説明

立体画像処理装置、立体画像処理方法、及び立体画像処理プログラム

【課題】画像が表す各物体までの距離を視聴者に容易に把握させることができる。
【解決手段】物体情報抽出部は、立体画像を表す立体画像信号から物体毎の画像を表す物体情報を抽出し、案内画像生成部は、前記抽出された物体情報が表す物体の視点からの距離を視聴者が把握しやすくするための案内画像を表す案内画像信号を生成し、画像信号合成部は、前記生成した案内画像信号が表す案内画像を前記物体の少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像処理装置、立体画像処理方法、及び立体画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、視聴者に立体画像を表示する立体画像表示装置が提案されてきた。立体画像表示装置は、視聴者の左右各眼に対応した2次元画像を表示することで立体視を実現する。ここで、表示された画像が表す物体の距離に応じて、左右の画像間において表示される位置のずれがある。このずれを視差量といい、一般的に、メートルなどの長さの単位や、画素、表示画面の水平サイズに対するパーセンテージなどの単位で表される。言い換えれば、視差量を調節することによって、その物体が知覚される距離を調節する。
例えば、特許文献1に記載の立体映像処理装置は、左眼用画像と右眼用画像とを立体表示制御部に供給し、スクリーン上に視差量を持って表示させ、立体視できるようにした立体映像処理装置において、視差量を調整する調整手段と、調整手段によつ調整動作のときに、スクリーンの前後に延在するように映し出すための調整用に参照する参照用立体画像信号を発生し、立体表示制御部に供給する参照用立体画像信号生成手段とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−155155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の立体画像表示装置は、参照用立体画像信号をスクリーンの前後に延在するように映し出すため、画像が表す物体との距離関係を視聴者が容易に把握できないことがあった。また、複数の物体の画像が表示されているとき、各物体までの距離が異なるため、表示されている参照用立体画像信号が、どの物体との距離を比較するか視聴者が容易に把握できないことがあった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、画像が表す各物体までの距離を視聴者に容易に把握させることができる立体画像処理装置、立体画像処理方法、及び立体画像処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、立体画像を表す立体画像信号から物体毎の画像を表す物体情報を抽出する物体情報抽出部と、前記抽出された物体情報が表す物体の視点からの距離に案内画像を表す案内画像信号を生成する案内画像生成部と、前記生成した案内画像信号が表す案内画像を前記物体の少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成する画像信号合成部と、を備えることを特徴とする立体画像処理装置である。
【0007】
(2)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記案内画像生成部は、前記案内画像として前記距離が一定の画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする。
【0008】
(3)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離が最大となる最大距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする。
【0009】
(4)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離が最小となる最小距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする。
【0010】
(5)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離が最大となる最大距離と前記物体の視点からの距離が最小となる最小距離の中間である中心距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする。
【0011】
(6)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離の平均である平均距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする。
【0012】
(7)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離が最頻となる最頻距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする。
【0013】
(8)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、操作入力を受け付けて、前記物体の視点からの距離を表す距離情報を入力する操作入力部を備え、
前記案内画像生成部は、前記入力された距離情報が表す距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする。
【0014】
(9)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記案内画像生成部は、前記物体情報に対応する物体の形状を有する案内画像を表す前記案内画像信号を生成することを特徴とする。
【0015】
(10)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記画像信号合成部は、前記生成した案内画像信号を、前記物体を占める領域に前記立体画像信号よりも優先して前記立体画像信号と合成することを特徴とする。
【0016】
(11)本発明のその他の態様は、上述の立体画像処理装置において、前記案内画像生成部は、前記物体情報に対応する物体のうち少なくとも2以上の物体のいずれかの距離に表わされる案内画像を表す案内画像信号を生成し、前記画像信号合成部は、前記案内画像信号が表す案内画像を、前記少なくとも2以上の物体の各々について少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成することを特徴とする。
【0017】
(12)本発明のその他の態様は、立体画像処理装置における立体画像処理方法において、前記立体画像処理装置が、立体画像を表す立体画像信号から物体毎の画像を表す物体情報を抽出する過程と、前記立体画像処理装置が、前記抽出された物体情報が表す物体の視点からの距離に案内画像を表す案内画像信号を生成する過程と、前記立体画像処理装置が、前記生成した案内画像信号が表す案内画像を前記物体の少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成する過程とを有することを特徴とする立体画像処理方法である。
【0018】
(13)本発明のその他の態様は、立体画像処理装置のコンピュータに、立体画像を表す立体画像信号から物体毎の画像を表す物体情報を抽出する手順、前記抽出された物体情報が表す物体の視点からの距離に案内画像を表す案内画像信号を生成する手順、前記生成した案内画像信号が表す案内画像を前記物体の少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成する手順を実行させるための立体画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像が表す各物体までの距離を視聴者に容易に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る立体画像処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】視聴者とディスプレイの位置関係の一例を表す概念図である。
【図3】視聴者とディスプレイの位置関係のその他の例を表す概念図である。
【図4】視聴者とディスプレイの位置関係のその他の例を表す概念図である。
【図5】本実施形態に係る立体画像処理を表すフローチャートである。
【図6】立体画像の一例を表す図である。
【図7】立体画像のその他の例を表す図である。
【図8】物体間の位置関係の一例を表す表面図である。
【図9】表示画像の一例を表す図である。
【図10】案内画像と物体の位置関係の一例を表す表面図である。
【図11】表示画像のその他の例を表す図である。
【図12】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図13】表示画像のその他の例を表す図である。
【図14】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図15】表示画像のその他の例を表す図である。
【図16】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図17】表示画像のその他の例を表す図である。
【図18】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図19】表示画像のその他の例を表す図である。
【図20】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図21】表示画像のその他の例を表す図である。
【図22】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図23】表示画像のその他の例を表す図である。
【図24】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図25】表示画像のその他の例を表す図である。
【図26】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図27】表示画像のその他の例を表す図である。
【図28】表示画像のその他の例を表す図である。
【図29】案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
【図30】表示画像のその他の例を表す図である。
【図31】サイドバイサイド形式で多重化した立体画像信号を表す概念図である。
【図32】トップアンドボトム形式で多重化した立体画像信号を表す概念図である。
【図33】フレームシーケンシャル形式で多重化した立体画像信号を表す概念図である。
【図34】本実施形態に係る画像信号入力部の構成を表す概略図である。
【図35】本実施形態に係る画像信号入力処理を表すフローチャートである。
【図36】本実施形態に係る案内画像生成部の構成を表す概略図である。
【図37】本実施形態に係る案内画像生成処理を表すフローチャートである。
【図38】本実施形態に係る案内画像設定情報を決定する処理を表すフローチャートである。
【図39】本実施形態に係る表示設定画面の一例を表す図である。
【図40】本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
【図41】本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
【図42】本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
【図43】本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
【図44】本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
【図45】本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
【図46】本実施形態に係る表示画像生成部の構成を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る立体画像処理装置1の構成を示す概略図である。
立体画像処理装置1は、画像信号入力部101、データ入力部102、物体情報抽出部103、操作入力部104、案内画像生成部105、表示画像生成部(画像信号合成部)106、及び画像表示部107を含んで構成される。
【0023】
画像信号入力部101は、外部から立体画像信号を入力される。外部とは、例えば、画像を撮影する撮影装置、録画された画像を再生する録画装置、放送波又は通信回線により伝送された画像信号を受信する受信装置、等がある。
