説明

眼鏡監視装置

【課題】運転者が着用している眼鏡が曇りやすい状態になっても運転者の状態監視が行えるようにする眼鏡監視装置を提供する。
【解決手段】眼鏡監視装置1は、眼鏡が曇り得る曇り条件が成立したときに眼鏡が曇らないようにするための反曇り動作をエアコン11に実行させるエアコン制御部3を有している。眼鏡監視装置1は、曇り条件の成否を判定する曇り条件判定部2と、車両内の温度または湿度を検知する車内温湿度検知部6と、車両外の温度または湿度を検知する車外温湿度検知手段7とを更に有し、曇り条件判定部2は、車内温湿度検知部6および車外温湿度検知部7の検知結果を用いて曇り条件の成否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が着用している眼鏡などの状態監視を行う眼鏡監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には運転者の顔の画像を撮影する顔画像撮像装置が知られている。この顔画像撮像装置は、車両室内に備えられた撮像手段から得られる撮像データを用いて画像処理を行い運転者の状態検出に用いる画像データを出力する。この種の顔画像撮像装置に関して、例えば特許文献1には、運転者が眼鏡を着用している場合においてその眼鏡レンズの表面反射により目が検出できないときに、近赤外光を運転者の顔面に照射して目を観測できるようにした顔画像撮像装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3316725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した顔画像撮像装置は、運転者が着用している眼鏡にレンズの表面反射があったとしても運転者の目を検出できるようになっている。
【0004】
しかし、運転者が眼鏡を着用しているときにその眼鏡が曇り、それによって運転者の目を正確に検出できなくなることが考えられる。そうすると、運転者の目の状態に基づく運転者の正確な状態監視が行えなくなったり、状態監視が実際の運転者の状態と異なったものとなって運転者の正確な支援が行えなくなることがある。また、眼鏡が曇ると運転者の状態の判定を中止して運転者の支援が行われなくなることもある。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、運転者が着用している眼鏡が曇りやすい状態になっても運転者の状態監視が行えるようにする眼鏡監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、運転者が着用している眼鏡の状態監視を行う眼鏡監視装置であって、眼鏡が曇り得る曇り条件が成立したときに眼鏡が曇らないようにするための反曇り動作を空調装置に実行させる空調制御手段を有する眼鏡監視装置を特徴とする。
【0007】
この眼鏡監視装置は、曇り条件が成立すると空調装置が反曇り動作を実行するため、眼鏡を曇らないようにすることができる。
【0008】
上記眼鏡監視装置は、曇り条件の成否を判定する曇り条件判定手段と、車両内の温度または湿度を検知する車内温湿度検知手段と、車両外の温度または湿度を検知する車外温湿度検知手段とを更に有し、曇り条件判定手段は、車内温湿度検知手段および車外温湿度検知手段の検知結果を用いて曇り条件の成否を判定するようにすることができる。
【0009】
このようにすると、曇り条件の成否に車内および車外の温度湿度を反映させることができる。
【0010】
また、上記眼鏡監視装置は、運転者の顔画像を撮影する顔画像撮影手段と、その顔画像撮影手段によって撮影された顔画像に基づき運転者の目を検知する目検知手段とを更に有し、空調制御手段は、目検知手段によって運転者の目が検知できない不検知回数が決められた回数を超えたときに反曇り動作を空調装置に実行させることが好ましい。
【0011】
こうすると、眼鏡が曇りそうな雰囲気であっても、目が検知できるときは空調装置が反曇り動作を実行しないこととなる。
【0012】
そして、さらに、上記眼鏡監視装置は、空調制御手段は、眼鏡の曇りを助長する曇り助長条件が成立したときに反曇り動作を空調装置に実行させることができる。
【0013】
このようにすると、眼鏡がより曇りそうなときにだけ反曇り動作が行われるようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上詳述したように、本発明によれば、運転者が着用している眼鏡が曇りやすい状態になっても運転者の状態監視が行えるようにした眼鏡監視装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係る眼鏡監視装置1の構成を示すブロック図である。眼鏡監視装置1は、曇り条件判定部2と、エアコン制御部3と、目検知部4と、眼鏡有無検知部5とを有している。また、眼鏡監視装置1は、車内温湿度検知部6と、車外温湿度検知部7と、ドライバカメラ8と、パワーウィンドウスイッチ9と、赤外線ランプ10とを有している。
