説明

移載装置及び移載装置の閉動作方法

【課題】開閉するアーム部で物品を移載する移載装置において、アーム部が荷物を移載可能に閉じるまでの閉動作の時間を短縮できるようにする。
【解決手段】移載装置は、荷物を他の装置との間で移載可能な移載装置である。移載装置は、アーム部と、荷物検出部と、アーム制御部と、を備える。アーム部は、第1アームと前記第1アームと対向して配置される第2アームとを有する。アーム部は、少なくとも一方のアームが他方のアームに対して開閉する。アーム部は、第1アームと第2アームとの間で荷物を移載可能である。荷物検出部は、アーム部の開閉動作と連動して移動可能である。荷物手検出部は、他の装置にある荷物を非接触で検出可能である。アーム制御部は、アーム部の閉動作のとき、荷物検出部が荷物を検出するまでは開閉アーム部を高速で閉動作させる。アーム制御部は、荷物検出部が荷物を検出するとアーム部を低速で閉動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉するアーム部を用いて荷物を他の装置との間で移載可能な移載装置、及び移載装置の閉動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を他の装置との間で移載する移載装置として、開閉するアーム部により荷物を移載するものが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の移載装置は、他の装置としてのラックの棚との間で荷物を移載する。移載装置は、開閉するアーム部と、アーム部を伸長及び収縮可能に支持するベース部と、を備えている。ベース部はアーム部とともに開閉動作する。従来の移載装置では、アーム部の開状態は、荷物の概略の幅に対して複数段階に設定される。例えば開状態を3段階に設定している。ラックの棚から荷物を取り出すときは、開状態のアーム部をベース部から伸長して荷物の幅方向の両側方に配置する。そして、開状態のアーム部を閉動作させて荷物をつかみ、荷物を移載装置に荷積みする。このとき、荷物に与える衝撃を抑えるために、低速でアーム部を閉動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−163215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の移載装置では、荷物を把持する閉動作を低速で行っている。アーム部の開状態は、複数段階に設定されているが、一つの設定に対しても複数の幅の荷物を取り扱うことがある。このため、荷物の幅が小さい場合、荷物をつかむまでの時間が長くなる。
【0005】
本発明の課題は、開閉するアーム部で物品を移載する移載装置において、アーム部が荷物を移載可能に閉じるまでの閉動作の時間を短縮できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明に係る移載装置は、荷物を他の装置との間で移載可能な移載装置である。移載装置は、アーム部と、荷物検出部と、アーム制御部と、を備える。アーム部は、第1アームと第1アームと対向して配置される第2アームとを有する。アーム部は、少なくとも一方のアームが他方のアームに対して開閉する。アーム部は、第1アームと第2アームとの間で荷物を移載可能である。荷物検出部は、アーム部の開閉動作と連動して移動可能である。荷物検出部は、他の装置にある荷物を非接触で検出可能である。アーム制御部は、アーム部の閉動作のとき、荷物検出部が荷物を検出するまではアーム部を高速で閉動作させる。アーム制御部は、荷物検出部が荷物を検出するとアーム部を低速で閉動作させる。
この移載装置では、開状態のアーム部を閉動作させる場合、荷物検出部が荷物を検出するまでは高速でアーム部を閉動作させる。すなわち、アーム部が荷物に接近するまではアーム部を高速で閉動作させる。そして、荷物検出部が荷物を検出しアーム部が荷物に接近すると、低速でアーム部を閉動作させる。ここでは、荷物の検出の有無によりアーム部の閉動作の速度を高速から低速に切り換えている。これにより、アーム部が荷物に接近するまでは高速で閉動作するため、アーム部が荷物を移載可能に閉じるまでの閉動作の時間を短縮できる。
【0007】
移載装置がアーム部を他の装置に対して伸縮可能に支持するベース部をさらに備え、アーム制御部は、アーム部がベース部から伸長動作を始める前に荷物検出部により他の装置にある荷物を検出しないことを確認してからアーム部を伸長させてもよい。
この場合には、アーム部を伸長させる前にアーム部を伸長させることができるかを判断する検出部と閉動作の速度を切り換えるための検出部とを兼用できる。
