説明

種ジャガイモ苗の大量生産方法

【課題】根圏部の腐敗病と軟腐病を防止することができて生存率を高めることができるうえ、定植の際に活着率を高めることが可能な無病種ジャガイモ苗を一時に大量生産することができる方法の提供。
【解決手段】種ジャガイモの生長点を採取した後、液体培地または固体培地で生長点を培養する段階と、前記生長点培養によって培養された器内植物体を固体培養する段階と、前記固体培養された器内植物体を摘出した後、養液が循環される湛液上に茎挿しして栽培する湛液茎挿し順化段階とを含む、種ジャガイモ苗の大量生産方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種ジャガイモ苗の大量生産方法に係り、さらに詳しくは、養液栽培定植に適した苗素質に優れた無病種ジャガイモ苗を一時に大量生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種ジャガイモの生産または種ジャガイモの養液栽培において最も重要なのは、ウィルス及び種子伝染病害に感染していない無病種ジャガイモ苗を生産することと、良質の苗を一時的に大量生産することである。
【0003】
種ジャガイモを生産する栽培ベッドに定植する種ジャガイモ苗にウィルスまたは主要病害が感染していると、感染苗から得られた種ジャガイモも、永続的な種子伝染によってウィルスまたは主要病害に感染して種ジャガイモとしての価値を失ってしまう。
したがって、無病種ジャガイモ生産の出発点となる無病種ジャガイモ苗を、ウィルスに感染していない器内増殖組織培養苗から確保しなければならないという困難さがある。
【0004】
また、組織培養苗は、多湿及び低光度の器内の環境条件、すなわち種ジャガイモ苗を培養する器内培養容器内の環境特徴によれば、気体とエネルギーの流動が少なく、温度変化が少ない反面、相対湿度が高く、培養容器内CO濃度の日変化が比較的大きいので、外気に直ちに晒して定植すると、枯死率が高くなる。すなわち、密閉された培養容器内のCO濃度は、350μmol・m−2・s−1より低い100μmol・m−1程度であるが、暗期中には3,000〜9,000μmol・m−1に急激に増加して日変化が激しい。また、培地に糖塩類及び生長調節物質を人為的に調製して添加した後、外部汚染源の遮断及び防止のために培養容器を完全に密閉する特性のため、容器内にはエチレンガスの発生が多い。また、器内湿度が高いため、器内で生育している培養苗は生長速度が低下し、形態的には節間が長く、茎は細く、葉の面積も小さいため、直ちに養液栽培苗に利用するには不適である。
【0005】
そして、組織培養による繁殖、すなわち固体培養、液体培養、タンク培養の生産コストが高いが、これは、遺伝的に均一な苗の大量増殖が、適切な培養環境条件の下で無菌的に培養し、植物体として完全な機能を持つ個体を再生させるものなので、高価の装備と適切な環境を備えた施設を利用しなければならないためである。また、全過程が経験的手作業で行われるため生産コストの半分程度が人件費として費やされ、増殖培養過程中に幼植物体の成長速度が遅く、順化過程中に外部環境に適応できなくて生存率が低くなる。
【0006】
したがって、乾燥した高光度の温室または養液栽培施設に定植されるためには、器内培養瓶で生育している植物体の成長を最大に促進させ、晒された外気環境のストレスで生存することが可能な充実な苗に生育させる必要がある。よって、苗順化の人為的な方法によって適切に調節することにより生存率の保障と苗素質を高めることが、種ジャガイモ苗生産の鍵である。
【0007】
種ジャガイモ苗を生産する方法としては、器内培養植物体を種ジャガイモ苗に順化させてから定植する方法、或いは器内で生産した人工種ジャガイモまたは養液栽培種ジャガイモのうち、圃場で直播することが難しい5g規格以下の小塊茎を休眠打破した後、無菌培地(パーライト)で7〜8cm程度生長させ、その後ジャガイモ塊茎を取り除き、養液栽培用幼苗として活用する方法がある。
【0008】
中でも、組織培養植物体を種ジャガイモ苗に順化させる方法としては、順化した器内培養植物体を無菌パーライト耕に挿し植えして新しい根の発生を介して種ジャガイモ苗に生産する方法と、養液が供給される順化湛液耕に、一定の過程を経て順化された器内培養植物体の挿し穂を茎挿しして、種ジャガイモ苗を生産する方法がある。
【0009】
前記パーライト耕を用いて種ジャガイモ苗を生産するときには、植物体のある器内培養瓶を培養室の環境と同じ温室で温度及び光度を徐々に高め、空中湿度に対する適応は、入り口に設けられた孔の大きさを広めながら調節して、順化された培養植物体を器内培養瓶から摘出した後、清い水で水洗し、小規模育苗用無菌パーライト耕への挿し植えまたは茎挿しによって茎に新しい根をおろすようにすることにより、種ジャガイモ苗の機能を行う。ところが、種ジャガイモ苗が挿し植えされた順化床の空中湿度が高いか水分を頻繁に供給すると、新しい根をおろすようにするために、パーライトに埋められた部位の茎が溶けて腐ってなくなる軟腐病が発生するので、発根した個体の順化率が高くないため生存率が低いことが最も大きい問題点である。また、調節する光量があまり高ければ、茎が枯れる現象により被害を受けるので、順化の際には植物体の状態に応じて栽培者が経験的な判断に基づいて適度な光量を調節しなければならないという難しさがあるうえ、順化に用いられたパーライトは、病菌汚染及び伝播、過多養分残渣などの理由により1回しか使用できなくなるので、新しい環境汚染源となっている。
【0010】
前記軟腐病及び乾燥被害は生育環境の変化と培養植物体の特異性により発生するが、器内の相対湿度が90〜100%なので、器内植物は、キューティクルワックス(cuticle wax)層の発達が微弱であり、 柵状細胞(palisade cell)が一般植物体よりさらに少なくてその数も少なく、器内湿度が高くて気孔が常時開いているため作動せず、根と茎の維管束組織の連結が貧弱であり、器内で形成された根は根毛が非常に少ないか全くなく、固体培地で生長した培養苗を器内から摘出するとき、培地中に伸びた根が多く損傷して本来の機能を果たすことができないためである。
【0011】
そして、前記組織培養した器内培養植物体を種ジャガイモ苗に順化させる他の方法は、
発泡スチロール成形ベッド及びコンテナプラスチック箱を用いて作った後、内部の漏水を防止するために黒色ビニールを敷いた栽培槽の上板に培養植物体を定植し、その後養液を一杯に満たして栄養分を供給する方式でエアポンプを用いて養液に酸素を供給し、種ジャガイモ苗を生産する方法である。ところが、この方法の場合にも、器内培養された培養植物体の特異性及び生育環境の変化により、茎挿しするための種ジャガイモ苗の切り口が腐ったり、生長点を始めとした苗の茎が枯れたりするなど、生育不可状態になって現実的に種ジャガイモを大量生産するのには限界性があった。また、限定的に溜まっている養液を培養植物体が利用することにより、生育による特定の成分に対する栄養欠乏現象が起こる。これは、培養植物体を用いた種ジャガイモ苗の生産期間である30日〜40日程度からみて、養分欠乏した生育不良苗の栄養障害症状の発現による診断過程を経た後、足りない養分を補充して治療し、その後養液施設に定植されなければならないにも拘わらず、短い種ジャガイモ苗の順化栽培期間により、生育不良苗がそのまま養液栽培に定植苗として用いられて連続的な被害を生む結果をもたらした。また、栽培槽に溜まっている栄養分を茎挿し苗が直接利用する特性により、養液が病原菌に汚染したり腐敗したりするときには、生育している苗全体を淘汰及び廃棄処理してその年の農事を台無しにするという大きい問題点があった。
【0012】
上述した器内培養植物体を活用した種ジャガイモ苗の生産は栽培者の老練な技術と失敗の経験が成功の要因として作用しており、初歩的経験持ちの栽培者が苗素質の優れた種ジャガイモ苗を得ることは現実的に難しい。このため、安定的な種ジャガイモ苗を確保することが可能な方法の一環として、一定サイズ以下の種ジャガイモを休眠打破してから発芽させて利用する小塊茎萌芽苗が用いられている。この方法は、器内で生産した人工種ジャガイモまたは養液栽培種ジャガイモのうち、圃場で直播し難い5g規格以下の小塊茎を休眠打破してから無菌培地(パーライト)に播種して発芽させ、茎を7〜8cm程度に生長させた後、ジャガイモ塊茎を取り除くと、培養植物体の複雑な順化過程なしに養液栽培用幼苗として直ちに定植することができるという利点があって、定植用種ジャガイモ苗として使用するには便利である。
【0013】
ところが、小塊茎も、一般ジャガイモと同様に、品種の特性に起因した休眠の程度と期間が異なるため、休眠打破の後に使用しなければならないという煩わしさがあり、パーライト及び床土を用いた萌芽苗養成の際に病虫害によるウィルス汚染または種ジャガイモで主要に取り扱われている病の発生による被害に合い易くて、最初の組織培養苗より品質が劣る可能性もあり、萌芽苗として使用しようとする小塊茎の品質が不良であるか未確認されたときには種ジャガイモ苗としての使用が不可であるという欠点がある。
【0014】
また、種ジャガイモ苗の生産において、特に養液の栽培に適した種ジャガイモ苗を生産するためには、草丈が長く匐枝が出現する節の数が多い種ジャガイモ苗を生産することが鍵である。
【0015】
種ジャガイモ苗を養液で栽培して種ジャガイモを生産する栽培方法は、種ジャガイモ苗を養液に浸漬し或いはパーライトまたは床土に栽培するのではなく、中空の発泡スチロール栽培ベッドの空気中に吊り下げて定植して栽培するものである。すなわち、栽培ベッドの床板に開いている定植孔に長方形のスポンジの側面を上方から下方に切って切り口に種ジャガイモ苗を挿入し、栽培ベッドの床板の定植孔にスポンジと共に押し込む定植作業によって、生産された種ジャガイモ苗が、苗素質が不良であって茎が軟弱である或いは徒長された種ジャガイモ苗の場合には、定植経験の多い経験者が注意深く定植しても、スポンジの中で容易に折れたり曲げられたりする問題点が発生して枯死してしまう。しかも、定植作業の当時には、苗の体内水分により枯れ苗がないため、栽培者がスポンジの間に挿入された被害苗を発見することができず、時間経過後、徐々に外気環境により水分喪失が激しくなって枯れるか萎凋、枯死したとき、苗素質状態による環境のストレスによる生育不良苗を発見してから始めて交替、再定植が行われる。したがって、定植日から立毛率が確保される一定の期間まで再定植にかかる過多労働力と種ジャガイモ苗の浪費などが現実的な隘路事項である。また、生育している種ジャガイモ苗と新しく定植した種ジャガイモ苗間の活着期間による不均一な生育差により、全般的な養液濃度及び給液差だけでなく、生殖生長期への転換の際に未熟な生長により匐枝の発生が低調する。このため、形成された塊茎が少なくて全体的な数量低調現象と全体的な生育期間が長くなる現象をもたらし、栽培者に栽培管理の負担感とストレスとして作用することが現実である。
【0016】
また、生産した種ジャガイモ苗の草丈が短ければ、種ジャガイモ苗の支持台の役割をする栽培床板の厚さと苗を挿し込むスポンジの厚さにより、栽培ベッドの下の根圏部に露出した茎の節数が少ないか無いので、根の発根及び匐枝出現の機会が減って、結局は種ジャガイモの生産量が減少する原因となる。これは、生育されている種ジャガイモ苗の生体重を受けるか支持の役割をしている定植孔が開いている圧縮発泡スチロール栽培ベッドの床板の厚さが5cm程度であり、これに苗を挿し込んで定植するスポンジの厚さが圧縮発泡スチロール栽培ベッドと同じ5cmまたは少し厚い7cm厚さのスポンジを使用するためである。
【0017】
したがって、種ジャガイモ苗の草丈は、定植スポンジの厚さを除いた栽培ベッドの下の根圏部に下りている、ジャガイモの塊茎がぶら下がる匐枝を出現させ得るところである節が多く、茎の長さが長い苗を生産することが何よりも重要である。このような種ジャガイモ苗を生産するためには、順化後、密植栽培で軟弱に育てて徒長させるか、成長する空間を広めて育てる方法がある。前者は、光の不足による成長により苗の茎が軟弱であって、ある程度成長すると、苗の自重により倒れて曲げられた苗となるため、施設定植時のスポンジの中で容易に切れたり折れたりして生育が不良であるか、枯死して生存率と立毛率が低いという問題点がある。また、後者の場合には、確保された空間による十分な光合成が行われ、苗の草丈が短くて強健な茎と短い節の逆三角形またはダイアモンド形の外形を備えた、均一に生育された苗を得ることができるため、安定的な活着を期待することができるが、スポンジを利用する養液栽培の特性上、節数の確保による匐枝数の確保は期待することができないということが問題点であり、逆に、最大に匐枝を出現させることが可能な節の数を確保した外形的条件を備えた種ジャガイモ苗に過度に生育させると、茎の中が空き、角が付き、ジャガイモの塊茎がぶら下がる匐枝を出現させることができない、葉と茎が出る節に変わる経済的効率性がない苗として養成される。
