説明

研磨スラリーのろ過方法並びに研磨材の回収方法及び回収装置

【課題】粗大固形物の混入を完全に除去することができ、さらには極めて寿命の長いフィルターにより、半永久的にろ過精度を維持し、使用することが可能な研磨スラリーのろ過方法並びに研磨材の回収方法及び回収装置を提供する。
【解決手段】ろ過前の研磨スラリーを収容する収容タンク2と、収容タンク2から研磨スラリーを送液するためのポンプ3と、ポンプ3により送液された研磨スラリーをろ過するメンブレンフィルター4と、メンブレンフィルター4を逆洗する逆洗手段5と、メンブレンフィルター4の濃縮水を収容する廃液タンク6と、メンブレンフィルターの透過水を収容する回収タンク7と、から構成される研磨材の回収装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨スラリーのろ過方法並びに研磨材の回収方法及び回収装置に関し、特に、使用済み研磨スラリーにおける所定の粒子径の異物を確実に除去することができる研磨スラリーのろ過方法、それを用いた研磨材の回収方法及び回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハの上に形成された絶縁膜、メタル薄膜などの被膜の表面は、高度な平坦面であることが要求されている。その要求に応えるために、研磨パッドなどの研磨部材と半導体ウェーハとの間に研磨スラリーを介在させた状態で研磨を行なうCMP(化学的機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)が採用されている。
【0003】
CMPで用いられる研磨材としては、分散性がよく粒子径が揃っているシリカ微粒子や、研磨速度の大きいセリア、硬度が高く安定なアルミナなどが使用されている。これらの研磨材は、所定粒子径、濃度の粒子が水中に分散したスラリーとしてメーカーにより提供され、各現場に応じて、CMPマシンに供給する際に所定濃度に希釈されて使用されている。また、近年、半導体集積回路の配線パターンの微細化に伴い、より高度な平坦化が必要とされ、研磨粒子の粒径をより高精度に分級したいという要求が高まっている。
【0004】
通常、このスラリー中には、水酸化カリウム、アンモニア、有機酸、アミン類などのpH調整剤、界面活性剤などの分散剤、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、硝酸鉄(III)などの酸化剤などが予め添加されたり、あるいは、研磨時に別途添加される。
【0005】
これらの研磨スラリーは、使用量が多く高価である点、また、産業廃棄物量低減の観点から、再利用することが望まれる。しかし、研磨工程排水は、希釈により研磨材濃度が低下しており、加えて半導体ウェーハや、被膜材料、研磨パッド屑、研磨材が破壊された微細粒子や、研磨材が凝集することによって生じる粒子径の大きい固形不純物などが混入している。
【0006】
そのため、このような研磨工程排水を無処理で研磨材として再利用すると、研磨材濃度の低下による研磨速度低下や、ウェーハ表面のキズ発生につながる。
【0007】
したがって、再利用にあたっては、研磨排水から粗大固形物、塩類などの不純物の除去処理を行い、さらに濃縮処理を行って所定組成の研磨スラリーを再調整することも行なわれていた。従来より、CMP工程排水処理のために、さまざまな技術の開発が試みられている。例えば、CMP工程排水を精密ろ過膜で処理して粗大固形物を除去した後、限外ろ過膜で処理し、さらに薬剤を添加して濃度調整し、研磨スラリーとして再利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−33362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら研磨スラリーの再利用方法に用いられるろ過技術は、粗大固形物や微小な粒子をほぼ除去することは可能である。ろ材としては、不規則な孔構造の繊維マトリックからなるデプスフィルター、プルーツ状フィルター、及びデプスとプルーツを組み合わせたものや不規則な孔構造のスポンジ状マトリックスからなるメンブレンや不規則な孔構造のセラミックス多孔体等がある。しかし、ろ材の孔径分布が幅広い特性を有するため、例えば、除去を目的とする粗大固形物等を完全に除去するまでには至らず、わずかながら透過水側に粗大固形物等が混入する場合があった。また、近年、半導体集積回路の配線パターンの微細化により、より高精度な平滑化を行うために、研磨粒子を高精度に分級したいという要求もあり、従来のろ材構造では満足できなくなってきた。
【0009】
また、これらのろ材の膜構造は、繊維が複雑に入り組んだ構造となっている。したがって、その構造により除去目的の粒子を深層部で捕捉してろ過しているが、これは逆洗等によっても除去するのが困難で、使用すればするほど目が詰まっていき、圧力損失が徐々に増大していき、ついには寿命がきてフィルターを交換する必要が生じてしまう。
また、ろ過面積の大きいプリーツ型と異物の捕捉容量の大きいデプス型を組み合わせ、フィルターの1次側から2次側に向かってろ材(不織布)の孔径を大きい方からだんだん小さくしていき、多層構成にして、フィルターのロングライフ化を図った商品もあるが、いずれは目詰まりを起こし、交換する必要がある。さらに、絶対ろ過精度も100%には達しない。
