説明

硬化性樹脂組成物

【課題】輸送しかつ長時間にわたり貯蔵しても実質的に分離を起こさない様な高い安定性を有するコポリマーの水性エマルジョン、およびラミネート木材複合材の製造方法を提供する。
【解決手段】一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび硬化剤を含む硬化性樹脂組成物、並びに、前記硬化性樹脂組成物を複合材の木材部分に施し、複合材の木材部分を合体させて硬化性樹脂組成物を隣接木材部分間に位置せしめ、硬化性樹脂を硬化させて硬化後に硬化樹脂が隣接木材部分を互いに接着させることからなるラミネート木材複合材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーの水性エマルジョンに関するものである。一面において本発明はラミネート木材複合材の製造方法に関するものである。
【0002】
隣接する木材部分を互いに接着する熱硬化(すなわち架橋)した樹脂である結合剤に基づくラミネート木材複合材が長年にわたり存在して、成熟した市場を形成している。ラミネート木材複合材の例は合板および積層した梁材もしくは用材である。慣用の熱硬化性樹脂の例は尿素ホルムアルデヒド樹脂およびフェノールホルムアルデヒド樹脂である。これら樹脂は長年にわたり使用されているが、これにより調製される木材複合材は重要な市場部門、すなわち高耐衝撃性に対する要求または水分の存在下における複合材の良好な寸法安定性に対する要求が存在する部門においては性能が不十分である。
【0003】
未公開のPCT特許出願PCT/EP95/04324号によれば、一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび硬化剤に基づく結合剤を用いて、向上した木材複合材が得られることが最近見出された。これら複合材は向上した耐衝撃性/強度バランスと、向上した寸法安定性とを有する。さらに、これらは従来の複合材よりも強靭かつ均質である。さらに、極めて有利には該複合材は結合剤を薄層として施せば約140℃の温度までその強度および剛性を維持することも示されている。この種の非慣用的に薄い結合剤層の使用は複合材の全体的強度および剛性を減少させない。
【0004】
ラミネート木材複合材の慣用の生産においては一般に、高粘度の結合剤が調製されて、これらがグルーライン(glue line)に留まるようにする(たとえばカーク・オスマー・エンサイクロペジア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Kirk−Othmer Encyclopedia of chemical technology)、第3版、第2巻、第448頁参照)。したがって、ペースト粘稠度を有する結合剤が、前記PCT出願のラミネート木材複合材を製造すべく使用された。しかしながら、ペースト粘稠度を有する結合剤を薄層として容易には施しえないことが欠点となる。
【0005】
今回、一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび硬化剤(curing agent)に基づく結合剤は、この結合剤を水性希釈剤中にいわゆる水中油型エマルジョンとして分散させれば木材部分に極めて好適に施しうることが突き止められた。所望ならば、エマルジョンの形態における結合剤は噴霧により施すことができ、さらに薄層を形成することによりグルーラインに留まることができる。ペースト粘稠度を有する結合剤を用いるのではなく、水性エマルジョンの形態にて極めて低い塗布量で結合剤を使用すれば、木材部分間における接合部に対し一層均質な結合剤の分布が得られ、これはラミネート木材複合材の品質を向上させる。
【0006】
さらに、容易に取扱い、輸送しかつ長時間にわたり貯蔵しても実質的に分離を起こさない様な高い安定性を有するコポリマーの水性エマルジョンを調製し得ることが判明した。それにもかかわらず分離が生じた場合は、エマルジョンを機械的作用(たとえば振とうもしくは撹拌)により容易に再分散させることができる。硬化剤の添加後、エマルジョンは優れた安定レベルを保持し得るので、木材に対して結合剤を即座に使用しなくてもよい。
【0007】
したがって本発明は、水性希釈剤に分散された一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーのエマルジョンに関するものである。
【0008】
さらに本発明は、一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび硬化剤を含む水中油型エマルジョンの形態における硬化性樹脂組成物にも関するものである。
【0009】
さらに本発明は、第1部分が一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーの水中油型エマルジョンを含むか、または一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび該コポリマーの水中油型エマルジョンを形成するのに適した乳化剤を含む乳化性組成物を含み、第2部分が硬化剤および必要に応じ希釈剤を含む各部分のキットにも関するものである。
【0010】
さらに本発明は、一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび硬化剤を含む水中油型エマルジョンの形態の組成物を含んでなる硬化性樹脂を複合材の木材部分に施し、該複合材の木材部分を合体させて硬化性樹脂を隣接木材部分間に位置せしめ、硬化後に硬化樹脂が隣接木材部分を互いに接着するよう硬化性樹脂を硬化させることを含んでなる、ラミネート木材複合材の製造方法にも関するものである。
【0011】
