説明

競技用計測システム、および、タイム取得方法

【課題】データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得できる競技用計測システム等を提供する。
【解決手段】無線タグは、電磁場の変極点を検出すると、その時点で計時部が計時する時刻(ランニングタイム)を競技タイムとして計測する。そして、(a)に示すフォーマットにて、タイム情報を生成する。つまり、計測した競技タイムの一部(秒から1/100秒までの値、つまり、SS.tt)と、その他の情報を含めた合計18バイトのタイム情報を生成する。なお、(b)に示すフォーマットと比べて、約2割程度までデータ量を削減できる。そして、このような競技タイムの一部(タイム情報)を送信する場合でも、(c)に示すように、無線タグ側とタイマ機器とで、同期したランニングタイムの計時を行っているため、受信側にて、競技タイムを適切に復元することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得することのできる競技用計測システム、および、タイム取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マラソン競技において、競技者個々のゴールタイムを計測(計時)する試みがなされている。例えば、競技者のゼッケン等にバーコードを印刷しておき、ゴールした競技者のバーコードをリーダにて読み取った時刻に基づいて、競技者個々のゴールタイムを計測する計測システムも実用化されている。
最近では、各計時ポイントにおける通過タイムも含めた競技タイムを計測可能とするために、非接触にて競技者個々の競技タイムを計測する試みがなされている。例えば、競技者にタグ送信機を保持させ、このタグ送信機から送られる情報により、競技タイムを計測する計測システムが開発され、実用化に向けた運用試験等が試みられている。
【0003】
具体的に、ランニングタイムを自ら計時する無線タグを競技者に保持させ、また、トリガ信号発生装置から計時地点の計測ゾーンにトリガ信号を送信するようにした競技用計測システムでは、無線タグを保持する競技者が計測ゾーンを走行すると、トリガ信号に応答した無線タグが、その時点のランニングタイムにより計測タイム(競技タイム)を特定する。そして、無線タグがこの計測タイム等を計測タイム受信機に送信することにより、各競技者のタイム集計を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−300256号公報(第7−15頁、第10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の競技用計測システムでは、同時期に大勢の競技者が計測ゾーン内に到達した場合でも、個々の無線タグが異なる応答タイミング(応答タイムスロット)にて計測タイムを送信するため、アンチコリジョンが実現される。
それでも、応答タイムスロット自体が計測タイム(時,分,秒等)を全て含む標準データ量に応じて規定されており、一定時間内に送信可能となる無線タグの数が限られてしまう。そのため、競技者の数が多くなると、タイム集計を終えるまでに、ある程度の長時間を要していた。
【0005】
そのため、一定時間内に送信可能となる無線タグの数を増やし、タイム集計に要する時間をより短縮できる技術が求められていた。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得することのできる競技用計測システム、および、タイム取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る競技用計測システムは、
競技者が携帯する無線機器と、前記無線機器からタイム情報を受信する受信側装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記無線機器には、
第1の基準時刻を計時する計時手段と、
競技者が走行する走路上に生成された電磁場を検出する電磁場検出手段と、
検出された前記電磁場に基づいて、予め規定された計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイントが検出された際に、前記計時手段にて計時された前記第1の基準時刻を競技タイムとして計測するタイム計測手段と、
計測された前記競技タイムの一部を含むタイム情報を、前記受信側装置に向けて送信するタイム情報送信手段と、が設けられ、
前記受信側装置には、
前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信するタイム情報受信手段と、
第2の基準時刻を計時する受信側計時手段と、
受信した前記タイム情報と前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻との関係に基づいて、前記無線機器にて計測された前記競技タイムを復元するタイム復元手段と、が設けられている、
ことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、無線機器において、計時手段は、第1の基準時刻(例えば、ランニングタイム)を計時する。また、電磁場検出手段は、競技者が走行する走路上に生成された電磁場を検出する。計時ポイント検出手段は検出された電磁場に基づいて、予め規定された計時ポイント(例えば、計時ライン)を検出する。タイム計測手段は、前記計時ポイントが検出された際に、前記計時手段にて計時された第1の基準時刻を競技タイムとして計測する。そして、タイム情報送信手段は、計測された競技タイムの一部(例えば、秒から1/100秒までの値)を含むタイム情報を、前記受信側装置に向けて送信する。
