説明

移動体コンテンツ提供システム及びサーバ

【課題】 コンテンツの種類に関わらず、そのコンテンツを確実に受信することができるとともに、移動体の乗客が特別な操作を行わなくても希望するコンテンツを受信することができる移動体コンテンツ提供システム及びサーバを提供する。
【解決手段】 移動体1が一時的に停止する地点近傍に設置される無線アクセス装置23と、移動体1が長時間停止する地点近傍に設置される無線アクセス装置42を有する。移動体1に送信するコンテンツのデータ量が所定値以上である場合には、移動体1は無線アクセス装置42からコンテンツを受信し、移動体1に送信するコンテンツのデータ量が所定値よりも小さい場合には、移動体1は無線アクセス装置23からコンテンツを受信するサービス代行サーバ64を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車等の移動体内の乗客に対して、ネットワークを介してコンテンツ等のデータを提供するための移動体コンテンツ提供システム及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動体の乗客に対してコンテンツ等のデータを提供するシステムとして、特許文献1に記載されている技術が知られている。この技術では、移動体の乗客が使用する利用者端末を、移動体に設置される無線送受信装置を介することにより、ネットワークに接続するようにしている。
【特許文献1】特開2004−173179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、移動体の乗客に対して提供するコンテンツの種類に関わらず、同じ経路でコンテンツ等の配信を行っていたため、移動体が移動している最中などには、コンテンツを正常に受信できない場合があるという問題があった。
また、移動体の乗客はネットワークに接続可能な状態にあるか否かを知ることは困難であり、コンテンツを受信するタイミングを逃してしまう可能性があるという問題もあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテンツの種類に関わらず、そのコンテンツを確実に受信することができるとともに、移動体の乗客が特別な操作を行わなくても希望するコンテンツを受信することができる移動体コンテンツ提供システム及びサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、移動体でコンテンツを受信するための移動体コンテンツ提供システムであって、前記移動体が一時的に停止する地点近傍に設置される第1の無線アクセス装置と、前記移動体が長時間停止する地点近傍に設置される第2の無線アクセス装置と、前記移動体に送信するコンテンツのデータ量が所定値以上である場合には、前記移動体は前記第2の無線アクセス装置から前記コンテンツを受信し、前記移動体に送信するコンテンツのデータ量が所定値よりも小さい場合には、前記移動体は前記第1の無線アクセス装置から前記コンテンツを受信する第1の制御手段とを有することを特徴とする移動体コンテンツ提供システムである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記移動体は、前記第1の無線アクセス装置に対してデータを送信するデータ送信手段と、前記移動体は、前記第1の無線アクセス装置と通信可能になるまで、前記データ送信手段により送信するデータを蓄積する蓄積手段と、前記移動体と前記第1の無線アクセス装置の間で通信が可能であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により通信が可能であると判定された場合に、前記蓄積手段に蓄積しているデータを前記データ送信手段から前記第1の無線アクセス装置に対して送信する第2の制御手段とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の移動体コンテンツ提供システムである。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、アクセスIDを記録するアクセスID記録手段と、前記アクセスIDを取得するアクセスID取得手段と、前記アクセスID取得手段が取得したアクセスIDが、前記アクセスID記録手段に記録されているアクセスIDと一致する場合にのみ、前記第1の制御手段によるコンテンツの受信及び前記第2の制御手段によるデータの送信を実行可能とする第3の制御手段とを更に有することを特徴とする請求項2に記載の移動体コンテンツ提供システムである。