説明

立体映像表示装置及び電子機器

【課題】半透過型液晶表示装置を用いるに当たり、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるようにすることで、立体画像の視認性の向上を図る。
【解決手段】画素20A内において、副画素20R,20G,20Bの配列方向と直交する方向、即ち、行方向(水平方向)における中央部に透過部21を設け、当該透過部21を挟んでその両側に反射部22A,22Bを設ける画素構成とする。すなわち、透過部21及び反射部22A,22Bを画素20A内において、画素中心に関して左右対称に設ける。そして、パララックスバリア12を、遮光部124が画素20Aの中心に対応する部位に位置し、透過部125が画素20C,20C間に対応する部位に位置するように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置及び電子機器に関し、特に、両眼視差を利用する立体映像表示装置、及び、当該立体映像表示装置を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
右眼と左眼の網膜に映る像の違い(差)、即ち、両眼視差から奥行きを知覚することができる。そして、両眼視差を利用した立体映像表示装置が広く知られている。この両眼視差を利用した立体映像表示装置によれば、液晶表示装置等の平面型表示装置(平面型表示パネル/フラットパネル)によって表示された映像を、観察者が奥行きを感じることができる画像、即ち、立体画像(3次元画像/3D画像)として知覚することができる。
【0003】
近年、両眼視差を利用した立体映像表示装置として、観察者(視聴者)が専用のメガネを装着しなくても裸眼で立体画像を知覚することができる裸眼式立体映像表示装置の開発が進められている。そして、裸眼式立体映像表示装置には、表示パネルによって表示された右眼用の映像及び左眼用の映像を立体的に知覚することを可能にする方式には、パララックス(視差)バリア方式やレンチキュラーレンズ方式等がある。
【0004】
一例として、パララックスバリア方式の原理について説明する。尚、パララックスバリア方式は、2視差(2眼)方式、多視差(多眼)方式などに分類される。ここでは、2視差方式を例に挙げてパララックスバリア方式の原理の概略について、図28を用いて説明する。
【0005】
先ず、表示パネル51の行列状の画素配列において、各画素は画素列の単位で、右眼用の映像を表示する右眼用の画素Rと、左眼用の映像を表示する左眼用の画素Lとに分類される。具体的には、各画素は、右眼用の画素Rの画素列と左眼用の画素Lの画素列とが交互に配列された画素配列となっている。
【0006】
そして、右眼用の画素Rには画素列単位で右眼用の信号源52Rから右眼用の映像信号が供給され、左眼用の画素Lには画素列単位で左眼用の信号源52Lから左眼用の映像信号が供給される。これにより、表示パネル51上には、右眼用の映像と左眼用の映像とを表示することができる。因みに、信号源52R,52Lの各映像信号については、左眼用と右眼用の2台のカメラによる同時撮影や、1つの映像信号を基にコンピュータ処理などを行うことによって生成することができる。
【0007】
また、表示パネル51の前方側には、表示パネル51によって表示された右眼用の映像及び左眼用の映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品として、パララックスバリア53が配置される。そして、表示パネル51によって表示された右眼用の映像及び左眼用の映像を、パララックスバリア53を介して、表示パネル51から所定の距離だけ離れた位置で観察することにより、観察者の左右の眼に左眼用の映像と右眼用の映像として入射する。その結果、両眼視差が発生し、液晶パネル51に表示された映像を立体的に、即ち、立体画像として知覚することができる。
【0008】
ところで、両眼視差を利用する立体映像表示装置の中には、平面型表示装置(フラットパネル)として半透過型液晶表示装置(液晶パネル)を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。周知の通り、半透過型液晶表示装置は、外光とバックライトの両方を光源として利用する、所謂、反射型と透過型を融合した、換言すれば、反射型構造と透過型構造の両方を実装した液晶表示装置である。
【0009】
半透過型液晶表示装置は、屋内等の暗い環境下、屋外等の明るい環境下のいずれの環境下においても視認性に優れているため、携帯電話機等のモバイル用途の平面型表示装置として広く用いられている。そして、半透過型液晶表示装置は、画面を構成する最小単位である1つの画素内、あるいは、カラー表示対応の場合には1つの画素を構成する複数の副画素内に、外光を光源として表示を行う反射部と、バックライトを光源として表示を行う透過部とを有する構成となっている。
【0010】
図29に、平面型表示装置として半透過型液晶表示装置を用いた、従来例に係る立体映像表示装置の構成の概略を示す。ここでは、表示パネルによって表示された右眼用の映像及び左眼用の映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品として、例えばパララックスバリアを用いたパララックスバリア方式の立体映像表示装置の場合を例に挙げて示している。
【0011】
図29に示すように、従来例に係る立体映像表示装置60は、半透過型液晶パネル61、半透過型液晶パネル61の前面に配されたパララックスバリア62、及び、透過型液晶パネル61の背面に配されたバックライト63を有する構成となっている。
【0012】
半透過型液晶パネル61は、2枚のガラス基板611,612及びこれらガラス基板611,612間の密閉空間に封入された液晶層613を有している。そして、立体画像の表示を実現するために、右眼用の映像と左眼用の映像を形成すべく、右眼用の画素Rと左眼用の画素Lとが画素列の単位で交互に配置される。
【0013】
図30に、半透過型液晶パネル61のある1つの画素についての断面構造を示す。図30は、図31(A)のX−X′線に沿った断面図である。図30において、画素70は、バックライト63を光源とし、当該バックライト63からの照射光によって表示を行う透過部71と、外光を光源とし、当該外光を反射することによって表示を行う反射部72とを有している。
【0014】
具体的には、画素トランジスタ73を含む画素回路が形成された一方のガラス基板611の内面には絶縁膜614を介して、反射部72に対応して凹凸拡散面が形成された光拡散層615が設けられている。この光拡散層615の上には、透過部71に対応して透明電極からなる画素電極616が画素単位で設けられ、更に、反射部72に対応して凹凸拡散面の上に反射電極617が設けられている。
【0015】
他方のガラス基板612の内面には、カラーフィルタ(透過部/反射部)618が設けられている。このカラーフィルタ618上の反射部72に対応する部位には、位相差層としての透明段差層619が設けられている。更に、カラーフィルタ618及び透明段差層619の上には、対向電極620が全画素共通に設けられている。尚、反射部72には、反射電極617と透明段差層19との間の液晶層613の厚みを一定にするために柱状スペーサ621が配されている。
【0016】
上記構成の半透過型液晶パネル61において、ガラス基板611の表示裏面上、即ちバックライト63側の面上には、位相差板64及び偏光板65がその順に設けられている。ガラス基板612の表示面上にも、位相差板66及び偏光板67がその順に設けられている。
【0017】
図31(A)に、従来例に係る立体映像表示装置60におけるカラー表示対応の場合の画素の構成例を示す。画面を構成する最小単位である1つの画素70は、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3つの副画素70R,70G,70Bによって構成されている。画素70は、例えば矩形の形状をなしている。この矩形形状の画素70において、反射部72は、透過部71によりも小さい面積を有し、矩形の一辺にその辺に沿って形成されている。
【0018】
図29に説明を戻す。パララックスバリア62は、例えば液晶方式を採っている。具体的には、パララックスバリア62は、2枚のガラス基板621,622及びこれらガラス基板621,622間の密閉空間に封入された液晶層623を有している。ガラス基板621,622の一方には、半透過型液晶パネル61の画素配列の列方向(垂直方向)に沿ってストライプ状の電極が一定の間隔で形成され、その他方には、液晶層623を介して対向電極が形成されている。
【0019】
この液晶方式のパララックスバリア62において、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加すると、ストライプ状の電極に対応してストライプ状に遮光部(バリア)が一定の間隔で形成される。そして、これら遮光部の間が透過部となる。これにより、液晶方式のパララックスバリア62は、液晶パネル61によって表示された映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品としての機能を持つ。換言すれば、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加することによって3次元画像の表示を実現できる。
【0020】
逆に、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加しないときは、液晶層623は全面に亘って透過状態(透過部)となる。この場合は、液晶方式のパララックスバリア62は、半透過型液晶パネル61によって表示された右眼用の映像及び左眼用の映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品としての機能を持たない。従って、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加しないときは、3次元画像の表示ではなく、通常の2次元画像の表示となる。
