説明

積層シリコーン成形体とその製造方法

【課題】表面が滑らかで光沢を有し、さまざまな色を表現できる積層シリコーン成形体とその製造方法の提供。
【解決手段】本発明のシリコーン成形体の製造方法は、粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて板状に形成する第一シリコーンシートを製造する第1工程S102と、前記第一シリコーンシートを切断し、二以上の切断シートを製造する第2工程とS103、前記切断シートを二以上重ね合わせた後、加圧処理して板状に形成する第二シリコーンシートを製造する第3工程S105と、前記第二シリコーンシートを所定量成形用金型で加熱、加圧処理して成形する第4工程S109とからなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シリコーン成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、表面が滑らかで光沢を有し、さまざまな色を表現できる積層シリコーン成形体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン成形体は、従来からさまざまな場面で使用されているものが知られている。例えば、シリコーン成形体は、ファスナー飾りやワッペン等の服飾付属品、バッグやバッグの飾りや部品、靴や靴の飾りや部品、ファンシー雑貨等の多くの日用品に用いられている。また、シリコーン成形体は、日用品に限らず、電気・電子部品、健康維持・改善補助具、医療用具等にも用いられている。これらのシリコーン成形体は、その形態により、種々の材料を使用し、又その加工方法も種々雑多である。更に、種々にデザインされその形態は多様化されている。
【0003】
シリコーン成形体は、成形される物の機能、用途又は趣味性等に応じてさまざまな色や模様のものが使用される。この色や模様は、材料となるミラブル型シリコーン材料に単一色の顔料を混ぜたものを成形したり、複数の顔料を混ぜたものを組み合わせることにより成形されている。また、他の部材、例えば金属粉、宝石又はビーズなどを練り込むことにより成形されたもの等が知られている。弾性基体の少なくとも表面領域に光沢付与材の板状小片が混入されたものからなり、この板状小片が少なくとも表面領域においてこの表面に沿った方向に配行されている弾性成形体に係るもの(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0004】
又、シリコンゴムなどでつくられたブレスレット、アンクレット、ネックレス類の装飾品及び健康目的製品に於いて、さまざまな色の配色が施せるようになり、指定した箇所に正確に色づけが自由にできる例(例えば、特許文献2参照)も知られている。更に、接着剤を使用しないで、複数枚の熱可塑性樹脂シート間に加飾材を気泡が存在しないように埋設した意匠性、成形性に優れた熱可塑性樹脂パネルの例(例えば、特許文献3参照)も知られている。
【0005】
更に、メラミン樹脂製食器の表面を金粉や銀粉の分散による蒔絵風の地模様により装飾することで、漆器のような美しいものとする例(例えば、特許文献4参照)も知られている。更に、深み感に優れ美麗な石目調の外観を有する加飾成形品の例(例えば、特許文献5参照)が知られている。更に、真空成型やプレス成形に適した樹脂成形マットであって、従来にない色調を付与するフロアマットやトランクマットの例(例えば、特許文献6参照)が知られている。
【0006】
【特許文献1】特開昭55−103940号公報
【特許文献2】特開2003−340855号公報
【特許文献3】特開2005−238727号公報
【特許文献4】特開2006−142710号公報
【特許文献5】特開2001−205651号公報
【特許文献6】特開2003−165372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、従来から樹脂等の成形品は知られているが、これらの成形品は、表面にしわ、ムラ及び歪み(以下単に、「ウェルドライン」という。)が生じている均一に滑らかなものではなかった。例えば、図18(a)及び図18(b)に示すように、従来のシリコーン成形体100は、表面100H及び裏面100TにウェルドラインWが生じていた。このウェルドラインWの原因の一つとしては、材料に顔料を入れて混ぜ合わせて練っているときに、顔料の流れの動きがでてしまい、この動きがウェルドラインWとして成形品にもでてしまうものであった。つまり、ランダムに混ぜ合わされた顔料の流れが、成形品の表面にもウェルドラインWとしてでてしまうものであった。
【0008】
また、他の原因としては、ロール機で混練りするときに、材料を切りながら練り込む切り返しが行われることにあった。つまり、切り取られた材料が、ランダムに混ぜ合わされるため、この動きが流れとしてでてしまい、それが成形品にウェルドラインWとしてでてしまうものであった。また、ロール機で混練りした材料をロール機よりはがすときにも同様にウェルドラインWが生じていた。
【0009】
また、従来のシリコーン成形品は、シリコーン材料単体では、高輝度な金属色を出すことはできなかった。このため、他の材料、例えば金属等を混ぜ合わせることによって、金属の光沢をだすほかなかった。また、従来のシリコーン成形品には、見る角度に応じて様々な色彩が見られる構造色からなる製品は、存在していなかった。例えば、シリコーン成形品には、傾けたとき等に色や模様が変化してみえる、鮑の貝殻の内側、コンパクトディスク、シャボン玉、玉虫の翅、及びモルフォ蝶の翅模様等のような色彩、模様を用いたデザインの製品は存在していなかった。
【0010】
