説明

積層体

【課題】低温ヒートシール性、ホットタック性、高速液体充填性に優れ、かつ機械強度に優れる積層体を提供すること。
【解決手段】エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、下記要件(I)〜(IV)を同時に満たすエチレン系重合体60〜99重量%および高圧法低密度ポリエチレン1〜40重量%を含む樹脂組成物(ただし、エチレン系重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの合計を100重量%とする。)から形成される層を含むことを特徴とする積層体。(I)MFRが1.0〜100g/10分の範囲である。(II)密度(D)が860〜925kg/m3の範囲である。(III)Mw/Mnが1.50以上3.00以下の範囲である。(IV)TREFによって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、最もピーク強度の強いピークの1/2の高さにおける幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが特定の関係式を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。詳しくは、特定のエチレン系重合体および高圧法低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物から形成される層を有する積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン系重合体は、種々の成形方法により成形され、多方面の用途に供されている。そして、成形性や成形品の性能に特徴が付与されたさまざまなエチレン系重合体が開発されている。
【0003】
チーグラー触媒を用いて得られるエチレン系重合体は、引張強度、引裂強度あるいは耐衝撃強度などの機械的強度に優れている。しかし、組成分布が広いため、フィルムなどの成形体がべたついてしまい、耐ブロッキング性などに劣る。エチレン系重合体の密度を高くすれば、耐ブロッキング性は改善されるが、その場合、低温ヒートシール性や柔軟性が悪化するという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するため、均一触媒(シングルサイト触媒)であるメタロセン触媒を用いた様々なエチレン系重合体が開示されている。
特許文献1(特開2005−97481号公報)にはラセミ-エチレンビス(1−イン
デニル)ジルコニウムジフェノキシドからなる触媒の存在下で気相重合により得られたエチレン系重合体が、特許文献2(特開平9−111208号公報)にはメタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたエチレン系重合体(エクソンケミカル社製、商品名EXACT)が、特許文献3(特開平11−269324号公報)にはエチレン-ビス(4,
5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドとメチルアルモキサンとからなる触媒の存在下で高圧イオン重合により得られたエチレン系重合体が、特許文献4(特開平2002−3661号公報)にはビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドとメチルアルモキサンとからなる触媒を用いて得られたエチレン系重合体が開示されている。これらのエチレン系重合体は、従来のチーグラー触媒を用いて得られたエチレン系重合体に比べると組成分布は狭くなっているものの、ブロッキング性を完全解消するためには依然として組成分布は広い。
【0005】
本発明者らは、このような状況に鑑み研究した結果、特定のMFR範囲、および特定の密度範囲を満たし、分子量分布が特定の範囲を満たし、温度上昇溶離分別(TREF)によって規定されるH/Wと密度とが特定の関係を満たし、好ましくは[η]とMFRとが特定の関係を満たすエチレン系重合体が、成形体としての耐ブロッキング性、低温ヒートシール性に特に優れ、かつ機械的強度に優れることを見出し、すでに提案した。(PCT出願、PCT/JP2006/318869)
【特許文献1】特開2005−97481号公報
【特許文献2】特開平9−111208号公報
【特許文献3】特開平11−269324号公報
【特許文献4】特開平2002−3661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特定のエチレン系重合体および高圧法低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物を用いた、低温ヒートシール性、ホットタック性、高速液体充填性に優れる積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定のエチレン系重合体および高圧法低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物からなる層を有する積層体は、低温ヒートシール性、ホットタック性、高速液体充填性に優れることを見いだし本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明の積層体は、
エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、下記要件(I)〜(IV)を同時に満たすエチレン系重合体60〜99重量%および高圧法低密度ポリエチレン1〜40重量%を含む樹脂組成物(ただし、エチレン系重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの合計を100重量%とする。)から形成される層を含むことを特徴とする。
(I)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が1.0〜100g/10分の範囲である。
(II)密度(D)が860〜925kg/m3の範囲である。
(III)GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.
50以上3.00以下の範囲である。
(IV)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、最もピーク強度の強いピークの1/2の高さにおける幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが、要件(I)のMFRに応じて下記関係式(
Eq−1)または(Eq−2)を満たす。
[1.0≦MFR≦10の場合]
0.0163×D−14.02≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.30 ・・・
(Eq−1)
[10<MFR≦100の場合]
0.0163×D−14.10≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.40 ・・・(Eq−2)
前記エチレン系重合体が下記要件(V)を満たすことが好ましい。
(V)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕とMFRとが下
記関係式(Eq−3)を満たす。
−0.21×Log10MFR+0.16≦Log10[η]≦−0.21×Log10MFR+0.31
・・・(Eq−3)
【発明の効果】
【0009】
本発明の積層体はエチレン系重合体および高圧法低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物から形成される層を含むことにより、低温ヒートシール性、ホットタック性、高速液体充填性に優れ、さらに機械強度にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の積層体は、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、下記要件(I)〜(IV)を同時に満たすエチレン系重合体60〜99重量%および高圧法低密度ポリエチレン1〜40重量%を含む樹脂組成物(ただし、エチレン系重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの合計を100重量%とする。)から形成される層を含むことを特徴とする。
(I)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が1.0〜100g/10分の範囲である。
(II)密度(D)が860〜925kg/m3の範囲である。
(III)GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.