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、所定期間が経過した場合には、前記アクセスID記録手段に記録されているアクセスIDを消去することを特徴とする請求項3に記載の移動体コンテンツ提供システムである。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、前記判定手段は、前記第1の無線アクセス装置から送信され、前記移動体で受信する電波の強度が所定値以上になった場合に、前記移動体と前記第1の無線アクセス装置の間で通信が可能であると判定することを特徴とする請求項2〜4のいずれかの項に記載の移動体コンテンツ提供システムである。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、前記判定手段は、前記移動体が前記第1の無線アクセス装置に接近する時刻を記録しておき、その時刻を経過した場合に、前記移動体と前記第1の無線アクセス装置の間で通信が可能であると判定することを特徴とする請求項2〜4のいずれかの項に記載の移動体コンテンツ提供システムである。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、移動体内に設置されるサーバとデータの送受信を行うサーバであって、前記移動体内に設置されるサーバからデータ要求信号を受信するデータ要求信号受信手段と、前記データ要求信号受信手段が受信したデータ要求信号に基づいて、データを取得するデータ取得手段と、前記移動体内に設置されるサーバと通信が可能ではない場合には、前記データ取得手段が取得するデータを蓄積する蓄積手段と、前記移動体内に設置されるサーバと通信が可能である場合には、前記移動体内に設置されるサーバに対して、前記データ取得手段が取得するデータ又は前記蓄積手段に蓄積されているデータを送信するデータ送信手段とを有することを特徴とするサーバである。
【0012】
また、請求項8に記載の発明は、前記データ送信手段は、前記移動体が停車する地点近傍ごとに設置され、前記移動体が一時的に停止する地点近傍ごとに設置されたデータ送信手段のうち、前記移動体内に設置されるサーバと通信が可能なデータ送信手段により、前記データ取得手段が取得するデータ又は前記蓄積手段に蓄積されているデータを送信することを特徴とする請求項7に記載のサーバである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、移動体が受信するコンテンツのデータ量に応じて、第1の無線アクセス装置を介して受信するか、あるいは、第2の無線アクセス装置を介して受信するかについて決めるようにした。
これにより、移動体はコンテンツの種類に応じて、最適な経路でコンテンツを受信することができ、コンテンツの受信が完了していないうちに、通信ができなくなるという事態の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態による移動体コンテンツ提供システムついて説明する。
図1は、本実施形態の移動体コンテンツ提供システムの構成図である。この移動体コンテンツ提供システムは、移動体1、駅ネットワーク2、3、操車場ネットワーク4、外部ネットワーク5、管理ネットワーク6を有する。ここでは、移動体1が列車である場合について説明するが、このような構成に限定されるものではなく、車などであってもよい。
【0015】
移動体1は、無線装置10、ネットワーク接続用代行サーバ11、利用権管理サーバ12、コンテンツサーバ13、スイッチ14、無線アクセス装置15(15a、15b、・・・)、端末16、利用者端末17(17a、17b、17c、・・・)を有する。
無線装置10は、無線通信により、駅ネットワーク2、3や、操車場ネットワーク4との間でデータの送受信を行う。ネットワーク接続用代行サーバ11は、利用者端末17、端末16の代わりに駅ネットワークや操車場ネットワークから映画やゲームなどのコンテンツのデータを取得する。
利用権管理サーバ12は、利用者18(18a〜18d)が利用者端末17や端末16によりネットワーク接続用代行サーバ11にアクセスする場合の利用権の有無を判定し、その利用者が利用権を有する場合にはコンテンツ等の取得を認め、その利用者が利用権を有しない場合にはコンテンツ等の提供を拒否する。
【0016】
コンテンツサーバ13は、移動体1が操車時などの長時間停車する場合に、データ量の大きなコンテンツを、サービス代行サーバ64から受信し保存する。スイッチ14は、複数存在する無線アクセス装置15のどの端末との間でデータの送受信を行うか等について制御を行う。無線アクセス装置15(15a、15b、・・・)は、移動体1内に設置される通信装置であって、移動体1の乗客が所持する利用者端末17との間で無線通信を行う。
【0017】
