説明

立体表示装置の駆動方法および立体表示装置

【課題】解像度を高めつつ、フリッカ感を感じるおそれを低減することができる立体表示装置の駆動方法を得る。
【解決手段】複数のバリアグループにグループ分けされた複数の光バリア(開閉部12A〜12D)を、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉駆動し、多視点画像(フレーム画像P1〜P8,Q1〜Q8)に基づいて、各バリアグループの光バリアの開閉動作に同期した表示動作を行う。上記表示動作では、複数のバリアグループの光バリアの開閉動作が一巡する一巡期間(バリア開閉周期T1)において、互いに異なる複数組の多視点画像に基づいて表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視表示が可能な、パララックスバリア方式の立体表示装置の駆動方法および立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体視表示を実現できる表示装置(立体表示装置)が注目を集めている。立体視表示は、互いに視差のある(視点の異なる)左眼映像と右眼映像を表示するものであり、観察者が左右の目でそれぞれを見ることにより奥行きのある立体的な映像として認識することができる。また、互いに視差がある3つ以上の映像を表示することにより、観察者に対してより自然な立体映像を提供することが可能な表示装置も開発されている。
【0003】
このような立体表示装置は、専用の眼鏡が必要なものと、不要なもの(裸眼立体表示装置)とに大別されるが、観察者にとっては専用の眼鏡は煩わしく感じるものであり、専用の眼鏡が不要なものが望まれている。専用の眼鏡が不要な表示装置としては、例えば、レンチキュラーレンズ方式や、視差バリア(パララックスバリア)方式などがある。これらの方式では、互いに視差がある複数の映像(視点映像)を同時に表示し、表示装置と観察者の視点との相対的な位置関係(角度)によって見える映像が異なるようになっている。
【0004】
このような表示装置で複数の視点の映像を表示した場合には、映像の実質的な解像度が、液晶表示装置などの表示装置自体の解像度を視点の数で割ったものとなるため、画質が低下してしまうという問題があった。この問題を解決するために、様々な検討がなされている。例えば、特許文献1には、パララックスバリア方式の表示装置において、表示面内に配置された複数の液晶バリアのそれぞれの透過状態(開状態)および遮断状態(閉状態)を時分割的に切り替える表示装置が提案されている。この表示装置では、1フレーム期間において、液晶バリアを2つのバリアグループ間で切り換え、その切り換え動作に同期して左右映像(LR)および右左映像(RL)を時分割的に表示することにより、解像度の改善を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−104105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このパララックスバリア方式の表示装置において、解像度を高めることは一般に難しい。具体的には、例えば、表示装置として液晶表示装置を用いた場合には、以下に示すように、ユーザがフリッカ感を感じ、画質が劣化したように感じてしまうおそれがある。
【0007】
液晶表示装置では、印加される電圧に応じて液晶分子が回転し、輝度が変調される。一般に、液晶分子の回転は遅いため、液晶表示装置において、実際に映像信号が印加されてから表示が完了するまでに、例えば3[msec]程度の応答時間が必要となる。つまり、液晶表示装置の表示映像の書き換え周期は、この応答時間により制約を受け、短くすることが難しい。
【0008】
パララックスバリア方式の表示装置において、解像度を高めるために、より多くのバリアグループを設け、液晶バリアをそれらのバリアグループ間で切り換える場合には、液晶バリアの開閉動作に同期して時分割的に表示される表示映像の数も多くなる。このとき、上述したように、表示映像の書き換え周期は短くすることが難しいため、1フレーム期間は、その表示映像の数だけ(言い換えればバリアグループの数だけ)長くなってしまう。その1フレーム期間が、例えば16.6[msec](=1/60[Hz])や20[msec](=1/50[Hz])よりも長くなった場合には、よく知られているように、観察者は表示映像に対してフリッカ感を感じるおそれがあり、この場合には画質が劣化したように感じてしまう。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、解像度を高めつつ、フリッカ感を感じるおそれを低減することができる立体表示装置の駆動方法および立体表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の立体表示装置の駆動方法は、複数のバリアグループにグループ分けされた複数の光バリアを、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉駆動し、多視点画像に基づいて、各バリアグループの光バリアの開閉動作に同期した表示動作を行うものである。上記表示動作では、複数のバリアグループの光バリアの開閉動作が一巡する一巡期間において、互いに異なる複数組の多視点画像に基づいて表示を行う。
【0011】
本発明の第2の立体表示装置の駆動方法は、複数のバリアグループにグループ分けされた複数の光バリアを、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉動作し、多視点画像に基づいて、各バリアグループの光バリアの開閉動作に同期した表示動作を行うものである。上記表示動作では、複数のバリアグループの光バリアの開閉動作が一巡する一巡期間において、少なくとも1つのバリアグループの光バリアに対応する部分の表示が、他のバリアグループの光バリアに対応する部分の表示とは、互いに異なる多視点画像に基づいて行われる。
【0012】
本発明の立体表示装置は、光バリア部と、バリア駆動部と、表示部とを備えている。光バリア部は、複数のバリアグループにグループ分けされた複数の光バリアを含むものである。バリア駆動部は、複数の光バリアを、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉動作させるものである。表示部は、複数のバリアグループの光バリアの開閉動作が一巡する一巡期間において、互いに異なる複数組の多視点画像に基づいて表示を行うものである。
【0013】
本発明の第1および第2の立体表示装置の駆動方法、および立体表示装置では、各バリアグループの光バリアの開閉動作に同期して、多視点画像に基づく表示が行われる。その際、表示動作は、一巡期間において、互いに異なる複数組の多視点画像に基づいて行われる。
【0014】
本発明の第1の立体表示装置の駆動方法では、例えば、複数のバリアグループは4つのバリアグループとすることができる。この場合、表示動作では、例えば、一巡期間において、第1組および第2組の多視点画像に基づいて表示を行うことが望ましい。また、例えば、複数のバリアグループは3つのバリアグループとすることができる。この場合、表示動作では、例えば、第1の一巡期間において、第1組および第2組の多視点画像に基づいて表示を行い、続く第2の一巡期間において、第2組および第3組の多視点画像に基づいて表示を行うことが望ましい。また、例えば、複数のバリアグループは2つのバリアグループとすることができる。この場合、表示動作では、例えば、一巡期間において、第1組および第2組の多視点画像に基づいて表示を行うことが望ましい。
【0015】
また、例えば、複数の光バリアは、所定の方向において、複数のバリアグループが巡回的に現れるように並設され、表示動作では、各組の多視点画像に基づいて、互いに隣り合っていない光バリアのバリアグループに同期して表示を行うようにしてもよい。また、例えば、複数の光バリアは、所定の方向において、複数のバリアグループが巡回的に現れるように並設され、表示動作では、各組の多視点画像に基づいて、互いに隣り合う光バリアのバリアグループに同期して表示を行うようにしてもよい。
【0016】
また、例えば、表示動作では、一巡期間において、複数組の多視点画像に基づいて、各バリアグループにそれぞれ対応する複数の系列の複合画像を生成して表示するようにしてもよい。
【0017】
本発明の立体表示装置では、例えば、表示部は液晶表示部であり、バックライトをさらに備えていてもよい。この場合、例えば、液晶表示部が、バックライトと光バリア部との間に配置されてもよいし、光バリア部が、バックライトと液晶表示部との間に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1および第2の立体表示装置の駆動方法および立体表示装置によれば、一巡期間において、互いに異なる複数組の多視点画像に基づいて表示を行うようにしたので、解像度を高めつつ、フリッカ感を感じるおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図3】第1の実施の形態に係る表示駆動部および表示部の一構成例を表すブロックである。
【図4】第1の実施の形態に係る表示部の一構成例を表す説明図である。
【図5】第1の実施の形態に係る画素の一構成例を表す回路図である。
【図6】第1の実施の形態に係る液晶バリア部の一構成例を表す説明図である。
【図7】第1の実施の形態に係る開閉部のグループを説明するための説明図である。
【図8】第1の実施の形態に係る表示部および液晶バリア部の一動作例を表す模式図である。
【図9】第1の実施の形態に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図10】第1の実施の形態に係る表示部および液晶バリア部の立体視表示の一動作例を表す模式図である。
【図11】第1の実施の形態に係る視認映像を表す模式図である。
【図12】第1の実施の形態に係るフレーム画像の画素情報配置を表す説明図である。
【図13】第1の実施の形態に係る複合フレーム画像の画素情報配置を表す説明図である。
【図14】第1の実施の形態に係る他のフレーム画像の画素情報配置を表す説明図である。
【図15】第1の実施の形態に係る他の複合フレーム画像の画素情報配置を表す説明図である。
【図16】第1の実施の形態に係る視認映像の画素情報配置を表す説明図である。
【図17】第1の実施の形態の比較例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図18】第1の実施の形態の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図19】第1の実施の形態の変形例に係る視認映像の画素情報配置を表す説明図である。
【図20】第1の実施の形態の変形例に係る視認映像を表す模式図である。
【図21】第2の実施の形態に係る開閉部のグループを説明するための説明図である。
【図22】第2の実施の形態に係る表示部および液晶バリア部の一動作例を表す模式図である。
【図23】第2の実施の形態に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図24】第2の実施の形態に係る複合フレーム画像の画素情報配置を表す説明図である。
【図25】第2の実施の形態に係る他の複合フレーム画像の画素情報配置を表す説明図である。
【図26】第2の実施の形態に係る他の複合フレーム画像の画素情報配置を表す説明図である。
【図27】第1の実施の形態の変形例に係る視認映像の画素情報配置を表す説明図である。
【図28】変形例に係る液立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図29】他の変形例に係る液晶バリアの一構成例を表す平面図である。
【図30】他の変形例に係る立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図31】他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表す模式図である。
【図32】他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図33】他の変形例に係るバックライトの一構成例を表す説明図である。
【図34】他の変形例に係る表示部の区域を説明するための説明図である。
