説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】
多チャンネルコイルを用いて被検体を撮影する際、付加的なデータ取得を行うことなく、画像合成に適切な受信コイルを選択することが可能なMRI装置を提供する。
【解決手段】
複数の小型受信コイルを有して成る多チャンネルコイルを備えて、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、受信された核磁気共鳴信号を用いて被検体の画像を再構成する演算処理手段と、被検体画像を表示する表示手段と、を備え、
位置決め画像上で核磁気共鳴信号を取得する信号取得領域を設定するための領域入力手段と、
信号取得領域に対応して、1以上の小型受信コイルを選択する選択手段と、を有し、
演算処理手段は、選択された1以上の小型受信コイル毎の核磁気共鳴信号のみを用いて被検体画像を再構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を画像化する核磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置におけるコイル選択技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号(エコー信号)を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮像においては、エコー信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたエコー信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
【0003】
このようなMRI装置において、近年、より高SNRの画像取得や、高倍速のパラレルイメージングを目的とした受信コイルの多チャンネル化が進んでいる。チャンネル数の多いものでは128チャンネルの受信コイルから得られたデータを用いて、1つの画像を再構成する試みも行われている。各受信コイルのデータを1つの画像に合成するには、通常高いSNRが得られるMAC(Multiple Array Coil)合成が用いられる(非特許文献1)。MAC合成では、各受信コイルの画像にローパスフィルタを作用させて得た重み関数を求め、その重み関数を再びデータに作用させてから合成処理を行うため、画像再構成に時間を要する。
【0004】
また、通常受信コイルの感度は、その受信コイル自体に近い領域ほど高くなる。そのため、多チャンネルの受信コイルを用いて心臓のような比較的小さい領域を撮影する場合、撮影対象である部位のデータ(エコーデータ又は画像データ)がほとんど取得できない受信コイルが複数存在することとなる。このような場合、撮影対象部位のデータがほとんど取得できない受信コイルからのデータをMAC合成に用いても、処理時間が延長するのみで、SNR向上は望めない。
【0005】
また、心臓撮影では、撮影断面とは異なる位置から、呼吸動をモニターするためのナビゲーターエコーを取得しながら撮影する場合がある(例えば特許文献1)。通常ナビゲーターエコーは、右横隔膜などの非常に局所的な領域を励起して取得される。高精度で呼吸動をモニターするには、呼吸動と無関係の領域の信号がナビゲーターエコーに含まれることは望ましくなく、呼吸変動がある局所領域の信号のみで構成されるのが理想である。更に、多チャンネルコイルでナビゲーターエコーを取得した場合、実際に局所励起領域からの信号を受信している受信コイルは、その励起領域近傍に位置する限られた受信コイルでしかない。そのため全受信コイルのエコー信号を合成してナビゲーターエコーとして用いる意味は非常に低い。加えて、合成するチャンネル数の増加に伴い、合成処理に要する時間が延長する。
【0006】
これまでにも、多チャンネルコイルで取得するデータを撮影前に選択する方法が提案されている(特許文献2)。特許文献2の手法では、画像データを取得する本計測前にプリスキャン的にデータ取得を行い、各受信コイルからの信号の強度比較を全撮影スライスに対して行うことで、使用する受信コイルの選択を行っている。
【0007】
【特許文献1】WO2004/080301号公報
【特許文献2】特開平11-276452号公報
【非特許文献1】M.Schmitt他、Proc.Intl.Soc.Mag.Reson.Med.15p.245(2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多チャンネルコイルを使用して撮影する場合、目的とする撮影対象部位の信号がほとんど取得できていない受信コイルが存在する。その場合、全受信コイルのデータを合成処理し、画像再構成しても画質向上にはつながらない。特に、呼吸動をモニターするためのナビゲーターエコーのように、局所領域のデータ取得を目的とする場合、全受信コイルのデータを合成する効果は低く、合成する受信コイル数が増える分、合成処理時間が延長する。合成処理時間の延長は、ナビゲーターエコーの取得から、本計測までの間の時間が延長することになるため、呼吸動アーチファクト抑制効果の低減につながる。
【0009】
