説明

移動プラットフォーム上のセンサーの安定化システム

安定化場センサー装置は、運動ノイズを低減して、場データ、特に磁場データを収集する。装置は、滴形状の筐体と、筐体内の牽引フレームと、フレーム周囲に間隔をあけて配置された複数の振動分離ダンパーと、ダンパーに取り付けられたベース・アセンブリと、ベース・アセンブリに固定された底端部および上側自由端部を有する支持台座と、前記台座の前記上側の自由な端部に接続された単一球状空気軸受と、1点支持のために空気軸受で支持された上部内側頂点を有する下側中空漏斗形状の計器プラットフォームと、旋回および回転安定性を保持するための1次および2次ジャイロ安定器と、ベース・アセンブリから、牽引フレームから、および筐体からの振動、旋回、および回転を含む運動ノイズに対して平衡化されている間、場データを収集するために計器プラットフォームに取り付けられた少なくとも1つの場センサーとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、センサー・サポートの分野に関し、特に、運動ノイズに影響を受けることなく、1Hzから25Hzの帯域幅における独自の低周波磁気測定を含む、ブロードバンド・ベクトル磁場データの連続収集を容易にする新しく有用な磁力計安定化デバイスに関する。本発明は、特に、航空、陸上、または水上の車両から能動または受動電磁技法を使用する鉱物資源探査に有用である。
【背景技術】
【0002】
本発明により対処される課題は、航空機(バード、無人飛行機、ゾンデと呼ばれることも多い)により牽引される可搬型筐体に搭載されたセンサー、もしくは陸上または水上車両に搭載されたセンサーによる、1Hzから10kHzを超える周波数範囲の経時変化磁場の連続ベクトル測定である。対象となる磁場は、地球を流れるそれらの周波数の電流による電磁誘導(EMI:electromagnetic induction)の結果作り出される。それらは、送信機およびアンテナ(制御信号源システム)からの「1次(Primary)」磁気信号、または地球の電離層で生成または反射された自然の経時変化地球磁場(受動または自然界磁システム)のいずれかによりそこに誘導される。それらの誘導された場は、地球に保有される安定した地球磁場と比較すると、極めて弱い。静止プラットフォーム上で、弱い経時変化の成分は、強い地球磁場と容易に区別されるが、移動プラットフォーム上では、安定した場のベクトル・センサーの回転運動が、電磁誘導により生成された経時変化の場と区別がつかないこともあるセンサー出力の変動を生み出すことになる。回転に起因するセンサー出力の部分は、厳密には、たとえそれを引き起こしているのが回転であって、センサーの直線加速度ではないとしても、総称的に「運動ノイズ(motion noise)」と呼ばれる。
【0003】
EMIを活用して地球の増強導電率のゾーン(「伝導体(Conductor)」)を検出して、観測される磁場を通る地球の導電性の経時変化特性(「分極率(Polarizability)」)を特徴付けるさまざまなデバイスが、物理探査に採用されてきた。そのようなEMI測定は多くの場合、鉱物および石油鉱床、地下の岩質および構造変動、帯水層および混成プルーム、ならびにフェンス、パイプライン、兵器、および貴金属のような人工物体の診断である。多くのEMI地球物理学システムの一般的な特性は、弱い、経時変化の磁場を測定する必要性であり、多くが、各々異なる方向(多くの場合直交)の場の成分に敏感な3つのセンサーのセットを採用して、完全な経時変化の磁場ベクトルを再構築する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が克服をめざして設計される課題は、磁気センサーが、地球の安定または低い周波数場を移動する筐体に固定されるあらゆる場合において生じる。直線加速度は問題ではないが、センサーの回転加速度は、センサーが固定の配向で保持されていた場合に得られるであろう信号に加わる経時変化信号を作り出す。本発明は航空機から牽引される筐体に配置されることが意図されるが、静的背景場が常に存在するので、これはベクトル成分磁場データが任意の移動車両から取得されるあらゆる状況において有用となりうる。そのような車両は、宇宙船、航空機、地上および地下車両、海上および潜水車両、またはそのような車両から牽引されるかまたはそのような車両に取り付けられた任意の受動または能動無人飛行機またはプラットフォームを含む。本発明はまた、回転運動が、それ以外の場合振動のような効果によりもたらされうるか、または磁場が、1台の機械装置のような移動部で測定されるべきである固定された場所における磁場センサーにも適用する。
【0005】
多くのセンサー技術は、磁場の敏感な連続測定に使用可能である。EMI測定システムの使用に最も適したものは、場合によっては地球の地球磁場のような長期的に安定した場成分を含む(含まない)こともある、周波数の指定された範囲にわたり磁場の1つの空間成分を記録するベクトル・センサーである。磁力計またはセンサーという用語は、場合によっては本質的に安定した地球磁場の測定に適した計器のみを意味するように適用されること、および経時変化場を検知するための磁力計がコイルの電磁誘導を利用することが多いので、磁力計と呼ばれないこともあるという事実にもかかわらず、後段において、任意のこれらのセンサー・タイプについて、磁力計またはセンサーという用語を使用するものとする。
【0006】
本明細書で検討される本発明において、センサー・システムの筐体は通常、測線に沿って航空機の背後または下に牽引される。このように牽引される既存の最新技術デバイスにおいて、センサーは、受動減衰サスペンション上でそれらの筐体内に支持される。それらのサスペンション内の減衰力および復元力は、回転ノイズを低減し、しかも筐体に関してセンサーの配向を概ね保持するという、競合する役割を有しており、それらのサスペンションの調整は2つの役割の妥協を表す。25Hzを大幅に下回る周波数において、そのようなサスペンションは、有用なEMI測定を許容するのに十分な回転の分離をもたらすことはない。したがって、既存のシステムを使用して、25Hzを大幅に下回るように動作周波数を下げる試みは、結果として許容しがたいノイズ・レベルをもたらした。
【0007】
本開示の後半で説明されるように、本発明では、直線および回転加速度を低減するために極めて標準的な外部信号分離システムを使用するが、これに基本的に減衰力または復元力を伴わない回転分離のための内部システムを加えて、従来技術にまさる新しい有利かつ意外な利点を生み出す。
【0008】
受動および能動ジャイロスコープの方法、低摩擦で高バランスのジンバル、および球状軸受を含め、あらゆる種類の回転安定化計器プラットフォーム(rotationally−stabilized instrument platform)を支援するために適用されてきた多数の方法がある。空中地球物理学において、ジャイロ安定化プラットフォームは、空中重力および重力傾度の測定に使用されてきたので、それらの技術に対して別個の特許が存在する。しかし、それらのシステムは、回転加速度ではなく、直線加速度を除去することに重点を置いている。EMI測定の場合、より問題となるのは回転加速度である。内部分離システムは、不減衰の1点サスペンション、動的平衡化、および慣性ジャイロスコープ安定化という3つの独立した技法を組み合わせることによってそれらを除去することに重点を置く。
【0009】
方向安定化の問題は、移動プラットフォームに搭載されたカメラが、画像を使用に適さないものにしてしまう不要な回転の影響を受ける可能性もある、映画業界に共通の問題である。本発明は、映画業界により開発されたジャイロ安定化の基本技法を採り入れる。しかし、映画業界で使用される安定化の方法は、厳密には十分ではなく、また我々の目的にとっては問題もある。
【0010】
したがって、技法は、2つの主な方法で詳細化される。第1に、安定化は、搬送するアセンブリが均衡を保たれる搭載および手段の設計により有用なEMI測定に必要なノイズ・レベルを達成するために、より正確に行われる。第2に、超高感度の磁気センサーへの電磁気的にノイズの多い映画の安定化機器の影響を最小化するために、追加の磁気遮蔽技法が採用される。
【0011】
加えて、浮遊、空気軸受、バンジー・サスペンション、スプリングと緩衝器の組み合わせ、および能動的信号補償の方式を含む、よく知られた直線運動分離技術がある。直線運動分離はまた、不十分な均衡状態の計器プラットフォームへのそれらの直線加速度の適用の結果生じるプラットフォームへのトルクを低減することにより、回転安定性を向上させることもできる。同様に、回転安定性は、プラットフォームの均衡を改善することによりさらに増強される。
【0012】
本明細書において検討される本発明は、本開示の後半で明らかとなる少なくとも3つの方法において既存のデバイスとは異なる。第1に、この回転分離ソリューションにおいて、本発明は、既存のシステムに使用される復元力および減衰を不要にする。代わりに、センサーは、単一の球状空気軸受に自由に浮かぶことができるようにされる堅固な計器プラットフォームに固定される。したがって、アセンブリは、回転の正確な中心の周囲を任意の方向に自由に回転することができ、たとえプラットフォームの筐体がその下で回転する場合であっても、地球の静的背景場に関してその配向を保持することができる。この手法は、サスペンションが操作のその機械的範囲内に保持されうる備えがある限り、筐体に関して計器パッケージの配向を保持することは重要ではないと認識する。独立したAHRS(attitude and heading recording)システムは、市販されており、筐体に関して、および地理的基準フレームに関してセンサーの方向を追跡するために本発明において使用される。既存の運動分離システムに内在する減衰摩擦および復元力を伴うことなく、本発明は、筐体の回転ジッタにより生じる低周波数ノイズを劇的に改善することができる。
【0013】
本明細書において検討される本発明が既存のデバイスとは異なる第2の方法は、計器プラットフォームの重心を回転のその中心に正確に保持する動的平衡化システムを組み入れることにより、計器プラットフォームの動的不均衡の問題に対処することである。このシステムは、固定の周波数における能動的なメンバの振動を使用して、各センサーの各振動器のアクションにより誘導される回転ノイズのレベルを評価する新奇な設計である。システムは、この情報を使用して、最小ノイズを達成するために、フィードバック・ループで平衡質量を調整する。
【0014】
本発明が既存のデバイスとは異なる第3の方法は、複数のジャイロ安定器(映画業界から採り入れられた)の追加により回転への追加の抵抗が組み入れられるようにし、しかもそのような電磁気的にノイズの多いデバイスを高感度のEMIセンサーに接近して使用する問題に対処することである。
【0015】
航空機からの電磁誘導の日常的な測定のための業界が存在する。この業界は、固定翼の航空機から操作するGeotem、Spectrem、およびTempestシステム、ならびにヘリコプターの下で牽引されるHeli−Geotem、VTEM(Morrisonらによる米国特許第7,157,914号を参照)、Aerotem、THEM、Skytem、およびDighemタイプ・システムを含む多数の商用制御信号源システムを提供してきた。これらはすべて、何らかの程度まで回転ノイズの問題の影響を受け、すべてが、何らかの復元力および減衰を使用する何らかの形態の受動センサー回転制御を採用する。それらのいずれもジャイロ安定化を使用しない。それらはいずれも、運動に誘発されるノイズが高すぎるので、25Hz未満の周波数では動作しない。
【0016】
