競技用計測システム、および、タイム計時方法
【課題】 通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することのできる競技用計測システム等を提供する。
【解決手段】 周回コースCにおいて、無線タグ100は、ループコイル11a上にて同じマットIDを受信して周回数をカウントし、ループコイル21a上の電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP1での計時タイムを特定する。また、ループコイル11b上にて異なるマットIDを受信し、ループコイル21b上の電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP2での計時タイムを特定する。そして、各計時ポイントにて特定された計時タイムが、マットID/周回数と共に、受信機30等を介してデータ処理装置50に送信される。
【解決手段】 周回コースCにおいて、無線タグ100は、ループコイル11a上にて同じマットIDを受信して周回数をカウントし、ループコイル21a上の電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP1での計時タイムを特定する。また、ループコイル11b上にて異なるマットIDを受信し、ループコイル21b上の電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP2での計時タイムを特定する。そして、各計時ポイントにて特定された計時タイムが、マットID/周回数と共に、受信機30等を介してデータ処理装置50に送信される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することのできる競技用計測システム、および、タイム計時方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マラソン競技等において、競技者個々のゴールタイムを計測(計時)する試みがなされている。例えば、競技者のゼッケン等にバーコードを印刷しておき、ゴールした競技者のバーコードをリーダにて読み取った時刻に基づいて、競技者個々のゴールタイムを計測する計時システムも実用化されている。
それでも従来の計時システムでは、ゴール後に所定時間かけてバーコードの読み取りを行うため、そもそも実測よりも遅れたゴールタイムが計測されていた。特に、大勢の競技者が同時期にゴールした場合等では、バーコードの読み取り待ちが生じてしまい、実測よりもかなり遅れたゴールタイムが計測されてしまうという問題があった。
また、ゴールタイムだけでなく、各中継地点における通過タイムを含めた競技タイムも計測したいという要望が高まっているが、従来の計時システムでは、これに対応できなかった。
【0003】
このような問題を解決するため、種々の計時システムが開発され、実用化に向けた運用試験等が試みられている。新たな計時システムは、より実測に近いゴールタイムを計測するために、また、各中継地点における通過タイムも計測可能とするために、非接触にて競技者個々の競技タイムを計測する形態が主流となっている。
例えば、競技者にタグ送信機を保持させ、このタグ送信機から送られる情報により、競技タイムを計時する、というものである。
【0004】
より具体的には、方形ループコイル等から競技トラック上の計時エリア内にトリガ信号を送信するようにしておき、タグ送信機を保持する競技者がその計時エリア内を走行すると、このトリガ信号に応答してタグ送信機からID(識別番号等)が送信される。そして、ID受信ユニットがこのIDを受信することにより、各競技者の周回数や競技タイムを計時する(例えば、特許文献1参照)。
この他にも、タグ送信機がUHF帯の微弱無線電波等にてIDを送出することにより、タグ送信機の通信距離の拡大を図る技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−141497号公報 (第2−4頁、第2図)
【特許文献2】特開2004−125765号公報 (第3−4頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1,2の技術は、各計時ポイントがかなり離れて配置されるマラソン競技に適用可能である。
それでも、幾つかの計時ポイントがある程度近くに配置される競技(例えば、陸上のクロスカントリ競技等)には、適用できない。これは、特許文献1,2の技術では、ID受信ユニットの通信エリア内に、1つの計時ポイントだけが存在することを想定しているためである。
【0006】
例えば、図20に示すように、ID受信ユニットJの通信エリアA内に、周回コースCの計時ポイントP1と、フィニッシュ(ゴール)部Fの計時ポイントP2とが存在していると、ID受信ユニットJは、異なる計時ポイントに到達したタグ送信機S1,S2からそれぞれ送られるIDを受信することになる。
この場合、ID受信ユニットJは、各タグ送信機がどちらの計時ポイントに到達したのか(どちらの計時ポイントからIDが送られたのか)が、そのままでは判別できない。また、周回コースにおいては、周回遅れ等により競技者の周回数が異なる場合もあるため、タグ送信機単位(競技者単位)に周回数をカウントする必要がある。
【0007】
そのため、ID受信ユニットJは、それぞれの周回数を管理すべく、IDを受信する度に、対応するタグ送信機の周回数をカウントする(カウントアップする)ことが考えられる。そして、この周回数のカウントが正常に行われたならば、タグ送信機S2が計時ポイントP2に到達した(フィニッシュした)ことも判別可能となる。つまり、カウントした周回数が、周回コースにおける規定周回数を超えている場合には、そのIDが計時ポイントP2から送られたことになる。
【0008】
しかしながら、コリジョンの発生等により、送信されるはずのIDを受信できない状況が生じてしまうと、そのIDを持つタグ送信機の周回数が不正確となり、競技タイムが実際の周回数とずれてしまう。そして、競技者がフィニッシュしても、未だ周回コースを周回中であると判断されてしまうことになる。
【0009】
すなわち、従来の計時システムでは、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合に、計時ポイントや周回数を特定した競技者のタイムを適切に計時することができないという問題が生じていた。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することのできる競技用計測システム、および、タイム計時方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る競技用計測システムは、
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器には、
時刻を計時する計時手段と、
競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段により前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電磁場検出手段により検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段により前記計時ポイントが検出された際に、前記計時手段にて計時された時刻を計時タイムとして特定するタイム特定手段と、
前記タイム特定手段により特定された前記計時タイム、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信手段と、が設けられ、
前記処理装置には、
前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信された前記タイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定するタイム決定手段と、が設けられている、
ことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、無線機器において、計時手段は、例えば、基準時刻に同期した時刻を計時する。また、電磁場検出手段は、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する。識別情報受信手段は、電磁場検出手段により第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報(例えば、マットID)を受信する。記憶手段は、識別情報受信手段により受信された識別情報を記憶する。計時ポイント検出手段は、電磁場検出手段により検出された第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。タイム特定手段は、計時ポイント検出手段により計時ポイントが検出された際に、計時手段にて計時された時刻を計時タイムとして特定する。そして、情報送信手段は、タイム特定手段により特定された計時タイム、記憶手段に記憶された識別情報、及び、無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、処理装置に向けて送信する。一方、処理装置において、情報受信手段は、無線機器から送信されるタイム情報を受信する。そして、タイム決定手段は、情報受信手段により受信されたタイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定する。
このように、無線機器では、第1の電磁場に重畳された識別情報が受信され、また、第2の電磁場により計時ポイントが検出されて計時タイムが特定される。そして、計時タイム、識別情報及びIDを含むタイム情報が処理装置に送信される。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0013】
競技者が周回する走路上において、前記識別情報受信手段が同一の識別情報を受信した場合に、前記記憶手段が、当該同一の識別情報の数に応じた周回数を記憶し、
前記情報送信手段はが前記記憶手段に記憶された前記周回数を更に含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信し、
前記タイム決定手段が、前記タイム情報に基づいて、前記周回数に対応した競技者の計時タイムを決定してもよい。
この場合、計時ポイントにおける周回数を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0014】
前記処理装置には、基準となる基準時刻を計時する基準時刻計時手段が更に設けられ、
前記基準時刻計時手段により計時される基準時刻を示す時刻情報が前記情報送信手段によって前記無線機器に送信され、
前記無線機器には、前記計時手段により計時される時刻を補正する補正手段が更に設けられ、前記情報受信手段により受信された前記時刻情報に基づいて、前記補正手段が前記計時手段の時刻を補正してもよい。
【0015】
前記処理装置には、
前記計時タイムの送信を要求する要求情報を、前記無線機器に向けて送信する要求情報送信手段が更に設けられ、
前記無線機器には、
前記処理装置から送信される前記要求情報を受信する要求情報受信手段が更に設けられ、
前記要求情報受信手段により受信された前記要求情報に応答して、前記タイム情報を、前記処理装置に向けて送信してもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る競技用計測システムは、
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器には、
競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段により前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電磁場検出手段により検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段により前記計時ポイントが検出された際に、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信手段と、が設けられ、
前記処理装置には、
時刻を計時する計時手段と、
前記無線機器から送信される前記特定情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段が前記特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、前記計時手段にて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定するタイム決定手段と、が設けられている、
ことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、無線機器において、電磁場検出手段は、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する。識別情報受信手段は、電磁場検出手段により第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報(例えば、マットID)を受信する。記憶手段は、識別情報受信手段により受信された識別情報を記憶する。計時ポイント検出手段は、電磁場検出手段により検出された第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。そして、情報送信手段は、計時ポイント検出手段により計時ポイントが検出された際に、記憶手段に記憶された識別情報、及び、無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、処理装置に向けて送信する。一方、処理装置において、計時手段は時刻を計時する。情報受信手段は、無線機器から送信される特定情報を受信する。そして、タイム決定手段は、情報受信手段が特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、計時手段にて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定する。
このように、無線機器では、第1の電磁場に重畳された識別情報が受信され、また、第2の電磁場により計時ポイントが検出される。そして、識別情報及びIDを含む特定情報が処理装置に送信される。そして、処理装置では、無線機器から送信される特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定する。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0018】
競技者が周回する走路上において、前記識別情報受信手段が同一の識別情報を受信した場合に、前記記憶手段が、当該同一の識別情報の数に応じた周回数を記憶し、
前記情報送信手段が、前記記憶手段に記憶された前記周回数を更に含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信し、
前記タイム決定手段が、前記特定情報に基づいて、前記周回数に対応した競技者の計時タイムを決定してもよい。
この場合、計時ポイントにおける周回数を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るタイム計時方法は、
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムにおけるタイム計時方法であって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器において、時刻を計時する計時ステップと、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記計時ステップにて計時された時刻を計時タイムとして特定するタイム特定ステップと、
前記無線機器において、前記タイム特定ステップにて特定された前記計時タイム、前記識別情報受信ステップにて受信された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信ステップと、
前記処理装置において、前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する情報受信ステップと、
前記処理装置において、前記情報受信ステップにて受信された前記タイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定するタイム決定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、無線機器において、計時ステップは、例えば、基準時刻に同期した時刻を計時する。また、電磁場検出ステップは、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する。識別情報受信ステップは、電磁場検出ステップにて第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報(例えば、マットID)を受信する。計時ポイント検出ステップは、電磁場検出ステップにて検出された第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。タイム特定ステップは、計時ポイント検出ステップにて計時ポイントが検出された際に、計時ステップにて計時された時刻を計時タイムとして特定する。そして、情報送信ステップは、タイム特定ステップにて特定された計時タイム、識別情報受信ステップにて受信された識別情報、及び、無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、処理装置に向けて送信する。一方、処理装置において、情報受信ステップは、無線機器から送信されるタイム情報を受信する。そして、タイム決定ステップは、情報受信ステップにて受信されたタイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定する。
このように、無線機器では、第1の電磁場に重畳された識別情報が受信され、また、第2の電磁場により計時ポイントが検出されて計時タイムが特定される。そして、計時タイム、識別情報及びIDを含むタイム情報が処理装置に送信される。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るタイム計時方法は、
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムにおけるタイム計時方法であって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記識別情報受信ステップにて受信された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信ステップと、
前記処理装置において、時刻を計時する計時ステップと、
