説明

研磨方法及び装置

【課題】研磨対象物の表面の薄膜の膜厚分布に対応して研磨を行なうことができ、研磨後の膜厚の均一性を得ることができる研磨方法を提供する。
【解決手段】基板保持装置の底面を基板Wを当接させ基板をとりつける面を提供するための弾性パッド4で覆うとともに、弾性パッド4の内側に同心状に少なくとも4つの圧力室を形成し、少なくとも4つの圧力室は、基板の円形状中心部に対応する位置にある第1の圧力室と、基板の円形状中心部の外側の円環部分に対応する位置にある第2の圧力室と、基板の円環部分の外側の円環部分に対応する位置にある第3の圧力室と、基板の周縁部に対応する位置にある第4の圧力室とを含み、基板保持装置により基板を保持しながら、リテーナリング3を研磨パッドに押圧し、第1〜第4の圧力室にそれぞれ制御された圧力の加圧流体を供給して基板を研磨パッド101に押圧し、基板を研磨する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリッシング対象物である基板を保持して研磨面に押圧する基板保持装置を備え、半導体ウェハ等の基板を研磨して平坦化する研磨方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスがますます微細化され素子構造が複雑になり、またロジック系の多層配線の層数が増えるに伴い、半導体デバイスの表面の凹凸はますます増え、段差が大きくなる傾向にある。半導体デバイスの製造では薄膜を形成し、パターンニングや開孔を行なう微細加工の後、次の薄膜を形成するという工程を何回も繰り返すためである。
【0003】
半導体デバイスの表面の凹凸が増えると、薄膜形成時に段差部での膜厚が薄くなったり、配線の断線によるオープンや配線層間の絶縁不良によるショートが起こったりするため、良品が取れなかったり、歩留まりが低下したりする傾向がある。また、初期的に正常動作をするものであっても、長時間の使用に対しては信頼性の問題が生じる。更に、リソグラフィ工程における露光時に、照射表面に凹凸があると露光系のレンズ焦点が部分的に合わなくなるため、半導体デバイスの表面の凹凸が増えると微細パターンの形成そのものが難しくなるという問題が生ずる。
【0004】
従って、半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化技術がますます重要になっている。この平坦化技術のうち、最も重要な技術は、化学的機械的研磨(CMP(Chemical Mechanical Polishing))である。この化学的機械的研磨は、ポリッシング装置を用いて、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッド等の研磨面上に供給しつつ半導体ウェハなどの基板を研磨面に摺接させて研磨を行なうものである。
【0005】
この種の研磨方法及び装置は、研磨パッドからなる研磨面を有する研磨テーブルと、半導体ウェハを保持するためのトップリング又はキャリアヘッド等と称される基板保持装置とを備えている。このようなポリッシング装置を用いて半導体ウェハの研磨を行なう場合には、基板保持装置により半導体ウェハを保持しつつ、この半導体ウェハを研磨テーブルに対して所定の圧力で押圧する。このとき、研磨テーブルと基板保持装置とを相対運動させることにより半導体ウェハが研磨面に摺接し、半導体ウェハの表面が平坦かつ鏡面に研磨される。
【0006】
このような研磨方法及び装置において、研磨中の半導体ウェハと研磨パッドの研磨面との間の相対的な押圧力が半導体ウェハの全面に亘って均一でない場合には、半導体ウェハの各部分に印加される押圧力に応じて研磨不足や過研磨が生じてしまう。そのため、基板保持装置の半導体ウェハの保持面をゴム等の弾性材からなる弾性膜で形成し、弾性膜の裏面に空気圧等の流体圧を加え、半導体ウェハに印加する押圧力を全面に亘って均一化することも行われている。
【0007】
また、上記研磨パッドは弾性を有するため、研磨中の半導体ウェハの外周縁部に加わる押圧力が不均一になり、半導体ウェハの外周縁部のみが多く研磨される、いわゆる「縁だれ」を起こしてしまう場合がある。このような縁だれを防止するため、半導体ウェハの外周縁をガイドリング又はリテーナリングによって保持すると共に、ガイドリング又はリテーナリングによって半導体ウェハの外周縁側に位置する研磨面を押圧する構造を備えた基板保持装置も用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、半導体ウェハの表面に形成される薄膜は、成膜の際の方法や装置の特性により、半導体ウェハの半径方向の位置によって膜厚が異なる。即ち、半径方向に膜厚分布を持っている。このため、上述したような従来の半導体ウェハの全面を均一に押圧し研磨する基板保持装置では、半導体ウェハの全面に亘って均一に研磨されるため、上述した半導体ウェハの表面上の膜厚分布と同じ研磨量分布を得ることができない。従って、従来のポリッシング装置では、上記半径方向の膜厚分布には十分に対応することができず、これが原因で研磨不足や過研磨が生じていた。
【0009】
また、成膜の方法や成膜装置の種類により、上述した半導体ウェハの表面上の膜厚分布も異なる。即ち、膜厚の厚い部分の半径方向の位置やその数、及び膜厚の薄い部分と厚い部分との膜厚の差は、成膜の方法や成膜装置の種類により異なっている。従って、ある特定の膜厚分布にのみ対応した基板保持装置ではなく、様々な膜厚分布に容易かつ低コストで対応することができる基板保持装置が要望されている。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、半導体ウェハ等の研磨対象物の表面に形成された薄膜の膜厚分布に対応して研磨を行なうことができ、研磨後の膜厚の均一性を得ることができる研磨方法及び装置を提供することを目的とする。また、本発明は、特定の膜厚分布だけではなく、様々な膜厚分布にも容易かつ低コストで対応することができる研磨方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような従来技術における問題点を解決するために、本発明は、基板保持装置により基板を研磨テーブル上部の研磨パッドに押圧して基板を研磨する研磨方法において、上記基板保持装置の底面を基板を当接させ基板をとりつける面を提供するための弾性パッドで覆うとともに、該弾性パッドの内側に同心状に少なくとも4つの圧力室を形成し、上記少なくとも4つの圧力室は、基板を同心の少なくとも4つの円および円環部分に区切ったときに、基板の円形状中心部に対応する位置にある第1の圧力室と、基板の円形状中心部の外側の円環部分に対応する位置にある第2の圧力室と、基板の上記円環部分の外側の円環部分に対応する位置にある第3の圧力室と、基板の周縁部に対応する位置にある第4の圧力室とを含み、上記基板保持装置により上記基板を保持しながら、リテーナリングを上記研磨パッドに押圧し、上記基板保持装置の上記少なくとも第1〜第4の圧力室にそれぞれ制御された圧力の加圧流体を供給して上記基板を上記研磨パッドに押圧し、該基板を研磨することを特徴とする。
【0012】
上記基板の研磨方法において、上記基板保持装置により上記基板を保持した状態で、渦電流を用いた膜厚測定方法によりその表面に形成された薄膜の膜厚分布を測定し、上記基板の表面の膜厚の厚い部分に対応した位置にある圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも高くするように、あるいは、上記基板の表面の膜厚の薄い部分に対応した位置にある圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも低くすることが好ましい。
上記基板の研磨方法において、上記第1の圧力室の直径を大きくし、上記第4の圧力室の幅を小さくすることにより、上記基板の周縁部付近の研磨圧力の制御を行うことが好ましい。
【0013】
本発明は、基板保持装置により基板を保持して基板を研磨テーブル上部の研磨パッドに押圧し、該基板を研磨する研磨装置において、上記基板保持装置の底面を基板を当接させ基板をとりつける面を提供するための弾性パッドで覆うとともに、該弾性パッドの内側に同心状に少なくとも4つの圧力室を形成し、上記少なくとも4つの圧力室は、基板を同心の少なくとも4つの円および円環部分に区切ったときに、基板の円形状中心部に対応する位置にある第1の圧力室と、基板の円形状中心部の外側の円環部分に対応する位置にある第2の圧力室と、基板の上記円環部分の外側の円環部分に対応する位置にある第3の圧力室と、基板の周縁部に対応する位置にある第4の圧力室とを含み、上記基板の同心の少なくとも4つの円および円環部分をそれぞれ異なった圧力で上記研磨パッドに押圧するために、上記基板保持装置の上記少なくとも第1〜第4の圧力室にそれぞれ制御された圧力の加圧流体を供給する4つのレギュレータを設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、研磨面を有する研磨テーブルと、ポリッシング対象物である基板を保持するトップリングとを備えるポリッシング装置であって、上記トップリングは、トップリング本体を備え、上記トップリング本体内には、上記基板と当接する弾性パッドと、該弾性パッドを支持し、絶縁性材料からなる支持部材とを備え、上記ポリッシング装置は、上記基板が上記トップリングに保持された状態で、渦電流を用いて上記基板に形成された薄膜の膜厚を測定してもよい。
【0015】
上記支持部材は、フッ素系樹脂またはセラミックスからなっていてもよい。
上記弾性パッドは、上記支持部材の下面を覆うことにより空間を形成し、該空間には、上記弾性パッドに当接する中心部当接部材および外側当接部材が設けられ、上記弾性パッド、中心部当接部材、外側当接部材はいずれもゴム材から形成されていてもよい。
