説明

研磨用組成物並びにそれを用いた研磨方法及び基板の製造方法

【課題】貴金属の研磨に適した研磨用組成物及びその用途を提供する。
【解決手段】本発明は、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって、常温の研磨用組成物中で電位計の正極側を導電性物質に接続し、且つ負極側を導体に接続した条件において、導電性物質と導体を研磨したときに正極側から負極側へ流れる電流の値が、正の値(ゼロを含む。)を示すことを特徴とする研磨用組成物を提供する。さらには、研磨用組成物は、導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属の研磨に適した研磨用組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化、高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(以下、CMPと記す)法もその一つであり、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線(ダマシン配線)形成において頻繁に利用される技術である。この技術は、例えば特許文献1に開示されている。ダマシン配線技術は配線工程の簡略化、歩留まりと信頼性の向上が可能であり、今後適用が拡大していくと考えられる。
【0003】
ダマシン配線としては、高速ロジックデバイスには、現在、低抵抗であるが故に銅が配線金属として主に用いられている。また、今後DRAMに代表されるメモリデバイスにも使用が拡大されると考えられる。金属CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨剤で浸し、基板の金属膜を形成した面を押し付けて、その裏面から所定の圧力(以下研磨圧力と記す)を加えた状態で研磨定盤を回し、研磨剤と金属膜の凸部との機械的摩擦によって凸部の金属膜を除去するものである。
【0004】
一方、配線の銅或いは銅合金等の下層には、層間絶縁膜中への銅拡散防止のためにバリア層として、タンタル、タンタル合金、及びタンタル化合物等が形成される。したがって、銅或いは銅合金を埋め込む配線部分以外では、露出したバリア層をCMPにより取り除く必要がある。しかし、バリア層導体膜は、銅或いは銅合金に比べ一般に硬度が高いために、銅または銅合金用の研磨材料の組み合わせでは十分なCMP速度が得られない場合が多い。
【0005】
一方、バリア層として用いられるタンタル、タンタル合金及びタンタル化合物等は化学的に安定でエッチングが難しく、硬度が高いために機械的な研磨も銅及び銅合金ほど容易ではない。さらに近年、バリア層用の材料として、ルテニウム、ルテニウム合金及びルテニウム化合物が検討されている。ルテニウム、ルテニウム合金及びルテニウム化合物はタンタル、タンタル合金及びタンタル化合物に比べ抵抗率が低く、化学的気相成長(CVD)製膜が可能でより細幅配線に対応可能な点で優れている。しかし、ルテニウム、ルテニウム合金及びルテニウム化合物はタンタル、タンタル合金及びタンタル化合物と同様に化学的に安定で硬度が高いことから研磨が難しい。
【0006】
CMPに用いられる研磨剤は、一般には酸化剤及び砥粒からなっており、このCMP用研磨剤によるCMPの基本的なメカニズムは、まず、酸化剤によって金属膜表面を酸化し、その酸化層を砥粒によって削り取るというものであると考えられている。凹部の金属膜表面の酸化層は研磨パッドにあまり触れず、砥粒による削り取りの効果が及ばないので、CMPの進行とともに凸部の金属膜が除去されて基板表面は平坦化される。
【0007】
CMPにおいては、配線金属に対する高い研磨速度、研磨速度安定性および研磨表面における低い欠陥密度が要求される。しかしながら、ルテニウム膜は、銅、タングステンのような他のダマシン配線金属膜よりも化学的に安定かつ高硬度であるために研磨し難く、ルテニウム膜の研磨速度を向上させるとダマシン配線金属膜の欠陥が多くなる。このような貴金属、特にルテニウム膜研磨用研磨液としては、例えば特許文献2及び3に示されるような研磨用組成物が提案されている。しかしながら、研磨速度を維持しつつ、研磨表面の欠陥、特に腐蝕欠陥を抑制するためには、更なる改良が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4944836号明細書
【特許文献2】再公表2007−043517号公報