【0017】
曇り条件判定部2は、エアコン制御部3、目検知部4および眼鏡有無検知部5とともにECU(Electronic Control Unit)によって構成されている。ECUは、CPU,ROM,RAM,入出力ポート等を備え、CPUがROMに記憶されている制御プログラムにしたがいRAMに対するデータの読み書きを行いながら作動して曇り条件判定部2、エアコン制御部3、目検知部4および眼鏡有無検知部5としての機能を実現している。
【0018】
曇り条件判定部2は、曇り条件の成否を判定し、曇り条件が成立し、かつ後述する条件C3、C4が成立したときに曇り条件成立信号d2をエアコン制御部3に出力する。曇り条件とは、車両を運転する運転者の着用している眼鏡が曇り得る(眼鏡に曇りが発生する)ための条件をいう。
【0019】
エアコン制御部3は、曇り条件判定部2から曇り条件成立信号d2が出力されたときに眼鏡が曇らないようにするための反曇り動作をエアコン11に実行させる。目検知部4は、後述するドライバカメラ8から入力する後述する顔画像データd8に基づき運転者の目の検知を行い、その検知結果を示す目検知データd4を曇り条件判定部2に出力する。
【0020】
眼鏡有無検知部5は、ドライバカメラ8からの顔画像データd8に基づき、運転者が眼鏡を着用しているか否かの検知を行い、その検知結果を示す眼鏡有無検知データd5を曇り条件判定部2に出力する。眼鏡有無検知部5は、例えば顔画像データd8に基づき、着用されている眼鏡のレンズ部に写り込んだ赤外線ランプ10から照射された赤外線の高輝度ポイントの有無に基づき、眼鏡の有無を検知する。このとき、高輝度ポイントが検知されたときは眼鏡の着用有り、そうでなければ眼鏡の着用無しとして検知する。また、画像のエッジの状態や、乱反射で目付近の画像が得られない場合に眼鏡の着用有り、そうでないときに眼鏡の着用無しとして検知してもよい。
【0021】
そして、車内温湿度検知部6は車内の温度および湿度を検知してその検知結果を示す車内温湿度検知データd6を曇り条件判定部2に出力する。車外温湿度検知部7は車外の温度および湿度を検知してその検知結果を示す車外温湿度検知データd7を曇り条件判定部2に出力する。
【0022】
ドライバカメラ8は光学レンズと、撮像素子としてのCCDと、CCDからの信号を処理する信号処理部とを有している。ドライバカメラ8は、光学レンズによってCCDに結像された運転者の顔を含む所定領域の画像を示す顔画像データd8を生成し、生成した顔画像データd8を目検知部4と眼鏡有無検知部5とに出力する。パワーウィンドウスイッチ9は、図示しないパワーウィンドウのスイッチが操作されたときにその操作内容に応じた操作信号d9を曇り条件判定部2に出力する。
【0023】
赤外線ランプ10は、運転者が着用している眼鏡のレンズによって反射されるようにして赤外線を照射する。この赤外線ランプ10は、眼鏡のレンズに写る自身の反射像がドライバカメラ8で撮影可能な位置に設置されている。
【0024】
続いて、図2を参照して、以上のような構成を有する眼鏡監視装置1の動作内容について詳述する。図2は、眼鏡監視装置1によって実現される眼鏡監視ルーチンの動作手順を示すフローチャートである。眼鏡監視ルーチンは運転者の状態を監視するための運転者状態監視ルーチン(図示せず)に組み込まれていて、運転者状態監視ルーチンの実行中に実行される。
【0025】
眼鏡監視装置1では、眼鏡監視ルーチンがスタートすると、まずS1で曇り条件判定部2が条件C1(眼鏡の着用有無を判定するための条件)の成否を判定する。この場合、曇り条件判定部2は眼鏡有無検知部5から入力される眼鏡有無検知データd5に基づき、眼鏡を表す輝度データの有無から運転者が眼鏡を着用しているか否かを判定し、運転者が眼鏡を着用しているときはS2に動作を進め、そうでなければ眼鏡監視ルーチンを終了させる。
【0026】
続くS2では、曇り条件判定部2が後述する条件C2前処理を実行し、続くS3で条件C2前処理の結果に基づき条件C2(曇り条件)の成否を判定する。曇り条件判定部2は、運転者が着用している眼鏡が曇り得ると判定するときはS4に動作を進め、そうでなければ眼鏡監視ルーチンを終了させる。
【0027】
S4では、曇り条件判定部2が後述する条件C3前処理を実行し、続くS5で条件C3前処理の結果に基づき条件C3(目を表す輝度データが検知できなくなっていると判定するための条件であって、目の不検知条件ともいう)の成否を判定する。曇り条件判定部2は、条件C3前処理の結果に基づき、目の不検知条件が成立しているか否かを判定し、目の不検知条件が成立していると判定するときはS6に動作を進め、そうでなければ眼鏡監視ルーチンを終了させる。
