説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】受信コイルが有する要素コイルの位置を精度よく計測したうえで、撮像用の要素コイルを容易に設定することができるようにする。
【解決手段】コイル位置情報記憶部14aが、受信コイルに設定された代表位置を基準にした要素コイルの物理的な位置を示すコイル位置情報を記憶し、データ処理部が、複数の要素コイルそれぞれによって受信されたNMR信号に基づいて、要素コイルの配列方向におけるNMR信号の分布を示すプロファイルデータを要素コイルごとに生成し、コイル位置算出部17aが、コイル位置情報とプロファイルデータとを用いて回帰分析を行うことで、受信コイルの代表位置を算出する。また、コイル表示制御部17bが、算出された代表位置に基づいて、複数の要素コイルの位置を表示部15に表示させ、撮像用コイル設定部17cが、算出された代表位置に基づいて、複数の要素コイルの中から撮像に用いる要素コイルを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴現象を利用して被検体内を画像化する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置は、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンを原子核に応じたラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、励起にともなって発生する磁気共鳴信号から画像を再構成する装置である。
【0003】
かかる磁気共鳴イメージング装置では、被検体から発せられた磁気共鳴信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルが配列された受信コイルが用いられる場合もある。このような受信コイルは、アレイコイルとも呼ばれている。
【0004】
そして、複数の要素コイルが配列された受信コイルに関する技術として、例えば、図15に示すように、被検体に受信コイルを装着したうえで実際に磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号から生成されたデータを用いて、要素コイルの位置を計測する方法が知られている(例えば、特許文献1または2を参照)。
【0005】
しかしながら、単一の計測結果から個々のコイルの位置を決めたのでは、計測誤差が十分に低減されない。例えば、磁場中心から外れた位置にコイルがある場合、磁場均一性の劣化や傾斜磁場の線形成劣化によって誤差が生じるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−179551号公報
【特許文献2】米国特許第6794872号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、単一の計測結果から個々のコイルの位置を決めたのでは、計測誤差が十分に低減されない。例えば、磁場中心から外れた位置にコイルがある場合、磁場均一性の劣化や傾斜磁場の線形成劣化によって誤差が生じるからである。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、受信コイルが有する要素コイルの位置を精度よく計測したうえで、撮像用の要素コイルを容易に設定することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様にかかる磁気共鳴イメージング装置は、被検体から発せられた磁気共鳴信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルが配列された受信コイルと、前記受信コイルに設定された代表位置を基準にした前記要素コイルの物理的な位置を示すコイル位置情報を要素コイルごとに記憶する記憶部と、前記複数の要素コイルそれぞれによって受信された磁気共鳴信号に基づいて、前記要素コイルが配列された方向を示すコイル配列方向における前記磁気共鳴信号の分布を示すプロファイルデータを前記要素コイルごとに生成する生成部と、前記コイル位置情報と前記プロファイルデータとを用いて回帰分析を行うことで、前記受信コイルに設定された前記代表位置の前記コイル配列方向における位置を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記代表位置の位置に基づいて、前記複数の要素コイルの位置を表示部に表示させる制御部とを備える。
【0010】
また、本発明の他の態様にかかる磁気共鳴イメージング装置は、被検体から発せられた磁気共鳴信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルが配列された受信コイルと、前記受信コイルに設定された代表位置を基準にした前記要素コイルの物理的な位置を示すコイル位置情報を要素コイルごとに記憶する記憶部と、前記複数の要素コイルそれぞれによって受信された磁気共鳴信号に基づいて、前記要素コイルが配列された方向を示すコイル配列方向における前記磁気共鳴信号の分布を示すプロファイルデータを前記要素コイルごとに生成する生成部と、前記コイル位置情報と前記プロファイルデータとを用いて回帰分析を行うことで、前記受信コイルに設定された前記代表位置の前記コイル配列方向における位置を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記代表位置の位置に基づいて、前記複数の要素コイルの中から撮像に用いる要素コイルを設定する設定部とを備える。
【0011】
また、本発明の他の態様にかかる磁気共鳴イメージング装置は、被検体から発せられた磁気共鳴信号を受信する複数の要素コイルをそれぞれ有する複数の受信コイルと、前記複数の要素コイルそれぞれによって受信された磁気共鳴信号に基づいて、前記要素コイルが配列された方向を示すコイル配列方向における前記磁気共鳴信号の分布を示すプロファイルデータを前記要素コイルごとに生成する生成部と、前記プロファイルデータに基づいて、前記受信コイルに設定された前記代表位置の前記コイル配列方向における位置を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記代表位置の位置に基づいて、前記複数の受信コイルのうち前記代表値の位置が算出された受信コイルの位置のみを表示部に表示させる制御部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受信コイルが有する要素コイルの位置を精度よく計測したうえで、撮像用の要素コイルを容易に設定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施例に係るMRI装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、記憶部および制御部の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、コイル位置情報記憶部によって記憶されるコイル位置情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、プロファイルデータ記憶部によって記憶されるプロファイルデータの一例を示す図である。
【図5】図5は、計測結果情報記憶部によって記憶される計測結果情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、コイル位置算出部による受信コイルの代表位置の算出の一例を説明するための図(1)である。
【図7】図7は、コイル位置算出部による受信コイルの代表位置の算出の一例を説明するための図(1)である。