【0021】
図31(B)に、ある画素行における右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリア62の遮光部(バリア)624との相対的な位置関係を示す。パララックスバリア62のピッチは、画素のLR組み合わせのピッチにほぼ等しいが、厳密には、眼間(例えば、65mm)の間で3D画像がパネル面内どこでも見えるようにするために、若干、画素のLR組み合わせのピッチに比べて小さいピッチとなるように設計される。そして、パララックスバリア62は、遮光部624が例えば画素70の中心に対応する部位に位置するように設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2005−316126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上述したように、従来例に係る画素70は、反射部72が画素70の一辺側に偏った状態で、即ち、反射部72が透過部71に対して偏った状態で設けられた画素構成となっている。従って、パララックスバリア62を、遮光部624が画素70の中心に対応する部位に位置するように設けると、パララックスバリア62の透過部625の中心位置に関して、画素70の透過部71と反射部72が非対称な配置となる。
【0024】
これにより、透過部71と反射部72とで観察者の視点位置がずれ、当該視点位置に関して透過部71と反射部72とが非対称な配置となる。例えば、画素70の中心位置にパララックスバリア62の遮光部624の中心位置を合わせると、図32に示すように、これら中心位置の正面で観察した場合、その観察位置に対して透過部71、反射部72とも最適な配置とならない。
【0025】
具体的には、右眼用の画素Rの透過部71を透過した輝度情報及び反射部72で反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部71を透過した輝度情報及び反射部72で反射した輝度情報とが観察者の左右の眼に均等に入射されずに、左右非対称となってしまう。これにより、例えば、右眼用の輝度情報が左眼用の輝度情報に混じって左眼に入射する、所謂、クロストークが発生する。このクロストークの発生は、立体的な知覚の妨げとなるため、立体画像の視認性を悪化させる。
【0026】
そこで、本発明は、半透過型液晶表示装置を用いるに当たり、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるようにすることで、立体画像の視認性の向上を図った立体映像表示装置、及び、当該立体映像表示装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために、本発明は、
背面側から入射した光を透過する透過部、及び、前面側から入射した光を反射する反射部を有する画素が行列状に2次元配置され、複数の視差映像を表示可能な半透過型表示部と、
前記半透過型表示部によって表示された複数の視差映像を観察者に対して立体的に知覚することを可能にする光学部品と
を備えた立体映像表示装置において、
前記画素の前記透過部及び前記反射部を、画素中心に関して行方向において対称に、即ち、左右対称に設けた
構成を採っている。
【0028】
半透過型液晶パネルを用いた立体映像表示装置において、複数の視差映像、例えば、右眼用の映像は右眼用の画素によって表示され、左眼用の映像は左眼用の画素によって表示される。ここで、画素の透過部及び反射部を、画素中心に関して左右対称に設けることで、右眼用の画素の透過部を透過した輝度情報及び反射部で反射した輝度情報と、左眼用の画素の透過部を透過した輝度情報及び反射部で反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となる。これにより、観察者は、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、半透過型表示部を用いた立体映像表示装置において、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるようにすることができるため、立体画像の視認性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体映像表示装置の構成の概略を示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係る立体映像表示装置におけるカラー表示対応の場合の、実施例1に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(B)を示す図である。
【図3】実施例1に係る画素構成の断面構造を示す、図2(A)のX−X′線に沿った断面図である。
【図4】実施例1に係る画素構成の場合における右眼、左眼に対する透過光及び反射光の関係を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る立体映像表示装置におけるカラー表示対応の場合の、実施例2に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(B)を示す図である。
【図6】実施例2に係る画素構成の断面構造を示す、図5(A)のX−X′線に沿った断面図である。
【図7】実施例2に係る画素構成の場合における右眼、左眼に対する透過光及び反射光の関係を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る立体映像表示装置におけるカラー表示対応の場合の、実施例3に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(B)を示す図である。
【図9】実施例3に係る画素構成の断面構造を示す、図8(A)のX−X′線に沿った断面図である。
【図10】実施例3に係る画素構成の断面構造を示す、図8(A)のY−Y′線に沿った断面図である。
【図11】実施例3に係る画素構成の場合における右眼、左眼に対する透過光及び反射光の関係を示す図である。
【図12】第1実施形態に係る立体映像表示装置10Aにおけるカラー表示対応の場合の、実施例4に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の副画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(B)を示す図である。
【図13】実施例4に係る画素構成の断面構造を示す、図12(A)のZ−Z′線に沿った断面図である。
【図14】実施例4に係る画素構成の場合における右眼、左眼に対する透過光及び反射光の関係を示す図である。
【図15】第1実施形態に係る立体映像表示装置10Aにおけるカラー表示対応の場合の、実施例5に係る画素構成例(A)、パララックスバリアの構成例(B)、及び、右眼用、左眼用の副画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(C)を示す図である。
【図16】実施例5に係る画素構成の場合における右眼、左眼に対する透過光及び反射光の関係を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る立体映像表示装置の構成の概略を示す断面図である。
【図18】第2実施形態に係る立体映像表示装置におけるカラー表示対応の場合の、実施例1に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とレンチキュラーレンズとの相対的な位置関係(B)を示す図である。
【図19】実施例1に係る画素構成の場合における右眼、左眼に対する透過光及び反射光の関係を示す図である。
【図20】光学部品として液晶レンズを用いた実施例2に係る立体映像表示装置の構成の概略を示す断面図である。
【図21】液晶レンズ方式の立体映像表示装置におけるカラー表示対応の場合の、実施例2に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列と液晶レンズとの相対的な位置関係(B)を示す図である。
【図22】実施例2に係る画素構成の場合における右眼、左眼に対する透過光及び反射光の関係を示す図である。
【図23】本発明が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。
【図24】本発明が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図25】本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図26】本発明が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。
【図27】本発明が適用される携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【図28】パララックスバリア方式の原理の概略についての説明図である。
【図29】平面型表示装置として半透過型液晶表示装置を用いた、従来例に係る立体映像表示装置の構成の概略を示す断面図である。
【図30】従来例に係る半透過型液晶パネルのある1つの画素についての断面構造を示す断面図である。
【図31】従来例に係る立体映像表示装置におけるカラー表示対応の場合の画素の構成例(A)、及び、ある画素行における右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係を示す図である。
【図32】従来技術の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施形態(パララックスバリア方式の例)