【0010】
そこで、本願発明は、粗大固形物の混入を完全に除去することができ、さらには極めて寿命の長いフィルターにより、半永久的にろ過精度を維持し、使用することが可能な研磨スラリーのろ過方法並びに研磨材の回収方法及び回収装置を提供しようとするものである。
【0011】
さらに、研磨スラリー中に含まれる極微細粒子は基板汚染の原因になる。すなわち、基板と研磨粒子との吸着力は表面張力に関係しているため、研磨材粒子径が微細になると単位体積当たりの表面積が増加して、基板との吸着力が過剰に強くなる。その結果、研磨後の極微細粒子を基板表面から洗浄除去できず、基板汚染の原因になる。このような極微細粒子は、研磨スラリー中に元々含まれているものの他、研磨材同士の磨耗によって、研磨材が破壊されたときに発生する場合もあり、上記したように、基板表面から洗浄除去できず、基板汚染の原因になる。
【0012】
そこで、本願発明においては、複数のフィルターを用いることにより、粗大及び微小固形物の混入を完全に除去することができ、さらには極めて寿命の長いフィルターにより、半永久的にろ過精度を維持し、使用することが可能な研磨スラリーのろ過方法並びに研磨材の回収方法及び回収装置も提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の研磨スラリーのろ過方法は、研磨スラリーを、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するメンブレンフィルターを用いてろ過するろ過工程と、このろ過工程の後、メンブレンフィルターを逆洗してメンブレンフィルターの目詰まりを解消する逆洗工程と、を有し、ろ過工程及び逆洗工程とを交互に行なうことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の研磨材の回収方法は、半導体を研磨した使用済み研磨スラリーを、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するメンブレンフィルターを用いてろ過するろ過工程と、このろ過工程の後、メンブレンフィルターを逆洗してメンブレンフィルターの目詰まりを解消する逆洗工程と、を有し、ろ過工程及び逆洗工程とを交互に行ない、その透過水又は濃縮水を回収することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の研磨材の回収装置は、使用済み研磨用スラリーをろ過する孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するメンブレンフィルターと、メンブレンフィルターの透過水又は濃縮水を回収する回収タンクと、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の研磨スラリーのろ過方法によれば、研磨スラリー中に含まれる所定の粒子径範囲の不純固形物を確実に除去することができる。
【0017】
本発明の研磨材の回収方法及び回収装置によれば、研磨スラリー中に含まれる所定の粒子径範囲の不純固形物等を確実に除去し、研磨剤を効率的に回収することができ、さらに、回収された研磨材は研磨スラリーとして再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の研磨スラリーのろ過方法並びに研磨材の回収方法及び回収装置について詳細に説明する。
【0019】
(研磨スラリーのろ過方法)
以下、本発明の研磨スラリーのろ過方法について説明する。
本発明の研磨スラリーのろ過方法は、研磨スラリーを、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するメンブレンフィルターを用いてろ過するろ過工程と、ろ過工程の後、メンブレンフィルターを逆洗してメンブレンフィルターの目詰まりを解消する逆洗工程と、を有し、ろ過工程及び逆洗工程とを交互に行なうことを特徴とする。
【0020】
ここで、ろ過対象となる研磨スラリーとしては、砥粒である研磨材を含有するものであればよく、未使用の研磨スラリー、研磨に使用後の使用済み研磨スラリーの両者を含むものである。
【0021】
未使用の研磨スラリーをろ過する場合には、研磨スラリー中の研磨材の粒子径をより均一に調整したり、粒子径を所定の範囲毎に分級したりすることを目的として行なうことができる。また、使用済みの研磨スラリーをろ過する場合には、研磨工程においてスラリー中に含まれる削り屑等の粗大固形物や研磨に寄与しないような微小な粒子等の不純物を除去し、研磨材のみを分離することを目的として行なうことができる。
【0022】
また、ここで用いられるメンブレンフィルターは、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するものであり、極めて目が詰まり易いため、微粒子が多量に存在する研磨材スラリーのろ過には全く用いられておらず、これまでは超純水や薬液中の製造における最終処理として低減された微量の不純物をさらに除去することで、極めて純度の高いものとするために用いられていた。
【0023】
