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積層材の製造方法及び積層材
説明

積層材の製造方法及び積層材

【課題】既存の落花生殻を利用したパーティクルボードは、JIS規格を満たすことができていない。そこで、本発明は、植物もしくは果実の殻などを利用して製造する成形品であって、より強度の高い成形品を提供することを目的とする。
【解決手段】植物もしくは果実の殻、又は、植物もしくは果実の種を粉砕してなる原材料と、樹脂系接着材料とを混合する第1工程と、前記混合物と繊維素材からなる強化材とを積層して加圧する第2工程と、を備える積層材の製造方法を提案する。これにより、従来に存在する、植物もしくは果実の殻等を利用して製造された積層材よりも、より強度の高い積層材を製造することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実の殻などを利用したパーティクルボード等の成形方法及び成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、落花生などの植物もしくは果実の殻や種は、原則、産業廃棄物として処理されていた。例えば、千葉県は全国でも有数の落花生の生産地であり、2007年度における千葉県の落花生の生産量は約13,800トンであるが、これらのうち約半分は殻をむいて実を取り出した商品として加工し販売される。この時に発生する落花生の殻の量は約1,700トンにもなり、これらのほとんどは産業廃棄物として廃棄されている。
【0003】
このような状況において、出願人は、落花生の殻を利用したパーティクルボードを開発した(非特許文献1)。このパーティクルボードは、約1ミリに粉砕された落花生殻に水を噴霧した後、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂の粉末を投入して撹拌することでPVAを均一に落花生殻に付着させた後、金型内に投入して、180℃、5分、圧力3MPa(メガパスカル)にて加熱圧縮して成形したものである。
ところで、パーティクルボードについては、JIS規格(日本工業規格)において、曲げ強度や曲げ弾性率などについて満たすべき基準が定められている(JIS A 5908)。そこで、出願人は、非特許文献1に開示のパーティクルボードについて曲げ試験を行った。
【0004】
その試験方法及び試験結果を、図4、図5、図6に示す。図4は、実施した曲げ試験の試験方法を示す図である。この曲げ試験は、3点曲げ試験にて行われた。図4(a)に示すように、パーティクルボードの試験片は120×20ミリ(厚さ3.8ミリ)であり、(b)に示すように、変位速度を1ミリ/分、支点間距離を64ミリとした。また、曲げ試験は、粉砕された落花生殻の粒子の大きさが1.4ミリ、1ミリ、0.5ミリである場合のそれぞれについて、落花生殻の質量含有率が80%、85%、90%、である試験片のそれぞれについて行われた。
その試験結果を図5、図6に示す。なお、図5、図6においては、落花生殻の粒子の大きさが1.4ミリ、1ミリ、0.5ミリであるものを、それぞれ、1.4mm−on、1mm−on、0.5mm−on、と表示する。
【0005】
図5は、曲げ強度についての結果を示すグラフである。JIS A 5908規格では、パーティクルボードの曲げ強度は、8MPa以上であることが求められている。落花生殻の質量含有率が80%である場合、曲げ強度は、1.4mm−onでは11.1MPa、1mm−onでは11.7MPa、0.5mm−onでは10.5MPaであり、いずれにおいてもJIS規定の8MPaを上回っている。
【0006】
次に、図6は、曲げ弾性率についての結果を示すグラフである。JIS A 5908規格では、パーティクルボードの曲げ弾性率は、2GPa(ギガパスカル)以上であることが求められている。試験の結果、曲げ弾性率は落花生殻の質量含有率が80%である場合に一番高くなったが、それでも、1.4mm−onでは1.14GPa、1mm−onでは1.24GPa、0.5mm−onでは1.10GPaであり、いずれにおいてもJIS規定の2GPaには足りなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】西川 康博、外2名、“複合材料の適用技術に関する研究”、千葉県産業支援技術研究所研究報告、千葉県産業支援技術研究所、平成20年10月、第6号、p.42−47
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図5、図6に示したように、既存のパーティクルボードは、曲げ強度についてはJIS基準をクリアすることが可能であっても、曲げ弾性率についてはクリアできていないのが現状である。
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、植物もしくは果実の殻などを利用して製造する成形品であって、より強度の高い成形品を提供することを目的として、その製造方法及び成形品を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、植物もしくは果実の殻、又は、植物もしくは果実の種を粉砕してなる原材料と、樹脂系接着材料とを混合する第1工程と、前記混合物と繊維素材からなる強化材とを積層して加圧する第2工程と、を備える積層材の製造方法を提案する。これにより、従来に存在する、植物もしくは果実の殻等を利用して製造された積層材よりも、より強度の高い積層材を製造することが可能である。
【0010】
また、前記第2工程において、前記混合物は複数の前記強化材によって挟まれるように積層されるようになっていてもよい。これにより、例えば、製造される積層材が板状のものであれば、その両面に強化材が付されたものとなり、より強度の高いものとなる。
また、前記強化材は、布状であってもよい。これにより、強化材は積層材の面において隙間なく配置されることとなるため、より強度の高いものとなる。
【0011】
