磁束ピンニングを改善するためのプレファブ式に作製されたナノ構造を有する超伝導部材
基板と、この基板の上に重なるバッファ層と、このバッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層からなる超伝導部材である。HTS層は複数のナノロッドを含む。基板テープを提供する段階と、この基板テープの上に重なるバッファ層を蒸着する段階と、前記バッファ層の上に重なるドットアレイを形成する段階と、前記ナノドットアレイの上にそれを核とするナノロッドのアレイを蒸着する段階と、前記ナノロッドのアレイの周りに、バッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階からなる超伝導部材を形成する方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府の支援による研究あるいは開発に関する記述
非適用。
【0002】
技術分野
この発明は一般に超伝導部材に関する。さらに詳しくは、この発明は磁束ピンニングを改善するためのプレファブ式に作製されたナノ構造を有する超伝導部材に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
超伝導材料は当該技術分野においては長年にわたって周知のものであり、理解されてきた。液体ヘリウムを用いる必要があるような温度(4.2 k)で超伝導特性を示す低温超伝導体(低tcあるいは1ts)は、1911年から知られていた。しかし、酸化物をベースとした高温超伝導体(高tc)は比較的最近まで見つかっていなかった。1986年頃、液体窒素の温度(77 K)以上の温度で超伝導特性を有する最初の高温超伝導体(HTS)、すなわちyba2cu3o7-x(YBCO)が発見された。そのあと、過去15年にわたって、bi2sr2ca2cu3o10+y(BSCCO)やその他のものも含めて別の材料が開発されてきた。高tcの超伝導体の開発によって、液体ヘリウムをベースとした比較的高価な極低温設備ではなく、液体窒素を用いたそうした超伝導体の動作コストが部分的な理由となって、経済的に実現性のある超伝導部品や、そうした材料を組み込んだ他のデバイスを開発する可能性が生じた。
【0004】
産業界では、可能性のある多くの応用のうち、発電や電力の輸送、分配、貯蔵などを含めて、電力産業におえるそうした材料の利用を検討してきた。この点については、銅をベースとした商用の電力部品が本来有する抵抗のために、電力損失は年に何億ドルにもなると見積もられている。したがって、電力業界は、輸送および分配用の電力ケーブル、発電機、変圧器、および事故電流遮断器/制限器などの電力部品に、高温超伝導体を利用することによる利益に固執している(stand to gain)。さらに、電力業界における高温超伝導体のその他の利点としては、従来の技術に対して、電力処理能力が3-10倍増大すること、電力設備のサイズおよび重量(すなわち設置面積(footprint))を著しく低減できること、環境影響が低減されること、安全性が向上すること、能力が増大することがある。高温超伝導体のそうした潜在的な利点は極めて魅力的である一方で、高温超伝導体を大規模に製造したり商業化したりするには多くの技術的な課題が依然として存在している。
【0005】
高温超伝導体の商業化に関係する課題の中には、さまざまな電力部品を形成するために利用することのできる超伝導テープセグメント(segment)の製造に関するものが多く存在する。超伝導テープセグメントの第1世代では、上述したBSCCO高温超伝導体が使用されている。この材料は一般的にディスクリートなフィラメントの形で提供され、代表的には銀である貴金属のマトリックスの中に埋め込まれている。そうした導体は電力産業で実施するのに必要とされる長大な長さ(キロメートルのオーダなど)で製造されるが、材料および製造のコストのために、そうしたテープは商業的に広く実現された製品にはなっていない。
【0006】
したがって、商業的に優れた実現性を有する、いわゆる第2世代のHTSには非常に大きな関心が持たれてきた。これらのテープは一般に層状の構造を有していて、機械的な支持を与えるフレキシブル基板と、この基板の上に重なる(overlie)少なくとも一つのバッファ層と、バッファフィルムの上に重なるHTS層と、オプションとして設けられる、超伝導体層の上に重なるキャッピング層および/あるいはオプションで設けられる、キャッピング層の上に重なるか構造全体の周りに設けられる電気安定化層を含んでいる。このときのバッファ層は、オプションとして、多数のフィルムを含んでいる。しかしながら、今のところ、そうした第2世代のテープとそうしたテープを組み込んだデバイスを完全に商業化するには、多くの技術的な、また製造上の課題が残っている。
【0007】
重要なことは、HTSテープの臨界電流は強い磁界が存在することによって大きく影響を受けることである。さらに、テープに対する磁界の角度は臨界電流に対して著しく影響する。例えば、1テスラ(t)で77 Kにおける臨界電流は、磁界が存在しないときに比べて、磁界の角度によって7から10の係数で減少し得る。一つの特定の課題は、HTSテープの臨界電流に対する磁界の影響を低減することである。さらに、磁界が存在するときの臨界電流の角度依存性は著しい異方性を示し、磁界がテープと平行な方向を向いているときには臨界電流がピークになり、磁界がこの方向から離れるにつれて臨界電流は急激に低下する。したがって、別の課題は、テープと平行な方向ではない磁界方向における臨界電流を改善することである。したがって、強い磁界中における性能が改善されたHTSテープが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
ある実施の形態においては、超伝導部材は、基板と、基板の上に重なるバッファ層と、バッファ層の上に重なる高温超伝導体(HTS)層を含んでいる。HTS層は複数のナノロッドを含むことができる。ある実施の形態においては、複数のナノロッドの各々はHTS層の厚みの少なくとも約50%にわたって延びている。別の実施の形態においては、ナノロッドは互いにほぼ平行である。さらに別の実施の形態においては、複数のナノロッドは規則性のアレイを形成している。
【0009】
別の実施の形態においては、超伝導部材を形成する方法は、基板テープを提供する段階と、基板テープの上に重なるバッファ層を形成する段階と、複数のナノロッドを形成する段階と、バッファ層の上に重なる複数のナノロッドの周りに高温超伝導体(HTS)層を蒸着する段階を含んでいる。ある実施の形態においては、複数のナノロッドを形成する段階は、ポリマコーティングを施す段階と、このポリマコーティングを貫くナノホールを形成する段階と、このナノホールの内部に金属を電子蒸着してナノロッドを形成する段階と、ポリマコーティングを除去する段階を含むことができる。別の実施の形態においては、複数のナノロッドを形成する段階は、バッファ層の上に重なるナノポーラス層を形成する段階と、このナノポーラス層内部のナノポアのアレイの中に金属を電子蒸着してナノロッドを形成する段階と、ナノポーラス層を除去する段階を含むことができる。さらに別の実施の形態においては、複数のナノロッドを形成する段階は、バッファ層の上に重なるナノドットアレイを形成する段階と、このナノドットアレイによって核が形成されるナノロッドアレイを蒸着する段階を含むことができる。さらに別の実施の形態においては、複数のナノロッドを形成する段階は、ナノロッド材料を蒸発させて材料クラウドを形成する段階と、この材料クラウドを貫いて電子ビームを基板テープの方へ導く段階と、そうすることによってバッファ層の上に重なるナノロッドアレイを蒸着する段階を含むことができる。
【0010】
添付図面を参照することによって、当該分野における技術者はこの発明をより理解でき、その多くの特徴や利点が明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ある実施の形態によって超伝導部材の一般的な構造を描いた斜視図を示している。
【図2】超伝導部材の内部にナノ構造をプレファブ式に作製する(prefabricate)方法の例を示している。
【図3】ある実施の形態によるプレファブ式に作製されたナノ構造の顕微鏡写真を示している。
【図4】超伝導部材の内部にナノ構造をプレファブ式に作製する方法の別の例を示している。
【図5】ある実施の形態による化学気相成長を用いて形成されたZnOナノ構造の顕微鏡写真を示している。
【図6】別の実施の形態におけるプレファブ式に作製されたナノ構造の顕微鏡写真を示している。
【図7】BZOの自己組織化されたナノ構造の顕微鏡写真を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
異なる図において同一の参照番号を使用している場合は、同様の又は同一の事項を示している。
【0013】
ここで、図1を参照する。図には、この発明の実施の形態による超伝導部材100の一般化された層構造が描かれている。超伝導部材は、基板10と、基板10の上に重なるバッファ層12と、超伝導体層14を含んでいて、そのあとに貴金属などのキャッピング層16と、銅などの非貴金属などの安定化層18が付けられる。バッファ層12はいくつかの異なるフィルムから構成されていてもよい。安定化層18は超伝導部材100の周りに延びていて、それを包み込んでいる。
【0014】
基板10は、一般に少なくとも二つの金属元素の合金など、金属をベースとしている。相応しい基板材料には、ステンレススチール合金や、周知の合金であるHASTELLOY(R)(登録標章)あるいはINCONEL(R)(登録商標)グループなどのニッケルをベースとした合金が含まれる。これらの合金は、望ましいクリープ特性や、化学的特性、そして膨張係数や、引っ張り強さ、降伏強さ、伸張を含めた機械的特性を有する傾向がある。これらの金属は一般に巻き取ったテープの形で市販されており、リール−リール間でテープを取り扱う超伝導テープの製造に適している。
【0015】
基板10は一般的にはテープ状の構造を有していて、大きな寸法比を有している。ここで使用する場合の“寸法比(dimension ratio)”という用語は、基板あるいはテープの長さと、次に長い寸法、すなわち基板あるいはテープの幅との比を指すために使われている。例えば、テープの幅は一般に約0.1から約10 cmのオーダであり、テープの長さは少なくとも約0.1 mであり、別の場合には約5 mよりも長い。基板10を有する超伝導テープは100 mあるいはそれ以上のオーダの長さを有している。したがって、基板はかなり大きな、すなわち10以上か、約102以上か、あるいは場合によって約103以上のオーダの寸法比を有する。ある実施の形態はもっと長くて、104かそれ以上の寸法比を有している。
【0016】
一つの実施の形態においては、基板は、超伝導テープを構成する層をそのあとに蒸着するために、望ましい表面特性を有するような処理が行われる。例えば、表面は所望の平坦度と表面粗さにまで研磨される。また、ここでの実施の形態は上述したニッケルをベースとした市販で入手できるテープなど、テクスチャ処理されていない多結晶基板を用いているが、表面は、周知のラビッツ(rabbits)(ロールで支援した2軸テクスチャ基板(roll assisted biaxially texturedsubstrate))法など、当該分野で知られた2軸テクスチャ処理(biaxially textured)を行ってもよい。
【0017】
ここで、バッファ層12に戻る。バッファ層は単一層でもよいし、より一般的にはいくつかのフィルムから形成された多層でもよい。バッファ層は2軸テクスチャ処理されたフィルムを含んでおり、フィルムの面内と面外の両方において結晶軸に沿って揃えられた結晶性テクスチャを有している。そうした2軸テクスチャはイオンビームアシスト蒸着(IBAD)によって行われる。イオンビームアシスト蒸着は、優れた超伝導特性を得るための望ましい結晶方位を有する超伝導体層をそのあとに形成するために、適切にテクスチャ処理されたバッファ層を形成するのに一般的に利用されている方法である。酸化マグネシウム(MgO)はIBADフィルムに対して選択される代表的な材料であり、約5から約50ナノメートルなど、約1から約500ナノメートルのオーダである。一般的に、IBADフィルムは、ここに参考のために組み込まれている米国特許第6,190,752号で定義され、記述されているように、岩塩のような結晶構造を有している。
【0018】
バッファ層は、IBADフィルムと基板との間に、これと直接に接するように設けられるバリアフィルムなどの、別のフィルムを含んでいてもよい。この点については、バリアフィルムはイットリアなどの酸化物から形成されていることが好ましく、基板をIBADフィルムから隔離する機能を有している。バリアフィルムはまた、窒化シリコンなど、非酸化物から形成されていてもよい。バリアフィルムを蒸着するのに適した方法には、化学気相成長や、スパッタリングを含めた物理気相成長がある。バリアフィルムの代表的な厚みは約1から約200ナノメートルの範囲内である。さらに、バッファ層はエピタキシャル成長でIBADフィルムの上に形成されたものでもよい。これについては、エピタキシャル成長されたフィルムはIBADフィルムの厚みを増すのに効果的であり、MgOあるいはその他の相性のよい材料などIBAD層に対して利用される同じ材料から主として形成されていることが望ましい。
【0019】
MgOをベースとしたIBADフィルムおよび/あるいはエピタキシャルフィルムを利用した実施の形態においては、MgO材料と超伝導体層の材料との間に格子不整合が存在する。したがって、バッファ層は、超伝導体層とその下にあるIBADフィルムおよび/あるいはエピタキシャルフィルムとの間の格子定数の不整合を低減するために設けられる別のバッファフィルムを含んでいてもよい。このバッファフィルムはYSZ(イットリアで安定化したジルコニア(yttria-stabilized zirconia))、酸化マグネシウム、セリア、ガドリニウムジルコニウム酸化物(gadolinium zirconium oxide)、ルテニウム酸ストロンチウム(strontium ruthenate)、マンガン酸ランタン(lanthanum manganate)、および一般にペロブスカイト構造のセラミック材料などの材料から形成されている。バッファフィルムはさまざまな物理気相成長法によって蒸着される。
【0020】
以上ではIBADなどのテクスチャプロセスによってバッファスタック(層)中に2軸テクスチャを設けることに主として焦点を当ててきたが、別の場合には基板表面自身に2軸テクスチャが施される。この場合には、バッファ層は一般にテクスチャ基板の上でエピタキシャル成長されて、バッファ層の2軸テクスチャが保存される。2軸テクスチャ基板を形成する一つのプロセスはラビッツ(RABITS)(roll assisted biaxially textured substrate)として当該分野で知られたプロセスであり、これは当該分野では一般によく理解されているものである。
【0021】