一方、受信側装置において、タイム情報受信手段は、前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する。また、受信側計時手段は、第2の基準時刻を計時する。そして、タイム復元手段は、受信した前記タイム情報と受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻との関係に基づいて、前記無線機器にて計測された前記競技タイムを復元する。
この結果、データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得することができる。
【0009】
前記無線機器の前記タイム情報送信手段は、計測された前記競技タイムの秒以下の所定桁までの値を含む前記タイム情報を、前記受信側装置に向けて送信し、
前記受信側装置の前記タイム復元手段は、少なくとも前記タイム情報の秒と、前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻の秒との比較結果に基づいて、前記無線機器の前記タイム計測手段にて計測された前記競技タイムを復元してもよい。
【0010】
前記無線機器の前記タイム情報送信手段は、計測された前記競技タイムの秒の奇偶を示すフラグと1/10秒以下の所定桁までの値を含む前記タイム情報を、前記受信側装置に向けて送信し、
前記受信側装置の前記タイム復元手段は、少なくとも前記タイム情報の前記フラグに示される奇偶と、前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻の秒の奇偶との比較結果に基づいて、前記無線機器にて計測された前記競技タイムを復元してもよい。
【0011】
前記受信側装置の前記タイム復元手段は、少なくとも前記タイム情報の前記フラグに示される奇偶と、前記受信側計時手段が計時する前記第1の基準時刻の秒の奇偶とが一致しない場合に、前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻の秒の値に基づいて、前記無線機器にて計測された前記競技タイムを復元してもよい。
【0012】
前記受信側装置には、前記受信側計時手段にて計時される前記第2の基準時刻の一部を含む時刻情報を、前記無線機器に送信する送信手段が更に設けられ、
前記無線機器には、前記送信手段から送られる前記時刻情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記時刻情報に基づいて、前記計時手段が計時する前記第1の基準時刻を補正する補正手段と、が更に設けられていてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るタイム取得方法は、
競技者が携帯する無線機器と、前記無線機器からタイム情報を受信する受信側装置と、を含むシステムにおけるタイム取得方法であって、
前記無線機器において、第1の基準時刻を計時する計時ステップと、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記電磁場に基づいて、予め規定された計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記計時ステップにて計時された前記第1の基準時刻を競技タイムとして計測するタイム計測ステップと、
前記無線機器において、前記タイム計測ステップにて計測された前記競技タイムの一部を含む前記タイム情報を、前記受信側装置に向けて送信するタイム情報送信ステップと、
前記受信側装置において、前記無線機器の前記タイム情報送信ステップにて送信される前記タイム情報を受信するタイム情報受信ステップと、
前記受信側装置において、第2の基準時刻を計時する受信側計時ステップと、
前記受信側装置において、前記タイム情報受信ステップにて受信した前記タイム情報と前記受信側計時ステップにて計時された前記第2の基準時刻との関係に基づいて、前記無線機器の前記タイム計測ステップにて計測された前記競技タイムを復元するタイム復元ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、無線機器において、計時ステップは、第1の基準時刻(例えば、ランニングタイム)を計時する。また、電磁場検出ステップは、競技者が走行する走路上に生成された電磁場を検出する。計時ポイント検出ステップは、前記電磁場検出ステップにて検出された電磁場に基づいて、予め規定された計時ポイント(例えば、計時ライン)を検出する。タイム計測ステップは、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして計測する。そして、タイム情報送信ステップは、前記タイム計測ステップにて計測された前記競技タイムの一部を含むタイム情報を、受信側装置に向けて送信する。
一方、受信側装置において、タイム情報受信ステップは、前記無線機器のタイム情報送信ステップにて送信される前記タイム情報を受信する。また、受信側計時ステップは、前記受信側装置において、第2の基準時刻を計時する。そして、タイム復元ステップは、前記受信側装置において、受信した前記タイム情報と前記受信側計時ステップにて計時された前記第2の基準時刻との関係に基づいて、前記無線機器の前記タイム計測ステップにて計測された前記競技タイムを復元する。
この結果、データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態にかかる競技用計時システムについて、以下図面を参照して説明する。なお、一例として、マラソン競技に適用され、複数地点にて競技タイムの計時等を行う競技用計時システムについて説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、この発明の実施形態に適用される競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。なお、以下ではタイム計時を行う中継地点やゴール地点を、便宜的にまとめて計時地点として説明する。つまり、計時地点は、中継地点やゴール地点を示している。
【0018】
