説明

矩形板状物の割れ検査方法及び検査装置

【課題】ガラス板の割れの有無を検査する。
【解決手段】切り折り対象のガラス板の一端面に接触し、当該一端面からその反対側の他端面に向かって移動しながらガラス板の表面に切り折りの起点となる傷を入れ、前記他端面に到達した場合に前記表面及び他端面に対する接触が解除されるカッタを備えた切機を用いて、ガラス基板の割れを検査する検査方法において、前記カッタがガラス基板の一端面に接触したか否かを検出するステップと、前記カッタがガラス基板の一端面に接触した時点の当該カッタの位置を、ガラス基板の一端面の位置として検出するステップと、前記検出したガラス基板の一端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較するステップと、前記比較の結果に基づいて、前記検出したガラス基板の一端面に割れが存在するか否かを判定するステップと、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板等の矩形板状物の割れ検査方法及び検査装置に関し、特にガラス板等の矩形板状物の切断の完了を待つことなく迅速に割れの検査を行うことが可能な検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、品質管理上、ガラス板等の矩形板状物の端面の割れを検査することが求められており、この要求に応える装置として、例えば、透明基板の端面を撮像し、当該撮像した画像を用いて透明基板の端面の欠陥等を検出する検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第04/079352号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の検査装置は、透明基板の切断後に当該切断後の透明基板の端面を撮像し、当該撮像した画像中の光の強度(濃度等)に基づいて割れ等の欠陥を検出する構成を備えている。そのため、透明基板の端面を検査するには、透明基板の切断の完了を待たなければならず、迅速に端面を検査することが出来ない、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ガラス板等の矩形板状物の切断の完了を待つことなく迅速に割れの検査を行うことが可能な検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触し、当該一端面からその反対側の他端面に向かって移動しながら前記矩形板状物の表面に切り折りの起点となる傷を入れ、前記他端面に到達した場合に前記表面及び他端面に対する接触が解除されるカッタを備えた切機を用いて、前記切り折り対象の矩形板状物の割れを検査する検査方法において、前記カッタが前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触したか否かを検出するステップと、前記カッタが前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触した時点の当該カッタの位置を、前記切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置として検出するステップと、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較するステップと、前記比較の結果に基づいて、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に割れが存在するか否かを判定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、カッタが切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触した時点の当該カッタの位置を、切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置として検出し、当該検出した切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較し、当該比較の結果に基づいて、切り折り対象の矩形板状物の一端面に割れが存在するか否かを判定するため、矩形板状物の切断の完了を待つことなく、矩形板状物の切断途中において、矩形板状物の一端面に割れが存在するか否かを検査すること、すなわち、切り折り対象の矩形板状物の表面に切り折りの起点となる傷を入れると同時に、当該切り折り対象の矩形板状物に割れが存在するか否かを検出することが可能となる。
【0008】
また、カッタが切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触したことをもって割れの検出を行うため、非接触で検出を行う場合と比べ、誤判定を少なくすることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記カッタの前記表面及び他端面に対する接触が解除されたか否かを検出するステップと、前記カッタの前記表面及び端面に対する接触が解除された時点の当該カッタの位置を、前記切り折り対象の矩形板状物の他端面の位置として検出するステップと、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の他端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較するステップと、前記比較の結果に基づいて、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の他端面に割れが存在するか否かを判定