説明

移動体搭載用の受信機

【課題】測位精度や受信感度を効果的且つ簡便に向上させることが可能な受信機を提供する。
【解決手段】移動体搭載用の受信機(1)であって、被変調信号である情報信号が重畳された搬送波を受信するための受信手段(ANT)と、所定の帯域幅に対応して、受信された搬送波の一部を選択するフィルタ手段(103等)と、選択された搬送波の一部から情報信号を抽出する信号処理手段(11等)と、抽出された情報信号の信号特性、又は、抽出された情報信号の信頼性に基づいて、所定の帯域幅を変化させるように、フィルタ手段を制御する制御手段(20又は50等)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車載用の放送受信アンテナ等の、電磁波を送受信可能な移動体搭載用の受信機の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、船舶などの移動体の位置情報を表示するシステムとして、GPS(Global Positioning System)を利用したナビゲーション装置が知られている。そのようなシステムでは、GPSを利用して移動体の現在位置情報を算出し、ディスプレイ上に表示された地図上に、その移動体の現在位置を表示する。これにより、利用者は自分の移動体の現在位置を知ることができる。また、GPSを利用したナビゲーション装置などにおいて、電波により位置補正データを取得して測位精度を向上させることが知られている。
【0003】
特許文献1や2等では、地図上の位置を特定することが主用途の計算結果を、フィードバック制御しつつ測位精度を向上させる手法として、アンテナ部や追尾ループ処理部に対してフィードバック処理を行う手法について開示されている。
【0004】
また、特許文献3又は4等においては、通信の際の同期が確立された場合、フィルタの帯域幅を狭くして固定する手法について開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−32165号公報
【特許文献2】特開2003−244024号公報
【特許文献3】特願平2−99659号
【特許文献4】特願平3−324632号
【特許文献5】特表2003−536077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1等で開示された手法では、GPSを利用した受信システムとしては、フィードバック制御によって、アンテナの指向性を的確且つ高精度に制御して、測位精度や受信感度を適切に向上させることは困難となってしまうという技術的な問題点が生じる。
【0007】
また、上述した特許文献2等で開示された手法では、追尾ループより前工程である信号捕捉の工程においては、測位精度や受信感度を適切に向上させることは困難となってしまうという技術的な問題点が生じる。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、測位精度や受信感度を効果的且つ簡便に向上させることが可能な移動体搭載用の受信機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の移動体搭載用の受信機は、移動体搭載用の受信機であって、被変調信号である情報信号が重畳された搬送波を受信するための受信手段(例えばアンテナ)と、所定の帯域幅に対応して、前記受信された搬送波の一部を選択するフィルタ手段と、前記選択された搬送波の一部から前記情報信号を抽出する信号処理手段と、前記抽出された情報信号の信号特性、又は、前記抽出された情報信号の信頼性に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御する制御手段と、を備える。
【0010】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る、受信機について説明する。
【0012】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態は、移動体搭載用の受信機であって、被変調信号である情報信号が重畳された搬送波を受信するための受信手段(例えばアンテナ)と、所定の帯域幅に対応して、前記受信された搬送波の一部を選択するフィルタ手段と、前記選択された搬送波の一部から前記情報信号を抽出する信号処理手段と、前記抽出された情報信号の信号特性、又は、前記抽出された情報信号の信頼性に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御する制御手段と、を備える。
【0013】
本発明に係る信号特性とは、受信された搬送波に重畳された情報信号において、例えば信号対雑音比、所謂、SN比(Signal to Noise Ratio:以下、適宜、SNRと称す)等の受信感度を示す定量的又は定性的な性質を意味する。
【0014】
本発明に係る情報信号の信頼性とは、受信された搬送波に重畳された情報信号において、計算された移動体の現在位置と、例えば速度センサから出力されたセンサデータから推定される推定位置との差に基づいて決定される測位精度を示す定量的又は定性的な性質を意味する。尚、この信頼性は、地図データベースとの照合やマッチング処理などから推定される推定位置と、移動体の現在位置との誤差によって決定されてよい。また、計算された移動体の現在位置の分散や標準偏差などの移動体の現在位置の統計的なばらつきによって決定されてよい。
【0015】
