説明

空気圧粉末搬送システム

【課題】 粉末から三次元物品を製造するための装置において、粉塵を排出せず、機械的に単純であり、信頼性があり、費用が安い粉末コンテナを備える。
【解決手段】 三次元物品を製造するための層毎の構築プロセスがその中で行われる、装置内のプロセス・チャンバ;プロセス・チャンバ中に粉末を供給するための、装置への供給ライン;供給ラインに連結された粉末処理ユニットレおよび粉末処理ユニットにバージン粉末を搬送するための、粉末処理ユニットに連結された空気圧粉末搬送システム400を備える。空気圧粉末搬送システム400は、バージン粉末のためのコンテナ304と、バージン粉末を流動化させ、バージン粉末をコンテナから搬送するために、ガスを供給する第1の圧縮ガス供給ライン314を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料取扱システムに関し、より詳しくは、粉末材料または細粒材料を取り扱うための閉じたシステムであって、実質的に粉塵を排出したり逃がしたりせずに、粉末材料を容器から容易に取り出すことのできるシステムに関する。本発明は、粉末のバルク供給物を受入容器または稼働中のプロセスに搬送することが望ましい任意の用途に使用できる。ここに記載される特に有用な用途は、レーザ焼結装置中に粉末をバルク供給するための本発明の使用である。
【背景技術】
【0002】
有機や無機両方の、ペイント用顔料、セメント、珪藻土、および化学物質粉末などの粉末を取り扱う上で、多量の粉塵を雰囲気中に撒き散らさずに、材料の迅速かつ制御された装填と材料の迅速な取出しを行うことがことが長い間、課題になっている。例えば、紙袋、ドラム缶または他の容器に粉末を充填する際に、しばしば、多量の粉塵が発生する。この粉塵は、その紙袋を充填する工場で収集できるか他の様式で制御できることが多いが、紙袋はエンドユーザで使用されるときに、容易には制御できない過剰な粉塵が放出されてしまうかもしれない。毒性の粉塵などのあるタイプの粉塵がこのように放出されると、使用区域における清掃問題が生じるだけでなく、その毒性の粉塵は、多くの作業者や近隣の他の職員にとっても健康上の危害となるであろう。
【0003】
特許文献1および2に開示されているように、今では、「セミバルク」量(例えば、2000〜4000ポンド以上(約900〜1800kg))の粉末材料または細粒材料を受け入れ、搬送し、取り出すための容器が、ミズーリ州、セントルイス所在のセミバルク・システムズ社(Semi-Bulk Systems, Inc.)から市販されている。一般に、そのような容器は、剛性の成形プラスチック・パレット基部およびそこに固定された軟質プラスチック・フイルム・バッグを有する。粉塵の発生を最小に抑えながら、そのようなバッグを充填する方法および装置が記載されており、その一例が、上述した特許文献1に記載されている。
【0004】
そのようなフレキシブル・コンテナから粉末材料を取り出すための有用なシステムが特許文献2に記載されている。市販の粉末材料の多くは、輸送および貯蔵中に、凝集し、塊を形成するかもしれないので、特許文献2に記載されたシステムは、フレキシブル・コンテナ中に圧縮ガスを導入して、粉末材料を流動化させ、その材料をコンテナの底から流し出すのを支援しながら、フレキシブル・コンテナを振動させ、機械的に圧搾するという共同戦略を用いる。さらに、フレキシブル・コンテナの底は、流動化された粉末が流出ラインに向かって流れるのを助けるように一方の側に向かって傾斜している。ある実施において、フレキシブル・コンテナ全体が、流動を援助するように傾けられさえしてもよい。
【0005】
内容物を確実に適切に取り出すためにフレキシブル・コンテナを振動させ、圧搾し、傾ける要件のために、コンテナの底とフレームが機械的に複雑かつ高価になり、コンテナは柔軟でなければならない。それゆえ、機械的にそれほど複雑ではなく、価格がより手頃な、粉末取出しをずっと単純に実施することが必要とされている。
【0006】
粉末の供給物を必要とする重要な用途は、粉末から三次元物品を製造するためのレーザ焼結技術の使用である。背景として、自由形状製造技術の例は、スリー・ディー・システムズ社(3D Systems, Inc.)から市販されているシステムで実施される選択的レーザ焼結プロセスである。このプロセスにおいて、レーザ可溶性粉末から層毎の様式で物品が製造される。このプロセスによれば、粉末の薄層が分配され、次いで、その物品の断面に対応する粉末の部分に向けられるレーザエネルギーによって、融解、溶融、または焼結される。スリー・ディー・システムズ社から市販されているVanguardシステムなどの従来の選択的レーザ焼結システムは、レーザビームを偏向させるガルバノ・ミラーを用いた光学系によってレーザビームを位置決めする。