説明

移動物予測装置及びプログラム

【課題】移動物の将来の位置分布形状が複雑な形状であっても、計算量の増大を抑制することができるようにする。
【解決手段】領域分割部42によって、走路区分の領域及び静止物の領域に応じて領域を分割した領域分割マップを生成する。分岐ノード生成部44によって、領域境界上に分岐ノードを生成する。移動物生成部46によって、移動物の位置分布を、速度分布と共に記録する。領域分割マップにおいて移動物の位置分布に近傍に分岐ノードが存在する場合、移動物分割部52によって、分岐ノードの分岐すべき方向の数だけ、移動物の位置分布を生成すると共に、分岐ノードが存在する境界で隣接する領域の進入可能性に基づいて、各分岐すべき方向の分岐割合を算出し、移動物の位置分布に対して、分岐割合に応じた重み付けを行うと共に、対応する速度分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更する。位置更新部48によって、移動物の位置分布を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動物予測装置及びプログラムに係り、特に、移動物の将来の位置を予測する移動物予測装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自車走行状態と移動障害物の関係から、緊急回避すべき状態かどうかを判定し、周囲道路構造も含めた状態評価関数(例えば、リスクのポテンシャル)に対する最適制御軌道を算出して、車両制御を行う車両用支援制御装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、自車の走行制御計画の安全性を評価するために、周辺車両が将来時刻にとる存在位置分布予測を用いて、複数の自車の走行制御計画候補に対する安全性の評価を行い、最も安全な制御計画を選択する走行制御計画評価装置が知られている(特許文献2)。
【0004】
また、一次主体と1つ又はそれ以上の非一次主体との間の衝突の警報を容易にするシステムであって、一次主体の状態に基づいて、トリガ条件が満たされるかどうかを判断するように構成されたトリガ機構と、予備的評価機構とを含み、トリガ条件が満たされる場合に、予備的評価機構は、トリガ条件に関連する1つ又はそれ以上の衝突シナリオを生成し、衝突シナリオにおける衝突の予備確率を評価し、衝突シナリオにおける衝突の予備確率に基づいて、衝突シナリオにおける衝突の改善した確率を評価するように特化評価機構を作動させるように構成されることを特徴とするシステムが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−253770号公報
【特許文献2】特開2008−117082号公報
【特許文献3】特開2008−310803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1〜3に記載の技術のように、他者との衝突危険度を推定する際には移動物の将来位置予測が重要となる。移動物の将来位置予測には想定すべき挙動・制約の組み合わせが多く、移動物が置かれている環境によっては複雑な位置分布形状になることが考えられるため、計算量が増大してしまう、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、移動物の将来の位置分布形状が複雑な形状であっても、計算量の増大を抑制することができる移動物予測装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係る移動物予測装置は、検出対象範囲から、移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布を検出する移動物検出手段と、前記検出対象範囲から、複数種類の走路区分の領域及び静止物の領域を検出する領域検出手段と、前記領域検出手段によって検出された前記走路区分の領域及び前記静止物の領域に応じて、前記検出対象範囲の領域を分割した領域分割マップを生成するマップ生成手段と、前記領域分割マップにおいて、隣接する異なる領域間の境界上に、複数の分岐方向を含む分岐ノードを生成する分岐ノード生成手段と、前記領域分割マップにおいて、前記移動物検出手段によって検出された前記移動物の位置の確率分布を、前記移動状態の確率分布と共に記録する移動物記録手段と、前記領域分割マップにおいて前記移動物の位置の確率分布の中心との距離が所定値以下となる前記分岐ノードが存在する場合、前記分岐ノードの分岐方向のうち分岐すべき方向の数だけ、該移動物の位置の確率分布を生成すると共に、前記分岐ノードが存在する境界で隣接する領域の各々について定められた移動物の進入可能性に基づいて、各分岐すべき方向の分岐割合を算出し、前記分岐すべき方向の数だけ生成された前記移動物の位置の確率分布に対して、前記分岐割合に応じた重み付けを行うと共に、対応する前記移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更する分岐変更手段と、前記移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、前記領域分割マップ上の前記移動物の将来の位置の確率分布を予測する予測手段とを含んで構成されている。
【0009】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、検出対象範囲から、移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布を検出する移動物検出手段、前記検出対象範囲から、複数種類の走路区分の領域及び静止物の領域を検出する領域検出手段、前記領域検出手段によって検出された前記走路区分の領域及び前記静止物の領域に応じて、前記検出対象範囲の領域を分割した領域分割マップを生成するマップ生成手段、前記領域分割マップにおいて、隣接する異なる領域間の境界上に、複数の分岐方向を含む分岐ノードを生成する分岐ノード生成手段、前記領域分割マップにおいて、前記移動物検出手段によって検出された前記移動物の位置の確率分布を、前記移動状態の確率分布と共に記録する移動物記録手段、前記領域分割マップにおいて前記移動物の位置の確率分布の中心との距離が所定値以下となる前記分岐ノードが存在する場合、前記分岐ノードの分岐方向のうち分岐すべき方向の数だけ、該移動物の位置の確率分布を生成すると共に、前記分岐ノードが存在する境界で隣接する領域の各々について定められた移動物の進入可能性に基づいて、各分岐すべき方向の分岐割合を算出し、前記分岐すべき方向の数だけ生成された前記移動物の位置の確率分布に対して、前記分岐割合に応じた重み付けを行うと共に、対応する前記移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更する分岐変更手段、及び前記移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、前記領域分割マップ上の前記移動物の将来の位置の確率分布を予測する予測手段として機能させるためのプログラムである。
【0010】
本発明によれば、移動物検出手段によって、検出対象範囲から、移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布を検出する。領域検出手段によって、検出対象範囲から、複数種類の走路区分の領域及び静止物の領域を検出する。
【0011】
そして、マップ生成手段によって、領域検出手段によって検出された走路区分の領域及び静止物の領域に応じて、検出対象範囲の領域を分割した領域分割マップを生成する。分岐ノード生成手段によって、領域分割マップにおいて、隣接する異なる領域間の境界上に、複数の分岐方向を含む分岐ノードを生成する。移動物記録手段によって、領域分割マップにおいて、移動物検出手段によって検出された移動物の位置の確率分布を、移動状態の確率分布と共に記録する。
【0012】
そして、分岐変更手段によって、領域分割マップにおいて移動物の位置の確率分布の中心との距離が所定値以下となる分岐ノードが存在する場合、分岐ノードの分岐方向のうち分岐すべき方向の数だけ、該移動物の位置の確率分布を生成すると共に、分岐ノードが存在する境界で隣接する領域の各々について定められた移動物の進入可能性に基づいて、各分岐すべき方向の分岐割合を算出し、分岐すべき方向の数だけ生成された移動物の位置の確率分布に対して、分岐割合に応じた重み付けを行うと共に、対応する移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更する。
【0013】
そして、予測手段によって、移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、領域分割マップ上の移動物の将来の位置の確率分布を予測する。
【0014】
このように、分岐ノードの分岐すべき方向の数だけ、移動物の位置の確率分布を生成すると共に、対応する移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更し、移動物の将来の位置の確率分布を予測するようにすることにより、移動物の将来の位置分布形状が複雑な形状であっても、計算量の増大を抑制することができる。
【0015】