【図35】他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図36】他の変形例に係る液晶バリア部の一構成例を表す説明図である。
【図37】他の変形例に係る開閉部のグループを説明するための説明図である。
【図38】他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0021】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すものである。立体表示装置1は、4つのバリアグループを有するパララックスバリア方式の表示装置である。なお、本発明の実施の形態に係る第1および第2の立体表示装置の駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0022】
立体表示装置1は、複合画像生成部45と、制御部40と、表示駆動部50と、表示部20と、バックライト駆動部42と、バックライト30と、バリア駆動部41と、液晶バリア部10とを備えている。
【0023】
複合画像生成部45は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて複合処理を行い、映像信号Sdisp2を生成するものである。具体的には、複合画像生成部45は、後述するように、立体表示装置1が立体視映像を表示する場合において、映像信号Sdispに含まれる複数(この例では8つ)の各視点映像のうち、互いに異なる2組のフレーム画像P1〜P8,Q1〜Q8に基づいて複合処理(後述)を行うことにより複合フレーム画像FA〜FDを生成し、これらの複合フレーム画像FA〜FDを含む映像信号SA〜SDからなる映像信号Sdisp2を生成するものである。
【0024】
制御部40は、映像信号Sdisp2に基づいて、表示駆動部50、バックライト駆動部42、およびバリア駆動部41がお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部40は、後述するように、立体表示装置1が立体視映像を表示する場合において、映像信号Sdisp2に基づいて、映像信号SA〜SDを表示駆動部50に対して供給するとともに、バックライト駆動部42に対してバックライト制御信号CBLを供給し、バリア駆動部41に対してバリア制御信号CBRを供給することにより、これらを制御するようになっている。
【0025】
表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動するものである。表示部20は、線順次走査により表示を行うものであり、この例では、液晶表示素子を駆動して、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行うようになっている。
【0026】
バックライト駆動部42は、制御部40から供給されるバックライト制御信号CBLに基づいてバックライト30を駆動するものである。バックライト30は、表示部20に対して面発光した光を射出するものである。バックライト30は、例えば、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)から射出した光を拡散板などにより拡散させ、ほぼ均一に面発光するようになっている。
【0027】
バリア駆動部41は、制御部40から供給されるバリア制御信号CBRに基づいて液晶バリア部10を駆動するものである。液晶バリア部10は、液晶により構成された複数の開閉部11,12(後述)を有し、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を、透過または遮断する機能を有している。
【0028】
図2は、立体表示装置1の要部の一構成例を表すものであり、(A)は立体表示装置1の分解斜視構成を示し、(B)は立体表示装置1の側面図を示す。図2に示したように、立体表示装置1では、これらの各部品は、バックライト30、表示部20、および液晶バリア部10の順に配置されている。つまり、バックライト30から射出した光は、表示部20および液晶バリア部10を介して、観察者に届くようになっている。
【0029】
(表示駆動部50および表示部20)
図3は、表示駆動部50および表示部20のブロック図の一例を表すものである。図4は、表示部20の一構成例を表すものである。
【0030】
図3に示したように、表示駆動部50は、タイミング制御部51と、ゲートドライバ52と、データドライバ53とを備えている。タイミング制御部51は、ゲートドライバ52およびデータドライバ53の駆動タイミングを制御するとともに、制御部40から供給された映像信号Sを映像信号S1としてデータドライバ53へ供給するものである。ゲートドライバ52は、タイミング制御部51によるタイミング制御に従って、表示部20内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ53は、表示部20の各画素Pixへ、映像信号S1に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ53は、映像信号S1に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0031】
表示部20は、例えばガラスなどから構成される2枚の透明基板の間に液晶材料を封入したものである。これらの透明基板の液晶材料に面した部分には、例えばITO(Indium Tin Oxide)などから構成される透明電極が形成され、液晶材料とともに画素Pixを構成している。表示部20には、図4に示したように、画素Pixがマトリックス状に配置されている。
【0032】
図5は、画素Pixの回路図の一例を表すものである。画素Pixは、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Capとを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)により構成されるものであり、ゲートがゲート線GCLに接続され、ソースがデータ線SGLに接続され、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Capの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Capは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線Csに接続されている。ゲート線GCLはゲートドライバ52に接続され、データ線SGLはデータドライバ53に接続されている。
【0033】
この構成により、バックライト30から射出した光は、表示部20の入射側に配置された偏光板(図示せず)によって定められる方向の直線偏光となり、液晶素子LCに入射する。液晶素子LCでは、データ線SGLを介して供給された画素信号に応じて、液晶分子の向きがある応答時間で変化する。このような液晶素子LCに入射した光は、その偏光方向が変化する。そして、液晶素子LCを透過した光は、表示部20の出射側に配置された偏光板(図示せず)に入射し、特定の偏光方向の光のみが通過する。このようにして、液晶素子LCでは光の強度変調が行われるようになっている。
【0034】
(液晶バリア部10)
図6は、液晶バリア部10の一構成例を表すものであり、(A)は液晶バリア部10の平面図を示し、(B)は側面図を示す。なお、この例では、液晶バリア部10はノーマリーブラック動作を行うものとする。つまり、液晶バリア部10は、駆動されていない状態では光を遮断するものとする。
【0035】
液晶バリア部10は、図6(A)に示したように、光を透過または遮断する複数の開閉部11,12を有している。開閉部11および開閉部12は、y軸方向(順次走査方向)に延在するように形成され、x軸方向に交互に並設されている。開閉部11,12は、立体表示装置1が通常表示(2次元表示)および立体視表示のどちらを行うかにより、異なる動作を行う。具体的には、開閉部11は、後述するように、立体表示装置1が通常表示を行う際に開状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、閉状態(遮断状態)となるものである。開閉部12は、後述するように、立体表示装置1が通常表示を行う際に開状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、時分割的に開閉動作を行うものである。
【0036】
液晶バリア部10は、図6(B)に示したように、透明基板13と、透明基板13に対向して配置された透明基板16と、透明基板13と透明基板16との間に挿設された液晶層19とを備えている。透明基板13,16は、例えばガラスなどから構成されるものである。透明基板13の液晶層19側の面、および透明基板16の液晶層19側の面には、例えばITOなどから構成される複数の透明電極15,17がそれぞれ形成されている。透明基板13上に形成された透明電極15と、透明基板16上に形成された透明電極17とは、互いに対応する位置に配置されており、液晶層19とともに開閉部11,12を構成している。透明基板13の液晶層19とは反対側の面、および透明基板16の液晶層19とは反対側の面には、偏光板14,18がそれぞれ形成されている。なお、図示していないが、図6(B)において、液晶バリア部10の右側(偏光板18の右側)には、表示部20およびバックライト30が図2(B)に示した順に配置されている。
【0037】
液晶バリア部10の開閉部11,12の開閉動作は、表示部20における表示動作と同様である。すなわち、バックライト30から射出し表示部20を透過した光は、偏光板18によって定められる方向の直線偏光となり、液晶層19に入射する。液晶層19では、透明電極15,17に供給された電位差に応じて、液晶分子の向きがある応答時間で変化する。このような液晶層19に入射した光は、その偏光方向が変化する。そして、液晶層19を透過した光は、偏光板14に入射し、特定の偏光方向の光のみが通過する。このようにして、液晶層19では光の強度変調が行われるようになっている。
【0038】
この構成により、透明電極15,17に電圧を印加してその電位差が大きくなると、液晶層19を通過する光の透過率が増大し、開閉部11,12は透過状態になる。一方、透明電極15,17間の電位差が小さくなると、液晶層19を通過する光の透過率が減少し、開閉部11,12は遮断状態となる。
【0039】
なお、この例では、液晶バリア部10はノーマリーブラック動作を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばノーマリーホワイト動作を行うものであってもよい。この場合には、透明電極15,17間の電位差が大きくなると、開閉部11,12は遮断状態となり、透明電極15,17間の電位差が小さくなると、開閉部11,12は透過状態となる。なお、ノーマリーブラック動作とノーマリーホワイト動作の選択は、例えば、偏光板と液晶配向により設定することができる。
【0040】
複数の開閉部12はグループを構成し、同じグループに属する複数の開閉部12は、立体視表示を行う際、同じタイミングで開動作および閉動作を行うようになっている。以下に、開閉部12のグループについて説明する。
【0041】
図7は、開閉部12のグループ構成例を表すものである。開閉部12は、この例では、x軸方向において、4つのグループA〜Dが巡回的に現れるようにグループを構成している。なお、以下では、グループAに属する開閉部12の総称として開閉部12Aを適宜用い、グループBに属する開閉部12の総称として開閉部12Bを適宜用い、グループCに属する開閉部12の総称として開閉部12Cを適宜用い、そして、グループDに属する開閉部12の総称として開閉部12Dを適宜用いるものとする。
【0042】
バリア駆動部41は、立体視表示を行う際、同じグループに属する複数の開閉部12が同じタイミングで開閉動作を行うように駆動する。具体的には、バリア駆動部41は、後述するように、グループAに属する複数の開閉部12Aと、グループBに属する複数の開閉部12Bと、グループCに属する複数の開閉部12Cと、グループDに属する複数の開閉部12Dとを、時分割的に切り換えて開閉動作するように駆動する。このように、同じグループに属する複数の開閉部12が同じタイミングで動作するためには、例えば、バリア駆動部41が、同じグループに属する複数の開閉部12の透明電極15,17に対して、同時に駆動信号を印加すればよい。また、同じグループに属する複数の開閉部12の透明電極15,17を互いに結線することにより、同時に駆動信号を印加するようにしてもよい。