端末16は、移動体1に備え付けられており、移動体1の乗客が操作することができる端末である。この端末16を利用することにより、移動体1の乗客は利用者端末17を所持していなくても外部ネットワーク5にアクセスすることができる。
利用者端末17(17a、17b、17c、・・・)は、移動体1の乗客が所持する端末であり、無線LAN(Local Area Network)を使用することが可能なPDA(Personal digital assistants)などの端末である。利用者18(18a、18b、18c、18d、・・・)は、移動体1の乗客である。
【0018】
駅ネットワーク2、3は、移動体1が停車する駅ごとに設置されるLANである。ここでは、駅ネットワークを2つ設置する場合について説明しているが、このような構成に限定されるものではなく、3駅以上に駅ネットワークを設置してもよい。この駅ネットワーク2、3は、それぞれ、ネットワークルータ21、31、データ蓄積サーバ22、32、無線アクセス装置23、33を有する。
ネットワークルータ21、31は、それぞれ、駅ネットワーク2、3が、駅ネットワーク1や外部ネットワーク5とデータの送受信を行う際の制御を行う。データ蓄積サーバ22、32は、ネットワークルータ21、31又は無線アクセス装置23、33を介して、駅ネットワーク2又は3が受信するデータを蓄積する。
【0019】
操車場ネットワーク4は、移動体1を構成する車両の変更などを行うための操車場に設置されるLANである。ここでは、操車場ネットワークを1つ設置する場合について説明するが、このような構成に限定されるものではなく、2つ以上の操車場ネットワークを設置するようにしてもよい。操車場では、移動体1が長時間停車するため、データのサイズの大きい映画やゲームなどのコンテンツを更新することができる。なお、データのサイズの大きいコンテンツを移動体1のコンテンツサーバ1で更新するために設置するネットワークは、上述した操車場に限定されるものではなく、移動体1がコンテンツの更新を行うための十分な時間停車することができる場所であればどこに設置してもよい。
この操車場ネットワーク4は、転送装置41、無線アクセス装置42を有する。転送装置41は、外部ネットワーク5とデータの送受信を行う際の制御を行う。無線アクセス装置42は、移動体1の無線装置10とデータの送受信を行う際の制御を行う。
【0020】
外部ネットワーク5としては、インターネットなどが用いられる。この外部ネットワーク5は、転送装置51、52を有する。転送装置51、52は、外部ネットワーク5と、駅ネットワーク2、3や、操車場ネットワーク4、管理ネットワーク1との間におけるデータの送受信を制御する。外部ネットワーク5からは、映画やゲームなどのコンテンツなどのデータや、メールやWebなどのデータが送信される。
【0021】
管理ネットワーク6は、全駅を管理する駅などに設置されるLANである。管理ネットワーク6は、全駅のデータを一元的に管理するために、本実施形態の移動体コンテンツ提供システムにおいて、1箇所にだけ設置される。この管理ネットワーク6は、ネットワークルータ61、コンテンツ利用管理サーバ62、利用者管理サーバ63、サービス代行サーバ64を有する。
ネットワークルータ61は、管理ネットワーク6が外部ネットワーク5とデータの送受信を行う際の制御を行う。コンテンツ利用管理サーバ62は、コンテンツの種類が、サイズの大きいデータであるか否か、リアルタイム性が要求されるデータであるか否か等についての情報を記録している。
【0022】
利用者管理サーバ63は、移動体1の外部から、駅ネットワークを介して、移動体1の乗客のネットワーク接続用代行サーバ11の使用を認めるか否かについての利用権を設定する。サービス代行サーバ64は、移動体1の乗客からの指示が蓄積された、ネットワーク接続用代行サーバ11からの指示に基づいて、移動体1の乗客に代わって、外部ネットワーク5からコンテンツなどを受信する。
なお、図1において、双方向矢印で結ばれている区間は、無線通信が行われることを示している。また、直線で結ばれている区間は、有線通信が行われることを示している。また、破線矢印で結ばれている区間は、移動体1の乗客である利用者18による操作を示している。
【0023】
次に、移動体1が駅ネットワークと操車場ネットワークのどちらの経路からコンテンツ等のデータを受信するのかについて説明する。コンテンツ利用管理サーバ62には、図2に示すようなデータベースが記録されている。つまり、外部ネットワーク5から取得するコンテンツを識別するための「コンテンツID」に対応付けて、そのコンテンツの「データのサイズの大小」、「リアルタイム性の有無」について記録する。「データのサイズの大小」は、コンテンツのデータ量が所定の閾値よりも大きいか小さいかによって決めることができる。また、「リアルタイム性の有無」については、そのコンテンツをより早く利用者に通知することが好ましいか否かによって判断する。