【特許文献3】特表2011−503873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明の目的は、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物、特に貴金属を含む導体層に対して高い研磨速度を維持しつつ、腐蝕欠陥を抑制する研磨用組成物並びにそれを用いた研磨方法及び基板の製造方法を提供することにある。従来、導電性物質の腐蝕欠陥は、導体と導電性物質間の電位差によって生じると考えられていた。すなわち、例えば銅からなる導電性物質とタンタルを含むバリア導体との異種金属の接触面においてバリア導体よりも銅の電位が低い場合、バリア導体と銅との境界部近傍にて、銅表面からバリア導体へ電子が移動するため、銅イオンが研磨用組成物中に溶出し、腐蝕欠陥が起こると考えられていた。よって、導体と導電性物質間の電位差を低くする解決方法が提案されていた。これに対して、本発明者らは、腐蝕欠陥は導体と導電性物質間の電位差を低くするだけでは十分ではなく、特定の条件下で導体へ導電性物質から電子の移動があった場合、すなわち、導体から導電性物質へ電流が流れた場合に腐食欠陥が生じることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の条件下で導体から導電性物質へ流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)を示す研磨用組成物を使用することで、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物、特に貴金属を含む導体層に対して高い研磨速度を維持しつつ、腐蝕欠陥を抑制できることを見出した。本発明によれば、導体へ導電性物質からの電子の移動を、すなわち、導体から導電性物質への電流が流れを防止することができ、導体と導電性物質との境界部近傍の導電性物質表面から電子と導電性物質イオンの研磨用組成物中への溶出を防止することができる。その結果、腐食欠陥を防止することができる。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
<1>導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって、常温の前記研磨用組成物中で電位計の正極側を前記導電性物質に接続し、且つ負極側を前記導体に接続した条件において、前記導電性物質と前記導体を研磨したときに正極側から負極側へ流れる電流の値が、正の値(ゼロを含む。)を示すことを特徴とする研磨用組成物。
<2>導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤を含有する。
<3>電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤が、窒素原子含有化合物、硫黄原子含有化合物及びリン原子含有化合物からから選ばれるいずれか一以上である。
<4>導体が、貴金属を含む。
<5>導体が、ルテニウムを含む。
<6>前記<1>〜<5>のいずれかに記載の研磨用組成物を用いて、導体層とその導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物の表面を研磨することを含む研磨方法。
<7>前記<6>に記載の研磨用組成物を用いて、導体層とその導体層と接する導電性物質層を有する基板を得るべく、導体層とその導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物の表面を研磨して導体層とその導体層と接する導電性物質層の一部を除去することを含む、導体層とその導体層と接する導電性物質層を有する基板の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物、特に貴金属を含む導体層に対して高い研磨速度を維持しつつ、腐蝕欠陥を抑制する研磨用組成物並びにそれを用いた研磨方法及び基板の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態における電流値の測定方法の一例の模式図である。
【図2】研磨用組成物を用いてCu/TEOSパターンウェーハを研磨した後のCu/TEOSパターンウェーハの表面において観察される、Cu/TEOS間に腐蝕欠陥がない状態(a)及び腐蝕欠陥がある状態(b)の一例を示す走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態の研磨用組成物は、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物である。研磨対象物は、具体的には、半導体デバイスの配線部形成工程における、表面が凹部および凸部からなる層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜を表面に沿って被覆するバリア導体層と、前記凹部を充填してバリア導体層を被覆する銅を主成分とする導電性物質層とを有する基板が挙げられる。
【0015】
導電性物質としては、銅、銅合金、銅の酸化物、銅合金の酸化物、タングステン、タングステン合金、銀、銀合金、金等の、金属が主成分の物質が挙げられる。銅が主成分である導電性物質(以下、導電性物質ともいう。)が好ましく、例えば銅、銅合金、銅の酸化物、銅合金の酸化物が挙げられる。より好ましくは銅である。このような導電性物質からなる導電性物質層としては、例えば半導体デバイス中の配線部用金属層が挙げられる。
【0016】