レーザビームの偏向は、その層に形成すべき物品の断面に対応する可溶性粉末層の位置にレーザビームを向けるように、レーザ自体の変調と共に制御される。コンピュータに基づく制御システムには、製造すべき部品の複数の断面の所望の境界を示す情報がプログラムされている。レーザは、これと組み合わされて影響を受けるレーザの変調と共に、ラスタ様式で粉末に亘って走査されても、またはレーザはベクトル様式で方向付けられてもよい。ある用途において、物品の断面は、ベクトルで描かれた輪郭内の区域を「補充(fill)する」ラスタ走査の前または後のいずれかに、ベクトル様式で断面の輪郭に沿って粉末を溶融することによって粉末層に形成される。いずれにせよ、所定の層の粉末を選択的に溶融した後、追加の粉末層が分配され、物品が完成するまで、先の層の溶融部分に後の層の溶融部分が融着して(物品について必要に応じて)、プロセスが繰り返される。
【0007】
レーザ焼結技術の詳しい説明が、全てテキサス・システム大学の評議会に譲渡された特許文献3、4および5、並びにハウショルダー(Housholder)の特許文献6に見つけられるであろう。これらの文献をここに引用する。
【0008】
特に、限定された運転の製造および大きなサービス・ビューロにおける多数の機械装置の使用において、レーザ焼結技術が益々使用されるようになって、粉末の供給、使用した粉末の取り出し、および再利用のためのより自動化された手段が必要とされてきた。自動化粉末再利用は、粉末の手作業の取扱いを著しく減らし、粉末への露出を減少させ、焼結装置に供給されている粉末のコンシステンシーを改善できる。レーザ焼結システムに粉末を供給し、そこから粉末を取り出し、粉末を再利用するための信頼性のある小型の自動化システムが、本願の譲受人に譲渡された、2005年3月9日に出願された同時係属出願である特許文献7に記載されている。この出願は、関連する部分において、ここに特別に含まれる。
【特許文献1】米国特許第4182386号明細書
【特許文献2】米国特許第5271439号明細書
【特許文献3】米国特許第4863538号明細書
【特許文献4】米国特許第5132143号明細書
【特許文献5】米国特許第4944817号明細書
【特許文献6】米国特許第4247508号明細書
【特許文献7】米国特許出願第11/077304号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献7に記載された自動化粉末リサイクル・システム中にまたはレーザ焼結システム中に直接いずれかの新たな粉末すなわちバージン粉末の搬送を行わなければならない。必要とされているのは、小型であるが閉鎖されている、したがって、粉塵を排出せず、機械的に単純であり、信頼性があり、費用が安い粉末コンテナを備えた新たな粉末搬送システムである。これらの課題は、本発明の設計により解決される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明のある態様は、流動化による空気圧粉末搬送システムを用いて新たな粉末すなわちバージン粉末をコンテナから取り出し、運搬するための、信頼性のある機械的に単純な方法および装置を提供することである。使用すべきコンテナは、剛性または柔軟性のいずれであっても差し支えない。
【0011】
本発明の別の態様は、空気圧粉末搬送システムを、レーザ焼結装置と共に使用して、三次元物品を製造することである。
【0012】
本発明の別の態様は、空気圧粉末搬送システムを、レーザ焼結装置のために粉末を組み合わせ、ブレンドする粉末処理ユニットと共に用いて三次元物品を製造することである。
【0013】
本発明の特徴の1つは、空気圧粉末搬送システムが、連続と時折の高パルスの両方の圧縮ガスを用いて、粉末を効果的に流動化し、運搬することである。
【0014】
本発明の別の特徴は、空気圧粉末搬送システムが、流出流への圧縮ガスの補助流を用いて、この装置の搬送効果を改善することである。
【0015】
本発明の別の特徴は、空気圧粉末搬送システムが、粉末の中央出口へと下方に傾斜した形状の底部を有することである。
【0016】
本発明の別の特徴は、空気圧粉末搬送システムが、剛性または柔軟性のいずれであり、折り畳み式であり得る粉末コンテナを有することである。
【0017】
本発明の利点は、多量の粉塵を雰囲気中に撒き散らさずに、粉末をコンテナから搬送できることである。
【0018】
本発明の利点は、振動や他の機械的方法の必要なく、また床から粉末コンテナを持ち上げる取出しスタンドを使用せずに、粉末を空気圧法のみを用いて搬送できることである。
【0019】
本発明の別の利点は、手作業を最小にして、自動化様式で粉末をコンテナから搬送できることである。
【0020】