特許文献2の方法では、プリスキャン時間分の撮影時間延長は必至であり、特にスライス枚数の多い撮影での時間延長が顕著となる。加えて、データ取得有無の切り替えは、受信コイルのチャネルを回路的に接続/閉止することで行っているため、回路を切り替え、使用しない受信コイルをデカップリングさせるために、ハードウエアの付加的な仕組みが必要となる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、多チャンネルコイルを用いて被検体を撮影する際、付加的なデータ取得を行うことなく、画像合成に適切な受信コイルを選択することが可能なMRI装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のMRI装置は以下のように構成される。即ち、
複数の小型受信コイルを有して成る多チャンネルコイルを備えて、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、受信された核磁気共鳴信号を用いて被検体の画像を再構成する演算処理手段と、被検体画像を表示する表示手段と、を備え、
位置決め画像上で核磁気共鳴信号を取得する信号取得領域を設定するための領域入力手段と、
信号取得領域に対応して、1以上の小型受信コイルを選択する選択手段と、を有し、
演算処理手段は、選択された1以上の小型受信コイル毎の核磁気共鳴信号のみを用いて被検体画像を再構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のMRI装置によれば、多チャンネルコイルを用いて被検体を撮影する際、付加的なデータ取得を行うことなく、画像合成に適切な小型受信コイルを選択することができる。即ち、画像合成に適切な受信コイルのみを選択して撮影することができる。或いは、多チャンネルコイルで受信した各小型受信コイルのデータの内からMAC合成前に必要なデータだけを選択することができる。そのため、合成してもSNRの向上につながらないデータを合成処理から省き、処理時間を短縮することができる。
特に、局所領域から取得するナビゲーターエコーでは、必要な小型受信コイルは励起領域近傍の少数であるので、大幅に小型受信コイル数を限定して処理時間を短縮できる。処理時間の短縮は、ナビゲーターエコーで検出した呼吸変位と、本計測時の実際の呼吸変位のずれを低減させることにつながるため、結果として呼吸動アーチファクト抑制効果の向上となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
最初に、本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、図1に示すように、静磁場発生系と、傾斜磁場発生系と、送信系と、受信系と、計測制御系と、演算処理系と、操作部とを備えて構成される。
【0015】
静磁場発生系は、永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源を有する静磁場発生磁石102が被検体101の周りに配置されて成る。この静磁場発生磁石102は、垂直磁場方式であれば、被検体101の周りの空間にその体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば、体軸方向に均一な静磁場を発生する。
【0016】
傾斜磁場発生系は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX,Y,Zの3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル103と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源109とから成る。後述の計測制御部111からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源109を駆動することにより、静磁場中のX,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。撮影時には、スライス面(撮影断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体101に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0017】
送信系は、被検体101の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体101にRFパルスを照射するもので、高周波送信部110と送信側の高周波コイル(送信コイル)104とから成る。計測制御部111からの指令によるタイミングで、高周波送信部110からの高周波パルスが被検体101に近接して配置された高周波コイル104に供給されることにより、RFパルスが被検体101に照射される。
【0018】
受信系は、被検体101の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル)105と信号検出部106と信号処理部107とから成る。送信側の受信コイル104から照射されたRFパルスによって誘起された被検体101の応答のエコー信号が被検体101に近接して配置された受信コイル105で受信され、その受信信号が信号検出部106に入力されて検出され、その検出された受信信号が信号処理部107に入力されて所定の処理が行われてディジタル量に変換される。そのディジタル量は演算処理系に送られる。
【0019】
特に、本発明に係るMRI装置の受信コイル104は、複数の小型受信コイルを組み合わせて成る多チャンネルコイル(マルチプルコイル)であり、その多チャンネルコイルに合わせて信号検出部106も小型受信コイル毎の受信信号を検出するための複数の入力チャネルを有するものである。
