石炭ガス化複合発電システム及びその運転制御方法
【課題】プラント全体の圧力・温度のバランスを調整し、負荷変動時において、ガスタービンの出力を早期に安定させることのできる石炭ガス化複合発電システム及びその運転制御方法を提供すること。
【解決手段】ガスタービン5bの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、ガスタービン5bの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいてガスタービン5bの発電出力指令を生成する。
【解決手段】ガスタービン5bの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、ガスタービン5bの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいてガスタービン5bの発電出力指令を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化複合発電システム及びその運転制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービン設備と蒸気タービン設備とを組み合わせた石炭ガス化複合発電システム(IGCC;Integrated Gasification Combined Cycle)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−129910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなIGCCが抱える問題として、以下に説明するような負荷変動時におけるガスタービンの出力変動が挙げられる。
一般的に、蒸気タービンの応答速度は、ガスタービンに比べて遅い。したがって、図14に示すように、負荷変化中には、ガスタービンにより蒸気タービンの応答遅れ分を補うため、ガスタービン出力指令がオーバーシュートしてしまう(図14のA)。このオーバーシュート時には、多くの燃料ガスをガスタービンに供給する必要があることから、図14のfに示すように、通常時よりも多くのガスタービン圧縮機抽気量が必要となるとともに、ガス化炉に投入される微粉炭等の投入量も増加する(図14のB)。
【0004】
ガスタービンの圧縮機抽気量が増加すると、ガス化炉の圧力が上昇しにくい状態となる。これにより、ガス化炉においては、所定の圧力を維持するために、より多くの空気を投入する必要が生じ、ガスタービンへの空気供給量が減少することとなる。
ガスタービンへの空気供給量が減少すると、ガスタービンの温度が上昇し、温調制御モードに移行することとなる。この温調制御では、入口温度を一定とするために出力が抑えられるので(図14のC)、ガス化炉から流出される燃料ガス量が減少し、これに伴い、ガス化炉の圧力が増加することとなる(図14のD)。
【0005】
これにより、ガス化炉では、増加した圧力を元に戻すために、ガス化炉に投入する空気を減少させる制御が行われ(図14のE)、この結果、ガス化炉の圧力が減少する(図14のF)。
そして、ガス化炉の圧力低下に伴い、ガスタービンの温度は徐々に低下し、温調制御から脱すると、要求負荷に応じてガスタービンの出力は増加する(図14のG)。
以上のようなことが繰り返し行われることにより、ガスタービンの出力は変動を繰り返し、最終的にガスタービン出力指令に応じた出力値にて収束することとなる。
【0006】
また、上述したようなガス化炉における圧力変動等が発生することにより、ガス化炉から出力される燃料ガスのカロリも変動し、カロリ異常が発生するおそれもある。このようなカロリ異常が発生すると、ガスタービンの負荷変動幅は更に増加することとなり、出力安定までに更に時間を要するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、プラント全体の圧力・温度のバランスを調整し、負荷変動時において、ガスタービンの出力を早期に安定させることのできる石炭ガス化複合発電システム及びその運転制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、ガスタービンの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法を提供する。
【0009】
このように、ガスタービンの負荷変化時において燃料ガスのカロリ異常が検知された場合には、ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させるので、ガスタービンの燃焼器への燃料ガス投入量を一定または低減させることが可能となる。これにより、ガス化炉から出力される燃料ガスの流量が安定するので、ガス化炉の運転を安定方向に向けることができる。この結果、ガス化炉の運転を早期に安定させることができ、燃料ガスのカロリを早期に正常に戻すことが可能となる。
【0010】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、前記負荷変動指令値を低減させる場合において、前記燃料ガスのカロリ変動幅に応じて前記負荷変動指令値の低減幅を決定することとしてもよい。
【0011】
このようにすることで、ガスタービンの出力をある程度得ながら、ガス化炉の安定化を図ることが可能となる。
【0012】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、前記ガスタービンの負荷変動設定値をゼロ若しくは低減させることにより、前記カロリ異常が検知されなくなった場合には、前記ガスタービンの負荷変動指令値を通常に戻すこととしてもよい。
【0013】
このように、カロリ異常が検知されなくなった場合には、ガスタービンの負荷変動指令値を通常に戻すので、安定した運転制御により所望の出力を得ることができる。
【0014】
本発明は、発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成する第1の過程を有し、前記第1の過程において求められたガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行う石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法を提供する。
【0015】
このように、発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成し、更に、このガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行うので、ガス化炉の運転制御に蒸気タービンの応答遅れを反映させることが可能となる。これにより、負荷変動に係るガス化炉の追従性を向上させることができ、ガス化炉とガスタービンとの協調運転により、早期にガスタービンの出力を安定させることが可能となる。
【0016】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、ガスタービンの発電出力指令と前記ガス化炉に投入する各要素の要求量とが関係付けられているテーブルまたは関係式を用いて、前記第1の過程において求められた前記ガスタービンの発電出力指令に対応する各要素の要求量を求め、求めた各前記要求量に、前記ガスタービンの発電出力指令の変動幅またはガスタービンの発電出力の変動幅に応じた補正量を加算することで、各前記要素に対する最終的な要求量を決定し、最終的な前記要求量に基づいて、前記ガス化炉への各要素の投入量を制御することとしてもよい。
【0017】
このように、テーブルまたは関係式に基づいて各要素の要求量を求め、更に、この要求量にガスタービンの発電出力指令の変動幅、或いは、ガスタービンの発電出力の変動幅に応じた補正量を加算することで、各要素の最終的な要求量をそれぞれ決定するので、ガスタービンの運転状態に応じて、ガス化炉の運転をより促進させることが可能となる。
これにより、ガスタービンの運転をより安定させることができる。
【0018】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、前記ガスタービンの温調制御中において、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成することとしてもよい。
【0019】
温調制御中においては、ガスタービンの負荷変動指令をゼロ若しくは低減させるので、ガスタービンの運転状態を安定方向へ向けることが可能となる。これにより、温調制御状態から早期に脱することが可能となり、通常の運転モード、つまり、負荷に応じた運転モードに早期に戻ることが可能となる。
【0020】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、前記ガスタービンの温調制御中においては、前記ガスタービンの発電出力指令に代えて前記ガスタービンの発電出力を用いて、前記ガス化炉の制御を行うこととしてもよい。
【0021】
温調制御中は、負荷に関係なく、ガスタービンの入口温度を一定とするような制御が行われる。これに対し、ガス化炉については、ガスタービンの出力指令に基づく制御が行われる。したがって、ガスタービンとガス化炉とが全く関連性のないパラメータに基づいて運転制御されることとなる。このため、プラントにおける温度や圧力などのバランスが崩れる可能性が高い。これに対し、本発明では、温調制御中においては、実際のガスタービンの出力をガス化炉にフィードバックして、ガス化炉を運転制御することにより、ガスタービンとガス化炉との協調運転を可能とする。これにより、プラントにおける温度や圧力などのバランスを保つことができ、温調制御中においても安定した運転制御を行うことが可能となる。
【0022】
本発明は、ガスタービンの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システムを提供する。
【0023】
本発明は、発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成し、生成したガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行う石炭ガス化複合発電システムを提供する。
