説明

移動体通信端末装置

【課題】位置情報を送信しなければならない実質的時間帯のみ装置がアクティブモードとなり、位置情報の送信が不要となった段階で装置をスリープモードとなるようにして電池の消耗を防止する。
【解決手段】基地局を介して通信網に接続され、無線によるIPパケット通信により位置情報の送信が可能となるようにした移動体通信端末であり、無線によるデータ通信が可能となるようにする通信プロトコルおよびデータ送受信機能を備えた通信手段と、位置情報を生成するアプリケーションソフトウエアを格納する記憶手段とをモジュール化した通信端末プラットフォームを有し、装置本体の振動を検知する加速度センサーを備え、該加速度センサーから出力される検知信号の状態に基づいて前記通信端末プラットフォームに供給される電源の入切を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局を介して通信網に接続され、無線によるIPパケット通信が可能となるようにした移動体通信端末装置の現在位置を検出できるようにした移動体通信システムにおいて、この移動体通信端末装置が通信を必要とする実質的な時間帯に有効に稼動するアクティブモードと、通信を必要としない時間帯には稼動を停止するスリープモードを備え、これにより移動体通信端末装置の電池の消費量を削減するとともに、通信回線およびこれに付帯する機能の利用効率を向上できるようにした移動体通信端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信ネットワークの急速な普及により、この情報通信ネットワークを利用して人物や物品の現在位置を検索して確認することにより、安全の確保や業務効率を向上するようにした商業サービスが行われている。そして、この商業サービスを実現するためには、携帯電話機あるいは移動体通信端末装置の現在位置を検出することが必要であり、この検出方法の一例として、移動体通信端末装置の場合、基地局から送信される電波を受信してこの電界強度から判断する方法がある。
【0003】
これは、移動体通信端末装置が3箇所の基地局を選択して各基地局ごとの位置情報と電界強度情報とを取得し、各基地局を頂点とする三角形を定めてその重心点を求めた上、この重心点から各頂点に向かう電界強度に応じた3つのベクトルを合成し、合成ベクトルの示す方向および位置を現在の移動体通信端末装置の位置として定めるようにしたものである(例えば、特許文献1)。
【0004】
即ち、移動体通信端末装置が測定した複数の基地局の受信電界強度(RSSI)は、測定した各々の基地局識別情報(CSID)と受信電界強度の値をサーバに送信するようにしたもので、サーバ側で受信した複数の基地局識別情報と受信電界強度に基づいて予め当該移動体通信端末装置が登録されている基地局の位置情報から算出して移動体通信端末装置の位置を特定し、サーバは移動体通信端末装置の位置を緯度・経度により提供する。なお、前述のような方法以外に、移動体通信端末装置にGPS機能を搭載し、この移動体通信端末装置が取得したGPS情報に基づいて位置を特定する方法も実用化されている。
【0005】
移動体通信端末装置が位置を通知する方法として、呼出型と発呼型があり、呼出型は移動体通信端末装置の位置を知りたいときに、移動体通信端末装置を呼び出して応答した移動体通信端末装置が位置情報を送信して現在位置を取得する方法である。また、発呼型は移動体通信端末装置が一定周期で位置情報をサーバへ送信し、サーバにこの位置情報を時間情報とともに蓄積するようにしたもので、この蓄積された位置情報を参照して移動軌跡を取得する。
【0006】
発呼型を採用する位置情報サービスは、移動体通信端末装置が無線通信可能の圏内エリアと不能の圏外エリア検出し、圏内エリアにおいて位置情報の送信が行えるので、比較的無線エリアの狭いPHS方式において位置情報を取得する確率を高める効果がある。
【0007】
このような発呼型を採用した位置検索システムの例を図7に示す。同図において、符号101は移動体通信端末装置であり、無線IP通信網N1を介してサービスプロバイダSとデータ通信が可能となるようにしている。サービスプロバイダSは、位置検索サーバ103を接続した位置検索センター102、および位置計算サーバ105を接続した通信制御装置104を備える。なお、サービスプロバイダSは、所謂、通信回線設備を保有しない通信事業者である仮想移動体サービス事業者( MVNO:Movile Virtual Network Operator )により構築し得る。