超伝導体層14は一般に高温超伝導体(HTS)層の形である。HTS材料は、液体窒素の温度である77 K以上で超伝導特性を有するような高温超伝導材料の任意のものから選択される。そうした材料には、例えば、yba2cu3o7-x、bi2sr2cacu2oz、bi2sr2ca2cu3o10+y、tl2ba2ca2cu3o10+y、およびhgba2ca2cu3o8+yが含まれる。材料の一つのクラスにはreba2cu3o7-xがある。ここで、0≧x>1であり、reは希土類元素あるいは希土類元素の組み合わせである。上述したもののうち、一般にYBCOとも呼ばれるyba2cu3o7-xを利用してもよい。YBCOは、例えばサマリウムやガドリニウム、ジスプロシウム、およびホルミウムなどの希土類材料などのドーパントが添加されるか、あるいは添加されずに使用される。超伝導体層14は厚膜および薄膜の形成技術を含めたさまざまな方法の任意のものによって形成される。高速の蒸着速度を得るためには、パルスレーザ蒸着(PLD)など、薄膜の物理気相成長を用いることができ、低コストで大きな表面積を処理するためには化学気相成長(CVD)を用いることができる。超伝導体層は約0.1から約30ミクロンのオーダの厚みを有し、別の場合には、超伝導体層14に関して所望の定格電流を得るために、約1から約5ミクロンなど、約0.5から約20ミクロンのオーダの厚みを有している。
【0022】
ある実施の形態においては、HTS層はプレファブ式に作製されたナノ構造を含むことができる。このナノ構造は複数のナノロッドを含むことができる。ナノロッドは、超伝導部材の臨界電流に対する磁界の影響を低減するために、磁界の磁束線をピン止めする(pin)働きを行うことができる。ナノロッドは、HTS層の厚みの少なくとも約60%や、HTS層の厚みの少なくとも約70%、あるいは場合によってHTS層の厚みの少なくとも約80%など、HTS層の厚みの少なくとも約50%にわたって延びている。ある実施の形態においては、ナノロッドは、HTS層の厚みの少なくとも約90%や、HTS層の厚みの少なくとも約95%、あるいは場合によってHTS層の厚みの少なくとも約99%など、HTS層の厚みの少なくとも約85%にわたって延びている。
【0023】
ナノロッドは、約0.1ミクロンから3.0ミクロンの間など、約0.1ミクロンから約10.0ミクロンの間の高さを有することができる。さらに、ナノロッドは、約50 nm以下か、場合によって約10 nm以下など、約0.5 nmから約100 nmの間の直径を有することができる。ある実施の形態においては、ナノロッドは、隣接するナノロッドの間の平均間隔が、その直径の約0.5倍から直径の約100倍の間であるように配置することができる。別の実施の形態においては、平均間隔は約5 nmから約50 nmの間である。さらに、HTS層は約30vol%以下のナノロッドを含んでいてもよい。
【0024】
ある実施の形態においては、複数のナノロッドは互いにほぼ平行である。すなわち、複数のナノロッドはすべて同じ方向を向いている。別の場合には、複数のナノロッドの少なくとも一部は、その他のナノロッドと平行でなくてもよい。例えば、複数のナノロッドは、第1の方向を向いたナノロッドの第1の部分と、第2の方向を向いたナノロッドの第2の部分を含むことができる。
【0025】
ある実施の形態においては、ナノロッドは基板表面に対して直角の方向を向いていてもよい。別の場合には、ナノロッドは例えば45°の角度など、基板に対して直角ではない方向を向いていてもよい。ナノロッドはナノロッドと平行な磁界の効果を低減するのに有効である。別の実施の形態においては、ナノロッドはランダムな方向を向いている。そうした構造は、磁界の方向が有する角度範囲の全体にわたって磁束ピンニングを改善するには好ましい。
【0026】
別の実施の形態においては、複数のナノロッドは規則性を有するアレイ状に配置することができる。一般的に、規則性アレイは、隣接するロッドの各対の間に決められた間隔を有している。例えば、ナノロッドは、隣接するナノロッドの間の間隔がほぼ一定であるような正方形アレイに配置することができる。別の場合には、テープの幅方向において隣接するナノロッド間の間隔は、長さに方向に沿って隣接するナノロッド間の間隔とは違っていてもよい。別の実施の形態においては、複数のナノロッドはランダムに配置することができる。ナノロッドの密度、すなわち平方ミリメートル当たりのナノロッドの数は、たとえ隣接するナノロッド間の間隔が一定でないときでも、HTS層全体にわたって類似させることが好ましい。
【0027】
ナノロッドはHTS材料以外の材料から構成することができる。ナノロッドは金属を含んでいてもよい。この金属は鉄やニッケルあるいはコバルトなどの強磁性体の金属でもよいし、この金属はプラチナや金などの非強磁性体金属でもよい。さらに、ナノロッドはSnO2、TiO2、ZrO2、LaMnO3、あるいはZnOなどのセラミック材料を含んでいてもよい。ある実施の形態においては、ナノロッドはセラミック層によって囲まれた金属コアを有していてもよい。
【0028】
超伝導部材はまたキャッピング層16と安定化層18を含んでいてもよい。これらは一般に、低抵抗の境界を提供するため、また実際の使用において超伝導体が焼損しないように電気的な安定化を行うために設けられる。さらに、層16と層18は、冷却に失敗した場合、あるいは臨界電流密度を超えた場合、あるいは超伝導体層が超伝導状態から外れて抵抗体となった場合に、超伝導体に沿って電荷を連続的に流す助けをする。安定化層と超伝導体層14との間の望ましくない相互作用を防止するために、キャッピング層16には貴金属が利用される。代表的な貴金属には、金、銀、プラチナ、パラジウムが含まれる。銀はそのコストおよび一般的な入手性のよさのために使用される。キャッピング層16は、安定化層18を付着(application)するのに使用される成分が超伝導体層14の中に拡散してしまうのを防止するため十分な厚みで形成されるのがよいが、コスト的な理由で(原材料と処理コスト)一般には薄く作られる。キャッピング層16の蒸着には、dcマグネトロンスパッタリングなどの物理気相成長を含めてさまざまな方法が用いられる。
【0029】
安定化層18は一般的に超伝導体層14の上に重なるように組み込まれ、図1に示されている実施の形態においてはキャッピング層16の上に重なり、これと直接に接している。安定化層18は、過酷な環境条件や超伝導性のクエンチ(superconductivity quench)に対する安定性を向上させるための保護/シャント(shunt)層として機能する。この層は一般に高密度(dense)で、熱的および電気的に伝導性がよく、万が一、超伝導体層が故障したり、超伝導体層の臨界電流を越えたりした場合に、電流をバイパスする機能を有している。この層は、超伝導体テープの上に予め形成された(pre-formed)銅ストリップをラミネートすることによるか、あるいはハンダなどの媒介接合材料を用いることによるなど、さまざまな厚膜あるいは薄膜形成方法の任意のものによって形成される。他の方法では、物理気相成長や蒸発、スパッタリングを、無電解メッキや電気メッキなどの湿式化学処理とともに用いている(focus on)。この点について、キャッピング層16は、その上に銅を蒸着するためのシード層として機能する。キャッピング層16と安定化層18は変更してもよく、また使用しなくてもよいことに留意すべきである。
【0030】
ナノ構造をプレファブ式に作製するプロセスに話を移す。ナノ構造をプレファブ式に作製するにはさまざまな方法を使用できる。一つの実施の形態においては、ナノロッドを形成するために使用できるランダムに分布した複数のナノホールを形成するのに、高エネルギ粒子を利用することができる。図2は、ランダムに分布した複数のナノロッドを有するHTS層を形成する方法の例を示している。段階202において、テープ204が提供される。このテープは、基板と、バッファ層206と、基板およびバッファ層206の上に重なる導電層208を含んでいる。導電層208は薄いニッケル層でよい。段階210においては、ポリカーボネートフィルムなどのポリマ層212が、スピンコーティングや、その他の当該分野において周知の方法によって導電層208の上に蒸着される(deposit)。段階214においては、ポリマ層212にイオンビームが照射され、ポリマ層212の中に、損傷を受けたダメージトラック216が形成される。ポリマ層212を通過するとき、高エネルギ粒子はその経路に沿って低分子量材料からなるコアを形成する。イオンビームの照射時間および/あるいは強度を変更することによって、mm2当たりのダメージトラックの数を制御することができる。さらに、イオンビームを当てる方向を変更することによって、多くの方向にナノホールを形成することができる。結果として、さまざまな方向を向いたナノロッドが形成され、その結果、磁界方向の広い角度範囲にわたって磁束ピンニングを改善することができる。
【0031】
段階218においては、ポリマ層212を紫外線照射に曝して、ポリマ層212内のダメージトラック216をさらに発現(develop)させる。段階220においては、ポリマ層212をエッチングして、ポリマ層212内のダメージトラック216に対応したナノホール222を形成する。エッチング薬品はダメージトラック216を優先的に攻撃し、低分子量材料を、ポリマ層212の残りの部分よりも速く除去する。エッチングの時間を変更することによってナノホールの直径を制御することができる。ナノホール222はポリマ層212を貫いて導電層208まで延ばすことができる。図3aはポリマ層212の中に形成されたナノホールの顕微鏡写真を示している。
【0032】
図2に戻ると、段階224においては、ニッケルや金などの金属をナノホール222の中に電気メッキして、導電層208からポリマ層212の中を延びるナノロッド226を形成する。段階228においては、ポリマ層212をさらにエッチングプロセスに曝して、残ったポリマ層212を完全に除去し、ナノロッド226を無傷で残す。図3bおよび図3cはナノロッドの顕微鏡写真を示している。図2に戻ると、段階236においては、HTS材料を蒸着して、ナノロッド226を取り囲むHTS層を形成する。HTS材料は、PLDやCVD、噴霧熱分解など、当該分野において周知のさまざまな方法の一つを用いて蒸着することができる。
【0033】
ある実施の形態においては、HTS材料を蒸着するまえに、ニッケル酸化物を形成するなど、導電層を酸化することができる。さらに、HTS材料を蒸着するまえに、ニッケル酸化物の上にlamno3の層を蒸着してもよい。
【0034】
第2の実施の形態においては、ナノロッドはナノポーラステンプレートを用いて形成することができる。図4は、ナノポーラステンプレートを用いてHTS層内にプレファブ式に作製されたナノ構造を形成するプロセスの例を示している。段階402においては、基板404とバッファ層406が提供される。さらに、アルミニウム層408がバッファ層406の上に蒸着される。例えば、アルミニウム層はスパッタリングや熱蒸発(thermal evaporation)によって蒸着することができる。段階410においては、陽極酸化プロセスによって、アルミニウム層408が、高度に規則性を有するナノポア414のアレイを含んだ陽極化されたアルミニウム酸化物層412に変換される。段階416においては、ニッケルや金などの金属がナノポア414の中に電着されて、ナノロッド418が形成される。段階420においては、アルミニウム酸化物層412がエッチングによって除去され、バッファ層406に付いたナノロッド418が残される。段階424においては、HTS材料を蒸着して、ナノロッド418を取り囲むHTS層426を形成する。HTS材料は、PLDやCVD、噴霧熱分解など、当該分野において周知のさまざまな方法の一つを用いて蒸着することができる。
【0035】
別の場合には、ナノロッドを形成するプロセスのときに、他の無機ナノテンプレートを使用することができる。例えば、アルミニウムとシリコンをバッファ層の上にスパッタして、シリコンマトリックスの内部に埋め込まれたアルミニウムナノロッドを形成することができる。アルミニウムは優先的にエッチングされて、シリコンマトリックスの内部にナノポアが残る。
【0036】
第3の実施の形態においては、化学気相成長あるいは化学溶液成長(chemicalsolution deposition)を用いて、予め決められた核サイトの上にナノロッドを形成することができる。例えば、コロイド状金粒子や類似の材料などを用いたナノドットアレイを、ナノロッドに対する核サイトとしてバッファ表面上に蒸着することができる。気体−固体−液体の相の成長を用いて、ナノドットを核サイトとして用いてナノロッドを成長することができる。例えば、ZnOをグラファイトと混合して、蒸発させることができる。蒸発した材料をナノドットテンプレートの上に蒸着することができる。ナノロッドの間隔および密度はナノロッドの間隔および密度に依存する。ナノロッドの直径および長さは、蒸発の温度および時間、そして蒸着の温度および時間に依存する。磁性体酸化物などの他の材料を用いて、強磁性ピンニングにつながるナノロッドを形成することができる。さらに、HTS材料をナノロッドの周囲に蒸着して、ナノロッドを埋め込むHTS層を形成することができる。ナノロッドをナノポーラスマスクやテンプレートを必要とせずに形成するため、ナノロッドを成長させたあとにバッファ表面からマスクやテンプレートを除去するためのエッチングプロセスは不要となる。したがって、CVDナノロッド蒸着は、HTS層を蒸着するために使用されるCVD炉の上流部分で実行することができる。
【0037】
図5aから図5cはCVDによって形成されたZnOナノ構造の顕微鏡写真を示している。図5aおよび図5bは金のナノドットを使用せずに形成された、カットされた(faceted)プレート状のナノ構造を示している。図5cは、CVDを用いてフレキシブルな金属基板の上にバッファされた(buffered)テンプレートの上に形成されたZnOナノロッドを示している。
【0038】
さらに別の実施の形態においては、ナノロッドは高エネルギの収束させた電子ビームを用いて形成することができる。基板とバッファ層を含むテープを真空チャンバの内部に入れる。ナノロッド材料を、基板を取り巻く雰囲気中へ蒸発させる。電子ビームをバッファ層の表面上へ収束させ、電子ビームの経路と交わる(cross)ナノロッド材料をバッファ層の上に蒸着させる。電子ビームは数ナノメートルのオーダのスポットに収束させることができ、その結果、数ナノメートルの直径を有するナノロッドが蒸着される。電子ビームのサイズ、電流密度、ナノロッド材料の濃度、および露出時間を修正することによって、ナノロッドの長さおよび直径を制御することができる。バッファ層の表面にわたって電子ビームの焦点を移動させることによって、ナノロッドのさまざまなパターンを形成することができ、ナノロッドの密度および間隔を容易に制御することができる。図6aから図6cは収束電子ビームを用いて形成されたプラチナナノロッドの顕微鏡写真を示している。図6aはナノロッドアレイの上面図を示しており、図6bはナノロッドアレイを52°の斜視図で示している。図6cは約100nmの直径と、約600nmの長さを有する、アレイの一つのナノロッドを示している。
【0039】