本発明に係る情報信号の所定の帯域幅とは、例えばバンドパスフィルタ等のフィルタ手段において、情報信号を増幅したり又は中間周波数に変換したりする際に、可変に設定可能な帯域幅を意味する。
【0016】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態によれば、制御手段の制御下で、フィルタ手段によって、抽出された情報信号の信号特性、又は、抽出された情報信号の信頼性に基づいて、所定の帯域幅が変化される。言い換えると、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとをパラメータとしたフィードバック制御の下で、例えばバンドパスフィルタ等のフィルタ手段の帯域幅を変化させている。従って、受信機において、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとを適切な状態で、バランス良く、適切なタイミングで均衡させることができる。
【0017】
この結果、受信機において、受信状態の変化に適切に対応しつつ、測位精度のレベルと、受信感度のレベルとを向上させることが可能である。
【0018】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態の一の態様では、前記制御手段は、前記信号特性として、抽出された情報信号のSN比(Signal to Noise Ratio)に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御する。
【0019】
この態様によれば、情報信号のSN比(Signal to Noise Ratio)に基づいて、所定の帯域幅を、減少側に変化させることで、雑音のレベル、所謂、ノイズレベルを低下させ、受信感度のレベルを向上させることができる。
【0020】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態の他の態様では、前記抽出された情報信号に基づいて、前記移動体の位置を検出する検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記信頼性として、前記検出された移動体の位置のばらつき(例えば、分散や標準偏差など)に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御する。
【0021】
この態様によれば、検出された移動体の位置における、例えば、分散、標準偏差等のばらつきに基づいて、所定の帯域幅を、増加側に変化させることで、情報の欠損が殆ど又は完全にない状態の情報信号により近い状態の情報信号を得ることができる。
【0022】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態の他の態様では、前記移動体の加速度、速度、操舵角、又は操舵角速度を含む運動エネルギを測定する測定手段を更に備え、前記制御手段は、前記信頼性として、前記測定された運動エネルギから補正される移動体の位置に基づいて(例えば変化量や変化率に基づいて)、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御する。
【0023】
この態様によれば、移動体における、例えば測定された運動エネルギの変化量や変化率から補正される移動体の位置に基づいて、所定の帯域幅を、増加側に変化させることで、情報の欠損が殆ど又は完全にない状態の情報信号により近い状態の情報信号を得ることができる。
【0024】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態の他の態様では、前記移動体の位置を、地図データベース上で推定する推定手段を更に備え、前記制御手段は、前記信頼性として、前記推定された移動体の位置に基づいて(例えば誤差)、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御する。
【0025】
この態様によれば、移動体における、例えば地図データベース上で推定された移動体の位置と、計算された移動体の位置との誤差に基づいて、所定の帯域幅を、増加側に変化させることで、情報の欠損が殆ど又は完全にない状態の情報信号により近い状態の情報信号を得ることができる。
【0026】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態の他の態様では、前記抽出された情報信号に基づいて、前記移動体の位置を検出する検出手段と、前記移動体の運動エネルギを測定する測定手段と、前記移動体の位置を、地図データベース上で推定する推定手段と、(i)抽出された情報信号のSN比(Signal to Noise Ratio)、(ii)前記検出された移動体の位置のばらつき(例えば分散、標準偏差)、(iii)前記測定された運動エネルギ、及び(iv)前記推定された移動体の位置のうち少なくとも一つに基づいて(例えば4つの線形結合式に基づいて)、前記所定の帯域幅を変化させる際の、変化タイミングに加えて又は代えて変化量を決定するためのフィルタ幅変化指数を算出する算出手段とを更に備え、前記制御手段は、前記フィルタ幅変化指数に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御する。
【0027】
