説明

磁性微粒子およびそのような微粒子の製造方法

本発明は、軌道を横切るビート作用によって、溶液中で経路に沿って微粒子(2)を推進させることができる少なくとも1つの長方形の可撓性テイル(6)であって、前記テイルが、このために少なくとも1つの磁気素子を備え、前記磁気素子が、経路に対して非同一直線上の外部交番磁界によって前記テイル(6)にビートを生じさせる、テイル(6)と、テイルの近位端部に機械的に接続されたヘッド(4)とを含む微粒子(2)に関する。微粒子(2)は、一体成形で作製されかつ前記テイル(6)と前記ヘッド(4)とを含む材料の少なくとも1つの層を含み、前記ヘッド(4)の寸法および/または形状は、前記テイル(6)の近位端部のビートが、テイル(6)の遠位端部のビートに対して制限されるように、かつ前記ヘッド(4)が、外部交番磁界への暴露を受けたときに、経路に平行な軸の周りを完全に一周しないように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性微粒子、およびそのような微粒子の製造方法に関する。本発明はまた、本発明による複数の微粒子の集合的製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子は、寸法がマイクロメートルオーダーの加工粒子を指すと理解される。一般的に、マイクロメートルオーダーの寸法は、500μm未満、好ましくは、100μm未満である。
【0003】
− 軌道を横切るビート(beats)作用によって、溶液中で微粒子を軌道に沿って推進させることができる少なくとも1つの長方形の可撓性テイルであって、このために、各テイルは、軌道に対して非同一直線上にある外部交番磁界の作用下でテイルのビートを生じさせる少なくとも1つの磁気素子を備える、テイル、および
− テイルの近位端部に機械的に接続されて、テイルの遠位端部の運動の範囲に対してテイルの近位端部の運動の範囲を制限するヘッド
を備える微粒子が存在する。
【0004】
溶液は、テイルのビートによって微粒子を軌道に沿って前進させることができる任意の媒質である。例えば、溶液は、例えば水、グリセリン、溶媒など、程度の差はあるが高粘度を示す液体である。ゼラチンなどの軟質の媒質としてもよい。溶液は、脊髄またはアルブミンなどの生体媒質としてもよい。
【0005】
これらの微粒子の運動をもたらす磁力は、微粒子の変位中に微粒子を誘導し、ある位置に微粒子を集め、微粒子を変形させまたは微粒子を磁気的に励起させることができて、微粒子がエネルギーを消散して加熱されるようにし得る。
【0006】
磁性微粒子のみを用いることによって、またはそれらの表面に異なるタイプの分子を移植することによって、ある分子種または細胞種をおよび/またはこれらの種に対する作用を認識でき、多数の応用が可能となる。これらの応用の中でも、処置分子の標的送達(薬物送達)、懸濁液中の分子または細胞の選別(MACSまたは磁気細胞選別(Magnetic Cell Sorting)と称す)、温熱療法による癌治療、細胞組織工学、またはMRI(磁気共鳴映像法)における造影剤としての使用が挙げられる。
【0007】
例えば、そのような微粒子は、以下の論文D1において説明されている:
Remi Dreyfus, Jean Baudry, Marcus R. Roper, Marc Fermigier, Howard A. Stone and Jerome Bibette,“Microscopic artificial swimmers,”Nature, Volume 437 of 6 October 2005,page 862。
論文D1では、テイルは磁性である、すなわち、テイルは、テイルのビートを生じさせる交番磁界によって変位される少なくとも1つの磁気素子を有している。論文D1では、テイルは、超常磁性マイクロビーズの集合体によって作られている。それゆえ、このテイルの横断面は、必然的に円形である。D1によれば、赤血球などの興味のある対象をテイルに加える。
【0008】
加えて、微粒子のある種のパラメータ、例えば変位速度は、テイルの構造に強く依存する。超常磁性マイクロビーズの集合体を利用することは、微粒子の形状の多様さをかなり限定する。
【0009】
非磁性テイルを有する他の粒子が、例えば、以下の論文に説明されている:
− S. Sudo, S. Segawa and T. Honda,“Magnetic swimming mechanism in a viscous liquid,”Journal of Intelligent material systems and structures, volume 17-August/September 2006, page 729, Edition SAGE publications;
− B. J. Nelson,“Towards nanorobots,”Solid-state sensors, actuators and Microsystems conference, 2009, Transducers 2009, International IEEE, Piscataway, NJ, USA, 21 June 2009 (2009-06-21), page 2155-2159, XP031545544 ISBN。
【0010】