50以上3.00以下の範囲である。
(IV)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、最もピーク強度の強いピークの1/2の高さにおける
幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが、要件(I)のMFRに応じて下記関係式(
Eq−1)または(Eq−2)を満たす。
[1.0≦MFR≦10の場合]
0.0163×D−14.02≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.30 ・・・
(Eq−1)
[10<MFR≦100の場合]
0.0163×D−14.10≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.40 ・・・(Eq−2)
<エチレン系重合体>
本発明に係るエチレン系重合体は、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィン、好ましくはエチレンと炭素数6〜10のα-オレフィンとの共重合体である。エチレンとの共重合に用いられる炭素数4〜10のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペ
ンテン、1-オクテン、1-デセンなどが挙げられる。α-オレフィンの炭素数が4以上の場合、α-オレフィンが結晶中にとり込まれる確率が低くなるため(Polymer,VOL31,1999ペー
ジ,1990年)、機械的強度に優れる。α-オレフィンの炭素数が10以下の場合、流動の活性化エネルギーが小さく、成形時の粘度変化が小さい。
【0011】
エチレン系重合体中のα-オレフィンの種類は、通常10 mmφの試料管中で約200 mgのエチレン系重合体を1 mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C-NMRスペ
クトルを、温度120℃、周波数25.05 MHz、スペクトル幅1500 Hz、パルス繰返し時間4.2秒、45°パルス幅6μsecの測定条件下で測定して同定することができる。
【0012】
このようなエチレン系重合体は下記(I)〜(IV)に示すような要件を同時に満たしている。
(I) 190℃における2.16 kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が1.0〜100 g/10分、好ましくは1.0〜30.0 g/10分、より好ましくは1.0〜20.0 g/10分、特に好ましくは5.0 〜20.0 g/10分の範囲である。
【0013】
エチレン系重合体のメルトフローレート(MFR)が1.0 g/10分以上であると、せん断粘度が高すぎず成形性が良好である。また、メルトフローレート(MFR)が100 g/10分以下であると、得られるエチレン系重合体の引張強度が良好である。
【0014】
メルトフローレート(MFR)は、分子量に強く依存しており、メルトフローレート(MFR)が小さいほど分子量は大きく、メルトフローレート(MFR)が大きいほど分子量は小さ
くなる傾向がある。また、エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、Kazuo Soga, KODANSHA"CATALYTIC OLEFIN POLYMERIZATION",p376(1990))。このため、水素/エチレンを増減させることで、本発明の要件(I)の上限ないし下限のメルトフローレート(MFR)を有するエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0015】
本発明において、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238-89に従い、190℃、2.16 kg荷重の条件下で測定された値である。
(II) 密度(D)が860〜925 kg/m3、好ましくは860〜920 kg/m3、より好ましくは865〜915kg/m3、特に好ましくは870〜910 kg/m3の範囲にある。
【0016】
密度(D)が860 kg/m3以上の場合、得られるエチレン系重合体の耐ブロッキング性が
良好であり、密度(D)が925 kg/m3以下の場合、得られるエチレン系重合体の低温シー
ル性が良好である。
【0017】
密度はエチレン系重合体のα-オレフィン含量に依存しており、α-オレフィン含量が少
ないほど密度は高く、α-オレフィン含量が多いほど密度は低くなる。また、エチレン系
重合体中のα-オレフィン含量は、重合系内におけるα-オレフィンとエチレンとの組成比(α-オレフィン/エチレン)により決定されることが知られている(例えばWalter Kaminsky, Makromol.Chem. 193, p.606(1992))。このため、α-オレフィン/エチレンを増減させることで、本発明の要件(II)の上限ないし下限の密度を有するエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0018】
密度(D)は、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、予熱温度190℃、予熱時間5分間
、加熱温度190℃、加熱時間2分間、加熱圧力100 kg/cm2、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cm2の条件にてプレス成形した厚さ0.5mmのプレスシートを測定サンプ
ルとし、密度勾配管で測定して求められる。
【0019】
(III) GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.50以上3.00以下、好ましくは1.50以上2.50以下、さらに好ましくは1.50以上2.20以下、特に好ましくは1.60以上2.10以下の範囲にある。
【0020】
Mw/Mnが1.50以上の場合、得られるエチレン系重合体の成形性が良好であり、Mw/Mnが3.00以下の場合、得られるエチレン系重合体の衝撃強度が良好である。
本発明において、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)はウォーターズ社製GPC-150Cを用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6-HT及びTSKgel
GMH6-HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600 mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0 ml /分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試
料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチ
レンは、分子量がMw≦1000およびMw≧4×106 については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。分子量計算は、ユニバーサル校正して、ポリエチレンに換算した値である。
【0021】
(IV)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、最もピーク強度の強いピークの1/2の高さにおける幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが、MFRに応じて、下記関係式(Eq-1)〜(Eq-2)を満たす。なおここで、MFRは、エチレン系重合体の190℃における2.16 kg荷重でのメルトフロ
ーレートである(要件(I))。
[1.0≦MFR≦10の場合]
0.0163×D−14.02 ≦ Log10(H/W) ≦ 0.0163×D−13.30 … (Eq-1)
[10<MFR≦100の場合]
0.0163×D−14.10 ≦ Log10(H/W) ≦ 0.0163×D−13.40 … (Eq-2)
好ましくは、下記関係式(Eq-1')〜(Eq-2')を満たす。
[1.0≦MFR≦10の場合]
0.0163×D−13.92 ≦ Log10(H/W) ≦ 0.0163×D−13.30 … (Eq-1')
[10<MFR≦100の場合]
0.0163×D−14.02 ≦ Log10(H/W) ≦ 0.0163×D−13.40 … (Eq-2')
温度上昇溶離分別(TREF)では、α-オレフィン含量の多い成分ほど低温にて溶出し、
α-オレフィン含量の少ない成分ほど高温にて溶出する。H/Wは温度上昇溶離分別(TREF
)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、最
もピーク強度の強いピークの1/2の高さにおける幅(W)との比で表されるので、同等の
密度のエチレン系重合体で比較した場合、H/Wが大きいほどα-オレフィンは均一に分子
鎖中に導入されており、組成分布は狭くなる。このため、Log10(H/W)が、1.0≦MFR≦10の場合に0.0163×D−14.02以上、10≦MFR≦100の場合に0.0163×D−14.10以上になると
、得られるエチレン系重合体の組成分布が狭く、べたつき成分が発生しないため、耐ブロ
ッキング性に優れる。
【0022】
H/Wは得られるエチレン系重合体の組成分布に強く依存しており、この組成分布は触媒の活性点が均一になれば狭くなり、不均一になれば広くなることが知られている。触媒活性点の均一性を支配する因子の一つとして、助触媒作用を持つ化合物として添加される化合物(後述のB成分、実施例1では東ソー・ファインケム製MMAO)と主触媒として添加される架橋メタロセン化合物(後述のA成分、実施例1ではジ(p-トリル)メチレン(シクロペ
ンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリ
