転させると、主動アーム13は支持軸12周りに揺動しながら、主動アーム13に連動して従動アーム15が水平軸線Y方向に移動する過程において、連結軸16(水平軸線Y)周りで従動アーム15が第3軸線方向(水平軸線Y方向、径方向R)に揺動することとなる。
【0034】
また、図9に示すように、従動アーム15の上部側、例として接触アーム9の回転中心P1の移動軌跡を、矢印A3で示す水平方向に直線状にするために、従動ギヤ17の歯数に対して固定ギヤ11の歯数を等倍(2倍)に設定するとともに、主動アーム13の回転中心P2(支持軸12の軸心)から従動アーム15の回転中心P3(連結軸16の軸心)までの距離L1と、従動アーム15の回転中心P3から接触アーム9の回転中心P1までの距離L2とを等しくすることにより、いわゆる外転シンクロイド歯車列による直線運動機構とすることができる。
【0035】
この接触アーム9は、図8に示すように、その他端側としての下部側を従動アーム15の一端側としての上部側に、第2軸線(左右水平軸線X)と平行となした平行軸15aを軸心として軸着させている。この接触アーム9の下部側には、軸着個所を歯車中心となした円弧状の領域に円弧ギヤ9bを有する下部ギヤ部9cが形成されている。この円弧ギヤ9bと噛合する第3駆動ギヤ18aを回転軸の先端に固定する直流モータとしての第3駆動モータ18が従動アーム15のアーム長さ中間に固定されている。この第3駆動モータ18を作動制御させることによって軸着個所を中心として接触アーム9が第3軸線方向(水平軸線Y方向、径方向R)に揺動することとなる。この第3駆動モータ18は接触子移動量検出手段としての第3エンコーダ18cと一体化された直結構造のものであり、接触アーム9の揺動時の移動量を検出するようにしている。
【0036】
要するに、接触子移動機構10は、図9に示すように、それを構成する接触アーム9、従動アーム15、主動アーム13との軸着個所を変更して、接触アーム9の接触子を眼鏡枠Wに接触させるようにしたものであり、その機構基点側の主動アーム13の上端部をテーブル6の下面側に固定した吊り下げ状態の構造である。そして、主動アーム13では、その揺動中心軸が上部側であるため、主動アーム13は第2駆動モータ14が自由回転状態であると、接触子移動機構10の全体自重による重心位置が変化して垂下状態に近づくように揺動する。
【0037】
これに伴って従動アーム15の上部側が鉛直軸線Zから遠いところに位置する状態であれば鉛直軸線Zに近づくように揺動する。これは自由回転状態の第2駆動モータ14の第2駆動ギヤ14aが固定ギヤ11と噛み合いながら回転して移動することにより、この第2駆動ギヤ14aと噛合する従動ギヤ17を回転させることとなり従動アーム15が揺動する。また、この接触子移動機構10の復帰力は、従動アーム15の上部側から鉛直軸線Zまでの距離や接触アーム9の傾斜形態などによって同一とならず、異なる力で戻ることとなる。
【0038】
また、この復帰力は、眼鏡枠W1のレンズ溝W1cの測定時には、当該レンズ溝W1cから接触子9aが離れようとする力である場合(逆方向もある)、第2駆動モータ14を電流制御し、その第2駆動モータ14の駆動トルクを、復帰力に応じて接触子9aを眼鏡枠W1のレンズ溝W1cに、該眼鏡枠W1が変形しない程度の力で軽圧接触させている。この軽圧接触は、接触子9aや接触アーム9自体に曲がり変形が発生しないようにした力でもあることも含んでいる。
【0039】
また、第2駆動モータ14の電流制御とは別に、図10、図11に示すように、従動アーム15の下部側と固定ギヤ11の歯車中心と同軸位置(第2軸線X)との間に、所定の引っ張り力を有する引張りバネとしてのバランススプリング19を張設することにより、このバランススプリング19の引っ張り力による、従動アーム15のあらゆる揺動位置における復帰力を略打ち消すような保持力を与えることができる。
【0040】
具体的には、第2軸線と同軸位置でテーブル6側に固定される第1支持ピン20に、バランススプリング19の一端側のフック片19aを掛止するとともに、従動アーム15の他端側における連結軸16の軸着位置よりもさらに他端寄りの端位置に固定される第2支持ピン21に、バランススプリング19の他端側のフック片19bを掛止した状態で張設している。これによってバランススプリング19の引っ張り力によって接触子移動機構10の自重が略キャンセルされ、接触子9aを軽い力で移動させることができる。
【0041】
つぎに、型板保持部5で保持される型板W2の外周形状の計測時に使用するための接触アーム下動規制機構22を備えている。この接触アーム下動規制機構22は、図12ないし図14に示すように、接触アーム9に形成される円弧ギヤ9bの側面に、第3軸線方向に軸心を有する回転自在なコロ23を設け、該コロ23を下動規制部材となしている。また、接触アーム9の他端側の軸着個所を軸心として、当該接触アーム9を揺動駆動手段としての第3駆動モータ18を作動させて、テーブル6表面から上方へ起立する姿勢で突出させ、かつ、後述する型板接触部9dを第1軸線方向に沿わせた状態のコロ23の真下に進退自在となすように、第3軸線方向(水平軸線Y)に案内軸24を横架している。この案内軸24は、その両端側をテーブル6裏面に固定される一対の垂下片25に第3軸線方向を軸心として回転自在に設けられる一対の可動片26に固定されている。この可動片26の一方には、該可動片26から第3軸線方向(水平軸線Y)に突出する形態で当接コロ27が設けられている。
【0042】
また、テーブル6の下部側には、案内軸24を移動させるべき、駆動機構部28が設けられている。この駆動機構部28は直流モータとしての第4駆動モータ29の回転軸の先端には、当接コロ27に当接し、該当接コロ27を押し下げて、コロ23の真下に案内軸24を位置させるように駆動する押圧カム30を有している。また、この案内軸24をコロ23の真下から離間させるために復帰バネ31が設けられている。
【0043】