【0018】
したがって、養液栽培方法で種ジャガイモを大量生産するに適した苗素質の優れた種ジャガイモ苗の大量生産方法が切実に要請されている実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、根圏部の腐敗病と軟腐病を防止することができて生存率を高めることができるうえ、定植の際に活着率を高めることが可能な無病種ジャガイモ苗を一時に大量生産することができる方法を提供することにある。
【0020】
また、本発明は前記と同様の方法で生産された種ジャガイモ苗を用いて種ジャガイモを大量生産する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、種ジャガイモの生長点を採取した後、液体培地または固体培地で生長点を培養する段階と、前記生長点培養によって培養された器内植物体を固体培養する段階と、前記固体培養された器内植物体を摘出した後、養液が循環される湛液上に茎挿しして栽培する湛液茎挿し順化段階とを含む、種ジャガイモ苗の大量生産方法を提供する。
【0022】
また、本発明は、前記で生産された種ジャガイモ苗を養液栽培施設に定植する段階と、前記定植された種ジャガイモ苗に対して2〜3回枝おろし作業を行うことにより、匐枝の数を最大化する段階と、前記匐枝で形成された種ジャガイモの小塊茎を収穫する段階とを含む、種ジャガイモの大量生産方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
前述したように、本発明によれば、器内で培養された植物体を湛液茎挿し順化耕に茎挿しして植物体の頂芽と側芽から発生した芽を暗黒状態から順次光量を増加させて硬化させることにより、健全な濃緑色の葉が多く、体内炭水化物が多く蓄積されて茎が強健であって倒伏されないうえ、弾力的な短い節の外形を備えた、茎の長い種ジャガイモ苗を得ることができる。したがって、養液栽培施設への定植の際、外気環境の適応性が高いため、短期日内に速く且つ均一に発生した根群活着によって、種ジャガイモ苗の枯死や生育不良苗等の発生を防止することができる。
【0024】
また、器内植物体の順化過程なしに直ちに茎挿しすることにより、順化過程にかかる期間だけ、全体的な種ジャガイモ苗の生産期間を短縮して生産することができる。
また、本発明に係る湛液茎挿し順化段階では、養液が供給される段階と、供給が中断される段階とに分けられており、養液供給が中断される段階では、養液と沈殿物が完全立ち去って、循環される養液が濾過網によって濾過された後再供給されることにより、根圏部の茎及び根に対する腐敗病、軟腐病を防止することができる。
【0025】
これに加え、湛液茎挿し順化段階では、無病の種ジャガイモ苗を繰り返し採取することができるので、無病種ジャガイモ苗を大量生産することができて労働力と生産コストを節減することができる。
【0026】
また、本発明は、前記湛液茎挿し順化段階を経た種ジャガイモ苗に対して噴霧茎挿し順化段階をさらに行うようにすることにより、匐枝の数を最大化することが可能な円形の節が多い草丈30〜40cmの強健な種ジャガイモ苗を生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の構成について詳細に説明する。
まず、本明細書で使われる用語を定義すると、次の通りである。
本明細書で言及された「湛液茎挿し順化」という用語は、養液が循環される湛液上に組織培養種ジャガイモ苗を茎挿しして植栽栽培する過程をいう。
本明細書で言及された「噴霧茎挿し順化」という用語は、種ジャガイモ苗の根圏部に養液をノズルを介して噴射供給して栽培する過程をいう。
本発明書で言及された「湛液茎挿し順化耕」という用語は、前記湛液茎挿し順化が行われる装置をいう。
本明細書で言及された「噴霧茎挿し順化耕」という用語は、前記噴霧茎挿し順化が行われる装置をいう。
【0028】
本発明は、種ジャガイモの生長点を採取した後、液体培地または固体培地で生長点を培養する段階と、前記生長点培養によって培養された器内植物体を固体培養する段階と、前記固体培養された器内植物体を摘出した後、養液が循環される湛液上に茎挿しして栽培する湛液茎挿し順化段階とを含む、種ジャガイモ苗の大量生産方法を提供する。
【0029】
本発明に係る種ジャガイモ苗の大量生産方法では、採取された生長点を培養するときに固体培養または液体培養を行うことができ、その中でも、ロータリーシェーカーで液体培養することがさらに好ましい。
【0030】
この際、前記種ジャガイモの生長点培養段階は、18〜22℃、光度900〜1,100Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件下で、スクロース28〜32g/Lが添加されたpH5.7〜5.8のMS基本培地、または前記培地に寒天7〜11g/Lがさらに含まれた培地で24〜26日間行われることが好ましい。
【0031】
また、前記種ジャガイモの生長点培養段階の後、器内植物体の病害検定段階をさらに経ることが好ましい。ウィルスまたは病害検定の後、異常のない種ジャガイモ苗を大量培養することにより、ウィルスまたは病害に感染していない無病の種ジャガイモ苗を大量生産することができる。この際、使用可能な病害検定方法としては、特に制限されるのではないが、特にELISA検定法によって個体別6種ウィルス検定を行うことが好ましい。
【0032】
前記固体培養は、さらに2段階、すなわち1次新芽継代培養と2次増殖培養からなることが好ましい。
【0033】
前記1次新芽継代培養は、pH5.7〜5.8の基本MS培地に寒天7〜11g/L、スクロース70〜80g/Lが添加された培地で行われることが好ましく、さらに好ましくは基本MS培地に寒天9g/L、スクロース80g/Lが添加された培地である。前記2次増殖培養は、pH5.7〜5.8の基本MS培地に寒天7〜11g/L、スクロース70〜80g/L、クマリン0.020〜0.035mg/Lが添加された培地で行われることが好ましく、さらに好ましくは基本MS培地に寒天9g/L、スクロース80g/L、クマリン0.025mg/Lが添加された培地である。
【0034】
これは、器内で培養される植物体細胞の場合、通常、光合成能力が低下しているため、細胞の炭素骨格または代謝に必要なエネルギーを生産するためには、炭素を培地から供給されるべきであるが、滅菌作業(1.2気圧、124℃)を経る組織培養の特性を考慮して、高い熱にも比較的安定なスクロースを使用することが好ましい。このように培地に添加されたスクロースは、培養細胞のエネルギー源として植物体に吸収されて細胞の増殖及び生長に影響を与えるのは勿論のこと、その濃度が植物体の再分化にも関与し、80g/Lの高濃度の場合、種ジャガイモ苗の生育が最も良好な結果を示す。
【0035】
器内の植物体を乾燥な外部環境に露出させて種ジャガイモ苗として養成するためには、弱光でも体内に多くの炭水化物の蓄積ができれば、強健で弾力的な茎を備えた種ジャガイモ苗を生産することができるので、スクロースは70〜80g/Lが最も適切である。スクロースが70g/L未満で添加されると、強健な種ジャガイモ苗を得ることができなくなり、スクロースが80g/Lの超過量で添加されると、むしろ根圧による養分吸収に反する逆浸透圧現象が起こって体内に炭水化物が蓄積されないので好ましくない。
【0036】
前記1次新芽継代培養と前記2次増殖培養は、それぞれ25〜35日間、4,000〜5,000Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件下で行われることが好ましく、さらに好ましくは30日間4,500Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件下で行われる。
【0037】
このように、2次増殖培養済みの種ジャガイモ苗を摘出して直ちに湛液茎挿し順化段階に入るか、或いは順化段階をさらに経た後に湛液茎挿し順化を行うことができるが、その中でも順化過程を経ずに湛液茎挿し順化を行うことが生産期間短縮の面でさらに好ましい。
【0038】
組織培養苗は、密閉された多湿及び低光度の器内の環境条件で生育したので、生長速度が遅く、節が長くて細い茎により、乾燥な高光度の温室または養液栽培に定植されるためには、外気環境のストレスで生存し得るように、器内植物体の培養環境から定植栽培される外気環境に漸次変化する順化過程を経なければならない。ところが、順化過程にかかる時間が10日〜15日程度と長く、順化過程を経た器内植物体でも栽培者の経験及び能力によって種ジャガイモ苗の生存率と所望する苗素質が異なる。したがって、本発明と同様に、別途の順化過程なしに、直ちに湛液茎挿し順化段階によって器内植物体を外気環境に適した種ジャガイモ苗に時間を短縮して生産することは非常に重要である。
【0039】
前記湛液茎挿し順化段階で茎挿しされる種ジャガイモ苗は、葉が全て落ちて茎のみが残ったもので、やや老化して茎が硬化状態のものが好ましい。これは、器内状態で旺盛な生育(30〜35日)を示す種ジャガイモ苗を摘出して茎挿しすると、葉の茂った根なしの軟弱な茎を切り取って茎挿しした状態なので、蒸散過多により、葉が枯れ、植物体が萎凋されて死んでしまうか、酷い植え傷みにより活着率が低調するためである。したがって、器内培養苗の葉が落ちて茎のみが残った状態で摘出して茎挿しすると、100%成功する。
【0040】
前記湛液茎挿し順化段階で茎挿しされる種ジャガイモ苗は、消毒済みの鋭い刃で茎下端の節部分を切断して使用することが好ましい。この際、いっぺんに切ることが好ましい。前述した湛液茎挿し順化段階は、18〜22℃、pH6.6〜7.0の養液を用いて行われることが好ましく、光量は、生育段階別に漸次増加させることにより、順次種ジャガイモ苗を硬化させることが好ましい。この際、a)暗闇:55〜65時間/0Lux→b)照明:45〜55時間/2,100Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →c)照明:35〜45時間/3,600Lux,暗闇:4〜8時間/0Lux →d)照明:25〜35時間/5,500Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →e)照明:540〜600時間(30日の間 毎日 18〜20 時間 ずつ)/7,000Lux,暗闇:120〜180時間(30日の間 毎日4〜6時間ずつ /0Lux)と光量を漸次増加させることが最も好ましい。
【0041】
まず、茎挿し後、暗黒状態を55〜65時間維持すると、新芽が白く成長する。大部分の植物体は、水に溶けている栄養分を地上部の蒸散作用による水分子の凝集力によって根から吸収するので、茎挿しによる不利な吸収条件で種ジャガイモ苗の頂芽及び側芽における優先的新芽発生は、茎挿しされた根圏部茎の養分と水分を吸収し得る根毛の発生を促進させることができる。これにより、不安定な生存性を示す器内培養植物の生存率を確保することができる。また、植物体の頂芽と側芽から発生した芽を、暗黒状態から順次光量を増加させて硬化させることにより、健全な濃緑色葉が多く、体内炭水化物の蓄積が多く行われて茎が強健で倒伏されていない、弾力的な短い節の外形を備える。
【0042】
前記湛液茎挿し順化段階では、養液が供給される段階と、養液の供給が中断される段階とが繰り返し行われることが好ましく、30〜45分間養液が供給され、90〜180分間養液の供給が中断されることが好ましい。これは、養液の供給が頻繁であれば、種ジャガイモ苗の生育は良好であるが、過剰の水分吸収により軟腐病が発生し易く、供給時間の間隔が長ければ、体内水分蒸発による萎凋で乾燥被害を受け易いためである。
【0043】
前記養液が供給される段階では、養液が水面の変動なしに流れるように供給され、養液の水位が一定に維持されることが好ましい。これは、供給される養液によって発生する水圧による速い流速と渦流現象が、茎挿しされた種ジャガイモ苗にストレスとして作用して根の発根及び生育を阻害するためである。
【0044】
また、前記養液の供給が中断される段階では、養液と沈殿物が完全立ち去って、種ジャガイモ苗の茎及び根が空気中に露出することが好ましい。すなわち、種ジャガイモ苗の根を空気中に完全に露出させると同時に、栽培パネルの茎挿し孔を介しての空気の流入及び循環が起こるようにすることにより、茎挿しされた種ジャガイモ苗の過多浸漬及び過剰水分吸収による軟腐病と根腐敗病を防止することができる。