前記処理装置において、前記無線機器から送信される前記特定情報を受信する情報受信ステップと、
前記処理装置において、前記情報受信ステップにて前記特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、前記計時ステップにて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定するタイム決定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、無線機器において、電磁場検出ステップは、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する。識別情報受信ステップは、電磁場検出ステップにて第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報(例えば、マットID)を受信する。計時ポイント検出ステップは、電磁場検出ステップにて検出された第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。そして、情報送信ステップは、計時ポイント検出ステップにて計時ポイントが検出された際に、識別情報受信ステップにて受信された識別情報、及び、無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、処理装置に向けて送信する。一方、処理装置において、計時ステップは時刻を計時する。情報受信ステップは、無線機器から送信される特定情報を受信する。そして、タイム決定ステップは、情報受信ステップにて特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、計時ステップにて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定する。
このように、無線機器では、第1の電磁場に重畳された識別情報が受信され、また、第2の電磁場により計時ポイントが検出される。そして、計時ポイントが検出された際に、識別情報及びIDを含む特定情報が処理装置に送信される。処理装置では、無線機器から送信される特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、計時ステップにて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定する。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態にかかる競技用計測システムについて、以下、図面を参照して説明する。一例として、競技用計測システムが陸上のクロスカントリ競技に適用された場合について説明する。なお、このクロスカントリ競技における競技コースには、周回コースと、スタート部と、フィニッシュ(ゴール)部とが含まれている。そして、周回コースの計時ポイントと、フィニッシュ部の計時ポイントとは、ある程度近い距離に配置されているものとする。
【0025】
(実施形態1)
図1は、この発明の第1の実施形態に適用される競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。なお、周回コースCにおける計時ポイントP1と、フィニッシュ部Fにおける計時ポイントP2とは、ある程度近い距離に配置されている。
図示するように、この競技用計時システムは、計時ポイントP1及びその周辺に配置される変調磁場発生装置10a,ループコイル11a,磁場発生装置20a,ループコイル21aと、計時ポイントP2及びその周辺に配置される変調磁場発生装置10b,ループコイル11b,磁場発生装置20b,ループコイル21bと、計時ポイントP2の近傍等に配置される受信機30,送受信機40,処理装置としてのデータ処理装置50と、競技者RNに携帯される無線機器としての無線タグ100とを含んで構成される。
なお、少なくとも、計時ポイントP1,P2を含む範囲が、受信機30,送受信機40の通信エリアAとなっている。つまり、通信エリアA内において、受信機30,送受信機40と無線タグ100との無線通信が可能となっている。
【0026】
変調磁場発生装置10(10a,10b)は、ループコイル11上に変調した電磁場を発生させる。なお、変調磁場発生装置10aは、周回コースCの沿道に配置され、また、変調磁場発生装置10bは、フィニッシュ部Fの沿道に配置されている。
具体的に変調磁場発生装置10は、所定周波数に同期した正弦波を発生させる正弦波発生回路と、送信すべきマットID(固有の識別情報)に従って、正弦波を所定方式にて変調させる変調回路と、変調させた信号(変調信号)を増幅してループコイル11に供給する電力増幅回路とを含んで構成される。
なお、変調磁場発生装置10a,10bでは、それぞれに異なるマットIDが定められている。
【0027】
ループコイル11(11a,11b)は、例えば、略方形に形成されたコイルであり、変調磁場発生装置10から供給される変調信号に基づいて、変調された電磁場を生成する。なお、ループコイル11aは、周回コースCにおける計時ポイントP1の手前の走路上に配置され、また、ループコイル11bは、フィニッシュ部Fにおける計時ポイントP2の手前の走路上に配置される。
より詳細に説明すると、ループコイル11は、一例として、図2(a)に示すように、略方形(矩形)に形成されている。そして、1辺に給電点sを有するように形成され、この給電点sから矢印方向に電流が流れるようになっている。
そして、ループコイル11は、変調磁場発生装置10から給電点sを通じて変調信号が供給されると、変調された電磁場をコイル上に生成する。具体的には、図2(b)に示すような電磁場を生成する。この電磁場には、一例として、図2(c)に示すような振幅変調方式にて変調されたマットID(プリアンブル及びマットID)が重畳されている。
そのため、ループコイル11上を、競技者RNが通過した場合にだけ、無線タグ100にマットIDが送信されることになる。
なお、上述したように、変調磁場発生装置10a,10bには、異なるマットIDが定められているため、ループコイル11a,11bからは、異なるマットIDが無線タグ100に送信される。
【0028】
図1に戻って、磁場発生装置20(20a,20b)は、ループコイル21上に電磁場を発生させる。なお、磁場発生装置20aは、計時ポイントP1の近傍に配置され、また、磁場発生装置20bは、計時ポイントP2の近傍に配置されている。
具体的に磁場発生装置20は、所定周波数に同期した正弦波を発生させる正弦波発生回路と、発生させた正弦波を増幅してループコイル21に供給する電力増幅回路とを含んで構成される。
【0029】
ループコイル21(21a,21b)は、略「8の字」形状に形成されたコイルであり、磁場発生装置20から供給される信号に基づいて、電磁場を生成する。なお、ループコイル21aは、計時ポイントP1に配置され、また、ループコイル21bは、計時ポイントP2に配置される。
ループコイル21は、一例として、図3(a)に示すように、矩形(方形)のコイル部を競技者RNの走行方向(矢印A方向)に2つ連ねたような8の字に形成されている。より詳細には、ループコイル21は8の字順方向巻きとなっており、8の字の中心(中点)、すなわち交差部に給電点sを有するように形成され、この給電点sを通って競技者RNの走行方向に対して直交する方向に延びる直線bを中心線として、略平行に所定距離だけ隔てた直線a,bに沿って、8の字の上下部が形成されている。なお、ループコイル21は、この直線bが計時を行うための計時ラインに重なるように配置される。
【0030】
そして、ループコイル21は、図3(a)の給電点sから矢印方向に電流が流れるようになっており、磁場発生装置20から正弦波が供給されると、コイル上に交流電磁場を生成する。具体的には、図3(b)に示すように、一方のコイル部上に第1の電磁場210aを生成するとともに、他方のコイル部上に第1の電磁場210aに対して競技者RNの走行方向(矢印A方向)に隣接し且つ第1の電磁場210aと電磁力を打ち消しあう第2の電磁場210bを生成する。
つまり、直線b上の電磁場の磁界強度は、第1の電磁場210aと第2の電磁場210bとの電磁場の磁力の打ち消しにより、その両側の電磁界強度よりも極めて小さくなっている(例えば、電磁界強度が”0”となっている)。
【0031】
図示するような電磁場中を、電磁場の検出方向(検出コイル面Dに対して直角な方向)が走路と垂直(つまり、検出コイル面Dが走路に対して平行方向)に配置された電磁場検出コイルC(後述する無線タグ100のLFアンテナ101)が矢印B方向に移動すると、図3(c)に示すような電磁界強度分布が得られる。つまり、電磁場検出コイルCは、走路に対して垂直方向の磁束をコイル面Dにて捉えることになるため、丁度中心にて、電磁界強度が極めて小さくなる(例えば、電磁界強度が”0”となる)図3(c)に示すような電磁界強度分布を検出する。
このため、競技者RNがループコイル21上を、矢印B方向に沿って通過した場合に、無線タグ100は、計時ライン上(直線b上)を、第1の電磁場210aと第2の電磁場210bとの間の電磁場の変極点(後述するトリガポイント)として検出することができる。
【0032】
図1に戻って、情報受信手段としての受信機30は、一例として、計時ポイントP2の近傍に配置され、無線タグ100から送られるタイム情報(計時タイム、タグID、及び、マットID/周回数等)を受信する。
具体的に受信機30は、通信エリアA内にて、無線タグ100と通信可能であり、ループコイル21(21,21b)上を通過した無線タグ100から送られるタイム情報を受信する。
【0033】
送受信機40は、一例として、計時ポイントP2の近傍に配置され、無線タグ100からタイム情報が送信されない場合(受信機30にてタイム情報の受信ができなかった場合)に、その無線タグ100に向けてポーリングにより、タイム情報の送信を要求する。そして、無線タグ100から送られるタイム情報を受信する。
なお、送受信機40も、通信エリアA内にて、無線タグ100と通信可能となっている。
【0034】
データ処理装置50は、受信機30等を介して取得したタイム情報から計時ポイントや周回数を特定して、その計時ポイント等における競技者RNの計時タイムを決定する。
図4は、データ処理装置50の構成の一例を示すブロック図である。図示するように、データ処理装置50は、情報取得部51と、競技情報記憶部52と、制御部53と、報知情報供給部54と、を含んで構成される。
【0035】
情報取得部51は、受信機30が受信したタイム情報を取得する。また、情報取得部51は、送受信機40を介して、所定の無線タグ100からタイム情報をポーリング受信する。
【0036】
競技情報記憶部52は、情報取得部51が取得したタイム情報に基づいて、各無線タグ100に対応した競技情報を記憶する。
具体的に競技情報記憶部52は、図5に示すような、タグID毎に、計時ポイント、周回数及び、計時タイム等を集計した競技情報を記憶する。
【0037】
図4に戻って、タイム決定手段としての制御部53は、データ処理装置50全体を制御する。
具体的に制御部53は、情報取得部51が受信機30又は送受信機40からタイム情報を取得すると、上述した図5に示すような競技情報に、計時ポイント、周回数及び、計時タイム等を追加して記憶する。
【0038】
報知情報供給部54は、競技情報記憶部52に記憶された競技情報から、報知用の情報を生成し、図示せぬ表示盤等に供給する。例えば、報知情報供給部54は、上位数名の計時タイムを報知するための情報を生成して、表示盤に表示させる。
【0039】
一方、競技者RNに携帯される無線タグ100は、競技者RNと共に競技コースを移動し、フィニッシュライン(ゴールライン)まで到達する。つまり、競技者RNは、スタートし、周回コースCを規定周回数だけ走行した後に、フィニッシュ部Fを走行してフィニッシュする。
この際、無線タグ100は、周回コースCにおいて、ループコイル11a上に生成される電磁場にて、同じマットIDを受信して周回数をカウントし、そして、ループコイル21a上に生成される電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP1での計時タイムを特定する。また、フィニッシュ部Fにおいて、ループコイル11b上に生成される電磁場にて、異なるマットIDを受信し、そして、ループコイル21bにて生成される電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP2での計時タイムを特定する。
【0040】
図6は、無線タグ100の構成の一例を示すブロック図である。図示するように、無線タグ100は、LFアンテナ101と、増幅回路102と、電磁場検出手段及び計時ポイント検出手段としての検出回路103と、復調回路104と、タイム特定手段としての制御部105と、計時手段としての計時部106と、記憶手段としての記憶部107と、情報送信手段としての通信回路108と、を含んで構成される。
【0041】
LF(Low Frequency)アンテナ101は、上述したループコイル11及び、ループコイル21から発生される電磁場を検出する。つまり、変調磁場発生装置10によりループコイル11上に生成された電磁場(変調有り)又は、磁場発生装置20によりループコイル21上に生成された電磁場(変調無し)を検出する。
そして、LFアンテナ101は、検出した電磁界強度を示す検出信号を増幅回路102に供給する。
【0042】
増幅回路102は、LFアンテナ101から供給される検出信号を適宜増幅して、検出回路103に供給する。
【0043】
検出回路103は、増幅回路102から供給される検出信号に従って、ループコイル11,21上への到達をそれぞれ検出し、更に、ループコイル21上における電磁場の変極点を検出する。
より詳細に説明すると、検出回路103は、一例として、図7(a)に示すような抵抗R1〜R3、コンデンサC、及び、オペアンプOPから構成される。この検出回路103は、入力される検出信号の電圧の増加時に所定電圧の信号を出力し、また、入力される検出信号の電圧の減少時には信号を出力しない。
そのため、ループコイル11上において、検出回路103は、図7(b)に示すように、電磁場の電磁界強度の増加を検出して「HI」となり、電磁界強度の減少を検出して「LO」となる。なお、検出回路103は、変調の有無も合わせて検出する。つまり、「HI」となった状態で変調も検出できれば、検出回路103は、無線タグ100(競技者RN)がループコイル11上に到達したことを検出することになる。
一方、ループコイル21上において、検出回路103は、図7(c)に示すように、生成された電磁場の電磁界強度の増加を検出し、2回目の電磁界強度の増加時に電磁場の変極点として検出する。つまり、図7(c)に示す2回目の立ち上がりを、ループコイル21上におけるトリガポイントとして特定する。なお、最初に「HI」となった状態(1回目の立ち上がり)で変調を検出しなければ、検出回路103は、無線タグ100がループコイル21上に到達したことを検出することになる。
【0044】
図6に戻って、復調回路104は、検出回路103がループコイル11上に到達したことを検出すると(「HI」となった状態で変調も検出すると)、マットIDを復調して取得する。つまり、ループコイル11上に生成された電磁場に重畳されているマットIDを受信する。
例えば、図8(a)に示すような電磁場に、図8(b)に示すようなマットID(プリアンブル及びマットID)が重畳されている場合に、復調回路104は、図8(c)に示すように、AGC(Automatic Gain Control)により、レベル調整を行った後に、マットIDを復調する。これAGCにより、ループコイル11(変調磁場発生装置10)の個体差や環境等により、生成される電磁場のレベルが異なる場合でも、マットIDを適切に取得できる。
【0045】
図6に戻って、制御部105は、無線タグ100全体を制御する。例えば、競技がスタートした後に、通信回路108が基準時刻を受信すると、この基準時刻と同期するように計時部106の計時する時刻を適宜設定(補正)する。
また、制御部105は、検出回路103が電磁場(変調有り)を検出し、復調回路104がマットIDを復調(受信)すると、受信したマットIDを記憶部107に記憶する。その際、同じマットIDが記憶済である場合に、制御部105は、記憶部107の周回数(初期値が0)をカウントアップする。
更に、制御部105は、検出回路103がループコイル21上における電磁場の変極点を検出したタイミングで、計時部106が計時する時刻を計時タイムとして特定する。そして、特定した計時タイムを、マットID/周回数に対応させて記憶部107に順次記憶する。
【0046】
計時部106は、制御部105により適宜補正(設定)され、通信回路108が受信した基準時刻に同期した時刻を計時する。
なお、計時部106は、高安定水晶発振器を備えており、同期後の時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
【0047】
記憶部107は、例えば、不揮発性メモリからなり、マットID、周回数及び、計時タイム等を記憶する。
この記憶部107には、例えば、図9に示すように、トータルの計時回数分の記憶エリアがそれぞれ設けられており、各記憶エリアに、マットID、周回数、計時タイム等が格納可能となっている。上述したように、周回コースCでは、ループコイル11aにて同じマットIDを受信するため、周回数がカウントアップされる。なお、この図では、競技者RN(無線タグ100)が5周目の周回コースCを走行しており、ループコイル11a上に到達した状態(ループコイル21a上には未到達)を示している。
また、記憶部107は、例えば、別エリアに、無線タグ100毎(競技者RN毎)に異なるタグID等を予め記憶している。
【0048】
通信回路108は、所定の通信アンテナを介して、受信機30,送受信機40との間で通信を行う。
例えば、通信回路108は、制御部105が計時タイムを特定すると、この計時タイム、タグID、及び、マットID/周回数を含むタイム情報を、受信機30に向けて送信する。
また、通信回路108は、送受信機40からのポーリングによる送信要求を受信すると、タイム情報を送受信機40に返信する。
なお、通信回路108は、図示せぬ基準時刻送信機から送られる基準時刻等も受信する。
【0049】
以下、上述した競技用計測システムの動作について、図10を参照して説明する。図10は、無線タグ100が競技中に実行する計時処理を説明するためのフローチャートである。なお、この計時処理に先立って、所定の基準時刻送信機から基準時刻(時刻情報)が送信され、計時部106にて、基準時刻との時刻同期が行われているものとする。
【0050】
まず、無線タグ100は、電磁場を検出するまで待機する(ステップS11)。すなわち、走行する競技者RNが、ループコイル11又はループコイル21まで到達し、ループコイル11,21上に生成される電磁場を、検出回路103が検出するまで、無線タグ100は、後続処理の実行を待機する。
【0051】