【0020】
計測制御系は、高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する計測制御部111を有する。この計測制御部111は、後述の中央制御部108の制御で動作し、被検体101の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系、傾斜磁場発生系、および受信系に送る。
【0021】
演算処理系は、各種データ処理とその処理結果の表示及び保存等を行うもので、中央制御部108と、光ディスク、磁気ディスク等の外部記憶装置114と、CRT等からなるディスプレイ113とを有し、受信系からのデジタルデータが中央制御部108に入力されると、中央制御部108が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体101の断層画像をディスプレイ113に表示すると共に、外部記憶装置114に記録する。
【0022】
操作部115は、MRI装置の各種制御情報や上記演算処理系で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス、及び、キーボードを有して成る。この操作部115はディスプレイ113に近接して配置され、操作者がディスプレイ113を見ながら操作部115を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0023】
なお、図1において、送信側の高周波コイル104と傾斜磁場コイル103は、被検体101が挿入される静磁場発生系の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体101に対向して、水平磁場方式であれば被検体101を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル104は、被検体101に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
【0024】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
(第1の実施形態)
次に、本発明のMRI装置の第1の実施形態を説明する。本実施形態は、スキャノグラム画像や以前に取得された画像等の位置決め画像上で設定された撮影視野(FOV)に対応して、多チャンネルコイルを構成する小型受信コイル群の中から適切な小型受信コイルを選択する形態である。以下、心臓撮影を例にして図2を用いて本実施形態を詳細に説明する。図2は、被検体101の心臓部近傍の体表に、多チャンネルコイルの一例として8つの小型受信コイルからなる8チャンネルコイルを設置し、心臓部分を中心に設定された撮影視野(FOV)の撮影を行う場合のフローチャートを示すものである。なお、本実施形態は、8チャンネルコイルに限らず、2〜7又は9以上の小型受信コイル数からなる多チャンネルコイルでも良い。以下、各ステップの処理を詳細に説明する。
【0025】
ステップ201で、操作者は被検体101の位置決め画像の撮影を行う。
操作者は、図3(a)に示すように、撮影前に8つの小型受信コイル(3021〜3028)からなる8チャンネルコイル302を被検体101の胸部側に設置する。紙面上方向が頭方向であり、下方向が足方向である。この状態にて、操作者は多チャンネルコイル又は他の全身用コイルを用いて、位置決め画像として被検体101のスキャノグラム画像の撮影を開始する。このスキャノグラム画像は、被検体の心臓部分周りの全体構造が識別できる程度の分解能であればよく、それ故、グラディエントエコーシーケンス等の高速シーケンスを用いて低分解能の短時間撮影でスキャノグラム画像を取得することができる。計測制御部111はスキャノグラム画像用のパルスシーケンスを起動してスキャノグラム画像用のエコー信号を計測し、中央制御部108は取得されたエコー信号のデジタルデータを用いてスキャノグラム画像を再構成してディスプレイ113に表示させる。
【0026】
ステップ202で、取得されたスキャノグラム画像上に多チャンネルコイルを構成する各小型受信コイルを表す模擬図形が重ね合わせて表示される。
【0027】
中央制御部108は、外部記憶装置114に予め記憶してある多チャンネルコイル及びその各小型受信コイルの形状情報及び配列情報を読み出して取得する。そして、中央制御部108は、読み出した形状情報に基づいて各小型受信コイルの形状を模擬的に表す図形を構成し、読み出した配列情報に基づいてそれらの模擬図形を配列させて多チャンネルコイルを表す模擬図形を構成し、それをスキャノグラム画像上に静磁場中心と多チャンネルコイル中心とを合わせて表示する。図3(b)は、取得されたCOR断面のスキャノグラム画像301に多チャンネルコイルとそれを構成する小型受信コイルの模擬図形を重ね合わせて表示した例である。図3(b)では、各々が略長方形状を有する小型受信コイルが隣接配置されて成る多チャンネルコイルを用いていることから、各小型受信コイルを表す略長方形図形の各々が、それぞれ各小型受信コイルの配置位置に対応するスキャノグラム画像上の位置に表示されている。
【0028】
