説明

移動手段推定装置及び移動手段推定方法

【課題】 より高い精度でユーザの移動手段を推定する。
【解決手段】 移動手段推定装置10は、移動通信端末20から移動手段の推定の要求を受信する送受信部12と、受信された要求に含まれる情報に基づいて、移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20の数の情報を取得する近傍端末情報取得部13と、受信された要求に含まれる移動通信端末20の移動速度に関する速度情報、及び近傍端末情報に基づいて、移動通信端末20のユーザが利用している移動手段を推定する移動手段推定部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末のユーザが利用している移動手段を推定する移動手段推定装置及び移動手段推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザが携帯している移動通信端末の移動速度を測定して、移動速度に基づいて、ユーザが徒歩であるのかあるいは電車や自動車に乗車しているのか等のユーザの移動手段を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−283256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、バスや自動車は同程度のスピードで走行することもあり、上記の技術ではユーザがバスや自動車の何れに乗車しているのかを判別することはできない。即ち、上記の技術では、より高い精度でユーザの移動手段を推定することはできなかった。
【0005】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、より高い精度でユーザの移動手段を推定することを可能とする移動手段推定装置及び移動手段推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る移動手段推定装置は、移動通信端末の移動速度に関する速度情報を取得する速度情報取得手段と、移動通信端末の近傍に位置する別の移動通信端末に関する近傍端末情報を取得する近傍端末情報取得手段と、速度情報取得手段によって取得された速度情報、及び近傍端末情報取得手段によって取得された近傍端末情報に基づいて、移動通信端末のユーザが利用している移動手段を推定する移動手段推定手段と、移動手段推定手段によって推定された移動手段を示す情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る移動手段推定装置では、移動通信端末の移動速度に関する速度情報に加えて、移動通信端末の近傍に位置する移動通信端末に関する近傍端末情報にも基づいて移動手段が推定される。従って、例えば、移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍(周囲)に別の移動通信端末が存在しているか否かに基づいて、ユーザの移動手段を推定することができる。これにより、本発明によれば、より高い精度でユーザの移動手段を推定することが可能となる。
【0008】
近傍端末情報取得手段は、近傍端末情報として、近傍に位置する別の移動通信端末の数を示す情報を取得することが望ましい。この構成によれば、適切かつ容易にユーザの移動手段を推定することができる。
【0009】
近傍端末情報取得手段は、移動手段の推定対象となる移動通信端末が置かれた環境、又は当該移動通信端末によって取得された当該移動通信端末のユーザの状態を示す情報、並びに別の移動通信端末が置かれた環境、又は当該別の移動通信端末によって取得された当該移動通信端末のユーザの状態を示す情報を取得して、これらの情報に基づいて当該別の移動通信端末が移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に位置するか否かを判断することが望ましい。この構成によれば、適切かつ確実に移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に別の移動通信端末が存在しているかという情報を取得することができ、確実に本発明を実施することができる。
【0010】
近傍端末情報取得手段は、移動手段の推定対象となる移動通信端末の位置を示す位置情報、及び別の移動通信端末の位置を示す位置情報を取得して、これらの位置情報に基づいて当該別の移動通信端末が移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に位置するか否かを判断することが望ましい。この構成によれば、更に適切かつ確実に移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に別の移動通信端末が存在しているかという情報を取得することができる。
【0011】
近傍端末情報取得手段は、移動手段の推定対象となる移動通信端末と別の通信端末との間の距離を示す情報を取得して、この情報に基づいて当該別の移動通信端末が移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に位置するか否かを判断することが望ましい。この構成によれば、適切かつ確実に移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に別の移動通信端末が存在しているかという情報を取得することができ、確実に本発明を実施することができる。
【0012】
移動手段推定装置は、移動手段の推定対象となる移動通信端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段を更に備え、移動手段推定手段は、地図の情報を予め記憶しておき、位置情報取得手段によって取得された位置情報によって示される移動通信端末の位置の地図上の場所にも基づいて、移動通信端末のユーザが利用している移動手段を推定する、ことが望ましい。この構成によれば、移動通信端末の位置する場所にも基づいてユーザの移動手段が推定されるので、更に高い精度でユーザの移動手段を推定することが可能となる。
【0013】
ところで、本発明は、上記のように移動手段推定装置の発明として記述できる他に、以下のように移動手段推定方法の発明としても記述することができる。これはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【0014】