【0008】
前記移動体通信端末装置101は、基地局CHと無線により通信接続され、無線IP通信網N1を介して通信制御装置104により位置検索センター102に接続される。位置検索センター102は、移動通信端末装置101で測定された複数の基地局CHの受信電界強度(RSSI)を基地局識別情報(CSID)とともに位置情報として位置検索サーバ103へ一定周期で通知する。
【0009】
位置検索サーバ103に通知された複数の位置情報は、位置検索センター102から通信制御装置104を介して位置計算サーバ105へ転送され、この位置計算サーバ105で前記位置情報が緯度・経度情報に変換された後、再び位置検索サーバ103に転送され、受信時刻とともに位置検索サーバに蓄積される。
【0010】
携帯電話機106の利用者は、電話回線網N2を介してサービスプロバイダSの位置検索センター102に接続し、携帯電話機106の利用者が予め登録した番号の移動体通信端末装置101の位置情報を要求する。この要求があると、位置検索センター102は、携帯電話機106の利用者が要求する登録番号に対応する移動体通信端末装置101の位置情報を位置検索サーバ103から取得して提供する。
【0011】
図8は、前述した位置検索システムを実現するための移動体通信端末装置101の構成を示すもので、同図において符号1は基板モジュール化された通信端末プラットフォームであり、インターフェース1aは装置の管理に必要なスイッチ類などが接続される。符号1bは通信機能、受信電界強度の測定などを実行するためのアプリケーションソフトウエアであり、半導体メモリに記憶されている。また、この通信端末プラットフォーム1には、無線IPパケット通信に必要なTCP/IPプロトコルソフトウエア1e、PPPプロトコルソフトウエア1fを備え、API( Application Program Interface )1cを経由してインターネット上での通信も可能となるようにしている。
【0012】
上記の他に通信処理を司る要素として、PHSや携帯電話機の情報通信ネットワークとの接続処理を行う通信アプリケーションソフトウエア1h、パケット信号を生成する無線パケットソフトウエア1i、L1/L2ソフトウエア1j、ベースバンド変換器1k、そしてRF変換器1lを備え、外部との通信が可能となるようにしている。なお、図9に前記移動体通信端末装置101による通信処理の流れをフローチャートにて示す。
【0013】
このように構成された通信端末制御モジュール1は、各機能要素が共通のCPU1mで制御され、アプリケーション処理および通信制御処理がなされるので、両機能を達成するための部品構成を最小限にすることができる。また、通信端末制御モジュール1を組み込む移動体通信端末装置101は携帯型装置であるため、電池120を必要とし、発信時と受信時の電圧をコントロールする電源制御部130、および装置を長期間使用しない場合に電気の消耗を防ぐためのスイッチPSを備える。
【特許文献1】特開2004−356755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記通信端末モジュール1を組み込んだ移動体通信端末装置101は、通話を目的とするものではなく、移動体通信端末装置101の所持者の現在位置を示す位置情報を所定の時間間隔で送信するものである。そして、サービスプロバイダSはこの位置情報を位置検索サーバ103に蓄積することにより、携帯電話機106からのアクセスで移動体通信端末装置101の所持者の現在位置を知ることができる。
【0015】
また、移動体通信端末装置101は所定の時間間隔で位置情報を送信するため、この位置情報を受信したサービスプロバイダSは、直ちに移動体通信端末装置101の所持者の現在位置を地図上で表示したメッセージを電子メールの形態で携帯電話機106へ送信し、現在位置を通知することもできる。
【0016】