【0016】
上記中心部当接部材および外側当接部材はそれぞれ圧力室を形成し、上記それぞれの圧力室には流体路が連通されていてもよい。
上記弾性パッドと上記支持部材により形成された空間には流体路が連通されていてもよい。
上記空間、上記中心部当接部材および上記外側当接部材により形成された圧力室に連通されたそれぞれの流体路には、温度制御された流体が供給されていてもよい。
【0017】
本発明は、ポリッシング対象物である基板を保持して研磨面に押圧する基板保持装置において、上記基板を保持するトップリング本体と、上記基板に当接する弾性パッドと、該弾性パッドを支持する支持部材とを備え、上記支持部材の下面には上記弾性パッドに当接する弾性膜を備えた当接部材を取付け、上記弾性パッドと上記支持部材との間に形成される空間の内部には、上記当接部材の内部に形成される第1の圧力室と該当接部材の外部に形成される第2の圧力室とを有し、上記当接部材の内部に形成される第1の圧力室と、上記当接部材の外部に形成される第2の圧力室とにそれぞれ流体又は真空を独立に供給する供給源を備えてもよい。
【0018】
また、本発明の好ましい態様は、ポリッシング対象物である基板を保持して研磨面に押圧する基板保持装置において、上記基板を保持するトップリング本体と、上記基板の外周縁部の上面に当接するシ−ルリングと、該シ−ルリングを支持する支持部材とを備え、上記支持部材の下面には上記基板に当接する弾性膜を備えた当接部材を取付け、上記基板と上記シールリングと上記支持部材との間に形成される空間の内部には、上記当接部材の内部に形成される第1の圧力室と該当接部材の外部に形成される第2の圧力室とを有し、上記当接部材の内部に形成される第1の圧力室と、上記当接部材の外部に形成される第2の圧力室とにそれぞれ流体又は真空を独立に供給する供給源を備えてもよい。
【0019】
また、本発明の好ましい態様は、ポリッシング対象物である基板を保持して研磨面に押圧する基板保持装置において、上記基板を保持するトップリング本体と、上記基板に当接する弾性膜を備えた当接部材が下面に取付けられた支持部材とを備え、上記基板と上記支持部材との間に形成される空間の内部には、上記当接部材の内部に形成される第1の圧力室と該当接部材の外部に形成される第2の圧力室とを有し、上記当接部材の内部に形成される第1の圧力室と、上記当接部材の外部に形成される第2の圧力室とにそれぞれ流体又は真空を独立に供給する供給源を備えてもよい。
【0020】
更に、本発明の好ましい態様は、ポリッシング対象物である基板を保持して研磨面に押圧する基板保持装置において、上記基板を保持するトップリング本体と、上記基板に当接する弾性パッドと、該弾性パッドを支持する支持部材とを備え、上記支持部材の下面には上記弾性パッドに当接する弾性膜を備えた複数の当接部材を取付け、上記複数の当接部材を上記弾性パッドに対して独立して押圧可能としてもよい。
【0021】
上記構成により、第1の圧力室及び第2の圧力室の圧力を独立に制御することが可能となり、膜厚の厚い部分の研磨面への押圧力を膜厚の薄い部分の研磨面への押圧力より大きくすることが可能となるので、その部分の研磨レートを選択的に高めることができる。これにより、成膜時の膜厚分布に依存せずに半導体ウェハの全面に亘って過不足のない研磨が可能となる。
【0022】
ここで、上記供給源は、それぞれ温度制御された流体又は真空を上記第1の圧力室と上記第2の圧力室とに供給するのが好ましい。また、複数の当接部材を間隔をおいて配置するのが好ましい。
【0023】
また、本発明の好ましい態様は、上記当接部材の弾性膜の下面には、上記第1の圧力室に供給される流体又は真空を当接面に接触させる連通部が形成されてもよい。上述したように、上記第1の圧力室と上記第2の圧力室とに供給される加圧流体の温度を制御し、被研磨面の裏側から基板の温度を制御する場合には、このような連通部を当接部材の弾性膜の下面に形成することによって、温度制御された加圧流体が基板に接触する面積を増やすことができるので、基板の温度制御性を向上させることができる。また、研磨終了後、基板をリリースする際には、この連通部を介して各圧力室がそれぞれ外気に開放されることとなるので、各圧力室に供給された流体などがその内部にこもることがない。従って、連続して基板を研磨する場合においても温度制御の安定性を保つことができる。
【0024】
特に、本発明のシールリングを備えた態様においては、支持部材の下面全体が弾性パッドなどで覆われないので、研磨対象物のリリース後、支持部材の下面の大部分が露出することとなる。従って、研磨終了後の洗浄が比較的容易にできる。なお、弾性パッド又はシールリングのいずれを用いた態様においても、支持部材は樹脂やセラミックなどの絶縁性の材料から形成されるのが好ましい。また、シールリングは基板の向きを特定するために上記基板に設けられた切り欠き、例えば、ノッチやオリエンテーションフラットの位置よりも上記支持部材の内周側に延出していることが好ましい。
【0025】
また、本発明の好ましい態様は、上記当接部材が上記弾性膜を着脱可能に保持する保持部を備えてもよい。これにより、上記当接部材の弾性膜を容易に交換することができ、この弾性膜を交換するだけで、第1の圧力室及び第2の圧力室の位置や大きさを変更することができる。従って、研磨すべき基板の表面の薄膜の膜厚分布に変化があった場合にも、容易かつ低コストでこれに対応することができる。
【0026】
更に、本発明の好ましい態様は、上記当接部材の保持部が上記支持部材に着脱可能に取付けられてもよい。これにより、上記当接部材を容易に交換することができ、この当接部材を交換するだけで、第1の圧力室及び第2の圧力室の位置や大きさを変更することができる。従って、研磨すべき基板の表面の薄膜の膜厚分布に変化があった場合にも、容易かつ低コストでこれに対応することができる。
【0027】
また、本発明の好ましい態様は、上記当接部材の弾性膜がその下面の外周縁から外側に張り出したつばを有してもよい。このようなつばは、第2の圧力室に供給される加圧流体によって弾性パッド又は基板に密着するため、当接部材の下方に上記加圧流体が回り込むことがなくなる。従って、各圧力室の圧力制御の幅を更に大きくすることができ、半導体ウェハの押圧をより安定的に行なうことが可能となる。
【0028】
これらの場合において、上記当接部材には上記基板の中心に対応する位置に取付けられる中心部当接部材と、該中心部当接部材の外側に取付けられる外側当接部材とが含まれることが好ましい。
【0029】
また、本発明の好ましい態様は、上記外側当接部材が上記基板の外周縁部に対応する位置に取付けられてもよい。このようにすることで、基板の周縁部付近の研磨圧力を適切に制御することができるので、研磨面の弾性変形や研磨面と基板との間への研磨液の入り込み具合などによる基板の周縁部付近の不均一な研磨を抑制することができる。
【0030】
また、本発明の好ましい態様は、上記トップリング本体に固定されるか又は一体に設けられ基板の外周縁を保持するリテーナリングを備えてもよい。
【0031】
更に、本発明の好ましい態様は、上記トップリング本体が上記弾性パッドの外周面とリテーナリングとの間に形成される間隙に洗浄液を供給する洗浄液路を備えてもよい。洗浄液路から洗浄液(純水)を供給することにより、弾性パッドの外周面とリテーナリングとの間に形成される間隙に侵入した研磨液が洗い流され、この間隙への研磨液の固着を防止することができる。従って、支持部材や弾性パッド又は基板は、トップリング本体及びリテーナリングに対して円滑に上下動することができる。
【0032】
また、本発明の好ましい態様は、上記リテーナリングが、該リテーナリングと上記トップリング本体との間に弾性体を介することなく、上記トップリング本体に固定されてもよい。ゴムなどの弾性体をリテーナリングとトップリング本体との間に挟み込んで固定した場合には、この弾性体の弾性変形によってリテーナリングの下面において好ましい平面が得られなくなってしまうが、このようにすることでこれを防止することができる。
【0033】
また、本発明の好ましい態様は、上記当接部材の弾性膜は部分的に異なる膜厚を有する、あるいは、部分的に非弾性体を有してもよい。これにより、第1の圧力室及び第2の圧力室の圧力による弾性膜の変形を最適なものとすることができる。
【0034】
また、本発明のポリッシング装置の好ましい態様は、上述した基板保持装置と、研磨面を有する研磨テーブルとを備えてもよい。
【0035】
更に、本発明の好ましい態様は、ポリッシング対象物である基板を保持して研磨面に押圧する基板保持装置において、上記基板を保持するトップリング本体と、上記基板に当接する弾性材からなる複数の環状部材と、上記複数の環状部材によって区画される、下方に開口した複数の区画と、上記複数の区画にそれぞれ独立して流体を供給するための流体路とを備えてもよい。
【0036】
また、本発明の好ましい態様は、研磨面を有する研磨テーブルとトップリングとを有し、トップリングによりポリッシング対象物である基板を保持して研磨面に押圧して基板を研磨する研磨方法において、上記基板の表面に形成された研磨すべき薄膜の膜厚の厚い部分の上記研磨面への押圧力を該膜厚の薄い部分の上記研磨面への押圧力より大きくした状態で研磨してもよい。
【0037】
更に、本発明の好ましい態様は、研磨面を有する研磨テーブルとトップリングとを有し、トップリングによりポリッシング対象物である基板を保持して研磨面に押圧して基板を研磨する研磨方法において、上記トップリングに上記基板に当接する弾性材からなる複数の環状部材を設け、上記複数の環状部材によって区画される、下方に開口した複数の区画を設け、上記複数の区画にそれぞれ独立して流体又は真空を供給して上記基板を研磨してもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、研磨すべき半導体ウェハがトップリングに保持された状態で、渦電流を用いた膜厚測定方法でその表面に形成された薄膜の膜厚を測定することができる。