ある実施の形態においては、ナノロッドはHTS材料およびHTS材料の製造に適合した酸化物から形成したり、これをコーティングしたりすることができる。Lamno3などの酸化物によって、高温処理のときに金属コアがHTS材料と反応することを防止でき、HTS材料の転移温度の劣化を防ぐことができる。さらに、酸化物層をHTS層の格子特性と整合させて、格子不整合の影響を低減することができる。
【0040】
別の場合には、ナノロッドはHTS層とナノロッドとの間の境界に歪みを誘起し、その結果、さらなるピンニングを生じさせることができる。例えば、磁気ピンニングは金属酸化物のナノチューブによって囲まれた強磁性ナノロッドを用いて実現することができる。ナノチューブによって、鉄やニッケルなどの強磁性材料がHTS材料と相互作用しないようにすることができる。さらに、ナノチューブはHTS材料と格子不整合、構造不整合、熱膨張不整合を有していて、HTS材料とナノチューブとの間に境界歪みを誘起する。この境界歪みは磁束線に対してさらなるピン止め作用を及ぼすことができる。例えば、ナノチューブは、YBCOなどのHTS材料の斜方晶ペロブスカイト構造に対して、六方構造を有するZnOから形成することができる。
【0041】
別の実施の形態においては、ナノロッドの間隔は、印加している磁界の強度に応じて選択できる。ナノロッドの密度は磁束線の密度と整合するように選択することができる。例えば、1 tの磁界中で使用するための超伝導部材は、隣接するナノロッド間の間隔を約40 nmに、5 tの磁界中で使用するための超伝導部材は、隣接するナノロッド間の間隔を約20 nmに、また15 tの磁界中で使用するための超伝導部材は、隣接するナノロッド間の間隔を約10 nmにすることができる。
【0042】
別の実施の形態においては、複数のナノロッドは、ナノロッドの第1のサブセットと、ナノロッドの第2のサブセットを含む。ナノロッドの第2のサブセットは、ナノロッドの第1のサブセットの間に配置されている。さらに、ナノロッドの第2のサブセットは、ナノロッドの第1のサブセットに対して、異なる方向、異なる間隔、異なる直径、異なる高さ、異なる材料、あるいはそれらの任意の組み合わせを有していてよい。例えば、ナノロッドの第1のサブセットはバッファ層の表面から垂直に延びる方向を有し、ナノロッドの第2のサブセットはバッファ層の表面に対して45°の角度方向を有していてもよい。
【0043】
ナノ構造を形成したら、HTS材料を、バッファ層と、それを取り囲むナノロッドの上に蒸着することができる。HTS材料は、PLD、CVD、MOCVD(有機金属CVD)、および噴霧熱分解を含む、当該分野において周知のさまざまな方法を用いることによって蒸着することができる。PLDやMOCVDなどの蒸着方法は、比較的高速で超伝導層を蒸着することができる。例えば、MOCVDを用いて、少なくとも時間当たり約10ミクロンや場合によって少なくとも時間当たり約30ミクロンなどの、少なくとも時間当たり5ミクロンの速度でHTS材料を蒸着することができる。ナノロッドがプレファブ式に作製されるために、比較的高速な蒸着を維持することを含めて、蒸着プロセスに対する変更を最小限に抑えることができる。さらに、HTS層を蒸着するあいだ、長い基板を、少なくとも時間当たり約30メートルや、場合によって少なくとも時間当たり約50メートルなど、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で蒸着ゾーンの中を移動させることができる。
【0044】
磁界をピンニングするための従来の試みには、重粒子線(heavy ion radiation)を用いてHTS材料に欠陥を生じさせるものがある。しかし、重粒子線は大規模な製造では実用的ではない。さらに最近になって、HTS材料にbazro3(BZO)やbasno3(BSO)をドープすることが試みられた。図7に示されているように、BZOやBSOの含有物はHTS層の蒸着のときに自己組織化して、ナノスケールのコラムを形成する。図7からわかるように、個々の自己組織化されたナノスケールのコラムはHTS層の厚みのほぼ全体にわたって延びているわけでもないし、バッファ層へ付いているわけでもない。むしろ、自己組織化したナノコラムは明らかにランダムな深さに核を有し、さまざまな長さで延びている。ナノ構造の自己組織化は蒸着速度に敏感であり、またHTS層の蒸着に対してかなり遅い速度が必要であることがわかった。
【0045】
少なくとも一つの実施の形態が記載されており、当該分野の通常の技術を有する者が行う実施の形態の、および/あるいは実施の形態の特徴の変形や組み合わせ、および/あるいは修正は、この発明の範囲内である。実施の形態の特徴を組み合わせたり、統合したり、かつ/あるいは省略したりすることから得られる別の実施の形態も、この発明の範囲内である。数値の範囲あるいは制限が明確に述べられているところでは、そうした明確な範囲あるいは制限は、その明確に述べられている範囲あるいは制限内にある同様の大きさを反復した範囲あるいは制限を含むものと理解すべきである(例えば約1から約10は、2、3、4などを含む;0.1以上は0.11、0.12、0.13などを含む)。例えば、下限rlと上限ruを有する数値的な範囲が述べられているときは常に、その範囲内に入る任意の数が特別な場合として(specifically)述べられている。特に、その範囲内にある以下の数が特別な場合として述べられている。すなわち、r=rl+k*(ru-rl)。ここで、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント・・・95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、100パーセントであり、1パーセントずつ増加している。さらに、上で定義したrの二つの数によって決められた任意の数値範囲も特別な場合として述べられている。請求項の任意の要素に関して、“オプションとして”という用語の使用は、その要素が必要であることを、また別の場合には必要ではないことを意味しているおり、両方とも請求項の範囲内である。なる、含む、有するなどのより広義の用語の使用は、構成される、本質的に構成される、ほぼ構成されている、などのより狭義の用語をサポートしていると理解すべきである。したがって、保護の範囲は上述した記述によって制限されるのではなく、以下の請求項によってのみ制限される。請求項の範囲は請求項の主題となる内容のすべての等価物を含んでいる。それぞれの、またすべての請求項はさらなる説明として明細書に組み込まれており、請求項はこの発明の実施の形態である。明細書中での参考文献の議論は、とくにこの特許願の優先日以降の刊行日を有する参考文献については、それが従来技術であることを認めているということではない。この明細書に引用されているすべての特許、特許願、および出版物は、この発明を補足する例示的、手続き的、あるいはその他の詳細を提供してくれる範囲で参考のために組み込まれている。
【技術分野】
【0001】
連邦政府の支援による研究あるいは開発に関する記述
非適用。
【0002】
技術分野
この発明は一般に超伝導部材に関する。さらに詳しくは、この発明は磁束ピンニングを改善するためのプレファブ式に作製されたナノ構造を有する超伝導部材に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
超伝導材料は当該技術分野においては長年にわたって周知のものであり、理解されてきた。液体ヘリウムを用いる必要があるような温度(4.2 k)で超伝導特性を示す低温超伝導体(低tcあるいは1ts)は、1911年から知られていた。しかし、酸化物をベースとした高温超伝導体(高tc)は比較的最近まで見つかっていなかった。1986年頃、液体窒素の温度(77 K)以上の温度で超伝導特性を有する最初の高温超伝導体(HTS)、すなわちyba2cu3o7-x(YBCO)が発見された。そのあと、過去15年にわたって、bi2sr2ca2cu3o10+y(BSCCO)やその他のものも含めて別の材料が開発されてきた。高tcの超伝導体の開発によって、液体ヘリウムをベースとした比較的高価な極低温設備ではなく、液体窒素を用いたそうした超伝導体の動作コストが部分的な理由となって、経済的に実現性のある超伝導部品や、そうした材料を組み込んだ他のデバイスを開発する可能性が生じた。
【0004】
産業界では、可能性のある多くの応用のうち、発電や電力の輸送、分配、貯蔵などを含めて、電力産業におえるそうした材料の利用を検討してきた。この点については、銅をベースとした商用の電力部品が本来有する抵抗のために、電力損失は年に何億ドルにもなると見積もられている。したがって、電力業界は、輸送および分配用の電力ケーブル、発電機、変圧器、および事故電流遮断器/制限器などの電力部品に、高温超伝導体を利用することによる利益に固執している(stand to gain)。さらに、電力業界における高温超伝導体のその他の利点としては、従来の技術に対して、電力処理能力が3-10倍増大すること、電力設備のサイズおよび重量(すなわち設置面積(footprint))を著しく低減できること、環境影響が低減されること、安全性が向上すること、能力が増大することがある。高温超伝導体のそうした潜在的な利点は極めて魅力的である一方で、高温超伝導体を大規模に製造したり商業化したりするには多くの技術的な課題が依然として存在している。
【0005】
高温超伝導体の商業化に関係する課題の中には、さまざまな電力部品を形成するために利用することのできる超伝導テープセグメント(segment)の製造に関するものが多く存在する。超伝導テープセグメントの第1世代では、上述したBSCCO高温超伝導体が使用されている。この材料は一般的にディスクリートなフィラメントの形で提供され、代表的には銀である貴金属のマトリックスの中に埋め込まれている。そうした導体は電力産業で実施するのに必要とされる長大な長さ(キロメートルのオーダなど)で製造されるが、材料および製造のコストのために、そうしたテープは商業的に広く実現された製品にはなっていない。
【0006】
したがって、商業的に優れた実現性を有する、いわゆる第2世代のHTSには非常に大きな関心が持たれてきた。これらのテープは一般に層状の構造を有していて、機械的な支持を与えるフレキシブル基板と、この基板の上に重なる(overlie)少なくとも一つのバッファ層と、バッファフィルムの上に重なるHTS層と、オプションとして設けられる、超伝導体層の上に重なるキャッピング層および/あるいはオプションで設けられる、キャッピング層の上に重なるか構造全体の周りに設けられる電気安定化層を含んでいる。このときのバッファ層は、オプションとして、多数のフィルムを含んでいる。しかしながら、今のところ、そうした第2世代のテープとそうしたテープを組み込んだデバイスを完全に商業化するには、多くの技術的な、また製造上の課題が残っている。
【0007】
重要なことは、HTSテープの臨界電流は強い磁界が存在することによって大きく影響を受けることである。さらに、テープに対する磁界の角度は臨界電流に対して著しく影響する。例えば、1テスラ(t)で77 Kにおける臨界電流は、磁界が存在しないときに比べて、磁界の角度によって7から10の係数で減少し得る。一つの特定の課題は、HTSテープの臨界電流に対する磁界の影響を低減することである。さらに、磁界が存在するときの臨界電流の角度依存性は著しい異方性を示し、磁界がテープと平行な方向を向いているときには臨界電流がピークになり、磁界がこの方向から離れるにつれて臨界電流は急激に低下する。したがって、別の課題は、テープと平行な方向ではない磁界方向における臨界電流を改善することである。したがって、強い磁界中における性能が改善されたHTSテープが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
ある実施の形態においては、超伝導部材は、基板と、基板の上に重なるバッファ層と、バッファ層の上に重なる高温超伝導体(HTS)層を含んでいる。HTS層は複数のナノロッドを含むことができる。ある実施の形態においては、複数のナノロッドの各々はHTS層の厚みの少なくとも約50%にわたって延びている。別の実施の形態においては、ナノロッドは互いにほぼ平行である。さらに別の実施の形態においては、複数のナノロッドは規則性のアレイを形成している。
【0009】
別の実施の形態においては、超伝導部材を形成する方法は、基板テープを提供する段階と、基板テープの上に重なるバッファ層を形成する段階と、複数のナノロッドを形成する段階と、バッファ層の上に重なる複数のナノロッドの周りに高温超伝導体(HTS)層を蒸着する段階を含んでいる。ある実施の形態においては、複数のナノロッドを形成する段階は、ポリマコーティングを施す段階と、このポリマコーティングを貫くナノホールを形成する段階と、このナノホールの内部に金属を電子蒸着してナノロッドを形成する段階と、ポリマコーティングを除去する段階を含むことができる。別の実施の形態においては、複数のナノロッドを形成する段階は、バッファ層の上に重なるナノポーラス層を形成する段階と、このナノポーラス層内部のナノポアのアレイの中に金属を電子蒸着してナノロッドを形成する段階と、ナノポーラス層を除去する段階を含むことができる。さらに別の実施の形態においては、複数のナノロッドを形成する段階は、バッファ層の上に重なるナノドットアレイを形成する段階と、このナノドットアレイによって核が形成されるナノロッドアレイを蒸着する段階を含むことができる。さらに別の実施の形態においては、複数のナノロッドを形成する段階は、ナノロッド材料を蒸発させて材料クラウドを形成する段階と、この材料クラウドを貫いて電子ビームを基板テープの方へ導く段階と、そうすることによってバッファ層の上に重なるナノロッドアレイを蒸着する段階を含むことができる。
【0010】
添付図面を参照することによって、当該分野における技術者はこの発明をより理解でき、その多くの特徴や利点が明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ある実施の形態によって超伝導部材の一般的な構造を描いた斜視図を示している。
【図2】超伝導部材の内部にナノ構造をプレファブ式に作製する(prefabricate)方法の例を示している。
【図3】ある実施の形態によるプレファブ式に作製されたナノ構造の顕微鏡写真を示している。
【図4】超伝導部材の内部にナノ構造をプレファブ式に作製する方法の別の例を示している。
【図5】ある実施の形態による化学気相成長を用いて形成されたZnOナノ構造の顕微鏡写真を示している。
【図6】別の実施の形態におけるプレファブ式に作製されたナノ構造の顕微鏡写真を示している。
【図7】BZOの自己組織化されたナノ構造の顕微鏡写真を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
異なる図において同一の参照番号を使用している場合は、同様の又は同一の事項を示している。
【0013】
ここで、図1を参照する。図には、この発明の実施の形態による超伝導部材100の一般化された層構造が描かれている。超伝導部材は、基板10と、基板10の上に重なるバッファ層12と、超伝導体層14を含んでいて、そのあとに貴金属などのキャッピング層16と、銅などの非貴金属などの安定化層18が付けられる。バッファ層12はいくつかの異なるフィルムから構成されていてもよい。安定化層18は超伝導部材100の周りに延びていて、それを包み込んでいる。