【0008】
本発明の別の見地に係る移載装置の閉動作方法は、アーム部を備える移載装置の閉動作方法である。アーム部は、第1アームと第1アームと対向して配置される第2アームとを有し、少なくとも一方のアームが他方のアームに対して開閉し、第1アームと第2アームとの間で荷物を移載可能である。移載装置の閉動作方法は、配置ステップと、高速ステップと、低速ステップと、を含む。配置ステップでは、アーム部を荷物の側方に配置する。高速ステップでは、アーム部の開閉動作に連動して移動する荷物検出部が荷物を検出するまで、アーム部を高速で閉じる。低速ステップでは、荷物検出部が荷物を検出するとアーム部を低速で閉じる。
【0009】
この移載装置の閉動作方法では、アーム部が荷物の側方に配置されると、荷物検出部が荷物を検出するまでは高速でアーム部が閉じる。すなわち、アーム部が荷物に接近するまではアーム部を高速で閉動作させる。荷物検出部が荷物を検出しアーム部が荷物に接近すると、アーム部が低速で閉じる。ここでは、荷物の検出の有無によりアーム部の閉動作の速度を高速から低速に切り換えている。これにより、アーム部が荷物に接近するまでは高速で閉動作するため、アーム部が荷物を移載可能になるまでの閉動作の時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷物の検出の有無によりアーム部の閉動作の速度を高速から低速に切り換えている。これにより、荷物を検出するまでは高速で閉動作するため、荷物の幅にかかわらずアーム部が荷物を移載可能になるまでの閉動作の時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一実施形態の移載装置が採用された自動倉庫の概略平面図。
【図2】図1のII−II矢視図であり、ラックとスタッカクレーンを説明するための図。
【図3】移載装置の模式平面図。
【図4】コンベア部の概略側面図。
【図5】クレーン制御部の機能ブロック図。
【図6】アーム制御部の移載動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)自動倉庫全体
以下、本発明に係る一実施形態が採用された自動倉庫1を説明する。なお、この実施形態において、図1の上下方向が自動倉庫1の前後X方向であり、図1の左右方向が自動倉庫1の左右Y方向である。
図1において、自動倉庫1は、主に、前ラック2a及び後ラック2bと、その間を走行するスタッカクレーン3とから構成されている。
【0013】
(2)ラック
前ラック2a及び後ラック2bは、左右Y方向に延びるスタッカクレーン3の走行通路5を挟むよう前後に配置されている。前ラック2a及び後ラック2bは、走行通路5側に所定間隔で左右に並ぶ多数の第1支柱7と、走行通路5と反対側に所定間隔を空けて並ぶ第2支柱9と、隣り合う第1支柱7及び第2支柱9の間に設けられた多数の荷物収納棚11を有している。荷物収納棚11には、図1から明らかなように、スタッカクレーン3が荷物Wの概略のサイズ(荷物Wの左右Y方向の大きさ)に応じた基準と後端(走行通路5側端)基準とで荷物Wを載置する。具体的には、2つの第1支柱7の間に、例えば荷物Wの大きさを三段階に区分けして荷物Wを載置する。大きい荷物Wは、荷物収納棚11に2つ並べて載置し、小さい荷物Wは荷物収納棚に4つ並べて載置し、中間の大きさの荷物Wは、荷物収納棚11に3つ並べて載置する。したがって、スタッカクレーン3は、荷物Wのサイズに応じて停止位置が異なる。
【0014】
前ラック2aの左側の最下段には、荷物Wを入庫するための入庫ステーション17が配置されている。後ラック2bの左側の最下段には、荷物Wを出庫するための出庫ステーション19が配置されている。したがって、入庫ステーション17及び出庫ステーション19においても、複数個の荷物Wを入出庫可能である。
【0015】
(3)スタッカクレーン
図1及び図2において、走行通路5に沿って、上ガイドレール21a及び下ガイドレール21bが設けられており、上ガイドレール21a及び下ガイドレール21bにスタッカクレーン3が左右Y方向に移動可能に案内されている。スタッカクレーン3は、多数の荷物収納棚11と入庫ステーション17と出庫ステーション19との間で荷物Wを搬送する。
【0016】