また本発明によれば、第1の圧力室及び第2の圧力室の圧力を独立に制御することが可能となるので、膜厚の厚い部分の研磨面への押圧力を膜厚の薄い部分の研磨面への押圧力より大きくすることが可能となり、その部分の研磨レートを選択的に高めることができる。これにより、成膜時の膜厚分布に依存せずに半導体ウェハの全面に亘って過不足のない研磨が可能となる。
【0039】
また、上記当接部材が上記弾性膜を着脱可能に保持する保持部を備え、あるいは、上記当接部材の保持部が上記支持部材に着脱可能に取付けられることとしたため、当接部材の弾性膜又は当接部材を容易に交換することができ、この弾性膜又は当接部材を交換するだけで、第1の圧力室及び第2の圧力室の位置や大きさを変更することができる。従って、上記研磨すべき基板の表面の薄膜の膜厚分布に変化があった場合にも、容易かつ低コストで対応することができる。
【0040】
更に、本発明のシールリングを備えた態様においては、研磨対象物のリリース後において支持部材の下面全体が覆われないこととなるため、支持部材の下面の大部分が露出することとなるので、研磨終了後の洗浄が比較的容易にできる。
【0041】
また、上記当接部材の弾性膜は、その下面の外周縁から外側に張り出したつばを有することとしたため、つばが第2の圧力室へ供給される加圧流体によって弾性パッド又は基板に密着し、当接部材の下方に上記加圧流体が回り込むことがなくなる。従って、各圧力室の圧力制御の幅を更に大きくすることができ、半導体ウェハの押圧をより安定的に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるポリッシング装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における基板保持装置を示す縦断面図である。
【図3】図2に示す基板保持装置の底面図である。
【図4】本発明に係る基板保持装置における当接部材(センターバッグ及びリングチューブ)の実施例を示す部分縦断面図である。
【図5】本発明に係る基板保持装置における当接部材(センターバッグ及びリングチューブ)の実施例を示す部分縦断面図である。
【図6】本発明に係る基板保持装置における当接部材(センターバッグ及びリングチューブ)の変更例を示す部分縦断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における基板保持装置を示す縦断面図である。
【図8】本発明に係る基板保持装置における当接部材(センターバッグ及びリングチューブ)の変更例を示す部分縦断面図である。
【図9】半導体ウェハを取り外した状態における図8の底面図である。
【図10】本発明に係る基板保持装置における当接部材(センターバッグ及びリングチューブ)の変更例を示す底面図である。
【図11】本発明に係る基板保持装置における当接部材(センターバッグ及びリングチューブ)の変更例を示す底面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態における基板保持装置を示す縦断面図である。
【図13】図12に示す基板保持装置の底面図である。
【図14】本発明の他の実施形態における基板保持装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係る基板保持装置の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る基板保持装置を備えたポリッシング装置の全体構成を示す断面図である。ここで、基板保持装置は、ポリッシング対象物である半導体ウェハ等の基板を保持して研磨テーブル上の研磨面に押圧する装置である。図1に示すように、本発明に係る基板保持装置を構成するトップリング1の下方には、上面に研磨パッド101を貼付した研磨テーブル100が設置されている。また、研磨テーブル100の上方には研磨液供給ノズル102が設置されており、この研磨液供給ノズル102によって研磨テーブル100上の研磨パッド101上に研磨液Qが供給されるようになっている。
【0044】
なお、市場で入手できる研磨パッドとしては種々のものがあり、例えば、ロデール社製のSUBA800、IC−1000、IC−1000/SUBA400(二層クロス)、フジミインコーポレイテッド社製のSurfin xxx−5、Surfin 000等がある。SUBA800、Surfin xxx−5、Surfin 000は繊維をウレタン樹脂で固めた不織布であり、IC−1000は硬質の発泡ポリウレタン(単層)である。発泡ポリウレタンは、ポーラス(多孔質状)になっており、その表面に多数の微細なへこみ又は孔を有している。
【0045】
トップリング1は、自在継手部10を介してトップリング駆動軸11に接続されており、トップリング駆動軸11はトップリングヘッド110に固定されたトップリング用エアシリンダ111に連結されている。このトップリング用エアシリンダ111によってトップリング駆動軸11は上下動し、トップリング1の全体を昇降させると共にトップリング本体2の下端に固定されたリテーナリング3を研磨テーブル100に押圧するようになっている。トップリング用エアシリンダ111はレギュレータR1を介して圧縮空気源120に接続されており、レギュレータR1によってトップリング用エアシリンダ111に供給される加圧空気の空気圧等を調整することができる。これにより、リテーナリング3が研磨パッド101を押圧する押圧力を調整することができる。
【0046】
また、トップリング駆動軸11はキー(図示せず)を介して回転筒112に連結されている。この回転筒112はその外周部にタイミングプーリ113を備えている。トップリングヘッド110にはトップリング用モータ114が固定されており、上記タイミングプーリ113は、タイミングベルト115を介してトップリング用モータ114に設けられたタイミングプーリ116に接続されている。従って、トップリング用モータ114を回転駆動することによってタイミングプーリ116、タイミングベルト115、及びタイミングプーリ113を介して回転筒112及びトップリング駆動軸11が一体に回転し、トップリング1が回転する。なお、トップリングヘッド110は、フレーム(図示せず)に固定支持されたトップリングヘッドシャフト117によって支持されている。
【0047】
以下、本発明に係る基板保持装置を構成するトップリング1についてより詳細に説明する。
図2は本実施形態におけるトップリング1を示す縦断面図、図3は図2に示すトップリング1の底面図である。
【0048】
図2に示すように、基板保持装置を構成するトップリング1は、内部に収容空間を有する円筒容器状のトップリング本体2と、トップリング本体2の下端に固定されたリテーナリング3とを備えている。トップリング本体2は金属やセラミックス等の強度及び剛性が高い材料から形成されている。また、リテーナリング3は、剛性の高い樹脂材又はセラミックス等から形成されている。
【0049】
トップリング本体2は、円筒容器状のハウジング部2aと、ハウジング部2aの円筒部の内側に嵌合される環状の加圧シート支持部2bと、ハウジング部2aの上面の外周縁部に嵌合された環状のシール部2cとを備えている。トップリング本体2のハウジング部2aの下端にはリテーナリング3が固定されている。このリテーナリング3の下部は内方に突出している。なお、リテーナリング3をトップリング本体2と一体的に形成することとしてもよい。
【0050】
トップリング本体2のハウジング部2aの中央部の上方には、上述したトップリング駆動軸11が配設されており、トップリング本体2とトップリング駆動軸11とは自在継手部10により連結されている。この自在継手部10は、トップリング本体2及びトップリング駆動軸11とを互いに傾動可能とする球面軸受け機構と、トップリング駆動軸11の回転をトップリング本体2に伝達する回転伝達機構とを備えており、トップリング駆動軸11からトップリング本体2に対して互いの傾動を許容しつつ押圧力及び回転力を伝達する。
【0051】
球面軸受機構は、トップリング駆動軸11の下面の中央に形成された球面状凹部11aと、ハウジング部2aの上面の中央に形成された球面状凹部2dと、両凹部11a、2d間に介装されたセラミックスのような高硬度材料からなるベアリングボール12とから構成されている。一方、回転伝達機構は、トップリング駆動軸11に固定された駆動ピン(図示せず)とハウジング部2aに固定された被駆動ピン(図示せず)とから構成される。トップリング本体2が傾いても被駆動ピンと駆動ピンは相対的に上下方向に移動可能であるため、これらは互いの接触点をずらして係合し、回転伝達機構がトップリング駆動軸11の回転トルクをトップリング本体2に確実に伝達する。
【0052】
トップリング本体2及びトップリング本体2に一体に固定されたリテーナリング3の内部に画成された空間内には、トップリング1によって保持される半導体ウェハWに当接する弾性パッド4と、環状のホルダーリング5と、弾性パッド4を支持する概略円盤状のチャッキングプレート6(支持部材)とが収容されている。弾性パッド4は、その外周部がホルダーリング5とホルダーリング5の下端に固定されたチャッキングプレート6との間に挟み込まれており、チャッキングプレート6の下面を覆っている。これにより弾性パッド4とチャッキングプレート6との間には空間が形成されている。
【0053】
なお、チャッキングプレート6は金属材料から形成されていてもよいが、研磨すべき半導体ウェハがトップリングに保持された状態で、渦電流を用いた膜厚測定方法でその表面に形成された薄膜の膜厚を測定する場合などにおいては、磁性を持たない材料、例えば、フッ素系樹脂やセラミックスなどの絶縁性の材料から形成されていることが好ましい。