また、上記態様は、可能な範囲で組み合わせて利用することができるものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プラント全体の圧力・温度のバランスを調整し、負荷変動時において、ガスタービンの出力を早期に安定させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る石炭ガス化複合発電システム(以下「IGCC」という。)及びその運転制御方法について図を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るIGCCの全体の概略構成を示した図である。
図1に示されるように、本実施形態に係るIGCC1は、主として、ガス化炉3と、ガスタービン設備5と、蒸気タービン設備7と、排熱回収ボイラ(HRSG)30とを備えている。
【0026】
ガス化炉3の上流側には、ガス化炉3へと微粉炭を供給する石炭供給設備10が設けられている。この石炭供給設備10は、原料炭を粉砕して数μm〜数百μmの微粉炭とする粉砕機(図示せず)を備えており、この粉砕機によって粉砕された微粉炭が複数のホッパ11,11…に貯留されるようになっている。
各ホッパ11に貯留された微粉炭は、一定流量ずつ空気分離装置15から供給される窒素とともにガス化炉3へと搬送される。
【0027】
ガス化炉3は、下方から上方へとガスが流されるように形成された石炭ガス化部3aと、石炭ガス化部3aの下流側に接続されて、上方から下方へとガスが流されるように形成された熱交換部3bとを備えている。
石炭ガス化部3aには、下方から、コンバスタ13およびリダクタ14が設けられている。コンバスタ13は、微粉炭およびチャーの一部分を燃焼させ、残りは熱分解により揮発分(CO,H2,低級炭化水素)として放出させる部分である。コンバスタ13には噴流床が採用されている。しかし、流動床式や固定床式であっても構わない。
【0028】
コンバスタ13及びリダクタ14には、それぞれ、コンバスタバーナ13a及びリダクタバーナ14aが設けられており、これらバーナ13a,14aに対して石炭供給設備10から微粉炭が供給される。
コンバスタバーナ13aには、抽気空気昇圧機17からの空気が、空気分離装置15において分離された酸素とともにガス化剤として供給されるようになっている。このようにコンバスタバーナ13aには酸素濃度が調整された空気が供給されるようになっている。
【0029】
リダクタ14では、コンバスタ13からの高温燃焼ガスによって微粉炭がガス化される。これにより、石炭からCOやH2等の気体燃料となる可燃性ガスが生成される。石炭ガス化反応は、微粉炭およびチャー中の炭素が高温ガス中のCO2及びH2Oと反応してCOやH2を生成する吸熱反応である。
【0030】
ガス化炉3の熱交換部3bには、複数の熱交換器(図示せず)が設置されており、リダクタ14から導かれるガスから顕熱を得て蒸気を発生させるようになっている。熱交換器において発生した蒸気は、主として、蒸気タービン7bの駆動用蒸気として用いられる。熱交換部3bを通過したガスは、チャー回収装置20へと導かれる。このチャー回収装置20は、ポーラスフィルタを備えており、ポーラスフィルタを通過させることによってガスに混在するチャーを捕捉して回収する。捕捉されたチャーは、ポーラスフィルタに堆積してチャー層を形成している。チャー層には、ガスに含まれるNa分およびK分が凝縮し、結果的にチャー回収装置20においてNa分およびK分も除去される。
【0031】
このように回収されたチャーは、空気分離装置15において分離された窒素とともにガス化炉3のコンバスタバーナ13aへと返送されてリサイクルされる。なお、チャーとともにコンバスタバーナ13aへと返送されたNa分およびK分は、最終的に溶融した微粉炭の灰とともに石炭ガス化部3aの下方から排出される。溶融排出された灰は水で急冷、破砕されガラス状のスラグとなる。
【0032】
チャー回収装置20を通過したガスは、燃料ガスとしてガスタービン設備5の燃焼器5aへと送られる。
チャー回収装置20とガスタービン設備5の燃焼器5aとの間には、分岐路22が設けられており、この分岐路22の下流にはガス精製設備24が設けられている。ガス精製設備は、脱塵・脱硫を行う設備である。
【0033】
ガスタービン設備5は、ガス化された燃料が燃焼させられる燃焼器5aと、燃焼ガスによって駆動されるガスタービン5bと、燃焼器5aへと高圧空気を送り出すターボ圧縮機5cとを備えている。ガスタービン5bとターボ圧縮機5cとは同一の回転軸5dによって接続されている。ターボ圧縮機5cにおいて圧縮された空気は、燃焼器5aとは別に、空気昇圧機17へも導かれるようになっている。
【0034】
蒸気ガスタービン5bを通過した燃焼排ガスは、排熱回収ボイラ30へと導かれる。
蒸気タービン設備7の蒸気タービン7bは、ガスタービン設備5と同じ回転軸5dに接続されており、いわゆる一軸式のコンバインドシステムとなっている。蒸気タービン7bには、ガス化炉3及び排熱回収ボイラ30から高圧蒸気が供給される。なお、一軸式のコンバインドシステムに限らず、別軸式のコンバインドシステムであっても構わない。
ガスタービン5b及び蒸気タービン7bによって駆動される回転軸5dから電気を出力する発電機Gが、蒸気タービン設備7を挟んでガスタービン設備5の反対側に設けられている。なお、発電機Gの配置位置については、この位置に限られず、回転軸5dから電気出力が得られるようであればどの位置であっても構わない。
排熱回収ボイラ30は、ガスタービン5bからの燃焼排ガスによって蒸気を発生するとともに、燃焼排ガスを煙突35から大気へと放出する。
【0035】
次に、上記構成の石炭ガス化複合発電システム1の動作について説明する。
原料炭は粉砕機(図示せず)で粉砕された後、ホッパ11へと導かれて貯留される。ホッパ11に貯留された微粉炭は、空気分離装置15において分離された窒素とともに、リダクタバーナ14a及びコンバスタバーナ13aへと供給される。さらに、コンバスタバーナ13aには、微粉炭だけでなく、チャー回収装置20において回収されたチャーが供給される。
【0036】
コンバスタバーナ13aの燃焼用気体としては、ガスタービン設備5のターボ圧縮機5cから抽気された圧縮空気を抽気空気昇圧機17によってさらに昇圧された圧縮空気に、空気分離機15において分離された酸素が添加された空気が使用される。コンバスタ13では、微粉炭およびチャーが燃焼用空気によって部分燃焼させられ、残部は揮発分(CO,H2,低級炭化水素)へと熱分解させられる。
リダクタ14では、リダクタバーナ14aから供給された微粉炭およびコンバスタ13内で揮発分を放出したチャーが、コンバスタ13から上昇してきた高温ガスによりガス化され、COやH2等の可燃性ガスが生成される。
【0037】
リダクタ14を通過したガスは、ガス化炉3の熱交換部3bを通過しつつ各熱交換器にその顕熱を与え、蒸気を発生させる。熱交換部3bで発生させた蒸気は、主として、蒸気タービン7bの駆動のために用いられる。
熱交換部3bを通過したガスは、チャー回収装置20へと導かれ、チャーが回収される。ガス中のNa分およびK分は、ここで凝縮してチャーに取り込まれる。回収されたNa分およびK分を含むチャーは、ガス化炉3へと返送される。
【0038】
チャー回収装置20を通過したガスは、ガスタービン設備5の燃焼器5aへと導かれ、ターボ圧縮機5cから供給される圧縮空気とともに燃焼させられる。この燃焼ガスによってガスタービン5bが回転させられ、回転軸が駆動させられる。
【0039】
ガスタービン5bを通過した燃焼排ガスは、排熱回収ボイラ30へと導かれ、この燃焼排ガスの顕熱を利用することによって蒸気が発生させられる。排熱回収ボイラ30において発生した蒸気は、主として、蒸気タービン7bの駆動のために用いられる。
蒸気タービン7bは、ガス化炉3からの蒸気および排熱回収ボイラ30からの蒸気によって回転させられ、ガスタービン設備5と同一の回転軸を駆動させる。回転軸の回転力は、発電機Gによって電気出力へと変換される。
【0040】
次に、上述したIGCCにおけるガス化炉3の制御について図2および図3を参照して説明する。
図2はガス化炉の制御に関する主な構成要素を示した図である。
図2に示すように、石炭供給設備10から微粉炭をガス化炉3へ供給する供給配管には、ガス化炉3への微粉炭投入量を調節するための微粉炭流量調節弁41が設けられている。また、抽気空気昇圧機17からの空気をガス化炉へ導く空気配管には、ガス化炉への空気投入量を調節するための空気流量調節弁42が設けられている。更に、この空気配管には、圧力を調節するための圧力調節弁43が設けられている。
微粉炭流量調節弁41、空気流量調節弁42、及び圧力調節弁43の弁開度は、ガス化炉制御装置50から出力される微粉炭要求指令、空気要求指令、圧力指令に基づいてそれぞれ制御される。また、ガス化炉3により生成された燃料ガスをガスタービン設備5の燃料路5aへと導く燃料配管において、ガス化炉の出口付近には、ガス化炉出口圧力を計測するための圧力センサ44が設けられている。この圧力センサ44の計測値は、ガス化炉制御装置50に出力される。
【0041】
図3は、ガス化炉制御装置50の概略構成を示したブロック図である。
図3に示すように、ガス化炉制御装置50には、後述するタービン制御装置70にて求められたガスタービン出力指令GT_MWDが入力されるようになっている。ガス化炉制御装置50において、このガスタービン指令GT_MWDは、計画GID(ガス化炉総指令値)設定部51及び補正値演算部52に与えられる。
計画GID設定部51は、ガスタービン5bの負荷に対してガス化炉3を先行制御するために、計画GIDを設定する。計画GID設定部51は、例えば、ガスタービン出力指令GT_MWDと計画GIDとが関連付けられているテーブル或いは関係式を有しており、これらのテーブルまたは関係式を用いて、タービン制御装置70からのガスタービン出力指令GT_MWDに対応する計画GIDを求める。
【0042】
補正値演算部52は、例えば、ガスタービン出力指令GT_MWDとガス化炉出口圧力との関係から上記計画GIDを補正するための補正値を求める。