【0024】
「データサイズが小、リアルタイム性が小(コンテンツIDが0001)」の場合、「データサイズが大、リアルタイム性が小(コンテンツIDが0003)」の場合、「データサイズが大、リアルタイム性が大(コンテンツIDが0004)」の場合には、コンテンツのデータのサイズが大きく、移動体1が駅に停車している時間だけでは更新が完了できない可能性が高いため、移動体1が操車場に停止している時を利用して、コンテンツの更新を行うようにする。
一方、「データサイズが小、リアルタイム性が大(コンテンツIDが0002)」の場合には、データの送受信がすぐに完了するので、移動体1が駅に停車している時間を利用して、コンテンツの配信を行うようにする。
【0025】
次に、本実施形態による移動体コンテンツ提供システムの動作について説明する。
図3は、本実施形態による駅ネットワークからコンテンツを受信する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。ここでは、移動体1が駅ネットワーク2に停車している場合を例に挙げて説明する。
始めに、利用者端末17は、利用権管理サーバ12に対してMAC(Media Access Control)アドレス、アクセスID、メールアドレスの情報を送信する(ステップS01)。MACアドレスは、利用者端末17のEthernet(登録商標)カードに固有の識別情報である。また、アクセスIDは、本実施形態による移動体コンテンツ提供システムを利用可能な利用権を有しているか否かについての情報である。利用者は、予め利用権を取得しておく必要がある。例えば、駅や移動体1の売店で料金を支払うことにより、スクラッチ式のカードを販売し、そのスクラッチ部分を削り取ることにより、アクセスIDを読み取るようにすることが考えられる。アクセスIDは複数の英数字等から構成され、予測困難な文字列が使用される。
【0026】
利用権管理サーバ12では、アクセスIDを記録したデータベースを参照することにより、利用者端末17のアクセスIDが有効であるか否かをチェックする(ステップS02)。データベースに送信されたアクセスIDが記録されている場合には、次のステップS03へ進むが、アクセスIDが記録されていない場合には、アクセスを拒絶する。なお、あまり長期間、アクセスIDの利用権を認めると、収益性や安全性に問題があるため、一定期間経過後は、データベースからアクセスIDを削除するようにしてもよい。この場合は、その利用者は改めて、アクセスIDを取得することにより、再度、本実施形態による移動体コンテンツ提供システムを利用することができる。なお、このアクセスIDの設定は、移動体1内に設置されている利用権管理サーバ12ににより行うようにしてもよいし、移動体1外の利用者管理サーバ63などから遠隔操作により設定できるようにしてもよい。
【0027】
利用権管理サーバ12では、移動体1が移動中である場合には、無線通信を行うことができないので、データを蓄積する(ステップS03)。移動体1が駅ネットワーク2が設置されている駅に停車すると、移動体1の無線装置10と駅ネットワーク2の無線アクセス23との間で無線通信できるようになるため、利用権管理サーバ12は蓄積していたデータを、データ蓄積サーバ22に対して一斉に送信する(ステップS04)。データ蓄積サーバ22では、受信したMACアドレスに対応するIPアドレスを利用者端末17に割り当て、そのMACアドレスとIPアドレスとの対応関係をテーブル化して記録する(ステップS05)。この処理は、各駅に設置されているデータ蓄積サーバ22、32、・・・ごとに行われる。
【0028】
各駅に設置されているデータ蓄積サーバ22、32、・・・は、テーブル化したMACアドレスとIPアドレスを対応付けたデータを、利用者管理サーバ63へ送信する。利用者管理サーバ63には、各駅がテーブル化したMACアドレスとIPアドレスを対応付けたデータをまとめる(ステップS06)。利用者管理サーバ63は、まとめられた全駅のMACアドレスとIPアドレスを対応付けたデータを、全駅のデータ蓄積サーバ22、32、・・・に対して送信する(ステップS07)。利用者管理サーバ63からテーブルのデータを受信した各駅のデータ蓄積サーバ22、32、・・・は、テーブルを更新する(ステップS08)。
【0029】
上記ステップS05及びS06、ステップS07及びS08の処理により、利用者端末17と利用者管理サーバ63との間で通信が可能であることが確かめられたので、利用者管理サーバ63は利用者端末17に対して通信が可能である旨のメッセージを送信する(ステップS09)。利用者端末17では、そのメッセージを受信する(ステップS10)。