ド)とのモル比([B成分]/[A成分])が挙げられる。 [B成分]/[A成分]を増減させるこ
とで、本発明の要件[4]の上限ないし下限のH/Wを有するエチレン系重合体を製造するこ
とが可能である。
【0023】
なお、本発明において、H/Wは以下のようにして決定した。
まず、温度上昇溶離分別(TREF)による溶出曲線を、三菱油化社製クロス分別クロマトグラフ装置CFCT-150A型を用いて以下のようにして測定した。測定サンプルを溶媒(o-ジクロロベンゼン)を用い、濃度が4 mg/mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装
置内のサンプルループ内に注入する。試料溶液は、TREF分離カラム(不活性担体であるガラスビーズが充填された装置付属のステンレス製カラム、容量は0.88 ml、配管容量は0.07 ml)に0.4 ml注入される。次に、試料溶液を1℃/minの速度で140℃から0℃の温度まで冷却し、不活性担体にコーティングさせる。このとき、高結晶性成分から低結晶性成分の順で不活性担体表面にポリマー層が形成される。TREF分離カラムが0℃で更に30分間保持
された後、0℃の温度で溶解している成分2 mlが、1 ml/分の流速でTREF分離カラムからSEC分離カラム(昭和電工社製 Shodex AT-806MS×3本)へ注入される。SEC分離カ
ラム内で分子サイズでの分別が行われている間に、TREF分離カラムでは次の溶出温度(5
℃)に昇温され、その温度に約30分間保持される。溶出温度は以下の温度で段階的に昇温される。
【0024】
[溶出温度]0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79、82,85,88、91,94,97,100,102,120,140℃
各温度で溶出した成分の分子量を測定し、汎用較正曲線を使用して、ポリエチレン換算分子量を求めた。SEC温度は140℃であり、データサンプリング時間は0.50 秒である。SEC分離カラムを通過した試料溶液は、赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度が測定され(波長3.42μm,2924 cm-1)、各溶出温度区分のクロマトグラムが得られる。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理される。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が計算される。また、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計算される。
【0025】
次に、得られた微分溶出曲線の作図を、横軸に溶出温度を100℃当たり89.3 mm、縦軸に微分量(全積分溶出量を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした)0.1当たり76.5 mmで行い、この微分溶出曲線のピーク高さ(mm)を1/2高さの幅(mm)で除した値をH/Wとした。
【0026】
本発明に係るエチレン系共重合体は、上記要件(I)〜(IV)に加えて更に下記要件(V)を満たすことが好ましい。
(V) 135℃デカリン中で測定した極限粘度[η](dl/g)と、190℃における2.16 kg
荷重でのメルトフローレート(MFR)とが下記関係式(Eq-3)を満たす。
【0027】
−0.21×Log10MFR+0.16 ≦ Log10[η] ≦ −0.21×Log10MFR+0.31 … (Eq-3)
この極限粘度([η])とメルトフローレート(MFR)との関係は、分子鎖中の長鎖分岐
構造に強く支配されることが知られている(例えば白山健三,高分子化学,Vol.28, No.310
, pp156-160(1971))。同じメルトフローレート(MFR)のエチレン系重合体で比較した場合、長鎖分岐が導入されると溶液中での分子鎖の広がりが小さくなるため、極限粘度([η])は小さくなる。Log10[η]が(−0.21×Log10MFR+0.26)以上の場合、分子鎖中に
長鎖分岐が存在していないため、引裂強度に優れる。
【0028】
従って要件(V)については、該エチレン系重合体を成形体用途に展開する場合に、どのような特性を求めるかによって好ましい態様が二分される。すなわち、エチレンとともに共重合反応に供されるα-オレフィンに起因する短鎖分岐(例えば、α-オレフィンとして1-ブテンを用いる場合は、エチル基が短鎖分岐として導入される。)が主なる分岐構造であり、末端にビニル基を有するマクロモノマーを経由して生成する長鎖分岐構造をほとんど含有しないエチレン系重合体(以下、「短鎖分岐型エチレン系重合体」と略称する場合がある。)を所望する場合は、好ましい要件(V)は下記関係式(Eq-3a)で表される範
囲を満たすエチレン系重合体が好適である。
【0029】
−0.21×Log10MFR+0.26 ≦ Log10[η] ≦ −0.21×Log10MFR+0.31 … (Eq-3a)
一方で、マクロモノマーを経由して生成する長鎖分岐構造含有量を少量含有するエチレン系重合体(以下、「長鎖分岐型エチレン系重合体」と略称する場合がある。)を所望する場合は、好ましい要件(V)は下記関係式(Eq-3b)で表される範囲を満たすエチレン系
重合体が好適である。このような長鎖分岐型エチレン系重合体は、短鎖分岐型エチレン系重合体に比べて溶融状態においてゆっくりとした変形に対して高い弾性を示し、良成形加工性が求められる分野に好んで応用することができる。
【0030】
−0.21×Log10MFR+0.16 ≦ Log10[η] < −0.21×Log10MFR+0.26 … (Eq-3b)
後述の実施例のような配位重合の場合、エチレン系重合体中の長鎖分岐構造は、β-水
素脱離反応により生成した末端ビニル基を有する分子鎖(マクロモノマー)が、再挿入することにより生成すると考えられている。このため、溶液中のマクロモノマー濃度とエチレン濃度との比([マクロモノマー]/[エチレン])を増減させることで、エチレン系重合体中の長鎖分岐量は増減し、その結果、本発明の要件(V)の上限ないし下限の極限粘度[η]を有するエチレン系重合体を製造することが可能である。一般的に[マクロモノマー]/[エチレン]が高いとエチレン系重合体中の長鎖分岐量は増加し、[マクロモノマー]/[エチレン]が低いとエチレン系重合体中の長鎖分岐量は低下する。溶液中の[マクロモノマー]/[エチレン]を増減させる手法には具体的には以下のような方法が挙げられる。
【0031】
[1] 重合温度
重合温度が高いほどβ-水素脱離反応は起こりやすくなる。そのため、重合温度を高く
すれば、[マクロモノマー]/[エチレン]が大きくなり、エチレン系重合体中の長鎖分岐量は増加する。
【0032】
[2] ポリマー濃度
溶液中のポリマー濃度を高くすれば、相対的にマクロモノマー濃度も高くなるため、[マクロモノマー]/[エチレン]が大きくなり、エチレン系重合体中の長鎖分岐量は増加する。
【0033】
[3] エチレン転化率
エチレン転化率を高くすれば、溶液中のエチレン濃度が低くなるため、[マクロモノマー]/[エチレン]が大きくなり、エチレン系重合体中の長鎖分岐量は増加する。
【0034】
[4] 溶媒種
重合溶媒を低沸点の溶媒にすると、溶液中のエチレン濃度が低くなるため、[マクロモ
ノマー]/[エチレン]が大きくなり、エチレン系重合体中の長鎖分岐量は増加する。
【0035】
他にも、β-水素脱離反応を制御する以外にAlへの連鎖移動反応等を制御することによ
って[マクロモノマー]/[エチレン])を増減させ、エチレン系重合体中の長鎖分岐量を変化させることもできる。
【0036】
極限粘度〔[η](dl/g)〕はデカリン溶媒を用い、以下のように測定した。エチレン
系重合体約20 mgをデカリン15 mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定す
る。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5 ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求める。すなわち、極限粘度[η]は下記式で表される。
【0037】
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
本発明のエチレン系重合体は、例えば
(A)下記一般式[I]で表される架橋型メタロセン化合物、並びに
(B)(b-1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b-2)前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
(b-3)有機アルミニウム化合物
とから選ばれる少なくとも1種以上の化合物(助触媒と呼ぶ場合がある)とからなるオ
レフィン重合用触媒の存在下に、エチレンおよびα-オレフィンから選ばれる1種以上の
モノマーを120〜300℃の温度で溶媒の共存下で溶液重合(以下の説明では、「高温溶液重合」と呼ぶ場合がある。)することによって製造することができる。しかしながら本発明に関わるエチレン系重合体の製造方法は、本願請求項で定義したエチレン系重合体を満たす限り上記製造方法には何ら限定されるものではない。例えば一般式[I]とは異なる構
造のメタロセン化合物を使用しても良いし、前記(B)成分とは異なる助触媒を使用して
もよいし、公知の二種類以上のエチレン系重合体を反応器ブレンドや物理ブレンド等の手法によって調製してもよい。
【0038】
【化1】

【0039】
(上記一般式[I]において、Mは遷移金属を表し、pは遷移金属の原子価を表し、Xは同一でも異なっていてもよく、それぞれは水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、R1およびR2は同一でも異なっていてもよいMに配位したπ電子共役配位子を表し、そしてQは2個のπ電子共役配位子R1とR2とを架橋する2価の基を表す。)