導体としてタングステン、窒化タングステン、タングステン合金、その他のタングステン化合物、チタン、窒化チタン、チタン合金、その他のチタン化合物、タンタル、窒化タンタル、タンタル合金、その他のタンタル化合物、ルテニウム及びその他のルテニウム化合物から選ばれた少なくとも1種(以下、導体ともいう。)が例示される。導体層は、導体からなる層であっても、その層を含む積層膜であってもよい。導体層としては、例えば半導体デバイスにおいて、層間絶縁膜中への導電性物質拡散防止、および層間絶縁膜と導電性物質との密着性向上のために形成されるバリア導体層が挙げられる。
【0017】
また、本実施形態の研磨用組成物は、特定の条件下で研磨用組成物中において電位計の正極側を前記導電性物質に接続し、負極側を前記導体に接続した場合の正極側から負極側へ流れる電流の値が、正の値(ゼロを含む。)を示す。
【0018】
特定の条件下については、図1に基づいて説明すると次の通りである。なお、図1においては、1は導電性物質基板、2は導体基板、3は研磨パッド、4は容器、5は電位・電流計を示す。まず、2000ml程度容量の容器4に1000ml程度の研磨用組成物を入れ、常温にする。ここで、研磨用組成物とは、CMP研磨時の研磨用組成物のことであり、化学機械研磨する直前に添加する場合がある金属の酸化剤等の添加物を実際に添加した後の研磨液のことである。シリコン基板上に導電性物質膜を形成した導電性物質基板1と、シリコン基板上にタンタル等の導体膜を形成した導体基板2を適当な大きさにして、電位計の正極側を導電性物質基板1に、負極側を導体基板2に接続する。その後、導電性物質基板1および導体基板2をお互いに接触しないように距離をとった状態で、液面に対して水平、かつ導電性物質膜表面と導体膜表面が液面に向くように研磨用組成物に浸す。その後、水平方向及び垂直方向に制御可能な樹脂(塩化ビニル)製の回転体に研磨パッド3を貼り付け、そのパッドで導電性物質基板1および導体基板2を研磨する。研磨開始から30秒経過後までの電流値を電位・電流計5で測定して採用する。容器4は研磨用組成物と反応しない限り特に限定されないが、ガラス製、プラスチック製等が好ましい。また、ここでいう室温とは、JIS
Z8703に規定される常温をいい、pHは研磨用組成物のpHに依存する。なお、ここでいう電流値は、小数点以下第4位の値を四捨五入した値を用いる。
【0019】
従来、導電性物質の腐蝕欠陥は、導体と導電性物質間の電位差によって生じると考えられていた。すなわち、例えば銅からなる導電性物質とタンタルを含むバリア導体との異種金属の接触面において電位差が大きくなると、バリア導体と銅との境界部近傍の銅表面から電子と銅イオンが研磨用組成物中に溶出し、腐蝕欠陥が起こると考えられている。よって、導体と導電性物質間の電位差を低くする解決方法が提案されていた。これに対して、本発明者らは、腐蝕欠陥は導体と導電性物質間の電位差を低くするだけでは十分ではなく、特定の条件下で導体へ導電性物質から電子の移動があった場合、すなわち、導体から導電性物質へ電流が流れた場合に腐食欠陥が生じることを確認した。この課題の解決方法として、本発明では、特定の条件下で導体から導電性物質へ流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)を示す研磨用組成物を提供する。本発明の実施形態の研磨用組成物によれば、導体へ導電性物質からの電子の移動を、すなわち、導体から導電性物質への電流が流れを防止することができ、導体と導電性物質との境界部近傍の導電性物質表面から電子と導電性物質イオンの研磨用組成物中への溶出を防止することができる。その結果、腐食欠陥を防止することができると考えられる。
【0020】
本発明において、特定の条件下で研磨用組成物中において電位計の正極側を前記導電性物質に接続し、負極側を前記導体に接続した場合の正極側から負極側へ流れる電流の値の下限は0(ゼロ)以上が好ましく、より好ましくは0.001mA以上、さらに好ましくは0.01mA以上である。この電流の値が大きいほど、導体へ導電性物質からの電子の移動を、すなわち、導体から導電性物質への電流が流れを防止することができる。その結果、腐食欠陥を防止することができるので好ましい。
【0021】
本発明において、特定の条件下で研磨用組成物中において電位計の正極側を前記導電性物質に接続し、負極側を前記導体に接続した場合の正極側から負極側へ流れる電流の値が、正の値(ゼロを含む。)を示す研磨用組成物の調整方法としては、導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤を研磨用組成物に含有する方法が挙げられる。導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤に特に制限はなく、導体及び導電性物質の材料並びに研磨用組成物のpHによって、導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする効果がある添加剤を選択することが好ましい。導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤は、例えば、(A)窒素原子含有化合物、(B)硫黄原子含有化合物及び(C)リン原子含有化合物から選ばれる少なくとも一種であって、導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする効果がある添加剤であることが好ましい。