説明

積層複合体及び方法

【課題】廃プラスチックの再利用及び/又は再使用、及び再利用又は再使用に適した積層プラスチックを提供する。
【解決手段】
積層複合体が、第1の表面及び第2の表面を有する第1のポリマー層と、第1の表面及び第2の表面を有する第2のポリマー層と、第1のポリマー層の第2の表面を第2のポリマー層の第1の表面に接合させる接着剤層と、を含み、接着剤層が、発熱粒子を含む熱収縮性樹脂を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、廃プラスチックの再利用及び/又は再使用、及び再利用又は再使用に適した積層プラスチックに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの樹脂を互いに積層することによって製造される積層プラスチックが、広範囲の用途で使用されている。異なる特性を有する異なるタイプの樹脂を含む積層プラスチックフィルム廃棄物は、樹脂の様々なプラスチック、すなわちポリマー組成物を分離するのが困難であるため、長年、典型的には焼却されるか、又は埋立地に埋められている。例えば、多くの積層プラスチックでは、加熱された時でさえ積層物の個々の層が互いによく混ざり合わず、したがってそれらを再利用できる可能性が制限される。
【0003】
特開2008−307896号は、外層としてのポリエステルベースの樹脂と、内層としての熱可塑性樹脂と、外層と内層の間に配設された接着剤樹脂層と、を有する積層フィルムを開示する。しかし、そのような積層フィルムは、発熱粒子及び/又は熱収縮性樹脂を使用しない。実際、そのような積層フィルムは、高温においてさえも高い耐剥離性又は耐剥落性を有することが指摘されている。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、熱収縮性樹脂を含む積層複合体が提供される。一実施形態では、積層複合体は、第1の表面及び第2の表面を有する第1のポリマー層と、第1の表面及び第2の表面を有する第2のポリマー層と、第1のポリマー層の第2の表面を第2のポリマー層の第1の表面に接合させる接着剤層とを含み、接着剤層は、発熱粒子を含む熱収縮性樹脂を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、発熱粒子は、電磁放射の照射に応答して熱を発生する。いくつかの実施形態では、電磁放射は、スペクトルの近赤外、中赤外、又は遠赤外での波長の放射を含む。いくつかの実施形態では、発熱粒子がナノシェルを含む。いくつかの実施形態では、ナノシェルが、導電性材料の層で被覆された非導電性内側コアを含む。特定の実施形態では、導電性材料が、銀、金、ニッケル、銅、鉄、白金、パラジウム、それらの合金、又はそれらの任意の2種以上の混合物から選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、非導電性内側コアが、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、硫化金、カドミウムセレン、硫化カドミウム、ガリウムヒ素、又はデンドリマーを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー層及び第2のポリマー層が、同じポリマー、ポリマーブレンド、又はコポリマーではない。他の実施形態では、第1及び第2のポリマー層が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレン、ポリアクリレート、それらの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含む。いくつかの他の実施形態では、第1及び第2のポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテレフタレート、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、任意の2種以上のそのようなポリマーのブレンド、又はそれらのコポリマーを含む。他の実施形態では、第1のポリマー層がポリ塩化ビニルを含み、第2のポリマー層は、ポリ塩化ビニルではないポリマーを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリマー層がポリ塩化ビニルを含み、第2のポリマー層が、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、そのようなポリマーの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、接着剤層が、ヒドロゲル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリフェニレン、硫化物、エチレン酢酸ビニルコポリマー、それらの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含む。
【0008】
別の態様では、積層複合体を再利用するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、積層複合体に電磁放射を照射すること、及び第1のポリマー層を第2のポリマー層から分離することを含む。いくつかの実施形態では、電磁放射が、波長15μm〜1000μmの放射を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、積層複合体に電磁放射を照射する前に、積層複合体が小さな破片に切断、粉砕、又は破砕される。
【0010】
いくつかの実施形態では、この方法は、照射中に積層複合体を撹拌することも含む。撹拌により、第1のポリマー、第2のポリマー、又は第1のポリマーと第2のポリマーの両方が帯電される。いくつかの実施形態では、積層複合体に電磁放射を照射するステップが、発熱粒子に発熱を促し、熱収縮性樹脂を収縮させることを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、分離が、静電分離デバイスを使用することを含む。
【0012】
さらなる別の態様では、積層複合体を調製するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、そのような方法は、第1のポリマー層の第1の表面に接着剤を塗布すること、及び第2のポリマー層の第2の表面に接着剤を結合することを含み、接着剤層は、発熱粒子を含む熱収縮性樹脂を含む。