さらに詳しく、本発明に使用するメンブレンフィルターの孔構造について、従来のフィルターの孔構造と比較して説明する。本発明のメンブレンフィルターの孔径分布と従来のフィルターの孔径分布とを比較した例を図1に示す。両フィルターとも公称孔径が1μmである。従来のフィルターの孔径分布が0.1〜10μmに分布しているのに対し、本発明のメンブレンフィルターは孔径分布が0.8〜1μm(−20%〜+0%)と非常にシャープである。このため、本発明のフィルターは従来フィルターよりも高精度に研磨粒子や粗大固形物等や微小な粒子等を高精度に分級可能となる。また、本発明のメンブレンフィルターと従来のフィルターの開孔率を比較すると、従来のフィルターの開孔率が50%以上、あるいは70〜90%に対し、本発明のフィルターの開孔率が15%未満と小さいため、微粒子が多量に存在する研磨材スラリーのろ過としては敬遠されていた。
【0024】
このメンブレンフィルターは、例えば、ポリカーボネートやポリエステル等のポリマー製のフィルムに、高エネルギーの重イオンでトラッキング(軌跡付け)するプロセスと、円筒状の孔構造を作るエッチングのプロセスによるトラックエッチングにより製造することができる。
【0025】
トラッキングプロセスでは、ポリマーフィルムにアクセラレーターで加速した高エネルギーの重イオンを貫通させ、トラック(軌跡)を形成させ、このとき、重イオンの数量とフィルムの巻き取りスピードにより単位面積当たりのトラック数(孔密度)をコントロールする。次いで、エッチングプロセスでは、トラックしたフィルムをエッチング液へ浸漬し、トラック部分を優先的に溶解し孔を形成させ、このとき、エッチング条件により孔径をコントロールする。このときフィルターの孔径は均一なものとして得られ、その孔道はフィルムの厚さ方向(フィルムの表面に対して垂直又は略垂直)に形成される。
【0026】
このメンブレンフィルターとしては、その厚みが6〜11μm、開孔率が15%未満、孔密度が1×10〜6×10個/cmであり、孔径が0.015〜12.0μmのものを適宜用いることができ、半導体研磨スラリーに適用する場合には、研磨材であるコロイダルシリカが500nm程度の粒子径を有するため、0.015〜1.0μmの孔径の範囲のメンブレンフィルターをその目的に応じて使用することが好ましい。このメンブレンフィルターは、表面が平滑で孔道が円筒状で真直に形成されているため、ろ過対象物に含まれる孔径を超える固形物を完全な表層ろ過によりふるい分けができ、孔径が揃っているため絶対ろ過精度を高く維持することができる。
【0027】
また、このメンブレンフィルターは、ろ過対象である研磨スラリーをろ過することができるものであればよく、例えば、通常の平膜状であってもよいし、ろ過面積を稼ぐためにプリーツ状に加工したフィルターカートリッジとしてもよい。
【0028】
このようなメンブレンフィルターに対して、研磨スラリーをろ過するが、このとき用いるメンブレンフィルターの孔径が、必要とする研磨材の粒子径以上の場合には、研磨材は孔を通り抜け大部分が透過水側へと含まれることとなる。このとき、孔径よりも大きな固形物はメンブレンフィルター上に捕捉されるため、研磨材を含む所定の粒子径以下の粒子を含有する研磨スラリーを得ることができる。
【0029】
また、用いるメンブレンフィルターの孔径が、必要とする研磨材の粒子径未満の場合には、研磨材は孔を通り抜けることができず、大部分がメンブレンフィルター上に捕捉される。この場合には、透過水側には孔を通り抜けることができた微細な粒子が含まれることとなる。このような微細な粒子は研磨にほとんど寄与しないばかりか、研磨工程に適用されたときに基板上に付着し、汚染の原因となることも考えられ、このような微細な粒子を有効に除去することができる。
【0030】
以上のように、用いるメンブレンフィルターの孔径を調整して研磨スラリーをろ過することで、透過水又は濃縮水のいずれかに、必要とする研磨材を効率的に得ることができる。いずれの場合においても、メンブレンフィルターは目が詰まり易いため、頻繁に逆洗を行う必要が生じるが、透過水側を使用する場合には、目詰まりを生じさせる原因は粗大な不純物であり、濃縮水は廃棄することとなる。一方、濃縮水側を使用する場合には、目詰まりを生じさせる原因は求める研磨材であるため、透過水を廃棄することとなる。
【0031】
いずれにしても、本発明のろ過方法においては、ろ過を効率よく行なうためには、メンブレンフィルターの目詰まりが生じた瞬間又は生じる前において逆洗を行い、ろ過と逆洗を交互に行なう必要がある。本発明のようなメンブレンフィルターは、これまで用いられていたフィルターとは異なり、表面が非常に平滑であり、完全な表層ろ過に基づくため、詰まり易い反面、逆洗によりフィルター表面に捕捉された物質がとれやすく、ろ過と逆洗を行なうことで極めてフィルター寿命の長いろ過方法とすることができる。
【0032】
逆洗は、純水、温純水、スラリーのバルク液、エアー及び不活性ガスから選ばれる少なくとも1つをろ過面と反対側の膜面から供給することにより行なうことができる。このとき生じるろ過とは逆の流れにより、ろ過面上に捕捉された粒子はろ過面上から除去され、濃縮水として得られる。
【0033】
