説明

端末間送金システム及び端末間送金方法

【課題】簡易に情報携帯端末同士で送金を行うことができる端末間送金システム及び端末間送金方法を提供すること。
【解決手段】本発明の端末間送金システムにおいては、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間で近距離通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動させ、移動体端末1Aが決済サーバ4から送金システム用鍵を取得すると共に、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間で近距離通信を行って移動体端末1Bが移動体端末1Aから送金システム用鍵を取得し、この送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末間送金システム及び端末間送金方法に関し、特に、移動体端末間で簡易に送金を行うことができる端末間送金システム及び端末間送金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報携帯端末を利用した電子マネーシステムが利用されるようになってきている。このようなシステムにおいては、情報携帯端末に事前に電子マネーを入金しておき、店舗に配設した端末装置と所定の決済センターとの間のデータ通信により決済を行う。また、複数の情報携帯端末と決済センターとを接続しておき、情報携帯端末間で送金を行う電子マネーシステムも開発されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−216459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されている電子マネーシステムにおいては、いずれの情報携帯端末も決済センターとネットワークを介して接続されており、送金に係わる情報携帯端末がいずれも決済センターとの間で通信が必要となる。近年、近距離通信が普及されてきており、このような近距離通信を利用して、簡易に情報携帯端末同士で送金を行うことが望まれている。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、簡易に情報携帯端末同士で送金を行うことができる端末間送金システム及び端末間送金方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の端末間送金システムは、無線通信が可能である通信手段、及び送金システム用鍵を格納する格納手段を有するサーバと、前記サーバと無線通信が可能である通信手段、近距離通信が可能であるリーダライタ手段、及び前記近距離通信を制御する非接触カード機能用制御手段を有する第1端末装置と、前記第1端末装置から取得した前記送金システム用鍵により使用可能となるサービスを扱う非接触カード機能手段を有する第2端末装置と、を具備することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、簡単に端末間送金を行うことができる。このため、移動体端末を決済端末として利用することができ、店舗にいなくても決済を行うことができる。また、このようなシステムにより、個人間送金も実現することが可能となる。
【0007】
本発明の端末間送金システムは、サーバと無線通信が可能である通信手段、近距離通信が可能であるリーダライタ手段、前記サーバから取得した送金システム用鍵を格納する非接触カード機能用メモリ、及び前記近距離通信を制御する非接触カード機能用制御手段を有する第1端末装置と、前記第1端末装置から取得した送金システム用鍵により使用可能となるサービスを扱う非接触カード機能手段を有する第2端末装置と、を具備することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、簡単に端末間送金を行うことができる。このため、移動体端末を決済端末として利用することができ、店舗にいなくても決済を行うことができる。また、このようなシステムにより、個人間送金も実現することが可能となる。さらに、予め減算端末装置が送金システム用鍵を取得しておくので、端末間送金用アプリケーションでの減算処理(決済処理)を行う際に、減算端末装置がサーバと通信を行う必要がなくなる。このため、迅速に決済処理を行うことが可能となる。また、近距離通信だけで決済処理を行うことができるので、移動通信網の圏内・圏外に拘らず、決済処理を行うことが可能となる。
【0009】
本発明の端末間送金システムにおいては、第2端末装置が、前記近距離通信が可能であるリーダライタ手段を有することが好ましい。
【0010】
本発明の端末間送金システムにおいては、前記第1端末装置は、前記送金システム用鍵を利用可能にするための鍵を前記サーバから取得することが好ましい。この構成によれば、送金システム用鍵についての利用制限を課すことが可能となり、セキュリティを向上させることができる。
【0011】
本発明の端末間送金システムにおいては、前記非接触カード機能手段は、前記サービスに関するデータを格納する非接触カード機能用メモリと、前記近距離通信を制御すると共に前記非接触カード機能用メモリにおけるデータに対して減算処理を行う非接触カード機能用制御手段と、を有することが好ましい。
【0012】