さらに本発明は木材部分と隣接木材部分を互いに接着する硬化樹脂とからなるラミネート木材複合材にも関するものであり、ここで硬化樹脂は一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび硬化剤を含む硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、前記硬化性樹脂組成物は接合部1平方メートル当り、一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマー30g未満の量にて施される。
【0012】
さらに本発明は、本発明によるラミネート木材複合材を含む製造物品にも関するものである。
【0013】
通常の用語において本発明のエマルジョンは「水中油型」エマルジョンとして示されるが、エマルジョンの連続相は一般に任意の水性希釈剤としうることが了解されよう。これは、連続層が必ずしも水のみで構成されないことを意味する。さらに、これは水に対し混和性である有機希釈剤を含有することもできる。本発明のエマルジョンにおいて、分散相は一般に液体である。しかしながら当業者が了解するように、或る具体例においては分散相は固体を含むこともでき、或いは固体とすることもできる。これらも本発明の具体例であると考えられる。
【0014】
本発明に使用される結合剤は、一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーに基づく。好ましくは、コポリマーは1,4−ジカルボニル部分をそのポリマー鎖中に含有する。何故なら、この配置はたとえばポリ−第一アミンでの硬化のような以下詳細に説明する或る種の硬化反応を許容するからである。
【0015】
一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーはそれ自体公知である。これらは、たとえばEP−A−121965号、EP−A−181014号、EP−A−372602号およびEP−A−516238号から公知の方法を用いパラジウム触媒重合により調製することができる。このように調製されるポリマーは一酸化炭素と1種以上のオレフィン系不飽和化合物との線状交互コポリマー、すなわちポリマー鎖が一酸化炭素に由来するモノマー単位(すなわちカルボニル基)および1種以上のオレフィン系不飽和化合物に由来するモノマー単位を交互配置にて含有するコポリマーとすることができ、ポリマー鎖の実質的に4番目毎の炭素原子はカルボニル基に属する。1,4−ジカルボニル部分を含有する一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物との別のコポリマーはランダムコポリマー、すなわちポリマー鎖が前記モノマー単位をランダム順序で含有するコポリマーであり得る。後者のコポリマーは、たとえばUS−A−2495286号およびUS−A−4024326号から公知の方法を用いるラジカル開始重合により調製することができる。
【0016】
一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物との線状交互コポリマーを用いるのが好適である。何故なら、これらはランダムコポリマーよりも高いカルボニル基含有量をポリマー鎖中に有しており、硬化を高レベルの架橋にて容易に達成しうるからである。しかしながら低い程度の架橋が望ましい場合は、硬化反応にて変換されないカルボニル基の存在が結合剤の機械性質、したがって木材複合材の性質に有利に貢献しうる。
【0017】
一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物との前記コポリマーはオレフィン系不飽和化合物としての炭化水素に基づきうるが、さらにオレフィン系不飽和化合物は、たとえば酢酸ビニル、アクリル酸エチルおよびN−ビニルピロリドンのように異原子を有することもできる。コポリマーは特に10個までの炭素原子を有するオレフィン系不飽和炭化水素、好適にはα−オレフィンに基づくことが好ましい。コポリマーは好ましくは、3個もしくはそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィン、特に6個までの炭素原子を有する脂肪族α−オレフィンを含むオレフィン系不飽和化合物に基づいている。脂肪族α−オレフィン、特に3〜6個の炭素原子を有するもの、殊にたとえばプロペン、1−ブテン、1−ペンテンおよび1−ヘキセンのような直鎖の炭素鎖を有するものが極めて適している。プロペンが最も好適である。
【0018】
コポリマーの分子量は広範囲に変化することができる。比較的低分子量、たとえば200〜20,000の範囲、より好ましくは500〜5,000の範囲、特に1,000〜3,000の範囲の重量平均分子量を有するコポリマーを用いるのが好適である。コポリマーは典型的には、そのQ値が1.1〜5、一層典型的には1.5〜3となるような分子量分布を有し、ここでQ値は重量平均分子量と数平均分子量との比である。一般にコポリマーもしくは結合剤の処理に使用される温度、すなわち典型的には120℃未満、より典型的には100℃未満、しばしば10〜80℃の範囲、よりしばしば20〜60℃の範囲の温度にて液体であるコポリマーを選択するのが有利である。コポリマーの処理は、たとえば後記するような本発明のエマルジョンの調製を含む。この点に関し、比較的低分子量を有するコポリマー、特に3個もしくはそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含んでなるオレフィン系不飽和化合物に基づくものを選択するのが好適である。
【0019】
500〜5,000の範囲の重量平均分子量を有する一酸化炭素とプロペンとの線状交互コポリマーにより、極めて良好な結果が得られる。
【0020】
一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーは適する表面活性剤、たとえば陰イオン型表面活性剤もしくは非イオン型表面活性剤を乳化剤として用いることにより、水性希釈剤中に分散させることができる。表面活性剤の数平均分子量は典型的には少なくとも200、より典型的には少なくとも300であり、数平均分子量に対する実用的な最大限界は50,000、特に40,000である。