後者の場合、粒子を推進させる方法は、プロペラまたはスクリュー装置のようにテイルがそれ自体を回転させることによって得られる。この回転を可能にする磁力はヘッドにのみ加えられ、テイルは非磁性である。ヘッドは、回転界磁の影響下で回転し、集合体を推進させるテイルの回転を生じさせる。
【0011】
ヘッドの完全な回転によるそのような推進は、上述の生物医学的応用には多くの不都合を示し、粒子全体が回転するため、生物学的興味のある対象自体も回転してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これに関連して、本発明は、製造が容易で、多種多様の形状を提示することができ、かつ生物医学的応用にとりわけ好適な磁性微粒子を提案することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、本発明は、
− 軌道を横切るビート作用によって、溶液中で軌道に沿って微粒子を推進させることができる少なくとも1つの長方形の可撓性テイルであって、前記テイルが、この目的のために少なくとも1つの磁気素子を含んでいて、前記磁気素子に、軌道に対して非同一直線上にある外部交番磁界の作用下で前記テイルのビートを生じさせる、テイル、
− テイルの近位端部に機械的に接続されたヘッド
を含む微粒子において、
微粒子が、一体形で形成されかつ前記テイルと前記ヘッドとを含む材料の少なくとも1つの層を含むこと、
前記ヘッドが前記外部交番磁界の影響下で軌道に平行な軸の周りを完全に一周しないように、前記テイルの前記近位端部のビートが、テイルの遠位端部のビートに対して制限されるように前記ヘッドの寸法および/または形状が選択されることを特徴とする粒子を提案する。
【0014】
回転界磁、または回転界磁を再構成するために2つの直交する平面的な磁界の重ね合わせを必要とする他の微粒子またはナノ粒子とは異なり、テイルの位置に対して非同一直線上の同じ平面にある単一の交番磁界が、本発明による微粒子を変位させるのに十分であることを強調する。これは、本発明を、他の目的において、推進を確実にする磁界に直交する、別の考えられる平面的な磁界で利用する可能性を残す。
【0015】
1つまたは複数の堆積された磁気層(例えば一体形の層を形成する)は軟質材料であり、この1つまたは複数の磁気層の磁化は、対象の最大寸法に沿って自然発生的に向けられて、形状異方性エネルギーを最小にする。より正確に言えば、形状異方性は、テイルの長さに沿ってテイルの磁化を向けるように促進する。これにより、テイルに横方向に加えられた外部磁界を使用することによって、テイルにトルクをかけることができる。他方で、その丸い形状、正方形形状または他のあまり長方形ではない形状のヘッドは、形状異方性を生じず、その形状が円と多少異なる場合はそれをほとんど生じない;そのため、その磁化は、それに続いて交番磁界と整列する傾向があり、それゆえ、ほとんどトルクがないため、加えられる磁界の作用下で動かない。それゆえ、テイルのみが集合体を推進させる。
【0016】
本発明の結果、微粒子は、テイルの横方向のビートのおかげで軌道に沿って変位する。横方向のビートは、軌道に沿って一つの方向または他の方向に微粒子を推進させる一方でヘッドを安定した状態に維持するテイルの端部の変位に対応する。本発明によれば、微粒子を変位させ、かつ磁性であってもなくてもよいヘッドを変位させないことに寄与するのは、テイルの磁気素子である。ヘッドは、軌道に平行な軸の周りを完全に一周しない限り、安定した状態にあるとみなされる。例えば、テイルのビートは、テイルが鞭毛のように機能するような波状運動である。それゆえ、得られる推進方法は、テイルをそれ自体プロペラのように回転させることによって得られるものとは全く異なる。
【0017】
本発明による微粒子は、軸上で交番磁界(必ずしも回転界磁ではない)を使用することによって推進される。
【0018】
テイルおよびヘッドを一体形で形成する層を使用することは、特にフォトリソグラフィまたはナノプリント技術を使用することによって、異なる粒子形状を作製することを可能にする。一体形からのこの層は、テイルをヘッドへ機械的に取り付けることを確実に容易にする。
【0019】
ヘッドとテイルとの間の連続性を保証する層の材料は、磁性であってもなくてもよいことに留意されたい;層が磁性でない場合、磁気素子を形成するためにテイルに少なくとも1つの磁気部分を堆積させることを理解されたい。
【0020】
それゆえ、本発明による微粒子は:
− ヘッドおよびテイルを形成する単一の磁気層(その上面から見た形状は、例えばフォトリソグラフィまたはナノプリントによって自由に設計される);または
− テイルの少なくとも一部分に磁気部分が堆積されている、依然として、例えば銅製の一体形の非磁性層
のいずれかで形成される。
【0021】
テイルにビートまたは波状運動を生じさせる機械的な力が、外部交番磁界によってテイルの磁気部分に直接加えられる。
【0022】
テイルが、テイルのビートのより正確な制御を可能にし、とりわけ、磁気素子が微粒子のヘッドにのみ設けられる場合よりもビートを多様性に富ませることを可能にする磁気素子を備えることに留意されたい。
【0023】
本発明による微粒子はまた、以下の特徴の1つ以上を、個別に考慮してまたは技術的に可能な組み合わせ全てに従って、提供する:
− 前記テイルの寸法および/または形状を、テイルの磁気モーメントの方向がテイルの長手軸に維持されるように選択する;
− 一体形で形成された前記層が磁性材料の層である;
