説明

石膏ボード廃材の破砕分別装置及び破砕分別方法

【課題】石膏ボード廃材から高純度石膏と石膏ボード用原紙を連続的に効率よく分離回収する。
【解決手段】吸引ファン10に接続されたサイクロン7を下部に送風口を設けたチェーン式回転打撃破砕機3の筐体上部に連結し、チェーン式回転打撃破砕機3を用いて石膏ボード廃材を破砕分離する。破砕された石膏と原紙はサイクロン7内で底部に回収され、その後篩機12によりそれぞれ分離、分別される。さらに、熱風源4の熱風を使用して、破砕と同時に二水石膏を焼石膏に転換して回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏ボード廃材から高純度な石膏と石膏ボード用原紙を効率良く分離回収して再使用可能な材料とするための石膏ボード廃材のリサイクルに有用な破砕分別装置及びそれを使用した破砕分別方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、建物の解体に伴い発生する石膏ボード廃材(以下、「解体廃材」という)のリサイクル処理方法に関し、更に詳しくは、高純度な石膏と石膏ボード用原紙を回収する破砕分別装置及び破砕分別方法に関する。
【0003】
本発明は、さらに、回収や保管中に水で濡れた状態となった石膏ボード廃材にも適用できる破砕分別装置及びそれを使用した破砕分別方法に関する。
【背景技術】
【0004】
石膏ボードは防耐火性、遮音性等を有し経済的であることから建築用資材として多用されている。このような石膏ボードは石膏を主体とする芯材を石膏ボード用原紙(以下、単に「原紙」という。)で被覆した板状の構造となっており、製品厚さ12.5mmの石膏ボードでは石膏量約95重量%(以下、%と省略する。)、原紙量約5%の割合で構成されている。この石膏ボードは建築物のいたるところに使用されており、建築現場においては、使用部位の寸法に合せて切断された残りの端材等(以下、新築現場で発生するものを特に「新築廃材」という。)が発生している。新築廃材の発生量は建築時の使用量の約10%といわれ、石膏ボードの年間使用量が約500万トンであることを考えると約50万トンの新築廃材が産業廃棄物として発生していることになる。また、既存建築物の解体により発生する解体廃材があり、その発生量は社団法人石膏ボード工業会の推計によれば2002年度で約90万トンであり、今後その量は増加すると見られている。
【0005】
これらのうち、新築廃材については、環境省認可の広域再生利用業ルートならびに各都道府県知事認可の中間処理業ルートによって、リサイクルルートが確立された状況にあり、発生量の約50%は新たな石膏ボード製造用原料に利用されている。
【0006】
しかし、残りの新築廃材および前述の解体廃材については、紙の付着した廃石膏ボードは管理型産業廃棄物として埋立て等により処分されているのが実情であり、埋立て処分場の残容量不足や建設リサイクル法の施行に伴い、より一層の分別リサイクルの推進が社会的に望まれているところである。
【0007】
こうした状況の中、石膏ボード廃材をスクリュー粉砕機(4軸粉砕機など)、ハンマーミル、クラッシャーまたはシュレッダー等で破砕および粉砕し、次いで原紙を篩い分けることにより、芯材として使用されている石膏成分を回収して石膏原料として再利用する試みが多くなされている。しかしこのような従来のシステムで回収される石膏成分には、粉砕の過程で表面の原紙から発生する微細な紙片や紙粉が混入した状態となっており、高純度の石膏成分を回収することができないという問題があった。
【0008】
従来より、石膏ボード廃材等のリサイクル原料の回収に関連する先行技術として次のようなものが存在している。
【0009】
高純度の石膏成分を回収できる様にするために、例えば、特開2001−137726号公報(特許文献1)において、圧潰ローラを用いて石膏ボードを粉砕し、石膏成分と紙成分とを分離し、これを篩いにかけて石膏成分だけを取り出すようにした石膏ボードの粉砕分別処理装置が提案されている。この装置は湿潤した廃石膏ボードも処理でき、工程全体をコンパクトにできる効果がある。しかしながら、篩い分けにより回収される原紙紙片には石膏成分が多く付着した状態であって、石膏成分の回収率が悪いという問題がある。また、石膏成分が付着したままの紙片は、結局最終処分場で処理しなければならないという問題がある。さらに、この装置はビスや釘等の金属異物を含んだ解体廃材の粉砕分別処理にはそのままでは適用し難いという問題が残る。また篩い分けにより回収される紙片中の金属異物を無くすためには、通常粉砕や篩工程の前あるいはそれらの中間や後工程で、人による手作業や磁選機を使用してそれらを除去することが行われる。
【0010】