これらと他の態様、特徴および利点は、粉末から三次元物品を製造するための装置であって、その中で、三次元物体を製造するために層毎の構築プロセスが行われる装置内にある少なくとも1つのプロセス・チャンバ;プロセス・チャンバ中に粉末を供給するための、装置に繋がった供給ライン;供給ラインに連結された粉末処理ユニット;およびバージン粉末を粉末処理ユニットに搬送するための、粉末処理ユニットに連結された空気圧粉末搬送システム;を備え、空気圧粉末搬送システムが、少なくとも1つの、バージン粉末のためのコンテナ、およびこのコンテナからのバージン粉末を流動化し、搬送するためのガスを供給する第1の圧縮ガス供給ラインを有するものである装置を提供することによって、本発明により達成される。本発明の方法は、その中で三次元物品が層毎の様式で形成される、レーザ焼結装置のプロセス・チャンバ内で粉末床を製造する方法であって、バージン粉末コンテナからバージン粉末を粉末処理ユニットに空気圧で供給し;粉末処理ユニットから粉末を、レーザ焼結装置内の供給ホッパーに空気圧で供給し;供給ホッパーから粉末の第1の部分をプロセス・チャンバ中に、第1の側から反対の第2の側に標的区域に亘り堆積させ;粉末の第2の部分をプロセス・チャンバの標的区域に亘って、第2の側から第1の側に堆積させる各工程を有してなり、バージン粉末コンテナからバージン粉末を粉末処理ユニットに空気圧で供給する工程が、バージン粉末コンテナ中のバージン粉末を、第1の流量の圧縮ガスの第1の供給により流動化させ;より多い第2の流量の圧縮ガスの第1の供給によりコンテナを断続的に加圧し;粉末コンテナの底部の出口から流動化された粉末流を取り出す各工程を含むものである方法である。
【0021】
さらなる態様、特徴および利点は、粉末から三次元物品を製造するための装置であって、その中で、三次元物体を製造するために層毎の構築プロセスが行われる装置内にある少なくとも1つのプロセス・チャンバ;プロセス・チャンバ中に粉末を供給するための、装置に繋がった供給ライン;およびプロセス・チャンバ中にバージン粉末を搬送するための、供給ラインに連結された空気圧粉末搬送システム;を備え、空気圧粉末搬送システムが、バージン粉末のための少なくとも1つのコンテナおよびコンテナからのバージン粉末を流動させ、搬送するための、ガスを供給する第1の圧縮ガス供給ラインを有するものである装置を提供することによって、本発明により達成される。本発明は、その中で三次元物品が層毎の様式で形成される、レーザ焼結装置のプロセス・チャンバ内で粉末床を製造する方法であって、バージン粉末コンテナからバージン粉末をレーザ焼結装置の供給ホッパーに空気圧で供給し;供給ホッパーから粉末の第1の部分をプロセス・チャンバ中に、第1の側から反対の第2の側に標的区域に亘り堆積させ;粉末の第2の部分をプロセス・チャンバの標的区域に亘って、第2の側から第1の側に堆積させる各工程を有してなり、バージン粉末コンテナからバージン粉末をレーザ焼結装置の供給ホッパーに空気圧で供給する工程が、バージン粉末コンテナ中のバージン粉末を、第1の流量の圧縮ガスの第1の供給により流動化させ;より多い第2の流量の圧縮ガスの第1の供給によりコンテナを断続的に加圧し;粉末コンテナの底部の出口から流動化された粉末流を取り出す各工程を含むものである方法を含む。
【0022】
本発明のこれらの他の態様、特徴および利点は、特に添付の図面と共に解釈したときに、本発明の以下の詳細な開示を考慮することにより明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、背景として、特許文献2に記載されているような、従来技術のフレキシブル・コンテナ取出し装置を示している。概して参照番号50により示されたこの装置は、不透水性合成樹脂からなる実質的に剛性の底部58に封止可能に取り付けられたフレキシブル・バッグ54を含む。この底部には、バッグと底部の組合せを輸送するためにフォークリフト(図示せず)のフォークを受け入れるための複数の開口部60がある。
【0024】
多孔質ダイヤフラム(図示せず)が、基部58の上面を覆い、基部の外周に固定されている。ダイヤフラムは基部に被さり、したがって、ダイヤフラムと基部との間にプレナムが画成される。基部58の入口(図示せず)に取り付けられた圧縮ガスラインを通してプレナム中に導入される圧縮ガスは、多孔質ダイヤフラムを通過し、フレキシブル・バッグ54中に入り、そこで、バッグ内に収容された粉末を流動化させる。概して66により示されたフレームは、フレキシブル・バッグ54を支持するための高さのある矩形の上部構造を形成する、フレーム部材70および頂部フレーム部材74を含む複数のフレーム部材から形成される。基部58が載置されている台78は、コンテナからの材料を基部58の底部の出口(図示せず)に通して流すのを促進するように前方に傾斜している。フレキシブル・バッグ54の両側にある機械アーム80は、振動機能が設けられており、フレキシブル・バッグ54を圧搾するために内部に動くことができる。振動と機械的圧搾の組合せを用いて、粉末のバッグ54の底部への動きと底部の出口への動きを促進させている。