接触アーム9の下動規制部材としてのコロ23の真下に、案内軸24を位置させた状態で、接触アーム9を第3駆動モータ18により揺動させ、案内軸24にコロ23を当接させ、接触アーム9の下動を規制した態様で、図15に示すように、接触アーム9の一端側の接触子9aとは、径方向Rで反対側となる当該接触アーム9の直線状の背縁側を、型板保持部5で保持された型板W2の外周縁に接触する型板接触部9dとなしている。この型板接触部9dは、型板W2の外周縁に点接触若しくは線接触させるように、図16に示すように、断面形状で先端側を先細り形態となすように円弧状もしくは三角状に形成されている。
【0044】
眼鏡枠形状測定装置による眼鏡枠W1のレンズ溝W1c、型板W2の測定として、眼鏡枠保持部4の一対の挟持部4aの間隔を広げた状態で、眼鏡枠W1を上方から挟持部4a間に位置させ、その後、眼鏡枠W1の左右のリムW1a、W1bを上下のクランプピン4bによって外側(本例では上下)から挟み(図1参照)、眼鏡枠W1を測定基準位置で保持する。つぎに、移動ベース8を測定すべき左右いずれかのリムW1a、W1bの下方に、テーブル6が眼鏡枠W1と対峙させるように移動させる。
【0045】
つぎに、テーブル6の表面から上方へ突出されている接触アーム9の接触子9aをレンズ溝W1cに接触させ、この接触位置を原点位置として、第1駆動モータ6bを作動制御し、テーブル6を回転させ、接触子9aが原点位置からスタートし、一周して原点位置に戻るまでの間に、回転角度検出手段である第1エンコーダ6dで検出するテーブル6の回転角度と、径移動量検出手段である第2エンコーダ14bで検出する接触子9aのレンズ溝W1cにおける径方法Rでの移動量と、接触子移動量検出手段である第3エンコーダ18cで検出する接触子9aの第1軸線方向(鉛直軸線Z方向)での移動量とが検出される。
【0046】
この各種検出手段によって、検出される検出結果に基づいてレンズ溝W1cの玉型形状が計測されるものであり、この玉型形状は、3次元データを生成する制御手段で生成される。この制御手段はマイクロコンピュータを主にした制御装置32が使用される。この制御装置32のマイクロコンピュータの構成は周知であるため詳しい説明は省略するが、図17に示すように、CPU32aを中心として構成しており、このCPU32aには、内部バス32bを介してROM32cが接続される。このROM32cに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。また、CPU32aには内部バス32bを介してRAM32dが接続されている。このRAM32dは、CPU32aが各種の処理を実行する上において必要なデータやプログラムなどが適宜記憶される。
【0047】
また、制御装置32の入出力インターフェース32eには、第1エンコーダ6d、第2エンコーダ14b、第3エンコーダ18c、第1駆動モータ6b、第2駆動モータ14、第3駆動モータ18、モータ7c、第4駆動モータ29が接続され、各モータの制御を実行するとともに、各エンコーダからの検出信号による検出結果に基づいて三次元データ(レンズ溝W1c測定時)、後述する二次元データ(型板W2測定時)を生成している。
【0048】
また、型枠W2の測定時には、接触アーム9の鉛直軸線Z方向の移動が図14に示すように、案内軸24上に、コロ23を当接させて規制されている状態で、直線状の型板接触部9dが図15に示すように、鉛直軸線Z方向と平行な状態で、型枠W2の周縁に接触させながら、テーブル6を1回転させることにより、接触アーム9の径方向Rの変位が水平面内でのテーブル6の回転角度に対応づけられて測定されることにより、2次元データが取得される。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 眼鏡形状測定装置
4 眼鏡枠保持部
6 テーブル
9 接触アーム
9a 接触子
10 接触子移動機構
13 主動アーム
15 従動アーム
16 連結軸
R 径方向
Z 鉛直軸線(第1軸線)
X 左右水平軸線(第2軸線)
Y 水平軸線(第3軸線)
W1 眼鏡枠
W1c レンズ溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡の形状を測定する眼鏡形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、眼鏡フレームのレンズ溝に測定子を当接させて眼鏡フレームの玉型の三次元形状を測定する玉型形状測定装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−174252号公報
【0004】
この特許文献1の装置では、回転台の上に移動台が配設されているため、この回転台の上方に配設される眼鏡フレームとの間に、移動台を配設するスペースが必要で測定装置自体が大型化したり、また、移動台は回転台の上を車輪で移動させている場合、車輪と回転台との間で発生するスベリが測定誤差の原因となったり、この回転台の平面形態に変形があると、当該回転台は形状測定時に回転させているため、回転台における径方向の移動台の移動位置によって、当該移動台が上下に変位してしまい、この変位が測定誤差となるおそれがある。また、支柱で支持フレームを支持し、該支持フレームで移動台を支持させている場合、部品点数が増え、測定誤差に影響を与え易くなる。さらに、移動台の付勢用のバネの付勢力でレンズ溝に測定子を当接させているため、その付勢力でレンズ枠が変形するおそれがある問題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、装置自体を大型化させず、測定誤差を発生しにくくしたり、眼鏡枠の変形を防止したりする複合機能を備えさせるようにした眼鏡形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置は、眼鏡枠のレンズ溝に接触する接触子の移動によって前記眼鏡枠の玉型形状を測定する眼鏡形状測定装置において、前記眼鏡枠を測定基準位置に保持する眼鏡枠保持部と、前記眼鏡枠保持部で保持された前記眼鏡枠のレンズ配置面に直交する第1軸線を中心に回転するとともに表面側が前記眼鏡枠に対峙したテーブルと、前記テーブルに設けられ、前記接触子を前記眼鏡枠の径方向に移動自在に支持する接触子移動機構と、を備え、前記接触子移動機構は、前記第1軸線と直交する前記テーブルに平行な第2軸線を軸心とする前記テーブルの裏面側に設置された支持軸と、該支持軸に上部側が軸着されて、前記第1軸線及び第2軸線と直交する前記径方向でもある第3軸線の方向に揺動自在となした主動アームと、該主動アームの下部側に連結軸を介して下部側が連結されるとともに、該連結軸を軸心として前記第3軸線の方向に揺動自在となした従動アームと、該従動アームの上部側に軸着されるとともに、端部に配置した前記接触子を前記テーブルの表面から前記眼鏡枠に向けて突出させる接触アームと、を有し、前記主動アームと前記従動アームと前記接触アームとの軸着状態を変更して、前記接触アームの前記接触子を前記眼鏡枠に接触させることを特徴とする。