具体的には、補正値演算部52は、ガスタービン出力指令GT_MWDとガス化炉3の出口圧力指令値とが関連付けられているテーブル或いは関係式を有しており、これらのテーブルまたは関係式を用いて、タービン制御装置70からのガスタービン出力指令GT_MWDに対応する圧力指令値を求め、更に、この圧力指令値と実際のガス化炉出口圧力との偏差(以下「圧力偏差ΔP」という。)を求め、この圧力偏差ΔPに比例積分制御を行った値を補正値として出力する。
【0043】
そして、加算器53において、上記計画GID設定部51により設定された計画GIDと、補正値演算部52により求められた補正値とが加算されて、ガス化炉総指令値GIDとして、微粉炭要求量設定部54、空気要求量設定部55、圧力設定部56へ出力される。
【0044】
これらの各設定部54乃至56は、ガス化炉総指令値GIDと微粉炭、空気、圧力の要求量とを対応付けたテーブルまたは演算式をそれぞれ有しており、該テーブルまたは演算式を用いて、ガス化炉総指令値GIDに対応する各要求量を求め、その要求量に応じた指令を生成する。これらの指令は、それぞれ微粉炭要求指令、空気要求指令、圧力指令として図2に示した各部に出力され、ガス化炉3への微粉炭投入量、空気投入量並びにガス化炉出口圧力を制御するための制御量としてそれぞれ用いられる。
なお、図3においては、上記3つの設定部を示したが、これらに加えて、酸素、チャーの投入量を設定するための設定部を設けることとしてもよい。
【0045】
また、ガス化炉制御装置50において求められた上記ガス化炉総指令値GIDは、後述するタービン制御装置70へ与えられ、ガスタービン設備5においても重要なパラメータの一つとして用いられる。
【0046】
次に、図1に示したガスタービン設備5の制御について、図4および図5を参照して説明する。
図4は、ガスタービン設備5の制御に関する主な構成を示した図である。
図4に示すように、燃焼器5aに燃料ガスを供給する燃料配管には、燃料流量を調整するための燃料流量調整弁60が設けられている。この燃料流量調整弁60の開度は、タービン制御装置70により制御される。ターボ圧縮機5cへ空気を供給する空気配管には、空気流量を調整するための空気流量調節弁(以下「IGV調整弁」という。)61が設けられている。このIGV調節弁61は、タービン制御装置70により開度調節がなされる。
【0047】
ガスタービン5bの近傍には、ガスタービン5bの排気ガス温度(以下、「ブレードパス温度」という。)を計測するためのBPTセンサ(図示略)が設けられている。また、BPTセンサが設けられた排ガス流路の更に後流側には、排気ダクトでの排気ガス温度(以下、「排ガス温度」という。)を計測するためのEXTセンサ(図示略)が設けられている。上述したセンサには、例えば、熱電対等が用いられる。BPTセンサ、EXTセンサにより計測された温度は、タービン制御装置70へ出力される。
また、蒸気タービン7bの出力、並びに、発電機Gの出力は、タービン制御装置70に与えられる。蒸気タービン7bの出力は、例えば、蒸気タービン7bの入口状態量から演算により求めることが可能である。
【0048】
タービン制御装置70は、ガスタービンの運転状態並びに温度状態に関する状態量を入力信号として取得し、これらの入力信号に基づいて燃焼器5aに供給する燃料流量を制御するための燃料流量弁開度指令値、並びに、抽気空気昇圧機17の吸気圧力を制御するための圧力指令値等を設定するものである。上記運転状態に関する状態量としては、例えば、発電機Gの出力、蒸気タービン7bの出力、及びガスタービン5bの回転速度又は回転数等が一例として挙げられる。また、温度状態に関する状態量としては、例えば、排ガス温度、ブレードパス温度等が一例として挙げられる。
【0049】
図5は、タービン制御装置70の概略構成を示したブロック図である。
まず、軸負荷設定器71により、発電機出力の目標負荷が設定されると、この目標負荷に向けてプラント負荷変化レート(毎分3%)で変化するように、発電機指令MWDが設定される。この発電機指令MWDは、減算器72により蒸気タービンの出力が減算された後、1次的なガスタービンの出力指令として、レート制限部73に入力される。
レート制限部73は、1次的なガスタービンの出力指令がレート設定部78により設定された変化レート(負荷変動指令値)を超えないように調整して、最終的なガスタービン出力指令(ガスタービンの発電出力指令)GT_MWDを出力する。
【0050】
上記レート設定部78は、燃料ガスのカロリが正常である場合には、変化レートを毎分6%に設定し、燃料ガスのカロリが異常である場合には、変化レートをゼロに設定する。
これにより、燃料ガスのカロリが異常であることが検知されている期間は、ガスタービン出力指令の変化レートがゼロに設定されるので、この期間におけるガスタービン出力指令GT_MWDの変動を抑止し、一定とすることができる。
【0051】
レート制限部73から出力されたガスタービン出力指令GT_MWDは、減算器74に入力されて、ガスタービンの出力との差分が算出され、更に、PI制御器75によるPI制御が実施されて、負荷要求に基づく制御指令値LDCとして選択回路76に出力される。
【0052】
選択回路76には、温度に基づいて算出された温度制御指令値EXC,BPC、ガバナ圧力に基づいて算出されたガバナ制御指令値GVC等が入力される。選択回路76は、これらの制御指令値の中から最も低値のものを選択し、これを制御指令値CSOとして弁開度設定部77に出力する。弁開度設定部77は、弁開度と制御指令値CSOとを関連付けたテーブルまたは関係式を予め有している。弁開度設定部77は、選択回路76から入力された制御指令値CSOに対応する開度をこのテーブルまたは演算式を用いて取得し、この弁開度を燃料流量弁開度指令値として出力する。
【0053】
また、上述したガス化炉制御装置50において求められたガス化炉総指令値GIDは、抽気空気昇圧機17の吸気圧力を設定するための圧力設定部79に与えられる。圧力設定部79は、ガス化炉総指令値GIDと圧力設定値とが対応付けられたテーブルまたは演算式を保有しており、このテーブルまたは演算式を用いて、ガス化炉制御装置50からのガス化炉指令値GIDに対応する圧力設定値を求め、この設定値に応じた圧力指令を生成する。この圧力指令は、図4に示したIGV調節弁61の弁開度を決定するための制御量として用いられる。
【0054】
次に、燃料ガスの異常発生時における上述したガス化炉制御装置50およびタービン制御装置70の作用について説明する。
燃料ガスの異常発生時においては、変化レート設定部78により変化レートがゼロに設定される。このため、レート制限部73から出力されるガスタービン出力指令GT_MWDは、一定の値が保持された状態となる。
【0055】
これにより、選択回路76により選択される制御指令値CSOは同じ値で一定となるため、燃料流量弁の開度が保持され、燃焼器5aに供給される燃料流量が一定とされる。これにより、ガス化炉3から流出されるガス流量を安定させることができるので、ガス化炉3の運転を安定させやすい状態とすることができる。更に、ガス化炉3においては、一定に保持されたガスタービン出力指令GT_MWDに基づいてガス化炉3への微粉炭、空気、チャー等の各要素の投入量が調整されるので、ガスタービンの運転状態をガス化炉3の運転に反映させることができる。
【0056】
以上説明してきたように、本実施形態に係るIGCCおよびその運転制御方法によれば、燃料ガスにカロリ異常が発生している場合には、ガスタービン出力指令GT_MWDを一定とするので、燃料ガス供給量を一定とすることができ、ガス化炉3の状態、例えば、圧力、温度、燃料ガスのカロリ等を早期に安定させることができる。これにより、燃焼器5aに供給される燃料ガスのカロリを早期に正常に戻すことができ、ガスタービンの運転を早期に安定させることが可能となる。
【0057】
更に、本実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法によれば、発電機指令MWDから実際の蒸気タービンの出力を減算することにより、ガスタービン出力指令GT_MWDを設定することとしたので、ガスタービン出力指令GT_MWDに蒸気タービン7aによる応答遅れを反映させることができる。そして、この蒸気タービンの応答遅れが反映されたガスタービン出力指令GT_MWDに基づいてガス化炉3の制御が行われるので、蒸気タービン7aの応答遅れをガス化炉3の制御に反映させることができ、ガス化炉3の応答性を高めることができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、カロリ異常が発生した場合には、ガスタービンの発電指令の変化レートをゼロとしていたが、これに代えて、図6に示すように、通常の変化レート(上述の場合は毎分6%)よりも低い変化レートαを設定することで、ガスタービン出力指令GT_MWDの変化レートを通常よりも低下させることとしても良い。
【0059】
また、この場合において、変化レートを燃料ガスのカロリの変化幅に応じて設定することとしてもよい。具体的には、カロリの変動幅が大きいほど、変化レートを小さく設定するとよい。このように、変化レートを燃料ガスのカロリ変化幅に応じて設定することにより、そのときのカロリ状態に応じた詳細な制御を実現させることが可能となる。
【0060】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係るIGCCおよびその運転制御方法について説明する。
上述した第1の実施形態においては、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、変化レート設定部78がガスタービン出力指令GT_MWDの変化レートをゼロに設定していた。
本実施形態では、図7に示すように、ガス化炉制御装置50において求められる圧力偏差ΔP、つまり、ガスタービン出力指令GT_MWDに基づいて設定された圧力指令値と実際のガス化炉出口圧力との差分を、図8に示すように、タービン制御装置70の変化レート設定部78に与え、この圧力偏差ΔPが基準値よりも大きい場合に、変化レート設定部77が変化レートをゼロに設定する。
【0061】
このようにすることで、ガス化炉出口圧力と圧力指令値との偏差が基準値よりも大きくなった場合には、圧力異常を検知して、速やかにガスタービン出力指令GT_MWDを一定とするので、ガス化炉3における制御を早期に安定させることができる。この結果、ガス化炉出口圧力を早期に正常値に近づけることができ、速やかに通常状態に戻すことができる。
