説明

研磨パッド用ウレタン樹脂組成物

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、高硬度性、機械物性に優れる研磨パッドを形成でき、かつ、適度なポットライフを有する研磨パッド用ウレタン樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】 ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、を反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)と、芳香族アミン化合物(2)と、を含有する研磨パッド用ウレタン樹脂組成物であって、
前記ポリイソシアネート(B)が、イソホロンジイソシアネート(B−1)と、キシリレンジイソシアネート又は水添キシリレンジイソシアネート(B−2)と、を含有することを特徴とする研磨パッド用ウレタン樹脂組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高硬度性、機械物性に優れる研磨パッドを形成可能な研磨パッド用ウレタン樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)、ハードディスク用ガラス基盤、シリコンウェハ、半導体デバイス等の高度な表面平坦性が要求される分野においては、従来よりウレタン樹脂を用いた研磨パッドが広く利用されている。
【0003】
研磨パッドには様々な特性が要求されるが、とりわけ、被研磨物の平坦性を向上するための高硬度性が強く求められる。
【0004】
前記高硬度性を具備する研磨パッドが得られる材料としては、例えば、イソホロンジイソシアネートとポリテトラメチレングリコール及びジエチレングリコールとを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、非ハロゲン系芳香族ポリアミンと、を反応させて得られるポリウレタン樹脂が開示されている(特に、特許文献1の実施例参照。)。
【0005】
しかしながら、前記ポリウレタン樹脂に使用するポリイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネートを単独で使用した場合においては、ポリウレタン樹脂を成形する際のポットライフが長く、作業性が著しく劣るとの問題や、低硬度であったり、脆いため、ポリウレタン樹脂を成形する際に割れが生じる等の問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−131672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高硬度性、機械物性に優れる研磨パッドを形成でき、かつ、適度なポットライフを有する研磨パッド用ウレタン樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記課題を解決すべく研究を進める中で、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに使用するポリイソシアネートに着目し、鋭意研究を行った。
その結果、ポリイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネートと、キシリレンジイソシアネート又は水添キシリレンジイソシアネートとを組合せ使用することにより、高硬度性、機械物性に優れる研磨パッドを形成でき、かつ、適度なポットライフを有する研磨パッド用ウレタン樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、を反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)と、芳香族アミン化合物(2)と、を含有する研磨パッド用ウレタン樹脂組成物であって、
前記ポリイソシアネート(B)が、イソホロンジイソシアネート(B−1)と、キシリレンジイソシアネート又は水添キシリレンジイソシアネート(B−2)と、を含有することを特徴とする研磨パッド用ウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定のポリイソシアネートを使用したイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを用いることにより、高硬度性、機械物性に優れる研磨パッドを形成でき、かつ、適度なポットライフを有する研磨パッド用ウレタン樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明で使用するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、低粘度であることから、研磨パッドを得る際の作業性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
はじめに、本発明の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物について説明する。
【0012】
前記研磨パッド用ウレタン樹脂組成物は、ポリオール(A)と、イソホロンジイソシアネート(B−1)と、キシリレンジイソシアネート又は水添キシリレンジイソシアネート(B−2)と、を含有するポリイソシアネート(B)と、を反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)と、芳香族アミン化合物(2)と、を含有するものである。
【0013】
前記ポリオール(A)としては、特に限定されるものではなく、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール等を使用することができるが、なかでも、数平均分子量が、500〜3000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンアジペート、3−メチル−1,5ペンタンアジペート、ポリカーボネートポリオールを使用することが好ましく、数平均分子量500〜1200のポリテトラメチレングリコールを使用することがより好ましく、更に分子量50〜300のグリコールを併用することが特に好ましい。なお、前記ポリオール(A)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを使用し、スチレン換算によって求めた値である。
【0014】
前記数平均分子量50〜300のグリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環族ジオール、等であり、3官能以上の成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの中でも、ジエチレングリコールがより好ましい。また、これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0015】
次に、本発明で使用するポリイソシアネート(B)について説明する。
【0016】
前記ポリイソシアネート(B)は、イソホロンジイソシアネート(B−1)と、キシリレンジイソシアネート又は水添キシリレンジイソシアネート(B−2)と、を含有することが必須である。前記ポリイソシアネート(B)として、前記(B−1)と前記(B−2)のいずれかが含有されていない場合には、ポットライフが長く、研磨パッドを製造する際の作業性が劣ったり、高硬度、機械物性に優れる研磨パッドが得られない。また、前記
キシリレンジイソシアネートとしては、m−キシリレンジイソシアネートを使用することが好ましく、前記水添キシリレンジイソシアネートとしては、m−水添キシリレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0017】
前記(B−1)のイソシアネート基と、前記(B−2)のイソシアネート基のモル比率は、ポットライフ、高硬度、機械物性をより向上できる観点から、(B−1)/(B−2)=40/60〜90/10であることが好ましく、50/50〜80/20であることがより好ましい。
【0018】