【0043】
図8は、液晶バリア部10および表示部20の一動作例を、断面構造を用いて模式的に表すものであり、(A)〜(D)は立体視表示を行う場合の4つの状態をそれぞれ示す。この例では、開閉部12Aは、表示部20の8つの画素Pixに1つの割合で設けられている。同様に、開閉部12B,12C,12Dは、それぞれ、表示部20の8つの画素Pixに1つの割合で設けられている。以下の説明では、画素Pixは、3つのサブピクセル(RGB)から構成されたピクセルとするが、これに限定されるものではなく、例えば、画素Pixがサブピクセルであってもよい。また、図8において、光が遮断される開閉部は斜線で示している。
【0044】
立体表示装置1では、立体視表示を行う場合には、表示駆動部50に映像信号SA〜SDが時分割的に供給され、表示部20はそれらに基づいて表示を行う。そして、液晶バリア部10では、その表示に同期して開閉部12(開閉部12A〜12D)が時分割的に開閉動作を行い、開閉部11が閉状態(遮断状態)を維持する。具体的には、映像信号SA(複合フレーム画像FA)が供給された場合には、図8(A)に示したように、開閉部12Aが開状態になるとともに、それ以外の開閉部12が閉状態になる。表示部20では、後述するように、この開閉部12Aに対応した位置に配置された互いに隣接する8つの画素Pixが、映像信号SAに含まれる8つの視点映像に対応する表示(画素情報d1〜d8)を行う。同様に、映像信号SB(複合フレーム画像FB)が供給された場合には、図8(B)に示したように、開閉部12Bが開状態になるとともに、それ以外の開閉部12が閉状態になる。表示部20では、この開閉部12Bに対応した位置に配置された互いに隣接する8つの画素Pixが、映像信号SBに含まれる8つの視点映像に対応する表示(画素情報d1〜d8)を行う。また、映像信号SC(複合フレーム画像FC)が供給された場合には、図8(C)に示したように、開閉部12Cが開状態になるとともに、それ以外の開閉部12が閉状態になる。表示部20では、この開閉部12Cに対応した位置に配置された互いに隣接する8つの画素Pixが、映像信号SCに含まれる8つの視点映像に対応する表示(画素情報d1〜d8)を行う。また、映像信号SD(複合フレーム画像FD)が供給された場合には、図8(D)に示したように、開閉部12Dが開状態になるとともに、それ以外の開閉部12が閉状態になる。表示部20では、この開閉部12Dに対応した位置に配置された互いに隣接する8つの画素Pixが、映像信号SDに含まれる8つの視点映像に対応する表示(画素情報d1〜d8)を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることができ、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。立体表示装置1では、このように、開閉部12A〜12Dを時分割的に切り換えて開放し映像を表示することにより、後述するように、表示装置の解像度を高めることができるようになっている。
【0045】
なお、通常表示(2次元表示)を行う場合には、液晶バリア部10では、開閉部11および開閉部12(開閉部12A〜12D)はともに開状態(透過状態)を維持するようになっている。これにより、観察者は、映像信号Sに基づいて表示部20に表示された通常の2次元映像をそのまま見ることができる。
【0046】
ここで、開閉部12は、本発明における「光バリア」の一具体例に対応する。グループA〜Dは、本発明における「バリアグループ」の一具体例に対応する。フレーム画像P1〜P8,Q1〜Q8は、本発明における「多視点画像」の一具体例に対応する。バリア開閉周期T1の期間は、本発明における「一巡期間」の一具体例に対応する。複合フレーム画像FA〜FDは、本発明における「複合画像」の一具体例に対応する。液晶バリア部10は、本発明における「光バリア部」の一具体例に対応する。
【0047】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の立体表示装置1の動作および作用について説明する。
【0048】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、立体視表示を行う場合の立体表示装置1の全体動作を説明する。複合画像生成部45は、外部より供給される映像信号Sdispに含まれる各視点映像(フレーム画像P1〜P8,Q1〜Q8)に対して複合処理を行うことにより複合フレーム画像FA〜FDを生成し、この複合フレーム画像FA〜FDを含む映像信号SA〜SDからなる映像信号Sdisp2を生成する。制御部40は、映像信号Sdisp2に基づいて映像信号SA〜SDを表示駆動部50に供給するとともに、バックライト駆動部42、およびバリア駆動部41に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。バックライト駆動部42は、バックライト30を駆動する。バックライト30は、面発光した光を表示部20に対して射出する。表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号SA〜SDに基づいて表示部20を駆動する。表示部20は、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行う。バリア駆動部41は液晶バリア部10を駆動する。液晶バリア部10の開閉部11,12(12A〜12D)は、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過または遮断する。
【0049】
(立体視表示時の詳細動作)
次に、いくつかの図を参照して、立体視表示を行う場合の詳細動作を説明する。
【0050】
図9は、立体表示装置1における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は映像信号Sdispを示し、(B)は映像信号SA〜SDを示し、(C)は表示部20の動作を示し、(D)〜(G)は液晶バリア部10の開閉部12A〜12Dの動作をそれぞれ示す。
【0051】
図9(C)の縦軸は、表示部20の線順次走査方向(y軸方向)の位置を示している。つまり、図9(C)は、ある時刻の、あるy軸方向の位置における表示部20の動作状態を示している。図9(C)において、“FA”は、表示部20が映像信号SAに基づき複合フレーム画像FAを表示している状態を示し、“FB”は、表示部20が映像信号SBに基づき複合フレーム画像FBを表示している状態を示し、“FC”は、表示部20が映像信号SCに基づき複合フレーム画像FCを表示している状態を示し、“FD”は、表示部20が映像信号SDに基づき複合フレーム画像FDを表示している状態を示している。また、図9(D)〜(G)において、“開”は開閉部12(12A〜12D)が開状態(透過状態)であることを示し、“閉”は開閉部12が閉状態(遮断状態)であることを示している。
【0052】
立体表示装置1には、映像供給周期T0ごとに、8視点分の視点映像(画像フレームP1〜P8,Q1〜Q8)が映像信号Sdispとして供給される。立体表示装置1では、複合画像生成部45が、互いに異なる2組の画像フレームP1〜P8,Q1〜Q8に基づいて複合フレーム画像FA〜FDを生成して、表示部20が複合フレーム画像FA〜FDを時分割的に表示する。そして、開閉部12A〜12Dが、バリア開閉周期T1においてその表示に同期して開閉動作する。すなわち、映像供給周期T0に対応する期間の2つ分が、バリア開閉周期T1に対応する期間の1つ分と等しくなっている。そして、立体表示装置1は、動作周期Tごとにこの動作を繰り返す。ここで、映像供給周期T0は、例えば約16.7[msec](=1/60[Hz])である。この場合、バリア開閉周期T1および動作周期Tは、例えば約33.3[msec](=1/30[Hz])である。なお、映像供給周期T0およびバリア開閉周期T1はこれに限定されるものではない。例えば、映像供給周期T0は20[msec](=1/50[Hz])であり、バリア開閉周期T1および動作周期Tは40[msec](=1/25[Hz])であってもよいし、これに代えて他の値であってもよい。以下に、この詳細動作を説明する。
【0053】
立体表示装置1は、タイミングt1〜t3の期間において、複合フレーム画像FAの表示を行う。
【0054】
まず、複合画像生成部45は、画像フレームP1〜P8に基づいて、複合処理により複合フレーム画像FA(映像信号SA)を生成する(図9(B))。
【0055】
そして、タイミングt1〜t2の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査が行われ、複合フレーム画像FAの表示が行われる(図9(C))。液晶バリア部10では、このタイミングt1〜t2の期間において、開閉部12A〜12Dが閉状態を維持する(図9(D)〜(G))。これにより、観察者は、表示部20における表示画像の過渡的な変化を見ることがないので、画質劣化を低減することができる。
【0056】
そして、タイミングt2〜t3の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査が行われ、複合フレーム画像FAの表示が再度行われる(図9(C))。すなわち、この例では、タイミングt1〜t3の期間において、複合フレーム画像FAの表示動作が2回繰り返される。これにより、2回目の表示を行う時には、表示部20における液晶分子の応答が終了しているため、安定した映像を得ることができる。液晶バリア部10では、このタイミングt2〜t3の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、バリア駆動部41からの駆動信号に基づき、開閉部12Aが開状態になる(図9(D))。これにより、この開期間において、観察者は表示部20における複合フレーム画像FAの表示を見ることができる。
【0057】
図10は、複合フレーム画像FAを表示する場合の表示部20および液晶バリア部10の動作例を表すものである。複合フレーム画像FA(映像信号SA)を表示する場合には、表示部20は、図8(A)において説明したように、複合フレーム画像FAに含まれる8つの視点映像にそれぞれ対応する画素情報d1〜d8を開閉部12A付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示する。そして、液晶バリア部10では、開放部12Aが開状態(透過状態)になるとともに、開放部12B〜12Dが閉状態になる。これにより、表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Aによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報d4を、右眼で画素情報d5を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0058】
次に、立体表示装置1は、タイミングt3〜t5の期間において、複合フレーム画像FBの表示を行う。
【0059】
まず、複合画像生成部45は、画像フレームP1〜P8に基づいて、複合処理により複合フレーム画像FB(映像信号SB)を生成する(図9(B))。
【0060】
そして、タイミングt3〜t4の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、複合フレーム画像FBの表示が行われる(図9(C))。液晶バリア部10では、このタイミングt3〜t4の期間において、開閉部12A〜12Dが閉状態を維持する(図9(D)〜(G))。これにより、観察者は、表示部20における複合フレーム画像FAの表示から複合フレーム画像FBの表示への過渡的な変化を見ることがないので、画質劣化を低減することができる。
【0061】