受動(自然場)空中電磁測定は、低周波数における制御信号源システムと同じ運動誘発ノイズへの感受率の影響を受ける。これらは最初に、AFMAGシステムでWardにより行われた(Geophysics、Vol.XXIV、No.4(1959年10月)、761〜789頁)。近年では、受動測定は、Geotechによる、30〜6000Hzの周波数帯域で動作するZTEMシステムで行われた。Loらによる「Field Tests of Geotech’s Airborne AFMAG EM System」、AESC Conference、メルボルン、オーストラリア、2006年を参照されたい。VLF−EMは、多くの航空探査に一般的な受動EMシステムである。VFL−EMは、10kHz以上で動作する。VLF帯域において、航空機の方向はそれらの周波数において安定しているので、運動ノイズは重要ではない。
【0017】
Barringerによる米国特許第6,765,383号(2002年)では、牽引されるバードを使用して3Hzから480Hzの範囲で動作する空中地磁気地電流調査システムを説明する。Barringerのシステムが機能すると信じる地球物理学者はほとんどいなかった。そのシステムにおいて、磁場は、総合場磁力計、および3つの直交軸誘導コイルで測定される。感度が制限された標準的な商用角運動センサーは、バード運動を記録して、信号にコイルの方向の角度変化の補償をするために使用される。しかし、バードの運動は、コイルの運動から分離されなかった。同様にBarringerによる米国特許第7,002,349号(2006年)では、類似するウィングチップシステムを説明する。
【0018】
Zandeeによる米国特許第4,629,990号(1986年)は、制御信号源空中システムの送信機および受信機の相対位置を修正するための低周波数(30Hz未満)EM場の使用を説明するが、地球で誘導される電流に起因する電磁散乱を測定するための低周波数データを使用する可能性をあらかじめ考慮している。
【0019】
非電磁空中地球物理学測定は、慣性安定化プラットフォームから行われる。Sander GeophysicsのAirgrav空中重力システムは、3軸のSchuler調整慣性安定化プラットフォームから重力を測定する。van Leeuwenらによる米国特許第6,883,372号は、オーストラリア、メルボルンのBHP Billiton Innovation Pty Ld.の重力傾斜計における類似した技術を開示する。その他の空中重力/重力傾斜計システムは、Bell Geospace、Arkex、およびNew Resolution Geophysicsにより運用される。RTZにより開発された重力傾斜計は、Van Kannらによる米国特許第5,804,722号および第5,668,315号に説明される。
【0020】
異なる出願において、Abernathyによる米国特許第7,298,869号は、ジャイロ安定化空中マルチスペクトル地球画像システムを説明する。
【0021】
Van Sgteenwykらによる米国特許第6,816,788号は、試錐孔回転環境に使用する慣性安定化磁力計測定装置を説明する。この特許において、磁気および重力成分測定は、試錐孔において行われる。磁気センサーは、孔の軸に直角の磁界の成分を測定し、ジャイロスコープは、試錐孔軸の周囲の慣性角運動を検知するために使用される。ジャイロスコープの目的は、角回転データを測定するための慣性基準を提供することである。この慣性基準は、プローブの回転の測定を修正するため、またはセンサーに安定した方向を保持させる回転駆動メカニズムを制御する基準を提供するために使用される。類似する特許である、Van Steenwykらによる米国特許第6,651,496号は、回転情報がセンサーの方向を修正するために使用されうるように、試錐孔のプローブの回転情報を取得するためのジャイロスコープの使用を説明する。それらのいずれの場合においても、地球の静的磁場のみが測定され、地球を流れる経時変化の電流により生じた磁場は測定されなかった。
【0022】
オーストラリアのThe Broken Hill Proprietary Company Limited(BHP−2002年)に譲渡されたTurnerらによる米国特許第6,369,573号は、センサー回転を軽減する方法を使用する電磁探鉱に使用される牽引バードを開示する。この特許の目的は、現在の取り組みと類似するが、手法は復元力(スプリング)およびダンパー(流体)による受動分離の方法を使用する。このBHPデバイスは、2つの入れ子構造の球状シェルで構成される。液体は、内側シェルと外側シェルの間に含まれ、球体は支持ストリングが球体内の内部ポイントにロックするために突き出ている開口部を有する。ストリングは、一方の端が支持球体内の内部ポイントに接続され、もう一方の端がスプリングに接続されている。スプリングは、スプリングの運動を減衰するためのダンパーを含む。バッフルは、液体の運動を減衰するために、液体が含まれる内部シェルと外部シェルの間の空洞に配置される。
【0023】
Hendersonらによる米国特許第5,117,695号(1995年)は、減衰のために関連する概念を使用し、減衰流体を使用する加速度計のような単軸計器の保護のために設計されたアセンブリを採用する振動減衰の方法を説明する。
【0024】
その他の近年の電磁探鉱の特許は、磁力計により収集される磁束の量を増大させるために複数コアを使用するDupiusらに認められている(米国特許第7,375,529号を参照)。
【0025】
Jacksonは、65kHz〜12kHzの範囲で磁気抵抗型センサーを使用する受動地球物理探鉱装置である米国特許第7,397,417号(2008年)の発明を説明する。
【0026】
Klinkertの米国特許第6,244,534号は、送信機を収容するために操作姿勢制御面を備える流線型のバードを使用する航空探鉱システムを説明する。バードのピッチは、複数の牽引ロープによって制御されてもよく、受信機は同一バードまたは別個のバードのいずれにあってもよい。バードはオプションで、モーターおよび別個のプロペラを有する。
【0027】
Whittonらの公開米国特許出願第2003/0169045号は、剛体送信機ループおよび別個の剛体バッキングおよび受信機コイルアセンブリを使用することにより、オンタイム航空EM測定を測定する方法を説明する。彼らの発明は、受動減衰を採用する。
【0028】
内蔵式のジャイロスコープ安定器に対して、多くの特許が存在する。本明細書において説明される実施形態に使用されるデバイスは、Kenyon Laboratoriesにより製造され、Theodore Kenyonによる1957年の米国特許第2,811,042号に説明される原理に有効である。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、4つの主要な機械システム、圧搾空気、機械、電子、およびコンピューティング・デバイスを含む複数の補助システム、ならびにパフォーマンスを最適化するための複数のアルゴリズムで構成される。
【0030】
機械システム
本発明は4つの入れ子構造の結合された機械システムを使用する。システムは各々、機械的分離に関して異なる機能を有する。それらのシステムの最も内側は、センサーおよびデータ収集システムを備える回転安定化計器プラットフォームである。最も外側のシステムは、概ね滴形の形状の筐体である。その機能は、大気の要素から内部システムを保護し、1Hzを超える乱気流誘導の振動の最小を提示する牽引のための形状を提供することである。筐体は、その飛行特徴を整えるためにフィンのような制御表面を使用することもありうるが、それらは本発明の機能および新奇性にとって中心的なことではなく、図面から省略されている。
【0031】
筐体は、牽引フレームに結合される。牽引フレームは、最も内側の2つのシステムを備え、飛行中に筐体の仰角に変化が生じても、牽引フレームがその縦揺れ角度を保持できるようにする水平の回転可能軸を通じて筐体に結合される。牽引フレームの基本構造コンポーネントは、振動分離ダンパーのセットを通じてすべての内部システムを支持する概ね水平の円環である。ダンパーは、空力乱流から、および牽引ケーブルの緊張変化から内部システムに伝えられる振動を大幅に低減する。
【0032】
牽引フレームの内部は、ベース・アセンブリであり、これは振動ダンパーを通じて牽引フレームに取り付けられたバスケット形状の構造体である。ベース・アセンブリの目的は、計器プラットフォームを結合された2つの内部システムの重心が牽引フレームの円環の概ね中心に配置される位置に支持する単一旋回軸空気軸受に対して下から支持をもたらすことである。
【0033】
最も内側の構造体は、逆の漏斗の形状を有する計器プラットフォームである。これは、ベース・アセンブリに取り付けられた台座の上部に位置する単一の球状空気軸受を通じてベース・アセンブリに結合される。軸受は、実質的に無摩擦である。プラットフォームの高い慣性モーメント、および軸受の回転点を中心とするすべての3つの方向のそのほぼ完璧なバランスに補助されて、これは、ベース・アセンブリと計器プラットフォーム間の極めて高いレベルの回転分離をもたらす。これは、支持カラムを中心とする横揺れおよび縦揺れ方向に約25度の自由な移動が可能であり、偏揺れに完全な自由を有する。これは、外部に結び付ける電力、大気、またはその他の機械的接続がないので、完全に自由に浮くことができる。
【0034】
補助システム
圧搾空気−主要な空気軸受およびベース・アセンブリ上の多数の作動デバイスは、1平方インチあたり80〜100ポンド(36.32〜45.4kg)の圧力の圧縮空気で動作する。これらのシステムへの供給は、図面のいずれにも示されていない送気管である。送気管は、牽引車両またはその下から出ており、牽引ケーブルのピックアップ・ポイントとしての役割も果たす回転軸の1つを通じて筐体に入る。送気管は、牽引フレームからベース・アセンブリへと導かれ、振動ダンパーにより誘導される相対運動に対応できる十分な緩みをもたらしている。
【0035】
ジャイロ安定器−本発明は、計器プラットフォーム上に位置する3つのジャイロ安定器を含む。ジャイロ安定器は各々、磁気シールド内に各自のバッテリ・パックおよびインバータと共にパッケージされる。
【0036】
データ収集システム−本発明は、計器プラットフォーム上に位置する4チャネルのデータ収集システムを含む。システムは、3つのベクトル成分磁力計からのアナログ信号、およびGPSからのPPS(パルス/秒)信号を受け入れ、それらを牽引プラットフォームに位置する無線ルータに伝送する。データリンクは、牽引プラットフォームから牽引車両へとLANケーブルに沿っている。
【0037】
組み込み型コンピュータ−本発明は、計器プラットフォーム上に位置する組み込み型コンピュータを含む。これは、バランス質量の位置を制御すること、およびAHRSデバイスから牽引フレーム上に位置する無線ルータに無線でデータを伝送することの二重の役割を有している。
【0038】
動的平衡化システム
本発明は、以下のものを備える動的平衡化システムを含む。
【0039】
a) 直交に方向付けられ、空気軸受の直下でベース・アセンブリ上に位置する3つの線形振動器
b) 相互に直交するように方向付けられ、計器プラットフォーム上に位置する3つの線形アクチュエータ
c) バランス質量の位置を制御するため、フラックスゲート磁力計を組み入れるAHRSデバイスからデータを取得するため、および牽引フレーム上の無線ルータとの無線リンクを介して牽引車両内のPCと通信するための組み込み型コンピュータ
平衡化システムは、各々3つの振動方向の3つの固定周波数で人工振動を提供することにより機能する。1次センサーからの磁気データは、計器プラットフォームが完全に平衡状態ではない場合、それらの振動の動作を検知する。非線形最適化アルゴリズムは、牽引車両内のPCベースで動作し、計器プラットフォームの質量バランスを最適化するためにコマンドを組み込み型コンピュータに送信する。アルゴリズムは、プラットフォームの姿勢を概ね垂直方向に保持することで、横揺れおよび縦揺れのプラットフォームの限界に到達しないようにするため、バランスのわずかな偏りの保守を行う。