この態様によれば、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとをパラメータとしたフィルタ幅変化指数のフィードバック制御の下で、フィルタ手段の帯域幅を変化させている。従って、フィルタ幅変化指数に基づいて、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとを適切な状態で、バランス良く、適切なタイミングで均衡させることができる。この結果、移動体搭載用の受信機において、受信状態の変化に適切に対応しつつ、測位精度のレベルと、受信感度のレベルとを向上させることが可能である。
【0028】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態の他の態様では、前記制御手段は、測位精度を相対的に高くするために、前記所定の帯域幅を増加側に変化させるように前記フィルタ手段を制御することに加えて又は代えて、受信感度を相対的に高くするために、前記所定の帯域幅を減少側に変化させるように前記フィルタ手段を制御する。
【0029】
この態様によれば、所定の帯域幅の増加側への変化、又は、所定の帯域幅の減少側への変化に基づいて、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとを適切な状態で、バランス良く、適切なタイミングで均衡させることができる。この結果、移動体搭載用の受信機において、受信状態の変化に適切に対応しつつ、測位精度のレベルと、受信感度のレベルとを向上させることが可能である。
【0030】
本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態の他の態様では、前記フィルタ手段は、前記受信された搬送波における周波数を中間周波数に変化させる際に、前記受信された搬送波の一部を選択する。
【0031】
この態様によれば、例えば受信機のフロントエンド部に有されるフィルタ手段の帯域幅を、変化させる。即ち、フィルタ手段の帯域幅を増加させる又は減少させるだけの簡便な制御であるため、例えばGPS測位システムに適用される受信機における各種の制御に対して、過度の負荷を掛けることなく、実践上、効果的に適用できる。この結果、実際のGPS測位システムにおいて、全体的又は総合的な観点において、簡便に適用できる。
【0032】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
【0033】
以上説明したように、本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施形態によれば、受信手段と、フィルタ手段と、信号処理手段と、制御手段とを備える。従って、受信機において、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとを適切な状態で、バランス良く、適切なタイミングで均衡させることができる。この結果、受信機において、受信状態の変化に適切に対応しつつ、測位精度のレベルと、受信感度のレベルとを向上させることが可能である。
【実施例】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の受信機に係る、好適な実施例について説明する。
【0035】
(1)基本構成
先ず、図1及び図2を参照して、本発明の受信機に係る実施例の基本構成について説明する。
【0036】
(1−1)全体構成
先ず、図1を参照して、本発明の移動体搭載用の受信機に係る実施例の全体構成について説明する。ここに、図1は、本実施例に係る受信機の全体構成を示すブロック図である。
【0037】
図1に示されるように、本実施例に係る受信機1は、アンテナANTと、フロントエンド部10と、信号捕捉部11と、信号追尾部12と、測位計算部13と、比較部20と、センサ部30と、ナビゲーション部40と、変化手段50とを備えて構成されている。
【0038】
アンテナANTは、例えば1.5742GHzの周波数を有する衛星波に重畳された情報信号、所謂、GPS信号(Global Position System Signal)を受信する。
【0039】
フロントエンド部10では、RF信号(Radio Frequency Signal)から、複数種類のIF信号(Intermediate Frequency Signal)への変換が行なわれる。尚、フロントエンド部10の詳細については後述される。
【0040】
信号捕捉部11は、受信したGPS信号におけるドップラー誤差を定量的に把握する。詳細には、信号捕捉部11は、コードシフト量及びドップラー周波数を検出すると共に、GPS信号が、どの程度のドップラー誤差を有して、どのタイミングで受信されているかを把握する。特に、そのドップラー誤差を定量的に把握する過程において、信号対雑音比、所謂、SNR(Signal to Noise Ratio)を検出することができる。
【0041】
信号追尾部12は、ドップラーを含んだ周波数誤差を除去するためのループ処理、所謂、キャリアループ、及び、到達時間誤差を算出するためのループ処理、所謂、コードループを行う。特に、信号捕捉部11及び信号追尾部12において、上述した信号対雑音比を検出することができる。
【0042】
測位計算部13は、受信されたGPS信号に基づいて、測位計算が行われ当該受信機1を搭載した移動体の現在位置が出力される。この移動体の現在位置は、例えば1Hz等の所定の時間間隔で出力され、一定量保存される。詳細には、測位計算部13は、航法メッセージを解読するためのデータ復調部、及び、PVT計算を行うためのPVT計算部を有する。