そして、タイミングt4〜t5の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、複合フレーム画像FBの表示が再度行われる(図9(C))。液晶バリア部10では、このタイミングt4〜t5の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、バリア駆動部41からの駆動信号に基づき、開閉部12Bが開状態になる(図9(E))。これにより、この開期間において、観察者は、複合フレーム画像FAの場合(図10)と同様に、表示部20における複合フレーム画像FBの表示を見ることができる。
【0062】
次に、立体表示装置1は、タイミングt5〜t7の期間において、複合フレーム画像FCの表示を行う。
【0063】
まず、複合画像生成部45は、新たに供給された画像フレームQ1〜Q8に基づいて、複合処理により複合フレーム画像FC(映像信号SC)を生成する(図9(B))。
【0064】
そして、タイミングt5〜t6の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、複合フレーム画像FCの表示が行われる(図9(C))。液晶バリア部10では、このタイミングt5〜t6の期間において、開閉部12A〜12Dが閉状態を維持する(図9(D)〜(G))。これにより、観察者は、表示部20における複合フレーム画像FBの表示から複合フレーム画像FCの表示への過渡的な変化を見ることがないので、画質劣化を低減することができる。
【0065】
そして、タイミングt6〜t7の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、複合フレーム画像FCの表示が再度行われる(図9(C))。液晶バリア部10では、このタイミングt6〜t7の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、バリア駆動部41からの駆動信号に基づき、開閉部12Cが開状態になる(図9(F))。これにより、この開期間において、観察者は、複合フレーム画像FAの場合(図10)と同様に、表示部20における複合フレーム画像FCの表示を見ることができる。
【0066】
次に、立体表示装置1は、タイミングt7〜t9の期間において、複合フレーム画像FDの表示を行う。
【0067】
まず、複合画像生成部45は、画像フレームQ1〜Q8に基づいて、複合処理により複合フレーム画像FD(映像信号SD)を生成する(図9(B))。
【0068】
そして、タイミングt7〜t8の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、複合フレーム画像FDの表示が行われる(図9(C))。液晶バリア部10では、このタイミングt7〜t8の期間において、開閉部12A〜12Dが閉状態を維持する(図9(D)〜(G))。これにより、観察者は、表示部20における複合フレーム画像FBの表示から複合フレーム画像FDの表示への過渡的な変化を見ることがないので、画質劣化を低減することができる。
【0069】
そして、タイミングt8〜t9の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、複合フレーム画像FDの表示が再度行われる(図9(C))。液晶バリア部10では、このタイミングt8〜t9の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、バリア駆動部41からの駆動信号に基づき、開閉部12Dが開状態になる(図9(G))。これにより、この開期間において、観察者は、複合フレーム画像FAの場合(図10)と同様に、表示部20における複合フレーム画像FDの表示を見ることができる。
【0070】
以上の動作を繰り返すことにより、立体表示装置1は、映像信号Sdispとして供給された、互いに異なる2組のフレーム画像P1〜P8,Q1〜Q8に基づいて複合フレーム画像FA〜FDを生成し、複合フレーム画像FAの表示(開閉部12Aにおける表示)と、複合フレーム画像FBの表示(開閉部12Bにおける表示)と、複合フレーム画像FCの表示(開閉部12Cにおける表示)と、複合フレーム画像FDの表示(開閉部12Dにおける表示)とを時分割的に切り換えて行う。
【0071】
立体表示装置1は、フレーム画像P1〜P8に基づいて生成された複合フレーム画像FA,FB、およびフレーム画像Q1〜Q8に基づいて生成された複合フレーム画像FC,FDを、それぞれ、互いにずれた位置(開閉部12A〜12D)に時分割的に切り換えて表示する。観察者は、これらの時分割的な表示が積分されたものを画像として視認する。以下に、その視認画像について説明する。
【0072】
図11は、立体表示装置1の表示例を表すものであり、(A)は、フレーム画像P1〜P8に基づく表示期間における視認画像を示し、(B)は、フレーム画像Q1〜Q8に基づく表示期間における視認画像を示し、(C)は、1動作周期期間における視認画像を示す。フレーム画像P1〜P8に基づく表示期間は、図9におけるタイミングt1〜t5の期間に対応するものであり、フレーム画像Q1〜Q8に基づく表示期間は、図9におけるタイミングt5〜t9の期間に対応するものである。また、1動作周期期間は、図9におけるタイミングt1〜t9の期間に対応するものである。なお、図11では、説明の便宜上、開閉部11を省略している。
【0073】
フレーム画像P1〜P8が供給された場合、立体表示装置1は、図11(A)に示したように、複合フレーム画像FA,FBを、それぞれ開閉部12A,12Bに対応する部分に表示する。また、フレーム画像P1〜P8とは異なるフレーム画像Q1〜Q8が供給された場合、立体表示装置1は、図11(B)に示したように、複合フレーム画像FC,FDを、それぞれ開閉部12C,12Dに対応する部分に表示する。これにより、1動作周期期間では、フレーム画像P1〜P8に係る表示期間における視認画像(図11(A))と、フレーム画像Q1〜Q8に係る表示期間における視認画像(図11(B))とが重なりあい、図11(C)に示したような視認画像となる。
【0074】
このように、互いに異なるフレーム画像により生成された、複合フレーム画像FA,FBと、複合フレーム画像FC,FDとを、互いにずれた位置(開閉部12A〜12D)に時分割的に切り換えて表示することにより、インターレース表示のような効果を得ることができる。特に、動画を表示する場合には、フリッカ感を低減し滑らかな映像を得ることができる。
【0075】
(複合画像生成部45の動作)
次に、複合画像生成部45における複合処理について説明する。
【0076】
立体表示装置1では、複合画像生成部45は、フレーム画像P1〜P8に対して複合処理を行うことにより複合フレーム画像FA,FBを生成し、フレーム画像P1〜P8と異なるフレーム画像Q1〜Q8に対して複合処理を行うことにより複合フレーム画像FC,FDを生成する。
【0077】
まず最初に、複合フレーム画像FA,FBの生成について説明する。
【0078】
図12は、フレーム画像P1〜P8の画素情報配置を表すものである。図13(A)は、複合フレーム画像FAの画素情報配置を表すものであり、図13(B)は、複合フレーム画像FBの画素情報配置を表すものである。複合画像生成部45は、入力された映像信号Sdispに含まれる8つの視点映像のフレーム画像P1〜P8(図12)に対して複合処理を行い、複合フレーム画像FA,FB(図13)を生成する。
【0079】
フレーム画像P1〜P8は、図12に示したように、マトリックス状に配置された複数の画素情報によりそれぞれ構成されている。具体的には、例えば、フレーム画像P1は、マトリックス状に配置された複数の画素情報P1(0,0),…,P1(m,n),…(m,n:整数)により構成され、フレーム画像P2は、複数の画素情報P2(0,0),…,P2(m,n),…により構成されている。
【0080】
複合画像生成部45は、これらのフレーム画像P1〜P8のそれぞれにおいて4列おきに画素情報を選択し、その選択された画素情報に基づいて複合フレーム画像FA,FBを生成する。
【0081】
複合フレーム画像FAの生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、フレーム画像P1〜P8の第0列の画素情報(P1(0,n),P2(0,n),…,P8(0,n))をそれぞれ選択し、図13(A)に示したように、複合フレーム画像FAの左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像P1〜P8の第4列の画素情報(P1(4,n),P2(4,n),…,P8(4,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FAを生成する。ここで、複合フレーム画像FAにおける各画素情報は、図8(A)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FAにおける画素情報P1(0,n),P1(4,n),…は、図8(A)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FAにおける画素情報P2(0,n),P2(4,n),…は、図8(A)における画素情報d2に対応している。
【0082】
複合フレーム画像FBの生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、ダミーの画素情報P7(−3,n),P8(−3,n)を配置した後、フレーム画像P1〜P8の第1列の画素情報(P1(1,n),P2(1,n),…,P8(1,n))をそれぞれ選択し、図13(B)に示したように、複合フレーム画像FBの左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像P1〜P8の第5列の画素情報(P1(5,n),P2(5,n),…,P8(5,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FBを生成する。ここで、複合フレーム画像FBにおける各画素情報は、図8(B)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FBにおける画素情報P1(1,n),P1(5,n),…は、図8(B)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FBにおける画素情報P2(1,n),P2(5,n),…は、図8(B)における画素情報d2に対応している。
【0083】
なお、ダミーの画素情報は、例えば、黒色の情報を使用可能である。また、例えば、近くに配置された画素の画素情報に基づいて補間などにより生成するようにしてもよい。
【0084】
複合画像生成部45は、上述した複合フレーム画像FA,FBの生成と同様の複合処理により、複合フレーム画像FC,FDを生成する。以下に、複合フレーム画像FC,FDの生成について説明する。
【0085】
図14は、フレーム画像Q1〜Q8の画素情報配置を表すものである。図15(A)は、複合フレーム画像FCの画素情報配置を表すものであり、図15(B)は、複合フレーム画像FDの画素情報配置を表すものである。複合画像生成部45は、入力された映像信号Sdispに含まれる8つの視点映像のフレーム画像Q1〜Q8(図14)に対して複合処理を行い、複合フレーム画像FC,FD(図15)を生成する。
【0086】
フレーム画像Q1〜Q8は、図14に示したように、マトリックス状に配置された複数の画素情報によりそれぞれ構成されている。具体的には、例えば、フレーム画像Q1は、マトリックス状に配置された複数の画素情報Q1(0,0),…,Q1(m,n),…により構成され、フレーム画像Q2は、複数の画素情報Q2(0,0),…,Q2(m,n),…により構成されている。
【0087】
複合フレーム画像FCの生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、ダミーの画素情報Q5(−2,n),Q6(−2,n),Q7(−2,n),Q8(−2,n)を配置した後、フレーム画像Q1〜Q8の第2列の画素情報(Q1(2,n),Q2(2,n),…,Q8(2,n))をそれぞれ選択し、図15(A)に示したように、複合フレーム画像FCの左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像Q1〜Q8の第6列の画素情報(Q1(6,n),Q2(6,n),…,Q8(6,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FCを生成する。ここで、複合フレーム画像FCにおける各画素情報は、図8(C)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FCにおける画素情報Q1(2,n),Q1(6,n),…は、図8(C)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FCにおける画素情報Q2(2,n),Q2(6,n),…は、図8(C)における画素情報d2に対応している。