【0045】
前記湛液茎挿し順化段階では、種ジャガイモ苗を、茎挿し13〜15日後から6〜10日間隔で、節が全て消尽するまで繰り返し採取することが好ましく、これにより種ジャガイモ苗を大量生産することができる。
【0046】
前記湛液茎挿し順化段階は、種ジャガイモ苗を茎挿しして栽培する茎挿し孔が配列形成された栽培パネルと、前記栽培パネルがのせられる空間を有し、前記栽培パネルに茎挿しされた種ジャガイモ苗の生長に必要な養液の供給を受けて湛液し、過剰供給された養液を排水する排水口が設けられた栽培ベッドと、前記栽培ベッドの一側に配置され、前記栽培パネルに茎挿しされた種ジャガイモ苗に光を照射する光源部と、前記栽培ベッドの一側に配置され、前記栽培ベッドの下部に前記養液を流出させて供給する養液分散供給管と、前記養液分散供給管に連結され、養液を供給する養液タンクを備えた養液供給製造部とを含む湛液茎挿し循化耕で行われることが好ましい。
【0047】
この際、前記湛液茎挿し順化耕において、前記栽培ベッドの排水口には、上下方向にスリットが設けられた排水管が提供され、前記排水管には螺旋状の開閉口を有する開閉管が前記排水管の下部に対して離隔するように挿入されることが好ましい。
【0048】
前記湛液茎挿し順化耕において、前記栽培ベッドは、養液湛液空間が複層の支持フレームによって複層形状に備えられ、前記支持フレームの各層に形成された空間には、前記養液タンクに連結された養液分散供給管が配置され、前記支持フレームの各層に形成された栽培ヘッドの下部には、前記光源部である蛍光灯が複列に配置されることが好ましい。この際、前記支持フレームの一側には、前記各層の養液分散供給管に連結されて養液を供給し、前記養液分散供給管の間に養液の流量を調節する流量調節弁が配置された主供給管が配置され、前記主供給管は、前記支持フレームの最上部に配置された前記栽培ベッドの上部に延長されて直立配置された形であり、前記主供給管の最上部には、その下部より体積が大きく、前記養液タンクに連結された加圧管が結合し、前記主供給管と前記加圧管との間には、主供給管に対する圧力を調節する圧力調節弁が配置されることが好ましい。
【0049】
前記湛液茎挿し順化耕において、前記栽培ベッドの排水口は、前記養液タンクに連結され、排出される養液を前記養液タンクに再び貯留する排出管を含むことが好ましい。この際、前記排出管の端部には、循環した養液に含まれている滓または不純物を濾過する微細濾過網が配置されることが好ましい。このように、循環される養液の滓または不純物が取り除かれることにより、根圏部の腐敗病と軟腐病を防止することができる。
【0050】
前記湛液茎挿し循化耕において、前記養液分散供給管は、一側が前記養液タンクから養液の供給を受ける「T」字状の分岐管である。前記分岐管は、養液を流出させるノズルが設けられ、前記栽培ベッドの底面に水平に配置される噴出管を備えることが好ましい。これにより、茎挿しされたベッドの内部に供給される養液が水面の変動なしに流れることができる。
【0051】
本発明に係る種ジャガイモ苗の大量生産方法において、前記湛液茎挿し順化段階を経た種ジャガイモ苗は、採取し、例えば湛液茎挿し順化耕に再茎挿し、パーライト耕に茎挿し、噴霧茎挿し順化耕に茎挿しするなどいずれの方式でも再茎挿しすることができる。ところが、その中でも、前記湛液茎挿し順化段階の後、種ジャガイモ苗の根圏部にノズルを介して養液を噴射して栽培する噴霧茎挿し順化段階をさらに行うことが好ましい。
【0052】
前記噴霧茎挿し順化段階は、種ジャガイモ苗を茎挿しするための茎挿し孔が配列形成された栽培パネルと、前記栽培パネルが上部に支持され、前記栽培パネルに茎挿しされた種ジャガイモ苗の生長に必要な養液を霧状に噴射するノズルを備えた噴射管が配置され、噴射されて下部に沈んだ養液を排水する排水口が設けられた栽培ベッドと、前記栽培ベッドの一側に配置され、前記栽培パネルに茎挿しされた種ジャガイモ苗に光を照射する光源部と、前記栽培ベッドの噴射管が一側に連結され、養液の貯留された養液タンクを備えた養液供給製造部とを含む、噴霧茎挿し順化耕で行われることが好ましい。
【0053】
この際、前記噴射管の端部は、前記噴射管に含まれている滓を排出する掃除弁を備えることが好ましい。前記栽培ベッドは、前記養液噴射空間が複層の支持フレームによって複層形状に備えられ、前記支持フレームの各層に形成された空間には、前記養液タンクに連結された噴射管が配置されることが好ましい。ここで、前記支持フレームの一側には、前記各層の噴射管に連結されて養液を供給し、前記噴射管の間に養液の流量を調節する流量調節弁が配置された主供給管が配置され、前記主供給管は、前記支持フレームの最上部に配置された前記栽培ベッドの上部に延長されて直立配置された形であり、前記主供給管の最上部には、その下部より体積が大きく、前記養液タンクに連結された加圧管が結合することが好ましい。
【0054】
また、前記栽培ベッドの排水口は、前記養液タンクに連結され、排出される養液を前記
養液タンクに再び貯留する排出管を含み、前記排出管の端部には、前記養液タンクに流入する養液の滓または不純物を濾過する微細濾過網が備えられることが好ましい。
【0055】
ここで、前記養液製造供給部は、前記養液タンクの養液を製造するための有無機養分を含んだ原液を供給する原液筒と、前記原液筒の一側に配置され、前記養液タンクの酸度を調節する酸液を前記養液タンクに供給する酸液筒と、前記原液筒及び前記酸液筒に連結され、前記原液及び前記酸液の供給を受けて前記養液タンクに定量で供給する定量ポンプと、前記養液タンクから養液の供給を受けて熱を伝達し、さらに養液タンクに供給して前記養液の温度を調節する温度調節部と、前記養液タンクに貯留された養液の温度を測定する養液温度センサと、酸度を測定するpHセンサと、養液の濃度を測定する濃度センサを備えたセンサ部と、前記養液温度センサによって養液の温度を測定することにより、前記温度調節部を稼働させて養液の温度を調節し、前記pHセンサおよび前記濃度センサで前記養液の温度、濃度、酸度を収集することにより、前記定量ポンプによって前記養液タンクに供給する原液及び酸液の供給量を調節する制御部とを含むことが好ましい。
【0056】
また、前記養液製造供給部は、前記養液タンクの水位を感知する水位感知センサを含むことが好ましい。
【0057】
また、前記養液製造供給部は、前記養液タンクの養液を殺菌する水中殺菌部と養液に気泡を発生させる気泡発生部とを備えることが好ましい。
【0058】
一方、前記養液タンクと前記栽培ベッドとを連結する管には、養液を殺菌する紫外線殺菌部が配置されることが好ましい。
【0059】
前述した噴霧茎挿し順化段階は、6,500〜7,500Lux、18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件, pH6.6〜7.0の養液、18〜21℃の条件で行われることが好ましく、養液は30秒間供給され、4分間中断されることが好ましい。
【0060】
また、噴霧茎挿し順化段階では、種ジャガイモ苗の地上部の草丈が8〜12cm程度となったとき、消毒済みのハサミによって上位葉2〜4枚を除いた下位葉を除去し、種ジャガイモ苗の茎を前記栽培パネルの下に引き下げる枝おろし作業を2〜3回行うことが好ましい。このようにすることにより、匐枝が出現し得る丸い節の数を最大化することができるので、種ジャガイモの生産量を最大化することができる。
【0061】
前記噴霧茎挿し順化段階は、32〜40日間行われる。噴霧茎挿し順化段階の最後の5〜7日間には上位葉2〜3枚を残して下位葉を全て除去し、種ジャガイモ苗の根を3/4切断した以後に根を再生させる過程を経ることが好ましい。これにより、養液栽培施設における活着率を高めることができる。
【0062】
発根した根を全く除去していない状態で再茎挿しするときには、茎挿しされた種ジャガイモ苗の根が溶けて無くなった後、さらに発根するので、新根発生の所要期間が長くなり、溶けて無くなる既存の根が腐ることにより茎が脆くなる現象と、軟腐病による枯死苗が発生する。また、完全除去した根の種ジャガイモ苗は、根圏部の足りない水分吸収により葉と茎が萎凋され、発根による苗の活着期間が長くなって初期生育に難しさがある。したがって、根を3/4切断した後再生させることが、養液栽培施設への定植の際に活着率を高めることができる。
【0063】
次に、前述した湛液茎挿し順化と噴霧茎挿し順化が行われる湛液茎挿し順化耕と噴霧茎挿し順化耕の構造及び作動原理を添付図面を参照して説明する。
【0064】
図30は本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕と噴霧茎挿し順化耕の構成図、図31は本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕の支持フレームに提供された栽培ベッドの部分斜視図、図32は本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕の栽培ベッドの部分斜視図、図33は本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕の栽培ベッドの排水口に提供された排水管と開閉管の部分斜視図、図34は本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕と噴霧茎挿し順化耕の作動図である。
【0065】
図示の如く、本発明に係る湛液茎挿し順化耕は、種ジャガイモ苗105を茎挿しして栽培する茎挿し孔101が配列形成された栽培パネル110と、前記栽培パネル110がのせられる空間が設けられ、前記栽培パネル110に茎挿しされた種ジャガイモ苗105の生長に必要な養液の供給を受けて湛液し、過剰供給された養液を排水する排水口11が設けられた栽培ベッド120と、前記栽培ベッド120の一側に配置され、前記栽培パネル110に茎挿しされた種ジャガイモ苗105に光を照射する光源部130と、前記栽培ベッド120の一側に配置され、前記栽培ベッド120の下部に前記養液を流出させて供給する養液分散供給管173と、前記養液分散供給管173に連結されて養液を供給する養液タンク302を備える養液供給製造部300とを含む。
【0066】
ここで、前記栽培パネル110は、種ジャガイモ苗105が茎挿しされた後、栽培ベッド120の上部に支持されて配置されるが、栽培パネル110に茎挿しされた種ジャガイモ苗105の根は、栽培ベッド120に供給されて貯留されている養液から養分の供給を受けて生長する。
【0067】
前記栽培ベッド120の排水口111には、前記上下方向にスリット115aが設けられた排水管115が提供され、前記排水管115には、螺旋状の開閉口116を持つ開閉管116が前記排水管115の下部に対して離隔するように挿入される。
【0068】
ここで、前記排水管115は、栽培ベッド120に湛液された養液を排水するスリット115aが設けられており、開閉管116は、排水管115に結合して回転しながら開放されるスリット115aの長さを調節し、スリット115aの開放長さによって、栽培ベッド120に湛液される養液の水位を調節する。
【0069】
すなわち、前記開閉管116は、排水管115の下部側のスリット115aを開放しながら排水管115に挿入され、開閉口116aがスリット115aと連通するように回転し、或いはスリット115aを閉鎖するように回転して、スリット115aによる開放の長さによって養液の水位を調節する。
【0070】
また、栽培ベッド120は、前記養液湛液空間が複層の支持フレーム140によって複層形状に備えられ、前記支持フレーム140の各層に設けられた空間には、前記養液タンク302に連結された養液分散供給管173が配置され、前記支持フレーム140の各層に形成された栽培ベッド120の下部には、前記光源部130である蛍光灯131が複列に配置される。
【0071】
ここで、前記支持フレーム140の一側には、前記各層の養液分散供給管173に連結されて養液を供給し、前記養液分散供給管173の間に養液の流量を調節する流量調節弁142が配置された主供給管145が配置される。前記主供給管145は、前記支持フレーム140の最上部に配置された前記栽培ベッド120の上部に延長されて直立配置された形であり、前記主供給管145の最上部には、その下部より体積が小さく、前記養液タンク302に連結された加圧管150が結合し、前記主供給管145と前記加圧管150との間には、主供給管145に対する圧力を調節する圧力調節弁152が配置される。
【0072】
