説明

着信通知システムとこのシステムに用いられる携帯通信端末

【課題】一人のユーザが複数の携帯通信端末を所有又は占有している場合において、身につけていると推定される携帯通信端末に少なくともその着信があったことを通知できる技術を提供する。
【解決手段】管理サーバ10が複数の携帯通信端末をグループ化して管理するグループ化端末設定部12と、各携帯通信端末20から送られてきた端末状況情報に基づいて有効端末と規定する有効端末情報を作成して各携帯通信端末に送る有効端末決定部14とを備えている。携帯通信端末は、端末状況情報を出力する端末状況検出手段22と、有効端末情報に基づいてグループ内の特定の携帯通信端末を前記有効端末と設定する有効端末設定部23と、自身が有効端末として設定されていない場合には外部通信の着信時に有効端末に対してこの着信を通知する着信処理手段25とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の携帯通信端末を管理して、ある携帯通信端末への着信を他の携帯通信端末に通知する着信通知技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電話や電子メールを転送する技術は広まっており、例えば、通信業者が管理する電話局で電話転送サービスを登録することにより電話の転送先が自動的に制御される。その際、発信元毎に自在に変更可能な転送サービスを可能にするため、電話転送サービスの実行及び解除を日付、曜日、及び時間のうちの少なくとも1つの情報に応じて自動的に指令する切換指令手段と、この切換指令手段により電話転送サービスの解除が指令されているときに電話局を介しての着信がある場合、この着信電話を発信した発信元に応じた転送先を着信電話毎に電話局に自動的に指令する第1の転送先指令手段とを備えた転送制御装置が知られている(例えば、特許文献1)。この転送制御装置では、業務時間やそうではない時間などに応じて使い分け可能なタイプの異なる2つの転送モードを利用することで、業務時間内の転送や週末、年末年始、夜間などの業務時間外の転送に対応させ、かつ、時間帯に応じて所望の転送モードを選択でき、さらに、発信元毎(発信元のユーザの電話機毎)に異なる転送先を指定できる。しかしながら、このような電話局による電話転送サービスでは、全ての電話転送を電話局側で管理しているため、電話局への登録が必要となり、日々変化するユーザ事情によって転送先が変更するような問題を解決するには不都合である。
【0003】
電子メールに関しては、サーバコンピュータに接続して電子メールの着信の有無を確認することなく電子メールの着信を確認できる電子メール着信通知装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この電子メール着信通知装置は、電子メールを受信する電子メール受信手段と、受信した電子メールを当該電子メールの宛先となるメールボックスに格納するとともに、予め定められた転送先にも当該電子メールの題名を送信する電子メール送信手段とを備えている。これより、電子メール転送先特定手段が転送先特定テーブルを参照して電子メールの転送先を特定し、電子メール送信手段が受信した電子メールの題名を当該転送先(例えば、電子メールの宛先となるユーザが所有する携帯端末のメールアドレス)に送信するので、ユーザはサーバコンピュータに接続して電子メールが到着しているか否かを確認しなくても、その着信を知ることができる。しかしながら、この従来技術においても、転送先を規定している転送先情報をサーバコンピュータの転送先特定テーブルに登録する必要があるので、日々変化するユーザ事情によって転送先が変更するような問題を解決するには不都合である。
【0004】
また、着呼時に携帯電話機が電話に出られない場所にある場合、または、着呼時刻が電話に出られない時間である場合には、電話の呼び出しに応答できないことを発信者に報知する携帯電話報知システムも提案されている(例えば、特許文献3参照)。このシステムに用いられる携帯電話機は、携帯電話機の位置を検出する位置検出手段と、ユーザが電話に出られない場所として登録した場所を記憶する場所記憶手段と、ユーザが電話に出られない時間として登録した時間を記憶する時間記憶手段と、電話に出られない場所と時間に対応するメッセージを記憶するメッセージ記憶手段と、着呼時に携帯電話機が電話に出られない場所にある場合、または、着呼時刻が前記電話に出られない時間である場合には、メッセージ記憶手段から前記電話に出られない場所または時間に対応するメッセージを読み出し、メッセージ送受信手段を介して発信元へ送信する自動応答手段とを備えている。しかしながら、このようなシステムにおいても、電話に出られない場所や時間が、日々のユーザ事情によって変化する場合、その設定が面倒であり、実用的な運用は難しい。