従来のフィルターは徐々にフィルター入出の差圧が上昇し、すなわち、序々に目詰まっていくのに対し、本発明に用いるフィルターの特徴は、初期の差圧上昇はほとんどなく、急激に差圧が上昇する傾向にある。これは、ケーク層の完成により、孔道が覆われ、急激に差圧が上昇したものと考えられる。このため、あらかじめ研磨スラリー液の特性が変わらず、フィルター表面を破損させない差圧レベルを把握しておき、この差圧レベルより十分に低い差圧レベルにて、逆洗を行うことで、研磨スラリー液の粒度分布を変えずに、フィルター表面を破損させることなく、フィルターのロングライフ化を維持することができる。また、急激に差圧が上昇するまでの時間を把握し、この時間より十分短いタイミング(例えば半分の時間)で逆洗を行うことで、研磨スラリーの粒度分布を維持し、更なるロングライフ化が可能となる。
【0034】
また、ろ過工程及び/又は逆洗工程において、メンブレンフィルターのろ過面に気泡を射出したり、超音波を照射したり、メンブレンフィルターを直接振動させたりすることにより、ろ過面におけるケーク層の形成を抑えることができ好ましい。ケーク層の形成を抑えることにより、ケーク層の進行に伴う絶対ろ過精度の変化を抑えることができ、さらに、ろ過、逆洗の繰り返しにおいて孔道が塞がれる可能性をより小さくし、半永久的に絶対ろ過精度を維持することができる極めてフィルター寿命の長いろ過方法とすることができる。
【0035】
このとき、気泡はメンブレンフィルターの表面に平行又はそれに近い角度で射出することが好ましい。また、超音波はメンブレンフィルターの表面に照射したり、メンブレンフィルター自体が振動するような構成とすることが好ましい。いずれもケーク層の形成を抑制するのに効果的である。
【0036】
気泡は、直径が1〜30μmのものであることが好ましく、超音波は振動数が25〜400KHzであることが好ましい。また、フィルターを直接振動を与える場合に低周波振動として、30〜600Hz、超音波振動として、20〜100kHzが好ましい。
【0037】
また、上記説明では、メンブレンフィルターを単独で使用する場合について説明したが、複数のメンブレンフィルターを用いるようにしても良く、そのとき孔径の異なるメンブレンフィルターを組み合わせて用いることが好ましい。
【0038】
複数のメンブレンフィルターを組み合わせた場合、所定の粒子径範囲の研磨剤を含んだ研磨スラリーを得ることができ、粗大な粒子及び微小な粒子が除去されているため、必要な粒子径分布を有する高品質の研磨スラリーとすることができる。
【0039】
例えば、1μmの孔径を有するメンブレンフィルターと0.05μmの孔径を有するメンブレンフィルターを用いる場合には、まず最初に1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで研磨スラリーをろ過し、その透過水を0.05μmの孔径を有するメンブレンフィルターでろ過し、その濃縮水を回収することで必要な研磨材を得ることができる。このフィルターはその順番を逆にしてもよく、その場合、最初に得られた濃縮水を次のフィルターでろ過することで同様に粒子径分布の揃った研磨材を得ることができる。
【0040】
さらに、このように複数のメンブレンフィルターを用いた場合、使用しているメンブレンフィルターのうち、研磨材の平均粒子径未満の孔径を有するメンブレンフィルターの透過水にて、研磨材の平均粒子径以上の孔径を有するメンブレンフィルターを逆洗することが好ましく、このように透過水を有効活用することでコストや環境負荷を低減することができる。
【0041】
このろ過方法は、使用済みの研磨スラリーに対して、粗大不純物及び微小な粒子を除去するのに効果的に用いることができるが、これに限定されるものではなく、例えば、研磨スラリーの製造メーカーにおいて、製造した研磨スラリーの研磨材の粒子径分布を揃えるために用いることもできる。
【0042】
また、上記例示では2枚のメンブレンフィルターを用いる場合について説明したが、これを3枚以上用いることとし、研磨材を分級して必要な粒子径分布を有する研磨材に細分化して得ることもできる。
【0043】
(研磨材の回収方法)
上記説明した研磨スラリーのろ過方法を応用して、研磨に使用した後の使用済み研磨スラリーから研磨剤を有効に回収することができる。この研磨剤の回収方法について、図1に示した研磨剤の回収装置を参照しながら説明する。なお、基本的な構成はろ過方法で説明したものと同一であり、その部分についての説明は省略する。
【0044】
図2に示した研磨剤の回収装置1は、ろ過前の研磨スラリーを収容する収容タンク2と、収容タンク2から研磨スラリーを送液するためのポンプ3と、ポンプ3により送液された研磨スラリーをろ過するメンブレンフィルター4と、メンブレンフィルター4を逆洗する逆洗手段5と、メンブレンフィルター4の濃縮水を収容する廃液タンク6と、メンブレンフィルターの透過水を収容する回収タンク7と、から構成されるものである。
【0045】
収容タンク2に収容されている使用済みの研磨スラリーは、ポンプ3により配管中を送液され、メンブレンフィルター4に供給される。メンブレンフィルター4に供給された研磨スラリーはろ過されるが、この実施形態においては透過水を回収、再利用する構成となっている。このとき、メンブレンフィルター4は研磨剤の粒子径よりも大きい孔径を有するものであり、このフィルター上において、研磨スラリー中に含まれる半導体の削り屑等の粗大固形物が捕捉されて除去される。