【0013】
さらに別の態様では、本技術は、熱に応答して収縮するように構成された樹脂と、熱を発生するように構成された1つ又は複数の粒子とを含む接着剤を提供する。いくつかの実施形態では、熱を発生するように構成された粒子が、ナノシェルを含む。他の実施形態では、ナノシェルは、導電性材料の層で被覆された非導電性内側コアを含む。いくつかの実施形態では、導電材料が金属を含み、その金属は、銀、金、ニッケル、銅、鉄、白金、パラジウム、それらの合金、又はそれらの任意の2種以上の混合物である。いくつかの実施形態では、非導電性内側コアが、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、硫化金、カドミウムセレン、硫化カドミウム、ガリウムヒ素、又はデンドリマーを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、熱に応答して収縮するように構成された樹脂又は熱収縮性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド樹脂、アクリルポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、及びそれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択される。接着剤は、さらに、ヒドロゲル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリフェニレン、硫化物、エチレン酢酸ビニルコポリマー、それらの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含む。一実施形態では、接着剤は、再利用可能な積層複合体で使用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態による熱収縮性樹脂を含む積層複合体を示す図である。
【図2】一実施形態による熱収縮性樹脂を含む積層複合体を再利用するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明に記載する例示的実施形態及び特許請求の範囲は、限定する意図のものではない。ここに示される主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することもでき、他の変更を行うこともできる。
【0017】
一態様では、熱に応答して収縮するように構成された樹脂(例えば熱収縮性樹脂)を含む接着剤によって2つのポリマー層、すなわち第1のポリマー層と、第2のポリマー層と、が接合された積層複合体が提供される。接着剤中の熱収縮性樹脂は、熱又は放射源に応答して、収縮し、第1のポリマー層及び/又は第2のポリマー層の少なくとも一部分から引き剥がれるように構成される。積層内で熱収縮性樹脂が第1及び第2のポリマー層の一方又は両方から引き剥がれると、次いで2つのポリマー層が分離し、それぞれ再利用又は再使用操作で処理され得る。
【0018】
積層複合体は、限定はしないが、フィルム、シート、及びボトルなどのパッケージング及びカバー材料;電気構成要素において;壁紙、台所用カウンター、及び積層フローリングなど建築及び装飾材料において;ボディーモールディング、プラスチックエンジン部品、シート、窓、インテリアプラスチックなど自動車構成要素において;テレビジョンやトランジスタなど家庭用電化製品において;並びにセキュリティカード、銀行カード、クレジットカード、身分証明書などの識別カード用の保護、改竄防止カバーを含む、多くの用途で使用され得る。この積層複合体は、接着剤としての熱収縮性樹脂を含まない同様の積層に比べて、改良された再利用性を有する。
【0019】
一態様では、熱収縮性樹脂を含む積層複合体が提供される。図1に示されるように、この積層複合体は、第1の表面110及び第2の表面120を有する第1のポリマー層100と、第1の表面210及び第2の表面220を有する第2のポリマー層200と、を含み得る。また、この積層複合体には、熱400を発生するように構成された粒子を含む接着剤300が含まれる。図1に示されるように、接着剤は、第1のポリマー層100の第2の表面120と、第2のポリマー200の第1の表面210と、を接合させる。
【0020】
様々な実施形態において、積層複合体は、第1及び第2のポリマー層の他に複数の層を含み得る。これらの層は、熱収縮性樹脂を含むそれら特有の対応する接着剤によって互いに結合される。例えば、積層複合体が3つの層を含む場合、第1のポリマー層の第2の表面が接着剤によって第2のポリマー層の第1の表面に結合され、第2のポリマー層の第2の表面が接着剤によって第3のポリマー層の第1の表面に結合される。このような例は、3つ以上のポリマー層を有する積層複合体の一例にすぎない。
【0021】
ポリマー層、例えば第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、熱収縮性樹脂を含む接着剤材料と適合性のある任意の既知のポリマー材料又はポリマー材料の組合せを含み得る。いくつかの実施形態によれば、第1のポリマー層及び第2のポリマー層などのポリマー層は、同じポリマー組成である。他の実施形態では、ポリマー層は、異なるポリマー材料である。本明細書で使用するとき、用語「異なるポリマー材料」は、異なる化学組成を有するポリマー、化学組成は同じでよいがブレンド中の様々なポリマーの比率が異なるポリマーブレンド、及び異なる層ごとに異なる比率で同じモノマー組成物を含むコポリマーを含む。本明細書で使用するとき、ポリマーの列挙において「それらのコポリマー」という用語が用いられる場合、これは、個々に列挙されたポリマーのモノマーから調製されるコポリマーを表す。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー層と、第2のポリマー層と、は、同じポリマー、ポリマーブレンド、又はコポリマーではない。他の実施形態では、第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び任意のさらなるポリマー層は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレン、ポリアクリレート、任意の2種以上のそのようなポリマーのブレンド、又はそれらのコポリマーを含む。