− 磁性材料は軟質磁性材料であり、前記ヘッドの形状は、形状異方性なしで、例えば実質的に丸い形状で選択され、前記ヘッドの磁気モーメントが交番磁界の方向に自然発生的に整列するようにする;
− 前記ヘッドの横方向寸法を、前記軟質磁性材料の磁化方向が交番磁界の方向に整列されるように、十分大きく選択する;
− 前記磁性材料が、前記テイルの長さに平行な磁化の硬質磁性材料である;
− 前記磁性材料が、前記テイルの面外に向けられた自然発生的な磁化の磁性材料である;
− 前記材料は非磁性材料であり、1つの磁気部分が少なくとも前記テイルに堆積される;
− 前記テイルの長さが、前記テイルの横方向寸法の1つよりも少なくとも5倍、好ましくは10倍または100倍長い;
− 前記層に生体適合性材料が堆積される;
− 本発明による微粒子が、前記ヘッドに移植された興味のある要素を含む;
− 微粒子が、ヘッドに機械的に接続された第1のテイルと、層の平面に垂直かつヘッドの重心を通る平面に対して第1のテイルに対称的な第2のテイルとを含む;
− テイルが、交番磁界がない場合、その近位端部と遠位端部との間に湾曲部を体系的に形成する;
− ヘッドおよびテイルが平面的であり、テイルの層の平面が、ヘッドの平面に対して傾斜している。
【0024】
さらに、微粒子の実施形態は以下の利点を提供する:
− 一体形の材料の層を含むテイルは、作製が容易である、
− テイルの形成に用いられる層が磁性材料である場合、テイルおよび磁気素子を同時に作製できる、
− 軟質磁性材料の同じ層にヘッドおよびテイルを作製し、かつ、磁気モーメントを交番磁界の方向に整列させることができるように、またはできないようにヘッドおよびテイルの寸法を選択することにより、テイルおよびヘッドが同じ磁性材料から作製される場合、異なるトルクをテイルおよびヘッドにかけることができる、
− 互いに対称的である第1および第2のテイルの使用により、直線的な軌道に沿った微粒子の変位の効率を高める、
− 湾曲したテイルを使用することにより、この湾曲を畳んだり開いたりすることによって、テイルのビートを方向付けることができる、
− 層がヘッドの層に対して傾斜しているテイルにより、微粒子を推進させる溶液に関係しているテイルの表面を、増やすことができるようになる、および
− テイルの長さが、その横方向寸法の1つよりも少なくとも5倍長いことにより、ビートのための剛性が十分に低いテイルが得られる。
【0025】
本発明の別の目的は、本発明による微粒子の製造方法であって:
− 基板に少なくとも1つの層を堆積するおよび/または基板に堆積された少なくとも1つの層を構造化して、テイルおよびヘッドを一体形で作製するステップ;
− 基板からテイルおよびヘッドを剥離するステップ
を含むことを特徴とする方法である。
【0026】
層の堆積および/または構造化(例えばエッチング、一般にフォトリソエッチング、またはナノプリント)によって、微粒子のテイルおよびヘッドを一体形で作製することにより、磁性テイルに、高度に多様性に富んだ形状を容易に得ることができる。その結果、微粒子のテイルの流体力学特性がより簡単に最適にされる。要するに、これは、例えば、論文D1において説明されているものと同一の動作条件下でより迅速に変位する微粒子を得ることができるようになる。
【0027】
製造方法はまた、所望のテイルの運動を得るために使用される磁性材料の選択を豊富にすることができる(層の平面に平行または垂直な磁化の、軟質または硬質磁性材料など)。
【0028】
好ましい実施形態によれば、本発明による方法は、本発明による複数の微粒子を集合的に製造する方法であって、
− 基板上にメサのアレイを作製するステップであって、前記メサは犠牲材料から作製され、各メサの頂部は、作製される微粒子の形状を示し、材料の前記層は一体形で形成され、前記テイルと前記ヘッドとを含む、ステップ;
− 前記粒子が剥離されるように前記第1の犠牲材料を除去するステップ
を含むことを特徴とする方法である。
【0029】
第1の実施形態によれば、集合的製造方法は、
− 基板上に前記犠牲材料の層を堆積させるステップ;
− メサの頂部が、製造したい微粒子の形状を示す、前記メサを形成することによって、犠牲材料の層を構造化するステップ;
− 前記微粒子製造材料を堆積させるステップであって、前記製造材料が前記メサの頂部を覆うステップ;
− 前記製造材料によって形成された粒子を剥離するように前記犠牲材料を除去するステップ
を含む。
【0030】
第2の実施形態によれば、集合的製造方法は:
− 基板上に前記犠牲材料の層を堆積させるステップ;
− 前記材料の少なくとも1つの層を堆積させて、前記微粒子を製造するステップ;
− メサの頂部が、製造したい微粒子の形状を示す、前記メサを形成することによって、犠牲材料および製造材料の前記層を構造化するステップ;
− 前記製造材料によって形成された粒子を剥離するように前記犠牲材料を除去するステップ
を含む。
【0031】
製造方法のこれらの実施形態はまた、以下の利点を提供する:
− テイルを形成するのに用いられたのと同じ層の堆積および/またはエッチングによって微粒子のヘッドを作製し、テイルを簡単にヘッドに固定できるようにする。加えて、これは、テイルおよびヘッドが平らであるため、粘性摩擦を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、非限定的な例としてのみ与えられ、図面を参照することによりなされた以下の説明を読むことで、より理解される。