通常、操作者は、多チャンネルコイル中心を静磁場中心に略一致させて多チャンネルコイルを被検体101に配置する。そこで、スキャノグラム画像301上の多チャンネルコイルの位置を、静磁場中心と多チャンネルコイルの中心とが同位置となるように表示しても良い。多チャンネルコイルのサイズはあらかじめ分かっており、スキャノグラム画像上での静磁場中心はその撮影条件から求めることができるので、多チャンネルコイル中心を静磁場中心に合わせて表示することが可能である。仮に、静磁場中心から多チャンネルコイル中心が数cmずれた場所に該多チャンネルコイルが設定されたとしても、FOVに対するずれ量は10分の1〜数分の1程度である。そのため、スキャノグラム画像上に表示される多チャンネルコイルの位置は、実際の多チャンネルコイルの位置を示すと実質的に見なすことができる。なお、多チャンネルコイルの静磁場方向に対する向きは、多チャンネルコイル毎に実質的に一定であるので、多チャンネルコイル毎に所定の向きで表示する。
【0029】
ステップ203で、スキャノグラム画像上で撮影視野(FOV)が設定される。
操作者は、マウス等を用いて、スキャノグラム画像上に 関心領域を内部に含むようにFOVを設定する。図5にCOR断面のスキャノグラム画像301に設定されたFOV503の例を示す。図5に示す例では、スキャノグラム画像301上に使用中の各小型受信コイル(3021〜3028)の位置も表示されており、マウスを用いて関心領域としての心臓部分を含む領域がFOV503として設定されている。設定されたFOV503は、小型受信コイル3022〜3024及び3026〜3028を含み、小型受信コイル3021と3025を含まない領域となっている。なお、FOV設定は、この設定に限らず、より広く或いはより狭く設定しても良い。
【0030】
ステップ204で、MAC合成に用いる小型受信コイルが選択される。
中央制御部108は、ステップ203で設定されたFOVの撮影に適切な小型受信コイルを選択する。選択の仕方の具体的実施例については後述する。
【0031】
ステップ205で、ステップ204で選択された小型受信コイルを用いて被検体が撮影され、選択された小型受信コイル毎のエコー信号が取得される。具体的には、計測制御部111は、信号検出部106を制御して、選択された小型受信コイルのみのエコー信号を検出させ、小型受信コイル毎の検出信号を信号処理部107で処理させる。
【0032】
ステップ206で、ステップ204で選択された小型受信コイル毎のデータ(画像データ又は信号データ)を用いて、MAC合成処理を行い、1枚の合成画像を取得する。具体的には、中央制御部108は、選択された小型受信コイル毎に検出されて処理されたデジタル信号を用いて小型受信コイル毎の画像を再構成し、小型受信コイル毎の画像をMAC合成して1枚の合成画像を取得する。或いは、中央制御部108は、選択された小型受信コイル毎に検出されて処理されたデジタル信号をMAC合成したあと、その合成データを再構成して1枚の合成画像を取得してもよい。
【0033】
次に、ステップ204の適切な小型受信コイルの選択方法について説明する。
選択方法の第1の例は、スキャノグラム画像上の各小型受信コイル配置と操作者が設定したFOVとの位置関係から、設定したFOVの撮影に適切な小型受信コイルを操作者が選択する。或いは、MAC合成に使用しない小型受信コイルを操作者が選択してもよい。例えば、図5に示すスキャノグラム画像及びその画像上に重畳表示されている各小型受信コイル配置を参照して、操作者は、マウス(所望の小型受信コイルを選択するための選択入力手段の一例)を用いて選択すべき小型受信コイルの領域をクリックすることにより、その小型受信コイルを選択する。選択された小型受信コイルは、非選択の小型受信コイルと異なる表示態様にする。例えば模擬図形の線や領域内の色を異ならせるとか、或いは、線の太さを異ならせるとか、する。また、選択されている小型受信コイルを再度マウスでクリックすると選択を解除して非選択状態とする。
【0034】
選択方法の第2の例は、操作者が設定したFOV内に含まれる小型受信コイルを中央制御部108が選択する。操作者がスキャノグラム画像上で設定したFOVの位置及び領域と、スキャノグラム画像上での各小型受信コイルの配置位置と、の位置関係から、中央制御部108は、FOV内に含まれる小型受信コイルを選択する。また、FOVの境界を跨ぐ小型受信コイルの選択については、それを全部選択するか、或いは、所定の閾値以上の領域割合がFOV内に含まれる場合に選択するか、或いは、全く選択しないか、の何れかとする。
【0035】
選択方法の第3の例は、各小型受信コイルで取得されたデータに基づいて中央制御部108が選択する。例えば、全小型受信コイルを用いてテスト信号を取得し、そのテスト信号に基づいて適切な小型コイルを選択する。テスト信号は、例えば、90°パルスを印加した後に、位相エンコード傾斜磁場を印加せずにエコー信号を計測する。そして、所定の閾値又は計測されたエコー信号から閾値を求め、この閾値以上のエコー信号が検出された小型受信コイルを選択する。或いは、位相エンコード傾斜磁場を印加しないで取得したエコー信号を1次元フーリエ変換したプロジェクションデータと閾値との比較から選択してよい。
【0036】
以上までが、本実施形態の設定されたFOVに対応して適切な小型受信コイルを選択して、MAC合成を行う処理フローの説明である。
【0037】
以下、従来技術の全ての小型受信コイルを用いて撮影した場合と、本実施形態の適切な小型受信コイルを選択して撮影した場合の差異を説明することにより、本実施形態の効果を具体的に説明する。
【0038】
