説明

磁気インク文字認識方法及び磁気文字認識装置

【課題】印刷品質のばらつきや小切手等の変形によって波形の変形が大きい場合であっても、精度良くMICR文字認識を行うことができる磁気インク文字認識方法及び磁気文字認識装置を提供する。
【解決手段】情報記録媒体の表面に印字されたMICR文字を読取ることによって文字を認識する磁気文字認識方法および磁気文字認識装置において、最初の比較において一致係数が高いものから順に複数の候補文字を選択しておき、それぞれの候補文字ごとに、その比較位置をずらしながら基準波形と文字波形との一致係数を算出し、候補文字ごとの最大一致係数を求め、それらのうちで最も高い最大一致係数を示す候補文字を読取り文字として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気インク文字で印刷された文字列を読み取って磁気再生信号を取得し、文字認識を行う磁気インク文字認識方法及び磁気文字認識装置に関し、特に、精度の良い文字認識を行うことが可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁気インク文字(MICR文字)が印刷された媒体表面の文字印刷部分を、磁気ヘッドで読み取って磁気再生信号を取得し、これを用いて文字認識を行う様々な方法が開示されている。磁気インク文字(MICR文字)は、金融機関などで扱われる小切手等で用いられ、文字タイプとしてはE13B、CMC7が代表的であり、ISO1004などで規格化されている。
【0003】
MICR文字認識技術発展の初期段階では、磁気文字ラインを磁気ヘッドで読取り、その磁気再生信号波形を論理回路に入力してピーク位置やその出力レベルの特徴に基づいて文字認識をする方法が主流だったが、マイクロプロセッサの高性能化や記憶素子の高速化・大容量化に伴い、近年は、ソフトウエアで磁気信号を処理することによって文字認識するものが増えてきている。また、磁気信号のみならず、媒体をイメージスキャンして得られる画像を併用する例もある。
【0004】
磁気信号による方法では、磁気再生信号波形をそのままあらかじめ用意しておいた文字ごとの基準波形と比較してその類似性から文字を決定する方法が開示されている(たとえば特許文献1、2参照)。
【0005】
【特許文献1】US5671291号公報
【特許文献2】特開平9−311906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際に市場で流通している小切手等の中には、公差内にはあるものの、磁気インク文字の印刷状態が良くないものがある。そのため、文字認識技術は、この境界線上の文字を認識することができ、間違った文字認識を行わないことが要求される。
【0007】
より詳細には、実際の磁気インク文字は、磁気インクの品質、印刷装置、再生磁気ヘッド及び着磁ヘッドの磁気特性によってばらつき、高磁力、低磁力、太文字・細文字、傾斜等の変化が生じる。さらに、小切手の使用状態、保管状態によっては、穴あき、かすれ、にじみなどの変化が生じることもある。このように変化した磁気インク文字の磁気再生波形は様々に変形することとなる。
【0008】
特許文献1に開示された発明では、認識対象波形と基準波形の対応点間の差分絶対値が全ての点で一定値以内であることを前提とするが、上記のような変形がある場合には、この条件を満たすことが難しくなり、排除率の増大につながりやすいという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に開示された発明では、波形の照合度が悪い場合に、基準波形を伸縮させて照合率を高めようとしているが、波形の変形度合いが大きい場合には補正しきれなくなるという問題がある。また、伸縮操作は処理負荷が大きいため、装置のコストアップにつながる可能性がある、という問題がある。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷品質のばらつきや小切手等の変形によって波形の変形が大きい場合であっても、精度良くMICR文字認識を行うことができる磁気インク文字認識方法及び磁気文字認識装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1) 磁気インクを用いて印字された磁気インク文字を磁気ヘッドで読取る際の基準となる基準波形を準備する基準波形準備行程と、情報記録媒体の表面に印字された前記磁気インク文字の文字列から、再生波形を生成する波形生成行程と、前記再生波形から、前記磁気インク文字の1文字ごとの文字波形を切り出す切り出し行程と、前記切り出し行程によって切り出された前記文字波形と、前記基準波形とを比較する比較行程と、前記比較行程の比較結果に基づいて、複数の候補文字の前記基準波形を選択する選択行程と、前記候補文字の基準波形と、前記文字波形とを、前記再生波形の生成方向及びその反対方向に各々所定の間隔で相対的にずらすシフト行程と、前記シフト行程の各々のシフト位置における前記候補文字の基準波形と、前記文字波形との一致度を示す一致係数を算出する算出行程とを含み、前記算出行程の算出結果に基づいて、最も高い前記一致係数を有する前記候補文字を読取り文字として決定することを特徴とする磁気文字認識方法。
