説明

研磨装置及び方法

【課題】研磨テープから砥粒や研磨層の一部をパネルの表面に脱落させず、より短時間でパネルの表面にある突起を研磨できる装置を提供することである。
【解決手段】基板11に取り付けた一個又は二個以上のセンサープローブ16、17がパネルの表面にある突起の高さを測定する。研磨テープ30をパネルの表面に押し付けるためのヘッド部材22を有する研磨ヘッド20が、Z方向に移動可能に基板11に取り付けられる。センサープローブ16、17は、ヘッド部材22からみて、ヘッド部材22上にある研磨テープ30の幅方向の側に位置する。好適に、研磨装置10は二個のセンサープローブ16、17を有し、これら二個のセンサープローブ16、17は、ヘッド部材22からみて、ヘッド部材22上にある研磨テープ30の幅方向の両方の側に、それぞれ一個ずつヘッド部材22を挟むように位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルのように表面に高度の平坦性が要求されるパネルの表面にある不要の突起を研磨する研磨装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面に高度の平坦性が要求されている液晶パネルのようなパネルは、一般に、複数のCCDカメラを備えた検査セクションで表面の突起の位置を検出し、次に、突起の高さを測定するセンサープローブを備えた研磨セクションへ送られ、ここで、検査セクションで検出した突起の位置にセンサープローブを移動して、この突起の高さを測定し、この突起が所定の高さを超えていると、研磨セクションに備えられている研磨装置をこの突起の位置に移動して、この突起を研磨する。
【0003】
突起測定後の研磨時間を短縮するため、研磨装置にセンサープローブが取り付けられており、研磨装置とセンサープローブは一体的に移動する。
【0004】
研磨装置は、研磨テープをパネルの表面に押し付けるためのヘッド部材を有する。そして、センサープローブによる測定後、突起の真上にヘッド部材を移動するとともに、ヘッド部材を下降し、このヘッド部材を介して突起に研磨テープを押し付け、走行させることにより、突起を研磨する。この突起の研磨後、ヘッド部材を上昇させるとともに、センサープローブをこの突起の位置に移動して、突起の高さを再度測定し、この突起の高さが所定の高さよりも低くなっていると、次の突起へとセンサープローブを移動して、上記のように突起が研磨され、再度その高さが測定される(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2003−266292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パネルの表面にある突起を研磨する技術の分野では、パネルの表面にある突起を研磨してパネルの表面を平坦化するだけでなく、パネルの表面には、研磨されるべき突起が数個〜数十個あるので、一個の突起の研磨にかかる時間を短縮することが技術的課題となっている。
【0006】
上記の従来の研磨装置では、センサープローブは、ヘッド部材からみて、ヘッド部材上にある研磨テープの走行方向の側に位置しており、一つ突起の研磨にかかる時間を短縮するため、ヘッド部材上を走行する研磨テープをV字形に鋭く屈曲させて、センサープローブをヘッド部材に接近させ、これにより、ヘッド部材とセンサープローブとの距離を短くしていた。
【0007】
しかし、研磨テープがこのようにV字形に鋭く屈曲すると、研磨中に、研磨テープが切れたり、研磨テープから砥粒や研磨層の一部が脱落し、この脱落した砥粒や研磨層の一部がパネルの表面に付着する、という問題がある。また、センサープローブを、ヘッド部材からみて、ヘッド部材上にある研磨テープの走行方向の側に位置させると、研磨クズがセンサープローブに付着し、突起の高さを精度よく測定できない、という問題がある。
【0008】
したがって、本発明は、この問題に鑑みてなされたものであり、研磨中に、研磨テープを切ったり、研磨テープから砥粒や研磨層の一部をパネルの表面に脱落させず、より短時間でパネルの表面にある突起をより高精度に測定して研磨できる研磨装置及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の研磨装置は、パネルの表面にある突起の高さを測定するための一個又は二個以上のセンサープローブを取り付けた基板、パネルの表面と垂直な方向に移動可能に基板に取り付けられ、パネルの表面にある突起を研磨する研磨ヘッド、基板に関して研磨ヘッドをパネルの表面と垂直な方向に移動させるための垂直移動手段、及びセンサープローブと研磨ヘッドとを取り付けている基板をパネルの表面と平行な方向に移動させるための水平移動手段から構成される。