スタッカクレーン3は、図1及び図2に示すように、台車本体23及び昇降台27を有する走行台車22と、昇降台27に設けられた移載装置29と、を有している。台車本体23は、左右Y方向の両端部に左走行車輪23a及び右走行車輪23bを有している。左走行車輪23a及び右走行車輪23bは、台車本体23に軸受により回転自在に支持され、下ガイドレール21b上を走行する。台車本体23は、下ガイドレール21bを挟んで両端に一対配置された前ガイドローラ23c及び後ガイドローラ23dにより下ガイドレール21bに案内される。前ガイドローラ23cは、図2において、下ガイドレール21bを挟んで後ガイドローラ23dと同じ位置に配置されている。右走行車輪23bは、走行モータ87により駆動される。台車本体23の左走行車輪23a及び右走行車輪23bの内側には、左マスト25a及び右マスト25bが固定されている。左マスト25a及び右マスト25bは、上下方向に延びている。昇降台27は、台車本体23に設けられた左マスト25a及び右マスト25bに昇降自在に装着されている。
【0017】
(4)移載装置
移載装置29は、入庫ステーション17、出庫ステーション19及び荷物収納棚11と、の間で荷物Wを移載するための装置である。移載装置29は、図3及び図4に示すように、昇降台27としても機能する装置本体31と、コンベア部32と、クランプ部33と、を備えている。入庫ステーション17、出庫ステーション19及び荷物収納棚11は、他の装置の一例である。
図4に示すように、装置本体31の左右Y方向の中央部分に、荷物Wを載置して前後X方向(移載方向)に沿って荷物収納棚11側へ移動させるコンベア部32が設けられている。装置本体31のコンベア部32の外側に、荷物Wを把持して荷物収納棚13側へ移動させるクランプ部33が設けられている。
【0018】
(4−1)装置本体
装置本体31は、荷物Wを載置可能な荷物載置領域31aを有している。荷物載置領域31aには、荷物Wが後端基準で載置される。ここで荷物Wの後端とは、クランプ部33が把持する側であり、移載対象の前ラック2a又は後ラック2bから離れた端部である。したがって、前ラック2aが移載対象の場合、図3右側の端部が後端になり、後ラック2bが移載対象の場合、図3左側の端部が後端になる。
【0019】
(4−2)コンベア部
コンベア部32は、荷物Wを載置して移動させるものである。コンベア部32は、図3に示すように、装置本体31の左右Y方向の中央部分には、中心に対して対称に配置された第1コンベアユニット32aと第2コンベアユニット32bと、これらを駆動するコンベア駆動部42と、を有している。第1コンベアユニット32a及び第2コンベアユニット32bは、例えばベルトコンベアである。なお、コンベアの種類としては、ベルトコンベアでなくてもよく、ローラコンベアやチェーンコンベア等でもよい。コンベア駆動部42は、コンベア駆動モータ95と、コンベア駆動モータ95から動力を第1コンベアユニット32a及び第2コンベアユニット32bに伝達する駆動軸40と、を有している。
【0020】
(4−3)クランプ部
クランプ部33の構成を、図3及び図4により説明する。クランプ部33は、側面を挟持して荷物Wを移載可能な機構である。クランプ部33は、開閉するベース部51と、ベース部51から伸縮するアーム部53と、開閉駆動部60と、伸縮駆動部61と、を有している。ベース部51は、左右Y方向に間隔を隔てて配置された第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bを有する。アーム部53は、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bのそれぞれ内側に配置された第1アーム53a及び第2アーム53bを有する。第1アーム53a及び第2アーム53bは、対向して配置される。開閉駆動部60は、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51を開閉することにより、第1アーム53a及び第2アーム53bを開閉させる。伸縮駆動部61は、第1アーム53a及び第2アーム53bを同期して伸縮させる。第1ベース部材51a及び第1アーム53aと、第2ベース部材51b及び第2アーム53bは、鏡像関係にある構造である。
【0021】
(4−4)第1ベース部材及び第2ベース部材
第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bは、左右Y方向に互いに接近及び離反して開閉可能に装置本体31に設けられている。第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bは、第1コンベアユニット32a及び第2コンベアユニット32bの左右Y方向両外側に配置されている。
【0022】