【0013】
本発明によれば、基準波形準備行程によって、磁気インク文字の基準波形を準備し、波形生成行程によって、情報記録媒体に印字された磁気インク文字の文字列から再生波形を生成し、切り出し行程によって、再生波形から1文字ごとの文字波形を切り出し、比較行程によって、切り出された文字波形と基準波形とを比較し、選択行程によって、複数の候補文字の基準波形を選択し、シフト行程によって、候補文字の基準波形と切り出された文字波形とを再生波形の生成方向及びその反対方向に各々所定の間隔で相対的にずらし、算出行程によって、各々のシフト位置における候補文字の基準波形と切り出された文字波形との一致係数を算出し、その算出結果に基づいて、最も高い一致係数を有する候補文字を読取り文字として決定することとしたので、精度の高い磁気文字認識を行うことができる。
【0014】
すなわち、切り出し行程によって切り出した文字波形を基準波形と比較する場合に、切り出すポイントが多少ずれることがあり、それがわずかなずれであっても、一致係数が大幅に低くなることがある。そこで、基準波形と文字波形との比較位置を再生波形の生成方向に沿って前後にシフトし、その位置における一致係数をそれぞれ算出し、そのうちの最も高い一致係数を採用することとしたので、比較行程による最初の比較において候補文字の基準波形と文字波形との一致係数が低い場合であっても、その読取り精度を向上させることができる。
【0015】
また、切り出しポイントがずれることにより、比較行程における最初の比較において、誤った候補文字に最も高い一致係数が与えられてしまう場合がある。この場合には、シフト行程によって比較位置をシフトしても一致係数が向上せず、認識不能となってしまう。そこで、このような事態を回避するために、選択行程によって、最初の比較において一致係数が高いものから順に複数の候補文字を選択しておき、それぞれの候補文字ごとに、その比較位置をずらしながら基準波形と文字波形との一致係数を算出し、候補文字ごとの最大一致係数を求め、それらのうちで最も高い最大一致係数を示す候補文字を読取り文字として決定する。このように、複数の候補文字について同時に波形比較を行うこととしたので、最初の比較において、誤った候補文字に最大一致係数が与えられた場合であっても、正しい候補文字について波形比較が行われる可能性が高くなり、より精度の高い磁気文字認識を行うことができる。
【0016】
(2) 前記磁気文字認識方法は、少なくとも一の追加基準波形を準備する追加基準波形準備行程を含み、前記追加基準波形には、前記候補文字の太さが太くなった場合の基準波形と、前記候補文字の太さが細くなった場合の基準波形と、前記磁気ヘッドによる読取り時に前記候補文字に傾きが生じた場合の基準波形とのうち、少なくとも一の基準波形を含むことを特徴とする磁気文字認識方法。
【0017】
本発明によれば、磁気文字認識方法は、候補文字の太さが太くなった場合、及び、細くなった場合、または、候補文字に傾きが生じた場合の少なくとも一の基準波形を含む、少なくとも一の追加基準波形を準備する追加基準波形準備行程を含むこととしたので、(1)に記載した磁気文字認識において求める一致係数が得られなかった場合に、順次追加基準波形との比較を行うことにより、磁気インク文字が何らかの変形を受けている場合であっても、精度の高い磁気文字認識を行うことができる。
【0018】
すなわち、切り出した文字波形と基準波形との一致係数が低い場合には、情報記録媒体に印字された磁気インク文字そのものが極端に太い線であったり、細い線であったり、傾斜して印字されていることが原因であることが多いが、このような場合に、候補文字の太さの変化や、文字の傾き等による変形を加味した基準波形を第2及び第3の追加基準波形として準備しておき、基準波形との比較では求める一致係数が得られなかった場合に、この追加基準波形との比較を行うことにより、読取り精度を向上させることが可能となる。
【0019】
(3) 前記比較行程において、前記算出行程によって算出された前記一致係数が所定の一致係数よりも高い数値を示す場合に、最も高い前記一致係数を示す前記候補文字を読取り文字として決定することを特徴とする磁気文字認識方法。
【0020】
本発明によれば、比較行程において、算出行程によって算出された一致係数が所定の一致係数よりも高い数値を示す場合に、最も高い一致係数を示す候補文字を読取り文字として決定することとしたから、一致係数が所定の一致係数に満たない場合は文字認識を行わず、誤った文字認識を防止することにより、より精度の高い文字認識を行うことができる。
【0021】
(4) 前記所定の一致係数は、0.7であることを特徴とする磁気文字認識方法。
【0022】