さらなる実施形態では、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、少なくとも1種のポリマーを含み、このポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテレフタレート、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、任意の2種以上のそのようなポリマーのブレンド、それらのコポリマー、又は当業者に知られているであろう他のポリマー、ブレンド、もしくはコポリマーである。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー層は、ポリ塩化ビニルを含む。いくつかのそのような実施形態では、第2のポリマー層は、ポリ塩化ビニル以外のポリマーを含む。例えば、第1のポリマー層がポリ塩化ビニルである場合、第2のポリマーは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、任意の2種以上のそのようなポリマーのブレンド、又はそれらのコポリマーでよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー層と、第2のポリマー層と、は、接着剤層によって一体に接合され得る。いくつかの実施形態では、接着剤層は、ポリエステル樹脂を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリエステル樹脂は、例えばジカルボキシル成分及びジオール成分から誘導される共重合ポリエステル樹脂、ヒドロキシカルボン酸の重合によって得られるポリ乳酸樹脂(PLA樹脂)など、2種以上のポリエステル樹脂の混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、ジカルボキシル成分は、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス−安息香酸、ビス(p−カルボキシルフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、及びエチレン−ビス−p−安息香酸、脂肪族ジカルボン酸、例えば芳香族ジカルボン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含み得る。いくつかの実施形態では、ジオール成分は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノール−A、テトラブロモビスフェノール−A,テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤は、アクリル樹脂を含み得る。1つの例示的実施形態では、アクリル樹脂は、アクリルウレタンでよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、積層複合体は、第1及び/又は第2の層と、接着剤層と、の間に、プライマコーティング層をも含み得る。このプライマ層は、第1及び/又は第2の層と、接着剤層と、の接着性を改善するために使用し得る。したがって、いくつかの実施形態では、プライマコーティング層は、主成分として少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む樹脂複合材料を含み得る。接着剤層中の樹脂に接着する限り、様々なタイプの熱可塑性樹脂をプライマコーティング層として使用し得る。例示的実施形態では、ポリマーコーティング層は、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などを含み得る。
【0026】
別の態様では、積層複合体は、ポリマーコーティングと積層された金属支持体であり、金属とポリマーは、熱を発生するように構成された粒子(例えば発熱粒子)を有する接着剤によって結合される。例えば、ポリマーは、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS、PPS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフタレート、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレートなどの材料でよい。金属は、鋼、ステンレス鋼、マグネシウム、アルミニウム、チタン、亜鉛、及び同様の構造的に剛性の金属のうちの任意のものでよい。さらに別の態様では、積層複合体は、木材、ベニア、紙、布、ガラス、及び石綿など任意の他の適切な材料を含み得る。
【0027】
さらに別の態様では、本技術は、積層複合体内で使用するための接着剤を提供する。いくつかの実施形態では、積層複合体が簡単に再利用される。いくつかの実施形態では、接着剤は、熱に応答して収縮するように構成された樹脂と、熱を発生するように構成された1つ又は複数の粒子と、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、接着剤は、熱に応答して収縮するように構成された樹脂(例えば熱収縮性樹脂)を含む。そのような樹脂は、熱にさらされると、形状及びサイズが収縮する。いくつかの実施形態では、接着剤層内に熱収縮性樹脂が含まれ得る。熱に応答して収縮するように構成することができる任意の適切な樹脂を本技術で使用し得る。いくつかの実施形態では、熱収縮性樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド樹脂、アクリルポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、並びにそれらのコポリマー及びブレンドを含む。適切なポリオレフィンは、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレンやシンジオタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレン、並びにそれらのコポリマー及びブレンドを含む。適切なコポリマーは、エチレン/プロピレンコポリマー、ブテン/プロピレンコポリマー、エチレン酢酸ビニル、及びエチレンビニルアルコールなど、2種以上の異なる不飽和オレフィンモノマーから調製されるランダムコポリマー、交互コポリマー、及びブロックコポリマーを含む。