【0014】
基板10は、一般に少なくとも二つの金属元素の合金など、金属をベースとしている。相応しい基板材料には、ステンレススチール合金や、周知の合金であるHASTELLOY(R)(登録標章)あるいはINCONEL(R)(登録商標)グループなどのニッケルをベースとした合金が含まれる。これらの合金は、望ましいクリープ特性や、化学的特性、そして膨張係数や、引っ張り強さ、降伏強さ、伸張を含めた機械的特性を有する傾向がある。これらの金属は一般に巻き取ったテープの形で市販されており、リール−リール間でテープを取り扱う超伝導テープの製造に適している。
【0015】
基板10は一般的にはテープ状の構造を有していて、大きな寸法比を有している。ここで使用する場合の“寸法比(dimension ratio)”という用語は、基板あるいはテープの長さと、次に長い寸法、すなわち基板あるいはテープの幅との比を指すために使われている。例えば、テープの幅は一般に約0.1から約10 cmのオーダであり、テープの長さは少なくとも約0.1 mであり、別の場合には約5 mよりも長い。基板10を有する超伝導テープは100 mあるいはそれ以上のオーダの長さを有している。したがって、基板はかなり大きな、すなわち10以上か、約102以上か、あるいは場合によって約103以上のオーダの寸法比を有する。ある実施の形態はもっと長くて、104かそれ以上の寸法比を有している。
【0016】
一つの実施の形態においては、基板は、超伝導テープを構成する層をそのあとに蒸着するために、望ましい表面特性を有するような処理が行われる。例えば、表面は所望の平坦度と表面粗さにまで研磨される。また、ここでの実施の形態は上述したニッケルをベースとした市販で入手できるテープなど、テクスチャ処理されていない多結晶基板を用いているが、表面は、周知のラビッツ(rabbits)(ロールで支援した2軸テクスチャ基板(roll assisted biaxially texturedsubstrate))法など、当該分野で知られた2軸テクスチャ処理(biaxially textured)を行ってもよい。
【0017】
ここで、バッファ層12に戻る。バッファ層は単一層でもよいし、より一般的にはいくつかのフィルムから形成された多層でもよい。バッファ層は2軸テクスチャ処理されたフィルムを含んでおり、フィルムの面内と面外の両方において結晶軸に沿って揃えられた結晶性テクスチャを有している。そうした2軸テクスチャはイオンビームアシスト蒸着(IBAD)によって行われる。イオンビームアシスト蒸着は、優れた超伝導特性を得るための望ましい結晶方位を有する超伝導体層をそのあとに形成するために、適切にテクスチャ処理されたバッファ層を形成するのに一般的に利用されている方法である。酸化マグネシウム(MgO)はIBADフィルムに対して選択される代表的な材料であり、約5から約50ナノメートルなど、約1から約500ナノメートルのオーダである。一般的に、IBADフィルムは、ここに参考のために組み込まれている米国特許第6,190,752号で定義され、記述されているように、岩塩のような結晶構造を有している。
【0018】
バッファ層は、IBADフィルムと基板との間に、これと直接に接するように設けられるバリアフィルムなどの、別のフィルムを含んでいてもよい。この点については、バリアフィルムはイットリアなどの酸化物から形成されていることが好ましく、基板をIBADフィルムから隔離する機能を有している。バリアフィルムはまた、窒化シリコンなど、非酸化物から形成されていてもよい。バリアフィルムを蒸着するのに適した方法には、化学気相成長や、スパッタリングを含めた物理気相成長がある。バリアフィルムの代表的な厚みは約1から約200ナノメートルの範囲内である。さらに、バッファ層はエピタキシャル成長でIBADフィルムの上に形成されたものでもよい。これについては、エピタキシャル成長されたフィルムはIBADフィルムの厚みを増すのに効果的であり、MgOあるいはその他の相性のよい材料などIBAD層に対して利用される同じ材料から主として形成されていることが望ましい。
【0019】
MgOをベースとしたIBADフィルムおよび/あるいはエピタキシャルフィルムを利用した実施の形態においては、MgO材料と超伝導体層の材料との間に格子不整合が存在する。したがって、バッファ層は、超伝導体層とその下にあるIBADフィルムおよび/あるいはエピタキシャルフィルムとの間の格子定数の不整合を低減するために設けられる別のバッファフィルムを含んでいてもよい。このバッファフィルムはYSZ(イットリアで安定化したジルコニア(yttria-stabilized zirconia))、酸化マグネシウム、セリア、ガドリニウムジルコニウム酸化物(gadolinium zirconium oxide)、ルテニウム酸ストロンチウム(strontium ruthenate)、マンガン酸ランタン(lanthanum manganate)、および一般にペロブスカイト構造のセラミック材料などの材料から形成されている。バッファフィルムはさまざまな物理気相成長法によって蒸着される。
【0020】
以上ではIBADなどのテクスチャプロセスによってバッファスタック(層)中に2軸テクスチャを設けることに主として焦点を当ててきたが、別の場合には基板表面自身に2軸テクスチャが施される。この場合には、バッファ層は一般にテクスチャ基板の上でエピタキシャル成長されて、バッファ層の2軸テクスチャが保存される。2軸テクスチャ基板を形成する一つのプロセスはラビッツ(RABITS)(roll assisted biaxially textured substrate)として当該分野で知られたプロセスであり、これは当該分野では一般によく理解されているものである。
【0021】
超伝導体層14は一般に高温超伝導体(HTS)層の形である。HTS材料は、液体窒素の温度である77 K以上で超伝導特性を有するような高温超伝導材料の任意のものから選択される。そうした材料には、例えば、yba2cu3o7-x、bi2sr2cacu2oz、bi2sr2ca2cu3o10+y、tl2ba2ca2cu3o10+y、およびhgba2ca2cu3o8+yが含まれる。材料の一つのクラスにはreba2cu3o7-xがある。ここで、0≧x>1であり、reは希土類元素あるいは希土類元素の組み合わせである。上述したもののうち、一般にYBCOとも呼ばれるyba2cu3o7-xを利用してもよい。YBCOは、例えばサマリウムやガドリニウム、ジスプロシウム、およびホルミウムなどの希土類材料などのドーパントが添加されるか、あるいは添加されずに使用される。超伝導体層14は厚膜および薄膜の形成技術を含めたさまざまな方法の任意のものによって形成される。高速の蒸着速度を得るためには、パルスレーザ蒸着(PLD)など、薄膜の物理気相成長を用いることができ、低コストで大きな表面積を処理するためには化学気相成長(CVD)を用いることができる。超伝導体層は約0.1から約30ミクロンのオーダの厚みを有し、別の場合には、超伝導体層14に関して所望の定格電流を得るために、約1から約5ミクロンなど、約0.5から約20ミクロンのオーダの厚みを有している。
【0022】
ある実施の形態においては、HTS層はプレファブ式に作製されたナノ構造を含むことができる。このナノ構造は複数のナノロッドを含むことができる。ナノロッドは、超伝導部材の臨界電流に対する磁界の影響を低減するために、磁界の磁束線をピン止めする(pin)働きを行うことができる。ナノロッドは、HTS層の厚みの少なくとも約60%や、HTS層の厚みの少なくとも約70%、あるいは場合によってHTS層の厚みの少なくとも約80%など、HTS層の厚みの少なくとも約50%にわたって延びている。ある実施の形態においては、ナノロッドは、HTS層の厚みの少なくとも約90%や、HTS層の厚みの少なくとも約95%、あるいは場合によってHTS層の厚みの少なくとも約99%など、HTS層の厚みの少なくとも約85%にわたって延びている。
【0023】
ナノロッドは、約0.1ミクロンから3.0ミクロンの間など、約0.1ミクロンから約10.0ミクロンの間の高さを有することができる。さらに、ナノロッドは、約50 nm以下か、場合によって約10 nm以下など、約0.5 nmから約100 nmの間の直径を有することができる。ある実施の形態においては、ナノロッドは、隣接するナノロッドの間の平均間隔が、その直径の約0.5倍から直径の約100倍の間であるように配置することができる。別の実施の形態においては、平均間隔は約5 nmから約50 nmの間である。さらに、HTS層は約30vol%以下のナノロッドを含んでいてもよい。
【0024】
ある実施の形態においては、複数のナノロッドは互いにほぼ平行である。すなわち、複数のナノロッドはすべて同じ方向を向いている。別の場合には、複数のナノロッドの少なくとも一部は、その他のナノロッドと平行でなくてもよい。例えば、複数のナノロッドは、第1の方向を向いたナノロッドの第1の部分と、第2の方向を向いたナノロッドの第2の部分を含むことができる。
【0025】
ある実施の形態においては、ナノロッドは基板表面に対して直角の方向を向いていてもよい。別の場合には、ナノロッドは例えば45°の角度など、基板に対して直角ではない方向を向いていてもよい。ナノロッドはナノロッドと平行な磁界の効果を低減するのに有効である。別の実施の形態においては、ナノロッドはランダムな方向を向いている。そうした構造は、磁界の方向が有する角度範囲の全体にわたって磁束ピンニングを改善するには好ましい。
【0026】
別の実施の形態においては、複数のナノロッドは規則性を有するアレイ状に配置することができる。一般的に、規則性アレイは、隣接するロッドの各対の間に決められた間隔を有している。例えば、ナノロッドは、隣接するナノロッドの間の間隔がほぼ一定であるような正方形アレイに配置することができる。別の場合には、テープの幅方向において隣接するナノロッド間の間隔は、長さに方向に沿って隣接するナノロッド間の間隔とは違っていてもよい。別の実施の形態においては、複数のナノロッドはランダムに配置することができる。ナノロッドの密度、すなわち平方ミリメートル当たりのナノロッドの数は、たとえ隣接するナノロッド間の間隔が一定でないときでも、HTS層全体にわたって類似させることが好ましい。
【0027】
ナノロッドはHTS材料以外の材料から構成することができる。ナノロッドは金属を含んでいてもよい。この金属は鉄やニッケルあるいはコバルトなどの強磁性体の金属でもよいし、この金属はプラチナや金などの非強磁性体金属でもよい。さらに、ナノロッドはSnO2、TiO2、ZrO2、LaMnO3、あるいはZnOなどのセラミック材料を含んでいてもよい。ある実施の形態においては、ナノロッドはセラミック層によって囲まれた金属コアを有していてもよい。
【0028】
超伝導部材はまたキャッピング層16と安定化層18を含んでいてもよい。これらは一般に、低抵抗の境界を提供するため、また実際の使用において超伝導体が焼損しないように電気的な安定化を行うために設けられる。さらに、層16と層18は、冷却に失敗した場合、あるいは臨界電流密度を超えた場合、あるいは超伝導体層が超伝導状態から外れて抵抗体となった場合に、超伝導体に沿って電荷を連続的に流す助けをする。安定化層と超伝導体層14との間の望ましくない相互作用を防止するために、キャッピング層16には貴金属が利用される。代表的な貴金属には、金、銀、プラチナ、パラジウムが含まれる。銀はそのコストおよび一般的な入手性のよさのために使用される。キャッピング層16は、安定化層18を付着(application)するのに使用される成分が超伝導体層14の中に拡散してしまうのを防止するため十分な厚みで形成されるのがよいが、コスト的な理由で(原材料と処理コスト)一般には薄く作られる。キャッピング層16の蒸着には、dcマグネトロンスパッタリングなどの物理気相成長を含めてさまざまな方法が用いられる。
【0029】
安定化層18は一般的に超伝導体層14の上に重なるように組み込まれ、図1に示されている実施の形態においてはキャッピング層16の上に重なり、これと直接に接している。安定化層18は、過酷な環境条件や超伝導性のクエンチ(superconductivity quench)に対する安定性を向上させるための保護/シャント(shunt)層として機能する。この層は一般に高密度(dense)で、熱的および電気的に伝導性がよく、万が一、超伝導体層が故障したり、超伝導体層の臨界電流を越えたりした場合に、電流をバイパスする機能を有している。この層は、超伝導体テープの上に予め形成された(pre-formed)銅ストリップをラミネートすることによるか、あるいはハンダなどの媒介接合材料を用いることによるなど、さまざまな厚膜あるいは薄膜形成方法の任意のものによって形成される。他の方法では、物理気相成長や蒸発、スパッタリングを、無電解メッキや電気メッキなどの湿式化学処理とともに用いている(focus on)。この点について、キャッピング層16は、その上に銅を蒸着するためのシード層として機能する。キャッピング層16と安定化層18は変更してもよく、また使用しなくてもよいことに留意すべきである。
【0030】
ナノ構造をプレファブ式に作製するプロセスに話を移す。ナノ構造をプレファブ式に作製するにはさまざまな方法を使用できる。一つの実施の形態においては、ナノロッドを形成するために使用できるランダムに分布した複数のナノホールを形成するのに、高エネルギ粒子を利用することができる。図2は、ランダムに分布した複数のナノロッドを有するHTS層を形成する方法の例を示している。段階202において、テープ204が提供される。このテープは、基板と、バッファ層206と、基板およびバッファ層206の上に重なる導電層208を含んでいる。導電層208は薄いニッケル層でよい。段階210においては、ポリカーボネートフィルムなどのポリマ層212が、スピンコーティングや、その他の当該分野において周知の方法によって導電層208の上に蒸着される(deposit)。段階214においては、ポリマ層212にイオンビームが照射され、ポリマ層212の中に、損傷を受けたダメージトラック216が形成される。ポリマ層212を通過するとき、高エネルギ粒子はその経路に沿って低分子量材料からなるコアを形成する。イオンビームの照射時間および/あるいは強度を変更することによって、mm2当たりのダメージトラックの数を制御することができる。さらに、イオンビームを当てる方向を変更することによって、多くの方向にナノホールを形成することができる。結果として、さまざまな方向を向いたナノロッドが形成され、その結果、磁界方向の広い角度範囲にわたって磁束ピンニングを改善することができる。
【0031】
段階218においては、ポリマ層212を紫外線照射に曝して、ポリマ層212内のダメージトラック216をさらに発現(develop)させる。段階220においては、ポリマ層212をエッチングして、ポリマ層212内のダメージトラック216に対応したナノホール222を形成する。エッチング薬品はダメージトラック216を優先的に攻撃し、低分子量材料を、ポリマ層212の残りの部分よりも速く除去する。エッチングの時間を変更することによってナノホールの直径を制御することができる。ナノホール222はポリマ層212を貫いて導電層208まで延ばすことができる。図3aはポリマ層212の中に形成されたナノホールの顕微鏡写真を示している。