例えば、幼児が小学校へ通学する際、通学鞄などに移動体通信端末装置101を携帯させておくことにより、通学路から外れることなく学校へ向かっていることを電子メールを受信する度に高い時間精度で確認することができる。また、通学路から外れて予想外の方向へ移動したような場合も、電子メールの受信で素早く認知することができるので、携帯電話106から位置検索サーバ103をアクセスする場合に比べセキュリティ管理には好ましいものとなる。
【0017】
何れにしても上記の例では、自宅と学校を往復する実質的時間帯には、確実に移動体通信端末装置101の通信端末モジュール1は電池120により起動されてアクティブモードとなっており、データ通信が可能である状態が維持されていなければならない。ところが、学校へ到着した以後の位置情報は全く無用のものとなるため、下校するまでの間、スイッチPSをオフとして電気の消耗を防ぐようにしなければならない。これは帰宅した後も同様で、位置情報の取得を不要とする時間帯は全て電源が遮断されたスリープモードとなることが望ましい。
【0018】
しかしながら、登校時に装置の電源を切り、下校時に電源を入れ、帰宅後再び電源を切るという習慣を幼児の身に付けさせるということは甚だ困難であり、また、このための管理者を置くことも現実的ではない。このようなことから、何らの対応がないままであると、登校後および帰宅後に電源が切られていないことから、位置情報の取得を不要とする時間帯も装置がアクティブモードとなっており、電池120の電気の消耗が進行してしまうことから、頻繁に電池交換あるいは充電の繰り返しを強いられることになる。
【0019】
さらに、上記した位置データを発信する方式の移動体通信端末装置101を複数の幼児が携帯して登校した場合、1箇所に複数の移動体通信端末装置101が集合してしまうことになる。かかる状況は、当該地域の基地局に集中して位置情報が発信されることになり、回線の混雑状態が継続されることになる。しかも、位置情報の取得を不要とする時間帯も電子メールの形態で位置情報を携帯電話機106が受信することから煩わしい対応が必要となり、そのうえ、電子メールの受信が課金の対象となっている場合は不要な出費が発生して経済的合理性を欠く結果となる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで本発明は、以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項1記載の発明では、基地局を介して通信網に接続され、無線によるIPパケット通信により位置情報の送受信が可能となるようにした移動体通信端末装置であり、無線によるデータ通信が可能となるようにする通信プロトコルおよびデータ送受信機能を備えた通信手段と、位置情報を生成するアプリケーションソフトウエアを格納する記憶手段とをモジュール化した通信端末プラットフォームを有し、装置本体の振動を検知する加速度センサーを備え、該加速度センサーから出力される検知信号の状態に基づいて前記通信端末プラットフォームに供給される電源の入切を管理する。
【0021】
請求項2記載の発明では、上記請求項1に記載の移動体通信端末装置において、前記加速度センサーから出力される検知信号を保持する第1の保持回路を有し、第1の保持回路が加速度センサーの作動を保持している間は該加速度センサー自身に供給される電源を切断し、第1の保持回路が前記通信端末プラットフォームによりリセットされると該加速度センサー自身に電源を供給できるようにする。
【0022】
請求項3記載の発明では、上記請求項1記載または請求項2に記載の移動体通信端末装置において、前記通信端末プラットフォームによりタイマー値が設定されるタイマー回路を備え、第1の電源投入条件として、該タイマー回路により設定される周期で通信端末プラットフォームに電源を供給し、第2の電源投入条件として、前記加速度センサーが作動し第1の保持回路がオン、通信端末プラットフォームが制御する第2の保持回路がオフのとき通信端末プラットフォームに電源を供給し、通信端末プラットフォームの処理終了時に通信端末プラットフォームから電源を切断する指示を受け通信端末プラットフォームへの電源を切断する電源制御回路を有し、電源の供給を受けた通信端末プラットフォームが第1の保持回路がオンを検出した時にアクティブモードとして第2の保持回路をオンに設定し、第1の保持回路がオフを検出した時にスリープモードとして第2の保持回路をオフに設定し、アクティブモードとスリープモードを決定する。
【0023】