【0021】
非イオン型表面活性剤、特にその分子構造内にポリ(エテンオキシド)の部分である親水性部分と親油性部分とを含むものが好適である。一層明瞭には、この種の親水性および親油性部分はいわゆるブロックコポリマーのポリマーブロックとして存在する。適する親油性部分の例はポリエステルの部分およびポリアミドの部分である。好適な親油性部分はポリ(アルキレンオキシド)の部分であり、ここでアルキレンはエテン以外のもの、たとえばプロペンもしくは1−ブテンである。他の好適な親油性部分は一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーの部分、特に分散させるべきコポリマーと同じ構造を有するコポリマーの部分である。
【0022】
後者の場合、表面活性剤はグラフト表面活性剤であって、ポリ(エテンオキシド)部分を含むポリマーを乳化させるべきコポリマーにグラフト化させて形成することができる。表面活性剤を形成しうる適するポリマーは好ましくは末端基もしくはキャッピング基(capping group)として反応性基を有し、これは一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーに存在する官能性基、たとえばコポリマーの主鎖におけるカルボニル基またはコポリマーのオレフィン系モノマー単位に存在しうる他の官能性基に対し反応性である。極めて適する反応性基は第一アミノ基である。この種のポリマーの例はアミノキャッピングされたポリ(エテンオキシド)およびポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)ブロックコポリマーである。グラフト化は好適には現場で、すなわちエマルジョンの調製における処理工程として行うことができる。さらに本発明は、ポリ(エテンオキシド)部分を分子構造内に含むポリマーを一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーにグラフト化させて得られるポリマーにも関するものである。
【0023】
本発明による一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーのエマルジョンは一般に、これらが30分間以内に分離を示さないような、特に60分間以内に目に見える分離が存在しないような安定性レベルを有する。しかしながら、高レベルの安定性を得る観点では、極めて適する非イオン型表面活性剤は1,000より大、好ましくは1,200より大の数平均分子量を有するポリ(エテンオキシド)ブロックと、800より大、好ましくは1,000より大の数平均分子量を有する親油性ブックとを有する。その例は約3700の分子量を有するポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)のジブロックコポリマーであって、そのうちポリ(エテンオキシド)ブロックはブロックコポリマー重量の62%を占める(商標テルギトール(TERGITOL)XHとして入手しうる)。他の例は約6,500の分子量を有するポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)−ポリ(エテンオキシド)のトリブロックコポリマーであり、そのうちポリ(エテンオキシド)ブロックはそれぞれブロックコポリマー重量の25%を占める(商標シンペロニック(SYNPERONIC)PE/P105として入手しうる)。好適なブロックポリマー分散剤は、BASF−ワイアンドッテ社の商標であるプルロニック(pluronics)である。その例はプルロニック88であって、80重量%エチレンオキシドと20重量%プロピレンオキシドとのブロックコポリマーであり、中間のポリオキシプロピレンブロックと末端のポリオキシエチレンブロックとを有する。前記ブロックコポリマーは8,000の平均分子量を有する。表面活性剤の混合物も使用することができる。
【0024】
他の有用な分散剤は、ポリオキシエチレングリコールを米国特許第5,236,974号および第4,122,067号(参考により、ここに引用する)に記載された多価フェノールのポリグリシジルポリエーテルと反応させて調製されるようなポリマーである。ポリオキシエチレングリコールは約200〜約20,000の範囲の平均分子量を有し、ポリグリシジルポリエーテルは約300〜約2,000の平均分子量を有する。ポリオキシエチレングリコールとポリグリシジルポリエーテルとは2:1〜1.2:1のモル比にて反応させる。好適分散剤は、2モルのポリオキシエチレングリコール(ユニオン・カーバイド社から得られるカルボワックス(Carbowax)8000)と1モルの450〜550のエポキシド当量重量(epoxide equivalent weight)を有するビスフェノールAのグリシジルポリエーテルとの反応生成物である。
【0025】