これに対し、特開2003−71319号公報(特許文献2)において、石膏ボード廃材を含む各種廃棄物から、リサイクル原料成分を高い回収率でしかもリサイクルに適した大きさで回収でき、また回収するための処理時間を短くし、大量の廃棄物の処理にも適用可能にした破砕・分離装置等が提案されている。実施態様例としては粗破砕、紙剥離、一次スクリーン(篩い)、細破砕、二次スクリーンの各装置を順に多段に組み合わせたシステムとなる。このシステムによれば、石膏ボード廃材へ適用した場合、破砕・分離装置内の高速回転刃と固定刃に丸棒や多角形棒を用いて、石膏ボード表面の紙板を切り刻むことなく芯材の石膏部分を細かく粉砕することにより、紙片への石膏付着量を低減して石膏成分を100%近くの高収率でリサイクルに適するように細かくして回収できるメリットがある。しかしながら、その公報中でも記載しているように、この装置システムにおいても原紙の紙片は釘等の金属異物と共に排出され、そのままではリサイクル原料として使用することはできない。
【0011】
さらに、以上の二つの従来技術においては、石膏ボード廃材の石膏分を二水石膏のままで分離回収する。二水石膏のままの粉砕及び分離では、石膏分が針状結晶として原紙部分にしっかりと食い込んで接着しているため、石膏と原紙とを容易に分離し難く、石膏分を高い収率で回収するためには、後者の方法のように石膏分をかなり細かく破砕するようにしなければならない。加えて、二水石膏として回収した石膏は、新たな石膏ボード用原料等として使用する場合には、別途焼成処理をして焼石膏に転換する必要がある。

一方、特開2002−11365号公報(特許文献3)及び特開2002−138285号公報(特許文献4)は、上端部に廃棄物投入口、下端部に熱風の吹込み口をそれぞれ設けたケーシング内に、その中心に高速の回転軸を設け、その回転軸にチェーンを多段に取り付けたチェーン式回転打撃破砕機を主要部とした装置を使用した「一般廃棄物処理用乾燥装置」及び「蓄糞の炭化装置」をそれぞれ開示している。
【0012】
上記特許文献3は家庭等から排出される生ごみ等を含む一般廃棄物処理用の乾燥装置に関し、チェーン式回転打撃破砕機の打撃破砕部を保温材で覆いまたは断熱材を介して床部へ支持が行われていることにより、熱風供給機の消費エネルギーの低減を図ると共に、廃棄物の乾燥を効率的に行うことを提案している。
【0013】
また、上記特許文献4は、上記破砕装置に繋がる、煙突状の破砕物気流乾燥装置と、破砕物を取り出す捕集装置と、乾燥破砕物を加熱処理する炭化炉とからなり、蓄糞の処理と有効利用において、コンパクトな設備を提供し、悪臭の発生を防止でき、消費エネルギーも少なくなる蓄糞の炭化装置を提案する。
【0014】
しかしながら、これらの発明はチェーン式回転打撃破砕機を石膏ボード廃材の石膏と紙の同時破砕分別用に使用することを開示していない。また、家庭用生ごみや蓄糞などの混合物としての廃棄物への適用を提案するもので、石膏ボード解体廃材のように、釘等の金属異物が打ち込まれた建築構造用の廃棄物から、石膏、原紙及び金属異物等を破砕分別することを開示していない。さらに、上記ケーシング内加熱処理に関しては、一般廃棄物や蓄糞の脱水乾燥による減量等を目的とすることから排気される熱風としてその温度が約100℃までのものであって、石膏ボード廃材の芯材を形成する二水石膏を100℃をはるかに超えて加熱して焼成すること、且つ、それによって石膏ボード廃材の石膏と原紙の分離を容易にして破砕分別することについても何ら開示、示唆していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−137726号公報
【特許文献2】特開2003−71319号公報
【特許文献3】特開2002−11365号公報
【特許文献4】特開2002−138285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、建築現場その他で発生する石膏ボード廃材(新築廃材及び解体廃材)から高純度の石膏成分と石膏を除去した原紙紙片を連続的に効率良く分離回収して、その両者をそのまま有効にリサイクルできるようにする、石膏ボード廃材の破砕と分別を同時に行える装置及びそのような破砕分別方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、上記の破砕分別装置及び破砕分別方法において、さらに石膏ボード廃材の芯材を形成する二水石膏を加熱焼成して焼石膏として回収することにより、直ちに石膏ボード用原料として再使用することができるようにする破砕分別装置及び破砕分別方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記目的の達成を図るために数種類の解砕機について調査したところ、チェーン式回転打撃破砕機を用いると、石膏ボード廃材を破砕するときにボード用原紙の繊維の解繊が抑えられ、その結果破砕物から石膏と紙分を分離したときに石膏成分中に紙分がほとんど含まれないことが分かった。