【0028】
そして、S6では、曇り条件判定部2が後述する条件C4前処理を実行し、続くS7で条件C4前処理の結果に基づき条件C4(眼鏡の曇りを助長することになる条件であって、曇り助長条件ともいう)の成否を判定する。曇り条件判定部2は、パワーウィンドウスイッチ9の操作によって車両の窓が開放される等して曇り助長条件が成立したか否かを判定し、曇り助長条件が成立したと判定するときはS8に動作を進め、そうでなければ眼鏡監視ルーチンを終了させる。
【0029】
眼鏡監視装置1では、S8に動作が進むと曇り条件判定部2が曇り条件成立信号d2をエアコン制御部3に出力してエアコン11の送風温度や風向を制御する。エアコン制御部3は、曇り条件成立信号d2を入力すると、眼鏡が曇らないようにするための動作(反曇り動作)をエアコン11に実行させ、その後、眼鏡監視ルーチンを終了させる。
【0030】
曇り条件判定部2は条件C2前処理を図3に示すフローチャートに沿って実行する。この条件C2前処理では、車内と車外の温度差、湿度差を検知し、その検知結果に基づき、眼鏡が曇り得る雰囲気の場合に後述する曇りフラグに所定のデータをセットしている。
【0031】
眼鏡が曇り得る雰囲気としては、例えば冷房中の場合等、車内が寒くて外が暑い場合において窓を開けた場合(この場合、眼鏡は冷たくなっている)、気温の低い冬に外から車内に乗り込んで暖房を入れ、急に温度を上昇させた場合(外が寒くて車内が暑い場合)などが考えられる(この場合も眼鏡は冷たくなっている)。車内における眼鏡レンズの温度差を検出するときは、例えば図9に示すように、IRマトリックスセンサ12で眼鏡の表面温度を検知する一方、エアコン11で車内温度を検知してその双方の差を算出すればよい。
【0032】
そして、曇り条件判定部2は条件C2前処理をスタートするとS11に動作を進め、車外温湿度検知データd7から外気温度(T1)と、外気湿度(M1)を検知する。次に、曇り条件判定部2はS12に動作を進めると、車内温湿度検知データd6から内気温度(T2)、内気湿度(M2)を検知する。続いて、曇り条件判定部2は、S13で外気温度(T1)と内気温度(T2)とを比較し、前者が後者よりも大きいときはS14に動作を進め、そうでなければS15に動作を進める。
【0033】
曇り条件判定部2は、S14に動作を進めると、外気温度(T1)での飽和水蒸気量×湿度によって外気に含まれる水蒸気量(W1)を算出する。また、曇り条件判定部2は、S15に動作を進めると、内気温度(T2)での飽和水蒸気量×湿度によって内気に含まれる水蒸気量(W2)を算出する。
【0034】
曇り条件判定部2は、S14に続いてS16に動作を進め、外気に含まれる水蒸気量(W1)−内気温度(T2)での飽和水蒸気量の値(第1の算出水蒸気量)を求めた上で、この第1の算出水蒸気量が所定の定数よりも大きいか否か(以下この条件を「第1の飽和条件」という)を判定する。曇り条件判定部2は、第1の飽和条件が成立したときはS18に動作を進め、眼鏡が曇り得る雰囲気であるとして曇りフラグに眼鏡が曇り得ることを示すデータ(例えば“9”)をセットするが、第1の飽和条件が成立しなければS18を実行せずに条件C2前処理を終了する。
【0035】
また、曇り条件判定部2は、S15に続いてS17に動作を進め、内気に含まれる水蒸気量(W2)−外気温度(T1)での飽和水蒸気量の値(第2の算出水蒸気量)を求めた上で、この第2の算出水蒸気量が所定の定数よりも大きいか否か(以下この条件を「第2の飽和条件」という)を判定する。曇り条件判定部2は、第2の飽和条件が成立したときはS18に動作を進め、眼鏡が曇り得る雰囲気であり、曇り条件が成立したことを示すデータ(例えば“9”)を曇りフラグにセットするが、そうでなければS18を実行せずに条件C2前処理を終了する。
【0036】
さらに、曇り条件判定部2は条件C3前処理を図4に示すフローチャートに沿って実行する。曇り条件判定部2は条件C3前処理をスタートするとS21に動作を進め、目検知データd4を用いて運転者の目の測定を行う。続くS22では、曇り条件判定部2が運転者の目を検知できなかったか否かを判定し、検知できなかったときはS23、検知できたときはS24にそれぞれ動作を進める。
【0037】
曇り条件判定部2は、S23に動作を進めると運転者の目を検知できなかった回数(フェール回数といい、不検知回数ともいう)Nに“1”を加算するが、S24に進むとフェール回数Nに“0”をセットしてフェール回数をクリアした後、条件C3前処理を終了する。さらに、曇り条件判定部2は、S23に続いてS25に動作を進め、フェール回数Nが決められた定数を超えたか否か(すなわち、ある回数以上連続してフェールしたか否か)を判定し、その場合はS26に動作を進め、そうでなければS26を実行せずに条件C3前処理を終了する。曇り条件判定部2は、S26に動作を進めるときは運転者の目を検知できなくなってきたとして、運転者の目を検知できなくなり、不検知条件が成立したことを示すデータ(例えば“99”)を不検知フラグにセットし、その後、条件C3前処理を終了する。