【0043】
センサ部30は、例えばジャイロ、車速パルス、加速度センサのうち少なくとも1つのセンサを備えており、GPS信号によって計算される移動体の現在位置を補正する補正データを出力する。
【0044】
ナビゲーション部40は、GPS信号によって計算される移動体の現在位置を、道路情報や地図情報に基づいて補正するための補正データを出力する。
【0045】
比較部20は、次の3種類のパラメータに基づいて、フィルタ幅変化指数Nを、定量的に決定する。3種類のパラメータとは、(i)信号捕捉部11によって検出されたSNRに関するデータ、(ii)測位計算部13によって計算された移動体の現在位置に関するデータを所定時間だけ蓄積したデータ群、及び(iii)センサ部30に加えて又は代えてナビゲーション部40から出力された各種の補正データである。尚、フィルタ幅変化指数Nと各種の閾値とにおける比較処理の詳細については、後述される。
【0046】
変化手段50は、比較部20の結果に基づいて、フロントエンド部10に有される、GPS信号に対する、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタの帯域幅を変化させる。
【0047】
このように、本実施例では、GPS信号を受信した受信機1において、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとをパラメータとしたフィルタ幅変化指数Nのフィードバック制御の下で、フロントエンド部10におけるバンドパスフィルタの帯域幅を変化させるように構成されている。
【0048】
尚、例えば携帯用のGPS測位システムなどの各種のGPS測位システムの形態に対応して、例えばカーナビのようなGPS測位システムで一般的に採用されているセンサ部30やナビゲーション部40は省略してよい。また、一般的な移動体搭載用のGPS受信機のシステムについては、「精説GPS(Pratap Misra and Per Enge)」の第9章を参照されたし。
【0049】
(1−2)詳細構成
次に、図2を参照して、本実施例に係るフロントエンド部における詳細構成について説明する。ここに、図2は、本実施例に係る受信機に有されるフロントエンド部の詳細構成を示すブロック図である。
【0050】
図2に示されるフロントエンド部10は、GPS受信機において、プリアンプとダウンコンバージョンとを行うことを主な目的としている。即ち、アンテナANTから入力されたGPS信号を増幅させ、高周波から中間周波数にダウンコンバージョンすることで、例えばディジタル信号処理等の信号処理の簡便化を実現している。一般的には、ダウンコンバージョンの手法として、何段かに分けて最終的な中間周波数又はベースバンド周波数にダウンコンバージョンする。複数段でのダウンコンバージョンの過程において、周波数帯域のフィルタリングを行う。一般的には、このフィルタの帯域幅は固定値である。
【0051】
これに対して、上述したように本実施例では、GPS信号を受信した受信機1において、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとをパラメータとして、フロントエンド部10におけるバンドパスフィルタの帯域幅を変化させるように構成されている。
【0052】
詳細には、図2に示されるように、本実施例に係るフロントエンド部10は、LNA(Low Noise Amplifier)101と、ミキサ102と、BPF(Band Pass Filter)103と、ミキサ104と、BPF105と、アンプ106と、ADC(Analog to Digital Converter)107とを備えて構成されている。
【0053】
ミキサ102は、例えばPLL(Phase Lock Loop)及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)により生成される信号と、LNA101から出力される信号とを混合することにより第1のIF(Intermediate Frequency)信号、即ち、第1の中間周波数信号を生成し、BPF103へ供給する。
【0054】
BPF103は、受信した衛星波から情報信号を抽出するためのフィルタである。特に、BPF103の帯域幅であるフィルタ通過帯域、所謂、フィルタ幅は、上述した変化手段50によって変化可能である。そして、BPF103は、第1のIF信号をフィルタリングし、ミキサ104へ供給する。尚、本発明に係る帯域幅の一具体例が、BPF103の帯域幅であるフィルタ通過帯域によって構成されている。
【0055】
ミキサ104は、例えばPLL及びVCOにより生成される信号と、第1のIF信号とを混合することにより第2のIF信号、即ち、第2の中間周波数信号を生成し、BPF105へ供給する。
【0056】
BPF105は、第2のIF信号をフィルタリングし、IFAGCアンプ210へ供給する。
【0057】
BPF105は、供給された第2のIF信号をフィルタリングし、アンプ106へ供給する。特に、BPF105の帯域幅であるフィルタ通過帯域、所謂、フィルタ幅は、上述した変化手段50によって変化可能である。尚、本発明に係る帯域幅の他の具体例が、BPF105の帯域幅であるフィルタ通過帯域によって構成されている。
【0058】
アンプ106は、BPF105から供給される第2のIF信号を増幅し、AD変換器107へ出力する。
【0059】
ADC(Analog to Digital Converter:AD変換器)107は、アナログである第2のIF信号をデジタル信号に変換し、上述した信号捕捉部11へ供給する。