第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bは、前後X方向に延びる概ね矩形板状の部材である。第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの両端部は、装置本体31の前後X方向の両端に左右Y方向に沿って配置された第1リニアガイド34a及び第2リニアガイド34bに案内され、装置本体31に左右Y方向に移動自在に支持されている。第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの両端部には、第1リニアガイド34a及び第2リニアガイド34bに案内される案内部としての第1リニア軸受63a及び第2リニア軸受63bがボルトにより各別に固定されている。
第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの下部の前後X方向の両端には、アーム部53が荷物収納棚11に収納された荷物Wの間に差込可能であるか否かを判断するための内差込センサ98a及び外差込センサ98bが配置されている。内差込センサ98a及び外差込センサ98bは、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの両端に固定され、装置本体31の内方に延びるセンサブラケット70に固定されている。内差込センサ98aは、荷物検出部の一例である。図3に示すように、内差込センサ98aは外差込センサ98bの内側に配置されている。内差込センサ98a及び外差込センサ98bは、例えば反射型の光電検出器を用いており、非接触で荷物Wを検出可能なセンサである。内差込センサ98a及び外差込センサ98bは、前ラック2a及び後ラック2bに向けて斜め上方に光を照射可能に配置されている。図3に示すように、内差込センサ98a及び外差込センサ98bの光軸の間隔Lは、アーム部53の第1アーム53a及び第2アーム53bのそれぞれの左右Y方向の長さより長い。このため、内差込センサ98a及び外差込センサ98bが両方とも荷物Wを検出していないと、アーム部53を差込可能であると判断できる。
【0023】
(4−5)第1アーム及び第2アーム
第1アーム53a及び第2アーム53bは、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの内側面に前後X方向に伸縮自在に各別に設けられている。
第1アーム53aは、第1中間アーム部54aと、第1先端アーム部55aと、を有している。第2アーム53bは、第2中間アーム部54bと、第2先端アーム部55bと、を有している。
【0024】
第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bは、概ね矩形板状の部材である。第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bは、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの内側面に伸縮自在に各別に支持されている。第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bは、第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bより短い概ね矩形板状の部材である。第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bは、第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bの内側面に伸縮自在に各別に支持されている。
【0025】
第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bは、第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bと図示しない連動機構により連結されている。連動機構は、ベルト及びプーリを有している。第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bが前後X方向の前側(図3の右側)又は後側(図3の左側)に移動すると、連動機構により、第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bは、第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bの2倍の速度で同じ方向に移動する。このため、第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bは、第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bに対して伸縮する。