従来技術の全ての小型受信コイルを用いて撮影した場合の、各小型受信コイルの画像を図4に示す。小型受信コイル3021〜3028で撮影した画像がそれぞれ4031〜4038である。各小型受信コイルとも同じFOVのエコー信号を取得して画像化している。しかし、4031〜4038に示すように、小型受信コイルの画像毎にFOV内の信号強度分布が異なる。即ち、最も心臓部分に近い小型受信コイル(3023、3027)で取得した画像(4033、4037)の信号が最大で、最も心臓部分から遠い小型受信コイル(3021、3025)で取得した画像(2031、2035)の信号値は最小となる。
【0039】
従来技術のMAC(Multiple Array Coil)合成であれば、8個の小型受信コイルでそれぞれ取得したエコー信号又は画像が合成されて最終的な1つの合成画像として表示される。そのため、FOV内の信号をほとんど持っていない小型受信コイル(3021、3025)のエコー信号又は画像もMAC合成に用いられることになる。このような信号が殆ど検出されない小型受信コイルからの信号まで含めてMAC合成を行っても、SNR向上は殆ど無く、ノイズ成分のみが合成されることになるのでSNRは寧ろ劣化してしまう場合さえ有り得る。さらに、MAC合成する小型受信コイル数が増えた分だけ画像再構成の処理時間が延長してしまう。
【0040】
そこで、本実施形態はMAC合成前にMAC合成に使用する適切な小型受信コイルをスキャノグラム画像上で選択する。
【0041】
図5に示すFOV設定の例を用いて、適切な小型受信コイル選択の第一の例を説明する。本例は、スキャノグラム画像上で設定されたFOV内に位置する小型受信コイルのみからの信号をMAC合成に用いるように選択する例である。或いは逆に言えば、FOV外に位置する小型受信コイルからの信号をMAC合成に用いないようにする例である。設定されたFOVに対応した小型受信コイルの選択は、中央制御部108が行う。
【0042】
図5に示すように、COR断面のスキャノグラム画像301上で、FOV503が操作者により設定されたとすると、小型受信コイル3021と3025はFOV503から外れた位置にあるため、他のFOV503内にある小型受信コイルと比較してFOV503内の信号を受信するのは明らかに不利である。そこで、中央制御部108は、小型受信コイル3021と3025から信号を計測しないように信号検出部106を制御するか、又は、撮影後のMAC合成処理に小型受信コイル3021と3025の信号は用いないようにする。
【0043】
このように、MAC合成に不要な小型受信コイルのエコー信号又は画像を除外することにより、コイルチャンネル数を減らしてMAC合成処理することで、MAC合成処理のための演算時間を短縮することが可能となる。例えば512matrixの小型受信コイル画像を8チャンネル分でMAC合成する場合、200ms程度要するが、チャンネルを2つ減らせば150ms程度に短縮できる。チャンネル数が増えれば、時間短縮の効果は更に大きくなる。
【0044】
さらに、MAC合成に不要な小型受信コイルのエコー信号又は画像を除外することにより、合成画像のSNRを向上させることができる。図5の例では、FOV503外の小型受信コイル(3021, 3025)のエコー信号又は画像は、主にノイズ信号が主となるので、これらをMAC合成から除外することにより、MAC合成画像のSNRを向上させることができる。
【0045】
加えて、FOV503外の領域にある小型受信コイルをMAC合成に用いると、折り返しアーチファクトがより強調されて発生する。図6に心臓を単純な横断面(Ax)で撮影する例を挙げて折り返しアーチファクトの具体例を示す。図6(a)は図3(b)と同じコイル配置で被検体101の心臓部分を含むFOV603を単純な横断面(Ax)で撮影する場合を示している。図6(a)中のFOV603を小型受信コイル3021〜3028で撮影する場合、小型受信コイル3021、3025はFOV603外に設置されている。このような状態のとき、小型受信コイル3021、3025は撮影対象である心臓部分の領域より、コイル近傍の胸壁や背中側の領域に強い感度を持つ。そのため、位相エンコード方向を紙面左右方向にとると、小型受信コイル3021、3025によって取得されたFOV外からの信号が、強い折り返しアーチファクトとなって合成画像に出現する。図6(b)に折り返しアーチファクトが現れた例を示す。被検体101の紙面上左型のFOVから外れた部分の画像が、FOV内右側に折り返って折り返しアーチファクト608として現れている。この図6(b)の例は、非常に単純な撮影断面であるため、位相エンコード方向を胸壁-背中方向に変更することで、折り返しアーチファクトを回避できる可能性があるが、通常心臓の診断で用いる撮影断面はダブルオブリーク画像(左室短軸像、4腔像など)で、位相エンコード方向をどちらに設定しても、折り返しアーチファクトが入る場合がある。そのような場合に、FOV外にある小型受信コイル3021、3025で取得したエコー信号又は画像をMAC合成に使用しないことで、折り返しアーチファクトを効果的に低減することができる。折り返しアーチファクトを低減できることの詳細は後述する第3の実施形態で説明する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、多チャンネルコイルを用いて被検体を撮影する際、付加的なデータ取得を行うことなく、画像合成に適切な受信コイルを選択することができる。その結果、MAC合成の演算時間を低減でき、MAC合成画像のSNRを向上させることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明のMRI装置の第2の実施形態を説明する。前述の第1の実施形態は、撮影前に設定されたFOVに対応してMAC合成に適切な小型受信コイルを選択する形態であったが、本第2の実施形態は、全小型受信コイルで撮影してデータを取得した後に、設定されたFOVに対応してMAC合成に適切な小型受信コイルを選択する例である。以下、図2(b)に基づいて本第2の実施形態を説明する。