【0060】
尚、フロントエンド部10は、FFT(Fast Fourier Transform)処理を行う信号処理回路を有してよい。特に、図2に示されたフロントエンド部10の構成、及び、当該フロントエンド部10におけるRF信号から複数種類のIF信号への変換手法は、一例であり各種の形態をとってよい。例えば、フロントエンド部10の信号処理においては、中間周波数の段数を1段階又は3段階以上にしてよい。或いは、例えば、フロントエンド部10においては、一又は複数のBPFが、信号処理の経路上において、ADC107の後段側にあってよい。
【0061】
(2)動作原理
次に、図3を参照して、本発明の受信機に係る実施例の動作原理について説明する。ここに、図3は、本実施例に係る受信機の受信動作の流れを示したフローチャートである。
【0062】
図3に示されるように、本実施例に係る受信機1において、SNRが、信号捕捉部11によって検出される(ステップS1)。と同時に又は相前後して、測位計算部13によって、計算された移動体の現在位置に関するデータが取得され、これらの取得されたデータが、例えばメモリ等の記憶手段によって、所定時間だけ蓄積される(ステップS2)。と同時に又は相前後して、センサ部30に加えて又は代えてナビゲーション部40によって、移動体の現在位置を補正するための各種の補正データが取得される(ステップS3)。と同時に又は相前後して、ナビゲーション部40によって、例えばマップマッチングデータ等の移動体の現在位置を補正するための各種の補正データが取得されてよい(ステップS3a)。
【0063】
次に、上述した比較部20によって、フィルタ幅変化指数Nが定量的に決定されると共に、このフィルタ幅変化指数Nが閾値T1より小さいか否かが判定される(ステップS4)。この閾値T1は、所望となる測位精度及び受信感度を得られるように、理論的、実験的、経験的、又は、シミュレーション的等に基づいて、定義されてよい。
【0064】
このステップS4の判定の結果、フィルタ幅変化指数Nが閾値T1より小さいと判定されない場合、言い換えると、フィルタ幅変化指数Nが閾値T1より大きいと判定される場合、即ち、N>T1の場合(ステップS4:No)、変化手段50は、フィルタ幅を増加する側に変化させる(ステップS5)。
【0065】
他方、ステップS4の判定の結果、フィルタ幅変化指数Nが閾値T1より小さいと判定さる場合、即ち、N<T1の場合(ステップS4:Yes)、更に、このフィルタ幅変化指数Nが閾値T2(但し、T1>T2)より大きい又は等しいか否かが判定される(ステップS6)。この閾値T2は、所望となる測位精度及び受信感度を得られるように、理論的、実験的、経験的、又は、シミュレーション的等に基づいて、定義されてよい。このステップS6の判定の結果、フィルタ幅変化指数Nが閾値T2より大きいと判定される場合、言い換えると、閾値T2より大きく且つ閾値T1より小さい場合、即ち、T1>N>T2の場合(ステップS6:Yes)、変化手段50は、フィルタ幅を変化させなく、維持させる(ステップS7)。
【0066】
他方、ステップS6の判定の結果、フィルタ幅変化指数Nが閾値T2より大きい又は等しいと判定されない場合、言い換えると、フィルタ幅変化指数Nが、閾値T2より小さい場合、即ち、N<T2の場合(ステップS6:No)、変化手段50は、フィルタ幅を減少する側に変化させる(ステップS8)。
【0067】
尚、閾値T1又は閾値T2と略等しい場合、変化手段50は、フィルタ幅を変化させることなく、維持させてよい(上述した図3中のステップS7を参照)。或いは、フィルタ幅変化指数Nが閾値T1と略等しい場合、変化手段50は、変化手段50は、フィルタ幅を増加する側に変化させてよい。或いは、フィルタ幅変化指数Nが閾値T2と略等しい場合、変化手段50は、変化手段50は、フィルタ幅を減少する側に変化させてよい。
【0068】
次に、本実施例に係る受信機1において、本実施例に係る受信動作を終了するか否かが判定される(ステップS9)。ここで、受信動作を終了すると判定される場合(ステップS9:Yes)、一連の受信動作が終了される。他方、ステップS9の判定の結果、受信動作を終了すると判定されない場合(ステップS9:No)、上述したステップS1からステップS3までの処理に戻る。
【0069】
上述したように、本実施例では、次の3種類の変数データ、所謂、パラメータが、比較部20に入力され、これら入力された3種類のパラメータに基づいて、フィルタ幅変化指数Nが定量的に決定される。3種類のパラメータとは、(i)信号捕捉部11によって検出されたSNRに関するデータ、(ii)測位計算部13によって計算された移動体の現在位置に関するデータを所定時間だけ蓄積したデータ群、及び(iii)センサ部30に加えて又は代えてナビゲーション部40から出力された、移動体の現在位置を補正する各種の補正データである。
【0070】
より具体的には、フィルタ幅変化指数Nは、次の式(1)に示されるように、3つの変数データの積に、所定係数Kを掛け合わせることによって、定量的に決定されてよい。
(フィルタ幅変化指数N)= K × A × B × C …… 式(1)