本発明によれば、所定の一致係数を、0.7に設定し、一致係数が0.7よりも低い場合には文字認識を行わないこととしたので、誤った文字認識を防止し、より精度の高い文字認識を行うことができる。
【0023】
(5) 前記磁気文字認識方法は、前記比較行程において、前記一致係数の高いものから少なくとも3種類の前記基準波形を選択することを特徴とする磁気文字認識方法。
【0024】
本発明によれば、磁気文字認識方法は、比較行程において、一致係数の高いものから少なくとも3種類の基準波形を選択することとしたから、比較行程による最初の比較において、誤った候補文字が最も高い一致係数を示した場合であっても、正しい候補文字が2番目又は3番目に高い一致係数を示した場合には、それらの候補文字についても同時に波形比較を行うことができ、より精度の高い文字認識を行うことができる。
【0025】
(6) 前記シフト行程のずらし幅は、前記再生波形の生成方向に3ドット、及び、その反対方向に3ドットであることを特徴とする磁気文字認識方法。
【0026】
本発明によれば、シフト行程のずらし幅は、再生波形の生成方向及びその反対方向にそれぞれ3ドットであることとしたから、文字波形を切り出すポイントが3ドット程度ずれた場合であっても、高い一致係数を得ることができ、精度の高い文字認識を行うことができる。
【0027】
(7) 磁気インクを用いて印字された磁気インク文字1文字ごとの磁気波形を基準波形として記憶する基準波形記憶部と、前記磁気インク文字からなる文字列から再生波形を読取る磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドから読取られた前記再生波形を記憶する再生波形記憶部と、前記再生波形記憶部に記憶された前記再生波形から、前記磁気インク文字の1文字ごとの文字波形の切り出しを行う文字切り出し部と、前記基準波形記憶部に記憶された前記基準波形と、前記文字切り出し部によって切り出された前記文字波形とを比較する文字認識部とを備え、前記文字認識部は、前記基準波形の中から候補となる複数の波形を選択する候補選択手段と、前記候補選択手段により選択された基準波形と、前記文字波形とを、前記再生波形の生成方向及びその反対方向に各々所定の間隔で相対的にずらし、各々のシフト位置における前記候補文字の基準波形と、前記文字波形との一致度を示す一致係数を算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づいて、最も高い前記一致係数を有する前記候補文字を読取り文字として決定する決定手段と、を有することを特徴とする磁気文字認識装置。
【0028】
本発明によれば、基準波形記憶部によって、磁気インク文字1文字ごとの磁気波形を基準波形として記憶し、磁気ヘッドによって、磁気インク文字の文字列から再生波形を読取り、再生波形記憶部によって、磁気ヘッドから読取られた再生波形を記憶し、文字切り出し部によって、再生波形から磁気インク文字1文字ごとの文字波形の切り出しを行い、文字認識部によって、基準波形記憶部に記憶された基準波形と、文字切り出し部によって切り出された文字波形とを比較し、文字認識部における候補文字選択手段によって、基準波形の中から候補となる複数の波形を選択し、算出手段によって、選択された基準波形と文字波形とを再生波形の生成方向及びその反対方向に相対的にずらし、各々のシフト位置における候補文字の基準波形と文字波形との一致係数を算出し、決定手段によって、最も高い前記一致係数を有する候補文字を読取り文字として決定することとしたので、精度の高い磁気文字認識を行うことができる。
【0029】
すなわち、基準波形と文字波形との比較位置を再生波形の生成方向に沿って前後にずらし、その位置における一致係数をそれぞれ算出し、そのうちの最も高い一致係数を採用することとしたので、文字切り出し部による文字の切り出しポイントが再生波形の生成方向に対して前後にずれ、最初の比較における候補文字の基準波形と文字波形との一致係数が低い場合であっても、その読取り精度を向上させることができる。
【0030】
また、複数の候補文字について同時に波形比較を行うこととしたので、最初の比較において、誤った候補文字に最大一致係数が与えられた場合であっても、正しい候補文字について波形比較が行われる可能性が高くなり、より精度の高い磁気文字認識を行うことができる。
【0031】
(8) 前記磁気文字認識装置は、前記再生波形記憶部に記憶された前記再生波形のノイズを除去して整形波形を生成する波形生成部を備えることを特徴とする磁気文字認識装置。
【0032】
本発明によれば、再生波形記憶部に記憶された再生波形のノイズを除去して整形波形を生成する波形生成部を備える磁気文字認識装置によって、ノイズの影響を受けることなく波形比較をすることができ、より精度の高い磁気文字認識を行うことができる。
【0033】
(9) 前記磁気文字認識装置は、前記波形生成部で生成された前記整形波形のピーク情報を検出するピーク検出部を備えることを特徴とする磁気文字認識装置。
【0034】