【0046】
このようなろ過を行なうと、メンブレンフィルター4は、そのろ過面に捕捉した粗大固形物により孔が塞がれ目詰まりを生じるため、例えば、ろ過する研磨スラリーの圧力をモニターして目詰まり度合いを判断しながら、適当なタイミングで逆洗手段5として、エアーをコンプレッサーで供給、あるいは超純水をポンプで供給する等によりメンブレンフィルター4を逆洗してろ過面に捕捉された固形物を除去する。
【0047】
この逆洗の際に、除去された粗大固形物を含む濃縮水は、廃液タンク6に送液される。一方、メンブレンフィルター4の透過水は回収タンク7へ収容され、使用済み研磨スラリー中の研磨剤を効率的に回収することができ、これを研磨スラリーとして再利用することができる。このとき透過水はそのまま研磨スラリーとして再利用することができるが、再利用にあたって添加剤等の調整を行ってもよい。
【0048】
さらに、再利用に適した研磨スラリーか否かを判断するために、回収する研磨スラリーにおいて、流量計やパーティクルカウンターにより研磨スラリーとして適当であるかの判断を行うようにしてもよい。
【0049】
また、図3には他の実施形態における研磨剤の回収装置を示した。
図3に示した研磨剤の回収装置11は、ろ過前の研磨スラリーを収容する収容タンク12と、収容タンク12から研磨スラリーを送液するためのポンプ13と、ポンプ13により送液された研磨スラリーをろ過するメンブレンフィルター14と、メンブレンフィルター14を逆洗する逆洗手段15と、メンブレンフィルターの透過水をさらにろ過するメンブレンフィルター16と、メンブレンフィルター16を逆洗する逆洗手段17と、メンブレンフィルター14の濃縮水及びメンブレンフィルター16の透過水を収容する廃液タンク18と、メンブレンフィルター16の濃縮水に添加する薬液を収容する薬液タンク19と、薬液が添加された濃縮水を回収する回収タンク20と、から構成されるものである。
【0050】
収容タンク12に収容されている使用済みの研磨スラリーは、ポンプ13により配管中を送液され、メンブレンフィルター14に供給される。メンブレンフィルター14に供給された研磨スラリーはろ過されるが、この実施形態においてはここでは透過水を次のメンブレンフィルター16へ供給するようになっている。
【0051】
このとき、メンブレンフィルター14は、研磨スラリー中に含まれる研磨剤の粒子径以上の孔径を有するものであり、このフィルター上において、研磨スラリー中に含まれる研磨剤よりも粒子径の大きい半導体の削り屑等の粗大固形物が捕捉されて除去される。
【0052】
次いで、メンブレンフィルター14の透過水は、メンブレンフィルター16でろ過されるが、この実施形態においてはここでは濃縮水を回収するようになっている。
【0053】
このとき、メンブレンフィルター16は、研磨スラリー中に含まれる研磨剤の粒子径よりも小さい孔径を有するものであり、このフィルター上において、研磨スラリー中に含まれる研磨剤が捕捉されて除去される。研磨材よりも小さい粒子の透過効率、及び必要とされる研磨材の回収効率を上げるために、回収された濃縮水をポンプによって循環させてもよい。
【0054】
そして、これらのメンブレンフィルター14,16は、そのろ過面に捕捉した粗大固形物又は研磨材により孔が塞がれて目詰まりを生じるため、適当に逆洗手段15,17によりメンブレンフィルター14,16を逆洗してろ過面に捕捉された固形物を除去する。この逆洗の際に、逆洗手段15によりメンブレンフィルター14から除去された粗大固形物を含む濃縮水は、廃液タンク18に送液される。
【0055】
また、逆洗手段17によりメンブレンフィルター16から除去された研磨材を含む濃縮水は、回収タンク20へ送液される。一方、このメンブレンフィルター16の透過水は、研磨スラリー中に含まれる研磨材よりも粒子径の小さい粒子を含むものであり、このような微小な粒子は研磨に寄与しないばかりかウェーハの表面を汚染する可能性があるため、ここで得られた透過水は、廃液タンク18に送液され収容される。
【0056】
メンブレンフィルター16の濃縮水は回収タンク20へ回収される前に、水や、水酸化カリウム、アンモニア、有機酸、アミン類などのpH調整剤、界面活性剤などの分散剤、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、硝酸鉄(III)などの酸化剤等の添加剤を含む薬液を収容する薬液タンク19から研磨スラリーを再調製するために必要な薬液が供給され、研磨スラリーとして成分が調製される。これは、フィルターによる濃縮水は研磨スラリーの成分とは異なるものとなるため、研磨スラリーとして再利用するには調整することが必須であるためである。
【0057】
なお、ここで説明した研磨剤の回収装置11は、メンブレンフィルターを最初に研磨材の平均粒子径以上の孔径を有するものを用い、次いで研磨剤の粒子径よりも小さな孔径を有するものを用いることとしているが、この順番を逆にして用いても良い。その場合には、最初のメンブレンフィルターにおける濃縮水を次のメンブレンフィルターに供給するようにし、この濃縮水をろ過した透過水を回収するようにすればよい。このとき、薬液タンクは最初のメンブレンフィルターから濃縮水を得たところで薬液を添加するようにしてもよいし、2番目のメンブレンフィルターの透過水を回収タンクへ送液する間に薬液を添加するようにしてもよい。