【0054】
ホルダーリング5とトップリング本体2との間には弾性膜からなる加圧シート7が張設されている。この加圧シート7は、一端をトップリング本体2のハウジング部2aと加圧シート支持部2bとの間に挟み込み、他端をホルダーリング5の上端部5aとストッパ部5bとの間に挟み込んで固定されている。トップリング本体2、チャッキングプレート6、ホルダーリング5、及び加圧シート7によってトップリング本体2の内部に圧力室21が形成されている。図2に示すように、圧力室21にはチューブ、コネクタ等からなる流体路31が連通されており、圧力室21は流体路31上に配置されたレギュレータR2を介して圧縮空気源120に接続されている。なお、加圧シート7は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴムなどの強度及び耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
【0055】
なお、加圧シート7がゴムなどの弾性体である場合に、加圧シート7をリテーナリング3とトップリング本体2との間に挟み込んで固定した場合には、弾性体としての加圧シート7の弾性変形によってリテーナリング3の下面において好ましい平面が得られなくなってしまう。従って、これを防止するため、本実施形態では、別部材として加圧シート支持部2bを設けて、これをトップリング本体2のハウジング部2aと加圧シート支持部2bとの間に挟み込んで固定している。なお、特願平8−50956(特開平9−168964)や特願平11−294503に記載されているように、リテーナリング3をトップリング本体2に対して上下動可能としたり、リテーナリング3をトップリング本体2とは独立に押圧可能な構造としたりすることもでき、このような場合には、必ずしも上述した加圧シート7の固定方法が用いられるとは限らない。
【0056】
トップリング本体2のシール部2cが嵌合されるハウジング部2aの上面の外周縁付近には、環状の溝からなる洗浄液路51が形成されている。この洗浄液路51はシール部2cの貫通孔52を介して流体路32に連通されており、この流体路32を介して洗浄液(純水)が供給される。また、洗浄液路51からハウジング部2a、加圧シート支持部2bを貫通する連通孔53が複数箇所設けられており、この連通孔53は弾性パッド4の外周面とリテーナリング3との間のわずかな間隙Gへ連通されている。
【0057】
弾性パッド4とチャッキングプレート6との間に形成される空間の内部には、弾性パッド4に当接する当接部材としてのセンターバッグ8(中心部当接部材)及びリングチューブ9(外側当接部材)が設けられている。本実施形態においては、図2及び図3に示すように、センターバッグ8はチャッキングプレート6の下面の中心部に配置され、リングチューブ9はこのセンターバッグ8の周囲を取り囲むようにセンターバッグ8の外側に配置されている。なお、弾性パッド4、センターバッグ8及びリングチューブ9は、加圧シート7と同様に、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度及び耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
【0058】
チャッキングプレート6と弾性パッド4との間に形成される空間は、上記センターバッグ8及びリングチューブ9によって複数の空間(第2の圧力室)に区画されており、これによりセンターバッグ8とリングチューブ9の間には圧力室22が、リングチューブ9の外側には圧力室23がそれぞれ形成されている。
【0059】
センターバッグ8は、弾性パッド4の上面に当接する弾性膜81と、弾性膜81を着脱可能に保持するセンターバッグホルダー82(保持部)とから構成されている。センターバッグホルダー82にはネジ穴82aが形成されており、このネジ穴82aにネジ55を螺合させることにより、センターバッグ8がチャッキングプレート6の下面の中心部に着脱可能に取付けられている。センターバッグ8の内部には、弾性膜81とセンターバッグホルダー82とによって中心部圧力室24(第1の圧力室)が形成されている。
【0060】
同様に、リングチューブ9は、弾性パッド4の上面に当接する弾性膜91と、弾性膜91を着脱可能に保持するリングチューブホルダー92(保持部)とから構成されている。リングチューブホルダー92にはネジ穴92aが形成されており、このネジ穴92aにネジ56を螺合させることにより、リングチューブ9がチャッキングプレート6の下面に着脱可能に取付けられている。リングチューブ9の内部には、弾性膜91とリングチューブホルダー92とによって中間部圧力室25(第1の圧力室)が形成されている。
【0061】
圧力室22、23、中心部圧力室24、及び中間部圧力室25には、チューブ、コネクタ等からなる流体路33、34、35、36がそれぞれ連通されており、各圧力室22〜25はそれぞれの流体路33〜36上に配置されたレギュレータR3、R4、R5、R6を介して供給源としての圧縮空気源120に接続されている。なお、上記流体路31〜36は、トップリングシャフト110の上端部に設けられたロータリージョイント(図示せず)を介して各レギュレータR1〜R6に接続されている。
【0062】
上述したチャッキングプレート6の上方の圧力室21及び上記圧力室22〜25には、各圧力室に連通される流体路31、33、34、35、36を介して加圧空気等の加圧流体又は大気圧や真空が供給されるようになっている。図1に示すように、圧力室21〜25の流体路31、33、34、35、36上に配置されたレギュレータR2〜R6によってそれぞれの圧力室に供給される加圧流体の圧力を調整することができる。これにより各圧力室21〜25の内部の圧力を各々独立に制御する又は大気圧や真空にすることができるようになっている。このように、レギュレータR2〜R6によって各圧力室21〜25の内部の圧力を独立に可変とすることにより、弾性パッド4を介して半導体ウェハWを研磨パッド101に押圧する押圧力を半導体ウェハWの部分ごとに調整することができる。なお、場合によっては、これらの圧力室21〜25を真空源121に接続することとしてもよい。
【0063】
この場合において、各圧力室22〜25に供給される加圧流体や大気圧の温度をそれぞれ制御することとしてもよい。このようにすれば、半導体ウェハ等の研磨対象物の被研磨面の裏側から研磨対象物の温度を直接制御することができる。特に、各圧力室の温度を独立に制御することとすれば、CMPにおける化学的研磨の化学反応速度を制御することが可能となる。
【0064】
弾性パッド4には、図3に示すように複数の開口部41が設けられている。そして、センターバッグ8とリングチューブ9との間の開口部41から露出するようにチャッキングプレート6から下方に突出する内周部吸着部61が設けられており、また、リングチューブ9の外側の開口部41から露出するように外周部吸着部62が設けられている。本実施形態においては、弾性パッド4には8個の開口部41が設けられ、各開口部41に吸着部61及び62が露出するように設けられている。
【0065】
内周部吸着部61及び外周部吸着部62には、流体路37、38にそれぞれ連通する連通孔61a、62aがそれぞれ形成されており、内周部吸着部61及び外周部吸着部62は流体路37、38及びバルブV1、V2を介して真空ポンプ等の真空源121に接続されている。そして、内周部吸着部61及び外周部吸着部62の連通孔61a、62aが真空源121に接続されると、連通孔61a、62aの開口端に負圧が形成され、内周部吸着部61及び外周部吸着部62に半導体ウェハWが吸着される。なお、内周部吸着部61及び外周部吸着部62の下端面には薄いゴムシート等からなる弾性シート61b、62bが貼着されており、内周部吸着部61及び外周部吸着部62は半導体ウェハWを柔軟に吸着保持するようになっている。
【0066】
また、図2に示すように、半導体ウェハWの研磨中には、内周部吸着部61及び外周部吸着部62は弾性パッド4の下端面より上方に位置して、弾性パッド4の下端面より突出することはない。半導体ウェハWを吸着する際には、内周部吸着部61及び外周部吸着部62の下端面は弾性パッド4の下端面と略同一面になる。
【0067】
ここで、弾性パッド4の外周面とリテーナリング3との間には、わずかな間隙Gがあるので、ホルダーリング5とチャッキングプレート6及びチャッキングプレート6に取付けられた弾性パッド4等の部材は、トップリング本体2及びリテーナリング3に対して上下方向に移動可能で、フローティングする構造となっている。ホルダーリング5のストッパ部5bには、その外周縁部から外方に突出する突起5cが複数箇所に設けられており、この突起5cがリテーナリング3の内方に突出している部分の上面に係合することにより、上記ホルダーリング5等の部材の下方への移動が所定の位置までに制限される。
【0068】
次に、このように構成されたトップリング1の作用について詳細に説明する。
上記構成のポリッシング装置において、半導体ウェハWの搬送時には、トップリング1の全体を半導体ウェハの移送位置に位置させ、内周部吸着部61及び外周部吸着部62の連通孔61a、62aを流体路37,38を介して真空源121に接続する。連通孔61a、62aの吸引作用により内周部吸着部61及び外周部吸着部62の下端面に半導体ウェハWが真空吸着される。そして、半導体ウェハWを吸着した状態でトップリング1を移動させ、トップリング1の全体を研磨面(研磨パッド101)を有する研磨テーブル100の上方に位置させる。なお、半導体ウェハWの外周縁はリテーナリング3によって保持され、半導体ウェハWがトップリング1から飛び出さないようになっている。
【0069】
