説明

磁気デバイスおよびその製造方法

【課題】薄膜製造技術を用いて形成することができ、バイアス磁界を印加させる必要がない薄膜タイプの磁性体素子と、外部磁界の変化による磁性体素子の特性変化を電圧の変化として検出できるピックアップコイルを備えた磁気デバイスを提供する。
【解決手段】本発明に係る磁気デバイス10は、第一基板11、その一面側に配された第一磁性体素子13、前記一面側にあって第一磁性体素子と重なり、第一磁性体素子を挟むように、かつ、第一絶縁層21と第二絶縁層22をそれぞれ介して配される第一導電層12と第二導電層14、及び第二導電層と第二絶縁層を覆うように配された第三絶縁層23、を少なくとも備える。また、第一導電層と第二導電層が電気的に接続されてコイル形状をなし、第一導電層、第二導電層及び/又は第一磁性体素子が、第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔16,17を通じて外部と電気的に接続される構造を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサを備えた磁気デバイスおよびその製造方法に係り、特にマグネットインピーダンスセンサ又はフラックスゲートセンサを備えた磁気デバイスを、特性のばらつきが抑制され、優れた歩留まりで容易に製造することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサには、マグネットインピーダンスセンサ(以下、「MIセンサ」と記す。)やフラックスゲートセンサなど様々な種類のセンサがあり、用途によって使い分けられている。その中でもマグネットインピーダンス効果を用いたMIセンサは、高感度であり、小型化し易いなどの優れた特性を持つので、普及が急速に進んでいる。
このMIセンサには、磁性体薄膜を用いた薄膜タイプや、磁性体ワイヤにコイルを巻いたピックアップタイプなど様々な形態がある。
【0003】
薄膜タイプは、MIセンサ素子である磁性体薄膜をスパッタ法やめっき法などの薄膜製造技術を用いて形成することができ、歩留まり良く、特性の安定したものが得られる。
しかしながら、薄膜タイプのMIセンサの場合、センサを最も感度の良い磁界で動作させるためには、磁石やコイルなどでバイアス磁界を印加させる必要がある。
ところが、バイアス磁界の印加に磁石を用いた場合、角型比が優れ、任意の磁界を発生できる材料を選択することや、磁石形状、配置を最適化することが必要であるだけでなく、磁界の強さや向きが同じものを安定して製造することが難しい。また、バイアス磁界の印加にコイルを用いた場合、任意の磁界を得るには、小型化と省電力化がトレードオフ(二律背反)の関係にあり、小型で省電力のセンサの実現が難しい。
【0004】
一方、ピックアップタイプは、MIセンサ素子である磁性体ワイヤと、その周囲に巻いたピックアップコイルからなっており、外部磁界の変化による磁性体ワイヤの特性変化をピックアップコイルで電圧の変化として検出するものである。このピックアップタイプでは、ゼロ磁界で優れた感度を有するので、バイアス磁界を印加する必要が無い点で優れている。したがって、薄膜タイプでの磁石によるバイアス磁界印加のように、製造ばらつきにより印加されるバイアス磁界がセンサ間で異なることが無いという利点を有する。また、薄膜タイプでのコイルによるバイアス磁界印加のように、任意の磁界を得るために小型化を犠牲にしてターン数を増やしたり、大電流を流したりする必要も無いという点で優れている。
【0005】
このような、ピックアップタイプのMIセンサの利点を活用して、磁性体又は磁性体のある基板周辺(周囲)にコイル配線を巻きつけたり、基板に延在溝を形成してその延在溝内に螺旋状にコイル配線を形成した構成の磁気センサが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、MIセンサではないが、帯状の磁性体にピックアップコイルを巻いた磁気センサも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
ところが、上記特許文献1乃至3に記載された磁気センサは、従来のコイル配線の形成方法では何れも、製造が困難であり、歩留まりが低く、再現良く製造することが難しい。たとえば、歩留まりが低いと、製造コストの増大を招くことになり、センサごとにピックアップコイルの特性が異なると、センサとしての特性もばらつきが生ずる虞がある。
さらに、磁性体ワイヤや帯状磁性体の特性変化を効率良く検出するには、磁性体ワイヤや帯状磁性体とピックアップコイルとの間の距離を狭くしたり、コイルの巻き数を増やすと有効であるが、従来の方法では磁性体コイル間の距離や巻き数の改善には共に限界があった。
【特許文献1】特許第3693119号公報
【特許文献2】特許第3645116号公報
【特許文献3】特許第2617498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、薄膜製造技術を用いて形成することができ、バイアス磁界を印加させる必要がない薄膜タイプの磁性体素子と、外部磁界の変化による磁性体素子の特性変化を電圧の変化として検出することができるピックアップコイルを備えた磁気デバイスを提供することを目的とする。
また、本発明は、特性のばらつきが抑制され、優れた歩留まりで容易に製造できる磁気デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る磁気デバイスは、第一基板の一面側に配された第一磁性体素子、前記一面側にあって前記第一磁性体素子と重なり、前記第一磁性体素子を挟むように、かつ、第一絶縁層と第二絶縁層をそれぞれ介して配される第一導電層と第二導電層、及び前記第二導電層と前記第二絶縁層を覆うように配された第三絶縁層、を少なくとも備え、前記第一導電層と前記第二導電層は電気的に接続されてコイル形状をなし、前記第一導電層、前記第二導電層及び/又は前記第一磁性体素子は、前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を通じて外部と電気的に接続される構造を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係る磁気デバイスは、半導体回路が一面側に配された第二基板、前記半導体回路を覆うように配された第四絶縁層、前記第四絶縁層の上方に配された第二磁性体素子、前記一面側にあって前記第二磁性体素子と重なり、前記第二磁性体素子を挟むように、かつ、第五絶縁層と第六絶縁層をそれぞれ介して配される第三導電層と第四導電層、及び前記第四導電層と前記第六絶縁層を覆うように配された第七絶縁層、を少なくとも備え、前記第三導電層と前記第四導電層は電気的に接続されてコイル形状をなし、前記第三導電層、前記第四導電層及び/又は前記第二磁性体素子は、前記第四絶縁層の下面へ開口部を有する貫通孔を通じて前記半導体回路と電気的に接続される構造を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係る磁気デバイスは、請求項1又は2において、前記第一絶縁層及び/若しくは前記第二絶縁層、又は前記第五絶縁層及び/若しくは前記第六絶縁層は、その厚さが1〜40μmであることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係る磁気デバイスは、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記第一導電層及び/若しくは前記第二導電層により構成される配線、又は前記第三導電層及び/若しくは前記第四導電層により構成される配線は、そのピッチ間隔が1〜40μmであることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