【0040】
本発明を特徴付ける新奇性のさまざまな特徴は、特に本開示に付属し、その一部を形成する特許請求の範囲により指摘される。本発明、その動作の利点、およびその使用により達成される固有の目的をより深く理解するため、添付の図面、および本発明の好ましい実施形態が示される説明事項に参照が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】本発明の好ましい実施形態による安定化システムを示す横断面図である。
【図1B】下にある構造が見えるように筐体を透明にした、図1Aの安定化システムを示す透視図である。
【図1C】図1Aに示される本発明の好ましい実施形態による牽引フレームを示す透視図である。
【図2A】図1Aに示される実施形態のベース・アセンブリを示す上面透視図である。
【図2B】ベース・アセンブリのベース・プレートの底部を示す図2Aのベース・アセンブリの底面透視図である。
【図2C】振動する圧搾空気3軸アクチュエータを示す図2Aおよび図2Bの支持台座の内部を示す概略図である。圧縮空気またはガスのソースは図示されていない。
【図3A】図1Aの実施形態における計器プラットフォームを示す透視図である。
【図3B】主場センサーの相対位置、および本発明の積層計器モジュールを示すためにプラットフォーム構造体が取り除かれた、計器プラットフォームのアクティブ部分を示す透視図である。
【図3C】本発明の2つの2次ジャイロ安定器モジュールの位置を示す計器プラットフォームのステム部分の部分透視図である。
【図3D】プラットフォームを示す側面図である。
【図3E】図3Dから円3Eで取り出した拡大詳細図である。
【図4A】1次ジャイロ安定器を含む積層計器モジュールを含む計器プラットフォームのステム部分を示す透視図である。
【図4B】ラジエータ・フィン、ラジエータ・プレート、およびミューメタル磁気シールドを示す積層計器モジュールの透視図である。
【図4C】ラジエータ・フィンおよびプレートが取り除かれて、露出したミュー磁気シールドを示す積層計器モジュールの透視図である。
【図5A】本発明の動的平衡化システムを示す概略図である。
【図5B】相互に直交する圧搾空気により課される台座の振動のスペクトル強度、および計器プラットフォームに搭載された3つの磁力計からの信号の結果として得られるスペクトル強度を示す図である。
【図5C】相互に直交する圧搾空気により課される台座の振動のスペクトル強度、および計器プラットフォームに搭載された3つの磁力計からの信号の結果として得られるスペクトル強度を示す図である。
【図6A】球状空気軸受の支持される半球体を示す上面図である。
【図6B】球状空気軸受を示す側断面図である。
【図6C】球状空気軸受アセンブリを示す透視分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の主な有用性
本発明は、複数のコンポーネント・システムを含む新しい空中バードである。バードは、その内部システムと共に、およびヘリコプターまたはその他の航空機から牽引される間、特に1Hzから25Hzの低周波数帯域を含む、広範な周波数にわたり3成分磁場データを測定する。本発明の主要な用途は、地球の増大導電率のゾーン(「伝導体(Conductor)」)を検出して、観測される磁場を通る地球の導電性の経時変化特性(「分極率(Polarization)」)を特徴付けるための物理探査におけるものである。これらの経時変化の磁場は、多くの場合、鉱物および石油鉱床、地下の岩質および構造変動、帯水層および混成プルーム、ならびにフェンス、パイプライン、兵器、および貴金属のような人工物体の診断である。
【0043】
本発明は、10Hz未満の周波数の十分に低いノイズで動作することにより、ユーザが、探鉱の目的のために周囲の地磁気信号の有効シューマン共振を利用できるようにする最初のデバイスである。本発明はまた、導電性表土の貫通および高い導電性の鉱床の識別の領域においてその他の空中システムにまさる重要な利点を提供する。設計はまた、誘導分極異常の日常的検出が可能な空中EMシステムの実現に向けた足がかりであると見なされる。
【0044】
本発明の装置は通常、受動および/または制御信号源EMIシステムを使用する空中、低周波数磁気探査のための航空機背後または下の測線に沿って牽引される。しかし、本明細書において説明されるように、装置は受信機のみであり、送信機またはアンテナの説明は含まない。しかし、説明される受信機システムは、単一航空機から牽引される制御信号源システムの受信機として機能するように適合されてもよく、1つの航空機が送信機を牽引して第2の航空機が受信機を牽引するタンデム型航空機構成で使用されても、または地上に位置する固定の送信機を使用する構成で使用されてもよい。
【0045】
加えて、本発明の装置はまた、さまざまな移動プラットフォーム上、またはプラットフォーム内に搭載されてもよい。たとえば、装置は、宇宙船、航空機、地上または地下の車両、船舶、ボート、いかだ、はしけ、ブイの上または内で、もしくは潜水艇内で使用されてもよい。
【0046】
本発明の装置は、計器プラットフォームの回転分離のための多数のさまざまな戦略を組み入れ、デバイスは複数の電磁感知タスクに使用されてもよい。しかし、それらのタスクのすべてが、回転分離に関して同程度の精度を必要とするわけではない。そのため、たとえば、ジャイロおよび動的平衡化システムを伴わず、空気軸受のみの使用で、システムと共に牽引される送信機から十分に磁気データが収集されるようにすることができることも判明する場合もあるが、この場合は捜索される信号が十分に大きいことに対して、実現可能な自然場データ(送信機なし)を収集することは平衡化およびジャイロが機能することを必要とし得るためである。
【0047】
デバイスは、独自の低周波数磁気測定のための磁力計の安定化をもたらすが、回転運動に対する、重量測定、受光(カメラ/望遠鏡)、レーザー・ポインティングのようなその他のデバイスの安定化に適用可能である。加えて、電磁送信機を安定化するために使用される場合、デバイスは送信信号が、送信側プラットフォームの姿勢の変動により変調されることを防ぐ。
【0048】
物理的説明
同一または類似する要素を説明するために同種の参照番号が使用されている図面を参照すると、図1Aおよび図1Bは、空中またはその他の車両磁力計およびその他の移動プラットフォームのための安定化システム10の好ましい実施形態を示す。図1Aから図1Cに示されるように、本発明の全「バード」すなわちゾンデ10は、運動ノイズを低減して電磁誘導(EMI)データを収集することを目的としている。装置は、空気力学的、たとえば、球状、好ましくは球体の前方部、尖った後端部、第1の前後水平軸22、および好ましくは筐体20およびその内容物の全重量が軸24を超えるよりもむしろ軸24を超えないように筐体20の中央水平軸の上側にある第2の左右水平軸24を有する滴形の形状の筐体20を備える。牽引フレーム30は、筐体20の球状端部に提供される。牽引フレーム30は、ベース・リング32、等間隔の位置でベース・リング32および周囲に各々反対端が接続された、2つの弓状、たとえば環状のバー34a、34bを有する。
【0049】
筐体20の第2の水平軸24上にある2つの水平車軸36a、36bは、バーの1つ34aの対向端から突き出ており、車軸は、ケーブルおよび2点ピックアップを用いて(図示せず)、たとえばヘリコプターのような車両に装置を取り付けるために、ベース・リング32の対向側から筐体20の球状部分の対向側まで通って突き出ている。車軸36aおよび36bは筐体20に枢転するように接続され、フレーム30は第2の水平軸24を中心に筐体20内のフレーム30の相対的回転が自由に行えるようなサイズおよび形状を有する。このようにして、装置10が航空車両により、その車軸36aおよび36bにより、引き上げられるとき、筐体20は、その尖った端部を下向きにして旋回する傾向があるが、概ね垂直な配向を保持することができる内部システムにトルクを加えることはない。車両が前方に移動し始めると、筐体20の周囲の気流は、尖った端部が筐体20の垂下端になるまで持ち上げる傾向がある。球状端部を前方に備える滴形状の筐体20は、最も内部体積が大きい最も空気力学的形状を有することが判明し、その理由により筐体形状に選択されたが、その他の空気力学的形状が使用されてもよい。
【0050】
図1Aおよび図1Bにおいて最良に示されるように、振動分離ダンパー40の2つのペアは各々、バー34aおよび34bの1つに接続され、牽引フレーム30の周囲に間隔をあけて配置されて、各々のダンパーのペアは牽引フレーム30の垂直および水平振動の減衰に効果的である。ベース・アセンブリ50は、振動分離ダンパー40に取り付けられ、牽引フレーム30が筐体20の第2の水平軸24の周囲を旋回するとき、筐体20内のベース・アセンブリ50が自由に移動できるよう、少なくとも部分的に牽引フレーム30内に、および完全に筐体20の球状部分内に配置される。それにより、筐体20およびフレーム30の垂直および水平振動は、ベース・アセンブリ50に到達する前にダンパー40によって抑制される。
【0051】
図2Aおよび図2Bに示されるように、支持台座54は、ベース・アセンブリ50の底部付近でベース・アセンブリ50に固定された底端部を有し、支持台座54は、ベース・アセンブリ50内を上方へ、および牽引フレーム30内へと延び、牽引フレーム30を中心とする上側の自由な端部を有する。後段で図6Aから図6Cを参照してさらに詳細に開示される単一球状空気軸受55は、台座54の上側自由端部に接続される。相互に対して直角に、つまりそれぞれX、Y、およびZ方向に方向付けられた、図2Cの3つの線形圧搾空気振動器V、すなわち図5AのV1、V2、およびV3を備えるモジュールは、図2Cに示されるように台座54内に含まれる。図1Aおよび図3Aに示されるように、上部内側頂点を備える下側中空円錐部分72を有する計器プラットフォーム70は、球状空気軸受55に係合されて支持される。計器プラットフォーム70はまた、頂点の上で、牽引フレーム30へと、円錐部分72の上方に延びる上部ステム71を有する。計器プラットフォームの中心軸75は、円錐部分72およびステム71を通って延びる。空気軸受55は、「旋回(pivotal rotation)」または「横揺れおよび縦揺れ(roll and pitch)」と呼ばれる計器プラットフォーム軸75方向の回転、および「自転(rotation)」または「偏揺れ(yaw)」と呼ばれる自身の軸75を中心とするプラットフォームの回転に実質的に無摩擦の回転をもたらす。
【0052】
1次ジャイロ安定器91は、図4Aに示されるように計器プラットフォーム70のステム71内に取り付けられる。1次ジャイロ安定器91は、少なくとも、好ましくは約20度である計器プラットフォーム70の旋回範囲内で、および約10度から30度の範囲で、筐体20の変化する配向にかかわりなく軸75の固定された絶対配向を保持するために、中心軸75上に配置される。縦揺れの範囲は、円錐部分71の角度により決まり、後段において説明されるようにベース・アセンブリ50の形状およびサイズにより適合される必要がある。
【0053】
ジャイロ安定器の使用は、最良の結果のために好ましいいが、本発明はこれを使用することなく動作することができることに留意されたい。
【0054】
図3Aおよび図3Cに示されるように、少なくとも1つ、ただし好ましくは2つの、重量が平衡状態の2次ジャイロ安定器78もまた、各々軸75に対して直角をなすそれぞれの安定軸の固定された絶対配向を保持するため、計器プラットフォーム70の対向側の中心軸75から放射状に間隔をあけた位置で、計器プラットフォーム70に取り付けられる。