請求項4記載の発明では、上記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の移動体通信端末装置において、スリープモードの場合、位置情報の送信を停止する。
【0024】
請求項5記載の発明では、上記請求項1乃至請求項3のいすれかに記載の移動体通信端末装置において、アクティブモードとスリープモードとで位置情報の送信周期を変更できるようにする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の移動体通信端末装置によれば、位置情報を送信しなければならない実質的時間帯のみ装置がアクティブモードとなり、位置情報の送信が不要となった段階で装置をスリープモードとなるようにして電池の消耗を防止することができる。また、特定の場所に複数の移動体通信装置が集合した場合においても基地局の回線の混雑を回避し、経済性を損なうことのない位置情報サービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて詳細に説明する。なお、既述の構成と同一の部分には同一の符号を付してその具体的説明を省略する。
【0027】
図1は本発明による移動体通信端末装置Aの全体の構成を示すブロック図であり、同図において符号1は上述した通信端末プラットフォームを示す。本発明の要素となる構成はこの通信端末プラットフォーム1のインターフェース1aに接続され、制御信号の授受が行われる。符号2は振動を受けて検知信号を出力する加速度センサーであり、電池3からセンサー電源制御回路4を介して電源が供給され、検知信号Gが信号成形回路5に出力するようにされている。
【0028】
前記信号成形回路5は、図2に示すように加速度センサー2の検知信号Gを入力する比較器5a・5bを備え、前記検知信号Gが閾値Vref+・Vref−と比較され、この閾値を越えた信号DET1・DET2がORゲート5cに入力する。図3は、かかる構成における信号の生成状態を時系列で示したもので、時系列上の移動地点であるA点〜J点の期間に加速度センサー2の検知信号Gが静止時の無出力を基準に+側と−側に同図に示すように出力されたものとする。
【0029】
D点とE点の間において検知信号Gが閾値Vref+を越えたことから、比較器5aから比較信号DET1が出力される。さらにI点とJ点の間において検知信号Gが閾値Vref−を越えたことから、比較器5bから比較信号DET2が出力される。このようにして比較信号DET1・DET2が出力されると、両信号はORゲート5cを介してインバータ5dに入力して信号が反転され、出力信号DETとして出力される。
【0030】
このようにして信号を生成する信号成形回路5を設けたのは、閾値Vref+・Vref−の値を変化させることにより、信号成形回路5の出力電圧に対して検出位置を変更するようにするためである。これは、信号成形回路5の感度を調整することができる機能となり、位置検出サービスの利用目的に合わせて感度設定が可能となる。なお、加速度センサーが一方向(X軸)の例を述べたが、加速度センサーが多軸(X軸、Y軸およびZ軸)の場合は、比較器5aと比較器5bをペアーとして2組追加し、ORゲートの入力数を増やすことで構成できる。
【0031】
符号6は第1保持回路であり、信号成形回路5から出力される出力信号DETを入力すると、この出力信号DETの入力がオフした後も継続して保持信号GETを出力する。そして、通信端末プラットフォーム1がこの保持信号GETを検知して読み取ると、図4に示すようにリセット信号R1が通信端末プラットフォーム1から出力され、保持信号GETの出力がオフとなる。
【0032】
第1保持回路6が保持信号GETを出力している期間は、加速度センサー2からの検知信号Gの入力を必要としないので、保持信号GETによりセンサー電源制御回路4を駆動して加速度センサー2への電源の供給を中断する。そして、通信端末プラットフォーム1が保持信号GETを読み取ってリセット信号R1を出力し、保持信号GETの出力がオフになると、センサー電源制御回路4から加速度センサー2へ再び電源が供給され、加速度センサー2から検知信号Gの出力が可能となる。したがって、加速度センサー2には保持信号GETの出力状態により電源が供給されるため、電池の消耗を防ぐことができる。
【0033】