【0010】
研磨ヘッドは、研磨テープを巻き付けた第一のリールを取り付けるための手段、研磨テープをパネルの表面に押し付けるためのヘッド部材、第一のリールから引き出され、ヘッド部材上を通過した研磨テープを巻き取るための第二のリールを取り付けるための手段、及び研磨テープを第二のリールで巻き取りながら、第一のリールから引き出し、ヘッド部材上を通過させるために、第二のリールを回転させるための手段から構成される。ここで、第一のリールと第二のリールがカセットに収容され、このカセットの第一及び第二のリールが、これらリールを取り付けるための上記の手段に取り付けられ、これにより、このカセットを研磨ヘッドに取り付けてもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明では、センサープローブは、ヘッド部材からみて、ヘッド部材上にある研磨テープの幅方向の側に位置する。好適に、二個のセンサープローブが基板に取り付けられ、これら二個のセンサープローブは、ヘッド部材からみて、ヘッド部材上にある研磨テープの幅方向の両方の側に、それぞれ一個ずつヘッド部材を挟むように位置する。ここで、これら二個のセンサープローブは、上記の基板に固定してもよいが、基板に関してこれら二個のセンサープローブをパネルの表面と垂直な方向に個別に移動させるための第二の垂直移動手段からさらに構成され、これにより、これら二個のセンサープローブをパネルの表面と垂直な方向に個別に移動させることが望ましい。
【0012】
上記本発明の研磨装置を使用して、パネルの表面にある突起を研磨する。
【0013】
まず、水平移動手段により、基板をパネルの表面と平行な方向に移動して、センサープローブで突起の高さを測定する。
【0014】
この突起の高さが所定の高さを超えているとき、研磨ヘッドのヘッド部材上にある研磨テープの幅方向に、基板をパネルの表面と平行に移動して、ヘッド部材を突起の真上に位置させる。
【0015】
垂直移動手段により、基板に関して研磨ヘッドを下降する。そして、ヘッド部材上の研磨テープが突起に接触する直前又は直後に研磨テープを走行させる。これにより、突起が研磨される。
【0016】
次ぎに、垂直移動手段により、ヘッド部材を上昇させる。そして、水平移動手段により、ヘッド部材上にある研磨テープの幅方向に、基板をパネルの表面と平行に移動して、センサープローブで突起の高さを測定する。
【0017】
突起の高さが所定の高さを超えているとき、再び上記の工程を実行する。一方、突起の高さが所定の高さよりも低いとき、別の突起を研磨するため、研磨装置の基板を移動する。
【0018】
本発明では、上記のように、研磨テープが突起に接触しながら走行しているときに、この研磨テープにかかる抵抗を検出する。これは、金属などの硬質の突起に、研磨テープが接触しながら走行していると、この突起の研磨中に研磨テープが切れたり、砥粒や研磨層の一部がパネルの表面に脱落することになるからである。そして、このような研磨テープの切断や、砥粒などの脱落を防止するために、この研磨テープにかかる抵抗の検出し、この抵抗の検出に応答して、研磨ヘッドを上昇させるか又は研磨テープの走行速度を変速(すなわち、加速又は減速)させる。好適に、研磨ヘッドは、垂直移動手段のサーボモータを駆動することによって下降される。そして、研磨テープにかかる抵抗の検出は、このサーボモータに印加される電流の変化を検出することにより行われ、サーボモータに印加される電流の値が、初期に印加した値よりも高くなると、研磨ヘッドを上昇させるようにサーボモータを作動させるか又は上記の第二のリールの回転を変速させることにより研磨テープの走行速度を変速させて、研磨テープにかかる抵抗を低減させ、これにより、サーボモータに印加される電流の値が、初期に印加した値に戻るようにする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、センサープローブが、ヘッド部材からみて、ヘッド部材上にある研磨テープの幅方向の側に位置するので、ヘッド部材上の研磨テープとセンサープローブとの間の距離を短くでき、これにより、研磨時間を短縮できる。
【0020】