なお、変化レートをゼロに設定するほか、上述のように、圧力偏差ΔPに応じて変化レートの低減幅を変化させることとしてもよい。例えば、圧力偏差ΔPが大きいほど、変化レートを低減させるようにしてもよい。
【0062】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法について説明する。
本実施形態に係るIGCCでは、図9に示すように、ガス化炉制御装置50における微粉炭要求指令の生成方法、並びに、空気要求指令の生成方法が上述した第1の実施形態と異なる。
以下、第1の実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0063】
図9に示すように、本実施形態においては、まず、上述した第1の実施形態と同様に、GIDと微粉炭容量とが対応付けられているテーブルを用いて、石炭要求量を求め、更に、この炭素要求量にガス化炉3の運転状態を促進させるための石炭用加速指令GIRfuelを加算することにより、最終的な微粉炭要求指令を生成する。ここで、石炭用加速指令GIRfuelは、ガスタービンの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの出力に基づいて設定される制御量である。
【0064】
例えば、石炭用加速指令GIRfuelは、図10に示すような構成により求められる。図10では、ガスタービンの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの出力を入力情報として受け付け、この微分変化率と所定の関数式FX1とから石炭要求量の上限変動値を求め、この上限変動値をガスタービンの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの実出力と所定の関数式FX1とから求められる基準GIRに乗算することで、石炭用加速指令GIRfuelを得る。
【0065】
同様に、空気要求指令についても、図11に示すように、GIDと空気要求量とが対応付けられているテーブルを用いて空気要求量を求め、更に、この空気要求量にガス化炉3の運転状態を促進させるための空気用加速指令GIRairを加算して最終的な空気要求指令を生成する。ここで、空気用加速指令GIRairは、ガスタービン5bの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの実出力に基づいて設定される制御量である。
【0066】
空気用加速指令GIRairは、例えば、図12に示すような構成により求められる。図12では、ガスタービン5bの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの出力を入力情報として受け付け、この微分変化率と所定の関数式FX2とから空気要求量の変動上限値を求め、これをガスタービンの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの実出力と所定の関数式FX2とから求められる基準GIRに乗算することで、空気加速指令GIRairを求める。
【0067】
このように、本実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法によれば、GIDに基づいて得られた微粉炭、空気の要求量に対して、更に、ガスタービンの出力指令GT_MWD又はガスタービンの実出力に基づいて設定された各加速指令GIRfuel,GIRairをそれぞれ加算することにより、最終的な微粉炭要求指令、空気要求指令を求めることとしたので、負荷変動時におけるガス化炉3の運転を更に促進させることが可能となる。この結果、蒸気タービン7bによる応答遅れによる出力変動の影響を低減させることができ、ガスタービンの出力を早期に安定させることが可能となる。
【0068】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法について説明する。
上述した第1の実施形態では、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、変化レート設定部78が変化レートをゼロ又は低減させることとしたが、本実施形態では、ガスタービン5bが温調制御に移行した場合、或いは、ガスタービン5bの排ガス温度が温調制御開始温度に所定値以上近づいた場合に、変化レート設定部78が変化レートをゼロ又は低減させて、ガスタービン出力指令GT_MWDの変動を抑制する。
これにより、ガスタービン5bが温調制御に移行する場合に、ガスタービン5bおよびガス化炉3の運転を安定させることができる。
【0069】
また、上述した温調制御中においては、図13に示すように、ガスタービン出力指令GT_MWDに代えて、ガスタービン5bの実出力、または、フィルタを通過させることによりノイズが低減された後のガスタービン5bの実出力を用いて、計画GIDを求めることとしてもよい。これにより、負荷変動中におけるガス化炉3の運転を安定させることができる。
【0070】
例えば、ガスタービン設備5における温調制御時においては、要求負荷にかかわらず、つまり、ガスタービン出力指令GT_MWDにかかわらず、ガスタービンの入口温度を一定とするような制御が行われる。これに対し、ガス化炉3においては、温調制御時においてもガスタービン出力指令GT_MWDに基づいて運転制御が行われるため、ガスタービン5bとガス化炉3とが全く異なるパラメータに基づいて制御されることになり、制御が分断されることとなる。
【0071】
このような状態を避けるべく、本実施形態においては、温調制御時において、ガスタービン出力指令GT_MWDに代えて、ガスタービンの実出力に基づいてガス化炉3の運転を制御するので、ガス化炉3の運転制御にガスタービン5bの状態を反映させることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法によれば、温調制御時においてもガスタービン5bの状態を反映させたガス化炉3の運転を行うことができるので、プラント全体を安定して運転させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るIGCCの全体の概略構成を示した図である。
【図2】図2はガス化炉の制御に関する主な構成要素を示した図である。
【図3】ガス化炉制御装置50の概略構成を示したブロック図である。
【図4】ガスタービン設備5の制御に関する主な構成を示した図である。
【図5】タービン制御装置70の概略構成を示したブロック図である。
【図6】タービン制御装置の変形例を示したブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るガス化炉制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るタービン制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る微粉炭要求指令の設定方法を説明するための図である。
【図10】微粉炭用加速指令の算出手順の一例を説明するための図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る空気要求指令の設定方法を説明するための図である。
【図12】微粉炭用加速指令の算出手順の一例を説明するための図である。
【図13】温調制御中におけるガス化炉の制御について説明するための図である。
【図14】負荷変動時におけるガスタービンの出力変動の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
1 石炭ガス化複合発電システム
3 ガス化炉
5 ガスタービン設備
5a 燃焼器
5b ガスタービン
20 チャー回収装置
50 ガス化炉制御装置
70 タービン制御装置
G 発電機
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化複合発電システム及びその運転制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービン設備と蒸気タービン設備とを組み合わせた石炭ガス化複合発電システム(IGCC;Integrated Gasification Combined Cycle)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−129910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなIGCCが抱える問題として、以下に説明するような負荷変動時におけるガスタービンの出力変動が挙げられる。
一般的に、蒸気タービンの応答速度は、ガスタービンに比べて遅い。したがって、図14に示すように、負荷変化中には、ガスタービンにより蒸気タービンの応答遅れ分を補うため、ガスタービン出力指令がオーバーシュートしてしまう(図14のA)。このオーバーシュート時には、多くの燃料ガスをガスタービンに供給する必要があることから、図14のfに示すように、通常時よりも多くのガスタービン圧縮機抽気量が必要となるとともに、ガス化炉に投入される微粉炭等の投入量も増加する(図14のB)。
【0004】
ガスタービンの圧縮機抽気量が増加すると、ガス化炉の圧力が上昇しにくい状態となる。これにより、ガス化炉においては、所定の圧力を維持するために、より多くの空気を投入する必要が生じ、ガスタービンへの空気供給量が減少することとなる。
ガスタービンへの空気供給量が減少すると、ガスタービンの温度が上昇し、温調制御モードに移行することとなる。この温調制御では、入口温度を一定とするために出力が抑えられるので(図14のC)、ガス化炉から流出される燃料ガス量が減少し、これに伴い、ガス化炉の圧力が増加することとなる(図14のD)。
【0005】
これにより、ガス化炉では、増加した圧力を元に戻すために、ガス化炉に投入する空気を減少させる制御が行われ(図14のE)、この結果、ガス化炉の圧力が減少する(図14のF)。
そして、ガス化炉の圧力低下に伴い、ガスタービンの温度は徐々に低下し、温調制御から脱すると、要求負荷に応じてガスタービンの出力は増加する(図14のG)。
以上のようなことが繰り返し行われることにより、ガスタービンの出力は変動を繰り返し、最終的にガスタービン出力指令に応じた出力値にて収束することとなる。