即ち、本発明に係る移動手段推定装置は、移動通信端末の移動速度に関する速度情報を取得する速度情報取得ステップと、移動通信端末の近傍に位置する別の移動通信端末に関する近傍端末情報を取得する近傍端末情報取得ステップと、速度情報取得ステップにおいて取得された速度情報、及び近傍端末情報取得ステップにおいて取得された近傍端末情報に基づいて、移動通信端末のユーザが利用している移動手段を推定する移動手段推定ステップと、移動手段推定ステップにおいて推定された移動手段を示す情報を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に別の移動通信端末が存在しているか否かに基づいて、ユーザの移動手段を推定することができ、これにより、より高い精度でユーザの移動手段を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る移動手段推定装置の機能構成を示す図である。
【図2】移動手段(乗り物)を速度と乗る人数とで分類した分布図である。
【図3】同空間共有判定用データベースに格納される情報の例を示すテーブルである。
【図4】同空間共有判定用データベースに格納される情報の例を示す別のテーブルである。
【図5】本発明の実施形態に係る移動手段推定装置のハードウェア構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る移動手段推定装置で実行される処理(移動手段推定方法)を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る移動手段推定装置で実行される処理(移動手段推定方法)の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面と共に本発明に係る移動手段推定装置及び移動手段推定方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には、同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1に本実施形態に係る移動手段推定装置10を示す。移動手段推定装置10は、移動通信端末20のユーザが利用している移動手段を推定する装置である。移動手段の推定とは、移動通信端末20を携帯しているユーザが徒歩であるのか、あるいは電車や自動車等のどのような乗り物に乗っているのかを推定することである。本発明では、図2の移動手段(乗り物)を速度と乗る人数とで分類した分布図に示される関係を利用して、ユーザが利用している移動手段を推定する。図2に示した分布図では、例えば、自家用車及びタクシーは、新幹線に比べて乗っている人数が少なく、速度が遅いことを示している。なお、従来の移動手段の推定方法においては、速度に基づいた推定(図2における横軸)は提案されていたが、乗っている人数に基づいた推定(図2における縦軸)は提案されていなかった。
【0019】
移動通信端末20は、例えば、ユーザに携帯される携帯電話機等の装置である。移動通信端末20は、通常、複数存在しており、それらが各ユーザによって携帯されている。移動通信端末20は、移動体通信網であるネットワークNに接続して通信を行う移動体通信機能を有している。移動手段推定装置10は、ネットワークNに接続されており(ネットワークNに含まれていてもよい)、移動手段推定装置10と、移動通信端末20とは、ネットワークNを通じて互いに情報を送受信することができる。
【0020】
移動通信端末20は、ユーザの行動を自動収集して記憶する機能を有している。移動通信端末20は、自端末20のユーザが利用している移動手段を推定するように移動手段推定装置10に対して要求を行う。移動通信端末20は、当該要求により移動手段推定装置10から得られた移動手段を示す情報を、ユーザがどの移動手段を利用していたかというユーザの行動の情報として記憶する。移動通信端末20は、自端末20を特定する情報(例えば、ユーザID)及び移動手段の推定に必要な情報を、送信する要求に含める。移動通信端末20による要求の送信、及び必要な情報の取得は、例えば、1分毎の一定の時間間隔で行われる。
【0021】
移動手段の推定に必要な情報には、移動通信端末20(を携帯するユーザの)移動速度に関する速度情報が含まれる。移動通信端末20は、その情報を得るため、自端末20の速度を検出するための機能を有している。速度の検出は、既存の方法を含む任意の方法が用いられる。具体的には、後述する加速度センサから得られる加速度の積分、後述する測位機能により求められた自端末20の位置の時間的な差分の算出、フェージング周波数Fdを用いた測定、及びネットワークNの基地局のセルIDの切り替わり間隔から算出等の方法が用いられる。速度情報は、例えば時速等の数値の情報として移動通信端末20に取得される。
【0022】
また、速度情報として移動通信端末20の加速度を用いることとしてもよい。その場合、移動通信端末20は、加速度センサを備え、加速度センサにより自端末20の加速度の情報を取得する。
【0023】
また、移動手段の推定に必要な情報として、移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20に関する近傍端末情報を取得(判断)するための情報がある。移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20とは、同じ乗り物内等の移動通信端末20と同じ空間に存在する移動通信端末20である。移動通信端末20の近傍に別の移動通信端末20が存在しているということは、当該別の移動通信端末20のユーザが移動手段の推定対象となる移動通信端末20のユーザの近傍にいることを意味している。本発明では、移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20のユーザを、移動手段の推定対象となるユーザと同じ空間を共有しているもの、即ち、同じ移動手段を利用しているものとして、移動手段の推定に利用する。
【0024】
具体的には、近傍端末情報には、移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20の数を示す情報が含まれる。また、近傍端末情報には、当該別の移動通信端末20を特定する情報が含まれていてもよい。
【0025】