但し、変数データAは、測位計算部13によって計算された移動体の現在位置と、センサ部30から出力されたセンサデータから推定される推定位置との差分に関する変数データを意味してよい。或いは、変数データAは、測位計算部13によって計算された移動体の現在位置と、ナビゲーション部40における地図データベースとの照合やマッチング処理などから推定される推定位置との差分に関する変数データを意味してよい。更に、或いは、変数データAは、(i)測位計算部13によって計算された移動体の現在位置と、(ii)センサ部30から出力されたセンサデータに加えてナビゲーション部40における地図データベースとの照合やマッチング処理などから推定される推定位置との差分に関する変数データを意味してよい。また、変数データBは、上述した所定時間だけ蓄積したデータ群から算出可能な測位計算部13によって計算された移動体の現在位置の分散や標準偏差などの移動体の現在位置のばらつきに関する変数データを意味する。また、変数データCは、信号捕捉部12によって検出されたSNRの値を示す変数データを意味する。
【0071】
特に、フィルタ幅変化指数Nは、上述したように定量的に決定されるが、上述した3種類の変数データにおける夫々の増加に従って、フィルタ幅変化指数Nも増加すると共に、3種類の変数データにおける夫々の減少に従って、フィルタ幅変化指数Nも減少する条件を満たすのであれば、他の計算式や関数やマップや数値モデル等によって、線形的又は非線形的に定量化されてよい。具体的には、フィルタ幅変化指数Nは、上述した3種類の変数データに対して所定係数が夫々掛け合わされ、それらの線形結合によって、定量化されてよい。
【0072】
尚、フィルタ幅変化指数Nは、上述した3種類の変数データによって定量的に決定されることに加えて又は代えて、衛星の配置から算出される精度劣化指数、所謂、DOP(Dilution of Precision)によって定量的に決定されてよい。具体的には、DOPが高いほど、位置誤差の散乱が大きいことを意味する。
【0073】
次に、定量化されたフィルタ幅変化指数Nは、変化手段50に入力され、このフィルタ幅変化指数Nに基づいて、変化手段50は、GPS信号の受信処理における、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタの帯域幅、所謂、フィルタ幅を変化させたり、維持させたりする。
【0074】
具体的には、上述したように、フィルタ幅変化指数Nが、閾値T1より大きい場合、即ち、N>T1の場合、変化手段50は、フィルタ幅を増加する側に変化させる(上述した図3中のステップS5を参照)。他方、フィルタ幅変化指数Nが、閾値T2(但し、T1>T2)より小さい場合、即ち、N<T2の場合、変化手段50は、フィルタ幅を減少する側に変化させる(上述した図3中のステップS8を参照)。或いは、他方、フィルタ幅変化指数Nが、閾値T2より大きく且つ閾値T1より小さい場合、即ち、T1>N>T2の場合、変化手段50は、フィルタ幅を変化させなく、維持させる。
【0075】
このように、本実施例では、GPS信号を受信した受信機1において、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとをパラメータとしたフィルタ幅変化指数Nのフィードバック制御の下で、フロントエンド部10におけるバンドパスフィルタの帯域幅を変化させている。
【0076】
従って、受信機1において、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとを適切な状態で、バランス良く、適切なタイミングで均衡させることができる。この結果、受信機1において、受信状態の変化に適切に対応しつつ、測位精度のレベルと、受信感度のレベルとを向上させることが可能である。
【0077】
尚、フロントエンド部10におけるバンドパスフィルタの帯域幅を変化する変化タイミングは、リアルタイムでよいし、所定の時間間隔で、帯域幅を変化させてよい。加えて、バンドパスフィルタの帯域幅を変化させる変化量は、連続的又は離散的な固定値でよいし、各種のパラメータによって決定される連続的又は離散的な可変値でよい。
【0078】
(3)本実施例の作用と効果との検討
次に、図4から図6を参照して、本発明の受信機に係る実施例の作用と効果とについて検討する。ここに、図4は、本実施例に係る、変調手法の一具体例であるスペクトラム拡散変調を概念的に示した模式図である。図5は、本実施例に係る、信号レベルと周波数との相関関係において、雑音のレベルに対して、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタの帯域幅を変化させる様子を概念的に示したグラフである。図6は、本実施例に係る、フィルタ幅変化指数を定量的に決定するための3種類の変数データを概念的に示した模式図である。
【0079】
詳細には、本願発明の発明者による研究によれば、スペクトラム拡散変調された情報信号における信号特性によって、本実施例に係る作用と効果とを説明することができる。
【0080】