入力される立体画像信号は、被写体である物体表面の画像を立体的に表す信号である。入力される立体画像信号は、例えば、左右方向及び上下方向の2次元平面上の各座標における画像の輝度値と、視点から当該物体表面までの奥行方向の距離を表す信号を含む。入力される立体画像信号は、例えば平面画像信号と距離画像信号を含む。平面画像信号は、2次元平面上の各座標における輝度値を含む画像信号(「2次元画像信号」、「テクスチャ画像信号」ともいう。)である。距離画像信号は、例えば、当該各座標における、視点からの奥行方向の距離を表す奥行値(「デプス値」、「距離値」ともいう。)を含むデプスマップである。
以下の説明では、デプス値が小さいほど、視点からの距離が短くなるように定義されている場合を例にとって説明する。本実施形態では、これには限られず、デプス値と視点からの距離が一意に対応付けられていればよい。例えば、デプス値が大きいほど視点からの距離が長くなるように定義されていてもよい。
距離画像信号は、その他、各座標における視差量を含む視差マップでもよい。
入力される立体画像信号は、その他ある物体に対して左側の視点からの画像を表す左画像信号と、当該物体に対して右側の視点からの画像を表す右画像信号とを含むステレオ画像信号であってもよい。左画像信号は、左眼に表示する左画像を表す画像信号であり、右画像信号は、右眼に表示する右画像を表す画像信号である。
画像信号入力部101は、入力された立体画像信号を物体情報抽出部103及び表示画像生成部106に出力する。
【0024】
データ入力部102には、画像信号入力部101に入力される立体画像信号に関連する関連データが、外部から入力される。関連データは、例えば、画像の左右方向・上下方向の画素数を表すサイズ情報、1秒間に画像を取得もしくは再生するフレーム数であるフレームレート、等、画像信号入力部101に入力される立体画像信号の属性を表すデータである、メタデータを含む。
データ入力部102は、入力された関連データを物体情報抽出部103に出力する。
【0025】
物体情報抽出部103には、画像信号入力部101から立体画像信号が、データ入力部102から関連データが、それぞれ入力される。物体情報抽出部103は、入力された立体画像信号から、入力された関連データを参照して物体毎の画像を表す物体情報を抽出する。即ち、抽出した物体情報は、物体(被写体)毎に表される画像を占める領域を表す情報である。この物体情報は、例えば各物体が占める座標に対して物体毎に異なる識別値を含む。
物体情報抽出部103は、入力された立体画像信号が表す距離画像信号と、抽出した物体情報を、案内画像生成部105及び表示画像生成部106に出力する。
【0026】
ここで、物体情報抽出部103は、入力された立体画像信号がステレオ画像信号である場合には、左右画像信号が各々表す画像の視差量を求め、求めた視差量を視聴位置からのデプス値に変換し、距離画像信号を生成する。視差量とデプス値との対応関係については後述する。物体情報抽出部103は、視差量を求めるために、例えば左画像信号と右画像信号との間でブロックマッチングを行って左画像信号が表す画像に対応する領域を右画像信号からブロック毎に探索する。
【0027】
物体情報抽出部103は、例えば、距離画像信号に基づいて物体情報を抽出する。ここで、物体情報抽出部103は、距離画像信号が表すデプス値が予め定めた値よりも少ない範囲で分布している各1つの領域を1つの物体を表す画像を占める領域と判断する。物体情報抽出部103は、判断された領域を表す情報を物体情報として生成する。これにより、物体情報抽出部103は、デプス値によって異なる物体の画像を表す物体情報を抽出することができる。
【0028】
物体情報抽出部103は、その他、エッジ抽出法を用いて物体情報を抽出してもよい。ここで、物体情報抽出部103は、入力された平面画像信号に対して急激に輝度値が変化する領域であるエッジを抽出する。
物体情報抽出部103は、例えば、平面画像信号のある座標における輝度値と、左右方向又は上下方向に隣接する座標の輝度値との差分値を算出する。物体情報抽出部103は、算出した差分値の絶対値が予め定めた閾値よりも大きい場合、その座標がエッジであると判断する。物体情報抽出部103は、外縁がエッジで囲まれる各1つの閉じた領域を占める1つの物体を表す物体情報として生成する。
物体情報抽出部103は、その1つの閉じた領域に他の閉じた領域を含む場合や、他の閉じた領域が接触する場合には、距離画像信号を参照して、それが、この他の閉じた領域を占める他の物体であると判断してもよい。ここで、物体情報抽出部103は、他の閉じた領域の内外におけるデプス値の差分の絶対値が予め設定された閾値よりも大きい場合に、他の物体であると判断する。また、物体情報抽出部103は、過去のエッジを表す情報を記憶し、1つの閉じた領域の動き量と他の閉じた領域の位置の動き量の差分の絶対値が予め設定された値よりも大きい場合に他の物体であると判断してもよい。
これにより、物体情報抽出部103は、輝度によって異なる物体の画像を表す物体情報を抽出することができる。
【0029】
操作入力部104は、利用者に対して案内画像に係る変数に対する設定を促す表示設定画面情報を記憶する記憶部を備える。
操作入力部104は、利用者による操作入力を検知し、表示設定画面情報を操作入力部104に内在する記憶部(図示せず)から読み出し、読み出した表示設定画面情報を画像表示部107に出力する。
また、操作入力部104は、画像表示部107が表示設定画面を表示しているとき、利用者による操作入力を検知し、検知した操作入力に基づいて案内画像に係る変数の設定値を決定する。操作入力部104は、決定した設定値を表す案内画像設定情報を、案内画像生成部105に出力する。表示設定画面情報、案内画像設定情報の具体例については後述する。
【0030】
案内画像生成部105には、物体情報抽出部103から距離画像信号と物体情報とが入力される。
案内画像とは、その画像自体を表示する、視点からの奥行方向の距離を表す画像であり、奥行き感ガイドとも呼ぶ。
案内画像生成部105は、既定の案内画像の形状を表す案内画像パターン信号と、案内画像に係る既定の変数を予め記憶した案内画像データ記憶部1052(後述の図36)を備える。
案内画像パターン信号は、例えば格子の画像を表す画像信号である。格子の画像は、長方形の外縁と、外縁に囲まれる領域の一部を左右方向又は上下方向に細長い躯体を表し、躯体が表されない領域が中空である画像である。
案内画像が格子の画像である場合、中空となる領域に立体画像信号が表す画像(元の画像)が表示される。これにより、案内画像の距離が、元の画像の距離と対比されるため、より視聴者に把握しやすくなるという効果がある。
【0031】
案内画像生成部105は、案内画像データ記憶部1052から案内画像パターン信号を読み出す。
なお、案内画像生成部105は、操作入力部104から入力された案内画像設定情報に応じた態様で案内画像パターン信号を生成してもよい。案内画像パターン信号の例については後述する。
案内画像生成部105は、読み出した案内画像パターン信号の左右方向及び上下方向の幅を、入力された物体情報が表す物体が占める領域の幅と同一又はこれよりも大きくなるように変更し、リサイズ案内画像信号を生成する。
【0032】
案内画像生成部105は、入力された物体情報が表す物体毎の平面座標において、その平面座標に対する距離画像信号が表すデプス値が示す位置(視点からの奥行方向の距離)に、案内画像が視聴者に知覚されるようにリサイズ案内画像信号を割り当てることによって、案内画像信号を生成する。
案内画像信号は、左眼に表示する左案内画像信号と右眼に表示する右案内画像信号を含む。案内画像生成部105は、そのデプス値が示す位置に、知覚される案内画像信号を生成するために、リサイズ案内画像信号を左案内画像信号と定める。案内画像生成部105は、そのデプス値に対応する視差量分だけ左右方向の座標がずれた位置にリサイズ案内画像信号を割り当てて右案内画像信号を生成する。このとき、左案内画像信号と右案内画像信号との間の視差量は一定である。視聴者が案内画像を視聴するとき、案内画像は、視点から距離が一定の平面として知覚される。そのため、案内画像の奥行方向の位置を、より把握しやすくなるという効果がある。
案内画像生成部105は、1つの物体に対する案内画像について一定の視差量を与えてもよい。その場合、案内画像生成部105は、各物体に対する案内画像の視差量に対応するデプス値を表す案内距離画像信号を生成してもよい。
案内画像生成部105が生成した左案内画像信号と右案内画像信号を案内画像信号と総称する。
案内画像生成部105は、生成した案内画像信号と案内距離画像信号を表示画像生成部106に出力する。
【0033】
表示画像生成部106は、画像信号入力部101から立体画像信号が入力され、物体情報抽出部103から物体情報及び距離画像信号が入力される。表示画像生成部106は、案内画像生成部105から案内画像信号と案内距離画像信号が入力される。
ここで、表示画像生成部106は、入力された立体画像信号が平面画像信号と距離画像信号である場合には、その平面画像信号と距離画像信号に基づいて左画像信号及び右画像信号を生成する。表示画像生成部106は、例えば、平面画像信号を左画像信号と定める。表示画像生成部106は、各座標における平面画像信号の輝度値を、その座標における距離画像信号が表す視差量分ずれた座標に割り当てて右画像信号を生成する。
【0034】
表示画像生成部106は、距離画像信号と案内距離画像信号を参照して、よりデプス値の小さいほうが優先されるように立体画像信号と案内画像信号を座標毎に合成して表示画像信号を生成する。なお、表示画像信号は、後述する左表示画像信号と右表示画像信号の総称である。
即ち、ある座標における立体画像信号に係る距離画像信号のデプス値が、案内距離画像信号のデプス値よりも小さい場合、表示画像生成部106は、その座標における左画像信号の輝度値を左表示画像信号の輝度値と定める。このとき、表示画像生成部106は、その座標における右画像信号の輝度値を右表示画像信号の輝度値と定める。
ある座標における立体画像信号に係る距離画像信号のデプス値が、案内距離画像信号のデプス値と等しいか、より大きい場合、表示画像生成部106は、その座標における左案内画像信号の輝度値を左表示画像信号の輝度値と定める。このとき、表示画像生成部106は、その座標における右案内画像信号の輝度値を、右表示画像信号の輝度値と定める。
表示画像生成部106は、生成した表示画像信号を画像表示部107に出力する。
【0035】
画像表示部107は、表示画像生成部106から入力された表示画像信号が表す画像をディスプレイに表示する。画像表示部107は、表示画像信号に含まれる左表示画像信号が表す画像と右表示画像信号が表す画像を表示する。左表示画像信号が表す画像の原点と右表示画像信号が表す画像の原点の座標は、同一である。表示画像信号が表す画像を表示するディスプレイは、画像表示部107に内蔵されるものであっても画像表示部107から離れた場所に設置されたものであってもよい。
【0036】
画像表示部107は、例えば、左表示画像信号が表す画像と右表示画像信号が表す画像を予め定めた時間間隔で(例えば、1/60秒)交互にスクリーンに表示するプロジェクタである。視聴者は、この時間間隔に同期させて視聴者の左右各眼に光線を透過するか否かを制御することができるシャッター(例えば、液晶シャッター)を備えた立体視用眼鏡を用いて立体画像を視聴する。
画像表示部107は、その他左表示画像信号が表す画像と右表示画像信号が表す画像を互いに異なる偏光特性でスクリーンに表示するプロジェクタであってもよい。視聴者は、左表示画像信号に対する偏光特性に対応した偏光フィルタを左眼レンズに備え、右表示画像信号に対する偏光特性に対応した偏光フィルタを右眼レンズに備えた立体視用眼鏡を用いて立体画像を視聴する。
画像表示部107は、その他、左表示画像信号が表す画像と右表示画像信号が表す画像の上下方向に長い画像帯を交互に表示する表示面と、その前面を上下方向に延伸されたスリットを備えた視差バリア方式のディスプレイであってもよい。また、画像表示部107は、その表示面と、その前面を上下方向に延伸された凸レンズ(レンティキュラレンズ)を備えたレンティキュラ方式のディスプレイであってもよい。
【0037】
ここで、視聴者がディスプレイに表された画像を視聴する場合を例にとって、視差量とデプス値との対応関係について説明する。
図2は、視聴者とディスプレイの位置関係の一例を表す概念図である。
図2において、左右方向は視聴者にとり左右方向を表し、上下方向は視聴者にとり奥深・手前方向を表す。