【0007】
上記構成とすることにより、主動アーム、従動アーム、接触アームなどで構成する接触子移動機構の機構基点側のみがテーブルの裏面側に固定(軸着)されているため、形状測定時にテーブルが回転しても、その固定位置の回転軸心に対する上下位置は変位しないことにより、測定誤差に与える影響はなく、良好な測定データを得ることができる。また、接触子移動機構をユニット化して一個所に取り付けることができ、これによって眼鏡形状測定装置としての組立の簡易化を図ることができる。しかも、テーブルの裏面側にユニット化した接触子移動機構を取り付けているため、背景技術のように回転台とレンズ枠との間に、スペースが必要となることもなく、測定装置自体が大型化することがない。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記接触子移動機構は自由状態で、その自重によって前記接触アームの軸着個所を前記径方向の中央側に復帰させる復帰力を有し、前記主動アームには、自身を揺動させつつ前記従動アームも同方向に揺動させる駆動手段が設けられ、該駆動手段により前記復帰力に応じて、前記眼鏡枠が変形しない程度の力で前記レンズ溝に前記接触子を軽圧接触させることを特徴とする。
【0009】
上記構成とすることにより、上記効果に加え、接触子移動機構は、その機構基点側から吊り下げた形態であるため、その復帰力も常に径方向の中央側に復帰させる方向であり、かつその復帰力は接触子移動機構を構成する従動アームの上部側から鉛直軸線までの距離や接触アームの傾斜形態などによって異なる力で戻ることとなるので、例えば駆動手段としてモータを使用すれば連続可変制御しやすい駆動トルクの調整で済むため、軽圧接触のための押圧力の調整も容易に行え、眼鏡枠の変形防止に加え、接触子や接触アームの曲がりに影響を与えないため、測定精度、耐久性の向上に有益となる眼鏡形状測定装置を提供できる。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記第2軸線を軸心として前記テーブルに固定される固定ギヤと、前記連結軸を軸心として当該従動アームに固定される可動ギヤと、前記主動アームに固定される前記駆動手段で回転作動される中間ギヤと、を含み、該中間ギヤは、前記可動ギヤと前記固定ギヤとの間で、両者と噛合するように設けられることを特徴とすることにより、軽圧接触させる駆動は歯車機構であるため、押圧力を確実に伝達することができる。また、歯車機構であるため、その駆動手段としてエンコーダ付きモータを使用できることとなり、部品構成を簡素化できる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記固定ギヤの歯数を、前記可動ギヤの歯数の2倍となしたことを特徴とすることにより、接触子移動機構による接触子の移動を、径方向で直線移動させることができ、これによって形状測定時の接触子の移動による測定誤差を無くすことができる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置の前記接触子移動機構において、前記第2軸線と同軸位置で前記テーブルに固定される第1支持ピンに、一端側のフック片を掛止するとともに、前記従動アームの他端側における前記連結軸の軸着位置よりもさらに他端寄りの端位置に固定される第2支持ピンに、他端側のフック片を掛止した状態で所定の引張り力を有する引張りバネを設け、該引張りバネの引張り力により前記従動アームのあらゆる揺動位置における復帰力を略打ち消すような保持力を与えることを特徴とする。
【0013】
上記構成とすることにより、接触子を軽い力で移動させることができ、この結果、接触子移動機構に設けられる駆動手段としてモータの駆動トルクによる軽接触ための押圧力の調整もさらに容易に行えることとなり、眼鏡枠の変形防止に加え、接触子や接触アームの曲がりに影響を与えないため、測定精度、耐久性の向上にさらに有益となる眼鏡形状測定装置を提供できる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、型板を前記測定基準位置に保持する型板保持部と、前記接触アームの他端側の前記軸着個所を軸心として、当該接触アームを揺動させる揺動駆動手段と、前記接触アームに設けられる下動規制部材と、該下動規制部材の真下に、進退自在となすように、前記第3軸線の方向に横架される案内軸と、を含み、前記揺動駆動手段により前記接触アームの前記突出形態を、前記テーブルの表面から起立する姿勢となす揺動移動が行われた当該接触アームの前記下動規制部材の真下に、前記案内軸を位置させた状態で、前記接触アームを前記揺動駆動手段により揺動させ、前記案内軸に前記下動規制部材を当接させ、前記接触アームの下動を規制した態様で、前記接触アームの端部の接触子とは、前記径方向で反対側となる当該接触アームの背縁側を、前記型板保持部で保持された前記型板の外周縁に接触する型板接触部となしたことを特徴とすることにより、上記効果に加え、単一の接触アームを、眼鏡枠の玉型形状の測定と型板の測定の両者に使用することができる。