【0047】
図2(b)は、本実施形態の処理フローを示すものであり、図2(a)と同じ条件で撮影を行う場合のフローチャートを示すものである。図2(a)と異なるステップは、ステップ204の代わりにステップ211を、ステップ205の代わりにステップ212を、ステップ206の代わりにステップ213を、それぞれ実施するものである。以下、共通ステップの処理内容の説明は省略し、これらの異なるステップのみ説明する。
【0048】
ステップ211で、全小型受信コイルを用いて被検体101が撮影される。具体的には、計測制御部111は、信号検出部106を制御して、全ての小型受信コイルのエコー信号を検出させ、小型受信コイル毎の検出信号を信号処理部107で処理させる。そして、中央制御部108は、全ての小型受信コイル毎に検出されて処理されたデジタル信号を用いて小型受信コイル毎の画像を再構成し、小型受信コイル毎の画像をMAC合成して1枚の合成画像を取得する。なお前述の様に、エコー信号のデジタルデータを直接MAC合成した後に画像を再構成してもよい。この場合、図6に示したように、合成画像に折り返しアーチファクト608が発生する場合がある。即ち、被検体の紙面上左側のFOVから外れた領域からの信号に基づく画像がFOV内右側に折り返って現れている。これはFOV外の小型受信コイル3021と3025により検出された信号がMAC合成に用いられることにより、FOV外からの信号が折り返しアーチファクトとなって画像に重畳されてしまうためである。そこで、このような場合には、以下に説明するMAC合成に適切な小型受信コイルを選択する。
【0049】
ステップ212で、適切な小型受信コイルが選択される。適切な小型コイルの選択方法は、以下の何れかの方法を用いることができる。
【0050】
選択方法の第1の例は、前述の第1の実施形態における小型受信コイル選択方法の第1の例と同様である。即ち、操作者がスキャノグラム画像上の各小型受信コイル配置と設定したFOVとの位置関係から、設定したFOVの撮影に適切な小型受信コイルを操作者が選択する。詳細な説明は省略する。
【0051】
選択方法の第2の例は、前述の第1の実施形態における小型受信コイル選択方法の第2の例と同様である。即ち、操作者が設定したFOV内に含まれる小型受信コイルを中央制御部108が選択する。詳細な説明は省略する。
【0052】
選択方法の第3の例は、各小型受信コイルのエコー信号強度を閾値と比較して信号強度の大きい小型受信コイルを選択する。具体的には、各小型受信コイルの被検体画像用に取得されたエコー信号の内から位相エンコード傾斜磁場がゼロの時に取得されたエコー信号を用いてその強度を、所定の閾値、或いは、小型受信コイル毎の信号強度から求まる閾値(例えば、最大値の20%とする)と、各小型受信コイルの信号強度を比較し、閾値以上の信号強度を有する小型受信コイルを選択する。
【0053】
選択方法の第4の例は、各小型受信コイルの画像の画素値の平均値を閾値と比較して、画素値の平均値の大きい小型受信コイルを選択する。具体的には、各小型受信コイルの画像の画素値の平均値を、所定の閾値、或いは、小型受信コイル毎の画像から求まる閾値(例えば、最大平均値の20%とする)と、各小型受信コイルの画素値の平均値を比較し、閾値以上の画素値平均値を有する小型受信コイルを選択する。
【0054】
ステップ213で、ステップ212で選択された小型受信コイル毎の取得済データを用いて、MAC合成処理を再度行い、1枚の合成画像を取得する。例えば、ステップ212で、FOV外に配置されている小型受信コイル3031、3035をMAC合成から外し、FOV内に配置されている小型受信コイル3032〜3034及び3036〜2038のみが選択されたとする。そして、操作者が、図7(a)に示す、スキャノグラム画像下の画像合成ボタン705(被検体画像の再構成を指示する再構成指示手段の一例)を押下すると、中央制御部108はそれらの選択された小型受信コイルの取得済データを用いて再度MAC合成を行う。結果画像の一例を図7(b)に示す。折り返しアーチファクトの原因となっていた、FOV外に配置されている小型受信コイル3031、3035のデータが、MAC合成から除外されることにより、折り返しアーチファクトが顕著に現れている図6(b)の画像と比較して、図7(b)の画像では大幅に折り返しアーチファクトが除去されている。
【0055】
ステップ214で、MAC合成された合成画像を操作者が判断し、その画質でよければ終了し、折り返しアーチファクトが消え残っており、画質に満足できなければステップ212に戻って小型受信コイルの選択をやり直す。以下、操作者がMAC合成画像の画質に満足するまでステップ212とステップ213を繰り返す。
【0056】