この際、養液が主供給管145に供給されて主供給管145に養液が完全に充填されると、主供給管145は、直立形態を成しているので、養液分散供給管173に対して養液の高さによる自然的な圧力を加える。
【0073】
前記主供給管145の最上部に養液が溢れて加圧管150に養液が流動すると、加圧管150を過ぎながら養液の流速が増加し、加圧管150の下部に対する圧力はさらに増加する。
【0074】
ここで、前記加圧管150による主供給管145の圧力上昇は、加圧管150の上部が下部より狭い流動面積を形成することに起因し、加圧管150による主供給管145の圧力上昇により、直立した主供給管145に結合している養液分散供給管173へ圧力が作用する。
【0075】
すなわち、前記主供給管145に連結された養液分散供給管173に所定の圧力で養液が供給され、栽培ベッド120の底面に沿って流動して栽培ベッド120の所定の高さまで充填される。
【0076】
栽培ベッド120に充填される養液の高さは、排水管115のスリット115aに対する開閉管116の開放程度によって定められ、開閉管116が排水管115の下部に対して離隔するように結合することにより、排出管115のスリット115aの下部は開放されており、開閉管116のスリット115aの下部には養液が排出される。
【0077】
この際、種ジャガイモ苗105の茎挿しされた栽培パネル110が栽培ベッド112にのせられていると、種ジャガイモ苗105の根は養液に接して養分の供給を受け、光源部130によって供給される光によって生長するが、光源部130は、前記茎挿しされた種ジャガイモ苗105に対する光の照射時間を、種ジャガイモ苗105の茎挿し後、a)暗闇:55〜65時間/0Lux→b)照明:45〜55時間/2,100Lux,暗闇:4〜8時間/0Lux →c)照明:35〜45時間/3,600Lux,暗闇:4〜8時間/0Lux →d)照明:25〜35時間/5,500Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →e)照明:540〜600時間(30日の間 毎日 18〜20 時間 ずつ)/7,000Lux, 暗闇:120〜180時間(30日の間 毎日4〜6時間ずつ /0Lux) の段階で照射し、前記光源部130の光量調節は、タイマー332によって制御される。
【0078】
ここで、前記栽培ベッド120の排水口111は、前記養液タンク302に連結されて排出される養液を前記養液タンク302にさらに貯留する排出管160を含み、前記排出管160の端部には、循環された養液に含まれている滓または不純物を濾過する微細濾過網162が配置される。
【0079】
この際、前記排出管160は、養液を養液タンク302にさらに環収し、微細濾過網162は、種ジャガイモ苗105に供給されて回収される養液に含まれている不純物または滓を濾過し、さらに栽培ベッド120へ供給される養液の純度を高める。
また、前記養液分散供給管173は、一側が前記養液タンク302から養液の供給を受ける「T」字状の分岐管170であり、前記分岐管170は、養液を流出させるノズル172aが設けられ、前記栽培ベッド120の底面に水平に配置される噴出管172を備えるが、分岐管170は、主供給管145に連結されて養液の供給を受け、噴出管172は、栽培ベッド120の底面の近くに横方向に配置され、分岐管170に供給された養液をノズル172aを介して栽培ベッド120の縦方向に流出させる。
【0080】
ここで、前記噴出管172は、栽培ベッド120に対して横方向に配置され、縦方向に養液を均一に流出させるので、種ジャガイモ苗105は、養液に対する流動圧力によって生長が妨害されずに均一に成長する。
【0081】
前記湛液茎挿し順化耕の一側に配置された噴霧茎挿し順化耕は、種ジャガイモ苗106を茎挿しするための茎挿し孔201が配列形成された栽培パネル205と、前記栽培パネル205が上部に支持され、前記栽培パネル205に茎挿しされた種ジャガイモ苗106の生長に必要な養液を霧状に噴射するノズル211を備えた噴射管210が配置され、噴射されて下部に沈んだ養液を排水する排水口215が形成された栽培ベッド222と、前記栽培ベッド222の一側に配置され、前記栽培パネル205に茎挿しされた種ジャガイモ苗106に光を照射する光源部230と、前記栽培ベッド222の噴射管210が一側に連結され、養液の貯留された養液タンク302を備えた養液供給製造部300とを含む。
【0082】
ここで、前記噴射管210の端部には、噴射管210を開放し、前記噴射管210に含まれている滓を排出する掃除弁212が備えられるが、掃除弁212を開放し、養液タンク320の養液を供給すると、養液が流出しながら、噴射管210の内部に積もった滓が排出される。
【0083】
前記栽培ベッド222は、前記養液噴射空間が複層の支持フレーム240によって複層形状に備えられ、前記支持フレーム240の各層に設けられた空間には、前記養液タンクに連結された噴射管210が配置されて養液タンクの養液が霧状に供給される。
【0084】
ここで、前記噴射管210は、養液を霧状に噴射するためのノズル211を備えており、栽培ベッド222の縦方向に栽培ベッド222の下部に配置される。
【0085】
また、前記光源部230は、タイマー332によって制御されることにより、栽培ベッド222に茎挿しされた種ジャガイモ苗106の生長周期に必要な光量を供給する。
【0086】
ここで、前記支持フレーム240の一側には、前記各層の噴射管210に連結されて養液を供給し、前記噴射管210の間に養液の流量を調節する流量調節弁が配置された主供給管245が配置される。前記主供給管245は、前記支持フレーム240の最上部に配置された前記栽培ベッド222の上部に延長されて直立配置された形である。前記主供給管245の最上部には、その下部より流動面積が狭くなって、下部に結合した主供給管245に対して圧力を加え、前記養液タンクに連結された加圧管250が結合し、前記加圧管205の下部には、加圧管205に対する養液の流動量を調節することにより、主供給管245に対する圧力を調節する圧力調節弁152が配置される。
【0087】
この際、前記加圧管250は、主供給管245に比べて狭い流動面積を提供することにより、養液が加圧管250を過ぎながら流速がより速くなり、加圧管250の下部に結合した主供給管245は、加圧管250より高い圧力を維持する。その圧力は、噴射管210に流出する養液を加圧するが、加圧管250と主供給管245との間には、加圧管250に対する養液の流動量を調節する圧力調節弁252が配置されているので、主供給管245の圧力は、圧力調節弁252によって養液タンク302に回収される養液の流動量が調節されることにより調整される。
【0088】
また、前記栽培ベッド222の排水口215は、前記養液タンク320に連結されて配出される養液を前記養液タンク320にさらに貯留する排出管260を含み、前記排出管260の端部には、前記養液タンク320に流入される養液の滓または不純物を濾過する微細濾過網262が備えられる。
【0089】
一方、前記湛液茎挿し順化耕及び前記噴霧茎挿し順化耕は、同一の室内空間に配置されるが、ウィルス病害検定が確認されたジャガイモの種芋から採取された生長点を器内培養して得られた種ジャガイモ苗105が、種ジャガイモを得るための溶液栽培施設に適した種ジャガイモ苗106に生長するためには、養液の湛液された栽培ベッド120で所定の長さに種ジャガイモ苗105を生長させた後、その種ジャガイモ苗105の上部から所定の長さに切断した種ジャガイモ苗106を、養液が霧状に噴射される他の栽培ベッド222の栽培パネル205に茎挿しして所定の長さに生長させなければならないためである。
【0090】
この際、前記湛液茎挿し順化耕及び前記噴霧茎挿し順化耕は、共通した養液製造供給部300の養液タンク320を介して両側に配置され、養液タンク320の両側に配置された養液供給ポンプ361、362の稼動によって養液の供給を受ける。
【0091】
すなわち、前記養液製造供給部300は、前記養液タンク302の養液を製造するための有無機養分を含んだ原液を供給する原液筒305と、前記原液筒305の一側に配置され、前記養液タンク302の酸度を調節する酸液を前記養液タンク302に供給する酸液筒307と、前記原液筒305及び前記酸液筒307に連結され、前記原液及び前記酸液の供給を受けて前記養液タンク302に定量で供給する定量ポンプ310とを含む。
【0092】
また、前記養液製造供給部300は、前記養液タンク302から養液の供給を受けて熱を伝達し、さらに養液タンク302に供給して前記養液の温度を調節する温度調節部312と、前記養液タンク302に貯留された養液の温度を測定する養液温度センサ315と
、酸度を測定するpHセンサ316と、養液の濃度を測定する濃度センサ317とを備えたセンサ部320を含む。
【0093】
前記養液製造供給部300は、前記養液温度センサ315によって養液の温度を測定することにより、前記温度調節部312を稼動させて養液の温度を調節し、前記pHセンサ316及び前記濃度センサ317によって前記養液の温度、濃度、酸度を収集することにより、前記定量ポンプ310によって前記養液タンク302に供給される原液及び酸液の供給量を調節する制御部340とを含む。
【0094】
また、前記養液製造供給部300は、前記養液タンク302の水位を感知する水位感知センサ342を含み、前記養液製造供給部300の前記養液タンク302は、養液を殺菌する水中殺菌部345、及び養液に気泡を発生させる気泡発生部348とを備える。
【0095】
一方、前記養液タンク302と前記栽培ベッド120、222とを連結する管には、養液を殺菌する紫外線殺菌部346、347が配置される。
【0096】
次に、図33に示すように、このように構成された養液製造供給部300によって養液が製造され、栽培ベッド120、222の種ジャガイモ苗105、106へ供給される過程を考察する。
【0097】
まず、前記定量ポンプ310が作動すると、前記原液筒305の養分原液と前記酸液筒307の酸液が養液タンク302に供給され、原水管303を介して原水が養液タンク302に供給される。
【0098】
そして、前記制御部340は、養液タンク302に配置されたpHセンサ316及び濃度センサ317によって養液の酸度と濃度を感知し、定量ポンプ310を制御して定量ポンプ310から供給される原液および酸液の供給量を調節することにより、養液タンク320で製造される養液の酸度と濃度を種ジャガイモ苗105、106の生長に必要な酸度と濃度に調節する。
また、前記制御部340は、養液タンク320に配置された温度センサ315によって養液の温度を感知し、温度調節部312に養液を循環させることにより、養液の温度を種ジャガイモ苗105、106の生長に必要な養液の温度に調節する。
【0099】
前記養液タンク320の内側に配置された水中殺菌部345が作動して養液を殺菌し、気泡発生部348は、気泡を発生させて養液に酸素を供給する。
【0100】
その後、前記養液タンク320の側部に配置された養液供給ポンプ361が稼動され、養液は、養液分散供給管173の配置された栽培ベッド120へ供給される。この際、養液は、主供給管145の下部に配置された紫外線殺菌部346を過ぎながらもう1回紫外線によって殺菌される。
【0101】
そして、前記主供給管145が養液の供給を受けて充填され、主供給管145の最上部に配置された加圧管150まで養液で充填されると、養液分散供給管173と主供給管145間の流量調節弁142を開放して養液分散供給管173の分岐管170へ養液を供給し、分岐管170の噴出管172を介して栽培ベッド120の下部に養液を流出させる。
【0102】
この際、前記養液は、栽培ベッド120の所定の水位に湛液され、所定の水位を超えた養液は、栽培ベッド120の排水口111に提供された排水管115のスリット115aを介して養液タンク302に回収される。
【0103】
すなわち、前記排水管115は、開閉管116によってスリット115aの開放長さが調節され、開放されたスリット115aの一定の部分を介して養液を排出し、開閉管116に形成された螺旋状の開閉口116aは、螺旋状に形成されて養液が側方向からゆっくり流入するようにすることにより、栽培パネル110に茎挿しされた種ジャガイモ苗105の根が養液の排水による流動の影響を受けることを防止する。
【0104】
また、前記排水管115のスリット115aの下部は、開閉管116が排水管115の下部に対して離隔するように挿入されることにより常時開放されている。養液供給ポンプ361の稼動が止まって養液分散供給管173からの養液の供給が中断されると、養液は、スリット115aの下部開口を介して排水される。