1−1.実施例1
1−2.実施例2
1−3.実施例3
1−4.実施例4
1−5.実施例5
2.第2実施形態(レンチキュラーレンズ方式の例)
2−1.実施例1
2−2.実施例2
3.変形例
4.適用例(電子機器)
【0032】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体映像表示装置の構成の概略を示す断面図である。本実施形態に係る立体映像表示装置は、表示パネルによって表示された複数の視差映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品として、パララックスバリアを用いたパララックスバリア方式の立体映像表示装置である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る立体映像表示装置10Aは、半透過型表示部として、例えば半透過型液晶パネル11を用いている。そして、半透過型液晶パネル11の前面(観察者側)に配されたパララックスバリア12、及び、透過型液晶パネル11の背面に配されたバックライト13を有する構成となっている。
【0034】
半透過型液晶パネル11は、ガラス基板等の2枚の透明基板(以下、「ガラス基板」と記述する)111,112及びこれらガラス基板111,112間の密閉空間に封入された液晶層113を有している。後述するように、ガラス基板111,112の内面には、液晶層113を挟んで画素電極と対向電極とが形成される。対向電極は、全画素共通に形成される。一方、画素電極は、画素単位で形成される。そして、立体画像の表示を実現するために、右眼用の映像と左眼用の映像を形成するように、右眼用、左眼用の画素R,Lが交互に配置される。
【0035】
一方のガラス基板111上には、液晶パネル11を駆動する駆動部を集積化した半導体チップ14が例えばCOG(Chip On Glass)技術にて搭載されている。半導体チップ14は、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits;FPC)15を介して基板外部の制御系と電気的に接続される。
【0036】
パララックスバリア12は、例えば液晶方式を採用している。具体的には、パララックスバリア12は、ガラス基板等の2枚の透明基板(以下、「ガラス基板」と記述する)121,122及びこれらガラス基板121,122間の密閉空間に封入された液晶層123を有している。
【0037】
ガラス基板121,122の一方には、半透過型液晶パネル11の画素配列の列方向(垂直方向)に沿ってストライプ状の電極が一定の間隔で形成され、その他方には、液晶層123を介して対向電極が形成される。また、ガラス基板121には、ストライプ状の電極と対向電極との間に印加するための電圧を基板外部から取り込むフレキシブルプリント基板16が設けられている。
【0038】
この液晶方式のパララックスバリア12において、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加すると、ストライプ状の電極に対応してストライプ状に遮光部(バリア)が一定の間隔で形成される。そして、これら遮光部の間が透過部となる。これにより、液晶方式のパララックスバリア12は、液晶パネル11に表示された画像を立体的に知覚することを可能にする光学部品としての機能を持つ。換言すれば、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加することで、3次元画像の表示を実現できる。
【0039】
逆に、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加しないときは、液晶層123は全面に亘って透過状態となる。この場合、液晶方式のパララックスバリア12は、半透過型液晶パネル11によって表示された右眼用の映像及び左眼用の映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品としての機能を持たない。従って、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加しないときは、3次元画像の表示ではなく、通常の2次元画像の表示となる。
【0040】
上記構成のパララックスバリア方式の立体映像表示装置10Aにおいて、液晶パネル11が半透過型液晶パネルであることから、画素(副画素)20は、バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部と、外光を反射することによって表示を行う反射部とを有している。そして、本実施形態では、画素20の透過部及び反射部を、画素中心に関して行方向(即ち、水平方向)において対称に、即ち、観察者(視聴者)の視認位置に対して左右対称に設ける構成を採っている。
【0041】
立体映像表示装置では、右眼用の映像は右眼用の画素Rによって表示され、左眼用の映像は左眼用の画素Lによって表示される。従って、画素20の透過部及び反射部を、画素中心に関して左右対称に設けることで、右眼用の画素Rの透過部を透過した輝度情報及び反射部で反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部を透過した輝度情報及び反射部で反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となる。これにより、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるため、立体画像の視認性を向上できる。
【0042】
以下に、第1実施形態に係るパララックスバリア方式の立体映像表示装置70Aにおいて、画素20の透過部及び反射部を、画素中心に関して左右対称に、即ち、観察者の視認位置に対して左右対称に設けるための具体的な実施例について説明する。
【0043】
[1−1.実施例1]
図2は、第1実施形態に係る立体映像表示装置10Aにおけるカラー表示対応の場合の実施例1に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(B)を示す図である。
【0044】
図2(A)に示すように、画面を構成する最小単位である、実施例1に係る画素20Aは、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色の3つの副画素20R,20G,20Bによって構成されている。画素20Aは、例えば矩形の形状をなしている。従って、3つの副画素20R,20G,20Bの各々は、行列状の画素配列の行方向に長い長方形の形状をなしている。
【0045】
そして、実施例1に係る画素20Aは、バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部21と、外光を反射することによって表示を行う反射部22A,22Bとを、副画素20R,20G,20B毎に有している。矩形形状の画素20Aにおいて、反射部22A,22Bは、例えばトータルの面積として透過部21よりも小さい面積を有しており、当該透過部21を挟んで矩形の2辺に沿って左右対称に形成されている。
【0046】
図3に、実施例1に係る半透過型液晶パネル11Aのある1つの画素についての断面構造を示す。図3は、図2(A)のX−X′線に沿った断面図である。図3において、画素20Aは、バックライト13を光源とし、当該バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部21と、外光を光源とし、当該外光を反射することによって表示を行う反射部22A,22Bとを有している。上述したように、画素20A内において、反射部22A,22Bは、透過部21を真ん中にして当該透過部21を挟んで左右対称に設けられている。
【0047】
画素20Aの構造についてより具体的に説明する。画素トランジスタ35などを含む画素回路が形成された一方のガラス基板111の内面には絶縁膜114を介して、反射部22A,22Bに対応して両端部に凹凸拡散面が形成された光拡散層115が設けられている。この光拡散層115の上には、中央部の透過部21に対応して透明電極からなる画素電極116が画素単位で設けられ、更に、両端部の反射部22A,22Bに対応して凹凸拡散面の上に反射電極117A,117Bが設けられている。
【0048】
他方のガラス基板112の内面には、カラーフィルタ(透過部/反射部)118が設けられている。また、両端部の反射部22A,22Bに対応する部位には、透明段差層119A,119Bが設けられている。更に、カラーフィルタ118及び透明段差層119A,119Bの上には、対向電極120が全画素共通に設けられている。尚、反射部22A,22Bには、反射電極117A,117Bと透明段差層119A,119Bとの間の液晶層113の厚みを一定にするために柱状スペーサ121A,121Bが配されている。また、図示していないが、各基板111,112の最表面には、液晶を配向させるための配向膜が形成されている。
【0049】
上記構成の実施例1に係る半透過型液晶パネル11Aにおいて、ガラス基板111の表示裏面上、即ちバックライト13側の面上には、位相差板31及び偏光板32がその順に設けられている。ガラス基板112の表示面上にも、位相差板33及び偏光板34がその順に設けられている。
【0050】
先述したように、液晶方式のパララックスバリア12において、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加すると、図2(B)に示すように、ストライプ状の電極に対応してストライプ状に遮光部124が一定の間隔で形成される。そして、遮光部124,124間が透過部125となる。
【0051】