図示するように、競技用計時システムは、スタート地点に設置された変調磁場発生装置10、ループコイル11、タイマ機器30、送信コントロールボックス40、送信機41、時刻同期コンソール50と、計時地点(中継地点やゴール地点)に設置された変調磁場発生装置10、アンテナ11、磁場発生装置20、ループコイル21、タイマ機器30、送信コントロールボックス40、送信機41、時刻同期コンソール50、受信側装置としての受信コントロールボックス60、受信機61、処理装置70と、各競技者RNにそれぞれ携帯される無線機器としての無線タグ80と、を含んで構成される。
つまり、変調磁場発生装置10、ループコイル11、タイマ機器30、送信コントロールボックス40、送信機41、及び、時刻同期コンソール50が、両地点にそれぞれ設置され、一方、磁場発生装置20、ループコイル21、受信コントロールボックス60、受信機61、及び、処理装置70が、計時地点だけに設置される。
【0019】
変調磁場発生装置10は、例えば、走路の沿道に配置され、ループコイル11上に電磁場を発生させる。具体的に変調磁場発生装置10は、所定周波数に同期した正弦波を発生させる正弦波発生回路と、送信すべき関門番号(固有の識別情報)に従って正弦波を所定方式にて変調させる変調回路と、変調させた信号(変調信号)を増幅してループコイル11に供給する電力増幅回路とを含んで構成される。
なお、スタート地点、計時地点に配置される変調磁場発生装置10には、それぞれの配置地点を示す関門番号が定められている。
【0020】
ループコイル11は、略方形に形成されたコイルであり、競技者RNが走行する走路上に適宜配置される。なお、計時地点に配置されるループコイル11は、ループコイル21(計時ポイント)よりも手前の走路上に配置される。
ループコイル11は、一例として、図2(a)に示すように、競技者RNの走行方向(図2(b)矢印A方向)に対して直交する方向に延びる直線bを中心線として、平行に所定距離だけ隔てた直線a、cに沿って略方形(矩形)が形成されている。そして、1辺に給電点sを有するように形成され、この給電点sから矢印方向に電流が流れるようになっている。
そして、ループコイル11は、変調磁場発生装置10から給電点sを通じて変調信号が供給されると、コイル上に変調された交流電磁場を生成する。具体的には、図2(b)に示すような電磁場を生成する。この電磁場には、OOK(On−Off−Keying)等の振幅変調方式にて変調された関門番号が重畳されている。配置地点のループコイル11上を競技者RNが通過した場合に、無線タグ80はその配置地点の関門番号を受信することになる。
【0021】
図2(b)に図示するような電磁場中を、電磁場の検出方向(検出コイル面Dに対して直角な方向)が走路と垂直(つまり、検出コイル面Dが走路に対して平行方向)に配置された電磁場検出コイルC(後述する無線タグ80のLFアンテナ81)が矢印B方向に移動すると、図2(c)に示すような電磁界強度分布が得られる。つまり、電磁場検出コイルCは、走路に対して垂直方向の磁束をコイル面Dにて捉えることになるため、電磁界強度が大きくなる図2(c)に示すような電磁界強度分布を検出する。
なお、無線タグ80は、このような電磁場を検出すると、後述するように時刻同期モードに移行し、送信機41からの時刻配信を受けて時刻同期を行う。
【0022】
図1に戻って、計時地点に設置される磁場発生装置20は、例えば、走路の沿道に配置され、ループコイル21上に電磁場を発生させる。具体的に磁場発生装置20は、所定周波数に同期した正弦波を発生させる正弦波発生回路と、発生させた正弦波を増幅してループコイル21に供給する電力増幅回路とを含んで構成される。
【0023】
計時地点に設置されるループコイル21は、略「8の字」形状に形成されたコイルであり、走路上における計時ポイントに適宜配置される。
ループコイル21は、一例として、図3(a)に示すように、矩形(方形)のコイル部を競技者RNの走行方向(矢印A方向)に2つ連ねたような8の字に形成されている。より詳細には、ループコイル21は8の字順方向巻きとなっており、8の字の中心(中点)、すなわち交差部に給電点sを有するように形成され、この給電点sを通って競技者RNの走行方向に対して直交する方向に延びる直線bを中心線として、略平行に所定距離だけ隔てた直線a,bに沿って、8の字の上下部が形成されている。なお、ループコイル21は、この直線bが計時を行うための図1に示す計時ラインL上に重なるように配置される。
【0024】
そして、ループコイル21は、図3(a)の給電点sから矢印方向に電流が流れるようになっており、磁場発生装置20から正弦波が供給されると、コイル上に交流電磁場を生成する。具体的には、図3(b)に示すように、一方のコイル部上に第1の電磁場210aを生成するとともに、他方のコイル部上に第1の電磁場210aに対して競技者RNの走行方向(矢印A方向)に隣接し且つ第1の電磁場210aと電磁力を打ち消しあう第2の電磁場210bを生成する。
つまり、直線b上の電磁場の電磁界強度は、第1の電磁場210aと第2の電磁場210bとの電磁場の磁力の打ち消しにより、その両側の電磁界強度よりも極めて小さくなっている(例えば、電磁界強度が”0”となっている)。
【0025】
図3(b)に示すような電磁場中を、電磁場の検出方向(検出コイル面Dに対して直角な方向)が走路と垂直(つまり、検出コイル面Dが走路に対して平行方向)に配置された電磁場検出コイルC(後述する無線タグ80のLFアンテナ81)が矢印B方向に移動すると、図3(c)に示すような電磁界強度分布が得られる。つまり、電磁場検出コイルCは、走路に対して垂直方向の磁束をコイル面Dにて捉えることになるため、電磁界強度が極めて小さくなる(例えば、電磁界強度が”0”となる)図3(c)に示すような電磁界強度分布を検出する。
このため、競技者RNがループコイル21上を、矢印B方向に沿って通過した場合に、無線タグ80は、計時ラインL上(直線b上)を、第1の電磁場210aと第2の電磁場210bとの間の電磁場の変極点(後述するトリガポイント)として検出することができる。