【図1】本発明による微粒子の概略的な斜視図である。
【図2】図1の微粒子の製造方法のフロー図である。
【図3】図2の方法の様々なステップの概略図である。
【図4】図2の方法の様々なステップの概略図である。
【図5】図2の方法の様々なステップの概略図である。
【図6】図2の方法の様々なステップの概略図である。
【図7】図1の微粒子の動作の概略図である。
【図8】図1の微粒子の動作の概略図である。
【図9】本発明による微粒子の3つの他の考えられる実施形態の概略的な斜視図である。
【図10】本発明による微粒子の3つの他の考えられる実施形態の概略的な斜視図である。
【図11】本発明による微粒子の3つの他の考えられる実施形態の概略的な斜視図である。
【図12】図1の微粒子の別の実施形態の概略的な上面図である。
【図13】図1の微粒子の他の実施形態の概略的な側面図である。
【図14】図1の微粒子の他の実施形態の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
これらの図において、同じ要素を指示するのに同じ参照符号を使用する。
【0034】
この説明の残りの部分では、当業者に周知の特徴および機能は詳細に説明しない。
【0035】
図1は、交番磁界Bが軌道3に対して非同一線上の方向に加えられる場合、溶液中で軌道3に沿って変位できる微粒子2を示す。例えば、粘性液体は水またはグリセリンまたは溶媒である。
【0036】
磁界Bを微粒子2に加えることができる装置の例は論文D1において説明されているため、ここではこの装置を説明しない。さらに、この装置はまた、軌道3に平行な方向の連続的な磁界を加えて、微粒子2を整列させ、かつこの軌道に整列された微粒子2を維持する。
【0037】
ここでは、軌道3は直線的な軌道である。この軌道は水平であり、方向Xに平行に延在する。磁界Bは、方向Xに垂直な水平方向Yに実質的に平行している。
【0038】
微粒子2は、軟質磁性材料の同じ層中に一体形で作製されたヘッド4およびテイル6を含む。
【0039】
軟質磁性材料は、形状異方性がない場合に、0.005テスラ未満の保磁力を示す磁性材料を指すと理解される。この説明では、硬質磁性材料は、0.01テスラ超の保磁力を示す材料である。
【0040】
テイル6は長方形であり、かつ可撓性である。テイルは、ヘッド4に機械的に固定された近位端部8と自由遠位端部10とを有する。
【0041】
微粒子2は、テイル6の横方向のビート作用によって軌道3に沿って変位される。横方向のビートは、軌道3に沿って1つの方向または別の方向に微粒子2を推進させる一方でヘッドを安定した状態に維持する端部10の変位に対応する。ヘッドは、軌道3に平行な軸の周りを完全に一周しない場合、安定した状態にあるとみなされる。例えば、テイル6のビートは、テイルが鞭毛として機能するように波状運動を行う。ここで説明する具体的な例では、ビートは、軌道3に平行な平面内での端部10の変位に対応する。ここでは、横方向のビートがX、Y平面で行われる。テイル6のビートは、溶液中で微粒子2を推進させるために、鞭毛のビートを摸したものである。それゆえ、得られた推進方法は、プロペラのようにテイル6自体を回転させることによって得られるものとは全く異なる。
【0042】
図1では、微粒子2を、静止状態で、すなわち、磁界Bのない状態で示す。この状態では、テイル6は、ここでは軌道3と一致する長手軸に沿って延在する。
【0043】
テイル6および磁性材料の寸法を、磁界Bの影響下でのテイル6の曲りを可能にするように選択する。ここで、テイル6の剛性は十分に低いため、テイルは、磁界Bの作用下でXY平面において一方または他方の方向に湾曲する。好ましくは、磁界Bに起因するテイル6の変形は弾性変形である。このために、テイル6の形状係数は大きく、すなわち、5超、好ましくは、10超または100超である。形状係数は、端部8と10との間で測定されたテイル6の長さLの、磁界Bに平行な方向におけるその平均寸法に対する比を表す。ここで、テイル6は平行六面体である。それゆえ、その横方向寸法、すなわち、その長手軸3に垂直な方向の寸法は、その全長にわたって一定である。それゆえ、形状係数は、長さLの、Y方向におけるテイル6の幅lに対する比である。ここで、長さLおよび幅lは、それぞれ、50μmおよび0.35μmに等しい。ここでは、磁性材料における層の厚さは0.1μmに等しい。
【0044】
加えて、テイル6に選択された横方向寸法は十分小さいため、磁界Bが加えられる場合でも、軸3に平行な磁性材料の最も磁化しやすい方向を維持する。
【0045】
ヘッド4は端部8と直接一体化されて、磁界Bが加えられる場合に、端部10の運動の振幅と比較して端部8の運動の振幅を制限する。端部8および10の運動の振幅がこのように非対称であることによって、磁界Bが加えられる場合に、微粒子2は軌道3に沿って前進できる。
【0046】
このために、ヘッド4の横方向寸法は、テイル6の横方向寸法よりも大きい。ヘッド4がこのような形状であることで、ヘッド4と溶液との間の粘性摩擦を増加させることにより、端部8の慣性を増加させることができる。それゆえ、ヘッド4に加えられる連続的な磁界が端部8の慣性の増加およびヘッド4の安定化に寄与する。これは、同じ磁界Bの存在下において、端部10の運動の振幅に対して端部8の運動の振幅を制限する。
【0047】