図2の上方に示された台形は、ディスプレイ173を表す。ディスプレイの中央部に示された黒丸は、ディスプレイに現された画像の一点174であり、後述する中点177から奥行方向に距離Lだけ離れた点である。
図2の左下に表された黒丸は、視聴者の左眼175を表す。図2の右下に表された黒丸は、視聴者の右眼176を表す。左眼175と右眼176の中間に表された黒丸は、両眼の中点177を表す。左眼175と右眼176との間の距離Tを両眼間距離と呼ぶ。点174から中点177までの距離Lが視聴者とディスプレイとの間の距離(「視聴距離」ともいう。)。視聴距離は、例えば、ディスプレイの垂直方向の幅(高さ方向の長さ)の3倍、又は視野角が30°となる点からディスプレイまでの距離である。左眼175から点174を結ぶ線分と右眼176から点174を結ぶ線分がなす角αを輻輳角と呼ぶ。
図2において、左眼175から点174を結ぶ線分と右眼176から点174を結ぶ線分がディスプレイ173上で交わっていることは、点174と点177までの距離が、視聴距離Lで表されることを示す。これより、輻輳角αは、両眼幅Tと視聴距離Lと、式(1)に示される関係がある。
【0038】
【数1】

【0039】
図3は、視聴者とディスプレイの位置関係のその他の例を表す概念図である。
図3において、左右方向、上下方向が示す方向、ディスプレイ173、点174、左眼175、右眼176、及び中点177の位置関係は図2と同様である。
点174の右側に示されている点181は、左表示画像信号が表す画像の一点を表す。
点174の左側に示されている点182は、右表示画像信号が表す画像の一点であって、点181に対応する左表示画像信号が表す画像の一点を表す。点181と点182との間の距離が視差量d1である。
点183は、左眼175から点181を結ぶ線分と右眼176から点182を結ぶ線分との交点である。mは、中点177から交点183までの距離を表す。視聴者は、交点183の位置(距離m)に点181又は点182における画像を知覚する。
ここで、左眼175から交点183を結ぶ線分と右眼176から交点183を結ぶ線分がなす輻輳角β1は、距離m及び両眼幅Tと式(2)で表される関係がある。
【0040】
【数2】

【0041】
距離mは、視聴者から、視聴者が知覚する点183の位置までの距離を示し、その値は、視差量と視聴距離に対して一意に決まる。
例えば、ここで、視差量d1と交点183から点174までの距離L−mとの比が、両眼幅Tと距離mとの比と等しいことから、距離mは、視聴距離L、両眼幅T及び視差量d1との間において式(3)で表される関係がある。
【0042】
【数3】

【0043】
式(3)より、画像がディスプレイ173よりも手前に知覚される場合の視差量の値と、視聴者から画像が知覚される位置までの距離の値であるデプス値とは、相互に変換可能である。
また、式(3)を式(2)に代入すると、輻輳角β1は、視聴距離L、両眼幅T及び視差量d1との間において式(4)で表される関係がある。
【0044】
【数4】

【0045】
なお、距離mに対応する輻輳角β1から視聴距離Lに対応する輻輳角αを引いた差分値β1−αを視差角γ1と呼ぶ。視差角γ1がゼロより小さいときは、画像がディスプレイ173よりも遠方に知覚される。視差角γ1がゼロのときは、画像がディスプレイ上に知覚される。視差角γ1がゼロより大きいときは、画像がディスプレイ173よりも近傍に知覚される。
従って、図3に示す例は、距離mの値が視聴距離Lの値よりも小さい場合、輻輳角β1が輻輳角αよりも大きくなり(視差角γ1がゼロより大きい)、視聴者はディスプレイより手前に画像を知覚することを表す。
【0046】
図4は、視聴者とディスプレイの位置関係のその他の例を表す概念図である。
図4において、左右方向、上下方向が示す方向、ディスプレイ173、点174、左眼175、右眼176、及び中点177の位置関係は図2と同様である。
点174の左に示されている点191は、左表示画像信号が表す画像の一点を表す。
点174の右側に示されている点192は、右表示画像信号が表す画像の一点であって、点191に対応する左表示画像信号が表す画像の一点を表す。点191と点192との間の距離が視差量d2である。
点193は、左眼175から点191を結ぶ線分と右眼176から点192を結ぶ線分との交点である。nは、点174から交点193までの距離を表す。視聴者は、交点193の位置(距離(L+n))に点191又は点192における画像を知覚する。
ここで、左眼175から交点193を結ぶ線分と右眼176から交点193を結ぶ線分がなす輻輳角β2は、距離L+n及び両眼間距離Tと式(5)で表される関係がある。
【0047】
【数5】

【0048】
距離L+nは、視聴者から画像が知覚される位置までの距離を示す。その値は、視差量と視聴距離に対して一意に決まる。
ここで、視差量d2と交点193から点174までの距離nとの比が、両眼間距離Tと距離L+nとの比と等しいことから、距離L+nは、視聴距離L、両眼幅T及び視差量d2との間において式(6)で表される関係がある。
【0049】
【数6】

【0050】
式(6)より、画像がディスプレイ173よりも奥に知覚される場合の視差量と、視聴者から画像が知覚される位置までの距離とは、相互に変換可能である。
また、式(6)を式(5)に代入すると、輻輳角β2は、視聴距離L、両眼幅T及び視差量d2との間において式(7)で表される関係がある。
【0051】
【数7】

【0052】
なお、距離nに対応する輻輳角β2から視聴距離Lに対応する輻輳角αを引いた差分値β2−αを視差角γ2と呼ぶ。
従って、図4に示す例は、距離L+nの値が視聴距離Lの値よりも大きい場合、輻輳角β2が輻輳角αよりも小さくなり(視差角γ2がゼロより小さい)、視聴者はディスプレイより奥に画像を知覚することを表す。
【0053】
上述の実施形態において、案内画像生成部105は、例えば、式(3)が表す距離mと視差量d1の関係及び、式(6)が示す距離n+Lと視差量d2の関係を用いて、案内画像信号を生成してもよい。そのために、案内画像データ記憶部1052には、両眼幅T及び視聴距離Lに設置されたディスプレイの画素間間隔を上述の既定の変数として予め記憶させておいてもよい。
【0054】
次に、本実施形態に係る立体画像処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る立体画像処理を表すフローチャートである。
(ステップS101)画像信号入力部101は、外部から立体画像信号を入力される。
画像信号入力部101は、入力された立体画像信号を物体情報抽出部103及び表示画像生成部106に出力する。その後、ステップS102に進む。
(ステップS102)データ入力部102は、外部から関連データを入力される。データ入力部102は、入力された関連データを物体情報抽出部103に出力する。その後、ステップS103に進む。
【0055】
(ステップS103)物体情報抽出部103は、画像信号入力部101から立体画像信号を入力され、データ入力部102から関連データを入力される。物体情報抽出部103は、入力された立体画像信号から、関連データを算出して物体毎の画像を表す物体情報を抽出する。入力された立体画像信号がステレオ画像信号である場合には、左右画像信号が各々表す画像の視差量を求め、求めた視差量をデプス値に変換し、距離画像信号を生成する。
物体情報抽出部103は、入力された立体画像信号が表す距離画像信号と抽出した物体情報を案内画像生成部105及び表示画像生成部106に出力する。その後、ステップS104に進む。
【0056】
(ステップS104)案内画像生成部105は、物体情報抽出部103から距離画像信号と物体情報が入力される。
案内画像生成部105は、その内部に設けられた案内画像データ記憶部1052(図36)から案内画像パターン信号を読み出す。案内画像生成部105は、読み出した案内画像パターン信号の左右方向及び上下方向の幅を、入力された物体情報が表す物体が占める領域の幅と同一又はこれよりも大きくなるように変更し、リサイズ案内画像信号を生成する。
案内画像生成部105は、入力された物体情報が表す物体毎の平面座標において、その平面座標に対する距離画像信号に含まれるデプス値が表す距離に知覚されるように、リサイズ案内画像信号を割り当てて案内画像信号を生成する。
案内画像生成部105は、各物体に対する案内画像の視差量に対応する一定のデプス値を表す案内距離画像信号を生成する。案内画像生成部105は、生成した案内画像信号と案内距離画像信号を表示画像生成部106に出力する。その後、ステップS105に進む。
【0057】
(ステップS105)表示画像生成部106は、画像信号入力部101から立体画像信号が入力され、物体情報抽出部103から距離画像信号と物体情報が入力される。表示画像生成部106は、案内画像生成部105から案内画像信号と案内距離画像信号が入力される。
表示画像生成部106は、距離画像信号と案内距離画像信号を参照して、よりデプス値の小さいほうが優先されるように立体画像信号と案内画像信号を座標毎に合成して表示画像信号を生成する。
表示画像生成部106は、生成した表示画像信号を画像表示部107に出力する。その後、ステップS106に進む。
(ステップS106)画像表示部107は、表示画像生成部106から入力された表示画像信号が表す画像をディスプレイに表示する。その後、処理を終了する。
【0058】
次に立体画像処理装置1に入力された立体画像の一例について説明する。
図6は、立体画像の一例を表す図である。
図6上方の矩形の枠で囲まれた部分は、左画像I10Lを表す。図6下方の矩形の枠で囲まれた部分は、右画像I10Rを表す。左画像I10L、右画像I10Rの白抜きの部分は物体を表す画像を示す。左画像I10L、右画像I10Rの塗りつぶし部分は、背景を表す画像を示す。
左画像I10Lの中央に示された破線の円で囲まれる部分N10Lは、物体のデプス値のうち最も小さい、即ち視聴者からの距離が最も短い距離(最小距離)を与える点(最近景)を表す。左画像I10Lの矩形の枠の左辺と最小距離の部分N10Lとの間の距離dnL1は、部分N10Lの左右方向の座標を表す。左画像I10Lにおいて、左画像I10Lの左下に示された破線の円で囲まれる部分F10Lは、物体のデプス値のうち最も大きい、即ち視聴者からの距離が最も長い距離(最大距離)を与える点(最遠景)を表す。左画像I10Lの矩形の枠の左辺と部分F10Lとの間の距離dfL1は、部分F10Lの左右方向の座標を表す。
右画像I10Rの中央からやや左に示された破線の円で囲まれる部分N10Rは、最小距離を与える点を表す。右画像I10Rの左辺と部分N10Rとの間の距離dnR1は、部分N10Rの左右方向の座標を表す。右画像I10Rにおいて、右画像I10Rの左下に示された破線の円で囲まれる部分F10Rは、最大距離を与える部分を表す。右画像I10Rの矩形の枠の左辺と部分F10Rとの間の距離dfR1は、F10Rの左右方向の座標を表す。
従って、図6は、最大距離を与える部分の視差量がdfR1−dfL1であることを示し、また、最小距離を与える部分の視差量がdnR1−dnL1であることを示す。
案内画像生成部105は、物体に対応する案内画像信号に一定の視差量として最大距離又は最小距離に対応する視差量を与えて案内画像信号を生成してもよい。
【0059】
次に立体画像処理装置1に入力された立体画像のその他の例について説明する。
図7は、立体画像のその他の例を表す図である。
図7の左側において、矩形の枠で囲まれた部分は、左画像P8Lを表す。図7の右側において、矩形の枠で囲まれた部分は、右画像P8Rを表す。
左画像P8Lの左側に示された画像は、物体O1を表す画像である。左画像P8Lの右下に示された画像は、物体O2を表す画像である。右画像P8Rの左側に示された画像は、物体O1を表す画像である。右画像P8Rの右下に示された画像は、物体O2を表す画像である。右画像P8Rにおいて物体O1及びO2は、ともに左画像P8Lよりも右側にずれた位置に表示されている。但し、物体O1のほうが物体O2よりもずれ(視差量)が大きい。
【0060】
図8は、図7の物体間の位置関係の一例を表す表面図である。
図8において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥深・手前方向を表す。
図8は、図7に示される物体O1が物体O2よりも視聴者からの距離が長い位置(奥)に設置されていることを表す。従って、図8は、物体O2よりも視差量が大きい物体O1の画像が、距離がより長い位置に表されることを表す。
【0061】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像の一例について説明する。
図9は、表示画像の一例を表す図である。