さらに、前記第2工程において、前記混合物は前記強化材の全面に積層されるようになっていてもよい。これにより、製造された積層材は全面に強化材が配置されたものとなるため、積層材のいずれの位置において力が加えられても耐えうるように強度が高まる。
また、前記樹脂系接着材料は、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂と水とからなり、前記第2工程においては、加熱及び加圧するようになっていてもよい。さらに、前記第2工程において、前記混合物と前記強化材とは型枠に型詰めして積層し、前記型枠の一部は綿素材で構成されていてもよい。これにより、樹脂系接着材料としてPVAと水とを使用した場合、第2工程において加熱及び加圧すると水蒸気が発生するが、綿素材で構成されている型枠の一部を介して水蒸気を型枠の外部に逃がすことができる。
【0012】
さらに、前記原材料は、落花生の殻を粉砕したものであり、前記混合物における前記原材料の質量割合は70〜85%であってもよい。落花生の殻には多孔質層が存在するため、落花生の殻を原材料として使用した場合、消音、消臭、吸湿、アレルギー原因物質の吸収、等の効果が期待できる。
さらに、本発明は、植物もしくは果実の殻、又は、植物もしくは果実の種を粉砕してなる原材料と、樹脂系接着材料とを混合して加圧成形してなるボードであって、その片面又は両面の、一部又は全面に繊維素材からなる強化材が積層されて構成される積層材を提案する。これにより、従来に存在する、植物もしくは果実の殻等を利用して製造された積層材よりも強度の高い積層材を提供できる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、従来に存在する、植物もしくは果実の殻等を利用して製造された積層材よりも、より強度の高い積層材を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】積層材の製造方法を説明する図である。
【図2】落花生殻102、PVA103、水104から混合物105が生成される過程を説明する図である。
【図3】型枠の構造を示す図である。
【図4】曲げ試験方法を説明する図である。
【図5】曲げ強度の試験結果のグラフを示す図である。
【図6】曲げ弾性率の試験結果のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(積層材の製造方法)
図1は本実施形態に係る積層材の製造方法を示す図である。本実施形態においては、板状の積層材(ボード)を製造する場合について説明する。
まず、図1(a)に示すように、落花生殻101を粉砕機にて粉砕した後、ふるいにかけて約1mmの粉末のみを取り出し原材料102とする。次に、(b)に示すように、この原材料102に、水104を噴霧した後、合成樹脂の一種であるポリビニルアルコール(以下、PVAと示す)の粉末103を加えて撹拌することで混合物105を生成する。
次に、(c)に示すように、この混合物105を麻布106で挟むようにして金型内にて積層し、ホットプレス機にて、180℃、5分、圧力3MPaで加熱圧縮して板状に成形した後、(d)に示すように、成形したボード107の温度が室温程度になるまで除冷する。
【0016】
ここで、PVAは合成樹脂の一種であり、親水性が高く、熱水に溶解するという性質を持つ。また、紙や木材などに対して強い接着力をもつ合成樹脂である。つまり、図2(a)に示すように、原材料である粉状の落花生殻102に水104を噴霧した後、PVAの粉末103を混合すると、各々の落花生殻102の周辺に水の膜104が形成されてPVAの粒子103が付着する。このような状態となった落花生殻をホットプレス機で加熱圧縮すると、加熱された水104によってPVAの粉末103が溶解し、図2(b)に示すように、各落花生殻102の周辺にPVA膜201が形成されて落花生殻どうしが接触する各部分202で互いに接着し、混合物105が生成される。
すわなち、図1の製造方法にて製造されたボード107は、落花生殻101の粉砕物どうしが接着してなる板状の集合体であって、その両面全体に麻布106が貼付されたものとなる。このようにボード107の両面に麻布106が貼付されていることにより、ボード107の強度が高まる。
【0017】
(型枠の構造)
次に、図3を用いて、混合物105と麻布106とを積層して加熱圧縮する際に使用する型枠について説明する。図3(a)はホットプレス機に設置された型枠の断面図であり、(b)は型枠の斜視図である。型枠は、上枠301、下枠302、横枠303からなり、ホットプレス機305によって上枠301と下枠302に対して上下方向から圧力が加えられ、混合物105と麻布106とが圧着される。
ここで、上枠301、下枠302、及び、横枠303の大部分は鉄などを主成分とした金属製で構成されているが、横枠303の一部である壁303aは綿素材で構成されている。上述したように、混合物105は、原材料102(粉砕された落花生殻)とPVAと水とを混合したものであるため、加熱圧縮することで水蒸気が発生する。そこで、横枠303の一部を綿素材とすることで、発生した水蒸気を、壁303aを介して型枠の外部に逃がすことができる。
【0018】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る製造方法にて製造されたボード107は、図4に示した曲げ試験方法によれば、2GPa以上の曲げ弾性率となった(原材料102の質量含有率70〜85%の場合)。すなわち、ボード107の両面に麻布106が配置されるように製造することにより、既存のパーティクルボードと比較して曲げ弾性率が飛躍的に向上した。
【0019】
(他の実施形態)
また、上記の実施形態においては、樹脂系接着材料としてPVAを使用する場合を説明したが、他の樹脂でも代用可能である。例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・ユリア共縮合樹脂、メラミン樹脂、酢酸ビニル樹脂、水性高分子‐イソシアネート系、α-オレフィン無水マレイン酸樹脂、レゾルシノール樹脂、レゾルシノール・フェノール樹脂、カゼイン、等が挙げられる。