さらに、ヘッド4の横方向寸法を、軟質磁性材料の最も容易な磁化方向が磁界Bの方向と整列し得るように、十分大きく選択する。例えば、ヘッド4は、厚さeおよび直径5μmの水平円板である。ヘッド4の平坦な形状によって、微粒子2の流体力学特性が改善される。
【0048】
微粒子2の集合的な製造方法を、以下、図2の方法および図3〜図6の図面に関して説明する。
【0049】
初めに、ステップ20の期間中に、基板24上に垂直方向メサ22のアレイが作製される(図3)。これらのメサ22は、微粒子2を破壊することのない溶媒または別のタイプのエッチングを使用することによって除去できる犠牲材料から作製される。
【0050】
各メサ22の頂部の面は微粒子2の横断面と同一である。しかしながら、図3、図5および図6を単純にするために、この横断面を矩形にして示す。
【0051】
例えば、メサ22のアレイは、光または電子リソグラフィによって作製される。メサ22のアレイはナノプリントによって作製してもよい。メサ22の作製に使用される犠牲材料は、ポリマーなどのレジスト、または微粒子2を破壊しない溶媒に溶解可能な任意の他の材料である。
【0052】
メサ22が作製されたら、ステップ26の期間中に、各メサ22の頂部に軟質磁性材料の層を堆積させる。例えば、磁性材料の層は、メサ22の垂直面には堆積させない。
【0053】
ここで、軟質磁性材料の層は、3つの副層、それぞれNiFe合金、ルテニウム(Ru)、およびNiFe合金の積層体によって作製される。副層を図4に示す。ステップ26後に得られた結果を図5に示す。
【0054】
次いで、ステップ28の期間中に、基板24の微粒子2を剥離する(すなわち「リフトオフ」する)。そのために、犠牲材料を除去する。例えば、溶媒を使用して微粒子2を剥離させる。それゆえ、メサ22の頂部に形成された微粒子2は、溶媒中に放出され、溶媒中で自由に動けるようになる。
【0055】
ステップ28後に得られる結果を図6に示す。
【0056】
ここで説明する方法は、多数の微粒子2を集合的かつ同時に製造するための方法である。そのような製造方法に関する追加的な情報は、以下の文献に見られるであろう:
Wei Hu et al.,“High-moment antiferromagnetic nanoparticles tunable magnetic properties,”Advanced Materials, 2008, 20, 1479-1483, Willey-VCH, Verlag Gmbh and Co.。
【0057】
図7および図8に関して以下説明するように、このように作製された微粒子2は、ステップ28の期間中に使用された溶媒などの粘性溶液または任意の他の粘性溶液中で変位する。
【0058】
時刻tにおいて(図7)、磁界Bの方向は、XY平面に含まれており、Y方向と非ゼロの角度θをなしている。
【0059】
テイル6の横方向寸法ゆえに、テイル6の磁気モーメントMは長手軸3と整列したままである。さらに、ここでは、テイルの磁気モーメントMの方向をヘッドの方に体系的に向けるように角度θを選択する。それゆえ、モーメントMの方向と磁界Bの方向との間の角変位が大きいため、テイル6に高トルクがかけられる。
【0060】
同時に、ヘッド4の横方向寸法が大きい故に、ヘッド4の磁気モーメントMが磁界Bの方向と整列される。それゆえ、磁気モーメントMの方向と磁界Bの方向との間の角変位は小さい。それゆえ、ヘッド4にかけられるトルクは、テイル6にかけられるトルクよりも少なくとも2倍小さい。ここで、ヘッド4へのトルクは、ゼロまたはほとんどゼロである。それゆえ、この実施形態では、微粒子2の特定の幾何学的形状によって、ヘッド4の磁性材料の量がテイル6の磁性材料の量よりも多いかまたははるかに多い場合、ヘッド4にかけるよりもテイル6にかけるトルクを高くすることができる。
【0061】
これらの条件下で、テイル6はX、Y平面で曲がり、図7に点線で示すような位置に達する。同時に、ヘッド4はほとんど回転しない。
【0062】
その後の時刻tでは(図8)、磁界Bは、時刻tの磁界Bの方向Xに対して対称的である。上述の通り、テイル6の磁気モーメントMは、このテイルの長手軸と整列したままである一方、ヘッド4の磁気モーメントMは、磁界Bの方向と整列するように回転する。これらの条件下では、テイル6はX、Y平面で曲がり、図8に点線で示すような位置に達する。
【0063】
図7および図8に示す2つの方向間で磁界Bの方向を変更することによって、テイル6のビート作用が得られる。このビートは、鞭毛のビートのように、微粒子2を軌道3に沿って推進させる。これらのビート中、端部10は、それぞれ図7および図8に示すような2つの極端な位置の間でX、Y平面において変位する。
【0064】
微粒子2の他の多くの実施形態が可能である。例えば、図9は、テイル42とヘッド44とを含む微粒子40を示す。テイル42は、例えば、テイル6と同一である。ヘッド44の断面はテイル42の断面と同一である。しかしながら、ヘッド44は、例えばテイル42に使用される磁性材料よりも密度が高い非磁性材料などの材料で作製される。それゆえ、近位端部を変位させる慣性は、遠位端部を変位させる慣性よりも大きい。それゆえ、このヘッド44は、テイル42の断面と必ずしも異なる断面を有することなく、その遠位端部の運動の振幅に対してテイル42の近位端部の運動の振幅を制限する。
【0065】