また、ヘッド部材で研磨テープを鋭く屈曲させずに、研磨テープを押し付けることができ、これにより、研磨中に、研磨テープからの砥粒や研磨層の一部の脱落を低減できる。
【0021】
さらに、研磨クズがセンサープローブに付着しないので、突起の高さを精度よく測定できる。
【0022】
またさらに、研磨テープの幅を狭くでき、これにより、テープの製造コストを削減できる。
【0023】
研磨テープが金属などの硬質の突起に接触しながら走行すると、研磨ヘッドを上昇させるか又は研磨テープの走行速度を変速(すなわち、加速又は減速)させるので、突起の研磨中に研磨テープが切れたり、砥粒や研磨層の一部がパネルの表面に脱落することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<研磨装置> 図1〜図4に示すように、本発明の研磨装置10は、パネル(図5に符号Pで示す)の表面にある突起(図5に符号31で示す)の高さを測定するためのセンサープローブ16、17を取り付けた基板11、パネルの表面と垂直な方向(矢印Zで示す方向)に移動可能に基板11に取り付けられ、パネルの表面にある突起を研磨する研磨ヘッド20、基板11に関して研磨ヘッド20を矢印Zで示す方向に移動させるための垂直移動手段18、及び研磨ヘッド20と一緒に基板11をパネルの表面と平行な方向(矢印X、Yで示す方向)に移動させるための水平移動手段19から構成される。
【0025】
基板11として、図3Bに示すように、ほぼコ字形の枠が使用され、この基板11の左右の下端に、それぞれ、下方に長いステー12、13が一本ずつ固定され、各ステー12、13の下端に、センサープローブ16、17が一個ずつ取り付けられている。ここで、図示の例では、これらステー12、13は基板11に固定的に取り付けられているが、各ステー12、13が垂直な方向(矢印Zで示す方向)に個別に移動できるように、第二の垂直移動手段(例えば、製品番号:KS101シリーズ、駿河精機(株))(図示せず)を基板11に取り付け、この第二垂直移動手段を介して、ステー12、13を基板11に取り付けてもよい。
【0026】
図示のように、この基板11の上端は、水平移動手段19に連結されている。
【0027】
水平移動手段19は、既知の水平移動手段でよい。例えば、図6Bに示すように、矢印Yの方向に長い一対のガイドレール19aの上に、矢印Xの方向に長い一対のガイドレール19bを矢印Yの方向に移動可能に乗せ、さらに、このX方向に長いガイドレール19b上に、基板11を固定した台19cを矢印Yの方向に移動可能に乗せる。そして、矢印Yの方向に長いネジ19eを挿入したガイドブロック19fをレール19bに固定し、矢印Xの方向に長いネジ19hを挿入したガイドブロック19iを台19cに固定する。これらネジ19e、19hは、それぞれ、サーボモータ19d、19gによって駆動され、これにより、基板11を固定している台19cが矢印X、Yで示す方向に移動する。
【0028】
センサープローブ16、17は、パネル(図5に符号Pで示す)の表面にある突起(図5に符号31で示す)を乗り越えることにより、この突起の高さを測定するものであり、このようなセンサープローブ16、17として、市販のセンサープローブ(例えば、製品番号:MLH−322、株式会社ミツトヨ)が使用できる。
【0029】
研磨ヘッド20は、研磨テープ30を巻き付けた第一のリール23を取り付けるための手段(符号27で示す軸)、研磨テープ30をパネルの表面に押し付けるためのヘッド部材22、第一のリール23から引き出され、ヘッド部材22上を通過した研磨テープ30を巻き取るための第二のリール24を取り付けるための手段(符号28で示す軸)、及び研磨テープ30を第二のリール24で巻き取りながら、第一のリール23から引き出し、ヘッド部材22上を通過させるために、第二のリール24を回転させるための手段(符号26で示すモータ)から構成される。
【0030】
第一のリール23は、取付板21の左側面に取り付けたモータ25に連結した軸27に着脱可能に取り付けられる。この第一のリール23には、未使用の研磨テープ30が巻き付けられる。第二のリール24は、取付板21の左側面に取り付けたモータ26に連結した軸28に着脱可能に取り付けられる。
【0031】
モータ26を駆動すると、第二のリール24が回転し、第二のリール24が研磨テープ30を巻き取りながら、第一のリール23から研磨テープ30が引き出される。ここで、第一のリール23を取り付けている軸27に連結したモータ25は、適度の強さの緊張力を研磨テープ30に適用して、研磨テープ30の弛みやズレを抑制するように駆動するものである。