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、カッタが切り折り対象の矩形板状物の表面及び他端面に対する接触が解除された時点の当該カッタの位置を、切り折り対象の矩形板状物の他端面の位置として検出し、当該検出した切り折り対象の矩形板状物の他端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較し、当該比較の結果に基づいて、切り折り対象の矩形板状物の他端面に割れが存在するか否かを判定するため、矩形板状物の切断の完了を待つことなく、矩形板状物の切断途中において、矩形板状物の他端面に割れが存在するか否かを検査すること、すなわち、切り折り対象の矩形板状物の表面に切り折りの起点となる傷を入れると同時に、当該切り折り対象の矩形板状物に割れが存在するか否かを検出することが可能となる。
【0011】
また、上記の請求項1または2に記載の発明において、矩形板状物がFPD用ガラス基板であることが好ましい。高精度で端面の加工を行うことができるからである。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触し、当該一端面からその反対側の他端面に向かって移動しながら前記矩形板状物の表面に切り折りの起点となる傷を入れ、前記他端面に到達した場合に前記表面及び他端面に対する接触が解除されるカッタを備えた切機を用いて、前記切り折り対象の矩形板状物の割れを検査する検査装置において、前記カッタが前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触したか否かを検出する手段と、前記カッタが前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触した時点の当該カッタの位置を、前記切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置として検出する手段と、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較する手段と、前記比較の結果に基づいて、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に割れが存在するか否かを判定する手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、複雑な構成の切断装置を用いることなく、メンテナンスが容易で、工程での処理時間を短くすることができ、かつ信頼性の高い検査方法及び検査装置を提供することができる。本発明は、矩形板状物の切り折り工程に適用することができるが、形状品位や端面品位の精度が求められる電子デバイス用のガラス板の製造に好適である。特に、FPD用ガラス基板の製造に好適である。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、ガラス板等の矩形板状物の切断の完了を待つことなく迅速に割れの検査を行うことが可能な検査方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態であるガラス板の割れ検査方法に用いられるガラス切機10に用いられるガラスカッタ部の動作の説明図。
【図2】本発明の一実施形態であるガラス板の割れ検査方法に用いられるガラス切機10のシステム構成図。
【図3】ガラス板の製造工程(切断以降の後工程)の説明図。
【図4】ガラス板20の割れを検査するための方法を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態であるガラス板の割れ検査方法に用いられるガラス切機10に用いられるガラスカッタ部の動き(変形例)の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るガラス板の割れ検査方法の好ましい実施の形態を詳説する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態であるガラス板の割れ検査方法に用いられるガラス切機10に用いられるガラスカッタ部の動きを説明するための図である。図2は、本発明の一実施形態であるガラス板の割れ検査方法に用いられるガラス切機10のシステム構成図である。図3は、ガラス板の一般的な製造工程の説明図である。
【0018】
[ガラス切機の概要]
図3に示すように、フラットパネルディスプレイ用のガラス板(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス板、フィールドエミッションディスプレイ用のガラス板、有機ELディスプレイもしくは有機EL平面光源用のガラス板)は、一般的に、所定の厚みに製造されたガラス板を所定サイズに切り折りする切り折り工程(T)、当該切り折り後のガラス板の端面に対し、研削砥石や研磨砥石を用いて面取り加工を施す面取り工程(T)、当該面取り加工後のガラス板に対し、洗浄・乾燥を行う洗浄・乾燥工程(T)、当該洗浄・乾燥後のガラス板の外形形状を測定する測定工程(T)等を経て製造される。
【0019】
図1に示すように、ガラス切機10は、カッタ12bが備えられた装置である。カッタ12bは、切り折り対象のガラス板20の一端面(例えば20a)に接触し、当該一端面(例えば20a)からその反対側の他端面(例えば20b)に向かって移動しながら当該切り折り対象のガラス板20の表面に折りの起点となる傷を入れるための装置である。切り折り工程の上流側に設置されている。切り折り対象のガラス板20は、矩形のガラス板(例えば長さ数m×幅数m×厚み数mm程度)であり、公知の搬送手段(図示せず)により搬送され、ガラス切機10のテーブル(図示せず)上に位置決めされ載置される。