最初に、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタの帯域幅、所謂、フィルタ幅を増加側に変化させる場合における作用と効果とについて説明する。先ず、スペクトラム拡散変調された情報信号を逆拡散し、情報信号を復調する場合、例えば誤り訂正等を必要とすることなく、この情報信号を情報の欠損が殆ど又は完全にない状態で復調させる場合、帯域幅は、理想的に考えると、無限大の大きさをとることが必要となる。尚、実践上では、情報信号が重畳された搬送波の周波数を、中間周波数にダウンコンバージョンする過程で有限の大きさの帯域幅になることが判明している。従って、帯域幅を、より大きく又はより広くさせることで、情報の欠損が殆ど又は完全にない状態の情報信号により近い状態の情報信号を得ることができる。スペクトラム拡散変調された情報信号について、具体的には、図4の左側に示された、時間軸上の振幅の変化で示されると共に、周波数軸上で周波数f0においてピークを有する信号レベルの変化で示された情報信号を、スペクトラム拡散変調した場合、図4の右側に示された、時間軸上の振幅の変化で示されると共に、周波数軸上で複数の周波数において複数種類のピークを夫々有する信号レベルの変化で示された情報信号を得ることができる。詳細には、図4に示された、スペクトラム拡散変調では、BPSK(Bi-Phase Shift Keying)変調方式における、ランダム化パターンとして、「1、0、1、1」の信号が示されている。
【0081】
特に、受信機を、例えばGPSなどの衛星測位システムにおいて利用する場合、衛星からの衛星波に重畳されている情報信号を受信する受信タイミングや受信時期や受信時間の時間間隔は、測位精度に対して、大きな影響を与えることが判明している。受信された情報信号におけるビット単位での区切りが明確に把握できれば、測位精度を格段に向上させることが可能である。従って、受信機を、例えばGPSなどの衛星測位システムにおいて利用する場合、帯域幅を、より大きく又はより広くさせることは、情報の欠損が殆ど又は完全にない状態の情報信号により近い状態の情報信号を得ることができるので、測位精度を向上させるために、顕著に効果的である。
【0082】
次に、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタの帯域幅、所謂、フィルタ幅を減少側に変化させる場合における作用と効果とについて説明する。即ち、帯域幅を、より小さく又はより狭くさせることで、雑音のレベル、所謂、ノイズレベルを低下させ、受信感度のレベルを向上させることができる。言い換えると、信号レベルが相対的に大きい部分に相当する必要最小限の信号を復調することによって、受信感度の高感度化を実現することができる。
【0083】
詳細には、スペクトラム拡散変調された情報信号は、周期的に信号レベルの大きさが変化する信号特性を有するため、周波数帯域に依存して、信号レベルの強度に違いが発生することが判明している。一方で、雑音は、いずれの周波数帯域においても、略均一的に発生している。このため、例えば信号レベルが最大となる周波数を中心とする帯域幅を、より小さく又はより狭くさせることで、雑音のレベルを、信号レベルの大きさに対して、相対的に低下させることができる。言い換えると、例えば信号レベルが最大となる周波数を中心とする帯域幅を、規定できる最小値に近づけることで、雑音を最大限、除去することができるので、SNRを最大値に近づけることができる。具体的には、図5に示されるように、例えば信号レベルが最大となる周波数を中心とする帯域幅を、より小さく又はより狭くさせることで、雑音の影響が大きい帯域を除去することで、雑音の影響が小さい帯域を通過した情報信号を取得できるので、SNRを最大値に近づけることができる。
【0084】
上述したように、本実施例では、次の3種類の変数データに基づいて、フィルタ幅変化指数Nが定量的に決定される。3種類のパラメータとは、具体的には、図6に示されるように、(i)信号捕捉部11によって検出されたSNRに関するデータ、(ii)測位計算部13によって計算された移動体の現在位置に関するデータを所定時間だけ蓄積したデータ群、及び(iii)センサ部30に加えて又は代えてナビゲーション部40から出力された、移動体の現在位置を補正する各種の補正データである。
【0085】
この結果、本実施例によれば、例えば上述した3種類の変数データによって決定されるフィルタ幅変化指数Nに基づいて、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタの帯域幅を適宜変化させることで、受信機1において、トレードオフの関係にある測位精度のレベルと、例えばSNR等の受信感度のレベルとを適切な状態で、バランス良く、適切なタイミングで均衡させることができる。以上の結果、受信機1において、受信状態の変化に適切に対応しつつ、測位精度のレベルと、受信感度のレベルとを向上させることが可能である。
【0086】
加えて、上述したように本実施例では、フロントエンド部10におけるバンドパスフィルタの帯域幅を、フィルタ幅変化指数Nのフィードバック制御下で、変化させる。即ち、バンドパスフィルタの帯域幅を増加させる又は減少させるだけの簡便な制御であるため、GPS測位システムにおける各種の制御に対して、過度の負荷を掛けることなく、実際のGPS測位システムにおいて、効果的に適用できる。以上の結果、実際のGPS測位システムにおいて、全体的又は総合的な観点において、簡便に適用できる。
【0087】
上述した実施例では、例えば携帯用や車載用のGPS信号を受信するGPS受信機について説明したが、本発明は、例えば家庭用、或いは、業務用の受信機などの、衛星波を利用した全ての衛星測位技術を利用した受信機に適用可能である。
【0088】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う、移動体搭載用の受信機もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施例に係る受信機の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例に係る受信機に有されるフロントエンド部の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例に係る受信機の受信動作の流れを示したフローチャートである。