また、前記ポリイソシアネート(B)としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記(B−1)及び前記(B−2)以外の他のポリイソシアネートを併用してもよい。
【0019】
前記他のポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等を使用することができる。
【0020】
次に、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)の製造方法について説明する。
【0021】
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)は、前記ポリオール(A)と、前記ポリイソシアネート(B)と、を従来公知の方法により、反応させて得られるものであり、反応方法は特に限定はない。
【0022】
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)の製造時における、前記ポリイソシアネート基と前記ポリオール(A)の水酸基のモル比(即ち、NCO/OHモル比)は、1.30〜3.50であることが好ましく、1.80〜2.30であることがより好ましい。
【0023】
また、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)を製造する際には、必要に応じて三級アミン触媒や有機金属系触媒等を使用して反応を促進することができる。
【0024】
以上の方法によって得られた前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)としては、機械物性が良好となる観点から、イソシアネート基当量が、300〜500であることが好ましい。なお、前記イソシアネート基当量の単位は、「g/eq」である。
【0025】
また、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)の粘度(80℃)としては、作業性をより向上できる観点から、100〜5,000mPa・sであることが好ましく、500〜2,500mPa・sであることがより好ましい。なお、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)の粘度(80℃)は、B型粘度計にて測定した値を示す。
【0026】
次に、本発明で使用する芳香族アミン化合物について説明する。
【0027】
前記芳香族アミン化合物は、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)と反応させる際に使用する硬化剤である。
【0028】
前記芳香族アミン化合物としては、硬化剤として機能するため、アミノ基を2個以上有するものを使用することが好ましく、例えば、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、N,N’−ジ−sec−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン等を使用することができ、これらは単独又は2種以上を併用してもよい。なかでも、原料入手の容易性の観点から、芳香族ジアミン化合物を使用することがより好ましく、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを使用することが特に好ましい。
【0029】
次に、本発明の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物について説明する。
【0030】
前記研磨パッド用ウレタン樹脂組成物は、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)と、前記芳香族アミン化合物(2)と、を含有するものである。
【0031】
前記芳香族アミン化合物(2)のアミノ基と、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)のイソシアネート基のモル比(即ちNH/NCOモル比)は、好ましくは0.6〜1.0、より好ましくは0.70〜0.95である。
【0032】
本発明の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物には、必要に応じてその他の添加剤を適宜添加してもよい。前記その他の添加剤としては、例えば、ウレタン化触媒、砥粒、整泡剤、充填剤、顔料、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤
、水等を使用することができる。
【0033】
前記ウレタン化触媒としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルエーテル、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、またはN−メチルモルホリン等の種々の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、またはオクチル酸錫等の種々の金属塩、ジブチルチンジラウレート等の種々の有機金属化合物などが挙げられる。また前記整泡剤とは、シリコーン系界面活性剤、例えばトーレシリコンSH−193、SH−192、SH−190(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製品)等が挙げられる。その添加量は、前記芳香族アミン化合物(2)に対して、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0034】
前記砥粒としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、アルミナ等が好ましい。これらを配合して得られる発泡成形品がポリウレタン発泡砥石を切り出す材料として有用である。特に好ましくは、酸化セリウム、酸化ジルコニウムである。使用する砥粒の平均粒径は、特に指定しないが、研磨目的により好ましくは平均粒径0.1μm〜200μmである。砥粒の平均粒径が200μmより大きくなると、注型機のタンク内で沈降し易くなり、又、ヘッドノズルの詰まりの原因になる場合があるので好ましくない。砥粒の平均粒径が大きくなるほど砥粒が沈降し易くなる為、注型機のタンク内攪拌羽根の構造及び回転数を考慮する必要がある。前記砥粒は、前記芳香族アミン化合物(2)に対して、10〜200重量部の範囲で使用するのが良好である。
【0035】
前記水としては、発泡剤として使用されるものであり、汚れ、濁りがない水、水道水等であれば特に問題なく使用できるが、好ましくはイオン交換水、純水である。また、前記水の添加量は、前記混合物芳香族アミン化合物(2)に対し、0.01〜5重量%添加されるのが好ましく、より好ましくは0.05〜2重量%である。
【0036】
本発明の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物を反応させて成形する方法としては、例えば、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)と、前記芳香族アミン化合物(2)、また必要に応じてその他の添加剤(水、整泡剤等)を注型機のそれぞれ別のタンクへ入れて、前記芳香族アミン化合物(2)を好ましくは20〜120℃に加温し、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)を好ましくは40〜90℃に加温し、それぞれを二液、または三液混合注型機で混合した混合液を、好ましくは40〜100℃、より好ましくは40〜80℃の金型へ注入し、円滑に反応させることで成形品を得ることができる。
【0037】
本発明によれば、特定のポリイソシアネートを使用したイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを用いることにより、高硬度性、機械物性に優れる研磨パッドを形成でき、かつ、適度なポットライフを有する研磨パッド用ウレタン樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明で使用するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、低粘度であることから、研磨パッドを得る際の作業性に優れるものである。