適切なポリアミドは、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン4/6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン12/12、カプロラクタムとアルキレンオキシドジアミンのコポリマーなど、並びにそれらのブレンド及びコポリマーを含む。適切なポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、ポリ(シクロヘキシレン−1,4−ジメチレンテレフタレート)、及びそれらのイソフタル酸コポリマー、並びにそれらのブレンドを含む。適切なアクリルポリマーは、エチレンメチルメタクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを含む。いくつかの実施形態では、接着剤層は、環状ビニルコポリマーを含み得る。他の実施形態では、熱収縮性接着剤層は、以下の(a)を20〜100重量部及び以下の(b)を0〜80重量部を含み、厚さが30〜200pmであり、比重が0.3〜0.9である樹脂組成物を含む少なくとも1つの発泡層を有することによって特徴付けられるスチレン発泡フィルムを含み得る。
(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの比が50/50〜90/10であるブロックコポリマー。
(b)以下の(i)〜(v)から選択される少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素ポリマー。
(i)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックコポリマー、(ii)ビニル芳香族炭化水素ポリマー、(iii)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸のコポリマー、(iv)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートのコポリマー、(v)ゴム変性スチレンポリマー。
【0029】
熱収縮性樹脂の他に、接着剤層は、第1のポリマー層を第2のポリマー層に結合させる接着剤を含み得る。そのような接着剤は、限定はしないが、ヒドロゲル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリフェニレン、硫化物、エチレン酢酸ビニルコポリマー、任意の2種以上のそのようなポリマーのブレンド、又はそれらのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、接着剤層は、1種又は複数種のポリアクリルアミド及びヒドロゲルを含む。
【0030】
熱収縮性樹脂を含む接着剤層は、標準状態下でポリマー層をしっかりと貼り合わせるように設計され得る。しかし、熱や放射源など適切な刺激にさらされたとき、樹脂、及びしたがって接着剤層は収縮して引き剥がれ、それによりポリマー層を分離させる。
【0031】
接着剤中の樹脂を収縮させるために必要な刺激は、当技術分野で知られている適切な方法によって提供され得る。いくつかの実施形態では、このために発熱粒子が使用され得る。よって、いくつかの実施形態では、接着剤層及び/又は熱収縮性樹脂が、熱を発生するように構成された粒子(発熱粒子)を含み得る。これらの発熱粒子は、適切な発熱材料からなる。これらの材料は、化学エネルギー、電気エネルギー、機械エネルギー、磁気エネルギーなど任意の他の形態のエネルギーを熱エネルギー又は温度エネルギーに変換することができる。これらの材料はまた、1つの発熱粒子から別の発熱粒子に熱エネルギーを伝播又は伝達することもできる。したがって、一実施形態では、発熱材料は、磁場、レーザ、電磁放射、熱、太陽エネルギー、電気、光など様々な刺激に応答して熱を発生又は伝播する。一実施形態によれば、発熱粒子は、電磁放射の照射に応答して熱を発生する。
【0032】
適切な波長の電磁放射の照射によって熱を発生するようにナノシェルが構成され得る。いくつかの実施形態では、電磁放射は、スペクトルの近赤外、中赤外、又は遠赤外での波長の放射を含む。いくつかの実施形態では、電磁放射は、波長が0.75μm〜1000μmの放射を含む。他の実施形態では、電磁放射は、波長が0.75μm〜2.5μmの近赤外放射を含む。別の実施形態では、電磁放射は、波長が2.5μm〜10μmの中赤外放射を含む。さらに別の実施形態では、電磁放射は、波長が10μm〜1000μmの遠赤外放射を含む。いくつかの実施形態では、電磁放射が、波長15μm〜1000μmの放射を含む。いくつかの実施形態によれば、発熱粒子は、約400nm〜20μmの範囲内の波長吸収最大点を有する。
【0033】
発熱粒子は、刺激に応答して熱を発生することができる材料からなり得る。上述したように、これらの材料は、他の形態のエネルギーを熱エネルギー又は温度エネルギーに変換することができ、あるいはさらに熱エネルギーを輸送又は伝達することができる。そのような材料は、限定はしないが、熱伝導性材料、又は熱伝導性材料で被覆され得る非熱伝導性材料を含む。例えば、この材料は、炭素ベースの発熱材料、炭化ケイ素ベースの発熱材料、又は金属ベースの発熱材料でよい。いくつかの実施形態では、発熱粒子はナノシェルを含む。
【0034】
ナノシェルは、典型的には、薄い金属シェルによって覆われた誘電体コアからなる球状ナノ粒子の1タイプと定義される。いくつかの実施形態では、ナノシェルは、導電材料の層で被覆された非導電内側コアを含む。特定の実施形態では、導電材料は金属であり、例えば、限定はしないが、銀、金、ニッケル、銅、鉄、白金、パラジウム、そのような金属の合金、又は任意の2種以上のそのような金属の混合物である。そのような金属ナノシェルは、電磁放射に対する調整可能な共鳴を有するナノシェルの1クラスである。ナノシェルは、容易に調整可能なプラズモン共鳴を有し、それにより、特定の周波数の光がナノシェル表面で導電性金属電子の集団振動を引き起こし、したがって光の強度を大幅に集中させる。ナノシェルのプラズモン共鳴は、ナノ粒子のコア層と、シェル層と、の相対厚さを制御するだけで、近紫外から中赤外までの広い範囲の固有振動数に容易に調整することができる。いくつかの実施形態では、コア層は、非導電性又は誘電性でよい。