本発明の端末間送金方法は、減算端末装置と被減算端末装置との間で近距離通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動する工程と、前記減算端末装置がサーバから送金システム用鍵を取得すると共に、前記減算端末装置と前記被減算端末装置との間で近距離通信を行って前記被減算端末装置が前記減算端末装置から送金システム用鍵を取得する工程と、前記送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行う工程と、を具備することを特徴とする。
【0013】
この方法によれば、簡単に端末間送金を行うことができる。このため、移動体端末を決済端末として利用することができ、店舗にいなくても決済を行うことができる。また、このようなシステムにより、個人間送金も実現することが可能となる。
【0014】
本発明の端末間送金方法は、減算端末装置がサーバから送金システム用鍵を取得する工程と、前記減算端末装置と被減算端末装置との間で近距離通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動する工程と、前記減算端末装置と前記被減算端末装置との間で近距離通信を行って前記被減算端末装置が前記減算端末装置から送金システム用鍵を取得する工程と、前記送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行う工程と、を具備することを特徴とする。
【0015】
この方法によれば、簡単に端末間送金を行うことができる。このため、移動体端末を決済端末として利用することができ、店舗にいなくても決済を行うことができる。また、このようなシステムにより、個人間送金も実現することが可能となる。さらに、予め減算端末装置が送金システム用鍵を取得しておくので、端末間送金用アプリケーションでの減算処理(決済処理)を行う際に、減算端末装置がサーバと通信を行う必要がなくなる。このため、迅速に決済処理を行うことが可能となる。また、近距離通信だけで決済処理を行うことができるので、移動通信網の圏内・圏外に拘らず、決済処理を行うことが可能となる。
【0016】
本発明の端末間送金方法においては、前記減算端末装置は、前記送金システム用鍵を利用可能にするための鍵を前記サーバから取得することが好ましい。この方法によれば、送金システム用鍵についての利用制限を課すことが可能となり、セキュリティを向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無線通信が可能である通信手段、及び送金システム用鍵を格納する格納手段を有するサーバと、前記サーバと無線通信が可能である通信手段、近距離通信が可能であるリーダライタ手段、及び前記近距離通信を制御する非接触カード機能用制御手段を有する第1端末装置と、前記第1端末装置から取得した前記送金システム用鍵により使用可能となるサービスを扱う非接触カード機能手段を有する第2端末装置と、を具備するので、簡易に情報携帯端末同士で送金を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、送金システム用鍵をサーバ側から減算端末装置が取得し、その送金システム用鍵を減算端末装置から被減算端末装置に近距離通信で送信する場合について説明する。ここで、近距離通信としては、非接触ICを用いたフェリカ(FeliCa)(登録商標)を利用した通信などを挙げることができる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1に係る端末間送金システムの概略構成を示す図である。図1に示すシステムは、減算端末装置である移動体端末1Aと、この移動体端末1Aとの間で端末間送金を行う被減算端末装置である移動体端末1Bと、移動体端末1A,1Bと移動通信網2及びインターネット3などのネットワークを介して接続された決済サーバ4とから主に構成されている。
【0020】
このような構成を有するシステムにおいては、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間で近距離通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動させ、移動体端末1Aが決済サーバ4から送金システム用鍵を取得すると共に、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間で近距離通信を行って移動体端末1Bが移動体端末1Aから送金システム用鍵を取得し、この送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行う。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態に係る端末間送金システムに使用する減算端末装置あるいは被減算端末装置である移動体端末1A,1Bを示す概略ブロック図である。移動体端末1A,1Bは、装置全体を制御する制御部11と、アンテナ12を介して決済サーバ4との間で無線通信を行う通信制御部13と、種々のデータや情報を表示する表示部14と、端末間送金用アプリケーションを起動するアプリ制御部15と、種々のデータや情報を入力する入力部16と、非接触カード機能を利用して近距離通信をリーダライタ(R/W)18を介して行う非接触カード機能部17とから主に構成されている。本実施の形態においては、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの構成が同じである場合について説明しているが、本発明においては、後述する端末間送金方法を実現できる範囲内において移動体端末1Aと移動体端末1Bとの構成は異なっていても良い。