【0026】
(4−6)開閉駆動部
開閉駆動部60は、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bを左右Y方向に開閉駆動するための機構である。開閉駆動部60は、アーム開閉モータ93とアーム開閉モータ93に連結されたボールねじ軸62と、を有している。また、開閉駆動部60は、図4に示すように、ボールねじ軸62に螺合する第1ナット部材64a及び第2ナット部材64bと、を有している。
【0027】
図3に示すように、アーム開閉モータ93は、ボールねじ軸62を回転駆動する。ボールねじ軸62は、左右Y方向に沿って配置されている。ボールねじ軸62には、左右Y方向の中心位置を境に右ねじ部62aと左ねじ部62bとが形成されている。図4に示すように、第1ナット部材64a及び第2ナット部材64bは、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの対向する内側面に各別に配置されている。ここで、第1ナット部材64aは、右ねじ部62aに螺合する右ねじの部材であり、第2ナット部材64bは、左ねじ部62bに螺合する左ねじの部材である。
【0028】
アーム開閉モータ93によりボールねじ軸62が一方向に回転すると、第1ベース部材51aと第2ベース部材51bが互いに離反する開方向に移動し、他方向に回転すると接近する閉方向に移動する。そして、ボールねじ軸62が他方向に回転して第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bが荷物Wの両側に接触して荷物Wを挟持すると、図示しない挟持センサがオンして閉動作が停止する。
【0029】
(4−7)伸縮駆動部
伸縮駆動部61は、図3に示すアーム駆動モータ91及びスプライン軸69と、図4に示す第1駆動プーリ76a及び第2駆動プーリ76b、一対の第1従動プーリ77a及び一対の第2従動プーリ77b、ならびに第1移動ベルト78a及び第2移動ベルト78bと、を有している。
【0030】
図3に示すように、スプライン軸69は、左右Y方向に沿って配置されており、アーム駆動モータ91により回転駆動される。第1駆動プーリ76a及び第2駆動プーリ76bは、スプライン軸に一体回転可能かつ軸方向移動自在に係合する。第1駆動プーリ76a及び第2駆動プーリ76bは、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの外側面に第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの外側面に開閉方向(左右Y方向)の移動に連動して移動可能に配置されている。一対の第1従動プーリ77a及び一対の第2従動プーリ77bは、第1ベース部材51a及び第2ベース部材51bの両端に回転自在に支持されている。第1駆動プーリ76a及び第2駆動プーリ76bの上方には、一対の第1テンションプーリ79a及び一対の第2テンションプーリ79bが配置されている。一方(例えば図4右側)の第1第1テンションプーリ79a及び一対の第2テンションプーリ79bは、第1移動ベルト78a及び第2移動ベルト78bに張力を各別に付与する方向に移動可能である。第1駆動プーリ76a及び第2駆動プーリ76bと、一対の第1従動プーリ77a及び一対の第2従動プーリ77bと、は、歯付きプーリである。
【0031】
アーム駆動モータ91によりスプライン軸69が回転すると、第1移動ベルト78a及び第2移動ベルト78bが循環駆動される。これにより、第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bが前後X方向の前ラック2a側又は後ラック2b側に移動し、さらに第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bが前ラック2a又は後ラック2bの荷物収納棚13に配置される。
【0032】
(5)クレーン制御部
図5において、スタッカクレーン3のクレーン制御部81は、スタッカクレーン3に搭載されている。クレーン制御部81は、自動倉庫1全体を制御するコントローラ82と通信可能である。クレーン制御部81は、CPUやメモリ等のコンピュータ・ハードウェアを含んでいるが、図5においてはコンピュータ・ハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される機能ブロックとして表現されている。なお、制御信号の送受信は無線(電波)で行っているが、有線であってもよい。