【図8A】図8Aは、コイル表示制御部による要素コイルの表示の一例を示す図(1)である。
【図8B】図8Bは、コイル表示制御部による要素コイルの表示の一例を示す図(2)である。
【図8C】図8Cは、コイル表示制御部による要素コイルの表示の一例を示す図(3)である。
【図9A】図9Aは、本実施例に係るMRI装置による撮像の流れを示すフローチャート(1)である。
【図9B】図9Bは、本実施例に係るMRI装置による撮像の流れを示すフローチャート(2)である。
【図10】図10は、NMR信号を受信しない受信コイルが存在する場合を説明するための図である。
【図11】図11は、所定の閾値を超えるNMR信号のみを用いて代表位置の位置を算出する場合を説明するための図である。
【図12】図12は、代表位置が算出されなかった受信コイルを表示しない場合を説明するための図である。
【図13A】図13Aは、隣接する受信コイルが重ならないように代表位置を補正する場合を説明するための図(1)である。
【図13B】図13Bは、隣接する受信コイルが重ならないように代表位置を補正する場合を説明するための図(2)である。
【図13C】図13Cは、隣接する受信コイルが重ならないように代表位置を補正する場合を説明するための図(3)である。
【図13D】図13Dは、隣接する受信コイルが重ならないように代表位置を補正する場合を説明するための図(4)である。
【図14】図14は、要素コイルの数が受信チャンネルの数より多い場合を説明するための図である。
【図15】図15は、従来技術における受信コイルの位置計測を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる磁気共鳴イメージング装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、磁気共鳴イメージング装置をMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置とよび、磁気共鳴信号をNMR(Nuclear Magnetic Resonance)信号と呼ぶ。また、以下に示す実施例によって本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
最初に、本実施例に係るMRI装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係るMRI装置の構成を示す図である。同図に示すように、本実施例に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信コイル6、送信部7、受信コイル8a〜8e、受信部9、計算機システム10を備える。
【0016】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成されており、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0017】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成されており、静磁場磁石1の内側に配置される。この傾斜磁場コイル2は、互いに直交するx,y,zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、後述する傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、x,y,zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
【0018】
ここで、傾斜磁場コイル2によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、リードアウト用傾斜磁場Gr、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびスライス選択用傾斜磁場Gsにそれぞれ対応している。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてNMR信号の周波数を変化させるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてNMR信号の位相を変化させるために利用される。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。
【0019】
傾斜磁場電源3は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。
【0020】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備えており、後述する寝台制御部5による制御のもと、天板4aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
【0021】
寝台制御部5は、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向および上下方向へ移動する。
【0022】
送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されており、送信部7から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0023】
送信部7は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信コイル6に送信する。
【0024】
受信コイル8a〜8eは、傾斜磁場コイル2の内側に配置されており、高周波磁場の影響によって被検体Pから放射されるNMR信号を受信する。ここで、受信コイル8a〜8eは、それぞれ、被検体Pから発せられた磁気共鳴信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルを有するアレイコイルであり、各要素コイルによってNMR信号が受信されると、受信されたNMR信号を受信部9へ出力する。
【0025】
受信コイル8aは、被検体Pの頭部に装着される頭部用のコイルである。また、受信コイル8bおよび8cは、それぞれ、被検体Pの背中と天板4aとの間に配置される脊椎用のコイルである。また、受信コイル8dおよび8eは、それぞれ、被検体の腹側に装着される腹部用のコイルである。
【0026】
受信部9は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、受信コイル8a〜8eから出力されるNMR信号に基づいてNMR信号データを生成する。また、受信部9は、NMR信号データを生成すると、そのNMR信号データを計算機システム10に送信する。
【0027】
なお、受信部9は、受信コイル8a〜8eが有する複数の要素コイルから出力されるNMR信号を受信するための複数の受信チャンネルを有している。そして、受信部9は、撮像に用いる要素コイルが計算機システム10から通知された場合には、通知された要素コイルから出力されたNMR信号が受信されるように、通知された要素コイルに対して受信チャンネルを割り当てる。
【0028】
計算機システム10は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行う。この計算機システム10は、インタフェース部11、データ収集部12、データ処理部13、記憶部14、表示部15、入力部16および制御部17を有している。
【0029】
インタフェース部11は、傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信部7および受信部9に接続されており、これらの接続された各部と計算機システム10との間で授受される信号の入出力を制御する。