【0105】
すなわち、前記養液分散供給管173からの養液の供給が中断されると、養液が排水されて種ジャガイモ苗105の根に対する養液の供給が遮断され、種ジャガイモ苗105の根は虚空で乾燥し、養液が栽培ベッド120に引き続き湛液されることにより発生する種ジャガイモ苗105の根に対する腐敗病、または茎に対する軟腐病の発生を防止することができる。
【0106】
そして、前記栽培ベッド120の排水口111を介して排出された養液は、排出管160によってさらに養液タンク302に流動し、排出管160の端部に配置された微細濾過網162は、養液に含まれた滓または不純物を濾し、再供給される養液に滓または不純物が混ぜられることを防止する。
【0107】
また、前記養液タンク302の養液が栽培ベッド120に供給されると、光源部130が作動して栽培パネル110に茎挿しされた種ジャガイモ苗に対して、種ジャガイモ苗の茎挿し後、a)暗闇:55〜65時間/0Lux→b)照明:45〜55時間/2,100Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →c)照明:35〜45時間/3,600Lux,暗闇:4〜8時間/0Lux →d)照明:25〜35時間/5,500Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →e)照明:540〜600時間(30日の間 毎日 18〜20 時間 ずつ)/7,000Lux, 暗闇:120〜180時間(30日の間 毎日4〜6時間ずつ /0Lux) の段階で照射する。
【0108】
この際、前記光原部130は、栽培ベッド120の下部に配置された4つの蛍光灯131を含み、蛍光灯131に対する電源供給時間は、タイマー332によって調節されるが、タイマー332は、蛍光灯131の点灯個数及びそれぞれの点灯時間を調節して光量を調節する。
【0109】
その後、前記栽培ベッド120で種ジャガイモ苗105が生長して所定の長さになると、作業者は、種ジャガイモ苗105の部分を所定の長さに切断して養液タンク320の他側に配置された栽培ベッド222に茎挿しして生長させ、種ジャガイモ苗105の根に対する多数の節形成及び茎の硬化を確保することにより、養液栽培施設で種ジャガイモを生産するための種ジャガイモ苗に生長させることができる。
【0110】
すなわち、前記養液タンク302の右側の栽培ベッド120で切断した種ジャガイモ苗106を、左側に配置された栽培ベッド222の栽培パネル205に茎挿しし、養液タンク302の左側に配置された養液供給ポンプ362を作動させると、養液は、主供給管245に配置された紫外線殺菌部347を経て殺菌され、栽培ベッド222に配置された噴射管210に供給されるが、噴射管210に一列に備えられたノズル211は、養液を霧状に噴射し、噴射された養液は、栽培ベッド222の両側の内壁面にぶつかってから分散して種ジャガイモ苗106の根圏部に供給される。
【0111】
また、前記養液は、種ジャガイモ苗に供給された後、栽培ベッド222の下部に流れ落ちて排水口215を介して養液タンク302に回収され、養液を回収する排出管360の端部には微細濾過網262が備えられているので、回収される養液の滓及び不純物は濾過される。
【0112】
そして、前記栽培ベッド222の下部に配置された光源部230が作動しながら、光源部230を構成する蛍光灯235が作動し、蛍光灯235は、タイマー332によって制御され、種ジャガイモ苗106は、養液栽培施設に合う種ジャガイモ苗106に生長する。
【0113】
本発明は、また、前記で生産された種ジャガイモ苗を養液栽培施設に定植する段階と、前記定植された種ジャガイモ苗に対して2〜3回枝おろし作業を行うことにより、匐枝の数を最大化する段階と、前記匐枝で形成された種ジャガイモの小塊茎を収穫する段階とを含む、種ジャガイモの大量生産方法を提供する。この際、前記養液栽培施設に定植される種ジャガイモ苗は、草丈30〜40cmのものを使用することが種ジャガイモを大量生産することができて好ましい。養液栽培施設の内部は18〜21℃に維持されることが好ましく、昼12〜1時を基準として測定した照度が、天日には8万Lux〜10万Lux、曇り日は2万5千〜3万5千Lux、雨天の日は1万Lux内外のものが好ましい。また、pH6.6〜7.0の養液を使用し、養液は30秒間供給され、4分間中断されることが好ましい。
【0114】
以下、本発明の好適な実施例によって本発明をより具体的に説明する。ところが、本実施例は、本発明の権利範囲を限定するものではなく、例示として提示されたものである。
【実施例】
【0115】
実施例1:種ジャガイモ苗の生産
1.種ジャガイモ生長点の採取及び液体培養
品種が明確で無病の種ジャガイモを選んで半陰の散光の下で催芽させてジャガイモの芽(新芽)を0.5cm程度育てるか、滅菌のパーライト植木鉢にジャガイモサイズの2倍程度深く植える。この際、540メッシュ網を用いて油虫などのウィルス媒介虫の汚染源から隔離する。
光を浴びた種ジャガイモの芽又は生長点がある茎上部の1節は、中性洗剤としてのツイン20(Tween-20)1、2滴で洗浄し、流水で十分水洗した後、蓋付き容器に材料を入れてクリーンベンチに移す。
70〜75%のエタノールで30秒間表面消毒を行い、滅菌水で2〜3回濯いだ後、2%ハイポクロライトに5〜10分間表面消毒を行った。さらに滅菌水で2〜3回濯ぎ、シャーレに移した後、顕微鏡の下で生長点を0.2〜0.3mmのサイズ(葉原基2枚程度付着)に採取する。採取された生長点をMS基本培地+スクロース30g/L、pH5.8の液体培地に置床し、回転速度を1分に80回にしてロータリーシェーカーで25日間生育させる。
【0116】
2.組織培養器内植物体の病害検定:ELISA検定
液体培地で育った器内植物体を病害検定するためには、個体数が多ければ有利なので、500mLの培養瓶に200mLで分注した固体培地で4倍程度増殖して使用する。
各植物体に確認認識(ラベル)標を付着させた後、検定材料を採取し、同一母本の継代培養苗18本に対して搾汁を行って汁液を採取する。標準コーティングバッファ(Coating Buffer)で抗体を1,000倍希釈(バッファ20mLに抗体20μL)して96ウェルの各ウェルに200μLずつ添加する。湿った容器に入れて30℃で4時間熟成培養した後、洗浄バッファ(Washing Buffer)で4〜8回洗浄し、各ウェルの水気を完全に除去する。抽出緩衝液(Extraction Buffer)で1:10または1:20で希釈した汁液を各ウェルに200 μLずつ添加する。湿った容器に仕込み、4℃で16時間培養する。洗浄バッファで4〜8回洗浄した後、各ウェルの水気を完全に除去する。コンジュゲートバッファ(Conjugate Buffer)でコンジュゲートIgGを1,000倍希釈し、各ウェルに200μLずつ添加する。湿った容器に入れ、30℃で5時間培養した後、洗浄バッファで4〜8回洗浄する。基質バッファ(Substrate Buffer)(20mL)に基質錠剤1粒を溶解させた後、各ウェルに200μLずつ添加し、その後暗み状態の室温で1時間培養する。リーダーBIO−RADモデル550(bio−rad社製)を用いて405nmで測定する。
【0117】
3.病害検定された器内植物体の増殖継代培養
病害検定済みの器内植物体を、pH5.8の基本MS培地にスクロース70〜80g/L、寒天9g/Lを添加した培地を500mL規格の培養瓶に200mLずつ分注して固めた固体培地に植え付けた後、4,500Lux光源,18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件とエアコンで室内温度を21℃の範囲内に維持するように調整した培養室で30日間生育させる。
その後、pH5.8の基本MS培地に寒天9g/L、スクロース80g/L、クマリン0.025mg/Lが添加された培地を500mL規格の培養瓶に200mLずつ分注して固めた固体培地に植物体を植栽し、培養室の環境条件は、4D蛍光灯を活用した4,500Lux光源,18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件とエアコンで室内温度を21℃の範囲内に維持するように調整した培養室で器内培養苗の葉が落ちて茎のみが残るまで培養する。
【0118】
4.種ジャガイモ苗の湛液茎挿し順化
前記で増殖培養された種ジャガイモ苗を、4cm規格の正方形アルミニウム角管を用いて製作され、各層の高さ空間は45cm間隔の3層構造であって、全体132cm(長さ)×60cm(幅)×230cm(高さ)の構造である湛液茎挿し順化耕に茎挿しして栽培する。
培養瓶から摘出された種ジャガイモ苗は、鋭い消毒ずみの刃で茎下端の節部分を切断した後、湛液茎挿し順化耕の茎挿し孔に茎挿しする。室内温度は18℃に維持し、光量はa)暗闇:55〜65時間/0Lux→b)照明:45〜55時間/2,100Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →c)照明:35〜45時間/3,600Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →d)照明:25〜35時間/5,500Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →e)照明:540〜600時間(30日の間 毎日 18〜20 時間 ずつ)/7,000Lux, 暗闇:120〜180時間(30日の間 毎日4〜6時間ずつ /0Lux)と順次増加させて硬化させる。pH6.8の養液を使用し、30分間養液が供給され120分間養液の供給が中断されるようにする。種ジャガイモ苗を、茎挿し13〜15日後から6〜10日間隔で、節が全て消尽するまで繰り返し採取する。
【0119】
5.種ジャガイモ苗の噴霧茎挿し順化
前記湛液茎挿し順化段階を経た種ジャガイモ苗を、4cm規格の正方形アルミニウム角管を用いた260cm(長さ)×60cm(幅)×230cm(高さ)であり、各層の間隔が60cmである3層の噴霧茎挿し順化耕に茎挿しする。21℃、7,000Lux、18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件, pH6.8の養液を用いて噴霧茎挿し順化する。この際、養液は、噴射ノズルを介して微細粒子(霧粒子)の形で種ジャガイモ苗に供給され、種ジャガイモ苗に噴射される養液の供給間隔は、30秒間養液を供給し、4分間養液を中断することが繰り返し行われるようにする。種ジャガイモ苗の地上部の草丈が10cm程度になったとき、消毒済みのハサミで上位葉3枚を除いた下位葉を除去し、種ジャガイモ苗の茎を栽培パネルの下に引き下げる枝おろし作業を3回行う。噴霧茎挿し順化段階の最後の5日間は、上位葉3枚を残して下位葉を全て除去し、種ジャガイモ苗の根を3/4切断した後、これを再生させる。
【0120】
実施例2:種ジャガイモの生産
前記実施例1で生産された草丈35cmの種ジャガイモ苗を養液栽培施設に定植する。21℃、pH6.8の養液を使用し、種ジャガイモ苗に噴射される養液の供給間隔は、30秒間養液を供給し、4分間養液を中断することが繰り返し行われるようにする。種ジャガイモ苗の地上部の草丈が10cm程度になったとき、消毒済みのハサミで上位葉3枚を除いた下位葉を除去し、種ジャガイモ苗の茎を栽培パネルの下に引き下げる枝おろし作業を3回行う。その後、種ジャガイモの小塊茎を繰り返し採取する。
【0121】
実験例1〜3
組織培養植物体を湛液茎挿し順化耕に茎挿し、順化するに適した条件を調べるために、MS培地組成の添加物による器内種ジャガイモ苗の苗素質及び茎挿し順化時の生存率を調査した。
すなわち、種ジャガイモの種芋から採取された生長点培養苗をウィルス(PLRV、PVY、PVX、PVM、PVS、AMV)検定して無病の個体を選抜した後、pH5.8の基本MS培地に寒天9g/Lを添加した培地を500mL規格の培養瓶に200mLずつ分注して固めた固体培地に、組織培養法で培養瓶内に植物体を植栽し、4D蛍光灯を活用した4,500Lux光源, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件とエアコンで室内温度を21℃の範囲内に維持するように調整した培養室で25日間生育させた後、培地に添加される添加物による器内種ジャガイモ苗の生育状態及び茎挿し順化時の生存率を調査した。使用された供試品種は秀美である。
実験結果は、下記表1〜表3にそれぞれ示した。
【0122】
【表1】