【0088】
複合フレーム画像FDの生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、ダミーの画素情報Q3(−1,n),Q4(−1,n),Q5(−1,n),Q6(−1,n),Q7(−1,n),Q8(−1,n)を配置した後、フレーム画像Q1〜Q8の第3列の画素情報(Q1(3,n),Q2(3,n),…,Q8(3,n))をそれぞれ選択し、図15(B)に示したように、複合フレーム画像FDの左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像Q1〜Q8の第7列の画素情報(Q1(7,n),Q2(7,n),…,Q8(7,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FDを生成する。ここで、複合フレーム画像FDにおける各画素情報は、図8(D)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FDにおける画素情報Q1(3,n),Q1(7,n),…は、図8(D)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FDにおける画素情報Q2(3,n),Q2(7,n),…は、図8(D)における画素情報d2に対応している。
【0089】
立体表示装置1は、複合画像生成部45により生成された複合フレーム画像FA〜FDを、互いにずれた位置(開閉部12A〜12D)に時分割的に切り換えて表示する。観察者は、これらの時分割的な表示が積分されたものを画像として視認する。以下に、その視認画像の画素情報配置について説明する。
【0090】
図16は、視認画像の画素情報配置を表すものである。この例では、観察者が、一方の目で8つの視点映像のうちの一つ(ここではフレーム画像P1,Q1)を見る場合を示している。
【0091】
立体表示装置1は、図16に示したように、観察者が、表示画面の左から右に向かって画素情報P1(0,n),P1(1,n),Q1(2,n),Q1(3,n),P1(4,n),P1(5,n),Q1(6,n),…のように配列した画像を視認するように表示する。ここで、画素情報P1(0,n),P1(4,n)などは、複合フレーム画像FA(図13(A))に基づき、開閉部12Aが開状態になったときに表示されたものであり、画素情報P1(1,n),P1(5,n)などは、複合フレーム画像FB(図13(B))に基づき、開閉部12Bが開状態になったときに表示されるものである。同様に、画素情報Q1(2,n),Q1(6,n)などは、複合フレーム画像FC(図15(A))に基づき、開閉部12Cが開状態になったときに表示されたものであり、画素情報Q1(3,n)などは、複合フレーム画像FD(図15(B))に基づき、開閉部12Dが開状態になったときに表示されるものである。なお、図16において、左右方向に隣接する画素情報の間の空白は、開閉部11の領域に対応するものである。
【0092】
このように、4つのグループに係る開閉部12A〜12Dを時分割的に切り換えて開放し映像を表示することによって、立体表示装置1は、開閉部12Aのみをもつ場合に比べ、4倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、立体表示装置1の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/2(=1/8×4)で済むこととなる。
【0093】
(比較例)
次に、比較例に係る立体表示装置1Rについて説明する。立体表示装置1Rは、1組のフレーム画像P1〜P8に基づいて、複合フレーム画像FA〜FDを生成するものである。
【0094】
図17は、立体表示装置1Rにおける表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は映像信号Sdispを示し、(B)は映像信号SA〜SDを示し、(C)は表示部20の動作を示し、(D)〜(G)は液晶バリア部10の開閉部12A〜12Dの動作をそれぞれ示す。
【0095】
図17(A),(B)に示したように、本比較例に係る立体表示装置1Rは、本実施の形態に係る立体表示装置1の場合(図9)とは異なり、1組のフレーム画像P1〜P8に基づいて複合フレーム画像FA〜FDを生成している。言い換えれば、立体表示装置1Rでは、映像供給周期T0Rとバリア開閉周期T1とが等しくなっている。これにより、本比較例に係る映像供給周期T0Rは、本実施の形態に係る映像供給周期T0の2倍になっている。具体的には、本実施の形態に係る映像供給周期T0が16.7[msec](=1/60[Hz])の場合、本比較例に係る映像供給周期T0Rは33.3[msec](=1/30[Hz])となる。このような長い周期で映像が供給された場合には、よく知られているように、観察者は、表示映像に対してフリッカ感を感じるおそれがあり、この場合には画質が劣化したように感じてしまう。
【0096】
一方、本実施の形態では、図9に示したように、2組のフレーム画像P1〜P8,Q1〜Q8に基づいて複合フレーム画像FA〜FDを生成するようにしたので、映像供給周期T0を短くすることができる。これにより、観察者が、表示映像に対してフリッカ感を感じるおそれを低減することができ、画質の劣化を抑えることができる。
【0097】
[効果]
以上のように本実施の形態では、2組のフレーム画像に基づいて複合フレーム画像を生成するようにしたので、解像度を高めつつ、フリッカ感を感じるおそれを低減することができ、画質を高めることができる。
【0098】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、開閉部12A〜12Dをこの順で時分割的に切り換えて開閉動作したが、これに限定されるものではなく、これと異なる順番で開閉部12A〜12Dを開閉してもよい。以下に、その一例について説明する。
【0099】
図18は、本変形例に係る立体表示装置における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は映像信号Sdispを示し、(B)は映像信号SA〜SDを示し、(C)は表示部20の動作を示し、(D)〜(G)は液晶バリア部10の開閉部12A〜12Dの動作をそれぞれ示す。開閉部12A〜12Dは、図18に示したように、開閉部12A、開閉部12C、開閉部12B、開閉部12Dの順番で開閉動作を行う(図18(D)〜(G))。それに伴い、本変形例に係る複合画像生成部は、フレーム画像P1〜P8から、複合フレーム画像FA,FCを生成し、次のタイミングに係るフレーム画像Q1〜Q8から、複合フレーム画像FB,FDを生成し(図18(A),(B))、表示部20がそれらの複合フレーム画像FA,FC,FB,FDを時分割的に切り換えて表示する(図18(C))。
【0100】
図19は、本変形例に係る立体表示装置における視認画像の画素情報配置を表すものである。立体表示装置1は、図19に示したように、観察者が、表示画面の左から右に向かって画素情報P1(0,n),Q1(1,n),P1(2,n),Q1(3,n),P1(4,n),Q1(5,n),P1(6,n),…のように配列した画像を視認するように表示する。ここで、画素情報P1(0,n),P1(4,n)などは、複合フレーム画像FAに基づき、開閉部12Aが開状態になったときに表示されたものであり、画素情報Q1(1,n),Q1(5,n)などは、複合フレーム画像FBに基づき、開閉部12Bが開状態になったときに表示されたものであり、画素情報P1(2,n),P1(6,n)などは、複合フレーム画像FCに基づき、開閉部12Cが開状態になったときに表示されるものであり、画素情報Q1(3,n)などは、複合フレーム画像FDに基づき、開閉部12Dが開状態になったときに表示されるものである。
【0101】
図20は、本変形例に係る立体表示装置の表示例を表すものであり、(A)は、フレーム画像P1〜P8に基づく表示期間における視認画像を示し、(B)は、フレーム画像Q1〜Q8に基づく表示期間おける視認画像を示し、(C)は、1動作周期期間における視認画像を示す。フレーム画像P1〜P8に基づく表示期間は、図18のタイミングt1〜t5の期間に対応するものであり、フレーム画像Q1〜Q8に基づく表示期間は、図18のタイミングt5〜t9の期間に対応するものである。また、1動作周期期間は、図18のタイミングt1〜t9の期間に対応するものである。
【0102】
本変形例では、フレーム画像P1〜P8が供給された場合、立体表示装置1は、図20(A)に示したように、複合フレーム画像FA,FCを、それぞれ開閉部12A,12Cにおいて表示する。また、フレーム画像P1〜P8とは異なるタイミングに係るフレーム画像Q1〜Q8が供給された場合、立体表示装置1は、図20(B)に示したように、複合フレーム画像FB,FDを、それぞれ開閉部12B,12Dにおいて表示する。すなわち、上記実施の形態に係る立体表示装置1は、図11(A),(B)に示したように、同じタイミングで供給されたフレーム画像に基づく表示を、互いに隣接した2つの開閉部12において行うようにしたが、本変形例に係る立体表示装置は、図20(A),(B)に示したように、同じタイミングで供給されたフレーム画像に基づく表示を、互いに離間した2つの開閉部12において行うようにしている。これにより、上記実施の形態に係る立体表示装置1の場合に比べてさらにインターレース表示のような効果を得ることができ、より動きの速い動画を表示する場合において、フリッカ感を低減し滑らかな映像を得ることができる。
【0103】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、液晶バリア部10は4つのグループの開閉部12により構成するものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、6つのグループの開閉部12により構成してもよい。この場合、複合画像生成部45が、例えば、互いに異なる3組のフレーム画像に基づいて複合処理を行うことにより6つの複合フレーム画像を生成し、表示部20がその6つの複合フレーム画像を時分割的に切り換えて表示し、開閉部12がその表示に同期してグループ間で時分割的に開閉動作するようにしてもよい。
【0104】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る立体表示装置2について説明する。本実施の形態は、6つの視点映像に基づいて立体視表示を行う、3つのバリアグループを有する表示装置である。すなわち、第1の実施の形態では、4つのバリアグループA〜Dを有する液晶バリア部10を用いて立体表示装置1を構成したが、本実施の形態では、3つのバリアグループA〜Cを有する液晶バリア部60を用いて立体表示装置2を構成している。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図1など)と同様である。なお、上記第1の実施の形態に係る立体表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0105】
図21は、液晶バリア部60における開閉部12のグループ構成例を表すものである。開閉部12は、この例では、x軸方向において、3つのグループA〜Cが巡回的に現れるようにグループを構成している。
【0106】
図22は、立体表示装置2における液晶バリア部60および表示部20の一動作例を表すものであり、(A)〜(C)は立体視表示を行う場合の3つの状態をそれぞれ示す。この例では、開閉部12Aは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。同様に、開閉部12B,12Cは、それぞれ、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。
【0107】