【0022】
非接触カード機能部17は、R/W18を介して他の端末装置との間で非接触カード機能を利用した近距離通信を行う。非接触カード機能部17は、非接触カード機能を利用するサービスに必要な情報やデータを格納するメモリ172と、非接触カード機能を利用した近距離通信の制御を行うコントローラ171とを含む。非接触カード機能部17で取り扱うサービスは、R/W18を介して取得した送金システム用鍵により使用可能となる。また、コントローラ171は、メモリ172におけるデータに対して減算処理を行う。
【0023】
アプリ制御部15は、入力部16からの入力により、あるいは、アンテナ12を介して受信したコマンド信号に基づいて制御部11の指示により、端末間送金用アプリケーションを起動する。端末間送金用アプリケーションにおいては、必要に応じてユーザ認証を行った後に、非接触カード機能部17のメモリ172内のデータに対して減算処理を行い、その減算処理結果を出力する。
【0024】
このような構成を有するシステムにおいては、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間で近距離通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動させ、移動体端末1Aが決済サーバ4から送金システム用鍵を取得すると共に、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間で近距離通信を行って移動体端末1Bが移動体端末1Aから送金システム用鍵を取得し、この送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行うので、簡単に端末間送金を行うことができる。このため、移動体端末を決済端末として利用することができ、店舗にいなくても決済を行うことができる。また、このようなシステムにより、個人間送金も実現することが可能となる。
【0025】
次に、本発明の端末間送金方法について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る端末間送信方法を示すシーケンス図である。なお、本実施の形態においては、決済サーバ4が送金システム用鍵を格納している。
【0026】
まず、減算端末装置である移動体端末1Aにおいて、クレジット支払いを受けるユーザ(入金側ユーザ)が入力部16を介して端末間送金用アプリケーションを選択すると、すなわち、移動体端末1Aに内蔵されている端末間送金用アプリケーションを選択すると、アプリ制御部15が端末間送金用アプリケーションを起動させる(ST11)。このとき、表示部14には、図4に示すような画面が表示される。
【0027】
そして、入金側ユーザは、図4に示す画面において、取引金額(被減算端末装置の残額から減算する金額)を入力する(ST12)。この入力を決定すると、表示部14に「支払い者の端末に近づけてください」と表示される。移動体端末1Aと移動体端末1Bとを近づけると、具体的には、移動体端末1AのR/W18を移動体端末1BのR/W18にかざすと、近距離通信における所定の手順の通信開始動作が行われて、近距離通信が可能になる。近距離通信が可能になると、アプリ制御部15は、被減算端末装置である移動体端末1Bに対して端末間送金用アプリケーションを起動するコマンドを送信する(ST13)。このコマンドは、移動体端末1AのR/W18から移動体端末1BのR/W18を介して移動体端末1Bで受信され、アプリ制御部15に送られる。アプリ制御部15は、コマンドを受け取ると、端末間送金用アプリケーションを起動させる(ST14)。
【0028】
移動体端末1Bにおいては、表示部14に図5に示すような画面が表示される。クレジット支払いするユーザ(出金側ユーザ)は、画面においてクレジット金額を確認した上で暗証番号(PINコード)を入力部16から入力する(ST15)。暗証番号を照合してユーザ認証がなされると、制御部11が非接触カード機能部17にPIN解除指示を行う。非接触カード機能部17においては、コントローラ171がメモリ172における指定領域のPIN解除を行う(ST16)。
【0029】
次いで、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間でR/W18を介する近距離通信を行うと共に、移動体端末1Aと決済サーバ4との間で移動通信網2及びインターネット3を介する無線通信を行う(ST17〜ST23)。移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間の情報通信においては、移動体端末1Bの与信残高情報や移動体端末1Bの識別情報を移動体端末1Bから移動体端末1Aに送信する(ST17)。なお、この情報通信において、移動体端末1Bは、事前に与信残高が取引金額よりも多いことを確認する。また、移動体端末1Aと決済サーバ4との間の情報通信においては、移動体端末1Bの与信残高情報や移動体端末1A,1Bの識別情報を移動体端末1Aから決済サーバ4に送信する(ST17)。このとき、移動体端末1A及び決済サーバ4においては、取引金額に基づく与信の確認を行う。
【0030】
次いで、決済サーバ4は、格納している送金システム用鍵を移動体端末1Aに送信する(ST18)。このとき、移動体端末1Aは、送金システム用鍵を格納することなく、移動体端末1Bに送信する(ST19)。したがって、送金システム用鍵の送信においては、移動体端末1Aは、決済サーバ4と通信すると共に移動体端末1Bとも通信を行う状態となる。移動体端末1Bにおいては、送金システム用鍵を受信すると、この送金システム用鍵が非接触カード機能部17に送られ、コントローラ171により減算処理が行われる(ST20)。すなわち、移動体端末1Bの与信残高から取引金額を減算する。