【0006】
また、上述したようなガス化炉における圧力変動等が発生することにより、ガス化炉から出力される燃料ガスのカロリも変動し、カロリ異常が発生するおそれもある。このようなカロリ異常が発生すると、ガスタービンの負荷変動幅は更に増加することとなり、出力安定までに更に時間を要するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、プラント全体の圧力・温度のバランスを調整し、負荷変動時において、ガスタービンの出力を早期に安定させることのできる石炭ガス化複合発電システム及びその運転制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、ガスタービンの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法を提供する。
【0009】
このように、ガスタービンの負荷変化時において燃料ガスのカロリ異常が検知された場合には、ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させるので、ガスタービンの燃焼器への燃料ガス投入量を一定または低減させることが可能となる。これにより、ガス化炉から出力される燃料ガスの流量が安定するので、ガス化炉の運転を安定方向に向けることができる。この結果、ガス化炉の運転を早期に安定させることができ、燃料ガスのカロリを早期に正常に戻すことが可能となる。
【0010】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、前記負荷変動指令値を低減させる場合において、前記燃料ガスのカロリ変動幅に応じて前記負荷変動指令値の低減幅を決定することとしてもよい。
【0011】
このようにすることで、ガスタービンの出力をある程度得ながら、ガス化炉の安定化を図ることが可能となる。
【0012】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、前記ガスタービンの負荷変動設定値をゼロ若しくは低減させることにより、前記カロリ異常が検知されなくなった場合には、前記ガスタービンの負荷変動指令値を通常に戻すこととしてもよい。
【0013】
このように、カロリ異常が検知されなくなった場合には、ガスタービンの負荷変動指令値を通常に戻すので、安定した運転制御により所望の出力を得ることができる。
【0014】
本発明は、発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成する第1の過程を有し、前記第1の過程において求められたガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行う石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法を提供する。
【0015】
このように、発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成し、更に、このガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行うので、ガス化炉の運転制御に蒸気タービンの応答遅れを反映させることが可能となる。これにより、負荷変動に係るガス化炉の追従性を向上させることができ、ガス化炉とガスタービンとの協調運転により、早期にガスタービンの出力を安定させることが可能となる。
【0016】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、ガスタービンの発電出力指令と前記ガス化炉に投入する各要素の要求量とが関係付けられているテーブルまたは関係式を用いて、前記第1の過程において求められた前記ガスタービンの発電出力指令に対応する各要素の要求量を求め、求めた各前記要求量に、前記ガスタービンの発電出力指令の変動幅またはガスタービンの発電出力の変動幅に応じた補正量を加算することで、各前記要素に対する最終的な要求量を決定し、最終的な前記要求量に基づいて、前記ガス化炉への各要素の投入量を制御することとしてもよい。
【0017】
このように、テーブルまたは関係式に基づいて各要素の要求量を求め、更に、この要求量にガスタービンの発電出力指令の変動幅、或いは、ガスタービンの発電出力の変動幅に応じた補正量を加算することで、各要素の最終的な要求量をそれぞれ決定するので、ガスタービンの運転状態に応じて、ガス化炉の運転をより促進させることが可能となる。
これにより、ガスタービンの運転をより安定させることができる。
【0018】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、前記ガスタービンの温調制御中において、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成することとしてもよい。
【0019】
温調制御中においては、ガスタービンの負荷変動指令をゼロ若しくは低減させるので、ガスタービンの運転状態を安定方向へ向けることが可能となる。これにより、温調制御状態から早期に脱することが可能となり、通常の運転モード、つまり、負荷に応じた運転モードに早期に戻ることが可能となる。
【0020】
上記石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法において、前記ガスタービンの温調制御中においては、前記ガスタービンの発電出力指令に代えて前記ガスタービンの発電出力を用いて、前記ガス化炉の制御を行うこととしてもよい。
【0021】
温調制御中は、負荷に関係なく、ガスタービンの入口温度を一定とするような制御が行われる。これに対し、ガス化炉については、ガスタービンの出力指令に基づく制御が行われる。したがって、ガスタービンとガス化炉とが全く関連性のないパラメータに基づいて運転制御されることとなる。このため、プラントにおける温度や圧力などのバランスが崩れる可能性が高い。これに対し、本発明では、温調制御中においては、実際のガスタービンの出力をガス化炉にフィードバックして、ガス化炉を運転制御することにより、ガスタービンとガス化炉との協調運転を可能とする。これにより、プラントにおける温度や圧力などのバランスを保つことができ、温調制御中においても安定した運転制御を行うことが可能となる。
【0022】
本発明は、ガスタービンの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システムを提供する。
【0023】
本発明は、発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成し、生成したガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行う石炭ガス化複合発電システムを提供する。
また、上記態様は、可能な範囲で組み合わせて利用することができるものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プラント全体の圧力・温度のバランスを調整し、負荷変動時において、ガスタービンの出力を早期に安定させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る石炭ガス化複合発電システム(以下「IGCC」という。)及びその運転制御方法について図を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るIGCCの全体の概略構成を示した図である。
図1に示されるように、本実施形態に係るIGCC1は、主として、ガス化炉3と、ガスタービン設備5と、蒸気タービン設備7と、排熱回収ボイラ(HRSG)30とを備えている。
【0026】
ガス化炉3の上流側には、ガス化炉3へと微粉炭を供給する石炭供給設備10が設けられている。この石炭供給設備10は、原料炭を粉砕して数μm〜数百μmの微粉炭とする粉砕機(図示せず)を備えており、この粉砕機によって粉砕された微粉炭が複数のホッパ11,11…に貯留されるようになっている。
各ホッパ11に貯留された微粉炭は、一定流量ずつ空気分離装置15から供給される窒素とともにガス化炉3へと搬送される。
【0027】
ガス化炉3は、下方から上方へとガスが流されるように形成された石炭ガス化部3aと、石炭ガス化部3aの下流側に接続されて、上方から下方へとガスが流されるように形成された熱交換部3bとを備えている。
石炭ガス化部3aには、下方から、コンバスタ13およびリダクタ14が設けられている。コンバスタ13は、微粉炭およびチャーの一部分を燃焼させ、残りは熱分解により揮発分(CO,H2,低級炭化水素)として放出させる部分である。コンバスタ13には噴流床が採用されている。しかし、流動床式や固定床式であっても構わない。
【0028】
コンバスタ13及びリダクタ14には、それぞれ、コンバスタバーナ13a及びリダクタバーナ14aが設けられており、これらバーナ13a,14aに対して石炭供給設備10から微粉炭が供給される。
コンバスタバーナ13aには、抽気空気昇圧機17からの空気が、空気分離装置15において分離された酸素とともにガス化剤として供給されるようになっている。このようにコンバスタバーナ13aには酸素濃度が調整された空気が供給されるようになっている。
【0029】
リダクタ14では、コンバスタ13からの高温燃焼ガスによって微粉炭がガス化される。これにより、石炭からCOやH2等の気体燃料となる可燃性ガスが生成される。石炭ガス化反応は、微粉炭およびチャー中の炭素が高温ガス中のCO2及びH2Oと反応してCOやH2を生成する吸熱反応である。
【0030】
ガス化炉3の熱交換部3bには、複数の熱交換器(図示せず)が設置されており、リダクタ14から導かれるガスから顕熱を得て蒸気を発生させるようになっている。熱交換器において発生した蒸気は、主として、蒸気タービン7bの駆動用蒸気として用いられる。熱交換部3bを通過したガスは、チャー回収装置20へと導かれる。このチャー回収装置20は、ポーラスフィルタを備えており、ポーラスフィルタを通過させることによってガスに混在するチャーを捕捉して回収する。捕捉されたチャーは、ポーラスフィルタに堆積してチャー層を形成している。チャー層には、ガスに含まれるNa分およびK分が凝縮し、結果的にチャー回収装置20においてNa分およびK分も除去される。