適切な誘電体コア材料は、限定はしないが、二酸化ケイ素、硫化金、二酸化チタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、又はデンドリマーなどの高分子を含む。非導電層の材料は粒子の特性に影響を及ぼし、すなわちコア材料の誘電率が粒子の吸収特性に影響を及ぼす。コアは、混合した、又は層状の誘電体材料の組合せでよい。したがって、いくつかの実施形態では、非導電コアは、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、硫化金、カドミウムセレニウム、硫化カドミウム、ガリウムヒ素、又はデンドリマーを含む。シェル層は、コアの外面を一様に被覆され得る。あるいは、原子もしくは分子クラスタでコアを部分的に被覆され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、発熱粒子は、硫化金コアと、金シェルと、を含み得る。他の実施形態では、コアが二酸化ケイ素からなり、シェルが金からなり得る。さらに他の実施形態では、発熱粒子は、ポリマーマトリックス内部に埋め込まれた光学的に調整されたナノシェルを含み得る。用語「光学的に調整されたナノシェル」は、所定又は規定のシェル厚さ、規定のコア厚さ、及びコア半径:シェル厚さの比を有するようにナノシェルが製造されており、かつかなりの量、又は好ましくは実質的に最大量の光を粒子が吸収もしくは散乱する波長が、予め選択された所望の値であることを意味する。したがって、そのような光学的に調整されたナノシェルは、特定のスペクトル領域からの光を散乱又は吸収するように構成することができる。いくつかのそのような実施形態では、ナノシェルは、N−イソプロピルアクリルアミド及びアクリルアミドヒドロゲルの表面に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、ナノシェル及びポリマーは、一体となって、マイクロ粒子、ナノ粒子、又は小胞を形成し得る。いくつかの実施形態では、セラミック、マイカ、及びプラスチックなど様々な誘電体材料がコアとして使用され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明の実施例で採用される発熱粒子は2層であり、非導電コアと、導電外層又はシェルと、を有する。いくつかの実施形態では、光学的に調整された多重壁又は多層ナノシェル粒子は、非導電層と、導電層と、を交互に重ねることによって形成され得る。少なくとも1つのシェル層が電気を容易に伝導することが望ましいが、いくつかの場合には、1つのシェル層が、隣接するコア層よりも低い誘電率を有するだけでよいこともある。なぜなら、隣接するシェル層の誘電率がコア層よりも大きい場合、吸収最大点がブルーシフト(浅色シフト)され、より低波長の領域に吸収位置をシフトし、それによりナノシェルの熱伝導性に影響を及ぼすからである。
【0037】
コアは、球形、立方形、円柱形、又は他の形状を有し得る。コアの幾何形状に関係なく、粒子は、サイズ及び形状が実質的に均質であり、好ましくは球形であることが好ましい。組成物が複数の金属ナノシェルを含み得る特定の実施形態では、そのような組成物は、粒子の所望の吸収特性に依存して、数ミクロンまでの範囲の実質的に均一な直径の粒子を含み得る。より大きい直径の粒子は、より小さい直径の粒子よりも広範囲にわたって波長を吸収する。
【0038】
発熱粒子の直径は接着剤層の厚さに依存することがあり、逆に、接着剤層の厚さは発熱粒子の直径に依存し得る。いくつかの実施形態では、粒子は、均質な半径を有し得る。この半径は、実施形態の所望の吸収最大点に依存して1ナノメートル〜数ミクロンでよい。いくつかの実施形態では、直径は、接着剤層の厚さの1/10でよい。例示的実施形態では、粒子コアは直径が1nm〜最大5μmの間でよく、シェルは厚さ1〜100nmでよく、粒子は、近赤外範囲で300nm〜20pmの吸収最大波長を有し得る。発熱粒子は、2〜1000の範囲のコア半径と、シェル厚さと、の比で構成し得る。コアサイズに対する制御と組み合わせて、この大きな比率範囲により、可視及び赤外のスペクトル領域ほとんどにわたる大きな周波数可変吸収を有する粒子が得られる。したがって、いくつかの実施形態では、ある範囲のコア半径と、シェル厚さと、の比を有する発熱粒子を提供し得る。
【0039】
積層複合体は、上述したようにいくつかの使用法があり、多様な用途で使用し得る。再利用の前に、例えば製造又は成形プロセス中に積層複合体を熱にさらす必要がある場合、熱収縮性樹脂に発熱粒子を添加する前に、接着剤層を高い熱絶縁性の材料で被覆すべきである。したがって、一実施形態では、接着剤層は、さらに外側コーティング層を含み得る。このコーティング層は熱絶縁性材料を含み、再利用前に熱にさらされる間に接着剤層が熱収縮するのを最小限に抑えるか、又は防止する。熱絶縁層は、熱絶縁作用を有する任意の適切な層でよい。そのような熱絶縁層の例には、例えば中空粒子を含む非発泡層が含まれる。中空粒子は、任意の適切な中空粒子でよく、例えば任意のアクリルポリマー及び塩化ビニリデンポリマーを含む中空粒子である。
【0040】
別の態様では、積層複合体を再利用するための方法が提供される。一般に、この方法は、樹脂中の発熱粒子を活性化するために積層複合体を刺激にさらすことによって、熱収縮性樹脂中で熱を発生させることを含む。例えば、刺激は、限定はしないが、磁場、レーザ、電磁放射、熱、太陽エネルギー、電気、光などを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、積層複合体に電磁放射を照射すること、及び第1のポリマー層を第2のポリマー層から分離することを含む。
【0041】
積層複合体の分離を容易にするために、積層複合体の小さな破片を取り扱うことがより好都合となり得る。したがって、いくつかの実施形態では、積層複合体を刺激にさらす前に、積層複合体が小さな破片に切断、粉砕、又は破砕される。
【0042】
熱収縮性接着剤樹脂に加えられる刺激が電磁放射である場合、積層複合体は、適切な波長を有する電磁放射を照射され得る。いくつかの実施形態では、電磁放射は、スペクトルの近赤外、中赤外、又は遠赤外での波長の放射を含む。いくつかの実施形態では、電磁放射は、波長が0.75μm〜1000μmの放射を含む。他の実施形態では、電磁放射は、波長が0.75μm〜2.5μmの近赤外放射を含む。別の実施形態では、電磁放射は、波長が2.5μm〜10μmの中赤外放射を含む。さらに別の実施形態では、電磁放射は、波長が10μm〜1000μmの遠赤外放射を含む。いくつかの実施形態では、電磁放射が、波長15μm〜1000μmの放射を含む。いくつかの実施形態では、積層複合体は、遠赤外放射の照射前に粉砕される。