に係る磁気デバイスは、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記第一磁性体素子又は前記第二磁性体素子が、複数配されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に係る磁気デバイスは、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記第一磁性体素子又は前記第二磁性体素子は、高周波若しくはパルス電流が印加された際に、コイルに発生する外部磁界の強度に応じた電圧を出力することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に係る第一の磁気デバイスの製造方法は、第一基板の一面側に配された第一磁性体素子、前記一面側にあって前記第一磁性体素子と重なり、前記第一磁性体素子を挟むように、かつ、第一絶縁層と第二絶縁層をそれぞれ介して配される第一導電層と第二導電層、及び前記第二導電層と前記第二絶縁層を覆うように配された第三絶縁層、を少なくとも備え、前記第一導電層と前記第二導電層は電気的に接続されてコイル形状をなし、前記第一導電層、前記第二導電層及び/又は前記第一磁性体素子は、前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を通じて外部と電気的に接続される構造を備えている磁気デバイスの製造方法であって、前記第一基板の一面側に第一導電層を形成する工程、前記第一導電層を覆うように第一絶縁層を形成する工程、前記第一絶縁層上に第一磁性体素子を形成する工程、前記第一磁性体素子を覆うように第二絶縁層を形成する工程、前記第一絶縁層及び前記第二絶縁層に、前記第一導電層の一部が露呈するように開口部を形成する工程、前記第二絶縁層上に、前記開口部を通して前記第一導電層と電気的に接続する第二導電層を形成する工程、前記第二導電層と前記第二絶縁層を覆うように第三絶縁層を形成する工程、前記第一絶縁層、前記第二絶縁層、前記第三絶縁層のいずれか1以上に、前記第一導電層、前記第二導電層及び/又は前記第一磁性体素子が、外部と電気的に接続されるように前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を形成する工程、を少なくとも順に備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項8に係る第二の磁気デバイスの製造方法は、半導体回路が一面側に配された第二基板、前記半導体回路を覆うように配された第四絶縁層、前記第四絶縁層の上方に配された第二磁性体素子、前記一面側にあって前記第二磁性体素子と重なり、前記第二磁性体素子を挟むように、かつ、第五絶縁層と第六絶縁層をそれぞれ介して配される第三導電層と第四導電層、及び前記第四導電層と前記第六絶縁層を覆うように配された第七絶縁層、を少なくとも備え、前記第三導電層と前記第四導電層は電気的に接続されてコイル形状をなし、前記第三導電層、前記第四導電層及び/又は前記第二磁性体素子は、前記第四絶縁層の下面へ開口部を有する貫通孔を通じて前記半導体回路と電気的に接続される構造を備えている磁気デバイスの製造方法であって、前記半導体回路を覆うように第四絶縁層を形成する工程、前記第四絶縁層の上方に第三導電層を形成する工程、前記第三導電層を覆うように第五絶縁層を形成する工程、前記第五絶縁層上に第二磁性体素子を形成する工程、前記第二磁性体素子を覆うように第六絶縁層を形成する工程、前記第五絶縁層及び前記第六絶縁層に、前記第三導電層の一部が露呈するように開口部を形成する工程、前記第六絶縁層上に、前記開口部を通して前記第三導電層と電気的に接続する第四導電層を形成する工程、前記第四導電層と前記第六絶縁層を覆うように第七絶縁層を形成する工程、前記第四絶縁層、前記第五絶縁層、前記第六絶縁層のいずれか1以上に、前記第三導電層、前記第四導電層及び/又は前記第二磁性体素子が、前記半導体回路と電気的に接続されるように前記第四絶縁層の下面へ開口部を有する貫通孔を形成する工程、を少なくとも備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る磁気デバイスは、第一基板の一面側に配された第一磁性体素子、前記第一磁性体素子と重なり、前記第一磁性体素子を挟むように、かつ、第一絶縁層と第二絶縁層をそれぞれ介して配される第一導電層と第二導電層を少なくとも備え、前記第一導電層と前記第二導電層が、電気的に接続されてコイル形状をなしている。
ゆえに、MIセンサ素子である前記第一磁性体素子の周囲に、前記第一導電層と前記第二導電層により構成された、ゼロ磁界で動作する優れた感度を有するコイル配線が配置されたMIセンサ構造とすることができる。
したがって、薄膜製造技術を用いて形成することができ、バイアス磁界を印加させる必要がない薄膜タイプの磁性体素子と、外部磁界の変化による磁性体素子の特性変化を電圧の変化として検出することができるピックアップコイルを備えた磁気デバイスを提供することができる。
さらに、前記第二導電層と前記第二絶縁層を覆うように配された第三絶縁層を備え、前記第一導電層、前記第二導電層及び/又は前記第一磁性体素子が、前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を通じて外部と電気的に接続される構造を備えていることで、前記第一磁性体素子が前記貫通孔を通じて外部と電気的に接続し、前記第一磁性体素子に電流を流すことで、直交フラックスゲートセンサとして利用することもできる。
【0017】
本発明の請求項2に係る磁気デバイスは、第二基板の一面側に配された半導体回路を覆うように第四絶縁層が配され、前記第四絶縁層の上方に配された第二磁性体素子、前記一面側にあって前記第二磁性体素子と重なり、前記第二磁性体素子を挟むように、かつ、第五絶縁層と第六絶縁層をそれぞれ介して配される第三導電層と第四導電層を少なくとも備え、前記第三導電層と前記第四導電層が、電気的に接続されてコイル形状をなしている。
ゆえに、MIセンサ素子である前記第二磁性体素子の周囲に、前記第三導電層と前記第四導電層により構成された、ゼロ磁界で動作する優れた感度を有するコイル配線が配置されたMIセンサ構造とすることができる。
したがって、薄膜製造技術を用いて形成することができ、バイアス磁界を印加させる必要がない薄膜タイプの磁性体素子と、外部磁界の変化による磁性体素子の特性変化を電圧の変化として検出することができるピックアップコイルを備えた磁気デバイスを提供することができる。
さらに、前記第四導電層と前記第六絶縁層を覆うように配された第七絶縁層を備え、前記第三導電層、前記第四導電層及び/又は前記第二磁性体素子が、前記第四絶縁層の下面へ開口部を有する貫通孔を通じて前記半導体回路と電気的に接続される構造を備えていることで、前記第二磁性体素子が前記貫通孔を通じて前記半導体回路と第二基板上で効率良く電気的に接続することができ、前記第二磁性体素子に電流を流すことで、直交フラックスゲートセンサとして利用することもできる。
【0018】
本発明の請求項7に係る磁気デバイスの製造方法は、前記第一基板の一面側に第一導電層を形成する工程、前記第一導電層を覆うように第一絶縁層を形成する工程、前記第一絶縁層上に第一磁性体素子を形成する工程、を少なくとも順に備える構成となっている。また、前記第一磁性体素子を覆うように第二絶縁層を形成する工程、前記第一絶縁層及び前記第二絶縁層に、前記第一導電層の一部が露呈するように開口部を形成する工程、前記第二絶縁層上に、前記開口部を通して前記第一導電層と電気的に接続する第二導電層を形成する工程、を少なくとも順に備える構成となっている。さらに、前記第二導電層と前記第二絶縁層を覆うように第三絶縁層を形成する工程、前記第一絶縁層、前記第二絶縁層、前記第三絶縁層のいずれか1以上に、前記第一導電層、前記第二導電層及び/又は前記第一磁性体素子が、外部と電気的に接続されるように前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を形成する工程、を少なくとも順に備える構成となっている。