無線タグ100は、電磁場を検出すると、変調の有無を判別する(ステップS12)。つまり、検出回路103は、検出した電磁場が変調されているか否かを判別する。なお、電磁場が変調されている場合に、ループコイル11上に到達したと判別し、逆に、電磁場が変調されていない場合に、ループコイル21上に到達したと判別する。
【0052】
無線タグ100は、電磁場が変調されていると判別すると(ループコイル11上に到達したと判別すると)、マットIDを受信して記憶する(ステップS13)。つまり、復調回路104が、電磁場に重畳されているマットIDを復調して取得し、制御部105が、取得した(受信した)マットIDを記憶部107に格納する。
【0053】
無線タグ100は、既に同じマットIDが記憶部107に記憶済であるか否かを判別する(ステップS14)。すなわち、周回コースCにて、ループコイル11aから同じマットIDを受信した状態であるかどうかを判別する。
【0054】
無線タグ100は、記憶済でないと判別すると、前述したステップS11に処理を戻す。なお、この際、記憶部107に格納したマットIDの周回数は、初期値の「0」に設定される。
一方、記憶済であると判別すると、無線タグ100は、周回数をカウントアップする(ステップS15)。つまり、制御部105は、同じマットIDの周回数(前回格納した周回数)に1を加算した値を、現在の周回数として、記憶部107に格納する。
そして、無線タグ100は、前述したステップS11に処理を戻す。
【0055】
上述したステップS12にて、電磁場が変調されていないと判別した場合(ループコイル21上に到達したと判別した場合)、無線タグ100は、変極点を検出するまで待機する(ステップS16)。つまり、検出回路103が、ループコイル21上における電磁場の変極点を検出するまで待機する。なお、検出回路103は、電磁場の電磁界強度の増加を検出した後、2回目の電磁界強度の増加を検出した際に、電磁場の変極点として検出する。
【0056】
そして、変極点が検出されると、無線タグ100は、計時タイムを特定する(ステップS17)。つまり、制御部105は、検出回路103がループコイル21上における電磁場の変極点を検出したタイミングで、計時部106が計時する時刻を計時タイムとして特定する。
【0057】
無線タグ100は、特定した計時タイムをマットID等と対応付けて記憶する(ステップS18)。つまり、制御部105は、計時タイムを、マットID/周回数と対応付けて、記憶部107に格納する。
【0058】
無線タグ100は、タイム情報を生成し、受信機30に向けて送信する。(ステップS19)。つまり、制御部105が、計時タイム、タグID、及び、マットID/周回数を含むタイム情報を生成し、通信回路108が、タイム情報を受信機30に向けて送信する。
なお、送受信機40からポーリングによる送信要求を受信した場合に、無線タグ100は、タイム情報を送受信機40に返信する。
そして、無線タグ100は、前述したステップS11に処理を戻す。
【0059】
このような計時処理により、無線タグ100は、ループコイル11a上にて同じマットIDを受信して周回数をカウントし、ループコイル21a上の電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP1での計時タイムを特定する。また、ループコイル11b上にて異なるマットIDを受信し、ループコイル21b上の電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP2での計時タイムを特定する。
つまり、周回コースCにおいて、周回数をカウントしつつ計時ポイントP1での計時タイムを特定し、また、フィニッシュ部Fにおいて、計時ポイントP2での計時タイムを適切に特定する。
【0060】
そして、各計時ポイントにて特定された計時タイムが、マットID/周回数と共に、受信機30等を介してデータ処理装置50に送信される。そのため、データ処理装置50では、計時ポイントや周回数を特定して競技者のタイムを決定できる。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0061】
上記の第1の実施形態では、ループコイル11(11a,11b)上にて、無線タグ100がマットIDだけを受信する場合について説明したが、この際、基準時刻等の情報を受信して、計時部106が計時する時刻を補正できるようにしてもよい。
以下、ループコイル11上にて、基準時刻等を受信して、計時時刻を補正することも可能とした本発明の第2の実施形態について説明する。
【0062】
(実施形態2)
図11は、この発明の第2の実施形態に適用される競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
この競技用計時システムは、上述した図1の競技用計時システムに、時刻送信機60及び、応答受信機70が更に付加されて構成されている。また、これに伴いデータ処理装置80にも変更が加えられている。
【0063】
時刻送信機60は、ループコイル11(11a,11b)上を通過する無線タグ100に向けて基準時刻等を送信する。
具体的に、時刻送信機60は、競技スタート後に、全競技者RNがループコイル11a上を通過するまで(周回コースCでの最初の周回が終わるまで)、基準時刻及び関門IDを送信する。その後、時刻送信機60は、一旦、基準時刻等の送信を止め、先頭の競技者RNが周回コースCの周回を終えるのを待機する。先頭の競技者RNが周回を終えると、時刻送信機60は、全競技者RNがループコイル21a上を通過するまで(フィニッシュするまで)、基準時刻及び関門IDを送信する。
なお、関門IDとは、時刻送信機60等からどのタイミングで送信された基準時刻であるかを識別するための情報であり、最初の周回時とフィニッシュ時とで、異なる値が送信されるようになっている。例えば、時刻送信機60は、最初の周回時では、関門IDに「1」を設定して送信し、一方、フィニッシュ時では、関門IDに「15」を設定して送信する。
また、競技開始前や競技開始時点に、図示せぬ基準時刻送信機から基準時刻と共に送信される関門IDには、「0」が設定されている。
そして、無線タグ100が、これら関門ID及び基準時刻を受信した際に、基準時刻に同期した時刻を計時する(計時部106の時刻を補正する)と共に、関門IDを記憶する。これにより、無線タグ100が計時している時刻がどの時点で送られた基準時刻であるかが判別可能となる。
【0064】
応答受信機70は、時刻送信機60が送信した基準時刻等を受信した無線タグ100から送信される応答情報を受信する。
具体的に、応答受信機70は、タグID、マットID、及び、関門IDを含む応答情報を受信する。
すなわち、無線タグ100は、ループコイル11(11a,11b)上にて、マットIDを受信すると共に、時刻送信機60から送られる基準時刻及び関門IDを受信する。そして、無線タグ100は、基準時刻に同期したこと等を返信するために、受信したマットID及び関門IDを含む応答情報を送信することになる。
応答受信機70は、このようにして送信される応答情報を受信することにより、無線タグ100が時刻同期を済ませたことや、マットIDを受信したことを判別できる。
なお、応答受信機70は、この応答情報をデータ処理装置80に送信し、データ処理装置80は、ポーリング受信を行う際のポーリングリスト等をこの応答情報から生成する。
【0065】
データ処理装置80は、図12に示すように、上述した図4のデータ処理装置50に、基準時刻計時部81及び、時刻情報供給部82が更に付加されて構成されている。また、これに伴い情報取得部83にも変更が加えられている。
【0066】
基準時刻計時部81は、所定のタイマ回路等からなり、システムにおいて基準となる基準時刻を計時する。一例として、基準時刻計時部81は、正確な現在時刻等を計時する。なお、基準時刻計時部81は、例えば、高安定水晶発振器等を備えており、基準時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
【0067】
時刻情報供給部82は、制御部53に制御され、基準時刻計時部81が計時する基準時刻(時刻情報)を時刻送信機60に供給する。
【0068】
情報取得部83は、更に、応答受信機70が受信した応答情報(タグID、マットID、及び、関門ID)を取得する。
【0069】
以下、上述した構成の競技用計測システムの動作について、図13を参照して説明する。図13は、無線タグ100が競技中に実行する計時処理を説明するためのフローチャートである。この計時処理は、上述した図10に示す計時処理に、ステップS21,S22が更に付加されている。
なお、この計時処理に先立って、所定の基準時刻送信機から基準時刻及び関門IDが送信され基準時刻との時刻同期が行われており、また、その際の関門ID(関門ID=0)も記憶部107に記憶されているものとする。
【0070】
無線タグ100は、ステップS11にて電磁場の検出を判別し、ステップS12にて検出した電磁場が変調されていると判別すると、基準時刻等を受信したか否かを判別する(ステップS21)。
すなわち、通信回路108が時刻送信機60から送られる基準時刻及び関門IDを受信したかどうかを判別する。なお、時刻送信機60は、上述したように、各競技者RNが周回コースCを最初に周回する際、又は、先頭の競技者RNが周回を終えた際に、基準時刻等を送信する。
【0071】
無線タグ100は、基準時刻等を受信していないと判別すると、ステップS13に処理を進める。
一方、基準時刻等を受信したと判別した場合に、無線タグ100は、自己が計時する時刻を補正し、関門IDを記憶する(ステップS22)。つまり、受信した基準時刻に同期するように計時部106を補正し、そして、関門IDを記憶する。なお、時刻送信機60は、上述したように、最初の周回時では関門IDに「1」を設定して送信し、また、フィニッシュ時では、関門IDに「15」を設定して送信する。
【0072】
無線タグ100は、ステップS13にてマットIDを受信して記憶し、ステップS14にて既に同じマットIDを記憶済であると判別すると、ステップS15にて周回数をカウントアップする。
【0073】
また、ステップS12にて検出した電磁場が変調されていないと判別すると、無線タグ100は、ステップS16にて変極点を判別し、ステップS17にて計時タイムを特定する。
そして、無線タグ100は、ステップS18にて計時タイムをマットID等と対応付けて記憶し、ステップS19にて、タイム情報を生成し、受信機30に向けて送信する。
なお、ステップS19において、無線タグ100は、計時タイム、タグID、関門ID、及び、マットID/周回数を含むタイム情報を生成し、このタイム情報を受信機30に向けて送信する。
【0074】
このような計時処理により、無線タグ100は、競技中に時刻送信機60から送られる基準時刻に同期すると共に、同時に時刻送信機60から送られる関門IDを記憶する。そして、ループコイル21(21a,21b)上にて、基準時刻に同期した計時タイムを特定する。
そして、各計時ポイントにて特定された計時タイムが、マットID/周回数及び、関門IDと共に、受信機30等を介してデータ処理装置80に送信される。そのため、データ処理装置80では、無線タグ100での計時の基となった基準時刻がどの時点で送られたものか判別可能となる。
そのため、送信した基準時刻にずれ等がある場合に、データ処理装置80側で計時タイムを適宜補正することができる。
【0075】
例えば、関門IDが「0」であれば、競技開始前等に送られた基準時刻に同期したものであり、ループコイル11(11a,11b)上にて時刻同期がなされていないことが判別できる。そして、競技開始前等に送られた基準時刻にずれがある場合には、データ処理装置80は、そのずれに従って、計時タイムを補正する。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0076】
(実施形態3)
上記の実施形態では、競技用計測システムを陸上のクロスカントリ競技に適用した場合について説明したが、計測対象の競技は、これに限られず任意である。例えば、競歩競技等にも適用可能である。
以下、競技用計測システムが競歩競技に適用された場合について、図14を参照して説明する。
【0077】
競歩競技では、図14に示すように、スタート/ゴールが競技場KJ(場内のトラック)にて行われ、途中が場外の周回コースSCにて行われる場合が多い。そして、周回コースSC内において、例えば、5km毎に計時ポイント(P1〜P3)が配置され、そして、競技場KJにてゴールの計時ポイント(P4)が配置されている。
なお、各計時ポイントP1〜P4を含む範囲が、受信機30,送受信機40の通信エリアとなっている。
【0078】
この場合も、各計時ポイントには、ループコイル21(21a〜21d)が配置され、また、その沿道には磁場発生装置20(20a〜20d)が配置される。つまり、ループコイル21は、磁場発生装置20から供給される信号に基づいて、上述した図3(c)に示すような電磁場を生成する。
更に、各計時ポイントの手前には、ループコイル11(11a〜11d)が配置され、また、その沿道には変調磁場発生装置10(10a〜10d)が配置される。つまり、ループコイル11は、変調磁場発生装置10から供給される信号に基づいて、上述した図2(c)に示すようなマットID(プリアンブル及びマットID)が重畳された電磁場を生成する。なお、マットIDは、変調磁場発生装置10毎に異なっている。
【0079】
そして、無線タグ100は、ループコイル11(11a〜11d)上に生成される電磁場にて、マットIDを受信して記憶し、そして、ループコイル21(21a〜21d)にて生成される電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP1〜P4での計時タイムを特定する。
なお、競技者RNが周回コースSCを周回する際に、ループコイル11a〜11cにて受信したマットIDが既に記憶されている場合(2周目以降)、無線タグ100は、上述した第1の実施形態等と同様に、周回数をカウントアップする。その際、各マットIDに対応して周回数をカウントアップする。
そして、計時タイムを特定すると、無線タグ100は、この計時タイム、タグID、及び、マットID/周回数を含むタイム情報を、受信機30等に向けて送信する。
【0080】
そして、各計時ポイントにて特定された計時タイムが、マットID/周回数と共に、受信機30等を介してデータ処理装置50に送信される。そのため、データ処理装置50では、計時ポイントや周回数を特定して競技者のタイムを決定できる。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0081】
また、競技の進行に合わせて、各ループコイル11a〜11cにて送信するマットIDを適宜更新し、あたかも、一直線上のコースと同様に扱うことができるようにしてもよい。
例えば、周回遅れ等が生じない場合、最後尾の競技者RNがループコイル11a〜11cを通過した後に、変調磁場発生装置10a〜10cにて重畳するマットIDを順次変更する。つまり、重複が生じないように予め定められたマットIDに、順次変更する。
これにより、各競技者RNが周回を重ねてループコイル11a〜11c上を通過しても、それぞれ異なるマットIDが無線タグIDに記憶されることになる。そして、ループコイル21a〜21c上にて計時された計時タイムと共に、受信機30等を介してデータ処理装置50に送信される。
このため、データ処理装置50は、周回と共に異なるマットIDから、あたかも、一直線上のコースのように計時ポイントを特定して競技者のタイムを決定できる。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0082】
上記の実施形態では、無線タグ100に計時部106を設けて無線タグ100にて計時するようにしたが、データ処理装置50に計時部を設けてデータ処理装置50にて計時するようにしてもよい。
以下、データ処理装置にて計時するようにした本発明の第4の実施形態について説明する。
【0083】
(実施形態4)
この実施形態では、第1の実施形態に適用された図1の競技用計測システムにおいて、無線タグ100及びデータ処理装置50の構成に変更を加えたものである。
図15には、この実施形態に適用される無線タグ100aの構成が示されている。
無線タグ100aには、LFアンテナ101a、増幅回路102a、電磁場検出手段及び検出回路103a、復調回路104a、制御部105a、記憶部107a及び通信回路108aが設けられている。
LFアンテナ101a、増幅回路102a、検出回路103a及び復調回路104aは、それぞれ第1の実施形態に適用された無線タグ100のLFアンテナ101と増幅回路102と検出回路103と復調回路104と同一構成であり、説明を省略する。
【0084】
制御部105aは、無線タグ100aの全体を制御する。制御部105aは、検出回路103aが電磁場(変調有り)を検出し、復調回路104aがマットIDを復調(受信)すると、受信したマットIDを記憶部107aに記憶させる。その際、同じマットIDが記憶済である場合に、制御部105aは、記憶部107aの周回数(初期値が0)をカウントアップする。周回コースCでは、ループコイル11aにて同じマットIDを受信するため、周回数がカウントアップされる。
【0085】
記憶部107aは、例えば、不揮発性メモリからなり、マットID、周回数を記憶する。また、記憶部107aは、例えば、別エリアに、無線タグ100a毎(競技者RN毎)に異なるタグID等を予め記憶している。
【0086】
通信回路108aは、所定の通信アンテナを介して、受信機30との間で通信を行う。通信回路108aは、検出回路103aがループコイル21上における電磁場の変極点を検出すると、制御部105aに制御されてタグID及びマットID/周回数を含む特定情報を受信機30に向けて送信する。
【0087】
図16には、この実施形態に適用されるデータ処理装置50aが示されている。
データ処理装置50aには、情報取得部51a、競技情報記憶部52a、制御部53a、報知情報供給部54a及び計時部55aが設けられている。
【0088】
情報取得部51aは、受信機30が受信した特定情報を取得する。
計時部55aは、高安定水晶発振器を備えており、同期後の時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
【0089】
制御部53aは、データ処理装置50a全体を制御する。
具体的には、制御部53aは、情報取得部51aが受信機30から特定情報を取得したタイミングで、計時部55aが計時する時刻を計時タイムとして特定するとともに、特定した計時タイムをタグID及びマットID/周回数と対応付けて、競技情報記憶部52aに格納する。すなわち、競技情報記憶部52aは、情報取得部51aが取得した特定情報に基づいて、各無線タグ100aに対応した競技情報を記憶する。具体的には、競技情報記憶部52aは、タグID毎に、計時ポイント、周回数及び、計時タイム等を集計した競技情報を記憶する。
【0090】
報知情報供給部54aは、競技情報記憶部52aに記憶された競技情報から、報知用の情報を生成し、図示せぬ表示盤等に供給する。例えば、報知情報供給部54aは、上位数名の計時タイムを報知するための情報を生成して、表示盤に表示させる。