映像信号SA(後述する複合フレーム画像FA1,FA2)が供給された場合には、図22(A)に示したように、開閉部12Aが開状態になるとともに、それ以外の開閉部12が閉状態になる。表示部20では、この開閉部12Aに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SAに含まれる6つの視点映像に対応する表示(画素情報d1〜d6)を行う。同様に、映像信号SB(後述する複合フレーム画像FB1,FB2)が供給された場合には、図22(B)に示したように、開閉部12Bが開状態になるとともに、それ以外の開閉部12が閉状態になる。表示部20では、この開閉部12Bに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SBに含まれる6つの視点映像に対応する表示(画素情報d1〜d6)を行う。また、映像信号SC(後述する複合フレーム画像FC1,FC2)が供給された場合には、図22(C)に示したように、開閉部12Cが開状態になるとともに、それ以外の開閉部12が閉状態になる。表示部20では、この開閉部12Cに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SCに含まれる6つの視点映像に対応する表示(画素情報d1〜d6)を行う。
【0108】
図23は、立体表示装置2における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は映像信号Sdispを示し、(B)は映像信号SA〜SCを示し、(C)は表示部20の動作を示し、(D)〜(F)は液晶バリア部60の開閉部12A〜12Cの動作をそれぞれ示す。
【0109】
立体表示装置2には、映像供給周期T0ごとに、6視点分の視点映像(画像フレームP1〜P6,Q1〜Q6,R1〜R6)が映像信号Sdispとして供給される。立体表示装置1では、複合画像生成部45が、互いに異なる3組の画像フレームP1〜P6,Q1〜Q6,R1〜R6に基づいて複合フレーム画像FA1,FB1,FC1,FA2,FB2,FC2を生成して、表示部20がこれらの複合フレーム画像を時分割的に切り換えて表示する。そして、開閉部12A〜12Cが、バリア開閉周期T1でその表示に同期して開閉動作する。すなわち、映像供給周期T0に対応する期間の3つ分が、バリア開閉周期T1に対応する期間の2つ分と等しくなっている。そして、立体表示装置1は、動作周期Tごとにこの動作を繰り返す。ここで、映像供給周期T0は、例えば約16.7[msec](=1/60[Hz])である。この場合、バリア開閉周期T1は、例えば25[msec](=1/40[Hz])であり、動作周期Tは、例えば、50[msec](=1/20[Hz])である。以下に、この詳細動作を説明する。
【0110】
立体表示装置2は、タイミングt1〜t3の期間において、複合フレーム画像FA1の表示を行う。まず、複合画像生成部45は、画像フレームP1〜P6に基づいて、複合フレーム画像FA1(映像信号SA)を生成する(図23(B))。そして、表示部20では、複合フレーム画像FA1の表示が2回続けて行われる(図23(C))。液晶バリア部60では、タイミングt2〜t3の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、開閉部12Aが開状態になる(図23(D))。これにより、観察者は複合フレーム画像FA1の表示を見ることができる。
【0111】
次に、立体表示装置2は、タイミングt3〜t5の期間において、複合フレーム画像FB1の表示を行う。まず、複合画像生成部45は、画像フレームP1〜P6に基づいて、複合フレーム画像FB1(映像信号SB)を生成する(図23(B))。そして、表示部20では、複合フレーム画像FB1の表示が2回続けて行われる(図23(C))。液晶バリア部60では、タイミングt4〜t5の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、開閉部12Bが開状態になる(図23(E))。これにより、観察者は複合フレーム画像FB1の表示を見ることができる。
【0112】
次に、立体表示装置2は、タイミングt5〜t7の期間において、複合フレーム画像FC1の表示を行う。まず、複合画像生成部45は、新たに供給された画像フレームQ1〜Q6に基づいて、複合フレーム画像FC1(映像信号SC)を生成する(図23(B))。そして、表示部20では、複合フレーム画像FC1の表示が2回続けて行われる(図23(C))。液晶バリア部60では、タイミングt6〜t7の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、開閉部12Cが開状態になる(図23(F))。これにより、観察者は複合フレーム画像FC1の表示を見ることができる。
【0113】
次に、立体表示装置2は、タイミングt7〜t9の期間において、複合フレーム画像FA2の表示を行う。まず、複合画像生成部45は、画像フレームQ1〜Q6に基づいて、複合フレーム画像FA2(映像信号SA)を生成する(図23(B))。そして、表示部20では、複合フレーム画像FA2の表示が2回続けて行われる(図23(C))。液晶バリア部60では、タイミングt8〜t9の期間のうち、表示部20の晶が応答し終わった期間において、開閉部12Aが開状態になる(図23(D))。これにより、観察者は複合フレーム画像FA2の表示を見ることができる。
【0114】
次に、立体表示装置2は、タイミングt9〜t11の期間において、複合フレーム画像FB2の表示を行う。まず、複合画像生成部45は、新たに供給された画像フレームR1〜R6に基づいて、複合フレーム画像FB2(映像信号SB)を生成する(図23(B))。そして、表示部20では、複合フレーム画像FB2の表示が2回続けて行われる(図23(C))。液晶バリア部60では、タイミングt10〜t11の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、開閉部12Bが開状態になる(図23(E))。これにより、観察者は複合フレーム画像FB2の表示を見ることができる。
【0115】
次に、立体表示装置2は、タイミングt11〜t13の期間において、複合フレーム画像FC2の表示を行う。まず、複合画像生成部45は、画像フレームR1〜R6に基づいて、複合フレーム画像FC2(映像信号SC)を生成する(図23(B))。そして、表示部20では、複合フレーム画像FC2の表示が2回続けて行われる(図23(C))。液晶バリア部60では、タイミングt12〜t13の期間のうち、表示部20の液晶が応答し終わった期間において、開閉部12Cが開状態になる(図23(F))。これにより、観察者は複合フレーム画像FC2の表示を見ることができる。
【0116】
以上の動作を繰り返すことにより、立体表示装置1は、映像信号Sdispとして供給される、互いに異なるタイミングに係るフレーム画像P1〜P6,Q1〜Q6,R1〜R6に基づいて複合フレーム画像FA〜FCを生成し、複合フレーム画像FA1,FA2の表示(開閉部12Aにおける表示)と、複合フレーム画像FB1,FB2の表示(開閉部12Bにおける表示)と、複合フレーム画像FC1,FC2の表示(開閉部12Cにおける表示)とを時分割的に切り換えて行う。
【0117】
次に、複合画像生成部45における複合処理について説明する。
【0118】
立体表示装置2では、複合画像生成部45は、供給された各視点映像のうち、フレーム画像P1〜P6に対して複合処理を行うことにより複合フレーム画像FA1,FB1を生成し、次のタイミングに係るフレーム画像Q1〜Q6に対して複合処理を行うことにより複合フレーム画像FC1,FA2を生成し、さらに次のタイミングに係るフレーム画像R1〜R6に対して複合処理を行うことにより複合フレーム画像FB2,FC2を生成する。なお、フレーム画像P1〜P6,Q1〜Q6,R1〜R6は、図12,14に示したものと同様のものであるため、以下、詳細な説明を省略する。
【0119】
まず最初に、複合フレーム画像FA1,FB1の生成について説明する。
【0120】
図24(A)は、複合フレーム画像FA1の画素情報配置を表すものであり、図24(B)は、複合フレーム画像FB1の画素情報配置を表すものである。複合画像生成部45は、フレーム画像P1〜P6のそれぞれにおいて3列おきに画素情報を選択し、その選択された画素情報に基づいて複合フレーム画像FA1,FB1を生成する。
【0121】
複合フレーム画像FA1の生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、フレーム画像P1〜P6の第0列の画素情報(P1(0,n),P2(0,n),…,P6(0,n))をそれぞれ選択し、図24(A)に示したように、複合フレーム画像FA1の左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像P1〜P6の第3列の画素情報(P1(3,n),P2(3,n),…,P6(3,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FA1を生成する。ここで、複合フレーム画像FA1における各画素情報は、図22(A)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FA1における画素情報P1(0,n),P1(3,n),…は、図22(A)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FA1における画素情報P2(0,n),P2(3,n),…は、図22(A)における画素情報d2に対応している。
【0122】
複合フレーム画像FB1の生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、ダミーの画素情報P5(−2,n),P6(−2,n)を配置した後、フレーム画像P1〜P6の第1列の画素情報(P1(1,n),P2(1,n),…,P6(1,n))をそれぞれ選択し、図24(B)に示したように、複合フレーム画像FB1の左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像P1〜P6の第4列の画素情報(P1(4,n),P2(4,n),…,P6(4,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FB1を生成する。ここで、複合フレーム画像FB1における各画素情報は、図22(B)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FB1における画素情報P1(1,n),P1(4,n),…は、図22(B)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FB1における画素情報P2(1,n),P2(4,n),…は、図22(B)における画素情報d2に対応している。
【0123】
図25(A)は、複合フレーム画像FC1の画素情報配置を表すものであり、図25(B)は、複合フレーム画像FA2の画素情報配置を表すものである。複合画像生成部45は、フレーム画像Q1〜Q6のそれぞれにおいて3列おきに画素情報を選択し、その選択された画素情報に基づいて複合フレーム画像FC1,FA2を生成する。
【0124】
複合フレーム画像FC1の生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、ダミーの画素情報Q3(−1,n),Q4(−1,n),Q5(−1,n),Q6(−1,n)を配置した後、フレーム画像Q1〜Q6の第2列の画素情報(Q1(2,n),Q2(2,n),…,Q6(2,n))をそれぞれ選択し、図25(A)に示したように、複合フレーム画像FC1の左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像Q1〜Q6の第5列の画素情報(Q1(5,n),Q2(5,n),…,Q6(5,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FC1を生成する。ここで、複合フレーム画像FC1における各画素情報は、図22(C)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FC1における画素情報Q1(2,n),Q1(5,n),…は、図22(C)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FC1における画素情報Q2(2,n),Q2(5,n),…は、図22(C)における画素情報d2に対応している。