【0018】
そこで、チェーン式回転打撃破砕機を応用した石膏ボード廃材のより効率的で、且つ、湿潤した石膏ボード廃材にも適用できる破砕分別方法について鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0019】
また、石膏ボード廃材からの石膏成分の分離回収率をさらに高めつつ、回収した石膏成分をそのまますぐに石膏ボード用原料石膏として使用できるようにすることを企図して、石膏ボード廃材の破砕分別と同時に芯材を形成する二水石膏の焼成を行い、焼石膏に転換した上で回収する方法及びその条件等について検討し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
請求項1に記載されるように、
石膏ボード廃材を破砕して石膏及び石膏ボード用原紙を分別回収するための装置であって、
直立または傾斜した、円筒状であり、その内部円周面上には複数の風向調整片を所定間隔で設けた筐体と、
該筐体内の中心軸又は中心軸付近に設けたモーターに接続した回転軸と、
該回転軸に上下多段に取り付けたチェーン又は回転ピンと、
該筐体内底部における前記回転軸に取り付けた石膏ボード廃材の撹拌手段と、
該筐体下端部に設けた送風口と、
該筐体上端部に設けた石膏ボード廃材の破砕物を筐体外へ搬出する排気口と、
該筐体の前記送風口より上部且つ前記排気口より下部に設けた少なくとも一つの石膏ボード廃材の投入口を備えるチェーン式回転打撃破砕機と、
前記排気口に連結して設けられた前記石膏ボード廃材破砕物から石膏と石膏ボード用原紙をその底部に回収するサイクロンと、
前記サイクロンの下端部に設けられた前記回収された石膏と石膏ボード用原紙を分離する篩と、
前記サイクロンに接続された吸引ファンと、
からなることを特徴とする石膏ボード廃材の破砕分別装置である。
【0020】
また、請求項2の発明は、
前記送風口が熱風発生装置に連結していることを特徴とする請求項1記載の石膏ボード廃材の破砕分別装置である。
【0021】
また、請求項3の発明は、
請求項1記載の石膏ボード廃材の破砕分別装置を用い、
(ア)前記投入口から二水石膏が石膏ボード原紙に接着した、金属異物を含まない石膏ボード廃材を連続的に投入する工程、
(イ)前記筐体内において送風口から前記排気口とそれに続くサイクロンを通じて吸引ファンへと所定風量の空気を流す工程、
(ウ)前記回転軸を回転させて、前記回転軸に取り付けたチェーン又は回転ピンにより紙の解繊を抑制しつつ石膏ボード廃材を破砕して、廃材中の石膏と紙とを分離する破砕分離工程、
(エ)石膏と紙を上昇空気流により前記排気口から前記サイクロンに誘導する工程、
(オ)前記サイクロンに誘導された石膏と紙の破砕物をサイクロン内下端部へ回収する工程、
(カ)前記回収した石膏と紙の破砕物を篩に掛けて石膏と紙を分離する工程、
の各工程を同時並行して連続的に行うことを特徴とする石膏ボード廃材の破砕分別方法である。
【0022】
また、請求項4の発明は、
前記チェーン又は回転ピンの先端の周速が10〜100m/秒である請求項3記載の石膏ボード廃材の破砕分別方法である。
【0023】
また、請求項5の発明は、
前記空気流が、前記送風口でのその温度が500℃〜600℃であり、前記排気口でのその温度が120℃〜400℃に制御された熱風であり、石膏ボード廃材中の二水石膏のほぼ全量を半水石膏に転換する焼成工程を前記破砕分離工程と同時に行うようにしたことを特徴とする請求項3又は4記載の石膏ボード廃材の破砕分別方法である。
【0024】
また、請求項6の発明は、
前記石膏ボード廃材が投入口から投入されて、焼成及び分離された石膏が前記サイクロンの下端部に回収されるまでの破砕分別装置内における滞留時間を2〜30秒としたことを特徴とする請求項3乃至5記載の石膏ボード廃材の破砕分別方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、主として建築物の新築現場又はその解体現場等で発生する石膏ボード廃材から、連続して破砕並びに石膏、紙の分別を行うことができ、高収率でしかも高純度の石膏成分及び石膏分の付着量が少ない原紙紙片をリサイクル材料として回収することができる。
【0026】
また、上記石膏ボード廃材の粉砕分別と同時に加熱焼成を行うと、石膏ボード廃材の芯材である二水石膏を焼石膏に転換して回収できることから、そのまま石膏ボード用原料石膏としてリサイクル使用できるというメリットがある。このように石膏ボード廃材から回収した石膏成分を再びもとの石膏ボード用の原料として再利用することは、材料のリサイクル方法としては最も望ましい形であり、加えて石膏ボードの年間生産量は今後見込まれる石膏ボード廃材の発生や排出量と比較して十分に大きいものであるから、回収された石膏成分の再利用の優れた受け皿となり得る。
【0027】