【0005】
また、携帯電話装置に着呼があった場合、携帯電話(携帯電話を持参するユーザ)の通話がとぎれがちとなる程度に高速移動していることが検出されている間は、その携帯電話に着呼を通知する前に基地局との通信を中断することで、発呼者に対し通話料が課金されないようにするため、携帯電話端末の動作の制御を行う制御手段と、着呼時に使用者に着呼を通知する着呼通知手段と、携帯電話端末があらかじめ設定した速度より高速に移動しているかどうかを検出する速度検出手段とを備えた携帯電話端末も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−298749号公報(段落番号0014−0040、図1)
【特許文献2】特開2001−282683号公報(段落番号0016−0030、0042、図1)
【特許文献3】特開2004−015159号公報(段落番号0004−0005、図3)
【特許文献4】特開2000−209656号公報(段落番号0017−0026、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
移動通信が劇的に広まったことにより、現在では一人に複数の携帯通信端末を所有又は占有しているケースが多くなっている。そのため、会社内では、内線可能な携帯電話、通勤途中や自宅では一般的な携帯電話、出張時にはPDAタイプの通信端末といったように、その時々でユーザが持参している携帯通信端末が異なることになる。それらの携帯通信端末の内、ユーザが持参していない携帯通信端末に電話や電子メールなどの着信があった場合でも、少なくともユーザが持参していると推定される携帯通信端末にそのような電話や電子メールの着信があったことを通知できると便利である。
上記実状に鑑み、本発明の課題は、一人のユーザが複数の携帯通信端末を所有又は占有している場合において、実際にそのユーザが持参していない携帯通信端末に着信があったとしても、そのユーザが身につけていると推定される携帯通信端末に少なくともその着信があったことを通知できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数の携帯通信端末と、前記携帯通信端末を管理する管理サーバとからなる着信通知システムにおいて上記課題を解決するため、本発明による着信通知システムでは、前記管理サーバが前記複数の携帯通信端末をグループ化して管理するグループ化端末設定部と、前記携帯通信端末がユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報に基づいて前記グループ化された携帯通信端末のうちで最も利用可能性の高い携帯通信端末を有効端末と規定する有効端末情報を作成して前記各携帯通信端末に送る有効端末決定部とを備え、かつ
前記携帯通信端末が、前記端末状況情報を出力する端末状況検出手段と、前記有効端末決定部から送られてきた前記有効端末情報に基づいてグループ内の特定の携帯通信端末を前記有効端末と設定する有効端末設定部と、自身が有効端末として設定されていない場合には外部通信の着信時に有効端末として設定された別の携帯通信端末に対してこの着信を通知する着信処理手段とを備えている。
【0009】
この構成では、各携帯通信端末に、ユーザによって利用される状況下であることを推定するための情報である端末状況情報を出力する端末状況検出手段が設けられているので、管理サーバは特定ユーザのためにグループ化された携帯通信端末のそれぞれから送られてくる端末状況情報から、ユーザが利用する可能性の最も高い携帯通信端末を有効端末として見つけ出すことができる。そして、この有効端末をグループ化された内のどの携帯通信端末に設定すべきかを規定している有効端末情報を各携帯通信端末に付与して設定させることにより、それぞれの携帯通信端末は、自身が有効端末でない状況において着信を受けた場合その時点で有効端末となっている携帯通信端末に少なくとも着信を受けたという情報を通知することができる。この着信通知の通信形態は電子メールが好適であるが、その場合は着信通知とともに着信された電子メールを同送することができる。また、着信通知を電話通信の形態で送る場合、次世代(3G)携帯電話などのようにサブアドレスを用いた着信時の文字表示が可能であるなら、その文字表示機能を用いて着信通知するとよい。いずれにしても、携帯通信端末がユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報に基づいて有効端末を決定し、有効端末と見なされなかった携帯通信端末への着信は有効端末と見なされた携帯通信端末に通知されるので、ユーザは安心してグループ化された複数の携帯通信端末から所望のものを選んで持参することができる。