従って、本発明の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物は、液晶ディスプレイ用ガラス基板、ハードディスク駆動装置用ガラス基板、半導体用シリコン等の精密製品研磨用途に好適に使用することができる。
【0038】
なお、本発明においてポットライフとは、ウレタン樹脂組成物を調整後、ウレタン樹脂組成物の粘度(25℃)が、50000mPa・sに達成するまでの時間を示す。
また、本発明においては、前記ポットライフが5分以上15分未満のものを、適度なポットライフを有すると判断する。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例により、一層具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。
また、本発明では、特に断りのない限り、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」である。
なお、本発明で用いた測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
【0040】
[実施例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、イソホロンジイソシアネート 374部、m−キシリレンジイソシアネート(タケネート500、三井化学(株)社製品)316部を入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)154部及びジエチレングリコール 156部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量300のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−1)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−1)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、乾燥機(50℃)中にて1時間放置、その後更に110℃で16時間アフタキュアを行うことでポリウレタン成形品を得た。
【0041】
[実施例2]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、イソホロンジイソシアネート 561部、m−キシリレンジイソシアネート(タケネート500、三井化学(株)社製品)158部を入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)120部及びジエチレングリコール 161部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量300のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−2)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−2)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、乾燥機(50℃)中にて1時間放置、その後更に110℃で16時間アフタキュアを行うことでポリウレタン成形品を得た。
【0042】
[実施例3]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、イソホロンジイソシアネート 374部、m−水添キシリレンジイソシアネート(タケネート600、三井化学(株)社製品)327部を入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)142部及びジエチレングリコール 158部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量300のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−3)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−3)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、乾燥機(50℃)中にて1時間放置、その後更に110℃で16時間アフタキュアを行うことでポリウレタン成形品を得た。
【0043】
[比較例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、2,4−トルエンジイソシアネート 440部入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)475部及びジエチレングリコール 85部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量400のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−4)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−4)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。しかしながら、ポットライフが短すぎ、良好にポリウレタン成形品が得られなかった。
【0044】
[比較例2]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート 756部入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)107部及びジエチレングリコール 138部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量350のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−5)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−5)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、乾燥機(50℃)中にて1時間放置、その後更に110℃で16時間アフタキュアを行うことでポリウレタン成形品を得た。
【0045】
[比較例3]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、イソホロンジイソシアネート 748部入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)86部及びジエチレングリコール 167部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量300のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−6)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−6)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、乾燥機(50℃)中にて1時間放置、その後更に110℃で16時間アフタキュアを行うことでポリウレタン成形品を得た。
【0046】
[比較例4]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、イソホロンジイソシアネート 748部、2,4−トルエンジイソシアネート 146部を入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)134部及びジエチレングリコール 159部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量300のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−7)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−7)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、乾燥機(50℃)中にて1時間放置、その後更に110℃で16時間アフタキュアを行うことでポリウレタン成形品を得た。