本発明は、以上のような従来の問題点を解決するために創作されたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、表面が滑らかな積層シリコーン成形体とその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高輝度な金属光沢を有する積層シリコーン成形体とその製造方法を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、見る角度に応じて様々な色彩が見られる構造色を有する積層シリコーン成形体とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の積層シリコーン成形体の製造方法は、粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて板状に形成する第一シリコーンシートを製造する第1工程と、前記第一シリコーンシートを切断し、二以上の切断シートを製造する第2工程と(S103)、前記切断シートを二以上重ね合わせた後、加圧処理して板状に形成する第二シリコーンシートを製造する第3工程と、前記第二シリコーンシートを所定量成形用金型で加熱、加圧処理して成形する第4工程とからなることを特徴とする。
【0012】
本発明2の積層シリコーン成形体は、粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて板状に形成する第一シリコーンシートを製造する第1工程と、前記第一シリコーンシートを切断し、二以上の切断シートを製造する第2工程と、前記切断シートを二以上重ね合わせた後、加圧処理して板状に形成する第二シリコーンシートを製造する第3工程と、前記第二シリコーンシートを所定量成形用金型で加熱、加圧処理して成形する第4工程とを経て製造されることを特徴とする。
【0013】
本発明3の積層シリコーン成形体の製造方法は、粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて一の色に着色するとともに板状に形成された一のシリコーンシートを製造する第1工程と、粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて他の色に着色するとともに板状に形成された他のシリコーンシートを製造する第2工程と、前記一のシリコーンシートと他のシリコーンシートを所定量成形用金型に重ね合わせて充填した後、加熱、加圧処理して成形する第3工程とからなることを特徴とする。
【0014】
本発明4の積層シリコーン成形体は、粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて一の色に着色するとともに板状に形成された一のシリコーンシートを製造する第1工程と、粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて他の色に着色するとともに板状に形成された他のシリコーンシートを製造する第2工程と、前記一のシリコーンシートと他のシリコーンシートを所定量成形用金型に重ね合わせて充填した後、加熱、加圧処理して成形する第3工程とを経て製造されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の積層シリコーン成形体は、表面のウェルドラインの形成が抑制され、滑らかに成形された積層シリコーン成形体ができる。従って、例えば、品質、意匠性が向上し様々な製品を提供できる。また、本発明の積層シリコーン成形体は、高輝度な金属光沢を有するように成形された積層シリコーン成形体ができる。従って、シリコーン以外の他の材料である金属等を混ぜ合わせることなく、金属光沢を有するような製品を提供できる。
【0016】
また、金属等を混ぜ合わせることなく製造されるため、製品の軽量化、部品製造工程の簡素化、高能率化を図ることができ、経済性を向上できる。さらに、本発明の積層シリコーン成形体は、見る角度に応じて様々な色彩が見られる構造色に成形された積層シリコーン成形体ができる。従って、意匠性の高い良質な外観を表現することができるようになり、デザイン可能性の幅が広くなった。
【0017】
本発明の積層シリコーン成形体の製造方法は、シリコーンシートを積層した後に成形する方法である。これにより、ウェルドラインが抑制され表面がなめらかに成形された積層シリコーン成形体、高輝度な金属光沢を有する積層シリコーン成形体、構造色に成形された積層シリコーン成形体を容易に製造することができることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態では、種々あるシリコーン製品のうち、色や模様の見本を示すサンプル用シートを例にして説明する。図1は、本発明を適用した積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの平面図である。図2は、本発明を適用した積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの底面図である。図3は、図1の模様を省略してX−X線で切断した断面図である。
【0019】
図1に示すように、積層シリコーン成形体1は、色や模様の見本を示すサンプル用シートに適用するものである。積層シリコーン成形体1の材料は、ミラブル型シリコーンであり、硬化後にゴム状の性質を有するものである。本実施の形態におけるミラブル型シリコーンは、硬化前の粘性率が高いシリコーンであり、加硫剤及び粘度調整剤を含むものである。
【0020】
ミラブル型シリコーンは、顔料が混ぜ合わさることで着色されている。図1及び図2に示すように、積層シリコーン成形体1は、全体が金の色調に着色され、板状に形成されている。積層シリコーン成形体1は、表面1Hに模様2a、2b、2cが付され裏面1Tは無地に形成されている。模様2a、2b、2cは、粘性率が低い液状シリコーンが硬化することにより形成されている。
【0021】
図3に示すように、積層シリコーン成形体1は、6枚のシート1a、1b、1c、1d、1e、1f(以下、単に「1a〜1f」という。)が一体的に積み重ねられて形成されている。6枚のシート1a〜1fは、同一の大きさであり、縦35mm横28mmの大きさに形成されている。積層シリコーン成形体は、6枚のシート1a〜1fが積み重なった状態で厚さ1mmに形成されている。