しかも、この型板の測定時には、接触アームの下動を規制しているため、接触アームの姿勢(揺動しない)を固定できるため、型板の外周測定の精度の向上を図ることができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記型板接触部は前記型板の外周縁に、点接触若しくは線接触させることを特徴とすることにより、形状測定時の接触がスムーズに移動するため、測定精度を高く維持することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記下動規制部材は、回転自在なコロであることを特徴とすることにより、接触アームの径方向に対する移動がスムーズになり、測定精度を高く維持することができる。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡形状測定装置において、前記テーブルの回転角度を検出する角度検出手段と、前記レンズ溝に接触して移動する前記接触子の第1軸線方向の移動量を検出する接触子移動量検出手段と、前記接触子の前記径方向の移動量を検出する径移動量検出手段と、前記角度検出手段、前記接触子移動量検出手段、前記径移動量検出手段によって検出される検出結果に基づいて3次元データを生成する制御手段と、を含むことを特徴とすることにより、眼鏡枠のレンズ溝であれば、その三次元データを取得でき、型板であれば、径方向の移動量とテーブルの回転角度によって二次元データを取得でき、この結果、レンズ加工に供することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る眼鏡形状測定装置を示す概略斜視図。
【図2】眼鏡形状測定装置を示す平面図。
【図3】眼鏡形状測定装置の他の例を示す平面図。
【図4】型板保持部の他の例を示す斜視図。
【図5】眼鏡形状測定装置のテーブルの配置を示す概略斜視図。
【図6】テーブルの移動機構を示す概略平面図。
【図7】眼鏡枠のレンズ溝と接触子との形状関係を示す図。
【図8】接触子移動機構を示す概略斜視図。
【図9】接触子移動機構を示す概略側面図。
【図10】バランススプリングを装着した接触子移動機構を示す概略斜視図。
【図11】バランススプリングを装着した接触子移動機構を示す概略側面図。
【図12】接触アーム下動規制部を装着した接触子移動機構を示す概略側面図。
【図13】接触アーム下動規制部の構成を示す概略斜視図。
【図14】接触アームの下動を案内軸で規制する状態を示す概要図。
【図15】接触アームにより型板測定状態を示す側面図。
【図16】接触アームの型板接触部の形状例を示す部分断面図。
【図17】制御装置の電気的ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る眼鏡形状測定装置の一例を示す概略斜視図、図2は眼鏡形状測定装置を示す平面図である。図1、図2において、眼鏡形状測定装置1は、箱型に形成される本体2の中央側の上方開放状に形成される開口部3内に、形状測定すべき眼鏡枠W1又は型板W2を上方から配置するようになっている。
【0020】
この本体2の開口部3内の上部側において、眼鏡枠W1を測定基準位置に保持するための眼鏡枠保持部4と、本体2の上部側において、型板W2を測定基準位置に保持するための型板保持部5とが設けられる。この測定基準位置としては、眼鏡枠W1又は型板W2を開口部3内で略水平状態となし、眼鏡枠W1又は型板W2の幾何学的中心を、矢印A1で示す左右方向に沿った基準線L上に位置させるものである。
【0021】
眼鏡枠保持部4は、開口部3内の矢印A2で示す前後方向で、対向して配置され、同期して互いに接近離間する一対の挟持部4aを備え、眼鏡枠W1の左右のリムW1a、W1bを上下のクランプピン4bによって外側から挟み、眼鏡枠W1を測定基準位置で保持するようにしている。
【0022】
型板保持部5は、眼鏡枠W1の一例としての縁なしフレームに使用するためのレンズ(図示せず)を加工する前に、予めレンズの型をとった型板W2を測定基準位置で保持する。この型板保持部5は、図4に示すように、全体が略L字状に形成され、その長片側5aの先端部5a1に型板W2を、その型板W2の面側W2aで固定する型板装着部5bを有する。また、短片側5dの基部5d1を、開口部3の外側の本体2の上面2aに、マグネット(図示せず)を用いて取付・取外し自在に装着される。
【0023】
この型板保持部5は、図1に示す本体2の一個所の上面2aに配置する形態と、図3に示すように、本体2の二個所の上面2aに配置する形態とすることもできる。この場合の眼鏡枠W1の左右のリムW1a、W1bに対応する左用、右用の型板W2は1種類であり、その表裏を反転させて使用する。また、型板保持部5の長片側5aと短片側5dとは一体で構成する場合と、図4に示すように、回動機能を備えるヒンジ機構5eによって長片側5aと短片側5dとを相対回動自在とすることも可能である。この例によると、1種類の型板保持部5の長片側5aの先端部5a1の表裏側に、型板W2を固定する型板装着部5bと図示しないレンズを固定するレンズ保持部を設けることが可能となる。
【0024】
また、図5に示すように、本体2の開口部3の底部3a側には、その底部3a側の水平面内において、眼鏡枠W1のレンズ溝W1cに装着するレンズ配置面と直交する第1軸線の方向としての鉛直軸線Zを中心に回転自在な円板状のテーブル6が設けられている。このテーブル6は、開口部3内において、左右方向(矢印A1)に移動自在となしている。そして、眼鏡枠保持部4で保持される眼鏡枠W1若しくは型板保持部5で保持される型板W2と、その表面側を対峙させた形態で測定することとなる。
【0025】
このテーブル6は、図6に示すように、スライドガイド7によって移動自在となした移動ベース8に取り付けられる。このスライドガイド7は、ガイドロッド7aと、該ガイドロッド7aに移動自在に装着される移動体7bから構成されている。また、このスライドガイド7は、モータ7cの回転軸に連結される送りネジ7dと、該送りネジ7dと螺合する移動ベース8に固定されるナット部材7eから構成されるスライド駆動機構を有している。
【0026】