【0038】
そして、曇り条件判定部2は、条件C4前処理を図5に示すフローチャートに沿って実行する。曇り条件判定部2は、条件C4前処理をスタートするとS31に動作を進め、パワーウィンドウスイッチ9の開放用スイッチがオンになったか否かを判定し、その場合はS32に動作を進め、そうでなければ条件C4前処理を終了する。また、曇り条件判定部2は、S32に動作を進めると、運転者が窓を開けたとして、窓開放フラグに窓を開けたことを示すデータ(例えば“8”)をセットする。
【0039】
また、曇り条件判定部2は、条件C4前処理を図6に示すフローチャートに沿って実行することもできる。曇り条件判定部2は、条件C4前処理をスタートとするとS41に動作を進め、内気温度(T2)を検知する。続いてS42に動作を進め、第1の飽和条件の成否を判定し、第1の飽和条件が成立するときはS43に動作を進め、そうでなければS44に動作を進める。S43では、内気温度(T2)>エアコン設定温度、かつエアコンの風量>所定数、かつ窓が開いていることの条件(第1の高出力条件)の成否を判定し、第1の高出力条件が成立しているときはS45に動作を進め、そうでなければ条件C4前処理を終了する。また、S44では、内気温度(T2)<エアコン設定温度、かつエアコンの風量>所定数の条件(第2の高出力条件)の成否を判定し、第2の高出力条件が成立しているときはS45に動作を進め、そうでなければ条件C4前処理を終了する。S45では、エアコン11の出力が高くて急激な温度変化が予想され、曇り助長条件が成立したことを示すデータ(例えば“7”)を曇り助長フラグにセットする。
【0040】
一方、エアコン制御部3が曇り条件成立信号d2に応じてエアコン11を作動させる、すなわち、反曇り動作をエアコン11に実行させる場合、図7に示すフローチャートに沿って運転者の顔の方向を予測した上で、図8に示すフローチャートに沿ってエアコン11の送風を制御する。こうすることで、運転者の顔に追尾しながら運転者に風を当てて眼鏡が曇らないようにしている。この場合、運転者に直接風を当てると頭がぼーっとする等、運転者が不快になることがあるので、そうならないよう顔の位置を予測して、断続的にかつ温風と冷風を切り替えながら送風を行うとよい。
【0041】
図7は、エアコン制御部3が曇り条件成立信号d2に応じてエアコン11を作動させるときの顔の移動方向予測処理の動作手順を示すフローチャートである。エアコン制御部3は、移動方向予測処理を開始するとS51に動作を進め、運転者の顔の向き(角度θ1)を測定する。次に、S52に動作を進め、エアコン制御部3は、運転者の顔の向きの予測角度θ3を以下の式(1)に従って算出する。
θ3=θ1+(θ1−θ2)/サンプリング周期×予測したい時刻・・・(1)
(θ2は前回測定値)
【0042】
次に、エアコン制御部3はS53に動作を進め、S51で測定したθ1をθ2にセットし、その後、処理を終了する。
【0043】
また、エアコン制御部3は図8に示すフローチャートに沿ってエアコン11の送風を制御する。エアコン制御部3は動作をスタートすると、S61に動作を進め、送風パラメータTに“1”を加算する。次に、エアコン制御部3はS62に動作を進め、送風パラメータTがある定数を超えたか否かを判定し、その場合はS63、そうでなければ送風制御処理を終了する。
【0044】
エアコン制御部3はS63に動作を進めると、ある時刻後の顔向きの予測角度を測定し、続くS64では、S63で測定した予測角度に合わせて風向きを設定する。さらに、エアコン制御部3は、S65ではエアコン11に一定時間、所定温度で送風を行わせ、続くS66では、通常のエアコン制御に復帰して通常の送風をエアコン11に行わせる。さらに、S67では、送風パラメータTに“0”をセットして、送風制御処理を終了する。
【0045】
以上のように、本実施の形態に係る眼鏡監視装置1によれば、運転者が眼鏡を着用している場合において、曇り条件が成立し、かつ不検知条件および曇り助長条件が成立したとき、すなわち、眼鏡が確実に曇り出しそうなときは曇り条件判定部2がエアコン制御部3に曇り条件成立信号d2を出力しており、これにより、エアコン11が反曇り動作を行い、眼鏡が曇らないようになっている。
【0046】
そのため、たとえ運転者が着用している眼鏡が曇りそうな雰囲気であっても、眼鏡が曇り出すことを防ぎ、また、眼鏡が曇ることがあっても曇りを軽減できるようになっている。したがって、本実施の形態に係る眼鏡監視装置1を用いることにより、運転者の目の状態に基づく運転者の状態監視を行っているときは、眼鏡の曇りによる目の検出フェールを防止、軽減することができる。よって、眼鏡が曇りそうな雰囲気であっても、運転者の状態監視が正確なものとなり、実際の運転者の状態に基づいて運転者の正確な支援が行われるようになる。
