説明

着信モード制御システム、着信モード制御方法、着信モード制御装置、及び携帯端末

【課題】携帯端末に対し、状況に応じて適切な着信モードを自動で設定する。
【解決手段】着信モード制御システム1は着信モード制御装置20と複数の携帯端末10とを備える。着信モード制御装置20は、携帯端末10から端末情報を受信する端末情報受信部201と、所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モード設定を分析し、特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部204と、協調モードを携帯端末10に送信する協調モード送信部205とを備える。携帯端末10は、端末情報を着信モード制御装置20に送信する端末情報送信部102と、着信モード制御装置20から協調モードを受信する協調モード受信部103と、協調モードの動作を反映させる協調モード反映部104とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末における着信モード設定を周辺の携帯端末と協調して自動的に変更する、着信モード制御システム、着信モード制御方法、着信モード制御装置、及び携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話が普及する一方で、その利用マナーに関しても重要な問題となっている。例えば、映画館、図書館、会議室などでは、携帯電話の着信モード設定を音が鳴るサウンドモードにしていると、着信時に音が鳴って他人に迷惑をかけてしまう。一方、自宅にいる場合や歩行中の場合、あるいは携帯端末を鞄の中に入れている場合などでは、携帯電話の着信モード設定をサウンドモードにしていても、他人に迷惑をかけるおそれはない。このような事情から、携帯端末の着信モード設定又は着信時の動作を自動的かつ状況に応じて適切に切り換える手法が求められている。
【0003】
そこで、携帯端末にGPS及びIMES(Indoor Messaging System)の双方を受信できる装置を取り付け、屋内外の位置情報を取得し、場所によってマナーモードに自動で切り替える技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chameleon Phone:屋内外での位置情報や環境情報に応じて機能を変化させるGPS携帯システム、小川 晃平、牧野 泰才、湊 宣明、神武 直彦、情報処理学会 インタラクション2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、携帯端末の着信モード設定は、周囲の状況を考慮しつつユーザが手動で切り換えている。しかしながら、映画館や会議室などの着信モードをマナーモードに設定すべき場所でマナーモード設定をし忘れることや、マナーモード設定にしたまま携帯端末を鞄に入れてしまったため、着信に気付かないことが多い。
【0006】
また、非特許文献1に記載の技法では、位置情報により、単体の携帯端末自身で着信モード設定をマナーモードに切り替えることができるが、事前に登録された特定の場所に限定されるものであった。また、ユーザ自身で場所を登録する必要があるため、登録の手間がかかると共に、初めて訪れた未登録の場所では着信モード設定の切り替え処理を行うことができなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決するため、事前に登録された特定の場所に限定されることなく、未登録の場所でも、状況に応じて適切な着信モードの動作に自動で切り替えることが可能な着信モード制御システム、着信モード制御方法、着信モード制御装置、及び携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するため、本発明では、周囲の携帯端末に設定された着信モードと協調した動作に自動的に切り替える手法を提案する。
【0009】
すなわち、本発明に係る着信モード制御システムは、着信モード制御装置と複数の携帯端末とを備え、携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御システムであって、前記着信モード制御装置は、携帯端末から、着信モード及び位置情報を含む端末情報を受信する端末情報受信部と、所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部と、前記協調モードを前記携帯端末に送信する協調モード送信部と、を備え、前記携帯端末は、前記端末情報を前記着信モード制御装置に送信する端末情報送信部と、前記着信モード制御装置から前記協調モードを受信する協調モード受信部と、前記協調モードの動作を反映させる協調モード反映部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る着信モード制御システムは、複数の携帯端末を備え、携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御システムであって、前記携帯端末は、着信モード及び位置情報を含む端末情報を周囲に位置する他の携帯端末に送信する端末情報送信部と、前記他の携帯端末から、該他の携帯端末の端末情報を受信する端末情報受信部と、所定のエリア内に位置する他の携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部と、前記協調モードの動作を反映させる協調モード反映部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