ゆえに、磁気デバイスの製造において、半導体製造で用いられている薄膜形成技術を応用して、前記第一導電層、前記第一絶縁層、前記第一磁性体素子、前記第二絶縁層、前記第二導電層を製造のばらつきなく形成することができる。しかも、前記第一磁性体素子と、前記第一導電層及び前記第二導電層との距離や、コイルの配線幅、配線のピッチ間隔、配線の厚さ、配線の巻き数、等を任意に設計することが可能な設計上の自由度が高い構成を備えることができる。
したがって、特性のばらつきが抑制され、優れた歩留まりで容易に製造することができる磁気デバイスの製造方法を提供することができる。
さらに、前記第一絶縁層、前記第二絶縁層、前記第三絶縁層のいずれか1以上に、前記第一磁性体素子が、外部と電気的に接続されるように前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を形成する工程を備えることで、直交フラックスゲートセンサとして利用することもできる磁気デバイスを製造することができる。
【0019】
本発明の請求項8に係る磁気デバイスの製造方法は、前記半導体回路を覆うように第四絶縁層を形成する工程、前記第四絶縁層の上方に第三導電層を形成する工程、前記第三導電層を覆うように第五絶縁層を形成する工程、前記第五絶縁層上に第二磁性体素子を形成する工程、を少なくとも備えている。また、前記第二磁性体素子を覆うように第六絶縁層を形成する工程、前記第五絶縁層及び前記第六絶縁層に、前記第三導電層の一部が露呈するように開口部を形成する工程、前記第六絶縁層上に、前記開口部を通して前記第三導電層と電気的に接続する第四導電層を形成する工程、を少なくとも備えている。さらに、前記第四導電層と前記第六絶縁層を覆うように第七絶縁層を形成する工程、前記第四絶縁層、前記第五絶縁層、前記第六絶縁層のいずれか1以上に、前記第三導電層、前記第四導電層及び/又は前記第二磁性体素子が、前記半導体回路と電気的に接続されるように前記第四絶縁層の下面へ露呈部を有する貫通孔を形成する工程、を少なくとも備えている。
ゆえに、磁気デバイスの製造において、半導体製造で用いられている薄膜形成技術を応用して、前記第四絶縁層、前記第三導電層、前記第五絶縁層、前記第二磁性体素子、前記第六絶縁層、前記第四導電層を製造のばらつきなく形成することができる。しかも、前記第二磁性体素子と、前記第三導電層及び前記第四導電層との距離や、コイルの配線幅、配線のピッチ間隔、配線の厚さ、配線の巻き数、等を任意に設計することが可能な設計上の自由度が高い構成を備えることができる。
したがって、特性のばらつきが抑制され、優れた歩留まりで容易に製造することができる磁気デバイスの製造方法を提供することができる。
さらに、前記第四絶縁層、前記第五絶縁層、前記第六絶縁層のいずれか1以上に、前記第二磁性体素子が、前記半導体回路と電気的に接続されるように前記第四絶縁層の下面へ開口部を有する貫通孔を形成する工程を備えることで、前記第二磁性体素子を前記半導体回路と第二基板上で効率良く電気的に接続した、直交フラックスゲートセンサとして利用することもできる磁気デバイスを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、発明者の鋭意研究の結果、帯状の磁性体薄膜をMIセンサ素子とし、この薄膜タイプのMIセンサにピックアップコイルを組み合わせた形態と考えた場合、ゼロ磁界で動作させることができ、製造安定性のある薄膜MIセンサを備えた磁気デバイスを得ることができるとの予測のもとに成されたものである。
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
本発明に係る磁気デバイスは、第一の構造の磁気デバイス(第一の磁気デバイス)と、第二の構造の磁気デバイス(第二の磁気デバイス)とに大きく分けることができる。第一の磁気デバイスは、基板の一面側に配されたMIセンサ素子である磁性体素子の周囲にコイル形状をなすように導電層が配置され、前記導電層及び/又は前記磁性体素子が外部と電気的に接続される構造を備えている。また、第二の磁気デバイスは、半導体回路を有する基板の一面側に絶縁層を介して配されたMIセンサ素子である磁性体素子の周囲にコイル形状をなすように導電層が配置され、前記導電層及び/又は前記磁性体素子が前記半導体回路と電気的に接続される構造を備えている。
【0021】
<第一実施形態>
まず、第一の磁気デバイスについて、図1乃至図5に基づき説明する。
図1は、本発明に係る第一の磁気デバイスの一例を示す模式的な平面図(a)と、模式的な断面図(b)、(c)及び(d)である。図1(b)は図1(a)に示すA−A線に沿った断面、図1(c)は図1(a)に示すB−B線に沿った断面、及び、図1(d)は図1(a)に示すC−C線に沿った断面、をそれぞれ表している。
【0022】
図1に示すように、第一の磁気デバイス10は、第一基板11、この第一基板11の一面側に配された第一磁性体素子13、前記一面側にあって第一磁性体素子13と重なり、第一磁性体素子13を挟むように、かつ、第一絶縁層21と第二絶縁層22をそれぞれ介して配される第一導電層12と第二導電層14、及び、第二導電層14と第二絶縁層22を覆うように配された第三絶縁層23、を少なくとも備えている。
そして、第一の磁気デバイス10は、第一導電層12と第二導電層14が電気的に接続されてコイル形状をなし、第一導電層12、第二導電層14及び/又は第一磁性体素子13が、その両端部に配した電極パッド13a、13bを通じて、第三絶縁層23の外面へ開口部を有する貫通孔16,17を通じて外部と電気的に接続される構造も備えている。
【0023】
第一基板11は、ガラスや、ポリイミドなどの絶縁性樹脂、セラミック等の絶縁体からなる絶縁体基板の他、基板を構成する面上に絶縁層を有するシリコン(Si)等の半導体からなる半導体基板であっても良い。絶縁層は、基板上に回路パターンが形成されている場合、第一導電層12によって半導体回路に悪影響が生じないように防止するものである。したがって、基板自身が絶縁体であった場合、絶縁層は不要となる。
また、第一基板11は、ウエハでもよく、ウエハをチップ寸法に切断(ダイシング)したチップであっても良い。
【0024】
第一導電層12は、前記第一磁性体素子13の周囲に螺旋状に巻かれたピックアップコイルとなるコイル配線であり、前記第一基板11の上層に配されたコイル下配線である。
この第一導電層12をなす材料としては、たとえばAlやCu、Auなどの非磁性の導電体を挙げることができる。また、第一導電層12の膜厚は、たとえば1〜40μmであり、その幅は、たとえば1〜40μmである。この第一導電層12は、ウエハレベルパッケージの製造で用いられるような半導体製造技術、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
また、図2に示すように、第一導電層12により構成される配線は、そのピッチ間隔w1が、たとえば1〜40μmにすると良い。これにより、外部磁界による第一磁性体素子13の特性の変化をピックアップコイルで効率的、かつ、ノイズを少なく取得することができる。
【0025】
第一磁性体素子13は、感磁体である磁性体薄膜からなる。この磁性体薄膜をなす材料としては、磁気インピーダンス特性を示すものが良く、たとえば軟磁性体のアモルファス金属であるCoNbZrやCoTi、CoZr、FeCoBなどを挙げることができる。これにより、非常に高感度を有するものとすることができる。