【0055】
図3Aおよび図3Bに示されるように、少なくとも1つ、ただし好ましくは3つの、等間隔をあけて傾斜した磁場センサー79が、ベース・アセンブリ50から、牽引フレーム60から、および筐体20からの回転に対して安定化されている間、場データ(field data)を収集するため、計器プラットフォーム70に取り付けられる。
【0056】
図2A、図2B、および図1Bをもう1度参照すると、ベース50は、振動分離ダンパー40の4つのペアに接続された円形または多角形のサスペンション・リング51と、サスペンション・リング51の下に間隔をあけて、複数の円周方向に間隔をあけた放射状に延びるスロット60を有する円形または多角形のベース・プレート53と、サスペンション・リング51とベース・プレート53の間に接続され、ベース・プレートとサスペンション・リングの周囲に間隔をあけた複数のベース・リブ52とを備える。各ベース・リブ52は、ベース・プレート53内のスロット60の1つを通り底端部付近に延びる下方放射状に外側に延びる弓状部分52a、および各ベース・リブ52のそれぞれの弓状部分56aとサスペンション・リング51との間に接続された内側に傾斜した部分52bを有する。リブ52の傾斜した部分52bの角度、および弓状部分56aの曲率は各々、計器プラットフォーム70が、ベース・アセンブリ50での運動の許容範囲内で自由にその軸75を中心に旋回および自転できるように選択される。
【0057】
複数の下側棒状斜材56aは、各々、1つのベース・リブ52の下側端部と、たとえば各リブ52の弓状部分56aとの傾斜部分52bの接合部付近など、ベース・アセンブリ50の周囲の隣接ベース・リブ52の中間位置との間に接続される。複数の上側棒状斜材56bもまた、各々、各ベース・リブ52の上側端部と、隣接ベース・リブ52上の中間位置との間に接続される。これらの斜材は、ベース・アセンブリ50のねじれ剛性を高める。支持台座54は、ベース・プレート53より上の上側部分、およびベース・プレート53より下の下側部分を有し、各ベース・リブ52の下側端部は、ベース・プレート53より下の支持台座54の下側部分に接続される。ベース・プレート53より下の各ベース・リブ52の部分の対向側にある補強プレート61のペアは、この領域のリブ52をさらに強固にし、サスペンション・リング51、リブ52、ベース・プレート53、および補強プレート61、ならびに斜材56aおよび56bは各々、好ましくは、強度、軽量、および非磁性特性のためにサンドイッチ状コアのカーボン・ファイバ複合材でできている。
【0058】
計器プラットフォーム70のステム部分71および円錐部分72は各々、一体成形のサンドイッチ状コアのカーボン複合材料を備え、図3A、図3B、および図4Aに最良に示されるように、ステム部分71は、1次ジャイロ安定器91、データ収集システム90、およびインバータとバッテリ100aを備える電力モジュール98を含む複数の積層計器モジュール77を含む。計器プラットフォーム70はまた、円錐部分72およびステム71に沿って延びる複数の円周状に間隔をあけた垂直強化プラットフォーム・リブ74、および複数の水平補強フランジ73を含む。複数の補強フランジは、計器プラットフォーム70の周囲に延び、プラットフォーム・リブ74を受けるためのスロットを有する。フランジ73は、外部プラットフォームとして機能し、それらのうちの1つは、ステム71の対向側にあるミューメタル・シールド内に取り付けられた重量平衡状態の2次ジャイロ安定器78のペアを支持する。
【0059】
装置は、好ましくは、1Hzから25Hzの帯域幅の低周波磁気測定を含む磁場データを収集するための磁力計を各々備える3つの場センサー79を有し、それらの3つの磁力計79は、円錐部分72の下側リムに隣接する円錐部分72の表面周囲の等間隔をあけた位置に取り付けられる。各磁力計79は、円錐部分72に堅固に取り付けられ、軸75の方向に円錐部分72の表面に沿って延びる縦軸を有するベクトル成分と、軸75に対して放射状の成分を含む。しかし、装置は、相互に大きく異なる方向に方向付けられた任意の3つのセンサーを使用する場合、機能する。
【0060】
図1Aに戻ると、振動分離ダンパー40は各々、フレーム30の弓状バー34a、34bからベース・アセンブリ50をつり下げる垂直ダンパー42、およびフレーム30のベース・リング32にベース・アセンブリ50を横方向に接続する水平ダンパー44を備える。この実施形態において、ふいご、スプリング、およびダンパーを組み入れる機械デバイスとして示されてきたが、粘弾性ポリマーから成る一要素ダンパーの使用またはバンジー・コードの配置を含むその他の配置も可能である。ベース・アセンブリ50のベース・リブ52は、球状空気軸受55上の計器プラットフォーム70の10度から30度の横揺れおよび縦揺れの範囲に適合するようにサイズおよび角度が調整される。
【0061】
2つのミューメタル・シールド99は各々、2次ジャイロ安定器78、インバータ100、およびバッテリ101を含み、計器プラットフォーム70に取り付けられる。プラットフォーム70は、図3D、図3E、および図5Aに示されるように、動的平衡化システム80のアクチュエータ(A1、A2、およびA3)をさらに組み入れる。
【0062】
ここで図1Aおよび図1Bを参照すると、本発明は、上記で説明された5つの主要コンポーネント、すなわち筐体20、牽引フレーム(「フレーム」)30、振動分離ダンパー(「ダンパー」)40、ベース・アセンブリ(「ベース」)50、および回転安定化計器プラットフォーム(「プラットフォーム」)70から成る。
【0063】
前述のように、図1Bは、内部コンポーネントの配置を図解するように透明なものとして示された滴形状の筐体20の透視図である。筐体は、その好ましい形態において直径約3mである。筐体20は、水平軸24に沿ってフレーム30のいずれかの側に位置する2つの水平車軸36aおよび36b上の軸受を通じてフレーム30に機械的に結合される。これは、筐体20に、フレーム30およびそこに取り付けられたすべてのコンポーネントから独立して縦揺れする自由をもたらす。車軸36a、36bの端部は、ヘリコプターまたはその他の航空機の2点ピックアップの牽引点である。離陸および着陸中、もしくは地形追随に関連する高度の変化、または対気速度の変化の間、この結合により筐体20は、その仰角を最低抗力の仰角に調整できるようになる。
【0064】
図1Aの横断面図は、全負荷を負い、フレーム30に取り付けられ、筐体20の対応する開口部周囲の軸受を通り筐体20を貫通する2つの水平車軸36aおよび36bを示す。プラットフォーム70およびベース50は、図面においてふいご形状の構造体として概略的に示される2種類のダンパーを備える複数のダンパー40によりフレーム30からつり下げられる。ダンパー40は、空気力学的負荷に起因する筐体20の振動および回転から、および牽引ケーブルの経時変化する張力からベース50を分離する役割を果たす。目的は、1Hzから10Hzの範囲の高度の分離をもたらすことであり、この目的のために、数デシメートルの垂直および水平変位が考慮されてきた。垂直に方向付けられたダンパー42は、プラットフォーム70およびベース50の静的負荷を負う必要があるが、水平ダンパー44は、横加速度に関連する動力を吸収するだけでよい。
【0065】
図2Aおよび図2Bにおいて、振動分離ベース50が示される。ベース50は、複数の振動分離ダンパー40に接続されたサスペンション・リング51、および複数のベース・リブ52によりサスペンション・リング51に接続されるベース・プレート53を備える。ベース50は、ベース・プレート53の上面および中央に接続される底端部を有する支持台座54をさらに備える。支持台座54はまた、ベース・プレート53に接続される端部に対向する上端部を有する。支持台座54の対向する上端部に配置されるのは、単一球状空気軸受55である。支持台座54は、図3Aの回転安定化計器プラットフォーム70を支持するためのものである。
【0066】
ベース50は、サスペンション・リング51を台座54と接続するリブ52のケージ状の構造体である。これは有利なことに、プラットフォーム70を構築するために使用される構造と同様の軽量カーボン・ファイバ・サンドイッチ・コア構造で構成される。ベース・プレート53を通じて支持台座54をリンクするベース構造50のコンポーネント、サスペンション・リング51へのリブ52もまた、軽量カーボン・ファイバ・サンドイッチ・コア構造から成る。さらに、全構造は、その重量を低く維持しながら、しかも良好な剛性を保持するために、サンドイッチ・コアのカーボン・ファイバから作られてもよい。カーボン・ファイバ管材の斜材56aおよび56bは、前述のようにねじれ剛性を高めるように設計される。
【0067】
プラットフォーム70は、図1Aの断面図、および図3Aの透視図に示される。これは、台座54により支持される球状空気軸受55上に逆転して配置されるサンドイッチ・コアのカーボン複合材の漏斗形状構造体である。プラットフォーム70が姿勢安定化のためのジャイロ91、78、および1次センサー79である3つのベクトル成分磁力計を収容するので、プラットフォーム70の高度の剛性を達成することは重要な目的であった。それらのコンポーネントの固定の相対的方向を、磁力計79の取得帯域幅にわたり百万分の1のレベルまでに保持することは、磁場測定の成功にとって必要不可欠である。
【0068】
好ましい実施形態において、プラットフォーム70は、単一カーボン複合材構造で構成される。プラットフォーム70は、漏斗形状であり、大きさはほぼ直径1.5mおよび高さ2mのサンドイッチ・コア・カーボン複合材で造られている。漏斗の2つの部分は、ステム部分(「ステム」)71および円錐部分(「円錐」)72である。プラットフォーム・リブ74は、追加の剛性をもたらす。1次ジャイロ安定器91は、図4aに最良に示されるようにステム71内に取り付けられ、円錐72の下側リム付近に取り付けられたセンサー79を安定化する必要がある。したがって、プラットフォーム70は、その変形が無視できるほど十分に堅い必要がある(<1.0e−7ラジアン)。剛性は、構造体のサイズを縮小することにより大幅に高められるが、(電磁ノイズの源である)ジャイロ安定器91、78を磁場センサー79から物理的に分離するために、大きい物理的寸法が必要とされる。図3Bおよび図3Cは、それらの電子コンポーネントの相対的位置を示す。
【0069】
ステム71は、データ収集システム90、続いて1次ジャイロ安定器91、続いてインバータおよびバッテリ100aを含むその電源モジュール98を備える一連の積層計器モジュール77を含む。それらのモジュールは、最も多くの電磁ノイズを生み出すモジュールがセンサー79から最も遠く配置されるように位置付けられる。加えて、ステム71と垂直に方向付けられた2つの外部プラットフォーム73がある。これらのプラットフォームは、1次軸ジャイロ安定器91により抑制されない運動である、漏斗軸75を中心とする回転を安定化する、別個のシールド99に各々含まれる2次追加ジャイロ78の取り付けを可能にする。
【0070】
プラットフォーム70に収容される計器およびプラットフォーム70自体は、磁場を感知すること、プラットフォーム70の配向を感知すること、配向の急激な微少の変化(ジッタ)に対してプラットフォーム70を安定化すること、系統的な配向のずれに対してプラットフォーム70を安定化すること、データをデジタル化してプラットフォーム外のコンピュータに伝送すること、および重心が空気軸受55の回転の中心と一致するようにプラットフォーム70を可能な限り平衡状態に保つこと、という6つの主要な役割を備えている。
【0071】
1次センサー