図9の左側において、矩形の枠で囲まれた部分は、左表示画像P9Lを表す。図9の右側において、矩形の枠で囲まれた部分は、右表示画像P9Rを表す。左表示画像P9L、右表示画像P9R各々において、物体O1を囲む格子状の画像は、案内画像G91を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G91が重複する部分については、より距離が短い(手前)物体O1の画像が表されている。物体O2を囲む格子状の画像は、案内画像G92を表す。ここで、物体O2の画像と案内画像G92が重複する部分については、より距離が短い物体O2の画像が表されている。
【0062】
図10は、案内画像と物体の位置関係の一例を表す表面図である。
図10において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥深・手前方向を表す。図10は、案内画像G91が、物体O1の最大距離に知覚されることを表す。案内画像G92が、物体O2の最大距離に知覚されることを表す。
従って、図9、10は、案内画像生成部105が、各物体に対応する案内画像信号に一定の視差量として最大距離に対応する視差量を与えて案内画像信号を生成することを表す。また、表示画像生成部106は、より距離が短いほうが優先されるように立体画像信号と案内画像信号を座標毎に合成して表示画像信号を生成することを表す。これにより、視聴者は案内画像G91と物体O1を表す画像との対応関係や、案内画像G91が表す距離と物体O1が表す距離との関係を明確に把握することができる。案内画像G92と物体O2を表す画像についても同様である。
【0063】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図11は、表示画像のその他の例を表す図である。
図11の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I11Lを表す。図11の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I11Rを表す。左表示画像I11L、右表示画像I11R各々において、物体O1を囲む矩形の塗りつぶされた画像は、案内画像G111を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G111が重複する部分については、物体O1の画像が表されている。物体O2を囲む矩形の塗りつぶされた画像は、案内画像G112を表す。ここで、物体O2の画像と案内画像G112が重複する部分については、物体O2の画像が表されている。
図11は、案内画像生成部105が、案内画像データ記憶部1052から読み出した案内画像パターン信号が、図9とは異なり、矩形の塗りつぶしの案内画像パターンを用いることを示す。案内画像G111、G112は、内部が塗りつぶされているため、それぞれ物体O1、O2との境界が連続した線で表される。そのため、視聴者は、物体O1、O2と案内画像G111、G112の間の相対的な距離感を容易に把握することができる。
また、上述では案内画像パターンが、矩形の塗りつぶし画像である場合について説明した。このような画像では、矩形の内部の領域の輝度値に変化がないため、視聴者が左右の画像間の視差を知覚できず、ひいては距離を知覚できないことがある。そのため、矩形の塗りつぶし画像の代わりに、模様や、写真、などの輝度値が変化するテクスチャ画像を案内画像パターンとして用いてもよい。このようにして、視聴者が、案内画像の視差を容易に知覚できるようにして距離をより明確に把握しやすくなる。
【0064】
図12は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図12において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。図12は、案内画像G111が、物体O1の最大距離に知覚されることを表す。案内画像G112が、物体O2の最大距離に知覚されることを表す。
【0065】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図13は、表示画像のその他の例を表す図である。
図13の左側において、矩形の枠で囲まれた部分は、左表示画像I12Lを表す。図11の右側において、矩形の枠で囲まれた部分は、右表示画像I12Rを表す。左表示画像I12L、右表示画像I12R各々において、物体O1を囲む物体O1と相似形の画像は、案内画像G121を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G121が重複する部分については、物体O1の画像が表されている。物体O2を囲む物体O2と相似形の画像は、案内画像G122を表す。ここで、物体O2の画像と案内画像G122が重複する部分については、物体O2の画像が表されている。
【0066】
図13は、案内画像生成部105が、物体情報抽出部103から入力された物体情報が表す物体O1、O2を占める領域を抽出して、各々案内画像パターン信号として生成することを示す。案内画像生成部105は、生成した案内画像パターン信号に対して各物体が占める領域を予め設定された拡大率情報(例えば、1.1倍)で拡大してリサイズ案内画像信号を生成する。案内画像生成部105は、生成した案内画像パターン信号に対して各物体が占める領域の左端と右端のうち少なくとも一方、及び上端と下端のうち少なくとも一方について、予め定めた径だけ拡大してリサイズ案内画像信号を生成してもよい。
案内画像G121、G122の形状は、それぞれ物体O1、O2の形状と相似形である。そのため、物体O1、O2と案内画像G121、G122の間の対応関係を容易に把握することができる。また、案内画像G121、G122は、水平方向及び垂直方向の幅が等しい矩形の案内画像G111、G122よりも占める面積が少なくて済む。
【0067】
図14は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図14において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。図14は、案内画像G121が、物体O1の最大距離に知覚されることを表す。案内画像G122が、物体O2の最大距離に知覚されることを表す。
【0068】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図15は、表示画像のその他の例を表す図である。
図15の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I14Lを表す。図11の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I14Rを表す。左表示画像I14L、右表示画像I14R各々において、物体O1を囲む格子状の画像は、案内画像G141を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G141が重複する部分については、案内画像G141が表されている。但し、案内画像G141の画像において中空の部分については、物体O1の画像が表されている。
物体O2を囲む格子状の画像は、案内画像G142を表す。ここで、物体O2の画像と案内画像G142が重複する部分については、案内画像G142が表されている。但し、案内画像G142の画像において中空の部分については、物体O2の画像が表されている。
図15は、案内画像生成部105が、案内画像データ記憶部1052から読み出した案内画像パターン信号が、図9と同様に、格子状の案内画像パターンを用いることを示す。
【0069】
図16は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図16において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。図16は、案内画像G141が、物体O1の最小距離に知覚されることを表す。案内画像G142が、物体O2の最小距離に知覚されることを表す。
従って、図15、16は、案内画像生成部105が、各物体に対応する案内画像信号に一定の視差量として最小距離に対応する視差量を与えて案内画像信号を生成することを表す。
また、案内画像生成部105は、図9と同様に格子状の案内画像パターンを用いて物体全体を覆わないような案内画像を表す案内画像信号を生成する。さらに、表示画像生成部106は、より距離が短いほうが優先されるように立体画像信号と案内画像信号を座標毎に合成して表示画像信号を生成することを表す。
これにより、視聴者は案内画像G141と物体O1を表す画像との対応関係や、案内画像G141が表す距離と物体O1が表す距離との関係を明確に把握することができる。案内画像G142と物体O2を表す画像についても同様である。
【0070】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図17は、表示画像のその他の例を表す図である。
図17の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I15Lを表す。図17の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I15Rを表す。左表示画像I15L、右表示画像I15R各々において、物体O1を囲む格子状の画像は、案内画像G151を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G151が重複する部分のうち、物体O1の前面と、物体O1の側面のうち手前側の部分に物体O1の画像が表され、その他の部分に案内画像G151が表されている。物体O2を囲む格子状の画像は、案内画像G152を表す。ここで、物体O2の画像と案内画像G152が重複する部分のうち、物体O2の前面と、物体O2の側面のうち手前側の部分に物体O2の画像が表され、その他の部分に案内画像G152が表されている。
【0071】
図18は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図18において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。図18は、案内画像G151が、物体O1の最小距離に対応する距離と最大距離に対応する距離の平均である中心距離(中央値)に知覚されることを表す。案内画像G152が、物体O2の中心距離に知覚されることを表す。
従って、図18、19は、案内画像生成部105が、各物体に対応する案内画像信号に一定の視差量として中心距離に対応する視差量を与えて案内画像信号を生成することを表す。また、案内画像生成部105は、図9と同様に格子状の案内画像パターンを用いて物体全体を覆わない案内画像を表す案内画像信号を生成する。
さらに、表示画像生成部106は、より距離が短いほうが優先されるように立体画像信号と案内画像信号を座標毎に合成して表示画像信号を生成することを表す。これにより、視聴者は案内画像G151と物体O1を表す画像との対応関係や、案内画像G151が表す距離と物体O1が表す距離との関係を明確に把握することができる。案内画像G152と物体O2を表す画像についても同様である。
なお、案内画像生成部105は、中心距離の代わりに各物体の前面までの距離の平均である平均距離(平均値)を用いてもよい。
【0072】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図19は、表示画像のその他の例を表す図である。
図19の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I24Lを表す。図19の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I24Rを表す。左表示画像I24L、右表示画像I24R各々において、物体O1を囲む格子状の画像は、案内画像G241を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G241が重複する部分には、案内画像G241が表されている。
但し、案内画像G241の画像において中空の部分については、物体O1の画像が表されている。物体O3の前面中心部には、他の物体O3の前面部分よりも凸な部分が示されている。物体O3を囲む格子状の画像は、案内画像G242を表す。ここで、物体O3の画像と案内画像G242が重複する部分のうち、物体O3の前面部と、物体O3の側面に案内画像G152が表され、物体O3の凸部に物体O3の画像が表されている。
【0073】