【図4】本実施例に係る、変調手法の一具体例であるスペクトラム拡散変調を概念的に示した模式図である。
【図5】本実施例に係る、信号レベルと周波数との相関関係において、雑音のレベルに対して、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタの帯域幅を変化させる様子を概念的に示したグラフである。
【図6】本実施例に係る、フィルタ幅変化指数を定量的に決定するための3種類の変数データを概念的に示した模式図である。
【符号の説明】
【0090】
1 …… 受信機
10…… フロントエンド部
11…… 信号捕捉部
12…… 信号追尾部
13…… 測位計算部
20…… 比較部
30…… センサ部
40…… ナビゲーション部
103… BPF(Band Pass Filter)
105… BPF
ANT……アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体搭載用の受信機であって、
被変調信号である情報信号が重畳された搬送波を受信するための受信手段と、
所定の帯域幅に対応して、前記受信された搬送波の一部を選択するフィルタ手段と、
前記選択された搬送波の一部から前記情報信号を抽出する信号処理手段と、
前記抽出された情報信号の信号特性、又は、前記抽出された情報信号の信頼性に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする移動体搭載用の受信機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記信号特性として、抽出された情報信号のSN比(Signal to Noise Ratio)に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の移動体搭載用の受信機。
【請求項3】
前記抽出された情報信号に基づいて、前記移動体の位置を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記信頼性として、前記検出された移動体の位置のばらつきに基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体搭載用の受信機。
【請求項4】
前記移動体の加速度、速度、操舵角、又は操舵角速度を含む運動エネルギを測定する測定手段を更に備え、
前記制御手段は、前記信頼性として、前記測定された運動エネルギから補正される移動体の位置に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の移動体搭載用の受信機。
【請求項5】
前記移動体の位置を、地図データベース上で推定する推定手段を更に備え、
前記制御手段は、前記信頼性として、前記推定された移動体の位置に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御することを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の移動体搭載用の受信機。
【請求項6】
前記抽出された情報信号に基づいて、前記移動体の位置を検出する検出手段と、
前記移動体の運動エネルギを測定する測定手段と、
前記移動体の位置を、地図データベース上で推定する推定手段と、
(i)抽出された情報信号のSN比(Signal to Noise Ratio)、(ii)前記検出された移動体の位置のばらつき、(iii)前記測定された運動エネルギ、及び(iv)前記推定された移動体の位置のうち少なくとも一つに基づいて、前記所定の帯域幅を変化させる際の、変化タイミングに加えて又は代えて変化量を決定するためのフィルタ幅変化指数を算出する算出手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記フィルタ幅変化指数に基づいて、前記所定の帯域幅を変化させるように、前記フィルタ手段を制御することを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の移動体搭載用の受信機。
【請求項7】
前記制御手段は、測位精度を相対的に高くするために、前記所定の帯域幅を増加側に変化させるように前記フィルタ手段を制御することに加えて又は代えて、受信感度を相対的に高くするために、前記所定の帯域幅を減少側に変化させるように前記フィルタ手段を制御することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の移動体搭載用の受信機。
【請求項8】
前記フィルタ手段は、前記受信された搬送波における周波数を中間周波数に変化させる際に、前記受信された搬送波の一部を選択することを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の移動体搭載用の受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−5129(P2009−5129A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164673(P2007−164673)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】