研磨時には、吸着部61、62による半導体ウェハWの吸着を解除し、トップリング1の下面に半導体ウェハWを保持させると共に、トップリング駆動軸11に連結されたトップリング用エアシリンダ111を作動させてトップリング1の下端に固定されたリテーナリング3を所定の押圧力で研磨テーブル100の研磨面に押圧する。この状態で、圧力室22、23、中心部圧力室24、及び中間部圧力室25にそれぞれ所定の圧力の加圧流体を供給し、半導体ウェハWを研磨テーブル100の研磨面に押圧する。そして、研磨液供給ノズル102から研磨液Qを流すことにより、研磨パッド101に研磨液Qが保持され、半導体ウェハWの研磨される面(下面)と研磨パッド101との間に研磨液Qが存在した状態で研磨が行われる。
【0070】
ここで、半導体ウェハWの圧力室22及び23の下方に位置する部分は、それぞれ圧力室22、23に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。また、半導体ウェハWの中心部圧力室24の下方に位置する部分は、センターバッグ8の弾性膜81及び弾性パッド4を介して、中心部圧力室24に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。半導体ウェハWの中間部圧力室25の下方に位置する部分は、リングチューブ9の弾性膜91及び弾性パッド4を介して、中間部圧力室25に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。
【0071】
従って、半導体ウェハWに加わる研磨圧力は、各圧力室22〜25に供給される加圧流体の圧力をそれぞれ制御することにより、半導体ウェハWの部分ごとに調整することができる。即ち、レギュレータR3〜R6によって各圧力室22〜25に供給される加圧流体の圧力をそれぞれ独立に調整し、半導体ウェハWを研磨テーブル100上の研磨パッド101に押圧する押圧力を半導体ウェハWの部分ごとに調整している。このように、半導体ウェハWの部分ごとに研磨圧力が所望の値に調整された状態で、回転している研磨テーブル100の上面の研磨パッド101に半導体ウェハWが押圧される。同様に、レギュレータR1によってトップリング用エアシリンダ111に供給される加圧流体の圧力を調整し、リテーナリング3が研磨パッド101を押圧する押圧力を変更することができる。このように、研磨中に、リテーナリング3が研磨パッド101を押圧する押圧力と半導体ウェハWを研磨パッド101に押圧する押圧力を適宜調整することにより、半導体ウェハWの中心部(図3のC1)、中心部から中間部(C2)、中間部(C3)、そして周縁部(C4)、更には半導体ウェハWの外側にあるリテーナリング3の外周部までの各部分における研磨圧力の分布を所望の分布とすることができる。
【0072】
なお、半導体ウェハWの圧力室22及び23の下方に位置する部分には、弾性パッド4を介して流体から押圧力が加えられる部分と、開口部41の箇所のように、加圧流体の圧力そのものが半導体ウェハWに加わる部分とがあるが、これらの部分に加えられる押圧力は同一圧力である。また、研磨時には、弾性パッド4は開口部41の周囲において半導体ウェハWの裏面に密着するため、圧力室22及び23の内部の加圧流体が外部に漏れることはほとんどない。
【0073】
このように、半導体ウェハWを同心の4つの円及び円環部分(C1〜C4)に区切り、それぞれの部分を独立した押圧力で押圧することができる。研磨レートは半導体ウェハWの研磨面に対する押圧力に依存するが、上述したように各部分の押圧力を制御することができるので、半導体ウェハWの4つの部分(C1〜C4)の研磨レートを独立に制御することが可能となる。従って、半導体ウェハWの表面の研磨すべき薄膜の膜厚に半径方向の分布があっても、半導体ウェハ全面に亘って研磨の不足や過研磨をなくすことができる。即ち、半導体ウェハWの表面の研磨すべき薄膜が、半導体ウェハWの半径方向の位置によって膜厚が異なっている場合であっても、上記各圧力室22〜25のうち、半導体ウェハWの表面の膜厚の厚い部分の上方に位置する圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも高くすることにより、あるいは、半導体ウェハWの表面の膜厚の薄い部分の上方に位置する圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも低くすることにより、膜厚の厚い部分の研磨面への押圧力を膜厚の薄い部分の研磨面への押圧力より大きくすることが可能となり、その部分の研磨レートを選択的に高めることができる。これにより、成膜時の膜厚分布に依存せずに半導体ウェハWの全面に亘って過不足のない研磨が可能となる。
【0074】
半導体ウェハWの周縁部に起こる縁だれは、リテーナリング3の押圧力を制御することにより防止することができる。また、半導体ウェハWの周縁部において研磨すべき薄膜の膜厚に大きな変化がある場合には、リテーナリング3の押圧力を意図的に大きく、あるいは、小さくすることで、半導体ウェハWの周縁部の研磨レートを制御することができる。なお、上記各圧力室22〜25に加圧流体を供給すると、チャッキングプレート6は上方向の力を受けるので、本実施形態では、圧力室21には流体路31を介して圧力流体を供給し、各圧力室22〜25からの力によりチャッキングプレート6が上方に持ち上げられるのを防止している。
【0075】
上述のようにして、トップリング用エアシリンダ111によるリテーナリング3の研磨パッド101への押圧力と、各圧力室22〜25に供給する加圧空気による半導体ウェハWの部分ごとの研磨パッド101への押圧力とを適宜調整して半導体ウェハWの研磨が行われる。そして、研磨が終了した際は、半導体ウェハWを内周部吸着部61及び外周部吸着部62の下端面に再び真空吸着する。この時、半導体ウェハWを研磨面に対して押圧する各圧力室22〜25への加圧流体の供給を止め、大気圧に開放することにより、内周部吸着部61及び外周部吸着部62の下端面を半導体ウェハWに当接させる。また、圧力室21内の圧力を大気圧に開放するか、もしくは負圧にする。これは、圧力室21の圧力を高いままにしておくと、半導体ウェハWの内周部吸着部61及び外周部吸着部62に当接している部分のみが、研磨面に強く押圧されることになってしまうためである。従って、圧力室21の圧力を速やかに下げる必要があり、図2に示すように、圧力室21からトップリング本体2を貫くようにリリーフポート39を設けて、圧力室21の圧力が速やかに下がるようにしてもよい。この場合には、圧力室21に圧力をかける際には流体路31から常に圧力流体を供給し続ける必要がある。また、リリーフポート39は逆止弁を備えており、圧力室21内を負圧にする際には外気が圧力室21に入らないようにしている。
【0076】
上述のように半導体ウェハWを吸着させた後、トップリング1の全体を半導体ウェハの移送位置に位置させ、内周部吸着部61及び外周部吸着部62の連通孔61a、62bから半導体ウェハWに流体(例えば、圧縮空気もしくは窒素と純水を混合したもの)を噴射して半導体ウェハWをリリースする。
【0077】
ところで、弾性パッド4の外周面とリテーナリング3との間のわずかな間隙Gには、研磨に用いられる研磨液Qが侵入してくるが、この研磨液Qが固着すると、ホルダーリング5、チャッキングプレート6、及び弾性パッド4などの部材のトップリング本体2及びリテーナリング3に対する円滑な上下動が妨げられる。そのため、流体路32を介して洗浄液路51に洗浄液(純水)を供給する。これにより、複数の連通孔53より間隙Gの上方に純水が供給され、純水が間隙Gを洗い流して上述した研磨液Qの固着が防止される。この純水の供給は、研磨後の半導体ウェハがリリースされ、次に研磨される半導体ウェハが吸着されるまでの間に行われるのが好ましい。また、次の研磨までに供給された純水が全て外部に排出されるように、リテーナリング3には図2に示すような複数の貫通孔3aを設けるのが好ましい。更に、リテーナリング3、ホルダーリング5、及び加圧シート7により形成される空間26内に圧力がこもっていると、チャッキングプレート6の上昇を妨げることとなるので、スムーズにチャッキングプレート6を上昇させるためにも上記貫通孔3aを設け、空間26を大気と同圧にすることが好ましい。
【0078】
以上説明したように、圧力室22、23、センターバッグ8の内部の圧力室24、及びリングチューブ9の内部の圧力室25の圧力を独立に制御することにより半導体ウェハに対する押圧力を制御することができる。更に、本発明によれば、センターバッグ8及びリングチューブ9の位置や大きさなどを変更することによって、押圧力の制御を行なう範囲を簡単に変更することができる。以下、押圧力の制御を行なう範囲を変更する場合について説明する。
図4(a)乃至図4(e)及び図5は、本発明に係る基板保持装置における当接部材(センターバッグ8及びリングチューブ9)の実施例を示す部分縦断面図である。
【0079】
図4(a)及び図4(b)に示すように、センターバッグ8を大きさの異なるセンターバッグ8に取り替えれば、半導体ウェハの押圧力を制御する範囲C1の大きさを変えることができる。この場合において、センターバッグ8の内部の圧力室24と流体路35とを連通する連通孔82bの大きさ及び形状、及びセンターバッグホルダー82をチャッキングプレート6に取付けるためのネジ穴82aの大きさ及び位置を予め決めておけば、大きさの違うセンターバッグホルダー82を用意するだけで上記押圧力の制御を行なう範囲を変更することができ、チャッキングプレート6そのものを加工する必要がない。
【0080】