図20は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図20において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。図20は、案内画像G241が、物体O1の前面に対応する距離に知覚されることを表す。物体O1の前面は、物体O1表面までの距離のうち最も頻度が高い最頻距離であることを示す。また、図20は、物体O3の凸部を除いた前面部に案内画像G242が知覚されることも表す。物体O3の凸部を除いた前面部は、物体O3の凸部を含んだ表面までの距離のうち最も頻度が高い最頻距離であることを示す。
従って、案内画像生成部105が、各物体に対応する案内画像信号に一定の視差量として最頻距離(最頻値)に対応する視差量を与えて案内画像信号を生成することを、図19、20は表す。
【0074】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図21は、表示画像のその他の例を表す図である。
図21の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I16Lを表す。図21の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I16Rを表す。左表示画像I16L、右表示画像I16R各々において、物体O1を囲む格子状の画像は、案内画像G161を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G161が重複する部分には、案内画像G161が表されている。但し、案内画像G161の画像において中空の部分については、物体O1の画像が表されている。物体O2を囲む格子状の画像は、案内画像G162を表す。ここで、物体O2の画像と案内画像G162が重複する部分のうち、物体O2の周縁部に案内画像G162が表され、物体O2の中央部に物体O2の画像が表されている。
【0075】
図22は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図22において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。図22において、左右方向に延びる線分D0は、視差角がゼロ、つまり視聴者からディスプレイまでの距離(視聴距離)であることを表す線分である。
図22は、案内画像G161、G162が、ともに視聴距離に知覚されることを表す。図22は、物体O1全体の距離が視聴距離よりも長く、物体O2の中心部の距離が視聴距離よりも短く、物体O2の周縁部の距離が視聴距離よりも長いことを表す。
【0076】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図23は、表示画像のその他の例を表す図である。
図23の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I20Lを表す。図23の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I20Rを表す。左表示画像I20L、右表示画像I20R各々において、物体O1を囲む格子状の画像は、案内画像G201を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G201が重複する部分には、物体O1の画像が表されている。物体O2を囲む格子状の画像は、案内画像G202を表す。ここで、物体O2の画像と案内画像G202が重複する部分には、物体O2の画像が表されている。
【0077】
図24は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図24において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。図24において、左右方向に延びる線分D0は、視聴者からの距離が視聴距離であることを表す線分である。
図24は、案内画像G201、G202が、ともに物体O1及び物体O2よりも視聴者からの距離が長い距離(例えば、視聴距離より奥で、かつ視差角1°に対応する距離)に知覚されることを表す。
【0078】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図25は、表示画像のその他の例を表す図である。
図25の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I21Lを表す。図25の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I21Rを表す。左表示画像I21L、右表示画像I21R各々において、物体O1を囲む格子状の画像は、案内画像G211を表す。ここで、物体O1の画像と案内画像G211が重複する部分には、案内画像G211が表されている。物体O2を囲む格子状の画像は、案内画像G212を表す。ここで、物体O2の画像と案内画像G212が重複する部分には、案内画像G212が表されている。
【0079】
図26は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図26において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。図26において、左右方向に延びる線分D0は、視聴者からの距離が視聴距離であることを表す線分である。
図26は、案内画像G201、G202が、ともに物体O1及び物体O2よりも視聴者からの距離が短い距離(例えば、視聴距離より手前で、かつ視差角1°に対応する距離)に知覚されることを表す。
【0080】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図27は、表示画像のその他の例を表す図である。
図27の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I23Lを表す。図27の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I23Rを表す。左表示画像I23L、右表示画像I23R各々において、物体O1及び物体O2を囲む格子状の画像は、案内画像G231を表す。このように、案内画像生成部105は、2以上の物体もしくは全ての物体を表す画像の領域を占める案内画像を生成してもよい。
例えば、案内画像生成部105は、物体情報と距離画像信号を参照して、ある物体の距離から予め設定された距離に対応する物体が属する物体のグループを表す物体グループ情報を生成する。その他、操作入力部104は、操作入力により物体グループ毎の物体を表す情報を含む案内画像設定情報を生成するようにしてもよい。案内画像生成部105は、操作入力部104から入力された案内画像設定情報が表す物体グループ情報を抽出する。そして、案内画像生成部105は、物体グループ毎の物体を表す画像の領域を占める案内画像を生成する。
これにより、複数の物体を表す画像相互間、当該物体を表す画像と案内画像との間で、利用者は距離感を比較することができ、より容易に各物体の距離感を把握することができる。
【0081】
次に立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図28は、表示画像のその他の例を表す図である。
図28の左側において、枠で囲まれた画像は、左表示画像I25Lを表す。図28の右側において、枠で囲まれた画像は、右表示画像I25Rを表す。左表示画像I25L、右表示画像I25R各々において、物体O1を囲む2つの格子状の画像のうち破線で示す方が案内画像G251を表し、実線で示す方が案内画像G252を表す。物体O2を囲む2つの格子状の画像のうち、破線で示す方が案内画像G253を表し、実線で示す方が案内画像G254を表す。図28は、各物体について複数の案内画像を表す。但し、互いの表示位置が重複しないように、案内画像生成部105は、例えば、複数の案内画像を予め定めた水平方向及び垂直方向のずれ量でずれた位置に表示する。これにより、視聴者が各案内画像を容易に区別できるようになる。
また、案内画像生成部105は、複数個の案内画像を表示する場合、各案内画像をそれぞれ異なる色彩で表示しても構わない。これにより、視聴者は各案内画像の判別が容易となる。
【0082】
図29は、案内画像と物体の位置関係のその他の例を表す表面図である。
図29において、左右方向は視聴者に対して左右方向を示し、上下方向は視聴者に対して奥行・手前方向を表す。
図29は、案内画像G251が物体O1の最小距離に知覚され、案内画像G252が物体O1の最大距離に知覚されることを表す。案内画像G253が物体O2の最小距離に知覚され、案内画像G254が物体O2の最大距離に知覚されることを表す。
これにより、視聴者は、複数の案内画像を区別して把握でき、各案内画像と各物体との距離をより精密に比較することができ、物体毎の距離感を容易に把握することができる。
【0083】
次に、立体画像処理装置1が表示する表示画像のその他の例について説明する。
図30は、表示画像のその他の例を表す図である。
図30の左側において、矩形の枠で囲まれた部分は、左表示画像I13Lを表す。図30の右側において、矩形の枠で囲まれた部分は、右表示画像I13Rを表す。左表示画像I13L、右表示画像I13R各々において、左側の濃い塗りつぶし部分は、案内画像G121を表す。右側の濃い塗りつぶし部分は、案内画像G122を表す。
即ち、表示画像生成部106は、物体O1、O2を表す画像よりも案内画像G121、G122が優先されるように立体画像信号と案内画像信号を座標毎に合成して表示画像信号を生成することを表す。これにより、表示画像生成部106は、物体O1、O2を表す画像を非表示として、案内画像G121、G122が表す距離を視聴者に把握させることができる。そのため、視聴者は、各物体の最大距離又は最小距離について視差量の調整を容易に行うことができる。
なお、表示画像生成部106は、立体画像信号において、ある物体が占める領域の輝度値をゼロとして、案内画像信号と合成して表示画像信号を生成してもよい。これにより、その物体を非表示としてもよい。
【0084】
次に、画像信号入力部101の構成例について説明する。
以下に説明する構成例は、画像信号入力部101が立体画像信号としてステレオ画像信号を入力し、ステレオ画像信号に含まれる左画像信号と右画像信号を多重化した形式を判断する構成を表す。
左画像信号と右画像信号を多重化する形式は、主に(a)サイドバイサイド形式、(b)トップアンドボトム形式、(c)フレームシーケンシャル形式の3つがある。
【0085】
図31は、サイドバイサイド形式で多重化した立体画像信号を表す概念図である。
図31は、あるフレーム時刻における立体画像信号I1が表す画像を表す。立体画像信号I1の左半分には、左画像信号I1Lが配置され、立体画像信号I1の右半分には、右画像信号I1Rが配置されている。
図32は、トップアンドボトム形式で多重化した立体画像信号を表す概念図である。
図32は、あるフレーム時刻における立体画像信号I2が表す画像を表す。立体画像信号I2の上半分には、左画像信号I2Lが配置され、立体画像信号I2の下半分には、右画像信号I2Rが配置されている。
図33は、フレームシーケンシャル形式で多重化した立体画像信号を表す概念図である。図33は、予め定めた時間間隔(フレーム時間間隔の半分)毎に左画像信号I31L、右画像信号I31R、左画像信号I32L、右画像信号I32R等と、各フレームの左画像信号と右画像信号を交互に順列されている。
【0086】
図34は、本実施形態に係る画像信号入力部101の構成を表す概略図である。
画像信号入力部101は、データ形式記憶部1011、画像形式判断部1012、画像形式変換部1013、画像信号出力部1014、及び画像形式出力部1015を含んで構成される。
データ形式記憶部1011には、立体画像信号を多重化する多重化形式を表す形式情報を予め記憶させておく。
画像形式判断部1012は、データ形式記憶部1011に形式情報が記憶されているか否か判断する。記憶されていると判断されたとき、画像形式判断部1012は、データ形式記憶部1011から形式情報を読み出し、外部から入力された立体画像信号が多重化された多重化方式が、読み出された形式情報が表す多重化形式と異なるか否か判断する。異なると判断された場合、画像形式判断部1012は、立体画像信号の多重化形式を読み出した形式情報が表す多重化形式に変換することを表す変換要求信号を画像形式変換部1013に出力する。また、画像形式判断部1012は、入力された立体画像信号を画像形式変換部1013に出力する。
【0087】