本発明に係る分岐変更手段は、前回予測された移動の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、移動物の位置の確率分布の中心との距離が所定値以下となる分岐ノードが存在する場合、分岐ノードの分岐方向のうち分岐すべき方向の数だけ、該移動物の位置の確率分布を生成すると共に、各分岐すべき方向の分岐割合を算出し、分岐すべき方向の数だけ生成された移動物の位置の確率分布に対して、分岐割合に応じた重み付けを行うと共に、対応する移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更することを繰り返し行い、予測手段は、分岐変更手段によって変更された移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、領域分割マップ上の移動物の将来の位置の確率分布を繰り返し予測するようにすることができる。
【0016】
本発明に係る移動物予測装置は、算出対象の移動物の位置の確率分布と、算出対象の移動物以外の移動物の位置の確率分布とに基づいて、算出対象の移動物と算出対象の移動物以外の移動物との衝突危険度を算出する危険度算出手段を更に含むようにすることができる。これによって、複雑な形状となる移動物の将来の位置分布を用いて、他の移動物との衝突危険度を精度良く算出することができる。
【0017】
本発明において、移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布の各々を、正規分布で表し、生成された移動物の位置の複数の確率分布を、混合正規分布で表すようにすることができる。
【0018】
本発明に係る領域検出手段は、検出対象範囲から、静止物の領域及び高さを検出し、静止物の領域の進入可能性を、検出された該静止物の高さに基づいて定めるようにすることができる。
【0019】
また、本発明に係る移動物検出手段は、検出対象範囲から、移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布と共に、移動物の種類を検出し、走路区分の領域の進入可能性を、移動物の種類毎に定めるようにすることができる。
【0020】
上記の移動物予測装置は、自装置を搭載した移動物から見て、検出対象範囲に存在する物体の位置を検出する物体位置検出手段と、自装置を搭載した移動物の運動を推定する運動推定手段と、前回更新された地図情報を、運動推定手段によって推定された自装置を搭載した移動物の現在の運動に基づいて、現在の自装置を搭載した移動物から見た地図情報に繰り返し更新する地図更新手段と、地図更新手段によって地図情報が更新される毎に、更新された地図情報に、物体位置検出手段によって検出された現在の物体の位置に対応するブロックに、静止物の存在を記録すると共に、自装置を搭載した移動物から検出された現在の物体の位置までの間に対応する各ブロックにおける静止物の存在の記録を減少させる静止物記録手段と、を更に含み、領域検出手段は、地図情報に基づいて、静止物の領域を検出するようにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の移動物予測装置及びプログラムによれば、分岐ノードの分岐すべき方向の数だけ、移動物の位置の確率分布を生成すると共に、対応する移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更し、移動物の将来の位置の確率分布を予測するようにすることにより、移動物の将来の位置分布形状が複雑な形状であっても、計算量の増大を抑制することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る衝突危険度判定装置を示すブロック図である。
【図2】(A)走行環境の例を示すイメージ図、(B)初期状態における局所地図情報を示すイメージ図、及び(C)レーザレーダによる検出結果が記録された局所地図情報を示すイメージ図である。
【図3】領域分割マップの例を示すイメージ図である。
【図4】領域の種類毎に与えられる進入可能性の例を示す図である。
【図5】領域分割マップに分岐ノードを記録した様子を示すイメージ図である。
【図6】分岐ノードの分岐方向を示す図である。
【図7】(A)位置分布の例を示すイメージ図、及び(B)位置分布が更新される様子を示すイメージ図である。
【図8】(A)速度分布の例を示すイメージ図、(B)分岐方向ベクトルと速度ベクトルとを示す図、及び(C)速度分布を変更する様子を示すイメージ図である。
【図9】複数の分岐方向から分岐すべき方向を選択する様子を示す図である。
【図10】分岐ノードによって位置分布が分割された後に更新された位置分布を示すイメージ図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る衝突危険度判定装置における局所地図生成処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る衝突危険度判定装置における危険判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る衝突危険度判定装置における分岐ノード生成処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る衝突危険度判定装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、車両に搭載された衝突危険度判定装置に、本発明を適用した場合を例に説明する。
【0024】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る衝突危険度判定装置10は、検出対象範囲である自車両の前方に対してレーザを1次元(水平方向)に走査しながら照射し、レーザの反射によりレーザが照射された物体の2次元位置を検出するレーザレーダ12と、自車両の運動状態を検出する運動センサ14と、自車両の前方を撮影するカメラ18と、自車両の位置を検出するGPS装置20と、これらの検出結果に基づいて、現在の自車両から見た前方の静止物の存在を記録した局所地図情報を生成すると共に、移動物の将来の位置及び移動状態を予測し、衝突する危険性があると判定された場合に表示装置24に警告メッセージを表示させるように制御するコンピュータ22とを備えている。
【0025】
ここで、移動物とは、自ら移動する能力を持つか否かに関わらず、移動状態である物体である。例えば、自動車、自動二輪車、自転車、歩行者などである。
【0026】
レーザレーダ12は、車両前方に設置され、装置を基準とする車両前方に存在する物体までの距離を検出する装置であり、出力するレーザを水平方向に走査することで、レーザの反射により自車両前方に存在する複数の物体表面上の複数の点の位置を検出することができる。レーザレーダ12による検出結果は、自車両前方に存在する物体表面のある点の位置を表す2次元座標の集合である。レーザレーダ12による検出処理は一定サイクルで実行され、レーザレーダ12は、各時点での自車両前方に存在する物体表面の複数の点の2次元位置を示すデータをコンピュータ22に出力する。なお、レーザレーダ12は、物体位置検出手段の一例である。
【0027】
運動センサ14は、自車両の速度を計測する車速センサ、ヨーレートを計測するジャイロセンサ、又は自車両の加速度を計測する加速度センサで構成されている。
【0028】
カメラ18は、小型のCCDカメラ又はCMOSカメラで構成され、車両の前方を撮影するように車両のフロントウィンドウ上部等に取り付けられている。カメラ18で撮影された前方の道路状況等の画像データは、コンピュータ22に入力される。
【0029】
コンピュータ22は、CPU、後述する局所地図生成処理ルーチン及び危険度判定処理ルーチンの各々を実行するためのプログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。このコンピュータ22をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、図1に示すように、レーザレーダ12により検出された物体の2次元位置を取得する物体位置取得部30と、運動センサ14により検出された車速、ヨーレート、又は加速度に基づいて、自車両の運動を推定する自車運動推定部32と、自車両の運動に基づいて、一時刻前までの局所地図情報を現在の自車両から見た座標系の局所地図情報に更新する局所地図更新部34と、検出された現在の物体の2次元位置に基づいて、更新された局所地図情報における静止物の存在確率を変更する存在確率変更部36と、を備えている。なお、存在確率変更部36は、静止物記録手段の一例である。
【0030】
自車運動推定部32は、局所地図情報が前回更新されてから現在までの間における、運動センサ14により検出された車速、ヨーレート、又は加速度に基づいて、局所地図情報が前回更新されてから現在までの自車両の運動を推定する。
【0031】
局所地図更新部34は、一時刻前までに更新された局所地図情報を、推定された自車両の運動に従って、現在の自車から見た座標系へと変換することで、現在の自車両から見た前方領域を表わす局所地図情報を生成する。また、局所地図更新部34は、局所地図情報の更新を繰り返し行う。局所地図情報は、図2(B)に示すように、自車両前方の一定領域内を、一定の大きさの格子(ブロック)によって分割した複数のブロックで表される地図である。各ブロックにはその位置に静止物が存在する確率が記録され、初期状態では、図2(B)に示すように、存在確率として初期値である0.5(中間値)が記録されている。