一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーに対しグラフト化するのに適し、高安定性レベルを有するエマルジョンを調製しうるポリ(エテンオキシド)の例は、約5,000の分子量を有するメトキシ−ポリ(エテンオキシド)−アミン、約2,000の分子量を有するポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)のモノアミノキャッピングされたジブロックコポリマー(ここでポリ(エテンオキシド)ブロックはジブロックコポリマーの重量の70%を占める)(商標ジェファミン(JEFFAMINE)M2070として入手しうる)および約2000の分子量を有するポリ(プロペンオキシド)−ポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)のビスアミノキャッピングされたトリブロックコポリマー(ここでポリ(エテンオキシド)ブロックはトリブロックコポリマーの重量の94%を占める)(商標ジェファミンED2001として入手しうる)である。特に硬化剤を含むエマルジョンを用いる場合、商標ジェファミンM2070として入手しうる上記ポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)のモノアミノキャッピングされたジブロックコポリマーと式(PE−PO−)N−CH−CH−N(−PO−PE)[式中、PEおよびPOはポリ(エテンオキシド)ブロックおよびポリ(プロペンオキシド)ブロックをそれぞれ示す]のブロックコポリマーとの50/50(重量比)混合物を用いて最も良好な結果を得ることができ、ここで前記ブロックコポリマーは約26,000の分子量を有すると共にポリ(エテンオキシド)ブロックは合計してブロックコポリマーの重量の80%を占める(商標シンペロニックT908として入手しうる)。
【0026】
表面活性剤の量は広範囲に変化することができ、それぞれの場合に日常的実験により決定することができる。適する量は分散させるべきコポリマーの重量に対し0.1〜10重量%の範囲、特に0.2〜8重量%の範囲である。グラフト化させうるポリ(エテンオキシド)は好適にはたとえば分散させるべきコポリマーの重量に対し0.05〜5重量%の範囲、特に0.1〜4重量%の範囲のような実質的に低い量にて使用することができる。
【0027】
水性希釈剤は、典型的にはエマルジョンの容積に対し少なくとも26容量%の量にて存在させる。好ましくは希釈剤およびコポリマーは1:2〜5:1、特に1:1.5〜2:1の範囲の重量比にて使用される。上記したように水性希釈剤は水としうるが、水に対し混和性である有機希釈剤、たとえば低級ケトンもしくはアルコール、たとえばメタノールもしくはメチルエチルケトンを含むこともできる。「低級」と言う用語は、化合物が5個もしくはそれ以下の炭素原子を1分子当たりに含む意味と理解すべきである。有機希釈剤を存在させて、エマルジョンの安定性を増大させ或いはエマルジョンの粘度を低下させることもできる。水性希釈剤は典型的には少なくとも50重量%、より典型的には少なくとも60重量%につき水を含む。有機希釈剤は水性希釈剤の重量に対し50重量%まで、典型的には40重量%までの量にて、たとえば1〜30重量%範囲の量にて存在させることができる。
【0028】
グラフト化は、ポリ(エテンオキシド)および一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーを混合すると共に必要に応じ熱を加えて充分程度まで反応させる時間を与えることにより行うことができる。触媒を添加して反応時間を短縮し、或いはより低い反応温度を用いることを可能にしうる。反応性基が第一アミノ基であれば、適する触媒は同じ性質の弱酸であり、これを後記すると同じ量で使用して一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーとポリ第一アミンとの硬化反応を触媒することができる。この場合、グラフト化は好適には0〜150℃、特に10〜100℃の範囲の温度で行うことができる。
【0029】
本発明によるエマルジョンは、水性希釈剤を、乳化剤および一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーの混合物と混合し、混合の際および/または混合の後にたとえばプロペラミキサーもしくはコロイドミルを用い剪断を加えて調製することができる。硬化性樹脂組成物を調製するには、硬化剤と任意の硬化用触媒もしくはさらに他の硬化用触媒と任意の追加成分とをその直後に或いは後の段階で、所望ならば木材部分に施す直前に添加することができる。
【0030】
本発明によるエマルジョンにおいて、分散相の粒子寸法は広範囲に変化することができる。粒子寸法は好ましくは0.05〜100μmの範囲、より好ましくは0.1〜50μmの範囲である。さらにエマルジョンの粘度も広範囲に変化することができる。特に噴霧により施すエマルジョンの能力に関し好適粘度は、10〜80℃の範囲の温度で測定して0.3mPa.s〜5Pa.s、特に0.5mPa.s〜2Pa.sの範囲である。
【0031】
原理的に多くの硬化剤を使用することができる。適する硬化剤もしくは硬化系はEP−A−372602号に開示され、たとえばアミン、チオールもしくはアクリロニトリルを含むことができる。これら或る種の試薬を用いれば、一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーの誘導体が最初に生成され、生成された誘導体をさらに公知方法により硬化させることができる。
【0032】
硬化剤は好ましくはポリアミン、特にポリ−第一アミンである。分子構造内に3個の第一アミノ基を有する極めて適するアミンは2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、即ちメラミンである。硬化剤は特にその分子構造内に2個の第一アミノ基を含む。この種の化合物は一般式HN−R−NH[式中、Rは典型的には架橋内に20個までの炭素原子、より典型的には10個までの炭素原子、特に2〜6個の炭素原子を有する二価の有機架橋基を意味する]を有することができる。架橋基は架橋内に或いは架橋に結合した置換基に異原子を含むこともできる。架橋基は芳香族としうるが、急速硬化のためには好ましくは脂肪族架橋基、特にアルキレン基、殊に直鎖アルキレン基である。適するジアミンの例は2,4−ジアミノトルエン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびテトラエチレンペンタミンである。直鎖の脂肪族ジアミンはたとえば1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、特に1,6−ジアミノヘキサンである。急速な初期硬化(いわゆるゲル化)および長時間の硬化後における複合材の高い機械的強度を達成するには、硬化剤の混合物(特に比較的反応性の高い硬化剤と反応性の低い硬化剤、たとえば1,6−ジアミノヘキサンと2,4−ジアミノトルエンとの混合物)を用いるのが有利である。硬化剤は任意適する形態、たとえば溶融物として或いはたとえば水のような希釈剤における硬化剤の溶液として添加することができる。