符号7は第2保持回路であり、電源制御部9の動作を制御するための信号VCを出力するため、通信端末プラットフォーム1により制御される。即ち、通信端末プラットフォーム1への電源Vccの供給の開始に伴い送出される出力信号HETを入力して信号VCが出力されるようにしてある。ただし、この信号VCは通信端末プラットフォーム1へ電源Vccが投入されて回路が正常に動作を開始した後に送出される出力信号HETの入力に依存するため、図4に示すように通信端末プラットフォーム1への電源Vccの投入から僅かに遅れることになる。なお、この第2保持回路7から出力される信号VCは、第1保持回路7の保持信号GETと前記出力信号HETとによる論理条件による判断に基づいて送出されるリセット信号R3によりオフとなる。
【0034】
符号8は通信端末プラットフォーム1に電源を投入する周期を定めるためのタイマー回路であり、このタイマー回路8は通信端末プラットフォーム1において設定されたタイマー値で電源制御部9に電源のオンを指示する信号TS/TLを出力する。この電源制御部9は、電池3から供給される電源により通信端末プラットフォーム1を安定に動作させるとともに、通信端末プラットフォーム1へ供給される電源Vccのオン/オフ制御を行う。電源制御部9から電源Vccの供給を受けた通信端末プラットフォーム1は、電源投入後の初期化処理を行ってからアプリケーションの内容を実行処理した後、電源制御部9に電源Vccの切断を指示する信号R2を出力する。
【0035】
電源制御部9は、図5に示すようにANDゲート9a、インバータ9b、ORゲート9c、ラッチ回路9d、スイッチ回路9e、DC/DCコンバータ9fからなる。ANDゲート9aへは第1保持回路6から出力される保持信号GETが入力する一方、第2保持回路7から出力される信号VCがインバータ9bを介して入力する。
【0036】
したがって、前記保持信号GETがオンで信号VCがオフのとき、ORゲート9cを介してラッチ回路9dに信号が入力し、ラッチ回路9dをオン状態にする。これは、通信端末プラットフォーム1に電源Vccを供給する後述の第2の条件を実現することになる。ORゲート9cにはタイマー回路8の出力が接続されており、このタイマー回路8が設定された時限に至ると電源をオンにする信号を出力するため、ラッチ回路9dをオン状態にする。これは、通信端末プラットフォーム1に電源Vccを供給する後述の第1の条件を実現することになる。
【0037】
スイッチ回路9eは、電池3をDC/DCコンバータ9fに接続するためのもので、ラッチ回路9dの出力がオンになると電池3はDC/DCコンバータ9fに接続され、オフになると切断される。また、ラッチ回路9dは、通信端末プラットフォーム1から送られてくる信号R2によりスイッチ回路9eが切断する。DC/DCコンバータ9fは、スイッチ回路9eが電池3を接続すると、電池の電圧を通信端末プラットフォーム1が要求する電圧に変換して電源Vccを供給する。スイッチ回路9eが電池3との接続を切断すると、DC/DCコンバータは通信端末プラットフォーム1の電源の供給を停止する。
【0038】
つぎに、電源制御部9が通信端末プラットフォーム1に電源Vccを供給する第1の条件は、タイマー部8から電源オンを指示する信号を受けることにあり、この電源オンを指示する信号を電源制御部9が受けると通信端末プラットフォーム1に電源Vccが供給される。第2の条件は、加速度センサー2が作動して信号成形回路5から出力信号DETが出力されたとき、第1保持回路6のGETがオンで、第2保持回路7のVCがオフのときに通信端末プラットフォーム1に電源Vccが供給される。これにより、第1の条件で電源Vccが供給されない場合においても通信端末プラットフォーム1に電源Vccが供給されることになる。
【0039】
第2の条件で電源Vccが供給された通信端末プラットフォーム1は、第1保持回路6の保持信号GETがオン、第2保持回路7から出力される信号VCがオフであることを判定すると、第2保持回路7をオン状態に保持し、加速度センサー2が動作を開始したことを検出する。この仕組みにより加速度センサー2が動作したことによる位置情報の通知が可能となり、タイマー回路8に加速度センサー2が動作した時点のタイマー値を設定することが可能となる。
【0040】