【0033】
クレーン制御部81は、台車本体23の走行及び停止の制御を行う走行制御部83と、昇降台27の昇降制御を行う昇降制御部84と、移載装置29の移載制御を行う移載制御部85と、を備えている。クレーン制御部81には、走行モータ87と、昇降モータ89と、が接続されている。また、クレーン制御部81には、アーム駆動モータ91と、アーム開閉モータ93と、コンベア駆動モータ95と、が接続されている。さらに、クレーン制御部81には、内差込センサ98aと、外差込センサ98bと、その他のセンサとが接続されている。その他のセンサには、挟持センサ等のその他の制御に必要なセンサが含まれる。
【0034】
(6)スタッカクレーンの荷積み動作
以下、図6のフローチャートを用いて、スタッカクレーン3の荷積み動作を説明する。フローチャートはクレーン制御部81による制御動作を示しているが、説明の簡略化のためにコンベア部32の動作を省略している。
【0035】
図6を用いて、スタッカクレーン3が荷物Wを搬送元に迎えに行って積み込むまでの移載動作について説明する。
【0036】
ステップS1では、搬送元の荷物Wがある荷物収納棚11の搬送元情報、荷物Wの搬送先の荷物収納棚11の搬送先情報、及び荷物Wの概略のサイズを含む搬送指令が示す搬送元への装着を待つ。搬送元にスタッカクレーン3の昇降台27が到着するとステップS2に移行する。ステップS2では、内差込センサ98a及び外差込センサ98bからの出力により、アーム部53を荷物Wの間に差込可能か否かを判断する。いずれかの差込センサがオンして差込不能であると判断すると、差込可能になるのを待つ。差込可能であるとステップS3に移行する。ステップS3では、伸縮駆動部61によりアーム部53を伸長させる。ステップS4では、第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bが荷物Wの側方に配置されるのを待つ。この判断は、例えばアーム駆動モータ91に設けられるロータリエンコーダの出力により判断する。第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bが荷物Wの側方に配置されると、ステップS5に移行し、アーム部53の伸長動作を停止する。
アーム部53が停止すると、ステップS6に移行し、開閉駆動部60のアーム開閉モータ93を閉方向に高速で回転駆動し、アーム部53を高速閉動作させる。ステップS7では、内差込センサ98aがオンして荷物Wを検出するのを待つ。アーム部53が閉動作するとアーム部53とともにベース部51も荷物Wに近づくため、内差込センサ98aは荷物Wを検出可能になる。荷物Wを検出するとステップS8に移行する。ステップS8では、アーム部53を低速で閉動作させる。具体的には、アーム開閉モータ93を閉方向に低速で回転駆動する。ステップS9では、アーム部53が荷積みする荷物Wに接触するのを待つ。前述したように第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bが荷物Wに接触すると、図示しない挟持センサがオンする。アーム部53が荷物Wに接触すると、ステップS10に移行し、アーム部53の閉動作を停止する。ステップS11では、伸縮駆動部61のアーム駆動モータ91によりアーム部53を収縮させる。ステップS12では、アーム部53が収縮完了するのを待つ。この判断は、例えばアーム駆動モータ91に設けられるロータリエンコーダの出力により判断する。アーム部53が所定の位置に到達すると収縮完了と判断してステップS13に移行し、アーム部53の収縮動作を停止する。
【0037】
(7)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)移載装置29は、入庫ステーション17、出庫ステーション19及び荷物収納棚11と、の間で荷物Wを移載可能な装置である。移載装置29は、アーム部53と、内差込センサ98aと、アーム制御部85aと、を備える。アーム部53は、第1アーム53aと第1アーム53aと対向して配置される第2アーム53bとを有する。アーム部53は、少なくとも一方のアームが他方のアームに対して開閉する。アーム部53は、第1アーム53aと第2アーム53bとの間で荷物を移載可能である。内差込センサ98aは、アーム部53の開閉動作と連動して移動可能である。内差込センサ98aは、入庫ステーション17、出庫ステーション19及び荷物収納棚11にある荷物Wを非接触で検出可能である。アーム制御部85aは、アーム部53の閉動作のとき、内差込センサ98aが荷物Wを検出するまではアーム部53を高速で閉動作させる。アーム制御部85aは、内差込センサ98aが荷物Wを検出するとアーム部53を低速で閉動作させる。