図10は、テイル52と、尖頭ヘッド54とを備えた微粒子50を示す。テイル52の磁気モーメントMの方向は方向Zと平行にある、すなわち、テイル52を作製するために使用された磁性材料の層の平面に垂直である。このために、テイル52を作製するために使用された磁性材料は、層の平面に垂直な異方性を示す磁性材料である。使用される磁性材料は、例えば、コバルト(Co)および白金(Pt)のいくつかの層で構成される多層である。
【0066】
例えば、ヘッド54は軟質磁性材料または非磁性材料(non-magnetic, amagnetic)で作製される。
【0067】
この微粒子50は、2つの磁界Bz1およびBz2を交互に受ける場合、溶液中で変位される。磁界Bz1およびBz2は、モーメントMの方向に対して傾斜している。ここで、磁界Bz1およびBz2の方向は、X、Z平面に平行な平面に含まれ、方向Xに対して、それぞれ、+45°および−45°傾斜している。そのため、図7および図8に関して説明したような水平X、Y平面ではなく、垂直X、Z平面においてテイル52のビートが行われる。これらの条件下では、溶液に影響するテイル52の表面が大きくなり、それにより、微粒子50の変位の効率を高める。
【0068】
図11は、テイル62とヘッド64とを備える微粒子60を示す。ヘッド64は平行六面体であり、その最大の面がX、Y平面に平行している。
【0069】
テイル62は、テイルを形成する層の平面がX、Y平面に対して傾斜していることを除いて、例えば、テイル6と同一である。テイル62がこのような構成であることによって、溶液に影響するテイルの表面を大きくでき、それゆえ推進力を大きくできる。結論を言えば、これにより微粒子60の変位を促進する。
【0070】
図12は、テイル6を2つのテイル72および74で置き換えていることを除いて、微粒子2と同一である微粒子70を表す。テイル72および74は、ヘッド4の重心を通る垂直平面に対して互いに対称的である。ここで、この垂直平面は軸3を含む。静止状態において、各テイル72、74は湾曲して、X、Y平面に湾曲部(それぞれ76および78)を形成する。これらの湾曲部は、テイルの近位端部と遠位端部との間にある。例えば、湾曲部76および78は、テイル72および74の長さの中心に形成される。
【0071】
図12では、細い線に示されるテイル72および74の位置は、外部交番磁界がない場合のこれらのテイルの位置に対応する。方向Yと平行して交番磁界Bが加えられる場合、湾曲部76および78は、テイル72および74が図12に点線で示す位置に達するように折り畳まれる。磁界Bが再び消失する場合、テイル72および74は、例えば弾性変形によって、実線で示されるそれらの位置を見つける。それゆえ、テイル72および74は、磁界Bが存在する場合に、微粒子70を変位させるために水泳の平泳ぎの運動に近い運動を行う。
【0072】
この実施形態では、テイル72および74は、軟質磁性材料を使用することによって作製される。
【0073】
図13は、テイル84に接続されたヘッド82を含む微粒子80の側面図を示す。ヘッド82およびテイル84は、非磁性材料86の層86から一体形で作製される。
【0074】
磁気パッド88が表面86にエッチングされて、テイル84の磁気素子を形成し、外部交番磁界が存在するときにテイル84のビートを可能にする。
【0075】
ヘッド82の慣性を増加させるために、ヘッド82のレベルの層86に磁性または非磁性材料のパッド90を作製し得る。
【0076】
パッド88および90は、例えば、微粒子80の製造中に、磁性材料に同じ層をエッチングすることによって作製してもよい。
【0077】
図13は、微粒子のテイルが設けられている磁気素子が、必ずしも、近位端部から遠位端部まで連続的に延在する磁性材料の層ではないことを示す。加えて、図示の通り、テイル84はいくつかの独立した磁気素子を含んでもよい。しかしながら、変形例では、テイルは、単一パッド88のような単一の磁気素子を含む。
【0078】
図14は、ヘッド92とテイル94とを備える微粒子90の側面図を示す。ヘッド92は、磁性または非磁性材料の層96から作製される。
【0079】
テイル94の近位端部ならびにテイル94の大部分も層96に作製される。
【0080】
テイル94はまた、例えば磁性材料の層98を含み、層98は、層96を越えて、方向Xに平行にテイル94の遠位端部まで延在する。層96および98は重複ゾーンにおいて重なりあって、テイル94の近位端部と遠位端部を機械的に接続する。
【0081】
微粒子のヘッドには多くの異なる形状が可能であり、例えばヘッドは正方形としてもよいし、円板、平行六面体の形状を有しても、または楕円体、円錐形または他の横断面形状を有してもよい。概して、微粒子の流体力学特性を向上させるためにヘッドの形状を最適にする。
【0082】
テイルのビートは、必ずしも、平面における遠位端部の運動を制限しない。テイルの形状および加えられる交番磁界の方向に依存して、テイルの変形は、平面の外側の遠位端部の変位をもたらし得る。
【0083】
先の異なる実施形態で使用された磁性材料は軟質でも硬質でもよい。
【0084】
それゆえ、粒子は:
− ヘッドおよびテイルを形成する単一の磁気層(フォトリソグラフィまたはナノプリントによって得られる任意のパターンのように、上面図でのその形状は自由に設計される);または
− 頂部に、特にテイルに磁気部分が堆積された、依然として一体形(例えば銅)の、非磁性層
のいずれかで形成される。
【0085】
好ましくは、ヘッドが磁性材料製である場合、ヘッドは、唯一、テイルと一体形の材料を形成する。