【0020】
また、上記の実施形態においては、原材料として落花生の殻を粉砕したものを用いたが、アーモンド、クルミ、銀杏、カシューナッツ、ペカン(ピーカン)、マカダミア、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ、松の実、ひまわりの種、かぼちゃの種、シイ、栗、ゴマ、ブラジルナッツ、スイカの種、等の植物もしくは果実の殻、又は、植物もしくは果実の種を粉砕したもの、又はこれらを混合したものを原材料としても同様の積層材を製造可能である。
【0021】
また、上記の実施形態においては、強化材として麻布を使用したが、他の素材でも代用可能である。例えば、大麻、亜麻、黄麻(ジュート)、洋麻(ケナフ)、苧麻(ラミー)、インド麻、マニラ麻、サイザル麻、絹、綿、ココヤシ、パイナップル、バナナ、竹、葦、い草、麦藁、稲藁、三椏、楮、等のいずれか又はこれらを混合した素材が挙げられる。
また、上記の実施形態においては、強化材が布状である場合(麻布)を想定して説明したが、強化材の形態としては、糸状(一方向、多方向など)、マット状、織物状、編物状、組物状、不織布状、紙状、等のいずれか又はこれらの組み合わせであってもよい。これらの形態であっても強化材として積層材の片面又は両面に配置されることで、成形品の強度が高まることが期待できる。
【0022】
また、上記の実施形態においては、積層材が板状(ボード)である場合を想定して説明したが、他の形状であってもよい。例えば、棒状、管状、柱状、輪状、などのあらゆる三次元形状に適用可能である。また、上記の実施形態においては、ホットプレス機で積層材の両面に加圧して製造する場合について説明したが、積層材の形状に伴って、その成形方法は異なっていてもよい。例えば、射出成形、押出成形、等の成形方法が挙げられる。また、ローラによって圧延することで連続成形すること等も可能である。
【0023】
また、上記の実施形態においては、積層材の両面に強化材(麻布)が配置される場合の製造方法を説明したが、片面のみであってもよい。例えば、棚板のように、積層材の用途等によって積層材に加わる力の方向が一方向に限定して想定されるような場合には、片面のみであっても強度が保たれ、両面に強化材を付する場合よりも低コストで製造可能である。
【0024】
さらに、強化材が配置されるのは、積層材の面の一部であってもよいし、全面であってもよい。例えば、積層材の用途等によって積層材に対して力の加わる位置がほぼ決定されるような場合には、その位置のみに強化材が付されるように配置されてもよい。
(まとめ)
以上説明したように、本発明によれば、従来に存在する、植物もしくは果実の殻等を利用して製造された積層材よりも、より強度の高い積層材を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
101 落花生殻
102 原材料(粉砕された落花生殻)
103 PVA粉末
104 水
105 混合物
106 麻布
107 ボード
201 PVA膜
301 上枠
302 下枠
303 横枠
303a 綿素材の壁
305 ホットプレス機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物もしくは果実の殻、又は、植物もしくは果実の種を粉砕してなる原材料と、樹脂系接着材料とを混合する第1工程と、
前記混合物と繊維素材からなる強化材とを積層して加圧する第2工程と、
を備える積層材の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程において、前記混合物は複数の前記強化材によって挟まれるように積層されることを特徴とする請求項1に記載の積層材の製造方法。
【請求項3】
前記強化材は、布状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層材の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程において、前記混合物は前記強化材の全面に積層されることを特徴とする請求項3に記載の積層材の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂系接着材料は、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂と水とからなり、
前記第2工程においては、加熱及び加圧すること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載の積層材の製造方法。
【請求項6】
前記第2工程において、前記混合物と前記強化材とは型枠に型詰めして積層し、
前記型枠の一部は綿素材で構成されていること、
を特徴とする請求項5に記載の積層材の製造方法。
【請求項7】
前記原材料は、落花生の殻を粉砕したものであり、
前記混合物における前記原材料の質量割合は70〜85%であること、
を特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の積層材の製造方法。
【請求項8】
植物もしくは果実の殻、又は、植物もしくは果実の種を粉砕してなる原材料と、樹脂系接着材料とを混合して加圧成形してなるボードであって、
その片面又は両面の、一部又は全面に繊維素材からなる強化材が積層されて構成される積層材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−201899(P2010−201899A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53113(P2009−53113)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(591014710)千葉県 (49)
【Fターム(参考)】