一般式[I]中、Mで表される遷移金属としては、たとえば、Zr、Ti、Hf、V、Nb、Taお
よびCrが挙げられ、好ましい遷移金属はZr、TiまたはHfであり、さらに好ましい遷移金属はZrまたはHfである。
【0040】
一般式[I]中、R1およびR2で表されるπ電子共役配位子としては、η-シクロペンタジエニル構造、η-ベンゼン構造、η-シクロヘプタトリエニル構造、およびη-シクロオク
タテトラエン構造を有する配位子が挙げられ、特に好ましい配位子はη-シクロペンタジ
エニル構造を有する配位子である。η-シクロペンタジエニル構造を有する配位子として
、たとえば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、水素化インデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、アルキル、アリール、アラルキル
、アルコキシ、アリールオキシなどの炭化水素基、トリアルキルシリル基などの炭化水素基含有シリル基、鎖状または環状アルキレン基などでさらに置換されていてもよい。
【0041】
一般式[I]中、Qで表されるR1とR2とを架橋する基は、2価の基であれば特に限定され
ないが、たとえば、直鎖または分枝鎖アルキレン基、非置換または置換シクロアルキレン基、アルキリデン基、非置換または置換シクロアルキリデン基、非置換または置換フェニレン基、シリレン基、ジアルキル置換シリレン基、ゲルミル基、ジアルキル置換ゲルミル基などが挙げられる。
【0042】
後述する実施例においては、上記一般式[I]を満たすメタロセン化合物としてジ(p-
トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレ
ニル)ジルコニウムジクロリドに代表されるメタロセン錯体を用いているが、本発明に関
わるメタロセン化合物はこれに何ら限定されるものではない。
【0043】
次に前記したメタロセン化合物(A)を、本発明のエチレン系重合体を製造するための
重合触媒成分として使用する際の好ましい実施態様について説明する。
メタロセン化合物(A)を含むメタロセン系触媒を、エチレン系重合体を製造するため
のオレフィン重合触媒として用いる場合、重合触媒は上述のように、(A)前記一般式[I]で表されるメタロセン化合物、並びに(B)(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、(b-2) 前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および(b-3)有機
アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から構成されるのが好ましい。ここで、触媒成分(B)としては、重合活性と生成オレフィン重合体の性状の視点から、
次の[c1]〜[c4]のいずれかが好ましく用いられる。
[c1] (b-1)有機アルミニウムオキシ化合物のみ、
[c2] (b-1)有機アルミニウムオキシ化合物と(b-3)有機アルミニウム化合物、
[c3] (b-2)前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物と(b-3)有
機アルミニウム化合物、
[c4] (b-1)有機アルミニウムオキシ化合物と(b-2)前記メタロセン化合物(A)と反応し
てイオン対を形成する化合物。
【0044】
ただし、(A)成分として、一般式[I]においてQがシリレン基であるメタロセン化合
物を用いる場合は、(B)成分としては、(b-2)前記メタロセン化合物(A)と反応してイ
オン対を形成する化合物が使用されることはなく、従って、上記の好ましい(B)成分; [c1]〜[c4]においても、[c1]と[c2]のみが採用される。
【0045】
以下、(B)成分を構成しうる各成分について具体的に説明する。
(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物
有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま
使用できる。具体的には、下記一般式[II]および/または一般式[III]
【0046】
【化2】

【0047】
(式[II]または[III]中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す。)
で代表される化合物を挙げることができ、特にRがメチル基であるメチルアルミノキサン
でnが3以上、好ましくは10以上のものが利用される。(一般式[II]または[III]にお
いてRがメチル基である有機アルミニウムオキシ化合物を、以下「メチルアルミノキサン
」と呼ぶ場合がある。)
メチルアルミノキサンは、その入手容易性と重合活性の高さからポリオレフィン業界で多用されてきた有機アルミニウムオキシ化合物であるが、飽和炭化水素に溶解し難いことから、止む無く環境負荷が大きなトルエンやベンゼン等の芳香族炭化水素溶液として用いられてきた経緯がある。このような背景下、飽和炭化水素に溶解するメチルアルミノキサン類縁体が開発されている。このような類縁体としては下記一般式[IV]のような修飾メチルアルミノキサンを例示できる。本発明においては、有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)として、このような修飾メチルアルミノキサンも包含する。
【0048】
【化3】

【0049】
(式[IV]中、Rは炭素数2〜20の炭化水素基、m、nは2以上の整数を示す。)
前記一般式[IV]で表わされる修飾メチルアルミノキサンは、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製され(例えば、US4960878やUS5041584等に製造法が開示)、東ソー・ファインケム社等メーカーからトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製された、Rがイソブチル基で
あるものがMMAO、TMAOといった商品名で商業生産されている(例えば、「東ソー研究・技術報告」第47巻55(2003)参照)。しかし、MMAOやTMAOを飽和炭化水素溶液の形態で、本願発明の高温溶液重合法の技術的範囲外で重合しても、メチルアルミノキサンを超える活性を達成できないことを本願出願人は確認している。本発明に関わる高温溶液重合法によれば、前記一般式[IV]で示される修飾アルミノキサンの飽和炭化水素溶液を用いた場合でも高い重合活性を発現する。
【0050】
なお本発明に関わる高温溶液重合においては、有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)と
して、特開平2-78687号公報に例示されているベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ
化合物も適用できる。
【0051】
さらに、本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)としては、下記一般
式[V]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる

【0052】
【化4】

【0053】
(式[V]中、Rcは炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。

なお、上述した(b-1)有機アルミニウムオキシ化合物中には若干の有機アルミニウム化
合物が混入していても差し支えない。
(b-2) メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b-2)(以下、「イオン
性化合物」と略称する場合がある。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、イオン性化合物(b-2)
としては、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
【0054】
本発明において、好ましく採用されるイオン性化合物(b-2)は、下記一般式[VI]で
表される化合物である。
【0055】
【化5】

【0056】
式[VI]中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アン
モニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。Rf〜Riは、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基である。
【0057】
前記カルベニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンなどが挙げられる。
【0058】
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N, N-ジメチルアニリニウム
カチオン、N, N-ジエチルアニリニウムカチオン、N, N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN, N-ジアルキルアニリニウムカチオン、ジイソプロピルアンモニウムカ
チオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0059】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
【0060】
上記のうち、Re+としては、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ま