【0031】
このように回収されたチャーは、空気分離装置15において分離された窒素とともにガス化炉3のコンバスタバーナ13aへと返送されてリサイクルされる。なお、チャーとともにコンバスタバーナ13aへと返送されたNa分およびK分は、最終的に溶融した微粉炭の灰とともに石炭ガス化部3aの下方から排出される。溶融排出された灰は水で急冷、破砕されガラス状のスラグとなる。
【0032】
チャー回収装置20を通過したガスは、燃料ガスとしてガスタービン設備5の燃焼器5aへと送られる。
チャー回収装置20とガスタービン設備5の燃焼器5aとの間には、分岐路22が設けられており、この分岐路22の下流にはガス精製設備24が設けられている。ガス精製設備は、脱塵・脱硫を行う設備である。
【0033】
ガスタービン設備5は、ガス化された燃料が燃焼させられる燃焼器5aと、燃焼ガスによって駆動されるガスタービン5bと、燃焼器5aへと高圧空気を送り出すターボ圧縮機5cとを備えている。ガスタービン5bとターボ圧縮機5cとは同一の回転軸5dによって接続されている。ターボ圧縮機5cにおいて圧縮された空気は、燃焼器5aとは別に、空気昇圧機17へも導かれるようになっている。
【0034】
蒸気ガスタービン5bを通過した燃焼排ガスは、排熱回収ボイラ30へと導かれる。
蒸気タービン設備7の蒸気タービン7bは、ガスタービン設備5と同じ回転軸5dに接続されており、いわゆる一軸式のコンバインドシステムとなっている。蒸気タービン7bには、ガス化炉3及び排熱回収ボイラ30から高圧蒸気が供給される。なお、一軸式のコンバインドシステムに限らず、別軸式のコンバインドシステムであっても構わない。
ガスタービン5b及び蒸気タービン7bによって駆動される回転軸5dから電気を出力する発電機Gが、蒸気タービン設備7を挟んでガスタービン設備5の反対側に設けられている。なお、発電機Gの配置位置については、この位置に限られず、回転軸5dから電気出力が得られるようであればどの位置であっても構わない。
排熱回収ボイラ30は、ガスタービン5bからの燃焼排ガスによって蒸気を発生するとともに、燃焼排ガスを煙突35から大気へと放出する。
【0035】
次に、上記構成の石炭ガス化複合発電システム1の動作について説明する。
原料炭は粉砕機(図示せず)で粉砕された後、ホッパ11へと導かれて貯留される。ホッパ11に貯留された微粉炭は、空気分離装置15において分離された窒素とともに、リダクタバーナ14a及びコンバスタバーナ13aへと供給される。さらに、コンバスタバーナ13aには、微粉炭だけでなく、チャー回収装置20において回収されたチャーが供給される。
【0036】
コンバスタバーナ13aの燃焼用気体としては、ガスタービン設備5のターボ圧縮機5cから抽気された圧縮空気を抽気空気昇圧機17によってさらに昇圧された圧縮空気に、空気分離機15において分離された酸素が添加された空気が使用される。コンバスタ13では、微粉炭およびチャーが燃焼用空気によって部分燃焼させられ、残部は揮発分(CO,H2,低級炭化水素)へと熱分解させられる。
リダクタ14では、リダクタバーナ14aから供給された微粉炭およびコンバスタ13内で揮発分を放出したチャーが、コンバスタ13から上昇してきた高温ガスによりガス化され、COやH2等の可燃性ガスが生成される。
【0037】
リダクタ14を通過したガスは、ガス化炉3の熱交換部3bを通過しつつ各熱交換器にその顕熱を与え、蒸気を発生させる。熱交換部3bで発生させた蒸気は、主として、蒸気タービン7bの駆動のために用いられる。
熱交換部3bを通過したガスは、チャー回収装置20へと導かれ、チャーが回収される。ガス中のNa分およびK分は、ここで凝縮してチャーに取り込まれる。回収されたNa分およびK分を含むチャーは、ガス化炉3へと返送される。
【0038】
チャー回収装置20を通過したガスは、ガスタービン設備5の燃焼器5aへと導かれ、ターボ圧縮機5cから供給される圧縮空気とともに燃焼させられる。この燃焼ガスによってガスタービン5bが回転させられ、回転軸が駆動させられる。
【0039】
ガスタービン5bを通過した燃焼排ガスは、排熱回収ボイラ30へと導かれ、この燃焼排ガスの顕熱を利用することによって蒸気が発生させられる。排熱回収ボイラ30において発生した蒸気は、主として、蒸気タービン7bの駆動のために用いられる。
蒸気タービン7bは、ガス化炉3からの蒸気および排熱回収ボイラ30からの蒸気によって回転させられ、ガスタービン設備5と同一の回転軸を駆動させる。回転軸の回転力は、発電機Gによって電気出力へと変換される。
【0040】
次に、上述したIGCCにおけるガス化炉3の制御について図2および図3を参照して説明する。
図2はガス化炉の制御に関する主な構成要素を示した図である。
図2に示すように、石炭供給設備10から微粉炭をガス化炉3へ供給する供給配管には、ガス化炉3への微粉炭投入量を調節するための微粉炭流量調節弁41が設けられている。また、抽気空気昇圧機17からの空気をガス化炉へ導く空気配管には、ガス化炉への空気投入量を調節するための空気流量調節弁42が設けられている。更に、この空気配管には、圧力を調節するための圧力調節弁43が設けられている。
微粉炭流量調節弁41、空気流量調節弁42、及び圧力調節弁43の弁開度は、ガス化炉制御装置50から出力される微粉炭要求指令、空気要求指令、圧力指令に基づいてそれぞれ制御される。また、ガス化炉3により生成された燃料ガスをガスタービン設備5の燃料路5aへと導く燃料配管において、ガス化炉の出口付近には、ガス化炉出口圧力を計測するための圧力センサ44が設けられている。この圧力センサ44の計測値は、ガス化炉制御装置50に出力される。
【0041】
図3は、ガス化炉制御装置50の概略構成を示したブロック図である。
図3に示すように、ガス化炉制御装置50には、後述するタービン制御装置70にて求められたガスタービン出力指令GT_MWDが入力されるようになっている。ガス化炉制御装置50において、このガスタービン指令GT_MWDは、計画GID(ガス化炉総指令値)設定部51及び補正値演算部52に与えられる。
計画GID設定部51は、ガスタービン5bの負荷に対してガス化炉3を先行制御するために、計画GIDを設定する。計画GID設定部51は、例えば、ガスタービン出力指令GT_MWDと計画GIDとが関連付けられているテーブル或いは関係式を有しており、これらのテーブルまたは関係式を用いて、タービン制御装置70からのガスタービン出力指令GT_MWDに対応する計画GIDを求める。
【0042】
補正値演算部52は、例えば、ガスタービン出力指令GT_MWDとガス化炉出口圧力との関係から上記計画GIDを補正するための補正値を求める。
具体的には、補正値演算部52は、ガスタービン出力指令GT_MWDとガス化炉3の出口圧力指令値とが関連付けられているテーブル或いは関係式を有しており、これらのテーブルまたは関係式を用いて、タービン制御装置70からのガスタービン出力指令GT_MWDに対応する圧力指令値を求め、更に、この圧力指令値と実際のガス化炉出口圧力との偏差(以下「圧力偏差ΔP」という。)を求め、この圧力偏差ΔPに比例積分制御を行った値を補正値として出力する。
【0043】
そして、加算器53において、上記計画GID設定部51により設定された計画GIDと、補正値演算部52により求められた補正値とが加算されて、ガス化炉総指令値GIDとして、微粉炭要求量設定部54、空気要求量設定部55、圧力設定部56へ出力される。
【0044】
これらの各設定部54乃至56は、ガス化炉総指令値GIDと微粉炭、空気、圧力の要求量とを対応付けたテーブルまたは演算式をそれぞれ有しており、該テーブルまたは演算式を用いて、ガス化炉総指令値GIDに対応する各要求量を求め、その要求量に応じた指令を生成する。これらの指令は、それぞれ微粉炭要求指令、空気要求指令、圧力指令として図2に示した各部に出力され、ガス化炉3への微粉炭投入量、空気投入量並びにガス化炉出口圧力を制御するための制御量としてそれぞれ用いられる。
なお、図3においては、上記3つの設定部を示したが、これらに加えて、酸素、チャーの投入量を設定するための設定部を設けることとしてもよい。
【0045】
また、ガス化炉制御装置50において求められた上記ガス化炉総指令値GIDは、後述するタービン制御装置70へ与えられ、ガスタービン設備5においても重要なパラメータの一つとして用いられる。
【0046】
次に、図1に示したガスタービン設備5の制御について、図4および図5を参照して説明する。
図4は、ガスタービン設備5の制御に関する主な構成を示した図である。
図4に示すように、燃焼器5aに燃料ガスを供給する燃料配管には、燃料流量を調整するための燃料流量調整弁60が設けられている。この燃料流量調整弁60の開度は、タービン制御装置70により制御される。ターボ圧縮機5cへ空気を供給する空気配管には、空気流量を調整するための空気流量調節弁(以下「IGV調整弁」という。)61が設けられている。このIGV調節弁61は、タービン制御装置70により開度調節がなされる。
【0047】
ガスタービン5bの近傍には、ガスタービン5bの排気ガス温度(以下、「ブレードパス温度」という。)を計測するためのBPTセンサ(図示略)が設けられている。また、BPTセンサが設けられた排ガス流路の更に後流側には、排気ダクトでの排気ガス温度(以下、「排ガス温度」という。)を計測するためのEXTセンサ(図示略)が設けられている。上述したセンサには、例えば、熱電対等が用いられる。BPTセンサ、EXTセンサにより計測された温度は、タービン制御装置70へ出力される。
また、蒸気タービン7bの出力、並びに、発電機Gの出力は、タービン制御装置70に与えられる。蒸気タービン7bの出力は、例えば、蒸気タービン7bの入口状態量から演算により求めることが可能である。
【0048】
タービン制御装置70は、ガスタービンの運転状態並びに温度状態に関する状態量を入力信号として取得し、これらの入力信号に基づいて燃焼器5aに供給する燃料流量を制御するための燃料流量弁開度指令値、並びに、抽気空気昇圧機17の吸気圧力を制御するための圧力指令値等を設定するものである。上記運転状態に関する状態量としては、例えば、発電機Gの出力、蒸気タービン7bの出力、及びガスタービン5bの回転速度又は回転数等が一例として挙げられる。また、温度状態に関する状態量としては、例えば、排ガス温度、ブレードパス温度等が一例として挙げられる。