利用者端末17からは、例えば、閲覧したいWebページのURL(Uniform Resource Locators)を入力する(ステップS11)。外部ネットワーク5上では、要求されたURLの検索が行われ(ステップS12)、該当するWebページのデータを利用者管理サーバ63へ送信する(ステップS13)。
【0030】
利用者管理サーバ63は、受信したWebページのデータを、全ての駅ネットワークに対して送信する(ステップS14)。
このように全ての駅にWebページのデータを送信することにより、利用者端末17の利用者18が乗車している移動体1が既に駅を発車しており、そのデータを受信することができなくても、次の駅に設置されている駅ネットワークによって送信されるMACアドレスを参照することにより、そのWebページのデータを正しく受信することができる。
【0031】
データ蓄積サーバ22は、ステップS08で更新したテーブルを参照することにより、IPアドレスに対応するMACアドレスを特定する(ステップS15)。データ蓄積サーバ22は、Webページのデータをコンテンツサーバ13に対して送信する(ステップS16)。コンテンツサーバ13は、Webページのデータを受信し(ステップS17)、MACアドレスを参照することにより(ステップS18)、利用者端末17へ送信する。
利用者端末17では、Webページのデータを受信することにより、利用者18が希望していたWebページを閲覧することができる。
【0032】
上述した実施形態による移動体コンテンツ提供システムを利用すれば、利用者が移動体で移動中であって、ネットワークに接続できない場合であっても、停止駅に近づいて通信が可能となった場合に、即座にコンテンツ等のデータを取得することができるとともに、通信回線が圧迫されることを防止することができる。また、リアルタイム性が要求される情報については、操車場ネットワークを使用せず、駅ネットワークを利用して迅速に利用者に通知するようにしたので、利用者の利便性を向上させることができる。
【0033】
なお、上述した実施形態において、移動体1が駅ネットワークと通信可能であるか否かの基準としては、例えば、駅ネットワークから送信される電波を、移動体1で受信した時の強度が所定の閾値以上であった場合に、通信可能な状態になったと判定することができる。また、その他の方法として、移動体1が駅ネットワークが設置されている駅に到着する時刻を予め記録しておき、その時刻になった場合に、通信可能な状態になったと判定することもできる。
また、上述した実施形態において、管理ネットワーク6上のサービス代行サーバ64と移動体1内のネットワーク接続代行サーバ11、及び、管理ネットワーク6上のコンテンツ利用管理サーバ62と移動体1内のコンテンツサーバ13のそれぞれの通信は、データ蓄積サーバ22、32を介さず、直接行うことも可能である。
【0034】
なお、以上説明した実施形態において、図1におけるネットワーク接続用代行サーバ11、利用権管理サーバ12、コンテンツサーバ13、スイッチ14、コンテンツ利用管理サーバ62、利用者管理サーバ63、サービス代行サーバ64などの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動体コンテンツ提供システムの制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0035】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0036】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態の移動体コンテンツ提供システムの構成図である。
【図2】コンテンツ利用管理サーバ62に記録されるデータベースの一例である。
【図3】本実施形態による駅ネットワークからコンテンツを受信する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・移動体、2、3・・・駅ネットワーク、4・・・操車場ネットワーク、5・・・外部ネットワーク、6・・・管理ネットワーク、10・・・無線装置、11・・・ネットワーク接続用代行サーバ、12・・・利用権管理サーバ、13・・・コンテンツサーバ、14・・・スイッチ、15(15a、15b、・・・)・・・無線アクセス装置、16・・・端末、17(17a、17b、17c、・・・)・・・利用者端末、18(18a〜18d)・・・利用者、21、31・・・ネットワークルータ、22、32・・・データ蓄積サーバ、23、33・・・無線アクセス装置、41・・・転送装置、42・・・無線アクセス装置、51、52・・・転送装置、61・・・ネットワークルータ、62・・・コンテンツ利用管理サーバ、63・・・利用者管理サーバ、64・・・サービス代行サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体でコンテンツを受信するための移動体コンテンツ提供システムであって、
