説明

積層体

【課題】本発明は、ポリイミドと異種材料の接着に関し、簡素な装置を用い、容易な方法により、VOCフリーで、かつ、少ない熱量、短時間、低圧力で接着する方法を提供し、ポリイミドと異種材料を接着した積層体を得ることを目的としている。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂をエチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む単量体によりグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂組成物がポリイミドとの接着性に優れ、VOCフリーで、かつ、少ない熱量、短時間、低圧力でポリイミドと異種材料に対し優れた接着性を発揮することを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱融着性を有する熱可塑性ポリオレフィンの接着剤層とポリイミドを含む積層体であり、少ない熱量、短時間、低圧力で異種材料と接着が可能な積層体に関する。エレクトロニクス部材、自動車部材、建材など好適に使用できる。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、その優れた絶縁性と耐熱性から、例えば銅箔などの金属箔と積層したフレキシブル回路基板用のベースフィルムなどの用途に幅広く利用されている。
このような状況から、ポリイミドフィルムと金属の積層体について、長期的に使用される際に必要とされる長期信頼性をさらに向上させる試みがなされている。この方法として、ポリイミドフィルム表面を電気的なプラズマ処理により、接着力を向上させる方法(特許文献1)、熱融着性を有する熱可塑性ポリイミド、または接着剤を介してベースポリイミドと金属箔を張り合わせる方法(特許文献2、3)が提案されている。
ポリイミドフィルム表面をプラズマ処理する方法は、接着する前にプラズマ処理を施す工程が必要とされる。熱融着性を有する熱可塑性ポリイミド用いる方法は、熱可塑性ポリイミド溶液としてベースポリイミドに塗布するため、250℃、3時間という高温で長時間乾燥する必要があり、タクトタイムが長く、生産性に問題がある上、溶剤を使用することから、昨今のVOC低減要求からも好ましくない。また、接着剤としてアクリル性ポリアミド用接着剤を用いる方法も、1時間、44MPaと長時間高圧下、180℃で熱圧着加工する必要があり、生産性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−41227号公報
【特許文献2】特開平5−112768号公報
【特許文献3】特開2004−263170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ポリイミドと異種材料の接着に関し、簡素な装置を用い、容易な方法により、VOCフリーで、かつ、少ない熱量、短時間、低圧力で接着する方法を提供し、ポリイミドと異種材料を接着した積層体を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上述の現状に鑑み鋭意検討した結果、ポリオレフィン樹脂をエチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む単量体によりグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂組成物がポリイミドとの接着性に優れ、VOCフリーで、かつ、少ない熱量、短時間、低圧力でポリイミドと異種材料に対し優れた接着性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0007】
1) (B)ポリイミドの少なくとも一面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が積層された積層体。
【0008】
2) (B)ポリイミドの少なくとも一面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が積層され、さらに前記接着層のポリイミドと接していない面に(C)被着体が積層された積層体。
【0009】
3) (C)被着体が金属材料である2)記載の積層体。
【0010】
4) 前記金属材料が、鉄、銅、銀、金、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫、マグネシウム、鉄を主成分とする合金、銅を主成分とする合金、銀を主成分とする合金、金を主成分とする合金、アルミニウムを主成分とする合金、亜鉛を主成分とする合金、鉛を主成分とする合金、錫を主成分とする合金、及びマグネシウムを主成分とする合金からなる群より選ばれた少なくとも1種である3)に記載の積層体。
【0011】
5) (C)被着体が高分子材料である2)記載の積層体。
【0012】
6) 前記高分子材料が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、スチレン・アクリロニトリル・共役ジエン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・共役ジエン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、及びポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びこれらの発泡成形体、からなる群より選ばれた少なくとも1種である5)に記載の積層体。
【0013】
7) (A)変性ポリオレフィン樹脂が、(a−1)ポリオレフィン樹脂を、エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体によりグラフト変性されたポリオレフィンである、1)〜6)のいずれかに記載の積層体。
【0014】
8) 前記エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体の極性基が、カルボン酸、その無水物、またはその誘導体であることを特徴とする少なくとも1種の単量体である7)記載の積層体。
【0015】
9) 前記エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体が、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸グリシジルから選ばれる少なくとも1つである8)記載の積層体。
【0016】
10) (A)変性ポリオレフィン樹脂が、エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む化合物に加え、芳香族ビニル単量体または共役ジエン系単量体を用いてグラフト変性されたポリオレフィンである7)〜9)のいずれかに記載の積層体。
【0017】
11) (a−1)ポリオレフィン樹脂が、エチレン単位、またはプロピレン単位が過半量である7)〜10)のいずれかに記載の積層体。