【0026】
図1に戻って、各タイマ機器30は、競技における基準時刻となるランニングタイムを計時する。一例として、各タイマ機器30は、競技のスタート予定時刻までダウンカウントし、スタート予定時刻からランニングタイムをアップカウントする。
例えば、競技の開始前に全てのタイマ機器30をスタート地点に集められ、図4(a)に示すように、各タイマ機器30をケーブルCBで接続して、同時にダウンカウントを開始させる。つまり、ダウンカウントする時間(残り時間)をセットすると共に、セットした時間を考慮した適切なタイミングで、グリップスイッチGSからダウンカウント開始信号を供給する。これにより、各タイマ機器30は、同期してダウンカウントを開始し、スタート予定時刻から同期したランニングタイムを計時することになる。
この他にも、GPS(Global Positioning System)衛星等から得られる標準時刻を共通に計時してもよい。
例えば、図4(b)に示すように、標準時刻受信機KJが接続されたタイマ機器30と他のタイマ機器30とをケーブルCBで接続して、共通に標準時刻の計時を開始させる。
【0027】
このように、各タイマ機器30にて同期した時刻(ランニングタイム等)の計時が開始した後に、計時地点に配置されるタイマ機器30が適宜搬送される。
その後、競技が開始され、スタートピストルSPと接続されたタイマ機器30にスタート信号が供給されると、このタイマ機器30は、スタート時刻とランニングタイムとの時差、つまり差分を求める。そして、計時地点に運ばれたタイマ機器30にこの差分が入力されると、計時地点においても、時差が解消されて同期したランニングタイムを計時することになる。
なお、このような差分の入力は、例えば、競技者RNが最初の計時地点に到達する前に終えられるものとする。
【0028】
図1に戻って、送信コントロールボックス40は、タイマ機器30と接続され、送信機41を介して、近傍に移動してきた競技者RNの無線タグ80に向けて、ランニングタイムを送信する。つまり、上述したループコイル11上にて、時刻同期モードに移行した無線タグ80に向けて、時刻配信を行う。
【0029】
送信機41は、送信コントロールボックス40に制御され、同期のための時刻情報を送信する。つまり、無線タグ80に向けて、時刻配信を行う。
具体的にスタート地点の送信機41は、図5(a)に示す時刻配信フォーマットにて時刻情報を送信する。つまり、ランニングタイムの時,分,秒(HH:MM:SS)と、その他の情報を含めた合計16バイトの時刻情報を無線タグ80に送信して、計時を開始させる。
また、最初の計時地点の送信機41も、同様に、図5(a)に示す時刻配信フォーマットにて時刻情報を送信する。つまり、差分が入力され、各タイマ機器30のランニングタイムがスタート時に同期したものとなっているため、無線タグ80にランニングタイムを再セットする必要がある。
つまり、最初の計時地点の送信機41は、例えば、図5(b)に示すように、タイマ機器30が計時する正秒(秒丁度、つまり、n秒00)のタイミングで、ランニングタイムの時,分,秒を含んだ時刻情報を送信する。
この時刻情報を受信すると、無線タグ80は、ランニングタイムを計時部に再セットし、各タイマ機器30と同期がとれた正確なランニングタイムの計時を開始する。
【0030】
一方、以降の計時地点の送信機41は、図5(c)に示す時刻配信フォーマットにて時刻情報を送信する。つまり、ランニングタイムの秒(SS)と、その他の情報を含めた合計12バイトの時刻情報を送信する。
すなわち、送信手段としての計時地点の送信機41は、例えば、図5(d)に示すように、タイマ機器30が計時する正秒のタイミングで、ランニングタイムの一部を含んだ時刻情報を送信する。
つまり、無線タグ80は、既にランニングタイムの計時を開始しているため、タイマ機器30の計時する秒の情報を取得するだけで、自己のランニングタイムを適切に補正することができる。
なお、無線タグ80における自己のランニングタイムの補正の詳細については、後述する。
【0031】
図1に戻って、時刻同期コンソール50は、送信コントロールボックス40を制御したり、送信コントロールボックス40の動作状況等を表示したりするコンソール端末であり、競技役員等により、制御・監視用として適宜使用される。
【0032】
計時地点に配置される受信コントロールボックス60は、タイマ機器30と接続されており、受信機61を介して、無線タグ80から送られるタイム情報を受信する。つまり、上述したループコイル21上の計時ラインLを通過した競技者RNの無線タグ80から、タイム情報を受信する。
なお、後述するように、タイム情報には競技タイムの一部(秒から1/100秒までの値、つまり、SS.tt)が含まれているだけであるため、受信コントロールボックス60は、タイマ機器30が計時するランニングタイムを参照して、競技タイムを適宜復元する。
【0033】
受信機61は、ループコイル21等の近傍に配置され、無線タグ80から送られるタイム情報を受信すると、このタイム情報を受信コントロールボックス60に供給する。
【0034】
処理装置70は、受信コントロールボックス60を通じて、各競技者RNの競技タイムを収集する。例えば、受信コントロールボックス60が復元した各競技タイムを取得して、対象のタグID(無線タグ80のID)と対応付けて記憶する。
【0035】
一方、競技者RNに携帯(保持)される無線タグ80は、競技の開始後、競技者RNと共に走路上を移動し、スタート地点から途中幾つかの計時地点を通過して最後の計時地点(ゴール)まで到達する。
この際、無線タグ80は、ループコイル11上に生成される電磁場を検出して時刻同期モードに移行し、また、ループコイル21上に生成される電磁場の変極点を検出して、その時点のランニングタイムから競技タイムを特定する。そして、無線タグ80は、競技タイムの一部を含むタイム情報を生成し、受信機61に向けて送信する。