【0033】
硬化に際し生ずる架橋の程度は、特に一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーの量に対する硬化剤の使用量に依存する。硬化剤の相対量は広範囲に変化することができ、日常の実験により好適な相対量を確定することができる。ポリ−第一アミンを硬化剤として使用する場合、コポリマーにおけるカルボニル基と硬化剤における第一アミン基とのモル比は好適には0.25〜8.0の範囲、より好ましくは0.5〜4.0の範囲である。
【0034】
コポリマーの硬化は、硬化用触媒の存在下または硬化用触媒の不存在下で行うことができる。触媒を用いる利点は一般に、硬化をより低い温度にて或いはより短い時間にて行いうる点である。上記の各種の硬化反応につき、適する触媒は当業界にて公知である。硬化剤がポリ−第一アミンである場合、適する触媒は弱酸、特に2〜5.5の範囲、好ましくは2.5〜5の範囲のpKa(20℃の水中で測定)を有する酸である。好適種類の酸は有機酸、特にカルボン酸である。何故なら、これらは硬化させるコポリマーに対し少なくとも或る程度まで可溶性であるからである。カルボン酸は典型的には20個までの炭素原子を有する。モノカルボン酸が、コポリマーに対するその一般的に良好な溶解度に基づき一層好適である。モノカルボン酸の例はニコチン酸、ピバル酸、吉草酸、酢酸、安息香酸、及び特にサリチル酸である。他の適する弱酸は燐酸である。
【0035】
弱酸は少量にて使用することができる。適する量はコポリマーの重量に対し0.1〜15.0重量%である。より好ましくは、弱酸は同じ基準で0.2〜10.0重量%、特に0.5〜8.0重量%の量にて使用される。
【0036】
結合剤はたとえば増粘剤、難燃剤、空隙充填剤、酸化防止剤、UV安定化剤および着色料のような追加成分をも含有することができる。適する空隙充填剤はシリカ、穀類粉もしくはココ椰子殻粉である。適する増粘剤はたとえばナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、天然ゴムおよび粘土である。
【0037】
本発明の結合剤系は有利には上記したような各部分のキットとして貯蔵、取扱いおよび使用することができる。第1および/または第2の部分は追加成分として硬化用触媒を含むことができる。第2部分の希釈剤は典型的には水性希釈剤、たとえば水または水と水混和性有機希釈剤(たとえば低級アルコール、特にメタノール、または低級ケトン、特にエチルメチルケトン)との混液である。本発明で使用するための結合剤は、キットの第1部分および第2部分の組成物を混合して調製し得るが、この時、キットの第1部分が乳化性組成物を含む場合には、乳化性組成物を水性希釈剤中に分散させて最初にエマルジョンを調製する。
【0038】
極めて有利にはキットの第2部分は、水性もしくは極性の有機希釈剤中に溶解されたポリ−第一アミンを、上記した様にポリ第一アミンでのコポリマーの硬化に硬化用触媒として使用しうる弱酸と組合せて含む。すなわち、ポリ第一アミンを弱酸もしくはその1部と組合せることにより、各成分を溶解するのに要する希釈剤の量は、たとえば20℃の温度を用いて同じ条件下でポリ第一アミンのみを溶解させるのに要する量よりも(たとえば少なくとも10%少、より典型的には少なくとも20%)少なくしうることが判明した。本発明のこの具体例において、キットの第2部分は好適にはポリ第一アミンを60〜97重量%、特に70〜95重量%の量で含有し、弱酸を0.25〜10重量%、特に0.5〜5重量%の量で含有し、さらに希釈剤を3〜40重量%、特に5〜20重量%の量で含有する(ここで、これら量は第2部分の重量に対するものである)。好適第2部分の例は1,6−ジアミノヘキサン、サリチル酸および水を88:2:10の重量比で含有する液体、または1,6−ジアミノヘキサン、サリチル酸およびエチルメチルケトンを88:2:10の重量比で含有する液体である。
【0039】
ラミネート複合材を製造すべく使用される木材部分の種類および形態は重要でない。木材は高密度もしくは低密度の木材とすることができ、落葉樹もしくは針葉樹の木材とすることができる。適する木材の例はオーク、栗、トネリコ、楓、チーク、オクーメ(okoume)、マホガニー、メランチ(meranti)および松である。ブナ、トウヒおよびポプラを用いて極めて良好な結果を得ることができる。木材は、一般に慣用の結合剤を使用する際に施しうる以外の予備処理を全く必要としない。一般に製造すべきラミネート複合材の種類につき所望される寸法および形状に木材部分をするだけで充分である。好適には、木材は厚板(plank)、ベニア、用材(timber)もしくはラメラの形態で使用される。
【0040】
結合剤は、任意慣用の技術を用いてたとえば刷毛もしくはローラを用いて木材表面に施すことができる。エマルジョンの形態で結合剤を用いる特殊な利点は、結合剤を噴霧によりたとえば圧縮ガスで駆動されるノズルにより、たとえば連続インライン噴霧にて或いは塗料スプレイヤを用いて施しうる点にある。
【0041】