また、第一磁性体素子(磁性体薄膜)13の膜厚は、たとえば0.5〜5.0μmであり、その幅は、たとえば1〜40μmである。また、第一磁性体素子13は、ウエハレベルパッケージの製造で用いられるような半導体製造技術、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
【0026】
第二導電層14は、第一磁性体素子13の周囲に螺旋状に巻かれたピックアップコイルとなるコイル配線であり、第二絶縁層22の上層に配されたコイル上配線である。
この第二導電層14をなす材料としては、たとえばAlやCu、Auなどの非磁性の導電体を挙げることができる。また、第二導電層14の膜厚は、たとえば1〜40μmであり、その幅は、たとえば1〜40μmである。この第二導電層14もまた、ウエハレベルパッケージの製造で用いられるような半導体製造技術、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
また、図2に示すように、第二導電層14により構成される配線は、そのピッチ間隔w2が、たとえば1〜40μmにすると良い。これにより、外部磁界による第一磁性体素子13の特性の変化をピックアップコイルで効率的、かつ、ノイズを少なく取得することができる。
なお、上述した2つのピッチ間隔w1、w2は何れも、配線パターンの中心間距離であり、通常は、w1=w2という関係が好適に用いられる。
【0027】
また、第一導電層12と第二導電層14との間の電気的な接続は、第一絶縁層21と第二絶縁層22を貫通する開口部を設け、この開口部内にも第二導電層14を形成することにより行われる。
【0028】
第一絶縁層21は、第一導電層12を第一磁性体素子13に対して絶縁させる絶縁層である。第一絶縁層21をなす材料としては、たとえばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、SiO等を挙げることができる。この第一絶縁層21は、材料が樹脂の場合、たとえば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また、材料がSiOの場合、プラズマCVD法、スパッタ法などにより形成することができる。
また、図2に示すように、第一絶縁層21は、その厚さt1が、たとえば1〜40μmとすると良い。これにより、外部磁界による第一磁性体素子13の特性の変化をピックアップコイルで効率的、かつ、ノイズを少なく取得することができる。換言すると、厚さt1は、第一導電層12と第一磁性体素子13との間隔であり、第一絶縁層21の厚さではない。
【0029】
第二絶縁層22は、前記第一磁性体素子13を前記第二導電層14に対して電気的に絶縁させる絶縁層である。第二絶縁層22をなす材料としては、たとえばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、SiO等を挙げることができる。この第二絶縁層22は、材料が樹脂の場合、たとえば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また、材料がSiOの場合、プラズマCVD法、スパッタ法などにより形成することができる。
また、図2に示すように、第二絶縁層22は、その厚さt2が、たとえば1〜40μmとすると良い。これにより、外部磁界による第一磁性体素子13の特性の変化をピックアップコイルで効率的、かつ、ノイズを少なく取得することができる。ただし、図2において、厚さt2は、第一磁性体素子13と第二導電層14との間隔であり、第二絶縁層22の厚さではない。
【0030】
また、前記第一絶縁層21及び前記第二絶縁層22は、コイル下配線である前記第一導電層12とコイル上配線である前記第二導電層14とを電気的に接続するための開口部を有している。この開口部も、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
【0031】
第三絶縁層23は、前記第二導電層14を外部に対して電気的に絶縁させる絶縁層である。第三絶縁層23をなす材料としては、たとえばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、SiO等を挙げることができる。また、第三絶縁層23の膜厚は、たとえば1〜40μmとすると良い。この第三絶縁層23は、材料が樹脂の場合、たとえば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また、材料がSiOの場合、プラズマCVD法、スパッタ法などにより形成することができる。
【0032】
このように、第一絶縁層21、第二絶縁層22、及び第三絶縁層23もまた、それぞれウエハレベルパッケージの製造で用いられるような半導体製造技術によって成膜される。
【0033】
以上のように構成された本実施形態の電磁デバイス10は、半導体製造に多く見られるような薄膜形成技術を、ピックアップコイルを構成する配線の形成や磁性体素子の形成に用いることで、磁性体素子の周囲に螺旋状に巻かれたコイル配線を配置することができる。これにより、バイアス磁界を印加させる必要がない薄膜タイプの磁性体素子と、外部磁界の変化による磁性体素子の特性変化を電圧の変化として検出することができるピックアップコイルを備えた磁気デバイスとすることができる。また、特性のばらつきが抑制され、優れた歩留まりで容易に磁気デバイスを製造することができる。
しかも、ピックアップコイルを構成する配線の幅、ピッチ間隔、厚さ、巻き数、磁性体素子との距離を任意に設計でき、容易に作製できる効果を有する。これにより、コイル配線と磁性体素子との間隔を極限まで近づけ、コイル配線の巻き数を極限まで多くしたものとすることができる。したがって、外部磁界の変化による磁性体素子の特性変化を前記コイル配線により効率良く検出することができる。
【0034】
また、本実施形態の電磁デバイス10は、前記第三絶縁層23の外面へ開口部を有する貫通孔16,17を備えている。
貫通孔16は、図1(b)に示すように、第一磁性体素子13の両端部に配した電極パッド13a、13bが露呈するように、第二絶縁層22及び第三絶縁層23に開口部を設けて形成される。
また、第一導電層12と第二導電層14により構成されるコイルの両端にも、電極パッド14a、14bが配される。
図示しないが、電極パッド13a、13bは第一磁性体素子13と同じ層(材料)でも良く、その場合には、第二絶縁層22、及び第三絶縁層23の全てに開口部を設ける。また、コイルの電極パッド14a、14bも、第一導電層12、第二導電層14と同じ層(材料)としても構わない。
このように、第一絶縁層21、第二絶縁層22、及び第三絶縁層23に貫通孔16,17を形成することで、前記第一導電層12、前記第二導電層14及び/又は前記第一磁性体素子13が、外部と電気的に接続される構造を備えることができる。
【0035】
なお、図1に示した第一磁性体素子13の電極パッド13a、13b及びコイルの電極パッド14a、14bはそれぞれ、図3に示すように、延長して配置される構成としてもよい。図3は、第一磁性体素子13の新たな電極パッド18が各々、第一磁性体素子13の両端(図1では電極パッド)13a、13bと、延長部25を介して接続される構成例である。また、図3は、コイルの両端(図1では電極パッド)14a、12bが、延長部26を介して新たな電極パッド19と接続される構成例も一緒に示している。
図3の構成を採用した場合、第一磁性体素子13の新たな電極パッド18とその延長部25は、第一磁性体素子13を設けた後に、たとえばAl、Cu、Auなどを用いて形成される。また、コイルの新たな電極パッド19とその延長部26は、コイル配線時、コイルと同じ部材で一緒に形成されるか、または、コイルを設けた後に、たとえばAl、Cu、Auなどを用いて形成される。