本発明によれば、波形生成部で生成された整形波形のピーク情報を検出するピーク検出部を備える磁気文字認識装置によって、ノイズが除去された整形波形から、ピーク情報に基づいた文字波形の切り出しを行うことができ、より精度の高い文字認識を行うことができる。
【0035】
(10) 前記磁気文字認識装置は、前記ピーク情報に基づき、前記再生波形における前記磁気インク文字1文字ごとの境界を検出する文字境界検出部を備えることを特徴とする磁気文字認識装置。
【0036】
本発明によれば、ピーク情報に基づき、再生波形における磁気インク文字1文字ごとの境界を検出する文字境界検出部を備える磁気文字認識装置によって、より精度の高い磁気文字認識を行うことができる。
【0037】
すなわち、文字認識においては、文字に対応する波形をいかに正確に切り出すことができるかが重要であり、文字波形の切り出し位置は、文字の先頭部の検出精度に左右される。文字境界検出部によって、ピーク情報に基づいて磁気インク文字1文字ごとの境界を検出することにより、文字の先頭部の検出精度を向上させ、ひいては、磁気文字認識精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0039】
[磁気文字認識装置]
図1は、本発明の実施の形態に係る磁気文字認識装置1の構成を示す模式図である。なお、本発明の実施の形態では、MICR認識機能を備えた小切手リーダを例にとって説明する。図1では、本発明の実施の形態に係る磁気文字認識装置1のMICR文字認識処理に関する部分を中心とした構成を示している。
【0040】
図1において、磁気文字認識装置1は、紙媒体搬送路11と、MICR文字(磁気インクを用いて印字された磁気インク文字)を再磁化する着磁ヘッド12と、MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッド13と、紙媒体を搬送するローラ14を有している。磁気ヘッド13は、磁気ヘッド制御回路によって、ローラ14は、媒体搬送制御回路によって、それぞれ制御されている。
【0041】
紙媒体搬送路11に挿入された小切手(情報記録媒体)は、ローラ14によって搬送され、着磁ヘッド12及び磁気ヘッド13を通過する。着磁ヘッド12は、小切手に印字されたMICR文字を再磁化し、磁気ヘッド13は、着磁ヘッド12によって再磁化されたMICR文字の磁気を検出する。
【0042】
磁気ヘッド13によって読取られたMICR文字からは再生波形が生成され(波形生成行程)、生成されたMICR再生波形は、デジタル化されてMICR波形メモリ(再生波形記憶部)に記録される。この、MICR波形メモリに記憶されたMICR再生波形データを用いて、磁気文字認識装置1に内蔵されたマイクロプロセッサにおいて磁気文字認識処理が行われる。磁気文字認識の詳細については、後述する[磁気文字認識方法]で説明する。
【0043】
なお、本実施の形態においては、磁気文字認識装置1に内蔵されたマイクロプロセッサにおいて磁気文字認識が行われるが、MICR再生波形を上位制御装置に転送して、上位制御装置において磁気文字認識を行うこととしてもよい。また、小切手の表面の画像を読取るための密着型1次元撮像素子を、紙媒体搬送路11の上部または下部または両側に配置することとしてもよい。さらに、小切手表面に所定の事項を印字するための印字ブロックを配置することとしてもよい。
【0044】
図2は、本発明の実施の形態に係る磁気文字認識装置1の電気的構成を示すブロック図である。図2では、MICR文字認識処理に関する部分を中心とした構成を示している。
【0045】
図2において、磁気文字認識装置1は、認識制御部100と、MICR波形メモリ101と、基準波形データベース102と、前処理部103と、ピーク検出部104と、文字境界検出部105と、文字切り出し部106と、文字認識部107と、を有しており、認識結果108が示される。
【0046】
MICR波形メモリ101に格納されたMICR再生波形は、まず、前処理部103において、平滑化によるMICR再生波形全体のノイズ除去が行われ、ノイズが除去された整形波形が生成される。なお、この前処理部103は、整形波形を生成する波形生成部の一例である。
【0047】
次いで、ピーク検出部104において、整形されたMICR再生波形に含まれる全てのピーク情報が検出され、その各々のピークの極性(正・負)、強度、尖頭位置等のピーク情報が記憶される。このとき、ピークの強度が一定値に満たないピークの除外処理も同時に行われる。
【0048】
次いで、これらのピーク情報に基づいて、文字境界検出部105において、MICR再生波形から、磁気インク文字1文字ごとの先頭ピークの検出が行われ、文字切り出し部106において、1文字に対応する文字波形が切り出される。
【0049】
文字切り出し部106によって切り出された文字波形は、基準波形データベース102(基準波形記憶部)に格納された各波形と比較され、文字認識部107において、磁気文字認識が行われる。
【0050】