移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20に関する近傍端末情報を取得するための情報としては、移動通信端末20の位置を示す位置情報が含まれる。移動通信端末20は、位置情報を取得するため、測位を行うための機能を有している。測位は、既存の方法を含む任意の方法が用いられる。具体的には、GPS(Global Positioning System)による測位、ネットワークNの基地局との間で送受信される電波の伝播遅延時間(RTT:RoundTrip Time)に基づく位置推定、自立航法測位(例:ジャイロ+加速度センサ)、及びRFIDや無線LANを用いた位置の推定等の方法が用いられる。位置情報としては、例えば、移動通信端末20の位置を示す緯度、経度及び高度の情報が取得される。
【0026】
近傍端末情報を取得(判断)するための情報として、上記以外の情報を用いることができる。具体的には、移動通信端末20が置かれた環境、又は移動通信端末20のユーザの状態を示す情報である。移動通信端末20が置かれた環境としては、例えば、移動通信端末20に加わる加速度、音(移動通信端末20の周囲の音の大きさ)や温度(移動通信端末20の周囲の温度)の情報である。また、移動通信端末20のユーザの状態を示す情報としては、ユーザの姿勢を示す情報やユーザの脳波を示す情報である。上記の情報を用いる場合は、移動通信端末20は、それらの情報を用いるためのセンサを備えており、センサによって情報を取得する。なお、ユーザの姿勢を示す情報やユーザの脳波を示す情報も、センサから出力される数値の情報(例えば、周波数毎の脳波の強さ)として取得される。
【0027】
近傍端末情報を取得するための情報として上記の情報を用いる場合は、複数の移動通信端末20がそれらの情報を取得する。また、上記の情報には、少なくとも何れかの情報が取得された時刻の情報(例えば、測位が行われた時刻)を対応付けておく。
【0028】
また、移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20に関する近傍端末情報を取得するための情報としては、移動通信端末20と別の移動通信端末20との間の距離を示す情報が用いられてもよい。その情報を用いる場合には、移動通信端末20は、別の移動通信端末20との間の距離を測定するための機能を有している。この距離の測定には、例えば、移動通信端末20及び別の移動通信端末20に内蔵される近距離無線技術(RFID、Bluetooth、zigbee)を用いて測定する方法が用いられる。近傍端末情報を取得するための情報としてこの情報を用いる場合は、必ずしも複数の移動通信端末20がその情報を取得する必要はない。以上が、移動手段の推定対象となるユーザに携帯される移動通信端末20の機能である。
【0029】
引き続いて、移動手段推定装置10について説明する。図1に示すように移動手段推定装置10は、同空間共有判定用データベース11と、送受信部12と、近傍端末情報取得部13と、移動手段推定部14とを備えて構成される。
【0030】
同空間共有判定用データベース11は、移動通信端末20を携帯するユーザが同じ空間を共有しているかを判定するための情報、及び判定結果の情報を記憶するデータベースである。具体的には、同空間共有判定用データベース11は、図3に示すテーブルに上記の情報を格納することによって記憶する。同空間共有判定用データベース11に記憶される情報は、移動手段推定装置10の別の機能手段から入力されて必要に応じて参照される。
【0031】
図3に示すようにテーブルには、「データID」、「推定時刻」、「位置推定結果」、「状況」、「センサ」及び「同空間判定」の情報がそれぞれ対応付けられて格納されている。当該テーブルは、ユーザ毎に用意されており、例えばそれぞれのテーブルがユーザIDに対応付けられている。各データ(1つのデータIDに対応するデータ)は、移動通信端末20から送信される1回のデータに対応している。
【0032】
「データID」は、データを一意に識別するための情報であり、新たに1つのデータがテーブルに格納される際に移動手段推定装置10によって自動的に付与される。「推定時刻」は、(移動通信端末20自身による)移動通信端末20の測位が行われた時刻である。「位置推定結果」は、(移動通信端末20自身によって測位されて得られた)移動通信端末20の位置を示す緯度、経度及び高度である。「状況」は、移動通信端末20が地図上のどの場所に位置しているかを示す情報である。「センサ」は、移動通信端末20が備えるセンサによって取得された情報である。本実施形態では、センサによる情報は、速度、加速度及び音の情報(それぞれ、図3のテーブルにおける「速度」、「加速度」及び「音」の情報)が用いられる。但し、上述したそれ以外の情報、例えば、姿勢センサや脳波センサの情報等が含まれていてもよい。
【0033】
「同空間判定」は、移動通信端末20と同じ空間に存在していると判断された別の移動通信端末の数(「共有者数」)と、当該別の移動通信端末20を特定する情報(「ユーザID」)とからなる情報である。これらの情報は、上記の近傍端末情報である。
【0034】
上記の情報のうち「推定時刻」、「位置推定結果」及び「センサ」については、移動通信端末20から受信された情報であり、「状況」及び「同空間判定」については、移動手段推定装置10において同空間共有判定用データベース11に記憶された情報に基づいて、算出あるいは判定された情報である。
【0035】
また、移動通信端末20を携帯するユーザが同じ空間を共有しているかを判定するための情報として、同空間共有判定用データベース11は、図4に示すテーブルに上記の情報を格納することによって記憶する。図4に示すようにテーブルには、「ユーザID」及び「距離」の情報がそれぞれ対応付けられて格納されている。当該テーブルは、ユーザ及び上記のデータID毎に用意されており、例えばそれぞれのテーブルがユーザID及びデータIDに対応付けられている。各データ(1つのユーザID及びデータIDに対応するデータ)は、移動通信端末20から送信される1回のデータに対応している。
【0036】
「ユーザID」は、(データを送信した移動通信端末20とは異なる)別の移動通信端末を示している。「距離」は、データを送信した移動通信端末20と当該別の移動通信端末との間の距離を示す値である。この情報は、上述したように、例えば、移動通信端末20及び別の移動通信端末に内蔵される近距離無線技術(RFID、Bluetooth、zigbee)が用いられて測定されたものである。
【0037】
