説明

移動通信方法及びリレーノード

【課題】ネットワーク側から、リレーノードRNを「Idle state」から「Connected state」に遷移させた場合に、リレーノードRNを無線基地局eNBとしての機能を再開させる。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、「Idle state」のリレーノードRNが、無線基地局DeNBから自身宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合に、「Connected state」に遷移し、無線基地局DeNBとの間で所定の設定処理を行った後、移動局UE向けのアクセス回線に対する送信を開始する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法及びリレーノードに関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)-Advanced方式では、無線基地局DeNB(Doner eNB)に対して、Unインターフェイスを介して接続可能なリレーノードRN(Relay Node)を用いることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TR36.806(V9.0.0)、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA);Relay architescures for E−UTRA(LTE-Advanced)(Release.9)」、2010年3月
【非特許文献2】3GPP TS36.413(V9.3.0)、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN);S1 application protocol (S1AP)」、2010年6月
【非特許文献3】3GPP TS36.331(V9.3.0)、「Radio Resource Control (RRC); Protocol specification」、2010年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるリレーノードRNは、移動局UEと同様に、「Idle state」と「Connected state」との間で遷移することができるように構成されている。同時に、かかるリレーノードRNは、無線基地局eNBとしての機能も有し、移動局UEに対して通信サービスを提供するアクセス回線を提供する。
【0005】
しかしながら、LTE-Advanced方式では、リレーノードRNが「Idle state」から「Connected state」に遷移する際に、移動局UE向けのアクセス回線の運用を再開するトリガが規定されていないため、ネットワーク側から、リレーノードRNを「Idle state」から「Connected state」に遷移させた場合に、リレーノードRNを無線基地局eNBとしての機能を再開させることができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ネットワーク側から、リレーノードRNを「Idle state」から「Connected state」に遷移させる際に、移動局UE向けのアクセス回線の運用を再開させることができる移動通信方法及びリレーノードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、アイドル状態のリレーノードが、無線基地局から自身宛てのページングメッセージを受信した場合に、接続状態に遷移し、該無線基地局との間で所定の設定処理を行った後、移動局向けのアクセス回線に対する送信を開始する工程を有することを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の特徴は、リレーノードであって、前記リレーノードの状態がアイドル状態である場合で、かつ、無線基地局から自身宛てのページングメッセージを受信した場合に、該リレーノードの状態を接続状態に遷移させ、該無線基地局との間で所定の設定処理を行った後、移動局向けのアクセス回線に対する送信を開始するように構成されている制御部を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、ネットワーク側から、リレーノードRNを「Idle state」から「Connected state」に遷移させる際に、移動局UE向けのアクセス回線の運用を再開させることができる移動通信方法及びリレーノードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るリレーノードの機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムで用いられる「(S1)Paging message」の情報要素の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムで用いられる「(RRC)Paging message」の情報要素の一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムで用いられる「(RRC)Paging message」の情報要素の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0012】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE-Advanced方式の移動通信システムであって、図1に示すように、移動管理ノードMME(Mobility Management Entity)と、無線基地局DeNBと、リレーノードRNとを具備している。
【0013】
図2に示すように、リレーノードRNは、Unインターフェイス11と、Uuインターフェイス12と、制御部13とを具備している。
【0014】
Unインターフェイス11は、無線基地局DeNBとの間のインターフェイスの役割を果たすように構成されている。
【0015】
Uuインターフェイス12は、移動局UEとの間のインターフェイスの役割を果たすように構成されている。
【0016】
制御部13は、Unインターフェイス11を介した無線基地局DeNBとの間の信号の送受信、及び、Uuインターフェイス12を介した移動局UEとの間の信号の送受信を制御するように構成されている。
【0017】
また、制御部13は、Unインターフェイス11を介して、所定の設定処理、例えば、「S1/X2 setup」を行うように構成されている。
【0018】
また、制御部13は、Unインターフェイス11を介して、所定の設定処理、例えば、「Un subframe configuration」を行うように構成されている。
【0019】