【0010】
携帯通信端末がユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報の好適な具体例として、携帯通信端末自体の動きを示す動き情報が挙げられる。つまり、携帯通信端末自体の動きを検出して、動きがあればユーザが身につけているかあるいはユーザとともに移動していると判定するのである。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記端末状況検出手段は、携帯通信端末自体の動きを検出して動き情報を出力する動き検出部を備えるとともに、この動き情報を前記端末状況情報として出力するように構成されている。動き検出部に用いられる動きセンサとしては、コンパス、GPSモジュール、加速度センサ、振動センサなどが挙げられるが、その他の目的で携帯通信端末に備えられているものを兼用使用するとコスト的に有利である。
【0011】
携帯通信端末がユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報の他の好適な具体例は、実際にユーザが携帯通信端末を利用した事実を利用することである。これは、実際にユーザが利用しない限りこの情報が得られないという不利はあるが、最も確実にユーザが利用可能な携帯通信端末を特定する方法である。このため、本発明の好適な実施形態の1つとして、前記端末状況検出手段は、発信動作や受信応答動作を検出して端末利用情報を出力する使用検出部をさらに備えるとともに、この端末利用情報を前記動き情報とともに前記端末状況情報として出力するものがある。
【0012】
上記有効端末情報によって有効端末とはみなされない携帯通信端末は、ユーザによって利用されない可能性が高いわけであるから、電池の有効利用の観点から省エネルギーモードつまりスリープに設定されることが好ましい。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記携帯通信端末には外部通信の着信時にウエイクアップさせるスリープ・ウエイクアップ実行部が備えられ、前記有効端末設定部は、自身が有効端末でないことを規定する有効端末情報を受け取った場合、スリープモード実行コマンドをスリープ・ウエイクアップ実行部に与えるように構成されている。
【0013】
本発明では、管理サーバによってグループ化されて管理される携帯通信端末において上記課題を解決するため、本発明による携帯通信端末では、ユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報を出力して前記管理サーバに送る端末状況検出手段と、前記グループ化された携帯通信端末のうちで最も利用可能性の高い携帯通信端末を有効端末と規定している有効端末情報を前記管理サーバから受け取るとともに、この有効端末情報に基づいてグループ内の特定の携帯通信端末を前記有効端末と設定する有効端末設定部と、自身が有効端末として設定されていない場合には外部通信の着信時に有効端末として設定された別の携帯通信端末に対してこの着信を通知する着信処理手段とを備えている。このように構成された携帯通信端末も当然上述した本発明による着信通知システムと同様な作用効果を実質的にもたらすものであり、さらに上述した携帯通信端末に関する好適な実施形態を適用することも可能である。
【0014】
また、本発明は、上述したような管理サーバによってグループ化されて管理される携帯通信端末に実装される着信通知プログラムも権利範囲としており、そのような着信通知プログラムの特徴は、ユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報を出力して前記管理サーバに送る端末状況検出機能と、前記グループ化された携帯通信端末のうちで最も利用可能性の高い携帯通信端末を有効端末と規定している有効端末情報を前記管理サーバから受け取るとともに、この有効端末情報に基づいてグループ内の特定の携帯通信端末を前記有効端末と設定する有効端末設定機能と、自身が有効端末として設定されていない場合には外部通信の着信時に有効端末として設定された別の携帯通信端末に対してこの着信を通知する着信処理機能とをコンピュータに実現させることである。このように構成された着信通知プログラムも当然前述した本発明による着信通知システムと同様な作用効果を実質的にもたらすものであり、さらに上述した携帯通信端末に関する好適な実施形態を適用することも可能である。本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明による着信通知システムの1つの実施形態が模式的に示されており、以下の説明では、携帯通信端末は通常の通話機能以外に電子メール(以下単にメールと称する)機能を有する携帯電話20としているが、もちろん通信機能付きPDAなどを携帯通信端末として採用してもよいし、システム内においてこれらを混在させてもよい。