【0018】
12) (A)変性ポリオレフィン樹脂組成物にポリオレフィン樹脂が混合されている、1)〜11)のいずれかに記載の積層体。
【0019】
13) (A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が、シートまたはフィルム状である1)〜12)のいずれかに記載の積層体。
【0020】
14) (B)ポリイミドが、シートまたはフィルム状である1)〜13)のいずれかに記載の積層体。
【0021】
15) (B)ポリイミドの少なくとも1面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が、加熱によるラミネーション加工により積層されることを特徴とする1)〜14)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0022】
16) (B)ポリイミドの少なくとも一面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が配置され、さらに前記接着層のポリイミドと接していない面に接して(C)被着体が配置され、前記接着層が溶融されることにより接着されることを特徴とする2)〜14)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、ポリイミドに変性ポリオレフィン樹脂組成物を積層することにより、金属部材などの被着体に対し、ポリイミドとの優れた接着力を確保するとともに、VOCフリーで、かつ、少ない熱量、短時間、低圧力での加工を可能とする高い生産性を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の詳細について述べる。
(ポリオレフィン樹脂)
変性ポリオレフィン樹脂を得る為のポリオレフィン樹脂は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンおよび/または1−ブテンとのあらゆる比率でのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレンとプロピレンとのあらゆる比率においてジエン成分が50重量%以下であるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと50重量%以下のビニル化合物などとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。
【0025】
中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブチレンが好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0026】
また、極性基を有する不飽和カルボン酸単量体と相溶し易い点で、極性基が導入されたポリオレフィン樹脂も使用できる。極性基が導入されたポリオレフィン樹脂の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アクリル酸変性ポリプロピレンなどの酸変性ポリプロピレン;エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、エチレン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/メタクリロニトリル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリルアミド共重合体、エチレン/メタクリルアミド共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、又はその鹸化物、エチレン/プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/ビニル単量体共重合体;塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどの塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの極性基導入ポリオレフィンは混合しても使用できる。極性基が導入されたポリオレフィンとしては、工業的規模で安価に製造できるという点でポリプロピレン系が好ましい。
【0027】
前記原料ポリオレフィン樹脂には、必要に応じて、他の樹脂またはゴムを本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0028】
前記の他の樹脂またはゴムとしては、たとえばポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン/ブテン−1共重合体などのα−オレフィン共重合体;エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン/ジエン単量体共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン共重合体;スチレン/ブタジエンランダム共重合体などのビニル単量体/ジエン単量体ランダム共重合体;スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体などのビニル単量体/ジエン単量体/ビニル単量体ブロック共重合体;水素化(スチレン/ブタジエンランダム共重合体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン単量体ランダム共重合体);水素化(スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン単量体/ビニル単量体ブロック共重合体);アクリロニトリル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体などのビニル単量体/ジエン単量体/ビニル単量体グラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル共重合体などがあげられる。
【0029】
ポリオレフィン樹脂に対するこれら他の樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類またはゴムの種類により異なり、前述のように本発明の効果を損なわない範囲内にあればよいものであるが、通常、25重量%程度以下であることが好ましい。
【0030】
また、これらポリオレフィン樹脂(各種の添加材料を含む場合もある)は粒子状のものであってもペレット状のものであってもよく、その大きさや形はとくに制限されるものではない。
【0031】
また、前記の添加材料(ほかの樹脂、およびゴム)を用いる場合は、この添加材料は予めポリオレフィン樹脂に添加されているものであっても、ポリオレフィン樹脂を溶融するときに添加されるものであってもよく、また変性ポリオレフィン樹脂を製造したのちに適宜の方法でこの変性ポリオレフィン樹脂に添加されるものであってもよい。