【0030】
データ収集部12は、インタフェース部11を介して、受信部9から送信されるNMR信号データを収集する。データ収集部12は、NMR信号データを収集すると、収集したNMR信号データを記憶部14に記憶させる。
【0031】
データ処理部13は、記憶部14に記憶されているNMR信号データに対して、後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体P内における所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを生成する。また、データ処理部13は、位置決め画像の撮像が行われる場合には、受信コイル8a〜8eが有する複数の要素コイルそれぞれによって受信されたNMR信号に基づいて、要素コイルの配列方向におけるNMR信号の分布を示すプロファイルデータを要素コイルごとに生成する。そして、データ処理部13は、生成した各種データを記憶部14に格納する。
【0032】
記憶部14は、データ収集部12によって収集されたNMR信号データと、データ処理部13によって生成された画像データなどを、被検体Pごとに記憶する。なお、この記憶部14については、後に詳細に説明する。
【0033】
表示部15は、データ処理部13によって生成されたスペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を表示する。この表示部15としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0034】
入力部16は、操作者から各種操作や情報入力を受け付ける。この入力部16としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0035】
制御部17は、図示していないCPUやメモリ等を有し、上述した各機能部を制御することによってMRI装置100を総括的に制御する。なお、この制御部17については、以下で詳細に説明する。
【0036】
次に、記憶部14および制御部17の詳細な構成について説明する。図2は、記憶部14および制御部17の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【0037】
図2に示すように、記憶部14は、特に、コイル位置情報記憶部14aと、プロファイルデータ記憶部14bと、計測結果情報記憶部14cとを有する。
【0038】
コイル位置情報記憶部14aは、受信コイル8a〜8eにそれぞれ設定された代表位置を基準にした複数の要素コイルの物理的な位置を示すコイル位置情報を記憶する。図3は、コイル位置情報記憶部14aによって記憶されるコイル位置情報の一例を示す図である。図3に示すように、具体的には、コイル位置情報記憶部14aは、「コイル名」と、「グループ」と、「位置固定」と、「コイル外寸」と、「要素コイル番号」と、「相対位置」とを対応付けた情報をコイル位置情報として記憶する。
【0039】
コイル名は、受信コイル8a〜8eの種類を一意に識別するための識別情報である。例えば、図3の例では、「アレイコイルA」が、頭部用のコイルである受信コイル8aを示し、「アレイコイルB」が、脊椎用のコイルである受信コイル8bおよび8cを示し、「アレイコイルC」が、腹部用のコイルである受信コイル8dおよび8eを示している。
【0040】
グループは、隣接して配置される受信コイルごとに分類されたグループを識別するための識別情報である。例えば、図3の例では、アレイコイルAおよびアレイコイルBが、それぞれ「グループα」に属し、アレイコイルCが、「グループβ」に属することを示している。
【0041】
位置固定は、受信コイル8a〜8eが配置される位置が固定であるか否かを示す情報である。例えば、図3の例では、アレイコイルAの位置が、「260mm」の位置で固定であり、アレイコイルBおよびアレイコイルCの位置が移動可能であることを示している。
【0042】
コイル外寸は、受信コイル8a〜8eの外寸を示す情報である。具体的には、コイル外寸は、x,y,z軸方向それぞれの外寸で表される。例えば、図3の例では、アレイコイルAのx軸方向の外寸が250mmであり、y軸方向の外寸が300mmであり、z軸方向の外寸が300mmであることを示している。
【0043】
要素コイル番号は、受信コイル8a〜8eが有する要素コイルを受信コイルごとに一意に識別するための番号である。例えば、図3の例では、アレイコイルAが、「1」および「2」の2つの要素コイルを有し、アレイコイルBが、「1」〜「4」の4つの要素コイルを有し、アレイコイルCが、「1」〜「4」の4つの要素コイルを有することを示している。
【0044】
相対位置は、受信コイル8a〜8eそれぞれに設定された代表位置を基準にした複数の要素コイルの物理的な位置を示す情報である。具体的には、相対位置は、各受信コイルの任意の位置に設定された代表位置を原点とした場合のx,y,z軸方向の相対座標(x,y,z)で表される。例えば、図3の例では、アレイコイルAが有する要素コイル番号:「1」の要素コイルの相対位置が(0,0,−75)であり、同じくアレイコイルAが有する要素コイル番号:「2」の要素コイルの相対位置が(0,0,75)であることを示している。すなわち、アレイコイルAは、代表位置を原点としてz軸方向に−75mm離れた位置に要素コイル番号:「1」の要素コイルを有し、z軸方向に75mm離れた位置に要素コイル番号:「2」の要素コイルを有することを示している。
【0045】
図2の説明にもどって、プロファイルデータ記憶部14bは、データ処理部13によって生成されたプロファイルデータを要素コイルごとに記憶する。図4は、プロファイルデータ記憶部14bによって記憶されるプロファイルデータの一例を示す図である。図4において、横軸は、磁場中心の位置を原点「0」とした場合の要素コイルの配列方向におけるNMR信号の実測位置を示しており、縦軸は、縦軸はNMR信号の強さを示している。また、図4において、「ch1」〜「ch5」は、5つの要素コイルに関するプロファイルデータをそれぞれ示している。図4に示すように、具体的には、プロファイルデータ記憶部14bは、要素コイルごとに、要素コイルの配列方向におけるNMR信号の分布をプロファイルデータとして記憶する。
【0046】
計測結果情報記憶部14cは、受信コイル8a〜8eそれぞれにおける代表位置を算出した結果を計測結果情報として記憶する。ここで、計測結果情報として記憶される代表位置は、後述するコイル位置算出部17aによって算出される。図5は、計測結果情報記憶部14cによって記憶される計測結果情報の一例を示す図である。図5に示すように、具体的には、計測結果情報記憶部14cは、「コイル名」と、「接続ポート」と、「コイル位置」とを対応付けた情報を計測結果情報として記憶する。
【0047】
コイル名は、前述したように、受信コイル8a〜8eの種類を一意に識別するための識別情報である。
【0048】
接続ポートは、要素コイルが接続されているポートを示す情報である。例えば、図5の例では、アレイコイルAが、「port1」によって識別されるポートに接続されており、アレイコイルBが、「port2」によって識別されるポートに接続されていることを示している。また、図5の例では、2つのアレイコイルCが用いられており、一方が「port3」によって識別されるポートに接続されており、他方が「port4」によって識別されるポートに接続されていることを示している。
【0049】