【0020】
ガラス切機10は、カッタ12bを用いて、当該テーブル上に位置決め載置された切り折り対象のガラス板20の表面に折りの起点となる傷を入れる。また、それと同時に、当該切り折り対象のガラス板20に割れが存在するか否かを検出することができる。
【0021】
[ガラス切機の構成]
図1、図2に示すように、本例におけるガラス切機10は、ガラス板20の四辺に対応して4つのガラスカッタ部12X1〜12Y2、4つのカッタ駆動機構14X1〜14Y2、制御装置16、記憶装置18等を備えている。
【0022】
図2に示すように、ガラスカッタ部12X1〜12Y2はそれぞれ、カッタブロック12a、当該カッタブロック12aに上下動可能に装着されたカッタ12b(例えばダイヤモンドチップ)、当該カッタ12bがガラス板20の端面(例えば20a)に接触する等してカッタブロック12aに対し所定量上方に移動した場合に通電し、当該接触が解除されカッタ12bがカッタブロック12aに対し元の状態に復帰した場合に非通電となる接触センサとしてのスイッチ(図示せず)等を備えている。
【0023】
ガラスカッタ部12X1、12X2はそれぞれ、例えば、一定間隔をおいて配置されたX方向に延びる二本のガイド部材(図示せず)にスライド移動自在に装着されている。同様に、ガラスカッタ部12Y1、12Y2は、例えば、一定間隔をおいて配置されたY方向に延びる二本のガイド部材(図示せず)にスライド移動自在に装着されている。
【0024】
カッタ駆動機構14X1、14X2はそれぞれ、ガラスカッタ部12X1、12X2をX方向に延びるガイド部材(図示せず)に沿ってX方向に直動させるための機構である。例えば、ガラスカッタ部12X1、12X2に連結されたX方向に延びるボールネジ、当該ボールネジを回転させるためのサーボモータ(いずれも図示せず)等を含むサーボ機構である。同様に、カッタ駆動機構14Y1、14Y2はそれぞれ、ガラスカッタ部12Y1、12Y2をY方向に延びるガイド部材に沿ってY方向に直動させるための機構である。例えば、ガラスカッタ部12Y1、12Y2に連結されたY方向に延びるボールネジ、当該ボールネジを回転させるためのサーボモータ(いずれも図示せず)等を含むサーボ機構である。
【0025】
制御装置16は、MPUやCPU等の演算・制御手段を備えており、当該演算・制御手段が記憶装置18に読み込まれた所定プログラムを実行することにより、ガラスカッタ部12X1〜12Y2が原点位置から指令位置まで移動するようにサーボモータそれぞれを制御する制御手段等として機能する。
【0026】
記憶装置18は、RAM等の記憶装置であり、予め定められた設定範囲(例えば、割れの無い正常なガラス板の端面の位置±数ミリの範囲)が予め格納されている。
【0027】
[ガラス板の割れ検査方法]
次に、上記のガラス切機10を用いて、ガラス板の割れを検査するための方法について図を参照しながら説明する。図4は、当該方法を説明するためのフローチャートである。以下の処理は、主に、制御装置16が、記憶装置18に読み込まれた所定プログラムを実行することにより実現される。
【0028】
以下の処理においては、切り折り対象のガラス板20がガラス切機10のテーブル(図示せず)上に位置決めされ載置されているものとする。
【0029】
制御装置12は、ガラスカッタ部12X1〜12Y2(のカッタ12b)が原点位置から指令位置まで移動するように、各サーボモータを制御する(ステップS10)。
【0030】
各サーボモータは、制御装置16からの制御に従って回転し、ボールネジを回転させる。これにより、ガラスカッタ部12X1、12X2は原点位置からX方向に延びるガイド部材に沿ってX方向(互いに対向する方向)にスライド移動し、ガラスカッタ部12Y1、12Y2は、原点位置からY方向に延びるガイド部材に沿ってY方向(互いに対向する方向)にスライド移動する(図1参照)。
【0031】
ガラスカッタ部12X1、12X2は、やがてそれぞれのカッタ12bがガラス板20の一端面20a、20bに接触し、ガラス板20表面に乗り上げる形となる(図2参照)。これにより、ガラスカッタ部12X1、12X2それぞれのカッタ12bがカッタブロック12aに対し所定量上方に移動し、接触センサとしてのスイッチが通電する。
【0032】
同様に、ガラスカッタ部12Y1、12Y2は、やがてそれぞれのカッタ12bがガラス板20の端面20c、20dに接触し、ガラス板20表面に乗り上げる形となる(図2参照)。これにより、ガラスカッタ部12Y1、12Y2それぞれのカッタ12bがカッタブロック12aに対し所定量上方に移動し、接触センサとしてのスイッチが通電する。
【0033】
制御装置16は、接触センサとしてのスイッチそれぞれの通電状態をチェックすることで(ステップS12)、ガラスカッタ部12X1〜12Y2それぞれのカッタ12がガラス板20の一端面20a〜20dに接触したか否かを検出する。
【0034】
制御装置16は、当該スイッチの通電を検出した場合には(ステップS14:Yesの方向の分岐)、すなわち、ガラスカッタ部12X1〜12Y2それぞれのカッタ12がガラス板20の一端面20a〜20dに接触したことを検出した場合には、当該通電した時点のガラスカッタ部12X1〜12Y2それぞれのカッタ12bの位置(当該位置は例えば制御装置16から取得する)を、ガラス板20の一端面20a〜20dの位置として検出する(ステップS16)。
【0035】
そして、制御装置16は、当該検出したガラス板20の一端面20a〜20dの位置それぞれと予め定められた設定範囲(例えば、記憶装置18に予め格納された割れの無い正常なガラス板の端面の位置±数ミリの範囲)とを比較することで、ガラス板20の割れ判定を行う(ステップS18)。
【0036】