【0032】
ポリオレフィン樹脂におけるプロピレン成分に関しては、ポリオレフィン樹脂に対しラジカルが発生し易くなる点で、プロピレン単位が過半量であることが好ましい。ここでいう過半量とはポリオレフィン樹脂に対するプロピレン成分が50重量%以上のことを意味する。
【0033】
(エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体)
上記ポリオレフィン樹脂をグラフト変性するためのエチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体としては特に限定なく種々のものを用いることができる。極性基としては、カルボン酸、酸無水物、またはその誘導体、等を好適に用いることができる。
【0034】
このような単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプトー2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導体(例えば、酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。具体的な化合物の例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプトー2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプトー2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノグリシジル、マレイン酸ジグリシジル、イタコン酸モノグリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルコハク酸モノグリシジル、アリルコハク酸ジグリシジル、p−スチレンカルボン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、が好ましい。
【0035】
エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体の使用量は、特に制限されないが、主鎖となるポリオレフィン100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましい。0.1重量部より少ないと、基材に対する接着性が十分でなく、20重量部より多いと、残留モノマーが多く発生し、物性に悪影響を与える。
【0036】
ポリオレフィン樹脂に対して、エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合する際、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の単量体を用いてもよい。その他の単量体としては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、オキサゾリン基含有不飽和単量体などが挙げられる。
【0037】
芳香族ビニル化合物や共役ジエン系化合物を用いた場合、ポリプロピレンなどの分子鎖切断型ポリオレフィンへのグラフトの際に分子鎖の切断が抑制され、高い分子量を保ったまま、エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体を高い比率で導入することができるので好ましい。
【0038】
芳香族ビニル化合物を例示するならば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレンなどのメチルスチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−クロロスチレン、β−クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのクロロスチレン;o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどのブロモスチレン;o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、ジフルオロスチレン、トリフルオロスチレンなどのフルオロスチレン;o−ニトロスチレン、m−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン、ジニトロスチレン、トリニトロスチレンなどのニトロスチレン;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール;o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼンなどのジビニルベンゼン;o−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼンなどのジイソプロペニルベンゼン;などの1種または2種以上が挙げられる。これらのうちスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのメチルスチレン、ジビニルベンゼン単量体またはジビニルベンゼン異性体混合物が安価であるという点で好ましい。
【0039】
共役ジエン系単量体を例示するならば、イソプレン、1,3−ブタジエンなどが例示される。
【0040】
前記芳香族ビニル単量体または共役ジエン系単量体の添加量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがさらに好ましい。添加量が少なすぎるとポリオレフィン樹脂に対するエチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む単量体のグラフト率が劣る傾向がある。一方、添加量が10重量部を超えるとエチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む単量体のグラフト効率が飽和域に達する。
【0041】
上記ポリオレフィンとエチレン性不飽和基および極性官能基を同一分子内に含む単量体、さらに必要に応じてビニル芳香族系単量体または共役ジエン系単量体を、ラジカル重合開始剤の存在下、または不存在下で加熱して反応させることにより、変性ポリオレフィンを得ることができる。
【0042】
(ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などを挙げることができる。例示するならば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの有機過酸化物の1種または2種以上があげられる。
【0043】
これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、そのようなラジカル重合開始剤としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの1種または2種以上があげられる。
【0044】