さらに、制御部13は、リレーノードRNの状態遷移を制御するように構成されている。具体的には、制御部13は、リレーノードRNの状態を「Idle state」と「Connected state」との間で遷移させるように構成されている。
【0020】
例えば、リレーノードRNの状態が「Idle state」である場合で、かつ、無線基地局DeNBからリレーノードRN宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合に、リレーノードRNの状態を「Connected state」に遷移させ、無線基地局DeNBとの間で所定の設定処理を行った後、配下のセル内の移動局UEに対する送信を開始するように構成されている。
【0021】
ここで、リレーノードRN宛ての「(RRC)Paging message」は、リレーノードRNのS-TMSI(S-Temporary Mobility Subscriber Identity)やIMSI(International Mobility Subscriber Identity)が指定されている「(RRC)Paging message」である。
【0022】
また、制御部13は、リレーノードRNの状態が「Idle state」である場合で、かつ、動作を再開すべきであることを示す「RNresuming-Indication-ra:true」を含むリレーノードRN宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合に、リレーノードRNの状態を「Connected state」に遷移させ、無線基地局DeNBとの間で所定の設定処理を行った後、配下のセル内の移動局UEに対する送信を開始するように構成されていてもよい。
【0023】
以下、図3乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作の一例について説明する。
【0024】
図3に示すように、ステップS1001において、移動管理ノードMMEは、無線基地局DeNBに対して、「Idle state」のリレーノードRNの動作を再開すべきであることを指示する情報を含む「(S1)Paging message」を送信する。
【0025】
例えば、かかる情報は、図4に示すように、「(S1)Paging message」内の情報要素「RN Resuming(=TRUE)」によって送信される。
【0026】
ステップS1002において、無線基地局DeNBは、リレーノードRNに対して、「Idle state」であるリレーノードRNの動作を再開すべきであることを指示する情報を含む「(RRC)Paging message」を送信する。
【0027】
例えば、かかる情報は、図5又は図6に示すように、「(RRC)Paging message」内の情報要素「RNresuming-Indication-ra(=true)」によって送信される。
【0028】
また、リレーノードRNのS-TMSI又はIMSIは、図5又は図6に示すように、「(RRC)Paging message」内の情報要素「PgingUE-Identity」によって指定される。
【0029】
ステップS1003において、リレーノードRNは、無線基地局DeNBに対して、「RACH Preamble」を送信し、ステップS1004において、無線基地局DeNBは、リレーノードRNに対して、「RACH Response」を送信する。
【0030】
ステップS1005において、リレーノードRNは、無線基地局DeNBに対して、「RRC Connection Request」を送信し、ステップS1006において、無線基地局DeNBは、リレーノードRNに対して、「RRC Connection Setup」を送信する。
【0031】
ステップS1007において、リレーノードRNは、「Idle state」から「Conncted state」に遷移した後、無線基地局DeNBに対して、「Service Request」を含む「RRC Connection Setup Complete」を送信し、ステップS1008において、無線基地局DeNBは、移動管理ノードMMEに対して、「Initial UE Message」を送信する。
【0032】
ステップS1009において、「Authentication/Security」処理が行われる。
【0033】
ステップS1010において、移動管理ノードMMEは、無線基地局DeNBに対して、「Initial Context Setup Request」を送信し、ステップS1011において、無線基地局DeNBは、リレーノードRNに対して、「UE Capability Enquiry」を送信する。
【0034】
ステップS1012において、リレーノードRNは、無線基地局DeNBに対して、「UE Capability Information」を送信し、ステップS1013において、無線基地局DeNBは、移動管理ノードMMEに対して、「UE Capability Info Indication」を送信する。
【0035】
無線基地局DeNBは、リレーノードRNに対して、ステップS1014において、「Security Mode Command」を送信し、ステップS1015において、「Attach Accept」を含む「RRC Connection Reconfiguration」を送信する。
【0036】
ステップS1015の「RRC Connection Reconfiguration」によって、無線基地局eNBは、リレーノードRNに対して、無線基地局eNB及びリレーノードRN間の無線リソースを設定する「Un subframe configuration」を行ってもよい。
【0037】
リレーノードRNは、無線基地局DeNBに対して、ステップS1016において、「Security Mode Complete」を送信し、ステップS1017において、「RRC Connection Reconfiguration Complete」を送信する。
【0038】
ステップS1018において、無線基地局DeNBは、移動管理ノードMMEに対して、「Initial Context Setup Repsonse」を送信する。
【0039】
そして、リレーノードRNと無線基地局DeNBとの間で、ステップS1019において、「S1/X2 setup」が行われ、ステップS1015で設定されなかった場合、ステップS1020において、「Un subframe configuration」が行われる。
【0040】
その後、リレーノードRNは、配下のセル内の移動局UEに対する送信を開始する。
【0041】