【0022】
なお、本実施の形態において、積層シリコーン成形体1は、種々あるシリコーン製品のうち、色や模様の見本を示すサンプル用シートを例にして説明した。しかし、他の成形品であってもよいことはいうまでもない。例えば、積層シリコーン成形体により、ファスナー飾りやワッペン等の服飾付属品、バッグやバッグの飾りや部品、靴や靴の飾りや部品、ファンシー雑貨等を成形しても良い。また、積層シリコーン成形体により、健康維持、改善補助、医療用具としてのシリコーン製絆創膏を成形しても良い。さらに、積層シリコーン成形体により、ブレスレット、ネックレス又はアンクレット等のアクセサリーとして成形物を得ることができることはいうまでもない。
【0023】
〔積層シリコーン成形体の製造方法〕
図4は、本発明の積層シリコーン成形体の製造方法によるサンプル用シートの製造工程を示すフロー図である。図5は、第一シリコーンシートの平面写真である。図6は、積層した第一シリコーンシートを充填した金型の断面図である。図7は、第二シリコーンシートが形成された金型の断面図である。図8は、第二シリコーンシートの平面写真である。図9は、サンプル用シートの金型の平面図である。図10は、図9のY−Y線で切断した断面図である。図11は、積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの平面写真及び底面写真である。
【0024】
図4に記載されたフロー図に従って、製造工程を説明する。
サンプル用シートの材料は、主材料であるミラブル型シリコーンに加硫剤及び粘度調整剤が配合されたものである(S101)。ミラブル型シリコーンに顔料が混練りされる(S102)。混練りされたミラブル型シリコーンは、板状の第一シリコーンシートに形成される。
【0025】
第一シリコーンシートは、略同一の大きさの6枚に切り出される(S103)。切り出された6枚の第一シリコーンシートは、積み重ねられる(S104)。積み重ねられた第一シリコーンシートは、油圧プレス機で機械的圧力をかけられ第二シリコーンシートが形成される(S105)。第二シリコーンシートは、サンプル用シートの大きさ、形状に合わせて所定量切り出される(S106)。
【0026】
切り出された、第二シリコーンシートは、サンプル用シートを成形するために金型の型内に形成された空間(キャビティ)に充填される(S107)。金型は、上金型と下金型に分かれており、第二シリコーンシートの充填を行った後、金型を閉じて組みつける(S108)。金型を閉じた後に、所定の温度、所定の圧力に、加熱処理及び加圧処理を施す(S109)。
【0027】
金型を開き両方の金型を分離(S110)したのち成形されたサンプル用シートを取り出す(S111)。サンプル用シートにバリなどができている場合には、それを取り除く。次にその具体的製造方法について説明する。
【0028】
<配合(S101)>
サンプル用シートの材料は、主材料であるミラブル型シリコーンに加硫剤及び粘度調整剤が配合されたものである。ミラブル型シリコーンに配合される加硫剤や粘度調整剤は、成形品の目的に応じてその配合を調整すると良い。なお、ミラブル型シリコーンは、素練りをすることで、後に加工しやすいように粘性率を下げても良い。
【0029】
本実施の形態において、混練りする材料は、ミラブル型シリコーンを使用している。本実施の形態におけるミラブル型シリコーンは、「TSE260−7U」(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、「TSE260−5U」(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)又は「KE581−U」(商品名、信越化学工業株式会社製)等を使用している。本実施の形態における加硫剤は、「TC−8」(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、「C−25A」(商品名、信越化学工業株式会社製)又は「C−25B」(商品名、信越化学工業株式会社製)等を使用している。しかし、混練りする材料は、成形品の目的や機能によって、他社の製品及び他の材料を使用してもよく、例えば、ユリア樹脂及びメラミン樹脂等であっても良い。
【0030】
<混練り(S102)>
ミラブル型シリコーンには、顔料が混ぜ合わせられることで着色される。本実施の形態における顔料は、金の色調に着色するため「NO4 LUMINA BRASS」(色の名称、Badische Anilin− und Soda−Fabrik社製(以下、単に「BASF社製」という。))が使用される。本実施の形態において、顔料は、ミラブル型シリコーン100gに対して3g配合される。しかし、顔料は、前記した顔料に限られず、着色する色に応じて、酸化鉄被覆マイカ、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄チタン被覆マイカ等の金属系顔料を使用しても良い。また、顔料は、有機顔料及び無機顔料の種類を問わず使用しても良い。また、ミラブル型シリコーンに配合する顔料の量は、着色の程度に応じて適宜変更しても良い。
【0031】
ミラブル型シリコーンは、加硫剤及び粘度調整剤等を所定の割合で配合した後、ロール機等の混練機で常温で所定の時間混練りする。顔料は、ロール機でミラブル型シリコーンを混練りしているときに混ぜ合わせる。本実施の形態においては、加硫剤をあらかじめ配合して混練り作業を行っている。しかし、混練り中に加硫反応が生じるような場合には、加硫剤を除いた材料を混練機で混ぜ合わせ、その後温度をさました後に、加硫剤を混ぜ合わせても良い。
【0032】
本実施の形態においては、混練りは、カラフルな成形品を得ることを目的としているため、顔料の混練り状態を目で確認できるロール機を使用している。しかし、これに限定されることなく、他の混練機バンバリー型ミキサー又はニーダ等を使用しても良い。