【0031】
次いで、移動体端末1Bにおいては、減算処理の結果をアプリ制御部15に送る。アプリ制御部15は、アプリケーションにおいて減算処理の結果を表示する。表示部14では、図6に示す画面が表示される。また、移動体端末1Bにおいては、コントローラ171により近距離通信で減算処理の結果をR/W18を介して移動体端末1Aに送信する(ST21)。また、移動体端末1Aにおいては、受信した減算処理の結果をアプリ制御部15に送る。アプリ制御部15は、アプリケーションにおいて減算処理の結果を表示する。表示部14では、図7に示す画面が表示される。また、移動体端末1Aにおいては、通信制御部13により無線通信で移動通信網2及びインターネット3を介して減算処理の結果を決済サーバ4に送信する(ST22)。これにより、決済サーバ4は、減算処理の結果を取得する(ST23)。
【0032】
このように、本実施の形態に係る端末間送金システムにおいては、簡単に端末間送金を行うことができる。このため、移動体端末を決済端末として利用することができ、店舗にいなくても決済を行うことができる。また、このようなシステムにより、個人間送金も実現することが可能となる。
【0033】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、送金システム用鍵をサーバ側から減算端末装置が予め取得し、システム利用時に、送金システム用鍵を利用可能にする鍵をサーバ側から取得して、利用可能になった送金システム用鍵を減算端末装置から被減算端末装置に近距離通信で送信する場合について説明する。ここで、近距離通信としては、非接触ICを用いたフェリカ(FeliCa)(登録商標)を利用した通信などを挙げることができる。
【0034】
本実施の形態に係る端末間送金システムの構成については、実施の形態1における図1及び図2に示す構成と同じであるので、その説明は省略する。本実施の形態に係る端末間送金システムにおいては、移動体端末1Aが決済サーバ4から送金システム用鍵を取得し、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間で近距離通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動し、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間で近距離通信を行って移動体端末1Bが移動体端末1Aから送金システム用鍵を取得し、送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行う。このとき、送金システム用鍵を利用可能にするための鍵を決済サーバ4から取得する。
【0035】
このようなシステムにおいては、移動体端末を決済端末として利用することができ、店舗にいなくても決済を行うことができる。また、このようなシステムにより、個人間送金も実現することが可能となる。また、本実施の形態に係るシステムにおいては、予め移動体端末1Aが送金システム用鍵を取得しておくので、端末間送金用アプリケーションでの減算処理(決済処理)を行う際に、移動体端末1Aが決済サーバ4と通信を行う必要がなくなる。このため、迅速に決済処理を行うことが可能となる。また、近距離通信だけで決済処理を行うことができるので、移動通信網の圏内・圏外に拘らず、決済処理を行うことが可能となる。
【0036】
次に、本発明の端末間送金方法について、図8を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態2に係る端末間送信方法を示すシーケンス図である。なお、本実施の形態においては、移動体端末1Aが送金システム用鍵を格納している。
【0037】
まず、予め決済サーバ4が送金システム用鍵Yを移動体端末1Aに送信する(ST31)。そして、移動体端末1Aでは、移動通信網2及びインターネット3を介して送金システム用鍵Yを取得し(ST32)、送金システム用鍵Yを格納する。これにより初期設定が完了する。
【0038】
そして、端末間送金用アプリケーションでの減算処理を行う場合、減算端末装置である移動体端末1Aにおいて、クレジット支払いを受けるユーザ(入金側ユーザ)が入力部16を介して端末間送金用アプリケーションを選択すると、すなわち、移動体端末1Aに内蔵されている端末間送金用アプリケーションを選択すると、アプリ制御部15が端末間送金用アプリケーションを起動させる(ST33)。このとき、表示部14には、図4に示すような画面が表示される。
【0039】
端末間送金用アプリケーションが起動すると、決済サーバ4に対して送金システム用鍵Yを利用可能にする鍵Xを要求する。決済サーバ4は、この要求に応じて鍵Xを移動通信網2及びインターネット3を介して移動体端末1Aに送信する(ST34)。そして、移動体端末1Aでは、鍵Xを取得し(ST35)、格納されている送金システム用鍵Yを有効にする。この鍵Xを用いることにより、送金システム用鍵Yの利用回数、利用期間、決済金額の上限などの決済に関する種々の設定に制限を加えることができる。すなわち、送金システム用鍵Yについての利用制限を課すことが可能となり、セキュリティを向上させることができる。この場合、移動体端末1Aの表示部14には、例えば、「本日○時まで○回利用可能です」のような表示がなされる。