【0043】
理論に拘束されることを望まないが、樹脂中の高い発熱性の粒子が熱を発生し、接着剤層が収縮すると、接着剤層がずれ、接着剤層に隣接するポリマー層が接着剤層から外れると考えられる。これにより、積層複合体が層間剥離される。したがって、いくつかの実施形態では、積層複合体に電磁放射を照射するステップは、発熱粒子に発熱を促し、熱収縮性樹脂を収縮させることも含む。積層材料は、層を分離することを意図される特定の領域のみで接着剤樹脂を加熱することによって選択的に分離することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、この方法は、照射中に積層複合体を撹拌することを含む。撹拌することで、いわゆる「摩擦帯電効果」と呼ばれる効果により、異なる特性を有する様々なポリマー層及び異なるタイプの樹脂のいくつか又はすべてを互いに接触させて帯電させ得る。したがって、撹拌により、第1のポリマー、第2のポリマー、又は第1のポリマー及び第2のポリマーの両方を帯電させ得る。この摩擦帯電効果を効果的に使用して、積層複合体内の様々な層を分離することができる。
【0045】
理論に拘束されずに、ポリマー材料の表面は簡単に帯電され、電荷が放電されない場合には、ポリマーが互いに繰り返し接触するので、それらが導電体であるか絶縁体であるかに関わらずポリマーに静電気が蓄積される。また、発熱刺激を加えた後に、異なる特性を有する異なるタイプの樹脂を撹拌することにより、表面温度の差が生じ、これにより異なる帯電状態が生じると考えられる。
【0046】
帯電された後、適切な静電分離法を使用して異なるポリマー層を分離し得る。したがって、いくつかの実施形態では、分離は、静電分離デバイスを採用することを含む。1つのそのような静電分離デバイスは、参照として本明細書に組み込む米国特許第6903294号及び第6522149号に記載されている。そのような静電分離機は市販もされており、例えば三菱電機からのHyper Cycle Systems(HCS)やTyrone environmental group又はBunting Magnetics Co.からの静電分離機である。
【0047】
一実施形態では、分離は、層間剥離される積層複合体の帯電した構成要素を静電デバイスにかけることを含む。静電デバイスは、逆極性の静電場を含むことがあり、それにより、様々な帯電ポリマーが、それぞれ逆の電荷をもつ場に向かって移動して分離される。次いで、分離された破片を、収集して再使用することができる。この方法は、積層複合体の層間剥離を容易にし、個々の構成要素を分離し、それにより積層複合体のポリマー層の再利用を容易にするために使用され得る。
【0048】
図2は、一実施形態による積層複合体の再利用の一例である。この図に示されるように、一例として、熱収縮性樹脂及び発熱粒子を含む積層複合体に遠赤外放射が当たる。熱が発生されると、ポリマー層がずれて分離し、積層複合体の層間剥離をもたらす。遠赤外放射の導入の前に、積層複合体は、そのような発熱処理のためにより適した破片にされる。層間剥離の後、次いで粒子が帯電されて類別され、様々な組成のポリマー層が分離される。
【0049】
別の態様では、積層複合体を調製するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、第1のポリマー層の第2の表面に接着剤を塗布すること、及び第2のポリマー層の第1の表面を接着剤に結合させることを含む。そのような積層複合体中の接着剤は、熱収縮性樹脂を含む。接着剤及び/又は樹脂は、発熱粒子を含む。また、そのような方法は、層の完全な結合を保証するために、第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び接着剤層を、一体に結合した後に押し合わせることを含み得る。
【0050】
他の実施形態では、この方法は、複数のポリマー層を結合することを含み得る。そのような実施形態では、各層は、熱収縮性樹脂を含む接着剤を使用して、上述したように他の層に結合される。
【0051】
本明細書で例示的に説明した実施形態は、本明細書に特に開示していない要素や限定なしで適切に実施することができる。したがって、例えば、用語「備える」、「含む」、「含有する」などは、広範に、限定せずに読まれるものとする。さらに、本明細書で採用する用語及び表現は、説明目的の用語として使用しており、限定目的の用語としては使用しておらず、そのような用語及び表現を使用する際、図示して説明した特徴又はその一部の均等物を除外する意図はなく、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であることを理解されたい。さらに、語句「から本質的になる」は、特に記載された要素と、特許請求される技術の根本的な新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素とを含むものと理解されたい。語句「からなる」は、指定されていない要素をすべて除外する。
【0052】
それぞれの全体を参照として組み込むことが明確に個別に示されているかのように、本明細書で言及したすべての刊行物、特許出願、付与された特許、及び他の文献を参照として本明細書に組み込む。参照として組み込む文章に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する範囲では除外する。
【0053】
以上のように概略的に説明した本発明の技術は、以下の実施例を参照すればより容易に理解されよう。以下の実施例は例示として提供され、何ら限定する意図のものではない。
【実施例】
【0054】
本発明による技術を、以下の実施例によってさらに説明する。実施例は、何ら限定するものではないと解釈すべきである。
【0055】