【0123】
表1は、器内植物体のエネルギー源となるスクロースのMS培地への添加量の変化による器内組織培養植物体の苗素質と生存率を示す。表1の結果より、スクロース80g/Lを使用したとき、草丈、生体重、茎挿し生存率の全ての面において最も優れることが分かった。
【0124】
【表2】

【0125】
表2は、基本MS培地へのスクロース及びクマリンの添加量の変化による器内組織培養植物体の苗素質と生存率を示す。表2の結果より、スクロース80g/L、クマリン0.025mg/Lを培地に添加した場合が、植物体の苗素質及び生存率において最も優れることが分かった。
【0126】
【表3】

【0127】
表3は、基本MS培地へのスクロース及びハイポネックス(Hyponex)の添加量の変化による器内組織培養植物体の苗素質と生存率を示す。実験結果より、ハイポネックスを使用した場合が、クマリンを使用した場合に比べて苗素質及び生存率に劣ることが分かった。
【0128】
したがって、前記実験例1〜3の結果より、苗素質に優れた種ジャガイモ苗を生産するための培地組成はスクロース80g/Lとクマリン0.025mg/Lを添加した培地組成であることが分かった。
【0129】
実験例4
組織培養器内植物体の順化方法による効率的な種ジャガイモ苗の生産方法を調べるために、下記の実験を行った。すなわち、病害検定済みの苗を、pH5.8の基本MS培地に寒天9g/L、スクロース30g/Lが添加された固体培地と、この固体培地から寒天の添加を除けて組成された液体培地を活用して器内植物体に30日間生育させ、基本的な光源として4D蛍光灯を用いて4,500Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件の照度と室内温度21℃の範囲内とした。
試験に用いられたA方法は、器内植物体を基本的な順化過程なしに直ちに培養瓶から摘出して茎挿ししたものである。これに対し、B方法は、器内で培養した後、一定の順化過程、すなわち培養室の光度及び条件が同じ温室で2〜3日の間隔で光度を徐々に高め、施設定植3〜4日の前に培養瓶のホイルを外し、大気の湿度に適応する過程を経た後、培養瓶から摘出して消毒済みの鋭い刃で茎下端の節部分を切断して茎挿しするものである。試験口別個体数は500個体に限定し、供試品種は秀美である。
また、パーライト耕による方法は、器内で培養された無病苗を、小規模の育苗用滅菌パーライト入り箱に、生長点を含んだ3〜4節を消毒済みの鋭い刃で切断して直接茎挿しし、或いは器内培養の際に形成された根のまま埋め、水分供給のために3日間隔で1/2濃度のMS溶液を十分供給することにより、植物体が乾燥しないようにした。
湛液耕による方法は、一定の湛液方式の栽培槽ベッドの内部を養液で充填した後、エアポンプを用いて養液内の酸素を供給する方式であり、循環湛液耕は、栽培槽の排水口に付着し、供給される養液が引き続き苗の根に接触して流れ落ちるようにする方式である。
湛液茎挿し順化耕による方法は、ベッド内に施設されている養液底面の螺旋状水位調節排水装置を介して完全吸入、排水されるようにし、排水された栽培槽の種ジャガイモ苗の根を空気中に完全に露出させると同時に、栽培槽の床板の茎挿し孔を介しての空気流入と循環が起こるようにする方式であって、栽培槽の養液供給間隔は、反復的に、30分間養液を供給し、90分間養液の供給を中断するように制御した。
実験結果は、表4に示した。
【0130】
【表4】

【0131】
表4より、本発明に係る湛液茎挿し順化耕による場合、乾燥枯死率、軟腐病の発生率が最も低く、順化生存個体数が最も多いので、器内培養植物体を順化する方法として最も効率的な方法であることが分かった。
【0132】
実験例5
器内培養種ジャガイモ苗の茎挿し茎の根圏部に供給された養液の排水状態による軟腐病の発生程度を調べるために、前記実験例4と同様の方式で生産した器内培養植物体を対象として、表5のように条件をそれぞれ異にして実験を行った。
【0133】
【表5】

【0134】
表5より、完全排水によって茎挿し種ジャガイモ苗の根圏部の空気流れが円滑になる場合、切断部位の軟腐を防止することができるうえ、過剰水分供給による根の腐敗を確然に防止することができることが分かった。
【0135】
実験例6
茎挿し種ジャガイモ苗に対する養液供給適正時間を究明するために、完全排水される栽培槽に前記実験例4と同様の方式で生産した6cm規格の器内培養植物体を茎挿しして室内温度21℃、4,500Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件下、下記表6のように条件を異にして実験を行った。
【0136】
【表6】

【0137】
表6より、養液が頻繁に供給されると、種ジャガイモ苗の生育は良好であるが、過剰の水分吸収により軟腐病が発生し易く、供給時間の間隔が長ければ、体内水分蒸発による萎凋で乾燥被害を受け易いので、養液の供給間隔を30分間供給され120分間中断されるようにすることが、乾燥の被害及び軟腐病の被害を減らすことができることが分かった。
【0138】
実験例7〜8
栽培槽に供給される養液の流速と渦流現象が茎挿し種ジャガイモ苗の活着に及ぼす影響を調べるために、前記実験例4と同様の方式で生産した6cm規格の器内培養植物体を、本発明による湛液茎挿し順化耕に茎挿しして、30分間の養液供給、120分間の中断となるように養液を供給し、室内温度21℃、4,500Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件下、午前8:00、午後20:00頃に1日2回ずつ照射した。
【0139】
【表7】

【0140】
【表8】

【0141】
表7、8から分かるように、供給される養液によって発生する水圧による速い流速と渦流現象は、茎挿しされた種ジャガイモ苗にストレスとして作用して発根及び生育を阻害する原因となっている。
【0142】
実験例9
湛液茎挿し順化耕に茎挿しされた器内植物体の順化条件のうち、照度による効率的な初芽発生方法を究明するための実験を行った。すなわち、養液の給液間隔が30分間養液を供給し120分間中断するように制御された状態で、pH5.8の基本MS培地に寒天9g/L、スクロース80g/Lとクマリン0.025g/Lが添加された固体培地で、4,500Lux,18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件で器内組織培養された供試品種秀美500個体を、消毒済みの鋭い刃で、生長点を含んだ草丈6cm内外の規格に作って、乱塊配置で3回繰り返し実験した。室内温度は21℃、処理照度は0Lux、2,100Lux、3,600Lux、5,500Luxとし、使用光源としては40D蛍光灯を使用した。種ジャガイモ苗の草丈値は、正常的に生育している茎挿し苗の全長を平均して測定し、節の間隔は草丈を測定した値で茎節の平均値を割って計算した。
【0143】
【表9】

【0144】
表9より、器内植物体を種ジャガイモ苗に生産するために、栽培者の経験と技術に依存して外気の環境に適応させる順化過程よりは、摘出水洗した茎挿し種ジャガイモ苗を2日〜3日間暗黒の条件で処理した後、茎挿し茎の頂芽及び側芽から発生する新芽の芽を徐々に硬化させて種ジャガイモ苗挿し穂用として活用することが一層経済的であることが分かった。
【0145】
実験例10
湛液茎挿し順化耕に茎挿しした器内培養植物体を3日間暗黒の条件で処理した後、発生させた新芽の適正硬化光量及び時間を究明するための実験を行った。
器内培養植物体は、一般に用いられるpH5.8の基本MS培地に寒天9g/L、スクロース80g/Lを添加した固体培地で4,500Luxの照度, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件下で培養された秀美品種500個体を、消毒済みの鋭い刃で、生長点を含んだ草丈6cm内外の規格にして茎挿しし、室内温度は21℃とし、養液供給時間は30分間養液を供給し120分間中断する条件として、タイマーによって順次増量された光量が、茎挿しされた植物体に照射されるようにした。
表10は、器内培養植物体を茎挿しした後15日間生育した状態を調べた結果である。段階別制御時間(日)入力の例として、3→1→1→1→9は、3日(1段階/0Lux)→1日(2段階/2,100Lux)→1日(3段階/3,600Lux)→1日(4段階/5,500Lux)→9日(5段階/7,000Lux)に制御されることを示す。
【0146】
【表10】