基準波形データベース102には、MICR文字1文字ごとの標準的な磁気波形が記憶されている(基準波形準備行程)。さらに、MICR文字の太さが太くなった場合や細くなった場合、MICR文字に傾きが生じた場合等の文字変形に対応した変形波形データも追加基準波形として記憶されており、初期段階で一意的に文字が決定できなかった場合には、これらの追加基準波形との比較を行うことができる。
【0051】
[磁気文字認識方法]
図3は、本発明の実施の形態に係る磁気文字認識方法の全体的な流れを示すフローチャートである。
【0052】
図3に示すように、本実施の形態に係る磁気文字認識方法では、まず、スムージングが行われる(ステップS1)。具体的には、移動平均法などを用いてMICR波形全体の平滑化を行い、高周波ノイズを除去することにより、ノイズの影響を受けることなく波形比較ができるように処理を行う。
【0053】
次いで、ピーク検出が行われる(ステップS2)。具体的には、MICR再生波形に含まれる全てのピーク、すなわち、極大値及び極小値が検出される。
【0054】
正のピークは上側に凸のパターンとして検出される。すなわち、現時点tにおける信号出力Amp(t)とひとつ先の信号出力Amp(t+1)との差を△(t)=Amp(t+1)−Amp(t)とし、△(t)>0かつ△(t+1)<0のとき、Amp(t+1)は正の極大値であると判定される。また負のピークは下側に凸のパターンとして検出される。すなわち、△(t)<0かつ△(t+1)>0のとき、Amp(t+1)は負の極大値(極小値)であると判定される。
【0055】
この正と負のピークは交互に出現する。ピークが検出されるごとにそのインデクスtと出力値Amp(t)と極性Sgnが記憶される。
【0056】
ここで、同一の出力値が連続してひとつのピークが形成されている場合には、ピークの形状は台形状となるので、ピークの平坦部の開始位置と終了位置を求め、両者の中間点をピーク位置と判定するようにする。こうすることにより、小切手のMICR磁気再生出力が飽和した場合でも正確にピーク位置を検出することができる。
【0057】
また、ある信号出力値がピークであると判定された場合であっても、その信号出力レベルが一定値に満たない場合には、その信号はノイズであると判断して、採用しないようにすることにより、ノイズの影響を受けることなく、精度の良い磁気文字認識を行うことができる。
【0058】
次いで、文字切り出しが行われる(ステップS3)。
【0059】
図4は、図3に示すフローチャートにおいて、「文字切り出し」(ステップS3)の詳細な流れを示すフローチャートであり、図5は、MICR再生波形データの一例を示す図である。
【0060】
文字切り出し(磁気インク文字の切り出し行程)においては、まず、文字の先頭ピーク位置の検出を行う。文字の先頭ピークはMICR文字の印字に関する規格により、正極であって一定レベル以上の出力値をもつメジャーなピークであると規定されているため、MICR再生波形を先頭からスキャンして、そのレベル値Pkが正であって閾値Ath以上であるか否かを判定する。この閾値は、例えば全ての正ピーク値について平均値を求めておき、その60%の値に設定する。
【0061】
図4において、変数i及び変数kに1を代入するとともに、NEXTPEAKに、位置情報IDX(i)(すなわちIDX(1))を代入する(ステップS11)。そして、レベル値Pk(i)が正であって(極性関数Sgn(i)を用いて正負を検出する)、閾値Ath以上であるとき、IDX(i)がNEXTPEAK−USIZEよりも大きいか否かを判断する(ステップS12)。これがNEXTPEAK−USIZEよりも大きくないときは、その時点におけるIDX(i)は文字の切り出し部分ではないと判断し、iをインクリメントした後(ステップS14)、iがlastになるまで処理をステップS12に戻す。
【0062】
一方で、IDX(i)がNEXTPEAK−USIZEよりも大きいときには(すなわち、NEXTPEAK−USIZEよりも先で値であって、閾値Ath以上かつ正のレベル値Pk(i)が登場したときには)、その時点におけるIDX(i)は文字の切り出し部分であると判断し、そのIDX(i)をBGN(k)に代入する。また、NEXTPEAKにIDX(i)+PITCH(文字間隔)を代入するとともに、変数kを1だけインクリメントする。これにより、図5に示すPk(1)の位置情報IDX(1)がBGN(1)に代入され、図5に示すPk(11)の位置情報IDX(11)がBGN(2)に代入されることになる。BGN(3)以降も同様である。
【0063】
このようにして、文字の先頭ピークの検出を続け、MICR文字波形の終端を超えたところで(ステップS15:YES)、文字切り出しを打ち切る。
【0064】
なお、上述したUSIZEは、文字波形の切り出しを先頭ピークの何ポイント手前から切り出すかを表すものである。すなわち、基準波形データは、その先頭からUSIZE番目に第1ピークが来るように作成されている。したがって、先頭ピークからUSIZE手前の地点を切り出し開始点とし、基準波形の長さと同じ長さの波形を切り出す。