【0016】
このシステムでは、グループ化された複数の携帯電話20が特定のユーザによって所有ないしは占有されており、通常、このユーザがグループ化された携帯電話20の内の少なくとも1つを持参して利用することを前提とし、グループ化された携帯電話20のいずれかに着信があった時点で、このユーザが持参している可能性の最も高い携帯電話20にその着信を通知するしくみが構築されている。このように、携帯電話20を特定ユーザ毎にグループ化して管理するとともにグループ化された携帯電話20の内でそのユーザが持参している可能性の最も高い携帯電話20を決定するために管理サーバ10が備えられている。各携帯電話20は、携帯電話通信網1とゲートウェイ2とインターネット3を介して管理サーバ10との間でデータ伝送可能であり、同様にインターネットメールやWebブラウジングも可能となっている。さらにこの携帯電話20は、携帯電話通信網1を介して外部との間で通話やメールが可能であり、又、内線電話通信網4を介しての内線電話も可能である。
【0017】
管理サーバ10は、一般的なWebサービスの形態を採用しており、図2に示すように、インターネット3を通じて外部と情報のやり取りを行うデータ入出力部(例えばWebサーバ)11と、ユーザからの申し込みによりグループ化される携帯電話を設定して、そのグループ化設定データをデータベースとしてのグループ化端末管理テーブル13に登録するグループ化端末設定部12と、各携帯電話20から随時送られてくる端末状況情報(後で詳しく説明される)に基づいてグループ化された携帯電話20のうちで最も利用可能性の高い携帯電話を有効端末と決定してグループ化端末管理テーブル13に記録するとともに、この有効端末を規定している有効端末情報を各携帯電話20に送る有効端末決定部14を備えている。
【0018】
携帯電話20は、図2に示すように、本発明による特徴的な機能として、各種通信の着信・発信を制御する通信制御部21と、現状において携帯電話20がこの携帯電話20のユーザによって利用可能である状況下にあるかどうかを表す端末状況情報を管理サーバ10の有効端末決定部14に送る端末状況検出手段22と、管理サーバ10の有効端末決定部14から送られてきた有効端末情報に基づいて同じグループ内で最もユーザが利用している可能性の高い携帯電話と見なされた携帯電話20を有効端末として設定する有効端末設定部23と、通話やメールの着信が入った際に相手先電話番号や相手先メールアドレスなどの着信情報を取得する着信情報取得部24と、外部通信の着信時に自身が有効端末として設定されていない場合、有効端末設定部23によって設定されている有効端末である携帯電話20に対して着信情報取得部24から得られた着信情報に基づいてこの着信を通知する着信処理手段25とを備えている。
【0019】
携帯電話20がユーザによって利用可能である状況下にあるかどうかを表す端末状況情報として、ここでは携帯電話自体の動きを検出することで得られる動き情報が用いられる。つまり、携帯電話自体に動きがあれば、この携帯電話20をユーザが身につけているかあるいはこの携帯電話20がユーザとともに移動していると推定することができるからである。さらに、実際にユーザが携帯電話を利用した事実があれば、確実に携帯電話20がユーザによって利用可能である状況下にあるとみなせるので、そのような端末利用情報は端末状況情報として優先的に利用することができる。従って、この実施形態では、端末状況検出手段22は、携帯電話自体の動きを検出して動き情報を端末状況情報として出力する動き検出部22aと発信動作や受信応答動作を検出して端末利用情報を端末状況情報として出力する使用検出部22bとを備えている。
【0020】
実際の携帯電話20の動きを検出する動き検出デバイス26としては、コンパス、GPSモジュール、加速度センサ、振動センサのいずれか又はいずれかを組み合わせたものが使用される。例えば、コンパスは携帯電話20の向いている方位を得ることができるのでこの方位から動き情報を生成することができ、GPSモジュールは携帯電話20の緯度経度データを得ることができるのでこの緯度経度データから動き情報を生成することができ、加速度センサは携帯電話20の傾きデータを得ることができるのでこの傾きデータから動き情報を生成することができ、振動センサは携帯電話20に生じた振動に関するデータを得ることができるのでこの振動データから動き情報を生成することができる。