【0036】
次に、図1に示す電磁デバイス10の製造方法について説明する。
図4及び図5は、上記電磁デバイスの製造方法の一例を工程順に示す模式的断面図である。
まず、第一基板11を準備する。この第一基板11が半導体回路を有する半導体基板である場合は、前記半導体回路を覆うように絶縁層(不図示)を形成する。
次に、第一基板11の一面側に第一磁性体素子13を形成するため、前記第一基板11の一面側に第一導電層12を形成する[図4(a)参照]。第一導電層12は、たとえばフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成した後、メッキによって導電体を積層すれば良い。
次いで、前記第一導電層12を覆うように第一絶縁層21を形成する[図4(b)参照]。第一絶縁層21としては、たとえばプラズマCVD法やスパッタ法などによりSiOを形成する。
そして、前記第一絶縁層21上に第一磁性体素子(磁性膜)13を形成する[図4(c)参照]。これにより、第一基板11の一面側に第一磁性体素子13が配された構造となる。
引き続き、前記第一絶縁層21と同様の方法により、前記第一磁性体素子13を覆うように第二絶縁層22を形成する[図4(d)参照]。
【0037】
次に、第一絶縁層21及び第二絶縁層22の第一導電層12に対応する部分に、第一導電層12の一部が露呈するように開口部を形成した後、この開口部内とともに第二絶縁層22上に第二導電層14を形成する。これにより、前記開口部を通して第一導電層12と第二導電層14とは電気的に接続された状態となる[図5(a)参照]。その結果、前記一面側にあって第一磁性体素子13と重なり、この第一磁性体素子13を挟むように、かつ、第一絶縁層21と第二絶縁層22をそれぞれ介して第一導電層12と第二導電層14を配する構造とすることができる。したがって、第一導電層12及び第二導電層14からなるコイル形状の配線が形成される。
その後、前記第一絶縁層21と同様の方法により、前記第二導電層14と前記第二絶縁層22を覆うように第三絶縁層23を形成する[図5(b)参照]。
そして、前記第一絶縁層21、前記第二絶縁層22、前記第三絶縁層23のいずれかに1以上に、前記第一導電層12、前記第二導電層14及び/又は前記第一磁性体素子13が、外部と電気的に接続されるように前記第三絶縁層23の外面へ開口部を有する貫通孔16,17を形成する[図5(c)参照]。
これにより、本実施形態の磁気デバイス10が完成する。
なお、上記説明では、貫通孔が一括で開口する方法を例示したが、開口してある層を積層して貫通孔を形成しても、本発明の作用・効果は得られる。たとえば、絶縁層が樹脂の場合には、各層形成時に開口する手法を採用してもよい。
【0038】
また、磁気デバイス10は、前記第一磁性体素子13と、前記第一導電層12及び第二導電層14により構成されるコイル配線を、ウエハ面内に複数形成した後に、ダイシングして切り分けることにより作製することもできる。
このようにウエハ面内で複数の磁気デバイスを大量に一括して作製できるので、ばらつきが抑制され、安定した特性のピックアップコイルと磁性体素子を集積した磁気デバイスが、優れた歩留まりで、効率的に製造することができる。
【0039】
なお、上記第一の磁気デバイスでは、磁性体素子の配線パターンが一本の直線形状となっているが、本発明はこれに限定されない。
図6は、本発明の第一の磁気デバイスにおける配線パターンの他の例を示す模式的平面図である。
図6に示す磁気デバイス30では、第一基板31上に、直線形状をなす五本の磁性体素子33A、33B、33C、33D、33Eが配され、これら磁性体素子が、一方の縁部側から他方の縁部側に向かって当該第一基板31の一面に沿って蛇行するメアンダ形状となるように、直列的に接続形成された配線パターンとなっている。
すなわち、たとえば一番上の磁性体素子33Aの他端(図6に示す左端)と、次の磁性体素子33B(図6に示す上から二番目)の一端(図6に示す左端)とを接続層46によって電気的に接続する。一方、一番上の磁性体素子33Aの一端側に、電極を通して外部と電気的に接続するための貫通孔36を形成する。また、上から二番目の磁性体素子33Bの他端(図6に示す右端)と、その次の磁性体素子33C(図6に示す上から三番目)の一端(図6に示す右端)とを接続層46によって電気的に接続する。また、上から三番目の磁性体素子33Cの他端(図6に示す左端)と、その次の磁性体素子33D(図6に示す下から二番目)の一端(図6に示す左端)とを接続層46によって電気的に接続する。さらに、下から二番目の磁性体素子33Dの他端(図6に示す右端)と、一番下の磁性体素子33Eの一端(図6に示す右端)とを接続層46によって電気的に接続する。なお、一番下の磁性体素子33Eの他端側に、電極を通して外部と電気的に接続するための貫通孔36を形成する。
これにより、磁場を高精度に検出することができる。
【0040】
さらに、図6では、五本の磁性体素子が配されたものとなっているが、本発明では磁性体素子の数は限定されない。したがって、磁性体素子が二本や三本配され、直列的に接続形成された配線パターンや、磁性体素子が五本以上配され、直列的に接続形成された配線パターンでも良い。さらに、配線パターンは、メアンダ形状以外にも磁場を高精度に検出可能な形状であればどのような形状に形成されていても良い。
【0041】
<第二実施形態>
次に、第二の磁気デバイスについて、図7乃至図11に基づき説明する。
図7は、本発明に係る第二の磁気デバイスの一例を示す模式的な平面図(a)と、模式的な断面図(b)及び(c)である。図7(b)は図7(a)に示すD−D線に沿った断面を表し、図7(c)は図7(a)に示すE−E線に沿った断面を表している。
【0042】
図7に示すように、第二の磁気デバイス50は、半導体回路が一面側に配された第二基板51、前記半導体回路を覆うように配された第四絶縁層60、前記第四絶縁層60の上方に配された第二磁性体素子53、前記一面側にあって前記第二磁性体素子53と重なり、前記第二磁性体素子53を挟むように、かつ、第五絶縁層61と第六絶縁層62をそれぞれ介して配される第三導電層52と第四導電層54、及び前記第四導電層54と前記第六絶縁層62を覆うように配された第七絶縁層63、を少なくとも備えている。
そして、第二の磁気デバイス50は、前記第三導電層52と前記第四導電層54が電気的に接続されてコイル形状をなし、前記第三導電層52、前記第四導電層54及び/又は前記第二磁性体素子53が、前記第四絶縁層60の下面へ開口部を有する貫通孔56,57を通じて前記半導体回路と電気的に接続される構造を備えていることを特徴とする。
【0043】
第二基板51は、シリコン(Si)等の半導体からなる半導体基板である。第二基板51の一面側には半導体回路が形成されていても良く、この場合一面側には第四絶縁層60が形成されている。第四絶縁層60は、基板上に形成されている回路パターンが第三導電層52によって悪影響が生じないように防止するものである。
また、第二基板51は、ウエハでもよく、ウエハをチップ寸法に切断(ダイシング)したチップであっても良い。
【0044】
第三導電層52は、前記第二磁性体素子53の周囲に螺旋状に巻かれたピックアップコイルとなるコイル配線であり、第二基板51の上層に配されたコイル下配線である。
この第三導電層52をなす材料としては、たとえばAlや非磁性のCu、Auなどの導電体を挙げることができる。また、第三導電層52の膜厚は、たとえば1〜40μmであり、その幅は、たとえば1〜40μmである。この第三導電層52は、ウエハレベルパッケージの製造で用いられるような半導体製造技術、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