【実施例】
【0058】
次に、本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の実施例及び比較例で使用した被処理液、測定方法、測定装置、処理装置、使用フィルターは、以下のとおりである。
【0059】
[被処理液]
研磨スラリーはシグマアルドリッチ株式会社製コロイダルシリカ(LUDOX TM−40、40wt%、比重:1.3g/ml、一次粒子径:40nm)を用い、超純水で希釈し、5wt%に調整して、被処理液とした。5wt%の被処理液のpHは9.8、平均粒径は約0.1μmであった。
固形異物はJIS Z8901 試験用粉体2の白色溶融アルミナNo.2(質量基準で94%が2μm以上、50%が4μm以上、3%が11μm以上、粒子密度:3.9〜4.0g/cm)を用いた。
ゲル状異物は上記コロイダルシリカを1N硝酸を添加して、pH2〜3とし、ゲル化させることによって調製した。被処理液15Lにゲル状異物を15g添加し、1時間攪拌した後のゲル状異物の粒径は3〜100μmに広い分布をもっていた。
超純水は超純水製造システムで製造された金属含有量が0.1ppb以下のものを用いた。
【0060】
[測定方法、及び測定装置]
(3μm以上の粒子の除去率)
リオン株式会社製パーティクルカウンター(パーティクルセンサーKS−71、RPモニターK9462)を、回収タンク前の配管より分岐させて設置し、オンラインで測定した。ろ過前後の3μm以上の粒子数より、以下の式より算出した。
3μm以上の除去率(%)=(A0−A1)/A0×100
A0:ろ過前の3μm以上の粒子数、A1:ろ過後の3μm以上の粒子数
【0061】
(粒度分布)
株式会社堀場製作所製LA−920(レーザー回折・散乱法)を用い、ろ過前後で被処理液をサンプリングし、そのままの濃度で測定した。平均粒子径も同一の装置により求めた。
【0062】
(差圧)
メンブレンフィルターの入口、出口の圧力を測定し、その圧力差より差圧を求めた。
【0063】
(逆洗方法)
エアー逆洗:アネスト岩田株式会社製コンプレッサーSLP−37CDより供給される圧縮空気をオイルセパレーターと0.2μmのエアーフィルターに通したものを逆洗用のエアーとして使用した。
純水逆洗:超純水製造システムで製造された金属含有量が0.1ppb以下のものを用いた。
【0064】
(目詰まり防止方法)
エアーバブリング:エアー逆洗と同じエアーをフィルターハウジングの底部より、ポリエチレン製の焼結フィルター(孔径:10μm)を通して供給し、無数の泡を生成させ、フィルター表面に平行に供給した。
超音波照射:アズワン株式会社製のタンク付超音波洗浄器(周波数:40kHz、タンク容量:20L)にフィルターハウジングを浸漬させ、超音波を照射した。
フィルターの直接振動:NTN株式会社製の補助バイブレータ(周波数:100Hz)をフィルターハウジングの上部に直付けし、直接フィルターに振動を与えた。
【0065】
[処理装置]
図4に示した研磨剤の回収装置を用いた。この研磨剤の回収装置21は、収容タンクと回収タンクを共通のものとした研磨スラリーを収容する収容タンク22と、この収容タンク22に収容された研磨スラリーを送液するポンプ23と、研磨スラリーをろ過するメンブレンフィルター24と、メンブレンフィルター24を逆洗したときの廃液を収容する廃液タンク25と、メンブレンフィルター24を逆洗する逆洗手段26と、逆洗時には逆洗手段26からメンブレンフィルター24へフィルター洗浄のための流体を流すことができる三方弁27と、メンブレンフィルター表面のケーク層の形成を抑制する目詰まり防止手段28と、ろ過済の研磨スラリーの流量を測定する流量計29と、ろ過済の研磨スラリー中の粒子数を測定するパーティクルカウンター30と、研磨スラリーのろ過及びメンブレンフィルターの逆洗時における流れを制御する開閉弁V1、2、5〜8と、メンブレンフィルターの前後の研磨スラリーのサンプリングを行うためのドレイン弁V3及びV4と、から構成されるものである。
【0066】
収容タンク22に収容した使用済みの研磨スラリーをポンプ(株式会社イワキ製、商品名:レビトロポンプ LEV300)23により、メンブレンフィルター24に送液し、流量計29を経て、収容タンク22に収容した。三方弁27を切り替えることで、エアーあるいは超純水を供給し、ドレイン弁V5を開いて、廃液タンク25にメンブレンフィルター24の入口側の表面に付着した異物を廃液する。目詰まり防止手段28により、メンブレンフィルターの目詰まりを防止する。収容タンク22の回収前の配管より分岐させ、パーティクルカウンター30を設置し、3μm以上の粒子数をオンラインで測定する。なお、図中の符号V1、V2、V5〜V8は開閉弁、V3、V4はドレイン弁、PIは圧力計を示す。
【0067】
[使用フィルター]
実施例で使用したメンブレンフィルターは以下のとおりである。
野村マイクロ・サイエンス株式会社製NTECフィルター 孔径:1μm
(ポリエステル製、トラックエッチメンブレンフィルター)
比較例で使用したプリーツ型デプスフィルターは以下の通りである。
日本ポール株式会社製プロファイル・スターフィルター 孔径:1.5μm