【0091】
以下、上述した競技用計測システムの動作について、図17を参照して説明する。
まず、無線タグ100aは、電磁場を検出するまで待機する(ステップS110)。すなわち、走行する競技者RNが、ループコイル11又はループコイル21まで到達し、ループコイル11,21上に生成される電磁場を、検出回路103aが検出するまで、無線タグ100aは、後続処理の実行を待機する。
【0092】
無線タグ100aは、電磁場を検出すると、変調の有無を判別する(ステップS120)。つまり、検出回路103aは、検出した電磁場が変調されているか否かを判別する。なお、電磁場が変調されている場合に、ループコイル11上に到達したと判別し、逆に、電磁場が変調されていない場合に、ループコイル21上に到達したと判別する。
【0093】
無線タグ100aは、電磁場が変調されていると判別すると(ループコイル11上に到達したと判別すると)、マットIDを受信して記憶する(ステップS130)。つまり、復調回路104aが、電磁場に重畳されているマットIDを復調して取得し、制御部105aが、取得した(受信した)マットIDを記憶部107aに格納する。
【0094】
無線タグ100aは、既に同じマットIDが記憶部107aに記憶済であるか否かを判別する(ステップS140)。すなわち、周回コースCにて、ループコイル11aから同じマットIDを受信した状態であるかどうかを判別する。
無線タグ100aは、記憶済でないと判別すると、前述したステップS110に処理を戻す。なお、この際、記憶部107aに格納したマットIDの周回数は、初期値の「0」に設定される。
【0095】
一方、記憶済であると判別すると、無線タグ100aは、周回数をカウントアップする(ステップS150)。つまり、制御部105aは、同じマットIDの周回数(前回格納した周回数)に1を加算した値を、現在の周回数として、記憶部107aに格納する。
そして、無線タグ100aは、前述したステップS110に処理を戻す。
【0096】
上述したステップS120にて、電磁場が変調されていないと判別した場合(ループコイル21上に到達したと判別した場合)、無線タグ100aは、変極点を検出するまで待機する(ステップS160)。つまり、検出回路103aが、ループコイル21上における電磁場の変極点を検出するまで待機する。なお、検出回路103aは、電磁場の電磁界強度の増加を検出した後、2回目の電磁界強度の増加を検出した際に、電磁場の変極点として検出する。
【0097】
そして、電磁場の変極点が検出されると、無線タグ100aは、タグID及びマットID/周回数を含む特定情報を受信機30に向けて送信する(ステップS190)。つまり、検出回路103aがループコイル21上における電磁場の変極点を検出すると、通信回路108aが制御部105aに制御されてタグID及びマットID/周回数を含む特定情報を受信機30に向けて送信する。
【0098】
タグID及びマットID/周回数を含む特定情報は、受信機30を介してデータ処理装置50aに送信される。データ処理装置50aでは、情報取得部51aが受信機30から特定情報を取得する。そして、制御部53aは、情報取得部51aが特定情報を取得したタイミングで、計時部55aが計時する時刻を計時タイムとして特定する(ステップS200)とともに、特定した計時タイムをタグID及びマットID/周回数と対応付けて、競技情報記憶部52aに格納する(ステップS300)。これにより、例えば、タグID毎に、計時ポイント、周回数及び、計時タイム等を集計した競技情報が競技情報記憶部52aに記憶される。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0099】
なお、上記の実施の形態では、データ処理装置50aにおいて、無線タグ100aからタグID等を受信したタイミング、すなわち情報取得部51aが特定情報を取得したタイミングで、計時部55aが計時する時刻を計時タイムとして特定する場合について説明した。
しかしながら、無線タグ100aにおける処理時間等を考慮して、データ処理装置50aにて、より正確な時刻を計時タイムとして特定するようにしてもよい。
【0100】
例えば、無線タグ100aの検出回路103aがループコイル21上における電磁場の変極点を検出してから、タグID等を読み出し、その後、データ処理装置50aに当該タグID等の特定情報を送信するまでの所要時間Δtを算出する手段(所要時間算出手段)を無線タグ100aに更に備えるようにする。所要時間Δtの算出は、予め行っておく様にしてもよく、また、毎回算出するようにしてもよい。そして、無線タグ100aは、タグID等の特定情報と共に、算出した所要時間Δtを受信機30を介してデータ処理装置50aに送信する。
一方、データ処理装置50aは、計時部55aが計時する時刻を計時タイムとして特定する際に、所要時間Δtを用いて、計時タイムを適宜補正する。
この場合、データ処理装置50aは、より正確な時刻を計時タイムとして特定することになり、ひいては、より正確な競技タイムを特定することができる。
【0101】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、本願発明を、競技用計測システムに適用した場合について説明したが、競技以外にも、適宜適用可能である。
例えば、横断歩道における歩行者の移動状況等を計測する場合にも適用可能である。
以下、本願発明を横断歩道における歩行者を管理する計測システムに適用された場合について図18を参照して説明する。
【0102】
図示するように、この計測システムは、ループコイル11(11a〜11h)と、変調磁場発生装置10(10a〜10h)と、受信機30と、データ処理装置50と、歩行者WKに携帯される無線タグ100を含んで構成される。
ループコイル11(11a〜11h)は、例えば、横断歩道H1〜H4の両端(横断歩道上における車道と歩道との境目)となる箇所に埋設されている。また、変調磁場発生装置10も、歩道内等に埋設されている。そして、ループコイル11は、変調磁場発生装置10から供給される信号に基づいて、上述した図2(c)に示すようなマットID(プリアンブル及びマットID)が重畳された電磁場を生成する。なお、マットIDは、変調磁場発生装置10毎に異なっている。
【0103】
受信機30は、一例として、ループコイル11b,11cの近傍に配置され、無線タグ100から送られるタグ情報(タグID、及び、マットID)を受信する。
なお、受信機30は、通信エリアA内にて、無線タグ100と通信可能であり、ループコイル11(11a〜11h)上にてマットIDを受信した無線タグ100から送られるタグ情報を受信する。
【0104】
データ処理装置50は、受信機30を介して取得したタグ情報から、歩行者WKの移動状況等を把握する。
【0105】
また、各歩行者WKに携帯される無線タグ100は、ループコイル11(11a〜11h)上にて、マットIDを受信すると、タグID及びマットIDを含むタグ情報を生成し、例えば、一定時間(一例として1秒間)だけ受信機30に向けて送信する。
なお、タグIDには、歩行者WKの種別を示す情報も含まれている。例えば、タグIDから、障害者や高齢者等の交通弱者を示す情報も得られるものとする。
【0106】
このような計測システムでは、送られたタグ情報に基づいて、歩行者WKの移動状況等を管理する。
例えば、図19(a)に示すように、それまで管理していなかった歩行者WKのタグIDを含むタグ情報(タグID:ABC,マットID:007)を受信した場合、データ処理装置50は、その歩行者WKがループコイル11gから横断歩道H4に入り、現在横断中であると判別する。
続いて、図19(b)に示すように、同じタグIDを含むタグ情報(タグID:ABC,マットID:008)を受信した場合、データ処理装置50は、その歩行者WKがループコイル11hから歩道に入り、横断歩道H4を渡りきったと判別する。
更に、図19(c)に示すように、同じタグIDを含むタグ情報(タグID:ABC,マットID:001)を受信した場合、データ処理装置50は、その歩行者WKがループコイル11aから横断歩道H1に入り、現在横断中であると判別する。
【0107】
この他にも、何人の歩行者WKが横断歩道を横断中であるかや、その中に交通弱者が含まれているか等も把握できる。
このように、データ処理装置50は、各歩行者WKの移動状況等を把握するだけでなく、歩行者WKの人数や、交通弱者の有無に応じて、歩行者用信号の青期間を長くする等の制御を行えるようにしてもよい。
【0108】
更に、無線タグ100にメロディ機能やバイブレータ機能を付加し、特定の歩行者WK(例えば、視覚障害者等)に、進もうとする横断歩道における信号状態(青に変わったこと、青の点滅に変わったこと、及び、赤に変わったこと等)を音や振動で知らせるようにしてもよい。
【0109】
以上説明したように、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】(a)がループコイルの形状(略矩形形状)の一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場を説明するための模式図であり、(c)が電磁場に重畳されるマットID等を説明するための模式図である。
【図3】(a)がループコイルの形状(略8の字形状)の一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場を説明するための模式図であり、(c)が電磁場の強度分布を説明するための模式図である。
【図4】データ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】競技情報記憶部に記憶される競技情報の一例を示す模式図である。
【図6】無線タグの構成の一例を示すブロック図である。
【図7】(a)が検出回路の一例を示す回路図であり、(b),(c)共に、電磁場の検出の様子を説明するための模式図である。
【図8】(a)が生成される電磁場を説明するための模式図であり、(b)が電磁場に重畳されるマットID等を説明するための模式図であり、(c)がレベル調整を行った後に、マットIDを復調する様子を説明するための模式図である。
【図9】無線タグ(記憶部)に記憶される情報の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
【図12】データ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】競歩競技に適用される競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る無線タグの構成の一例を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係るデータ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の他の実施形態に係る計測システムの一例を示す模式図である。
【図19】(a)〜(c)共に、歩行者の移動状況の一例を示す模式図である。
【図20】従来の計時システムの問題点を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0111】
10(10a,10b等) 変調磁場発生装置
11(11a,11b等) ループコイル
20(20a,20b等) 磁場発生装置
21(21a,21b等) ループコイル
30 受信機
40 送受信機
50 データ処理装置
60 時刻送信機
70 応答受信機
100 無線タグ
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することのできる競技用計測システム、および、タイム計時方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マラソン競技等において、競技者個々のゴールタイムを計測(計時)する試みがなされている。例えば、競技者のゼッケン等にバーコードを印刷しておき、ゴールした競技者のバーコードをリーダにて読み取った時刻に基づいて、競技者個々のゴールタイムを計測する計時システムも実用化されている。
それでも従来の計時システムでは、ゴール後に所定時間かけてバーコードの読み取りを行うため、そもそも実測よりも遅れたゴールタイムが計測されていた。特に、大勢の競技者が同時期にゴールした場合等では、バーコードの読み取り待ちが生じてしまい、実測よりもかなり遅れたゴールタイムが計測されてしまうという問題があった。
また、ゴールタイムだけでなく、各中継地点における通過タイムを含めた競技タイムも計測したいという要望が高まっているが、従来の計時システムでは、これに対応できなかった。
【0003】
このような問題を解決するため、種々の計時システムが開発され、実用化に向けた運用試験等が試みられている。新たな計時システムは、より実測に近いゴールタイムを計測するために、また、各中継地点における通過タイムも計測可能とするために、非接触にて競技者個々の競技タイムを計測する形態が主流となっている。
例えば、競技者にタグ送信機を保持させ、このタグ送信機から送られる情報により、競技タイムを計時する、というものである。
【0004】
より具体的には、方形ループコイル等から競技トラック上の計時エリア内にトリガ信号を送信するようにしておき、タグ送信機を保持する競技者がその計時エリア内を走行すると、このトリガ信号に応答してタグ送信機からID(識別番号等)が送信される。そして、ID受信ユニットがこのIDを受信することにより、各競技者の周回数や競技タイムを計時する(例えば、特許文献1参照)。
この他にも、タグ送信機がUHF帯の微弱無線電波等にてIDを送出することにより、タグ送信機の通信距離の拡大を図る技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−141497号公報 (第2−4頁、第2図)
【特許文献2】特開2004−125765号公報 (第3−4頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1,2の技術は、各計時ポイントがかなり離れて配置されるマラソン競技に適用可能である。
それでも、幾つかの計時ポイントがある程度近くに配置される競技(例えば、陸上のクロスカントリ競技等)には、適用できない。これは、特許文献1,2の技術では、ID受信ユニットの通信エリア内に、1つの計時ポイントだけが存在することを想定しているためである。
【0006】
例えば、図20に示すように、ID受信ユニットJの通信エリアA内に、周回コースCの計時ポイントP1と、フィニッシュ(ゴール)部Fの計時ポイントP2とが存在していると、ID受信ユニットJは、異なる計時ポイントに到達したタグ送信機S1,S2からそれぞれ送られるIDを受信することになる。
この場合、ID受信ユニットJは、各タグ送信機がどちらの計時ポイントに到達したのか(どちらの計時ポイントからIDが送られたのか)が、そのままでは判別できない。また、周回コースにおいては、周回遅れ等により競技者の周回数が異なる場合もあるため、タグ送信機単位(競技者単位)に周回数をカウントする必要がある。
【0007】
そのため、ID受信ユニットJは、それぞれの周回数を管理すべく、IDを受信する度に、対応するタグ送信機の周回数をカウントする(カウントアップする)ことが考えられる。そして、この周回数のカウントが正常に行われたならば、タグ送信機S2が計時ポイントP2に到達した(フィニッシュした)ことも判別可能となる。つまり、カウントした周回数が、周回コースにおける規定周回数を超えている場合には、そのIDが計時ポイントP2から送られたことになる。
【0008】
しかしながら、コリジョンの発生等により、送信されるはずのIDを受信できない状況が生じてしまうと、そのIDを持つタグ送信機の周回数が不正確となり、競技タイムが実際の周回数とずれてしまう。そして、競技者がフィニッシュしても、未だ周回コースを周回中であると判断されてしまうことになる。
【0009】
すなわち、従来の計時システムでは、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合に、計時ポイントや周回数を特定した競技者のタイムを適切に計時することができないという問題が生じていた。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することのできる競技用計測システム、および、タイム計時方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る競技用計測システムは、
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器には、
時刻を計時する計時手段と、
競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段により前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電磁場検出手段により検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段により前記計時ポイントが検出された際に、前記計時手段にて計時された時刻を計時タイムとして特定するタイム特定手段と、
前記タイム特定手段により特定された前記計時タイム、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信手段と、が設けられ、
前記処理装置には、
前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信された前記タイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定するタイム決定手段と、が設けられている、
ことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、無線機器において、計時手段は、例えば、基準時刻に同期した時刻を計時する。また、電磁場検出手段は、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する。識別情報受信手段は、電磁場検出手段により第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報(例えば、マットID)を受信する。記憶手段は、識別情報受信手段により受信された識別情報を記憶する。計時ポイント検出手段は、電磁場検出手段により検出された第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。タイム特定手段は、計時ポイント検出手段により計時ポイントが検出された際に、計時手段にて計時された時刻を計時タイムとして特定する。そして、情報送信手段は、タイム特定手段により特定された計時タイム、記憶手段に記憶された識別情報、及び、無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、処理装置に向けて送信する。一方、処理装置において、情報受信手段は、無線機器から送信されるタイム情報を受信する。そして、タイム決定手段は、情報受信手段により受信されたタイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定する。