また、この移動ベース8には、テーブル6の外周側の三個所を保持する回転自在となしたローラ8aが設けられる。このローラ8aによってテーブル6は回転自在に保持されている。また、テーブル6の外周側には、外周ギヤ6aが設けられ、該外周ギヤ6aには、直流モータとしての第1駆動モータ6bの回転軸に固定される第1駆動ギヤ6cが噛合されている。また、テーブル6の回転方向の移動量を検出する角度検出手段としての第1エンコーダ6dが設けられている。この第1エンコーダ6dは第1駆動モータ6bと直結構造のものでもよく、いわゆるエンコーダ付きDCモータを用いている。また、このような第1駆動モータ6bに代えてステッピングモータを使用することもできる。このステッピングモータは、パルス信号により、そのモータで決まったパルス角の分だけ角度が動くモータであり、パルス数により角度検出できるものである。
【0027】
また、テーブル6には、該テーブル6の表面から上方へ突出し、眼鏡枠W1のリムW1a、W1bの内周面に形成された、図7に示すレンズ溝W1c内の一定位置(例えば一定の溝深さ)に接触しながら、その接触抵抗を小さくするように、端部が球面状に形成される細長状の接触子9aを、端部としての先端側に有する接触アーム9を、眼鏡枠W1の径方向Rに移動自在に支持する接触子移動機構10が設けられる。
【0028】
テーブル6の中央には、図6、図8に示すように、その厚み方向に貫通し、かつ、テーブル6の径方向Rに延びる長孔状のスロット6eが形成されており、該スロット6eを通して接触アーム9をテーブル6の表面から上方へ突出させ、該スロット6e内を接触アーム9が移動されるようにしている。
【0029】
接触子移動機構10は、図8に示すように、テーブル6の裏面側に取り付けられている。この接触子移動機構10の機構基点側には、半円板状の固定ギヤ11が固定される。この固定ギヤ11は、その歯車中心を第1軸線としての鉛直軸線Zと直交するテーブル6に平行な第2軸線としての左右水平軸線Xを軸心として配置され、同軸線方向におけるスロット6eの一方側のテーブル6の下面に、その円弧形態のギヤ部11aを下方に向けた態様で固定している。
【0030】
この固定ギヤ11の歯車中心(左右水平軸線X)には、支持軸12が固定され、該支持軸12によってスロット6eに沿うように、第1軸線及び第2軸線と直交するレンズ溝W1c(眼鏡枠W1)の径方向Rでもある第3軸線としての水平軸線Y方向に揺動自在となすように、一端側としての上部側が、このテーブル6の下部側に軸着される主動アーム13を有している。
【0031】
この主動アーム13におけるアーム長さの中間側には、駆動手段としての直流モータである第2駆動モータ14が固定されている。この第2駆動モータ14の回転軸に固定される第2駆動ギヤ14aを、固定ギヤ11のギヤ部11aに噛合させている。これによって第2駆動モータ14を作動制御させて第2駆動ギヤ14aを所定方向に回転させると、主動アーム13は支持軸12周りの第3軸線方向(水平軸線Y方向、径方向R)に揺動することとなる。この第2駆動モータ14は、後述する径移動量検出手段である第2エンコーダ14bと一体化された直結構造のものである。
【0032】
主動アーム13の他端側としての下部側には、左右水平軸線X方向におけるスロット6eの他方側のテーブル6の下方に配設される従動アーム15の他端側としての下部側が連結軸16によって連結されている。これによって、主動アーム13に連動して従動アーム15が第3軸線方向(水平軸線Y方向、径方向R)に移動されることとなる。
【0033】
また、連結軸16には、歯車中心に連結軸16を貫通させるようにした従動ギヤ17が設けられる。該従動ギヤ17は従動アーム15の他端側としての下部側に連結固定されるとともに、従動ギヤ17と第2駆動モータ14の第2駆動ギヤ14aを噛合させている。このことによって第2駆動モータ14を作動制御させて第2駆動ギヤ14aを所定方向に回転させると、主動アーム13は支持軸12周りに揺動しながら、主動アーム13に連動して従動アーム15が水平軸線Y方向に移動する過程において、連結軸16(水平軸線Y)周りで従動アーム15が第3軸線方向(水平軸線Y方向、径方向R)に揺動することとなる。
【0034】
また、図9に示すように、従動アーム15の上部側、例として接触アーム9の回転中心P1の移動軌跡を、矢印A3で示す水平方向に直線状にするために、従動ギヤ17の歯数に対して固定ギヤ11の歯数を等倍(2倍)に設定するとともに、主動アーム13の回転中心P2(支持軸12の軸心)から従動アーム15の回転中心P3(連結軸16の軸心)までの距離L1と、従動アーム15の回転中心P3から接触アーム9の回転中心P1までの距離L2とを等しくすることにより、いわゆる外転シンクロイド歯車列による直線運動機構とすることができる。
【0035】
この接触アーム9は、図8に示すように、その他端側としての下部側を従動アーム15の一端側としての上部側に、第2軸線(左右水平軸線X)と平行となした平行軸15aを軸心として軸着させている。この接触アーム9の下部側には、軸着個所を歯車中心となした円弧状の領域に円弧ギヤ9bを有する下部ギヤ部9cが形成されている。この円弧ギヤ9bと噛合する第3駆動ギヤ18aを回転軸の先端に固定する直流モータとしての第3駆動モータ18が従動アーム15のアーム長さ中間に固定されている。この第3駆動モータ18を作動制御させることによって軸着個所を中心として接触アーム9が第3軸線方向(水平軸線Y方向、径方向R)に揺動することとなる。この第3駆動モータ18は接触子移動量検出手段としての第3エンコーダ18cと一体化された直結構造のものであり、接触アーム9の揺動時の移動量を検出するようにしている。
【0036】
要するに、接触子移動機構10は、図9に示すように、それを構成する接触アーム9、従動アーム15、主動アーム13との軸着個所を変更して、接触アーム9の接触子を眼鏡枠Wに接触させるようにしたものであり、その機構基点側の主動アーム13の上端部をテーブル6の下面側に固定した吊り下げ状態の構造である。そして、主動アーム13では、その揺動中心軸が上部側であるため、主動アーム13は第2駆動モータ14が自由回転状態であると、接触子移動機構10の全体自重による重心位置が変化して垂下状態に近づくように揺動する。