また、図8に示すように、第三導電層52により構成される配線は、そのピッチ間隔w3が、たとえば1〜40μmにすると良い。これにより、外部磁界による第二磁性体素子53の特性の変化をピックアップコイルで効率的、かつ、ノイズを少なく取得することができる。
【0045】
第二磁性体素子53は、感磁体である磁性体薄膜からなる。この磁性体薄膜をなす材料としては、磁気インピーダンス特性を示すものが良く、たとえば軟磁性体のアモルファス金属であるCoNbZrやCoTi、CoZr、FeCoBなどを挙げることができる。これにより、非常に高感度を有するものとすることができる。
また、第二磁性体素子(磁性体薄膜)53の膜厚は、たとえば0.5〜5.0μmであり、その幅は、たとえば1〜40μmである。また、第二磁性体素子53は、ウエハレベルパッケージの製造で用いられるような半導体製造技術、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
【0046】
第四導電層54は、前記第二磁性体素子53の周囲に螺旋状に巻かれたピックアップコイルとなるコイル配線であり、前記第六絶縁層62の上層に配されたコイル上配線である。
この第四導電層54をなす材料としては、たとえばAlや非磁性のCu、Auなどの導電体を挙げることができる。また、第四導電層54の膜厚は、たとえば1〜40μmであり、その幅は、たとえば1〜40μmである。この第四導電層54もまた、ウエハレベルパッケージの製造で用いられるような半導体製造技術、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
また、図8に示すように、第四導電層54により構成される配線は、そのピッチ間隔w4が、たとえば1〜40μmにすると良い。これにより、外部磁界による第二磁性体素子53の特性の変化をピックアップコイルで効率的、かつ、ノイズを少なく取得することができる。
なお、上述した2つのピッチ間隔w3、w4は何れも、配線パターンの中心間距離であり、通常は、w3=w4という関係が好適に用いられる。
【0047】
また、第三導電層52と第四導電層54との間の電気的な接続は、第五絶縁層61と第六絶縁層62を貫通する開口部を設け、この開口部内にも第四導電層54を形成することにより行われる。
【0048】
第五絶縁層61は、第三導電層52を第二磁性体素子53に対して絶縁させる絶縁層である。第五絶縁層61をなす材料としては、たとえばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、SiO等を挙げることができる。この第五絶縁層61は、材料が樹脂の場合、たとえば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また、材料がSiOの場合、プラズマCVD法、スパッタ法などにより形成することができる。
また、図8に示すように、第五絶縁層61は、その厚さt3が、たとえば1〜40μmとすると良い。これにより、外部磁界による第二磁性体素子53の特性の変化をピックアップコイルで効率的、かつ、ノイズを少なく取得することができる。ただし、図8において、厚さt3は、第三導電層52と第二磁性体素子53との間隔であり、第五絶縁層61の厚さではない。
【0049】
第六絶縁層62は、第二磁性体素子53を第四導電層54に対して絶縁させる絶縁層である。第六絶縁層62をなす材料としては、たとえばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、SiO等を挙げることができる。この第六絶縁層62は、材料が樹脂の場合、たとえば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また、材料がSiOの場合、プラズマCVD法、スパッタ法などにより形成することができる。
また、図8に示すように、第六絶縁層62は、その厚さt4が、たとえば1〜40μmとすると良い。これにより、外部磁界による第二磁性体素子53の特性の変化をピックアップコイルで効率的、かつ、ノイズを少なく取得することができる。ただし、図8において、厚さt4は、第二磁性体素子53と第四導電層54との間隔であり、第六絶縁層62の厚さではない。
【0050】
また、第五絶縁層61及び第六絶縁層62は、コイル下配線である第三導電層52とコイル上配線である第四導電層54とを電気的に接続するための開口部を有している。この開口部も、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。
【0051】
第七絶縁層63は、前記第四導電層54を外部に対して絶縁させる絶縁層である。第七絶縁層63をなす材料としては、たとえばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、SiO等を挙げることができる。また、第七絶縁層63の膜厚は、たとえば1〜40μmとすると良い。この第七絶縁層63は、材料が樹脂の場合、たとえば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などにより形成することができる。また、材料がSiOの場合、プラズマCVD法、スパッタ法などにより形成することができる。
【0052】
このように、第四絶縁層60、第五絶縁層61、第六絶縁層62、及び第七絶縁層63もまた、それぞれウエハレベルパッケージの製造で用いられるような半導体製造技術によって成膜される。
【0053】
以上のように構成された本実施形態の電磁デバイス50は、半導体製造に多く見られるような薄膜形成技術を、ピックアップコイルを構成する配線の形成や磁性体素子の形成に用いることで、磁性体素子の周囲に螺旋状に巻かれたコイル配線を配置することができる。これにより、バイアス磁界を印加させる必要がない薄膜タイプの磁性体素子と、外部磁界の変化による磁性体素子の特性変化を電圧の変化として検出することができるピックアップコイルを備えた磁気デバイスとすることができる。また、特性のばらつきが抑制され、優れた歩留まりで容易に磁気デバイスを製造することができる。
しかも、ピックアップコイルを構成する配線の幅、ピッチ間隔、厚さ、巻き数、磁性体素子との距離を任意に設計でき、容易に作製できる効果を有する。これにより、コイル配線と磁性体素子との間隔を極限まで近づけ、コイル配線の巻き数を極限まで多くしたものとすることができる。したがって、外部磁界の変化による磁性体素子の特性変化を前記コイル配線により効率良く検出することができる。
さらに、磁性体素子やコイル配線が、貫通孔を通して基板上に形成されている半導体回路と基板上で効率的に電気的な接続を行なうことができるものとなる。
【0054】
また、本実施形態の電磁デバイス50は、第四絶縁層60の下面へ開口部を有する貫通孔56a、56b(56),57a、57b(57)を備えている。
貫通孔56a、56bは、図7(b)に示すように、第二磁性体素子53の一端側53aと他端側53bに相当する位置に、共に第四絶縁層60及び第五絶縁層61に開口部を設けて形成される。その際、一端側53aと貫通孔56aとの間の接続、及び、他端側53bと貫通孔56bとの間の接続にはそれぞれ、たとえば、磁性体素子の成膜時に磁性膜素子自体で接続する手法、あるいはAlやCu、Auなどを用いて接続する手法が好適に用いられる。
一方、コイルの両端が第三導電層52a、52b(52)となるようにして、貫通孔(開口部)はコイルの両端とも第四絶縁層60だけとする。
このように、第四絶縁層60、第五絶縁層61、及び第六絶縁層62に貫通孔56,57を形成することにより、第三導電層52、第四導電層54及び/又は第二磁性体素子53が、第二基板の一面側に形成された半導体回路が備える電極パッド57A、57Bと電気的に接続される構造を備えることができる。