第2保持回路7がオン状態に保持された後に連続して加速度センサー2が動作しても、電源制御部9は、第1保持回路がオン、第2保持回路7がオン状態を判定し、第2の条件が成立しないことから通信端末プラットフォーム1への電源の供給を行わない。第2の条件が成立したときに設定されたタイマー値に達すると、タイマー回路8からの信号により、電源制御部9は通信端末プラットフォーム1へ電源Vccを供給する。この動作により、加速度センサーが継続して動作中は、タイマー回路8に設定した周期で位置情報を送信する事ができる。
【0041】
電源制御部9から電源Vccが供給された通信端末プラットフォーム1は、第1保持回路6がオン、第2保持回路7がオン状態を判定して加速度センサー2が動作中であることを検出し、加速度センサー2が動作したことに対応した位置情報通知を行い、タイマー回路8に加速度センサー2が動作したときのタイマー値を設定する。また、第1保持回路6がオフ、第2保持回路7がオン状態を判定した場合は、加速度センサー2が動作していない状態であり、加速度センサー2が動作していなことに対応した位置情報の通知を行い、タイマー回路8に加速度センサー2が動作していない時点のタイマー値を設定する。
【0042】
上記により、加速度センサー2が動作した直後は、直ちに通信端末プラットフォーム1に電源を供給して位置情報の通報を行い、加速度センサー2が連続して動作している場合は、タイマー回路8に設定された周期で位置情報の通知を行うことが可能となる。また、第1保持回路6がオフ、第2保持回路7がオン状態を判定した場合、第2保持回路7をオフ状態としてスリープモードに設定する。スリープモードでは、タイマー回路8に長いタイマー値TLを設定する。あるいは、タイマー回路8を動作禁止設定として加速度センサー2が動作するまで位置情報の通知を停止状態にして電池の消費を少なくすることができる。
【0043】
図4は、本発明の動作例をタイムチャートで示したもので、加速度センサー2の検知信号Gは、信号成形回路5の出力信号DETとなり、第1保持回路6で保持される。第1保持回路6の保持信号GETがオンで第2保持回路7の信号VCがオフであると、電源Vccが通信端末プラットフォーム1に供給され、通信端末プラットフォーム1が動作を開始する。通信端末プラットフォーム1の処理により第1保持回路6がオンの場合は、信号VCがオンとなり、タイマー回路8に短いタイマー値TSを設定する。また、通信端末プラットフォーム1は、処理終了時に保持信号GETをオフとし、電源制御部9に電源切断の指示をする。
【0044】
また、信号VCがオン状態で保持信号GETがオンになっても電源Vccは通信端末プラットフォーム1に供給されず、タイマー回路8がタイムアウトとなった時点で電源Vccが通信端末プラットフォーム1に供給される。電源Vccが通信端末プラットフォーム1に供給され動作を開始したとき、保持信号GETがオフの場合は、通信端末プラットフォーム1は信号VCをオフとし、タイマー回路8に長いタイマー値TLを設定する。タイマー回路8を長いタイマー値TLに設定することにより、加速度センサー2の検知信号Gが検出されるまでは電源Vccが供給されないので、移動体通信端末装置Aが一定の場所に止まっている場合、同一場所から複数の位置情報を送信することを防止し、スリープモードすることができる。
【0045】
加速度センサー2の検知信号Gが検出されるまで移動体通信端末装置Aの位置情報を必要としないとき、通信端末プラットフォーム1は保持信号GETがオフの場合、タイマー回路8の動作を停止させる制御を行う。その後は検知信号Gが検出されるまで、通信端末プラットフォーム1に電源Vccが供給されないので、電池3の消耗をさらに防ぐことができる。なお、本発明の移動体通信端末装置Aの通信処理の流れをフローチャートにより図6に示す。
【0046】
以上、詳細に説明したように本発明によれば、データの送信が必要な実質的な時間帯のみに電池の電源が供給されるため電気消費量が極端に低くなり、煩わしい電源管理を払拭することができ、高い経済効果を得ることができる。なお、本発明による移動体通信端末装置を幼児に携帯させる場合を実施例として説明したが、この他、養護管理を必要とする老人に携帯させたり、あるいは長距離搬送荷物などに付帯して業務管理を行うことが可能であり、利用対象はきわめて広範である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の移動体通信端末装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図2】信号成形回路の構成を示す図である。