【0033】
図5に示すように、混練り工程で得られた第一シリコーンシート11は、厚さ1mmの板状に形成される。第一シリコーンシート11は、表面にウェルドラインWが生じている。このウェルドラインWの原因の一つとしては、材料に顔料を入れて混ぜ合わせて練っているときに顔料の流れの動きがでてしまい、この動きがウェルドラインWとして成形品にもでてしまうものである。つまり、ランダムに混ぜ合わされた顔料の流れが成形品にもウェルドラインWとしてでてしまうものである。
【0034】
ウェルドラインWが生ずる他の原因としては、ロール機で混練りするときに、材料を切りながら練り込む切り返しが行われることにある。つまり、切り取られた材料が、ランダムに混ぜ合わされるため、この動きが流れとしてでてしまい、それが成形品にウェルドラインWとしてでてしまうものである。また、第一シリコーンシート11は、ロール機よりはがすときにも同様にウェルドラインWが生じている。
【0035】
<切り出し(S103)>
第一シリコーンシート11は、抜き刃で同一の大きさに切り取られ、6枚の切断シート11a、11b、11c、11d、11e、11f(以下、単に「11a〜11f」という。)が形成される。本実施の形態においては、第一シリコーンシート11は、6枚に切り取られているが、この枚数に限らず2以上の複数枚であればいかなる枚数に切り取られても良いことはいうまでもない。
<積層(S104)>
図6に示すように、切断シート11a〜11fは、油圧プレス機に設けられた下金型20bの下凹部21bに、それぞれ重ね合わせられ積み上げられる。切断シート11a〜11fは、厚さが1mmなので積み上げられることにより、6mmの厚さの積層体となる。切断シート11a〜11fにより形成された積層体は、同一色である金の色調で形成されている。
【0036】
<プレス(S105)>
図6に示すように、油圧プレス機(図示せず)に設けられる金型は、同様の構成からなる上金型20aと下金型20bに分離されて形成されている。上金型20aは、板状に形成され、被充填物を充填するために長方形形状に形成された空間からなる上凹部21aが形成されている。下金型20bは、板状に形成され、被充填物を充填するために長方形形状に形成された空間からなる下凹部21bが形成されている。上金型20aと下金型を組み合わせたとき、上凹部21a及び下凹部21bに形成される空間は、厚さが1mmの平板形状となるように形成されている。
【0037】
切断シート11a〜11fが下凹部21bの上に重ね合わせ積み上げられた状態で、上金型20a及び下金型20bの外部に設けられた油圧プレス機(図示せず)を加圧する。切断シート11a〜11fは、上金型20a及び下金型20bに機械的圧力がかかることで押圧される。
【0038】
図7に示すように、切断シート11a〜11fは、押圧されることで、厚さ1mmの第二シリコーンシート12が形成される。積み上げられた切断シート11a〜11fは、常温状態で加圧力196×10〜392×10N(20t〜40t)で10秒〜60秒加圧される。この加圧力により、切断シート11a〜11fは、積層された状態で一体化した第二シリコーンシート12となる。
【0039】
図8に示すように、第二シリコーンシート12は、切断シート11a〜11fを積層し、押圧することで、表面からウェルドラインWが消え、滑らかな状態の高輝度な金の色調の板状となる。これは、積層された切断シート11a〜11fが、押圧され広がっていくことで、ウェルドラインWも広がり、材料内に含まれていた空気も抜けていくため一体性が増すためであると推定される。また、切断シート11a〜11fが、押圧され広がっていくことで、ランダムに混ぜ合わされた顔料の流れが一定の方向にそろっていくため、ウェルドラインWが消えると推定される。
【0040】
なお、本実施の形態において、上金型20aと下金型20bを組み合わせたときに形成される空間は、厚さ1mmの平板形状であることを例にして説明をした。しかし、この実施の形態に限られず、成形品の形状に応じて様々な形状や寸法に調整して形成できることはいうまでもない。
【0041】
<切り出し(S106)>
第二シリコーンシート12は、抜き刃で所定の大きさの長方形形状に切り取られる。切り取られた第二シリコーンシート12は、後述する成形用下金型30bに充填される充填シート13となる。本実施の形態において、充填シート13は、成形品であるサンプル用シートの大きさに合わせて縦35mm横28mmの大きさに切り取られている。しかし、充填シート13は、後述する加熱工程において伸縮する場合があるので、伸縮の程度に応じて充填する大きさを変えても良い。また、成形品の形状に応じて切り取られる形状、寸法を決定しても良い。
【0042】
<型入れ(S107)>
図9及び図10に示すように、成形用金型は、成形用上金型30aと成形用下金型30bに分離されている。
成形用上金型30aは、板状に形成され、上凹部31aが形成されている。上凹部31aは、充填シート13を充填するために形成された直方体形状の空間である。本実施の形態において、上凹部31aは、成形用上金型30aに横5列縦4行の合計20個が等間隔に形成されている(図示せず)。上凹部31aは、縦35mm、横28mm、深さ0.5mmの大きさに形成されている。
【0043】
成形用下金型30bは、板状に形成され、下凹部31bが形成されている。下凹部31bは、充填シート13を充填するために形成された直方体形状の空間である。本実施の形態において、下凹部31bは、成形用下金型30bに横5列縦4行の合計20個が等間隔に形成されている(図示せず)。下凹部31bは、縦35mm、横28mm、深さ0.5mmの大きさに形成されている。
【0044】
図9に示すように、下凹部31bは、模様溝32a、32b、32cが形成されている。模様溝32a、32b、32cは、図1に示すように、サンプル用シートの模様2a、2b、2cを形成するための液状シリコーンを流し込むことができる溝である。