すなわち、制御装置16は、当該検出したガラス板20の一端面20a〜20dの位置が、予め定められた設定範囲外であれば、当該検出したガラス板20の一端面20a〜20dに割れが存在すると判定し(ステップS18:Noの方向への分岐)、アラーム等を表示することによりその旨を報知する(ステップS30)。
【0037】
一方、制御装置16は、当該検出したガラス板20の一端面20a〜20dの位置が、予め定められた設定範囲内であれば、当該検出したガラス板20の一端面20a〜20dに割れが存在しないと判定(ステップS18:Yesの方向への分岐)し、ガラスカッタ部12X1〜12Y2が指令位置まで移動するように、各サーボモータを制御する(ステップS20)。
【0038】
各サーボモータは、制御装置16からの制御に従って回転し、ボールネジを回転させる。これにより、ガラスカッタ部12X1、12X2はX方向に延びるガイド部材に沿ってX方向(互いに対向する方向)にスライド移動し、ガラスカッタ部12Y1、12Y2はY方向に延びるガイド部材に沿ってY方向(互いに対向する方向)にスライド移動する(図1参照)。
【0039】
ガラスカッタ部12X1、12X2は、ガラス板20表面にX方向に延びる傷を入れながらスライド移動し、やがてそれぞれのカッタ12bがガラス板20の他端面20b、20aに到達し、ガラス板20表面及び端面20b、20aに対する接触が解除される。これにより、ガラスカッタ部12X1、12X2それぞれのカッタ12bが元の状態に復帰し(すなわちそれぞれのカッタ12bがカッタブロック12aに対し所定量下方に移動し)、接触センサとしてのスイッチが非通電となる。
【0040】
同様に、ガラスカッタ部12Y1、12Y2は、ガラス板20表面にY方向に延びる傷を入れながらスライド移動し、やがてそれぞれのカッタ12bがガラス板20の他端面20d、20eに到達し、ガラス板20表面及び端面20d、20eに対する接触が解除される。これにより、12Y1、12Y2それぞれのカッタ12bが元の状態に復帰し(すなわちそれぞれのカッタ12bがカッタブロック12aに対し所定量下方に移動し)、接触センサとしてのスイッチが非通電となる。
【0041】
制御装置16は、接触センサとしてのスイッチそれぞれの通電状態をチェックすることで(ステップS22)、ガラスカッタ部12X1〜12Y2それぞれのカッタ12のガラス板20の表面及び他端面20a〜20dに対する接触が解除されたか否かを検出する。
【0042】
制御装置16は、当該スイッチの非通電を検出した場合には(ステップS24:Yesの方向への分岐)、すなわち、ガラスカッタ部12X1〜12Y2それぞれのカッタ12のガラス板20の表面及び他端面20a〜20dに対する接触が解除されたことを検出した場合には、当該非通電となった時点のガラスカッタ部12X1〜12Y2それぞれのカッタ12bの位置(当該位置は例えば制御装置16から取得する)を、ガラス板20の他端面20a〜20dの位置として検出する(ステップS26)。
【0043】
そして、制御装置16は、当該検出したガラス板20の他端面20a〜20dの位置それぞれと予め定められた設定範囲(例えば、記憶装置18に予め格納された割れの無い正常なガラス板の端面の位置±数ミリの範囲)とを比較することで、ガラス板20の割れ判定を行う(ステップS28)。
【0044】
すなわち、制御装置16は、当該検出したガラス板20の他端面20a〜20dの位置が、予め定められた設定範囲外であれば、当該検出したガラス板20の他端面20a〜20dに割れが存在すると判定し(ステップS28:Noの方向への分岐)、アラーム等を表示することによりその旨を報知する(ステップS30)。
【0045】
一方、制御装置16は、当該検出したガラス板20の他端面20a〜20dの位置が、予め定められた設定範囲内であれば、当該検出したガラス板20の他端面20a〜20dに割れが存在しないと判定(ステップS28:Yesの方向への分岐)し、処理を終了する。
【0046】
以上のように、本実施形態のガラス切機10は、カッタ12bを用いて、切り折り対象のガラス板20の表面に切り折りの起点となる傷を入れると同時に、当該切り折り対象のガラス板20に割れが存在するか否かを検出する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、カッタ12bが切り折り対象の矩形板状物であるガラス板20の一端面20a等に接触した時点の当該カッタ12bの位置を、ガラス板20の一端面20a等の位置として検出し、当該検出したガラス板20の一端面20a等の位置と予め定められた設定範囲とを比較し(ステップS18)、当該比較の結果に基づいて、ガラス板20の一端面20a等に割れが存在するか否かを判定する(ステップS18)ため、ガラス板20の切断の完了を待つことなく、ガラス板20の切断途中において、当該ガラス板20の一端面20a等に割れが存在するか否かを検査することが可能となる。
【0048】
また、カッタ12が切り折り対象のガラス板20の一端面20a等に接触したことをもって割れの検出を行うため、非接触で検出を行う場合と比べ、誤判定を少なくすることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態によれば、カッタ12bが切り折り対象の矩形板状物であるガラス板20の表面及び他端面20b等に対する接触が解除された時点の当該カッタ12bの位置を、ガラス板20の他端面20b等の位置として検出し、当該検出したガラス板20の他端面20b等の位置と予め定められた設定範囲とを比較し、当該比較の結果に基づいて、ガラス板20の他端面20b等に割れが存在するか否かを判定する(ステップS28)ため、ガラス板20の切断の完了を待つことなく、ガラス板20の切断途中において、当該ガラス板20の他端面20b等に割れが存在するか否かを検査することが可能となる。