【0032】
存在確率変更部36は、局所地図更新部34により局所地図情報が更新される毎に、物体位置取得部30によって取得された現在の物体の2次元位置それぞれに基づいて、更新された局所地図情報において、その物体の2次元位置に対応するブロックの存在確率を増加させ、自車両からその物体の2次元位置までの直線上に存在する各ブロックの存在確率を減少させる。このように存在確率を変更することにより、一定期間以上、対応する位置で物体が検出されたブロックの存在確率は高くなり、物体が一時的にしか検出されないブロックの存在確率は低くなる。図2(A)に示すような走行環境である場合、図2(C)に示すように、例えば、静止物が確実に存在する位置のブロックには存在確率として1(最大値)が記録され、静止物が存在しない位置のブロックには存在確率として0(最小値)が記録される。また、他の物体によって隠されているなどの原因によって、その位置の情報が得られていないブロック(死角領域のブロック)には、存在確率として初期値である0.5(中間値)が記録される。
【0033】
この結果、多くの移動物が存在する走行環境においても、比較的長時間同じ位置に観測される路側物などの静止物のみを安定して検出可能である。また、現在までレーザレーダ12により観測できていない部分(不可視領域)も、存在確率が初期値(0.5)のままのブロックとして検出可能である。また、レーザレーダ12の計測点がほとんど得られない、自車両の位置から見て静止物が存在する領域より遠方側の領域は、初期値から変化しないので、死角領域とみなすことができる。
【0034】
また、コンピュータ22は、電子地図を記憶した地図データベース38と、カメラ18によって撮影された前方画像、GPS装置20によって検出された自車両の位置、及び電子地図に基づいて、自車両周辺の移動物及び走行環境の状況を検出する環境検出部40と、局所地図情報及び走行環境状況の検出結果に基づいて、静止物の領域及び各種の走路区分の領域に分割した領域分割マップを生成し、各分割領域に進入可能性を付与する領域分割部42と、領域分割マップにおいて隣接する分割領域の境界上に分岐ノードを生成する分岐ノード生成部44と、物体位置取得部30によって取得された物体の2次元位置の時系列データ、局所地図情報、及び運動センサ14の検出結果に基づいて、自車両も含む移動物の位置分布及び運動状態分布を表わす移動物データを生成して領域分割マップ上に記録する移動物生成部46と、移動物の位置分布及び運動状態分布に基づいて、将来の位置分布を予測して、領域分割マップ上に記録された移動物データを更新する位置更新部48と、移動物データの位置分布の近傍に分岐ノードが存在するか否かを判定する分岐判定部50と、分岐ノードが存在する場合に、位置分布を複数に分割すると共に、分割された位置分布の各々に対応する運動状態分布を変更する移動物分割部52と、移動物データの位置分布に基づいて、自車両と他の移動物とが衝突する危険性があるか否かを判定し、判定結果を表示装置24に表示させる危険判定部54とを備えている。
【0035】
位置更新部48、分岐判定部50、移動物分割部52、及び危険判定部54による一連の処理は、繰り返し実行される。なお、環境検出部40及び領域分割部42は、領域検出手段の一例である。領域分割部42は、マップ生成手段の一例である。分岐判定部50及び移動物分割部52は、分岐変更手段の一例であり、位置更新部48は、予測手段の一例である。危険判定部54は、危険度算出手段の一例である。
【0036】
地図データベース38に記憶されている電子地図には、道路形状や標識表示、建造物に関する情報が格納されている。
【0037】
環境検出部40は、GPS装置20によって検出された自車位置に基づいて、地図データベース38の電子地図から、自車両周辺の道路形状や標識表示、建造物に関する情報を検出する。また、環境検出部40は、カメラ18によって撮影された前方画像から、学習型のパターン認識技術(例えば、SVM)によって、前方に存在する移動物及び移動物の種類(例えば、歩行者、二輪車、自動車等)を検出すると共に、前方の道路における各種の走路区分の種別(車線、歩道、横断歩道、信号、一時停止線など)及び領域を検出する。また、カメラ18によって撮影された前方画像から、静止物の高さを検出する。
【0038】
領域分割部42は、局所地図情報において、静止物(例えば、ガードレール、植込み、建物、駐停車車両など)が存在する領域を検出し、検出された静止物の領域と、環境検出部40によって検出された各走行領域の領域とに基づいて、図3に示すように、自車周辺領域を走路区分及び静止物により領域分割した領域分割マップを生成する。また、各分割領域に対して、図4に示すように、走路区分の種類及び静止物に対して予め定めた侵入可能性を表す数値(例えば0〜1までの確率値)を付与する。また、静止物の領域に対しては、環境検出部40により検出された静止物の高さに基づき、侵入可能性を表す数値を付与してもよい。例えば、高さhが、0<h<1.0mである場合には、1.0−hを、進入可能性として付与し、h>1.0mである場合には、0を進入可能性として付与する。また、走路区分の種類に応じた進入可能性については、移動物の種類ごとに変えた侵入可能性を表す数値が付与される。また、信号などにより侵入可能性が時間的に変化する場合には、交通環境検出時の状況に従うようにしてもよい。
【0039】
分岐ノード生成部44は、以下に説明するように、領域分割マップにおいて隣接する分割領域の境界上に分岐ノードを生成する。分岐ノードは、移動物の種類毎に生成され、ここでは、歩行者用の分岐ノードを生成する場合を例に説明する。車両用の分岐ノードについても同様にして求めることができる。
【0040】
まず、領域分割マップにおいて、図5に示すように、隣接する分割領域との境界線上の中点付近に分岐ノードを付与する。ある領域に関して、領域境界線上の任意の点から反時計回りに領域境界線上で探索点を移動させ、右側隣接領域の切り替わりを確認しながら分岐ノードを生成する。なお、ここでの例では、隣接領域境界線上の中点付近にただ一つの分岐ノードを生成しているが、隣接領域境界線の長さに応じて分岐ノードの個数と間隔を変えてもよい。
【0041】
次に、各分岐ノードに対して、図6に示すように、分岐ノードが存在する領域境界に隣接する領域に移動物の種類毎に付与された進入可能性に基づいて、分岐し得る方向、および移動物の種類毎の分岐割合(分岐可能性)を付与する。
【0042】
ここでは、分岐しうる方向として、各分岐ノード位置おける領域境界線の単位法線ベクトルと単位接線ベクトルの4方向を与える。単位接線ベクトルは、分岐ノード位置を求めた際に、分岐ノード位置周辺での傾きを算出することで求める。あるいは、領域境界が曲線の方程式としてf(x,y)=0の形で与えられている場合には、従来既知の手法により、数学的に解析して曲線の法線ベクトルを1つ求める。いずれかの方法で求めた法線ベクトルまたは接線ベクトルを回転することにより、残りの3方向のベクトルを求める。
【0043】
また、移動物の種類の各々について、分割割合は、全ての分割し得る方向に対してその合計が1.0になるように以下のように与える。
【0044】
まず、各分岐方向に対して、当該移動物の種類に対応する分割割合の初期値として次のような値を与える。分岐方向が法線方向である場合には、領域境界から分岐方向側にある領域に付与された、当該移動物の種類に対応する侵入可能性を示す値を与え、分岐方向が接線方向である場合には、領域境界で隣接する領域に付与された、当該移動物の種類に対応する侵入可能性を示す値のうち、大きい方の値を与える。
【0045】
そして、移動物の種類毎に、各方向に与えられた初期値の合計値で正規化し、合計が1.0となるようにする。
【0046】
例えば、上記図6に示すように、分岐しうる4方向に対して、分岐割合a1〜a4を与える場合には、まず、初期値として、a = 0.8、a = max(1.0,0.8)=1.0、a=1.0、a=max(1.0,0.8)=1.0を与える。そして、全方向で正規化することにより、a=0.8/(0.8+1.0+1.0+1.0)≒0.211、a=a=a=1.0/(0.8+1.0+1.0+1.0)≒0.263を与える。
【0047】
移動物生成部46は、連続する局所地図情報の時間差分をとることによって、移動物と静止物とを識別し、局所地図情報上において移動物が存在する領域を特定する。また、移動物生成部46、特定された移動物が存在する領域と、環境検出部40で移動物の種類が検出された領域とを統合することによって、移動物に対して、移動物の種類を与えると共に、IDを与える。
【0048】
また、移動物生成部46は、物体位置取得部30によって取得された物体の2次元位置の時系列データに基づいて、図7(A)及び図8(A)に示すように、移動物の位置および運動状態(例えば速度)を、自車中心x−y座標空間での2次元正規分布(平均ベクトルと分散行列)で表現し、移動物の位置分布及び速度分布を表わす移動物データを生成して、領域分割マップ上に記録する。また、移動物生成部46は、運動センサ14によって検出された車速に基づいて、自車両の速度分布を生成し、自車両の位置分布及び速度分布を表わす移動物データを生成し、領域分割マップ上の自車位置に記録する。
【0049】
移動物の位置分布は、以下の(1)式によって表される。
【0050】
【数1】