【図3】信号成形回路における信号の生成状態を示す図である。
【図4】本発明の移動体通信端末装置における信号処理の状態を示す図である。
【図5】電源制御部の構成を示す図である。
【図6】本発明の装置における信号処理の流れを示すフローチャート図である。
【図7】発呼型を採用した位置検索システムの例を示す図である。
【図8】移動体通信端末装置の構成の例を示す図である。
【図9】図8の装置における信号処理の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0048】
A・・・・・・移動体通信端末装置
1・・・・・・通信端末プラットフォーム
2・・・・・・加速度センサー
3・・・・・・電池
4・・・・・・センサー電源制御部
5・・・・・・信号成形回路
6・・・・・・第1保持回路
7・・・・・・第2保持回路
8・・・・・・タイマー回路
9・・・・・・電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介して通信網に接続され、無線によるIPパケット通信により位置情報の送受信が可能となるようにした移動体通信端末装置であり、
無線によるデータ通信が可能となるようにする通信プロトコルおよびデータ送受信機能を備えた通信手段と、位置情報を生成するアプリケーションソフトウエアを格納する記憶手段とをモジュール化した通信端末プラットフォームを有し、装置本体の振動を検知する加速度センサーを備え、
該加速度センサーから出力される検知信号の状態に基づいて前記通信端末プラットフォームに供給される電源の入切を管理するようにしたことを特徴とする移動体通信端末装置。
【請求項2】
前記加速度センサーから出力される検知信号を保持する第1の保持回路を有し、第1の保持回路が加速度センサーの作動を保持している間は該加速度センサー自身に供給される電源を切断し、第1の保持回路が前記通信端末プラットフォームによりリセットされると該加速度センサー自身に電源を供給することができるようにしたことを特徴とする請求項1記載の移動体通信端末装置。
【請求項3】
前記通信端末プラットフォームによりタイマー値が設定されるタイマー回路を備え、第1の電源投入条件として、該タイマー回路により設定される周期で通信端末プラットフォームに電源を供給し、第2の電源投入条件として、前記加速度センサーが作動し第1の保持回路がオン、通信端末プラットフォームが制御する第2の保持回路がオフのとき通信端末プラットフォームに電源を供給し、通信端末プラットフォームの処理終了時に通信端末プラットフォームから電源を切断する指示を受け通信端末プラットフォームへの電源を切断する電源制御回路を有し、電源の供給を受けた通信端末プラットフォームが第1の保持回路がオンを検出した時にアクティブモードとして第2の保持回路をオンに設定し、第1の保持回路がオフを検出した時にスリープモードとして第2の保持回路をオフに設定し、アクティブモードとスリープモードを決定するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された移動体通信端末装置。
【請求項4】
スリープモードの場合、位置情報の送信を停止するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された移動体通信端末装置。
【請求項5】
アクティブモードとスリープモードとで位置情報の送信周期を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の移動体通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−113366(P2008−113366A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296351(P2006−296351)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(505124258)株式会社CSC (6)
【Fターム(参考)】