一方、分離回収された原紙紙片は、石膏含有量が少ないことから故紙原料、農業用(肥料用)やその他の産業用途に使用可能である。
【0028】
以上から、本発明は、今後排出量の増大が見込まれる石膏ボード廃材のリサイクルに大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態における石膏ボード廃材の破砕分別装置の構成及び破砕分別フローの概略を示す図である。
【図2】本発明のチェーン式打撃破砕機の断面図(側面図及び平面図)である。
【図3】比較例として使用した従来法による石膏ボード廃材処理フローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態を図1及び図2を参照して説明する。図1は本実施例の破砕分別装置100の全体構成を示し、図2は破砕分別装置100に使用されるチェーン式打撃破砕機3の詳細図である。
【0031】
破砕分別装置100は、チェーン式回転打撃破砕機(以下、単に「破砕機」と省略する。)3と、サイクロン7と、バグフィルター9を介して接続される吸引ファン10と、破砕物を石膏と紙に篩い分けする回転式遠心篩12を有している。
【0032】
破砕機3は、直立または傾斜した円筒状の筐体30を有し、その内部円周面上には複数の風向調整片31を所定間隔で設けている。筐体3内の中心にはモータ(図示せず)に接続した回転軸32が設けられ、この回転軸32には上下多段にチェーン33が取り付けられている。
【0033】
筐体内底部には前記回転軸32に取り付けた掻き取り羽根からなる石膏ボード廃材の撹拌手段34が設けられている。
【0034】
前記筐体は円筒状であって、好ましい実施態様としては直立に設置する。なお、廃材投入の作業性や分別回収物取り出し等の利便性を考慮して少し傾斜して設置しても良い。
【0035】
筐体30の内部円周面上には複数の風向調整片31を所定間隔で螺旋を描くように設けてある。これらは後述の廃材打撃用チェーンやその先端と接触及び衝突しないように配置する。上記風向調整片31は、原紙の繊維の解繊を抑えるために、外表面端部が角が取れた曲面を形成していることが好ましい。このような風向調整片31の設置により、筐体内下端部の送風口から上端部の排気口へ向かう気流(風の流れ)を円滑なものに整流することができる。また、そのような風向の調整に伴い石膏や紙分の筐体内部への付着を防止できる。
【0036】
筐体3の下端部に送風口35が設けられ、熱風発生装置4(図1)からの熱風が供給される。
【0037】
また、筐体3の下端部には石膏ボード廃材に含まれる金属異物を排出するための排出口36と異物落下受箱37が設けられている。
【0038】
筐体3の上端部には石膏ボード廃材の破砕物を筐体外へ搬出する吸引ファン10に連通した排気口38が設けられ、また、筐体3の前記送風口35より上部で且つ前記排気口38より下方に設けた少なくとも一つの石膏ボード廃材の投入口39が設けられている。この投入口39には原料受入れホッパ1が原料投入用スクリューコンベア2を介して連結されている。
【0039】
なお、排気口38に接続して設けられるサイクロン7は、破砕機3から吸引排出される石膏ボード廃材破砕物から石膏と石膏ボード用原紙を回収するもので、回収された石膏ボードと原紙はスクリューコンベア11により搬送されて回転式遠心篩12に送り込まれるようにされている。
【0040】
サイクロン7の上部にはバグフィルタ9が連結されており、更に、バグフィルタ9には吸引ファン10が接続される。
【0041】
次に、上記破砕分別装置100を使用して石膏ボード廃材を破砕して石膏と原紙を分別回収する工程の概略を説明する。
【0042】
処理される石膏ボード廃材は、まず原料受入れホッパー1により投入され、コンベア2により打撃破砕機3内に導入される。導入された石膏ボード廃材は破砕機3の回転するチェーンによって打撃されて粉砕され、ここで、破砕に伴い分離された金属片を底部より取り出す。
【0043】
破砕された石膏及び原紙の破砕物は吸引ファン10の吸引力により配管を通してサイクロン7に送り込まれる。
【0044】
サイクロン7では、破砕物を含む空気が渦流とされ、この空気流に含まれる遠心力の大きい石膏成分及び紙片が内壁部を下降して底部で回収され、また、遠心力の小さい原紙の一部を含む空気流が上端部より排出されてバグフィルター9に搬送される。サイクロン7にて回収された石膏成分及び紙片は底部より排出されてスクリューコンベア11により搬送されて回転式遠心篩12に送られる。一方、分離された原紙を含む空気流はバグフィルター9においては原紙が回収され、スクリューコンベア11を介して回転式遠心篩12に送られ、ここで再度石膏成分と原紙とを分離し、それぞれ、回収石膏(ア)と回収原紙(イ)に分離して回収される。
【0045】