なお、リレーノードRNは、ステップS1002において、情報要素「RNresuming-Indication-ra(=false)」が設定されているリレーノードRN宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合には、ステップS1019及びS1020(若しくは、ステップS1015)の設定処理を行わず、配下のセル内の移動局UEに対する送信を開始しなくてもよい。
【0042】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、リレーノードRNは、「Idle state」である場合には、自身宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合、特に、情報要素「RNresuming-Indication-ra(=true)」が設定されている自身宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合に、「Connected state」に遷移し、移動局UE向けのアクセス回線(Uuインターフェイス)に対する送信を開始することができる。
【0043】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0044】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、「Idle state(アイドル状態)」のリレーノードRNが、無線基地局DeNBから自身宛ての「(RRC)Paging message(ページングメッセージ)」を受信した場合に、「Connected state(接続状態)」に遷移し、無線基地局DeNBとの間で所定の設定処理(「Un subframe configuration」及び「S1/X2 setup」)を行った後、移動局UE向けのアクセス回線に対する送信を開始する工程を有することを要旨とする。
【0045】
本実施形態の第1の特徴において、上述の工程において、リレーノードRNは、移動局UE向けのアクセス回線に対する送信を再開すべきであることを指示する情報「RNresuming-Indication-ra(=true)」を含む自身宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合に、「Connected state」に遷移し、無線基地局DeNBとの間で所定の設定処理を行った後、移動局UE向けのアクセス回線に対する送信を開始してもよい。
【0046】
本実施形態の第2の特徴は、リレーノードRNであって、リレーノードRNの状態が「Idle state」である場合で、かつ、無線基地局DeNBから自身宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合に、リレーノードRNの状態を「Connected state」に遷移させ、無線基地局DeNBとの間で所定の設定処理を行った後、移動局UE向けのアクセス回線に対する送信を開始するように構成されている制御部13を具備することを要旨とする。
【0047】
本実施形態の第2の特徴において、制御部13は、リレーノードRNの状態が「Idle state」である場合で、かつ、移動局UE向けのアクセス回線に対する送信を再開すべきであることを指示する情報「RNresuming-Indication-ra(=true)」を含む自身宛ての「(RRC)Paging message」を受信した場合に、リレーノードRNの状態を「Connected state」に遷移させ、無線基地局DeNBとの間で所定の設定処理を行った後、移動局UE向けのアクセス回線に対する送信を開始するように構成されていてもよい。
【0048】
なお、上述の移動管理ノードMMEや無線基地局DeNBやリレーノードRNや移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0049】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0050】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動管理ノードMMEや無線基地局DeNBやリレーノードRNや移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動管理ノードMMEや無線基地局DeNBやリレーノードRNや移動局UE内に設けられていてもよい。
【0051】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0052】
RN…リレーノード
11…Unインターフェイス
12…Uuインターフェイス
13…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイドル状態のリレーノードが、無線基地局から自身宛てのページングメッセージを受信した場合に、接続状態に遷移し、該無線基地局との間で所定の設定処理を行った後、移動局向けのアクセス回線に対する送信を開始する工程を有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
前記工程において、前記リレーノードは、前記移動局向けのアクセス回線に対する送信を再開すべきであることを指示する情報を含む前記自身宛てのページングメッセージを受信した場合に、接続状態に遷移し、該無線基地局との間で所定の設定処理を行った後、該移動局向けのアクセス回線に対する送信を開始することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項3】
リレーノードであって、
前記リレーノードの状態がアイドル状態である場合で、かつ、無線基地局から自身宛てのページングメッセージを受信した場合に、該リレーノードの状態を接続状態に遷移させ、該無線基地局との間で所定の設定処理を行った後、移動局向けのアクセス回線に対する送信を開始するように構成されている制御部を具備することを特徴とするリレーノード。
【請求項4】
前記制御部は、前記リレーノードの状態がアイドル状態である場合で、かつ、前記移動局向けのアクセス回線に対する送信を再開すべきであることを指示する情報を含む前記自身宛てのページングメッセージを受信した場合に、該リレーノードの状態を接続状態に遷移させ、該無線基地局との間で所定の設定処理を行った後、該移動局向けのアクセス回線に対する送信を開始するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のリレーノード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−5090(P2012−5090A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141106(P2010−141106)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】