このように、無線機器では、第1の電磁場に重畳された識別情報が受信され、また、第2の電磁場により計時ポイントが検出されて計時タイムが特定される。そして、計時タイム、識別情報及びIDを含むタイム情報が処理装置に送信される。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0013】
競技者が周回する走路上において、前記識別情報受信手段が同一の識別情報を受信した場合に、前記記憶手段が、当該同一の識別情報の数に応じた周回数を記憶し、
前記情報送信手段はが前記記憶手段に記憶された前記周回数を更に含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信し、
前記タイム決定手段が、前記タイム情報に基づいて、前記周回数に対応した競技者の計時タイムを決定してもよい。
この場合、計時ポイントにおける周回数を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0014】
前記処理装置には、基準となる基準時刻を計時する基準時刻計時手段が更に設けられ、
前記基準時刻計時手段により計時される基準時刻を示す時刻情報が前記情報送信手段によって前記無線機器に送信され、
前記無線機器には、前記計時手段により計時される時刻を補正する補正手段が更に設けられ、前記情報受信手段により受信された前記時刻情報に基づいて、前記補正手段が前記計時手段の時刻を補正してもよい。
【0015】
前記処理装置には、
前記計時タイムの送信を要求する要求情報を、前記無線機器に向けて送信する要求情報送信手段が更に設けられ、
前記無線機器には、
前記処理装置から送信される前記要求情報を受信する要求情報受信手段が更に設けられ、
前記要求情報受信手段により受信された前記要求情報に応答して、前記タイム情報を、前記処理装置に向けて送信してもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る競技用計測システムは、
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器には、
競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段により前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電磁場検出手段により検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段により前記計時ポイントが検出された際に、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信手段と、が設けられ、
前記処理装置には、
時刻を計時する計時手段と、
前記無線機器から送信される前記特定情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段が前記特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、前記計時手段にて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定するタイム決定手段と、が設けられている、
ことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、無線機器において、電磁場検出手段は、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する。識別情報受信手段は、電磁場検出手段により第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報(例えば、マットID)を受信する。記憶手段は、識別情報受信手段により受信された識別情報を記憶する。計時ポイント検出手段は、電磁場検出手段により検出された第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。そして、情報送信手段は、計時ポイント検出手段により計時ポイントが検出された際に、記憶手段に記憶された識別情報、及び、無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、処理装置に向けて送信する。一方、処理装置において、計時手段は時刻を計時する。情報受信手段は、無線機器から送信される特定情報を受信する。そして、タイム決定手段は、情報受信手段が特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、計時手段にて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定する。
このように、無線機器では、第1の電磁場に重畳された識別情報が受信され、また、第2の電磁場により計時ポイントが検出される。そして、識別情報及びIDを含む特定情報が処理装置に送信される。そして、処理装置では、無線機器から送信される特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定する。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0018】
競技者が周回する走路上において、前記識別情報受信手段が同一の識別情報を受信した場合に、前記記憶手段が、当該同一の識別情報の数に応じた周回数を記憶し、
前記情報送信手段が、前記記憶手段に記憶された前記周回数を更に含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信し、
前記タイム決定手段が、前記特定情報に基づいて、前記周回数に対応した競技者の計時タイムを決定してもよい。
この場合、計時ポイントにおける周回数を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るタイム計時方法は、
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムにおけるタイム計時方法であって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器において、時刻を計時する計時ステップと、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記計時ステップにて計時された時刻を計時タイムとして特定するタイム特定ステップと、
前記無線機器において、前記タイム特定ステップにて特定された前記計時タイム、前記識別情報受信ステップにて受信された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信ステップと、
前記処理装置において、前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する情報受信ステップと、
前記処理装置において、前記情報受信ステップにて受信された前記タイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定するタイム決定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、無線機器において、計時ステップは、例えば、基準時刻に同期した時刻を計時する。また、電磁場検出ステップは、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する。識別情報受信ステップは、電磁場検出ステップにて第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報(例えば、マットID)を受信する。計時ポイント検出ステップは、電磁場検出ステップにて検出された第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。タイム特定ステップは、計時ポイント検出ステップにて計時ポイントが検出された際に、計時ステップにて計時された時刻を計時タイムとして特定する。そして、情報送信ステップは、タイム特定ステップにて特定された計時タイム、識別情報受信ステップにて受信された識別情報、及び、無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、処理装置に向けて送信する。一方、処理装置において、情報受信ステップは、無線機器から送信されるタイム情報を受信する。そして、タイム決定ステップは、情報受信ステップにて受信されたタイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定する。
このように、無線機器では、第1の電磁場に重畳された識別情報が受信され、また、第2の電磁場により計時ポイントが検出されて計時タイムが特定される。そして、計時タイム、識別情報及びIDを含むタイム情報が処理装置に送信される。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るタイム計時方法は、
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムにおけるタイム計時方法であって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記識別情報受信ステップにて受信された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信ステップと、
前記処理装置において、時刻を計時する計時ステップと、
前記処理装置において、前記無線機器から送信される前記特定情報を受信する情報受信ステップと、
前記処理装置において、前記情報受信ステップにて前記特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、前記計時ステップにて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定するタイム決定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、無線機器において、電磁場検出ステップは、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する。識別情報受信ステップは、電磁場検出ステップにて第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報(例えば、マットID)を受信する。計時ポイント検出ステップは、電磁場検出ステップにて検出された第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。そして、情報送信ステップは、計時ポイント検出ステップにて計時ポイントが検出された際に、識別情報受信ステップにて受信された識別情報、及び、無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、処理装置に向けて送信する。一方、処理装置において、計時ステップは時刻を計時する。情報受信ステップは、無線機器から送信される特定情報を受信する。そして、タイム決定ステップは、情報受信ステップにて特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、計時ステップにて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定する。
このように、無線機器では、第1の電磁場に重畳された識別情報が受信され、また、第2の電磁場により計時ポイントが検出される。そして、計時ポイントが検出された際に、識別情報及びIDを含む特定情報が処理装置に送信される。処理装置では、無線機器から送信される特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、計時ステップにて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定する。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態にかかる競技用計測システムについて、以下、図面を参照して説明する。一例として、競技用計測システムが陸上のクロスカントリ競技に適用された場合について説明する。なお、このクロスカントリ競技における競技コースには、周回コースと、スタート部と、フィニッシュ(ゴール)部とが含まれている。そして、周回コースの計時ポイントと、フィニッシュ部の計時ポイントとは、ある程度近い距離に配置されているものとする。
【0025】
(実施形態1)
図1は、この発明の第1の実施形態に適用される競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。なお、周回コースCにおける計時ポイントP1と、フィニッシュ部Fにおける計時ポイントP2とは、ある程度近い距離に配置されている。
図示するように、この競技用計時システムは、計時ポイントP1及びその周辺に配置される変調磁場発生装置10a,ループコイル11a,磁場発生装置20a,ループコイル21aと、計時ポイントP2及びその周辺に配置される変調磁場発生装置10b,ループコイル11b,磁場発生装置20b,ループコイル21bと、計時ポイントP2の近傍等に配置される受信機30,送受信機40,処理装置としてのデータ処理装置50と、競技者RNに携帯される無線機器としての無線タグ100とを含んで構成される。
なお、少なくとも、計時ポイントP1,P2を含む範囲が、受信機30,送受信機40の通信エリアAとなっている。つまり、通信エリアA内において、受信機30,送受信機40と無線タグ100との無線通信が可能となっている。
【0026】
変調磁場発生装置10(10a,10b)は、ループコイル11上に変調した電磁場を発生させる。なお、変調磁場発生装置10aは、周回コースCの沿道に配置され、また、変調磁場発生装置10bは、フィニッシュ部Fの沿道に配置されている。
具体的に変調磁場発生装置10は、所定周波数に同期した正弦波を発生させる正弦波発生回路と、送信すべきマットID(固有の識別情報)に従って、正弦波を所定方式にて変調させる変調回路と、変調させた信号(変調信号)を増幅してループコイル11に供給する電力増幅回路とを含んで構成される。
なお、変調磁場発生装置10a,10bでは、それぞれに異なるマットIDが定められている。
【0027】
ループコイル11(11a,11b)は、例えば、略方形に形成されたコイルであり、変調磁場発生装置10から供給される変調信号に基づいて、変調された電磁場を生成する。なお、ループコイル11aは、周回コースCにおける計時ポイントP1の手前の走路上に配置され、また、ループコイル11bは、フィニッシュ部Fにおける計時ポイントP2の手前の走路上に配置される。
より詳細に説明すると、ループコイル11は、一例として、図2(a)に示すように、略方形(矩形)に形成されている。そして、1辺に給電点sを有するように形成され、この給電点sから矢印方向に電流が流れるようになっている。
そして、ループコイル11は、変調磁場発生装置10から給電点sを通じて変調信号が供給されると、変調された電磁場をコイル上に生成する。具体的には、図2(b)に示すような電磁場を生成する。この電磁場には、一例として、図2(c)に示すような振幅変調方式にて変調されたマットID(プリアンブル及びマットID)が重畳されている。
そのため、ループコイル11上を、競技者RNが通過した場合にだけ、無線タグ100にマットIDが送信されることになる。
なお、上述したように、変調磁場発生装置10a,10bには、異なるマットIDが定められているため、ループコイル11a,11bからは、異なるマットIDが無線タグ100に送信される。
【0028】
図1に戻って、磁場発生装置20(20a,20b)は、ループコイル21上に電磁場を発生させる。なお、磁場発生装置20aは、計時ポイントP1の近傍に配置され、また、磁場発生装置20bは、計時ポイントP2の近傍に配置されている。
具体的に磁場発生装置20は、所定周波数に同期した正弦波を発生させる正弦波発生回路と、発生させた正弦波を増幅してループコイル21に供給する電力増幅回路とを含んで構成される。
【0029】
ループコイル21(21a,21b)は、略「8の字」形状に形成されたコイルであり、磁場発生装置20から供給される信号に基づいて、電磁場を生成する。なお、ループコイル21aは、計時ポイントP1に配置され、また、ループコイル21bは、計時ポイントP2に配置される。
ループコイル21は、一例として、図3(a)に示すように、矩形(方形)のコイル部を競技者RNの走行方向(矢印A方向)に2つ連ねたような8の字に形成されている。より詳細には、ループコイル21は8の字順方向巻きとなっており、8の字の中心(中点)、すなわち交差部に給電点sを有するように形成され、この給電点sを通って競技者RNの走行方向に対して直交する方向に延びる直線bを中心線として、略平行に所定距離だけ隔てた直線a,bに沿って、8の字の上下部が形成されている。なお、ループコイル21は、この直線bが計時を行うための計時ラインに重なるように配置される。
【0030】
そして、ループコイル21は、図3(a)の給電点sから矢印方向に電流が流れるようになっており、磁場発生装置20から正弦波が供給されると、コイル上に交流電磁場を生成する。具体的には、図3(b)に示すように、一方のコイル部上に第1の電磁場210aを生成するとともに、他方のコイル部上に第1の電磁場210aに対して競技者RNの走行方向(矢印A方向)に隣接し且つ第1の電磁場210aと電磁力を打ち消しあう第2の電磁場210bを生成する。
つまり、直線b上の電磁場の磁界強度は、第1の電磁場210aと第2の電磁場210bとの電磁場の磁力の打ち消しにより、その両側の電磁界強度よりも極めて小さくなっている(例えば、電磁界強度が”0”となっている)。
【0031】
図示するような電磁場中を、電磁場の検出方向(検出コイル面Dに対して直角な方向)が走路と垂直(つまり、検出コイル面Dが走路に対して平行方向)に配置された電磁場検出コイルC(後述する無線タグ100のLFアンテナ101)が矢印B方向に移動すると、図3(c)に示すような電磁界強度分布が得られる。つまり、電磁場検出コイルCは、走路に対して垂直方向の磁束をコイル面Dにて捉えることになるため、丁度中心にて、電磁界強度が極めて小さくなる(例えば、電磁界強度が”0”となる)図3(c)に示すような電磁界強度分布を検出する。
このため、競技者RNがループコイル21上を、矢印B方向に沿って通過した場合に、無線タグ100は、計時ライン上(直線b上)を、第1の電磁場210aと第2の電磁場210bとの間の電磁場の変極点(後述するトリガポイント)として検出することができる。