この移載装置29では、開状態のアーム部53を閉動作させる場合、内差込センサ98aが荷物Wを検出するまでは高速でアーム部53を閉動作させる。すなわち、アーム部53が荷物Wに接近するまではアーム部53を高速で閉動作させる。そして、内差込センサ98aが荷物Wを検出しアーム部53が荷物Wに接近すると、低速でアーム部53を閉動作させる。ここでは、荷物Wの検出の有無によりアーム部53の閉動作の速度を高速から低速に切り換えている。これにより、アーム部53が荷物Wに接近するまでは高速で閉動作するため、アーム部53が荷物Wを移載可能に閉じるまでの閉動作の時間を短縮できる。
【0038】
(B)移載装置29がアーム部53を、入庫ステーション17、出庫ステーション19及び荷物収納棚11と、に対して伸縮可能に支持するベース部51をさらに備え、アーム制御部85aは、アーム部53がベース部51から伸長動作を始める前にと、内差込センサ98aにより入庫ステーション17、出庫ステーション19又は荷物収納棚11にある荷物Wを検出しないことを確認してからアーム部53を伸長させてもよい。
この場合には、アーム部53を伸長させる前にアーム部を伸長させることができるかを判断する検出部と閉動作の速度を切り換えるための検出部とを内差込センサ98aにより兼用できる。
【0039】
(C)移載装置の閉動作方法は、アーム部53を備える移載装置29の閉動作方法である。アーム部53は、第1アーム53aと第1アーム53aと対向して配置される第2アーム53bとを有し、少なくとも一方のアームが他方のアームに対して開閉し、第1アーム53aと第2アーム53bとの間で荷物を移載可能である。移載装置29の閉動作方法は、配置ステップ(図6のステップS4)と、高速ステップ(図6のステップS6)と、低速ステップ(図6のステップS8)と、を含む。配置ステップでは、アーム部53を荷物Wの側方に配置する。高速ステップでは、アーム部53の開閉動作に連動して移動する内差込センサ98aが荷物かを検出する(図6のステップS7)まで、アーム部53を高速で閉じる。低速ステップでは、内差込センサ98aが荷物を検出する(図6のステップS7)とアーム部53を低速で閉じる。
この移載装置の閉動作方法では、アーム部53が荷物Wの側方に配置されると、内差込センサ98aが荷物Wを検出するまでは高速でアーム部53が閉じる。すなわち、アーム部53が荷物Wに接近するまではアーム部53を高速で閉動作させる。内差込センサ98aが荷物Wを検出しアーム部53が荷物に接近すると、アーム部53が低速で閉じる。ここでは、荷物Wの検出の有無によりアーム部53の閉動作の速度を高速から低速に切り換えている。これにより、アーム部53が荷物Wに接近するまでは高速で閉動作するため、アーム部53が荷物Wを移載可能になるまでの閉動作の時間を短縮できる。
【0040】
(8)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0041】
(a)前記実施形態では、第1アーム53a及び第2アーム53bのいずれもが開閉動作したが、一方だけが開閉動作し、他方が開閉動作しなくてもよい。アーム部に開閉可能に設けられたフックで荷物Wを押し引きして移載する移載装置では、片方のアームだけを開閉する場合がある。この場合には、開閉する一方のアームの閉速度を荷物Wの検出タイミングで高速から低速に切り換えればよい。
【0042】
(b)前記実施形態では、荷積みする荷物Wとその隣の荷物との隙間を検出する内差込センサ98a及び外差込センサ98bのうち、荷積みする荷物Wに近い内差込センサ98aで荷物の検出を判断したが、本発明はこれに限定されない。内差込センサ98aと別に閉動作専用の荷物検出用のセンサを用いてもよい。
【0043】
(c)前記実施形態では、非接触で荷物を検出する荷物検出部として光電検出器を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、荷物検出部として、レーザ又は音波等で距離を検出できるものを用いてもよい。また、荷物検出部として、荷物Wが磁気を帯びている場合はホール素子又はリードスイッチ等の磁気検出部を用いてもよい。
【0044】