る着信モード制御方法は、着信モード制御装置と複数の携帯端末により携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御方法であって、前記携帯端末により、携帯端末の着信モード及び位置情報を含む端末情報を前記着信モード制御装置に送信するステップと、前記着信モード制御装置により、前記携帯端末から、前記端末情報を受信するステップと、前記着信モード制御装置により、所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定するステップと、前記着信モード制御装置により、前記協調モードを前記携帯端末に送信するステップと、前記携帯端末により、前記着信モード制御装置から前記協調モードを受信するステップと、前記携帯端末により、前記協調モードの動作を反映させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る着信モード制御方法は、複数の携帯端末により携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御方法であって、前記携帯端末により、携帯端末の着信モード及び位置情報を含む端末情報を周囲に位置する他の携帯端末に送信するステップと、前記他の携帯端末から、該他の携帯端末の端末情報を受信するステップと、所定のエリア内に位置する他の携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定するステップと、前記協調モードの動作を反映させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る着信モード制御装置は、携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御装置であって、携帯端末から、携帯端末の着信モード及び位置情報を含む端末情報を受信する端末情報受信部と、所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部と、前記協調モードを前記携帯端末に送信する協調モード送信部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る携帯端末は、着信モード制御装置により着信モードが制御される携帯端末であって、前記携帯端末は、着信モード及び位置情報を含む端末情報を前記着信モード制御装置に送信する端末情報送信部と、所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モードの割合に基づいて決定された協調モードを受信する協調モード受信部と、前記協調モードの動作を反映させる協調モード反映部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る携帯端末は、着信モードを制御する携帯端末であって、前記携帯端末は、着信モード及び位置情報を含む端末情報を周囲に位置する他の携帯端末に送信する端末情報送信部と、前記他の携帯端末から、該他の携帯端末の端末情報を受信する端末情報受信部と、所定のエリア内に位置する他の携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部と、前記協調モードの動作を反映させる協調モード反映部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、事前に登録された特定の場所に限定されることなく、未登録の場所でも、状況に応じて適切な着信モードの動作に自動で切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による第1の実施形態の着信モード制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による第1の実施形態の端末情報データベースに格納された端末情報の一例を示す図である。
【図3】本発明による第1の実施形態の着信モード制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明による第1の実施形態のエリアの区分を説明する図である。
【図5】本発明による第1の実施形態の協調モードの決定方法の第1の例を説明するフローチャートである。
【図6】本発明による第1の実施形態の協調モードの決定方法の第2の例を説明するフローチャートである。
【図7】本発明による第1の実施形態の協調モードの決定方法の第3の例を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の効果を説明する図である。
【図9】本発明による第2の実施形態の着信モード制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図10】本発明による第2の実施形態の着信モード制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の着信モード制御システム1の概略構成を示すブロック図である。着信モード制御システム1は、複数の携帯端末10(10−1〜10−n)と、着信モード制御装置20とを備える。
【0020】
まず、携帯端末10の構成について説明する。各携帯端末10は、端末情報取得部101と、端末情報送信部102と、協調モード受信部103と、協調モード反映部104とを備える。
【0021】