【0032】
第一のリール23に巻き付けられている研磨テープ30の全てが、第二のリール24に巻き取られると、第一のリール23と、使用後の研磨テープ30を巻き付けた第二のリール24とをそれぞれ軸27、28から取り外し、未使用の研磨テープを巻き付けた別の第一のリールと、空の第二のリールとをそれぞれ軸27、28に取り付けることによって、第一及び第二のリール23、24の交換作業を行える。
【0033】
変形的に、未使用の研磨テープ30を巻き付けた上記の第一のリール23と、使用後の研磨テープ30を巻き取るための上記の第二のリール24を収容したカセット(図示せず)を使用してもよい。このようなカセットを使用すると、第一及び第二のリール23、24をそれぞれ上記の軸27、28に差し込むだけで、ワンタッチで、カセットを研磨ヘッド20に取り付けることができ、またこのカセットの取り外しもワンタッチで行える。(すなわち、カセットの交換をワンタッチで容易に行える。)
【0034】
研磨テープ30として、樹脂バインダーで砥粒を固定した研磨層をプラスチックシートの表面に形成したものが使用される。このような研磨テープは、樹脂バインダーと砥粒とからなる塗料をプラスチックシートの表面に塗布し、これを乾燥させて、プラスチックシートの表面に研磨層を形成し、これをテープ状に裁断することによって製造できる。プラスチックシートとして、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルなどの材料から選択される厚さ5μm〜50μmの範囲にあるシートが使用される。砥粒として、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、ジルコニウム、ダイヤモンド、炭化ケイ素などから選択される材料からなる平均粒径0.05μm〜10μmの範囲にある粒子が使用される。樹脂バインダーとして、ポリウレタン、ポリエステルなどの既知の合成樹脂から選択される材料からなるバインダーが使用される。研磨層の厚さは、1μm〜20μmの範囲にある。
【0035】
第一のリール23に巻き付けられている研磨テープ30は、ガイドローラ29a、29b、ヘッド部材22及びガイドローラ29c、29dを介して第二のリール24に巻き取られる。
【0036】
ヘッド部材22は、取付板21の下端部分に固定されてもよいし、また矢印Zで示す方向に適宜に移動できるように取付板21の下端部分に取り付けられてもよい。
【0037】
図示の例では、ヘッド部材22は、本発明の研磨装置10の左右側(図2A及び図3を参照)からみると、下向き凸状の緩やかな曲線を描くように形成された下端面を有し、研磨テープ30は、この下端面を介してパネルの表面に押し付けられる。
【0038】
パネルの表面に押し付けられる研磨テープ30が、V字形を描くように走行すると、研磨テープ30が鋭く屈曲するV字形の頂点で、研磨テープ30の研磨層の表面部分が裂けて、研磨テープ30から砥粒や研磨層の一部が脱落し、これがパネルの表面に付着するという問題が生じるので、本発明では、パネルの表面に押し付けられる研磨テープ30を、U字形を描くように走行させることで、研磨中に研磨テープ30を切ったり、研磨テープ30からの砥粒や研磨層の一部を脱落させることを防止している。
【0039】
このような研磨テープの切断や、砥粒や研磨層の一部の脱落は、上記のように下向き凸状の緩やかな曲線を描く下端面を有するヘッド部材22に代えて、本発明の研磨装置10の左右側からみて、図3Bに示すような平坦な下端面を有するヘッド部材22bや図3Cに示すような下向き尖塔状の下端面を有するヘッド部材22cを使用しても防止できる。すなわち、図3B及び図3Cに示すようなヘッド部材22b、22cを使用するときは、ヘッド部材22b、22cの下端面とガイドローラ29b、29cとの間の上下方向(矢印Zで示す方向)の間隔を小さくしたり、ヘッド部材22b、22cの下端面とガイドローラ29b、29cとの間の矢印Yで示す方向の間隔を大きくすることにより、研磨テープ30を鋭く屈曲させずに走行させることができる。このようなヘッド部材22、22b、22cの下端面とガイドローラ29b、29cとの間の上下方向の間隔は、上記のように、取付板21の下端に矢印Zで示す方向に適宜に移動できるように取り付けたヘッド部材22、22b、22cを移動させることによって調節できる。