また、図4(c)及び(d)に示すように、リングチューブ9を大きさ及び/又は形状の異なるリングチューブ9に取り替えれば、半導体ウェハの中間部の押圧力を制御する範囲C3の幅及び/又は位置を変更することができる。更に、図4(e)に示すように、チャッキングプレート6に、半径方向の位置を変えて予め複数の連通孔57及びネジ穴(図示せず)を設けておき、そのうちの1つの連通孔57にリングチューブ9の連通孔92bを合わせて取付け、それ以外の連通孔57(及びネジ穴)を流体シール用のネジ58などで塞ぐようにしてもよい。これによりリングチューブ9を半径方向に対して柔軟に取り付けることができ、上記押圧力の制御を行なう範囲も柔軟に変更することが可能となる。
【0081】
更に、図5に示すようにセンターバッグ8の弾性膜81及びリングチューブ9の弾性膜91に、その下面の外周縁から外側に張り出したつば81a、91aをそれぞれ設けることとしてもよい。つば81a、91aはセンターバッグ8及びリングチューブ9と同一の材料で一体に形成されている。上述したように、半導体ウェハを研磨する際、センターバッグ8とリングチューブ9に挟まれた圧力室22及びリングチューブ9を取り囲む圧力室23には加圧流体が供給される。これにより、つば81a、91aは、それぞれ圧力室22、23に供給される加圧流体によって弾性パッド4に密着する。このため、センターバッグ8の内部の圧力室24に供給される加圧流体の圧力よりも、その周囲の圧力室22に供給される加圧流体の圧力の方がかなり高い場合であっても、センターバッグ8の下方に周囲の圧力の高い加圧流体が回り込むことがない。同様に、リングチューブ9の内部の圧力室25に供給される加圧流体の圧力よりも、その周囲の圧力室22又は23に供給される加圧流体の圧力の方がかなり高い場合でも、リングチューブ9の下方に周囲の圧力の高い加圧流体が回り込むことがない。従って、上記つば81a、91aを設けることによって、各圧力室の圧力制御の幅を更に大きくすることができ、半導体ウェハの押圧をより安定的に行なうことが可能となる。
【0082】
また、センターバッグ8の弾性膜81及びリングチューブ9の弾性膜91の変形が最適になるように、弾性膜81、91に部分的に異なる膜厚を持たせたり、部分的に非弾性体を含ませたりしてもよい。図6(a)にはリングチューブ9の弾性膜91の側面91bの膜厚を弾性パッド4に当接する面91cよりも厚くした例を示す。また、図6(b)にはリングチューブ9の弾性膜91の側面91bの一部を非弾性体91dとした例を示す。これらの例では、各圧力室の圧力による弾性膜の側面の変形が適切に制限される。
【0083】
上述したように、半導体ウェハの表面に形成される薄膜の膜厚分布は成膜の方法や成膜装置の種類により変化するが、本発明に係る基板保持装置によれば、半導体ウェハに押圧力を加える圧力室の位置や大きさをセンターバッグ8及びセンターバッグホルダー82、又はリングチューブ9及びリングチューブホルダー92を交換するだけで変更することができる。従って、研磨すべき薄膜の膜厚分布に合わせて押圧力を制御すべき位置や範囲をトップリング1の極一部を交換するだけで容易かつ低コストで変更することが可能となる。換言すれば、研磨すべき半導体ウェハの表面の研磨すべき薄膜の膜厚分布に変化があった場合にも、容易かつ低コストで対応することができる。なお、センターバッグ8又はリングチューブ9の形状及び位置を変更すると、結果的にセンターバッグ8とリングチューブ9に挟まれる圧力室22及びリングチューブ9を取り囲む圧力室23の大きさを変えることにもなる。
【0084】
次に、本発明に係る基板保持装置の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、上述の第1の実施形態における部材又は要素と同一の作用又は機能を有する部材又は要素には同一の符号を付し、特に説明しない部分については第1の実施形態と同様である。
【0085】
図7は、本実施形態におけるトップリング1を示す縦断面図である。
図7に示すように、本実施形態におけるトップリング1には、弾性パッドが設けられておらず、その代わりに、チャッキングプレート6の外縁近傍の下面のみを覆うように弾性膜からなるシールリング42が設けられている。また、第1の実施形態とは異なり、チャッキングプレート6には半導体ウェハWを吸着する内周部吸着部(図2中の61)又は外周部吸着部(図2中の62)が設けられておらず構造が簡素になっているが、第1の実施形態と同様にチャッキングプレート6に半導体ウェハを吸着する吸着部を設けることとしてもよい。なお、シールリング42は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
【0086】
シールリング42は、下端面がポリッシング対象物である半導体ウェハWの上面に接するように設けられており、上述の第1の実施形態における弾性パッド4と同様に、チャッキングプレート6とホルダーリング5との間に挟み込まれ固定されている。なお、半導体ウェハWの外縁にはノッチやオリエンテーションフラットと呼ばれる、半導体ウェハの向きを認識(特定)するための切り欠きが設けられているが、このようなノッチやオリエンテーションフラットよりもチャッキングプレート6の内周側にまでシールリング42が延出していることが好ましい。
【0087】
第1の実施形態と同様に、チャッキングプレート6の下面の中心部にはセンターバッグ8が設けられており、このセンターバッグ8の周囲を取り囲むようにセンターバッグ8の外側にリングチューブ9が設けられている。
【0088】
本実施形態では、研磨される半導体ウェハWが上記シールリング42、センターバッグ8の弾性膜81、及びリングチューブ9の弾性膜91に当接して保持される。従って、第1の実施形態において弾性パッドとチャッキングプレートとによって形成された空間は、半導体ウェハWとチャッキングプレート6とシールリング42によって形成されることとなる。そして、この空間には、上記センターバッグ8及びリングチューブ9によって、センターバッグ8とリングチューブ9の間の圧力室22及びリングチューブ9の外側の圧力室23(第2の圧力室)が形成されている。
【0089】
第1の実施形態と同様に、上記圧力室22、23、センターバッグ8の内部に形成される中心部圧力室24(第1の圧力室)、及びリングチューブ9の内部に形成される中間部圧力室25(第1の圧力室)には、チューブ、コネクタ等からなる流体路33、34、35、36がそれぞれ連通されており、各圧力室22、23、24、25はそれぞれの流体路33〜36上に配置されたレギュレータを介して圧縮空気源に接続されている。これらの圧力室22〜25は、流体路33〜36上に配置された各レギュレータによってそれぞれの圧力室に供給される加圧流体の圧力を調整することができる。これにより各圧力室22〜25の内部の圧力を各々独立に制御する又は大気圧や真空にすることができるようになっている。このように、各圧力室22〜25の内部の圧力を独立に可変とすることにより、半導体ウェハWを研磨パッドに押圧する研磨圧力を半導体ウェハWの部分ごとに調整することができる。なお、場合によっては、これらの圧力室22〜25を真空源121に接続することとしてもよい。
【0090】
次に、本実施形態におけるトップリング1の作用について説明する。なお、特に説明しない部分については第1の実施形態と同様である。
半導体ウェハWを吸着する際には、センターバッグ8及びリングチューブ9の内部に所定の圧力の加圧流体を供給して、センターバッグ8及びリングチューブ9の下端面を半導体ウェハWに密着させる。その後、圧力室22及び23をそれぞれ流体路33及び34を介して真空源に接続することにより、圧力室22及び23の内部を負圧にし、圧力室22、23の吸引作用により半導体ウェハWを真空吸着する。
【0091】
また、半導体ウェハWを研磨する際には、トップリング1の下面に半導体ウェハWを保持させると共に、トップリング1の下端に固定されたリテーナリング3を所定の押圧力で研磨テーブルの研磨面に押圧する。この状態で、圧力室22、23、中心部圧力室24、及び中間部圧力室25にそれぞれ所定の圧力の加圧流体を供給し、半導体ウェハWを研磨テーブルの研磨面に押圧する。そして、研磨液供給ノズルから供給される研磨液が半導体ウェハWの研磨される面(下面)と研磨面との間に存在した状態で研磨が行われる。
【0092】
ここで、半導体ウェハWの圧力室22及び23の下方に位置する部分は、それぞれ圧力室22、23に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。また、半導体ウェハWの中心部圧力室24の下方に位置する部分は、センターバッグ8の弾性膜81を介して中心部圧力室24に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。半導体ウェハWの中間部圧力室25の下方に位置する部分は、リングチューブ9の弾性膜91を介して中間部圧力室25に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。
【0093】
従って、半導体ウェハWに加わる研磨圧力は、各圧力室22〜25に供給される加圧流体の圧力をそれぞれ制御することにより、半導体ウェハWの部分ごとに調整することができる。このように、半導体ウェハWを同心の4つの円及び円環部分に区切り、それぞれの部分を独立した押圧力で押圧することができる。研磨レートは半導体ウェハWの研磨面に対する押圧力に依存するが、上述したように各部分の押圧力を制御することができるので、半導体ウェハWの4つの部分の研磨レートを独立に制御することが可能となる。従って、半導体ウェハWの表面の研磨すべき薄膜の膜厚に半径方向の分布があっても、半導体ウェハ全面に亘って研磨の不足や過研磨をなくすことができる。即ち、半導体ウェハWの表面の研磨すべき薄膜が、半導体ウェハWの半径方向の位置によって膜厚が異なっている場合であっても、上記各圧力室22〜25のうち、半導体ウェハWの表面の膜厚の厚い部分の上方に位置する圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも高くすることにより、あるいは、半導体ウェハWの表面の膜厚の薄い部分の上方に位置する圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも低くすることにより、膜厚の厚い部分の研磨面への押圧力を膜厚の薄い部分の研磨面への押圧力より大きくすることが可能となり、その部分の研磨レートを選択的に高めることができる。これにより、成膜時の膜厚分布に依存せずに半導体ウェハWの全面に亘って過不足のない研磨が可能となる。