【0025】
三次元物品を製造するためのレーザ焼結装置が、図2に示されており、概して参照番号150により表されている。二酸化炭素レーザ108とその関連する走査系114が、部品入りケーキ190の頂部標的区域186、および拡散ローラ180を含むプロセス・チャンバ152の上のユニット内に取り付けられているのが示されている。プロセス・チャンバ152は、物品の製造に適した温度と雰囲気の組成(一般に、窒素などの不活性雰囲気)を維持する。
【0026】
供給ホッパー162および164は、粉末184をプロセス・チャンバの床206上に周期的に堆積させるために用いられる。この床で、粉末は、駆動システム182により往復運動式に動かされる逆回転ローラ180により広げられる。供給ライン161は、粉末をレーザ焼結装置中に供給し、ここで、粉末は供給ホッパー162の頂部に入る。粉末を堆積させ、この手法で粉末を両方向に広げる方法が、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/856303号明細書に完全に説明されている。この文献を引用により本出願に特別に含む。
【0027】
図2の選択的レーザ焼結装置の動作は自動化されている。レーザビーム154が、レーザ108により発せられ、レーザビームを偏向させるガルバノ・ミラーを一般に含む光学ミラー走査系114により標的区域186に向けられる。レーザ系およびガルバノメータ系は、レーザ窓156によって熱いプロセス・チャンバ152からは隔離されている。レーザ窓156は、下にある部品入りケーキの標的区域186を加熱する放射加熱要素160により形成された周囲内に位置している。これらの加熱要素160は、環状(矩形または円形)パネルまたはレーザ窓156の周りに配列された放射加熱ロッドであってもよい。レーザビーム154の偏向は、その層に形成すべき物品の断面に対応する部品入りケーキ190の露出表面の標的区域186の可溶性粉末層の位置にレーザエネルギーを向けるように、レーザ108自体の変調と共に制御される。走査系114は、レーザビーム154を、ラスタ走査式、またはベクトル式で粉末を横切るように走査してもよい。一旦、断面が形成されたら、部品入りケーキ190を、部品入りケーキ190が載っている支持台170を下降させる駆動システム172により一層分の厚さだけ下げる。
【0028】
選択的レーザ焼結装置には、3つの基本的な部類の粉末が用いられる。バージン粉末は、装置に供給される新しい粉末を称する。溢れ粉末は、図2の容器188内の粉末などの、構築チャンバから押し出された過剰の粉末である。回収粉末は、部品入りケーキ内の製造された部品がその装置から取り出されたときに、構築チャンバまたはプロセス・チャンバの外で回収される粉末である。そのような回収粉末は、ブレークアウト・ステーションと通常称される装置内でレーザ焼結装置の外部で収集され、回収される。
【0029】
粉末を供給し、取り出し、レーザ焼結装置へとリサイクルするための信頼性のある小型の自動化システムが図3に示されており、概して参照番号250により表されている。このシステムは、上述した特許文献7に記載されている。図2に示したものに類似の、1つ以上のレーザ焼結装置252は、供給ホッパー254および1つ以上の溢れ粉末収容容器256を備えている。溢れ粉末を容器256から供給ホッパー254に戻すように搬送する、レーザ焼結装置252内に配置された濃密相トランスポータは、図3には示されていない。このトランスポータは、外部の粉末処理ユニット270から粉末取扱いの著しい負担を排除する。装置252内の構築が完了した時点で、製造された部品およびその部品の周りの未溶融粉末からなる部品入りケーキ258は、ブレークアウト・ステーション260に移動させられる。ここで、部品入りケーキ258の、完成部品262、低品質または使用済み粉末264、および再利用のための回収粉末266への分離が機械的に行われる。使用済み粉末は通常、熱い部品の近くにある粉末により形成された大きく硬い凝集塊からなる。使用済み粉末は、再利用には適しておらず、廃棄される。次いで、濃密相トランスポータ(図示せず)は、回収粉末266を粉末処理ユニット270に搬送し、ここで、回収粉末は新たな粉末と組み合わされて、装置の供給ホッパー254に戻される。あるいは、この装置を用いて、所望であれば、ライン163を通して、バージン粉末をレーザ焼結装置に直接供給しても差し支えない。粉末処理ユニット270は、レーザ焼結のためのバージン粉末と回収粉末の所望の混合物をブレンドし、供給する機能を提供する。その典型的なものが、上述した特許文献7により詳しく記載されている。供給ライン161は、図2の供給ライン161に対応する。この装置全体に亘り濃密相空気圧トランスポータを駆動するコントローラとガス配管のネットワークは図示されていない。