しく、特にトリフェニルカルベニウムカチオン、N, N-ジメチルアニリニウムカチオン、N, N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
【0061】
カルベニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、具体的には、トリフェニルカ
ルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができる。
【0062】
アンモニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、トリアルキル置換アンモニウ
ム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩などを挙げることができる。
【0063】
トリアルキル置換アンモニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、具体的には
、たとえばトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-トリ
フルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(o-トリル)
ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0064】
N, N-ジアルキルアニリニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、具体的には、たとえばN, N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、 N, N-ジメチルアニリニ
ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N, N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N, N-ジエチルアニリニウムテトラ
フェニルボレート、N, N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボ
レート、 N, N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N, N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N, N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0065】
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェ
ニルボレートなどが挙げられる。
【0066】
その他のイオン性化合物(b-2)としては、本出願人によって開示(特開2004-51676号
公報)されているイオン性化合物も制限無く使用が可能である。
上記のイオン性化合物(b-2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いること
もできる。
(b-3) 有機アルミニウム化合物
オレフィン重合触媒を形成する(b-3)有機アルミニウム化合物としては、例えば下記
一般式[VII]で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式[VIII]で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げることができる。
【0067】
RamAl(ORb)nHpXq … [VII]
(式[VII]中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
上記一般式[VII]で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチル
アルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアル
ミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i-C4H9)xAly(C5H10)z (式中、x、y、zは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルア
ルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式Ra2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアル
キルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0068】
M2AlRa4 … [VIII]
(式[VIII]中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物
。このような化合物としては、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4 などを例示することができる。
【0069】
また、上記一般式[VII]で表される化合物に類似する化合物も使用することができ、
例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物
を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2などを挙げることができる。
【0070】
入手容易性の点から、(b-3)有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウムが好ましく用いられる。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、例えば触媒成分(A)
および触媒成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法を例示することができる。
【0071】
上記方法においては、各触媒成分の2つ以上が予め接触されていてもよい。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィンとの共重合を行い、本発明のエチレン系重合体を製造する場合、触媒成分(A)は、反応
容積1リットル当り、通常10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルになるような量で
用いられる。
【0072】
成分(b-1)は、成分(b-1)と、成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(b-1)/M]が通
常0.01〜5,000、好ましくは0.05〜2,000となるような量で用いられる。成分(b-2)は、成
分(b-2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の全遷移金属(M)とのモル比[(b-2)/M]が、通常10〜5,000、好ましくは20〜2,000となるような量で用いられる。成分(b-3)は、成分(b-3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(b-3)/M]が、通常1〜10000、好ましくは1〜5000となるような量で用いられる。
【0073】
本発明に係る高温溶液重合では、上述のようなメタロセン系触媒の存在下に、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィンとの共重合を行うことによって、コモノマー含量が高く、組成分布が狭く、分子量分布が狭いエチレン系重合体を効率よく製造できる。ここで、エチレンと、炭素数4〜10のα-オレフィンとの仕込みモル比は通常、エチレン:α-オレフ
ィン=10:90〜99.9:0.1、好ましくはエチレン:α-オレフィン=30:70〜99.9:0.1、さ
らに好ましくはエチレン:α-オレフィン=50:50〜99.9:0.1である。
【0074】
炭素数4〜10のα-オレフィンとしては、直鎖状または分岐状のα-オレフィン、例えば
プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メ
チル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどを挙げることができる。本発明の高温溶液重合において使用できるα-オレフィンは極性基含有
オレフィンも包含する。極性基含有オレフィンとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β-不飽和カルボン酸類、およびこれらのナ
トリウム塩等の金属塩類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのα,β-不飽和カルボン酸エステル類
;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和グリシジル類などを挙げることができる。また、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエン;芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o, p-ジメチルスチレン、メトキ
シスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン類;および3- フ
ェニルプロピレン、4-フェニルプロピレン、α-メチルスチレンなどを反応系に共存させ
て高温溶液重合を進めることも可能である。以上述べたα-オレフィンの中では、1-ブテ
ン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-オクテンが好ましく用いられる。また本