【0051】
ただし、μposは、位置平均ベクトルであり、以下の(2)式によって表され、Σposは、位置共分散行列であり、以下の(3)式によって表される。
【0052】
【数2】

【0053】
また、速度分布は、以下の(4)式によって表される。
【0054】
【数3】

【0055】
ただし、μvelは、速度平均ベクトルであり、以下の(5)式によって表され、Σvelは、速度共分散行列であり、以下の(6)式によって表される。
【0056】
【数4】

【0057】
位置更新部48は、図7(B)に示すように、移動物の位置分布及び速度分布を用いて、Δt秒後の移動物の位置分布を線形予測によって求める。
【0058】
更新後の位置分布の位置平均ベクトルμvel’及び位置共分散行列Σvel’は、以下の(7)式、(8)式で表される。
【0059】
【数5】

【0060】
分岐判定部50は、更新後の移動物の位置分布の中心(平均)と各分岐ノード位置のマハラノビス距離を、以下の(9)式に従って算出し、予め定めた閾値Tdist以下の距離を持つ分岐ノードが存在する場合、近傍に分岐ノードが存在すると判定する。
【0061】
【数6】

【0062】
また、分岐判定部50は、近傍に分岐ノードが存在すると判定した場合、予め定めた閾値Tdist以下の距離を持つ分岐ノードのうち、最小のマハラノビス距離を持つ分岐ノードを選択する。
【0063】
移動物分割部52は、近傍に分岐ノードが存在すると判定された移動物について、以下に説明するように、分岐ノード情報に従って移動物の位置分布を分割して複数の位置分布を生成し、分岐方向に応じて分割後の速度分布を変更する。
【0064】
まず、移動物の平均速度ベクトルの単位ベクトルと分岐方向ベクトルとの内積値が、予め定めたA以上となる分岐方向ベクトルを、分岐すべき方向として選択する。
【0065】
例えば、i番目の分岐方向ベクトルdを、以下の(10)式で表し、移動物の平均速度ベクトルの単位ベクトルevelを、以下の(11)式で表わすと、以下の(12)式を満たす分岐方向ベクトルdが選択される。
【0066】
【数7】

【0067】
上記(12)式により、図9に示すように、後戻りとならない分岐方向が選択される。
【0068】
次に、以下の(13)式に示すように、選択した分岐方向ベクトルが持つ分割割合a’を正規化するように変更する。これによって、分岐すべき方向として選択した分岐方向ベクトルが持つ分割割合の合計が1.0になる。
【0069】
【数8】

【0070】
次に、選択された各分岐方向が持つ分割割合a’に従い、移動物の位置分布を分割して重み付けを行い、加算することで、分割後の位置分布を求める。このとき、分割された位置分布の各々に対して、移動物の種類を示すラベルとIDとを複製する。分割後の位置分布は、以下の(14)式で表される。
【0071】
【数9】

【0072】
また、分割された移動物の位置分布に対応する速度分布として、元の速度分布を分岐方向に回転したものを与える。回転行列Rを以下の(15)式で表わすと、回転後の速度平均ベクトルμvel’及び位置共分散行列Σvel’は、以下の(16)式、(17)式で表される。
【0073】
【数10】