端末情報取得部101は、端末情報を取得する。ここで、端末情報とは、ユーザにより設定された着信モード設定、位置情報、及び識別情報を含む情報のことをいう。着信モードとは、着信音を鳴らす「サウンドモード」、着信音を鳴らさない「マナーモード」、着信音を鳴らさず振動もさせない「サイレントモード」等である。
【0022】
また、本実施形態の携帯端末10は、着信モードとして、「自動適応モード」を有する。自動適応モードとは、デフォルト状態では特定のモード(例えばサウンドモード)として動作するが、着信モード制御装置20から後述する協調モードを受信すると、協調モードとして動作する(協調モードの動作が反映される)モードのことをいう。着信モード設定が自動適応モードの場合のみ、協調モードの動作が反映される。なお、着信モードに自動適応モードを設けず、着信モード制御装置20から協調モードを受信したときには、強制的に着信モード設定を協調モードに切り替えるようにしてもよい。以下、着信モードとして自動適応モードが設けられているものとして説明する。
【0023】
位置情報は、例えばGPSから得られる緯度経度情報とする。なお、位置情報を、携帯端末10に最も近い無線LANアクセスポイントの位置情報とすることや、GPSの電波を受信できなくなった場合にのみ携帯端末10に最も近い無線LANアクセスポイントの位置情報とすることも可能である。識別情報としては、携帯端末10の電話番号や、携帯端末10の固体識別番号や、携帯端末10に搭載されているSIM(Subscriber Identity Module)カードのIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号等を利用することができる。
【0024】
端末情報送信部102は、端末情報取得部101により取得した端末情報を着信モード制御装置20の端末情報受信部201に送信する。
【0025】
協調モード受信部103は、着信モード制御装置20の協調モード送信部205から、後述する協調モードを受信する。
【0026】
協調モード反映部104は、着信モード設定が自動適応モードである場合には、協調モード受信部103により受信した協調モードの動作を反映させる。
【0027】
次に、着信モード制御装置20の構成について説明する。着信モード制御装置20は、端末情報受信部201と、端末情報データベース202と、グルーピング部203と、協調モード決定部204と、協調モード送信部205とを備える。着信モード制御装置20は、携帯端末10と無線通信を行う基地局に実装するのが好適であるが、基地局とは個別に設けることも可能である。
【0028】
端末情報受信部201は、各携帯端末10から端末情報を受信する。携帯端末10の位置や着信モード設定は時間とともに変動する。そのため、端末情報受信部201は、定期的に携帯端末10に問い合わせて、携帯端末10から端末情報を受信する。あるいは、携帯端末10が定期的に、又は端末情報が変更されたときに、端末情報をプッシュしてもよい。端末情報受信部201は、各携帯端末10から受信した端末情報を、端末情報データベース202に登録する。
【0029】
端末情報データベース202は、携帯端末10の端末情報を格納する。図2は、端末情報データベース202に格納された端末情報の一例を示す図である。この端末情報は時間とともに更新される。
【0030】
グルーピング部203は、端末情報データベース202を参照し、位置情報によって、複数の携帯端末10をエリアごとにグルーピングする。端末情報データベース202の位置情報は時間とともに更新されるため、グルーピング部203は、定期的にグルーピングを行う。区分けされたエリアのサイズは、映画館など公共の場所を特定するために、数十メートル程度とするのが好適である。
【0031】
協調モード決定部204は、グルーピングされた(すなわち、区分けされた各エリア内に位置する)携帯端末10の着信モードを取得し、協調モードを決定する。ここで、協調モードとは、自動適応モードを除く着信モード(サウンドモード、マナーモード、サイレントモード等)のうち、周囲の携帯端末に設定された着信モードと協調した、状況に応じた適切なモードのことをいう。例えば映画館などで多くの携帯端末10の着信モード設定がマナーモードになっている状況においては、マナーモードが協調モードとなる。
【0032】
協調モード送信部205は、着信モード設定が自動適応モードである携帯端末10に協調モードを送信する。なお、協調モードと、携帯端末10から取得した着信モードに相違がある場合にのみ、協調モードを送信するようにしてもよいのは勿論である。
【0033】
次に、このように構成される着信モード制御システム1の動作について説明する。図3は、着信モード制御システム1の動作を説明するフローチャートである。まず、携帯端末10は、端末情報取得部101により端末情報を取得し、端末情報送信部102により端末情報を着信モード制御装置20に送信する(ステップS101)。着信モード制御装置20は、端末情報受信部201により、携帯端末10から端末情報を受信する(ステップS102)。
【0034】
着信モード制御装置20は、グルーピング部203により、複数の携帯端末10をエリアごとにグルーピングする(ステップS103)。図4は、グルーピング部203によるエリアの区分を説明する図である。着信モード制御装置20が基地局に実装される場合を例に説明すると、グルーピング部203はセルAを複数のエリアに区分する。各エリアをほぼ等しい面積となるように区分してもよいし、公共施設、オフィスビル、マンションといった建物の種類によって区分してもよい。図4(a)は、セルAを8等分してエリアa〜hとする例を示しており、図4(b)は、セルAを建物の種類によってエリアa〜iに区分する例を示している。