発明に関わる高温溶液重合方法においては、炭素原子数が4〜10、好ましくは3〜20の環状オレフィン類、たとえばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-
ノルボルネンなどを併用してもよい。
【0075】
本発明に関わる「溶液重合」とは、ポリマーの融点以上の温度で後述する不活性炭化水素溶媒中にポリマーが溶解した状態で重合を行う方法の総称である。本発明に関わる溶液重合における、重合温度は通常120℃〜300℃、好ましくは130℃〜250℃、更に好ましくは130℃〜200℃であり、前記したように、本明細書では「高温溶液重合」ともいう。
【0076】
本発明に関わる高温溶液重合においては、重合温度が120℃に満たない場合、その重合
活性は極端に低下するので生産性の点で実用的でない。また、120℃以上の重合温度領域
では温度が高くなるに従い、重合時の溶液粘度が低下し、重合熱の除熱も容易となり、得られるオレフィン重合体の高分子量化が達成できる。しかし、重合温度が300℃を超える
と、得られるポリマーが劣化が起こる場合があるので好ましくない。また本発明に関わる高温溶液重合において好ましく製造されるエチレン系重合体の性状の視点からは、重合温度が120〜200℃の領域において、フィルム等多くの産業分野で好適に用いられる、後述のエチレン系重合体を効率良く生産できるのである。重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ
圧、好ましくは常圧〜8MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以
上に分けて行うことも可能である。得られるエチレン系重合体の分子量は、本発明の範囲内において、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する触媒成分(B)の量により調節することもできる。水素を添加
する場合、その量は生成するエチレン系重合体1kgあたり0.001〜5,000NL程度が適当であ
る。
【0077】
本発明に関わる高温溶液重合において用いられる溶媒は通常、不活性炭化水素溶媒であり、好ましくは常圧下における沸点が50℃〜200℃の飽和炭化水素である。具体的には、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素が挙げられる。なおベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類やエチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素も本発明の高温溶液重合に関わる「不活性炭化水素溶媒」の範疇に入り、その使用を制限するものではない。前記したように、本発明に係る高温溶液重合においては、従来繁用されてきた芳香族炭化水素溶解タイプの有機アルミニウムオキシ化合物のみならず、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素に溶解するMMAOのような修飾メチルアルミノキサンを使用できる。この結果、溶液重合用の溶媒として脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素を採用すれば、重合系内や生成するエチレン系重合体中に芳香族炭化水素が混入する可能性をほぼ完全に排除することが可能となった。すなわち、本発明に関わる高温溶液重合方法は、環境負荷を軽減化でき人体健康への影響を最小化できるという特徴も有するのである。
【0078】
物性値のばらつきを抑制するため、重合反応により得られたエチレン系重合体粒子および所望により添加される他の成分は、任意の方法で溶融され、混練、造粒などを施されるのが好ましい。
【0079】
<高圧法低密度ポリエチレン>
本発明に係る高圧法低密度ポリエチレンは、高圧ラジカル重合によって製造される長鎖分岐を有する分岐の多いポリエチレンである。
【0080】
高圧法低密度ポリエチレンとしては、ASTM D1238−65Tに従い、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定されるNMRが通常は0.01〜100g/10分の
範囲であり、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲であり、より好ましくは1.0〜15g/10分の範囲である。
【0081】
また、高圧法低密度ポリエチレンは、密度(D)が0.910〜0.930g/cm3
の範囲にあることが好ましい。密度(D)は190℃における2.16kg荷重でのMFR測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷した後、密度勾配管で測定される。
【0082】
また、高圧法低密度ポリエチレンは長鎖分岐の度合を表すスウェル比、すなわち毛細式流れ特性試験機を用い、190℃の条件下で内径2.0mm、長さ15mmのノズルより押出速度10mm/分で押出されたストランドの径とノズル内径との比(ストランドの径/ノズル内径)が1.3以上であることが望ましい。
【0083】
なお、高圧法低密度ポリエチレンは、本発明の目的を損なわない範囲で、他のα-オレ
フィン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等の重合性単量体が少量用いられた、エチレンとの共重合体であっても良い。
【0084】
<樹脂組成物>
本発明に係る樹脂組成物は、前述のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、下記要件(I)〜(IV)を同時に満たすエチレン系重合体60〜99重量%および高圧法低密度ポリエチレン1〜40重量%を含むことを特徴としている。(ただし、エチレン系重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの合計を100重量%とする。)
樹脂組成物としては、エチレン系重合体70〜90重量%および高圧法低密度ポリエチレン10〜30重量%を含むことが好ましく、エチレン系重合体75〜85重量%および高圧法低密度ポリエチレン15〜25重量%を含むことがより好ましい(ただし、エチレン系重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの合計を100重量%とする。)。
【0085】
上記範囲内で、エチレン系重合体と高圧法低密度ポリエチレンとを含む組成物から形成される層を有する積層体は、低温ヒートシール性、ホットタック性、高速液体充填性に優れ、かつ機械強度に優れる。
【0086】
本発明に係るエチレン系重合体には、上記熱可塑性樹脂に加えてさらに、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
【0087】
<積層体>
本発明の積層体は上述した樹脂組成物からなる層を有することを特徴とする。
すなわち本発明の積層体は、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、上記要件(I)〜(IV)を同時に満たすエチレン系重合体60〜99重量%および高圧法低密度ポリエチレン1〜40重量%を含む樹脂組成物(ただし、エチレン系重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの合計を100重量%とする。)から形成される層を含むことを特徴とする積層体である。
【0088】
本発明に係る積層体は、上記樹脂組成物からなる層を少なくとも一層含んでいる積層体であり、上記組成物からなる層は単層であっても多層であってもよい。
本発明の積層体の層構成としては、特に限定は無いが、通常は基材/上記樹脂組成物からなる層の二層構成、基材1/上記樹脂組成物からなる層/基材2の3層構成、基材1/上記樹脂組成物からなる層/基材2/上記樹脂組成物からなる層の4層構成等様々な層構
成を有する積層体が挙げられる。また、基材も単層で形成される基材であっても、多層で形成される基材であってもよい。
【0089】
積層体の層構成としては、上記樹脂組成物からなる層が少なくとも一方の最外層を形成することが好ましい。上記樹脂組成物からなる層によって最外層を形成することにより、該層の有する低温ヒートシール性が発揮される。
【0090】
本発明の積層体に用いる基材の形態としては、フィルムやシートが好ましい。フィルムやシートの厚みは通常は10〜1,000μmである。
また基材の材質としては、例えば、プラスチック、金属、ガラス、紙等が挙げられる。基材の材質としては、上記樹脂組成物からなる層を安定的に形成できるプラスチックが好ましく、プラスチックとしては、ポリオレフィン系重合体、アクリル系重合体、ポリエステル系重合体等が好ましい。
【0091】
基材として、プラスチックフィルムを用いる場合には、プラスチックフィルムは、無配向であってもよく一軸または二軸に延伸されていてもよい。
また、このような基材としては、上記樹脂組成物からなる層を安定的に形成するために、基材表面にコロナ放電処理等の表面活性処理をほどこしても良く、アンカーコート層を設けても良い。
【0092】
また上記樹脂組成物からなる層はその低温ヒートシール性を発揮するために、シール層であることが好ましい。
上記樹脂組成物からなる層をシール層として使用する場合には、該シール層の厚さは適宜設定可能であるが、好ましくは5〜100μm程度である。上記樹脂組成物からなるシール層は、ヒートシール強度に優れ、ヒートシール温度が比較的低温であっても高いヒートシール強度を示す。すなわち低温ヒートシール性に優れる。
【0093】
本発明に係る積層体は、例えば上記基材上に上記樹脂組成物を押出ラミネートすることにより製造することができる。
上記のような基材上に上記樹脂組成物を押出ラミネートする際には、基材に直接樹脂組成物を押出ラミネートしてもよく、また基材と樹脂組成物との接着力を高めるために、基材に予め公知の方法、例えばアンカーコート剤を塗布したり、あるいは接着性ポリオレフィン、高圧法ポリエチレンなどの下貼樹脂層を設けた後に樹脂組成物を押出ラミネートしてもよい。