【0074】
例えば、図8(B)に示すように、i番目の分岐方向への回転角度をθとする(反時計回りが正)と、元の速度分布をθ分だけ回転して、図8(C)に示すような速度分布が得られる。これにより、平均速度の大きさ/分散を維持して、速度方向だけが変わる。すなわち、元の運動量を保ったまま方向だけが、分岐方向を向くように変更される。
【0075】
なお、同一分岐ノードで再度分割しないように、ここで利用した分岐ノードを記憶しておいてもよい。
【0076】
上記のように、分割領域が持つ、移動物の種類に対応する進入可能性に基づく分割割合に応じて、移動物の位置分布が分割され、分岐方向に応じて分割後の速度分布が変更された場合には、位置更新部48における次回の処理において、図10に示すように、分割された位置分布が、分岐方向に応じて移動するように更新される。
【0077】
危険判定部54は、自車両の位置分布と、他の移動物の位置分布とを用いて、危険度として衝突確率を算出する。衝突確率は、同一将来時刻における同一位置に存在する確率(同時確率)であり、以下のようにして求めることができる。
【0078】
同時確率(衝突確率)は、自車と他の移動物の位置分布を掛け合わせたものを、衝突範囲に渡って積分した値として求めることができる(一般にこの積分値は数値積分によって求める)。本実施例では、積分範囲として、領域分割マップの全体を用いる。
【0079】
移動物の分割及び移動の結果、自車両および他の移動物の位置分布の各々は、複数個の重み付き分布の和で表されており、求める積分値は、自車両および他の移動物の分割された個々の位置分布の全ての組合せの積分値の和として求める。
【0080】
例えば、歩行者の位置分布を以下の(18)式で表わす。
【0081】
【数11】

【0082】
ただし、aは、分割されたi番目の分布に対する正規化された分割割合であり、Ped(x)は、分割されたi番目の分布である。
【0083】
また、自車両の位置分布を、以下の(19)式で表わす。
【0084】
【数12】

【0085】
ただし、bは、分割されたj番目の分布に対する正規化された分割割合であり、Ego(x)は、分割されたj番目の分布である。
【0086】
このとき、衝突確率は、以下の(20)式に従って算出される。
【0087】
【数13】