【0037】
これに伴って従動アーム15の上部側が鉛直軸線Zから遠いところに位置する状態であれば鉛直軸線Zに近づくように揺動する。これは自由回転状態の第2駆動モータ14の第2駆動ギヤ14aが固定ギヤ11と噛み合いながら回転して移動することにより、この第2駆動ギヤ14aと噛合する従動ギヤ17を回転させることとなり従動アーム15が揺動する。また、この接触子移動機構10の復帰力は、従動アーム15の上部側から鉛直軸線Zまでの距離や接触アーム9の傾斜形態などによって同一とならず、異なる力で戻ることとなる。
【0038】
また、この復帰力は、眼鏡枠W1のレンズ溝W1cの測定時には、当該レンズ溝W1cから接触子9aが離れようとする力である場合(逆方向もある)、第2駆動モータ14を電流制御し、その第2駆動モータ14の駆動トルクを、復帰力に応じて接触子9aを眼鏡枠W1のレンズ溝W1cに、該眼鏡枠W1が変形しない程度の力で軽圧接触させている。この軽圧接触は、接触子9aや接触アーム9自体に曲がり変形が発生しないようにした力でもあることも含んでいる。
【0039】
また、第2駆動モータ14の電流制御とは別に、図10、図11に示すように、従動アーム15の下部側と固定ギヤ11の歯車中心と同軸位置(第2軸線X)との間に、所定の引っ張り力を有する引張りバネとしてのバランススプリング19を張設することにより、このバランススプリング19の引っ張り力による、従動アーム15のあらゆる揺動位置における復帰力を略打ち消すような保持力を与えることができる。
【0040】
具体的には、第2軸線と同軸位置でテーブル6側に固定される第1支持ピン20に、バランススプリング19の一端側のフック片19aを掛止するとともに、従動アーム15の他端側における連結軸16の軸着位置よりもさらに他端寄りの端位置に固定される第2支持ピン21に、バランススプリング19の他端側のフック片19bを掛止した状態で張設している。これによってバランススプリング19の引っ張り力によって接触子移動機構10の自重が略キャンセルされ、接触子9aを軽い力で移動させることができる。
【0041】
つぎに、型板保持部5で保持される型板W2の外周形状の計測時に使用するための接触アーム下動規制機構22を備えている。この接触アーム下動規制機構22は、図12ないし図14に示すように、接触アーム9に形成される円弧ギヤ9bの側面に、第3軸線方向に軸心を有する回転自在なコロ23を設け、該コロ23を下動規制部材となしている。また、接触アーム9の他端側の軸着個所を軸心として、当該接触アーム9を揺動駆動手段としての第3駆動モータ18を作動させて、テーブル6表面から上方へ起立する姿勢で突出させ、かつ、後述する型板接触部9dを第1軸線方向に沿わせた状態のコロ23の真下に進退自在となすように、第3軸線方向(水平軸線Y)に案内軸24を横架している。この案内軸24は、その両端側をテーブル6裏面に固定される一対の垂下片25に第3軸線方向を軸心として回転自在に設けられる一対の可動片26に固定されている。この可動片26の一方には、該可動片26から第3軸線方向(水平軸線Y)に突出する形態で当接コロ27が設けられている。
【0042】
また、テーブル6の下部側には、案内軸24を移動させるべき、駆動機構部28が設けられている。この駆動機構部28は直流モータとしての第4駆動モータ29の回転軸の先端には、当接コロ27に当接し、該当接コロ27を押し下げて、コロ23の真下に案内軸24を位置させるように駆動する押圧カム30を有している。また、この案内軸24をコロ23の真下から離間させるために復帰バネ31が設けられている。
【0043】
接触アーム9の下動規制部材としてのコロ23の真下に、案内軸24を位置させた状態で、接触アーム9を第3駆動モータ18により揺動させ、案内軸24にコロ23を当接させ、接触アーム9の下動を規制した態様で、図15に示すように、接触アーム9の一端側の接触子9aとは、径方向Rで反対側となる当該接触アーム9の直線状の背縁側を、型板保持部5で保持された型板W2の外周縁に接触する型板接触部9dとなしている。この型板接触部9dは、型板W2の外周縁に点接触若しくは線接触させるように、図16に示すように、断面形状で先端側を先細り形態となすように円弧状もしくは三角状に形成されている。
【0044】
眼鏡枠形状測定装置による眼鏡枠W1のレンズ溝W1c、型板W2の測定として、眼鏡枠保持部4の一対の挟持部4aの間隔を広げた状態で、眼鏡枠W1を上方から挟持部4a間に位置させ、その後、眼鏡枠W1の左右のリムW1a、W1bを上下のクランプピン4bによって外側(本例では上下)から挟み(図1参照)、眼鏡枠W1を測定基準位置で保持する。つぎに、移動ベース8を測定すべき左右いずれかのリムW1a、W1bの下方に、テーブル6が眼鏡枠W1と対峙させるように移動させる。
【0045】
つぎに、テーブル6の表面から上方へ突出されている接触アーム9の接触子9aをレンズ溝W1cに接触させ、この接触位置を原点位置として、第1駆動モータ6bを作動制御し、テーブル6を回転させ、接触子9aが原点位置からスタートし、一周して原点位置に戻るまでの間に、回転角度検出手段である第1エンコーダ6dで検出するテーブル6の回転角度と、径移動量検出手段である第2エンコーダ14bで検出する接触子9aのレンズ溝W1cにおける径方法Rでの移動量と、接触子移動量検出手段である第3エンコーダ18cで検出する接触子9aの第1軸線方向(鉛直軸線Z方向)での移動量とが検出される。
【0046】
この各種検出手段によって、検出される検出結果に基づいてレンズ溝W1cの玉型形状が計測されるものであり、この玉型形状は、3次元データを生成する制御手段で生成される。この制御手段はマイクロコンピュータを主にした制御装置32が使用される。この制御装置32のマイクロコンピュータの構成は周知であるため詳しい説明は省略するが、図17に示すように、CPU32aを中心として構成しており、このCPU32aには、内部バス32bを介してROM32cが接続される。このROM32cに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。また、CPU32aには内部バス32bを介してRAM32dが接続されている。このRAM32dは、CPU32aが各種の処理を実行する上において必要なデータやプログラムなどが適宜記憶される。