(ポリプロピレン製、プリーツ型デプスフィルター、不織布の多層構成)
なお、この比較例で使用したフィルターは、メーカーのカタログより、研磨スラリー用に適したフィルターであり、3μm以上の粒子を確実に捕捉できるフィルターとして、孔径1.5μmを比較として用いた。
【0068】
(比較例1)
図4の研磨スラリー回収装置において、プロファイル・スターフィルターをメンブレンフィルター24の部分に組み込んだ回収装置を用いた。被処理液を収容タンク22に15L供給し、固形異物として白色溶融アルミナを15g添加後、タンク内をスリーワンモーターで常時攪拌した。固形異物が入った被処理液をポンプ23により、3L/minで送液し、送液時間に対するプロファイル・スターフィルターの入口及び出口の差圧を測定した。差圧が0.1MPaに達したところで、被処理液の送液を停止し、三方弁27を切り替え、逆洗を行った。逆洗方法はプロファイル・スターフィルターの出口側から0.1MPaのエアーを1分間供給し、フィルターのドレイン部より廃液した。その後、収容タンク22に白色溶融アルミナを15g添加し、上記と同じ方法を繰り返した。送液時間に対する差圧の変化、及び逆洗による差圧の変化を図5に示す。図5の点線が比較例1のプロファイル・スターフィルターの結果を示す。プロファイル・スターフィルターは送液時間に伴い、差圧が序々に増加し、逆洗によって圧損は低下するが、初期の差圧には戻らず、逆洗を繰り返すことで、約72時間で完全に目詰まってしまった。このとき、目詰まり防止手段28は使用しなかった。
【0069】
なお、逆洗方法はエアーの変わりに超純水を5L/minで1分間供給しても、同等な逆洗効果が得られた。図6は送液時間に伴う3μm以上の粒子の除去率を示す。図6の点線が比較例1のプロファイル・スターフィルターの結果を示す。3μm以上の粒子の除去率は送液開始後1時間以内で約97%増加し、一定となり、逆洗毎に除去率が若干増加したが、100%には達しなかった。
【0070】
(実施例1)
図4の研磨スラリー回収装置において、NTECフィルターをメンブレンフィルター24の部分に組み込んだ回収装置を用い、比較例1と同じ方法にて、送液時間に対する差圧、及び3μm以上の粒子の除去率と逆洗との関係を評価した。結果を図5及び図6に示す。なお、図5、図6の実線が実施例1のNTECフィルターの結果を示す。図5より、NTECフィルターは送液時間に伴い、約5時間で差圧が急激に上昇し、逆洗(エアー逆洗、あるいは純水逆洗)によって、差圧は低下し、目詰まりが解消された。1サイクルの目詰まりまでの時間はプロファイル・スターフィルターよりも短いが、逆洗を繰り返すことで、プロファイル・スターフィルターが完全に目詰まった72時間でも使用可能であった。図6より、3μm以上の粒子の除去率は送液開始直後より、100%を維持し、逆洗を繰り返しても100%を維持し、プロファイル・スターフィルターよりも高精度な捕捉性能であることが確認できた。
【0071】
図7にろ過前の被処理液に白色溶融アルミナを添加した場合の粒度分布を示す。図7より、平均粒径0.1μmの被処理液であるコロイダルシリカの粒度分布に2μm以上で平均粒径4μmの白色溶融アルミナの粒度分布の二つの分布が存在した。図8にNTECフィルターでろ過した後の被処理液の粒度分布を示す。図8より、2μm以上で平均粒径4μm以上の分布が完全に消失し、平均粒径0.1μmの被処理液であるコロイダルシリカの粒度分布のみが確認できた。ろ過前後でコロイダルシリカの粒径分布はほとんど変化しなかった。また、72時間経過しても、粒径分布の形状は図7とほとんど変わらなかった。
【0072】
また、白色溶融アルミナの代わりに、被処理液中にゲル状異物を逆洗毎に15g添加した場合についても、逆洗を繰り返すことで、送液時間が72時間経過してもNTECフィルターは使用可能であり、3μm以上の微粒子の除去率も100%を維持しており、コロイダルシリカの粒度分布にも変化は見られなかった。
【0073】
(実施例2〜4;目詰まり防止方法の評価結果)
実施例1において、収容タンク22に被処理液15Lに白色溶融アルミナを15g添加後、収容タンク22内を攪拌しながら、ポンプ23により被処理液を3L/minで送液し、NTECフィルターでろ過を行い、3μm以上の粒子の除去率及び目詰まりまでの時間(差圧が0.1MPaまで上昇するまでの時間)を目詰まり防止方法を行わない場合と3通りの目詰まり防止方法を行った場合で比較した。
【0074】
結果を表1に示す。実施例1は目詰まり防止方法を行わなかった場合を示す。実施例2は目詰まり防止方法として、エアーバブリングを0.1MPaのエアーを孔径10μmの焼結フィルターを通して供給した結果を示す。実施例3は目詰まり防止方法として、フィルターハウジングごと周波数40kHzの超音波層に浸漬した場合を示す。実施例4は目詰まり防止方法として、フィルターハウジングに低周波数(100Hz)の補助バイブレーターを直付けして、直接フィルターを振動させた場合を示す。
【0075】
表1の結果の記号として、○は実施例1に対して目詰まりまでの時間が2倍以上に延びたことを示し、△は1倍を超えて2倍未満、×は1倍以下を示す。表1より、実施例2〜4とも目詰まり防止効果が見られ、実施例の中でも実施例3、4の目詰まり防止効果が高かった。また、実施例2〜4とも目詰まり防止機構を付加しても除去率は100%を維持していた。