このような破砕分別装置を用いての石膏ボード廃材の破砕分別処理方法は、次の各工程を同時並行して連続的に行う。
[粗破砕工程]
次に、本実施例の破砕機3及び破砕機3による破砕工程について詳しく説明する。
【0046】
石膏ボード廃材は、投入口から破砕分別装置に投入する前に、粗破砕しておくことが望ましい。破砕片のサイズが小さい方がその後の石膏芯材の粉砕分別処理が計画どおり効率良く行えるからである。破砕方法は、通常の圧縮、衝撃、せん断、摩擦及び切断によるもので良く特に限定されない。ここでは、スクリュー粉砕機(4軸粉砕機)またはハンマークラッシャーが好適に使用される。そのときの破砕の度合いは、破砕片の長径が100mm以下、好ましくは50mm以下、更に好ましくは20mm以下である。粗粉砕物を原料受入れホッパー1に入れる。
【0047】
石膏ボード廃材の粗粉砕物原料は、ホッパー1から投入口39へ送られ、投入口39よりチェーン式回転打撃破砕機3の筐体30内へと導入される。この投入口39は前記破砕機3の筐体30の側面部分の、前記送風口35より上部且つ前記排気口38より下部となるような高さに位置するように、1つまたは複数設ける。投入口をこのような範囲の高さに設けることにより、投入する廃材を必ずチェーンと十分に接触させるようにすることができるため、廃材が十分に破砕されることなく排気口から系外へ排出されるのを防止することができる。このような投入口はその高さや数等の位置やその開口径の大きさを種々変えることにより廃材破砕及び石膏と紙の分離に最適な条件を選択することができる。そのように破砕機の操作条件をフレキシブルに選択できるようにするため投入口は予め複数個設けておく事が望ましい。一度に2以上の投入口を使用して運転できることは勿論である。
【0048】
該筐体内の中心軸又は中心軸付近には回転軸32が設けられ、モーターに接続されて、回転するようになっている。この回転軸32にはさらに石膏ボード廃材を打撃し破砕するためのチェーン33が上下に多段に複数列に渡って取り付けられている。チェーン33は通常の金属リングを複数個つなげたものであるが、先端部に錘部材を付けたチェーンであっても良い。材質としては加熱に耐えるため金属が望ましく、中でも鉄、特に磨耗し難い特殊鋼であることが望ましい。
【0049】
また、チェーンに替えて棒状の回転ピンを取り付けても良いが、柔軟性を有するチェーンがより好ましい。棒状回転ピンの場合、その横断面は、石膏ボード廃材に打撃を与える部分の形状が円若しくは楕円状等の曲面または鈍角の多角形状でなければならない。これが回転刃や鋭角の断面を持つものであると、紙片に係る剪断力が大きくなり、その結果紙片の解繊が進み石膏成分中に移行して分離が困難になる不都合がある。
【0050】
チェーンまたは回転ピンの回転速度は廃材の破砕分別上重要なファクターの一つであり、所定の速度にコントロールするのが望ましい。これは、先端部分の周速で制御でき、装置の能力設計によるが通常約10m/秒〜100m/秒の範囲である。より好ましくは30m/秒〜50m/秒の範囲であり、この周速は装置筐体の容積やチェーン又は固定ピンの本数や段数にはほとんど無関係に一定で良い。なお、チェーンを取り付ける場合の段数及び本数は装置の大きさに拠るが、通常は8段で8〜10列で十分である。本発明においては、チェーンの先端の周速を、破砕分別装置の大きさに拘わらず、上記の好ましい範囲に制御することで、石膏成分が高収率でかつ高純度に回収できる。このことはこの範囲では破砕中の原紙の解繊が抑えられることを意味する。なお、周速が10m/秒以下では石膏の回収率が低くなる傾向となり、一方、100m/秒を超えると原紙の解繊が進行して回収石膏の純度が低下し始める。
【0051】
筐体30内の底部には、前記回転軸32に石膏ボード廃材の撹拌手段34が取り付けられる。この撹拌手段34は通常羽根状部材またはブレードで34aあって、石膏ボード廃材やその破砕物を撹拌したり筐体内部の上方に跳ね上げたりするために使用される。このような撹拌と跳ね上げ作用と筐体下端部に設けた送風口35から筐体上端部に設けた排気口38に向かう上昇空気流によって、筐体内の廃材及び破砕物は回転軸32に取り付けられた打撃チェーン33の位置まで持ち上げられ、適度な細かさの石膏粒径あるいは石膏分が分離された原紙紙片になって送風により排気口35から筐体外へ輸送されるまで、繰り返しチェーン33による打撃を受ける。
【0052】
なお、本発明の装置内では常に風が流れており、そしてこれにチェーン打撃のエネルギーにより廃材破砕物の温度上昇が加わるため、石膏ボード廃材として湿潤したものを使用しても破砕分別中に水分が蒸発乾燥され、装置内やチェーン等に石膏が付着することがない。廃材の湿潤の程度が著しい場合でも、熱風発生器により発生させた温風または熱風を使用することで対処できる。
【0053】