【0125】
複合フレーム画像FA2の生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、フレーム画像Q1〜Q6の第0列の画素情報(Q1(0,n),Q2(0,n),…,Q6(0,n))をそれぞれ選択し、図25(B)に示したように、複合フレーム画像FA2の左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像Q1〜Q6の第3列の画素情報(Q1(3,n),Q2(3,n),…,Q6(3,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FA2を生成する。ここで、複合フレーム画像FA2における各画素情報は、図22(A)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FA2における画素情報Q1(0,n),Q1(3,n),…は、図22(A)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FA2における画素情報Q2(0,n),Q2(3,n),…は、図22(A)における画素情報d2に対応している。
【0126】
図26(A)は、複合フレーム画像FB2の画素情報配置を表すものであり、図26(B)は、複合フレーム画像FC2の画素情報配置を表すものである。複合画像生成部45は、フレーム画像R1〜R6のそれぞれにおいて3列おきに画素情報を選択し、その選択された画素情報に基づいて複合フレーム画像FB2,FC2を生成する。
【0127】
複合フレーム画像FC1の生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、ダミーの画素情報R5(−2,n),R6(−2,n)を配置した後、フレーム画像R1〜R6の第1列の画素情報(R1(1,n),R2(1,n),…,R6(1,n))をそれぞれ選択し、図26(A)に示したように、複合フレーム画像FB2の左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像R1〜R6の第4列の画素情報(R1(4,n),R2(4,n),…,R6(4,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FB2を生成する。ここで、複合フレーム画像FB2における各画素情報は、図22(B)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FB2における画素情報R1(1,n),R1(4,n),…は、図22(B)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FB2における画素情報R2(1,n),R2(4,n),…は、図22(B)における画素情報d2に対応している。
【0128】
複合フレーム画像FC2の生成を行う際には、複合画像生成部45は、まず、ダミーの画素情報R3(−1,n),R4(−1,n),R5(−1,n),R6(−1,n)を配置した後、フレーム画像R1〜R6の第2列の画素情報(R1(2,n),R2(2,n),…,R6(2,n))をそれぞれ選択し、図26(B)に示したように、複合フレーム画像FC2の左から右に向かって配置する。次に、複合画像生成部45は、フレーム画像R1〜R6の第5列の画素情報(R1(5,n),R2(5,n),…,R6(5,n))をそれぞれ選択し、続いて配置する。複合画像生成部45は、引き続きこのような処理を行うことにより、複合フレーム画像FC2を生成する。ここで、複合フレーム画像FC2における各画素情報は、図22(C)における各画素情報と対応している。具体的には、例えば、複合フレーム画像FC2における画素情報R1(2,n),R1(5,n),…は、図22(C)における画素情報d1に対応し、複合フレーム画像FC2における画素情報R2(2,n),R2(5,n),…は、図22(C)における画素情報d2に対応している。
【0129】
図27は、視認画像の画素情報配置を表すものであり、(A)は、図23に示したタイミングt1〜t7の期間における画素情報配置を示し、(B)は、図23に示したタイミングt7〜t13の期間における画素情報配置を示す。この例では、図16と同様に、観察者が、一方の目で6つの視点映像のうちの一つ(ここではフレーム画像P1,Q1,R1)を見る場合を示している。
【0130】
立体表示装置2は、図23に示したタイミングt1〜t7の期間においては、図27(A)に示したように、観察者が、表示画面の左から右に向かって画素情報P1(0,n),P1(1,n),Q1(2,n),P1(3,n),P1(4,n),Q1(5,n),…のように配列した画像を視認するように表示する。ここで、画素情報P1(0,n),P1(3,n)などは、複合フレーム画像FA1(図24(A))に基づき、開閉部12Aが開状態になったときに表示されたものであり、画素情報P1(1,n),P1(4,n)などは、複合フレーム画像FB1(図24(B))に基づき、開閉部12Bが開状態になったときに表示されたものであり、画素情報Q1(2,n),Q1(5,n)などは、複合フレーム画像FC1(図25(A))に基づき、開閉部12Cが開状態になったときに表示されたものである。
【0131】
また、立体表示装置2は、図23に示したタイミングt7〜t13の期間においては、図27(B)に示したように、観察者が、表示画面において、左から右に向かって画素情報Q1(0,n),R1(1,n),R1(2,n),Q1(3,n),R1(4,n),R1(5,n),…のように配列した画像を視認するように表示する。ここで、画素情報Q1(0,n),Q1(3,n)などは、複合フレーム画像FA2(図25(B))に基づき、開閉部12Aが開状態になったときに表示されたものであり、画素情報R1(1,n),R1(4,n)などは、複合フレーム画像FB2(図26(A))に基づき、開閉部12Bが開状態になったときに表示されたものであり、画素情報R1(2,n),R1(5,n)などは、複合フレーム画像FC2(図26(B))に基づき、開閉部12Cが開状態になったときに表示されたものである。
【0132】
このように、3つのグループに係る開閉部12A〜12Cを時分割的に切り換えて開放し映像を表示することによって、立体表示装置2は、開閉部12Aのみをもつ場合に比べ、3倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、立体表示装置2の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/2(=1/6×3)で済むこととなる。
【0133】
[効果]
以上のように本実施の形態では、3組のフレーム画像に基づいて複合フレーム画像を生成するようにしたので、3つのバリアグループを有する場合においても、解像度を高めつつ、フリッカ感を感じるおそれを低減することができ、画質を高めることができる。
【0134】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0135】
例えば、上記実施の形態等では、液晶バリア部10は4つのグループ(第1の実施の形態)や、3つのグループ(第2の実施の形態)の開閉部12により構成したが、これに限定されるものではない。以下に、2つのグループの開閉部12により構成する場合の例について説明する。
【0136】
図28は、2つのグループの開閉部12により液晶バリア部を構成した場合における、表示動作のタイミング図を表すものである。この立体表示装置には、映像供給周期T0ごとに、8視点分の視点映像(画像フレームP1〜P8,Q1〜Q8)が映像信号Sdispとして供給される。そして、複合画像生成部45は、画像フレームP1〜P8に基づいて複合フレーム画像FAを生成するとともに、画像フレームP1〜P8とは異なる画像フレームQ1〜Q8に基づいて複合フレーム画像FBを生成し、表示部20がこれらの複合フレーム画像を時分割的に切り換えて表示する。そして、開閉部12A,12Bが、バリア開閉周期T1でその表示に同期して開閉動作する。すなわち、映像供給周期T0に対応する期間の2つ分が、バリア開閉周期T1に対応する期間と等しくなっている。
【0137】
この駆動方法は、例えば、表示部20として、応答速度の遅い液晶表示装置を用いて表示部20を構成した場合に適用することができる。
【0138】
例えば、上記実施の形態等では、液晶バリアの開閉部はy軸方向に延伸するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、図29(A)に示したステップバリア形式や、図29(B)に示した斜めバリア形式が使用可能である。ステップバリア形式については、例えば、特開2004−264762号公報に記載がある。また、斜めバリア形式については、例えば、特開2005−86506号公報に記載がある。これらのバリア形式を用いることにより、立体表示装置の表示画面における、x軸方向の解像度とy軸方向の解像度とのバランスを改善することができ、また、モアレを低減することができる。
【0139】
また、例えば、上記実施の形態等では、立体表示装置のバックライト30、表示部20、液晶バリア部10は、この順に配置したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図30に示したように、バックライト30、液晶バリア部10、表示部20の順に配置してもよい。
【0140】
図31は、本変形例に係る表示部20および液晶バリア部10の動作例を表すものであり、複合フレーム画像FAを表示する場合の例を示す。この図31は、上記第1の実施の形態にかかわる立体表示装置1に対して本変形を適用したものである。本変形例では、バックライト30から射出した光は、まず液晶バリア部10に入射する。そして、その光のうち、開閉部12A〜12Dを透過した光が表示部20において変調されるとともに、8つの視点映像を出力するようになっている。
【0141】
また、例えば、上記実施の形態等では、バックライトは常時点灯するものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、一定周期で点灯および消灯を繰り返すようにしてもよい。これは、例えば、液晶バリア部10の開閉部12(12A,12B)の応答時間が長い場合に適用可能である。以下に、上記第1の実施の形態に係る立体表示装置1に対して本変形を適用した場合の例について説明する。
【0142】
図32は、本変形例に係る立体表示装置1Dにおける表示動作のタイミング図を表すものである。図32(D)〜(G)において、“開→閉”は開閉部12(12A〜12D)が開状態から閉状態に変化している状態を示しており、“閉→開”は開閉部12が閉状態から開状態に変化している状態であることを示している。この“開→閉”および“閉→開”は、液晶バリア部10の開閉部12の液晶分子の応答に対応するものである。バックライト30は、開閉部12が開状態になった期間において点灯し、その他の期間では消灯する。これにより、観察者は、開閉部12が“開→閉”および“閉→開”のように過渡的に変化する状態における表示を見ることがないため、画質劣化を低減することができる。
【0143】
また、例えば、上記実施の形態等では、バックライト30は、面発光した光を表示部20の全面に供給するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、バックライトを複数の領域に分割し、それぞれが独立して表示部20に対して光を供給するようにしてもよい。以下に、バックライトを2つの領域に分割する場合の例について説明する。
【0144】