【0086】
テイルの断面は、必ずしも均一ではない。例えば、断面は、隆起を示してもよいし、または遠位端部に向かって拡大しても、反対に、狭くなってもよい。
【0087】
微粒子は、微粒子を推進させるためにビートが可能な2つまたは4つ以上のテイルを有してもよい。
【0088】
微粒子のテイルは、必ずしも静止状態において直線的ではない。例えば、特定の実施形態では、テイルの近位端部は、ヘッドの前部に接続され、その後再び湾曲してヘッドの後部に向かって延在する。
【0089】
おそらく、製造方法のステップ26の期間中に磁気層以外の他の層も堆積させてよい。例えば、微粒子2の外部層は、金またはシリカなどの生体適合性材料製である。
【0090】
犠牲材料にメサが作製される以外の他の製造方法が使用可能である。例えば、基板に堆積された犠牲層に、微粒子を構成する異なる層を堆積させてもよい。次いで、層の積層体をエッチングして微粒子のヘッドおよびテイルを形成し、その後、基板から微粒子を剥離するために犠牲層を除去する。微粒子を形成する層の積層体からいくつかの層を異なって付形するために、いくつかのエッチングステップを使用してもよい。例えば、いくつかのエッチングステップは、図13および図14の実施形態からの微粒子を作製するために必須である。
【0091】
微粒子を変位させるためには交番磁界が必須である。しかしながら、この交番磁界が極性を変更することは必須ではない。
【0092】
加えて、粒子を変位方向に整列させるために連続的な磁界を使用することは、もはや必要ではない。実際、微粒子を変位させるためには、交番磁界を、テイルにおける磁気素子の磁気モーメントに平行ではない方向に加えることで十分である。加えられた磁界の方向とテイルの磁気素子の磁気モーメントとの間にわずかな不整合が存在するとすぐに、微粒子は変位される可能性がある。しかしながら、理想的には、テイルの磁気素子の磁気モーメントは交番磁界に垂直で、変位の効率を最大にする。
【0093】
必須ではないが、交番磁界はおそらく回転磁界、すなわち、軌道3と同一線上の軸などの軸の周りで方向が回転する磁界である可能性がある;しかし、この回転磁界は本発明の実施に必要不可欠ではない。
【0094】
他の推進作用を、テイルのビート作用に加えてもよい。例えば、磁界強度の勾配を使用してもよいし、または微粒子を流体の流れによって運んでもよい。
【0095】
最後に、交番磁界は必ずしも正弦曲線的でも周期的でもないことに留意されたい。特に、磁界がテイルをその静止位置から動かす傾向にある場合および磁界がテイルをその静止位置に戻す傾向にある場合、磁界の変化の速度は異なってもよい。例えば、磁界を連続パルスによって加えてもよい。第1のパルス中、磁界は一方向にのみ加えられてから、スイッチオフとなる。パルス時間よりも長い時間間隔後、第2の磁界パルスが加えられる。第2のパルス中、磁界は例えば反対方向に加えられる。これらの第1および第2のパルスは交互に繰り返されて、微粒子を断続的に前進させる。例えば、磁界パルスが存在しない時間間隔中、テイルは弛緩してその静止位置に戻る。この実施形態では、テイルのみが弾性変形する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 軌道を横切るビート作用によって、溶液中において微粒子(2、40、50、60)を軌道に沿って推進させることができる少なくとも1つの長方形の可撓性テイル(6、42、52、62)であって、前記テイルがこの目的のために少なくとも1つの磁気素子を含んでいて、前記軌道に対して非同一直線上の外部交番磁界の作用下で前記磁気素子が前記テイル(6、42、52、62)にビートを行わせる、テイル(6、42、52、62)と、
− 前記テイルの近位端部に機械的に接続されたヘッド(4、44、54、64)と
を含む微粒子(2、40、50、60)であって、
前記微粒子が、一体形で形成されかつ前記テイル(6、42、52、62)と前記ヘッド(4、44、54、64)とを含む材料の少なくとも1つの層を含み、および、
前記ヘッド(4、44、54、64)の寸法および/または形状を、前記テイル(6、42、52、62)の前記近位端部のビートが、前記テイル(6、42、52、62)の前記遠位端部のビートに対して制限され、前記ヘッド(4、44、54、64)が、前記外部交番磁界の影響下で前記軌道に平行な軸の周りを完全に一周しないように選択されることを特徴とする微粒子(2、40、50、60)。
【請求項2】
前記テイルの寸法および/または形状が、前記テイルの磁気モーメントの方向が前記テイルの長手軸に維持されるように選択されることを特徴とする請求項1に記載の微粒子(2)。
【請求項3】
一体形で形成された前記層が磁性材料の層であることを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子(2)。
【請求項4】
前記磁性材料が軟質磁性材料であり、前記ヘッド(4)の形状が、形状異方性なしで、例えば実質的に丸い形状から選択され、前記ヘッドの磁気モーメントが前記交番磁界の方向に沿って自然発生的に整列されることを特徴とする請求項3に記載の微粒子(2)。
【請求項5】
前記ヘッド(4)の横方向寸法を、前記軟質磁性材料の磁化方向が前記交番磁界の方向に沿って整列されるように、十分大きく選択することを特徴とする請求項4に記載の微粒子(2)。
【請求項6】