前記ラジカル重合開始剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲内にあることが好ましく、0.2〜5重量部の範囲内にあることがさらに好ましい。0.01重量部未満では変性が充分に進行せず、10重量部を超えると流動性、機械的特性の低下を招くことがある。
【0045】
本発明に用いるグラフト重合反応としては、特に制限されないが、溶液重合、含浸重合、溶融重合などを用いることができる。特に、溶融重合が簡便で好ましい。
【0046】
溶融混練時の添加順序及び方法については、ポリオレフィン樹脂とラジカル重合開始剤とエチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む単量体を溶融混練した混合物に、芳香族ビニル単量体を加え溶融混練する添加順序がよく、この添加順序で行うことでエチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む単量体を効率よくポリオレフィンにグラフトさせ、且つ変性時の機械的物性の低下を抑制できる。なお、その他必要に応じ添加される材料の混合や溶融混練の順序及び方法はとくに制限されるものではない。
【0047】
溶融混練時の加熱温度は、100〜250℃であることが、ポリオレフィン樹脂が充分に溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。また溶融混練の時間(ラジカル重合開始剤を混合してからの時間)は、通常30秒間〜60分間である。
【0048】
また、前記の溶融混練の装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ミル、ニーダー、加熱ロールなどを使用することができる。生産性の面から単軸あるいは2軸の押出機を用いる方法が好ましい。また、各々の材料を充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰返してもよい。
【0049】
変性ポリオレフィン樹脂組成物には必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。これらの安定剤および添加剤を用いる場合は、予めポリオレフィン樹脂に添加されているものであってもよく、ポリオレフィン樹脂をグラフト変性させる際に添加されるものであってもよく、また変性ポリオレフィン樹脂を製造したのちに適宜の方法でこの変性ポリオレフィン樹脂に添加されるものであってもよい。
【0050】
変性ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂と混合して用いても使用することができる。
【0051】
変性ポリオレフィン樹脂組成物に混合されるポリオレフィン樹脂としては、例えばポリプロピレン単独重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンおよび/または1−ブテンとのあらゆる比率でのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレンとプロピレンとのあらゆる比率においてジエン成分が50重量%以下であるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと50重量%以下のたとえば酢酸ビニル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニルなどのビニル化合物などとのランダム共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーブロック共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー(ポリプロピレンとエチレン/プロピレン共重合体又はエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体の単純混合物、その一部架橋物、又はその完全架橋物)などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0052】
剛性が高く、安価であるという点からはポリプロピレン単独重合体が好ましく、剛性および耐衝撃性がともに高いという点からはプロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体であることが好ましい。また、柔軟性が必要な場合にはポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0053】
変性ポリオレフィン樹脂組成物とポリオレフィン樹脂を混合する際にその混合量は特に限定はないが、変性ポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対し、ポリオレフィン樹脂を0.1〜100重量部含有することが接着性の点で好ましく、更には0.1〜70重量部を含有させることが好ましい。より好ましくは0.3〜50重量部であり、更に好ましくは0.5〜30重量部である。
【0054】
(シートまたはフィルム状成形体について)
変性ポリオレフィン樹脂組成物は、熱溶着性を有するシートまたはフィルム状成形体にすることができる。また、ポリオレフィン樹脂に変性ポリオレフィン樹脂組成物を添加してなるポリオレフィン樹脂組成物も、熱溶着性を有するシートまたはフィルム状成形体にすることができる。本発明でいう熱溶着性とは、熱で溶けて被着体と接合する性質のことである。本発明のシートまたはフィルム状成形体とは、成形体の厚みとしては3μmから3mmが例示でき、好ましくは10μm〜1mmであり、シートあるいはフィルムとして利用することができるものである。
【0055】
熱溶着性を有するポリオレフィンシートまたはフィルム状成形体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば変性ポリオレフィン樹脂組成物と、必要に応じてポリオレフィン樹脂をドライブレンド、あるいは溶融混練した後に、各種の押出成形機、射出成形機、カレンダー成形機、インフレーション成形機、ロール成形機、あるいは加熱プレス成形機などを用いてシート状成形体に成形加工することが可能である。
【0056】
(ポリイミドについて)
本発明で用いられるポリイミドとしては、特に限定されるものではないが、非熱可塑ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。非熱可塑ポリイミドとしては、無水ピロメリット酸と4,4−ジアミノジフェニルエーテルから得られるポリイミドが、汎用的であり好ましい。
【0057】
また、本発明で用いられるポリイミドはシート状またはフィルム状であることが好ましく、シートまたフィルム形状のポリイミドの厚みは、1μm〜3mmが例示でき、好ましくは5μm〜0.5mmである。
【0058】
(ポリイミドと変性ポリオレフィン樹脂組成物の積層体)