図2(B)は、ある画素行における右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリア12の遮光部(バリア)124との相対的な位置関係を示しているパララックスバリア12のピッチは、画素のLR組み合わせのピッチにほぼ等しいが、厳密には、眼間(例えば、65mm)の間で3D画像がパネル面内どこでも見えるようにするために、若干、画素のLR組み合わせのピッチに比べて小さいピッチとなるように設計される。そして、パララックスバリア12は、遮光部124が画素20Aの中心、本例では画素20Aの透過部21の中心に対応する部位に位置し、透過部125が画素20C,20C間に対応する部位に位置するように設けられる。
【0052】
上述したように、実施例1では、画素20A内において、副画素20R,20G,20Bの配列方向と直交する方向、即ち、行方向における中央部に透過部21を設け、透過部21を挟んでその両側に反射部22A,22Bを左右対称に設けた画素構成を採っている(図2(A)を参照)。すなわち、透過部21及び反射部22A,22Bは、画素20A内において、画素中心に関して左右対称に設けられている。そして、パララックスバリア12を、遮光部124が画素20Aの中心に対応する部位に位置し、透過部125が画素20C,20C間に対応する部位に位置するように設けている(図2(B)を参照)。
【0053】
このような実施例1に係る画素構成及び画素20Aとパララックスバリア12の遮光部124との相対的な位置関係によれば、図4に示すように、画素20Aの透過部21及び反射部22A,22Bが、観察者の視認位置に対して行方向において左右対称に設けられる。尚、観察者の両眼の位置が観察者の視認位置となる。以下においても同様である。
【0054】
これにより、右眼用の画素Rの透過部21Rを透過した輝度情報及び反射部22R(22A,22B)で反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部21Lを透過した輝度情報及び反射部22L(22A,22B)で反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となるため、クロストークを抑えることができる。その結果、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるため、立体画像の視認性を向上できる。
【0055】
ここで、観察者の視認位置とは、図4において、立体映像表示装置10Aの表示面から最適な視聴距離、即ち、適視距離Aにおける観察者(視聴者)の両眼の位置を言う。人間の両眼の間隔Eは、一般的に、60〜65mm程度とされている。ここで、半透過型液晶パネル11A及びパララックスバリア12の厚み方向の中心間のギャップをG、画素のピッチをP、透明基板である例えばガラス基板の屈折率をn(≒1.5)とすると、適視距離Aは、概ね、次式(1)で与えられる。
A=(E・G/n)/P ・・・(1)
【0056】
[1−2.実施例2]
図5は、第1実施形態に係る立体映像表示装置10Aにおけるカラー表示対応の場合の、実施例2に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(B)を示す図である。図中、図2と同等部位には同一符号を付して示している。
【0057】
図5(A)に示すように、実施例2に係る画素20Bも、実施例1に係る画素20Aと同様に、例えば3つの副画素20R,20G,20Bによって構成され、例えば矩形の形状をなしている。従って、3つの副画素20R,20G,20Bの各々は、行列状の画素配列の行方向に長い長方形の形状をなしている。
【0058】
そして、実施例2に係る画素20Bは、バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部21A,21Bと、外光を反射することによって表示を行う反射部22とを、副画素20R,20G,20B毎に有している。矩形形状の画素20Aにおいて、透過部21A,21Bは、例えばトータルの面積として反射部22よりも大きい面積を有しており、当該反射部22を挟んで矩形の2辺に沿って左右対称に形成されている。
【0059】
図6に、実施例2に係る半透過型液晶パネル11Bのある1つの画素についての断面構造を示す。図6は、図5(A)のX−X′線に沿った断面図である。図6において、画素20Bは、バックライト13を光源とし、当該バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部21A,21Bと、外光を光源とし、当該外光を反射することによって表示を行う反射部22とを有している。上述したように、画素20B内において、透過部21A,21Bは、反射部22を真ん中にして当該反射部22を挟んで左右対称に設けられている。
【0060】
画素20Bの構造についてより具体的に説明する。画素トランジスタ35などを含む画素回路が形成された一方のガラス基板111の内面には絶縁膜114を介して、反射部22に対応して中央部に凹凸拡散面が形成された光拡散層115が設けられている。この光拡散層115の上には、両端部の透過部21A,21Bに対応して透明電極からなる画素電極116が画素単位で設けられ、更に、中央部の反射部22に対応して凹凸拡散面の上に反射電極117が設けられている。
【0061】
他方のガラス基板112の内面には、カラーフィルタ(透過部/反射部)118が設けられている。また、中央部の反射部22に対応する部位には、透明段差層119が設けられている。更に、カラーフィルタ118及び透明段差層119の上には、対向電極120が全画素共通に設けられている。尚、反射部22には、反射電極117と透明段差層119との間の液晶層113の厚みを一定にするために柱状スペーサ121が配されている。
【0062】
上記構成の実施例1に係る半透過型液晶パネル11Bにおいて、ガラス基板111の表示裏面上、即ちバックライト13側の面上には、位相差板31及び偏光板32がその順に設けられている。ガラス基板112の表示面上にも、位相差板33及び偏光板34がその順に設けられている。
【0063】
前にも述べたように、液晶方式のパララックスバリア12において、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加すると、図5(B)に示すように、ストライプ状の電極に対応してストライプ状に遮光部124が一定の間隔で形成される。そして、遮光部124,124間が透過部125となる。
【0064】
図5(B)は、ある画素行における右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリア12の遮光部(バリア)124との相対的な位置関係を示している。図5(B)から明らかなように、パララックスバリア12の遮光部124は、画素配列の行方向(水平方向)の画素ピッチと同じ間隔で形成される。そして、パララックスバリア12は、遮光部124が画素20Bの中心、本例では画素20Bの反射部22の中心に対応する部位に位置し、透過部125が画素20C,20C間に対応する部位に位置するように設けられる。
【0065】
上述したように、実施例2では、画素20B内において、副画素20R,20G,20Bの配列方向と直交する方向、即ち、行方向における中央部に反射部22を設け、反射部22を挟んでその両側に透過部21A,21Bを左右対称に設けた画素構成を採っている(図5(A)を参照)。すなわち、透過部21A,21B及び反射部22は、画素20B内において、画素中心に関して左右対称に設けられている。そして、パララックスバリア12を、遮光部124が画素20Bの中心に対応する部位に位置し、透過部125が画素20C,20C間に対応する部位に位置するように設けている(図5(B)を参照)。
【0066】
このような実施例2に係る画素構成及び画素20Bとパララックスバリア12の遮光部124との相対的な位置関係によれば、図7に示すように、画素20Bの透過部21A,21B及び反射部22が、観察者の視認位置に対して行方向において左右対称に設けられる。
【0067】
これにより、右眼用の画素Rの透過部21R(21A,21B)を透過した輝度情報及び反射部22Rで反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部21L(21A,21B)を透過した輝度情報及び反射部22Lで反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となるため、クロストークを抑えることができる。その結果、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるため、立体画像の視認性を向上できる。観察者の視認位置については、実施例1の場合と同様である。
【0068】
[1−3.実施例3]
図8は、第1実施形態に係る立体映像表示装置10Aにおけるカラー表示対応の場合の、実施例3に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(B)を示す図である。図中、図2と同等部位には同一符号を付して示している。
【0069】
図8(A)に示すように、実施例3に係る画素20Cも、実施例1に係る画素20Aと同様に、例えば3つの副画素20R,20G,20Bによって構成され、例えば矩形の形状をなしている。従って、3つの副画素20R,20G,20Bの各々は、行列状の画素配列の行方向に長い長方形の形状をなしている。
【0070】
そして、実施例3に係る画素20Cにおいて、バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部21と、外光を反射することによって表示を行う反射部22とが、副画素20R,20G,20B毎に平行に設けられている。具体的には、透過部21及び反射部22は、副画素20R,20G,20B毎に、これら副画素20R,20G,20Bの配列方向と直交する方向、即ち、行列状の画素配列の行方向に沿って平行に形成されている。行列状の画素配列の行方向は、副画素20R,20G,20Bの長辺方向でもある。従って、透過部21及び反射部22は、副画素20R,20G,20Bの長辺方向に対して平行に配置されている。