【0047】
また、制御装置32の入出力インターフェース32eには、第1エンコーダ6d、第2エンコーダ14b、第3エンコーダ18c、第1駆動モータ6b、第2駆動モータ14、第3駆動モータ18、モータ7c、第4駆動モータ29が接続され、各モータの制御を実行するとともに、各エンコーダからの検出信号による検出結果に基づいて三次元データ(レンズ溝W1c測定時)、後述する二次元データ(型板W2測定時)を生成している。
【0048】
また、型枠W2の測定時には、接触アーム9の鉛直軸線Z方向の移動が図14に示すように、案内軸24上に、コロ23を当接させて規制されている状態で、直線状の型板接触部9dが図15に示すように、鉛直軸線Z方向と平行な状態で、型枠W2の周縁に接触させながら、テーブル6を1回転させることにより、接触アーム9の径方向Rの変位が水平面内でのテーブル6の回転角度に対応づけられて測定されることにより、2次元データが取得される。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 眼鏡形状測定装置
4 眼鏡枠保持部
6 テーブル
9 接触アーム
9a 接触子
10 接触子移動機構
13 主動アーム
15 従動アーム
16 連結軸
R 径方向
Z 鉛直軸線(第1軸線)
X 左右水平軸線(第2軸線)
Y 水平軸線(第3軸線)
W1 眼鏡枠
W1c レンズ溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡枠のレンズ溝に接触する接触子の移動によって前記眼鏡枠の玉型形状を測定する眼鏡形状測定装置において、
前記眼鏡枠を測定基準位置に保持する眼鏡枠保持部と、
前記眼鏡枠保持部で保持された前記眼鏡枠のレンズ配置面に直交する第1軸線を中心に回転するとともに表面側が前記眼鏡枠に対峙したテーブルと、
前記テーブルに設けられ、前記接触子を前記眼鏡枠の径方向に移動自在に支持する接触子移動機構と、を備え、
前記接触子移動機構は、前記第1軸線と直交する前記テーブルに平行な第2軸線を軸心とする前記テーブルの裏面側に設置された支持軸と、
該支持軸に上部側が軸着されて、前記第1軸線及び第2軸線と直交する前記径方向でもある第3軸線の方向に揺動自在となした主動アームと、
該主動アームの下部側に連結軸を介して下部側が連結されるとともに、該連結軸を軸心として前記第3軸線の方向に揺動自在となした従動アームと、
該従動アームの上部側に軸着されるとともに、端部に配置した前記接触子を前記テーブルの表面から前記眼鏡枠に向けて突出させる接触アームと、を有し、
前記主動アームと前記従動アームと前記接触アームとの軸着状態を変更して、前記接触アームの前記接触子を前記眼鏡枠に接触させることを特徴とする眼鏡形状測定装置。
【請求項2】
前記接触子移動機構は自由状態で、その自重によって前記接触アームの軸着個所を前記径方向の中央側に復帰させる復帰力を有し、前記主動アームには、自身を揺動させつつ前記従動アームも同方向に揺動させる駆動手段が設けられ、該駆動手段により前記復帰力に応じて、前記眼鏡枠が変形しない程度の力で前記レンズ溝に前記接触子を軽圧接触させることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項3】
前記第2軸線を軸心として前記テーブルに固定される固定ギヤと、
前記連結軸を軸心として当該従動アームに固定される可動ギヤと、
前記主動アームに固定される前記駆動手段で回転作動される中間ギヤと、を含み、
該中間ギヤは、前記可動ギヤと前記固定ギヤとの間で、両者と噛合するように設けられることを特徴とする請求項2に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項4】
前記固定ギヤの歯数を、前記可動ギヤの歯数の2倍となしたことを特徴とする請求項3に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項5】
前記接触子移動機構において、前記第2軸線と同軸位置で前記テーブルに固定される第1支持ピンに、一端側のフック片を掛止するとともに、前記従動アームの他端側における前記連結軸の軸着位置よりもさらに他端寄りの端位置に固定される第2支持ピンに、他端側のフック片を掛止した状態で所定の引張り力を有する引張りバネを設け、該引張りバネの引張り力により前記従動アームのあらゆる揺動位置における復帰力を略打ち消すような保持力を与えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項6】
型板を前記測定基準位置に保持する型板保持部と、
前記接触アームの他端側の前記軸着個所を軸心として、当該接触アームを揺動させる揺動駆動手段と、
前記接触アームに設けられる下動規制部材と、
該下動規制部材の真下に、進退自在となすように、前記第3軸線の方向に横架される案内軸と、を含み、
前記揺動駆動手段により前記接触アームの前記突出形態を、前記テーブルの表面から起立する姿勢となす揺動移動が行われた当該接触アームの前記下動規制部材の真下に、前記案内軸を位置させた状態で、前記接触アームを前記揺動駆動手段により揺動させ、前記案内軸に前記下動規制部材を当接させ、前記接触アームの下動を規制した態様で、前記接触アームの端部の接触子とは、前記径方向で反対側となる当該接触アームの背縁側を、前記型板保持部で保持された前記型板の外周縁に接触する型板接触部となしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項7】
前記型板接触部は前記型板の外周縁に、点接触若しくは線接触させることを特徴とする請求項6に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項8】
前記下動規制部材は、回転自在なコロであることを特徴とする請求項6又は7に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項9】