【0094】
本発明に係る押出しラミネートする際の樹脂組成物からなる層の厚みは特に限定されないが、透明性、柔軟性を維持するという観点から好ましくは300μm以下であり、より好ましくは250μm以下であり、さらに好ましくは200μm以下である。一方、機械的特性や低温ヒートシール性を考慮すると、層の厚みは好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。
【0095】
以下、本発明の積層体を液体包装用フィルムとして使用する場合の例を示す。
本発明の積層体を液体包装用フィルムとして使用する場合には、上記樹脂組成物からなる層を液体包装用フィルムのシール層として使用する。この場合の該シール層の厚さは適宜設定可能であるが、好ましくは5〜100μm程度である。
【0096】
液体包装用フィルムの構成としては、基材フィルムと基材フィルム上にシール層が形成された構成であり、基材フィルムを形成する素材としては、フィルム形成能を有するものであれば特に限定されず、任意の重合体あるいは紙、アルミ箔、セロハンなどを使用することができる。
【0097】
このような重合体としては、例えば、高密度ポリエチレン、中,低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィン
系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系重合体、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート系重合体などおよびこれらの混合物等が挙げられる。
【0098】
また基材フィルムが重合体からなるときには、この重合体フィルムは、無配向であってもよく一軸または二軸に延伸されていてもよい。さらに基材フィルムは、単層でも多層であってもよい。
【0099】
このような液体包装用フィルムは、例えば上述の押出ラミネートを行うことにより製造することができる。
液体包装用フィルムは適当な大きさに切断した後、シーラント面(上記樹脂組成物からなる層)同士が接触するように重ね合わせ、周囲をヒートシールすることにより液体包装容器とすることができる。このような液体包装容器は、例えば、液体スープ、液体調味料、ジュース、酒、水などの各種液体や、漬物、レトルト食品等、液体を含む製品の包装容器として好適に用いられる。
【0100】
〔実施例〕
次の本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0101】
[エチレン系重合体の製造−1]
容積136リットルの連続重合器の一つの供給口に、脱水精製したn-ヘキサンを5.9リットル/hrの割合で、TMAO-341(東ソー・ファインケム社製)のヘキサンスラリー(アルミニ
ウム原子として5mmol/リットル)を0.3リットル/hrの割合で、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.1mmol/リットル)を0.03リットル/hrの割合で、トリイ
ソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(2mmol/リットル)を2.1リットル/hrの割合で連続的に供給した(合計ヘキサン8.3リットル/hr)。同時に連続重合器の別の供給口に、エチレンを4.5kg/hrの割合で、水素を40リットル/hrの割合で供給し、また別の供給口に1-オ
クテンを6.4kg/hrの割合で連続供給し、重合温度130℃、全圧2.8MPa-G、滞留時間65min、攪拌回転数250rpmの条件下で連続溶液重合を行った。
【0102】
重合器で生成したエチレン・1-オクテン共重合体のヘキサン溶液は、重合器側壁部に設けられた排出口を介して流量25.8リットル/hrの割合で連続的に排出させ、ジャケット部
が8kg/cm2スチームで加熱された連結パイプに導かれた。スチームジャケット付き連結パ
イプ内で約170℃に加温されたエチレン・1-オクテン共重合体のヘキサン溶液は、重合槽
内溶液量約28リットルを維持するように、連結パイプ終端部に設けられた液レベル制御バルブの開度の調節によって、10kg/cm2スチームで加熱された二重配管内管を通して連続的にフラッシュ槽に送液された。なお、液レベル制御バルブの直後には、触媒失活剤であるメタノールが注入される供給口が付設され、1.0vol%ヘキサン希釈溶液として12リットル/hrの速度で注入されて該ヘキサン溶液に合流させた。フラッシュ槽内への移送においては、フラッシュ槽内の圧力が0.04 MPa-G、フラッシュ槽内の蒸気部の温度が180℃を維持す
るように溶液温度と圧力調整バルブ開度設定が行われた。
【0103】
その結果、エチレン・1-オクテン共重合体(1)が4.3kg/hrの生産スピードで得られた。得られたエチレン・1-オクテン共重合体(1)のMFR(190℃,2.16kg)は12.5g/10min、密度は883kg/m3であった。
【0104】
[エチレン系重合体の製造−2]
容積136リットルの連続重合器の一つの供給口に、脱水精製したn-ヘキサンを8.1リットル/hrの割合で、TMAO-341(東ソー・ファインケム社製)のヘキサンスラリー(アルミニ
ウム原子として5mmol/リットル)を0.2リットル/hrの割合で、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.1mmol/リットル)を0.02リットル/hrの割合で、トリイ
ソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(2mmol/リットル)を2.1リットル/hrの割合で連続的に供給した(合計ヘキサン10.4リットル/hr)。同時に連続重合器の別の供給口に、エ
チレンを4.5kg/hrの割合で、水素を30リットル/hrの割合で供給し、また別の供給口に1-
オクテンを2.5kg/hrの割合で連続供給し、重合温度130℃、全圧3MPa-G、滞留時間70min、攪拌回転数250rpmの条件下で連続溶液重合を行った。
【0105】
重合器で生成したエチレン・1-オクテン共重合体のヘキサン溶液は、重合器側壁部に設けられた排出口を介して流量24リットル/hrの割合で連続的に排出させ、ジャケット部が8kg/cm2スチームで加熱された連結パイプに導かれた。スチームジャケット付き連結パイプ内で170℃に加温されたエチレン・1-オクテン共重合体のヘキサン溶液は、重合槽内溶液
量約28リットルを維持するように、連結パイプ終端部に設けられた液レベル制御バルブの開度の調節によって、10kg/cm2スチームで加熱された二重配管内管を通して連続的にフラッシュ槽に送液された。なお、液レベル制御バルブの直後には、触媒失活剤であるメタノールが注入される供給口が付設され、1.0vol%ヘキサン希釈溶液として12リットル/hrの速度で注入されて該ヘキサン溶液に合流させた。フラッシュ槽内への移送においては、フラッシュ槽内の圧力が0.04MPa-G、フラッシュ槽内の蒸気部の温度が180℃を維持するように溶液温度と圧力調整バルブ開度設定が行われた。
【0106】
その結果、エチレン・1-オクテン共重合体(2)が4.5kg/hrの生産スピードで得られた。得られたエチレン・1-オクテン共重合体(2)のMFR(190℃,2.16kg)は5.6g/10min、
密度は899kg/m3であった。
【0107】
[エチレン系重合体−1C]
プライムポリマー社より市販されているエチレン/4-メチル-1-ペンテン共重合体 (商品名ウルトゼックス 15150J)を使用した。(以下、エチレン・4MP−1共重合体とも記す。)
[エチレン系重合体の物性]
エチレン系重合体の物性は以下の[m1]〜[m3]の方法で測定した。
【0108】
エチレン系重合体の物性を表1に示す。
[m1]重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)
エチレン系重合体の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)はウォーターズ社製GPC-150Cを用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6-HT及びTSKgel GMH6-HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600 mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0 ml /分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、
試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリス
チレンは、分子量がMw≦1000およびMw≧4×106 については東ソー社製を用い、1000≦Mw
≦4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。分子量計算は、ユニバーサル
校正して、ポリエチレンに換算した値である。
【0109】
[m2] H/Wの測定
まず、温度上昇溶離分別(TREF)による溶出曲線を、三菱油化社製クロス分別クロマトグラフ装置CFCT-150A型を用いて以下のようにして測定した。
【0110】
エチレン系重合体の測定サンプルを溶媒(o-ジクロロベンゼン)を用い、濃度が4 mg
/mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装置内のサンプルループ内に注入した。
試料溶液は、TREF分離カラム(不活性担体であるガラスビーズが充填された装置付属のステンレス製カラム、容量は0.88 ml、配管容量は0.07 ml)に0.4 ml注入される。
【0111】