コイル位置は、受信コイル8a〜8eに設定されている代表位置を示す情報である。具体的には、コイル位置は、天板4aの先端(図1に示す被検体Pの頭側にある一端)を原点とした場合のx,y,z軸方向の相対座標(x,y,z)で表される。例えば、図5の例では、アレイコイルAの代表位置が、天板4aの先端を原点としてz軸方向に260mm離れた位置にあることを示している。また、図5の例では、2つのアレイコイルCが用いられており、一方の代表位置が、天板4aの先端を原点としてz軸方向に300mm離れた位置にあり、他方の代表位置が、z軸方向に700mm離れた位置にあることを示している。
【0050】
図2の説明にもどって、制御部17は、特に、コイル位置算出部17aと、コイル表示制御部17bと、撮像用コイル設定部17cとを有する。
【0051】
コイル位置算出部17aは、コイル位置情報記憶部14aによって記憶されているコイル位置情報と、プロファイルデータ記憶部14bによって記憶されているプロファイルデータとを用いて回帰分析を行うことで、受信コイル8a〜8eそれぞれの代表位置を算出する。
【0052】
例えば、コイル位置算出部17aは、最小二乗法を用いて回帰分析を行うことで、受信コイル8a〜8eそれぞれの代表位置を算出する。図6および7は、コイル位置算出部17aによる受信コイルの代表位置の算出の一例を説明するための図である。
【0053】
図6に示すように、例えば、受信コイル8bが要素コイルE1〜E4を有していたとする。そして、プロファイルデータ記憶部14bによって記憶されているプロファイルデータにおいて、要素コイルE1〜E4によって受信された各NMR信号がピークとなる位置が、それぞれP1〜P4であったとする。また、コイル位置情報記憶部14aによって記憶されているコイル位置情報において、受信コイル8bの代表位置を基準にした要素コイルE1〜E4の相対位置が、それぞれ、R1〜R4であったとする。
【0054】
その場合、コイル位置算出部17aは、受信コイル8bを基準にした要素コイルの相対位置を説明変数X、各要素コイルによって受信されたNMR信号がピークとなる位置を目的変数Yとして定義される関数Y=X+bを用いる。そして、コイル位置算出部17aは、図7に示すように、NMR信号がピークとなる位置P1〜P4と、要素コイルE1〜E4の相対位置R1〜R4とを標本データとして、最小二乗法を用いて、切片bを算出する。
【0055】
なお、本実施例では、コイル位置算出部17aが、NMR信号がピークとなる位置を用いる場合について説明するが、例えば、NMR信号の信号値の分布から得られる重心位置を用いてもよいし、NMR信号にカーブフィッティングしてからピークを求めてもよい。
【0056】
ここで、要素コイルE1〜E4の配列方向を「コイル配列方向」とすると、図7における横軸は、受信コイル8bの代表位置を原点「0」とした場合のコイル配列方向における位置を示している。また、図7において、縦軸は、磁場中心の位置を原点「0」とした場合のコイル配列方向におけるNMR信号の実測位置を示しており、図4に示した横軸に対応する。したがって、ここで算出される切片bは、磁場中心を原点「0」とした場合に、コイル配置方向において受信コイル8bの代表位置がどこに位置するかを示すことになる。すなわち、コイル位置算出部17aは、磁場中心を基準にして、受信コイル8bに設定された代表位置のコイル配列方向における実測位置を算出する。
【0057】
コイル位置算出部17aは、上述した方法で、受信コイル8a〜8eそれぞれについて代表位置を算出する。その後、コイル位置算出部17aは、受信コイル8a〜8eごとに、算出した代表位置を、天板4aの先端を原点とした場合のx,y,z軸方向の相対座標に変換する。そして、コイル位置算出部17aは、天板4aの先端を原点とする相対座標に変換した代表位置を、受信コイルのコイル名と、受信コイルが接続されているポートを示す情報とに対応付けた情報を生成し、生成した情報を計測結果情報として計測結果情報記憶部14cに保存する(図5を参照)。
【0058】
こうして、コイル位置算出部17aが、各受信コイルの代表位置を天板4aに対する相対座標に置換えて保存することによって、例えば、天板4aが移動された場合でも、各要素コイルが磁場中心に対してどの位置にあるかを容易に求めることができる。
【0059】
なお、ここでは、コイル位置算出部17aは、最小二乗法を用いて代表位置を算出する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、回帰分析で一般的に用いられる他の統計的手法を用いるようにしてもよい。
【0060】
例えば、ここでは1次関数Y=X+bを用いて回帰分析を行う場合について説明したが、2次関数や指数関数などの他の関数を用いて回帰分析を行うようにしてもよい。その場合、例えば、コイル位置算出部17aは、各要素コイルによって受信されたNMR信号がピークとなる位置(または、NMR信号の信号値の分布における重心位置)と、受信コイルの代表位置を基準とした各要素コイルの相対位置とを標本データとして、所定の関数に含まれる係数の値を推計する。これにより、受信コイルの代表位置を基準にした要素コイルの相対位置Xと、各要素コイルによって受信されたNMR信号がピークとなる位置(または、NMR信号の信号値の分布における重心位置)Yとの関係を表す近似式Y=f(X)が得られる。そして、コイル位置算出部17aは、得られた近似式Y=f(X)を用いてX=0とした場合のYを求めることで、受信コイル8bに設定された代表位置の実測位置を算出する。
【0061】
コイル表示制御部17bは、コイル位置算出部17aによって算出された代表位置に基づいて、複数の要素コイルの位置を表示部15に表示させる。具体的には、コイル表示制御部17bは、コイル位置算出部17aによって各受信コイルの代表位置が算出された場合に、計測結果情報記憶部14cに格納されている計測結果情報を参照して、各受信コイルの要素コイルを表示部15に表示させる。
【0062】
図8A〜8Cは、コイル表示制御部17bによる要素コイルの表示の一例を示す図である。図8Aに示すように、例えば、コイル表示制御部17bは、被検体Pと、受信コイル8a〜8eと、各コイルの要素コイルとを示すGUI(Graphical User Interface)をそれぞれ表示部15に表示させる。
【0063】
また、コイル表示制御部17bは、図8Bに示すように、磁場中心を示す線Mを要素コイルのGUIに重ねて表示させる。ここで、磁場中心を示す方法は必ずしも線に限られるわけではなく、磁場中心と要素コイルとの位置関係が明確に示される表示方法であれば、他の方法で磁場中心を表示させてもよい。
【0064】
また、コイル表示制御部17bは、磁場中心に重なる要素コイルと、その要素コイルに隣接する要素コイルについては、他の要素コイルとは異なる色にして表示させる。また、磁場中心に重なる要素コイルがなかった場合には、磁場中心に最も近い要素コイルをさらに異なる色にして表示させてもよい。なお、この場合には、コイル表示制御部17bは、あらかじめ操作者から要素コイルの有効範囲を受け付けておく。そして、コイル表示制御部17bは、磁場中心の線Mを表示させる際に、磁場中心を基準として有効範囲を決定し、決定した有効範囲内に含まれる要素コイルの色を変えるようにする。
【0065】
また、コイル表示制御部17bは、天板4aが移動された場合には、天板4aの移動量を取得する。そして、コイル表示制御部17bは、図8Cに示すように、取得した天板4aの移動量に基づいて、磁場中心を示す線Mを移動させる。
【0066】
このように、要素コイルを表示させるとともに、コイル表示制御部17bは、入力部16を介して、表示させた要素コイルの中から撮像に用いる要素コイルを選択する操作を操作者から受け付ける。そして、コイル表示制御部17bは、要素コイルを選択する操作を受け付けたのちに、さらに、選択された要素コイルを撮像用のコイルとして確定する操作を操作者から受け付けた場合には、その時点で選択されている要素コイルを撮像用コイル設定部17cに通知する。