なお、各計時ポイントで計時された(特定された)計時タイムは、競技終了後等に読み出し可能なように適宜記憶される。
【0036】
一例として、無線タグ80は、図6に示すように、LFアンテナ81と、増幅回路82と、電磁場検出手段及び計時ポイント検出手段としての検出回路83と、タイム計測手段としての制御部84と、計時手段としての計時部85と、記憶部86と、タイム情報送信手段としての通信回路87と、を含んで構成される。
【0037】
LF(Low Frequency)アンテナ81は、上述したループコイル11及び、ループコイル21から発生される電磁場を検出する。つまり、変調磁場発生装置10によりループコイル11上に生成された電磁場(変調有り)又は、磁場発生装置20によりループコイル21上に生成された電磁場(変調無し)を検出する。
そして、LFアンテナ81は、検出した電磁界強度を示す検出信号を増幅回路82に供給する。
【0038】
増幅回路82は、LFアンテナ81から供給される検出信号を適宜増幅して、検出回路83に供給する。
【0039】
検出回路83は、増幅回路82から供給される検出信号に従って、ループコイル11,21上への到達をそれぞれ検出し、更に、ループコイル21上における電磁場の変極点を検出する。
ループコイル11上において、検出回路83は、図7(a)に示すように、LFアンテナで受信する電磁場の電磁界強度が閾値以上になると検出出力を「HI」とし、電磁界強度が閾値以下になると検出出力を「LO」とする。なお、検出回路83は、変調の有無も合わせて検出する。つまり、一旦「HI」となった状態から「HI」「LO」の組み合わせが変調速度で表れ、このパルス列を検出できれば、検出回路83は、無線タグ80(競技者RN)がループコイル11上に到達したことを検出することになる。
検出回路83がループコイル11上に到達したことを検出すると(「HI」となった状態から変調を検出すると)、図示しない復調回路によって、関門番号(計時ポイントの通番)を復調して取得する。つまり、ループコイル11上に生成された電磁場に重畳されている関門番号を受信する。
一方、ループコイル21上において、検出回路83は、図7(b)に示すように、LFアンテナで順次受信する第1の電磁場210a、第2の電磁場210bの電磁場強度が閾値以上になると検出出力を「HI」とする。ループコイル21の生成する電磁場には変調がかかっていないために、1回目で「HI」となった状態が所定期間以上持続し、これにより検出回路83は変調が無いことを検出する。検出回路83は、変調が無いときに、無線タグ80がループコイル21上に到達したことを検出する。そうして、検出回路83は、第2の電磁場210bを検出して2回目に「HI」となった状態を電磁場の変極点として検出する。つまり、図7(b)に示す2回目に「HI」となった状態を、ループコイル21上におけるトリガポイントとして特定する。
【0040】
図6に戻って、制御部84は、無線タグ80全体を制御する。例えば、スタート地点及び最初の計時地点で、通信回路87がセット用の時刻情報(ランニングタイムの時,分,秒)を受信すると、計時部85の計時する時刻にこのランニングタイムをセットする。一方、2番目以降の計時地点で、通信回路87が補正用の時刻情報(ランニングタイムの秒)を受信すると、ランニングタイムに同期するように計時部85の計時する時刻を適宜補正する。
また、制御部85は、検出回路83がループコイル21上における電磁場の変極点を検出したタイミングで、計時部85が計時する時刻(ランニングタイム)を競技タイムとして特定する。つまり、競技タイムを計測する。そして、計測した競技タイムを、記憶部86に順次記憶する。
【0041】
計時部85は、通信回路87が受信した時刻情報に基づいて、ランニングタイムに同期した時刻を計時する。
なお、計時部85は、高安定水晶発振器を備えており、同期後の時刻の計時をある程度安定して維持することが可能となっている。
【0042】
記憶部86は、例えば、不揮発性メモリからなり、計時タイム等を記憶する。
この記憶部86には、少なくとも計時地点の数分の記憶エリアがそれぞれ設けられており、各計時地点で計時された競技タイム等がそれぞれの記憶エリアに格納可能となっている。
なお、記憶部86は、例えば、別エリアに、無線タグ80毎(競技者RN毎)に異なる固有の識別情報(タグID)等を予め記憶している。
【0043】
通信回路87は、所定の通信アンテナを介して、上述した送信機41から送信される時刻情報を受信する。
また、通信回路87は、制御部84が計測した競技タイムの一部を用いてタイム情報を生成し、上述した受信機61に向けて送信する。
具体的に通信回路87は、図8(a)に示すフォーマットにてタイム情報を生成する。つまり、競技タイムの秒から1/100秒までの値(つまり、SS.tt)と、その他の情報を含めた合計18バイトのタイム情報を送信する。なお、図8(b)に示すフォーマットのように、競技タイムの全て(つまり、HH:MM:SS.tt)を送る場合には、合計22バイト必要となるため、図8(a)に示すタイム情報では、約2割程度までデータ量を削減できることになる。
【0044】
そして、このような競技タイムの一部(タイム情報)を送信する場合でも、図8(c)に示すように、無線タグ80側とタイマ機器30とで、同期したランニングタイムの計時を行っているため、受信側(受信コントロールボックス60)にて、競技タイムを適切に復元することができる。
【0045】
以下、このような構成の競技用計測システムの動作について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、無線タグ80が実行するタイム計測処理を説明するためのフローチャートであり、図10は、受信コントロールボックス60が実行するタイム復元処理を説明するためのフローチャートである。
最初に図9のタイム計測処理について説明する。
【0046】