前記テーブルの回転角度を検出する角度検出手段と、
前記レンズ溝に接触して移動する前記接触子の第1軸線方向の移動量を検出する接触子移動量検出手段と、
前記接触子の前記径方向の移動量を検出する径移動量検出手段と、
前記角度検出手段、前記接触子移動量検出手段、前記径移動量検出手段によって検出される検出結果に基づいて3次元データを生成する制御手段と、
を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項1】
眼鏡枠のレンズ溝に接触する接触子の移動によって前記眼鏡枠の玉型形状を測定する眼鏡形状測定装置において、
前記眼鏡枠を測定基準位置に保持する眼鏡枠保持部と、
前記眼鏡枠保持部で保持された前記眼鏡枠のレンズ配置面に直交する第1軸線を中心に回転するとともに表面側が前記眼鏡枠に対峙したテーブルと、
前記テーブルに設けられ、前記接触子を前記眼鏡枠の径方向に移動自在に支持する接触子移動機構と、を備え、
前記接触子移動機構は、前記第1軸線と直交する前記テーブルに平行な第2軸線を軸心とする前記テーブルの裏面側に設置された支持軸と、
該支持軸に上部側が軸着されて、前記第1軸線及び第2軸線と直交する前記径方向でもある第3軸線の方向に揺動自在となした主動アームと、
該主動アームの下部側に連結軸を介して下部側が連結されるとともに、該連結軸を軸心として前記第3軸線の方向に揺動自在となした従動アームと、
該従動アームの上部側に軸着されるとともに、端部に配置した前記接触子を前記テーブルの表面から前記眼鏡枠に向けて突出させる接触アームと、を有し、
前記主動アームと前記従動アームと前記接触アームとの軸着状態を変更して、前記接触アームの前記接触子を前記眼鏡枠に接触させることを特徴とする眼鏡形状測定装置。
【請求項2】
前記接触子移動機構は自由状態で、その自重によって前記接触アームの軸着個所を前記径方向の中央側に復帰させる復帰力を有し、前記主動アームには、自身を揺動させつつ前記従動アームも同方向に揺動させる駆動手段が設けられ、該駆動手段により前記復帰力に応じて、前記眼鏡枠が変形しない程度の力で前記レンズ溝に前記接触子を軽圧接触させることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項3】
前記第2軸線を軸心として前記テーブルに固定される固定ギヤと、
前記連結軸を軸心として当該従動アームに固定される可動ギヤと、
前記主動アームに固定される前記駆動手段で回転作動される中間ギヤと、を含み、
該中間ギヤは、前記可動ギヤと前記固定ギヤとの間で、両者と噛合するように設けられることを特徴とする請求項2に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項4】
前記固定ギヤの歯数を、前記可動ギヤの歯数の2倍となしたことを特徴とする請求項3に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項5】
前記接触子移動機構において、前記第2軸線と同軸位置で前記テーブルに固定される第1支持ピンに、一端側のフック片を掛止するとともに、前記従動アームの他端側における前記連結軸の軸着位置よりもさらに他端寄りの端位置に固定される第2支持ピンに、他端側のフック片を掛止した状態で所定の引張り力を有する引張りバネを設け、該引張りバネの引張り力により前記従動アームのあらゆる揺動位置における復帰力を略打ち消すような保持力を与えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項6】
型板を前記測定基準位置に保持する型板保持部と、
前記接触アームの他端側の前記軸着個所を軸心として、当該接触アームを揺動させる揺動駆動手段と、
前記接触アームに設けられる下動規制部材と、
該下動規制部材の真下に、進退自在となすように、前記第3軸線の方向に横架される案内軸と、を含み、
前記揺動駆動手段により前記接触アームの前記突出形態を、前記テーブルの表面から起立する姿勢となす揺動移動が行われた当該接触アームの前記下動規制部材の真下に、前記案内軸を位置させた状態で、前記接触アームを前記揺動駆動手段により揺動させ、前記案内軸に前記下動規制部材を当接させ、前記接触アームの下動を規制した態様で、前記接触アームの端部の接触子とは、前記径方向で反対側となる当該接触アームの背縁側を、前記型板保持部で保持された前記型板の外周縁に接触する型板接触部となしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項7】
前記型板接触部は前記型板の外周縁に、点接触若しくは線接触させることを特徴とする請求項6に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項8】
前記下動規制部材は、回転自在なコロであることを特徴とする請求項6又は7に記載の眼鏡形状測定装置。
【請求項9】
前記テーブルの回転角度を検出する角度検出手段と、
前記レンズ溝に接触して移動する前記接触子の第1軸線方向の移動量を検出する接触子移動量検出手段と、
前記接触子の前記径方向の移動量を検出する径移動量検出手段と、
前記角度検出手段、前記接触子移動量検出手段、前記径移動量検出手段によって検出される検出結果に基づいて3次元データを生成する制御手段と、
を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の眼鏡形状測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−43466(P2011−43466A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193121(P2009−193121)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】
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