【0076】
さらに、白色溶融アルミナの代わりに、被処理液にゲル状異物を15g添加した場合についても評価した結果、表1と同様の結果が得られた。これより、目詰まり防止機構を組み合わせることで、NTECフィルターのロングライフ化を図ることができることがわかった。
【0077】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】従来のフィルター孔径分布と本発明で用いたフィルター孔径分布の比較図
【図2】本発明の一実施形態における研磨剤の回収装置の概略構成図
【図3】本発明の他の実施形態における研磨剤の回収装置の概略構成図
【図4】実施例で用いた研磨剤の回収装置の構成図
【図5】実施例1及び比較例1における通液時間と差圧の関係を示した図
【図6】実施例1及び比較例1における通液時間と3μm以上の粒子の除去率の関係を示した図
【図7】被処理液のろ過前の粒度分布を示した図
【図8】被処理液のNTECフィルターろ過後の粒度分布を示した図
【符号の説明】
【0079】
1…研磨剤の回収装置、2…収容タンク、3…ポンプ、4…メンブレンフィルター、5…逆洗手段、6…廃液タンク、7…回収タンク、11…研磨剤の回収装置、12…収容タンク、13…ポンプ、14,16…メンブレンフィルター、15,17…逆洗手段、18…廃液タンク、19…薬液タンク、20…回収タンク、21…研磨剤の回収装置、22…収容タンク、23…ポンプ、24…メンブレンフィルター、25…廃液タンク、26…逆洗手段、27…三方弁、28…メンブレンフィルター、29…流量計、30…パーティクルカウンター、V1、V2…開閉弁、V3、V4…ドレイン弁、V5〜V8…開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨スラリーを、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するメンブレンフィルターを用いてろ過するろ過工程と、前記ろ過工程の後、前記メンブレンフィルターを逆洗して前記メンブレンフィルターの目詰まりを解消する逆洗工程と、を有し、前記ろ過工程及び前記逆洗工程とを交互に行なうことを特徴とする研磨スラリーのろ過方法。
【請求項2】
前記メンブレンフィルターが、ポリマー製薄膜に対するトラックエッチングにより孔道を形成したものであり、かつ、平膜状又はプリーツ状に加工したフィルターカートリッジであることを特徴とする請求項1記載の研磨スラリーのろ過方法。
【請求項3】
前記逆洗工程が、純水、温純水、スラリーのバルク液、エアー及び不活性ガスから選ばれる少なくとも1つを供給することにより行ない、さらに、前記メンブレンフィルターの表面に対して気泡を射出若しくは超音波を照射又は前記メンブレンフィルターを直接振動させることを特徴とする請求項1又は2記載の研磨スラリーのろ過方法。
【請求項4】
前記メンブレンフィルターとして、少なくとも研磨材の平均粒子径以上の孔径を有する第1のメンブレンフィルターと研磨材の平均粒子径未満の孔径を有する第2のメンブレンフィルターを含む孔径の異なる複数のメンブレンフィルターを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の研磨スラリーのろ過方法。
【請求項5】
半導体を研磨した使用済み研磨スラリーを、孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有するメンブレンフィルターを用いてろ過するろ過工程と、前記ろ過工程の後、前記メンブレンフィルターを逆洗して前記メンブレンフィルターの目詰まりを解消する逆洗工程と、を有し、前記ろ過工程及び前記逆洗工程とを交互に行ない、その透過水又は濃縮水を回収することを特徴とする研磨材の回収方法。
【請求項6】
前記メンブレンフィルターとして、少なくとも研磨材の平均粒子径以上の孔径を有するメンブレンフィルターと研磨材の平均粒子径未満の孔径を有するメンブレンフィルターを含む孔径の異なる複数のメンブレンフィルターを用いることを特徴とする請求項5記載の研磨材の回収方法。
【請求項7】
前記メンブレンフィルターのうち、研磨材の平均粒子径未満の孔径を有するメンブレンフィルターの透過水にて、研磨材の平均粒子径以上の孔径を有するメンブレンフィルターを逆洗することを特徴とする請求項6記載の研磨剤の回収方法。
【請求項8】
使用済み研磨用スラリーをろ過する孔道が円筒状かつ真直であり、均一な孔径を有し、逆洗機構を有するメンブレンフィルターと、
前記メンブレンフィルターの透過水又は濃縮水を回収する回収手段と、
前記回収手段により回収される透過水又は濃縮水に、水及び/又は添加剤を添加して研磨スラリーとして再生する調製手段と、を有することを特徴とする研磨材の回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−113148(P2009−113148A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288444(P2007−288444)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】