【0045】
成形用上金型30a及び成形用下金型30bが、常温の状態で、下凹部31bの模様溝32a、32b、32cに室温硬化の粘度が低い液状シリコーンを流す。充填シート13は、液状シリコーンが硬化した後に、下凹部31bに充填される。なお、本実施の形態において、図1に示すように、サンプル用シートは、一定の文字と枠を模様2a、2b、2cとしている。また、サンプル用シートは、その表面1Hに現れる模様2a、2b、2cに白色の液状シリコーンを使用している。しかし、これに限定されることなく、模様溝32aの形状や液状シリコーンの色等は、成形品に応じて適宜変更して良いことはいうまでもない。
【0046】
<組み付け(S108)>
充填シート13を、位置決めピン、位置決め穴などからなる位置決め部材により位置決めした後、金型を閉じる。すなわち、成形用上金型30aと成形用下金型30bは、位置合わせをされた後組み付けるようにする。
【0047】
<加熱、加圧(S109)>
成形用上金型30aと成形用下金型30bが、組み付けられた状態で、外部に設けられた加熱プレス装置(図示せず)を加熱し、さらに加圧させると、充填シート13は押圧される。本実施の形態において、加熱温度は、80℃で、力は、加圧力196×10〜392×10N(20t〜40t)で形成される。加熱、加圧をする時間は、10秒〜60秒程度で形成すると良い。この加熱、加圧力で、充填シート13は、成形され、図1又は図2に示すような積層シリコーン成形体1が形成される。なお、加熱、加圧の温度や力は、材料や成形品に応じて適宜変更させても良い。また、加熱、加圧する時間も材料や成形品に応じて適宜変更させても良い。
【0048】
<金型 分離(110)>
金型内で積層シリコーン成形体1が形成された後、成形用上金型30a及び成形用下金型30bを分離して開く。
【0049】
<取り出し(S111)>
金型より固化して成形された積層シリコーン成形体1を取り出す。この時、余計なバリ等が生じていたときには、バリを取り除くと良い。
【0050】
以上の製造過程を経ることで、図11(a)及び図11(b)に示すように、積層シリコーン成形体1は、その表面1H及び裏面1TにウェルドラインWがない滑らかな積層体が形成される。図18の従来のシリコーン成形体100と図11の積層シリコーン成形体1を比較すれば、その表面1H及び裏面1TにウェルドラインWが無いことは明らかである。積層シリコーン成形体1は、6枚の同じ金の色調のシートが積層されていることにより、高輝度な金属色が表現されている。
【0051】
以上のように本実施の形態において、サンプル用シートは、ミラブル型シリコーンにより構成されていることを前提として説明したが、例えば、ユリア樹脂及びメラミン樹脂等の他の材料を使用しても良い。
【0052】
なお、本実施の形態において、積層シリコーン成形体1の製造方法は、種々あるシリコーン製品のうち、色や模様の見本を示すサンプル用シートを例にして説明した。しかし、他の成形品を製造しても良いことはいうまでもない。例えば、積層シリコーン成形体により、ファスナー飾りやワッペン等の服飾付属品、バッグやバッグの飾りや部品、靴や靴の飾りや部品、ファンシー雑貨等を成形しても良い。
【0053】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2を図面に基づいて説明する。実施形態2では、前述した実施形態と同一の部位には同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。
実施形態2では、種々あるシリコーン製品のうち、色や模様の見本を示すサンプル用シートを例にして説明する。図12は、本発明の実施形態2を適用した積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの平面図である。図13は、本発明の実施形態2を適用した積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの底面図である。図14は、図12の模様を省略してX2−X2線で切断した断面図である。
【0054】
積層シリコーン成形体201の材料は、ミラブル型シリコーンであり、顔料が混ぜ合わさることで着色されている。図12及び図13に示すように、積層シリコーン成形体201は、表面201Hがパールの色調に、裏面201Tがメタリックの色調に着色され、板状に形成されている。
【0055】
図14に示すように、積層シリコーン成形体201は、2枚のシート201a及び201bが一体的に積層されて形成されている。2枚のシート201aおよび201bは、同一の大きさであり、縦35mm、横28mmの大きさに形成されている。シート201aは、パールの色調に着色されている。シート201bは、メタリックの色調に着色されている。積層シリコーン成形体は、2枚のシート201a及び201bが積み重なった状態で厚さ1mmに形成されている。
【0056】
実施形態2において、積層シリコーン成形体201は、2枚の異なる色のシートが積層されていることにより、見る角度によって模様が変化する貝殻調の色彩が表現されている。つまり、積層シリコーン成形体201は、シート201aが透明性があるパールの色調に、シート201bが透明性があるメタリックの色調に着色されていることにより、見る角度によって模様が変化する貝殻調の色彩が表現されている。
【0057】
これは、積層シリコーン成形体201は、シリコーンが積層されているため、多層膜による光の干渉が生じている構造色の一種であると推定される。つまり、シリコーンによる層が、何層かに重ねられた構造であるため、各層の枚数や組み合わせにより光の入射、反射の干渉の仕方が変化し、見る角度に応じて様々な色彩や模様が、変化する貝殻調の色彩になっていると推定される。
【0058】