【0030】
この装置中への新たな粉末のバルク供給は、バージン(新たな)粉末搬送システム268により表される。本発明は、空気圧粉末搬送システムおよび信頼性のある、機械的に単純で費用効果的な、封じ込められた自動化バルク粉末取出しシステムを用いる。この粉末搬送システムは、バージン粉末のためのコンテナを使用する。このコンテナは、静止型であっても、または持ち運べて再利用できるのであっても差し支えない。静止型コンテナは、適所で充填される。このコンテナは持ち運びでき、再利用できることが好ましい。このコンテナは、粉末の供給業者により充填され、ユーザのレーザ焼結装置と圧縮空気の供給源に連結される場所に出荷される。使用後に、詰替えのために、コンテナは供給業者に戻される。
【0031】
図4は、概して参照番号300により表される、本発明の空気圧粉末搬送システムである。図4に示されているように、この空気圧粉末搬送システムは、コンテナ304および実質的に剛性の基部308からなる。2つの別個の構成部材(コンテナ304および基部308)の図示した構造は、一体構造のものであっても差し支えないという点で、本発明の要件ではない。しかしながら、図示した2部材構造によって、基部308を適所に維持し、使用後のコンテナ304を発送して、コンテナに補充することが可能になる。コンテナ304は、基部内に折り畳んで、補充のための発送をより嵩張らずに行える、柔軟な折り畳み式バッグであって差し支えない。コンテナ304は、実質的に剛性の容器であって差し支えない。一般に、コンテナ304は、基部308の上面を覆い、基部の外周に固定された多孔質ダイヤフラム(図示せず)を有する。このダイヤフラムは基部の上に被さり、よって、ダイヤフラムと基部との間にプレナムが画成される。基部308のポート312に導入される圧縮ガスが、プレナムに流入し、多孔質ダイヤフラムを通ってコンテナ304中に通過する。そこで、圧縮ガスは、充填物を形成する材料をある程度または完全に流動化させる。点線316で示されるように、基部308およびコンテナ304の底部は傾斜面を形成する。この傾斜面は、流動化された粉末を、以前に行われていた一方の側に向かうよりむしろ、コンテナ304の中心に向かって、基部308から、ポート320より出る出口に流れ落とす。図1の従来技術のシステムとは異なり、コンテナ304は頂部ベントを持たず、したがって、ポート312を通って進入した流動化圧縮ガスは、収容されている粉末を流動化させるだけでなく、コンテナをわずかに加圧し、それによって、粉末を出口ポート320から出るように搬送する駆動力を提供する。この出口ポートは、圧縮ガスの唯一の出口点である。基部308の追加の圧縮ガス入口ポート324が、図5においてより明白なように、さらに別の増強流のために利用できる。
【0032】
図5は、概して参照番号400により示された、図4の空気圧粉末搬送システムの側面図である。図4に示したように、この空気圧粉末搬送システムは、コンテナ304および実質的に剛性の基部308からなる。2つの別個の構成部材(コンテナ304および基部308)を有することは、一体構造であって差し支えないという点で、本発明の要件ではない。基部308の入口ポート312は、流動化ガスを、ライン314に通して、多孔質ダイヤフラムと基部308との間に形成されたプレナム(図示せず)に供給する圧縮ガス供給源に連結するためのアクセス点である。流動化圧縮ガスは、コンテナ304内に十分な圧力を生じて、流動化された粉末を出口ライン316中に駆動する。この出口ラインは、出口ポート320で基部308を出る。入口ポート324は、ライン318を介して、追加の圧縮ガスを提供して、必要に応じて、補助的な搬送ガスを供給する。
【0033】
本発明の別の態様は、入口ポート312中への圧縮ガス入口の断続周期的な増強(boost)である。図5に示した発送および取出しシステムの別の側面図が、図6において概して参照番号306により示されている。圧縮ガスの供給源326が、ライン330および334を通してガスを入口ポート312に提供する。バルブ331および333は、手動式で動作させても、コンピュータ制御システムによって自動的に動作させても差し支えない。動作において、バルブ331およびライン330は、コンテナ304内の粉末を流動化させるために、入口ポート312およびライン314を通して流動化ガスの安定な供給源を提供する。時間の大半は、この流動化ガスは、粉末を、コンテナ304から、出口ポート320を通してシステムより出すように動かすのに十分である。