前記磁性材料が、前記テイル(6)の長さに平行な磁化の硬質磁性材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子(2)。
【請求項7】
前記磁性材料が、前記テイル(6)の面外に向けられた自然発生的な磁化を有する磁性材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子(2)。
【請求項8】
前記材料が非磁性材料であり、磁気部分が少なくとも前記テイル(6)上に堆積されることを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子(2)。
【請求項9】
前記テイル(6)の長さが、前記テイル(6)の横方向寸法の1つよりも少なくとも5倍、好ましくは10倍または100倍長いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の微粒子(2)。
【請求項10】
前記層に生体適合性材料が堆積されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の微粒子(2)。
【請求項11】
前記微粒子が、前記ヘッドに移植された興味のある要素を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の微粒子(2)。
【請求項12】
前記微粒子が、前記ヘッド(7)に機械的に接続された第1のテイル(72)と、前記層の平面に垂直かつ前記ヘッドの重心を通る平面に対して前記第1のテイルと対称的である第2のテイル(74)とを含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項13】
前記テイル(72、74)が、前記交番磁界がない場合、その近位端部と遠位端部との間に湾曲部を体系的に形成することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項14】
前記ヘッド(64)および前記テイル(62)が平面的であり、前記テイルの前記層の平面が前記ヘッドの平面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法であって、
− 基板に少なくとも1つの層を堆積(26)させておよび/または基板に堆積された少なくとも1つの層を構造化して、前記テイルおよび前記ヘッドを一体成形で形成するステップ、
− 前記基板から前記テイルおよび前記ヘッドを剥離(28)するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の複数の微粒子の集合的な製造方法であって、
− 基板上にメサのアレイを作製するステップであって、前記メサが犠牲材料で作製されており、各メサの頂部が微粒子の形状を示し、材料の前記層が、一体形で形成されかつ前記テイルと前記ヘッドとを含む、ステップ;
− 前記粒子が剥離されるように前記第1の犠牲材料を除去するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
− 基板上に前記犠牲材料の層を堆積させるステップ;
− 前記メサの頂部が、製造したい微粒子の形状を示す、前記メサを形成することによって、犠牲材料の前記層を構造化するステップ;
− 前記微粒子作製材料を堆積させるステップであって、前記作製材料が前記メサの頂部を覆うステップ;
− 前記作製材料によって形成された前記粒子が剥離されるように、前記犠牲材料を除去するステップ
を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
− 基板上に前記犠牲材料の層を堆積させるステップ;
− 前記微粒子を作製するための前記材料の少なくとも1つの層を堆積させるステップ;
− 前記メサの頂部が、作製したい微粒子の形状を示す、前記メサを形成することによって、犠牲材料の前記層および作製材料の前記層を構造化するステップ;
− 前記作製材料によって形成された前記粒子を剥離するように前記犠牲材料を除去するステップ
を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−505568(P2013−505568A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529290(P2012−529290)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063725
【国際公開番号】WO2011/033080
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(510277394)
【氏名又は名称原語表記】Commissariat a lenergie atomique et aux energies alternatives
【住所又は居所原語表記】25,rue Leblanc,Batiment  Le Ponant D  75015,Paris,France
【出願人】(500119374)センター ナショナル ドゥ ラ リシェルシェ サイエンティフィック (5)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【住所又は居所原語表記】3 rue Michel Ange F−75794 Paris(FR)
【Fターム(参考)】