【0065】
次いで、文字認識が行われる(図3のステップS4)。
【0066】
図6は、図3に示すフローチャートにおいて、「文字認識」(ステップS4)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0067】
文字切り出し(ステップS21)によって切り出されたMICR文字波形を、標準波形比較行程によって、基準波形と比較する(ステップS22)。一致度(一致係数)の尺度としては、正規化相関を用いている。必要に応じて差分絶対値和なども適宜用いることができる。
【0068】
図7及び図8は文字切り出しによって切り出されたMICR文字波形の例を示す図である。
【0069】
図7において、実線はMICR文字「4」を切り出したときの波形を示し、破線は最も高い一致度を示した文字「4」の基準波形を示している。
【0070】
文字認識においては、すべての基準波形のうちで最も高い一致度を示し、かつそれが判定閾値(所定の一致係数)を超えた場合(ステップS23)、基準波形に対応する文字がこの切り出し波形に対応する文字であると判定する(ステップS24)。この例では一致度は0.742となったので、判定の閾値を0.7とすれば、この文字は「4」に決定付けられる。
【0071】
図8において、実線はMICR文字「5」を切り出したときの波形を示し、細い破線は最も高い一致度を示した「5」の基準波形である。この場合の一致度は0.695であり、閾値を下回ったので、この文字を「5」に決定付けることができない。
【0072】
そこで微小シフト波形比較処理を行う(ステップS32)。波形の切り出しポイントを初期位置から前後に小刻みにシフトさせながら一致度を求めていくと(シフト行程)、真の一致点がこのシフト範囲内に存在する場合には、そのポイントにおいて初期値よりも高い一致度が得られることになる(ステップS33)。図8では初期位置から右に1ドットシフトさせた地点(細線)を示しており、この細線の位置から、さらに右に1ドット(初期位置から2ドット)シフトさせた地点(太い破線)で、一致度が0.875となった。この地点での一致度が閾値0.7を超えるので、この文字を「5」に決定付けることができる(ステップS24)。
【0073】
このような手法は、最大一致度が誤った基準波形に対して得られている場合に問題となる。誤った基準波形に対して得られた最大一致度は閾値を下回る可能性が高いが、シフト比較処理を行っても最大一致度が閾値を超えず、認識不能となって、文字読取り性能を悪化させてしまうことになる。
【0074】
そこで、微小シフト波形比較に際して、初期一致度による順位付けに従って候補文字を複数個選択する、文字候補選択処理(選択行程)を行う(ステップS31)。
【0075】
図9は、MICR文字「8」を切り出したときの波形の例を示す図である。図9(a)は波形比較を示す図であり、図9(b)は初期の波形比較において一致度が高いものから3種類の候補文字について微小シフト波形比較を行った場合の一致度を示す表である。表中の+1は波形の切り出し位置を右に1ドットシフトすることを意味し、−1は左に1ドットシフトすることを意味する。
【0076】
図9において、初期位置における最大一致度を示す基準波形は「8」でなく、わずかに文字「T」のほうが上回っている。しかし、「T」が選択された状態で微小シフトをしても十分大きな一致度を得られるポイントは存在せず、したがって認識不能となってしまう。なお、ここでいう文字「T」は、MICRのE−13Bにおけるトランジットシンボル(Trnsit Symbol)を指すものであって、実際に小切手券面に「T」という文字が印字されているのではない。このトランジットシンボルは、小切手や装置の仕様により設定変更可能なものであって、種種の仕様がある。
【0077】
図9(b)の表は、図9(a)の波形例で、初期の波形比較において一致度が高いものから上位3種類を示している。初期位置では、最大一致度は0.685で、閾値に満たないため、MICR文字波形の切り出し位置を左右に(再生波形の生成方向及び反対方向に)3ドットずつシフトし、微小シフト波形比較を行う。このとき、それぞれのシフト位置における各候補文字の基準波形との一致度を、算出行程によって算出する。この例では右に3ドットシフトしたところで候補2に関する一致度が最大となり、かつ閾値を超えたので、文字「8」が認識結果となる。この方法によれば、波形伸縮を行う必要がないので、処理負荷が少なく、処理時間の短縮ができるという利点がある。
【0078】
さらに、微小シフト波形比較によっても一致度が閾値に満たない場合は、印刷された磁気文字そのものが極端に太い線であったり細い線であったり、傾斜して印刷されていたりすることが原因である場合が多い。このような場合であっても、標準波形とは別に文字変形に対応した変形波形データを追加基準波形として準備しておき(追加基準波形準備行程)、微小シフト波形比較処理でも一致度が向上しないときに、この追加波形との比較を行うことで(ステップS34)、一致度を向上させることができ、読取り性能を確保することが可能となる。