【0067】
撮像用コイル設定部17cは、コイル位置算出部17aによって算出された受信コイルの代表位置に基づいて、複数の要素コイルの中から撮像に用いる要素コイルを設定する。具体的には、撮像用コイル設定部17cは、操作者によって選択された要素コイルがコイル表示制御部17bから通知されると、その要素コイルを受信部9に通知することで、通知された要素コイルを撮像に用いる要素コイルとして設定する。
【0068】
なお、ここでは、撮像用コイル設定部17cが、コイル表示制御部17bから要素コイルが通知された時点で、通知された要素コイルを撮像用の要素コイルとして設定する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、撮像用コイル設定部17cが、コイル位置算出部17aによって各受信コイルの代表位置が算出された時点で、算出された代表位置に基づいて、磁場中心に重なる要素コイルを特定し、その要素コイルを撮像用の要素コイルとして設定するようにしてもよい。
【0069】
次に、本実施例に係るMRI装置100による撮像の流れについて説明する。図9Aおよび9Bは、本実施例に係るMRI装置100による撮像の流れを示すフローチャートである。
【0070】
図9Aおよび9Bに示すように、本実施例では、入力部16を介して、操作者によって要素コイルの有効範囲が設定されたのちに(ステップS101,Yes)、位置決め画像の撮像を開始するよう指示されると(ステップS102,Yes)、制御部17が、コイル位置計測用の撮像条件に基づいて傾斜磁場電源3や送信部7などを制御することでデータを収集し、データ処理部13が、コイル位置決め用のプロファイルデータを生成する(ステップS103)。
【0071】
続いて、コイル位置算出部17aが、データ処理部13によって生成されたプロファイルデータに基づいて、受信コイルごとに代表位置を算出する(ステップS104)。さらに、コイル位置算出部17aは、算出した代表位置を天板4aに対する相対座標に変換し(ステップS105)、相対座標に変換した代表位置を含む計測結果情報を計測結果情報記憶部14cに保存する(ステップS106)。
【0072】
その後、コイル表示制御部17bが、計測結果情報記憶部14cに格納されている計測結果情報を参照して、各受信コイルの代表位置を表示部15に表示させ(ステップS107)、さらに、磁場中心を表示させる(ステップS108)。続いて、コイル表示制御部17bは、操作者によって設定された有効範囲内の要素コイルを選択し(ステップS109)、選択した要素コイルを強調表示する(ステップS110)。
【0073】
その後、操作者によって要素コイルが新たに選択された場合には(ステップS111,Yes)、コイル表示制御部17bは、操作者によって選択された要素コイルを強調表示する(ステップS110)。一方、操作者によって新たに要素コイルが選択されずに(ステップS111,No)、コイル表示制御部17bは、天板4aが移動されたか否かを確認する。ここで、天板4aが移動された場合には(ステップS112、Yes)、コイル表示制御部17bは、天板4aの移動量に基づいて磁場中心を表示しなおし、それにともなって、有効範囲内の要素コイルを強調表示する。
【0074】
一方、天板が移動されずに(ステップS112,No)、操作者によって要素コイルを確定するよう指示された場合には(ステップS113,Yes)、撮像用コイル設定部17cが、その時点で選択されている要素コイルを撮像用の要素コイルとして設定する(ステップS114)。
【0075】
その後、制御部17が、傾斜磁場電源3や送信部7などを制御することで位置決め画像用のデータを収集し(ステップS115)、データ処理部13が、収集されたデータから位置決め画像を再構成する(ステップS116)。
【0076】
そして、位置決め画像に対するFOV(Field Of View)の設定を含む撮像条件を操作者から受け付けたのちに(ステップS117)、本撮像を開始するよう指示されると(ステップS118,Yes)、制御部17が、設定された撮像条件に基づいて傾斜磁場電源3や送信部7などを制御することで本撮像用のデータを収集し(ステップS119)、データ処理部13が、収集されたデータから本撮像の画像を再構成する(ステップS120)。
【0077】
上述してきたように、本実施例では、コイル位置情報記憶部14aが、受信コイル8a〜8eに設定された代表位置を基準にした複数の要素コイルの物理的な位置を示すコイル位置情報を記憶する。また、データ処理部13が、複数の要素コイルそれぞれによって受信されたNMR信号に基づいて、要素コイルの配列方向におけるNMR信号の分布を示すプロファイルデータを要素コイルごとに生成する。そして、コイル位置算出部17aが、コイル位置情報記憶部14aによって記憶されているコイル位置情報とデータ処理部13によって生成されたプロファイルデータとを用いて回帰分析を行うことで、受信コイルの代表位置を算出する。また、コイル表示制御部17bが、コイル位置算出部17aによって算出された受信コイルの代表位置に基づいて、複数の要素コイルの位置を表示部15に表示させる。また、撮像用コイル設定部17cが、コイル位置算出部17aによって算出された受信コイルの代表位置に基づいて、複数の要素コイルの中から撮像に用いる要素コイルを設定する。したがって、本実施例によれば、受信コイルが有する要素コイルの位置を精度よく計測したうえで、撮像用の要素コイルを容易に設定することができる。
【0078】
また、本実施例では、コイル位置算出部17aが、複数の受信コイルについて代表位置を算出する場合について説明した。しかし、例えば、複数の受信コイルが並べられて用いられる場合に、NMR信号を受信しない受信コイルが存在することもある。図10は、NMR信号を受信しない受信コイルが存在する場合を説明するための図である。図10に示す例では、受信コイル8eおよび8cが静磁場磁石1の外側に位置している。この場合、受信コイル8eおよび8cはNMR信号を受信することができない。したがって、受信コイル8eおよび8cについては、データ処理部13によってプロファイルデータが生成されない。
【0079】
また、各要素コイルによって受信される信号の中には、信号値が小さいノイズ信号が含まれる場合もある。このようなノイズ信号は、要素コイルの配列方向における信号値の差が小さくなるので、NMR信号の信号値がピークとなる位置(または、NMR信号の信号値の分布における重心位置)の信頼度が低くなる。例えば、図4に示した5つのプロファイルデータのうち、「ch5」のプロファイルデータについては、他のプロファイルデータに比べてNMR信号が弱い。したがって、「ch5」に対応する受信コイルについては、代表位置を正確に計測することができない。
【0080】
そこで、例えば、コイル位置算出部17aが、データ処理部13によって生成されたプロファイルデータのうち信号値が所定の閾値を超えるNMR信号のみを用いて、受信コイルの代表位置の位置を算出するようにしてもよい。図11は、所定の閾値を超えるNMR信号のみを用いて代表位置の位置を算出する場合を説明するための図である。この図11は、図4に示したプロファイルデータを示している。図11に示すように、例えば、コイル位置算出部17aは、ピーク時の信号値が最も大きい「ch1」のNMR信号における最大信号値の20%を閾値Sとして設定する。この場合には、コイル位置算出部17aは、最大信号値が閾値S未満である「ch5」のプロファイルデータについては、代表位置の位置を算出する処理の対象外とする。
【0081】