上記撹拌手段34はまた、廃材の破砕に伴い分離され、その比重の重さで装置内の送風に逆らい筐体底部に落下してくる石膏ボード廃材に含まれる金属異物を筐体底部に開口した排出口36から排出するのにも使用される。この金属異物の排出口36は、筐体底部の送風口と別の位置に開口して設けられても良いし、上記送風口を排出口として共用してもよい。後者の場合、石膏ボード廃材の破砕物が排出口から筐体外へ排出されロスとなる量を低減できるのでより好ましい。排出口36は金属異物のダンパーを介して受け箱37に連通しており、金属異物は受け箱から系外に取り出される。
【0054】
このような本発明の実施態様においては、石膏ボード廃材からの金属異物の除去回収率は99〜100%であり、筐体内での破砕分別工程で、同時に金属異物がほぼ完全に取り除かれる。
【0055】
[分離・回収工程]
一方、前記排気口38から筐体30の外へ空気輸送される石膏及び原紙紙片の破砕物は吸引ファン10に接続したサイクロン7内へ誘導される。筐体の排気口38とサイクロン7は中空連結管6で連結されるが、その間に乾燥管(図示せず)を設けても良い。乾燥管は前記中空連結管より内径を大きくした中空管であり、破砕物の温度調節や流速を調整するのに有用である。乾燥管をほぼ垂直に設けて破砕物を通すと、管内径が大きくなることから、輸送物の流速すなわち乾燥管内の風速が低下する。この時点で破砕物に金属異物が含まれている場合は、この風速の低下により乾燥管内底部に落下させて分離することができる。サイクロン7はバグフィルター9を介して吸引ファン10に連結される。
【0056】
破砕物に含まれる石膏成分と原紙紙片は、サイクロン7内においてその底部に回収される。
【0057】
本発明では、廃材を投入口から投入してから石膏成分及び原紙紙片がサイクロン7底部に回収されるまでの時間、すなわち石膏成分等破砕物の装置内滞留時間は石膏の回収率や純度を指標として、主として吸引ファン10による破砕分別装置内への送風量により調整する。
【0058】
石膏ボード廃材の破砕物のうち、粒径が細かい粉体となったものはサイクロン7の上端部より出て、バグフィルターにより回収される。この粉体は、必要に応じて、サイクロン7下端部で回収された破砕物とともに篩いに掛かられ、石膏と紙片とに分離されて回収される。
【0059】
本発明の最も好ましい態様としては、熱風発生装置4が破砕機3の送風口35に連結している。破砕分別装置内に熱風を送り込むことにより、湿潤廃材を処理しながら乾燥できるため、石膏成分がチェーン、風向調整片あるいは装置内部等に付着することを防止できる。
【0060】
また、熱風を使用して、破砕分別と同時に芯材の二水石膏の焼成を行うことができる。
【0061】
破砕分別と同時に芯材の二水石膏の焼成を行う場合においては、送風口での熱風温度を約500〜600℃、排気口でのそれを約120〜400℃にコントロールする。送風口及び排気口の熱風温度をそのように維持しながら、連続して廃材を投入し、所定風量及び風速の下で破砕分別し、破砕物石膏をサイクロン7で捕集する。
【0062】
本発明の好ましい実施態様では、このときの廃材の装置内滞留時間を2〜30秒、より好ましくは5〜15秒とする。これにより、廃材中の二水石膏をほぼ完全に焼石膏(半水石膏)に焼成転換できる。このような二水石膏から焼石膏への転換により、原紙部分にしっかりと食い込んで接着している二水石膏結晶が紙片から分離しやすくなる。また、最終的に二水石膏ではなく焼石膏(半水石膏)として回収できるため、そのままもとの石膏ボードを製造するための原料として再利用できる。
【0063】
本発明では、前記サイクロン7の下端部にさらに回収石膏と原紙紙片を分離する篩手段12を設ける。この篩手段12としては円筒回転式遠心篩や振動式篩が使用できる。篩目のサイズとしては3mm以下が好ましい。サイクロン7の下端部で回収される石膏成分及び原紙紙片はこのような篩目サイズの篩に掛けて分離される。このようにして得られた分離石膏成分の最終的な純度は99%以上であり、紙片含有量は約1%未満で通常約0.5%以下である。
【0064】
分離工程によって回収された紙片は、そのままリサイクル用途に供される。
【0065】
一方、更に付着した石膏分を除去するために、次に、水洗して洗浄しても良い。洗浄方法としては回転ドラム式の洗浄装置を使用した方法が推奨される。
【実施例】
【0066】
次に上記本発明の工程に従って行った具体的実施例について説明する。
(実施例1)
[使用廃材]
石膏ボード廃材として、厚さ12.5mmの標準的な石膏ボード(JIS A 6901で規定するGB−R)の湿潤していない廃材で、予めビニール化粧紙、裏桟木枠または金属枠、及び釘・ステープル等を予め選別除去したものを用いた。
【0067】
本発明の粉砕分別装置に投入する前に、前処理として4軸破砕機により、破砕片の長径が約50mm以下となるように粗粉砕して試料とした。
[金属異物分離回収率]