本発明の好ましい実施形態において、3つの磁力計79は、磁場のベクトル成分を感知することができる1次場センサーとしての役割を果たす。3つの磁力計センサー79は各々、それらの敏感な長軸が中央軸75と同一平面上になるように、そのリム付近の円錐の表面に取り付けられる。これらは、方位角で120度ごとに中央軸周囲に分散される。ケーブル(図示せず)は、センサー79から、複数の垂直に安定化されたプラットフォーム・リブ74の結合部に沿ってステム71のベースに引かれる。センサー79は、この用途のために供給元によりカスタム設計され、フィードバック磁気誘導原理に基づいている。センサー79は、感度0.1V/nTの1Hzから19kHzのフラットパス帯域を有する。これらは、1Hzにおいて0.1pT/sqrt(Hz)、および300Hzにおいて5fT/sqrt(Hz)のノイズフロアを有するが、本発明は、任意の高感度のベクトル成分磁力計を使用することができる。
【0072】
好ましい実施形態はフィードバック磁気誘導コイルを使用するが、有用な測定は、誘導コイル、フラックスゲート磁力計、または空間磁場成分、それらの時間派生物、または線形フィルタにより磁場と関連付けられる量を測定する任意のデバイスのようないくつかのさまざまな種類のセンサーで行われてもよい。
【0073】
データ収集システム
本発明は、4チャネル24ビットデータ収集(DAQ)90をさらに備える。DAQ90は、最大51kS/Sにおいて1次センサー79をサンプリングするために使用され、GPSタイムスタンプおよびプラットフォーム外のPCへの無線リンクを含む。
【0074】
1次ジャイロ安定器モジュール
これ以降、図3Bおよび図4Aから図4Cを参照すると、1次ジャイロ安定器(PGS)91は、映画業界で使用されるような商用のKenyon KS−12ジャイロ安定器である。これは、内部的に、各々単一自由度ジンバルに取り付けられたツインローターから構成される。この安定器は、28V DC電源からインバータを通じて派生された400Hz 220Vの駆動信号により駆動される。PGS91は、円筒形であり、自軸に垂直な任意の軸を中心とする回転に抵抗するが、その自軸を中心とする回転になんら抵抗をもたらすことはない。
【0075】
市販のモジュールであるにもかかわらず、PGS91は、極めて高レベルの電磁ノイズを生成するので、直接的には使用することができない。この問題を解決するため、PGS91は、電力モジュール98のインバータおよびバッテリ・ソース100bがすべてミューメタル・シールドM内に収められてパッケージされている。これは、約1000分の1にその電磁ノイズを低減する。PGS91は、プラットフォーム70に非常に堅固に結合される必要がある。これはまた、遮蔽されたユニットから効率的に放散される必要のある大きな熱量(〜100W)を発生する。このことは結果として、図4A、図4B、および図4Cに示される設計へと導いた。図4Aは、ステム71の大部分が、ステム71の壁面のステンレス・スチール・インサートにネジで固定される18の一連のボルト(図示せず)によりステム71の中央に保持されるPGS91およびその電源モジュール98を含む積層計器モジュール77によって持ち上げられることを示す。ボルトは、3つのボルトが中央軸の周囲に方位角で60度ごとに配置される放射対称性パターンで配列され、PGS91、その電源モジュール98、およびステム71の間の堅固な結合を形成し、しかもステム71の内部コンポーネントと内壁との間の環状隙間の形で熱放散煙突を設ける。図4Bは、ボルトの圧力により磁気シールドMに固定される円筒形湾曲を持つ一連のプレートから成るラジエータRを示す。フィンFは、煙突への熱放散をもたらす環状隙間にわたり90度でそれらのプレートから伸張する。図4Cにおいて、ラジエータ・プレートは取り除かれ、ミューメタル磁気シールドMを露出する。さらに、図4Aに示されるように、力分散パッドPの上側および下側セットは、計器モジュールが、ボルトの結合内向き圧力によりステム71の内壁にしっかりと固定されるようにするため使用される。各パッドは、ボルトからの圧力を受け入れるための平坦な外面、およびラジエータ・プレートおよびミューメタル・シールドを通して力を均等に伝達するための内部円筒表面を有する。各下側力分散パッドは、2つのボルトを受け入れ、力を直接PGSに伝達するが、一方各上側力分散パッドは、1つのボルトを受け入れ、力をPGS電力モジュール98に伝達する。
【0076】
2次ジャイロ安定器モジュール
前述のように、本発明はまた、少なくとも1つの2次ジャイロ安定器モジュール78も備える。図3Cに示される実施形態は、2つの2次ジャイロ安定器モジュール78を有し、その1つは、計器プラットフォーム70垂直プラットフォーム・リブ74のうちの1つの後に部分的に隠される。2つの2次ジャイロ安定器モジュール78(Kenyon KS−8s)は、2つの目的のために必要とされる。これらは、プラットフォーム70の軸、すなわち漏斗軸75を中心とする回転ジッタ(偏揺れ)に抵抗するため、および微細な不均衡またはアセンブリの初期回転速度に起因する任意の方向のプラットフォーム70の緩慢な角ドリフトを制限するために必要とされる。映画業界向け商用ジャイロ安定器が帯域制限されているため、2次ジャイロ安定器78のうちの1つは変更される。これらは、抵抗のその2つの軸のいずれかを中心とする急激に加えられるトルクに抵抗するが、何秒間にもわたり加えられる一様なトルクには抵抗しない。この振る舞いは、たとえばジャイロ・アセンブリが、手の震えまたは移動車両への機械的な連携による振動に抵抗する間であっても、一様に加えられるトルクに応答して、カメラがパンすることを許容される必要がある場合に非常に望ましい。本発明において使用される磁力計79は、プラットフォーム70の配向の緩慢なドリフトには、さほど敏感でなくてもよい。しかし、プラットフォーム70は、その横揺れおよび縦揺れの移動の限界(すなわち、概ね20度)に到達して、緩慢なドリフトは制約される必要がある場合、安定化されなくなる。これを達成するため、2つの2次ジャイロ安定器78は、そのツイン内部ローター・アセンブリのジンバルが同じ方向に転回しているローターでロックされるように変更される。このことは実質的に、ジャイロ安定器79を、プラットフォーム70の軸に沿って軸が延びる単純な、ジンバルに支えられないジャイロにする。その角運動量は、プラットフォーム70に対して固定されているので、ジャイロは、システムのわずかな不均衡が生じた場合に、プラットフォーム70が「転倒する」のではなく緩慢な前進運動を行えるようにする。
【0077】
平衡の目的でステム71の対向側に配置された、2つの2次ジャイロ安定器78は、図3Cに示される。各ジャイロ78は、そのインバータおよびバッテリ100bと共にミューメタル・シールド99内に取り付けられる。ジャイロ78のペアは、偏揺れ方向の角ジッタに対してプラットフォーム70を安定化する。それらのより小さいジャイロ78は、1次ジャイロ安定器91よりも放散する熱が少ない。熱放散は、ミューメタル・シールド99に取り付けられたフィン(図示せず)により受動的に達成される。
【0078】
動的平衡化システム
直線加速度によりプラットフォーム70に加えられるトルクを最小化するため、プラットフォーム70は、その回転点を中心とするすべての3方向に良好な均衡状態にある必要がある。プラットフォーム70システムは、ケーブル、密封材などのような「ソフト」インフラストラクチャを含む。これらのコンポーネントは、gベクトル(下方向)、温度、加えられた外部加速度の履歴に関連してそれらの方向と共にわずかに寸法および位置を変化させる。したがって、図5Aの動的平衡化システム80は、プラットフォーム70の重心のこれらの微細な変化を考慮することが必要とされる。平衡化システム80は、必要に応じて、プラットフォーム70の平衡のトリミングを可能にする調整可能平衡重量の被制御システムである。
【0079】
動的平衡化システム80の概要は、図5Aに示される。システムは、浮動計器プラットフォーム(円)、およびプラットフォームが取り付けられるベース・アセンブリ(長方形)上のコンポーネント、ならびにプラットフォーム外のPCを組み入れる。計器プラットフォーム70に取り付けられた組み込み型コンピュータは、図5Aに概略的に示され、図3Dおよび図3Eに配置されるように、3つのマイクロ・バランサーA1〜A3を制御する。マイクロ・バランサーは、図3Aにも概略的に示される、デジタル制御の線形アクチュエータAであり、これはミリメートル単位の距離を経て数十グラムの小質量を、3つの主方向X、Y、Zの各々に正確に移動することができる。
【0080】
バランサーの位置の要求される変更を決定するために必要な情報は、1次センサーからのEMIデータ、および同様にプラットフォーム上にある姿勢・機首基準システム(AHRS:Attitude and Heading Reference System)からの測定値を含む。本実施形態において、平衡化アルゴリズムは、無線で直接DAQシステムからEMIデータをログに入れるプラットフォーム外で稼働するPC上で実行され、AHRSデータは組み込み型コンピュータから別個の無線リンクにより通信される。コマンドは、平衡化アルゴリズムにより発行され、バランス・マスを位置変更するプラットフォーム上の組み込み型コンピュータに無線で信号伝達される。あるいは、現在プラットフォーム外のPCにより達成されているタスクは、1次EMIセンサーからの有線または無線データリンク備えるプラットフォーム上で直接稼働しているより高いパフォーマンスの組み込み型コンピュータにより達成されてもよい。
【0081】
AHRSシステムの一部である3軸フラックスゲートDC磁力計は、プラットフォーム70に対する、ひいては1次センサー79の各々に対する、地球の磁場の配向を測定する。この情報は、3つの軸の各々を中心とする回転への1次センサー79の感度をもたらす。
【0082】
平衡化プロセスの精度は、図5Aに示される3つの相互に直角の、線形非磁気圧搾空気振動器V1、V2、およびV3を操作することによって、ベースに振動を加えることにより高められる。これらは、図2CのVで示されるように、空気軸受55の直下の支持台座54内に位置する。振動器は、たとえば周波数拡散が共通の圧搾空気マニホルドからの差圧により制御される90Hzなど、基本周波数周辺の3つの異なる狭く分離された周波数で操作される。プラットフォームの不均衡は、各センサー・コンポーネントの回転の感度に比例して、それらの各センサー・コンポーネントに対応する狭帯域ノイズ信号として現れる。フラックスゲート信号を1次センサー79からのストリーミング・データと結合して、プラットフォーム外のPCで実行している非線形最適化アルゴリズムは、プラットフォーム70上の組み込み型コンピュータまたはその他のコンピュータが、平衡器、すなわち図3AのアクチュエータA、または特に図3D、3E、および5AのアクチュエータA1、A2、およびA3の位置を最適化できるようにして、測定ノイズを最小化できるようにする。いくつかのアルゴリズムが検討されたが、好ましいアルゴリズムは本開示の後段で概説される。
【0083】
特に、図5Aは、3つの異なる軸を中心に回転可能なプラットフォームを平衡化する動的平衡化システムを示す。不均衡状態のとき、プラットフォームの重心は、その回転の共通中心とは異なる。次いで、ベース内の振動は、プラットフォーム上の3つの直交磁力計の各々に磁気信号として記録するプラットフォームの回転を生じさせる。ベース上の圧搾空気振動器V1、V2、およびV3は、3つの異なる周波数で駆動される。プラットフォーム上の3つの線形電気機械的アクチュエータA1、A2、およびA3は、フィードバック・ループでバランス・マスを調整する。
【0084】