このような動き検出デバイス26からの検出データ、さらに必要な場合はその経時的な検出データを処理して実際の携帯電話自体の動きを評価する処理は動き検出部22aで行ってもよいし、管理サーバ10の有効端末決定部14で行ってもよい。後者の場合、動き検出部22aは検出デバイス26からの検出データを動き情報(端末状況情報)として管理サーバ10に送り、有効端末決定部14で検出データから携帯電話自体の動きを評価することになり、前者の場合、検出デバイス26からの検出データに基づいて動き検出部22aが携帯電話自体の動きを評価してより具体的な動き情報として管理サーバ10に送ることになる。また、使用検出部22bは、通信制御部21で行われた発信動作や受信応答動作に基づいて端末利用情報生成して管理サーバ10の有効端末決定部14に送ることになる。
【0021】
有効端末設定部23には、有効端末決定部14から送られてきた有効端末情報に基づいて同じグループ内に属する携帯電話20がそれぞれ有効端末であるかあるいは非有効端末であるかどうかを記録している有効端末管理テーブル23aが付随している。また、有効端末情報に基づいて自身が有効端末でない(非有効端末)と設定された場合、有効端末設定部23はスリープ/ウエイクアップ実行部27にスリープコマンドを与え、この携帯電話20をスリープモードにする。スリープモード中の携帯電話20に通信の着信が入ると、着信情報取得部24がスリープ/ウエイクアップ実行部27にウエイクアップコマンドを与えることで、スリープモードから自動復帰(ウエイクアップ)する。
【0022】
有効端末でない携帯電話20に通信が入った場合、着信処理手段25は、有効端末管理テーブル23aに記録されている内容から現時点で有効端末と設定されている携帯電話20に対して着信があったことを通知することになる。この有効端末となっている携帯電話20に対する着信通知の内容は、着信してきた通信種によって異なる。例えば、通話が着信した場合は、通話着信処理部25aが着信情報取得部から得られる着信情報に基づいて特定された発信元の電話番号や内蔵電話帳を利用して抽出できる発信者氏名から通話着信があったことを有効端末となっている携帯電話20にメールで通知する。なお、互いの携帯電話20がサブアドレスを用いた着信時の文字表示が可能な機能を有する場合はメールに変えてこの機能を用いて着信通知してもよい。メールが着信した場合は、メール着信処理部25bが着信情報に基づいて特定された発信元のメールアドレスや内蔵電話帳を利用して抽出できる発信者氏名からメール着信があったことをそのメール本文を添付して有効端末となっている携帯電話20にメールで通知する。
【0023】
次に、上述した構成における着信通知システムの稼働手順の一例を図3を用いて説明する。まず、あるユーザが所有する2つの携帯電話(ここでは携帯電話Aと携帯電話Bする)をグループ化して、この着信通知サービスを利用したい場合、前処理として、携帯電話A又は携帯電話Bあるいは他のWebブラウザ搭載機器を用いて管理サーバ10のデータ入出力部11にアクセスし、所定の登録データ(ユーザ情報及び携帯電話Aと携帯電話Bの電話番号やメールアドレスなど)をグループ化端末設定部12に与える(#01)。このグループ化の登録処理は、追加・修正の目的で随時行うことができる(#02)。グループ化端末設定部12に与えられた登録データはグループ化端末管理テーブル13に記録される(#03)。グループ化端末管理テーブル13の内容の一例が図4に示されている。ここでは、グループID、登録者(ユーザ)、端末ID、電話番号、メールアドレスなどの登録項目以外にも、ステータスと最新端末状況情報を記録する項目が用意されている。ステータスには、グループ内において有効端末と見なされている端末には「アクティブ」が記録され、それ以外の端末には「スリープ」が記録され、端末状況情報には、各携帯電話20から送られてくる端末状況情報が所定期間の履歴とともに記録されている。
【0024】
グループ化された携帯電話20から有効端末を選択して設定する処理においては、各携帯電話20の端末状況検出手段から端末状況情報が管理サーバ10の有効端末決定部14に送られると(#04,#05)、この端末状況情報に基づいて有効端末決定部14が有効端末となる携帯電話20を決定し、グループ化端末管理テーブル13に記録する(#06)。
【0025】
この実施形態では、上述したように、端末状況情報には、動き検出部22aによって検出される動き情報と使用検出部22bによって検出される端末利用情報とが含まれている。ここでは、動き情報と端末利用情報を一体化するため、動き係数というパラメータが用いられ、使用検出部22bが発信又は着信応答を検出すれば、動き係数に「1」が設定され、動き検出部22aが携帯電話自体の動きを検出すれば、動き係数に「2」が設定される。この動き係数が各携帯電話を特定するコードとともに端末状況情報として有効端末決定部14に送られる。携帯電話に何も動きなければ、端末状況情報を有効端末決定部14に送らなくてもよいし、また、動き係数に「0」を設定して送ってもよい。