まず、無線タグ80は、電磁場を検出するまで待機する(ステップS10)。すなわち、走行する競技者RNが、ループコイル11又はループコイル21まで到達し、ループコイル11、21上に生成される電磁場を、検出回路83が検出するまで、無線タグ80は、後続処理の実行を待機する。
【0047】
無線タグ80は、電磁場を検出すると、変調の有無を判別する(ステップS11)。つまり、検出回路83は、検出した電磁場が変調されているか否かを判別する。なお、電磁場が変調されている場合に、ループコイル11上に到達したと判別し、逆に、電磁場が変調されていない場合に、ループコイル21上に到達したと判別する。
【0048】
無線タグ80は、電磁場が変調されていると判別すると(ループコイル11上に到達したと判別すると)、時刻情報を受信し、自己のランニングタイムを補正する(ステップS12)。つまり、時刻同期モードに移行し、通信回路87が送信コントロールボックス40(送信機41)から、上述した図5(c)に示すようなフォーマット(つまり、ランニングタイムが秒だけ)で送られる時刻情報を受信すると、制御部84が計時部85にて計時されているランニングタイムを補正する。
【0049】
例えば、時刻情報(SS)の受信時に、計時部85のランニングタイムが「Ht:Mt:St.**」である状況について、説明する。
この状況で、両方の秒が一致(St=SS)又は、計時部85の秒の方が時刻情報の秒よりも大きい(St>SS)場合に、制御部84は、計時部85のランニングタイムを「Ht:Mt:SS.00」と補正する。
【0050】
一方、この状況で、計時部85の秒の方が時刻情報の秒よりも小さい(St<SS)場合に、制御部84は、計時部85のランニングタイムを以下の2つの場合に分けて補正する。
まず、1つ目の場合として、計時部85の秒が「0」(St=0)又は時刻情報の秒が「59」(SS=59)であると、計時部85のランニングタイムを1分戻して補正する。つまり、「Ht:Mt:00.00」の1分前が、「H1:M1:00.00」とすると、制御部84は、計時部85のランニングタイムを「H1:M1:SS.00」と補正する。
次に、2つ目の場合として、計時部85の秒が「0」以外であると、制御部84は、計時部85のランニングタイムを「Ht:Mt:SS.00」と補正する。
【0051】
このように、計時部85のランニングタイムを補正すると、無線タグ80は、前述したステップS10に処理を戻す。
【0052】
上述したステップS11にて、電磁場が変調されていないと判別した場合(ループコイル21上に到達したと判別した場合)、無線タグ80は、変極点を検出するまで待機する(ステップS13)。つまり、検出回路83が、ループコイル21上における電磁場の変極点を検出するまで待機する。なお、検出回路83は、電磁場の電磁界強度の増加を検出した後、2回目の電磁界強度の増加を検出した際に、電磁場の変極点として検出する。
【0053】
そして、変極点が検出されると、無線タグ80は、競技タイムを計測する(ステップS14)。つまり、制御部84は、検出回路83がループコイル21上における電磁場の変極点を検出したタイミングで、計時部85が計時する時刻を競技タイムとして特定する。
【0054】
無線タグ80は、競技タイムの一部を含むタイム情報を生成する(ステップS15)。すなわち、制御部84は、上述した図8(a)に示すフォーマットにてタイム情報を生成する。つまり、競技タイムの秒から1/100秒までの値(SS.tt)と、その他の情報を含めた合計18バイトのタイム情報を生成する。
【0055】
無線タグ80は、生成したタイム情報を、受信機61に向けて送信する。(ステップS16)。つまり、競技タイムの一部を含むタイム情報を、受信機61を通じて受信コントロールボックス60に送信する。
【0056】
次に、図10のタイム復元処理について説明する。このタイム復元処理は、上述した図9のタイム計測処理にて、タイム情報が受信機61に向けて送信されるのに応答して開始される。
【0057】
まず、受信コントロールボックス60は、受信機61を介して、無線タグ80から送られるタイム情報を受信するまで待機する(ステップS21)。
【0058】
そして、タイム情報を受信すると、受信コントロールボックス60は、その時点のランニングタイムを特定する(ステップS22)。つまり、タイム情報を受信したタイミングで、タイマ機器30にて計時されたランニングタイムを特定する。
【0059】
受信コントロールボックス60は、タイム情報とランニングタイムとの関係に基づいて競技タイムを復元する(ステップS23)。
つまり、計測された競技タイムの秒から1/100秒までの値を含むタイム情報を取得すると、このタイム情報の秒と、タイマ機器30のランニングタイムの秒との比較結果に基づいて、無線タグ80にて計測された競技タイムを復元する。
【0060】
例えば、タイム情報(SS.tt)の受信時に、タイマ機器30のランニングタイムが「Hr:Mr:Sr.**」である状況について、説明する。
この状況で、両方の秒が一致(Sr=SS)又は、タイマ機器30の秒の方がタイム情報の秒よりも大きい(Sr>SS)場合に、受信コントロールボックス60は、競技タイムを「Hr:Mr:SS.tt」と復元する。
【0061】
一方、この状況で、タイマ機器30の秒の方がタイム情報の秒よりも小さい(Sr<SS)場合に、受信コントロールボックス60は、ランニングタイムの時,分を1分戻して競技タイムを復元する。つまり、「Hr:Mr:00.00」の1分前が、「H1:M1:00.00」とすると、受信コントロールボックス60は、競技タイムを「H1:M1:SS.tt」と復元する。
【0062】
受信コントロールボックス60は、このように復元した競技タイム等を処理装置70に供給する(ステップS24)。つまり、復元した競技タイム及び、タイム情報に含まれていたタグIDを処理装置70に供給して記憶させる。
【0063】