【0032】
図2に戻ると、段階224においては、ニッケルや金などの金属をナノホール222の中に電気メッキして、導電層208からポリマ層212の中を延びるナノロッド226を形成する。段階228においては、ポリマ層212をさらにエッチングプロセスに曝して、残ったポリマ層212を完全に除去し、ナノロッド226を無傷で残す。図3bおよび図3cはナノロッドの顕微鏡写真を示している。図2に戻ると、段階236においては、HTS材料を蒸着して、ナノロッド226を取り囲むHTS層を形成する。HTS材料は、PLDやCVD、噴霧熱分解など、当該分野において周知のさまざまな方法の一つを用いて蒸着することができる。
【0033】
ある実施の形態においては、HTS材料を蒸着するまえに、ニッケル酸化物を形成するなど、導電層を酸化することができる。さらに、HTS材料を蒸着するまえに、ニッケル酸化物の上にlamno3の層を蒸着してもよい。
【0034】
第2の実施の形態においては、ナノロッドはナノポーラステンプレートを用いて形成することができる。図4は、ナノポーラステンプレートを用いてHTS層内にプレファブ式に作製されたナノ構造を形成するプロセスの例を示している。段階402においては、基板404とバッファ層406が提供される。さらに、アルミニウム層408がバッファ層406の上に蒸着される。例えば、アルミニウム層はスパッタリングや熱蒸発(thermal evaporation)によって蒸着することができる。段階410においては、陽極酸化プロセスによって、アルミニウム層408が、高度に規則性を有するナノポア414のアレイを含んだ陽極化されたアルミニウム酸化物層412に変換される。段階416においては、ニッケルや金などの金属がナノポア414の中に電着されて、ナノロッド418が形成される。段階420においては、アルミニウム酸化物層412がエッチングによって除去され、バッファ層406に付いたナノロッド418が残される。段階424においては、HTS材料を蒸着して、ナノロッド418を取り囲むHTS層426を形成する。HTS材料は、PLDやCVD、噴霧熱分解など、当該分野において周知のさまざまな方法の一つを用いて蒸着することができる。
【0035】
別の場合には、ナノロッドを形成するプロセスのときに、他の無機ナノテンプレートを使用することができる。例えば、アルミニウムとシリコンをバッファ層の上にスパッタして、シリコンマトリックスの内部に埋め込まれたアルミニウムナノロッドを形成することができる。アルミニウムは優先的にエッチングされて、シリコンマトリックスの内部にナノポアが残る。
【0036】
第3の実施の形態においては、化学気相成長あるいは化学溶液成長(chemicalsolution deposition)を用いて、予め決められた核サイトの上にナノロッドを形成することができる。例えば、コロイド状金粒子や類似の材料などを用いたナノドットアレイを、ナノロッドに対する核サイトとしてバッファ表面上に蒸着することができる。気体−固体−液体の相の成長を用いて、ナノドットを核サイトとして用いてナノロッドを成長することができる。例えば、ZnOをグラファイトと混合して、蒸発させることができる。蒸発した材料をナノドットテンプレートの上に蒸着することができる。ナノロッドの間隔および密度はナノロッドの間隔および密度に依存する。ナノロッドの直径および長さは、蒸発の温度および時間、そして蒸着の温度および時間に依存する。磁性体酸化物などの他の材料を用いて、強磁性ピンニングにつながるナノロッドを形成することができる。さらに、HTS材料をナノロッドの周囲に蒸着して、ナノロッドを埋め込むHTS層を形成することができる。ナノロッドをナノポーラスマスクやテンプレートを必要とせずに形成するため、ナノロッドを成長させたあとにバッファ表面からマスクやテンプレートを除去するためのエッチングプロセスは不要となる。したがって、CVDナノロッド蒸着は、HTS層を蒸着するために使用されるCVD炉の上流部分で実行することができる。
【0037】
図5aから図5cはCVDによって形成されたZnOナノ構造の顕微鏡写真を示している。図5aおよび図5bは金のナノドットを使用せずに形成された、カットされた(faceted)プレート状のナノ構造を示している。図5cは、CVDを用いてフレキシブルな金属基板の上にバッファされた(buffered)テンプレートの上に形成されたZnOナノロッドを示している。
【0038】
さらに別の実施の形態においては、ナノロッドは高エネルギの収束させた電子ビームを用いて形成することができる。基板とバッファ層を含むテープを真空チャンバの内部に入れる。ナノロッド材料を、基板を取り巻く雰囲気中へ蒸発させる。電子ビームをバッファ層の表面上へ収束させ、電子ビームの経路と交わる(cross)ナノロッド材料をバッファ層の上に蒸着させる。電子ビームは数ナノメートルのオーダのスポットに収束させることができ、その結果、数ナノメートルの直径を有するナノロッドが蒸着される。電子ビームのサイズ、電流密度、ナノロッド材料の濃度、および露出時間を修正することによって、ナノロッドの長さおよび直径を制御することができる。バッファ層の表面にわたって電子ビームの焦点を移動させることによって、ナノロッドのさまざまなパターンを形成することができ、ナノロッドの密度および間隔を容易に制御することができる。図6aから図6cは収束電子ビームを用いて形成されたプラチナナノロッドの顕微鏡写真を示している。図6aはナノロッドアレイの上面図を示しており、図6bはナノロッドアレイを52°の斜視図で示している。図6cは約100nmの直径と、約600nmの長さを有する、アレイの一つのナノロッドを示している。
【0039】
ある実施の形態においては、ナノロッドはHTS材料およびHTS材料の製造に適合した酸化物から形成したり、これをコーティングしたりすることができる。Lamno3などの酸化物によって、高温処理のときに金属コアがHTS材料と反応することを防止でき、HTS材料の転移温度の劣化を防ぐことができる。さらに、酸化物層をHTS層の格子特性と整合させて、格子不整合の影響を低減することができる。
【0040】
別の場合には、ナノロッドはHTS層とナノロッドとの間の境界に歪みを誘起し、その結果、さらなるピンニングを生じさせることができる。例えば、磁気ピンニングは金属酸化物のナノチューブによって囲まれた強磁性ナノロッドを用いて実現することができる。ナノチューブによって、鉄やニッケルなどの強磁性材料がHTS材料と相互作用しないようにすることができる。さらに、ナノチューブはHTS材料と格子不整合、構造不整合、熱膨張不整合を有していて、HTS材料とナノチューブとの間に境界歪みを誘起する。この境界歪みは磁束線に対してさらなるピン止め作用を及ぼすことができる。例えば、ナノチューブは、YBCOなどのHTS材料の斜方晶ペロブスカイト構造に対して、六方構造を有するZnOから形成することができる。
【0041】
別の実施の形態においては、ナノロッドの間隔は、印加している磁界の強度に応じて選択できる。ナノロッドの密度は磁束線の密度と整合するように選択することができる。例えば、1 tの磁界中で使用するための超伝導部材は、隣接するナノロッド間の間隔を約40 nmに、5 tの磁界中で使用するための超伝導部材は、隣接するナノロッド間の間隔を約20 nmに、また15 tの磁界中で使用するための超伝導部材は、隣接するナノロッド間の間隔を約10 nmにすることができる。
【0042】
別の実施の形態においては、複数のナノロッドは、ナノロッドの第1のサブセットと、ナノロッドの第2のサブセットを含む。ナノロッドの第2のサブセットは、ナノロッドの第1のサブセットの間に配置されている。さらに、ナノロッドの第2のサブセットは、ナノロッドの第1のサブセットに対して、異なる方向、異なる間隔、異なる直径、異なる高さ、異なる材料、あるいはそれらの任意の組み合わせを有していてよい。例えば、ナノロッドの第1のサブセットはバッファ層の表面から垂直に延びる方向を有し、ナノロッドの第2のサブセットはバッファ層の表面に対して45°の角度方向を有していてもよい。
【0043】
ナノ構造を形成したら、HTS材料を、バッファ層と、それを取り囲むナノロッドの上に蒸着することができる。HTS材料は、PLD、CVD、MOCVD(有機金属CVD)、および噴霧熱分解を含む、当該分野において周知のさまざまな方法を用いることによって蒸着することができる。PLDやMOCVDなどの蒸着方法は、比較的高速で超伝導層を蒸着することができる。例えば、MOCVDを用いて、少なくとも時間当たり約10ミクロンや場合によって少なくとも時間当たり約30ミクロンなどの、少なくとも時間当たり5ミクロンの速度でHTS材料を蒸着することができる。ナノロッドがプレファブ式に作製されるために、比較的高速な蒸着を維持することを含めて、蒸着プロセスに対する変更を最小限に抑えることができる。さらに、HTS層を蒸着するあいだ、長い基板を、少なくとも時間当たり約30メートルや、場合によって少なくとも時間当たり約50メートルなど、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で蒸着ゾーンの中を移動させることができる。
【0044】
磁界をピンニングするための従来の試みには、重粒子線(heavy ion radiation)を用いてHTS材料に欠陥を生じさせるものがある。しかし、重粒子線は大規模な製造では実用的ではない。さらに最近になって、HTS材料にbazro3(BZO)やbasno3(BSO)をドープすることが試みられた。図7に示されているように、BZOやBSOの含有物はHTS層の蒸着のときに自己組織化して、ナノスケールのコラムを形成する。図7からわかるように、個々の自己組織化されたナノスケールのコラムはHTS層の厚みのほぼ全体にわたって延びているわけでもないし、バッファ層へ付いているわけでもない。むしろ、自己組織化したナノコラムは明らかにランダムな深さに核を有し、さまざまな長さで延びている。ナノ構造の自己組織化は蒸着速度に敏感であり、またHTS層の蒸着に対してかなり遅い速度が必要であることがわかった。
【0045】
少なくとも一つの実施の形態が記載されており、当該分野の通常の技術を有する者が行う実施の形態の、および/あるいは実施の形態の特徴の変形や組み合わせ、および/あるいは修正は、この発明の範囲内である。実施の形態の特徴を組み合わせたり、統合したり、かつ/あるいは省略したりすることから得られる別の実施の形態も、この発明の範囲内である。数値の範囲あるいは制限が明確に述べられているところでは、そうした明確な範囲あるいは制限は、その明確に述べられている範囲あるいは制限内にある同様の大きさを反復した範囲あるいは制限を含むものと理解すべきである(例えば約1から約10は、2、3、4などを含む;0.1以上は0.11、0.12、0.13などを含む)。例えば、下限rlと上限ruを有する数値的な範囲が述べられているときは常に、その範囲内に入る任意の数が特別な場合として(specifically)述べられている。特に、その範囲内にある以下の数が特別な場合として述べられている。すなわち、r=rl+k*(ru-rl)。ここで、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント・・・95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、100パーセントであり、1パーセントずつ増加している。さらに、上で定義したrの二つの数によって決められた任意の数値範囲も特別な場合として述べられている。請求項の任意の要素に関して、“オプションとして”という用語の使用は、その要素が必要であることを、また別の場合には必要ではないことを意味しているおり、両方とも請求項の範囲内である。なる、含む、有するなどのより広義の用語の使用は、構成される、本質的に構成される、ほぼ構成されている、などのより狭義の用語をサポートしていると理解すべきである。したがって、保護の範囲は上述した記述によって制限されるのではなく、以下の請求項によってのみ制限される。請求項の範囲は請求項の主題となる内容のすべての等価物を含んでいる。それぞれの、またすべての請求項はさらなる説明として明細書に組み込まれており、請求項はこの発明の実施の形態である。明細書中での参考文献の議論は、とくにこの特許願の優先日以降の刊行日を有する参考文献については、それが従来技術であることを認めているということではない。この明細書に引用されているすべての特許、特許願、および出版物は、この発明を補足する例示的、手続き的、あるいはその他の詳細を提供してくれる範囲で参考のために組み込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
この基板の上に重なるバッファ層と、
このバッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層と、
からなり、前記HTS層が複数のナノロッドを含み、この複数のナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約50%にわたって延びている超伝導部材。
【請求項2】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約60%にわたって延びている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項3】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約70%にわたって延びている請求項2記載の超伝導部材。
【請求項4】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約80%にわたって延びている請求項3記載の超伝導部材。
【請求項5】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約85%にわたって延びている請求項4記載の超伝導部材。
【請求項6】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約90%にわたって延びている請求項5記載の超伝導部材。
【請求項7】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約95%にわたって延びている請求項6記載の超伝導部材。
【請求項8】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約99%にわたって延びている請求項7記載の超伝導部材。
【請求項9】
前記HTS層がさらにHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項10】
前記HTS層がさらにHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項11】