【0071】
図9及び図10に、実施例3に係る半透過型液晶パネル11Cのある1つの画素についての断面構造を示す。図9は、透過部21の断面構造を示す、図8(A)のX−X′線に沿った断面図である。図10は、反射部22の断面構造を示す、図8(A)のY−Y′線に沿った断面図である。
【0072】
透過部21の断面構造を示す図9において、画素トランジスタ35などを含む画素回路が形成された一方のガラス基板111の内面には絶縁膜114を介して光拡散層115が設けられている。この光拡散層115の上には、透明電極からなる画素電極116が画素単位で設けられている。他方のガラス基板112の内面には、カラーフィルタ(透過部)118が設けられている。カラーフィルタ118の上には、対向電極120が全画素共通に設けられている。
【0073】
反射部22の断面構造を示す図10において、光拡散層115の表面には凹凸拡散面が形成されており、この凹凸拡散面の上には反射電極117が設けられている。他方のガラス基板112の内面には、カラーフィルタ(反射部)118を介して、透明段差層119が設けられている。この透明段差層119の上には、対向電極120が全画素共通に設けられている。
【0074】
図9及び図10の対比から明らかなように、副画素20R,20G,20Bは、反射部22に対応する部位にカラーフィルタ118を介して形成された透明段差層119を有している。そして、この透明段差層119が存在する部分と存在しない部分とが、副画素20R,20G,20Bの長辺方向に対して平行に配置された画素構成となっている。
【0075】
上記構成の実施例3に係る半透過型液晶パネル11Cにおいて、ガラス基板111の表示裏面上、即ちバックライト13側の面上には、位相差板31及び偏光板32がその順に設けられている。ガラス基板112の表示面上にも、位相差板33及び偏光板34がその順に設けられている。
【0076】
前にも述べたように、液晶方式のパララックスバリア12において、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加すると、図8(B)に示すように、ストライプ状の電極に対応してストライプ状に遮光部124が一定の間隔で形成される。そして、遮光部124,124間が透過部125となる。
【0077】
図8(B)は、ある画素行における右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とパララックスバリア12の遮光部(バリア)124との相対的な位置関係を示している。パララックスバリア12のピッチは、画素のLR組み合わせのピッチにほぼ等しいが、厳密には、眼間(例えば、65mm)の間で3D画像がパネル面内どこでも見えるようにするために、若干、画素のLR組み合わせのピッチに比べて小さいピッチとなるように設計される。そして、パララックスバリア12は、遮光部124が画素20Cの中心に対応する部位に位置し、透過部125が画素20C,20C間に対応する部位に位置するように設けられる。
【0078】
上述したように、実施例3では、画素20C内において、透過部21及び反射部22を副画素20R,20G,20B毎に、これら副画素20R,20G,20Bの長辺に対して平行に設けた画素構成を採っている(図8(A)を参照)。すなわち、透過部21及び反射部22は、画素20C内において、画素中心に関して左右対称に設けられている。そして、パララックスバリア12を、遮光部124が画素20Bの中心に対応する部位に位置し、透過部125が画素20C,20C間に対応する部位に位置するように設けている(図8(B)を参照)。
【0079】
このような実施例3に係る画素構成及び画素20Cとパララックスバリア12の遮光部124との相対的な位置関係によれば、図11に示すように、画素20Cの透過部21及び反射部22が、観察者の視認位置に対して行方向において左右対称に設けられる。
【0080】
これにより、右眼用の画素Rの透過部21Rを透過した輝度情報及び反射部22Rで反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部21Lを透過した輝度情報及び反射部22Lで反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となるため、クロストークを抑えることができる。その結果、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるため、立体画像の視認性を向上できる。
【0081】
以上の説明から明らかなように、実施例1乃至実施例3では、光学部品であるパララックスバリア12のストライプ方向(長手方向)と、半透過型液晶パネル11(11A,11B,11C,11D)のカラーフィルタ118のストライプ方向とが直交する関係にある。そして、パララックスバリア12において、遮光部124及び透過部125の組を1ユニットとするとき、当該1ユニットが半透過型液晶パネル11の2画素につき1つ設けられていることになる。
【0082】
[1−4.実施例4]
図12は、第1実施形態に係る立体映像表示装置10Aにおけるカラー表示対応の場合の、実施例4に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の副画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(B)を示す図である。図中、図2と同等部位には同一符号を付して示している。
【0083】
図12(A)に示すように、実施例4に係る画素20Dも、実施例1に係る画素20Aと同様に、例えば3つの副画素20R,20G,20Bによって構成され、例えば矩形の形状をなしている。従って、3つの副画素20R,20G,20Bの各々は、行列状の画素配列の行方向に長い長方形の形状をなしている。
【0084】
実施例1乃至実施例3では、画素20(20A,20B,20C)が、副画素20R,20G,20Bの長辺方向が行列状の画素配列の行方向になるレイアウトとなっていた。これに対して、実施例4に係る画素20Dは、副画素20R,20G,20Bの長辺方向が行列状の画素配列の列方向になるレイアウトとなっている。すなわち、副画素20R,20G,20Bが画素列の単位で行方向において繰り返して配列される画素配列の構成となっている。
【0085】
そして、副画素20R,20G,20B個々を単位とする画素配列において、副画素20R,20G,20Bの画素列の単位で交互に右眼用の画素列と左眼用の画素列となる。すなわち、実施例1乃至実施例3では、副画素20R,20G,20Bからなる画素20の画素列の単位で交互に右眼用の画素列と左眼用の画素列となるのに対して、実施例4では副画素20R,20G,20Bの画素列の単位で交互に右眼用の画素列と左眼用の画素列となる。副画素20R,20G,20B個々において、反射部22は例えば透過部21よりも小さい面積を有し、例えば画素20Dの下側、即ち、副画素20R,20G,20B個々の下側に設けられる。
【0086】
図13に、実施例4に係る半透過型液晶パネル11Dのある1つの画素についての断面構造を示す。図13は、図12(A)のZ−Z′線に沿った断面図である。図13と図30との対比から明らかなように、実施例4に係る画素20Dの構造、具体的には、透過部21及び反射部22の周辺の構造については、基本的に、従来例に係る画素の場合(図30を参照)と同様である。
【0087】
図12(B)は、ある画素行における右眼用、左眼用の副画素R,Lの配列とパララックスバリア12の遮光部124との相対的な位置関係を示している。図12(B)から明らかなように、パララックスバリア12の遮光部124は、副画素単位の画素配列の行方向(水平方向)の画素ピッチと同じ間隔で形成される。そして、パララックスバリア12は、遮光部124及び透過部125が副画素20R,20G,20Bの間に位置するように設けられる。
【0088】
上述したように、実施例4では、副画素20R,20G,20Bの個々を単位とする画素配列において、その画素列の単位で交互に右眼用の画素列と左眼用の画素列とする画素構成を採っている(図12(A)を参照)。そして、パララックスバリア12を、遮光部124及び透過部125が副画素20R,20G,20Bの間に位置するように設けている(図12(B)を参照)。
【0089】
このような実施例4に係る画素構成及び副画素20R,20G,20Bとパララックスバリア12の遮光部124との相対的な位置関係によれば、図14に示すように、副画素20R,20G,20Bの透過部21及び反射部22が、観察者の視認位置に対して行方向において左右対称に設けられる。
【0090】
これにより、右眼用の画素Rの透過部21Rを透過した輝度情報及び反射部22Rで反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部21Lを透過した輝度情報及び反射部22Lで反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となるため、クロストークを抑えることができる。その結果、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるため、立体画像の視認性を向上できる。
【0091】
以上の説明から明らかなように、実施例4では、光学部品であるパララックスバリア12のストライプ方向(長手方向)と、半透過型液晶パネル11(11D)のカラーフィルタ118のストライプ方向とが平行になる関係にある。そして、パララックスバリア12において、遮光部124及び透過部125の組を1ユニットとするとき、当該1ユニットが半透過型液晶パネル11の2色につき1つ設けられていることになる。
【0092】