例えば、導体層がルテニウムを含むバリア導体層で、導電性材料層が銅を含む場合において、(A)窒素原子含有化合物であって導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする効果がある添加剤は、研磨用組成物のpHが中性のときはベンゾトリアゾール、ウラゾール、ピペラジン及びピペリジンが、研磨用組成物のpHがアルカリのときはアンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、モルホリン、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン及びウラゾールが挙げられる。例えば、導体層がルテニウムを含むバリア導体層で、導電性材料層が銅を含む場合において、(B)硫黄原子含有化合物であって導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする効果がある添加剤は、研磨用組成物のpHがアルカリのときは、硫酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。また、例えば、導体層がルテニウムを含むバリア導体層で、導電性材料層が銅を含む場合において、(C)リン原子含有化合物であって導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする効果がある添加剤は、研磨用組成物のpHが酸性及び中性のときはリン酸が、研磨用組成物のpHがアルカリのときはホスホン酸が挙げられる。前記(A)〜(C)は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。いずれにおいても、導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする効果がある添加剤であれば、特に制限はない。
【0022】
(酸化剤)
研磨用組成物には、任意で酸化剤を含有させることができる。酸化剤は研磨対象物の表面を酸化する作用を有し、研磨用組成物中に酸化剤を加えた場合には、研磨用組成物による研磨速度が向上する効果がある。
【0023】
使用可能な酸化剤は、例えば過酸化物である。過酸化物の具体例としては、例えば、過酸化水素、過酢酸、過炭酸塩、過酸化尿素および過塩素酸、ならびに過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩が挙げられる。中でも過硫酸塩および過酸化水素が研磨速度の観点から好ましく、水溶液中での安定性および環境負荷への観点から過酸化水素が特に好ましい。
【0024】
研磨用組成物中の酸化剤の含有量の上限は、10質量%であることが好ましく、より好ましくは5質量%、さらに好ましくは1質量%である。酸化剤の含有量が少なくなるにつれて、金属配線層のディッシング等の欠陥を抑制できる。
【0025】
研磨用組成物中の酸化剤の含有量の下限は、0.001質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%、さらに好ましくは0.1質量%である。酸化剤の含有量が多くなるにつれて、研磨速度が向上する。
【0026】
(砥粒)
研磨用組成物には、任意で砥粒を含有させることができる。砥粒は、無機粒子、有機粒子、及び有機無機複合粒子のいずれであってもよい。無機粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、チタニアなどの金属酸化物からなる粒子、並びに窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子及び窒化ホウ素粒子が挙げられる。有機粒子の具体例としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子が挙げられる。その中でもシリカ粒子が好ましく、特に好ましいのはコロイダルシリカである。
【0027】
砥粒は表面修飾されていてもよい。通常のコロイダルシリカは、酸性条件下でゼータ電位の値がゼロに近いために、酸性条件下ではシリカ粒子同士が互いに電気的に反発せず凝集を起こしやすい。これに対し、酸性条件でもゼータ電位が比較的大きな正もしくは負の値を有するように表面修飾された砥粒は、酸性条件下においても互いに強く反発して良好に分散する結果、研磨用組成物の保存安定性を向上させることになる。このような表面修飾砥粒は、例えば、アルミニウム、チタン又はジルコニウムなどの金属あるいはそれらの酸化物を砥粒と混合して砥粒の表面にドープさせることや、スルホン酸基やホスホン酸基により、アミノ基を有したシランカップリング剤を用いて砥粒の表面に修飾して得ることができる。
【0028】
研磨用組成物中の砥粒の含有量は0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。砥粒の含有量が多くなるにつれて、研磨用組成物による研磨対象物の除去速度が向上する利点がある。