本発明のポリイミドと変性ポリオレフィン樹脂組成物の積層体の製造方法としては、特に限定されるものではないが、変性ポリオレフィン樹脂組成物のシートまたはフィルム状の成形体と、ポリイミドのシートまたはフィルムと積層して、各種の熱ラミネーター機、ロール成形機、加熱プレス成形機などを用いてシート状積層体に加工することが可能である。
【0059】
(被着体について)
本発明で用いられる被着体の材料としては、例えば、鉄、銅、銀、金、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫、マグネシウム、鉄を主成分とする合金、銅を主成分とする合金、銀を主成分とする合金、金を主成分とする合金、アルミニウムを主成分とする合金、亜鉛を主成分とする合金、鉛を主成分とする合金、錫を主成分とする合金、マグネシウムを主成分とする合金、などの金属材料が挙げられる。被着体としては、このほか、ガラス、セラミックスなどの無機材料;紙、布などのセルロース系高分子材料や、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・共役ジエン共重合体、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの合成高分子材料が挙げられる。これら高分子材料をベースとする発泡成形体も被着体として用いることができる。
【0060】
(ポリイミドと変性ポリオレフィン樹脂組成物と被着体の積層体)
本発明のポリイミドと変性ポリオレフィン樹脂組成物と被着体の積層体の製造方法は、特に限定されるものではないが、(B)ポリイミドの少なくとも一面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層を配置し、さらに前記接着層のポリイミドと接していない面に接して(C)被着体を配置し、前記接着層を溶融することにより接着し、積層体を得ることができる。接着層の溶融には、各種の熱ラミネーター機、加熱プレス成形機等の方法や、ポリイミドと変性ポリオレフィン樹脂組成物の積層体に対し、射出成形機等を用い(C)被着体の溶融物を射出する方法を用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下に具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0062】
(試験片の作成方法)
ポリイミドフィルム/接着層/被着体の順に積層された接着評価用の試験片を得た一例を示す。プレス機に、ポリイミドフィルム(カネカ製:アピカルAH 厚み50μm、25mm×150mm)、接着フィルム(厚み100μm、25mm×70mm)、銅板(厚み1.5mm、25mm×100mm)の順に、一端を揃えて積層し、プレス温度220℃、プレス時間1分、加圧力0.5MPaの加工条件で接着し、テストピースを得た。
【0063】
(接着性評価)
上記試験片を使用し、接着性評価を実施した。島津製作所製AG−2000Aを用い、23℃、引取速度100mm/分の条件で、試験片の接着層が積層されていない一端のポリイミドシートと銅板をそれぞれチャックで挟み、180°ピール試験にて評価した。
【0064】
(製造例1)
ホモポリプロピレン(プライムポリマー製J105G、MFR=10)100部、1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5部をホッパー口よりシリンダー温度200℃、スクリュー回転数250rpmに設定した二軸押出機(日本製鋼所製、品名LABOTEX30;φ30mm、L/D=28)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりスチレン5部、グリシジルメタクリレート5部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレットを得た(A−1)。得られた樹脂ペレット(A−1)を、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュー回転数100rpmに設定した単軸押出機(東洋精機製、品名ラボプラストミル;φ20mm、L/D=20)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み100μmのフィルム(A−1T)を得た。
【0065】
(製造例2)
ブロックポリプロピレン(プライムポリマー製M142E、MFR=10)100部、1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5部をホッパー口よりシリンダー温度200℃、スクリュー回転数250rpmに設定した二軸押出機(日本製鋼所製、品名LABOTEX30;φ30mm、L/D=28)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりスチレン5部、グリシジルメタクリレート5部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレットを得た(A−2)。得られた樹脂ペレット(A−2)を、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュー回転数100rpmに設定した単軸押出機(東洋精機製、品名ラボプラストミル;φ20mm、L/D=20)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み100μmのフィルム(A−2T)を得た。
【0066】
(製造例3)
ポリプロピレンエチレンラバー(ダウケミカル製V3401、MFR=8)100部、1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5部をホッパー口よりシリンダー温度200℃、スクリュー回転数250rpmに設定した二軸押出機(日本製鋼所製、品名LABOTEX30;φ30mm、L/D=28)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりスチレン5部、グリシジルメタクリレート5部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレットを得た(A−3)。得られた樹脂ペレット(A−3)を、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュー回転数100rpmに設定した単軸押出機(東洋精機製、品名ラボプラストミル;φ20mm、L/D=20)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み100μmのフィルム(A−3T)を得た。
【0067】
(製造例4)
実施例1で得られた樹脂ペレット(A−1)80部、ポリプロピレンエチレンラバー(ダウケミカル製V3401、MFR=8)20部を混合し、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュー回転数100rpmに設定した単軸押出機(東洋精機製、品名ラボプラストミル;φ20mm、L/D=20)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み100μmのフィルム(A−4T)を得た。