【0026】
有効端末決定部14は、送られてきた端末状況情報に基づいて有効端末を選択設定するが、そこで用いられる選択設定アルゴリズムの一例を説明する。但し、本発明では、以下の選択設定アルゴリズムに限定されるわけではない。また、端末利用情報として発信又は着信応答を用いるだけでなく、メールの送信操作回数や通信(通話やメール)の発信回数、通話時間の積算値、メニュー画面の操作回数などを採用してもよい。
(1)携帯電話Aが「2」で携帯電話Bが「2」の場合、所定期間内で最も頻繁に動き係数「1」が付与された方のステータスを「アクティブ」(有効端末)とし、所定期間内で両方とも動き係数「1」が付与されていない場合、所定期間内で最も頻繁に動き係数「1」又は「2」が付与された方のステータスを「アクティブ」(有効端末)とする。
(2)携帯電話Aと携帯電話Bの一方が「1」又は「2」で他方が「0」の場合、「1」又は「2」の方のステータスを「アクティブ」(有効端末)とする。
(3)携帯電話Aが「0」で携帯電話Bが「0」の場合、所定期間内で最も動き係数の変化が頻繁であった方のステータスを「アクティブ」(有効端末)とする。
(4)携帯電話Aが「2」で携帯電話Bが「1」の場合、携帯電話Aのステータスを「アクティブ」(有効端末)とする。
(5)携帯電話Aが「1」で携帯電話Bが「2」の場合、携帯電話Bのステータスを「アクティブ」(有効端末)とする。
(6)携帯電話Aが「1」で携帯電話Bが「1」の場合、所定期間内で最も頻繁に動き係数「1」が付与された方のステータスを「アクティブ」(有効端末)とする。
【0027】
さらに、有効端末決定部14は、設定した有効端末を規定している有効端末情報を各携帯電話20に送る(#07,#10)。有効端末情報を受け取った各携帯電話20側では、この有効端末情報に基づいて有効端末設定部23が同一グループに属する携帯電話20の各種データとともに有効端末が特定できるデータを有効端末管理テーブル23aに記録する(#08,#11)。有効端末情報のデータ構造とこの有効端末情報を展開して作成される有効端末管理テーブル23aの内容の一例が図5に示されているが、この例では、携帯電話Aが有効端末に設定されているとして、携帯電話Aのステータスに「アクティブ」が記録され、携帯電話Bのステータスに「スリープ」が記録されている。その他に、同一グループに属する携帯電話20の電話番号やメールアドレスも記録されており、この情報を参照することで、一方の携帯電話20から他方の携帯電話20に自動通信することができる。
【0028】
有効端末設定部23は、有効端末情報に基づいて有効端末管理テーブル23aのステータスを書き換えるとともに、自身の携帯端末がアクティブからスリープに設定された場合、スリープコマンドをスリープ/ウエイクアップ実行部27に与えてスリープモードとし、自身の携帯端末がスリープからアクティブに設定された場合ウエイクアップコマンドをスリープ/ウエイクアップ実行部27に与えてスリープモードを解除する(#09,#12)。
【0029】
このような有効端末設定状態において、スリープモードの携帯電話Bに通話又はメールの着信が入ると(#13)、着信情報取得部24は、スリープ/ウエイクアップ実行部27にウエイクアップコマンドを与えてスリープモードを解除するとともに(#14)、着信処理手段25に着信情報を与える(#15)。着信処理手段25は、受け取った着信情報から、通話着信又はメール着信かを判断し、通話着信の場合は、通話着信処理部25aが、メール着信の場合メール着信処理部25bが上述した着信通知を有効端末である携帯電話Aに対して行う(#16)。その後、再び携帯電話Bをスリープモードに戻すためスリープ/ウエイクアップ実行部27にスリープコマンドを与える(#17)。このような一連の処理により、同一グループ内において、ユーザが持参していないと見なされる携帯電話(非有効端末)20への着信が全てユーザが持参していると見なされる携帯電話(有効端末)20に通知されるので、一人のユーザが複数の携帯電話20を所有又は占有している場合において、実際にそのユーザが持参していない携帯電話に着信があったとしても、その着信をユーザが即座に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による着信通知システムの模式図
【図2】着信通知システムに用いられる管理サーバと携帯電話の機能ブロック図
【図3】本発明による着信通知システムにおける着信通知手順の一例を示すダイヤグラム
【図4】グループ化端末管理テーブルの説明図
【図5】有効端末管理テーブルの説明図