木材の量に対する結合剤の量は広範囲に変化することができる。この量は隣接木材部分間に存在する接合部の1平方メートル当たりの量として特定することができる。1平方メートルの接合部につき、この種の結合剤の量は典型的には、一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーの5〜400g、特に10〜300gに基づく量にて使用される。上記したように、木材ラミネートは有利な高温度特性を有して製造することができる。この種の場合、結合剤の層は薄く保たれ、たとえば結合剤の量はコポリマーの5〜60g、特に10〜40gに基づき接合部の1平方メートル当たりに使用される。上記したように、ペーストの形態でなくエマルジョンとしての結合剤の使用は、結合剤の使用割合が極めて低い場合にも一層良好な品質を有するラミネート木材複合材の製造を可能にする。これは、コポリマーの30g未満、特に25g未満、殊に20g未満に基づく結合剤の量を接合部1平方メートル当たりに使用する場合である。
【0042】
結合剤を木材表面に施した後、或いはそれと同時に、木材部分を合体させて結合剤が隣接木材部分間に残留するようにし、硬化条件を加える。ラミネート複合材は1方向もしくはそれ以上の方向、典型的には1方向もしくは2方向に積層させることができる。この種の任意の方向における層の数は大きく変化することができる。実用的な層数はたとえば2〜50もしくは60までの範囲とすることができる。一般に硬化は温度を上昇させて行われる。硬化に際し圧力を加えて、より多量の結合剤が木材部分間の薄い結合剤層に存在するよう行うと共に、製造すべき木材複合材の密度を増大させることができる。温度および圧力は広範囲に変化することができる。温度は一般に硬化剤および硬化用触媒の存在に依存する。さらに、圧力は木材の種類、特に木材部分の種類に依存する。ポリ−第一アミンを硬化剤として使用する場合、温度は好適には50℃以上、たとえば80〜200℃の範囲、特に100〜160℃の範囲である。典型的な圧力は1〜30kg/cm、特に2.5〜25kg/cmであるが、それより高いおよび低い圧力も可能である。日常的実験により、当業者は適する硬化時間を決定することができる。
【0043】
本発明により、たとえば合板(plywood)および積層した梁材(beam)もしくは用材(timber)のような各種の木材複合材を製造することができる。当該複合材は優秀な耐衝撃性/強度のバランスを有し、水分の存在下で優秀な寸法安定性を示す。さらに、これらは顕著な電気特性、たとえば極めて低い導電率および極めて高い電気強度を有する。したがって複合材は有利にはたとえばドア、寄せ木フローリング、スポーツ物品、たとえばホッケースティック並びに電気器具、たとえばスイッチボードおよび配電盤用パネルなどの製造に用いることができる。
【0044】
一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーの水性エマルジョンはコーティング用途および接着剤用途にも有用である。
【0045】
以下、本発明を実施例により例示の目的で説明するが本発明はこれらのみに限定されるものでない。
【実施例】
【0046】
実施例1(比較)
一酸化炭素/プロペン線状交互コポリマーを次のように調製した。
【0047】
300mLの容積を有する機械撹拌オートクレーブに100mLのメタノールと15gのプロペンとを装填した。オートクレーブを閉鎖すると共に一酸化炭素でフラッシュさせた。オートクレーブの内容物を70℃まで加熱した。一酸化炭素を強制的に導入して50バールの圧力を得た。10mLのテトラヒドロフラン中の357mgの過塩素酸コバルトと1.5gのナフトキノンと43.2mgの1,3−ビス(ジエチルホスフィノ)プロパンと41.9mgの酢酸パラジウムとの溶液をオートクレーブ中へ導入した。圧力を一酸化炭素の連続導入によれ50バールに維持した。22時間の後、オートクレーブの内容物を冷却すると共に圧力を解除した。ポリマー生成物を揮発物のフラッシュ除去により仕上処理した。
【0048】
粘性油の外観を有するポリマーが得られた。GPC分析は、ポリマーが2,600の重量平均分子量を有することを示した。
【0049】
結合剤組成物を次のように調製した。
【0050】
一酸化炭素とプロペンとのコポリマーの試料を60℃にて1,6−ジアミノヘキサンの溶融試料と混合した。サリチル酸とメタノールとの混合物を前記混合物に添加した。各成分の量は、得られる混合物中のコポリマーと1,6−ジアミノヘキサンとサリチル酸とメタノールとの重量比が3:0.9:0.2:0.021となるようにした。室温まで冷却した後、ペースト状物質が得られた。
【0051】
実施例2(比較)
EN204にしたがう4種の一軸2−プライ(ply)木材試料を厚さ5mmのブナ材のラメラと結合剤としての比較実施例1により調製されたペーストとを用いて調製した。結合剤を、一酸化炭素とプロペンとのコポリマー、1,6−ジアミノヘキサンおよびサリチル酸の全重量に対し計算して1m当たり90gの割合で1ラメラ表面に均一分配させた(接合部1m当たり90g)。これらラメラを木目を平行にして合体させ、予備加熱されたプレスに入れ、そこに140℃および20kg/mラミネート断面圧力にて1時間保持した。
【0052】
EN204により測定される剪断強度は平均して10.6±1.4MPaであった。
【0053】
同様な実験にて、結合剤を接合部1m当たり40gの割合で施した。剪断強度は平均して11.5±0.5MPaであった。
【0054】
実施例3
一酸化炭素とプロペンとの線状交互コポリマーを次のように調製した。
【0055】
300mLの容積を有する機械撹拌オートクレーブに70mLのメタノールと30gのプロペンとを装填した。オートクレーブを閉鎖すると共に一酸化炭素でフラッシュさせた。オートクレーブの内容物を85℃まで加熱した。一酸化炭素を強制的に導入して72バールの圧力を得た。10mLのテトラヒドロフラン中の6.9mgのトリフルオロメタンスルホン酸と12.3mgの1,3−ビス[ビス(2−メトキシフェニル)ホスフィノ]プロパンと4.94mgの酢酸パラジウムと8.7mgのピリジンとの溶液をオートクレーブ中へ導入した。圧力を一酸化炭素の連続導入により72バールに維持した。40時間の後、オートクレーブの内容物を冷却させ、圧力を解除した。ポリマー生成物を揮発物のフラッシュ除去により仕上げ処理した。