【0050】
次に、本発明における変形例について説明する。
【0051】
上記実施形態では、切り折り対象のガラス板20が、フラットパネルディスプレイ用のガラス板である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、自動車用のガラス板、または、樹脂板等のあらゆる矩形板状物を、切り折り対象とすることが可能である。
【0052】
また、上記実施形態では、ガラスカッタ部12X1、12X2(ガラスカッタ部12Y1、12Y2も同様)それぞれは、図1に示すように、互いに対向する方向に移動するように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ガラスカッタ部12X1、12X2(ガラスカッタ部12Y1、12Y2も同様)それぞれは、図5に示すように、同一方向に移動するように制御してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、4つのガラスカッタ部12X1〜12Y2それぞれを設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、1〜3つ、または、5つ以上のガラスカッタ部であっても、同様に適用することが可能である。
【0054】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
10…ガラス切機、12X1〜12Y2…ガラスカッタ部、14X1〜14Y2…カッタ駆動機構、16…制御装置、18…記憶装置、20…ガラス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触し、当該一端面からその反対側の他端面に向かって移動しながら前記矩形板状物の表面に切り折りの起点となる傷を入れ、前記他端面に到達した場合に前記表面及び他端面に対する接触が解除されるカッタを備えた切機を用いて、前記切り折り対象の矩形板状物の割れを検査する検査方法において、
前記カッタが前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触したか否かを検出するステップと、
前記カッタが前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触した時点の当該カッタの位置を、前記切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置として検出するステップと、
前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較するステップと、
前記比較の結果に基づいて、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に割れが存在するか否かを判定するステップと、
を備えることを特徴とする矩形板状物の割れ検査方法。
【請求項2】
前記カッタの前記表面及び他端面に対する接触が解除されたか否かを検出するステップと、
前記カッタの前記表面及び他端面に対する接触が解除された時点の当該カッタの位置を、前記切り折り対象の矩形板状物の他端面の位置として検出するステップと、
前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の他端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較するステップと、
前記比較の結果に基づいて、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の他端面に割れが存在するか否かを判定するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の矩形板状物の割れ検査方法。
【請求項3】
切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触し、当該一端面からその反対側の他端面に向かって移動しながら前記矩形板状物の表面に切り折りの起点となる傷を入れ、前記他端面に到達した場合に前記表面及び他端面に対する接触が解除されるカッタを備えた切機を用いて、前記切り折り対象の矩形板状物の割れを検査する検査装置において、
前記カッタが前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触したか否かを検出する手段と、
前記カッタが前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に接触した時点の当該カッタの位置を、前記切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置として検出する手段と、
前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の一端面の位置と予め定められた設定範囲とを比較する手段と、
前記比較の結果に基づいて、前記検出した前記切り折り対象の矩形板状物の一端面に割れが存在するか否かを判定する手段と、
を備えることを特徴とする矩形板状物の割れ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−179890(P2011−179890A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42749(P2010−42749)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】