【0094】
なお、研磨時には、シールリング42は半導体ウェハWの裏面に密着するため、圧力室23内の加圧流体が外部に漏れることはほとんどない。同様の理由で、センターバッグ8の弾性膜81及びリングチューブ9の弾性膜91の下面に貫通孔を設けたとしても、研磨時に、圧力室24及び25内の加圧流体が外部に漏れることはほとんどない。
【0095】
研磨の終了後は、上述と同様の吸着方法で半導体ウェハWを真空吸着し、圧力室21内の圧力を大気圧に開放するか、もしくは負圧にする。半導体ウェハWを吸着させた後、トップリング1の全体を半導体ウェハの移送位置に位置させ、流体路33及び流体路34を介して半導体ウェハWに流体(例えば、圧縮空気もしくは窒素と純水を混合したもの)を噴射して半導体ウェハWをリリースする。この場合において、センターバッグ8の弾性膜81及びリングチューブ9の弾性膜91の下面に貫通孔を設けた場合には、この貫通孔からも半導体ウェハWに下方向の圧力が加わるため、半導体ウェハWのリリースがよりスムーズになる。また、本実施形態においては半導体ウェハWのリリース後、チャッキングプレート6の下面の大部分が露出することとなるので、研磨終了後の洗浄が比較的容易にできる。
【0096】
ここで、本実施形態の基板保持装置におけるセンターバッグ8及びリングチューブ9の他の実施例について説明する。図8は本発明の他の実施例を示す部分縦断面図、図9は半導体ウェハWを取り外した状態における図8の底面図である。この実施例では、図8及び図9に示すように、センターバッグ8の弾性膜81はその外周縁部にのみ設けられており、センターバッグ8の弾性膜81の下面に円形の孔(連通部)83が形成されている。一方、リングチューブ9は2つの弾性膜、即ち、内側の弾性膜91e及び外側の弾性膜91fを備えており、これらの内側弾性膜91eと外側弾性膜91fとの間には環状の溝(連通部)93が形成されている。このような円形孔83及び環状溝93を介して、中心部圧力室24及び中間部圧力室25に供給される加圧流体が当接面である半導体ウェハWの上面に接触することとなる。
【0097】
上述したように、中心部圧力室24や中間部圧力室25に供給される加圧流体の温度を制御し、被研磨面の裏側から半導体ウェハWの温度を制御する場合においては、このような連通部83、93をセンターバッグ8の弾性膜及びリングチューブ9の弾性膜の下面に形成することによって、温度制御された加圧流体が半導体ウェハWに接触する面積を増やすことができるので、半導体ウェハWの温度制御性を向上させることができる。また、研磨終了後、半導体ウェハWをリリースする際には、上記円形孔83及び環状溝93を介して中心部圧力室24及び中間部圧力室25がそれぞれ外気に開放されることとなるので、中心部圧力室24及び中間部圧力室25に供給された流体などがその内部にこもることがない。従って、連続して半導体ウェハWを研磨する場合においても温度制御の安定性を保つことができる。
【0098】
なお、研磨中は、中心部圧力室24及び中間部圧力室25に加圧流体が供給されるため、この加圧流体により、センターバッグ8の弾性膜81、リングチューブ9の内側弾性膜91e及び外側弾性膜91fの下面が当接面である半導体ウェハWの上面に押し付けられる。従って、このような円形孔83や環状溝93が弾性膜で形成されている場合であっても、中心部圧力室24及び中間部圧力室25の内部の加圧流体が外部に漏れることはほとんどない。
【0099】
図8及び図9に示す例では、センターバッグ8の弾性膜81には中心部圧力室24に供給された加圧流体によって円形孔83を外方に押し広げようとする力が作用し、リングチューブ9の弾性膜91e、91fには中間部圧力室25に供給された加圧流体によって環状溝93の幅を広げようとする力が作用する。図10に示すように、センターバッグ8の弾性膜81及びリングチューブ9の弾性膜91の下面に、それぞれ複数の円形孔(連通部)84、94を形成すれば、このような加圧流体による力を分散させることができる。
【0100】
また、図11に示すように、センターバッグ8の弾性膜81の下端に、内部に流体が密封された環状の接触部85を形成してもよい。また、リングチューブ9の弾性膜91の下端にそれぞれ内部に流体が密封された環状の(内側)接触部95aと(外側)接触部95bを形成してもよい。この場合において、圧力室21に加圧流体を供給することによって各接触部85、95a、95bが半導体ウェハWに押し付けられ、接触部85、95a、95bによって圧力室22、23、中央部圧力室24、及び中間部圧力室25がそれぞれシールされる。このとき、半導体ウェハWに押し付けられることによって接触部85、95a、95bが変形して接触部85、95a、95bと半導体ウェハWとの接触面積が増え、半導体ウェハWにかかる力が大きくなるが、圧力室21の内部圧力を調整すれば、接触部85、95a、95bによって半導体ウェハWに過剰な力がかかることがないようにすることができる。なお、図8乃至図11に示した実施例は上述した第1の実施形態にも適用できることは言うまでもない。
【0101】
次に、本発明に係る基板保持装置の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、上述の第2の実施形態における部材又は要素と同一の作用又は機能を有する部材又は要素には同一の符号を付し、特に説明しない部分については第2の実施形態と同様である。
【0102】
図12は本実施形態におけるトップリング1を示す縦断面図、図13は半導体ウェハWを取り外した状態における図12のトップリング1の底面図である。図12に示すように、本実施形態におけるトップリング1には、弾性パッド及びシールリングが設けられていない。
【0103】
本実施形態におけるセンターバッグ8のセンターバッグホルダー82は、図13に示すように、円環形状をなしており、その外周部に円環状の弾性膜81が保持されている。このセンターバッグ8の弾性膜81には、図8及び図9に示す例と同様に、その下面に円形孔83が形成されている。
【0104】
本実施形態におけるリングチューブ9は半導体ウェハWの外周縁部に対応する位置に取付けられている。リングチューブ9は、図8及び図9に示した例と同様に、内側弾性膜91e及び外側弾性膜91fを備えており、これらの内側弾性膜91eと外側弾性膜91fとの間に環状溝93が形成されている。また、リングチューブホルダー92の内周側には環状の補助ホルダー96が配置されている。リングチューブ9の内側弾性膜91eの上部は内周側に延出しており、この延出部分をこの補助ホルダー96によって保持することで内側弾性膜91eの保持がより確実になされる。
【0105】
また、センターバッグ8の弾性膜81には、その下面の外周縁から外周側に張り出したつば81bが設けられ、リングチューブ9の内側弾性膜91eには、その下面の内周縁から内周側に張り出したつば91gが設けられている。このようなつば81b、91gを設けることによって、図5に示した実施例で説明したように、各圧力室の圧力制御の幅を更に大きくすることができ、半導体ウェハWの押圧をより安定的に行なうことが可能となる。
【0106】
チャッキングプレート6には、第1の実施形態と同様に、半導体ウェハWを吸着するための内周部吸着部61及び外周部吸着部62が設けられている。内周部吸着部61はセンターバッグ8の内側に、外周部吸着部62はセンターバッグ8とリングチューブ9との間に配置されている。
【0107】
本実施形態では、研磨される半導体ウェハWがセンターバッグ8の弾性膜81及びリングチューブ9の弾性膜91e、91fに当接した状態で保持される。従って、半導体ウェハWとチャッキングプレート6との間の空間には、センターバッグ8及びリングチューブ9によって、センターバッグ8とリングチューブ9との間に圧力室22が形成されている。上述したように、リングチューブ9は半導体ウェハWの外周縁部に対応する位置に取付けられており、リングチューブ9の外側に圧力室(図7の符号23)が形成されていない点で第2の実施形態と異なる。
【0108】
チャッキングプレート6の上方に形成される圧力室21、圧力室22、センターバッグ8の内部に形成される中心部圧力室24、及びリングチューブ9の内部に形成される中間部圧力室25には、チューブ、コネクタ等からなる流体路31、33、35、36がそれぞれ連通されており、各圧力室21、22、24、25はそれぞれの流体路31、33、35、36上に配置されたレギュレータを介して圧縮空気源に接続されている。これらの圧力室21、22、24、25は、流体路31、33、35、36上に配置された各レギュレータによってそれぞれの圧力室に供給される加圧流体の圧力を調整することができる。これにより各圧力室21、22、24、25の内部の圧力を各々独立に制御する又は大気圧や真空にすることができるようになっている。このように、各圧力室21、22、24、25の内部の圧力を独立に可変とすることにより、半導体ウェハWを研磨パッドに押圧する研磨圧力を半導体ウェハWの部分ごとに調整することができる。
【0109】