このようなタイム計測処理及びタイム復元処理により、タイム情報の送信データ量を約2割程度まで削減できる。そして、このようなタイム情報を送信する場合でも、無線タグ80とタイマ機器30とで、同期したランニングタイムの計時を行っているため、受信コントロールボックス60にて、競技タイムを適切に復元することができる。
この結果、データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得できる。
【0064】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、図8(a)に示すフォーマットでタイム情報を送信する場合について説明したが、更に、データ量を削減するフォーマットでタイム情報を送信してもよい。
【0065】
例えば、無線タグ80は、図11(a)に示すフォーマットでタイム情報を送信してもよい。
すなわち、競技タイムの秒を奇数か偶数(奇偶)を示すフラグ(この場合偶数の時にtrueとなり、奇数の時にfalseとなる)及び1/10秒,1/100秒までの値(つまり、tt)と、その他の情報を含めた合計17バイトのタイム情報を送信する。
つまり、図11(a)に示すタイム情報では、上述の図8(b)に示す場合よりも、約3割程度までデータ量を削減できることになる。
【0066】
そして、このような競技タイムの一部を送信する場合でも、図11(b)に示すように、無線タグ80側とタイマ機器30とで、同期したランニングタイムの計時を行っているため、受信側(受信コントロールボックス60)にて、競技タイムを適切に復元することができる。
つまり、計測された競技タイムの秒の奇偶を示すフラグ、及び、1/10秒,1/100秒までの値を含むタイム情報を取得すると、このタイム情報のフラグに示される奇偶と、タイマ機器30のランニングタイムにおける秒の奇偶との比較結果に基づいて、無線タグ80にて計測された競技タイムを復元する。
【0067】
例えば、タイム情報(Flg.tt)の受信時に、タイマ機器30のランニングタイムが「Hr:Mr:Sr.**」である状況について、説明する。
この状況で、フラグの奇偶とタイマ機器30の秒の奇偶とが一致する(FlgがtrueでSrも偶数、又は、FlgがfalseでSrも奇数)場合に、受信コントロールボックス60は、競技タイムを「Hr:Mr:SS.tt」と復元する。
【0068】
一方、この状況で、フラグの奇偶とタイマ機器30の秒の奇偶とが一致しない(FlgがtrueでSrが奇数、又は、FlgがfalseでSrが偶数)場合に、受信コントロールボックス60は、以下の2つの場合に分けて、競技タイムを復元する。
まず、1つ目の場合として、タイマ機器30の秒が「0」(Sr=0)であると、受信コントロールボックス60は、ランニングタイムの時,分を1分戻して競技タイムを復元する。つまり、「Hr:Mr:00.00」の1分前が、「H1:M1:00.00」とすると、受信コントロールボックス60は、競技タイムを「H1:M1:59.tt」と復元する。
次に2つ目の場合として、タイマ機器30の秒が「0」以外であると、受信コントロールボックス60は、ランニングタイムの時,分,秒を1秒戻して競技タイムを復元する。つまり、「Hr:Mr:Sr.00」の1秒前が、「H1:M1:S1.00」とすると、受信コントロールボックス60は、競技タイムを「H1:M1:S1.tt」と復元する。
【0069】
このように、図11(a)に示すタイム情報を送信する場合でも、無線タグ80とタイマ機器30とで、同期したランニングタイムの計時を行っているため、受信コントロールボックス60にて、競技タイムを適切に復元することができる。
この結果、データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得できる。
【0070】
上記の実施形態では、競技用計測システムがマラソン競技に適用される場合について説明したが、他の競技にも適宜適用可能である。例えば、陸上のクロスカントリ競技等に適用してもよい。
【0071】
以上説明したように、本発明によれば、データ送信量を削減しつつ、競技者個々の競技タイムを適切に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に適用される競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】(a)はループコイルの形状(略矩形形状)の一例を示す模式図であり、(b)は生成される電磁場を説明するための模式図であり、(c)は電磁場の強度分布を説明するための模式図である。
【図3】(a)はループコイルの形状(略8の字形状)の一例を示す模式図であり、(b)は生成される電磁場を説明するための模式図であり、(c)は電磁場の強度分布を説明するための模式図である。
【図4】(a)〜(c)共に、タイマ機器にて、同期したランニングタイムが計時されるまでを説明するための模式図である。
【図5】(a)はスタート地点及び最初の計時地点での時刻配信フォーマットの一例を示す模式図であり、(b)はその時刻同期の様子を説明するための模式図であり、(c)は2つ目以降の計時地点での時刻配信フォーマットの一例を示す模式図であり、(d)はその時刻同期の様子を説明するための模式図である。
【図6】無線タグの構成の一例を示すブロック図である。
【図7】(a),(b)は共に電磁場の検出の様子を説明するための模式図である。
【図8】(a)は無線タグが送信するタイム情報のフォーマットの一例を示す模式図であり、(b)は比較用の参考フォーマットの一例を示す模式図であり、(c)は競技タイムが復元される様子を説明するための模式図である。
【図9】本発明の実施形態に適用されるタイム計測処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に適用されるタイム復元処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】(a)は無線タグが送信するタイム情報における他のフォーマットの一例を示す模式図であり、(b)は競技タイムが復元される様子を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0073】