【0032】
図1に戻って、情報受信手段としての受信機30は、一例として、計時ポイントP2の近傍に配置され、無線タグ100から送られるタイム情報(計時タイム、タグID、及び、マットID/周回数等)を受信する。
具体的に受信機30は、通信エリアA内にて、無線タグ100と通信可能であり、ループコイル21(21,21b)上を通過した無線タグ100から送られるタイム情報を受信する。
【0033】
送受信機40は、一例として、計時ポイントP2の近傍に配置され、無線タグ100からタイム情報が送信されない場合(受信機30にてタイム情報の受信ができなかった場合)に、その無線タグ100に向けてポーリングにより、タイム情報の送信を要求する。そして、無線タグ100から送られるタイム情報を受信する。
なお、送受信機40も、通信エリアA内にて、無線タグ100と通信可能となっている。
【0034】
データ処理装置50は、受信機30等を介して取得したタイム情報から計時ポイントや周回数を特定して、その計時ポイント等における競技者RNの計時タイムを決定する。
図4は、データ処理装置50の構成の一例を示すブロック図である。図示するように、データ処理装置50は、情報取得部51と、競技情報記憶部52と、制御部53と、報知情報供給部54と、を含んで構成される。
【0035】
情報取得部51は、受信機30が受信したタイム情報を取得する。また、情報取得部51は、送受信機40を介して、所定の無線タグ100からタイム情報をポーリング受信する。
【0036】
競技情報記憶部52は、情報取得部51が取得したタイム情報に基づいて、各無線タグ100に対応した競技情報を記憶する。
具体的に競技情報記憶部52は、図5に示すような、タグID毎に、計時ポイント、周回数及び、計時タイム等を集計した競技情報を記憶する。
【0037】
図4に戻って、タイム決定手段としての制御部53は、データ処理装置50全体を制御する。
具体的に制御部53は、情報取得部51が受信機30又は送受信機40からタイム情報を取得すると、上述した図5に示すような競技情報に、計時ポイント、周回数及び、計時タイム等を追加して記憶する。
【0038】
報知情報供給部54は、競技情報記憶部52に記憶された競技情報から、報知用の情報を生成し、図示せぬ表示盤等に供給する。例えば、報知情報供給部54は、上位数名の計時タイムを報知するための情報を生成して、表示盤に表示させる。
【0039】
一方、競技者RNに携帯される無線タグ100は、競技者RNと共に競技コースを移動し、フィニッシュライン(ゴールライン)まで到達する。つまり、競技者RNは、スタートし、周回コースCを規定周回数だけ走行した後に、フィニッシュ部Fを走行してフィニッシュする。
この際、無線タグ100は、周回コースCにおいて、ループコイル11a上に生成される電磁場にて、同じマットIDを受信して周回数をカウントし、そして、ループコイル21a上に生成される電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP1での計時タイムを特定する。また、フィニッシュ部Fにおいて、ループコイル11b上に生成される電磁場にて、異なるマットIDを受信し、そして、ループコイル21bにて生成される電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP2での計時タイムを特定する。
【0040】
図6は、無線タグ100の構成の一例を示すブロック図である。図示するように、無線タグ100は、LFアンテナ101と、増幅回路102と、電磁場検出手段及び計時ポイント検出手段としての検出回路103と、復調回路104と、タイム特定手段としての制御部105と、計時手段としての計時部106と、記憶手段としての記憶部107と、情報送信手段としての通信回路108と、を含んで構成される。
【0041】
LF(Low Frequency)アンテナ101は、上述したループコイル11及び、ループコイル21から発生される電磁場を検出する。つまり、変調磁場発生装置10によりループコイル11上に生成された電磁場(変調有り)又は、磁場発生装置20によりループコイル21上に生成された電磁場(変調無し)を検出する。
そして、LFアンテナ101は、検出した電磁界強度を示す検出信号を増幅回路102に供給する。
【0042】
増幅回路102は、LFアンテナ101から供給される検出信号を適宜増幅して、検出回路103に供給する。
【0043】
検出回路103は、増幅回路102から供給される検出信号に従って、ループコイル11,21上への到達をそれぞれ検出し、更に、ループコイル21上における電磁場の変極点を検出する。
より詳細に説明すると、検出回路103は、一例として、図7(a)に示すような抵抗R1〜R3、コンデンサC、及び、オペアンプOPから構成される。この検出回路103は、入力される検出信号の電圧の増加時に所定電圧の信号を出力し、また、入力される検出信号の電圧の減少時には信号を出力しない。
そのため、ループコイル11上において、検出回路103は、図7(b)に示すように、電磁場の電磁界強度の増加を検出して「HI」となり、電磁界強度の減少を検出して「LO」となる。なお、検出回路103は、変調の有無も合わせて検出する。つまり、「HI」となった状態で変調も検出できれば、検出回路103は、無線タグ100(競技者RN)がループコイル11上に到達したことを検出することになる。
一方、ループコイル21上において、検出回路103は、図7(c)に示すように、生成された電磁場の電磁界強度の増加を検出し、2回目の電磁界強度の増加時に電磁場の変極点として検出する。つまり、図7(c)に示す2回目の立ち上がりを、ループコイル21上におけるトリガポイントとして特定する。なお、最初に「HI」となった状態(1回目の立ち上がり)で変調を検出しなければ、検出回路103は、無線タグ100がループコイル21上に到達したことを検出することになる。
【0044】
図6に戻って、復調回路104は、検出回路103がループコイル11上に到達したことを検出すると(「HI」となった状態で変調も検出すると)、マットIDを復調して取得する。つまり、ループコイル11上に生成された電磁場に重畳されているマットIDを受信する。
例えば、図8(a)に示すような電磁場に、図8(b)に示すようなマットID(プリアンブル及びマットID)が重畳されている場合に、復調回路104は、図8(c)に示すように、AGC(Automatic Gain Control)により、レベル調整を行った後に、マットIDを復調する。これAGCにより、ループコイル11(変調磁場発生装置10)の個体差や環境等により、生成される電磁場のレベルが異なる場合でも、マットIDを適切に取得できる。
【0045】
図6に戻って、制御部105は、無線タグ100全体を制御する。例えば、競技がスタートした後に、通信回路108が基準時刻を受信すると、この基準時刻と同期するように計時部106の計時する時刻を適宜設定(補正)する。
また、制御部105は、検出回路103が電磁場(変調有り)を検出し、復調回路104がマットIDを復調(受信)すると、受信したマットIDを記憶部107に記憶する。その際、同じマットIDが記憶済である場合に、制御部105は、記憶部107の周回数(初期値が0)をカウントアップする。
更に、制御部105は、検出回路103がループコイル21上における電磁場の変極点を検出したタイミングで、計時部106が計時する時刻を計時タイムとして特定する。そして、特定した計時タイムを、マットID/周回数に対応させて記憶部107に順次記憶する。
【0046】
計時部106は、制御部105により適宜補正(設定)され、通信回路108が受信した基準時刻に同期した時刻を計時する。
なお、計時部106は、高安定水晶発振器を備えており、同期後の時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
【0047】
記憶部107は、例えば、不揮発性メモリからなり、マットID、周回数及び、計時タイム等を記憶する。
この記憶部107には、例えば、図9に示すように、トータルの計時回数分の記憶エリアがそれぞれ設けられており、各記憶エリアに、マットID、周回数、計時タイム等が格納可能となっている。上述したように、周回コースCでは、ループコイル11aにて同じマットIDを受信するため、周回数がカウントアップされる。なお、この図では、競技者RN(無線タグ100)が5周目の周回コースCを走行しており、ループコイル11a上に到達した状態(ループコイル21a上には未到達)を示している。
また、記憶部107は、例えば、別エリアに、無線タグ100毎(競技者RN毎)に異なるタグID等を予め記憶している。
【0048】
通信回路108は、所定の通信アンテナを介して、受信機30,送受信機40との間で通信を行う。
例えば、通信回路108は、制御部105が計時タイムを特定すると、この計時タイム、タグID、及び、マットID/周回数を含むタイム情報を、受信機30に向けて送信する。
また、通信回路108は、送受信機40からのポーリングによる送信要求を受信すると、タイム情報を送受信機40に返信する。
なお、通信回路108は、図示せぬ基準時刻送信機から送られる基準時刻等も受信する。
【0049】
以下、上述した競技用計測システムの動作について、図10を参照して説明する。図10は、無線タグ100が競技中に実行する計時処理を説明するためのフローチャートである。なお、この計時処理に先立って、所定の基準時刻送信機から基準時刻(時刻情報)が送信され、計時部106にて、基準時刻との時刻同期が行われているものとする。
【0050】
まず、無線タグ100は、電磁場を検出するまで待機する(ステップS11)。すなわち、走行する競技者RNが、ループコイル11又はループコイル21まで到達し、ループコイル11,21上に生成される電磁場を、検出回路103が検出するまで、無線タグ100は、後続処理の実行を待機する。
【0051】
無線タグ100は、電磁場を検出すると、変調の有無を判別する(ステップS12)。つまり、検出回路103は、検出した電磁場が変調されているか否かを判別する。なお、電磁場が変調されている場合に、ループコイル11上に到達したと判別し、逆に、電磁場が変調されていない場合に、ループコイル21上に到達したと判別する。
【0052】
無線タグ100は、電磁場が変調されていると判別すると(ループコイル11上に到達したと判別すると)、マットIDを受信して記憶する(ステップS13)。つまり、復調回路104が、電磁場に重畳されているマットIDを復調して取得し、制御部105が、取得した(受信した)マットIDを記憶部107に格納する。
【0053】
無線タグ100は、既に同じマットIDが記憶部107に記憶済であるか否かを判別する(ステップS14)。すなわち、周回コースCにて、ループコイル11aから同じマットIDを受信した状態であるかどうかを判別する。
【0054】
無線タグ100は、記憶済でないと判別すると、前述したステップS11に処理を戻す。なお、この際、記憶部107に格納したマットIDの周回数は、初期値の「0」に設定される。
一方、記憶済であると判別すると、無線タグ100は、周回数をカウントアップする(ステップS15)。つまり、制御部105は、同じマットIDの周回数(前回格納した周回数)に1を加算した値を、現在の周回数として、記憶部107に格納する。
そして、無線タグ100は、前述したステップS11に処理を戻す。
【0055】
上述したステップS12にて、電磁場が変調されていないと判別した場合(ループコイル21上に到達したと判別した場合)、無線タグ100は、変極点を検出するまで待機する(ステップS16)。つまり、検出回路103が、ループコイル21上における電磁場の変極点を検出するまで待機する。なお、検出回路103は、電磁場の電磁界強度の増加を検出した後、2回目の電磁界強度の増加を検出した際に、電磁場の変極点として検出する。
【0056】
そして、変極点が検出されると、無線タグ100は、計時タイムを特定する(ステップS17)。つまり、制御部105は、検出回路103がループコイル21上における電磁場の変極点を検出したタイミングで、計時部106が計時する時刻を計時タイムとして特定する。
【0057】
無線タグ100は、特定した計時タイムをマットID等と対応付けて記憶する(ステップS18)。つまり、制御部105は、計時タイムを、マットID/周回数と対応付けて、記憶部107に格納する。
【0058】
無線タグ100は、タイム情報を生成し、受信機30に向けて送信する。(ステップS19)。つまり、制御部105が、計時タイム、タグID、及び、マットID/周回数を含むタイム情報を生成し、通信回路108が、タイム情報を受信機30に向けて送信する。
なお、送受信機40からポーリングによる送信要求を受信した場合に、無線タグ100は、タイム情報を送受信機40に返信する。
そして、無線タグ100は、前述したステップS11に処理を戻す。
【0059】
このような計時処理により、無線タグ100は、ループコイル11a上にて同じマットIDを受信して周回数をカウントし、ループコイル21a上の電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP1での計時タイムを特定する。また、ループコイル11b上にて異なるマットIDを受信し、ループコイル21b上の電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP2での計時タイムを特定する。
つまり、周回コースCにおいて、周回数をカウントしつつ計時ポイントP1での計時タイムを特定し、また、フィニッシュ部Fにおいて、計時ポイントP2での計時タイムを適切に特定する。
【0060】
そして、各計時ポイントにて特定された計時タイムが、マットID/周回数と共に、受信機30等を介してデータ処理装置50に送信される。そのため、データ処理装置50では、計時ポイントや周回数を特定して競技者のタイムを決定できる。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0061】
上記の第1の実施形態では、ループコイル11(11a,11b)上にて、無線タグ100がマットIDだけを受信する場合について説明したが、この際、基準時刻等の情報を受信して、計時部106が計時する時刻を補正できるようにしてもよい。
以下、ループコイル11上にて、基準時刻等を受信して、計時時刻を補正することも可能とした本発明の第2の実施形態について説明する。
【0062】
(実施形態2)
図11は、この発明の第2の実施形態に適用される競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
この競技用計時システムは、上述した図1の競技用計時システムに、時刻送信機60及び、応答受信機70が更に付加されて構成されている。また、これに伴いデータ処理装置80にも変更が加えられている。
【0063】
時刻送信機60は、ループコイル11(11a,11b)上を通過する無線タグ100に向けて基準時刻等を送信する。
具体的に、時刻送信機60は、競技スタート後に、全競技者RNがループコイル11a上を通過するまで(周回コースCでの最初の周回が終わるまで)、基準時刻及び関門IDを送信する。その後、時刻送信機60は、一旦、基準時刻等の送信を止め、先頭の競技者RNが周回コースCの周回を終えるのを待機する。先頭の競技者RNが周回を終えると、時刻送信機60は、全競技者RNがループコイル21a上を通過するまで(フィニッシュするまで)、基準時刻及び関門IDを送信する。
なお、関門IDとは、時刻送信機60等からどのタイミングで送信された基準時刻であるかを識別するための情報であり、最初の周回時とフィニッシュ時とで、異なる値が送信されるようになっている。例えば、時刻送信機60は、最初の周回時では、関門IDに「1」を設定して送信し、一方、フィニッシュ時では、関門IDに「15」を設定して送信する。
また、競技開始前や競技開始時点に、図示せぬ基準時刻送信機から基準時刻と共に送信される関門IDには、「0」が設定されている。
そして、無線タグ100が、これら関門ID及び基準時刻を受信した際に、基準時刻に同期した時刻を計時する(計時部106の時刻を補正する)と共に、関門IDを記憶する。これにより、無線タグ100が計時している時刻がどの時点で送られた基準時刻であるかが判別可能となる。
【0064】
応答受信機70は、時刻送信機60が送信した基準時刻等を受信した無線タグ100から送信される応答情報を受信する。
具体的に、応答受信機70は、タグID、マットID、及び、関門IDを含む応答情報を受信する。
すなわち、無線タグ100は、ループコイル11(11a,11b)上にて、マットIDを受信すると共に、時刻送信機60から送られる基準時刻及び関門IDを受信する。そして、無線タグ100は、基準時刻に同期したこと等を返信するために、受信したマットID及び関門IDを含む応答情報を送信することになる。
応答受信機70は、このようにして送信される応答情報を受信することにより、無線タグ100が時刻同期を済ませたことや、マットIDを受信したことを判別できる。
なお、応答受信機70は、この応答情報をデータ処理装置80に送信し、データ処理装置80は、ポーリング受信を行う際のポーリングリスト等をこの応答情報から生成する。
【0065】
データ処理装置80は、図12に示すように、上述した図4のデータ処理装置50に、基準時刻計時部81及び、時刻情報供給部82が更に付加されて構成されている。また、これに伴い情報取得部83にも変更が加えられている。
【0066】
基準時刻計時部81は、所定のタイマ回路等からなり、システムにおいて基準となる基準時刻を計時する。一例として、基準時刻計時部81は、正確な現在時刻等を計時する。なお、基準時刻計時部81は、例えば、高安定水晶発振器等を備えており、基準時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
【0067】
時刻情報供給部82は、制御部53に制御され、基準時刻計時部81が計時する基準時刻(時刻情報)を時刻送信機60に供給する。
【0068】
情報取得部83は、更に、応答受信機70が受信した応答情報(タグID、マットID、及び、関門ID)を取得する。
【0069】
以下、上述した構成の競技用計測システムの動作について、図13を参照して説明する。図13は、無線タグ100が競技中に実行する計時処理を説明するためのフローチャートである。この計時処理は、上述した図10に示す計時処理に、ステップS21,S22が更に付加されている。
なお、この計時処理に先立って、所定の基準時刻送信機から基準時刻及び関門IDが送信され基準時刻との時刻同期が行われており、また、その際の関門ID(関門ID=0)も記憶部107に記憶されているものとする。
【0070】
無線タグ100は、ステップS11にて電磁場の検出を判別し、ステップS12にて検出した電磁場が変調されていると判別すると、基準時刻等を受信したか否かを判別する(ステップS21)。
すなわち、通信回路108が時刻送信機60から送られる基準時刻及び関門IDを受信したかどうかを判別する。なお、時刻送信機60は、上述したように、各競技者RNが周回コースCを最初に周回する際、又は、先頭の競技者RNが周回を終えた際に、基準時刻等を送信する。