原料受け入れホッパー1において、上記廃材試料に金属異物として石膏ボード留め付け用の釘及びタッピンネジをそれぞれ200本ずつ、合計400本を混入させて、破砕分別装置に投入した。
【0068】
チェーン式回転打撃破砕機3の底部の落下物排出口36で回収された釘及びタッピンネジの本数を数え、回収率を算出した。
[焼石膏の二水石膏への重量換算]
それぞれの分子量を二水石膏172、焼石膏145として計算に拠り換算した。
[石膏純度の測定方法]
石膏試料約100gを40℃恒量乾燥して重量を測定し、それを100メッシュ(篩目サイズ約0.149mm)篩上で水洗し、石膏を軽くすりつぶしながら洗い流し、篩上に残存した紙粉及びその他を再度40℃恒量乾燥して重量を測定し、初めの石膏試料重量に対する水洗前後の重量差を石膏分として純度(%)を算出した。
[紙片の石膏含有量の測定方法]
紙片の石膏分(半水石膏換算)の含有量は次のようにして求めた。紙片サンプル約100gを40℃恒量乾燥して重量を測定し、それを100メッシュ(篩い目サイズ約0.149mm)篩上で水洗し、石膏を軽くすりつぶしながら洗い流し、篩上に残存した紙片及び紙粉を再度40℃恒量乾燥して重量を測定し、当初の紙片サンプル重量に対する水洗前後の重量差を石膏分(%)とした。
[破砕分別装置の仕様及び運転条件]
チェーン式回転打撃破砕機
チェーン段数と本数: 8段、8列
チェーン回転速度(先端の周速):平均39.8m/秒
風速と風量:前処理済み廃材の破砕機内投入〜サイクロン下部での石膏回収までの装置内滞留時間:約5秒
送風温度:常温
サイクロン下部回収石膏の篩い処理条件:回転篩い機、篩目サイズ2mm
廃材投入量:石膏ボード重量換算で約50kg/hとして、定常状態になったところで実験をスタートし、約20分間運転して、その間のデータ及びサンプルを収集して測定及び解析した。
[分別回収率および純度等]
落下物排出口での金属異物分離回収率:100%
回転式遠心篩後の回収石膏の純度:99.4%、紙分0.4%
回収石膏重量*(回収率) :46.96kg
*1時間あたりの全二水石膏換算による。
【0069】
回収原紙重量(石膏含有率):3.05kg(22.3wt%)
(実施例2)
送風を熱風にて行い、他は実施例1と同様の条件で破砕分別を行った。
【0070】
焼石膏として回収した石膏の重量は計算により二水石膏に換算した。
[破砕分別装置の仕様及び運転条件]
チェーン式回転打撃破砕機
チェーン段数と本数: 8段、8列
チェーン回転速度(先端の周速):平均39.8m/秒
風速と風量:前処理済み廃材の破砕機内投入〜サイクロン下部での石膏回収までの装置内滞留時間:約5秒
熱風温度:送風口(破砕機り口)温度550±5℃、
排気口(破砕機出口)温度160±3℃
サイクロン下部回収石膏の篩い処理条件:回転篩い機、篩い目サイズ2mm
廃材投入量:約5t/hとして、定常状態になったところで実験をスタートし、約20分間運転して、その間のデータ及びサンプルを収集して測定及び解析した。
[分別回収率および純度等]
落下物排出口での金属異物分離回収率:100%
回転式遠心篩後の回収石膏の純度:99.6%、紙分0.2%
回収石膏重量*(回収率) :46.81kg(全て半水石膏に焼成されていた。)
*1時間あたりの全二水石膏換算による。粗粉砕後の篩い下で回収した二水石膏も含めた。焼石膏としての回収重量は39.46kgであった。
【0071】
回収原紙重量(石膏含有率):3.00kg(20.2wt%)
(比較例1)
試料として実施例1と同じもの5トンを、金属異物として釘及びタッピンネジを混入しないで使用し、以下のように、図3のフローチャートに従って廃材の処理を行った。
【0072】
石膏ボード廃材を4軸粉砕機に掛けて破砕片の長径が20mm以下となるように粗粉砕し、続いて篩目のサイズ10mmの回転篩で篩上に紙片を分離した。次にこの紙片を焼成装置を用いて150℃で2時間加熱して紙片に付着した二水石膏をすべて焼石膏となるようにした。さらにこれをハンマーミルで粉砕し、篩目のサイズ5mmの回転式遠心篩に掛けて石膏と紙片を分離した。篩い下の石膏成分はさらに篩目のサイズ2mmの回転式遠心篩に掛けて石膏と紙片を再度分離した。
【0073】
以上のようにして、石膏成分を篩い下にて回収し、紙片は篩上に分離回収して空気輸送によりサイロに移送、収集した。
このようにして得られたサンプルの測定データは次のとおりであった。
[分別回収率および純度等]
回収石膏重量*(回収率) :43.89kg(92.4%)
*二水石膏換算による。
【0074】
回収石膏の純度:94.3%、紙分5.5%
回収原紙重量(石膏含有率):3.75kg(49.7%)
以上の結果から、本発明によれば、石膏ボード廃材を連続して破砕並びに石膏、紙及び金属異物の分別を行うことができ、従来の方法より高収率でしかも高純度の石膏成分及び石膏分の付着量が少ない原紙紙片を回収することができる。