このように、コイル位置算出部17aが、プロファイルデータのうち信号値が所定の閾値を超えるNMR信号のみを用いることで、受信コイル8a〜8eが有する各要素コイルによって受信されたNMR信号の中からノイズとしてみなされる信号が除外される。したがって、信頼度が高い信号のみを用いて受信コイルの代表位置の位置が算出されるので、さらに精度よく要素コイルの位置を計測することができるようになる。
【0082】
また、一般的に、傾斜磁場は、磁場中心を中心とした所定の範囲内では直線性が保たれるが、その範囲を超えた場合には磁場中心から離れるにつれて磁場の傾きが徐々に小さくなるように変化する。そのため、傾斜磁場の直線性が変化する範囲で収集されたNMR信号は、信号値の信頼度が低くなる。そこで、例えば、プロファイルデータのうち傾斜磁場の直線性が保たれる範囲内で収集されたNMR信号のみを用いるようにしてもよい。
【0083】
例えば、図11に示すプロファイルデータにおいて、横軸に示す−300〜300の範囲Lにおいて、傾斜磁場の直線性が所定の許容範囲内で保たれているとする。この場合には、コイル位置算出部17aは、NMR信号の信号値がピークとなる位置(または、NMR信号の信号値の分布における重心位置)が範囲L内に入るNMR信号のみを用いて、受信コイルの代表位置の位置を算出する。すなわち、図11に示す例では、コイル位置算出部17aは、「ch1」、「ch2」、「ch3」のNMR信号のみを用いて、受信コイルの代表位置の位置を算出する。
【0084】
このように、コイル位置算出部17aが、プロファイルデータのうち傾斜磁場の直線性が保たれる範囲内で収集されたNMR信号のみを用いて、受信コイルの代表位置の位置を算出することで、より正確に要素コイルの位置を計測することができるようになる。
【0085】
または、コイル位置算出部17aは、所定のフィッティング関数との相関性があるプロファイルデータのみを用いて、受信コイルの代表位置を算出するようにしてもよい。
【0086】
そして、ここで説明したように、所定の条件を満たすNMR信号のみを用いて代表位置を算出するようにした場合には、例えば、コイル表示制御部17bが、代表位置が算出されなかった受信コイルについては表示部15に表示させないようにしてもよい。
【0087】
図12は、代表位置が算出されなかった受信コイルを表示しない場合を説明するための図である。例えば、受信コイル8eおよび8cについて代表位置が算出されなかった場合には、コイル表示制御部17bは、図12に示すように、受信コイル8eおよび8cについては表示部15に表示させないようにする。
【0088】
すなわち、ここで説明した例では、データ処理部13は、受信コイル8a〜8eが有する複数の要素コイルそれぞれによって受信されたNMR信号に基づいて、要素コイルが配列された方向を示すコイル配列方向におけるNMR信号の分布を示すプロファイルデータを要素コイルごとに生成する。また、コイル位置算出部17aは、データ処理部13によって生成されたプロファイルデータのうち所定の条件を満たすNMR信号のみを用いて、各受信コイルに設定された代表位置の位置を算出する。そして、コイル表示制御部17bは、コイル位置算出部17aによって算出された代表値の位置に基づいて、受信コイル8a〜8eのうち代表値が算出された受信コイルの位置のみを表示部15に表示させる。
【0089】
このように、複数の要素コイルによってNMR信号が受信される場合に、所定の条件を満たすNMR信号のみを用いて受信コイルの代表位置の位置を算出することで、要素コイルの位置をより精度よく計測することができるようになる。また、代表値が算出された受信コイルのみが表示部15に表示されるので、代表位置の位置が正確に求められた受信コイルのみを操作者に示すことができる。
【0090】
なお、本実施例では、コイル位置算出部17aが、要素コイルの物理的な位置を示すコイル位置情報と、要素コイルの配列方向におけるNMR信号の分布を示すプロファイルデータとを用いて、受信コイル8a〜8eそれぞれの代表位置を算出する場合について説明した。しかし、例えば、誤差等によって、隣接する受信コイルについて、それぞれの受信コイルが重なるように代表位置が算出される場合もあり得る。
【0091】
そこで、例えば、受信コイルごとに代表位置を算出したうえで、各受信コイルの外寸に基づいて、隣接する受信コイルが重ならないように、算出した代表位置を補正するようにしてもよい。その場合、コイル位置算出部17aは、受信コイルごとに代表位置を算出したうえで、コイル位置情報記憶部14aに記憶されているコイル位置情報に含まれる各受信コイルの外寸に基づいて、隣接する受信コイルが重ならないように代表位置を補正する。
【0092】
例えば、コイル位置算出部17aは、複数の受信コイルについて代表位置の位置を算出した結果、所定量以上重なる受信コイルがあった場合に、コイル位置情報記憶部14aに記憶されているコイル位置情報に含まれる受信コイルの外寸に基づいて、重なった受信コイルの代表位置を最短間隔分離した位置に補正する。
【0093】
例えば、受信コイルの種類によっては、他の受信コイルと隣接して配置される際に、受信コイルの一部が他の受信コイルの一部に重ねられて配置されるものもある。そこで、コイル位置算出部17aは、このような受信コイルが用いられる場合も想定し、隣接する受信コイルの重なり量が所定量以上であった場合に、それらの受信コイルが重なっていると判定する。すなわち、隣接する受信コイルが全く重なっていないか、又は、重なっていた場合でも重なり量が許容範囲内であれば、それらの受信コイルは重なっていないと判定される。
【0094】
図13A〜13Dは、隣接する受信コイルが重ならないように代表位置を補正する場合を説明するための図である。例えば、図13Aに示すように、それぞれ腹部用のコイルである受信コイル8dと受信コイル8eとが隣接して配置されていたとする。そして、コイル位置算出部17aが代表位置を算出した結果、図13Bに示すように、受信コイル8dと受信コイル8eとの位置関係が重なるように代表位置が算出されたとする。
【0095】
その場合、コイル位置算出部17aは、コイル位置情報記憶部14aに記憶されているコイル位置情報を参照して、受信コイル8dおよび受信コイル8eそれぞれの外寸を取得する。その後、コイル位置算出部17aは、取得した外寸から、それぞれの受信コイルを重ならないように配置するための受信コイルの代表位置のずらし量を算出する。そして、コイル位置算出部17aは、算出したずらし量だけ、一方の受信コイルの代表位置を他方の受信コイルから離れる方向へずらすように補正する。
【0096】
このとき、例えば、コイル位置算出部17aは、コイル位置情報記憶部14aに記憶されているコイル位置情報において、いずれか一方の受信コイルの位置が固定であると設定されている場合には、その受信コイルの代表位置は補正せずに、その受信コイルから離れる方向へずらすように、他方の受信コイルの代表位置のみを補正する。
【0097】
または、代表位置の計測を複数回に分けて行うような場合には、一方の受信コイルが先に計測済みであった場合には、後で計測した受信コイルの代表位置を補正するようにしてもよい。例えば、図13Bに示す例において、受信コイル8dの代表位置が先に計測済みであった場合には、コイル位置算出部17aは、図13Cに示すように、受信コイル8dから離れる方向へずらすように、受信コイル8eの代表位置を補正する。また、受信コイル8dおよび8eが同時に計測された場合には、コイル位置算出部17aは、磁場中心Mに近い受信コイルの位置を優先し、その位置を基準にして、磁場中心Mに近い受信コイルから離れる方向へずらすように、磁場中心Mから遠い方の受信コイルの代表位置を補正する。
【0098】