この時間中は、バルブ333は閉じている。粉末搬送が、詰まりのために制限されるか、またはコンテナがほぼ空に近づくにつれて遅くなったときに、バルブ333を開き、ライン334を通してパルス・ガスを流して、コンテナ304内の圧力を増加させると共に流動化を増強させることができる。このパルス・ガスの容積は、ライン330を通して送達される通常の流動化ガスよりも著しく大きい。フィードバック圧力制御システム(図示せず)を用いてバルブ333を調節しても、または手動で制御しても差し支えない。あるいは、パルス・ガス・システムは、通常は流動化ガスを供給し、バルブをより広く開くことにより時折パルス・ガスを供給するバルブ3311つだけの構造を有していても差し支えない。バルブ335により制御される補助搬送ガスライン338を用いて、出口搬送ライン316における固体対空気の比が制御される。補助搬送ガスは、流動化粉末を希釈し、流動を改善する。傾斜したコンテナの底部315、ライン330からの通常の流動化ガス、ライン334からの時折のパルス・ガス、およびライン338からの時折の補助搬送ガスの組合せが、スタンドを傾けたり、従来技術に記載されているように振動させたり、機械的に圧搾したりせずに、空気圧粉末搬送システムから粉末を効率的に搬送するのに十分であることが分かった。
【0034】
図7は、コンテナの底部の出口360は、流動化された粉末がコンテナから均一に流動できるように中央に配置されていることを示す、空気圧粉末搬送システムのコンテナの平面図である。出口360は、図6のライン316に連結されている。図7の出口360と図6の傾斜底部315の両方を見ると、中央にある出口に向かって下方に傾斜しているコンテナ底部が示されている。図1の従来技術の装置において、底部の出口は、中央ではなく、コンテナの側部に位置している。側部の出口は、本発明に関して機能的であることが分かったが、スタンドの傾け、または振動および/または機械的圧搾と共に用いた場合でさえも、コンテナ304をより完全に空にするために、中央出口の設計が好ましい実施の形態である。
【0035】
本発明を、その特別な実施の形態に関して説明してきたが、ここに開示された発明の概念から逸脱せずに、材料、部品の構成および工程に多くの変更、改変および変種を行えることが明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲は、この開示を読んだ際、当業者に想起されるそのような変更、改変および変種の全てを包含することが意図されている。ここに引用した全ての特許出願、特許および他の出版物は、参照によりその全てがここに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来技術のコンテナ取出しシステムの正面図
【図2】レーザ焼結装置の正面概略図
【図3】レーザ焼結装置に使用される粉末再利用システムの概要図
【図4】本発明の空気圧粉末搬送システムの正面図
【図5】本発明の空気圧粉末搬送システムの側面図
【図6】本発明の空気圧粉末搬送システムの第2の側面図
【図7】本発明の空気圧粉末搬送システムの平面図
【符号の説明】
【0037】
50 フレキシブル・コンテナ取出し装置
54 フレキシブル・バッグ
58,308 実質的に剛性の基部
150 レーザ焼結装置
161 供給ライン
162,164 供給ホッパー
190 部品入りケーキ
300,400 空気圧粉末搬送システム
304 コンテナ
312,324 入口ポート
316,320 出口ポート
331,333,335 バルブ
360 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末から三次元物品を製造するための装置において、
(a) 三次元物品を製造するための層毎の構築プロセスがその中で行われる、前記装置内のプロセス・チャンバ、
(b) 前記プロセス・チャンバ中に粉末を供給するための、前記装置への供給ライン、
(c) 前記供給ラインに連結された粉末処理ユニット、および
(d) 前記粉末処理ユニットにバージン粉末を搬送するための、該粉末処理ユニットに連結された空気圧粉末搬送システムであって、
i. 前記バージン粉末のためのコンテナと、