尚、以上説明した実施例1乃至実施例4では、画素20(20A〜20D)の透過部21(21A,21B)及び反射部22(22A,22B)と、パララックスバリア12の透過部125との相対的な位置関係は次のようになっている。すなわち、図2、図5、図8及び図12から明らかなように、画素20(20A〜20D)の透過部21(21A,21B)及び反射部22(22A,22B)は、パララックスバリア12の透過部125の長軸方向に延びる中央線に関して線対称に設けられている。
【0093】
[1−5.実施例5]
実施例1乃至実施例4では、2視差(2眼視差/2視点)方式を前提としているが、本実施形態は、2視差方式への適用に限られるものではなく、3視差以上の多視差方式にも適用可能である。多視差方式の一例として、4視差方式について実施例5として以下に説明する。
【0094】
図15は、第1実施形態に係る立体映像表示装置10Aにおけるカラー表示対応の場合の、実施例5に係る画素構成例(A)、パララックスバリアの構成例(B)、及び、右眼用、左眼用の副画素R,Lの配列とパララックスバリアの遮光部との相対的な位置関係(C)を示す図である。
【0095】
図15(A)に示すように、実施例5に係る画素構成については、実施例4に係る画素20Dと同じになっている。すなわち、画素20Dは、副画素20R,20G,20Bの長辺方向が行列状の画素配列の列方向になるレイアウトとなっている。より具体的には、副画素20R,20G,20Bが行方向において繰り返して配列される画素配列の構成となっている。
【0096】
実施例5に係る画素20D、即ち、副画素20R,20G,20Bの構造、具体的には、透過部21及び反射部22の周辺の構造についても、図13に示す実施例4に係る画素画素20Dと同じである。そして、副画素20R,20G,20B個々を単位とする画素配列において、副画素20R,20G,20Bの画素列の単位で交互に右眼用の画素列と左眼用の画素列となる。
【0097】
この副画素20R,20G,20B個々を単位とする画素配列に対して、2視差方式の実施例4の場合には、パララックスバリア12は、縦ストライプの遮光部124及び透過部125が画素ピッチで交互に繰り返して配列された構成となっていた。
【0098】
これに対して、4視差方式の実施例5の場合には、パララックスバリア12は、図15(B)に示すように、隣り合う4画素(副画素)を単位として、当該4画素のうちの隣り合う3画素分を遮光部124とし、残りの1画素分を透過部125としている。そして、単位となる4画素分の遮光部124及び透過部125が画素行毎に順に1画素分ずつシフトされた構造、所謂、オフセット構造となっている。
【0099】
このオフセット構造を採るパララックスバリア12を用いる方式は、ステップバリア方式と呼ばれている。このステップバリア方式の立体映像表示装置によれば、パララックスバリア12のオフセット構造で視聴領域を分離し、解像度の低下を分散することができるために、2視差方式の場合に比べて水平方向の解像度を向上できる利点がある。
【0100】
そして、このステップバリア方式の立体映像表示装置において、実施例5(即ち、実施例4)に係る画素構成の副画素の単位で交互に右眼用の画素列と左眼用の画素列とする画素構成(A)に対して、オフセット構造のパララックスバリア12(B)を重ね合わせるこのとき、図15(C)に示すように、副画素の画素ピッチPの1/2だけ行方向にずらした状態で重ね合わせる。尚、図15(C)において、画素構成(A)に対してパララックスバリア12(B)を重ね合わせたときの相互の位置関係を明確にするために、パララックスバリア12の遮光部124については、粗めの網掛けで図示している。
【0101】
この実施例5の構成によれば、実施例1乃至実施例4の場合と同様に、副画素20R,20G,20Bの透過部21及び反射部22が、観察者の視認位置に対して行方向において左右対称に設けられる。すなわち、透過部21及び反射部22は、画素20D内において、画素中心に関して左右対称に設けられている。これにより、図16に示すように、視点(1)に右眼、視点(2)に左眼がくるように、頭の位置を配置した場合、次のような作用効果を得ることができる。
【0102】
すなわち、右眼用の画素Rの透過部21Rを透過した輝度情報及び反射部22Rで反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部21Lを透過した輝度情報及び反射部22Lで反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となるため、クロストークを抑えることができる。その結果、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるため、立体画像の視認性を向上できる。
【0103】
尚、第1実施形態では、表示パネルによって表示された複数の視差映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品として、液晶方式のパララックスバリア12を用い、3次元画像の表示と2次元画像の表示とを選択できるようにしている。但し、液晶方式のパララックスバリア12を用いる構成に限られるものではなく、3次元画像の表示だけの用途の場合には、遮光部(バリア)124を固定的に有するパララックスバリアを用いる構成をとることも可能である。
【0104】
<2.第2実施形態>
図17は、本発明の第2実施形態に係る立体映像表示装置の構成の概略を示す断面図であり、図中、図1と同等部位には同一符号を付して示している。本実施形態に係る立体映像表示装置は、表示パネルによって表示された複数の視差映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品として、レンチキュラーレンズを用いたレンチキュラーレンズ方式の立体映像表示装置である。
【0105】
図17に示すように、本実施形態に係る立体映像表示装置10Bは、半透過型表示部として、例えば半透過型液晶パネル11を用いている。そして、半透過型液晶パネル11の前面(観察者側)に配されたレンチキュラーレンズ36、及び、透過型液晶パネル11の背面に配されたバックライト13を有する構成となっている。
【0106】
半透過型液晶パネル11は、2枚の透明基板、例えばガラス基板111,112及びこれらガラス基板111,112間の密閉空間に封入された液晶層113を有している。第1実施形態の場合と同様に、ガラス基板111,112の内面には、液晶層113を挟んで画素電極と対向電極とが形成される。対向電極は全画素共通に形成され、画素電極は画素単位で形成される。そして、立体画像の表示を実現するために、右眼用の映像と左眼用の映像を形成するように、右眼用、左眼用の画素R,Lが交互に配置される。
【0107】
一方のガラス基板111上には、液晶パネル11を駆動する駆動部を集積化した半導体チップ14が例えばCOG技術にて搭載されている。半導体チップ14は、フレキシブルプリント基板15を介して基板外部の制御系と電気的に接続される。
【0108】
レンチキュラーレンズ36は、かまぼこ型のストライプ状の凸レンズを一定ピッチで並べた透明レンズであり、左右の眼に別々の画像を見せて両眼視差を生じさせるという特性と、見える範囲を限定させるという特性とを有している。従って、半透過型液晶パネル11の画素列のピッチ(画素ピッチ)とレンチキュラーレンズ36のレンズピッチとを対応させ、半透過型液晶パネル11の画素列の単位で縦長の右眼用の画像と左眼用の画像とを表示することにより、3次元画像の表示を実現できる。
【0109】
但し、レンチキュラーレンズ36の場合、3次元画像を固定的に表示することになる。液晶方式パララックスバリア12と同様に、3次元画像の表示と2次元画像の表示とを切り替え可能とするには、例えば液晶を用いてレンチキュラーレンズと同等の機能を選択的に作り出すことが可能な液晶レンズを用いる手法が考えられる(この手法については、後で実施例2として説明する)。
【0110】
また、固定レンズであるレンチキュラーレンズ36の代わりに、特開2010−9584号公報に記載されているような、液晶レンズ(同公報の図9等を参照)や、液体レンズ(同公報の図31等を参照)を用いることも可能である。
【0111】
上記構成のレンチキュラーレンズ方式の立体映像表示装置10Bにおいて、液晶パネル11の各画素(副画素)20は、バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部と、外光を反射することによって表示を行う反射部とを有している。そして、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、画素20の透過部及び反射部を、観察者の視認位置に対して行方向において対称に、即ち、画素中心に関して左右対称に設けた構成を採っている。
【0112】
画素20の透過部及び反射部を、観察者の視認位置に対して左右対称に設けることで、右眼用の画素Rの透過部を透過した輝度情報及び反射部で反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部を透過した輝度情報及び反射部で反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となる。これにより、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるために、立体画像の視認性を向上できる。
【0113】
また、レンチキュラーレンズ方式の立体映像表示装置10Bの場合には、レンチキュラーレンズ36には光を遮る部分が存在しないため、パララックスバリア方式の立体映像表示装置10Aの場合に比べて、明るい表示を実現できる。
【0114】
画素20の透過部及び反射部を、観察者(視聴者)の視認位置に対して左右対称に設けるための具体的な実施例としては、第1実施形態の実施例1乃至実施例4と基本的に同じ実施例が考えられる。
【0115】