【0029】
研磨用組成物中の砥粒の含有量はまた、25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。砥粒の含有量が少なくなるにつれて、研磨用組成物の材料コストを抑えることができるのに加え、砥粒の凝集が起こりにくい。また、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することにより表面欠陥の少ない研磨面を得られやすい。
【0030】
砥粒の平均一次粒子径は5nm以上であることが好ましく、より好ましくは7nm以上、さらに好ましくは10nm以上である。砥粒の平均一次粒子径が大きくなるにつれて、研磨用組成物による研磨対象物の除去速度が向上する有利がある。なお、砥粒の平均一次粒子径の値は、例えば、BET法で測定される砥粒の比表面積に基づいて計算することができる。
【0031】
砥粒の平均一次粒子径はまた、100nm以下であることが好ましく、より好ましくは90nm以下、さらに好ましくは80nm以下である。砥粒の平均一次粒子径が小さくなるにつれて、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することにより表面欠陥の少ない研磨面を得られやすい。
【0032】
砥粒の平均二次粒子径は150nm以下であることが好ましく、より好ましくは120nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。砥粒の平均二次粒子径の値は、例えば、レーザー光散乱法により測定することができる。
【0033】
砥粒の平均二次粒子径の値を平均一次粒子径の値で除することにより得られる砥粒の平均会合度は1.2以上であることが好ましく、より好ましくは1.5以上である。砥粒の平均会合度が大きくなるにつれて、研磨用組成物による研磨対象物の除去速度が向上する利点がある。
【0034】
砥粒の平均会合度はまた、4以下であることが好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下である。砥粒の平均会合度が小さくなるにつれて、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することにより表面欠陥の少ない研磨面を得られやすい。
【0035】
(研磨促進剤)
研磨用組成物は、任意で研磨促進剤を含有させることができる。研磨用組成物中に含まれる錯化剤は、研磨対象物の表面を化学的にエッチングする作用を有し、研磨用組成物による研磨速度を向上させる働きをする。
【0036】
使用可能な錯化剤は、例えば、無機酸、有機酸、およびアミノ酸である。無機酸の具体例としては、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸およびリン酸が挙げられる。有機酸の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸および乳酸が挙げられる。メタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびイセチオン酸などの有機硫酸も使用可能である。無機酸または有機酸の代わりにあるいは無機酸または有機酸と組み合わせて、無機酸または有機酸のアンモニウム塩やアルカリ金属塩などの塩を用いてもよい。アミノ酸の具体例としては、例えば、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、N−メチルグリシン、N,N−ジメチルグリシン、2−アミノ酪酸、ノルバリン、バリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、サルコシン、オルニチン、リシン、タウリン、セリン、トレオニン、ホモセリン、チロシン、ビシン、トリシン、3,5−ジヨード−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アラニン、チロキシン、4−ヒドロキシ−プロリン、システイン、メチオニン、エチオニン、ランチオニン、シスタチオニン、シスチン、システイン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−システイン、4−アミノ酪酸、アスパラギン、グルタミン、アザセリン、アルギニン、カナバニン、シトルリン、δ−ヒドロキシ−リシン、クレアチン、ヒスチジン、1−メチル−ヒスチジン、3−メチル−ヒスチジンおよびトリプトファンが挙げられる。その中でも錯化剤としては、研磨向上の観点から、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、イセチオン酸またはそれらのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が好ましい。
【0037】
研磨用組成物中の研磨促進剤の含有量の上限は特に限定されないが、50質量%であることが好ましく、より好ましくは10質量%、さらに好ましくは1質量%である。研磨促進剤の含有量が少なくなるにつれて、金属配線層のディッシング等の欠陥を抑制できる。