【0147】
表10より分かるように、器内培養植物体を暗黒条件で発生させた頂芽及び側芽の芽は、光に対する適応性が低いため、急激に増加する光量はストレスとして作用しており、発生させた芽に光量を適切に照射することにより、養液栽培から要求する堅実で丈夫な節の多い茎の種ジャガイモ苗を生産することができる。
【0148】
実験例11
前記実験例10の結果に基づいて、茎挿しされた種ジャガイモ苗の順化及び茎の硬化程度に応じて制御された光量照射の自動化を実現するための実験を行った。室内温度を21℃とし、制限された時間で30分間養液を供給し、120分間養液の供給を中断する条件で行った。
【0149】
【表11】

【0150】
表11より、器内培養植物体の不安定な生存性を、速い新芽の発生により生存率を確保し、順化過程に必要な適正光量を増加させて硬化させることにより、無病の組織培養苗のみを確保して茎挿しすると、誰でも安定的に養液栽培の定植に使用できる種ジャガイモ苗を生産することが可能な制御方法であることが分かった。
【0151】
実験例12
自動制御された光環境条件の下における茎挿し種ジャガイモ苗の生育日程による挿し穂用種ジャガイモ苗の採取量を調査するために、実験を行った。室内温度を21℃とし、制限された時間で30分間養液を供給し、120分間養液の供給を中断する条件で行った。
【0152】
【表12】

表12より、湛液茎挿し順化耕に茎挿しした器内培養植物体の頂芽及び側芽から発生した5cm規格の新芽(芽)は、茎挿し後13日から採取可能であり、茎挿し茎から発生した芽を6日間隔で大量採取して使用できることが分かった。
【0153】
実験例13
湛液茎挿し順化耕から採取した再茎挿し用種ジャガイモ苗(草丈5cm〜6cmのサイズ)の茎挿しによる苗素質を検証するための実験を行った。
各試験区の条件は、次のとおりである。パーライト耕は、横47cm×縦37cm×高さ9cm規格のプラスチック四角箱に直径3cm〜5cmサイズの滅菌パーライトを7cmの高さに充填した後、2cmの間隔で茎の下方から2節を埋め、種ジャガイモ苗の養液管理は、2日間隔で養液が底に流れ出るように十分供給し、湛液茎挿し順化耕の養液は30分供給、120分供給中断と制御し、噴霧茎挿し順化耕と種ジャガイモを生産する養液栽培法の定植用種ジャガイモ苗の栽培の際には30秒供給、4分供給中断と制御した。また、パーライト耕や湛液茎挿し順化耕、噴霧茎挿し順化耕などの室内温度は21℃、照射される光量は7,000Luxであり、種ジャガイモを生産する養液栽培定植はビニールハウス条件の外気の環境が及ぶ条件で施行した。
【0154】
【表13】

【0155】
表13から、湛液茎挿し順化耕から採取した再茎挿し用種ジャガイモ苗は、苗素質が充実であり、どんな方式で茎挿しまたは定植しても、生存率が高いことが分かった。
【0156】
実験例14
本発明に係る再茎挿し用種ジャガイモ苗の一般圃場栽培用種ジャガイモ苗としての活用有無を究明するために、器内培養生産人工種ジャガイモ(1〜3g)を対照群として、前記表13のパーライト耕に10日間発根、硬化させて5日間ハウスで順化、生育させた種ジャガイモ苗、表13の湛液順化耕の再茎挿し種ジャガイモ苗をプラグトレイ床土に茎挿ししてハウスで15日間硬化、生育させたプラグ種ジャガイモ苗と、パーライト耕で10日間硬化、生育させた種ジャガイモ苗をさらにプラグトレイ床土に移植してハウスで10日間生育して生産したプラグ種ジャガイモ苗とを対象として、完熟堆肥2,000kg/300坪、窒素10kg/300坪、リン酸10kg/300坪、硫酸カリ12kg/300坪、土壌殺虫剤(Mocap6kg/300坪)を全層施肥した後、幅120cm、高さ25cmのPEマルチング栽培畝に20cmの間隔で2列、乱塊3反復で定植(総1200株/3月21日)し、病害虫の被害を予防するためにホルム−D 160L/300坪2回、マンコゼブ160L/300坪2回、コーニド(Cornido)粒剤2kg/300坪2回を周期的に撒布し、収穫は調査と併行して6月25日に一括的に行った。
【0157】
【表14】

【0158】
表14より、湛液茎挿し順化耕から採取した再茎挿し用種ジャガイモ苗は、外気環境のストレスで生存することが可能な苗素質が充実なので、直接的な圃場栽培用種ジャガイモ苗の必要性があるとき、プラグトレイを用いたプラグ種ジャガイモ苗として活用することが優秀な品質特性を示すことが分かった。
【0159】
実験例15
湛液茎挿し順化床から採取した種ジャガイモ苗を噴霧茎挿し順化耕に再茎挿しするとき、地上部の茎に残っている葉が根の発根に及ぼす影響を調べるために実験を行った。室内温度は21℃、照度は7,000Luxとし、養液供給は30分間供給し120分間中断するように制御し、午前9:00、午後21:00頃に1日2回照射した。
【0160】
【表15】

【0161】
表15に示すように、種ジャガイモ苗の茎に残っている葉は、根の発根に殆ど影響しないことがわかった。但し、養液栽培から要求する長い茎に節が多い苗を生産するためには、上位葉2〜3枚を残して除去した後、枝おろし作業を行うことが良い。
【0162】
実験例16
噴霧茎挿し順化耕の種ジャガイモ苗の枝おろし作業の際に苗の根除去長さが活着に及ぼす影響を調べるために、10cm生育した苗を対象として実験を行った。室内温度は21℃、照度は7,000Luxとし、種ジャガイモ苗に噴射される養液の供給間隔は30秒間養液を供給し4分間養液の供給を中断することが繰り返し行われるように制御し、根の再生に対する観察は発生した根毛5個以上、長さ0.5cm以上に区分した。
【0163】
【表16】

【0164】
表16に示すように、種ジャガイモ苗の再茎挿しによる苗の根切断程度は、全長の1/4のみを残して3/4を除去した後、種ジャガイモ苗の枝おろし作業を行うことが最も良好であった。
【0165】
実験例17
生産方法による種ジャガイモ苗の種類別苗素質を比較するために、下記表17の如く実験を行った。外気環境の変化に応じて最適の根圏環境を保つ装置及び制御方法で養液栽培し、植栽された種ジャガイモ苗は2,000本である。
【0166】
【表17】

【0167】
表17より、本発明に係る湛液順化耕苗及び噴霧順化耕苗の苗素質が最も優れることが分かった。
【0168】
実験例18
養液栽培施設への定植の際に速い活着を誘導することが可能な、定植に適した種ジャガイモ苗の生産方法を究明するために、前記実施例1の噴霧茎挿し順化段階を経た草丈30cm以上の種ジャガイモ苗を、上位葉3枚だけ残して全て除去した後、外気の日長と温度に応じて根圏部の環境が自動的に管理される施設に定植した。
【0169】
【表18】