【0035】
次に、着信モード制御装置20は、協調モード決定部204により、協調モードを決定する(ステップS104)。そして、着信モード制御装置20は、協調モード送信部205により、着信モード設定が自動適応モードである携帯端末10に協調モードを送信する(ステップS105)。携帯端末10は、協調モード受信部103により協調モードを受信し、協調モード反映部104により協調モードの動作を反映させる(ステップS106)。
【0036】
ステップS104の協調モード決定部204による協調モードの決定方法には、いくつかの手法をとり得る。代表的な例について、図5〜7を参照して説明する。図5は、協調モード決定部204の第1の協調モード決定方法を説明するフローチャートである。まず、協調モード決定部204は、端末情報データベース202を参照し、区分されたエリアごとに、エリア内に位置する携帯端末10の着信モードを取得する(ステップS201)。そして、協調モード決定部204は、取得した着信モードについて、各着信モードの割合を算出する(ステップS202)。
【0037】
次に、協調モード決定部204は、着信モードの割合に偏りがあるか否かを判定する(ステップS203)。例えば、ある着信モードの割合が閾値を超えた場合に、偏りがあるとみなす。ステップS203にて、着信モードの割合に偏りがあると判定した場合には、協調モード決定部204は、最も多い着信モードを協調モードと決定する(ステップS204)。つまり、閾値が80%である場合に、マナーモードの割合が85%であると、マナーモードを協調モードと決定する。
【0038】
図6は、協調モード決定部204の第2の協調モード決定方法を説明するフローチャートである。まず、協調モード決定部204は、端末情報データベース202を参照し、区分されたエリアごとに、エリア内に位置する携帯端末10の着信モードを取得する(ステップS301)。そして、協調モード決定部204は、取得した着信モードについて、マナーモードの割合を算出する(ステップS302)。
【0039】
次に、協調モード決定部204は、マナーモードの割合が閾値を超えるか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303にて、マナーモードの割合が閾値を超えると判定した場合には、協調モード決定部204は、マナーモードを協調モードと決定する(ステップS304)。つまり、第2の協調モード決定方法では、マナーモードに着目し、マナーモードの割合が多い場合には、そのエリアはマナーモードが推奨されたエリアであるとみなし、マナーモードを協調モードと決定する。
【0040】
図7は、協調モード決定部204の第3の協調モード決定方法を説明するフローチャートである。第3の協調モード決定方法を行う場合には、端末情報に携帯端末10のマナーモード閾値を含むものとし、端末情報データベース202には、マナーモード閾値も蓄積されているものとする。マナーモード閾値とは、携帯端末10ごとに、ユーザにより設定される閾値である。かかる前提の下で、協調モード決定部204は、端末情報データベース202を参照し、区分されたエリアごとに、エリア内に位置する携帯端末10の着信モード及びマナーモード閾値を取得する(ステップS401)。そして、協調モード決定部204は、取得した着信モードについて、マナーモードの割合を算出する(ステップS402)。
【0041】
次に、協調モード決定部204は、マナーモードの割合がマナーモード閾値を超えるか否かを判定する(ステップS403)。例えば、マナーモードの割合が50%で、携帯端末10−1のマナーモード閾値が40%、携帯端末10−2のマナーモード閾値が60%である場合には、協調モード決定部204は、携帯端末10−1に対してはマナーモードの割合がマナーモード閾値を超えると判定し、携帯端末10−2に対してはマナーモードの割合がマナーモード閾値を超えないと判定する。そして、協調モード決定部204は、ステップS403にて、マナーモードの割合がマナーモード閾値を超えると判定された携帯端末10に対して、マナーモードを協調モードと決定する(ステップS404)。
【0042】
つまり、第3の協調モード決定方法では、携帯端末10ごとに設定されたマナーモード閾値に応じて、携帯端末10ごとにマナーモードを協調モードするか否かを決定する。例えば、携帯端末10−1のマナーモード閾値が低く設定されている場合には、周囲に着信モードをマナーモードに設定した人が少しでもいると過敏に反応し、携帯端末10−1の着信モード設定はマナーモードに切り替わることとなる。反対に、携帯端末10−2のマナーモード閾値が高く設定されている場合には、周囲に着信モードをマナーモードに設定した人が多くいなければ、携帯端末10−2の着信モード設定はマナーモードに切り替わらない。
【0043】
さらに、他の協調モード決定方法として、協調モード決定部204は、特定のエリアに対して、特定の協調モードを紐付けることも可能である。この方法によれば、例えば映画館において、携帯端末10の着信モード設定と関わりなく、強制的にマナーモードの動作を反映させることができる。
【0044】
さらに、他の協調モード決定方法として、協調モード決定部204は、区分されたエリアごとに、各着信モードの割合を統計的に算出し、閾値(例えば80%)を超える着信モードがある場合には、このエリアに対して、該着信モードを協調モードとして紐付けることも可能である。ここで、「統計的に算出」とは、1時間、1日、1週間といった単位時間あたりの着信モードの割合を算出することをいう。この方法によれば、時間に応じて着信モードの割合が変わるエリア(例えば、映画館においては上映時間のみマナーモードの割合が高くなる)において、特定の時間帯のみ協調モードの動作を反映させることができる。