【0049】
図5は、タービン制御装置70の概略構成を示したブロック図である。
まず、軸負荷設定器71により、発電機出力の目標負荷が設定されると、この目標負荷に向けてプラント負荷変化レート(毎分3%)で変化するように、発電機指令MWDが設定される。この発電機指令MWDは、減算器72により蒸気タービンの出力が減算された後、1次的なガスタービンの出力指令として、レート制限部73に入力される。
レート制限部73は、1次的なガスタービンの出力指令がレート設定部78により設定された変化レート(負荷変動指令値)を超えないように調整して、最終的なガスタービン出力指令(ガスタービンの発電出力指令)GT_MWDを出力する。
【0050】
上記レート設定部78は、燃料ガスのカロリが正常である場合には、変化レートを毎分6%に設定し、燃料ガスのカロリが異常である場合には、変化レートをゼロに設定する。
これにより、燃料ガスのカロリが異常であることが検知されている期間は、ガスタービン出力指令の変化レートがゼロに設定されるので、この期間におけるガスタービン出力指令GT_MWDの変動を抑止し、一定とすることができる。
【0051】
レート制限部73から出力されたガスタービン出力指令GT_MWDは、減算器74に入力されて、ガスタービンの出力との差分が算出され、更に、PI制御器75によるPI制御が実施されて、負荷要求に基づく制御指令値LDCとして選択回路76に出力される。
【0052】
選択回路76には、温度に基づいて算出された温度制御指令値EXC,BPC、ガバナ圧力に基づいて算出されたガバナ制御指令値GVC等が入力される。選択回路76は、これらの制御指令値の中から最も低値のものを選択し、これを制御指令値CSOとして弁開度設定部77に出力する。弁開度設定部77は、弁開度と制御指令値CSOとを関連付けたテーブルまたは関係式を予め有している。弁開度設定部77は、選択回路76から入力された制御指令値CSOに対応する開度をこのテーブルまたは演算式を用いて取得し、この弁開度を燃料流量弁開度指令値として出力する。
【0053】
また、上述したガス化炉制御装置50において求められたガス化炉総指令値GIDは、抽気空気昇圧機17の吸気圧力を設定するための圧力設定部79に与えられる。圧力設定部79は、ガス化炉総指令値GIDと圧力設定値とが対応付けられたテーブルまたは演算式を保有しており、このテーブルまたは演算式を用いて、ガス化炉制御装置50からのガス化炉指令値GIDに対応する圧力設定値を求め、この設定値に応じた圧力指令を生成する。この圧力指令は、図4に示したIGV調節弁61の弁開度を決定するための制御量として用いられる。
【0054】
次に、燃料ガスの異常発生時における上述したガス化炉制御装置50およびタービン制御装置70の作用について説明する。
燃料ガスの異常発生時においては、変化レート設定部78により変化レートがゼロに設定される。このため、レート制限部73から出力されるガスタービン出力指令GT_MWDは、一定の値が保持された状態となる。
【0055】
これにより、選択回路76により選択される制御指令値CSOは同じ値で一定となるため、燃料流量弁の開度が保持され、燃焼器5aに供給される燃料流量が一定とされる。これにより、ガス化炉3から流出されるガス流量を安定させることができるので、ガス化炉3の運転を安定させやすい状態とすることができる。更に、ガス化炉3においては、一定に保持されたガスタービン出力指令GT_MWDに基づいてガス化炉3への微粉炭、空気、チャー等の各要素の投入量が調整されるので、ガスタービンの運転状態をガス化炉3の運転に反映させることができる。
【0056】
以上説明してきたように、本実施形態に係るIGCCおよびその運転制御方法によれば、燃料ガスにカロリ異常が発生している場合には、ガスタービン出力指令GT_MWDを一定とするので、燃料ガス供給量を一定とすることができ、ガス化炉3の状態、例えば、圧力、温度、燃料ガスのカロリ等を早期に安定させることができる。これにより、燃焼器5aに供給される燃料ガスのカロリを早期に正常に戻すことができ、ガスタービンの運転を早期に安定させることが可能となる。
【0057】
更に、本実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法によれば、発電機指令MWDから実際の蒸気タービンの出力を減算することにより、ガスタービン出力指令GT_MWDを設定することとしたので、ガスタービン出力指令GT_MWDに蒸気タービン7aによる応答遅れを反映させることができる。そして、この蒸気タービンの応答遅れが反映されたガスタービン出力指令GT_MWDに基づいてガス化炉3の制御が行われるので、蒸気タービン7aの応答遅れをガス化炉3の制御に反映させることができ、ガス化炉3の応答性を高めることができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、カロリ異常が発生した場合には、ガスタービンの発電指令の変化レートをゼロとしていたが、これに代えて、図6に示すように、通常の変化レート(上述の場合は毎分6%)よりも低い変化レートαを設定することで、ガスタービン出力指令GT_MWDの変化レートを通常よりも低下させることとしても良い。
【0059】
また、この場合において、変化レートを燃料ガスのカロリの変化幅に応じて設定することとしてもよい。具体的には、カロリの変動幅が大きいほど、変化レートを小さく設定するとよい。このように、変化レートを燃料ガスのカロリ変化幅に応じて設定することにより、そのときのカロリ状態に応じた詳細な制御を実現させることが可能となる。
【0060】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係るIGCCおよびその運転制御方法について説明する。
上述した第1の実施形態においては、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、変化レート設定部78がガスタービン出力指令GT_MWDの変化レートをゼロに設定していた。
本実施形態では、図7に示すように、ガス化炉制御装置50において求められる圧力偏差ΔP、つまり、ガスタービン出力指令GT_MWDに基づいて設定された圧力指令値と実際のガス化炉出口圧力との差分を、図8に示すように、タービン制御装置70の変化レート設定部78に与え、この圧力偏差ΔPが基準値よりも大きい場合に、変化レート設定部77が変化レートをゼロに設定する。
【0061】
このようにすることで、ガス化炉出口圧力と圧力指令値との偏差が基準値よりも大きくなった場合には、圧力異常を検知して、速やかにガスタービン出力指令GT_MWDを一定とするので、ガス化炉3における制御を早期に安定させることができる。この結果、ガス化炉出口圧力を早期に正常値に近づけることができ、速やかに通常状態に戻すことができる。
なお、変化レートをゼロに設定するほか、上述のように、圧力偏差ΔPに応じて変化レートの低減幅を変化させることとしてもよい。例えば、圧力偏差ΔPが大きいほど、変化レートを低減させるようにしてもよい。
【0062】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法について説明する。
本実施形態に係るIGCCでは、図9に示すように、ガス化炉制御装置50における微粉炭要求指令の生成方法、並びに、空気要求指令の生成方法が上述した第1の実施形態と異なる。
以下、第1の実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0063】
図9に示すように、本実施形態においては、まず、上述した第1の実施形態と同様に、GIDと微粉炭容量とが対応付けられているテーブルを用いて、石炭要求量を求め、更に、この炭素要求量にガス化炉3の運転状態を促進させるための石炭用加速指令GIRfuelを加算することにより、最終的な微粉炭要求指令を生成する。ここで、石炭用加速指令GIRfuelは、ガスタービンの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの出力に基づいて設定される制御量である。
【0064】
例えば、石炭用加速指令GIRfuelは、図10に示すような構成により求められる。図10では、ガスタービンの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの出力を入力情報として受け付け、この微分変化率と所定の関数式FX1とから石炭要求量の上限変動値を求め、この上限変動値をガスタービンの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの実出力と所定の関数式FX1とから求められる基準GIRに乗算することで、石炭用加速指令GIRfuelを得る。
【0065】
同様に、空気要求指令についても、図11に示すように、GIDと空気要求量とが対応付けられているテーブルを用いて空気要求量を求め、更に、この空気要求量にガス化炉3の運転状態を促進させるための空気用加速指令GIRairを加算して最終的な空気要求指令を生成する。ここで、空気用加速指令GIRairは、ガスタービン5bの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの実出力に基づいて設定される制御量である。
【0066】
空気用加速指令GIRairは、例えば、図12に示すような構成により求められる。図12では、ガスタービン5bの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの出力を入力情報として受け付け、この微分変化率と所定の関数式FX2とから空気要求量の変動上限値を求め、これをガスタービンの出力指令GT_MWDまたはガスタービンの実出力と所定の関数式FX2とから求められる基準GIRに乗算することで、空気加速指令GIRairを求める。
【0067】
このように、本実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法によれば、GIDに基づいて得られた微粉炭、空気の要求量に対して、更に、ガスタービンの出力指令GT_MWD又はガスタービンの実出力に基づいて設定された各加速指令GIRfuel,GIRairをそれぞれ加算することにより、最終的な微粉炭要求指令、空気要求指令を求めることとしたので、負荷変動時におけるガス化炉3の運転を更に促進させることが可能となる。この結果、蒸気タービン7bによる応答遅れによる出力変動の影響を低減させることができ、ガスタービンの出力を早期に安定させることが可能となる。