次に、試料溶液を1℃/minの速度で140℃から0℃の温度まで冷却し、不活性担体にコーティングさせた。このとき、高結晶性成分から低結晶性成分の順で不活性担体表面にポリマー層が形成される。TREF分離カラムが0℃で更に30分間保持された後、0℃の温度で溶解している成分2 mlが、1 ml/分の流速でTREF分離カラムからSEC分離カラム(昭和電工社
製 Shodex AT-806MS×3本)へ注入される。SEC分離カラム内で分子サイズでの分
別が行われている間に、TREF分離カラムでは次の溶出温度(5℃)に昇温され、その温度
に約30分間保持される。溶出温度は以下の温度で段階的に昇温した。
【0112】
[溶出温度]0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79、82,85,88、91,94,97,100,102,120,140℃
各温度で溶出した成分の分子量を測定し、汎用較正曲線を使用して、ポリエチレン換算分子量を求めた。SEC温度は140℃であり、データサンプリング時間は0.50 秒である。SEC分離カラムを通過した試料溶液は、赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度が測定され(波長3.42μm,2924 cm-1)、各溶出温度区分のクロマトグラムが得られる。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理される。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が計算される。また、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計算された。
【0113】
次に、得られた微分溶出曲線の作図を、横軸に溶出温度を100℃当たり89.3 mm、縦軸に微分量(全積分溶出量を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした)0.1当たり76.5 mmで行い、この微分溶出曲線のピーク高さ(mm)を1/2高さの幅(mm)で除した値をH/Wとした。
【0114】
[m3] ηの測定
極限粘度〔[η](dl/g)〕はデカリン溶媒を用い、以下のように測定した。エチレン
系重合体約20 mgをデカリン15 mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定し
た。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5 ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた。すなわち、極限粘度[η]は下記式で表される。
【0115】
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
【0116】
【表1】

【実施例1】
【0117】
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(1)と高圧法低密度ポリエチレンを65 mmφ
単軸押出機(株式会社プラコー製)を用い、設定温度180℃、スクリュー回転数50 rpmで
溶融混練し、85重量%対15重量%の樹脂組成物(1)とした後、ストランド状に押出し、カッターにてペレットとした。
【0118】
得られた樹脂組成物(1)のペレットを、65 mmφの押出機とダイ幅500 mmのTダイを有する住友重機社製ラミネーターを用いて、基材上にエアギャップ130 mm、ダイ下樹脂温度295℃、引取速度80 m/minの条件下で、膜厚25μmになるよう押出ラミネートし、積層体(1)を形成した。
【0119】
全ての実施例、比較例において基材には、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(商
品名 エンブレムONM、ユニチカ(株)製)の片面に、ウレタン系アンカーコート剤を塗布し、その後、チーグラー触媒により得られた直鎖状低密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンをそれぞれ50重量部ずつブレンドしたエチレン系混合樹脂を25μmの厚さで押
出ラミネートした多層からなる基材を用いた。
なお、積層体は、エチレン系樹脂組成物からなる層をシール層とした。
【実施例2】
【0120】
得られたエチレン・1-オクテン共重合体(2)と高圧法低密度ポリエチレンを65 mmφ
単軸押出機(株式会社プラコー製)を用い、設定温度180℃、スクリュー回転数50 rpmで
溶融混練し、80重量%対20重量%の樹脂組成物(2)とした後、ストランド状に押出し、カッターにてペレットとした。
【0121】
得られた樹脂組成物(2)のペレットを、65 mmφの押出機とダイ幅500 mmのTダイを有する住友重機社製ラミネーターを用いて、基材上にエアギャップ130 mm、ダイ下樹脂温度295℃、引取速度80 m/minの条件下で、膜厚25μmになるよう押出ラミネートし、積層体(2)を形成した。
【0122】
[比較例1]
ウルトゼックス15150Jと高圧法低密度ポリエチレンを65 mmφ単軸押出機(株式
会社プラコー製)を用い、設定温度180℃、スクリュー回転数50 rpmで溶融混練し、80
重量%対20重量%の樹脂組成物(1C)とした後、ストランド状に押出し、カッターにてペレットとした。
【0123】
得られた樹脂組成物(1C)のペレットを、65 mmφの押出機とダイ幅500 mmのTダイを有する住友重機社製ラミネーターを用いて、基材上にエアギャップ130 mm、ダイ下樹脂温度295℃、引取速度80 m/minの条件下で、膜厚25μmになるよう押出ラミネートし、積層体
(1C)を形成した。
【0124】
[積層体の物性]
積層体の物性は以下の[m4]〜[m6]の方法で測定した。
[m4] ヒートシール強度
得られた積層体の樹脂組成物層同士を下記条件でヒートシールし、剥離強度を測定した。
【0125】
結果を表2に示す。
・片面加熱バーシーラーを使用
・ヒートシール圧力:2 kg/cm2
・ヒートシール時間:0.5秒
・シールバーの幅:10 mm
・試験片幅:15 mm
・剥離角度:180度
・剥離速度:300 mm/分
【0126】
【表2】

【0127】
[m5] ホットタック試験
長さ550mm×幅50mmの積層体のフィルム片を重ね合わせ、幅10mm、長さ300mmのシールバーにより、2.0kg/cm2の圧力、および所定の温度にて1秒間シールした後、除圧と同時に各フィルム片に45gの荷重をかけてヒートシール部分を剥離角22.5°で強制的に剥離し、各
温度における剥離距離を求めて、ホットタック性の指標とした。
【0128】
結果を表3に示す。
【0129】
【表3】

【0130】
[m6] 液体充填速度
以下の条件で、高速液体充填性の評価を行った。
結果を表4に示す。
評価機:大成ラミック製 NT-DANGAN TYPE-III
プリヒート温度: 80℃
シール温度:縦 185℃/横 160℃
ロール圧力:縦 左 80kPa/右 60kPa 横 左 390kPa/右 370kPa
袋サイズ:75mm×85mm
充填物:水 (23℃)
充填量: 240g/10g (袋重量込み)
【0131】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、下記要件(I)〜(IV)を同時に満たすエチレン系重合体60〜99重量%および高圧法低密度ポリエチレン1〜40重量%を含む樹脂組成物(ただし、エチレン系重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの合計を100重量%とする。)から形成される層を含むことを特徴とする積層体。
(I)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が1.0〜100g/10分の範囲である。
(II)密度(D)が860〜925kg/m3の範囲である。
(III)GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.50以上3.00以下の範囲である。
(IV)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、最もピーク強度の強いピークの1/2の高さにおける幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが、要件(I)のMFRに応じて下記関係式
(Eq−1)または(Eq−2)を満たす。
[1.0≦MFR≦10の場合]
0.0163×D−14.02≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.30 ・・・
(Eq−1)
[10<MFR≦100の場合]
0.0163×D−14.10≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.40 ・・・(Eq−2)
【請求項2】
前記エチレン系重合体が下記要件(V)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
(V)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕とMFRとが下
記関係式(Eq−3)を満たす。
−0.21×Log10MFR+0.16≦Log10[η]≦−0.21×Log10MFR+0.31
・・・(Eq−3)

【公開番号】特開2008−230068(P2008−230068A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73568(P2007−73568)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【出願人】(505130112)株式会社プライムポリマー (180)
【Fターム(参考)】