すなわち、コイル位置算出部17aは、重なった受信コイルの中に位置が固定である受信コイル、又は、代表位置が計測済みである受信コイルが含まれていた場合には、その受信コイルの代表位置を基準にして他の受信コイルの代表位置を補正する。また、コイル位置算出部17aは、重なった受信コイルのうち磁場中心から遠い方の受信コイルの代表位置を、磁場中心に近い方の受信コイルの代表位置から最短間隔分離した位置に補正する。
【0099】
例えば、頭部用コイルは、一般的に、天板に対する位置が固定される。そのため、例えば、位置計測において頭部用コイル及び脊椎用コイルの両方の代表位置が算出された場合には、頭部用コイルの代表位置の方が脊椎用コイルの代表位置よりも位置が正確であると考えられる。したがって、このような場合には、コイル位置算出部17aは、頭部用コイルの代表位置を基準にして、頭部用コイルの代表位置から所定の距離だけ離れた位置に脊椎用コイルの代表位置を補正する。
【0100】
また、例えば、2つの腹部用コイルが用いられる場合に、位置計測を行った結果、前述した閾値処理などによって、第1の腹部用コイルのみの代表位置が算出され、第2の腹部用コイルについては代表値が算出されなかったとする。そして、さらに、天板を移動させて位置計測を行った結果、第1の腹部用コイル及び第2の腹部用コイルの両方の代表位置が算出されたとする。このような場合には、2回目の位置計測において、コイル位置算出部17aは、代表位置が計測済みである第1の腹部用コイルの代表位置を基準にして、第2の腹部用コイルの代表位置を補正する。
【0101】
なお、コイル位置算出部17aは、上述した補正を行う際に、コイル位置情報記憶部14aに記憶されているコイル位置情報に含まれるグループによって、対象となる受信コイルが隣接するか否かを判定する。したがって、コイル位置情報には、隣接して配置される受信コイルについては同じグループとなるように設定しておく。例えば、図13Cおよび13Dに示すように、被検体の腹側で隣接する受信コイル8dおよび8eについては「グループβ」とし、被検体の背側で隣接する受信コイル8a、8bおよび8cについては「グループα」としておく。
【0102】
すなわち、複数の受信コイルは複数のグループに分類されており、コイル位置算出部17aは、グループの単位で、重なった受信コイルの代表位置を補正する。これにより、例えば、腹部用コイルと脊椎用コイルなど、別のグループに属する受信コイルについては重なりが許容され、各受信コイルの代表位置は補正されない。一方、腹部用コイル同士または脊椎用コイル同士など、同じグループに属する受信コイルについては、所定量以上重なっていた場合に、各受信コイルの代表値が補正される。
【0103】
このように、コイル位置情報記憶部14aが、受信コイルの外寸をコイル位置情報に含めて記憶しておき、コイル位置算出部17aが、受信コイルごとに代表位置を算出したうえで、コイル位置情報記憶部14aによって記憶されているコイル位置情報に基づいて、各受信コイルが重ならないように、算出した代表位置を補正することによって、隣接して配置される複数の受信コイルを有する場合でも、要素コイルの位置を適切に計測することができるようになる。
【0104】
また、本実施例では、受信部9が、複数の要素コイルから出力されるNMR信号を受信するための複数の受信チャンネルを有する場合について説明した。しかし、例えば、撮像に用いられる受信コイルが多い場合には、要素コイルの数が受信チャンネルの数より多い場合もある。その場合には、1回のデータ収集で全ての要素コイルからNMR信号を受信することができない。
【0105】
そこで、例えば、データ処理部13が、要素コイルの数が受信チャンネルの数より多い場合には、受信チャンネルの数と同数または受信チャンネルの数より少ない数の要素コイルを用いて複数回に分けてプロファイルデータを生成し、コイル位置算出部17aが、データ処理部13によってプロファイルデータが作成されるごとに、受信コイルの代表位置を算出するようにしてもよい。
【0106】
図14は、要素コイルの数が受信チャンネルの数より多い場合を説明するための図である。例えば、図14に示すように、受信コイル8bが要素コイルE1〜E4を有し、受信コイル8cが要素コイルE5〜E8を有し、受信コイル8dが要素コイルE9〜E12を有し、受信コイル8eが要素コイルE13〜E16を有し、受信コイル8aが要素コイルE17〜E18を有していたとする。この場合、要素コイルの総数は18個となる。そして、例えば、受信部9が有する受信チャンネルの数が8であったとする。
【0107】
この場合には、データ処理部13は、例えば、8個、8個、2個の要素コイルをそれぞれ用いて3回に分けて受信されたNMR信号から、それぞれプロファイルデータを生成する。そして、コイル位置算出部17aは、データ処理部13によって全てのプロファイルデータが作成されたのちに各受信コイルの代表位置を算出する。
【0108】
このように、データ処理部13が、要素コイルの数が受信チャンネルの数より多い場合には、受信チャンネルの数と同数または受信チャンネルの数より少ない数の要素コイルを用いて複数回に分けてプロファイルデータを生成し、コイル位置算出部17aが、データ処理部13によって全てのプロファイルデータが作成されたのちに各受信コイルの代表位置を算出することによって、要素コイルの数が受信チャンネルの数より多い場合でも、各受信コイルの位置を精度よく計測することができるようになる。
【符号の説明】
【0109】
100 MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)
1 静磁場磁石
2 傾斜磁場コイル
3 傾斜磁場電源
4 寝台
4a 天板
5 寝台制御部
6 送信コイル
7 送信部
8a〜8e 受信コイル
9 受信部
10 計算機システム
11 インタフェース部
12 データ収集部
13 データ処理部
14 記憶部
14a コイル位置情報記憶部
14b プロファイルデータ記憶部
14c 計測結果情報記憶部
15 表示部
16 入力部
17 制御部
17a コイル位置算出部
17b コイル表示制御部
17c 撮像用コイル設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から発せられた磁気共鳴信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルが配列された受信コイルと、
前記受信コイルに設定された代表位置を基準にした前記要素コイルの物理的な位置を示すコイル位置情報を要素コイルごとに記憶する記憶部と、
前記複数の要素コイルそれぞれによって受信された磁気共鳴信号に基づいて、前記要素コイルが配列された方向を示すコイル配列方向における前記磁気共鳴信号の分布を示すプロファイルデータを前記要素コイルごとに生成する生成部と、
前記コイル位置情報と前記プロファイルデータとを用いて回帰分析を行うことで、前記受信コイルに設定された前記代表位置の前記コイル配列方向における位置を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記代表位置の位置に基づいて、前記複数の要素コイルの位置を表示部に表示させる制御部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記算出部は、最小二乗法を用いて前記回帰分析を行うことで、前記代表位置の位置を算出する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
隣接して配置される複数の前記受信コイルを有し、
前記記憶部は、前記受信コイルの外寸を前記コイル位置情報に含めてさらに記憶し、