【0088】
ただし、Dは、積分範囲(2次元領域)であり、領域分割マップの全領域である。
【0089】
また、危険判定部54は、算出した衝突確率が、閾値以上であるか否かを判定し、衝突確率が閾値以上となる移動体が存在する場合には、当該移動物の将来予測位置及び警告情報等を、表示装置24に表示させて、ドライバに注意喚起を行う。例えば、フロントガラスに当該移動物の将来予測位置及び警告情報等を重畳表示する。
【0090】
位置更新部48、分岐判定部50、移動物分割部52、危険判定部54による一連の処理は、予め設定された予測時間分だけ繰り返し実行され、各予測ステップにおいて、各移動物について、近傍に分岐ノードが存在する場合、近傍に存在する分岐ノードに応じて、位置分布の分割及び速度分布の変更が行われて、各移動物の位置分布が移動する。また、各予測ステップにおいて、自車両と各移動物との衝突確率が算出され、衝突確率が閾値以上となった場合には、その予測ステップにおける当該移動物の将来予測位置、及び危険度情報等が表示装置24によって表示される。
【0091】
次に、本実施の形態に係る衝突危険度判定装置10の作用について説明する。
【0092】
まず、レーザレーダ12によって、レーザが自車両の前方を水平方向に走査されて、走査方向に並んだレーザ照射位置としての物体の2次元位置の各々までの距離が計測され、自車両の前方に存在する物体の2次元位置が検出される。レーザレーダ12によって検出される2次元位置は、レーザを走査する毎に得られる。
【0093】
そして、コンピュータ22によって、図11に示す局所地図生成処理ルーチンが実行される。
【0094】
まず、ステップ100において、レーザレーダ12から、前方に存在する物体の2次元位置(走査方向に並んだ各2次元位置までの計測距離)を示すデータを取得し、ステップ102において、一時刻前から現在までの間における、運動センサ14により検出された車速、ヨーレート、又は加速度を取得し、取得した車速、ヨーレート、又は加速度に基づいて、一時刻前から現在までの自車両の運動を推定する。
【0095】
そして、ステップ104において、後述するステップ106で前回更新された局所地図情報を、上記ステップ102で推定された自車両の運動に応じて、現在の自車両から見た座標系で表わされる局所地図情報に更新する。
【0096】
次のステップ106では、上記ステップ100で取得した自車両前方に存在する物体の2次元位置に基づいて、上記ステップ104で更新された局所地図情報において、自車両前方に存在する物体の2次元位置に対応するブロックの存在確率を増加させると共に、自車両から物体の2次元位置までの直線上に存在する各ブロックの存在確率を減少させることにより現在物体が存在しない位置を地図上に記録する。そして、上記ステップ100へ戻る。
【0097】
上述したように、局所地図生成処理ルーチンが繰り返し実行されることにより、現在の自車両から見た静止物の位置が随時推定される。
【0098】
なお、生成される局所地図情報は、上記局所地図生成処理ルーチンが所定回数繰り返されたときに有効とされるようにしてもよい。
【0099】
また、コンピュータ22によって、図12に示す危険判定処理ルーチンが実行される。まず、ステップ120において、カメラ18により撮影された前方画像及びGPS装置20によって検出された自車両位置を取得する。次のステップ122では、上記ステップ120で取得した前方画像、自車両位置、及び地図データベース38の電子地図に基づいて、自車両周辺の走行環境の状況を検出して、各種の走路区分の領域を検出すると共に、周辺の移動物、移動物の運動状態、移動物の種類、及び静止物の高さを検出する。
【0100】
そして、ステップ124において、上述した局所地図生成処理ルーチンにより得られる現在の局所地図情報を取得する。次のステップ125で、上記ステップ124で取得した局所地図情報に基づいて、静止物の領域を検出し、ステップ126において、上記ステップ122で検出した各種走路区分の領域及び上記ステップ125で検出した静止物の領域に基づいて、静止物の領域及び走路区分の領域に分割した領域分割マップを生成し、各分割領域に進入可能性を付与する。
【0101】
そして、ステップ128において、上記ステップ126で生成した領域分割マップにおいて隣接する分割領域の境界上に分岐ノードを生成し、ステップ130で、レーザレーダ12から取得された物体の2次元位置の時系列データ、上記ステップ124で取得した局所地図情報、及び運動センサ14の検出結果に基づいて、自車両も含む移動物の位置分布及び速度分布を表わす移動物データを生成して、領域分割マップ上に記録する。
【0102】
次のステップ132では、予測ステップを識別する変数nに、初期値1を設定する。ステップ134では、上記ステップ130又は後述するステップ138で得られた位置分布及び速度分布に基づいて、自車両も含む各移動物について、予測ステップnにおける移動物の位置分布を予測して、各移動物の位置分布を更新する。
【0103】
そして、ステップ136において、自車両も含む各移動物について、上記ステップ134で更新された位置分布の中心との距離が閾値以下となる分岐ノードが存在するか否かを判定する。該当する分岐ノードが存在しない場合には、後述するステップ140へ移行する。一方、該当する分岐ノードが存在する場合には、ステップ138において、当該分岐ノードの近傍に存在する移動物について、分岐ノードに基づいて位置分布を分割すると共に、対応する速度分布を変更する。
【0104】
そして、ステップ140において、自車両の位置分布と、他の移動物の各々の位置分布とに基づいて、衝突危険度として、他の移動物との衝突確率を各々算出する。ステップ142では、上記ステップ140で算出された衝突確率が、閾値以上となる移動物が存在するか否かを判定する。該当する移動物が存在しない場合には、ステップ146へ移行する。一方、該当する移動物が存在する場合には、ステップ144において、該当する移動物の将来予測位置及び警告情報を表示装置24に表示させる。
【0105】
ステップ146では、予測ステップを示す変数nが、将来予測時間に対応するステップ数Nに到達したか否かを判定する。変数nが、定数Nに到達していない場合には、ステップ148において、変数nをインクリメントして、上記ステップ134へ戻り、上記ステップ134以降の処理を繰り返す。一方、変数nが、定数Nに到達した場合には、危険判定処理ルーチンを終了する。
【0106】
上記ステップ128の処理は、図13に示す分岐ノード生成処理ルーチンによって実現される。分岐ノード生成処理ルーチンは、領域分割マップの分割領域毎に実行される。
【0107】
まず、ステップ160において、処理対象の分割領域の境界線上の任意の点を探索点として設定すると共に、反時計回り方向に対して、当該探索点の右側に隣接する分割領域idをメモリに記憶する(a=ra_id)。そして、ステップ162において、境界線上を反時計回りに探索点をΔdだけ進める。次のステップ164では、現在の探索点の右側に隣接する分割領域idと記憶された分割領域idとに基づいて、右側に隣接する分割領域が切り替わったか否かを判定する(a!=ra_id?)。右側に隣接する分割領域が切り替わっていない場合には、上記ステップ162へ戻るが、一方、右側に隣接する分割領域が切り替わった場合には、ステップ166において、現在の探索点(px,py)を、開始点として記憶する(sx=px、sy=py)と共に、右側に隣接する分割領域idをメモリに記憶する(a=ra_id)。また、累積距離Dを初期値すると共に(D=0)、分岐ノード生成フラグを初期化する(flag=false)。
【0108】
次のステップ168では、境界線上を反時計回りに探索点をΔdだけ進めると共に、累積距離を求める(D=D+Δd)。そして、ステップ170において、現在の探索点から−Δdの範囲内に既に分岐ノードが存在するか否かを判定する。分岐ノードが存在する場合には、分岐ノード生成フラグをオンにして(flag=true)、ステップ174へ移行する。一方、分岐ノードが存在しない場合には、そのままステップ174へ移行する。
【0109】
ステップ174では、現在の探索点の右側に隣接する分割領域idと記憶された分割領域idとに基づいて、右側に隣接する分割領域が切り替わったか否かを判定する(a!=ra_id?)。右側に隣接する分割領域が切り替わっていない場合には、上記ステップ168へ戻るが、一方、右側に隣接する分割領域が切り替わった場合には、ステップ176において、分岐ノード生成フラグに基づいて、既に分岐ノードが存在するか否かを判定する(flag==true?)。分岐ノード生成フラグがオフである場合には、分岐ノードが存在しないと判断し、ステップ178において、累積距離Dの1/2分だけ戻った位置を分岐ノード位置として分岐ノードを生成すると共に、領域境界及び領域境界で隣接する分割領域の各々の進入可能性に基づいて、分岐し得る方向および分岐割合を求めて分岐ノードに与えて、ステップ180へ移行する。
【0110】
一方、上記ステップ176において、既に分岐ノードが存在する場合には、そのままステップ180へ移行する。
【0111】