送受信部12は、移動通信端末20との間で通信を行い、情報の送受信を行う手段である。送受信部12は、移動通信端末20から送信される自端末20のユーザが利用している移動手段を推定する要求を受信する。移動通信端末20から受信する要求には、当該移動通信端末20の移動速度に関する速度情報が含まれる。即ち、送受信部12は、速度情報を取得する速度情報取得手段である。速度情報としては、具体的には上記の図3のテーブルにおける「速度」の情報である。
【0038】
また、移動通信端末20から受信する要求には、移動通信端末20の近傍に位置する移動通信端末に関する近傍端末情報を取得(判断)するための情報が含まれる。即ち、送受信部12は、近傍端末情報を取得する近傍端末情報取得手段の一機能である。近傍端末情報を取得(判断)するための情報としては、具体的には上記の図3のテーブルにおける「推定時刻」に対応付けられた「位置推定結果」及び「センサ」の情報である。送受信部12は、上記のように移動手段の推定対象となる移動通信端末20の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段でもある。
【0039】
また、移動通信端末20の近傍に位置する移動通信端末に関する近傍端末情報を取得(判断)するための情報として、移動通信端末20から受信する要求には、図4に示す移動通信端末20と当該別の移動通信端末20との間の距離を示す情報が含まれる。
【0040】
また、移動通信端末20から受信する要求には当該移動通信端末20のユーザIDが含まれている。送受信部12は、移動通信端末20から受信した上記の情報を同空間共有判定用データベース11に出力し、ユーザIDに対応する同空間共有判定用データベース11のテーブルに格納させる。また、送受信部12は、移動通信端末20から要求を受信すると、近傍端末情報取得部13にユーザIDと共にその旨を通知する。
【0041】
送受信部12は、移動手段推定部14から推定された移動通信端末20のユーザの移動手段を示す情報を移動通信端末20に送信することによって出力する出力手段である。
【0042】
近傍端末情報取得部13は、送受信部12からユーザIDの通知を受けると、当該ユーザIDにより示される(移動手段の推定対象となる)移動通信端末20の近傍に、別の移動通信端末20が位置するかを判断する。近傍端末情報取得部13は、上記の判断を情報が取得された全ての別の移動通信端末20に対して行う。近傍端末情報取得部13は、移動通信端末20の近傍に位置すると判断した別の移動通信端末20の数をカウントして、近傍に位置する別の移動通信端末の数を示す情報を取得する。上記のように、近傍端末情報取得部13は、近傍端末情報を取得する近傍端末情報取得手段(の一機能)である。
【0043】
近傍端末情報取得部13は、情報を同空間共有判定用データベース11に格納された情報を参照して上記の判断を行う。近傍端末情報取得部13は、(移動手段の推定対象となる)移動通信端末20の近傍に別の移動通信端末20が位置する可能性を示す指標値を算出して、当該指標値と閾値とを比較して、指標値の方が閾値よりも大きいと判断された場合に近傍に位置すると判断する。閾値は、適切に近傍と判断できる値を予め設定して、近傍端末情報取得部13に記憶させておく。
【0044】
図3のテーブルに示す情報を用いる場合は、別の(ユーザIDの)移動通信端末20の情報を用いて判断を行う。上記の判断に用いる情報は、図3における最新の1以上のデータである。判断に用いる情報の数は、予め定められている。後述するように変化量を判断に用いる場合は、複数のデータが用いられる。比較対象となる別の移動通信端末20についても同じ数のデータを用いる。
【0045】
ここで、移動手段の推定対象となる移動通信端末20のデータの「推定時刻」と、比較対象となる別の移動通信端末20の対応するデータの「推定時刻」とを比較してそれらの時刻の差が予め定めた一定値以内であった場合のみに比較を行うこととしてもよい。上記の判断(指標値の算出)は、具体的には以下のように行う。
【0046】
「位置推定結果」の情報から移動通信端末20間の距離を算出して、当該距離から指標値を算出する。距離は、移動通信端末20間が近いほど小さな値となるので、例えば正負を逆転させたり逆数をとったりすることによって指標値を算出する。また、複数の「位置推定結果」から、推定位置の複数の変化量を算出して、当該変化量の移動通信端末20間の相関値(相関係数)を算出して、当該相関値を指標値としてもよい。
【0047】
また、移動通信端末20に設けられたセンサの情報である「速度」、「加速度」及び「音」についての複数のセンサの値や複数の値の変化量を算出して、それらの相関値(相関係数)を算出して指標値としてもよい。移動通信端末20同士が近傍に位置しており、同じ空間に位置しているものとすれば、上記の値や値の傾向が同様になるからである。更に、センサの情報としては、上記のものに加えて、ユーザの姿勢を示す情報やユーザの脳波を示す情報等を上記の指標値の算出に用いてもよい(その場合、「速度」等の情報と同様に相関値を算出する)。
【0048】
図4のテーブルに示す情報を用いる場合は、別の移動通信端末20の情報を用いる必要はない。その場合、別のユーザID毎に当該距離から指標値を算出する。上記と同様に、距離は、移動通信端末20間が近いほど小さな値となるので、例えば正負を逆転させたり逆数をとったりすることによって指標値を算出する。また、複数の(時系列の)距離の情報が利用できる場合は、距離の変化量の移動通信端末20間の相関値を算出して、当該相関値を指標値としてもよい。
【0049】
近傍端末情報取得部13は、判断可能な全ての別の移動通信端末20に対しての判断が終了したら、移動手段の推定対象の移動通信端末20の近傍に位置すると判断した別の移動通信端末20の数を、同空間共有判定用データベース11の図3に示すテーブルの「共有者数」の欄に格納する。また、近傍端末情報取得部13は、移動通信端末20の近傍に位置すると判断した別の移動通信端末20のユーザIDを同空間共有判定用データベース11の図3に示すテーブルの「ユーザID」の欄に格納する。また、近傍端末情報取得部13は、近傍端末情報の取得がされた旨を、移動手段の推定対象となる移動通信端末20のユーザIDと共に移動手段推定部14に通知する。
【0050】
なお、上記では、近傍の判断に、複数の指標値について説明したが何れか一つの指標値が用いられて判断されればよい。また、複数の指標値が用いられる場合は、例えば、5つの指標値のうち、3つ以上の指標値が閾値より大きな値である場合に近傍であると判断してもよい。また、複数の指標値を合計して1つの指標値として扱うこととしてもよい。
【0051】