実施例1:再利用可能な携帯電話の筐体。携帯電話の筐体は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の下層(すなわち第1のポリマー層)と、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の上層ポリマー(すなわち第2のポリマー)と、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の間にあるアクリルウレタンのプライマ/接着剤層と、を含み得る。下層としてのABSは、射出成形によって形成し、約0.8mmの厚さを有する。プライマ/接着剤を50μm〜100μmの厚さで下層に被覆するとき、アクリルウレタンを使用し得る。アクリルウレタンは、発熱粒子を含む目的のものである。トップコートとしてのPMMAをプライマ/接着剤上に吹き付ける。次いで、組成物を紫外光活性によって硬化させ、それにより厚さ100μm〜200μmのトップコート層が形成される。
【0056】
したがって、この構成は、接着剤層が熱によって収縮するときに、接着剤層の変形によって上層を下層から接着剥離することによって、筐体の再利用を可能にする。
【0057】
実施例2:再利用可能なコンピュータフレーム。コンピュータフレームは、複合体メインフレームと、サブフレームと、を含み得る。サブフレームは、成形されたポリマーからなる成形されたメインフレーム用の支持体となる金属である。使用することができるポリマーの例は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ABS、ポリプロピレン(PP)、及びポリカーボネートを含む。サブフレーム用の金属は、鋼、ステンレス鋼、マグネシウム、アルミニウム、チタン、亜鉛、及び同様に構造的に剛性の金属からなるものでよい。メインフレームをサブフレームの周りに成形する、又はサブフレームの周りに配置する場合、熱収縮性接着剤が2つのフレームを接合させるために使用され得る。例えば、発熱粒子を含有するアクリルウレタンを熱収縮性接着剤として使用し、厚さ50μm〜100μmでサブフレーム上に被覆し得る。次いでフレームを再利用するとき、十分な期間(すなわち約5分間)にわたってNd:YAGレーザ(1064nm、300mJ)からの赤外放射をフレームに照射し、接着剤を収縮させて、ポリマーメインフレームを金属サブフレームから分離できるようにする。その後、ポリマーと金属成分は別々に再利用され得る。
【0058】
いくつかの実施形態を例示して説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義されるようなより広範な態様での技術から逸脱することなく、当業者が上記の実施形態に変更及び修正を加えることができることを理解すべきである。
【0059】
本開示は、本出願で説明した特定の実施形態に限定されるものではない。当業者に明らかであるように、その精神及び範囲から逸脱することなく多くの修正及び変更を加えることができる。本明細書で列挙したものの他に、本開示の範囲内での機能的に均等な方法及び組成物が、前述の説明から当業者に明らかであろう。そのような修正及び変更は、添付の特許請求の範囲内にあるものと意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲、及びそのような特許請求の範囲が権利付与される均等物の全範囲によってのみ限定される。本開示は、特定の方法、試薬、複合体、組成物、又は生体システムに限定されず、当然それらを変えることができることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定する意図のものではないことを理解すべきである。
【0060】
さらに、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ形式で説明されている場合、その開示は、それによって、マーカッシュ形式の群の任意の個々の要素、又は要素の下位の群についても述べられていることを当業者は理解されよう。
【0061】
当業者に理解されるように、あらゆる面で、特に説明の記載に関して、本明細書に開示されるすべての範囲は、あらゆる可能な下位範囲及び下位範囲の組合せも包含する。任意の列挙された範囲は、少なくとも2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分けた同範囲についても十分に記載しており、その分割を可能にするものとして容易に理解することができる。非限定的な例として、本明細書で論じた各範囲を、下側3分の1、中央3分の1、及び上側3分の1などに容易に分けることができる。また、当業者に理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などのすべての言葉が、引用された数も含み、上述したように後で下位範囲に分けることができる範囲を表す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は、一つ一つの要素を含む。
【0062】
他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱に応答して収縮するように構成された樹脂と、熱を発生するように構成された1つ又は複数の粒子と、を含む接着剤。
【請求項2】
熱を発生するように構成された前記粒子がナノシェルを含む請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記ナノシェルが、導電性材料の層で被覆された非導電性内側コアを備える請求項2に記載の接着剤。
【請求項4】
前記導電材料が、銀、金、ニッケル、銅、鉄、白金、パラジウム、それらの合金、又はそれらの任意の2種以上の混合物である金属を含む請求項3に記載の接着剤。
【請求項5】
前記非導電性コアが、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、硫化金、カドミウムセレン、硫化カドミウム、ガリウムヒ素、又はデンドリマーを含む請求項3又は4に記載の接着剤。
【請求項6】
前記熱収縮性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド樹脂、アクリルポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、及びそれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択される請求項1から5のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項7】