ステップ180では、右側に隣接する分割領域idをメモリに記憶する(a=ra_id)。また、累積距離Dを初期値すると共に(D=0)、分岐ノード生成フラグを初期化する(flag=false)。そして、ステップ182において、探索点が、開始点を越えたか否かを判定する。現在の探索点から−Δdの範囲内に開始点(sx、sy)が存在する場合には、開始点を越えたと判断して、分岐ノード生成処理ルーチンを終了するが、一方、現在の探索点から−Δdの範囲内に開始点(sx、sy)が存在しない場合には、開始点を越えていないと判断して、上記ステップ168へ戻り、上記ステップ168以降の処理を繰り返す。
【0112】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る衝突危険度判定装置によれば、分割領域の境界上に生成された分岐ノードの分岐すべき方向の数だけ、移動物の位置分布を生成すると共に、対応する速度分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更し、移動物の将来の位置分布を予測するようにすることにより、移動物の将来の位置分布形状が複雑な形状であっても、計算量の増大を抑制することができる。複雑な形状となる移動物の将来の位置分布を用いて、他の移動物との衝突危険度を精度良く算出することができる。
【0113】
また、移動物の将来位置分布を求める際に混合正規分布表現を用いることにより、繰り返し計算を伴わず位置分布を求めることができるため、複数経路が考えられる移動物の将来位置推定において、モンテカルロ法に代表されるような繰り返しを伴うランダムサンプリング手法に比べ、処理速度を向上させることができる。
【0114】
また、移動物の将来位置分布を求める際に混合正規分布表現を用いることにより、単一の確率分布を用いるよりも複雑な形状の位置分布を推定することができるため、単純な線形予測によるものに比べ、移動物の位置推定精度が向上する。
【0115】
他者との衝突危険度を推定する際には、これら移動物の将来位置予測が重要な要素となる。しかしながら、移動物の将来位置の予測には想定すべき挙動・制約の組み合わせが多く、将来位置分布を効率的に求めることは困難である。そこで、従来技術では、モンテカルロ法に代表されるランダムサンプリングの繰り返し演算により分布を求めており、甚大な計算量の増加により、実時間処理に問題があった。また、ランダムサンプリングを行わない手法では、正規分布などの確率分布を用い線形予測により将来位置予測を求めている。この手法では、横断歩道などでの歩行者分岐の可能性に対して対応できず、位置予測の精度が悪くなってしまう。本実施の形態では、他者の将来位置予測にあたり、交通環境の物理的制約・交通規則の制約に基づいた分岐ノードの情報を生成した。また、移動物の位置分布にパラメトリックな分布を用いることで計算コストを抑えつつ、歩道、車道、横断歩道などの異なる通行帯境界に付与した分岐ノードの移動物の分岐方向・分岐割合の情報に基づきパラメトリックな分布を分割することにより、環境に応じた複雑な位置分布形状となる将来位置予測を効率的かつ高精度に行うことができる。
【0116】
なお、上記の第1の実施の形態では、運動センサの検出結果を用いて、自車両の運動を推定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、レーザレーダの検出結果の時間差分によって、自車両の運動を推定してもよい。また、例えば、GPS装置による自車位置の検出結果を用いて自車両の運動を推定するようにしてもよい。また、レーザレーダ、運動センサ、及びGPS装置の検出結果を組み合わせて、自車両の運動を推定するようにしてもよい。
【0117】
次に、第2の実施の形態に係る衝突危険度判定装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0118】
第2の実施の形態では、路側の装置において、移動物の将来分布を予測して、衝突する危険性を判定している点が、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0119】
第2の実施の形態に係る衝突危険度判定装置は、路側に固定して設置されており、例えば、主要交差点に設置されている。図14に示すように、衝突危険度判定装置210は、判定対象範囲である自装置の前方に対してレーザを1次元(水平方向)に走査しながら照射し、レーザの反射によりレーザが照射された物体の2次元位置を検出するレーザレーダ12と、自装置の前方を撮影するカメラ18と、自装置の位置を検出するGPS装置20と、これらの検出結果に基づいて、現在の自装置から見た前方の静止物の存在を記録した局所地図情報を生成すると共に、移動物の将来の位置及び移動状態を予測し、予測結果に応じて衝突する危険性があると判定された場合に、警告メッセージを表示させる表示装置を搭載した車両において警告メッセージを表示させる指令を通信装置224に送信させるコンピュータ222とを備えている。
【0120】
コンピュータ222は、物体位置取得部30と、検出された現在の物体の2次元位置に基づいて、自装置から見た座標系の局所地図情報における静止物の存在確率を変更する存在確率変更部236と、を備えている。
【0121】
また、コンピュータ222は、地図データベース38と、自装置周辺の移動物及び走行環境の状況を検出する環境検出部40と、領域分割部42と、分岐ノード生成部44と、移動物生成部46と、位置更新部48と、分岐判定部50と、移動物分割部52と、移動物データの位置分布に基づいて、各移動物について、他の移動物と衝突する危険性を判定し、表示装置を搭載した車両において判定結果を表示させるように指令を送信させる危険判定部254とを備えている。
【0122】
次に、第2の実施の形態に係る局所地図情報処理ルーチンでは、レーザレーダ12から、前方に存在する物体の2次元位置を示すデータを取得し、次に、取得した自装置前方に存在する物体の2次元位置に基づいて、局所地図情報において、自装置前方に存在する物体の2次元位置に対応するブロックの存在確率を増加させると共に、自装置から物体の2次元位置までの直線上に存在する各ブロックの存在確率を減少させることにより現在物体が存在しない位置を地図上に記録する。そして、最初の処理へ戻る。
【0123】
上述したように、局所地図生成処理ルーチンが繰り返し実行されることにより、現在の自装置から見た静止物の位置が随時推定される。
【0124】
また、第2の実施の形態に係る危険判定処理ルーチンでは、まず、カメラ18により撮影された前方画像及びGPS装置20によって検出された自装置位置を取得する。次に、上記で取得した前方画像、自装置位置、及び地図データベース38の電子地図に基づいて、自装置周辺の走行環境の状況を検出して、各種の走路区分の領域を検出すると共に、周辺の移動物、移動物の運動状態、移動物の種類、及び静止物の高さを検出する。
【0125】
そして、上述した局所地図生成処理ルーチンにより得られる現在の局所地図情報を取得する。次に、取得した局所地図情報に基づいて、静止物の領域を検出し、上記で検出した各種走路区分の領域及び上記で検出した静止物の領域に基づいて、静止物の領域及び走路区分の領域に分割した領域分割マップを生成し、各分割領域に進入可能性を付与する。
【0126】
そして、上記で生成した領域分割マップにおいて隣接する分割領域の境界上に分岐ノードを生成し、レーザレーダ12から取得された物体の2次元位置の時系列データ、及び上記で取得した局所地図情報に基づいて、領域分割マップ上に、各移動物の位置分布及び速度分布を表わす移動物データを生成して、領域分割マップ上に記録する。
【0127】
次に、予測ステップを識別する変数nに、初期値1を設定し、上記で得られた、又は変更された位置分布及び速度分布に基づいて、各移動物について、予測ステップnにおける移動物の位置分布を予測して、各移動物の位置分布を更新する。
【0128】
そして、各移動物について、上記で更新された位置分布の中心との距離が閾値以下となる分岐ノードが存在するか否かを判定し、該当する分岐ノードが存在する場合には、当該分岐ノードの近傍に存在する移動物について、位置分布を分割すると共に、対応する速度分布を変更する。
【0129】
そして、各移動物を判定対象として、判定対象の移動物の位置分布と、他の移動物の各々の位置分布とに基づいて、衝突危険度として、他の移動物との衝突確率を各々算出する。次に、上記で算出された衝突確率が、閾値以上となる移動物が存在するか否かを判定する。該当する移動物が存在する場合には、判定対象の移動物に搭載された表示装置に、該当する移動物の将来予測位置及び警告情報を表示させる指令を、通信装置224により当該判定対象の移動物へ送信する。
【0130】
予測ステップを示す変数nが、将来予測時間に対応するステップ数Nに到達するまで、上記の処理を繰り返し、変数nが、定数Nに到達した場合には、危険判定処理ルーチンを終了する。
【0131】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る衝突危険度判定装置によれば、路側に設置された装置において、複雑な形状となる移動物の将来の位置分布を用いて、周辺の判定対象の移動物と他の移動物との衝突危険度を精度良く算出することができる。
【0132】
なお、上記の第1の実施の形態〜第2の実施の形態では、レーザレーダによりレーザを前方に走査して物体の位置を検出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、ミリ波などの電磁波を前方に走査して物体の位置を検出するようにしてもよい。
【0133】