【0056】
粘性油の外観を有するポリマーが得られた。GCP分析は、ポリマーが4180の重量平均分子量を有することを示した。
【0057】
実施例4
水性エマルジョンの形態の結合剤を次のように調製した。
【0058】
実施例3にしたがい調製された15gのコポリマー試料を、約2000の分子量を有するポリ(プロペンオキシド)−ポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)のビスアミノキャッピングされたトリブロックコポリマー1.5g[ここで、ポリ(エテンオキシド)ブロックはトリブロックコポリマー重量の約94%を占める](商標ジェファミンED2001として入手)と共に50℃にて1時間撹拌した。この混合物を室温にて1晩放置した。水(10g)を0.5gづつ添加すると共に、混合物を高剪断撹拌にかけた。得られたエマルジョンは、このエマルジョンの分離の目に見える徴候なしに、室温にて数日間にわたり貯蔵することができた。
【0059】
1,6−ジアミノヘキサンの溶融試料(コポリマー1g当たり0.3g)を2分間以内に新鮮エマルジョンの撹拌試料に添加した。
【0060】
実施例5
EN204にしたがう4種の一軸2−プライ木材試料を厚さ5mmのブナ材のラメラと結合剤としての実施例4により調製されたエマルジョンとを用いて調製した。結合剤を、1,6−ジアミノヘキサンおよび一酸化炭素とプロペンとのコポリマーの全重量に対し計算して1m当たり90gの割合で施した(接合部1m当たり90g)。他の手順は実施例2に示した通りである。
【0061】
EN204にしたがい測定した剪断強度は平均して12.1±0.6MPaであった。
【0062】
実施例6
水性エマルジョンの形態の結合剤を次のように調製した。
【0063】
実施例3により調製されたコポリマーの15g試料を0.1gのサリチル酸および0.5gの約5000の分子量を有するメトキシ−ポリ(エテンオキシド)アミンと共に50℃にて1時間撹拌した。この混合物を室温にて1晩放置した。水(10g)を0.5gづつ添加すると共に、混合物を高剪断撹拌にかけた。得られたエマルジョンは、このエマルジョンの分離の目に見える徴候なしに、室温にて数日間にわたり貯蔵することができた。
【0064】
1,6−ジアミノヘキサンの溶融試料(コポリマー1g当たり0.3g)を2分間以内に新鮮エマルジョンの撹拌試料に添加した。得られたエマルジョンは少なくとも1時間にわたり処理可能であった。
【0065】
実施例7
水性エマルジョンを次のように調製した。
【0066】
実施例3により調製したコポリマーの15g試料を0.1gのサリチル酸および、約6,500の分子量を有すると共にポリ(エテンオキシド)ブロックがそれぞれトリブロックコポリマーの重量の25%を占めるポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)−ポリ(エテンオキシド)のトリブロックコポリマー(商標シンペロニックPE/p105として入手)1.5gと共に50℃にて1時間撹拌した。この混合物を室温にて1晩放置した。水(10g)を0.5gづつ添加すると共に、混合物を高剪断撹拌にかけた。得られたエマルジョンは、このエマルジョンの分離の目に見える徴候なしに、室温にて数日間にわたり貯蔵することができた。
【0067】
実施例8
水性エマルジョンの形態の結合剤を次のように調製した。
【0068】
実施例3により調製したコポリマーの15g試料を、約2000の分子量を有すると共にポリ(エテンオキシド)ブロックがジブロックコポリマーの重量の70%を占めるポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)のモノアミノキャッピングされたジブロックコポリマー(商標ジェファミンM2070として入手)0.75gと式(PE−PO−)N−CH−CH−N(−PO−PE)[ここでPEおよびPOはポリ(エテンオキシド)ブロックおよびポリ(プロペンオキシド)ブロックをそれぞれ示す]のブロックコポリマー[このブロックコポリマーは約26,000の分子量を有し、ポリ(エテンオキシド)ブロックは合計してブロックコポリマーの重量の80%を占める](商標シンペロニックT908として入手)0.75gとの混合物と共に100℃にて90分間撹拌した。この混合物を室温にて1晩放置した。水(15g)1.0gづつ添加すると共に、混合物を高剪断撹拌にかけた。得られたエマルジョンは、このエマルジョンの分離の目に見える徴候なしに、室温にて数週間にわたり貯蔵することができた。
【0069】
このエマルジョンを調製してから2日間の後、1,6−ジアミノヘキサンの溶融試料(コポリマー1g当たり0.3g)を2分間以内にエマルジョンの撹拌試料に添加した。得られたエマルジョンは少なくとも1週間にわたり処理可能かつ硬化性であった。
【0070】
実施例9
水性エマルジョンを次のように調製した。
【0071】
実施例3により調製したコポリマーの250g試料を25gのプルロニックF−88(BASF−ワイアンドッテ社から入手)および55gのD.I.水と共に30℃にて4時間撹拌した。この混合物を室温にて1晩放置した。100gの水を0.5gづつ添加すると共に、混合物を高剪断撹拌にかけた。得られたエマルジョンは0.73μmの平均粒子寸法を有した。エマルジョンは、このエマルジョンの分離の目に見える徴候なしに、室温にて数日間にわたり貯蔵することができた。
【0072】
実施例10
水性エマルジョンを次のように調製した。
【0073】