【0045】
なお、上記紐付けを行う際に、協調モード決定部204は、協調モードを紐付けるエリアの候補をモニタ(図示せず)上に提示し、管理者からの指示を受け付けるようにしてもよい。この場合には、協調モード決定部204は、管理者からの指示に基づいて、最終的に紐付けを行うか否を決定する。
【0046】
このように、第1の実施形態の着信モード制御システム1によれば、場所に限定されることなく、状況に応じて適切な着信モードを自動で設定することが可能となる。例えば、普段はサウンドモードで利用し、映画館、図書館、会議室などサウンドモードが不適切な場所では、自動的にマナーモードに切り替えることができる。図8は、本発明が効果的な場面を示す図である。図8では、映画館において、一人だけがマナーモードにしていない状況を示している。着信モード制御システム1によれば、このときに、このマナーモードにしていないユーザの携帯端末10に対して、自動的にマナーモードの動作を反映させることができる。
【0047】
なお、サウンドモードに設定された携帯端末10に対し、周囲にマナーモードに設定された携帯端末10が多い環境において、自動的にマナーモードへ移行させるといった制御がメインとなるが、常にマナーモードに設定された携帯端末10に対し、ある場所ではサウンドモードに切り換えるといった制御も可能である。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明による第2の実施形態の着信モード制御システム2について説明する。第1の実施形態における着信モード制御システム1は、着信モード制御装置20が着信モードを集中的に管理する集中型の制御を行ったが、第2の実施形態における着信モード制御システム2は、携帯端末同士が相互に通信するアドホック型の制御を行う。
【0049】
図9は、第2の実施形態の着信モード制御システム2の概略構成を示すブロック図である。着信モード制御システム2は、複数の携帯端末11(11−1〜11−n)を備える。携帯端末11は、端末情報取得部111と、端末情報送信部112と、端末情報受信部113と、端末情報データベース114と、協調モード決定部115と、協調モード反映部116とを備える。
【0050】
第2の実施形態の端末情報取得部111、端末情報送信部112、端末情報データベース114、及び協調モード反映部116は、それぞれ第1の実施形態の端末情報取得部101、端末情報送信部102、端末情報データベース202、及び協調モード反映部104と同様であるため、説明を省略する。また、以下の説明において、着目する携帯端末とその周囲の他の携帯端末とを区別するため、着目する携帯端末の符号を11−aとし、携帯端末11−aの周囲の他の携帯端末の符号を11−bとして説明する。
【0051】
端末情報受信部113は、周囲の携帯端末11−bから端末情報を受信する。端末情報受信部113は、受信した端末情報を端末情報データベース114に登録する。
【0052】
協調モード決定部115は、端末情報データベース114を参照し、周囲の携帯端末11−bの着信モード設定を取得し、協調モードを決定する。
【0053】
次に、このように構成される着信モード制御システム2の動作について説明する。図10は、着信モード制御システム2の動作を説明するフローチャートである。まず、携帯端末11−aは、端末情報取得部111により端末情報を取得し、端末情報送信部112により端末情報を他の携帯端末11−bに送信する(ステップS501)。同時に、携帯端末11−aは、他の携帯端末11−bから端末情報を受信する(ステップS502)。
【0054】
次に、携帯端末11−aは、協調モード決定部115により、他の携帯端末11−bの着信モードを分析し、協調モードを決定する(ステップS503)。協調モードの決定方法は第1の実施例において説明した決定方法と同様である。すなわち、取得した他の携帯端末11−bの着信モードの割合に偏りがある場合にその着信モードを協調モードと決定したり、あるいは、マナーモードの割合が所定の閾値又はユーザにより設定されたマナーモード閾値を超える場合にマナーモードを協調モードと決定したりする。最後に、携帯端末11−aは、協調モード反映部116により協調モードを反映させる(ステップS504)。
【0055】
このように、第2の実施形態の着信モード制御システム2によれば、着信モード制御装置を別に設けることなく、簡易な方法で状況に応じて適切な着信モードを自動で設定することが可能となる。
【0056】
上述の各実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0057】
また、日本では、車両の優先座席付近では、携帯電話からの電波がペースメーカに与える影響を考慮して、携帯電話の電源を切ることが推奨されている。よって、着信モード設定に電源オフというモードを含めるようにしてもよい。なお、電源を切ると端末情報の送信ができなくなるが、電源オフ設定を行う際に、携帯端末から電源オフモードを端末情報としてモード制御装置20に送信した後に電源を切るようにすることで、対処できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
このように、本発明によれば、状況に応じて適切な着信モードを自動で設定することができるので、着信モード機能を有する任意の装置に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1,2 着信モード制御システム