【0047】
また、曇り条件判定手段は、車内温湿度検知部6および車外温湿度検知部7の検知結果を用いて曇り条件の成否を判定しているので、曇り条件の成否に車内および車外の温度湿度を反映させることができる。
【0048】
また、エアコン制御部3は、不検知回数が決められた回数を超えたときにだけ反曇り動作をエアコン11に実行させているので、眼鏡が曇りそうな雰囲気であっても、目が検知できるときはエアコン11が反曇り動作を実行しないこととなり、したがって、余計な反曇り動作が実行されないようになっている。さらに、エアコン制御部3は、曇り助長条件が成立したときに反曇り動作をエアコン11に実行させているので、眼鏡がより曇りそうなときにだけ反曇り動作が行われるようになっている。
さらに、本実施の形態に係る眼鏡監視装置1によれば、運転者を撮影した顔画像から運転者の目を検出し、その目の検出結果に応じて空調装置を制御することにより、眼鏡の曇りを抑制することができ、運転者の監視が適切に行える。
【0049】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る眼鏡監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】眼鏡監視装置によって実現される眼鏡監視ルーチンの動作手順を示すフローチャートである。
【図3】条件C2前処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】条件C3前処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】条件C4前処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】別の条件C4前処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図7】運転者の顔の方向予測処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図8】送風制御処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図9】眼鏡レンズと車内温度との差を求めるための構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1…眼鏡監視装置、2…曇り条件判定部、3…エアコン制御部、4…目検知部、5…眼鏡有無検知部、6…車内温度検知部、7…車外温度検知部、8…ドライバカメラ、11…エアコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が着用している眼鏡の状態監視を行う眼鏡監視装置であって、
前記眼鏡が曇り得る曇り条件が成立したときに前記眼鏡が曇らないようにするための反曇り動作を空調装置に実行させる空調制御手段を有すること、
を特徴とする眼鏡監視装置。
【請求項2】
前記曇り条件の成否を判定する曇り条件判定手段と、
車両内の温度または湿度を検知する車内温湿度検知手段と、
車両外の温度または湿度を検知する車外温湿度検知手段とを更に有し、
前記曇り条件判定手段は、前記車内温湿度検知手段および前記車外温湿度検知手段の検知結果を用いて前記曇り条件の成否を判定する、
請求項1記載の眼鏡監視装置。
【請求項3】
前記運転者の顔画像を撮影する顔画像撮影手段と、
該顔画像撮影手段によって撮影された前記顔画像に基づき前記運転者の目を検知する目検知手段とを更に有し、
前記空調制御手段は、前記目検知手段によって前記運転者の目が検知できない不検知回数が決められた回数を超えたときに前記反曇り動作を空調装置に実行させる、
請求項1または2記載の眼鏡監視装置。
【請求項4】
前記空調制御手段は、前記眼鏡の曇りを助長する曇り助長条件が成立したときに前記反曇り動作を前記空調装置に実行させる、
請求項1〜3のいずれか一項記載の眼鏡監視装置。
【請求項5】
運転者を撮影した顔画像から前記運転者の目を検出し、その目の検出結果に応じて空調装置を制御する眼鏡監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−137663(P2010−137663A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314792(P2008−314792)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】