【0079】
図10は、MICR文字「4」を切り出したときの波形の例を示す図である。図10(a)は波形比較を示す図であり、図10(b)は初期の波形比較において一致度が高いものから3種類の候補文字について微小シフト波形比較を行った場合の一致度を示す表である。
【0080】
図10において、実線で示す波形は、MICR文字「4」を切り出したものであるが、標準よりも太い文字で印字されたものであるため、破線で示す文字「4」の基準波形とのずれが顕著に大きくなっている。この例ではそもそも候補文字選択時に真の文字である「4」が含まれないため、微小シフト波形比較を行っても、図10(b)に示すように一致度の改善はみられない。処理能力に余裕がある場合には、候補文字の数を増やすことにより、真の文字が含まれる可能性は高くなるが、それに伴って処理負荷が大きくなり、処理時間も増大するという問題がある。
【0081】
そこであらかじめ標準よりも太い文字で印字された文字の再生波形からなる追加基準波形を準備しておく。図11は、文字「4」が標準よりも太い文字で印字された場合の追加基準波形の例を示す図である。図11に示す追加基準波形との比較では、図10における基準波形との比較よりも、MICR文字波形の一致度が高くなっている。
【0082】
このように、微小シフト波形比較(ステップS32)で文字認識が成功しなかったときは、この追加基準波形との波形比較を行い(ステップS34)、最大一致度が閾値を超えた場合(ステップS35)に、その最大一致度に対応する文字を認識結果として採用する(ステップS24)。追加基準波形は、太さの異なる文字や、傾斜のある文字、高磁力あるいは低磁力などによって変形した文字等、それぞれの変形要素に応じた波形を準備することができる。また、扱われる媒体の印刷文字の傾向や、搬送機構の癖に応じた最も顕著な変形要因を選んで、これに応じた追加基準波形を準備することにより、より効率の良い文字認識を行うことができる。
【0083】
追加基準波形による比較を行っても、最大一致度が閾値を超えなかった場合に初めて、文字特定が不能となり(ステップS36)、次の文字の切り出しに移行する。このようにして、最後の文字まで認識を行ったところで(ステップS25)、文字認識が終了する。
【0084】
なお、MICR文字には、E13−Bや、CNC−7等の規格があるが、本発明はどちらのMICR文字であっても適用することができる。
【0085】
[実施形態の効果]
以上説明したように本実施形態に係る磁気文字認識装置及び磁気文字認識方法によれば、複数の候補文字を選択し、それぞれの候補文字ごとに微小シフト波形を比較することにより、文字波形の切り出しポイントがずれた場合であっても精度の高いMICR文字認識を行うことができる。
【0086】
さらに、微笑シフト波形比較によって文字認識が成功しなかった場合に、太さの異なる文字や、傾斜のある文字等の、変形要素に応じた追加基準波形による波形比較を行うことにより、印刷品質のばらつきや小切手等の変形によって波形の変形が大きい場合であっても、より精度の高いMICR文字認識を行うことができる。
【0087】
なお、MICR文字には、E13−Bや、CNC−7等の規格があるが、本発明はどちらのMICR文字であっても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る磁気インク文字認識方法及び文字認識装置は印刷品質のばらつきや小切手等の変形によって波形の変形が大きい場合であっても、精度の高い文字認識を行うことが可能なものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態に係る磁気文字認識装置1の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る磁気文字認識装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る磁気文字認識方法の全体的な流れを示すフローチャートである。
【図4】図3に示すフローチャートにおいて、文字切り出しの詳細な流れを示すフローチャートである。
【図5】MICR再生波形データの一例を示す図である。
【図6】図3に示すフローチャートにおいて、文字認識の詳細な流れを示すフローチャートである。
【図7】文字切り出しによって切り出されたMICR文字波形の例を示す図である。
【図8】文字切り出しによって切り出されたMICR文字波形の例を示す図である。
【図9】MICR文字「8」を切り出したときの波形の例を示す図である。
【図10】MICR文字「4」を切り出したときの波形の例を示す図である。
【図11】文字「4」が標準よりも太い文字で印字された場合の追加基準波形の例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 磁気文字認識装置
11 紙媒体搬送路
12 着磁ヘッド
13 磁気ヘッド