【0038】
研磨用組成物中の研磨促進剤の含有量の下限も特に限定されないが、0.001質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%、さらに好ましくは0.1質量%である。研磨促進剤の含有量が多くなるにつれて、研磨速度が向上する。
【0039】
(金属防食剤)
研磨用組成物は、任意で金属防食剤を含有させることができる。研磨用組成物中に金属防食剤を加えた場合には、研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨対象物の表面にディッシング等の表面欠陥がより生じにくくなる効果がある。また、その金属防食剤は、研磨用組成物中に酸化剤及び/又は錯化剤が含まれている場合には、酸化剤による研磨対象物の表面の酸化を緩和するとともに、酸化剤による研磨対象物の表面の金属の酸化により生じる金属イオンと反応して不溶性の錯体を生成する働きをする。その結果、錯化剤による研磨対象物の表面へのエッチングを抑制することができ、研磨後の研磨対象物の平滑性が向上する。
【0040】
使用可能な金属防食剤の種類は特に限定されないが、好ましくは複素環式化合物である。複素環式化合物中の複素環の員数は特に限定されない。また、複素環式化合物は、単環化合物であってもよいし、縮合環を有する多環化合物であってもよい。
【0041】
金属防食剤としての複素環化合物の具体例は、例えば、ピロール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、ピリジン化合物、ピラジン化合物、ピリダジン化合物、ピリンジン化合物、インドリジン化合物、インドール化合物、イソインドール化合物、インダゾール化合物、プリン化合物、キノリジン化合物、キノリン化合物、イソキノリン化合物、ナフチリジン化合物、フタラジン化合物、キノキサリン化合物、キナゾリン化合物、シンノリン化合物、ブテリジン化合物、チアゾール化合物、イソチアゾール化合物、オキサゾール化合物、イソオキサゾール化合物およびフラザン化合物などの含窒素複素環化合物が挙げられる。ピラゾール化合物の具体例として、例えば、1H−ピラゾール、4−ニトロ−3−ピラゾールカルボン酸および3,5−ピラゾールカルボン酸が挙げられる。イミダゾール化合物の具体例としては、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルピラゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、5,6−ジメチルベンゾイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、2−クロロベンゾイミダゾールおよび2−メチルベンゾイミダゾールが挙げられる。トリアゾール化合物の具体例としては、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシレート、1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸、1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸メチル、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−ベンジル−4H−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール、3−ブロモ−5−ニトロ−1,2,4−トリアゾール、4−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェノール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3,5−ジプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3,5−ジメチル−4H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3,5−ジペプチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−メチル−1,2,4−トリアゾール−3,4−ジアミン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾール、1−カルボキシベンゾトリアゾール、5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−(1’’,2’−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。テトラゾール化合物の具体例としては、例えば、1H−テトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、および5−フェニルテトラゾールが挙げられる。