【符号の説明】
【0031】
10:管理サーバ
11:データ入出力部
12:グループ化端末設定部
13:グループ化端末管理テーブル
20:携帯電話(携帯通信端末)
21:通信制御部
22:端末状況検出手段
22a:動き検出部
22b:使用検出部
23:有効端末設定部
23a:有効端末管理テーブル
24:着信情報取得部
25:着信処理手段
25a:通話着信処理部
25b:メール着信処理部
26:動き検出デバイス
27:スリープ/ウエイクアップ実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯通信端末と、前記携帯通信端末を管理する管理サーバとからなる着信通知システムにおいて、
前記管理サーバが前記複数の携帯通信端末をグループ化して管理するグループ化端末設定部と、前記携帯通信端末がユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報に基づいて前記グループ化された携帯通信端末のうちで最も利用可能性の高い携帯通信端末を有効端末と規定する有効端末情報を作成して前記各携帯通信端末に送る有効端末決定部とを備え、かつ
前記携帯通信端末が、前記端末状況情報を出力する端末状況検出手段と、前記有効端末決定部から送られてきた前記有効端末情報に基づいてグループ内の特定の携帯通信端末を前記有効端末と設定する有効端末設定部と、自身が有効端末として設定されていない場合には外部通信の着信時に有効端末として設定された別の携帯通信端末に対してこの着信を通知する着信処理手段とを備えている着信通知システム。
【請求項2】
前記端末状況検出手段は、携帯通信端末自体の動きを検出して動き情報を出力する動き検出部を備えるとともに、この動き情報を前記端末状況情報として出力することを特徴とする請求項1に記載の着信通知システム。
【請求項3】
前記動き検出部は、コンパス、GPSモジュール、加速度センサ、振動センサのいずれかを動き検出センサとして用いていることを特徴とする請求項2に記載の着信通知システム。
【請求項4】
前記端末状況検出手段は、発信動作や受信応答動作を検出して端末利用情報を出力する使用検出部をさらに備えるとともに、この端末利用情報を前記動き情報とともに前記端末状況情報として出力することを特徴とする請求項2又は3に記載の着信通知システム。
【請求項5】
前記携帯通信端末には外部通信の着信時にウエイクアップさせるスリープ・ウエイクアップ実行部が備えられ、前記有効端末設定部は、自身が有効端末でないことを規定する有効端末情報を受け取った場合、スリープモード実行コマンドをスリープ・ウエイクアップ実行部に与えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の着信通知システム。
【請求項6】
管理サーバによってグループ化されて管理される携帯通信端末において、
ユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報を出力して前記管理サーバに送る端末状況検出手段と、前記グループ化された携帯通信端末のうちで最も利用可能性の高い携帯通信端末を有効端末と規定している有効端末情報を前記管理サーバから受け取るとともに、この有効端末情報に基づいてグループ内の特定の携帯通信端末を前記有効端末と設定する有効端末設定部と、自身が有効端末として設定されていない場合には外部通信の着信時に有効端末として設定された別の携帯通信端末に対してこの着信を通知する着信処理手段とを備えている携帯通信端末。
【請求項7】
管理サーバによってグループ化されて管理される携帯通信端末に実装される着信通知プログラムにおいて、
ユーザによる利用可能な状況下にあるかどうかを表す端末状況情報を出力して前記管理サーバに送る端末状況検出機能と、前記グループ化された携帯通信端末のうちで最も利用可能性の高い携帯通信端末を有効端末と規定している有効端末情報を前記管理サーバから受け取るとともに、この有効端末情報に基づいてグループ内の特定の携帯通信端末を前記有効端末と設定する有効端末設定機能と、自身が有効端末として設定されていない場合には外部通信の着信時に有効端末として設定された別の携帯通信端末に対してこの着信を通知する着信処理機能とをコンピュータに実現させる着信通知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−104067(P2008−104067A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286387(P2006−286387)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】