前記HTS材料がreba2cu3o7-xを含み、ここで0≧x>1であり、reは希土類元素あるいは希土類元素の組み合わせである請求項10記載の超伝導部材。
【請求項12】
前記HTS材料がyba2cu3o7-xを含む請求項11記載の超伝導部材。
【請求項13】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項14】
前記複数のナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項15】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項16】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項17】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項18】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項1記載の超伝導部材。
【請求項19】
前記直径が約50nm以下である請求項18記載の超伝導部材。
【請求項20】
前記直径が約10nm以下である請求項19記載の超伝導部材。
【請求項21】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項18記載の超伝導部材。
【請求項22】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項1記載の超伝導部材。
【請求項23】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項1記載の超伝導部材。
【請求項24】
前記高さが、約1.0ミクロンと約3.0ミクロンの間である請求項23記載の超伝導部材。
【請求項25】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項26】
前記複数のナノロッドが、ナノロッドの第1のセットと、ナノロッドの第2のセットを含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項27】
前記ナノロッドの第1のセットが互いにほぼ平行に配置されており、ナノロッドの第2のセットが互いにほぼ平行に配置されている請求項26記載の超伝導部材。
【請求項28】
前記ナノロッドの第1のセットとナノロッドの第2のセットが、かなり異なる方向に配置されている請求項26記載の超伝導部材。
【請求項29】
前記ナノロッドの第1のセットが第1の直径を有し、ナノロッドの第2のセットが第2の直径を有する請求項26記載の超伝導部材。
【請求項30】
前記ナノロッドの第1のセットが第1の間隔を有し、ナノロッドの第2のセットが第2の間隔を有する請求項26記載の超伝導部材。
【請求項31】
基板と、
この基板の上に重なるバッファ層と、
このバッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層と、
からなり、前記HTS層が複数のナノロッドを含み、ナノロッドがバッファ層へ固定されている超伝導部材。
【請求項32】
前記HTS層がさらにHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項31記載の超伝導部材。
【請求項33】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項31記載の超伝導部材。
【請求項34】
前記ナノロッドが互いにほぼ平行である請求項31記載の超伝導部材。
【請求項35】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項34記載の超伝導部材。
【請求項36】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項34記載の超伝導部材。
【請求項37】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項31記載の超伝導部材。
【請求項38】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項31記載の超伝導部材。
【請求項39】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項38記載の超伝導部材。
【請求項40】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項31記載の超伝導部材。
【請求項41】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項31記載の超伝導部材。
【請求項42】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項31記載の超伝導部材。
【請求項43】
基板と、
この基板の上に重なるバッファ層と、
このバッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層と、
を有し、前記HTS層が複数のナノロッドを含み、この複数のナノロッドが規則性のアレイを形成している超伝導部材。
【請求項44】
前記HTS層がさらにHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項43記載の超伝導部材。
【請求項45】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項43記載の超伝導部材。
【請求項46】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項43記載の超伝導部材。
【請求項47】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項43記載の超伝導部材。
【請求項48】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項43記載の超伝導部材。
【請求項49】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項43記載の超伝導部材。
【請求項50】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項43記載の超伝導部材。
【請求項51】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項50記載の超伝導部材。
【請求項52】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項43記載の超伝導部材。
【請求項53】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項43記載の超伝導部材。
【請求項54】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項43記載の超伝導部材。
【請求項55】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を形成する段階と、
複数のナノロッドを形成する段階と、
前記バッファ層の上に重なる複数のナノロッドの周りに高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項56】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約10ミクロンの速度で行われる請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約30ミクロンの速度で行われる請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項55記載の方法。
【請求項60】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約30メートルの速度で行われる請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約50メートルの速度で行われる請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項55記載の方法。
【請求項64】
前記HTS材料がreba2cu3o7-xを含み、ここで0≧x>1であり、reは希土類元素あるいは希土類元素の組み合わせである請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記HTS材料がyba2cu3o7-xを含む請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記複数のナノロッドの各々が、金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項55記載の方法。
【請求項67】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項55記載の方法。
【請求項68】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項55記載の方法。
【請求項69】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項55記載の方法。
【請求項70】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項55記載の方法。
【請求項71】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項55記載の方法。
【請求項72】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項71記載の方法。
【請求項73】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項55記載の方法。
【請求項74】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項55記載の方法。
【請求項75】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項55記載の方法。
【請求項76】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を形成する段階と、
ポリマコーティングを施す段階と、
このポリマコーティングを貫くナノホールを形成する段階と、
前記ナノホールの中に金属を電子蒸着して複数のナノロッドを形成する段階と、
前記ポリマコーティングを除去する段階と、
前記バッファ層の上に重なる複数のナノロッドの周りに高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項77】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項76記載の方法。
【請求項78】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項76記載の方法。
【請求項79】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項78記載の方法。
【請求項80】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項76記載の方法。
【請求項81】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項76記載の方法。
【請求項82】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項76記載の方法。
【請求項83】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項76記載の方法。
【請求項84】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項76記載の方法。
【請求項85】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項76記載の方法。
【請求項86】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項76記載の方法。
【請求項87】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項86記載の方法。
【請求項88】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項76記載の方法。
【請求項89】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項76記載の方法。
【請求項90】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項76記載の方法。
【請求項91】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を蒸着する段階と、
前記バッファ層の上に重なり、ナノポアのアレイを有するナノポーラス層を形成する段階と、
前記ナノポアのアレイの中に金属を電子蒸着してナノロッドのアレイを形成する段階と、
前記ナノポーラス層を除去する段階と、
前記ナノロッドのアレイの周りに、バッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項92】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項91記載の方法。
【請求項93】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項91記載の方法。
【請求項94】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項91記載の方法。
【請求項96】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項91記載の方法。
【請求項97】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項91記載の方法。
【請求項98】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項91記載の方法。
【請求項99】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項91記載の方法。
【請求項100】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項91記載の方法。
【請求項101】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項91記載の方法。