移動手段推定部14は、送受信部12によって受信された速度情報、及び近傍端末情報取得部13によって取得された近傍端末情報に基づいて、移動通信端末20のユーザが利用している移動手段を推定する移動手段推定手段である。即ち、移動手段推定部14は、移動通信端末20の速度、及び移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20の数に基づいて移動手段を推定する。移動手段推定部14は、同空間共有判定用データベース11から推定に用いる、移動通信端末20の速度、及び移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20の数のそれぞれ最新の情報を取得する。移動手段推定部14は、移動通信端末20の速度、及び移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20の数に基づいた推定を行うためのルール(判断基準)を予め記憶しており、当該ルールに従って推定を行う。
【0052】
例えば、移動通信端末20の時速が3km未満であるか否か、及び近傍に位置する別の移動通信端末20の数が4以下であるか否かを判断して、時速が3km以上、及び近傍に位置する別の移動通信端末20の数が4を超えると判断した場合は、ユーザはバスを利用していると判定する。推定を行うためのこのルールは、例えば、図2に示す分布図に従って(予め移動手段推定装置10の管理者等が)作成することができる。
【0053】
上記の推定には、速度情報及び近傍端末情報以外の情報が用いられてもよい。例えば、同空間共有判定用データベース11の図3に示すテーブルの「音」の情報が用いられてもよい。「音」の数値を周囲の雑音の値として、この値が予め記憶された閾値より大きいか否かを判断して、大きい場合には移動手段はバイクであると判定し、大きくない場合には移動手段は自動車と判定する。
【0054】
更に、移動手段推定部14は、地図の情報を予め記憶しておき、当該情報を用いて、同空間共有判定用データベース11に格納された移動通信端末20の位置情報によって示される位置の地図上の場所を判別し、その情報を移動手段の推定に用いてもよい。移動手段推定部14に記憶される地図の情報は、例えば、カーナビゲーションシステム等に用いられる地図データ等の、地図上の位置が、海や川など水上か、あるいは電車のレールや道路等のどの場所に相当するかを判別できるものが用いられる。移動手段推定部14は、判別した地図上の場所を示す情報を移動通信端末20の状況として、同空間共有判定用データベース11の図3に示すテーブルの「状況」の欄に格納する。また、上記の状況は、移動通信端末20の位置情報自体に基づいて判別されてもよい。例えば、高度が予め記憶された閾値よりも大きかった場合、移動通信端末20が空に位置していると判別する。
【0055】
移動手段推定部14は、上記のように判別された移動通信端末20の状況に基づいて、ユーザの移動手段を推定する。例えば、「状況」が空又は水上である場合、移動手段推定部14は、ユーザの移動手段を飛行機又は船と判定する。
【0056】
なお、上記の「状況」の情報は、近傍端末情報取得部13による移動通信端末20の近傍の判断にも用いられてもよい。上述した例では、この判断に用いる指標値は、近傍端末情報取得部13は情報が取得された全ての別の移動通信端末20に対して算出することとしていた。「状況」の情報を用いることができる場合、同じ「状況」、即ち、移動手段の推定対象の移動通信端末20の「状況」がレール上である場合、「状況」が同じレール上の別の移動通信端末20に対してのみ指標値を算出することとすればよい。この場合、上記の「状況」の判別は、近傍端末情報取得部13による近傍の判断の前に行われる。
【0057】
移動手段推定部14は、推定した移動手段を示す情報を、移動通信端末20に送信するため送受信部12に出力する。また、合わせて近傍に位置していた移動通信端末20のユーザID等を出力してもよい。以上が、移動手段推定装置10の機能構成である。
【0058】
図5に移動手段推定装置10のハードウェア構成を示す。図5に示すように移動手段推定装置10は、CPU101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、通信を行うための通信モジュール104、並びにハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、上述した移動手段推定装置10の機能が発揮される。以上が、移動手段推定装置10の説明である。
【0059】
引き続いて、図6及び7のフローチャートを用いて、本実施形態に係る移動手段推定装置10により実行される処理(移動手段推定方法)を説明する。まず、図6のフローチャートを用いて、移動手段の推定に上記の「状況」の情報を利用しない場合の例を説明して、その後、図7のフローチャートを用いて、移動手段の推定に上記の「状況」の情報を利用する場合の例を説明する。
【0060】
本処理では、移動手段の推定対象となる移動通信端末20とは別の移動通信端末20からも移動手段推定装置10に図3のテーブルに示す情報が送信されて、移動手段推定装置10の同空間共有判定用データベース11に格納されている。移動手段の推定対象となる移動通信端末20から移動手段推定装置10に対して、移動手段の推定の要求が送信される。この要求には、当該移動通信端末20が備えるセンサ等によって取得された移動手段の推定に必要な情報が含められている。
【0061】
まず、移動手段推定装置10では、送受信部12によって移動通信端末20からの要求が受信される(S01、速度情報取得ステップ、近傍端末情報取得ステップ)。受信された各情報は、送受信部12によって同空間共有判定用データベース11に格納される(S02)。続いて、送受信部12から近傍端末情報取得部13に、移動通信端末20からの要求が受信された旨が通知される。
【0062】
ここで、近傍端末情報取得部13によって移動手段の推定対象となる移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20の数(同空間共有数n)が初期化(n=0)される。続いて、近傍端末情報取得部13によって、以下のように近傍端末情報の算出が行われる。まず、近傍端末情報取得部13によって、同空間共有判定用データベース11に格納された情報が参照されて、移動手段の推定対象となる移動通信端末20と何れかの別の移動通信端末20との間の上記の指標値が算出される(S03、近傍端末情報取得ステップ)。
【0063】