以上までが本実施形態の全小型受信コイルを用いた撮影後に適切な小型受信コイルを選択する処理フローの説明である。本実施形態は、例えば、結果画像100-200枚に及ぶマルチスライスシネ撮影などにおいて、任意の1スライスで適切な小型受信コイルの選択を確認後の、同じ選択を用いて全スライスを合成処理するといった用途に有効である。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、全小型受信コイルを用いた撮影後にも適切な小型受信コイルを選択することができる。つまり、画像を見ながらインタラクティブに小型受信コイルの選択を試行錯誤しながら適切な組合せを選択できるようになる。その結果、折り返しアーチファクトを低減できSNRも向上させられるので、MAC合成画像の画質を更に向上させることが可能になる。
(第3の実施形態)
次に本発明のMRI装置の第3の実施形態を説明する。前述の各実施形態は、被検体の画像を取得するための適切な小型受信コイルの選択する形態であったが、本実施形態は、ナビゲーターエコーを取得するための適切な小型受信コイルを選択する形態である。 通常、ナビゲーターエコーは狭い領域から取得されるので、ナビゲーターエコーを用いて体動情報を検出する場合は、そのナビゲーターエコーの検出に用いる小型受信コイルを限定することは、後述する理由により更に効果的である。以下、図8を用いて本実施形態を詳細に説明する。
【0058】
図8は、図5と同じ状態で、撮影FOV503とは独立した領域804から、呼吸動をモニターするためのナビゲーターエコーを取得しながら撮影する場合の例である。他は図5と同様なので詳細な説明は省略する。
【0059】
通常ナビゲーターエコーは、高精度に呼吸動をモニターする目的で、呼吸による変動が大きな部位を局所的に励起して取得される。そのため、図8に示すような多チャンネルコイルの配置状況で、3021〜3028の全小型受信コイルからのデータを合成してナビゲーターエコーを取得しても、ナビゲーターエコーの呼吸動検出精度を向上させることにはつながらない。加えて前述のように、ナビゲーターエコーのSNRが低下し、合成処理に要する演算時間がかかる。そのため、図9に示す様に、ナビゲーターエコー取得901から、本計測903を実行するまでの時間間隔(演算時間)902が延長する。時間間隔902が延長すると、ナビゲーターエコーで検出した呼吸動変位と実際に画像データを取得する時点での呼吸動変位との誤差が大きくなるため、画質劣化につながる。更に、ナビゲーターエコーを取得するシーケンスの実行時間901、および、処理時間902は本計測データの取得できない期間である。そのため、処理時間902を短縮し、本計測データの取得可能な期間を広げることは、多くの心時相データを取得するシネ撮影においても意義が大きい。
【0060】
以上のように、ナビゲーターエコーとして用いるデータは、全小型受信コイルのデータを合成したものではなく、局所励起領域近傍の小型受信コイルからのデータのみに限定し、短時間で処理することが望ましい。本実施形態では、図8に示すスキャノグラム画面上で、操作者がナビゲーターエコーの励起領域804を指定すると、その励起領域804からナビゲーターエコー信号を取得するのに最適な小型受信コイルを選択する。
【0061】
本実施例におけるナビゲーターエコー取得に適切な小型受信コイルの選択方法は、前述の実施形態で説明した各種方法の何れかを用いることができる。例えば、操作者がスキャノグラム画像上で小型受信コイルをマウスで選択する方法、励起領域804と重なりをもつ小型受信コイルを中央制御部108 が選択する方法、或いは、テスト信号を検出して、信号強度の大きい小型受信コイルを選択する方法なのである。図8の例では、中央制御部108が励起領域804と重なる小型受信コイル3021と3025をナビゲーターエコー取得に用いる小型受信コイルとして自動選択した例を示している。
【0062】
さらに、ナビゲーターエコー取得に好適な小型受信コイル選択方法の別例を以下に説明する。ナビゲーターエコーの励起領域は、撮影FOVに比べ数分の1と狭いため、ナビゲーターエコー取得の場合には小型受信コイルの選択はより正確さが必要となる。そこで、実際に取得した各小型受信コイルの信号を比較し、MAC合成に使用する小型受信コイルを選択する。この場合、図8の全小型受信コイル3021〜3028から取得されたナビゲーターエコーを1次元フーリエ変換したプロジェクションデータを比較し、その平均値が大きなものをナビゲーターエコーとして用いる。選択する小型受信コイルは1つとは限らず、大きな方から2つ、3つのように複数個選択することも可能である。このようにナビゲーターエコーの検出に用いる小型受信コイルの選択を行うことで、スキャノグラム画面上に表示された小型受信コイル位置と実際の小型受信コイル位置にずれがある場合も、ナビゲーターエコー取得として用いるのに適切な小型受信コイルを選択できる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、付加的なデータ取得を行うことなく、設定されたナビゲーターエコー取得領域に対応して、ナビゲーターエコー取得に適切な小型受信コイルを選択することができる。その結果、高SNRのナビゲーターエコーを短時間で取得することができるようになるので、高精度に体動をモニターすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るMRI装置の一例のブロック図。
【図2】本発明の実施形態の処理フローを示すフローチャート。
【図3】スキャノグラム画像上の多チャンネルコイル配置例を示す図。
【図4】各小型受信コイルの画像例を示す図。
【図5】第1の実施形態及びスキャノグラム画像上でFOVを設定する例を示す図。
【図6】Axial撮影及折り返しアーチファクトの例を示す図。