画像形式変換部1013は、画像形式判断部1012から入力された変換要求信号が表す多重化形式に入力された立体画像信号の多重化形式を変換する。画像形式変換部1013は、多重化形式を変換した場合には、多重化形式が変換された立体画像信号を画像信号出力部1014に出力する。画像形式変換部1013は、多重化形式を変換しなかった場合には、入力された立体画像信号を画像信号出力部1014に出力する。
画像形式変換部1013は、変換した多重化形式を表す形式情報を画像形式出力部1015に出力する。
【0088】
画像信号出力部1014は、画像形式変換部1013から入力された立体画像信号を物体情報抽出部103及び表示画像生成部106に出力する。
画像形式出力部1015は、画像形式変換部1013から入力された形式情報を案内画像生成部105及び表示画像生成部106に出力する。従って、案内画像生成部105は、画像形式出力部1015から形式情報が入力されたとき、その形式情報が表す形式で案内画像信号を多重化する。表示画像生成部106は、画像形式出力部1015から形式情報が入力されたとき、その形式情報が表す形式で表示画像信号を多重化する。
【0089】
図35は、本実施形態に係る画像信号入力部101が行う画像信号入力処理を表すフローチャートである。
(ステップS201)画像形式判断部1012は、データ形式記憶部1011に形式情報が記憶されているか否か判断する。記憶されていると判断されたとき(ステップS201 Y)、ステップS202に進む。記憶されていないと判断されたとき(ステップS201 N)、ステップS204に進む。
【0090】
(ステップS202)画像形式判断部1012は、画像形式判断部1012は、入力された立体画像信号を画像形式変換部1013に出力する。画像形式判断部1012は、データ形式記憶部1011から読み出した形式情報が表す多重化形式と、外部から入力された立体画像信号が多重化された多重化方式が異なるか否か判断する。異なると判断された場合(ステップS202 Y)、画像形式判断部1012は読み出した形式情報が表す多重化形式に変換することを表す変換要求信号を画像形式変換部1013に出力し、ステップS203に進む。異なっていないと判断された場合(ステップS202 N)、画像形式変換部1013は、画像形式判断部1012から入力された立体画像信号を画像信号出力部1014に出力し、ステップS204に進む。
【0091】
(ステップS203)画像形式変換部1013は、画像形式判断部1012から入力された変換要求信号が表す多重化形式に入力された立体画像信号の多重化形式を変換する。画像形式変換部1013は、多重化形式を変換した場合には、多重化形式が変換された立体画像信号を画像信号出力部1014に出力する。その後、ステップS204に進む。
(ステップS204)画像信号出力部1014は、画像形式変換部1013から入力された立体画像信号を物体情報抽出部103及び表示画像生成部106に出力する。
画像形式出力部1015は、画像形式変換部1013から入力された形式情報を案内画像生成部105及び表示画像生成部106に出力する。その後、処理を終了する。
【0092】
次に、案内画像生成部105の構成例について説明する。
以下に説明する構成例は、操作入力部104が利用者による操作入力によって案内画像設定情報を設定し、案内画像生成部105が設定された案内画像設定情報に基づいて案内画像信号を生成する構成である。
図36は、本実施形態に係る案内画像生成部105の構成を表す概略図である。
案内画像生成部105は、案内画像設定情報決定部1051、案内画像データ記憶部1052、案内画像パターン生成部1053、サイズ調整部1054、視差付与部1055、画像形式入力部1056、及び多重化部1057を含んで構成される。
案内画像設定情報決定部1051は、操作入力部104から入力された案内画像設定情報を案内画像パターン生成部1052、及び視差付与部1055に出力する。また、案内画像設定情報決定部1051は、入力された案内画像設定情報から対象物体情報が表す物体に対する透明度情報を抽出し、抽出した透明度情報を表示画像生成部106に出力する。案内画像設定情報決定部1051は、操作入力部104から入力された案内画像消去信号を表示画像生成部106に出力する。案内画像設定情報の例、及び案内画像消去信号については後述する。
【0093】
案内画像データ記憶部1052は、予め形状情報と対応付けて案内画像パターン信号が記憶されている。例えば、格子を表す形状情報と格子状の案内画像パターンを表す案内画像パターン信号が対応付けられて記憶されている。
案内画像パターン生成部1053は、案内画像設定情報決定部1051から案内画像設定情報が入力され、物体情報抽出部103から物体情報が入力される。
案内画像パターン生成部1053は、案内画像設定情報に含まれる形状情報に対応する案内画像パターン信号を読み出す。但し、その形状情報が対象物体の形状を表す場合には、案内画像パターン生成部1053は、案内画像を生成する対象として対象物体情報が表す物体が占める領域を入力された物体情報から抽出して、案内画像パターン信号として生成する。この対象物体情報は、案内画像設定情報に含まれる情報であって、案内画像を生成する対象とする物体を表す情報である。
案内画像パターン生成部1053は、案内画像設定情報に含まれる色彩情報が表す色信号値を、案内画像パターン信号が占める領域に割り当て、色彩付与案内画像パターン信号を生成する。案内画像パターン生成部1053は、生成した色彩付与案内画像パターン信号をサイズ調整部1054に出力する。
【0094】
サイズ調整部1054は、案内画像パターン生成部1053から入力された色彩付与案内画像パターン信号の左右方向及び上下方向のサイズを変更して、リサイズ案内画像信号を生成する。変更後の径は、物体情報抽出部103から入力された物体情報が表す物体が占める領域の径と同一又は、予め設定された大きさだけ大きい径である。大きさ調整部1054は、生成したリサイズ案内画像信号を視差付与部1055に出力する。
【0095】
視差付与部1055は、サイズ調整部1054からリサイズ案内画像信号を入力され、物体情報抽出部103から物体情報と距離画像信号を入力され、案内画像設定情報決定部1051から案内画像設定情報が入力される。
視差付与部1055は、リサイズ案内画像信号を左案内画像信号と定める。視差付与部1055は、対象物体情報が表す物体が占める領域を入力された物体情報から抽出し、抽出した領域に対応する距離の代表値を入力された距離画像信号から定める。
視差付与部1055は、この距離の代表値を、案内画像設定情報に含まれる視差情報に基づいて定める。例えば、視差情報が最大距離を表す場合、視差付与部1055は、抽出した領域に対応する距離の最大距離を距離の代表値と定める。視差情報が最小距離を表す場合、視差付与部1055は、抽出した領域に対応する距離の最小距離を距離の代表値と定める。視差情報が中心距離を表す場合、視差付与部1055は、抽出した領域に対応する距離の最小距離と最大距離の平均値である中心距離を距離の代表値と定める。視差情報が最頻距離を表す場合、視差付与部1055は、抽出した領域に対応する距離のうち最も頻度が高い頻度で現れる最頻距離を距離の代表値と定める。視差情報が視差角で与えられている場合、その視差角に対応する距離を距離の代表値と定める。
【0096】
視差付与部1055は、定めた距離の代表値に対応する視差量を算出し、算出したその距離に対応する視差量分だけ左右方向の座標がずれた位置にリサイズ案内画像信号を割り当てて右案内画像信号を生成する。視差付与部1055は、生成した左案内画像信号と右案内画像信号を多重化部1057に出力する。
視差付与部1055は、対象物体毎に定めた距離の代表値をデプス値として、その物体が占める領域に割り当てた案内距離画像信号を生成する。視差付与部1055は、生成した案内距離画像信号を表示画像生成部106に出力する。
【0097】
画像形式入力部1056は、画像形式出力部1015から入力された形式情報を多重化部1057に出力する。
多重化部1057は、画像形式入力部1056から入力された形式情報が表す多重化形式で、視差付与部1055から入力された左案内画像信号と右案内画像信号を多重化して案内画像信号を生成する。多重化部1057は、多重化した案内画像信号を表示画像生成部106に出力する。
【0098】
次に案内画像生成部105が行う案内画像生成処理について説明する。
図37は、本実施形態に係る案内画像生成処理を表すフローチャートである。
(ステップS301)案内画像パターン生成部1053は、案内画像設定情報決定部1051から案内画像設定情報が入力され、物体情報抽出部103から物体情報が入力される。
案内画像パターン生成部1053は、案内画像設定情報に含まれる形状情報に対応する案内画像パターン信号を読み出す。但し、その形状情報が対象物体の形状を表す場合には、案内画像パターン生成部1053は、案内画像を生成する対象として対象物体情報が表す物体が占める領域を入力された物体情報から抽出して、案内画像パターン信号として生成する。その後、ステップS302に進む。
【0099】
(ステップS302)案内画像パターン生成部1053は、案内画像設定情報に含まれる色彩情報が表す色信号値を、案内画像パターン信号が占める領域に割り当て、色彩付与案内画像パターン信号を生成する。案内画像パターン生成部1053は、生成した色彩付与案内画像パターン信号をサイズ調整部1054に出力する。その後、ステップS303に進む。
【0100】
(ステップS303)サイズ調整部1054は、案内画像パターン生成部1053から入力された色彩付与案内画像パターン信号の左右方向及び上下方向のサイズを変更して、リサイズ案内画像信号を生成する。変更後の径は、物体情報抽出部103から入力された物体情報が表す物体が占める領域の径と同一又は、予め設定された大きさだけ大きい径である。大きさ調整部1054は、生成したリサイズ案内画像信号を視差付与部1055に出力する。その後、ステップS304に進む。
【0101】
(ステップS304)視差付与部1055は、サイズ調整部1054からリサイズ案内画像信号を入力され、物体情報抽出部103から物体情報と距離画像信号を入力され、案内画像設定情報決定部1051から案内画像設定情報が入力される。
視差付与部1055は、リサイズ案内画像信号を左案内画像信号と定める。視差付与部1055は、対象物体情報が表す物体が占める領域を入力された物体情報から抽出し、抽出した領域に対応する距離の代表値を入力された距離画像信号から定める。
視差付与部1055は、この距離の代表値を、案内画像設定情報に含まれる視差情報に基づいて定める。視差付与部1055は、定めた距離の代表値に対応する視差量を算出し、算出したその距離に対応する視差量分だけ左右方向の座標がずれた位置にリサイズ案内画像信号を割り当てて右案内画像信号を生成する。視差付与部1055は、生成した左案内画像信号と右案内画像信号を多重化部1057に出力する。その後、ステップS305に進む。
【0102】
(ステップS305)視差付与部1055は、対象物体毎に定めた距離の代表値をデプス値として、その物体が占める領域に割り当てた案内距離画像信号を生成する。視差付与部1055は、生成した案内距離画像信号を表示画像生成部106に出力する。その後、ステップS306に進む。
(ステップS306)多重化部1057は、画像形式入力部1056から入力された形式情報が表す多重化形式で、視差付与部1055から入力された左案内画像信号と右案内画像信号を多重化して案内画像信号を生成する。多重化部1057は、多重化した案内画像信号を表示画像生成部106に出力する。その後、処理を終了する。
【0103】
次に、案内画像設定情報を決定する処理の一例について説明する。
図38は、本実施形態に係る案内画像設定情報を決定する処理を表すフローチャートである。
(ステップS401)操作入力部104は、記憶部から表示設定画面情報を読み出し、読み出した表示設定画面情報を画像表示部107に出力する。画像表示部107は、操作入力部104から入力された表示設定画面情報が表す表示設定画面を表示する。表示設定画面の例については後述する。その後、ステップS402に進む。
(ステップS402)操作入力部104は、新たな案内画像を表示することを表す新規追加入力が検知されたか否か判断する。新規追加入力は、例えば、表示設定画面に表示された新規追加ボタンを示す操作入力である。新規追加入力が検知された場合(ステップS402 Y)、ステップS403に進む。新規追加入力が検知されなかった場合(ステップS402 N)、ステップS409に進む。
【0104】
(ステップS403)操作入力部104は、後述する対象物体情報等の操作入力を受け付ける操作窓を追加表示した表示設定画面情報を生成し、生成した表示設定画面情報を画像表示部107に出力する。画像表示部107は、操作入力部104から入力された表示設定画面情報に基づく表示設定画面を表示する。