(d)前記実施形態では、アーム部として第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bと第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bとを開示した。しかし、アーム部の形態は、前記実施形態に限定されず、第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bで荷物Wを把持するようなものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る物品搬送装置は、例えば、自動倉庫のスタッカクレーン等に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 自動倉庫
2a 前ラック
2b 後ラック
3 スタッカクレーン
5 走行通路
7 第1支柱
9 第2支柱
11 荷物収納棚
17 入庫ステーション
19 出庫ステーション
21a 上ガイドレール
21b 下ガイドレール
22 走行台車
23 台車本体
23a 左走行車輪
23b 右走行車輪
23c 前ガイドローラ
23d 後ガイドローラ
25a 左マスト
25b 右マスト
27 昇降台
29 移載装置
31 装置本体
31a 荷物載置領域
32 コンベア部
32a 第1コンベアユニット
32b 第2コンベアユニット
33 クランプ部
34a 第1リニアガイド
34b 第2リニアガイド
40 駆動軸
42 コンベア駆動部
51a 第1ベース部材
51b 第2ベース部材
53 アーム部
53a 第1アーム
53b 第2アーム
54a 第1中間アーム部
54b 第2中間アーム部
55a 第1先端アーム部
55b 第2先端アーム部
60 開閉駆動部
61 伸縮駆動部
62 ボールねじ軸
62a 右ねじ部
62b 左ねじ部
63a 第1リニア軸受
63b 第2リニア軸受
64a 第1ナット部材
64b 第2ナット部材
69 スプライン軸
70 センサブラケット
76a 第1駆動プーリ
76b 第2駆動プーリ
77a 第1従動プーリ
77b 第2従動プーリ
78a 第1移動ベルト
78b 第2移動ベルト
79a 第1テンションプーリ
79b 第2テンションプーリ
81 クレーン制御部
83 走行制御部
84 昇降制御部
85 移載制御部
85a アーム制御部
85b コンベア制御部
87 走行モータ
89 昇降モータ
91 アーム駆動モータ
93 アーム開閉モータ
95 コンベア駆動モータ
98a 内差込センサ
98b 外差込センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を他の装置との間で移載可能な移載装置であって、
第1アームと前記第1アームと対向して配置される第2アームとを有し、少なくとも一方のアームが他方のアームに対して開閉し、前記第1アームと前記第2アームとの間で前記荷物を移載可能なアーム部と、
前記アーム部の開閉動作と連動して移動可能であり、前記他の装置にある荷物を非接触で検出可能な荷物検出部と、
前記アーム部の閉動作のとき、前記荷物検出部が前記荷物を検出するまでは前記開閉アーム部を高速で閉動作させ、前記荷物検出部が前記荷物を検出すると前記アーム部を低速で閉動作させるアーム制御部と、
を備える移載装置。
【請求項2】
前記アーム部を前記他の装置に対して伸縮可能に支持するベース部をさらに備え、
前記アーム制御部は、前記アーム部が前記ベース部から伸長動作を始める前に前記荷物検出部により前記他の装置にある前記荷物を検出しないことを確認してから前記アーム部を伸長させる、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
第1アームと前記第1アームと対向して配置される第2アームとを有し、少なくとも一方のアームが他方のアームに対して開閉し、前記第1アームと前記第2アームとの間で前記荷物を移載可能なアーム部を備える移載装置の閉動作方法であって、
前記アーム部を前記荷物の側方に配置する配置ステップと、
前記アーム部の開閉動作に連動して移動する荷物検出部が前記荷物を検出するまで、前記アーム部を高速で閉じる高速ステップと、
前記荷物検出部が前記荷物を検出すると前記アーム部を低速で閉じる低速ステップと、
を含む移載装置の閉動作方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−188245(P2012−188245A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53715(P2011−53715)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】