なお、実施形態2において、積層シリコーン成形体201は、表面201Hがパールの色調に、裏面201Tがメタリックの色調に着色され、板状に形成されている。しかし、他の色を着色で形成しても良いことはいうまでもない。積層シリコーン成形体201は、異なる2枚のシートを積層している。しかし、積層するシートの枚数は、2枚に限られずさらに多くのシートを積層して形成されていても良い。また、複数枚のシートを積層する際には、そのシートの中に同じ色のシートが含まれていても良い。例えば、メタリックの色調のシートが1枚で、光を通す透明度が高い色のシートを複数枚積層しても良い。
【0059】
〔積層シリコーン成形体の製造方法2〕
図15は、実施形態2の積層シリコーン成形体の製造方法によるサンプル用シートの製造工程を示すフロー図である。図16は、金型の断面図である。
【0060】
図15に記載されたフロー図に従って、製造工程を説明する。
サンプル用シートの表面の材料は、主材料であるミラブル型シリコーンに加硫剤及び粘度調整剤が配合されたものである(S301)。ミラブル型シリコーンにパールの色調にするための顔料が混練りされる(S302)。混練りされたミラブル型シリコーンは、板状のパール色シートに形成される。
【0061】
サンプル用シートの裏面の材料は、主材料であるミラブル型シリコーンに加硫剤及び粘度調整剤が配合されたものである(S303)。ミラブル型シリコーンにメタリックの色調にするための顔料が混練りされる(S304)。混練りされたミラブル型シリコーンは、板状のメタリック色シートに形成される。
【0062】
パール色シートは、サンプル用シートの大きさ、形状に合わせて所定の大きさの切断パール色シートに切り出される。メタリック色シートは、サンプル用シートの大きさ、形状に合わせて所定の大きさの切断メタリック色シートに切り出される(S305)。
【0063】
切断パール色シートは、サンプル用シートを成形するために金型の型内に形成された空間(キャビティ)に充填され、その上に切断メタリック色シートが重ねて充填される(S306)。金型は、上金型と下金型に分かれており、切断パール色シート及び切断メタリック色シートの充填を行った後、金型を閉じて組みつける(S307)。金型を閉じた後に、所定の温度、所定の圧力に、加熱処理及び加圧処理を施す(S308)。
【0064】
金型を開き両方の金型を分離(S309)した後、成形されたサンプル用シートを取り出す(S310)。サンプル用シートにバリなどができている場合には、それを取り除く。次にその具体的製造方法について説明する。
【0065】
<配合(S301)>
配合(S301)の工程は、前述した積層シリコーン成形体の製造方法の配合(S101)の工程と同様であるので説明を省略する。
<混練り(S302)>
ミラブル型シリコーンには、顔料が混ぜ合わせられることで着色される。本実施の形態における顔料は、パールの色調に着色するため「NO2 LUMINA AQUA BLUE」(色の名称、BASF社製)が使用される。本実施の形態において、顔料は、ミラブル型シリコーン100gに対して3g配合される。ミラブル型シリコーンに配合する顔料の量は、着色の程度に応じて適宜変更しても良い。なお、混練り(S302)工程は、前述した積層シリコーン成形体の製造方法の混練り(S102)の工程と同様であるので説明を省略する。ミラブル型シリコーンは、混練り工程を経ることで、厚さ0.5mmの板状のパール色シートが形成される。
【0066】
<配合(S303)>
配合(S303)の工程は、前述した積層シリコーン成形体の製造方法の配合(S101)の工程と同様であるので説明を省略する。
<混練り(S304)>
ミラブル型シリコーンには、顔料が混ぜ合わせられることで着色される。本実施の形態における顔料は、メタリックの色調に着色するため「NO16 ルミナラセット9459D」(色の名称、BASF社製)が使用される。本実施の形態において、顔料は、ミラブル型シリコーン100gに対して3g配合される。ミラブル型シリコーンに配合する顔料の量は、着色の程度に応じて適宜変更しても良い。なお、混練り(S304)工程は、前述した積層シリコーン成形体の製造方法の混練り(S102)の工程と同様であるので説明を省略する。ミラブル型シリコーンは、混練り工程を経ることで、厚さ0.5mmの板状のメタリック色シートが形成される。
【0067】
<切り出し(S305)>
パール色シートは、抜き刃で所定の大きさの長方形形状に切り取られる。切り取られたパール色シートは、後述する成形用下金型430bに充填される充填パール色シート213bとなる。本実施の形態において、充填パール色シート213bは、成形品であるサンプル用シートの大きさに合わせて縦35mm横28mmの大きさに切り取られている。しかし、充填パール色シート213bは、後述する加熱工程において伸縮する場合があるので、伸縮の程度に応じて充填する大きさを変えても良い。
【0068】
メタリック色シートは、抜き刃で所定の大きさの長方形形状に切り取られる。切り取られたメタリック色シートは、後述する成形用下金型430bに充填される充填メタリック色シート213aとなる。本実施の形態において、充填メタリック色シート213aは、成形品であるサンプル用シートの大きさに合わせて縦35mm横28mmの大きさに切り取られている。しかし、充填メタリック色シート213aは、後述する加熱工程において伸縮する場合があるので、伸縮の程度に応じて充填する大きさを変えても良い。
【0069】
<型入れ(S306)>
図16に示すように、成形用金型は、成形用上金型430aと成形用下金型430bに分離されている。成形用上金型430aに設けられた上凹部431aの構成は、前述した成形用上金型30aに設けられた上凹部31aの構成と同様であるので説明は省略する。成形用下金型430bに設けられた下凹部431bの構成は、前述した成形用下金型30bに設けられた下凹部31bの構成と同様であるので説明は省略する。
【0070】