前記移動体が一時的に停止する地点近傍に設置される第1の無線アクセス装置と、
前記移動体が長時間停止する地点近傍に設置される第2の無線アクセス装置と、
前記移動体に送信するコンテンツのデータ量が所定値以上である場合には、前記移動体は前記第2の無線アクセス装置から前記コンテンツを受信し、前記移動体に送信するコンテンツのデータ量が所定値よりも小さい場合には、前記移動体は前記第1の無線アクセス装置から前記コンテンツを受信する第1の制御手段と、
を有することを特徴とする移動体コンテンツ提供システム。
【請求項2】
前記移動体は、前記第1の無線アクセス装置に対してデータを送信するデータ送信手段と、
前記移動体は、前記第1の無線アクセス装置と通信可能になるまで、前記データ送信手段により送信するデータを蓄積する蓄積手段と、
前記移動体と前記第1の無線アクセス装置の間で通信が可能であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により通信が可能であると判定された場合に、前記蓄積手段に蓄積しているデータを前記データ送信手段から前記第1の無線アクセス装置に対して送信する第2の制御手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の移動体コンテンツ提供システム。
【請求項3】
アクセスIDを記録するアクセスID記録手段と、
前記アクセスIDを取得するアクセスID取得手段と、
前記アクセスID取得手段が取得したアクセスIDが、前記アクセスID記録手段に記録されているアクセスIDと一致する場合にのみ、前記第1の制御手段によるコンテンツの受信及び前記第2の制御手段によるデータの送信を実行可能とする第3の制御手段とを更に有することを特徴とする請求項2に記載の移動体コンテンツ提供システム。
【請求項4】
所定期間が経過した場合には、前記アクセスID記録手段に記録されているアクセスIDを消去することを特徴とする請求項3に記載の移動体コンテンツ提供システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第1の無線アクセス装置から送信され、前記移動体で受信する電波の強度が所定値以上になった場合に、前記移動体と前記第1の無線アクセス装置の間で通信が可能であると判定することを特徴とする請求項2〜4のいずれかの項に記載の移動体コンテンツ提供システム。
【請求項6】
前記判定手段は、前記移動体が前記第1の無線アクセス装置に接近する時刻を記録しておき、その時刻を経過した場合に、前記移動体と前記第1の無線アクセス装置の間で通信が可能であると判定することを特徴とする請求項2〜4のいずれかの項に記載の移動体コンテンツ提供システム。
【請求項7】
移動体内に設置されるサーバとデータの送受信を行うサーバであって、
前記移動体内に設置されるサーバからデータ要求信号を受信するデータ要求信号受信手段と、
前記データ要求信号受信手段が受信したデータ要求信号に基づいて、データを取得するデータ取得手段と、
前記移動体内に設置されるサーバと通信が可能ではない場合には、前記データ取得手段が取得するデータを蓄積する蓄積手段と、
前記移動体内に設置されるサーバと通信が可能である場合には、前記移動体内に設置されるサーバに対して、前記データ取得手段が取得するデータ又は前記蓄積手段に蓄積されているデータを送信するデータ送信手段と、
を有することを特徴とするサーバ。
【請求項8】
前記データ送信手段は、前記移動体が停車する地点近傍ごとに設置され、
前記移動体が一時的に停止する地点近傍ごとに設置されたデータ送信手段のうち、前記移動体内に設置されるサーバと通信が可能なデータ送信手段により、前記データ取得手段が取得するデータ又は前記蓄積手段に蓄積されているデータを送信することを特徴とする請求項7に記載のサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−303643(P2006−303643A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119045(P2005−119045)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(302038718)株式会社エヌ・ティ・ティ ネオメイト (5)
【Fターム(参考)】