図5Bは、各々異なる周波数f1、f2、およびf3で実行している3つの直交圧搾空気振動器V1、V2、およびV3により台座に課される振動を示すグラフである。異なる周波数は、共通のマニホルドから異なる振動器を各々供給する3つの圧力逓減バルブにより決定され、図5Cは、3つの異なる周波数におけるベースの振動に起因する信号を記録するプラットフォーム上の3つのAC磁力計からの信号を示す。これらの信号は、プラットフォームが、その重心を回転の中心に正確に重ねるとき、消失する。マスバランスは、各々装置上のキャリッジのバランス・マスの位置を制御する3つの直交電気機械的アクチュエータA1、A2、およびA3を介してフィードバック・ループで制御される。
【0085】
図5Aの組み込み型コンピュータとプラットフォーム外のPCとの間の双方向無線リンクは、AHRSからのデータおよびアクチュエータAからの位置情報がプラットフォーム外のPCに中継されるようにし、しかもアクチュエータAに関連する制御情報は中継されて戻される。
【0086】
アルゴリズムは、動的平衡化が機能するために必要であり、本発明のアルゴリズムのようにシステムを平衡化することができる任意の既知のアルゴリズムが使用されうるとしても、好ましい実施形態では固有および独自のアルゴリズムを使用する。好ましい実施形態により採用される独自のアルゴリズムのステップは、以下のとおりである。
a) プログラムは、高速で3つの1次センサーからデータの連続ストリームを受信し、はるかに低速でプラットフォーム上のAHRSの一部であるフラックスゲート磁力計からデータを受信する。
b) 低速のフラックスゲート・データから、アルゴリズムは、地球の磁場に関して3つのセンサーの各々の配向を決定する。プラットフォームの回転安定性により、これは極めて緩慢に変化することになる。
c) この情報から、未加工1次センサー成分を3つの仮想方向に変換する3×3のマトリクスが計算され、Caは地球の磁場の方向であり、Chは地球の磁場に水平および垂直であり、第3の成分Cvはその両方に垂直である。
d) 1秒から数十秒の範囲の時間間隔にわたり収集された1次センサー・データは、複素スペクトルを得るためにフーリエ変換される。
e) 3つの未加工成分からのスペクトルは、計算された3×3のマトリクスで乗算されて、ChおよびCv方向のスペクトルを得る。これらは振動ノイズに最も敏感である。
f) 変換された電力スペクトル密度(PSD)は、複素スペクトルにそれらの複素共役を乗算することにより、ChおよびCv方向で形成される。
g) ChおよびCv PSDは、正の実数である6つのスペクトル振幅を生成する台座振動の周波数に対応する3つの狭周波数帯域にわたり平均化される。
【0087】
さらに、本発明のアルゴリズムの最も単純な変形が続くが、より精密な手法も可能である。
h) 最小化されるべき単一目的関数は、6つのPSDの合計をとることにより作成される。
i) この目的関数は、ダウンヒル・シンプレックス方法のような、標準非線形3次元シンプレックス最適化アルゴリズムへの入力として使用される。この関数の各適用の結果は、マス・バランサーのための場所の提案される次のセットである。
j) 新しい位置は、無線伝送により内蔵の組み込み型コンピュータに要求され、それらの新しい位置を達成するための時間が与えられる。全アルゴリズムは繰り返される。
【0088】
上記で概説されたアルゴリズムは、その単独の基準として、プラットフォームの平衡を有する。しかし、アルゴリズムは、プラットフォームを概ね直立状態に保ち、動作のその角度範囲内におさまるように保持するために必要なわずかな偏りをもたらすように、容易に変更されてもよい。これは、(g)の目的関数に、AHRSデータから得られるプラットフォームの軸の垂直からの角度偏移の重み係数倍で構成される項を追加することにより達成されてもよい。重み係数の大きさは、プラットフォームのトリムを保持し、しかも不均衡バイアスにより誘導されるノイズを許容可能レベル以下に維持するように、実験または分析により決定されてもよい。
【0089】
空気軸受
本発明による安定化システム10の好ましい実施形態は、同様に非常に低摩擦である任意の軸を中心とする共通回転の単一点を精密機械加工の許容誤差にもたらす、球状空気軸受55を採用する。加速および温度変化にもかかわらず、入れ子構造のヨークによって支持される3つのジンバル軸受のより従来的な解決策を使用することによって同等の均衡を達成して保持することがさらに一層困難となる。
【0090】
しかし、空気軸受55の役割は、計器プラットフォーム70の必須の縦揺れおよび偏揺れを考慮し、同時に、場データ、特に電磁データの収集を決して妨害、汚損、汚染、または悪影響を及ぼすことがないような任意のタイプの軸受により果たされてもよい。
【0091】
図6Aから図6Cを参照すると、球状空気軸受55は、圧縮空気またはガスのソース(図6C)を備え、ソースは軸受の上部支持半球体部分が空気またはガスのクッションに浮かぶように軸受の支持凹型部分に接続されて空気を供給する。空気軸受に圧縮空気57を提供するソースまたは手段は、たとえば、圧縮機がその計器および機器を満載する場合にプラットフォーム70の重量を支持する空気またはガスの体積を提供できるように、十分な圧力および流速を有する空気またはガス圧縮機により達成されてもよい。
【0092】
空気軸受55は、本発明のためにカスタム設計される。これは、高精密な回転の単一点を中心とする、縦揺れおよび横揺れの25度以上の回転、および偏揺れの無限の回転に備える。空気軸受55は、センサーに比較的近接する金属物体である。したがって、軸受に誘導された過電流は、受信信号で明らかにされる必要があってもよい。その可能性を最小化するため、軸受55は、比較的低導電性のステンレス・スチールで製造された(#303)。加えて図6Aおよび図6Cに示されるように、深溝Gのクロスパターンが支持凹型軸受および支持半球体の裏に刻まれていた。試験では、主過電流モードの時定数が約1ミリ秒であることを示した。あるいは、軸受は、より高価であるが、過電流をすべて除去するMACORのような機械加工可能なセラミックで製造されてもよい。
【0093】
ベース
図1A、2A、および2Bに最良に示されるように、ベース・アセンブリ50は、プラットフォーム70の負荷を空気軸受55およびその台座54から、結合プラットフォーム70ベース50システムの重心を通る面にあるサスペンション・リング51に搬送する。構造体は、必然的に極めて大型である必要があり、非常に堅固な軽量の、調査現地に移送しやすいものでなければならない。解体可能な構造体の必須の剛性を達成するため、台座ベース53およびサスペンション・リング51は、サンドイッチ・コアのカーボン・ファイバ複合材の軽量リブ52により接続されて、薄い斜材56a、56bにより強化される。リブ52は、サスペンション・リング51をベース・プレート53に接続し、台座軸に対して20度のプラットフォーム70の縦揺れおよび横揺れ範囲に適合するように形成される。リブ52は、その底面に永続的に取り付けられたリブ52のペアの間で各々サンドイッチ上にされるベース・プレート・フロアでスロット60を通って延びる。このようにして、堅固な接続が行われてもよく、しかもベース50が、移送のために個々のリブ52、斜材56a、56b、ベース・プレート53、サスペンション・リング51、および台座54に分解されるようにすることができる。
【0094】
ダンパー・システム
図1Aに示されるダンパー・システムは、ベース50を筐体20の直線加速度から集合的に分離する複数の振動分離ダンパー40を備える。1Hzという低い周波数において高度な分離を達成することは、大きな変位の適合を必要とする。ここで提示される設計において、2種類からなる8つのダンパー40がある。第1のセット、すなわち垂直ダンパー42は、ベース50の静的負荷を負い、さらに動的負荷に適合することが求められる。ダンパーの第2のセットは水平に配向される、すなわち水平ダンパー44であり、主として横方向動的負荷に適合することが求められる。バンジー、エア・バッグ、スプリング、空気軸受支柱、ソルボセインのようなエネルギー吸収ゴムのカスタム成型ブロックを含む多数のデバイスが検討されてきた。それらは各々、利点および欠点を有している。強度で最良に機能するものもあり、また圧縮で最良に機能するものもある。いずれのタイプのダンパーも、支持ブラケットの配置および特性を修正することによって、提案される形状の制限内で実現されてもよい。
【0095】
フレーム
牽引フレーム30は、図1C、図1B、および図1Aにおいて示される。フレーム30の役割は、複数の振動分離ダンパー40、ヘリコプター牽引ケーブルおよび筐体20の共通取り付け構造体を提供することである。フレーム30は、中空の複合チャネルを使用して構築される。大型サイズであるため、フレーム30は、現地で6つの個々の部品から組み立てられるように設計される必要がある。フレーム30はまた、データ収集90および動的平衡化システム80のための無線受信機の設置場所である。
【0096】
筐体
図1Bにおいて最良に示される筐体は、寸法2.8m×4.3mの滴形状複合材シェルであり、各々全長4.3mの4つの等しい四分円で構成される。断面は約2mの中間寸法を有し、標準的幅のキューブ型バンで容易に輸送されてもよい。定評のある中空コアの構築方法を使用して、シェル部分は、カーボン複合材で構築されてもよい。部分は、各部分に一体構成の外側に突き出たフランジを通じてボルト留めされてもよい。シェルの合計重量は、50kg未満であると推定される。
【0097】
筐体20の2点サスペンションは、縦軸を中心とするシェルの回転を制限する。気流による大きな前進運動の前に、ヘリコプターにより持ち上げられるとき、バードの姿勢または縦揺れは制約されない。筐体20の重心の位置、およびヘリコプター回転翼からの洗流は、後尾を降ろす配向に至る可能性が高い。前進速度がヘリコプターにより達成されると、空気力が引き継いで、縦揺れおよび偏揺れに関して針路安定性は、筐体20および補助フィンの形状により制御されてもよい。この縦揺れ運動の範囲に適合するため、筐体20は、囲まれた計器プラットフォーム70とは無関係に回転して、ジャイロ安定化に許容された回転の範囲を超える危険性を回避するように設計されている。内部アセンブリ、すなわちベース50および計器プラットフォーム70は、わずかな底部加重を用いて直立位置に保持される。
【0098】
筐体20の目的は、振動および抗力を生み出しうる乱気流を最小化する要素および空力的形状からの保護をもたらすことである。筐体20の形状は、乱気流を最小化して、飛行の針路に概ね調整される見かけの風向に関してある一定の針路安定性をもたらす。水平および垂直安定器は、見かけの風向の変化への回転反応性を高めるために追加されてもよい。飛行中の乱気流は、見かけの風向を突然変えることがあり、安定器表面が多すぎるとそのような乱気流への感度を高めることになる。筐体20の細長い形状は、基本レベルの方向対応をもたらし、さまざまな安定器フィンを選択する柔軟性は、飛行特徴の微調整を容易にする。
【0099】
筐体20は、空気力に応じるのに十分ではあるが、筐体20および内部コンポーネントの重量全体は支持しない、堅固な軽量外板であるように設計される。したがって、3点支持/着陸装置アセンブリは、その内部に密閉される。支持システムは、フレーム30のいずれかの側の車軸に付随し、アセンブリおよび着陸中にシステムの重量を支持する筐体20を通って3フィート突き出て終端する。ヘリコプターが着陸中にホバリングするとき、筐体20が後尾を降ろすことを予期して、地上との筐体の接触およびパンクの可能性を最小化するために、小型竜骨が尾翼から着率装置まで下側継ぎ目に沿って備えられる。筐体20はいかなる内部構造体も有する必要はないが、4つのリブ、すなわち、1つの上部リブ、1つの底部リブまたは竜骨、1つの右側リブ、および1つのポート・リブを備えることができる。これは、アセンブリをさらに容易にして、安定器フィンの取り付け点をもたらす。概念では、着陸装置の構造体および4つのリブが、先に組み立てられる。計器プラットフォーム70は、フレーム30に持ち上げられて、車軸を介して接続される。最終ステップは、筐体20の外板部分の追加である。