図16に示すように、成形用上金型430a及び成形用下金型430bが、常温の状態で、下凹部431bに充填パール色シート213bを充填する。そして、充填パール色シート213bの上に充填メタリック色シート213aを重ね合わせる。
【0071】
なお、本実施の形態においては、下凹部431bに充填パール色シート213bを充填し、その上に充填メタリック色シート213aを重ね合わている。しかし、これに限定されることなく、下凹部431bに充填パール色シート213bを充填し、上凹部431aに充填メタリック色シート213aを充填しても良い。この場合には、上凹部431aの寸法より充填メタリック色シート213aの寸法を大きく形成し、嵌め込むことで充填できるようにすると良い。
【0072】
<組み付け(S307)>
組み付け(S307)の工程は、前述した積層シリコーン成形体の製造方法の組み付け(S108)の工程と同様であるので説明を省略する。
<加熱、加圧(S308)>
成形用上金型430aと成形用下金型430bが、組み付けられた状態で、外部に設けられた加熱プレス装置(図示せず)を加熱し、さらに加圧させると、充填パール色シート213b及び充填メタリック色シート213aは押圧される。本実施の形態において、加熱温度は、80℃で、加圧力は、196×10〜392×10N(20t〜40t)で形成される。加熱、加圧をする時間は、5分〜10分程度で形成すると良い。
【0073】
この加熱、加圧力で、充填パール色シート213b及び充填メタリック色シート213aは、一体的に成形され、図12又は13に示すような積層シリコーン成形体201が形成される。本実施の形態において、加熱温度は、80℃で、加圧力は、196×10〜392×10N(20t〜40t)で形成される。加熱、加圧をする時間は、5分〜10分程度で形成すると良い。なお、加熱、加圧の温度や力は、材料や成形品に応じて適宜変更させても良い。また、加熱、加圧する時間も材料や成形品に応じて適宜変更させても良い。
【0074】
<金型 分離(309)>
金型内で積層シリコーン成形体201が形成された後、成形用上金型430a及び成形用下金型430bを分離して開く。
【0075】
<取り出し(S310)>
金型より固化して成形された積層シリコーン成形体201を取り出す。この時、余計なバリ等が生じていたときには、バリを取り除くと良い。
【0076】
以上の製造過程を経ることで、積層シリコーン成形体201は、貝殻調の色彩が表現されている積層体が形成される。積層シリコーン成形体201は、2枚の異なる色のシートが積層されていることにより、見る角度によって模様が変化する貝殻調の色彩が表現されている。つまり、積層シリコーン成形体201は、シート201aがパールの色調に、シート201bがメタリックの色調に着色されていることにより、見る角度によって模様が変化する貝殻調の色彩が表現されている。
【0077】
本実施の形態においては、表面をパールの色調に着色するために、顔料として「NO2 LUMINA AQUA BLUE」(色の名称、BASF社製)を使用している。また、裏面201をメタリックの色調に着色するために、顔料として「NO16 ルミナラセット9459D」(色の名称、BASF社製)を使用している。しかし、これらの着色に限定することなく、他の色調のものに着色してそれを組み合わせても良いことはいうまでもない。
【0078】
例えば、BASF社製の「NO1 LUMINA TURQUISE」、「NO2 LUMINA AQUA BLUE」、「NO3 MEARLIN SPARKLE BRASS」、「NO4 LUMINA BRASS」、「NO5 VEGETABLE BLACK OLIVE」、「NO6 LUMINA GREEN」、「NO7 MEARLIN HI−LITE SPARKLE GOLD」、「NO12 LUMINA GOLD」、「NO13 マーリンマグナパール」、「NO14 マーリンマヤンゴールド」又は「NO15 MEARLIN SPARKLE VIOLET」、「NO16 ルミナラセット9459D」等の色の顔料をいかように組み合わせても良いことはいうまでもない。また、日本触媒社製の「FP−115」、「FP−1050」、「FP−1007」、「FP−3000」及び「FP−112」等の色の顔料をいかように組み合わせても良いことはいうまでもない。
【0079】
〔積層シリコーン成形体の製造方法3〕
図17は、積層シリコーン成形体の製造方法3によるサンプル用シートの製造工程を示すフロー図である。
サンプル用シートの材料は、主材料であるミラブル型シリコーンに加硫剤及び粘度調整剤が配合されたものである(S501)。ミラブル型シリコーンに顔料が混練りされる(S502)。混練りされたミラブル型シリコーンは、板状の第一シリコーンシートに形成される。
【0080】
第一シリコーンシートは、略同一の大きさの複数枚に切り出される(S503)。切り出された、第一シリコーンシートは、サンプル用シートを成形するために金型の型内に形成された空間(キャビティ)に充填される(S504)。金型は、上金型と下金型に分かれており、第一シリコーンシートの充填を行った後、金型を閉じて組みつける(S505)。金型を閉じた後に、所定の温度、所定の圧力に、加熱処理及び加圧処理を施す(S506)。
【0081】
金型を開き両方の金型を分離(S507)したのち成形されたサンプル用シートを取り出す(S508)。サンプル用シートにバリなどができている場合には、それを取り除く。積層シリコーン成形体の他の製造方法2は、前述した積層シリコーン成形体の製造方法における積層工程(S104)、プレス工程(S105)を行わず、成形金型で成形する際に合わせてウェルドラインWを消えた成形品を製造する。
【0082】