続いて、近傍端末情報取得部13によって、算出された指標値と閾値とが比較される(S04、近傍端末情報取得ステップ)。当該比較によって指標値の方が閾値よりも大きいと判断された場合、当該別の移動通信端末20は移動通信端末20の近傍に位置すると判断される。このように判断されると、近傍端末情報取得部13によって、同空間共有数nが1増加される(n=n+1とされる)(S05、近傍端末情報取得ステップ)。また、近傍端末情報取得部13によって、当該当該別の移動通信端末20のユーザIDが近傍にいるものとして記憶される。当該比較によって指標値の方が閾値よりも大きくないと判断された場合、当該別の移動通信端末20は移動通信端末20の近傍に位置すると判断されず、同空間共有数nが1増加されない。なお、上述したように同空間共有判定用データベース11に格納された複数の種別の情報に基づいて、複数の指標値が算出されて上記の判断が行われてもよい。
【0064】
続いて、指標値を算出しえる全ての別の移動通信端末20との間で上記の判断(S03〜S05)が終了したかが、近傍端末情報取得部13によって判断される(S06、近傍端末情報取得ステップ)。全ての別の移動通信端末20との間で上記の判断が終了されていないと、近傍端末情報取得部13によって判断されると、他の移動通信端末20に対して上記と同様に、指標値の算出(S03)、指標値を用いた判断(S04,S05)が行われ、再度、全ての別の移動通信端末20との間で上記の判断(S03〜S05)が終了したかが判断される(S06)。
【0065】
全ての別の移動通信端末20との間で上記の判断が終了されたと、近傍端末情報取得部13によって判断されると、同空間共有判定用データベース11にその結果が反映される。即ち、近傍端末情報取得部13によって、同空間共有判定用データベース11のテーブルの「同空間判定」の「共有者数」の欄にカウントされた同空間共有数nが、「ユーザID」の欄に近傍と判断された別の移動通信端末20のユーザIDが、それぞれ格納される。続いて、近傍端末情報取得部13から移動手段推定部14に近傍端末情報の取得がされた旨が通知される。
【0066】
続いて、移動手段推定部14によって以下のように、移動手段の判断対象である移動通信端末20に係る速度情報及び近傍端末情報が取得されて、当該情報に基づいて、移動通信端末20のユーザが利用している移動手段が推定される(S07〜S13、移動手段推定ステップ)。まず、移動手段推定部14によって、同空間共有判定用データベース11から、移動手段の推定対象の速度情報が取得され、当該速度情報によって示される時速が(徒歩であるか否かの境界値である)3km未満であるか否かが判断される(S07、移動手段推定ステップ)。3km未満であると判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段は徒歩であると判断される(S08、移動手段推定ステップ)。
【0067】
一方、時速が3km以上であると判断されると、続いて、同空間共有数nが(公共の乗り物であるか否かの境界値である)4以下であるか否かが判断される(S09、移動手段推定ステップ)。同空間共有数nが4以下であると判断されると、続いて、「音」の値(周囲の騒音)が予め移動手段推定部14に記憶された(屋外か車両内であるか否かの境界値である)閾値より大きいか否かが判断される(S10、移動手段推定ステップ)。周囲の騒音が閾値より大きいと判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段はバイクであると判断される(S11、移動手段推定ステップ)。周囲の騒音が閾値より大きくないと判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段は自動車(自家用車)であると判断される(S12、移動手段推定ステップ)。
【0068】
また、S09の判断において、同空間共有数nが4より大きいと判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段はバスであると判断される(S13、移動手段推定ステップ)。続いて、上記(S08,S11,S12,S13)のように推定された移動手段を示す情報が、移動手段推定部14から送受信部12に出力される。続いて、推定された移動手段を示す情報が、送受信部12から、要求を行った移動通信端末20に送信される(S14、出力ステップ)。以上が、本実施形態に係る移動手段推定装置10により実行される処理である。
【0069】
続いて、図7のフローチャートを用いて、移動手段の推定に上記の「状況」の情報を利用する場合の処理を説明する。まず、移動手段推定装置10では、送受信部12によって移動通信端末20からの要求が受信される(S21、速度情報取得ステップ、近傍端末情報取得ステップ)。受信された各情報は、送受信部12によって同空間共有判定用データベース11に格納される(S22)。続いて、送受信部12から近傍端末情報取得部13及び移動手段推定部14に、移動通信端末20からの要求が受信された旨が通知される。
【0070】
続いて、移動手段推定部14によって、同空間共有判定用データベース11に格納された移動通信端末20の位置情報によって示される位置の地図上の場所(空、レール、地面又は水上等)が判別される(S23、移動手段推定ステップ)。判別した地図上の場所を示す情報は、移動手段推定部14によって、移動通信端末20の状況として同空間共有判定用データベース11の図3に示すテーブルの「状況」の欄に格納される。
【0071】
続いて、近傍端末情報取得部13によって移動手段の推定対象となる移動通信端末20の近傍に位置する別の移動通信端末20の数(同空間共有数n)が初期化(n=0)される。続いて、近傍端末情報取得部13によって、以下のように近傍端末情報の算出が行われる。まず、近傍端末情報取得部13によって、同空間共有判定用データベース11に格納された情報が参照されて、移動手段の推定対象となる移動通信端末20と何れかの別の移動通信端末20との間の上記の指標値が算出される(S24、近傍端末情報取得ステップ)。なお、ここで、指標値の算出対象となる別の移動通信端末20を、移動手段の推定対象となる移動通信端末20の「状況」と同じ「状況」の情報を有するものに限定してもよい。
【0072】