14 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気インクを用いて印字された磁気インク文字を磁気ヘッドで読取る際の基準となる基準波形を準備する基準波形準備行程と、
情報記録媒体の表面に印字された前記磁気インク文字の文字列から、再生波形を生成する波形生成行程と、
前記再生波形から、前記磁気インク文字の1文字ごとの文字波形を切り出す切り出し行程と、
前記切り出し行程によって切り出された前記文字波形と、前記基準波形とを比較する比較行程と、
前記比較行程の比較結果に基づいて、複数の候補文字の前記基準波形を選択する選択行程と、
前記候補文字の基準波形と、前記文字波形とを、前記再生波形の生成方向及びその反対方向に各々所定の間隔で相対的にずらすシフト行程と、
前記シフト行程の各々のシフト位置における前記候補文字の基準波形と、前記文字波形との一致度を示す一致係数を算出する算出行程とを含み、
前記算出行程の算出結果に基づいて、最も高い前記一致係数を有する前記候補文字を読取り文字として決定することを特徴とする磁気文字認識方法。
【請求項2】
前記磁気文字認識方法は、少なくとも一の追加基準波形を準備する追加基準波形準備行程を含み、
前記追加基準波形には、前記候補文字の太さが太くなった場合の基準波形と、前記候補文字の太さが細くなった場合の基準波形と、前記磁気ヘッドによる読取り時に前記候補文字に傾きが生じた場合の基準波形とのうち、少なくとも一の基準波形を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気文字認識方法。
【請求項3】
前記比較行程において、前記算出行程によって算出された前記一致係数が所定の一致係数よりも高い数値を示す場合に、最も高い前記一致係数を示す前記候補文字を読取り文字として決定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の磁気文字認識方法。
【請求項4】
前記所定の一致係数は、0.7であることを特徴とする請求項3に記載の磁気文字認識方法。
【請求項5】
前記磁気文字認識方法は、前記比較行程において、前記一致係数の高いものから少なくとも3種類の前記基準波形を選択することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか記載の磁気文字認識方法。
【請求項6】
前記シフト行程のずらし幅は、前記再生波形の生成方向に3ドット、及び、その反対方向に3ドットであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか記載の磁気文字認識方法。
【請求項7】
磁気インクを用いて印字された磁気インク文字1文字ごとの磁気波形を基準波形として記憶する基準波形記憶部と、
前記磁気インク文字からなる文字列から再生波形を読取る磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドから読取られた前記再生波形を記憶する再生波形記憶部と、
前記再生波形記憶部に記憶された前記再生波形から、前記磁気インク文字の1文字ごとの文字波形の切り出しを行う文字切り出し部と、
前記基準波形記憶部に記憶された前記基準波形と、前記文字切り出し部によって切り出された前記文字波形とを比較する文字認識部とを備え、
前記文字認識部は、前記基準波形の中から候補となる複数の波形を選択する候補選択手段と、
前記候補選択手段により選択された基準波形と、前記文字波形とを、前記再生波形の生成方向及びその反対方向に各々所定の間隔で相対的にずらし、各々のシフト位置における前記候補文字の基準波形と、前記文字波形との一致度を示す一致係数を算出する算出手段と、
前記算出手段の算出結果に基づいて、最も高い前記一致係数を有する前記候補文字を読取り文字として決定する決定手段と、を有することを特徴とする磁気文字認識装置。
【請求項8】
前記磁気文字認識装置は、前記再生波形記憶部に記憶された前記再生波形のノイズを除去して整形波形を生成する波形生成部を備えることを特徴とする請求項7に記載の磁気文字認識装置。
【請求項9】
前記磁気文字認識装置は、前記波形生成部で生成された前記整形波形のピーク情報を検出するピーク検出部を備えることを特徴とする請求項7または請求項8記載の磁気文字認識装置。
【請求項10】
前記磁気文字認識装置は、前記ピーク情報に基づき、前記再生波形における前記磁気インク文字1文字ごとの境界を検出する文字境界検出部を備えることを特徴とする請求項7から請求項8のいずれか記載の磁気文字認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−129868(P2008−129868A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314551(P2006−314551)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】