さらに、ヒドロゲル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリフェニレン、硫化物、エチレン酢酸ビニルコポリマー、それらの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含む請求項1から6のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項8】
第1の表面及び第2の表面を有する第1のポリマー層と、
第1の表面及び第2の表面を有する第2のポリマー層と、
前記第1のポリマー層の前記第2の表面を前記第2のポリマー層の前記第1の表面に接合させる請求項1に記載の接着剤層と、
を含む積層複合体。
【請求項9】
前記1つ又は複数の粒子が、電磁放射の照射に応答して熱を発生するように構成される請求項8に記載の積層複合体。
【請求項10】
前記電磁放射が、前記電磁スペクトルの近赤外、中赤外、又は遠赤外領域内の波長の放射を含む請求項9に記載の積層複合体。
【請求項11】
熱を発生するように構成された前記粒子がナノシェルを含む請求項8から10のいずれか一項に記載の積層複合体。
【請求項12】
前記ナノシェルが、導電性材料の層で被覆された非導電性内側コアを備える請求項11に記載の積層複合体。
【請求項13】
前記導電性材料が金属を含み、前記金属が、銀、金、ニッケル、銅、鉄、白金、パラジウム、それらの合金、又はそれらの任意の2種以上の混合物である請求項12に記載の積層複合体。
【請求項14】
前記非導電性内側コアが、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、硫化金、カドミウムセレン、硫化カドミウム、ガリウムヒ素、又はデンドリマーを含む請求項12又は13に記載の積層複合体。
【請求項15】
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層が、同じポリマー、ポリマーブレンド、又はコポリマーではない請求項8から14のいずれか一項に記載の積層複合体。
【請求項16】
前記第1のポリマー層が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレン、ポリアクリレート、それらの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含み、前記第2のポリマー層が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレン、ポリアクリレート、それらの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含む請求項15に記載の積層複合体。
【請求項17】
前記第1のポリマー層がポリ塩化ビニルを含み、前記第2のポリマー層がポリ塩化ビニル以外のポリマーを含む請求項8から16のいずれか一項に記載の積層複合体。
【請求項18】
前記第1のポリマー層がポリ塩化ビニルを含み、前記第2のポリマー層がポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、それらの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含む請求項8から17のいずれか一項に記載の積層複合体。
【請求項19】
前記接着剤層が、ヒドロゲル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリフェニレン、硫化物、エチレン酢酸ビニルコポリマー、それらの任意の2種以上のブレンド、又はそれらのコポリマーを含む請求項8から17のいずれか一項に記載の積層複合体。
【請求項20】
第1の表面及び第2の表面を有する第1のポリマー層と、第1の表面及び第2の表面を有する第2のポリマー層と、前記第1のポリマー層の前記第2の表面を前記第2のポリマー層の第1の表面に接合させる接着剤層であって、発熱粒子を含む熱収縮性樹脂を含む接着剤層と、を備える積層複合体に電磁放射を照射すること、及び
前記第1のポリマー層を前記第2のポリマー層から分離すること
を含む方法。
【請求項21】
前記電磁放射が、波長15μm〜1000μmの放射を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記積層複合体に前記電磁放射を照射する前に、前記積層複合体を切断、粉砕、又は破砕することを含む請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
さらに、前記積層複合体に前記電磁放射を照射している間に、前記積層複合体を撹拌することを含む請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記積層複合体を撹拌することが、前記第1のポリマー、前記第2のポリマー、又は前記第1のポリマー及び前記第2のポリマーの両方を帯電させるように構成される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
分離が、静電分離デバイスを使用することを含む請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記積層複合体に電磁放射を照射することが、発熱粒子に発熱を促し、熱収縮性樹脂を収縮させることを含む請求項20から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
積層複合体を調製する方法であって、
請求項1に記載の接着剤を第1のポリマー層の第1の表面に塗布すること、及び
第2のポリマー層の第2の表面を前記接着剤に結合させること
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−518687(P2012−518687A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514213(P2011−514213)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【国際出願番号】PCT/JP2010/058579
【国際公開番号】WO2011/142043
【国際公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(509348786)エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー (117)
【Fターム(参考)】