操作入力部104は、案内画像を表示する対象となる物体を表す対象物体情報の入力を検知する。その後、ステップS404に進む。
(ステップS404)操作入力部104は、視差情報の種別又は視差量の値を表す視差情報の入力を検知する。視差情報の種別は、例えば、上述の最大距離、最小距離、中心距離、平均距離、又は最頻距離である。視差量の値は、例えば、視差角0°、0.6°、1°、−0.6°、−1°、その他任意に入力された実数値である。上述のように視差量と距離は一意に対応することから、視差量の値を表す視差情報は、距離を表す距離情報の一形態である。その後、ステップS405に進む。
(ステップS405)操作入力部104は、案内画像パターンの形状を表す形状情報の入力を検知する。形状情報は、例えば、上述の格子、矩形、又は物体の形状である。その後、ステップS406に進む。
(ステップS406)操作入力部104は、案内画像の色彩を表す色彩情報の入力を検知する。色彩情報は、例えば、RGB表色系で示される色空間値である。本実施形態では、その他の表色系、例えばHSV表色系で示される色空間値であってもよい。その後、ステップS407に進む。
(ステップS407)操作入力部104は、透明度情報の入力を検知する。透明度とは、案内画像が背後に表示される立体画像を透過して表示する度合いを表す指標値である。具体的には、透明度とは、案内画像信号と立体画像信号を合成して表示画像信号を生成する際、立体画像信号に対する比率を表す。透明度の最小値は0%であり、その場合には案内画像信号の輝度値が表示画像信号の輝度値として用いられる。透明度の最大値は100%であり、その場合には立体画像信号の輝度値が表示画像信号の輝度値として用いられる。 但し、対象となる立体画像信号が表す立体画像は、案内画像よりも奥に知覚される立体画像である。その後、ステップS408に進む。
【0105】
(ステップS408)操作入力部104は、設定反映ボタンを追加表示した表示設定画面情報を画像表示部107に出力する。操作入力部104は、設定反映ボタンを示す操作入力が検知されると、入力された対象物体情報、視差情報、形状情報、色彩情報、又は透明度情報を含む一式の案内画像設定情報を生成する。操作入力部104は、生成した案内画像設定情報を案内画像設定情報決定部1051に出力する。その後、ステップS409に進む。
(ステップS409)操作入力部104は、削除ボタンを追加表示した表示設定画面を表す表示設定画面情報を画像表示部107に出力する。削除ボタンが表示される位置は、例えば、対象物体情報等の操作入力を受け付ける操作窓の近傍である。
操作入力部104は、案内画像を削除することを表す削除入力が検知されたか否か判断する。削除入力は、例えば、表示設定画面に表示された削除ボタンを示す操作入力である。削除入力が検知された場合(ステップS409 Y)、ステップS410に進む。削除入力が検知されなかった場合(ステップS409 N)、ステップS411に進む。
【0106】
(ステップS410)操作入力部104は、削除入力に対応する案内画像設定情報を消去した表示設定画面情報を生成し、生成した表示設定画面情報を画像表示部107に出力する。これにより、表示設定画面に表示された表示設定画面情報が消去される。操作入力部104は、削除入力に対応する案内画像設定情報に対応する案内画像を消去することを表す案内画像消去信号を生成し、生成した案内画像消去信号を案内画像設定情報決定部1051に出力する。これにより、指示された案内画像が消去される。その後、ステップS402に進む。
【0107】
(ステップS411)操作入力部104は、新たに設定入力が検知されたか否か判断する。設定入力は、例えば、表示設定画面に表示された操作窓への操作入力である。設定入力が検知された場合(ステップS411 Y)、ステップS403に進む。設定入力が検知されなかった場合(ステップS411 N)、ステップS412に進む。
(ステップS412)操作入力部104は、表示設定画面に対する消去入力が検知されたか否か判断する。消去入力は、例えば、表示設定画面の右上端に×印で示された消去ボタンへの操作入力である。消去入力が検知された場合(ステップS412 Y)、ステップS402に進む。消去入力が検知された場合、処理を終了する。
【0108】
次に、本実施形態に係る表示設定画面の一例について説明する。
図39は、本実施形態に係る表示設定画面の一例を表す図である。
表示設定画面G281は、ステップS402で表示される表示設定画面である。図39の最上行の中央部の「奥行き感ガイド表示設定」という文字は表示設定画面であることを示す表題である。図39の最上行の右端の×印は、削除ボタンである。図39の最上行から2行目のオブジェクトID、視差、形状、透明度は、それぞれ対象物体情報、視差情報、形状情報、透明度情報を設定入力する項目を表す文字である。同行のR、G、Bは、色彩情報としてRGB表色系で示される赤色、緑色、青色の各成分の色空間値を設定入力する項目を表す文字である。
図39の左下の「奥行き感ガイド新規追加」という文字が表されたボタンG282は、新規追加ボタンである。
【0109】
次に、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例について説明する。
図40は、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
表示設定画面G281は、ステップS403で表示される表示設定画面である。この表示設定画面G281には、図39の表示設定画面G281に対して操作入力を受け付ける入力窓G291〜G297が、設定入力項目を表す文字の直下に追加されている。入力窓G291〜G293及びG297は、それぞれ対象物体情報、視差情報、形状情報、透明度情報に対する操作入力を受け付ける入力窓である。G294〜G296は、色彩情報としてRGB表色系で示される赤色、緑色、青色の各成分の色空間値に対する操作入力を受け付ける入力窓である。ここで入力窓G291には、対象物体情報として物体毎の識別値(オブジェクトID)1の操作入力が受け付けられ、その値1が表示されている。
【0110】
次に、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例について説明する。
図41は、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
表示設定画面G281は、ステップS404で表示される表示設定画面である。この表示設定画面G281には、図40の表示設定画面G281に対して入力窓G292に、視差情報として最大距離(最遠景)の操作入力が受け付けられ、受け付けられた情報として最大距離が表示されている。入力窓G292の直下には、プルダウンメニューG301が表示されている。プルダウンメニューG301は、入力窓G292を指示する操作入力が受け付けられると表示される。プルダウンメニューG301には、予め設定された視差情報の候補を表す文字が示される。図41では、視差情報の候補を表す文字として、最大距離(最遠景)、最小距離(最近景)、中心距離(中央値)、最頻距離(最頻値)、視差角0°、視差角−1°、視差角1°、視差角−0.6°、視差角+0.6°、視差角(任意)、奥行5cmが示されている。ここで、示された文字の何れかについて操作入力が受け付けられると、操作入力が受け付けられた文字に対応した視差情報の候補の何れかが選択される。
【0111】
図41に示す例では、視差情報として視差量の種別の一つである最大距離(最遠景)が選択され、選択された視差情報を表す文字である最遠景が入力窓G292に示されている。
奥行5cmとは、ディスプレイ面よりも奥に知覚され、かつ視差量の大きさ、つまり、画面上での左右画像のずれの量が5cmとなる立体画像の視差角を表す視差情報の一例を表す。ここで、視差量が、視聴者の両眼幅よりも大きくなると、瞳孔が正面よりも外側に向いてしまい、斜位や斜視等の症状を発するおそれがある。そのため、視差量が、視聴者の両眼幅を超えないことが望ましい。即ち、上述の奥行5cmとは、両眼幅が成人(例えば、6.3cm)に比べて小さい小児(例えば、5cm)に対して、両眼幅よりも大きな視差量を与える立体画像を視聴させることを禁止させるための目安である。利用者がこの項目を選択することで、ディスプレイ面よりも奥に知覚され、かつ視差量が5cmとなる案内画像を表示させることができる。この案内画像を用いることによって、立体視の機能が未成熟な小児を保護する手がかりが与えられる。
なお、視差角(任意)が選択された場合には、視差角を表す任意の実数値に対する操作入力を受け付けるための追加入力窓G311が入力窓G292の直下にさらに表示される。
【0112】
次に、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例について説明する。
図42は、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
表示設定画面G281は、図41の表示設定画面G281に対して追加入力窓G311が表示されている。追加入力窓G311には視差角を表す値+0.5°について操作入力が受け付けられ、この値を表す+0.5°を表す文字が示されている。
【0113】
次に、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例について説明する。
図43は、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
表示設定画面G281は、ステップS405で表示される表示設定画面である。この表示設定画面G281には、図41の表示設定画面G281に対して入力窓G293に、形状情報として格子の操作入力が受け付けられ、受け付けられた情報として格子が表示されている。入力窓G293の直下には、プルダウンメニューG321が表示されている。プルダウンメニューG321は、入力窓G293を指示する操作入力が受け付けられると表示される。プルダウンメニューには、予め設定された形状情報の候補を表す文字が示される。図43では、形状情報の候補を表す文字として、格子、矩形、物体の形状のいずれかが示されている。ここで、示された文字の何れかについて操作入力が受け付けられると、操作入力が受け付けられた文字に対応した形状情報の候補の何れかが選択される。図43に示す例では、形状情報として格子状の案内画像パターン信号を表す格子が選択され、選択された形状情報を表す文字である格子が入力窓G293に示されている。
【0114】
次に、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例について説明する。
図44は、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
表示設定画面G281は、ステップS408で表示される表示設定画面である。この表示設定画面G281には、図43の表示設定画面G281に対して入力窓G294〜G296には、操作入力が受け付けられた赤色、緑色、青色の各成分の色空間値として、255、0、0が表示されている。入力窓G207には、操作入力が受け付けられた透明度の値として0が表示されている。表示設定画面G281の右下の設定の反映という文字が表されたボタンは設定反映ボタンG299を表す。
【0115】
次に、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例について説明する。
図45は、本実施形態に係る表示設定画面のその他の例を表す図である。
表示設定画面G281は、ステップS409で表示される表示設定画面である。この表示設定画面G281には、図44の表示設定画面G281に対して設定反映ボタンG299が削除されている。入力窓G297の右横に削除という文字が表されたボタンは、削除ボタンG298を表す。
【0116】
次に、本実施形態に係る表示画像生成部106の構成例について説明する。
図46は、本実施形態に係る表示画像生成部106の構成を表す概略図である。
表示画像生成部106は、表示画像合成部1061及び表示画像多重化部1062を含んで構成される。
表示画像合成部1061は、画像信号出力部1014から立体画像信号が入力され、物体情報抽出部103から距離画像信号と物体情報が入力される。表示画像合成部1061は、視差付与部1055から案内距離画像信号が入力され、多重化部1057から案内画像信号が入力される。表示画像合成部1061は、案内画像設定情報決定部1051から透明度情報及び案内画像消去情報が入力される。
【0117】
表示画像合成部1061は、入力された立体画像信号から左画像信号と右画像信号を分離する。表示画像合成部1061は、入力された立体画像信号が平面画像信号と距離画像信号である場合には、その平面画像信号と距離画像信号に基づいて左画像信号と右画像信号を生成する。