【0075】
また、粉砕分別と同時に加熱焼成を行うと、二水石膏をほぼ完全に焼石膏に転換して回収できることから、そのまま石膏ボード用原料石膏としてリサイクル使用できる。
【0076】
一方、分離回収された原紙紙片は、石膏含有量が少ないことから故紙原料、農業用(肥料用)やその他の産業用途に使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上から、本発明は、今後排出量の増大が見込まれる石膏ボード廃材、特に解体廃材のリサイクルに大きく貢献できるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 原料受け入れホッパー
2 原料投入スクリューコンベア
3 チェーン式回転打撃破砕機
4 熱風発生装置
5 落下物受け箱
6 配管
7 サイクロン
8 ロータリーフィーダー
9 バグフィルター
10 吸引ファン
11 スクリューコンベア
12 回転式遠心篩
13 スライドダンパー
14 スクリューコンベア
15 スクリューコンベア
16 紙片空送管
ア 回収石膏
イ 回収原紙
ウ 金属異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏ボード廃材を破砕して石膏及び石膏ボード用原紙を分別回収するための装置であって、
直立または傾斜した円筒状であり、その内部円周面上には複数の風向調整片を所定間隔で設けた筐体と、
該筐体内の中心軸に設けたモーターに接続した回転軸と、
該回転軸に上下多段に取り付けたチェーン又は回転ピンと、
該筐体内底部における前記回転軸に取り付けた石膏ボード廃材の撹拌手段と、
該筐体下端部に設けた送風口と、
該筐体上端部に設けた石膏ボード廃材の破砕物を筐体外へ搬出する排気口と、
該筐体の前記送風口より上部且つ前記排気口より下部に設けた少なくとも一つの石膏ボード廃材の投入口を備えるチェーン式回転打撃破砕機と、
前記排気口に連結して設けられた前記石膏ボード廃材破砕物から石膏と石膏ボード用原紙をその底部に回収するサイクロンと、
前記サイクロンの下端部に設けられた前記回収された石膏と石膏ボード用原紙を分離する篩と、
前記サイクロンに接続された吸引ファンと、
からなることを特徴とする石膏ボード廃材の破砕分別装置。
【請求項2】
前記送風口が熱風発生装置に連結していることを特徴とする請求項1記載の石膏ボード廃材の破砕分別装置。
【請求項3】
請求項1記載の石膏ボード廃材の破砕分別装置を用い、
(ア)前記投入口から二水石膏が石膏ボード原紙に接着した、金属異物を含まない石膏ボード廃材を連続的に投入する工程、
(イ)前記筐体内において送風口から前記排気口とそれに続くサイクロンを通じて吸引ファンへと所定風量の空気を流す工程、
(ウ)前記回転軸を回転させて、前記回転軸に取り付けたチェーン又は回転ピンにより紙の解繊を抑制しつつ石膏ボード廃材を破砕して、廃材中の石膏と紙とを分離する破砕分離工程、
(エ)石膏と紙を上昇空気流により前記排気口から前記サイクロンに誘導する工程、
(オ)前記サイクロンに誘導された石膏と紙の破砕物をサイクロン内下端部へ回収する工程、
(カ)前記回収した石膏と紙の破砕物を篩に掛けて石膏と紙を分離する工程、
の各工程を同時並行して連続的に行うことを特徴とする石膏ボード廃材の破砕分別方法。
【請求項4】
前記チェーン又は回転ピンの先端の周速が10〜100m/秒である請求項3記載の石膏ボード廃材の破砕分別方法。
【請求項5】
前記空気流が、前記送風口でのその温度が500℃〜600℃であり、前記排気口でのその温度が120℃〜400℃に制御された熱風であり、石膏ボード廃材中の二水石膏のほぼ全量を半水石膏に転換する焼成工程を前記破砕分離工程と同時に行うようにしたことを特徴とする請求項3又は4記載の石膏ボード廃材の破砕分別方法。
【請求項6】
前記石膏ボード廃材の投入口から投入されてから、焼成及び分離された石膏が前記サイクロンの下端部に回収されるまでの破砕分別装置内における滞留時間を2〜30秒としたことを特徴とする請求項3乃至5記載の石膏ボード廃材の破砕分別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−11210(P2011−11210A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225179(P2010−225179)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【分割の表示】特願2004−347066(P2004−347066)の分割
【原出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000160359)吉野石膏株式会社 (48)
【Fターム(参考)】