続いて、近傍端末情報取得部13によって、算出された指標値と閾値とが比較される(S25、近傍端末情報取得ステップ)。当該比較によって指標値の方が閾値よりも大きいと判断された場合、当該別の移動通信端末20は移動通信端末20の近傍に位置すると判断される。このように判断されると、近傍端末情報取得部13によって、同空間共有数nが1増加される(n=n+1とされる)(S26、近傍端末情報取得ステップ)。また、近傍端末情報取得部13によって、当該当該別の移動通信端末20のユーザIDが近傍にいるものとして記憶される。当該比較によって指標値の方が閾値よりも大きくないと判断された場合、当該別の移動通信端末20は移動通信端末20の近傍に位置すると判断されず、同空間共有数nが1増加されない。なお、上述したように同空間共有判定用データベース11に格納された複数の種別の情報に基づいて、複数の指標値が算出されて上記の判断が行われてもよい。
【0073】
続いて、指標値を算出しえる全ての別の移動通信端末20との間で上記の判断(S24〜S26)が終了したかが、近傍端末情報取得部13によって判断される(S27、近傍端末情報取得ステップ)。全ての別の移動通信端末20との間で上記の判断が終了されていないと、近傍端末情報取得部13によって判断されると、他の移動通信端末20に対して上記と同様に、指標値の算出(S24)、指標値を用いた判断(S25,S26)が行われ、再度、全ての別の移動通信端末20との間で上記の判断(S24〜S26)が終了したかが判断される(S27)。
【0074】
全ての別の移動通信端末20との間で上記の判断が終了されたと、近傍端末情報取得部13によって判断されると、同空間共有判定用データベース11にその結果が反映される。即ち、近傍端末情報取得部13によって、同空間共有判定用データベース11のテーブルの「同空間判定」の「共有者数」の欄にカウントされた同空間共有数nが、「ユーザID」の欄に近傍と判断された別の移動通信端末20のユーザIDが、それぞれ格納される。続いて、近傍端末情報取得部13から移動手段推定部14に近傍端末情報の取得がされた旨が通知される。
【0075】
続いて、移動手段推定部14によって以下のように、移動手段の判断対象である移動通信端末20に係る速度情報及び近傍端末情報が取得されて、当該情報に基づいて、移動通信端末20のユーザが利用している移動手段が推定される(S28〜S38、移動手段推定ステップ)。まず、本処理では、移動手段推定部14によって、同空間共有判定用データベース11から移動手段の推定対象の移動通信端末の「状況」の情報が取得され、当該情報によって示される状況が空又は水上であるか否かが判断される(S28、移動手段推定ステップ)。状況が空又は水上であると判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段は飛行機又は船であると判断される(S29、移動手段推定ステップ)。
【0076】
続いて、移動手段推定部14によって、同空間共有判定用データベース11から、移動手段の推定対象の速度情報が取得され、当該速度情報によって示される時速が3km未満であるか否かが判断される(S30、移動手段推定ステップ)。3km未満であると判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段は徒歩であると判断される(S31、移動手段推定ステップ)。
【0077】
一方、時速が3km以上であると判断されると、続いて、同空間共有数nが4以下であるか否かが判断される(S32、移動手段推定ステップ)。同空間共有数nが4以下であると判断されると、続いて、「音」の値(周囲の騒音)が予め移動手段推定部14に記憶された閾値より大きいか否かが判断される(S33、移動手段推定ステップ)。周囲の騒音が閾値より大きいと判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段はバイクであると判断される(S34、移動手段推定ステップ)。周囲の騒音が閾値より大きくないと判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段は自動車(自家用車)であると判断される(S35、移動手段推定ステップ)。
【0078】
また、S32の判断において、同空間共有数nが4より大きいと判断されると、続いて、移動通信端末20の状況がレール上であるか否かが判断される(S36、移動手段推定ステップ)。移動通信端末20の状況がレール上でないと判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段はバスであると判断される(S37、移動手段推定ステップ)。移動通信端末20の状況がレール上であると判断されると、移動通信端末20のユーザの移動手段は電車であると判断される(S38、移動手段推定ステップ)。続いて、上記(S29,S31,S34,S35,S37,S38)のように推定された移動手段を示す情報が、移動手段推定部14から送受信部12に出力される。続いて、推定された移動手段を示す情報が、送受信部12から、要求を行った移動通信端末20に送信される(S39、出力ステップ)。以上が、本実施形態に係る移動手段推定装置10により実行される、移動手段の推定に上記の「状況」の情報を利用する場合の処理である。
【0079】
上述したように、本実施形態に係る移動手段推定装置10では、移動通信端末20の移動速度に関する速度情報に加えて、移動通信端末20の近傍に位置する移動通信端末に関する近傍端末情報にも基づいて移動手段が推定される。従って、移動通信端末20のユーザと同じ空間にどの程度の(何人の)ユーザが存在しているか(同空間共有)に基づいてユーザの移動手段を推定することができる。これにより、図2に示したような分布図を考慮した移動手段の推定を行うことができ、より高い精度でユーザの移動手段を推定することが可能となる。
【0080】
具体的には、移動速度のみに基づく従来の方法によれば、バスと乗用車とを区別することは難しかったが、本発明による方法によればバスと乗用車とを容易に判別することが可能である。また、本実施形態によれば、バスや電車といった乗り物自体に無線送信装置の付加等の特別な機能を設ける必要がなく、移動手段を推定することが可能になる。
【0081】
また、本実施形態のように近傍端末情報として、近傍に位置する別の移動通信端末20の数(同空間共有数)を用いることによって、適切かつ容易にユーザの移動手段を推定することができる。
【0082】
また、別の移動通信端末20が近傍に位置しているかの判断に位置情報やセンサの情報を用いることによって、適切かつ確実に移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に別の移動通信端末が存在しているかという情報を取得することができ、確実に本発明を実施することができる。