因みに、レンズを用いて立体映像表示装置を構成する場合、各視点では、レンズを通して画素の一部分を見ることになる。レンズの焦点を画素上にほぼ合わせると、画素のほぼ一点(実際には、レンチキュラーレンズのため線)を見ることになる。そのため、表示パネルの画素構造が図3や図6のような構造の場合、レンズから出る3Dの光線は位置によって、ほぼ透過光のみだったり、ほぼ反射光のみだったりしてしまい、半透過型液晶パネルを用いた立体映像表示装置として、視認性が不十分になってしまう。
【0116】
一方、第1実施形態の実施例3で示したような、図9、図10に示した半透過型構造では、レンズからどこの点(実際には、レンチキュラーレンズのため線)に焦点があっても、反射部、透過部がレンズを通して覗かれることになる。従って、半透過型液晶パネルを用いた立体映像表示装置として、十分な3次元画像の表示性能が得られる。
【0117】
以下では、第1実施形態の実施例1に対応する第2実施形態の実施例1について代表して説明するものとする。
【0118】
[2−1.実施例1]
図18は、第2実施形態に係る立体映像表示装置10Bにおけるカラー表示対応の場合の、実施例1に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とレンチキュラーレンズとの相対的な位置関係(B)を示す図である。
【0119】
画面を構成する最小単位である実施例1に係る画素20Aは、第1実施形態の実施例1に係る画素20Aと同じである。すなわち、図18(A)に示すように、実施例1に係る画素20Aは、例えば、R,G,Bの3つの副画素20R,20G,20Bによって構成され、例えば矩形の形状をなしている。従って、3つの副画素20R,20G,20Bの各々は、行列状の画素配列の行方向に長い長方形の形状をなしている。
【0120】
そして、実施例1に係る画素20Aは、バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部21と、外光を反射することによって表示を行う反射部22A,22Bとを、副画素20R,20G,20B毎に有している。矩形形状の画素20Aにおいて、反射部22A,22Bは、例えばトータルの面積として透過部21よりも小さい面積を有しており、当該透過部21を挟んで矩形の2辺に沿って左右対称に形成されている。
【0121】
図18(B)は、ある画素行における右眼用、左眼用の画素R,Lの配列とレンチキュラーレンズ36との相対的な位置関係を示している。図18(B)から明らかなように、レンチキュラーレンズ36は、かまぼこ型のストライプ状の凸レンズの各々が、隣り合う右眼用の画素Rの画素列と左眼用の画素Lの画素列の2つの画素列を単位として対応するように設けられる(2視差方式の場合)。
【0122】
上述したように、実施例1では、画素20A内において、副画素20R,20G,20Bの配列方向と直交する方向、即ち、行方向における中央部に透過部21を設け、透過部21を挟んでその両側に反射部22A,22Bを左右対称に設けた画素構成を採っている(図18(A)を参照)。すなわち、透過部21及び反射部22A,22Bは、画素20A内において、画素中心に関して左右対称に設けられている。そして、レンチキュラーレンズ36を、1つのストライプ状の凸レンズが隣り合う左右の2つの画素列を単位として対応するように設けている(図18(B)を参照)。
【0123】
このような実施例1に係る画素構成及び画素20Aとレンチキュラーレンズ36の個々の凸レンズとの相対的な位置関係によれば、図19に示すように、画素20Aの透過部21及び反射部22A,22Bが、観察者の視認位置に対して行方向において左右対称に設けられる。
【0124】
これにより、右眼用の画素Rの透過部21Rを透過した輝度情報及び反射部22R(22A,22B)で反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部21Lを透過した輝度情報及び反射部22L(22A,22B)で反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となるため、クロストークを抑えることができる。その結果、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるため、立体画像の視認性を向上できる。
【0125】
第2実施形態に係る立体映像表示装置10Bにおいて、半透過型液晶パネル11及びレンチキュラーレンズ36の厚み方向の中心間のギャップをG、画素のピッチをP、ガラス基板の屈折率をnとすると、適視距離Aは、概ね、次式(2)で与えられる。
A=(E・G/n)/P ・・・(2)
【0126】
ここでは、第1実施形態の実施例1に対応する第2実施形態の実施例1について代表して説明したが、第1実施形態の実施例2乃至実施例4に対応する第2実施形態の実施例2乃至実施例4についても、基本的に、第1実施形態の場合と同じである。
【0127】
また、光学部品であるレンチキュラーレンズ36のストライプ方向(長手方向)と、半透過型液晶パネル11のカラーフィルタ118のストライプ方向との関係、及び、1ユニットと画素との関係についても、基本的に、第1実施形態の場合と同じである。レンチキュラーレンズ36の場合、1つのストライプ状の凸レンズが1ユニットとなる。
【0128】
[2−2.実施例2]
図20は、第2実施形態に係る立体映像表示装置において、光学部品として液晶レンズを用いた実施例2に係る立体映像表示装置の構成の概略を示す断面図であり、図中、図1と同等部位には同一符号を付して示している。
【0129】
本実施例2に係る立体映像表示装置は、表示パネルによって表示された複数の視差映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品として、液晶レンズを用いた液晶レンズ方式の立体映像表示装置である。
【0130】
図20において、レンチキュラーレンズ36に代えて液晶レンズ37を用いている以外は、基本的に、図17の場合と同じ構成となっている。すなわち、液晶レンズ方式の立体映像表示装置10B′は、半透過型液晶パネル11、半透過型液晶パネル11の前面(観察者側)に配された液晶レンズ37、及び、透過型液晶パネル11の背面に配されたバックライト13を有する構成となっている。
【0131】
ここで、液晶レンズ37は、液晶自体の屈折率分布でレンズ効果を生じる構成のものであり、液晶層に電圧を印加する状態と印加しない状態で、レンズ効果を生じる状態とレンズ効果が生じない状態を切り替え可能な構成となっている。すなわち、液晶レンズ方式の立体映像表示装置10B′は、実施例1のレンチキュラーレンズ36の効果を、液晶を使って実現することができる。また、液晶を使っているので、液晶層に電圧を印加しないときにはレンズ効果がなくなる。従って、液晶層に電圧を印加しない状態では、3次元画像の表示ではなく、2次元画像の表示を実現できる。
【0132】
また、同様な方法として、レンチキュラーレンズと液晶層とを組み合わせた構成を適用することも可能である。この方式においても、液晶層に印加する電圧によって2次元画像/3次元画像の表示を切り替えることが可能である。
【0133】
液晶レンズ37を挟むガラス基板121,122の一方には、半透過型液晶パネル11の画素配列の列方向(垂直方向)に沿ってストライプ状の電極が一定の間隔で形成され、その他方には対向電極が全面に亘って形成される。また、ガラス基板121には、液晶レンズ37のストライプ状の電極と対向電極との間に印加するための電圧を基板外部から取り込むフレキシブルプリント基板16が設けられている。
【0134】
この液晶レンズ37において、ストライプ状の電極と対向電極との間に電圧を印加することにより、電極が存在する部分では液晶は立ち上がり、電極が存在しない部分では液晶は水平配向が保たれるため、屈折率の分布が生じ、レンズが実現される。そして、実施例1の場合と同様に、表示パネルによって表示された複数の視差映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品がレンズであるために、パララックスバリア方式に比べて明るい表示を実現できる。
【0135】
図21は、液晶レンズ方式の立体映像表示装置10B′におけるカラー表示対応の場合の、実施例2に係る画素構成例(A)、及び、右眼用、左眼用の画素R,Lの配列と液晶レンズとの相対的な位置関係(B)を示す図である。本実施例2に係る画素構成例は、第1実施形態の実施例3に係る画素構成例(図8を参照)と同じである。
【0136】
すなわち、実施例2に係る画素20Cにおいて、バックライト13からの照射光によって表示を行う透過部21と、外光を反射することによって表示を行う反射部22とが、副画素20R,20G,20B毎に平行に設けられている。具体的には、透過部21及び反射部22は、副画素20R,20G,20B毎に、これら副画素20R,20G,20Bの配列方向と直交する方向、即ち、画素配列の行方向に沿って平行に形成されている。すなわち、透過部21及び反射部22は、副画素20R,20G,20Bの長辺方向に対して平行に配置されている。
【0137】
図21(B)は、ある画素行における右眼用、左眼用の画素R,Lの配列と液晶レンズ37との相対的な位置関係を示している。図21(B)から明らかなように、液晶レンズ37は、かまぼこ型のストライプ状の凸レンズの各々が、隣り合う右眼用の画素Rの画素列と左眼用の画素Lの画素列の2つの画素列を単位として対応するように設けられる(2視差方式の場合)。
【0138】
上述したように、実施例2では、画素20C内において、透過部21及び反射部22を副画素20R,20G,20B毎に、これら副画素20R,20G,20Bの長辺に対して平行に設けた画素構成を採っている(図21(A)を参照)。すなわち、透過部21及び反射部22は、画素20C内において、画素中心に関して左右対称に設けられている。そして、液晶レンズ37を、1つのストライプ状の凸レンズが隣り合う左右の2つの画素列を単位として対応するように設けている(図21(B)を参照)。