10 変調磁場発生装置
11 ループコイル
20 磁場発生装置
21 ループコイル
30 タイマ機器
40 送信コントロールボックス
41 送信機
50 時刻同期コンソール
60 受信コントロールボックス
61 受信機
70 処理装置
80 無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技者が携帯する無線機器と、前記無線機器からタイム情報を受信する受信側装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記無線機器には、
第1の基準時刻を計時する計時手段と、
競技者が走行する走路上に生成された電磁場を検出する電磁場検出手段と、
検出された前記電磁場に基づいて、予め規定された計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイントが検出された際に、前記計時手段にて計時された前記第1の基準時刻を競技タイムとして計測するタイム計測手段と、
計測された前記競技タイムの一部を含むタイム情報を、前記受信側装置に向けて送信するタイム情報送信手段と、が設けられ、
前記受信側装置には、
前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信するタイム情報受信手段と、
第2の基準時刻を計時する受信側計時手段と、
受信した前記タイム情報と前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻との関係に基づいて、前記無線機器にて計測された前記競技タイムを復元するタイム復元手段と、が設けられている、
ことを特徴とする競技用計測システム。
【請求項2】
前記無線機器の前記タイム情報送信手段は、計測された前記競技タイムの秒以下の所定桁までの値を含む前記タイム情報を、前記受信側装置に向けて送信し、
前記受信側装置の前記タイム復元手段は、少なくとも前記タイム情報の秒と、前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻の秒との比較結果に基づいて、前記無線機器の前記タイム計測手段にて計測された前記競技タイムを復元する、
ことを特徴とする請求項1に記載の競技用計測システム。
【請求項3】
前記無線機器の前記タイム情報送信手段は、計測された前記競技タイムの秒の奇偶を示すフラグと1/10秒以下の所定桁までの値を含む前記タイム情報を、前記受信側装置に向けて送信し、
前記受信側装置の前記タイム復元手段は、少なくとも前記タイム情報の前記フラグに示される奇偶と、前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻の秒の奇偶との比較結果に基づいて、前記無線機器にて計測された前記競技タイムを復元する、
ことを特徴とする請求項1に記載の競技用計測システム。
【請求項4】
前記受信側装置の前記タイム復元手段は、少なくとも前記タイム情報の前記フラグに示される奇偶と、前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻の秒の奇偶とが一致しない場合に、前記受信側計時手段が計時する前記第2の基準時刻の秒の値に基づいて、前記無線機器にて計測された前記競技タイムを復元する、
ことを特徴とする請求項3に記載の競技用計測システム。
【請求項5】
前記受信側装置には、前記受信側計時手段にて計時される前記第2の基準時刻の一部を含む時刻情報を、前記無線機器に送信する送信手段が更に設けられ、
前記無線機器には、前記送信手段から送られる前記時刻情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記時刻情報に基づいて、前記計時手段が計時する前記第1の基準時刻を補正する補正手段と、が更に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の競技用計測システム。
【請求項6】
競技者が携帯する無線機器と、前記無線機器からタイム情報を受信する受信側装置と、を含むシステムにおけるタイム取得方法であって、
前記無線機器において、第1の基準時刻を計時する計時ステップと、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記電磁場に基づいて、予め規定された計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記計時ステップにて計時された前記第1の基準時刻を競技タイムとして計測するタイム計測ステップと、
前記無線機器において、前記タイム計測ステップにて計測された前記競技タイムの一部を含む前記タイム情報を、前記受信側装置に向けて送信するタイム情報送信ステップと、
前記受信側装置において、前記無線機器の前記タイム情報送信ステップにて送信される前記タイム情報を受信するタイム情報受信ステップと、
前記受信側装置において、第2の基準時刻を計時する受信側計時ステップと、
前記受信側装置において、前記タイム情報受信ステップにて受信した前記タイム情報と前記受信側計時ステップにて計時された前記第2の基準時刻との関係に基づいて、前記無線機器の前記タイム計測ステップにて計測された前記競技タイムを復元するタイム復元ステップと、
を備えることを特徴とするタイム取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−296136(P2007−296136A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126881(P2006−126881)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】