【0040】
図1〜図4に示すように、研磨ヘッド20の取付板21の左側面が、垂直移動手段18を介して基板11の左側面の内側に連結され、これにより、研磨ヘッド20が、基板11に関して矢印Zで示す方向に移動できるように、基板11に取り付けられている。
【0041】
垂直移動手段18は、既知の垂直移動手段でよい。例えば、図6Bに示すように、取付板21に固定したガイドブロック18cに、矢印Zの方向に長いネジ18bを挿入し、このネジ18bを基板11に固定したサーボモータ18aで駆動するものでよい。
【0042】
図示のすように、基板11の左右の下端に取り付けたステー12、13にそれぞれセンサープローブ16、17が取り付けられ、これらセンサープローブ16、17は、ヘッド部材22からみて、ヘッド部材22上にある研磨テープ30の幅方向の両方の側に、それぞれ一個ずつヘッド部材22を挟むように位置される。図示の例では、二個のセンサープローブ16、17が使用されているが、一個のセンサープローブ(符号16又は17)を、ヘッド部材22からみて、ヘッド部材22上にある研磨テープ30の幅方向の側に位置するようにしてもよい。また、三個以上のセンサープローブを、ヘッド部材22からみて、ヘッド部材22上にある研磨テープ30の幅方向の側に位置するようにしてもよい(例えば、3個の場合、一方の側に2個、他方の側に1個位置させる)。
【0043】
このようにセンサープローブ16、17を位置させることにより、ヘッド部材22の大きさ及び/又はガイドローラ29b、29cの位置を、本発明の研磨装置10の左右側からみて、正面側と背面側へ拡張させることができる。すなわち、研磨テープ30を緩やかなU字形を描くように走行させることのできるスペースを確保することができる。
【0044】
また、このようにセンサープローブ16、17を位置させることにより、研磨テープ30の幅を細くすることができ、研磨テープ30の幅は、好適に15mm以下、より好適に7mm以下の範囲にある。また、このように細い幅の研磨テープ30を使用できるので、ヘッド部材22とセンサープローブ16、17との間の距離をより短くできる。
【0045】
<研磨方法> 図5A〜図5Fを参照する。本発明に従って、パネルPの表面上の位置32にある突起31を研磨する。
【0046】
上記の水平移動手段19が、基板11を、検査セクションで検出された突起31の位置32へと移動する(図5A)。この移動は、センサープローブ16、17を、パネルPの表面に接触させながら行ってもよいが、パネルPの表面上に異物があった場合に、この異物がセンサープローブ16、17に付着することがあるので、上記の第二の垂直移動手段(図示せず)によりパネルPの表面より上方に位置させた状態で行って、突起31の位置32へ到達する直前で、センサープローブ16をパネルPの表面に接触させることが望ましい。センサープローブ16は、パネルPの表面に接触した状態で、センサープローブ16が突起31を乗り越えたときに突起31の高さが測定される。このように一方のセンサープローブ16で突起31の高さを測定している間、他方のセンサープローブ17を上記の第二の垂直移動手段(図示せず)により、パネルPの表面より上方に位置させていてもよい。研磨装置10の移動中、ヘッド部材22とパネルPの表面との間は1mm〜20mm程度の距離にある。
【0047】
この突起31の高さが所定の高さにない場合、水平移動手段19は、基板11を別の突起の位置へと移動する。この移動は、センサープローブ16、17を、パネルPの表面に接触させながら行ってもよいが、パネルPの表面上の異物がセンサープローブ16、17に付着することがあるので、上記の第二の垂直移動手段(図示せず)によりパネルPの表面より上方に位置させた状態で行うことが望ましい。
【0048】
突起31の高さが所定の高さを超えていると、研磨ヘッド20のヘッド部材22上にある研磨テープ30の幅方向に、基板11をパネルの表面と平行に移動(すなわち、矢印X1の方向に移動)して、ヘッド部材22を突起31の真上に位置させる。ここで、ヘッド部材22が突起31の真上に到達したところで研磨ヘッド20の移動を一旦停止させ、それからヘッド部材22を矢印Z1の方向に下降させてもよい(図5B)し、ヘッド部材22を突起31の真上へ向けて矢印X1の方向に移動させながらヘッド部材22を矢印Z1の方向に下降させてもよい。
【0049】