前記算出部は、前記受信コイルごとに前記代表位置の位置を算出したうえで、算出した位置を前記コイル位置情報に基づいて補正する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記プロファイルデータのうち信号値が所定値以上である磁気共鳴信号のみを用いて前記代表位置の位置を算出する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記プロファイルデータのうち傾斜磁場の直線性が保たれる範囲内で収集された磁気共鳴信号のみを用いて前記代表位置の位置を算出する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記プロファイルデータのうち所定のフィッティング関数との相関性を有する磁気共鳴信号のみを用いて前記代表位置の位置を算出する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記要素コイルによって受信された磁気共鳴信号を複数の受信チャンネルを介して受信する受信部をさらに備え、
前記生成部は、前記要素コイルの数が前記受信チャンネルの数より多い場合には、前記受信チャンネルの数と同数または前記受信チャンネルの数より少ない数の要素コイルを用いて複数回に分けて受信された磁気共鳴信号に基づいて、それぞれプロファイルデータを生成し、
前記算出部は、前記生成部によって全てのプロファイルデータが作成されたのちに前記受信コイルの代表位置を算出する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記複数の受信コイルについて前記代表位置の位置を算出した結果、所定量以上重なる受信コイルがあった場合に、前記コイル位置情報に含まれる前記受信コイルの外寸に基づいて、重なった受信コイルの代表位置を最短間隔分離した位置に補正する、
請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記重なった受信コイルの中に位置が固定である受信コイル又は代表位置が計測済みである受信コイルが含まれていた場合には、当該受信コイルの代表位置を基準にして、他の受信コイルの代表位置を補正する、
請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記算出部は、前記重なった受信コイルのうち磁場中心から遠い方の受信コイルの代表位置を、磁場中心に近い方の受信コイルの代表位置から前記最短間隔分離した位置に補正する、
請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記複数の受信コイルは複数のグループに分類されており、
前記算出部は、前記グループの単位で、前記重なった受信コイルの代表位置を補正する、
請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
被検体から発せられた磁気共鳴信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルが配列された受信コイルと、
前記受信コイルに設定された代表位置を基準にした前記要素コイルの物理的な位置を示すコイル位置情報を要素コイルごとに記憶する記憶部と、
前記複数の要素コイルそれぞれによって受信された磁気共鳴信号に基づいて、前記要素コイルが配列された方向を示すコイル配列方向における前記磁気共鳴信号の分布を示すプロファイルデータを前記要素コイルごとに生成する生成部と、
前記コイル位置情報と前記プロファイルデータとを用いて回帰分析を行うことで、前記受信コイルに設定された前記代表位置の前記コイル配列方向における位置を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記代表位置の位置に基づいて、前記複数の要素コイルの中から撮像に用いる要素コイルを設定する設定部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記算出部は、最小二乗法を用いて前記回帰分析を行うことで、前記代表位置の位置を算出する、
請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
隣接して配置される複数の前記受信コイルを有し、
前記記憶部は、前記受信コイルの外寸を前記コイル位置情報に含めてさらに記憶し、
前記算出部は、前記受信コイルごとに前記代表位置の位置を算出したうえで、算出した位置を前記コイル位置情報に基づいて補正する、
請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項15】
前記算出部は、前記プロファイルデータのうち信号値が所定値以上である磁気共鳴信号のみを用いて前記代表位置の位置を算出する、
請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項16】
前記算出部は、前記プロファイルデータのうち傾斜磁場の直線性が保たれる範囲内で収集された磁気共鳴信号のみを用いて前記代表位置の位置を算出する、
請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項17】
前記算出部は、前記プロファイルデータのうち所定のフィッティング関数との相関性を有する磁気共鳴信号のみを用いて前記代表位置の位置を算出する、
請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項18】
前記要素コイルによって受信された磁気共鳴信号を複数の受信チャンネルを介して受信する受信部をさらに備え、
前記生成部は、前記要素コイルの数が前記受信チャンネルの数より多い場合には、前記受信チャンネルの数と同数または前記受信チャンネルの数より少ない数の要素コイルを用いて複数回に分けて受信された磁気共鳴信号に基づいて、それぞれプロファイルデータを生成し、
前記算出部は、前記生成部によって全てのプロファイルデータが作成されたのちに前記受信コイルの代表位置を算出する、
請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項19】
被検体から発せられた磁気共鳴信号を受信する複数の要素コイルをそれぞれ有する複数の受信コイルと、
前記複数の要素コイルそれぞれによって受信された磁気共鳴信号に基づいて、前記要素コイルが配列された方向を示すコイル配列方向における前記磁気共鳴信号の分布を示すプロファイルデータを前記要素コイルごとに生成する生成部と、
前記プロファイルデータに基づいて、前記受信コイルに設定された前記代表位置の前記コイル配列方向における位置を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記代表位置の位置に基づいて、前記複数の受信コイルのうち前記代表値の位置が算出された受信コイルの位置のみを表示部に表示させる制御部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項20】
隣接して配置される複数の前記受信コイルを有し、
前記記憶部は、前記受信コイルの外寸を前記コイル位置情報に含めてさらに記憶し、
前記算出部は、前記受信コイルごとに前記代表位置の位置を算出したうえで、算出した位置を前記コイル位置情報に基づいて補正する、
請求項19に記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−259777(P2010−259777A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59789(P2010−59789)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】