図33は、本変形例に係るバックライト30Eの一構成例を表すものであり、(A)はバックライト30Eの平面図を示し、(B)はバックライト30Eの要部の斜視図を示す。図34は、表示部20における区域Z1,Z2を表すものである。バックライト30Eは、図33(A)に示したように、y軸方向(表示部20における線順次走査方向)に並設された、独立して発光可能な2つの発光部BL1,BL2を有している。発光部BL1,BL2は、図33(B)に示したように、それぞれ、光源31と、導光板32とを有している。光源31は、この例では、LEDにより構成されている。導光板32は、光源31から射出した光を拡散することにより、発光部BL1,BL2がほぼ均一に面発光するように機能する。発光部BL1,BL2は、表示部20の区域Z1,Z2に対応した位置にそれぞれ設けられている。なお、この例では、光源31はLEDにより構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばCCFLにより構成されるようにしてもよい。
【0145】
発光部BL1,BL2が独立して発光できるようにするため、バックライト30Eでは、発光部BL1と発光部BL2との間で互いに光が伝わらないようになっている。具体的には、まず、1つの光源31から射出した光は、その光源31に対応する導光板32にのみ入射するようになっている。そして、導光板32に入射した光は、導光板32の側面において全反射するようになっており、これにより隣接する導光板32にこの側面を介して光が伝わらないようになっている。この全反射は、具体的には、光源31の位置を調整し、あるいは、導光板32の側面に光反射を起こす反射面を設けることにより実現可能である。
【0146】
図35は、本変形例に係る立体表示装置1Eにおける表示動作のタイミング図を表すものである。この図35は、上記第1の実施の形態にかかわる立体表示装置1に対して本変形を適用したものである。立体表示装置1Eでは、表示部20の線順次走査方向に対してバックライト30を分割し、走査に合わせてそれぞれが独立して発光する。これにより、表示部20の各区域Z1,Z2に対して、独立して点灯期間を設定できるため、点灯時間を長くすることができ、輝度を高めることができる。
【0147】
また、本変形例に係る立体表示装置1Eにおいて、さらに、図36,37に示したように、液晶バリア部10の開閉部12を線順次走査方向(y軸方向)に分割してもよい。この例では、液晶バリア部10Fの開閉部12は、図36に示したように、バックライト30E(図33(A)),表示部20(図34)の区域Z1,Z2に対応するように分割されている。そして、図37に示したように、区域Z1に属する開閉部12は、グループA1,B1,C1,D1を構成し、区域Z2に属する開閉部12は、グループA2,B2,C2,D2を構成している。
【0148】
図38は、本変形例の立体表示装置1Fにおける表示動作のタイミング図を表すものである。立体表示装置1Fでは、表示部20の線順次走査方向に対して、バックライト30に加え、開閉部12をも分割し、開閉部12は、走査に合わせて独立して開閉動作を行う。これにより、開閉部12における開閉動作の応答速度が遅い場合であっても、バックライトの点灯時間を長くすることができ、輝度を高めることができる。
【0149】
また、例えば、上記実施の形態等では、立体表示装置には、複数の視点映像(上記実施の形態等では6つまたは8つ)を有する映像信号Sdispが供給されるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、立体表示装置は、外部から供給された映像に基づいてこれらの複数の視点映像を生成する多視点映像生成部を備えていても良い。この多視点映像生成部は、例えば、供給された左右の2つの視点映像に基づいて、これらの複数の視点映像を生成するようにしてもよいし、供給された1つの映像に基づいて、これらの複数の視点映像を生成するようにしてもよい。1つの映像に基づいて複数の視点映像を生成する方法としては、例えば、2つの視点映像を生成する例について、http://www.jvc-victor.co.jp/press/2010/3d-movie.html?rss=jvc-victorに記載がある。
【0150】
また、例えば、上記実施の形態等では、複合画像生成部45は、複数のフレーム画像に基づいて複合フレーム画像を生成するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、必要に応じて間引いた複数のフレーム画像に基づいて複合フレーム画像を生成するようにしてもよい。以下に、上記第1の実施の形態に係る立体表示装置1の場合を例に説明する。
【0151】
立体表示装置1では、複合画像生成部45は、フレーム画像P1〜P8のそれぞれにおける、第0列、第4列などの画素情報に基づいて複合フレーム画像FAを生成するとともに、第1列、第5列などの画素情報に基づいて複合フレーム画像FBを生成する。すなわち、フレーム画像P1〜P8のそれぞれにおける、第2列、第3列、第6列、第7列などの画素情報は使用されることはない。よって、これらの使用されることのない画素情報を間引いたフレーム画像を入力とし、これらに基づいて複合フレーム画像FA,FBを生成するようにしてもよい。同様に、複合画像生成部45は、フレーム画像Q1〜Q8のそれぞれにおける、第2列、第6列などの画素情報に基づいて複合フレーム画像FCを生成するとともに、第3列、第7列などの画素情報に基づいて複合フレーム画像FDを生成する。すなわち、フレーム画像Q1〜Q8のそれぞれにおける、第0列、第1列、第4列、第5列などの画素情報は使用されることはない。よって、これらの使用されることのない画素情報を間引いたフレーム画像を入力とし、これらに基づいて複合フレーム画像FC,FDを生成するようにしてもよい。このように構成することにより、複合画像生成部45の処理の負担を軽減することができるとともに、複合画像生成部45が有するフレーム画像を記憶するためのフレームメモリの容量を半減することができる。
【0152】
また、例えば、上記実施の形態等では、表示部20は液晶を用いるものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばEL(Electro Luminescence)を用いるものであってもよい。なお、ELを用いた場合には、ELが自発光素子であるため、バックライトは必要ない。
【0153】
また、例えば、上記実施の形態等では、液晶により構成された液晶バリア部10を用いるようにしたが、これに限定されるものではなく、他のものにより構成されたバリアを用いても良い。
【0154】
また、例えば、上記実施の形態等では、映像供給周期T0は、約16.7[msec](=1/60[Hz])としたがこれに限定されるものではなく、例えば、上述したように20[msec](=1/50[Hz])であってもよいし、他の値であってもよい。
【符号の説明】
【0155】
1,1B,2…立体表示装置、10,10A,10B,60…液晶バリア部、11,12,12A〜12D…開閉部、13,16…透明基板、14,18…偏光板、15,17…透明電極、19…液晶層、20…表示部、30…バックライト、40…制御部、41…バリア駆動部、42…バックライト駆動部、45…複合画像生成部、51…タイミング制御部、52…ゲートドライバ、53…データドライバ、A〜D,A1〜D1,A2〜D2…グループ、Cap…保持容量素子、CBL…バックライト制御信号、CBR…バリア制御信号、d1〜d8…画素情報、FA〜FD,FA1〜FC1,FA2〜FC2…複合フレーム画像、GCL…ゲート線、LC…液晶素子、P1〜P8,Q1〜Q8,R1〜R8…フレーム画像、S,S1,Sdisp,Sdisp2…映像信号、Pix…画素、SGL…データ線、T…動作周期、T0…映像供給周期、T1…バリア開閉周期。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバリアグループにグループ分けされた複数の光バリアを、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉駆動し、
多視点画像に基づいて、各バリアグループの光バリアの開閉動作に同期した表示動作を行い、
前記表示動作では、複数のバリアグループの光バリアの開閉動作が一巡する一巡期間において、互いに異なる複数組の前記多視点画像に基づいて表示を行う
立体表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記複数のバリアグループは4つのバリアグループであり、
前記表示動作では、前記一巡期間において、第1組および第2組の多視点画像に基づいて表示を行う
請求項1に記載の立体表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記複数のバリアグループは3つのバリアグループであり、
前記表示動作では、
第1の一巡期間において、第1組および第2組の多視点画像に基づいて表示を行い、
続く第2の一巡期間において、第2組および第3組の多視点画像に基づいて表示を行う
請求項1に記載の立体表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記複数のバリアグループは2つのバリアグループであり、
前記表示動作では、前記一巡期間において、第1組および第2組の多視点画像に基づいて表示を行う
請求項1に記載の立体表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記複数の光バリアは、所定の方向において、前記複数のバリアグループが巡回的に現れるように並設され、
前記表示動作では、各組の多視点画像に基づいて、互いに隣り合っていない光バリアのバリアグループに同期して表示を行う
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の立体表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記複数の光バリアは、所定の方向において、前記複数のバリアグループが巡回的に現れるように並設され、
前記表示動作では、各組の多視点画像に基づいて、互いに隣り合う光バリアのバリアグループに同期して表示を行う
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の立体表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記表示動作では、前記一巡期間において、複数組の多視点画像に基づいて、各バリアグループにそれぞれ対応する複数の系列の複合画像を生成して表示する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の立体表示装置の駆動方法。
【請求項8】
複数のバリアグループにグループ分けされた複数の光バリアを、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉動作し、
多視点画像に基づいて、各バリアグループの光バリアの開閉動作に同期した表示動作を行い、
前記表示動作では、複数のバリアグループの光バリアの開閉動作が一巡する一巡期間において、少なくとも1つのバリアグループの光バリアに対応する部分の表示が、他のバリアグループの光バリアに対応する部分の表示とは、互いに異なる多視点画像に基づいて行われる
立体表示装置の駆動方法。
【請求項9】
複数のバリアグループにグループ分けされた複数の光バリアを含む光バリア部と、
前記複数の光バリアを、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉動作させるバリア駆動部と、
複数のバリアグループの光バリアの開閉動作が一巡する一巡期間において、互いに異なる複数組の多視点画像に基づいて表示を行う表示部と
を備えた立体表示装置。
【請求項10】
前記表示部は液晶表示部であり、
バックライトをさらに備え、
前記液晶表示部は、前記バックライトと前記光バリア部との間に配置されている
請求項9に記載の立体表示装置。
【請求項11】
前記表示部は液晶表示部であり、
バックライトをさらに備え、
前記光バリア部は、前記バックライトと前記液晶表示部との間に配置されている
請求項9に記載の立体表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate


【公開番号】特開2012−141400(P2012−141400A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293038(P2010−293038)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】