実施例3により調製したコポリマーの250g試料を、25gの表面活性剤[この表面活性剤は、2モルのポリオキシエチレングリコール(ユニオン・カーバイド社から入手されたカルボワックス8000)と1モルの、468のエポキシド当量重量を有するビスフェノールAのグリシジルポリエーテルと反応させて調製した]および55gのD.I.水と共に30℃にて4時間撹拌した。この混合物を室温にて1晩放置した。100gのD.I.水を0.5gづつ添加すると共に、混合物を高剪断撹拌にかけた。得られたエマルジョンは0.93μmの平均粒子寸法を有した。エマルジョンは、分離の目に見える徴候なしに、室温にて18か月以上にわたり安定であった。
【0074】
実施例11
水性エマルジョンを次のように調製した。
【0075】
実施例3に記載した手順により調製した重量平均分子量2870を有するコポリマーの250g試料を、25gの表面活性剤[この表面活性剤は、2モルのポリオキシエチレングリコール(ユニオン・カーバイド社から入手したカルボワックス8000)を1モルの、468のエポキシド当量重量を有するビスフェノールAのグリシジルポリエーテルと反応させて調製した]および55gのD.I.水と共に30℃にて4時間にわたり撹拌した。この混合物を室温にて1晩放置させた。100gのD.I.水を0.5gづつ添加すると共に、混合物を高剪断撹拌にかけた。得られたエマルジョンは0.4nmの平均粒子寸法を有した。エマルジョンは、このエマルジョンの分離の目に見える徴候なしに、室温にて数日間にわたり貯蔵することができた。
【0076】
実施例12
実施例9に記載したと同じ手順を用いたが、ただし表面活性剤としてはプルロニックF−88の代わりに25gのポリオキシエチレングリコール(ユニオン・カーバイド社から入手されたカルボワックス8000)を使用した。得られた混合物は水中に分散することができなかった。
【0077】
実施例13
水性エマルジョンの形態の結合剤を次のように調製した。実施例3により調製したコポリマーの2,000g試料を、約2000の分子量を有すると共にポリ(エテンオキシド)ブロックがジブロックコポリマーの重量の70%を占めるポリ(エテンオキシド)−ポリ(プロペンオキシド)のモノアミノキャッピングされたジブロックコポリマー(商標ジェファミンM2070として入手)100gと混合し、75℃にて1時間にわたり保持した。
【0078】
式(PE−PO−)N−CH−CH−N(−PO−PE)[式中、PEおよびPOはポリ(エテンオキシド)ブロックおよびポリ(プロペンオキシド)ブロックをそれぞれ示す]のブロックコポリマー[このブロックコポリマーは約26,000の分子量を有すると共に、ポリ(エテンオキシド)ブロックは合計してブロックコポリマーの重量の80%を占める](商標シンペロニックT908として入手)の100g試料を2000gの脱塩水に溶解させた。
【0079】
使用前に、実施例3のコポリマーとジェファミンM2070とを含有する混合物を電子オーブン内で70℃まで加熱した。シンペロニックT908を含有する水および実施例3のコポリマーとジェファミンM2070とを含有する混合物をコロイドミル(フリマ(Fryma)MZ80/D)に同時に添加し、50℃まで加熱した。得られた混合物は極めて安定であると判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび硬化剤を含んでなる硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
コポリマーが1,4−ジカルボニル部分をポリマー鎖中に有するコポリマーであり、硬化剤がポリ−第一アミンを含む請求の範囲第1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
コポリマーにおけるカルボニル基とポリ−第一アミンの第一アミン基とのモル比が0.25〜8.0の範囲である請求の範囲第2項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
20℃の水中で測定して2〜5.5の範囲のpKaを有する有機酸をさらに含む請求の範囲第1〜3項のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
第1成分が一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーを含み、第2成分が硬化剤を含む、2成分キット。
【請求項6】
ラミネート木材複合材の製造方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を複合材の木材部分に施し、複合材の木材部分を合体させて該組成物を隣接木材部分間に位置せしめ、該組成物を硬化させて硬化の後に硬化樹脂が隣接木材部分を互いに接着させることを特徴とするラミネート木材複合材の製造方法。
【請求項7】
木材部分と、隣接木材部分を互いに接着する硬化樹脂とを含むラミネート木材複合材において、硬化樹脂は一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーおよび硬化剤を含む硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、前記硬化性樹脂組成物を30g未満の一酸化炭素とオレフィン系不飽和化合物とのコポリマーに基づく隣接木材部分間の接合部1m当たりの量にて施したことを特徴とするラミネート木材複合材。
【請求項8】
請求の範囲第7項に記載のラミネート木材複合材を用いて製造された物品。

【公開番号】特開2009−138200(P2009−138200A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330139(P2008−330139)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願2005−180222(P2005−180222)の分割
【原出願日】平成8年11月13日(1996.11.13)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】