【請求項102】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項101記載の方法。
【請求項103】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項91記載の方法。
【請求項104】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項91記載の方法。
【請求項105】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項91記載の方法。
【請求項106】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を蒸着する段階と、
前記バッファ層の上に重なるナノドットアレイを形成する段階と、
前記ナノドットアレイの上にそれを核とするナノロッドのアレイを蒸着する段階と、
前記ナノロッドのアレイの周りに、バッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項107】
前記HTS層を蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項106記載の方法。
【請求項108】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項106記載の方法。
【請求項109】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項108記載の方法。
【請求項110】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項106記載の方法。
【請求項111】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項106記載の方法。
【請求項112】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項106記載の方法。
【請求項113】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項106記載の方法。
【請求項114】
前記ナノロッドの各々が、約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項106記載の方法。
【請求項115】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項114記載の方法。
【請求項116】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項106記載の方法。
【請求項117】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項106記載の方法。
【請求項118】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項106記載の方法。
【請求項119】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を蒸着する段階と、
ナノロッド材料を蒸発させて材料クラウドを形成する段階と、
前記材料クラウドの中を貫いて電子ビームを基板テープまで導くことによって、バッファ層の上に重なるナノロッドのアレイを蒸着する段階と、
前記ナノロッドのアレイの周りに、バッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項120】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項119記載の方法。
【請求項121】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項119記載の方法。
【請求項122】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項121記載の方法。
【請求項123】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項119記載の方法。
【請求項124】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項119記載の方法。
【請求項125】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項119記載の方法。
【請求項126】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項119記載の方法。
【請求項127】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項119記載の方法。
【請求項128】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項119記載の方法。
【請求項129】
前記ナノロッドの各々が、約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項119記載の方法。
【請求項130】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項129記載の方法。
【請求項131】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項119記載の方法。
【請求項132】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項119記載の方法。
【請求項133】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項119記載の方法。
【請求項1】
基板と、
この基板の上に重なるバッファ層と、
このバッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層と、
からなり、前記HTS層が複数のナノロッドを含み、この複数のナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約50%にわたって延びている超伝導部材。
【請求項2】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約60%にわたって延びている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項3】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約70%にわたって延びている請求項2記載の超伝導部材。
【請求項4】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約80%にわたって延びている請求項3記載の超伝導部材。
【請求項5】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約85%にわたって延びている請求項4記載の超伝導部材。
【請求項6】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約90%にわたって延びている請求項5記載の超伝導部材。
【請求項7】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約95%にわたって延びている請求項6記載の超伝導部材。
【請求項8】
前記ナノロッドの各々がHTS層の厚みの少なくとも約99%にわたって延びている請求項7記載の超伝導部材。
【請求項9】
前記HTS層がさらにHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項10】
前記HTS層がさらにHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項11】
前記HTS材料がreba2cu3o7-xを含み、ここで0≧x>1であり、reは希土類元素あるいは希土類元素の組み合わせである請求項10記載の超伝導部材。
【請求項12】
前記HTS材料がyba2cu3o7-xを含む請求項11記載の超伝導部材。
【請求項13】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項14】
前記複数のナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項15】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項16】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項17】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項1記載の超伝導部材。
【請求項18】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項1記載の超伝導部材。
【請求項19】
前記直径が約50nm以下である請求項18記載の超伝導部材。
【請求項20】
前記直径が約10nm以下である請求項19記載の超伝導部材。
【請求項21】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項18記載の超伝導部材。
【請求項22】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項1記載の超伝導部材。
【請求項23】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項1記載の超伝導部材。
【請求項24】
前記高さが、約1.0ミクロンと約3.0ミクロンの間である請求項23記載の超伝導部材。
【請求項25】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項26】
前記複数のナノロッドが、ナノロッドの第1のセットと、ナノロッドの第2のセットを含む請求項1記載の超伝導部材。
【請求項27】
前記ナノロッドの第1のセットが互いにほぼ平行に配置されており、ナノロッドの第2のセットが互いにほぼ平行に配置されている請求項26記載の超伝導部材。
【請求項28】
前記ナノロッドの第1のセットとナノロッドの第2のセットが、かなり異なる方向に配置されている請求項26記載の超伝導部材。
【請求項29】
前記ナノロッドの第1のセットが第1の直径を有し、ナノロッドの第2のセットが第2の直径を有する請求項26記載の超伝導部材。
【請求項30】
前記ナノロッドの第1のセットが第1の間隔を有し、ナノロッドの第2のセットが第2の間隔を有する請求項26記載の超伝導部材。
【請求項31】
基板と、
この基板の上に重なるバッファ層と、
このバッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層と、
からなり、前記HTS層が複数のナノロッドを含み、ナノロッドがバッファ層へ固定されている超伝導部材。
【請求項32】
前記HTS層がさらにHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項31記載の超伝導部材。
【請求項33】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項31記載の超伝導部材。
【請求項34】
前記ナノロッドが互いにほぼ平行である請求項31記載の超伝導部材。
【請求項35】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項34記載の超伝導部材。
【請求項36】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項34記載の超伝導部材。
【請求項37】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項31記載の超伝導部材。
【請求項38】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項31記載の超伝導部材。
【請求項39】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項38記載の超伝導部材。
【請求項40】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項31記載の超伝導部材。
【請求項41】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項31記載の超伝導部材。
【請求項42】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項31記載の超伝導部材。
【請求項43】
基板と、
この基板の上に重なるバッファ層と、
このバッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層と、
を有し、前記HTS層が複数のナノロッドを含み、この複数のナノロッドが規則性のアレイを形成している超伝導部材。
【請求項44】
前記HTS層がさらにHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項43記載の超伝導部材。
【請求項45】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項43記載の超伝導部材。
【請求項46】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項43記載の超伝導部材。
【請求項47】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項43記載の超伝導部材。
【請求項48】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項43記載の超伝導部材。
【請求項49】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項43記載の超伝導部材。
【請求項50】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項43記載の超伝導部材。
【請求項51】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項50記載の超伝導部材。
【請求項52】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項43記載の超伝導部材。
【請求項53】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項43記載の超伝導部材。