インドール化合物の具体例としては、例えば、1H−インドール、1−メチル−1H−インドール、2−メチル−1H−インドール、3−メチル−1H−インドール、4−メチル−1H−インドール、5−メチル−1H−インドール、6−メチル−1H−インドール、および7−メチル−1H−インドールが挙げられる。インダゾール化合物の具体例としては、例えば、1H−インダゾールおよび5−アミノ−1H−インダゾールが挙げられる。金属防食剤は、トリアゾール骨格を有する複素環化合物でありことが好ましく、それらの中でも1,2,3−トリアゾール、および1,2,4−トリアゾールが特に好ましい。これらの複素環化合物は、研磨対象物の表面への化学的または物理的吸着力が高いため、より強固な保護膜を研磨対象物の表面に形成する。このことは、研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨対象物の表面の過剰なエッチングを抑制することができる。その結果、過剰な研磨を抑制することができる。
【0042】
研磨用組成物中の保護膜形成剤の含有量の上限は特に限定されないが、50質量%であることが好ましく、より好ましくは10質量%、さらに好ましくは1質量%である。保護膜形成剤の含有量が少なくなるにつれて、研磨速度が向上する。
【0043】
研磨用組成物中の保護膜形成剤の含有量の下限も特に限定されないが、0.001質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%、さらに好ましくは0.1質量%である。保護膜形成剤の含有量が多くなるにつれて、金属配線層のディッシング等の欠陥を抑制できる。
【0044】
(研磨用組成物のpH及びpH調整剤)
研磨用組成物のpHの上限は特に限定されないが、12であることが好ましく、より好ましくは11、さらに好ましくは10である。研磨用組成物のpHが小さくなるにつれて、 研磨対象物の表面の過剰なエッチング抑制の効果があり、その結果として過剰な研磨及び腐食を抑制する効果を得ることができる。
【0045】
研磨用組成物のpHの下限も特に限定されないが、2であることが好ましく、より好ましくは3、さらに好ましくは4である。研磨用組成物のpHが大きくなるにつれて、研磨対象物の表面の過剰なエッチング抑制の効果があり、その結果として過剰な研磨及び腐食を抑制する効果を得ることができる。
【0046】
研磨用組成物のpHを所望の値に調整するために必要に応じて使用されるpH調整剤は酸及びアルカリのいずれであってもよく、また無機及び有機の化合物のいずれであってもよい。本実施形態の研磨用組成物による研磨速度向上の効果を損なわないように適宜選択されればよい。
【0047】
本実施形態によれば以下の作用及び効果が得られる。
本実施形態の研磨用組成物は導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって、前記研磨用組成物中において電位計の正極側を前記導電性物質に接続し、負極側を前記導体に接続した場合の室温で、導電性物質(正極)と導体(負極)両面の研磨中において正極側から負極側へ流れる電流の値が、正の値(ゼロを含む。)を示す。この研磨用組成物により、導体へ導電性物質からの電子の移動を、すなわち、導体から導電性物質への電流が流れを防止することができ、導体と導電性物質との境界部近傍の導電性物質表面から電子と導電性物質イオンの研磨用組成物中への溶出を防止することができる。その結果、腐食欠陥を防止することができると考えられる。
【0048】
本実施形態の研磨用組成物は、導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤並びに砥粒、酸化剤、錯化剤及び金属防食剤等を含有することができる。これらの添加剤及び物質に制限はなく、結果として、完成した研磨用組成物が特定の条件下で研磨用組成物中において電位計の正極側を前記導電性物質に接続し、負極側を前記導体に接続した場合の正極側から負極側へ流れる電流の値が、正の値(ゼロを含む。)を示せばよい。
【0049】
前記実施形態は次のように変更されてもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、必要に応じて、界面活性剤や水溶性高分子、防腐剤のような公知の添加剤をさらに含有してもよい。この場合、公知の添加剤について制限はなく、結果として、完成した研磨用組成物が特定の条件下で研磨用組成物中において電位計の正極側を前記導電性物質に接続し、負極側を前記導体に接続した場合の正極側から負極側へ流れる電流の値が、正の値(ゼロを含む。)を示せばよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は一液型であってもよいし、二液型を始めとする多液型であってもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水で希釈することにより調製されてもよい。
【0050】
次に、本発明の実施例及び比較例を説明する。