ii. 前記バージン粉末を流動化させ、該バージン粉末を前記コンテナから搬送するために、ガスを供給する第1の圧縮ガス供給ライン、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記コンテナから前記バージン粉末を補助的に搬送するために、圧縮ガスを供給する第2の圧縮ガス供給ラインをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記バージン粉末のためのコンテナが、そこに密封可能に固定された実質的に剛性の基部を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1の圧縮ガス供給ラインが、前記バージン粉末を流動化させ、該バージン粉末を前記コンテナから搬送するように、該バージン粉末のためのコンテナの内部に圧縮ガスを供給するために前記実質的に剛性の基部に連結されていることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記コンテナから前記バージン粉末を補助的に搬送するように圧縮ガスを供給するための、前記実質的に剛性の基部に連結された第2の圧縮ガス供給ラインをさらに含むことを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記バージン粉末のためのコンテナが、前記実質的に剛性の基部に密封可能に固定された、柔軟で折り畳みできるバッグであることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項7】
前記バージン粉末のためのコンテナが、前記実質的に剛性の基部に密封可能に固定された剛性コンテナであることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項8】
前記コンテナの底部が、中央にある出口に向かって下方に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記供給ラインに連結された粉末処理ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記バージン粉末のためのコンテナが、前記実質的に剛性の基部に密封可能に固定された剛性コンテナであることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項11】
前記バージン粉末のためのコンテナが、前記実質的に剛性の基部に密封可能に固定された、柔軟で折り畳みできるバッグであることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項12】
前記バージン粉末のためのコンテナが、柔軟で折り畳みできるバッグであることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項13】
三次元物品が層毎の様式でその中で形成される、レーザ焼結装置のプロセス・チャンバ中に粉末床を製造する方法において、
(a) バージン粉末コンテナからバージン粉末を粉末処理ユニットに空気圧で供給し、
(b) 前記プロセス・チャンバ中に標的区域に亘って粉末の第1の部分を堆積させる、
各工程を有してなり、
バージン粉末コンテナからバージン粉末を粉末処理ユニットに空気圧で供給する工程が、
i. 圧縮ガスの第1の供給の第1の流量で、前記バージン粉末コンテナ内の前記バージン粉末を流動化させ、
ii. 圧縮ガスの第1の供給の第2の多い流量で、前記コンテナを断続的に加圧し、
iii. 前記コンテナの底部にある出口から前記バージン粉末の流動化された流れを取り出す、
各工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記粉末の流動化された流れを、圧縮ガスの第2の供給により増強する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記プロセス・チャンバの第1の側から、反対の第2の側に該プロセス・チャンバ中の前記標的区域に亘り粉末の第1の部分を堆積させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記反対の第2の側から前記第1の側に、前記プロセス・チャンバ中の前記標的区域に亘って粉末の第2の部分を堆積させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
(a) 前記粉末処理ユニットから、前記レーザ焼結装置の供給ホッパー中に粉末を空気圧で供給し、
(b) 前記プロセス・チャンバ中に標的区域に亘って前記供給ホッパーからの粉末の第1の部分を堆積させる、
各工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−312309(P2006−312309A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−96909(P2006−96909)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(597013711)スリーディー システムズ インコーポレーテッド (43)
【Fターム(参考)】