以上、本発明の種々の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、積層シリコーン成形体内に金属片、ビーズ、宝石及びラメ等を入れて意匠性を向上させても良いことはいうまでもない。また、積層シリコーン成形体内にマグネット材料、ゲルマニウム又はチタン等の金属材料を封入又は一部外部に露出するように成形できる。このように形成された積層シリコーン成形体は、健康維持、改善補助、医療用具としてのシリコーン製絆創膏、ブレスレット、ネックレス、アンクレットとすることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明を適用した積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの平面図である。
【図2】図2は、本発明を適用した積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの底面図である。
【図3】図3は、図1の模様を省略してX−X線で切断した断面図である。
【図4】図4は、本発明の積層シリコーン成形体の製造方法によるサンプル用シートの製造工程を示すフロー図である。
【図5】図5は、第一シリコーンシートの平面写真である。
【図6】図6は、積層した第一シリコーンシートを充填した金型の断面図である。
【図7】図7は、第二シリコーンシートが形成された金型の断面図である。
【図8】図8は、第二シリコーンシートの平面写真である。
【図9】図9は、サンプル用シートの金型の平面図である。
【図10】図10は、図9のY−Y線で切断した断面図である。
【図11】図11は、積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの平面写真及び底面写真である。
【図12】図12は、本発明の実施形態2を適用した積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの平面図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態2を適用した積層シリコーン成形体であるサンプル用シートの底面図である。
【図14】図14は、図12の模様を省略してX2−X2線で切断した断面図である。
【図15】図15は、本発明の積層シリコーン成形体の製造方法2によるサンプル用シートの製造工程を示すフロー図である。
【図16】図16は、金型の断面図である。
【図17】図17は、本発明の積層シリコーン成形体の製造方法3によるサンプル用シートの製造工程を示すフロー図である。
【図18】図18は、従来のシリコーン成形体の平面写真及び底面写真である。
【符号の説明】
【0084】
1 … 積層シリコーン成形体
1a〜1f … シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて板状に形成する第一シリコーンシートを製造する第1工程(S102)と、
前記第一シリコーンシートを切断し、二以上の切断シートを製造する第2工程と(S103)、
前記切断シートを二以上重ね合わせた後、加圧処理して板状に形成する第二シリコーンシートを製造する第3工程(S105)と、
前記第二シリコーンシートを所定量成形用金型で加熱、加圧処理して成形する第4工程(S109)とからなる
ことを特徴とする積層シリコーン成形体の製造方法。
【請求項2】
粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて板状に形成する第一シリコーンシートを製造する第1工程(S102)と、
前記第一シリコーンシートを切断し、二以上の切断シートを製造する第2工程と(S103)、
前記切断シートを二以上重ね合わせた後、加圧処理して板状に形成する第二シリコーンシートを製造する第3工程(S105)と、
前記第二シリコーンシートを所定量成形用金型で加熱、加圧処理して成形する第4工程(S109)とを経て製造される
ことを特徴とする積層シリコーン成形体。
【請求項3】
粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて一の色に着色するとともに板状に形成された一のシリコーンシートを製造する第1工程(S302)と、
粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて他の色に着色するとともに板状に形成された他のシリコーンシートを製造する第2工程(S304)と、
前記一のシリコーンシートと他のシリコーンシートを所定量成形用金型に重ね合わせて充填した後、加熱、加圧処理して成形する第3工程(S308)とからなる
ことを特徴とする積層シリコーン成形体の製造方法。
【請求項4】
粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて一の色に着色するとともに板状に形成された一のシリコーンシートを製造する第1工程(S302)と、
粘性率の高いシリコーンコンパウンド、顔料及び架橋剤とを混ぜ合わせて他の色に着色するとともに板状に形成された他のシリコーンシートを製造する第2工程(S304)と、
前記一のシリコーンシートと他のシリコーンシートを所定量成形用金型に重ね合わせて充填した後、加熱、加圧処理して成形する第3工程(S308)とを経て製造される
ことを特徴とする積層シリコーン成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図5】
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【図8】
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【図11】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−99854(P2010−99854A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270990(P2008−270990)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(591115279)株式会社アイリス (16)
【Fターム(参考)】