また、レーザレーダによって自車両又は自装置の前方の物体の位置を検出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ステレオカメラによって撮影された前方画像から、自車両又は自装置の前方の物体の位置を検出するようにしてもよい。
【0134】
また、領域分割マップの各分割領域に、進入可能性を付与し、付与された進入可能性に基づいて、分岐ノードの分割割合を求める場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、領域の種類毎に進入可能性を定めたテーブルを用意しておき、領域分割マップの各分割領域の種類と、上記のテーブルとに基づいて、分岐ノードの分割割合を求めるようにしてもよい。
【0135】
また、カメラによって撮影された前方画像から、走路区分の種類及び領域を検出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、走路区分の種類及び領域を示す情報を含む電子地図情報と、GSPによって検出した自車位置又は自装置の位置とに基づいて、走路区分の種類及び領域を検出するようにしてもよい。また、前方画像からの検出結果と組み合わせて、走路区分の種類及び領域を検出するようにしてもよい。
【0136】
また、事故シミュレータにおいて、本発明の技術を適用するようにしてもよい。例えば、進入可能性及び分岐ノードが与えられた領域分割マップにおいて、複数の移動物データを生成して記録し、複数の移動物データの位置分布を、分割ノードに応じて分割すると共に速度分布を変更し、位置分布を更新していくことで、移動物による事故状況をシミュレーションするようにしてもよい。
【0137】
本発明のプログラムを、記憶媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0138】
10、210 衝突危険度判定装置
12 レーザレーダ
14 運動センサ
18 カメラ
20 GPS装置
22、222 コンピュータ
32 自車運動推定部
34 局所地図更新部
36、236 存在確率変更部
38 地図データベース
40 環境検出部
42 領域分割部
44 分岐ノード生成部
46 移動物生成部
48 位置更新部
50 分岐判定部
52 移動物分割部
54、254 危険判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象範囲から、移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布を検出する移動物検出手段と、
前記検出対象範囲から、複数種類の走路区分の領域及び静止物の領域を検出する領域検出手段と、
前記領域検出手段によって検出された前記走路区分の領域及び前記静止物の領域に応じて、前記検出対象範囲の領域を分割した領域分割マップを生成するマップ生成手段と、
前記領域分割マップにおいて、隣接する異なる領域間の境界上に、複数の分岐方向を含む分岐ノードを生成する分岐ノード生成手段と、
前記領域分割マップにおいて、前記移動物検出手段によって検出された前記移動物の位置の確率分布を、前記移動状態の確率分布と共に記録する移動物記録手段と、
前記領域分割マップにおいて前記移動物の位置の確率分布の中心との距離が所定値以下となる前記分岐ノードが存在する場合、前記分岐ノードの分岐方向のうち分岐すべき方向の数だけ、該移動物の位置の確率分布を生成すると共に、前記分岐ノードが存在する境界で隣接する領域の各々について定められた移動物の進入可能性に基づいて、各分岐すべき方向の分岐割合を算出し、前記分岐すべき方向の数だけ生成された前記移動物の位置の確率分布に対して、前記分岐割合に応じた重み付けを行うと共に、対応する前記移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更する分岐変更手段と、
前記移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、前記領域分割マップ上の前記移動物の将来の位置の確率分布を予測する予測手段と、
を含む移動物予測装置。
【請求項2】
前記分岐変更手段は、前回予測された前記移動の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、前記移動物の位置の確率分布の中心との距離が所定値以下となる前記分岐ノードが存在する場合、前記分岐ノードの分岐方向のうち分岐すべき方向の数だけ、該移動物の位置の確率分布を生成すると共に、各分岐すべき方向の分岐割合を算出し、前記分岐すべき方向の数だけ生成された前記移動物の位置の確率分布に対して、前記分岐割合に応じた重み付けを行うと共に、対応する前記移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更することを繰り返し行い、
前記予測手段は、前記分岐変更手段によって変更された前記移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、前記領域分割マップ上の前記移動物の将来の位置の確率分布を繰り返し予測する請求項1記載の移動物予測装置。
【請求項3】
算出対象の移動物の位置の確率分布と、前記算出対象の移動物以外の移動物の位置の確率分布とに基づいて、前記算出対象の移動物と前記算出対象の移動物以外の移動物との衝突危険度を算出する危険度算出手段を更に含む請求項1又は2記載の移動物予測装置。
【請求項4】
前記移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布の各々を、正規分布で表し、
前記生成された前記移動物の位置の複数の確率分布を、混合正規分布で表した請求項1〜請求項3の何れか1項記載の移動物予測装置。
【請求項5】
前記領域検出手段は、前記検出対象範囲から、前記静止物の領域及び高さを検出し、
前記静止物の領域の進入可能性を、前記検出された該静止物の高さに基づいて定めた請求項1〜請求項4の何れか1項記載の移動物予測装置。
【請求項6】
前記移動物検出手段は、前記検出対象範囲から、前記移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布と共に、前記移動物の種類を検出し、
前記走路区分の領域の進入可能性を、前記移動物の種類毎に定めた請求項1〜請求項5の何れか1項記載の移動物予測装置。
【請求項7】
自装置を搭載した移動物から見て、前記検出対象範囲に存在する物体の位置を検出する物体位置検出手段と、
前記自装置を搭載した移動物の運動を推定する運動推定手段と、
前回更新された前記地図情報を、前記運動推定手段によって推定された前記自装置を搭載した移動物の現在の運動に基づいて、現在の前記自装置を搭載した移動物から見た前記地図情報に繰り返し更新する地図更新手段と、
前記地図更新手段によって前記地図情報が更新される毎に、前記更新された地図情報に、前記物体位置検出手段によって検出された現在の物体の位置に対応するブロックに、前記静止物の存在を記録すると共に、前記自装置を搭載した移動物から前記検出された現在の物体の位置までの間に対応する各ブロックにおける前記静止物の存在の記録を減少させる静止物記録手段と、を更に含み、
前記領域検出手段は、前記地図情報に基づいて、前記静止物の領域を検出する請求項1〜請求項6の何れか1項記載の移動物予測装置。
【請求項8】
コンピュータを、
検出対象範囲から、移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布を検出する移動物検出手段、
前記検出対象範囲から、複数種類の走路区分の領域及び静止物の領域を検出する領域検出手段、
前記領域検出手段によって検出された前記走路区分の領域及び前記静止物の領域に応じて、前記検出対象範囲の領域を分割した領域分割マップを生成するマップ生成手段、
前記領域分割マップにおいて、隣接する異なる領域間の境界上に、複数の分岐方向を含む分岐ノードを生成する分岐ノード生成手段、
前記領域分割マップにおいて、前記移動物検出手段によって検出された前記移動物の位置の確率分布を、前記移動状態の確率分布と共に記録する移動物記録手段、
前記領域分割マップにおいて前記移動物の位置の確率分布の中心との距離が所定値以下となる前記分岐ノードが存在する場合、前記分岐ノードの分岐方向のうち分岐すべき方向の数だけ、該移動物の位置の確率分布を生成すると共に、前記分岐ノードが存在する境界で隣接する領域の各々について定められた移動物の進入可能性に基づいて、各分岐すべき方向の分岐割合を算出し、前記分岐すべき方向の数だけ生成された前記移動物の位置の確率分布に対して、前記分岐割合に応じた重み付けを行うと共に、対応する前記移動状態の確率分布の各々を、各分岐すべき方向に応じて変更する分岐変更手段、及び
前記移動物の位置の確率分布及び移動状態の確率分布に基づいて、前記領域分割マップ上の前記移動物の将来の位置の確率分布を予測する予測手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−37980(P2012−37980A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175643(P2010−175643)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】