【請求項54】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項43記載の超伝導部材。
【請求項55】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を形成する段階と、
複数のナノロッドを形成する段階と、
前記バッファ層の上に重なる複数のナノロッドの周りに高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項56】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約10ミクロンの速度で行われる請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約30ミクロンの速度で行われる請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項55記載の方法。
【請求項60】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約30メートルの速度で行われる請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約50メートルの速度で行われる請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項55記載の方法。
【請求項64】
前記HTS材料がreba2cu3o7-xを含み、ここで0≧x>1であり、reは希土類元素あるいは希土類元素の組み合わせである請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記HTS材料がyba2cu3o7-xを含む請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記複数のナノロッドの各々が、金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項55記載の方法。
【請求項67】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項55記載の方法。
【請求項68】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項55記載の方法。
【請求項69】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項55記載の方法。
【請求項70】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項55記載の方法。
【請求項71】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項55記載の方法。
【請求項72】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項71記載の方法。
【請求項73】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項55記載の方法。
【請求項74】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項55記載の方法。
【請求項75】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項55記載の方法。
【請求項76】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を形成する段階と、
ポリマコーティングを施す段階と、
このポリマコーティングを貫くナノホールを形成する段階と、
前記ナノホールの中に金属を電子蒸着して複数のナノロッドを形成する段階と、
前記ポリマコーティングを除去する段階と、
前記バッファ層の上に重なる複数のナノロッドの周りに高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項77】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項76記載の方法。
【請求項78】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項76記載の方法。
【請求項79】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項78記載の方法。
【請求項80】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項76記載の方法。
【請求項81】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項76記載の方法。
【請求項82】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項76記載の方法。
【請求項83】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項76記載の方法。
【請求項84】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項76記載の方法。
【請求項85】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項76記載の方法。
【請求項86】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項76記載の方法。
【請求項87】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項86記載の方法。
【請求項88】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項76記載の方法。
【請求項89】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項76記載の方法。
【請求項90】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項76記載の方法。
【請求項91】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を蒸着する段階と、
前記バッファ層の上に重なり、ナノポアのアレイを有するナノポーラス層を形成する段階と、
前記ナノポアのアレイの中に金属を電子蒸着してナノロッドのアレイを形成する段階と、
前記ナノポーラス層を除去する段階と、
前記ナノロッドのアレイの周りに、バッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項92】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項91記載の方法。
【請求項93】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項91記載の方法。
【請求項94】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項91記載の方法。
【請求項96】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項91記載の方法。
【請求項97】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項91記載の方法。
【請求項98】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項91記載の方法。
【請求項99】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項91記載の方法。
【請求項100】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項91記載の方法。
【請求項101】
前記ナノロッドの各々が約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項91記載の方法。
【請求項102】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項101記載の方法。
【請求項103】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項91記載の方法。
【請求項104】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項91記載の方法。
【請求項105】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項91記載の方法。
【請求項106】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を蒸着する段階と、
前記バッファ層の上に重なるナノドットアレイを形成する段階と、
前記ナノドットアレイの上にそれを核とするナノロッドのアレイを蒸着する段階と、
前記ナノロッドのアレイの周りに、バッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項107】
前記HTS層を蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項106記載の方法。
【請求項108】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項106記載の方法。
【請求項109】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項108記載の方法。
【請求項110】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項106記載の方法。
【請求項111】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項106記載の方法。
【請求項112】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項106記載の方法。
【請求項113】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項106記載の方法。
【請求項114】
前記ナノロッドの各々が、約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項106記載の方法。
【請求項115】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項114記載の方法。
【請求項116】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項106記載の方法。
【請求項117】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項106記載の方法。
【請求項118】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項106記載の方法。
【請求項119】
基板テープを提供する段階と、
この基板テープの上に重なるバッファ層を蒸着する段階と、
ナノロッド材料を蒸発させて材料クラウドを形成する段階と、
前記材料クラウドの中を貫いて電子ビームを基板テープまで導くことによって、バッファ層の上に重なるナノロッドのアレイを蒸着する段階と、
前記ナノロッドのアレイの周りに、バッファ層の上に重なる高温超伝導(HTS)層を蒸着する段階と、
からなる超伝導部材を形成する方法。
【請求項120】
前記蒸着する段階が、少なくとも時間当たり約5ミクロンの速度で行われる請求項119記載の方法。
【請求項121】
前記高温超伝導(HTS)層を蒸着するときに、基板テープを蒸着ゾーンの中で移動させる段階を含む請求項119記載の方法。
【請求項122】
前記移動させる段階が、少なくとも時間当たり約10メートルの速度で行われる請求項121記載の方法。
【請求項123】
前記HTS層がHTS材料を含み、前記複数のナノロッドがこのHTS材料とは異なる材料を含む請求項119記載の方法。
【請求項124】
前記ナノロッドが金属、金属酸化物、あるいはその任意の組み合わせを含む請求項119記載の方法。
【請求項125】
前記ナノロッドの各々が、バッファ層へ固定されている請求項119記載の方法。
【請求項126】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直に配置されている請求項119記載の方法。
【請求項127】
前記複数のナノロッドが、主としてバッファ面に対して垂直以外の角度に配置されている請求項119記載の方法。
【請求項128】
前記複数のナノロッドが、バッファ面に対してランダムな方向に配置されている請求項119記載の方法。
【請求項129】
前記ナノロッドの各々が、約0.5nmと約100nmの間の直径を有する請求項119記載の方法。
【請求項130】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、ナノロッドの直径の約0.5倍とナノロッドの直径の約100倍の間である請求項129記載の方法。
【請求項131】
隣接するナノロッドの対の間の間隔が、約5nmと約50nmの間である請求項119記載の方法。
【請求項132】
前記ナノロッドの各々が約0.1ミクロンと約10.0ミクロンの間の高さを有する請求項119記載の方法。
【請求項133】
前記HTS層が約30vol%以下のナノロッドを含む請求項119記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【公表番号】特表2013−501313(P2013−501313A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522973(P2012−522973)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/043411
【国際公開番号】WO2011/017112
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(511248249)ユニバーシティー オブ ヒューストン システム (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/043411
【国際公開番号】WO2011/017112
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(511248249)ユニバーシティー オブ ヒューストン システム (2)
【Fターム(参考)】
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