【0055】
なお、図7に示した第二磁性体素子53の電極パッド56A、56B及びコイルの電極パッド57A、57Bはそれぞれ、図9に示すように、延長して配置される構成としてもよい。図9は、第二磁性体素子53の新たな電極パッド58が各々、第二磁性体素子53の両端(図7では電極パッド)53a、53bと、延長部65を介して接続される構成例である。また、図9は、コイルの両端(図7では電極パッド)54a、52bが、延長部66を介して新たな電極パッド59と接続される構成例も一緒に示している。
図9の構成を採用した場合、第二磁性体素子53の新たな電極パッド58とその延長部65は、第二磁性体素子53を設けた後に、たとえばAl、Cu、Auなどを用いて形成される。また、コイルの新たな電極パッド59とその延長部66は、コイル配線時、コイルと同じ部材で一緒に形成されるか、または、コイルを設けた後に、たとえばAl、Cu、Auなどを用いて形成される。
【0056】
これにより、第二基板51上に、高周波又はパルス電流を発生する回路が形成されている場合、電極パッド58を通して前記回路より高周波又はパルス電流を第二磁性体素子53に印加することで、本発明に係る第二の磁気デバイスは、直交フラックスゲートセンサとして利用することもできる。
また、第二基板51上には、図9に示すように、たとえば第三導電層52、第四導電層54が、半導体回路と電気的に接続するための電極パッド59,59を形成し、延長部66によって第三導電層52及び第四導電層54と電極パッド59とを電気的に接続するようにしても良い。これにより、第二基板51上に、コイル配線を構成する第三導電層52及び第四導電層54で取得した信号を処理する回路が形成されている場合、電極パッド59を通してコイル配線で取得した信号を処理することができる。
なお、電極パッド58,59は、第二基板51上に限らず、コイル配線を構成する第三導電層52若しくは第四導電層54上に、又は磁性体素子53と同一平面上に、形成しても良い。
【0057】
次に、図7に示す電磁デバイス50の製造方法について説明する。
図10及び図11は、上記電磁デバイスの製造方法の一例を工程順に示す模式的断面図である。
まず、第二基板51を準備する。この第二基板51は一面側に半導体回路を有する半導体基板である。そして、前記半導体回路を覆うように第四絶縁層60を形成する(図10(a)参照)。必要に応じて、半導体回路の電極パッド位置に開口部を形成する。
次に、第二基板51の一面側に第二磁性体素子53を形成するため、第四絶縁層60の上方に第三導電層52を形成する[図10(b)参照]。第三導電層52は、たとえばフォトリソグラフィック法によりレジストマスクを形成した後、メッキによって導電体を積層すれば良い。
次いで、第三導電層52を覆うように第五絶縁層61を形成する[図10(c)参照]。第五絶縁層61は、たとえば回転塗布法、印刷法、ラミネート法などによって樹脂を成膜する。必要に応じて、半導体回路の電極パッド位置に開口部を形成する。
そして、第五絶縁層61上に第二磁性体素子(磁性膜)53を形成する[図10(d)参照]。これにより、第二基板51の一面側に第二磁性体素子53が配された構造となる。
引き続き、第五絶縁層61と同様の方法により、第二磁性体素子53を覆うように第六絶縁層62を形成する[図10(e)参照]。
【0058】
次に、第五絶縁層61及び第六絶縁層62の第三導電層52に対応する部分に、第三導電層52の一部が露呈するように開口部を形成し、この開口部内と第六絶縁層62上に第四導電層54を形成することにより、第三導電層52と第四導電層54が電気的に接続された状態となる[図11(a)参照]。すなわち、前記一面側にあって第二磁性体素子53と重なり、第二磁性体素子53を挟むように、かつ、第五絶縁層61と第六絶縁層62をそれぞれ介して第三導電層62と第四導電層64を配する構造とすることができる。したがって、第三導電層52及び第四導電層54からなるコイル形状の配線が形成される。
【0059】
その後、第五絶縁層61と同様の方法により、第四導電層54と第六絶縁層62を覆うように第七絶縁層63を形成する[図11(c)参照]。
これにより、本実施形態の磁気デバイス50が完成する。
【0060】
また、磁気デバイス50は、第二磁性体素子53と、第三導電層52及び第四導電層54により構成されるコイル配線を、ウエハ面内に複数形成した後に、ダイシングして切り分けることにより作製することもできる。
このようにウエハ面内で複数の磁気デバイスを大量に一括して作製できるので、ばらつきが抑制され、安定した特性のピックアップコイルと磁性体素子を集積した磁気デバイスが、優れた歩留まりで、効率的に製造することができる。
【0061】
なお、上述した第二の磁気デバイスでは、磁性体素子の配線パターンが一本の直線形状となっているが、本発明はこれに限定されない。
図12は、本発明の第二の磁気デバイスにおける配線パターンの他の例を示す模式的平面図である。
図12に示す磁気デバイス70では、第二基板71上に、直線形状をなす五本の磁性体素子73A、73B、73C、73D、73Eが配され、これら磁性体素子が、一方の縁部側から他方の縁部側に向かって当該第二基板71の一面に沿って蛇行するメアンダ形状となるように、直列的に接続形成された配線パターンとなっている。
すなわち、たとえば一番上の磁性体素子73Aの他端(図12に示す左端)と、次の磁性体素子73B(図12に示す上から二番目)の一端(図12に示す左端)とを接続層86によって電気的に接続する。一方、一番上の磁性体素子73Aの一端側に、半導体回路と電気的に接続するための開口を形成する。また、上から二番目の磁性体素子73Bの他端(図12に示す右端)と、その次の磁性体素子73C(図12に示す上から三番目)の一端(図12に示す右端)とを接続層86によって電気的に接続する。また、上から三番目の磁性体素子73Cの他端(図12に示す左端)と、その次の磁性体素子73D(図12に示す下から二番目)の一端(図12に示す左端)とを接続層86によって電気的に接続する。さらに、下から二番目の磁性体素子73Dの他端(図12に示す右端)と、一番下の磁性体素子73Eの一端(図12に示す右端)とを接続層86によって電気的に接続する。なお、一番下の磁性体素子73Eの他端側に、半導体回路と電気的に接続するための開口を形成する。
これにより、磁場を高精度に検出することができる。
【0062】
さらに、図12では、五本の磁性体素子が配されたものとなっているが、本発明では磁性体素子の数は限定されない。したがって、磁性体素子が二本や三本配され、直列的に接続形成された配線パターンや、磁性体素子が五本以上配され、直列的に接続形成された配線パターンでも良い。さらに、配線パターンは、メアンダ形状以外にも磁場を高精度に検出可能な形状であればどのような形状に形成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、携帯電話機や自動車、産業用機器等の電子機器に使用される磁性体センサを備えた磁気デバイスに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第一の磁気デバイスの構造の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の第一の磁気デバイスにおける絶縁層の厚さ、及び配線のピッチ間隔を説明する模式的断面図である。
【図3】本発明の第一の磁気デバイスの利用方法を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の第一の磁気デバイスの製造方法を説明する模式的断面図である。