10,11 携帯端末
20 着信モード制御装置
101,111 端末情報取得部
102,112 端末情報送信部
103 協調モード受信部
104,116 協調モード反映部
113,201 端末情報受信部
114,202 端末情報データベース
115,204 協調モード決定部
203 グルーピング部
205 協調モード送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信モード制御装置と複数の携帯端末とを備え、携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御システムであって、
前記着信モード制御装置は、携帯端末から、着信モード及び位置情報を含む端末情報を受信する端末情報受信部と、
所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部と、
前記協調モードを前記携帯端末に送信する協調モード送信部と、を備え、
前記携帯端末は、前記端末情報を前記着信モード制御装置に送信する端末情報送信部と、
前記着信モード制御装置から前記協調モードを受信する協調モード受信部と、
前記協調モードの動作を反映させる協調モード反映部と、を備える
ことを特徴とする着信モード制御システム。
【請求項2】
複数の携帯端末を備え、携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御システムであって、
前記携帯端末は、着信モード及び位置情報を含む端末情報を周囲に位置する他の携帯端末に送信する端末情報送信部と、
前記他の携帯端末から、該他の携帯端末の端末情報を受信する端末情報受信部と、
所定のエリア内に位置する他の携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部と、
前記協調モードの動作を反映させる協調モード反映部と、
を備えることを特徴とする着信モード制御システム。
【請求項3】
着信モード制御装置と複数の携帯端末により携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御方法であって、
前記携帯端末により、携帯端末の着信モード及び位置情報を含む端末情報を前記着信モード制御装置に送信するステップと、
前記着信モード制御装置により、前記携帯端末から、前記端末情報を受信するステップと、
前記着信モード制御装置により、所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定するステップと、
前記着信モード制御装置により、前記協調モードを前記携帯端末に送信するステップと、
前記携帯端末により、前記着信モード制御装置から前記協調モードを受信するステップと、
前記携帯端末により、前記協調モードの動作を反映させるステップと、
を含むことを特徴とする着信モード制御方法。
【請求項4】
複数の携帯端末により携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御方法であって、
前記携帯端末により、携帯端末の着信モード及び位置情報を含む端末情報を周囲に位置する他の携帯端末に送信するステップと、
前記他の携帯端末から、該他の携帯端末の端末情報を受信するステップと、
所定のエリア内に位置する他の携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定するステップと、
前記協調モードの動作を反映させるステップと、
を含むことを特徴とする着信モード制御方法。
【請求項5】
携帯端末の着信モードを制御する着信モード制御装置であって、
携帯端末から、携帯端末の着信モード及び位置情報を含む端末情報を受信する端末情報受信部と、
所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部と、
前記協調モードを前記携帯端末に送信する協調モード送信部と、
を備えることを特徴とする着信モード制御装置。
【請求項6】
着信モード制御装置により着信モードが制御される携帯端末であって、
前記携帯端末は、着信モード及び位置情報を含む端末情報を前記着信モード制御装置に送信する端末情報送信部と、
所定のエリア内に位置する携帯端末の着信モードの割合に基づいて決定された協調モードを受信する協調モード受信部と、
前記協調モードの動作を反映させる協調モード反映部と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
着信モードを制御する携帯端末であって、
前記携帯端末は、着信モード及び位置情報を含む端末情報を周囲に位置する他の携帯端末に送信する端末情報送信部と、
前記他の携帯端末から、該他の携帯端末の端末情報を受信する端末情報受信部と、
所定のエリア内に位置する他の携帯端末の着信モードを取得し、該取得した着信モードについて特定の着信モードの割合が閾値を超える場合には、該着信モードを協調モードと決定する協調モード決定部と、
前記協調モードの動作を反映させる協調モード反映部と、
を備えることを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−175387(P2012−175387A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35186(P2011−35186)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】