【0170】
表18より、養液栽培施設の栽培定植の前に、噴霧茎挿し順化耕で上位葉3枚を残して除去した苗を5日〜7日間順化させた場合が、初期の生育が旺盛であって活着率が高いことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】従来の技術によって種ジャガイモ苗として活用するために、養液栽培で生産した種ジャガイモを休眠打破しパーライト耕に播種して発芽させた種ジャガイモ苗の栽培全景を示す写真である。
【図2】従来の技術によって養液栽培定植用種ジャガイモ苗として活用するために、パーライト耕で一定サイズ(5g)以下の人工種ジャガイモ及び養液栽培種ジャガイモを発芽させて生育させた養液栽培定植用種ジャガイモ苗を示す写真である。
【図3】従来の技術によって器内培養植物体を用いた種ジャガイモ苗の生産方法の中でもタンク培養法で培養したときの汚染被害を示す写真である(左:培養液が正常的な状態, 右:培養液が汚染している状態)。
【図4】従来の技術によって器内で培養した植物体を養液栽培定植用種ジャガイモ苗に生産するために順化、茎挿ししたとき、茎挿し茎に発生する軟腐病を示す写真である。
【図5】従来の技術によって器内で培養した植物体を外気の一定の順化過程を経た後、パーライト耕に茎挿ししたとき、活着をして生存した種ジャガイモ苗の全景を示す写真である。
【図6】従来の技術によって栽培された草丈の短い種ジャガイモ苗を養液栽培種ジャガイモ生産施設の定植スポンジに挿し込んだ姿を示す写真である。
【図7】従来の技術によって栽培された種ジャガイモ苗を、養液栽培種ジャガイモ生産施設への定植の際にスポンジに挿し込んで定植した種ジャガイモの茎が切れて被害に合った種ジャガイモ苗を示す写真である。
【図8】本発明に係る器内培養植物体を湛液茎挿し順化耕で発芽させて採取した挿し穂を噴霧茎挿し順化耕に再茎挿しした後、枝おろし作業によって生産した秀美種の種ジャガイモ苗を示す写真である。
【図9】本発明に係る湛液茎挿し順化耕と噴霧茎挿し順化耕を用いて生産した秀美種の種ジャガイモ苗を養液栽培施設に定植したときの種ジャガイモ苗の生育全景を示す写真である。
【図10】秀美種ジャガイモの生長点を採取し、pH5.8の基本MS培地にスクロース80g/L、寒天9g/Lを添加した培地で、光度4,500Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件と21℃の条件で25日間生育させた器内植物体の生育全景を示す写真である。
【図11】秀美種ジャガイモの生長点を採取し、pH5.8の基本MS培地にスクロース80g/L、クマリン0.025mg/L、寒天9g/Lを添加した培地で、光度4,500Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件と21℃の条件で25日間生育させた器内植物体の生育全景を示す写真である。
【図12】秀美種ジャガイモの生長点を採取し、pH5.8の基本MS培地にハイポネックス2g/L、スクロース80g/L、寒天9g/Lを添加した培地で、光度4,500Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件と21℃の条件で25日間生育させた器内植物体の生育全景を示す写真である。
【図13】本発明に係る器内培養植物体を湛液茎挿し順化耕に茎挿しした後、段階別に制御された順次的光量(暗黒状態)によって頂芽及び側芽に発生した種ジャガイモ苗の芽(新芽)を示す写真である。
【図14】本発明に係る暗黒状態で発生した頂芽及び側芽の芽(親芽)を段階別に制御された順次的光量で硬化させた種ジャガイモ苗を示す写真である。
【図15】本発明に係る器内培養植物体を湛液茎挿し順化耕に茎挿しして13日間生長させた種ジャガイモ苗を示す写真である。
【図16】本発明に係る湛液茎挿し順化耕で生育した種ジャガイモ苗を再茎挿し種ジャガイモ苗として活用するために、一定サイズ(5cm以上)の種ジャガイモ苗を大量採取する姿を示す写真である。
【図17】本発明に係る湛液茎挿し順化耕から採取した再茎挿し用種ジャガイモ苗を示す写真である。
【図18】本発明に係る湛液茎挿し順化耕に再茎挿しした種ジャガイモ苗の栽培姿を示す写真である。
【図19】本発明に係る湛液茎挿し順化耕から採取した再茎挿し用種ジャガイモ苗を湛液茎挿し順化耕に再茎挿しして10日間生育させた種ジャガイモ苗の生育全景を示す写真である。
【図20】本発明に係る湛液茎挿し順化耕から採取した再茎挿し用種ジャガイモ苗を湛液茎挿し順化耕に再茎挿しして10日間生育させた種ジャガイモ苗を示す写真である。
【図21】本発明に係る湛液茎挿し順化耕で生産した再茎挿し用種ジャガイモ苗をパーライト耕に茎挿しして10日間生育させた種ジャガイモ苗の生育全景を示す写真である。
【図22】本発明に係る湛液茎挿し順化耕から採取した再茎挿し用種ジャガイモ苗をパーライト耕に茎挿しして15日間生育させた種ジャガイモ苗の生育全景を示す写真である。
【図23】本発明に係る湛液茎挿し順化耕から採取した再茎挿し用種ジャガイモ苗を一般土壌栽培用種ジャガイモ苗として活用するために、パーライト耕に茎挿しして10日間硬化、生育させた後、無菌床土を充填させたプラグトレイに移植して10日間生育させたプラグ種ジャガイモ苗の生育全景を示す写真である。
【図24】本発明に係るプラグ種ジャガイモ苗を施設ハウスに定植して25日間生育させた栽培全景を示す写真である。
【図25】本発明に係る湛液茎挿し順化耕で生産された再茎挿し用種ジャガイモ苗を噴霧茎挿し順化耕に茎挿しして10日間生育させた種ジャガイモ苗の生育全景を示す写真である。
【図26】本発明に係る噴霧茎挿し順化耕で種ジャガイモ苗の枝おろし作業を施した後の生育全景を示す写真である。
【図27】本発明に係る湛液茎挿し順化耕と噴霧茎挿し順化耕の過程を経て成育させた養液栽培用種ジャガイモ苗の生育全景を示す写真である。
【図28】本発明に係る噴霧茎挿し順化耕で生産した種ジャガイモ苗の根を3/4切断して養液栽培種ジャガイモ生産施設に定植したとき、速い根発生による養分と水分吸収により生育が旺盛した種ジャガイモ苗を示す写真である。
【図29a】本発明によって生産した種ジャガイモ苗を養液栽培施設に定植して栽培したとき、種ジャガイモの茎上位節端までジャガイモの塊茎が付いている1次、2次、3次匐枝が出て塊茎が形成された姿を示す写真である。
【図29b】本発明によって生産した種ジャガイモ苗を養液栽培施設に定植して栽培したとき、種ジャガイモの茎上位節端までジャガイモの塊茎が付いている1次、2次、3次匐枝が出て塊茎が形成された姿を示す写真である。
【図30】本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕と噴霧茎挿し順化耕の構成図である。
【図31】本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕の支持フレームに提供された栽培ベッドの部分斜視図である。
【図32】本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕の栽培ベッドの部分斜視図である。
【図33】本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕の栽培ベッドの排水口に提供された排水管と開閉管の部分斜視図である。
【図34】本発明に係る種ジャガイモ苗の生産に用いられる湛液茎挿し順化耕と噴霧茎挿し順化耕の作動図である。
【符号の説明】
【0172】
101 茎挿し孔
110 栽培パネル
111 排水口
115 排水管
115a スリット
116 開閉管
116a 開閉口
120 栽培ベッド
130 光源部
131 蛍光灯
140 支持フレーム
142 流量調節弁
145 主供給管
150 加圧管
152 圧力調節弁
160 排出管
162 微細濾過網
170 分岐管
172 噴出管
173 養液分散供給管
300 養液供給製造部
302 養液タンク
305 原液筒
307 酸液筒
310 定量ポンプ
312 温度調節部
315 養液温度センサ
316 pHセンサ
317 濃度センサ
320 センサ部
332 タイマー
340 制御部
342 水位感知センサ
345 水中殺菌部
346、347 紫外線殺菌部
348 気泡発生部
350 環水管
352 水圧調節弁
361、362 養液供給ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種ジャガイモの生長点を採取した後、液体培地または固体培地で生長点を培養する段階と、
前記生長点培養によって培養された器内植物体を固体培養する段階と、
前記固体培養された器内植物体を摘出した後、養液が循環される湛液上に茎挿しして栽培する湛液茎挿し順化段階とを含むことを特徴とする、種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項2】
前記種ジャガイモの生長点培養段階は、18〜22℃、光度900〜1,100Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件下で、スクロース28〜32g/Lが添加されたpH5.7〜5.8のMS基本培地または前記培地に寒天7〜11g/Lがさらに含まれた培地で24〜26日間行われることを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項3】
前記種ジャガイモの生長点培養段階後、器内植物体の病害検定段階をさらに行うことを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項4】
前記固体培養は、1次新芽継代培養と2次増殖培養とからなることを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項5】
前記1次新芽継代培養は、pH5.7〜5.8の基本MS培地に寒天7〜11g/L、スクロース70〜80g/Lが添加された培地で行われることを特徴とする、請求項4に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項6】
前記2次増殖培養は、pH5.7〜5.8の基本MS培地に寒天7〜11g/L、スクロース70〜80g/L、クマリン0.020〜0.035mg/Lが添加された培地で行われることを特徴とする、請求項4に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項7】
前記1次新芽継代培養と前記2次増殖培養はそれぞれ25〜35日間、18〜22℃、4,000〜5,000Lux, 18〜20時間照明, 4〜6時間暗闇の長日条件下で行われることを特徴とする、請求項4に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項8】
前記湛液茎挿し順化段階で茎挿しされる種ジャガイモ苗は、葉が全て落ちて茎のみが残った状態であることを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項9】
前記湛液茎挿し順化段階で茎挿しされる種ジャガイモ苗は、消毒済みの鋭い刃で茎下端の節部分が切断されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項10】
前記湛液茎挿し順化段階では、生育段階別に光量を漸次増加させることにより、順次種ジャガイモ苗を硬化させることを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項11】
前記種ジャガイモ苗の硬化は、a)暗闇:55〜65時間/0Lux→b)照明:45〜55時間/2,100Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →c)照明:35〜45時間/3,600Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →d)照明:25〜35時間/5,500Lux, 暗闇:4〜8時間/0Lux →e)照明:540〜600時間(30日の間 毎日 18〜20 時間 ずつ)/7,000Lux, 暗闇:120〜180時間(30日の間 毎日4〜6時間ずつ /0Lux) の段階で行われることを特徴とする、請求項10に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項12】
前記湛液茎挿し順化段階では、養液が供給される段階と、養液の供給が中断される段階とが繰り返し行われることを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項13】
30〜45分間養液が供給され、90〜180分間養液の供給が中断されることを特徴とする、請求項12に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項14】
前記養液が供給される段階では、養液が水面の変動なしに流れるように供給され、養液の水位が一定に保たれることを特徴とする、請求項12に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項15】
前記養液の供給が中断される段階では、養液と沈殿物が完全立ち去って、種ジャガイモ苗の根及び茎が空気中に晒されることを特徴とする、請求項12に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項16】
前記湛液茎挿し順化段階では、種ジャガイモ苗を、茎挿し13〜15日後から6〜10日間隔で、節が全て消尽するまで繰り返し採取することを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項17】
前記湛液茎挿し順化段階は、
種ジャガイモ苗を茎挿しして栽培する茎挿し孔が配列形成された栽培パネルと、
前記栽培パネルがのせられる空間を有し、前記栽培パネルに茎挿しされた種ジャガイモ苗の生長に必要な養液の供給を受けて湛液し、過剰供給された養液を排水する排水口が設けられた栽培ベッドと、
前記栽培ベッドの一側に配置され、前記栽培パネルに茎挿しされた種ジャガイモ苗に光を照射する光源部と、
前記栽培ベッドの一側に配置され、前記栽培ベッドの下部に前記養液を流出させて供給する養液分散供給管と、
前記養液分散供給管に連結され、養液を供給する養液タンクを備えた養液供給製造部とを含む湛液茎挿し順化耕で行われることを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項18】
前記湛液茎挿し順化耕において、前記栽培ベッドの排水口には、上下方向にスリットが設けられた排水管が提供され、前記排水管には、螺旋状の開閉口を有する開閉管が前記排水管の下部に対して離隔するように挿入されることを特徴とする、請求項17に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項19】
前記湛液茎挿し順化耕において、前記栽培ベッドは、養液湛液空間が複層の支持フレームによって複層形状に備えられ、前記支持フレームの各層に形成された空間には、前記養液タンクに連結された養液分散供給管が配置され、前記支持フレームの各層に形成された栽培ベッドの下部には、前記光源部である蛍光灯が複列に配置されることを特徴とする、請求項17に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項20】
前記支持フレームの一側には、前記各層の養液分散供給管に連結されて養液を供給し、前記養液分散供給管の間に養液の流量を調節する流量調節弁が配置された主供給管が配置され、
前記主供給管は、前記支持フレームの最上部に配置された前記栽培ベッドの上部に延長されて直立配置された形であり、
前記主供給管の最上部には、その下部より体積が大きく、前記養液タンクに連結された加圧管が結合し、
前記主供給管と前記加圧管との間には、主供給管に対する圧力を調節する圧力調節弁が配置されることを特徴とする、請求項19に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項21】
前記湛液茎挿し順化耕において、前記栽培ベッドの排水口は、前記養液タンクに連結され、排出される養液を前記栄養タンクに再び貯留させる排出管を含むことを特徴とする、請求項17に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項22】
前記排出管の端部には、循環された養液に含まれている沈殿物または不純物を濾過する微細濾過網が配置されることを特徴とする、請求項21に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項23】
前記湛液茎挿し順化耕において、前記養液分散供給管は、一側が前記養液タンクから養液を供給される「T」字状の分岐管であり、前記分岐管は、養液を流出させるノズルが設けられ、前記栽培ベッドの底面に水平に配置される噴出管を備えることを特徴とする、請求項17に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項24】
前記湛液茎挿し順化段階の後、養液を種ジャガイモ苗の根圏部にノズルを介して噴射して栽培する噴霧茎挿し順化段階をさらに行うことを特徴とする、請求項1に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項25】
前記噴霧茎挿し順化段階は、
種ジャガイモ苗を茎挿しするための茎挿し孔が配列形成された栽培パネルと、
前記栽培パネルが上部に支持され、前記栽培パネルに茎挿しされた種ジャガイモ苗の生長に必要な養液を霧状に噴射するノズルを備えた噴射管が配置され、噴射されて下部に沈んだ養液を排水する排水口が設けられた栽培ベッドと、
前記栽培ベッドの一側に配置され、前記栽培パネルに茎挿しされた種ジャガイモ苗に光を照射する光源部と、
前記栽培ベッドの噴射管が一側に連結され、養液の貯留された養液タンクを備えた養液供給製造部とを含む噴霧茎挿し順化耕で行われることを特徴とする、請求項24に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項26】
種ジャガイモ苗の地上部の草丈が8〜12cmとなったとき、消毒済みのハサミで上位葉2〜4枚を除いた下位葉を除去し、種ジャガイモ苗の茎を前記栽培パネルの下に引き下げる枝おろし作業を2〜3回行うことを特徴とする、請求項25に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項27】
前記噴霧茎挿し順化段階は、32〜40日間行われ、噴霧茎挿し順化段階の最後の5〜7日間には上位葉2〜3枚を残して下位葉を全て除去し、種ジャガイモ苗の根を3/4切断した後に再生させる過程をさらに経ることを特徴とする、請求項24に記載の種ジャガイモ苗の大量生産方法。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法によって生産された種ジャガイモ苗を養液栽培施設に定植する段階と、
前記定植された種ジャガイモ苗に対して2〜3回枝の引き下ろし作業を行うことにより、匐枝の数を最大化する段階と、
前記匐枝で形成された種ジャガイモの小塊茎を収穫する段階とを含むことを特徴とする、種ジャガイモの大量生産方法。
【請求項29】
前記養液栽培施設に定植される種ジャガイモ苗は、草丈が30〜40cmであることを特徴とする、請求項28に記載の種ジャガイモの大量生産方法。

【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29a】
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【図29b】
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【公開番号】特開2007−117089(P2007−117089A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288900(P2006−288900)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(306042360)槐山郡 (1)
【Fターム(参考)】