【0100】
独自の特徴
以下の特徴は、空中地球物理学業界において、独自であるか、または少なくとも特異であると考えられる。
1. 移動体の飛行可能な筐体20の操作中、システムは、探査目的に有用となるように、適切に低い運動誘発ノイズの1Hzから25Hzの帯域幅において継続的に磁場データを記録する。
2. プラットフォーム70は、ダンパーまたは復元力を持たないのでセンサー79が地球の静的磁場に対する配向を保持する回転分離のシステムを使用して高度に回転安定化される。したがって、プラットフォーム70は、ベース50上の低摩擦の空気軸受55に取り付けられる。これは、筐体20の回転により生じたプラットフォーム70に加えられるトルクを最小化する。
3. 能動振動、搭載コンピュータ、およびリモート調整可能加重のセットを組み入れる動的平衡化システムが使用され、このシステムは、重心が空気軸受の回転の厳密な重心に位置するよう保証する。これは、それ以外の場合、筐体20の直線加速度の変動から生じるであろうプラットフォーム70に加えられるトルクを最小化する。
4. 概ね垂直配向に計器プラットフォーム70を保持する5.の動的平衡化アルゴリズム。
5. ベース50は、筐体20の直線加速度によりプラットフォーム70に加えられる任意のトルクを最小化するために、1ヘルツまでの大幅な減衰をもたらす加速および振動ダンパー40に取り付けられる。
6. 3つの複合ジャイロ78および91は、縦揺れ、横揺れ、および偏揺れの安定性を高めるために使用される。
7. プラットフォーム70は、カーボン・ファイバ・サンドイッチ・コア構造を使用して非常に堅固であるため、ジャイロ91、78により保持される配向は正確にセンサー79に転送される。
8. ジャイロ91、78、および関連する電気コンポーネントは、センサー79への干渉を最小化するために磁気的に遮蔽される。
9. 主ジャイロ91は、過剰な熱を除去するために受動対流を使用するヒート・シンクで覆われる。
10. センサー79により取得されるデータは、回転可能プラットフォーム70から、フレーム30に取り付けられたデータ処理および記録システムに無線で伝送される。
【0101】
法令の条項に従いつつ、本明細書において本発明の特定の実施形態が示され説明される。当業者であれば、特許請求の範囲により網羅される本発明の形式で変更が行われてもよいこと、および本発明の特定の特徴が場合によってはその他の特徴を対応して使用することなく利益をもたらすために使用されてもよいことを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置(10)であって、
球状の前方部、尖った後端部、第1の前後水平軸(22)、および第2の左右水平軸(24)を有する滴形状の筐体(20)と、
前記筐体の前記球状端部内の牽引フレーム(30)であって、ベース・リング(32)と、間隔をあけた位置で前記ベース・リングおよび周囲に各々対向端が接続された2つの弓状バー(34a、34b)と、前記筐体(20)の前記第2の水平軸(24)上にあり、前記バーの1つ(34a)の対向端から突き出ている2つの水平車軸(36a、36b)とを有し、前記車軸は前記装置を搬送するための車両に前記装置を取り付けるために前記ベース・リングの対向側から筐体の球状部分の対向側まで通って突き出ており、前記車軸は前記筐体に枢転するように接続され、前記フレームは前記第2の水平軸(24)を中心に前記筐体内外の前記フレームの自由な相対的回転にあわせてサイズ変更される牽引フレーム(30)と、
前記牽引フレーム(30)に接続され、周囲に間隔をあけて配置された複数の振動分離ダンパー(40)であって、前記牽引フレームの垂直および水平振動の減衰に効果的である振動分離ダンパー(40)と、
前記複数の振動分離ダンパー(40)に取り付けられ、前記牽引フレーム(30)が前記筐体(20)の前記第2の水平軸(24)を中心に旋回する場合に、前記筐体内の前記ベース・アセンブリの自由な移動のために、少なくとも部分的に前記牽引フレーム(30)内に、および完全に前記筐体(20)の前記球状部分内に配置されるベース・アセンブリ(50)であって、前記筐体およびフレームの垂直および水平振動は前記ベース・アセンブリ(50)に到達する前に前記ダンパーによって減衰されるベース・アセンブリ(50)と、
前記ベース・アセンブリ(50)の底部付近で前記ベース・アセンブリに固定された底端部を有し、前記ベース・アセンブリ内を上方へ、および前記牽引フレーム(30)内へと延び、前記牽引フレームから内部に間隔をあけた上側の自由な端部を有する支持台座(54)と、
前記台座の前記上側の自由な端部に接続された単一球状空気軸受(55)と、
構造的に堅固な計器プラットフォーム(70)であって、前記支持台座上の前記計器プラットフォームの回転可能および旋回を支持するために前記球状空気軸受(55)に係合され支持された上部内側頂点を備える下側中空円錐部分(72)を有し、前記頂点の上で、前記牽引フレーム(30)へと、前記円錐部分の上方に延びる上部ステム(71)を有し、前記円錐部分および前記ステムを通って延びる中央軸(75)を有する計器プラットフォーム(70)と、
前記空気軸受上の前記プラットフォームを動的に平衡化するための動的平衡化システム(80)と、
前記ベース・アセンブリから、前記牽引フレームから、および前記筐体からの振動、旋回、および回転を含む運動ノイズに対して平衡化されている間、場データを収集するために前記計器プラットフォーム(70)に取り付けられた少なくとも1つの場センサー(79)とを備える安定化場センサー装置(10)。
【請求項2】
前記ステム(71)に取り付けられ、前記支持台座上の前記計器プラットフォームの横揺れおよび縦揺れの回転ジッタを軽減するために前記中央軸上に配置された1次ジャイロ安定器(91)と、偏揺れの回転ジッタを軽減するために前記中央軸(75)から放射状に間隔をあけた位置で前記計器プラットフォームに取り付けられた少なくとも1つの2次ジャイロ安定器(78)とを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ベース・アセンブリ(50)は、前記振動分離ダンパー(40)に接続されたサスペンション・リング(51)と、前記サスペンション・リングの下に間隔をあけ、複数の円周方向に間隔をあけた放射状に延びるスロット(60)を有するベース・プレート(53)と、前記サスペンション・リングと前記ベース・プレートの間に接続され、前記ベース・プレートと前記サスペンション・リングの周囲に間隔をあけた複数のベース・リブ(52)であって、前記ベース・プレート(53)内のスロット(60)の1つを通り下方放射状に外側に延びる弓状部分(52a)と、前記ベース・リブの前記弓状部分と前記サスペンション・リングとの間に接続された内側に傾斜した部分(52b)とを各々有するベース・リブ(52)と、各ベース・リブの下側端部と隣接ベース・リブの中間位置との間に各々接続された複数の下側斜材(56a)と、各ベース・リブの上側端部と前記隣接ベース・リブ上の前記中間位置との間に各々接続された複数の上側斜材(56b)とを備え、前記斜材は前記ベース・アセンブリ(50)のねじれ剛性を高め、前記支持台座(54)は、前記ベース・プレート(53)より上の上側部分および前記ベース・プレートより下の下側部分を有し、各ベース・リブ(52)の下側端部は前記支持台座(54)の前記下側部分に接続される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ベース・アセンブリ(50)は、前記振動分離ダンパー(40)に接続されたサスペンション・リング(51)と、前記サスペンション・リングの下に間隔をあけ、複数の円周方向に間隔をあけた放射状に延びるスロット(60)を有するベース・プレート(53)と、前記サスペンション・リングと前記ベース・プレートの間に接続され、前記ベース・プレートと前記サスペンション・リングの周囲に間隔をあけた複数のベース・リブ(52)であって、前記ベース・プレート(53)内のスロット(60)の1つを通り下方放射状に外側に延びる弓状部分(52a)と、前記ベース・リブの前記弓状部分と前記サスペンション・リングとの間に接続された内側に傾斜した部分(52b)とを各々有するベース・リブ(52)と、各ベース・リブの下側端部と隣接ベース・リブの中間位置との間に各々接続された複数の下側斜材(56a)と、各ベース・リブの上側端部と前記隣接ベース・リブ上の前記中間位置との間に各々接続された複数の上側斜材(56b)であって、前記斜材は前記ベース・アセンブリ(50)のねじれ剛性を高め、前記支持台座(54)は、前記ベース・プレート(53)より上の上側部分および前記ベース・プレートより下の下側部分を有し、各ベース・リブ(52)の下側端部は前記支持台座(54)の前記下側部分に接続される斜材と、前記ベース・プレート(53)より下の位置で各ベース・リブの対向側にある補強プレート(61)のペアとを備え、前記サスペンション・リング、前記リブ、および前記ベース・プレートがサンドイッチ状コアのカーボン・ファイバ複合材でできている請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ステム(71)に取り付けられ、前記支持台座上の前記計器プラットフォームの横揺れおよび縦揺れの回転ジッタを軽減するために前記中央軸上に配置された1次ジャイロ安定器(91)と、偏揺れの回転ジッタを軽減するために前記中央軸(75)から放射状に間隔をあけた位置で前記計器プラットフォームに取り付けられた少なくとも1つの2次ジャイロ安定器(78)とを含み、前記ステム部分(71)および前記計器プラットフォーム(70)の前記円錐部分(72)は各々一体成形のサンドイッチ状コアのカーボン複合材料を備え、前記ステム部分(71)は1次ジャイロ安定器(91)、データ収集システム(90)、およびインバータとバッテリ(100a)を備える電力モジュール(98)を含む複数の積層計器モジュール(77)を含み、前記計器プラットフォーム(70)は前記円錐部分(72)および前記ステム(71)に沿って延びる複数の円周状に間隔をあけた垂直強化プラットフォーム・リブ(74)と、前記計器プラットフォームの周囲および前記プラットフォーム・リブを越えて延びる複数の水平補強フランジ(73)とを含み、前記ステムの対向側および前記水平補強フランジ(73)の1つに取り付けられた重量平衡状態の2次ジャイロ安定器(78)のペアを含む請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記場センサー(79)は、1Hzから25Hzの帯域幅の低周波磁気測定を含む磁場データを収集するためのフィードバック誘導コイルを備える請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記場センサー(79)は1Hzから25Hzの帯域幅の低周波磁気測定を含む磁場データを収集するためのフィードバック誘導コイルを備え、前記円錐部分の周囲の等間隔をあけた位置に取り付けられた3つの前記センサーであって、前記円錐の下側リムに隣接して位置するベクトル成分センサー(79)を各々備え、前記円錐表面に平行で前記円錐の軸と同一平面上にある縦軸を各々有する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