【図7】第2の実施形態及び折り返しアーチファクト低減を示す図。
【図8】第3の実施形態及びナビゲーターエコー取得領域を示す図。
【図9】ナビゲーターエコー計測と本計測とのタイミングを示す図。
【符号の説明】
【0065】
101 被検体、102 静磁場磁石、103 傾斜磁場コイル、104 RFコイル、105 RFプローブ、106 信号検出部、107 信号処理部、108 表示部、109 傾斜磁場電源、110 RF送信部、111 制御部、112 ベッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の小型受信コイルを有して成る多チャンネルコイルを備えて、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、前記受信された核磁気共鳴信号を用いて前記被検体の画像を再構成する演算処理手段と、前記被検体画像を表示する表示手段と、を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
位置決め画像上で前記核磁気共鳴信号を取得する信号取得領域の設定を入力するための領域入力手段と、
前記複数の小型受信コイルの内から所望の小型受信コイルを選択するための選択入力手段と、
を有し、
前記演算処理手段は、前記選択された1以上の小型受信コイル毎の核磁気共鳴信号を用いて前記被検体画像を再構成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
複数の小型受信コイルを有して成る多チャンネルコイルを備えて、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、前記受信された核磁気共鳴信号を用いて前記被検体の画像を再構成する演算処理手段と、前記被検体画像を表示する表示手段と、を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
位置決め画像上で前記核磁気共鳴信号を取得する信号取得領域の設定を入力するための領域入力手段と、
前記信号取得領域に対応して、前記被検体画像用に取得した核磁気共鳴信号を用いて、1以上の小型受信コイルを選択する選択手段と、
を有し、
前記演算処理手段は、前記選択された1以上の小型受信コイル毎の核磁気共鳴信号を用いて前記被検体画像を再構成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
複数の小型受信コイルを有して成る多チャンネルコイルを備えて、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、前記受信された核磁気共鳴信号を用いて前記被検体の画像を再構成する演算処理手段と、前記被検体画像を表示する表示手段と、を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
位置決め画像上で、撮影視野と異なる領域であって、前記被検体の体動情報を含む核磁気共鳴信号を取得する信号取得領域の設定を入力するための領域入力手段と、
前記信号取得領域に対応して、1以上の小型受信コイルを選択する選択手段と、を有し、
前記演算処理手段は、前記選択された1以上の小型受信コイル毎の核磁気共鳴信号を用いて前記被検体の体動情報を取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記受信手段は、前記選択された小型受信コイルのみを用いて前記核磁気共鳴信号を受信することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
複数の小型受信コイルを有して成る多チャンネルコイルを備えて、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、前記受信された核磁気共鳴信号を用いて前記被検体の画像を再構成する演算処理手段と、前記被検体画像を表示する表示手段と、を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
位置決め画像上で前記核磁気共鳴信号を取得する信号取得領域の設定を入力するための領域入力手段と、
前記信号取得領域に対応して、1以上の小型受信コイルを選択する選択手段と、
前記演算処理手段に前記被検体画像の再構成を指示する再構成指示手段と、
を有し、
前記演算処理手段は、前記再構成の指示により、前記選択された1以上の小型受信コイル毎の核磁気共鳴信号を用いて前記被検体画像を再構成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、予め取得された位置決め画像に前記複数の小型受信コイルの各々を表す模擬図形を重ねて表示し、
前記信号取得領域は、前記位置決め画像上で設定されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記選択手段は、少なくとも前記信号取得領域内に含まれる小型受信コイルを選択することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−106480(P2009−106480A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281230(P2007−281230)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】