【0068】
(参考例1)
ポリプロピレンエチレンラバー(ダウケミカル製V3401、MFR=8)をシリンダー及びダイス温度200℃、スクリュー回転数100rpmに設定した単軸押出機(東洋精機製、品名ラボプラストミル;φ20mm、L/D=20)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み100μmのフィルム(A−5T)を得た。
【0069】
(実施例1〜9、比較例1〜2)
製造例1〜4または参考例1で得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物フィルムを使用し、上述の試験片作成方法によってポリイミド/変性ポリオレフィン樹脂組成物接着層/被着体で構成された試験片を得た。得られた試験片を上述の接着性評価法より評価した結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例1〜9は本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物を用い、接着加工した例であり、いずれの被着体に対しても非常に良好な接着性能を示した。これに対して、比較例1、2は、接着性を示さないことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(B)ポリイミドの少なくとも一面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が積層された積層体。
【請求項2】
(B)ポリイミドの少なくとも一面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が積層され、さらに前記接着層のポリイミドと接していない面に(C)被着体が積層された積層体。
【請求項3】
(C)被着体が金属材料である請求項2記載の積層体。
【請求項4】
前記金属材料が、鉄、銅、銀、金、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫、マグネシウム、鉄を主成分とする合金、銅を主成分とする合金、銀を主成分とする合金、金を主成分とする合金、アルミニウムを主成分とする合金、亜鉛を主成分とする合金、鉛を主成分とする合金、錫を主成分とする合金、及びマグネシウムを主成分とする合金からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
(C)被着体が高分子材料である請求項2記載の積層体。
【請求項6】
前記高分子材料が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、スチレン・アクリロニトリル・共役ジエン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・共役ジエン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、及びポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びこれらの発泡成形体、からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
(A)変性ポリオレフィン樹脂が、(a−1)ポリオレフィン樹脂を、エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体によりグラフト変性されたポリオレフィンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
前記エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体の極性基が、カルボン酸、その無水物、またはその誘導体であることを特徴とする少なくとも1種の単量体である請求項7記載の積層体。
【請求項9】
前記エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む単量体が、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸グリシジルから選ばれる少なくとも1つである請求項8記載の積層体。
【請求項10】
(A)変性ポリオレフィン樹脂が、エチレン性二重結合および極性基を同一分子内に含む化合物に加え、芳香族ビニル単量体または共役ジエン系単量体を用いてグラフト変性されたポリオレフィンである請求項7〜9のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
(a−1)ポリオレフィン樹脂が、エチレン単位、またはプロピレン単位が過半量である請求項7〜10のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項12】
(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物にポリオレフィン樹脂が混合されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項13】
(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が、シートまたはフィルム状である請求項1〜12のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項14】
(B)ポリイミドが、シートまたはフィルム状である請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項15】
(B)ポリイミドの少なくとも1面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が、加熱によるラミネーション加工により積層されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項16】
(B)ポリイミドの少なくとも一面に接して、(A)変性ポリオレフィン樹脂組成物を含有する接着層が配置され、さらに前記接着層のポリイミドと接していない面に接して(C)被着体が配置され、前記接着層が溶融されることにより接着されることを特徴とする請求項2〜14のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。

【公開番号】特開2011−148156(P2011−148156A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10313(P2010−10313)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】