【0040】
入金側ユーザは、図4に示す画面において、取引金額(被減算端末装置の残額から減算する金額)を入力する(ST36)。この入力を決定すると、表示部14に「支払い者の端末に近づけてください」と表示される。移動体端末1Aと移動体端末1Bとを近づけると、具体的には、移動体端末1AのR/W18を移動体端末1BのR/W18にかざすと、近距離通信における所定の手順の通信開始動作が行われて、近距離通信が可能になる。近距離通信が可能になると、アプリ制御部15は、被減算端末装置である移動体端末1Bに対して端末間送金用アプリケーションを起動するコマンドを送信する(ST37)。このコマンドは、移動体端末1AのR/W18から移動体端末1BのR/W18を介して移動体端末1Bで受信され、アプリ制御部15に送られる。アプリ制御部15は、コマンドを受け取ると、端末間送金用アプリケーションを起動させる(ST38)。
【0041】
移動体端末1Bにおいては、表示部14に図5に示すような画面が表示される。クレジット支払いするユーザ(出金側ユーザ)は、画面においてクレジット金額を確認した上で暗証番号(PINコード)を入力部16から入力する(ST39)。暗証番号を照合してユーザ認証がなされると、制御部11が非接触カード機能部17にPIN解除指示を行う。非接触カード機能部17においては、コントローラ171がメモリ172における指定領域のPIN解除を行う(ST40)。
【0042】
次いで、移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間でR/W18を介する近距離通信を行うと共に、移動体端末1Aと決済サーバ4との間で移動通信網2及びインターネット3を介する無線通信を行う(ST41〜ST46)。移動体端末1Aと移動体端末1Bとの間の情報通信においては、移動体端末1Bの与信残高情報や移動体端末1Bの識別情報を移動体端末1Bから移動体端末1Aに送信する(ST41)。なお、この情報通信において、移動体端末1Bは、事前に与信残高が取引金額よりも多いことを確認する。また、移動体端末1Aと決済サーバ4との間の情報通信においては、移動体端末1Bの与信残高情報や移動体端末1A,1Bの識別情報を移動体端末1Aから決済サーバ4に送信する(ST41)。このとき、移動体端末1A及び決済サーバ4においては、取引金額に基づく与信の確認を行う。
【0043】
次いで、移動体端末1Aは、格納してある送金システム用鍵Yを移動体端末1Bに送信する(ST42)。したがって、送金システム用鍵Yの送信においては、移動体端末1Aは、決済サーバ4と通信せずに、移動体端末1Bと通信を行う状態となる。移動体端末1Bにおいては、送金システム用鍵Yを受信すると、この送金システム用鍵Yが非接触カード機能部17に送られ、コントローラ171により減算処理が行われる(ST43)。すなわち、移動体端末1Bの与信残高から取引金額を減算する。
【0044】
次いで、移動体端末1Bにおいては、減算処理の結果をアプリ制御部15に送る。アプリ制御部15は、アプリケーションにおいて減算処理の結果を表示する。表示部14では、図6に示す画面が表示される。また、移動体端末1Bにおいては、コントローラ171により近距離通信で減算処理の結果をR/W18を介して移動体端末1Aに送信する(ST44)。また、移動体端末1Aにおいては、受信した減算処理の結果をアプリ制御部15に送る。アプリ制御部15は、アプリケーションにおいて減算処理の結果を表示する。表示部14では、図7に示す画面が表示される。また、移動体端末1Aにおいては、通信制御部13により無線通信で移動通信網2及びインターネット3を介して減算処理の結果を決済サーバ4に送信する(ST45)。これにより、決済サーバ4は、減算処理の結果を取得する(ST46)。
【0045】
このように、本実施の形態に係る端末間送金システムにおいては、簡単に端末間送金を行うことができる。このため、移動体端末を決済端末として利用することができ、店舗にいなくても決済を行うことができる。また、このようなシステムにより、個人間送金も実現することが可能となる。また、本実施の形態に係るシステムにおいては、予め移動体端末1Aが送金システム用鍵を取得しておくので、端末間送金用アプリケーションでの減算処理(決済処理)を行う際に、移動体端末1Aが決済サーバ4と通信を行う必要がなくなる。このため、迅速に決済処理を行うことが可能となる。また、近距離通信だけで決済処理を行うことができるので、移動通信網の圏内・圏外に拘らず、決済処理を行うことが可能となる。
【0046】
上記実施の形態1,2においては、決済処理の対象がクレジットのようなポストペイ方式である場合について説明しているが、本発明においては、決済処理の対象がプリペイド方式であっても良い。例えば、プリペイド方式の電子マネーや電子チケットを用いて決済処理を行うようにしても良い。この場合においては、プリペイドカードなどで決済処理を行うので、移動体端末1A又は移動体端末1Bのいずれかは、近距離通信が可能であるリーダライタ手段を備えていなくても良い。そして、この場合においては、例えば、移動体端末1Aがリーダライタ手段を有しないとすれば、決済サーバと通信を行うのは移動体端末1Bになり、移動体端末1Bと決済サーバとの間でリーダライタ手段を有しない移動体端末1Aに対する加算処理を行う。
【0047】