【0047】
[比較例5]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、m−キシリレンジイソシアネート(タケネート500、三井化学(株)社製品)634部入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)222部及びジエチレングリコール144部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量300のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−8)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−8)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。しかしながら、ポットライフが短すぎ、良好にポリウレタン成形品が得られなかった。
【0048】
[比較例6]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、m−水添キシリレンジイソシアネート(タケネート600、三井化学(株)社製品)654部入れ攪拌した。ついで、PTMG650(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品、数平均分子量;650)198部及びジエチレングリコール148部を投入混合し、窒素気流下80℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量300のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1−9)を得た。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶融し、容器に前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーウレタンプレポリマー(1−9)と3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを当量比:NH/NC=0.90で攪拌混合し、50℃に加熱した型に混合物を注入した。しかしながら、ポットライフが短すぎ、良好にポリウレタン成形品が得られなかった。
【0049】
[イソシアネート基プレポリマーのイソシアネート基当量(NCO当量)の測定方法]
実施例1〜3及び比較例1〜6で得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)のNCO当量の測定は、JIS K 7301に準拠して、資料を乾燥トルエンに溶解し、過剰のジ−n−ブチルアミン溶液を加えて反応させ、残存するジ-n-ブチルアミンを塩酸標準溶液で逆滴定して求めた。
【0050】
[イソシアネート基プレポリマーのポットライフの測定方法]
実施例1〜3及び比較例1〜6で得られたイソシアネート基プレポリマーと、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを、それぞれ内温80℃に調整し、次いで、前記量成分を混合し、ウレタン樹脂組成物に調整した時Tを基点に、前記ウレタン樹脂組成物の粘度が50000mPa・sに到達するまでの時間T(単位;秒)を測定し、ウレタン樹脂組成物の反応性を測定し、ポットライフとした。
なお、ポットライフが5分以上15分未満のものは、適度なポットライフを有すると判断した。
【0051】
[硬度の評価方法]
実施例1〜3及び比較例2〜4で得られたポリウレタン成形品を直径29mm、高さ12.5mmの円柱状に裁断したものを試験片とした。該試験片を温度23±2℃の環境下で硬度計(高分子計器社製アスカーD型硬度計、バーバー・コールマン社製バーコル硬度計)を用い、JIS K 7321及びJIS K 6919に準拠して、求めた。
なお、前記試験片にヒビが入ったため、硬度が測定できなかったものは、「×」と評価した。
また、ポットライフが短すぎ、良好にポリウレタン成形品が得られなかったものは、「−」と評価した。
【0052】
[機械物性の評価方法]
機械物性の評価は、曲げ試験により評した。
実施例1〜3及び比較例2〜4で得られたポリウレタン成形品を縦800mm、横25mm、厚さ2mmに裁断し、試験片とした。該試験片を使用機器;島津オートグラフAGS−5KNGにて試験速度;1.0mm/min、支点間距離;32m、温度;23±2℃で曲げ弾性率、曲げ強度、タワミ率を測定した。
なお、前記試験片にヒビが入ったため、曲げ試験ができなかったものは、「×」と評価した。
また、ポットライフが短すぎ、良好にポリウレタン成形品が得られなかったものは、「−」と評価した。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
なお、表1〜2中の略語について説明する。
「PTMG」;ポリテトラメチレングリコール
「DEG」;ジエチレングリコール
「IPDI」;イソホロンジイソシアネート
「m−XDI」;m−キシリレンジイソシアネート
「m−HXDI」;m−水添キシリレンジイソシアネート
「TDI」;2,4−トルエンジイソシアネート
「H12MDI」;4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
「MOCA」;3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、を反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)と、芳香族アミン化合物(2)と、を含有する研磨パッド用ウレタン樹脂組成物であって、
前記ポリイソシアネート(B)が、イソホロンジイソシアネート(B−1)と、キシリレンジイソシアネート又は水添キシリレンジイソシアネート(B−2)と、を含有することを特徴とする研磨パッド用ウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記キシリレンジイソシアネートが、m−キシリレンジイソシアネートである、請求項1に記載の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記水添キシリレンジイソシアネートが、m−水添キシリレンジイソシアネートである、請求項1に記載の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記イソホロンジイソシアネート(B−1)のイソシアネート基と、前記キシリレンジイソシアネート又は水添キシリレンジイソシアネート(B−2)のイソシアネート基のモル比率が、(B−1)/(B−2)=40/60〜90/10である、請求項1に記載の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリオール(A)が、ポリテトラメチレングリコールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(1)のイソシアネート基当量が300〜500である、請求項1に記載の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物。
【請求項7】
前記芳香族アミン化合物(2)が、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである、請求項1に記載の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−211286(P2012−211286A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78627(P2011−78627)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】