【0139】
このような実施例2に係る画素構成及び画素20Cと液晶レンズ37の個々の凸レンズとの相対的な位置関係によれば、図22に示すように、画素20Cの透過部21及び反射部22A,22Bが、観察者の視認位置に対して行方向において左右対称に設けられる。これにより、右眼用の画素Rの透過部21Rを透過した輝度情報及び反射部22R(22A,22B)で反射した輝度情報と、左眼用の画素Lの透過部21Lを透過した輝度情報及び反射部22L(22A,22B)で反射した輝度情報とが観察者の両眼に均等に入射する。
【0140】
すなわち、観察者の両眼に入射する右眼用及び左眼用の各輝度情報が左右均等となるため、クロストークを抑えることができる。その結果、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるため、立体画像の視認性を向上できる。しかも、表示パネルによって表示された複数の視差映像を立体的に知覚することを可能にする光学部品として液晶レンズ37を用いていることで、3次元画像の表示と2次元画像の表示とを選択的に実現できる。
【0141】
<3.変形例>
上記実施形態では、画面を構成する最小単位である、1つの画素20が、R,G,Bの3つの副画素20R,20G,20Bによって構成される場合を例に挙げたが、1つの画素20としては、R,G,Bの3原色の副画素の組み合わせに限られるものではない。具体的には、3原色の副画素に更に1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素を構成することも可能である。例えば、輝度向上のために白色光の副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために補色光の少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
【0142】
<4.適用例>
以上説明した本発明による立体映像表示装置は、電子機器に入力された映像信号、または、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。一例として、図23〜図27に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなどの表示装置に適用することが可能である。デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、ビデオカメラ以外にも、表示装置を備えるゲーム機なども電子機器に含まれる。
【0143】
このように、あらゆる分野の電子機器の表示装置として本発明による立体映像表示装置を用いることにより、視認性に優れた立体画像の表示を実現できる。すなわち、先述した各実施形態の説明から明らかなように、本発明による立体映像表示装置は、右眼用及び左眼用の各輝度情報を両眼で均等に知覚できるようにすることができる。従って、あらゆる分野の電子機器の表示装置において、立体画像の視認性を向上できる。また、3次元画像の表示と2次元画像の表示との切り替えも可能である。
【0144】
[電子機器]
以下に、本発明が適用される電子機器の具体例について説明する。
【0145】
図23は、本発明が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。本適用例に係るテレビジョンセットは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0146】
図24は、本発明が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0147】
図25は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0148】
図26は、本発明が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0149】
図27は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含んでいる。そして、ディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明による表示装置を用いることにより本適用例に係る携帯電話機が作製される。
【符号の説明】
【0150】
10A,10B…立体映像表示装置、11(11A,11B,11C,11D)…半透過型液晶パネル、12…パララックスバリア、13…バックライト、20(20A,20B,20C,20D)…画素、20R,20G,20B…R(赤),G(緑),B(青)の副画素、36…レンチキュラーレンズ、37…液晶レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側から入射した光を透過する透過部、及び、前面側から入射した光を反射する反射部を有する画素が行列状に2次元配置され、複数の視差映像を表示可能な半透過型表示部と、
前記半透過型表示部によって表示された複数の視差映像を観察者に対して立体的に知覚することを可能にする光学部品とを備え、
前記画素の前記透過部及び前記反射部は、画素中心に関して行方向において対称に設けられている
立体映像表示装置。
【請求項2】
前記画素において、前記透過部が画素中央部に設けられ、前記反射部が前記透過部を挟んでその両側に設けられている
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
前記画素は、前記反射部に対応する部位にカラーフィルタを介して形成された透明段差層を有する
請求項2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記画素において、前記反射部が画素中央部に設けられ、前記透過部が前記反射部を挟んでその両側に設けられている
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
前記画素は、前記反射部に対応する部位にカラーフィルタを介して形成された透明段差層を有する
請求項4に記載の立体映像表示装置。
【請求項6】
前記画素において、前記透過部及び前記反射部が行方向において平行に設けられている
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項7】
前記画素は、行方向を長辺として配置された複数の副画素からなり、
前記透過部及び前記反射部が前記副画素の長辺に対して平行に設けられている
請求項6に記載の立体映像表示装置。
【請求項8】
前記画素は、前記反射部に対応する部位にカラーフィルタを介して形成された透明段差層を有し、当該透明段差層が存在する部分と存在しない部分とが前記副画素の長辺方向に対して平行に配置されている
請求項7に記載の立体映像表示装置。
【請求項9】
前記光学部品は、前記半透過型表示部よりも観察者側に配置されている
請求項2、請求項4、または、請求項6に記載の立体映像表示装置。
【請求項10】
前記光学部品は、パララックスバリアである
請求項9に記載の立体映像表示装置。
【請求項11】
前記光学部品は、液晶方式のパララックスバリアである
請求項10に記載の立体映像表示装置。
【請求項12】
前記光学部品は、レンチキュラーレンズである
請求項9に記載の立体映像表示装置。
【請求項13】
前記光学部品は、液晶レンズであり、
前記液晶レンズは、液晶に電圧を印加する状態と印加しない状態で、レンズ効果が生じる状態とレンズ効果が生じない状態を切り替えることができる
請求項9に記載の立体映像表示装置。
【請求項14】
前記光学部品のストライプ方向と前記半透過型表示部のカラーフィルタのストライプ方向とが直交する関係にあり、
前記光学部品の1ユニットは、前記半透過型表示部のほぼ2画素につき1つ設けられている
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項15】
前記光学部品のストライプ方向と前記半透過型表示部のカラーフィルタのストライプ方向とが平行になる関係にあり、
前記光学部品の1ユニットは、前記半透過型表示部のほぼ2色につき1つ設けられている
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項16】
背面側から入射した光を透過する透過部、及び、前面側から入射した光を反射する反射部を有する画素が行列状に2次元配置され、複数の視差映像を表示可能な半透過型表示部と、
前記半透過型表示部によって表示された複数の視差映像を観察者に対して立体的に知覚することを可能にする光学部品とを備え、
前記光学部品は、前記半透過型表示部からの光を透過する透過領域と、前記半透過型表示部からの光を遮断する遮断領域とを含み、
前記画素の前記透過部及び前記反射部は、前記透過領域の長軸方向に延びる中央線に関して線対称に設けられている
立体映像表示装置。
【請求項17】
背面側から入射した光を透過する透過部、及び、前面側から入射した光を反射する反射部を有する画素が行列状に2次元配置され、複数の視差映像を表示可能な半透過型表示部と、
前記半透過型表示部によって表示された複数の視差映像を観察者に対して立体的に知覚することを可能にする光学部品とを備え、
前記画素の前記透過部及び前記反射部は、画素中心に関して行方向において対称に設けられている
立体映像表示装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−257619(P2011−257619A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132626(P2010−132626)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】