本発明は上記実施の形態1,2に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態1,2における手順、ブロック構成、画面表示については、これに限定されず、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1に係る端末間送金システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る端末間送金システムに使用する移動体端末を示す概略ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る端末間送金方法を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る端末間送金方法における移動体端末の表示画面を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る端末間送金方法における移動体端末の表示画面を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る端末間送金方法における移動体端末の表示画面を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る端末間送金方法における移動体端末の表示画面を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る端末間送金方法を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0049】
1A,1B 移動体端末
2 移動通信網
3 インターネット
4 決済サーバ
11 制御部
12 アンテナ
13 通信制御部
14 表示部
15 アプリ制御部
16 入力部
17 非接触カード機能部
18 R/W
171 コントローラ
172 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信が可能である通信手段、及び送金システム用鍵を格納する格納手段を有するサーバと、
前記サーバと無線通信が可能である通信手段、近距離通信が可能であるリーダライタ手段、及び前記近距離通信を制御する非接触カード機能用制御手段を有する第1端末装置と、
前記第1端末装置から取得した前記送金システム用鍵により使用可能となるサービスを扱う非接触カード機能手段を有する第2端末装置と、
を具備することを特徴とする端末間送金システム。
【請求項2】
サーバと無線通信が可能である通信手段、近距離通信が可能であるリーダライタ手段、前記サーバから取得した送金システム用鍵を格納する非接触カード機能用メモリ、及び前記近距離通信を制御する非接触カード機能用制御手段を有する第1端末装置と、
前記第1端末装置から取得した送金システム用鍵により使用可能となるサービスを扱う非接触カード機能手段を有する第2端末装置と、
を具備することを特徴とする端末間送金システム。
【請求項3】
第2端末装置が、前記近距離通信が可能であるリーダライタ手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の端末間送金システム。
【請求項4】
前記第1端末装置は、前記送金システム用鍵を利用可能にするための鍵を前記サーバから取得することを特徴とする請求項3記載の端末間送金システム。
【請求項5】
前記非接触カード機能手段は、前記サービスに関するデータを格納する非接触カード機能用メモリと、前記近距離通信を制御すると共に前記非接触カード機能用メモリにおけるデータに対して減算処理を行う非接触カード機能用制御手段と、を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の端末間送金システム。
【請求項6】
減算端末装置と被減算端末装置との間で近距離通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動する工程と、前記減算端末装置がサーバから送金システム用鍵を取得すると共に、前記減算端末装置と前記被減算端末装置との間で近距離通信を行って前記被減算端末装置が前記減算端末装置から送金システム用鍵を取得する工程と、前記送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行う工程と、を具備することを特徴とする端末間送金方法。
【請求項7】
減算端末装置がサーバから送金システム用鍵を取得する工程と、前記減算端末装置と被減算端末装置との間で近距離通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動する工程と、前記減算端末装置と前記被減算端末装置との間で近距離通信を行って前記被減算端末装置が前記減算端末装置から送金システム用鍵を取得する工程と、前記送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行う工程と、を具備することを特徴とする端末間送金方法。
【請求項8】
前記減算端末装置は、前記送金システム用鍵を利用可能にするための鍵を前記サーバから取得することを特徴とする請求項7記載の端末間送金方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−27319(P2008−27319A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201385(P2006−201385)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】