表1〜3に記載の組成となるように各成分を混合することにより、実施例1〜26及び比較例1〜78の研磨用組成物を調整した。表1〜3の“砥粒”欄の“含有量(質量%)”欄には、各研磨用組成物中の砥粒の含有量を示す。ここでの砥粒は、約70nmの平均二次粒子径(平均一次粒子径35nm、平均会合度2)を有するコロイダルシリカを使用した。表1〜3の“導体と導電性物質との間に流れる電流値を正の値にする添加剤”欄の“種類”欄には、実施例又は比較例において各研磨用組成物中に含まれる導体及び導電性物質との間に流れる電流値を正の値にする添加剤の種類を示す。また、“含有量(質量%)”欄には、各研磨用組成物中の導体と導電性物質との間に流れる電流値を正の値にする添加剤の含有量を示す。表1〜3の“pH”欄には、各研磨用組成物中のpHを示す。なお、pHは無機酸又は無機塩基を添加して所定の値に調整した。また、各研磨用組成物は、研磨直前に過酸化水素を2質量%になるように添加した。
【0051】
実施例1〜26及び比較例1〜78の各研磨用組成物を用いて、次のように導体と導電性物質間の電位差及び電流値を測定した。まず、2000ml程度の容量のプラスチック製容器に1000ml程度の各研磨用組成物を入れ、25±3℃(常温)にした。導電性物質膜としての銅をスパッタ法で形成したシリコン基板と、ルテニウムの導体膜をスパッタ法で形成したシリコン基板とを適当な大きさにして、電位計の正極側を導電性物質基板に、負極側を導体基板に接続した。その後、導電性物質基板および導体基板をお互いに接触しないように距離をとった状態で、液面に対して水平、かつ導電性物質膜表面と導体膜表面が液面に向くように研磨用組成物に浸す。水平方向及び垂直方向に制御可能な塩化ビニル樹脂製の回転体に研磨パッドを貼り付け、そのパッドで導電性物質基板および導体基板を研磨した。研磨開始から研磨用組成物に浸してから30秒経過後までの電位差及び電流値を測定して採用した。その結果を、表1〜3の“電位差”欄及び“電流値”欄にそれぞれ示す。
【0052】
次いで、実施例1〜26及び比較例1〜78の各研磨用組成物を用いて、導体膜としてのルテニウム及び絶縁膜としてのTEOSを備えたCu配線(導電性物質)ウェーハを、表4に示す条件で研磨した。表4に示す条件で一定時間研磨した後の導電性物質表面の腐蝕欠陥について、走査電子顕微鏡を用いて評価し、その結果を表1〜3の“評価”欄の“腐蝕欠陥”欄に示す。なお、本評価結果において、図2(a)のように腐蝕欠陥が確認されない場合を“○”、図2(b)のように腐食欠陥が確認された場合を“×”とした。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

表1〜3に示すように、実施例1〜26の研磨用組成物を用いた場合には、本発明の条件を満たさない比較例1〜78の研磨用組成物に比べて、腐蝕欠陥の抑制において顕著に優れた効果を奏することが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって、
常温の前記研磨用組成物中で電位計の正極側を前記導電性物質に接続し、且つ負極側を前記導体に接続した条件において、前記導電性物質と前記導体を研磨したときに正極側から負極側へ流れる電流の値が、正の値(ゼロを含む。)を示すことを特徴とする研磨用組成物。
【請求項2】
前記導体及び前記導電性物質との間に流れる電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤を含有する、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記電流値を正の値(ゼロを含む。)にする添加剤が、窒素原子含有化合物、硫黄原子含有化合物及びリン原子含有化合物からから選ばれるいずれか一以上である、請求項1又は2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記導体が、貴金属を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
前記導体が、ルテニウムを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物の表面を研磨することを含む研磨方法。
【請求項7】
請求項6に記載の研磨用組成物を用いて、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する基板を得るべく、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する研磨対象物の表面を研磨して導体層と前記導体層と接する導電性物質層の一部を除去することを含む、導体層と前記導体層と接する導電性物質層を有する基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−102051(P2013−102051A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244784(P2011−244784)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000236702)株式会社フジミインコーポレーテッド (126)
【Fターム(参考)】