【0068】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法について説明する。
上述した第1の実施形態では、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、変化レート設定部78が変化レートをゼロ又は低減させることとしたが、本実施形態では、ガスタービン5bが温調制御に移行した場合、或いは、ガスタービン5bの排ガス温度が温調制御開始温度に所定値以上近づいた場合に、変化レート設定部78が変化レートをゼロ又は低減させて、ガスタービン出力指令GT_MWDの変動を抑制する。
これにより、ガスタービン5bが温調制御に移行する場合に、ガスタービン5bおよびガス化炉3の運転を安定させることができる。
【0069】
また、上述した温調制御中においては、図13に示すように、ガスタービン出力指令GT_MWDに代えて、ガスタービン5bの実出力、または、フィルタを通過させることによりノイズが低減された後のガスタービン5bの実出力を用いて、計画GIDを求めることとしてもよい。これにより、負荷変動中におけるガス化炉3の運転を安定させることができる。
【0070】
例えば、ガスタービン設備5における温調制御時においては、要求負荷にかかわらず、つまり、ガスタービン出力指令GT_MWDにかかわらず、ガスタービンの入口温度を一定とするような制御が行われる。これに対し、ガス化炉3においては、温調制御時においてもガスタービン出力指令GT_MWDに基づいて運転制御が行われるため、ガスタービン5bとガス化炉3とが全く異なるパラメータに基づいて制御されることになり、制御が分断されることとなる。
【0071】
このような状態を避けるべく、本実施形態においては、温調制御時において、ガスタービン出力指令GT_MWDに代えて、ガスタービンの実出力に基づいてガス化炉3の運転を制御するので、ガス化炉3の運転制御にガスタービン5bの状態を反映させることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るIGCC及びその運転制御方法によれば、温調制御時においてもガスタービン5bの状態を反映させたガス化炉3の運転を行うことができるので、プラント全体を安定して運転させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るIGCCの全体の概略構成を示した図である。
【図2】図2はガス化炉の制御に関する主な構成要素を示した図である。
【図3】ガス化炉制御装置50の概略構成を示したブロック図である。
【図4】ガスタービン設備5の制御に関する主な構成を示した図である。
【図5】タービン制御装置70の概略構成を示したブロック図である。
【図6】タービン制御装置の変形例を示したブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るガス化炉制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るタービン制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る微粉炭要求指令の設定方法を説明するための図である。
【図10】微粉炭用加速指令の算出手順の一例を説明するための図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る空気要求指令の設定方法を説明するための図である。
【図12】微粉炭用加速指令の算出手順の一例を説明するための図である。
【図13】温調制御中におけるガス化炉の制御について説明するための図である。
【図14】負荷変動時におけるガスタービンの出力変動の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
1 石炭ガス化複合発電システム
3 ガス化炉
5 ガスタービン設備
5a 燃焼器
5b ガスタービン
20 チャー回収装置
50 ガス化炉制御装置
70 タービン制御装置
G 発電機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項2】
前記負荷変動指令値を低減させる場合において、前記燃料ガスのカロリ変動幅に応じて前記負荷変動指令値の低減幅を決定する請求項1に記載の石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項3】
前記ガスタービンの負荷変動設定値をゼロ若しくは低減させることにより、前記カロリ異常が検知されなくなった場合には、前記ガスタービンの負荷変動指令値を通常に戻す請求項1または請求項2に記載の石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項4】
発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成する第1の過程を有し、
前記第1の過程において求められたガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行う石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項5】
ガスタービンの発電出力指令と前記ガス化炉に投入する各要素の要求量とが関係付けられているテーブルまたは関係式を用いて、前記第1の過程において求められた前記ガスタービンの発電出力指令に対応する各要素の要求量を求め、
求めた各前記要求量に、前記ガスタービンの発電出力指令の変動幅またはガスタービンの発電出力の変動幅に応じた補正量を加算することで、各前記要素に対する最終的な要求量を決定し、
最終的な前記要求量に基づいて、前記ガス化炉への各要素の投入量を制御する請求項4に記載のガス化炉複合発電システムの運転制御方法。
【請求項6】
前記ガスタービンの温調制御中において、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項7】
前記ガスタービンの温調制御中においては、前記ガスタービンの発電出力指令に代えて前記ガスタービンの発電出力を用いて、前記ガス化炉の制御を行う請求項4に記載のガス化炉複合発電システムの運転制御方法。
【請求項8】
ガスタービンの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システム。
【請求項9】
発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成し、
生成したガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行う石炭ガス化複合発電システム。
【請求項1】
ガスタービンの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項2】
前記負荷変動指令値を低減させる場合において、前記燃料ガスのカロリ変動幅に応じて前記負荷変動指令値の低減幅を決定する請求項1に記載の石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項3】
前記ガスタービンの負荷変動設定値をゼロ若しくは低減させることにより、前記カロリ異常が検知されなくなった場合には、前記ガスタービンの負荷変動指令値を通常に戻す請求項1または請求項2に記載の石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項4】
発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成する第1の過程を有し、
前記第1の過程において求められたガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行う石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項5】
ガスタービンの発電出力指令と前記ガス化炉に投入する各要素の要求量とが関係付けられているテーブルまたは関係式を用いて、前記第1の過程において求められた前記ガスタービンの発電出力指令に対応する各要素の要求量を求め、
求めた各前記要求量に、前記ガスタービンの発電出力指令の変動幅またはガスタービンの発電出力の変動幅に応じた補正量を加算することで、各前記要素に対する最終的な要求量を決定し、
最終的な前記要求量に基づいて、前記ガス化炉への各要素の投入量を制御する請求項4に記載のガス化炉複合発電システムの運転制御方法。
【請求項6】
前記ガスタービンの温調制御中において、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システムの運転制御方法。
【請求項7】
前記ガスタービンの温調制御中においては、前記ガスタービンの発電出力指令に代えて前記ガスタービンの発電出力を用いて、前記ガス化炉の制御を行う請求項4に記載のガス化炉複合発電システムの運転制御方法。
【請求項8】
ガスタービンの負荷変化時において、燃料ガスのカロリ異常が検知された場合に、前記ガスタービンの負荷変動指令値をゼロ若しくは低減させ、この負荷変動指令値に基づいて前記ガスタービンの発電出力指令を生成する石炭ガス化複合発電システム。
【請求項9】
発電機出力指令から蒸気タービンの発電出力を減算した値を用いてガスタービンの発電出力指令を生成し、
生成したガスタービンの発電出力指令を用いてガス化炉の制御を行う石炭ガス化複合発電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−121450(P2008−121450A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303782(P2006−303782)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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