【0071】
無線タグ100は、基準時刻等を受信していないと判別すると、ステップS13に処理を進める。
一方、基準時刻等を受信したと判別した場合に、無線タグ100は、自己が計時する時刻を補正し、関門IDを記憶する(ステップS22)。つまり、受信した基準時刻に同期するように計時部106を補正し、そして、関門IDを記憶する。なお、時刻送信機60は、上述したように、最初の周回時では関門IDに「1」を設定して送信し、また、フィニッシュ時では、関門IDに「15」を設定して送信する。
【0072】
無線タグ100は、ステップS13にてマットIDを受信して記憶し、ステップS14にて既に同じマットIDを記憶済であると判別すると、ステップS15にて周回数をカウントアップする。
【0073】
また、ステップS12にて検出した電磁場が変調されていないと判別すると、無線タグ100は、ステップS16にて変極点を判別し、ステップS17にて計時タイムを特定する。
そして、無線タグ100は、ステップS18にて計時タイムをマットID等と対応付けて記憶し、ステップS19にて、タイム情報を生成し、受信機30に向けて送信する。
なお、ステップS19において、無線タグ100は、計時タイム、タグID、関門ID、及び、マットID/周回数を含むタイム情報を生成し、このタイム情報を受信機30に向けて送信する。
【0074】
このような計時処理により、無線タグ100は、競技中に時刻送信機60から送られる基準時刻に同期すると共に、同時に時刻送信機60から送られる関門IDを記憶する。そして、ループコイル21(21a,21b)上にて、基準時刻に同期した計時タイムを特定する。
そして、各計時ポイントにて特定された計時タイムが、マットID/周回数及び、関門IDと共に、受信機30等を介してデータ処理装置80に送信される。そのため、データ処理装置80では、無線タグ100での計時の基となった基準時刻がどの時点で送られたものか判別可能となる。
そのため、送信した基準時刻にずれ等がある場合に、データ処理装置80側で計時タイムを適宜補正することができる。
【0075】
例えば、関門IDが「0」であれば、競技開始前等に送られた基準時刻に同期したものであり、ループコイル11(11a,11b)上にて時刻同期がなされていないことが判別できる。そして、競技開始前等に送られた基準時刻にずれがある場合には、データ処理装置80は、そのずれに従って、計時タイムを補正する。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0076】
(実施形態3)
上記の実施形態では、競技用計測システムを陸上のクロスカントリ競技に適用した場合について説明したが、計測対象の競技は、これに限られず任意である。例えば、競歩競技等にも適用可能である。
以下、競技用計測システムが競歩競技に適用された場合について、図14を参照して説明する。
【0077】
競歩競技では、図14に示すように、スタート/ゴールが競技場KJ(場内のトラック)にて行われ、途中が場外の周回コースSCにて行われる場合が多い。そして、周回コースSC内において、例えば、5km毎に計時ポイント(P1〜P3)が配置され、そして、競技場KJにてゴールの計時ポイント(P4)が配置されている。
なお、各計時ポイントP1〜P4を含む範囲が、受信機30,送受信機40の通信エリアとなっている。
【0078】
この場合も、各計時ポイントには、ループコイル21(21a〜21d)が配置され、また、その沿道には磁場発生装置20(20a〜20d)が配置される。つまり、ループコイル21は、磁場発生装置20から供給される信号に基づいて、上述した図3(c)に示すような電磁場を生成する。
更に、各計時ポイントの手前には、ループコイル11(11a〜11d)が配置され、また、その沿道には変調磁場発生装置10(10a〜10d)が配置される。つまり、ループコイル11は、変調磁場発生装置10から供給される信号に基づいて、上述した図2(c)に示すようなマットID(プリアンブル及びマットID)が重畳された電磁場を生成する。なお、マットIDは、変調磁場発生装置10毎に異なっている。
【0079】
そして、無線タグ100は、ループコイル11(11a〜11d)上に生成される電磁場にて、マットIDを受信して記憶し、そして、ループコイル21(21a〜21d)にて生成される電磁場の変極点を検出して、計時ポイントP1〜P4での計時タイムを特定する。
なお、競技者RNが周回コースSCを周回する際に、ループコイル11a〜11cにて受信したマットIDが既に記憶されている場合(2周目以降)、無線タグ100は、上述した第1の実施形態等と同様に、周回数をカウントアップする。その際、各マットIDに対応して周回数をカウントアップする。
そして、計時タイムを特定すると、無線タグ100は、この計時タイム、タグID、及び、マットID/周回数を含むタイム情報を、受信機30等に向けて送信する。
【0080】
そして、各計時ポイントにて特定された計時タイムが、マットID/周回数と共に、受信機30等を介してデータ処理装置50に送信される。そのため、データ処理装置50では、計時ポイントや周回数を特定して競技者のタイムを決定できる。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0081】
また、競技の進行に合わせて、各ループコイル11a〜11cにて送信するマットIDを適宜更新し、あたかも、一直線上のコースと同様に扱うことができるようにしてもよい。
例えば、周回遅れ等が生じない場合、最後尾の競技者RNがループコイル11a〜11cを通過した後に、変調磁場発生装置10a〜10cにて重畳するマットIDを順次変更する。つまり、重複が生じないように予め定められたマットIDに、順次変更する。
これにより、各競技者RNが周回を重ねてループコイル11a〜11c上を通過しても、それぞれ異なるマットIDが無線タグIDに記憶されることになる。そして、ループコイル21a〜21c上にて計時された計時タイムと共に、受信機30等を介してデータ処理装置50に送信される。
このため、データ処理装置50は、周回と共に異なるマットIDから、あたかも、一直線上のコースのように計時ポイントを特定して競技者のタイムを決定できる。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0082】
上記の実施形態では、無線タグ100に計時部106を設けて無線タグ100にて計時するようにしたが、データ処理装置50に計時部を設けてデータ処理装置50にて計時するようにしてもよい。
以下、データ処理装置にて計時するようにした本発明の第4の実施形態について説明する。
【0083】
(実施形態4)
この実施形態では、第1の実施形態に適用された図1の競技用計測システムにおいて、無線タグ100及びデータ処理装置50の構成に変更を加えたものである。
図15には、この実施形態に適用される無線タグ100aの構成が示されている。
無線タグ100aには、LFアンテナ101a、増幅回路102a、電磁場検出手段及び検出回路103a、復調回路104a、制御部105a、記憶部107a及び通信回路108aが設けられている。
LFアンテナ101a、増幅回路102a、検出回路103a及び復調回路104aは、それぞれ第1の実施形態に適用された無線タグ100のLFアンテナ101と増幅回路102と検出回路103と復調回路104と同一構成であり、説明を省略する。
【0084】
制御部105aは、無線タグ100aの全体を制御する。制御部105aは、検出回路103aが電磁場(変調有り)を検出し、復調回路104aがマットIDを復調(受信)すると、受信したマットIDを記憶部107aに記憶させる。その際、同じマットIDが記憶済である場合に、制御部105aは、記憶部107aの周回数(初期値が0)をカウントアップする。周回コースCでは、ループコイル11aにて同じマットIDを受信するため、周回数がカウントアップされる。
【0085】
記憶部107aは、例えば、不揮発性メモリからなり、マットID、周回数を記憶する。また、記憶部107aは、例えば、別エリアに、無線タグ100a毎(競技者RN毎)に異なるタグID等を予め記憶している。
【0086】
通信回路108aは、所定の通信アンテナを介して、受信機30との間で通信を行う。通信回路108aは、検出回路103aがループコイル21上における電磁場の変極点を検出すると、制御部105aに制御されてタグID及びマットID/周回数を含む特定情報を受信機30に向けて送信する。
【0087】
図16には、この実施形態に適用されるデータ処理装置50aが示されている。
データ処理装置50aには、情報取得部51a、競技情報記憶部52a、制御部53a、報知情報供給部54a及び計時部55aが設けられている。
【0088】
情報取得部51aは、受信機30が受信した特定情報を取得する。
計時部55aは、高安定水晶発振器を備えており、同期後の時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
【0089】
制御部53aは、データ処理装置50a全体を制御する。
具体的には、制御部53aは、情報取得部51aが受信機30から特定情報を取得したタイミングで、計時部55aが計時する時刻を計時タイムとして特定するとともに、特定した計時タイムをタグID及びマットID/周回数と対応付けて、競技情報記憶部52aに格納する。すなわち、競技情報記憶部52aは、情報取得部51aが取得した特定情報に基づいて、各無線タグ100aに対応した競技情報を記憶する。具体的には、競技情報記憶部52aは、タグID毎に、計時ポイント、周回数及び、計時タイム等を集計した競技情報を記憶する。
【0090】
報知情報供給部54aは、競技情報記憶部52aに記憶された競技情報から、報知用の情報を生成し、図示せぬ表示盤等に供給する。例えば、報知情報供給部54aは、上位数名の計時タイムを報知するための情報を生成して、表示盤に表示させる。
【0091】
以下、上述した競技用計測システムの動作について、図17を参照して説明する。
まず、無線タグ100aは、電磁場を検出するまで待機する(ステップS110)。すなわち、走行する競技者RNが、ループコイル11又はループコイル21まで到達し、ループコイル11,21上に生成される電磁場を、検出回路103aが検出するまで、無線タグ100aは、後続処理の実行を待機する。
【0092】
無線タグ100aは、電磁場を検出すると、変調の有無を判別する(ステップS120)。つまり、検出回路103aは、検出した電磁場が変調されているか否かを判別する。なお、電磁場が変調されている場合に、ループコイル11上に到達したと判別し、逆に、電磁場が変調されていない場合に、ループコイル21上に到達したと判別する。
【0093】
無線タグ100aは、電磁場が変調されていると判別すると(ループコイル11上に到達したと判別すると)、マットIDを受信して記憶する(ステップS130)。つまり、復調回路104aが、電磁場に重畳されているマットIDを復調して取得し、制御部105aが、取得した(受信した)マットIDを記憶部107aに格納する。
【0094】
無線タグ100aは、既に同じマットIDが記憶部107aに記憶済であるか否かを判別する(ステップS140)。すなわち、周回コースCにて、ループコイル11aから同じマットIDを受信した状態であるかどうかを判別する。
無線タグ100aは、記憶済でないと判別すると、前述したステップS110に処理を戻す。なお、この際、記憶部107aに格納したマットIDの周回数は、初期値の「0」に設定される。
【0095】
一方、記憶済であると判別すると、無線タグ100aは、周回数をカウントアップする(ステップS150)。つまり、制御部105aは、同じマットIDの周回数(前回格納した周回数)に1を加算した値を、現在の周回数として、記憶部107aに格納する。
そして、無線タグ100aは、前述したステップS110に処理を戻す。
【0096】
上述したステップS120にて、電磁場が変調されていないと判別した場合(ループコイル21上に到達したと判別した場合)、無線タグ100aは、変極点を検出するまで待機する(ステップS160)。つまり、検出回路103aが、ループコイル21上における電磁場の変極点を検出するまで待機する。なお、検出回路103aは、電磁場の電磁界強度の増加を検出した後、2回目の電磁界強度の増加を検出した際に、電磁場の変極点として検出する。
【0097】
そして、電磁場の変極点が検出されると、無線タグ100aは、タグID及びマットID/周回数を含む特定情報を受信機30に向けて送信する(ステップS190)。つまり、検出回路103aがループコイル21上における電磁場の変極点を検出すると、通信回路108aが制御部105aに制御されてタグID及びマットID/周回数を含む特定情報を受信機30に向けて送信する。
【0098】
タグID及びマットID/周回数を含む特定情報は、受信機30を介してデータ処理装置50aに送信される。データ処理装置50aでは、情報取得部51aが受信機30から特定情報を取得する。そして、制御部53aは、情報取得部51aが特定情報を取得したタイミングで、計時部55aが計時する時刻を計時タイムとして特定する(ステップS200)とともに、特定した計時タイムをタグID及びマットID/周回数と対応付けて、競技情報記憶部52aに格納する(ステップS300)。これにより、例えば、タグID毎に、計時ポイント、周回数及び、計時タイム等を集計した競技情報が競技情報記憶部52aに記憶される。
この結果、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0099】
なお、上記の実施の形態では、データ処理装置50aにおいて、無線タグ100aからタグID等を受信したタイミング、すなわち情報取得部51aが特定情報を取得したタイミングで、計時部55aが計時する時刻を計時タイムとして特定する場合について説明した。
しかしながら、無線タグ100aにおける処理時間等を考慮して、データ処理装置50aにて、より正確な時刻を計時タイムとして特定するようにしてもよい。
【0100】
例えば、無線タグ100aの検出回路103aがループコイル21上における電磁場の変極点を検出してから、タグID等を読み出し、その後、データ処理装置50aに当該タグID等の特定情報を送信するまでの所要時間Δtを算出する手段(所要時間算出手段)を無線タグ100aに更に備えるようにする。所要時間Δtの算出は、予め行っておく様にしてもよく、また、毎回算出するようにしてもよい。そして、無線タグ100aは、タグID等の特定情報と共に、算出した所要時間Δtを受信機30を介してデータ処理装置50aに送信する。
一方、データ処理装置50aは、計時部55aが計時する時刻を計時タイムとして特定する際に、所要時間Δtを用いて、計時タイムを適宜補正する。
この場合、データ処理装置50aは、より正確な時刻を計時タイムとして特定することになり、ひいては、より正確な競技タイムを特定することができる。
【0101】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、本願発明を、競技用計測システムに適用した場合について説明したが、競技以外にも、適宜適用可能である。
例えば、横断歩道における歩行者の移動状況等を計測する場合にも適用可能である。
以下、本願発明を横断歩道における歩行者を管理する計測システムに適用された場合について図18を参照して説明する。
【0102】
図示するように、この計測システムは、ループコイル11(11a〜11h)と、変調磁場発生装置10(10a〜10h)と、受信機30と、データ処理装置50と、歩行者WKに携帯される無線タグ100を含んで構成される。
ループコイル11(11a〜11h)は、例えば、横断歩道H1〜H4の両端(横断歩道上における車道と歩道との境目)となる箇所に埋設されている。また、変調磁場発生装置10も、歩道内等に埋設されている。そして、ループコイル11は、変調磁場発生装置10から供給される信号に基づいて、上述した図2(c)に示すようなマットID(プリアンブル及びマットID)が重畳された電磁場を生成する。なお、マットIDは、変調磁場発生装置10毎に異なっている。
【0103】
受信機30は、一例として、ループコイル11b,11cの近傍に配置され、無線タグ100から送られるタグ情報(タグID、及び、マットID)を受信する。
なお、受信機30は、通信エリアA内にて、無線タグ100と通信可能であり、ループコイル11(11a〜11h)上にてマットIDを受信した無線タグ100から送られるタグ情報を受信する。
【0104】
データ処理装置50は、受信機30を介して取得したタグ情報から、歩行者WKの移動状況等を把握する。
【0105】
また、各歩行者WKに携帯される無線タグ100は、ループコイル11(11a〜11h)上にて、マットIDを受信すると、タグID及びマットIDを含むタグ情報を生成し、例えば、一定時間(一例として1秒間)だけ受信機30に向けて送信する。
なお、タグIDには、歩行者WKの種別を示す情報も含まれている。例えば、タグIDから、障害者や高齢者等の交通弱者を示す情報も得られるものとする。
【0106】
このような計測システムでは、送られたタグ情報に基づいて、歩行者WKの移動状況等を管理する。
例えば、図19(a)に示すように、それまで管理していなかった歩行者WKのタグIDを含むタグ情報(タグID:ABC,マットID:007)を受信した場合、データ処理装置50は、その歩行者WKがループコイル11gから横断歩道H4に入り、現在横断中であると判別する。
続いて、図19(b)に示すように、同じタグIDを含むタグ情報(タグID:ABC,マットID:008)を受信した場合、データ処理装置50は、その歩行者WKがループコイル11hから歩道に入り、横断歩道H4を渡りきったと判別する。
更に、図19(c)に示すように、同じタグIDを含むタグ情報(タグID:ABC,マットID:001)を受信した場合、データ処理装置50は、その歩行者WKがループコイル11aから横断歩道H1に入り、現在横断中であると判別する。
【0107】
この他にも、何人の歩行者WKが横断歩道を横断中であるかや、その中に交通弱者が含まれているか等も把握できる。
このように、データ処理装置50は、各歩行者WKの移動状況等を把握するだけでなく、歩行者WKの人数や、交通弱者の有無に応じて、歩行者用信号の青期間を長くする等の制御を行えるようにしてもよい。
【0108】
更に、無線タグ100にメロディ機能やバイブレータ機能を付加し、特定の歩行者WK(例えば、視覚障害者等)に、進もうとする横断歩道における信号状態(青に変わったこと、青の点滅に変わったこと、及び、赤に変わったこと等)を音や振動で知らせるようにしてもよい。
【0109】
以上説明したように、通信範囲内に複数の計時ポイントが存在する場合でも、計時ポイント等を特定して競技者のタイムを適切に計時することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】(a)がループコイルの形状(略矩形形状)の一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場を説明するための模式図であり、(c)が電磁場に重畳されるマットID等を説明するための模式図である。