また、表示画像合成部1061は、入力された案内画像信号から左案内画像信号と右案内画像信号を分離する。
【0118】
表示画像合成部1061は、入力された距離画像信号と案内距離画像信号を参照して、
より距離が短いほうが優先されるように立体画像信号と案内画像信号を座標毎に合成して表示画像信号を生成する。但し、案内画像信号を表示する場合には透明度情報を考慮して両画像信号の輝度値を重み付け加算して表示画像信号の輝度値を算出する。そこで、表示画像合成部1061は、透明度情報を考慮する座標を、物体情報を参照して透明度情報が表す物体が占める領域に含まれる座標と定める。なお、以下では、1から透明度情報が表す透明度を減じて得られる値を寄与度と呼ぶ。
【0119】
具体的には、ある座標における立体画像信号に係る距離画像信号のデプス値が、案内距離画像信号のデプス値よりも小さい場合、表示画像合成部1061は、その座標における左画像信号の輝度値を左表示画像信号の輝度値と定める。この場合、表示画像合成部1061は、その座標における右画像信号の輝度値を右表示画像信号の輝度値と定める。
ある座標における立体画像信号に係る距離画像信号のデプス値が、案内距離画像信号のデプス値と等しいか、より大きい場合、表示画像合成部1061は、その座標における左案内画像信号の輝度値に寄与度を乗じ、左画像信号の輝度値に透明度を乗じて重み付け加算した値を左表示画像信号の輝度値と定める。この場合、表示画像合成部1061は、その座標における右案内画像信号の輝度値に寄与度を乗じ、右画像信号の輝度値に透明度を乗じて重み付け加算した値を右表示画像信号の輝度値と定める。
【0120】
ある座標における立体画像信号に係る距離画像信号のデプス値が、案内距離画像信号のデプス値と等しいか、より大きい場合であって、透明度情報を考慮しない場合には、表示画像合成部1061は、その座標における左案内画像信号の輝度値を左表示画像信号の輝度値と定める。この場合、表示画像合成部1061は、その座標における右案内画像信号の輝度値を右表示画像信号の輝度値と定める。
【0121】
案内画像消去情報が入力された場合には、表示画像合成部1061は、案内画像信号との合成を停止し、立体画像信号を表示画像信号として表示画像多重化部1062に出力する。
但し、表示画像合成部1061は、物体情報を参照して案内画像消去情報が表す物体が占める領域に含まれる座標を案内画像信号との合成を静止する座標と定める。これにより、その物体についての案内画像が消去される。
表示画像合成部1061は、上述のように各座標における輝度値を定めることによって左表示画像信号と右表示画像信号を生成する。表示画像合成部1061は、生成した左表示画像信号と右表示画像信号を表示画像多重化部1062に出力する。
【0122】
表示画像多重化部1062は、表示画像合成部1061から入力された左表示画像信号と右表示画像信号を画像形式出力部から入力された形式情報が表す多重化形式で多重化して、表示画像信号を生成する。表示画像多重化部1062は、生成した表示画像信号を画像表示部107に出力する。なお、この形式情報が表す多重化方式を、画像表示部107が処理可能な多重化方式と予め設定し、予めこの形式情報をデータ形式記憶部1011に記憶しておく。これにより、画像表示部107は、表示画像多重化部1062から入力された表示画像信号に基づく画像を表示することができる。
【0123】
このように、本実施形態によれば、立体画像を表す立体画像信号から物体毎の画像を表す物体情報を抽出し、抽出された物体情報が表す物体の視点からの距離に案内画像を表す案内画像信号を生成し、生成した案内画像信号が表す案内画像を前記物体の少なくとも一部を占める領域に立体画像信号が表す画像と合成する。これにより、利用者にとって案内画像と物体を表す画像との対応関係が明らかになり、案内画像が表す距離と物体の距離を比較できるため物体の距離感を容易に把握することができる。
【0124】
上述では、立体画像信号、案内画像信号、表示画像信号がともに2視点の2視点画像信号である場合を例にとって説明したが、本実施形態では、これには限られない。本実施形態では、2視点よりも視点数が多い多視点画像信号であってもよい。多視点画像信号は、少ないとも1つの視点の基準画像信号と、その1つの視点と他の視点との関係を表す視点情報(例えば、距離画像信号)を用いて生成することができる。本実施形態では、視点毎に立体画像信号と案内画像信号を合成することによって多視点の表示画像信号を生成することができる。
【0125】
上述では、案内画像生成部105が案内画像信号を生成し、表示画像生成部106が表示画像信号を生成する際に、左側の画像信号(左案内画像信号、左表示画像信号、等)を基準に視差量を付与した右側の画像信号を生成する場合を例にとって説明した。本実施形態では、これには限られず、例えば、右側の画像信号を基準に視差量を付与した左側の画像信号を生成してもよい。また、本実施形態では、その他、基準となる画像信号に、各々その視差量の値の半分の値の視差量を左右各方向に付与して左側の画像信号と右側の画像信号を生成してもよい。
【0126】
上述では、表示設定画面を表示画像と同一の画像表示手段である画像表示部107に表示する場合を例にとって説明したが、本実施形態では、これには限られない。本実施形態では、表示画像と表示設定画面を異なる画像表示手段に表示してもよい。
【0127】
上述では、操作入力部104が設定反映ボタンを示す操作入力を検知してから案内画像設定情報を案内画像設定情報決定部1051に出力する場合を例にとって説明したが、本実施形態ではこれには限られない。本実施形態では、操作入力部104は、案内設定情報一部について操作入力が検知されたら、操作入力が検知された情報を即座に案内画像設定情報決定部1051に出力してもよい。これにより、視聴者が操作入力した案内設定情報に応じて案内画像の表示形態を実時間で変更することができる。例えば、視聴者は案内画像が知覚される距離を逐次に変更することができる。これにより、視聴者は各物体の画像の距離をより的確に把握することができる。
【0128】
なお、上述した実施形態における立体画像処理装置1の一部、例えば、物体情報抽出部103、案内画像生成部105、及び表示画像生成部106をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、立体画像処理装置1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態における立体画像処理装置1装置の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。立体画像処理装置1の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
【0129】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0130】
1…立体画像処理装置、
101…画像信号入力部、1011…データ形式記憶部、1012…画像形式判断部、
1013…画像形式変換部、1014…画像信号出力部、1015…画像形式出力部、
102…データ入力部、103…物体情報抽出部、104…操作入力部、
105…案内画像生成部、1051…案内画像設定情報決定部、
1052…案内画像データ記憶部、1053…案内画像パターン生成部、
1054…サイズ調整部、1055…視差付与部、1056…画像形式入力部、
1057…多重化部
106…表示画像生成部、1061…表示画像合成部、1062…表示画像多重化部
107…画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体画像を表す立体画像信号から物体毎の画像を表す物体情報を抽出する物体情報抽出部と、
前記抽出された物体情報が表す物体の視点からの距離に案内画像を表す案内画像信号を生成する案内画像生成部と、
前記生成した案内画像信号が表す案内画像を前記物体の少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成する画像信号合成部と、
を備えることを特徴とする立体画像処理装置。
【請求項2】
前記案内画像生成部は、前記案内画像として前記距離が一定の画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の立体画像処理装置。
【請求項3】
前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離が最大となる最大距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の立体画像処理装置。
【請求項4】
前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離が最小となる最小距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の立体画像処理装置。
【請求項5】
前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離が最大となる最大距離と前記物体の視点からの距離が最小となる最小距離の中間である中心距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の立体画像処理装置。
【請求項6】
前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離の平均である平均距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の立体画像処理装置。
【請求項7】
前記案内画像生成部は、前記物体の視点からの距離が最頻となる最頻距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の立体画像処理装置。
【請求項8】
操作入力を受け付けて、前記物体の視点からの距離を表す距離情報を入力する操作入力部を備え、
前記案内画像生成部は、前記入力された距離情報が表す距離に前記案内画像を表す案内画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の立体画像処理装置。
【請求項9】
前記案内画像生成部は、前記物体情報に対応する物体の形状を有する案内画像を表す前記案内画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の立体画像処理装置。
【請求項10】
前記画像信号合成部は、前記生成した案内画像信号を、前記物体を占める領域に前記立体画像信号よりも優先して前記立体画像信号と合成することを特徴とする請求項1に記載の立体画像処理装置。
【請求項11】
前記案内画像生成部は、前記物体情報に対応する物体のうち少なくとも2以上の物体のいずれかの距離に表わされる案内画像を表す案内画像信号を生成し、
前記画像信号合成部は、前記案内画像信号が表す案内画像を、前記少なくとも2以上の物体の各々について少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成することを特徴とする請求項1に記載の立体画像処理装置。
【請求項12】
立体画像処理装置における立体画像処理方法において、
前記立体画像処理装置が、立体画像を表す立体画像信号から物体毎の画像を表す物体情報を抽出する過程と、
前記立体画像処理装置が、前記抽出された物体情報が表す物体の視点からの距離に案内画像を表す案内画像信号を生成する過程と、
前記立体画像処理装置が、前記生成した案内画像信号が表す案内画像を前記物体の少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成する過程とを有すること
を特徴とする立体画像処理方法。
【請求項13】
立体画像処理装置のコンピュータに、
立体画像を表す立体画像信号から物体毎の画像を表す物体情報を抽出する手順、
前記抽出された物体情報が表す物体の視点からの距離に案内画像を表す案内画像信号を生成する手順、
前記生成した案内画像信号が表す案内画像を前記物体の少なくとも一部を占める領域に前記立体画像信号が表す画像と合成する手順
を実行させるための立体画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2013−106253(P2013−106253A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249761(P2011−249761)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】