各振動分離ダンパー(40)は、前記フレームの前記弓状バー(34a、34b)から前記ベース・アセンブリをつり下げる垂直ダンパー(42)と、前記フレーム(30)の前記ベース・リング(32)に前記ベース・アセンブリ(50)の円錐部分を横方向に接続する水平ダンパー(44)のセットを備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ベース・アセンブリ(50)の前記ベース・リブ(52)は、前記球状空気軸受(55)上の前記計器プラットフォーム(70)の10度から30度の横揺れおよび縦揺れの範囲に適合するように角度が調整される請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ステム(71)に取り付けられ、前記支持台座上の前記計器プラットフォームの横揺れおよび縦揺れの回転ジッタを軽減するために前記中央軸上に配置された1次ジャイロ安定器(91)と、偏揺れの回転ジッタを軽減するために前記中央軸(75)から放射状に間隔をあけた位置で前記計器プラットフォームに取り付けられた少なくとも1つの2次ジャイロ安定器(78)とを含み、前記ジャイロ安定器はインバータおよびバッテリ(100b)と共に高透磁率の金属(99)内の前記計器プラットフォーム(70)に取り付けられる請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置とは別個のPCと、前記計器プラットフォーム(70)に取り付けられ、相互に90度で配向された線形マスバランス・アクチュエータ(A)のセットと、マスバランス・アクチュエータ(A)の前記セットを制御するために前記PCから命令を受信する前記計器プラットフォーム(70)に取り付けられた組み込み型コンピュータとを備える動的平衡化システム(80)をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記プラットフォーム(70)に取り付けられた組み込み型コンピュータと、前記装置とは別個のPCと、前記PC上で実行する動的平衡化アルゴリズムと、前記空気軸受(55)の下の前記支持台座内に含まれる3つの相互に垂直の線形圧搾空気振動器(V)のセットとを備える動的平衡化システム(80)であって、前記3つの相互に垂直の線形圧搾空気振動器(V)の各々は、動的平衡化アルゴリズムが必要な質量再分布をより正確に決定する方法に関する情報を作成できるようにする異なる周波数で振動し、前記PC上で実行する前記動的平衡化アルゴリズムによって作成された前記情報を前記組み込み型コンピュータに無線で搬送する手段をさらに備える動的平衡化システム(80)をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項13】
運動ノイズに影響を受けることなく1Hzから25Hzの帯域幅の低周波磁気測定を含む磁場データの連続収集を容易にするセンサー安定化デバイス(10)であって、
滴形状の筐体(20)と、
ベース・リング(32)と、前記ベース・リング(32)に接続された2つの突起した凸状クロスバー(34a、34b)と、前記2つのクロスバー(34a、34b)の1つから突き出て、前記ベース・リング(32)の対向側に配置された2つの水平車軸(36a、36b)とを備える牽引フレーム(30)であって、前記2つの水平車軸(34a、34b)の各々は相互軸受(32a、32b)によって前記筐体(20)に枢転するように接続され、前記2つの水平車軸(34a、34b)の各々は前記相互軸受(32a、32b)を通って前記筐体(20)を貫通し、前記水平車軸(36a、36b)は車両への取り付けを容易にする2点を形成する牽引フレーム(30)と、
前記フレームに接続されるが、前記筐体(20)および前記フレーム(30)から振動的に分離され、下側(62)を有する円形ベース・プレート(53)と一体化された底端部を有する支持台座(54)を備えるベース・アセンブリ(50)であって、前記支持台座(54)は回転の中心を備える単一球状空気軸受(55)を備える対向上端部を有し、前記ベース・アセンブリ(50)はサスペンション・リング(51)と、前記円形ベース・プレート(53)に接続された複数の垂直リブ(52)とをさらに備え、前記リブ(52)は放射状に角度調節され、前記円形ベース・プレート(53)のスロット(60)を通って延び、前記垂直リブ(52)は前記ベース・プレート(53)の前記下側(62)に永続的に取り付けられたリブ(61)のペアの間でサンドイッチ状にされ、前記ベース・アセンブリ(50)はまた、ねじれ剛性を高めるための、前記複数の垂直リブ(52)の隣接メンバを相互に接続するカーボン・ファイバ斜材(56)を備えるベース・アセンブリ(50)と、
一体成形のサンドイッチ状コアのカーボン複合材料を備える中空漏斗形状の回転安定化計器プラットフォーム(70)であって、横軸(75)、重心、および外表面を有し、前記単一球状空気軸受(55)上および前記支持台座(54)上に逆向きに支持される計器プラットフォーム(70)であって、ステム部分(71)および円錐部分(72)を有し、前記円錐部分は下側リムを有し、前記ステム部分はデータ収集システム(90)、続いて1次ジャイロ安定器(91)、続いてインバータとバッテリ(100a)を備える電力モジュール(98)を備える一連の積層計器モジュール(77)を含む計器プラットフォーム(70)と、
各々縦軸を有する3ベクトル成分磁力計(79)であって、前記下側リム付近の前記円錐部分(72)の前記外表面に取り付けられ、前記計器プラットフォーム(70)は前記プラットフォーム(70)の剛性を追加するため前記ステム部分(71)および円錐部分(72)の前記外表面に固定して取り付けられた縦リブ(74)を備える磁力計(79)と、
前記ステム部分(71)のいずれかの側で、前記プラットフォーム(76)に取り付けられ、前記プラットフォームの前記軸(75)の放射状外向きに配置された、前記プラットフォーム(70)の前記軸(75)を中心とする回転ジッタおよび回転運動に抵抗するための2つの2次対向ジャイロ安定器(78)であって、前記インバータおよびバッテリ(100b)と共にミューメタル・シールド(99)内部に取り付けられる2つの2次ジャイロ安定器(78)と、
前記プラットフォーム(70)の重心が前記空気軸受の回転の中心に位置することを保証するための動的平衡化システム(80)であって、小型線形キャリッジに配置された小質量を各々有する線形相互垂直アクチュエータ(A)のセットと、各々異なる周波数で振動する線形圧搾空気相互垂直振動器(V)のセットと、前記デバイスとは別個のPCと、前記PCで実行する動的平衡化アルゴリズムと、前記セットアクチュエータ(A)を制御するための前記計器プラットフォーム(70)に取り付けられた組み込み型コンピュータと、前記PCから前記組み込み型コンピュータに情報を無線で搬送する手段とを備え、前記プラットフォーム上の前記組み込み型コンピュータは前記PCで実行する前記動的平衡化アルゴリズムから無線で位置命令を受信する動的平衡化システム(80)と、
前記筐体(20)の振動および回転から前記ベース・アセンブリ(50)および前記プラットフォーム(70)を分離するための振動分離ダンパー・システム(40)であって、前記ベースを前記フレームの前記クロスバー(34a、34b)からつり下げる垂直配向ダンパー(42)と、前記フレーム(30)の前記ベース・リング(32)に前記ベース・アセンブリ(50)を横方向に接続するための水平ダンパー(44)とを備えるダンパー・システム(40)とを備え、
前記ベース・アセンブリ(50)の前記ベース・リブ(52)は、前記計器プラットフォーム(70)の横揺れおよび縦揺れの範囲の選択された量に適合するように角度が調整されるデバイス(10)。
【請求項14】
運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置であって、
筐体(20)と、
前記筐体(20)内の牽引フレーム(30)と、
前記ダンパー(40)に取り付けられたベース・アセンブリ(50)と、
前記ベース・アセンブリ(50)に固定された底端部および上側自由端部とを有する支持台座(54)と、
前記台座(54)の前記上側自由端部に接続された単一球状空気軸受(55)と、
1点支持のために前記空気軸受(55)で支持された上部内側頂点を有する下側中空漏斗形状を備え、中央軸(75)を有する計器プラットフォーム(70)と、
前記空気軸受上の前記プラットフォームを動的に平衡化するための動的平衡化システム(80)と、
前記ベース・アセンブリ(50)から、前記牽引フレーム(30)から、および前記筐体(20)からの振動、旋回、および回転を含む運動ノイズに対して安定化されている間、前記場データを収集するために前記計器プラットフォーム(70)に取り付けられた少なくとも1つの場センサー(79)とを備える安定化場センサー装置。
【請求項15】
旋回および回転安定性を保持するために前記計器プラットフォーム(70)に接続された複数のジャイロ安定器(91、78)をさらに備える請求項14に記載の、運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置。
【請求項16】
前記球状空気軸受(55)は凸状支持部分および支持される半球体部分を備え、前記凸状支持部分および前記支持される半球体部分はいずれも球状空気軸受により誘導された過電流を最小化するための刻まれた溝(G)のクロスセクションを備える請求項14に記載の、運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置。
【請求項17】
前記計器プラットフォーム(70)は、外表面を有する上部ステム部分(71)と、同様に外表面および下側リブを有する下側円錐(72)部分とを備える請求項14に記載の、運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置。
【請求項18】
前記球状空気軸受(55)は、前記支持される半球体が空気のクッションに浮かぶように空気を前記凹型支持部分に供給するための凹型支持部分に接続された圧縮空気またはガス(57)のソースを備える請求項14に記載の、運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置。
【請求項19】
前記複数のジャイロ安定器(91、78)は、前記計器プラットフォーム(70)の前記ステム部分(71)内に含まれる1つの1次ジャイロ安定器(91)と、前記計器プラットフォームの前記ステム部分(71)の前記外表面に取り付けられ周囲に等間隔があけられた2つの2次ジャイロ安定器(78)とを備える請求項15に記載の、運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置。
【請求項20】
前記ジャイロ安定器が高透磁率の金属エンクロージャ(99)内に取り付けられる請求項19に記載の、運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置。
【請求項21】
各々が縦軸を有し、前記計器プラットフォーム(70)の前記円錐部分(72)の前記外表面に等間隔をあけて取り付けられる3つの場センサーを備え、前記3つの場センサー(79)は前記円錐部分(72)の前記下側リムに隣接して位置し、それらの横軸が前記計器プラットフォーム(70)の中央軸(75)と同一平面上にある請求項20に記載の、運動ノイズを低減して場データを収集するための安定化場センサー装置。

【公表番号】特表2013−517462(P2013−517462A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548313(P2012−548313)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/BR2011/000008
【国際公開番号】WO2011/085462
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(510277338)
【氏名又は名称原語表記】VALE S.A.
【Fターム(参考)】