【図3】(a)がループコイルの形状(略8の字形状)の一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場を説明するための模式図であり、(c)が電磁場の強度分布を説明するための模式図である。
【図4】データ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】競技情報記憶部に記憶される競技情報の一例を示す模式図である。
【図6】無線タグの構成の一例を示すブロック図である。
【図7】(a)が検出回路の一例を示す回路図であり、(b),(c)共に、電磁場の検出の様子を説明するための模式図である。
【図8】(a)が生成される電磁場を説明するための模式図であり、(b)が電磁場に重畳されるマットID等を説明するための模式図であり、(c)がレベル調整を行った後に、マットIDを復調する様子を説明するための模式図である。
【図9】無線タグ(記憶部)に記憶される情報の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
【図12】データ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】競歩競技に適用される競技用計測システムの構成の一例を示す模式図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る無線タグの構成の一例を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係るデータ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の他の実施形態に係る計測システムの一例を示す模式図である。
【図19】(a)〜(c)共に、歩行者の移動状況の一例を示す模式図である。
【図20】従来の計時システムの問題点を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0111】
10(10a,10b等) 変調磁場発生装置
11(11a,11b等) ループコイル
20(20a,20b等) 磁場発生装置
21(21a,21b等) ループコイル
30 受信機
40 送受信機
50 データ処理装置
60 時刻送信機
70 応答受信機
100 無線タグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器には、
時刻を計時する計時手段と、
競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段により前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電磁場検出手段により検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段により前記計時ポイントが検出された際に、前記計時手段にて計時された時刻を計時タイムとして特定するタイム特定手段と、
前記タイム特定手段により特定された前記計時タイム、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信手段と、が設けられ、
前記処理装置には、
前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信された前記タイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定するタイム決定手段と、が設けられている、
ことを特徴とする競技用計測システム。
【請求項2】
競技者が周回する走路上において、前記識別情報受信手段が同一の識別情報を受信した場合に、前記記憶手段が、当該同一の識別情報の数に応じた周回数を記憶し、
前記情報送信手段が、前記記憶手段に記憶された前記周回数を更に含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信し、
前記タイム決定手段が、前記タイム情報に基づいて、前記周回数に対応した競技者の計時タイムを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の競技用計測システム。
【請求項3】
前記処理装置には、基準となる基準時刻を計時する基準時刻計時手段が更に設けられ、
前記基準時刻計時手段により計時される基準時刻を示す時刻情報が前記情報送信手段によって前記無線機器に送信され、
前記無線機器には、前記計時手段により計時される時刻を補正する補正手段が更に設けられ、前記情報受信手段により受信された前記時刻情報に基づいて、前記補正手段が前記計時手段の時刻を補正する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の競技用計測システム。
【請求項4】
前記処理装置には、
前記計時タイムの送信を要求する要求情報を、前記無線機器に向けて送信する要求情報送信手段が更に設けられ、
前記無線機器には、
前記処理装置から送信される前記要求情報を受信する要求情報受信手段が更に設けられ、
前記要求情報受信手段により受信された前記要求情報に応答して、前記タイム情報を、前記処理装置に向けて送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の競技用計測システム。
【請求項5】
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器には、
競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段により前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電磁場検出手段により検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段により前記計時ポイントが検出された際に、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信手段と、が設けられ、
前記処理装置には、
時刻を計時する計時手段と、
前記無線機器から送信される前記特定情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段が前記特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、前記計時手段にて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定するタイム決定手段と、が設けられている、
ことを特徴とする競技用計測システム。
【請求項6】
競技者が周回する走路上において、前記識別情報受信手段が同一の識別情報を受信した場合に、前記記憶手段が、当該同一の識別情報の数に応じた周回数を記憶し、
前記情報送信手段が、前記記憶手段に記憶された前記周回数を更に含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信し、
前記タイム決定手段が、前記特定情報に基づいて、前記周回数に対応した競技者の計時タイムを決定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の競技用計測システム。
【請求項7】
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムにおけるタイム計時方法であって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器において、時刻を計時する計時ステップと、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記計時ステップにて計時された時刻を計時タイムとして特定するタイム特定ステップと、
前記無線機器において、前記タイム特定ステップにて特定された前記計時タイム、前記識別情報受信ステップにて受信された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信ステップと、
前記処理装置において、前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する情報受信ステップと、
前記処理装置において、前記情報受信ステップにて受信された前記タイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定するタイム決定ステップと、
を備えることを特徴とするタイム計時方法。
【請求項8】
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムにおけるタイム計時方法であって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記識別情報受信ステップにて受信された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信ステップと、
前記処理装置において、時刻を計時する計時ステップと、
前記処理装置において、前記無線機器から送信される前記特定情報を受信する情報受信ステップと、
前記処理装置において、前記情報受信ステップにて前記特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、前記計時ステップにて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定するタイム決定ステップと、
を備えることを特徴とするタイム計時方法。
【請求項1】
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器には、
時刻を計時する計時手段と、
競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段により前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電磁場検出手段により検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段により前記計時ポイントが検出された際に、前記計時手段にて計時された時刻を計時タイムとして特定するタイム特定手段と、
前記タイム特定手段により特定された前記計時タイム、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信手段と、が設けられ、
前記処理装置には、
前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信された前記タイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定するタイム決定手段と、が設けられている、
ことを特徴とする競技用計測システム。
【請求項2】
競技者が周回する走路上において、前記識別情報受信手段が同一の識別情報を受信した場合に、前記記憶手段が、当該同一の識別情報の数に応じた周回数を記憶し、
前記情報送信手段が、前記記憶手段に記憶された前記周回数を更に含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信し、
前記タイム決定手段が、前記タイム情報に基づいて、前記周回数に対応した競技者の計時タイムを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の競技用計測システム。
【請求項3】
前記処理装置には、基準となる基準時刻を計時する基準時刻計時手段が更に設けられ、
前記基準時刻計時手段により計時される基準時刻を示す時刻情報が前記情報送信手段によって前記無線機器に送信され、
前記無線機器には、前記計時手段により計時される時刻を補正する補正手段が更に設けられ、前記情報受信手段により受信された前記時刻情報に基づいて、前記補正手段が前記計時手段の時刻を補正する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の競技用計測システム。
【請求項4】
前記処理装置には、
前記計時タイムの送信を要求する要求情報を、前記無線機器に向けて送信する要求情報送信手段が更に設けられ、
前記無線機器には、
前記処理装置から送信される前記要求情報を受信する要求情報受信手段が更に設けられ、
前記要求情報受信手段により受信された前記要求情報に応答して、前記タイム情報を、前記処理装置に向けて送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の競技用計測システム。
【請求項5】
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムであって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器には、
競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段により前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記識別情報受信手段により受信された前記識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電磁場検出手段により検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段により前記計時ポイントが検出された際に、前記記憶手段に記憶された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信手段と、が設けられ、
前記処理装置には、
時刻を計時する計時手段と、
前記無線機器から送信される前記特定情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段が前記特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、前記計時手段にて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定するタイム決定手段と、が設けられている、
ことを特徴とする競技用計測システム。
【請求項6】
競技者が周回する走路上において、前記識別情報受信手段が同一の識別情報を受信した場合に、前記記憶手段が、当該同一の識別情報の数に応じた周回数を記憶し、
前記情報送信手段が、前記記憶手段に記憶された前記周回数を更に含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信し、
前記タイム決定手段が、前記特定情報に基づいて、前記周回数に対応した競技者の計時タイムを決定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の競技用計測システム。
【請求項7】
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムにおけるタイム計時方法であって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器において、時刻を計時する計時ステップと、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記計時ステップにて計時された時刻を計時タイムとして特定するタイム特定ステップと、
前記無線機器において、前記タイム特定ステップにて特定された前記計時タイム、前記識別情報受信ステップにて受信された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含むタイム情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信ステップと、
前記処理装置において、前記無線機器から送信される前記タイム情報を受信する情報受信ステップと、
前記処理装置において、前記情報受信ステップにて受信された前記タイム情報に基づいて、競技者が到達した計時ポイントを特定し、当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムを決定するタイム決定ステップと、
を備えることを特徴とするタイム計時方法。
【請求項8】
競技者が携帯する無線機器と、当該無線機器との間で情報を無線通信する処理装置と、を含む競技用計測システムにおけるタイム計時方法であって、
前記処理装置の通信エリア内に複数の計時ポイントが配置されており、
前記無線機器において、競技者が走行する走路上に生成された第1及び第2の電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて前記第1の電磁場が検出された際に、当該電磁場に重畳された固有の識別情報を受信する識別情報受信ステップと、
前記無線機器において、前記電磁場検出ステップにて検出された前記第2の電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記無線機器において、前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントが検出された際に、前記識別情報受信ステップにて受信された前記識別情報、及び、前記無線機器に設定されているIDを含む特定情報を、前記処理装置に向けて送信する情報送信ステップと、
前記処理装置において、時刻を計時する計時ステップと、
前記処理装置において、前記無線機器から送信される前記特定情報を受信する情報受信ステップと、
前記処理装置において、前記情報受信ステップにて前記特定情報を受信した際に、当該特定情報に基づいて競技者が到達した計時ポイントを特定するとともに、前記計時ステップにて計時された時刻を当該計時ポイントにおける競技者の計時タイムとして決定するタイム決定ステップと、
を備えることを特徴とするタイム計時方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−82684(P2007−82684A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273890(P2005−273890)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【出願人】(500198210)セイコータイムシステム株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【出願人】(500198210)セイコータイムシステム株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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