【0083】
また、本実施形態のように、移動通信端末20及び別の移動通信端末20に内蔵される近距離無線技術が用いられて、移動通信端末20によって取得された移動通信端末20と別の移動通信端末20との間の距離の情報に基づいて、別の移動通信端末20が近傍に位置しているかの判断を行ってもよい。この方法によっても、適切かつ確実に移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に別の移動通信端末が存在しているかという情報を取得することができ、確実に本発明を実施することができる。また、この方法によれば、移動手段推定装置10は別の移動通信端末20から情報を取得する必要がなく、移動手段の推定を行うことが可能になる。
【0084】
更に、本実施形態のように移動通信端末20の位置情報、及び地図の情報に基づいて、地図上の場所(状況)にも基づいて移動手段を推定することとすれば、更に高い精度でユーザの移動手段を推定することが可能となる。
【0085】
なお、本実施形態では、移動通信端末20の位置の推定は、移動通信端末20自身で行われているが、移動手段推定装置10において位置の推定の演算(測位演算)が行われてもよい。即ち、移動通信端末20から移動手段推定装置10に対して、測位演算を行うための情報(例えば、GPS衛星からの信号の受信に関する情報や基地局との間の通信のRTTを示す情報)が送信されて、移動手段推定装置10においてその情報に基づいて測位演算が行われてもよい。
【0086】
また、本実施形態においては、推定された移動手段の情報は、移動通信端末20に送信することとされているが、別の用途に利用されてもよい。例えば、移動通信端末20が存在している移動手段に応じて測位方法(GPS測位やマップマッチングの手法等)や測位間隔を変更する制御に用いることとしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10…移動手段推定装置、11…同空間共有判定用データベース、12…送受信部、13…近傍端末情報取得部、14…移動手段推定部、101…CPU、102…RAM、103…ROM、104…通信モジュール、105…補助記憶装置、20…移動通信端末、N…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末の移動速度に関する速度情報を取得する速度情報取得手段と、
前記移動通信端末の近傍に位置する別の移動通信端末に関する近傍端末情報を取得する近傍端末情報取得手段と、
前記速度情報取得手段によって取得された前記速度情報、及び前記近傍端末情報取得手段によって取得された前記近傍端末情報に基づいて、前記移動通信端末のユーザが利用している移動手段を推定する移動手段推定手段と、
前記移動手段推定手段によって推定された前記移動手段を示す情報を出力する出力手段と、
を備える移動手段推定装置。
【請求項2】
前記近傍端末情報取得手段は、前記近傍端末情報として、前記近傍に位置する別の移動通信端末の数を示す情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の移動手段推定装置。
【請求項3】
前記近傍端末情報取得手段は、移動手段の推定対象となる移動通信端末が置かれた環境、又は当該移動通信端末によって取得された当該移動通信端末のユーザの状態を示す情報、並びに前記別の移動通信端末が置かれた環境、又は当該別の移動通信端末によって取得された当該移動通信端末のユーザの状態を示す情報を取得して、これらの情報に基づいて当該別の移動通信端末が前記移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に位置するか否かを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動手段推定装置。
【請求項4】
前記近傍端末情報取得手段は、移動手段の推定対象となる移動通信端末の位置を示す位置情報、及び前記別の移動通信端末の位置を示す位置情報を取得して、これらの位置情報に基づいて当該別の移動通信端末が前記移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に位置するか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の移動手段推定装置。
【請求項5】
前記近傍端末情報取得手段は、移動手段の推定対象となる移動通信端末と前記別の通信端末との間の距離を示す情報を取得して、この情報に基づいて当該別の移動通信端末が前記移動手段の推定対象となる移動通信端末の近傍に位置するか否かを判断することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の移動手段推定装置。
【請求項6】
移動手段の推定対象となる移動通信端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段を更に備え、
前記移動手段推定手段は、地図の情報を予め記憶しておき、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報によって示される前記移動通信端末の位置の前記地図上の場所にも基づいて、前記移動通信端末のユーザが利用している移動手段を推定する、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の移動手段推定装置。
【請求項7】
移動通信端末の移動速度に関する速度情報を取得する速度情報取得ステップと、
前記移動通信端末の近傍に位置する別の移動通信端末に関する近傍端末情報を取得する近傍端末情報取得ステップと、
前記速度情報取得ステップにおいて取得された前記速度情報、及び前記近傍端末情報取得ステップにおいて取得された前記近傍端末情報に基づいて、前記移動通信端末のユーザが利用している移動手段を推定する移動手段推定ステップと、
前記移動手段推定ステップにおいて推定された前記移動手段を示す情報を出力する出力ステップと、
を含む移動手段推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−226174(P2010−226174A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68037(P2009−68037)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】