【図5】図4に続く、本発明の第一の磁気デバイスの製造方法を説明する模式的断面図である。
【図6】本発明の第一の磁気デバイスにおける配線パターンの他の例を示す模式的平面図である。
【図7】本発明の第二の磁気デバイスの構造の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の第二の磁気デバイスにおける絶縁層の厚さ、及び配線のピッチ間隔を説明する模式的断面図である。
【図9】本発明の第二の磁気デバイスの利用方法を示す模式的断面図である。
【図10】本発明の第二の磁気デバイスの製造方法を説明する模式的断面図である。
【図11】図10に続く、本発明の第二の磁気デバイスの製造方法を説明する模式的断面図である。
【図12】本発明の第二の磁気デバイスにおける配線パターンの他の例を示す模式的平面図である。
【符号の説明】
【0065】
10,30 第一の磁気デバイス、11 第一基板、12 第一導電層、13 第一磁性体素子、14 第二導電層、16,17 貫通孔、18,19 電極パッド、21 第一絶縁層、22 第二絶縁層、23 第三絶縁層、25、26 延長部、50,70 第二の磁気デバイス、51 第二基板、52 第三導電層、53 第二磁性体素子、54 第四導電層、56,57 貫通孔、58,59 電極パッド、60 第四絶縁層、61 第五絶縁層、62 第六絶縁層、63 第七絶縁層、65、66 延長部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板の一面側に配された第一磁性体素子、前記一面側にあって前記第一磁性体素子と重なり、前記第一磁性体素子を挟むように、かつ、第一絶縁層と第二絶縁層をそれぞれ介して配される第一導電層と第二導電層、及び、前記第二導電層と前記第二絶縁層を覆うように配された第三絶縁層、を少なくとも備え、
前記第一導電層と前記第二導電層は電気的に接続されてコイル形状をなし、
前記第一導電層、前記第二導電層及び/又は前記第一磁性体素子は、前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を通じて外部と電気的に接続される構造を備えていることを特徴とする磁気デバイス。
【請求項2】
半導体回路が一面側に配された第二基板、前記半導体回路を覆うように配された第四絶縁層、前記第四絶縁層の上方に配された第二磁性体素子、前記一面側にあって前記第二磁性体素子と重なり、前記第二磁性体素子を挟むように、かつ、第五絶縁層と第六絶縁層をそれぞれ介して配される第三導電層と第四導電層、及び、 前記第四導電層と前記第六絶縁層を覆うように配された第七絶縁層、を少なくとも備え、
前記第三導電層と前記第四導電層は電気的に接続されてコイル形状をなし、
前記第三導電層、前記第四導電層及び/又は前記第二磁性体素子は、前記第四絶縁層の下面へ開口部を有する貫通孔を通じて前記半導体回路と電気的に接続される構造を備えていることを特徴とする磁気デバイス。
【請求項3】
前記第一絶縁層及び/若しくは前記第二絶縁層、又は前記第五絶縁層及び/若しくは前記第六絶縁層は、その厚さが1〜40μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気デバイス。
【請求項4】
前記第一導電層及び/若しくは前記第二導電層により構成される配線、又は前記第三導電層及び/若しくは前記第四導電層により構成される配線は、そのピッチ間隔が1〜40μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気デバイス。
【請求項5】
前記第一磁性体素子又は前記第二磁性体素子が、複数配されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気デバイス。
【請求項6】
前記第一磁性体素子又は前記第二磁性体素子は、高周波若しくはパルス電流が印加された際に、コイルに発生する外部磁界の強度に応じた電圧を出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気デバイス。
【請求項7】
第一基板の一面側に配された第一磁性体素子、前記一面側にあって前記第一磁性体素子と重なり、前記第一磁性体素子を挟むように、かつ、第一絶縁層と第二絶縁層をそれぞれ介して配される第一導電層と第二導電層、及び前記第二導電層と前記第二絶縁層を覆うように配された第三絶縁層、を少なくとも備え、前記第一導電層と前記第二導電層は電気的に接続されてコイル形状をなし、前記第一導電層、前記第二導電層及び/又は前記第一磁性体素子は、前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を通じて外部と電気的に接続される構造を備えている磁気デバイスの製造方法であって、
前記第一基板の一面側に第一導電層を形成する工程、
前記第一導電層を覆うように第一絶縁層を形成する工程、
前記第一絶縁層上に第一磁性体素子を形成する工程、
前記第一磁性体素子を覆うように第二絶縁層を形成する工程、
前記第一絶縁層及び前記第二絶縁層に、前記第一導電層の一部が露呈するように開口部を形成する工程、
前記第二絶縁層上に、前記開口部を通して前記第一導電層と電気的に接続する第二導電層を形成する工程、
前記第二導電層と前記第二絶縁層を覆うように第三絶縁層を形成する工程、並びに、
前記第一絶縁層、前記第二絶縁層、前記第三絶縁層のいずれか1以上に、前記第一導電層、前記第二導電層及び/又は前記第一磁性体素子が、外部と電気的に接続されるように前記第三絶縁層の外面へ開口部を有する貫通孔を形成する工程、
を少なくとも順に備えることを特徴とする磁気デバイスの製造方法。
【請求項8】
半導体回路が一面側に配された第二基板、前記半導体回路を覆うように配された第四絶縁層、前記第四絶縁層の上方に配された第二磁性体素子、前記一面側にあって前記第二磁性体素子と重なり、前記第二磁性体素子を挟むように、かつ、第五絶縁層と第六絶縁層をそれぞれ介して配される第三導電層と第四導電層、及び前記第四導電層と前記第六絶縁層を覆うように配された第七絶縁層、を少なくとも備え、前記第三導電層と前記第四導電層は電気的に接続されてコイル形状をなし、前記第三導電層、前記第四導電層及び/又は前記第二磁性体素子は、前記第四絶縁層の下面へ開口部を有する貫通孔を通じて前記半導体回路と電気的に接続される構造を備えている磁気デバイスの製造方法であって、
前記半導体回路を覆うように第四絶縁層を形成する工程、
前記第四絶縁層の上方に第三導電層を形成する工程、
前記第三導電層を覆うように第五絶縁層を形成する工程、
前記第五絶縁層上に第二磁性体素子を形成する工程、
前記第二磁性体素子を覆うように第六絶縁層を形成する工程、
前記第五絶縁層及び前記第六絶縁層に、前記第三導電層の一部が露呈するように開口部を形成する工程、
前記第六絶縁層上に、前記開口部を通して前記第三導電層と電気的に接続する第四導電層を形成する工程、
前記第四導電層と前記第六絶縁層を覆うように第七絶縁層を形成する工程、並びに、
前記第四絶縁層、前記第五絶縁層、前記第六絶縁層のいずれか1以上に、前記第三導電層、前記第四導電層及び/又は前記第二磁性体素子が、前記半導体回路と電気的に接続されるように前記第四絶縁層の下面へ開口部を有する貫通孔を形成する工程、
を少なくとも備えることを特徴とする磁気デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−305899(P2008−305899A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150337(P2007−150337)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】