研磨テープ30が突起31に接触する直前又は直後に研磨テープ30を走行させ、ヘッド部材22を介して研磨テープ30をパネルPの表面に押し付ける。研磨テープ30の送出し量は、リール23、24が1〜2回転程度した分だけでよい。これにより突起31が研磨される。
【0050】
この研磨は、ヘッド部材22を矢印X1で示す方向に移動させずに行ってもよい(図5C)し、ヘッド部材22を矢印X1で示す方向に移動させながら行ってもよい。この突起31の研磨中、センサープローブ16、17を、パネルPの表面に接触させていてもよいが、パネルPの表面上の異物(研磨クズ)がセンサープローブ16、17に付着することがあるので、上記の第二の垂直移動手段(図示せず)によりパネルPの表面より上方に位置させておくことが望ましい。
【0051】
突起31の研磨後、ヘッド部材22を矢印Z2で示す方向に上昇させ、研磨ヘッド20のヘッド部材22上にある研磨テープ30の幅方向に、基板11をパネルの表面と平行に移動(すなわち、矢印X1又はX2で示す方向に移動)させ、研磨後の突起31の高さを再び測定する。この再測定の際、センサープローブ16、17の両方を、パネルPの表面に接触させていてもよいが、パネルPの表面上の異物(研磨クズ)が、この測定に使用されないセンサープローブ17に付着することがあるので、センサープローブ17のみを上記の第二の垂直移動手段(図示せず)によりパネルPの表面より上方に位置させておくことが望ましい。ここで、ヘッド部材22を矢印Z2の方向に上昇させてからヘッド部材22を移動(図5D、図5E、図5F)させてもよいし、ヘッド部材22を矢印Z2の方向に上昇させながら移動させてもよい。また、ヘッド部材22の移動方向は、矢印X1の方向(図5E)であってもよいし、その逆の矢印X2で示す方向(図5F)であってもよい。一個のセンサープローブ16を使用する場合は、矢印X2で示す方向に移動させて、このセンサープローブ16で、研磨後の突起31の高さを再び測定する。
【0052】
この再測定により、突起31の高さが所定の高さより低い場合、研磨ヘッド20を別の突起の位置へと移動する。突起31の高さが、依然、所定の高さを超えている場合は、再び上記の工程を実行して、突起31を研磨する。この突起31の研磨中も、上記と同様に、センサープローブ16、17を、パネルPの表面に接触させていてもよいが、パネルPの表面上の異物(研磨クズ)がセンサープローブ16、17に付着することがあるので、上記の第二の垂直移動手段(図示せず)によりパネルPの表面より上方に位置させておくことが望ましい。
【0053】
本発明では、研磨テープ30が突起31に接触しながら走行しているときに、この研磨テープ30にかかる抵抗を検出する。研磨テープ30にかかる抵抗の検出は、サーボモータ18a(図6A)に印加される電流の変化を検出することにより行われ、サーボモータ18aに印加される電流の値が、初期に印加した値よりも高くなると、研磨ヘッド20を上昇させるようにサーボモータ18aを作動させるか又は第二のリール24の回転を変速(すなわち、加速又は減速)させることにより研磨テープ30の走行速度を変速させて、研磨テープ30にかかる抵抗を低減させ、これにより、サーボモータ18aに印加される電流の値が、初期に印加した値に戻るようにする。これは、突起31が、金属などの硬質のものであると、この突起の研磨中に研磨テープ30が切れたり、砥粒や研磨層の一部がパネルPの表面に脱落することになるので、このような研磨テープ30の切断や、砥粒などの脱落を防止するために、研磨テープ30にかかる抵抗を検出するのである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の研磨装置の一部破断正面図である。
【図2】図2は、図1の研磨装置の背面図である。
【図3】図3Aは、図1の研磨装置の左側面図であり、図3Bは、図3Aの3−3線断面図である。
【図4】図4Aは、図1の研磨装置の右側面図であり、図4Bは、ヘッド部材の変形例を示す。
【図5】図5A〜図5Fは、本発明に従って、パネルの表面を研磨して突起を研磨するところを示す。
【図6】図6Aは、垂直移動手段の一例を示し、図6Bは、水平移動手段の一例を示す。
【符号の説明】
【0055】
10・・・研磨装置
11・・・基板
12、13・・・ステー
16、17・・・センサープローブ
18・・・垂直移動手段
18a・・・サーボモータ
18b・・・ネジ
18c・・・ガイドブロック
19・・・水平移動手段
19a、19b・・・レール
19c・・・台
19d・・・サーボモータ