半導体ウェハWの研磨の際には、研磨すべき半導体ウェハWの表面の薄膜の膜厚分布に関わらず、研磨パッド等の弾性変形や研磨面と半導体ウェハWとの間への研磨液の入り込み具合などによって、半導体ウェハWの周縁部付近の均一な研磨が阻害されやすい。本実施形態では、リングチューブ9を半導体ウェハWの外周縁部に対応する位置に取付けると共に、リングチューブ9の幅D1を狭くし、センターバッグ8の直径D2を大きくすることで、半導体ウェハWの周縁部付近の研磨圧力を制御し、このような半導体ウェハWの周縁部付近の不均一な研磨を抑制している。具体的には、リングチューブ9の幅D1は10mm以下、更には、5mm以下であることが好ましい。センターバッグ8とリングチューブ9との間の幅D3は、研磨する半導体ウェハWの直径が200mmの場合には20〜25mm、研磨する半導体ウェハWが300mmの場合には25〜30mmであることが好ましい。
【0110】
さてこれまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてもよいことは言うまでもない。
【0111】
上述の実施形態では、流体路31、33、34、35、36をそれぞれ別個に設けたが、これらの流体路を統合したり、各圧力室同士を連通させたりするなど、半導体ウェハWに加えるべき押圧力の大きさや加える位置により自由に改変することが可能である。
【0112】
例えば、圧力室22に連通する流体路33及び圧力室23に連通する流体路34をなくし、圧力室22及び圧力室23を圧力室21に連通させ、圧力室21、22、23を1つの圧力室とすることもできる。これにより、圧力室21、22、23の圧力が流体路31からの加圧流体によって同一の圧力に制御される。圧力室22と圧力室23の圧力に差を設ける必要がなく、中心部圧力室24及び中間部圧力室25の圧力が圧力室21、22、23の圧力と比べてそれほど大きくない場合には、このようにすることで、流体路33及び34をなくすことができ流体路の数が減るため、流体路の取り回しが簡素になる。
【0113】
また、第1及び第3の実施形態のように、チャッキングプレート6に内周部吸着部61及び外周部吸着部62を設けた場合には、内周部吸着部61に連通する流体路37と外周部吸着部62に連通する流体路38にそれぞれ真空のみでなく加圧流体も供給できるようにすることにより、内周部吸着部61での半導体ウェハの吸着と圧力室22への加圧流体の供給及び外周部吸着部62での半導体ウェハの吸着と圧力室23への加圧流体の供給とをそれぞれ1つの流路で行なうことが可能となる。これにより、流路33及び34は必要なくなるので、流体路が2つ必要なくなり流体路の数が減るため、流体路の取り回しが簡素になる。
【0114】
また、第1及び第2の実施形態におけるチャッキングプレート6の外周縁部には、弾性膜4又はシールリング42の下部周縁の形状を保持するために、下方に突出する突起63が設けられているが(図2及び図7参照)、弾性膜4又はシールリング42がその材質等により形状の保持を必要としない場合には、このような突起を設けずにチャッキングプレート6を構成することも可能である。図14は、第1の実施形態におけるチャッキングプレート6の突起63を削除した場合のトップリング1を示す縦断面図である。このようにすることで、半導体ウェハWを外周縁部までより一様に加圧することができる。また突起63をなくすことにより、半導体ウェハは、研磨面に存在する大きなうねりに対してより容易に従うことが可能となる。
【0115】
また、上述した実施形態においては、研磨パッドにより研磨面が形成されることとしたが、これに限られるものではない。例えば、固定砥粒により研磨面を形成してもよい。固定砥粒は、砥粒をバインダ中に固定し板状に形成されたものである。固定砥粒を用いた研磨においては、固定砥粒から自生した砥粒により研磨が進行する。固定砥粒は砥粒とバインダと気孔により構成されており、例えば砥粒には平均粒径0.5μm以下の酸化セリウム(CeO)、バインダにはエポキシ樹脂を用いる。このような固定砥粒は硬質の研磨面を構成する。また、固定砥粒には、上述した板状のものの他に、薄い固定砥粒層の下に弾性を有する研磨パッドを貼付して二層構造とした固定砥粒パッドも含まれる。その他の硬質の研磨面としては、上述したIC−1000がある。
【符号の説明】
【0116】
1 トップリング
2 トップリング本体
2a ハウジング部
2b 加圧シート支持部
2c シール部
2d 球面状凹部
3 リテーナリング
4 弾性パッド
5 ホルダーリング
5a 上端部
5b ストッパ部
5c 突起
6 チャッキングプレート(支持部材)
7 加圧シート
8 センターバッグ(中心部当接部材)
9 リングチューブ(外側当接部材)
10 自在継手部
11 トップリング駆動軸
11a 球面状凹部
12 ベアリングボール
21 圧力室
22、23 圧力室(第2の圧力室)
24 中心部圧力室(第1の圧力室)
25 中間部圧力室(第1の圧力室)
26 空間
31、32、33、34、35、36、37、38 流体路
39 リリーフポート
41 開口部
42 シールリング
51 洗浄液路
52 貫通孔
53、57 連通孔
55、56、58 ネジ
61 内周部吸着部
61a、62a 連通孔
61b、62b 弾性シート
62 外周部吸着部
63 突起
81、91 弾性膜
81a、81b、91a、91g つば
82 センターバッグホルダー(保持部)
82a、92a ネジ穴
82b、92b 連通孔
83、84、94 円形孔(連通部)
85、95a、95b 接触部
91d 非弾性体
91e 内側弾性膜
91f 外側弾性膜
92 リングチューブホルダー(保持部)
93 環状溝(連通部)
96 補助ホルダー
101 研磨パッド
100 研磨テーブル
102 研磨液供給ノズル
110 トップリングヘッド
111 トップリング用エアシリンダ
112 回転筒
113、116 タイミングプーリ
114 トップリング用モータ
115 タイミングベルト
117 トップリングヘッドシャフト
120 圧縮空気源(供給源)
121 真空源
G 間隙
Q 研磨液
R1、R2、R3、R4、R5、R6 レギュレータ
V1、V2 バルブ
W 半導体ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持装置により基板を研磨テーブル上部の研磨パッドに押圧して基板を研磨する研磨方法において、
前記基板保持装置の底面を基板を当接させ基板をとりつける面を提供するための弾性パッドで覆うとともに、該弾性パッドの内側に同心状に少なくとも4つの圧力室を形成し、前記少なくとも4つの圧力室は、基板を同心の少なくとも4つの円および円環部分に区切ったときに、基板の円形状中心部に対応する位置にある第1の圧力室と、基板の円形状中心部の外側の円環部分に対応する位置にある第2の圧力室と、基板の前記円環部分の外側の円環部分に対応する位置にある第3の圧力室と、基板の周縁部に対応する位置にある第4の圧力室とを含み、
前記基板保持装置により前記基板を保持しながら、リテーナリングを前記研磨パッドに押圧し、
前記基板保持装置の前記少なくとも第1〜第4の圧力室にそれぞれ制御された圧力の加圧流体を供給して前記基板を前記研磨パッドに押圧し、該基板を研磨することを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
請求項1記載の基板の研磨方法において、
前記基板保持装置により前記基板を保持した状態で、渦電流を用いた膜厚測定方法によりその表面に形成された薄膜の膜厚分布を測定し、
前記基板の表面の膜厚の厚い部分に対応した位置にある圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも高くするように、あるいは、前記基板の表面の膜厚の薄い部分に対応した位置にある圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも低くすることを特徴とする研磨方法。
【請求項3】
請求項1記載の基板の研磨方法において、
前記第1の圧力室の直径を大きくし、前記第4の圧力室の幅を小さくすることにより、前記基板の周縁部付近の研磨圧力の制御を行うことを特徴する研磨方法。
【請求項4】
基板保持装置により基板を保持して基板を研磨テーブル上部の研磨パッドに押圧し、該基板を研磨する研磨装置において、
前記基板保持装置の底面を基板を当接させ基板をとりつける面を提供するための弾性パッドで覆うとともに、該弾性パッドの内側に同心状に少なくとも4つの圧力室を形成し、前記少なくとも4つの圧力室は、基板を同心の少なくとも4つの円および円環部分に区切ったときに、基板の円形状中心部に対応する位置にある第1の圧力室と、基板の円形状中心部の外側の円環部分に対応する位置にある第2の圧力室と、基板の前記円環部分の外側の円環部分に対応する位置にある第3の圧力室と、基板の周縁部に対応する位置にある第4の圧力室とを含み、
前記基板の同心の少なくとも4つの円および円環部分をそれぞれ異なった圧力で前記研磨パッドに押圧するために、前記基板保持装置の前記少なくとも第1〜第4の圧力室にそれぞれ制御された圧力の加圧流体を供給する4つのレギュレータを設けたことを特徴とする研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−45408(P2010−45408A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266388(P2009−266388)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【分割の表示】特願2007−71591(P2007−71591)の分割
【原出願日】平成13年1月22日(2001.1.22)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】