19e・・・ネジ
19f・・・ガイドブロック
19g・・・サーボモータ
19h・・・ネジ
19i・・・ガイドブロック
20・・・研磨ヘッド
21・・・取付板
22、22b、22c・・・ヘッド部材
23・・・第一のリール
24・・・第二のリール
25、26・・・モータ
27、28・・・軸
29a、29b、29c、29d・・・ガイドローラ
30・・・研磨テープ
31・・・突起
32・・・突起の位置
P・・・パネル
X、X1、X2、Y、Z、Z1、Z2・・・移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨装置であって、
パネルの表面にある突起の高さを測定するための一個又は二個以上のセンサープローブを取り付けた基板、
パネルの表面と垂直な方向に移動可能に前記基板に取り付けられ、パネルの表面にある突起を研磨する研磨ヘッド、
前記基板に関して前記研磨ヘッドをパネルの表面と垂直な方向に移動させるための垂直移動手段、及び
前記基板をパネルの表面と平行な方向に移動させるための水平移動手段、
から成り、
前記研磨ヘッドが、
研磨テープを巻き付けた第一のリールを取り付けるための手段、
研磨テープをパネルの表面に押し付けるためのヘッド部材、
前記第一のリールから引き出され、前記ヘッド部材上を通過した研磨テープを巻き取るための第二のリールを取り付けるための手段、及び
研磨テープを前記第二のリールで巻き取りながら、前記第一のリールから引き出し、前記ヘッド部材上を通過させるために、前記第二のリールを回転させるための手段、
から成り、
前記センサープローブが、前記ヘッド部材からみて、前記ヘッド部材上にある研磨テープの幅方向の側に位置する、
ところの研磨装置。
【請求項2】
二個の前記センサープローブが前記基板に取り付けられ、
これら二個のセンサープローブが、前記ヘッド部材からみて、前記ヘッド部材上にある研磨テープの幅方向の両方の側に、それぞれ一個ずつ、前記ヘッド部材を挟むように位置する、
ところの請求項1の研磨装置。
【請求項3】
前記基板に関して前記二個のセンサープローブをパネルの表面と垂直な方向に個別に移動させるための第二の垂直移動手段からさらに成る、
ところの請求項2の研磨装置。
【請求項4】
前記第一のリールと前記第二のリールとがカセットに収容され、
このカセットの前記第一のリールと前記第二のリールとが、これら第一及び第二のリールを取り付けるための前記手段に取り付けられ、これにより、前記カセットが、前記研磨ヘッドに取り付けられる、
ところの請求項1の研磨装置。
【請求項5】
請求項1の研磨装置を使用して、パネルの表面にある突起を研磨する方法であって、
前記基板を前記パネルの表面と平行な方向に移動して、前記センサープローブで前記突起の高さを測定する工程、
前記突起の高さが所定の高さを超えているとき、前記研磨ヘッドのヘッド部材上にある研磨テープの幅方向に、前記基板を前記パネルの表面と平行に移動して、前記ヘッド部材を前記突起の真上に位置させる工程、
前記研磨ヘッドを下降する工程、及び
前記ヘッド部材上の研磨テープが前記突起に接触する直前又は直後に前記研磨テープを走行させる工程、
から成る方法。
【請求項6】
前記ヘッド部材を上昇させる工程、及び
前記研磨ヘッドのヘッド部材上にある研磨テープの幅方向に、前記基板を前記パネルの表面と平行に移動して、前記センサープローブで前記突起の高さを測定する工程、
からさらに成る請求項5の方法。
【請求項7】
前記突起に接触しながら走行する前記研磨テープにかかる抵抗を検出する工程、及び
前記抵抗の検出に応答して、前記研磨ヘッドを上昇させるか又は前記研磨テープの走行速度を変速させる工程、
からさらに成る請求項5の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−150545(P2006−150545A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347954(P2004−347954)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(390037165)日本ミクロコーティング株式会社 (79)
【出願人】(597111475)アイエムティー株式会社 (4)
【出願人】(597082795)クボテック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】